説明

編集指向の動画像表示方法及びそのプログラム

【課題】 それぞれが個別の動画像データを含んだ複数のレイヤーの重なりで構成された動画像について、各レイヤーの動画像の時間経過に伴う相互関係を容易に確認できるようにする。
【解決手段】 分解斜視コマンドが入力されたと判断すると、それまで通常表示されていた画像を、滑らかに分解斜視表示する(ステップS3)。注視点変更コマンドが入力されたと判断すると、注視点の変更処理を行う(ステップS5)。接近/離反コマンドが入力されたと判断すると、分解斜視表示された画像の各レイヤーを離反させたり、接近させたりする(レイヤー間距離変更)(ステップS7)。ズーム変更コマンドが入力されたと判断すると、分解斜視表示された画像の各レイヤーをズームイン/アウトさせたりする(ズーム変更)(ステップS9)。旋回コマンドが入力されたと判断すると、分解斜視表示された画像を注視点に対して回転させる(ステップS11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示方法及びそのプログラムに関し、特に、各種画像データを個別独立的に作成した複数の層(レイヤー)で構成された全体画像の画像表示方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、それぞれが個別の画像データを含んだ複数の画像を重ね合わせて層(レイヤー)を構成し、それを表示することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、複数のレイヤーにて構成されている画像データを開示している。そして、それらの画像データから立体視画像を生成する際に、各レイヤー間に、各レイヤーのオブジェクトとは関わらない距離の概念を導入し、それらの距離を可変設定可能とすることにより、立体感の編集を容易にする技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2においては、画像を構成する各図形に奥行き情報を設定し(レイヤーを決定し)、その後、選択した階層に存在する図形のみを表示させることで、2次元表示であっても容易に立体視コンテンツの奥行きを確認することができる技術が開示されている。
【0005】
ところで、上述の各特許文献においては、表示装置に表示された状態では、各レイヤーは重ね合さって表示されているので、各レイヤーの構成や相互関係は確認できない。特に特許文献2においては、各レイヤーの奥行きの度合いが設定できるといえども、画像表示の処理とは異なる別個の処理(図5等参照)が必要であり、かつ、各レイヤーごとに個別表示ができる(レイヤーの違いが分かる)といえども、それらの相互関係(奥行きの度合い)が画像自体で確認できるわけではない。
【0006】
そこで、各レイヤーに含まれる各画像を表示装置上で容易に視覚的に認識できる手法も開示されている。
【0007】
例えば、特許文献3は、道路図と、家枠図と、複数の管路図とを重ね合わせて構成された図形データについて、立体表示したい各階層を選択し、選択した各階層の図形データに対して個々に平行四辺形の座標変換を施し、更にそれらの変換後の図形を一画面上で配置編集して、それらの処理後の図形データに基づく図形を改めて画面上に表示する技術を開示している。
【0008】
なお、特許文献3においては、「立体表示」という文言が使用されているが、一般の3次元立体画像の表示と誤解を生じるおそれがある。故に、本明細書においては、以降、その3次元立体画像の表示との明確な区別を目的として、「2次元画像を正面からではなく、斜めから見たように表示すること」を、「斜視(的)表示」と表現する。
【0009】
また、特許文献4は、建屋内の各フロアの備品の配置を表わした図面に関するものであり、各フロアごとに平行四辺形への座標変換を行い、その図2のように画面上に配置し、結果的に斜視的に見えるようにしている。但し、各フロアの図面は、本来重ね合わせて表示されるものではない。
【0010】
なお、特許文献5は、複数の2次元画像が積層された画像について、斜視的表示を行うことを開示していないが、3次元の対象物を2次元画面に透視図で表示する際に、所望の視点、注視点を効率的に探し出す方法について開示している。具体的には、表示画面上に、主の透視図とは別に、補助の図を用意し、その補助の図に視点、注視点の位置を指定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−331317号公報
【特許文献2】特開2004−145832号公報
【特許文献3】特開平04−205180号公報
【特許文献4】特開平08−278996号公報
【特許文献5】特開昭61−065368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記各文献に開示された技術は、すべて静止画像に関するものである。昨今、処理速度の向上や表示画面の精細化等の技術進歩に伴って、時間経過に応じて複雑に劇的に変化する動画像を、表示装置に表示することが可能となった。
【0013】
とりわけ遊技機においては、いわゆるハイエンドのグラフィックス動画像を実現すべく、重ね合されるレイヤーの数は爆発的に増加している。従って、それらのレイヤーに含まれる多くの動画像を制作及び編集する者にとって、その作業は大きな負担となっている。特に、動画像については、どのタイミングでどのレイヤーの画像が開始され、そして終了するかについて、他のレイヤーの画像との関係で厳格に規定される。また、とりわけ遊技機においては、例えば弾丸の飛翔や、それによる爆撃事象の表示等、非常に劇的に変化する動画像が扱われている。また、瞬間的に現れて消滅する物体等の画像が重畳される場合もある。更に、静止画に近い画像に、それらの動画像が重ね合される場合もある。
【0014】
故に、各レイヤーの動画像を最初は単独で作成及び編集するにしても、最終的には、他のレイヤーの動画像を参照しながら編集し、確認することがどうしても必然となる。それには、単独で表示していては不可能なことは無論、重ね合わせた通常の表示でも、特にタイミングの確認は見づらくて困難である。このことから、各レイヤーの動画像の時間経過に伴う相互関係を容易に確認できる表示手法が望まれている。
【0015】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、本発明の目的は、それぞれが個別の動画像データを含んだ複数のレイヤーの重なりで構成された動画像について、各レイヤーの動画像の時間経過に伴う相互関係を容易に確認できる画像表示方法及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の画像表示方法は、それぞれが独立して作成される動画像のデータを含む複数の2次元的なレイヤーで構成され、各レイヤーが重ね合さって画像表示装置に表示される画像を、変換して表示する画像表示方法であって、前記画像表示装置に重ね合されて表示された動画像に対し、所望の時点を特定し、前記所望の時点における画像を構成する各レイヤーを、3次元的に任意の方向から分解斜視表示することを要旨とする。
【0017】
前記分解斜視表示するステップにおいて、まず斜視表示し、次いで分解表示することが特徴である。このとき、斜視表示前の表示から、前記斜視表示を経て、前記分解表示まで、連続的に滑らかに行うことが好適である。また、前記分解斜視表示は、各レイヤーの2次元画像を3次元ポリゴンとそのテクスチャデータとして再構成することにより行う。
【0018】
また、前記分解斜視表示の状態において、前記動画像を時間的に精細遷移させ、前記所望の時点を厳密に特定することができることが好適である。
【0019】
前記分解斜視表示された各レイヤーの画像を、注目する画像点たる注視点を中心として回転させることができる。また、前記分解斜視表示された各レイヤーの画像を、注目する画像点たる注視点を中心として接近/離反させることができる。更に、前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心としてズームイン/アウトさせることができる。ここで、前記注視点を変更できることが好適である。
【0020】
また、前記動画像は、遊技機に表示される動画像であることが好適である。
【0021】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像表示プログラムは、それぞれが独立して作成される動画像のデータを含む複数の2次元的なレイヤーで構成され、各レイヤーが重ね合さって画像表示装置に表示される画像を、変換して表示する画像表示プログラムであって、前記画像表示装置に重ね合されて表示された動画像に対して特定された所望の時点を認識し、前記所望の時点における画像を構成する各レイヤーを、3次元的に任意の方向から分解斜視表示することを要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の画像表示方法及びそのプログラムによれば、各レイヤーに含まれる画像を分解して3次元的に任意の方向から斜視表示することにより、各レイヤーにおける各画像の重なり具合や大きさを容易に視覚的に認識できると共に、任意の画像を編集し易いような位置関係で各画像を表示できる。特に、その分解斜視表示の状態で、画像を回転させたり、レイヤー間を拡縮させたり、ズーム変更したり、注視点を変更したりすることにより、その効果は顕著となる。また、分解斜視表示の状態において、前記動画像を時間的に精細遷移させて、時点を厳密に特定可能なことにより、例えば、任意のレイヤーに含まれる画像の表示開始時点や表示終了時点を容易に確認できる。なお、表示される動画像が、遊技機に利用される場合には格別な効果を奏することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の画像表示方法における一実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の画像表示方法を実現するためのプログラムが搭載される画像表示装置の例の概略構成ブロック図である。
【図3】本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。
【図4】本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。
【図5】本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。
【図6】本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。
【図7】本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。
【図8】本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の画像表示方法における一実施形態のフローチャートである。また、図2は、本発明の画像表示方法を実現するためのプログラムが搭載される画像表示装置の例の概略構成ブロック図である。まず、その画像表示装置は、画像表示装置本体1と、キーボード2と、マウス3と、表示装置4とを備えている。キーボード2、マウス3、及び表示装置4は、それぞれ画像表示装置本体1に接続されている。
【0025】
また、画像表示装置本体1は、処理の実行と装置全体の制御を行う制御部11と、固定プログラム及び固定データ等が格納されるROM(Read Only Memory)12と、実行されるプログラムやそれに係るデータが一時的に格納されるRAM(Random Access Memory)13と、本発明の画像表示方法を実行するための画像表示プログラムや静止画像や動画像のデータ等が格納されるHD(ハードディスク(Hard Disk)たる格納部)14と、接続されるキーボード2との間のデータのやり取りの仲介手段としてのキーボードインターフェース(以下、I/Fと称す)15と、接続されるマウス3との間のデータのやり取りの仲介手段としてのマウスI/F16と、接続される表示装置4との間のデータのやり取りの仲介手段としての表示I/F17とを有している。また、図示しないが、ハードウェアたるキーボードI/F15、マウスI/F16、及び表示I/F17に対応して、ソフトウェアたるキーボードドライバ、マウスドライバ、及び表示装置ドライバを有している。
【0026】
本発明の画像表示方法における一実施形態においては、HD14に格納されている画像表示プログラムが、RAM13にロードされ、基本的に制御部11により実行されるが、そのとき操作者によるキーボード2及び/又はマウス3の操作内容に基づいて、HD14に格納された画像データが、表示装置4に表示されることにより実現される。
【0027】
図3乃至図9は、本発明の画像表示方法における一実施形態を説明するための図である。以下、図2乃至図9を参照しつつ、図1に沿って、本発明の画像表示方法における一実施形態の処理手順を説明する。
【0028】
図1において、まず、操作者は、HD14に格納された画像表示プログラムを実行させ、動画像の所望の時点での画像を表示装置4に表示させる(ステップS1)。この初期段階においては、画像は、各レイヤーが重なって通常の正面から観た(つまり正視)2次元的な状態(以下、「通常表示」と称す)で表示装置4に表示される。この「所望の時点」での画像の表示の仕方は各種あり、例えば、再生中の動画像に対し、画面上に設けられたポーズボタンを押したり、画面をマウスでクリックしたり、画面にタッチパネルが施されているのであればそれをタッチすることにより、実現できる。但し、厳密な時点(例えば、あるレイヤーに含まれる画像の表示開始時点)の特定は、後述する分解斜視表示の状態で緻密に調整できる。
【0029】
なお、上記動画像としては、典型的には、パチンコ機、ゲーム機等の遊技機に表示される動画像がある。かかる動画像の特性としては、重ね合されるレイヤーの数が膨大であることが挙げられる。また、遊技機においては、例えば弾丸の飛翔や、それによる爆撃事象の表示等、非常に劇的に変化する動画像が扱われている。また、瞬間的に現れて消滅する物体等の画像が重畳される場合もある。更に、静止画に近い画像に、それらの動画像が重ね合される場合もある。
【0030】
次に、操作者により分解斜視コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS2)。画像表示プログラムに分解斜視コマンドを与える方法については、様々な方法が考えられる。例えば、マウス3により、ツールバー等に表示された斜視表示のためのボタンや、ドロップダウンリストに表示される文字をクリックしたり、又はキーボード2に対して特定のキー入力(例えば、コントロールキーを押しながらのキーP(Perspective)の押下)を行うことで実現できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。
【0031】
上述のように各種の方法で操作者により分解斜視コマンドが入力されたと判断すると、制御部11は、画像表示プログラムに基づき、それまで複数のレイヤーが重なって1つの画面として表示されていた全体画像を、レイヤーごとに分解し、かつ斜視的に(以下、「分解斜視表示」と称す)表示装置4に表示する(ステップS3)。詳細には、図3に示すように、まず、重なったレイヤーを斜視的に表示し(同図の中央)、次に、それらのレイヤーを互いに離反させる(同図の右)。なお、この通常表示から分解斜視表示への遷移時の初期状態においては、斜視の方向(程度)や、分解の距離(程度)は、初期設定によるものとする。
【0032】
また、この通常表示から分解斜視表示への遷移は、表示装置4の表示画面41上におけるマウス3の操作などによって、連続的に滑らかに行われる。この連続的な滑らかな動作というのは、分解表示された各レイヤーを目視にて確認し、その中で時間的に変化する各レイヤー単位の画像を確認するためである。ここで、斜視的な表示は、詳細には、各レイヤーが2次元画像であるのを、統合して3次元オブジェクトに変換することであり、具体的には各2次元画像を3次元ポリゴンとそのテクスチャデータとして再構成することにより行う。なお、図3に示す例では、当該画像は、レイヤー[1]〜レイヤー[3]の3層から成っている。
【0033】
ここで、通常表示から分解斜視表示への移行は、「注視点に対する視点ベクトルの移動」と捉えることができる。「注視点」とは、視点(この視点とは、撮影を意味するとカメラが配置されている位置に相当する)から注目している画像情報の一点であり、典型的には、表示装置4の表示画面41の中心位置を初期的には常に置くことが考えられるが、もとより初期値であるので、それには限られない。また、初期的には、各レイヤーの画像面の中心であって、積層方向でも真ん中(例えば、3枚のレイヤーであれば、2枚目のレイヤー(図3の右側の図を参照))に設定する。そこで、「注視点に対する視点ベクトルの移動」を説明するため、図4の左の図に表したように、注視点を原点とし、各レイヤーの画像面に平行な面をx−y平面とし、画像面に鉛直な方向をz軸方向とする3次元座標(以下、「画像3次元座標」と称す)を仮想的に設定する。しかして、図3に示すような通常表示から分解斜視表示への遷移は、注視点を変えずに、z軸上にある視点を、z軸から外れるようにずらすことと捉えることができる。
【0034】
なお、前述のように、この分解斜視表示の状態で時点の微調整が行えることが望ましい。特に、以降の各処理の後、各レイヤーの画像の相互関係が最も明確に画面に表示されている状態で行うことが好適である。この微調整は、例えば、任意のレイヤーの画像の発生時点や消滅時点を探索するために行われる。操作としては、例えば、マウス3のホイールを操作することにより実現できる。ここで、例えば、ホイールを前方に回転させると、フォワード再生となり、一方、ホイールを後方に回転させると、リバース再生となるように構成する。
【0035】
また、当該画像表示プログラムに基づく画像処理方法においては、以下のように、分解斜視表示の状態で、編集に適した様々な表示形態をとることができるようになっている。その第一が、注視点の変更による表示状態の変更である。また、第二に、各レイヤーの接近/離反または画角の変更による表示状態の変更である。更に、その第三が、注視点を中心とした、画像を含む各レイヤーの回転による表示状態の変更である。かかる3つの動作処理は、好適には、操作者が各レイヤーの画像を編集する際に、目視して当該注視点での各レイヤー自身の画像ないし各レイヤー相互の関係を画面上で目視して分かりやすいようにするためであり、引いては、編集し易いようにするために実行される。
【0036】
そこで、まず、画像表示プログラムを実行している制御部11は、操作者により注視点変更コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS4)。操作者により注視点変更コマンドが入力されたと判断すると、制御部11は、画像表示プログラムに基づき、注視点の変更処理を行う(ステップS5)。
【0037】
この注視点の変更は、例えば編集したい画像(特にレイヤー)を変更したい場合に行われる。そこで、例えば、図5に示すように、注視点を初期位置からレイヤー[3]内にある星の画像に移動させる場合、注視点の変更は、分解斜視表示の状態においては、図4の左の図から右の図への遷移となる。つまり、前述の画像3次元座標の原点を移動する処理と等価である。なお、図4の遷移も好適には滑らかに行われる。
【0038】
画像表示プログラムに注視点変更コマンドを与える方法については、様々な方法が考えられる。最も典型的には、マウス3で任意のレイヤーをクリックすることにより、当該レイヤーを選択状態とし、その選択状態の当該レイヤー内の所望の位置(画像)を更にクリックすることが考えられる。また、上記クリック動作をタッチパネルに対するタッチ動作で行うことも考えられる。その他、当業者であれば、各種考えられるであろう。
【0039】
次に、画像表示プログラムを実行している制御部11は、操作者により接近/離反コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS6)。操作者により接近/離反コマンドが入力されたと判断すると、制御部11は、画像表示プログラムに基づき、図6に示すように、分解斜視表示された画像の各レイヤーを離反させたり、接近させたりする(レイヤー間距離変更)(ステップS7)。
【0040】
このレイヤー間距離変更の処理は、各レイヤーの画像が、表示画面41上で重ならない適当な位置に表示させる場合に行われ、例えば3次元空間における各レイヤー間の距離を変更するか、またはレイヤーの奥行きを示す方向ベクトルのスケールを変更することにより可能な処理である。具体的には、この処理は、画像3次元座標におけるz軸のスケールの変更となる。また、注視点に対して視点(カメラ)が接近/離反する動作とも捉えることができる。つまり、図7(a)に示すように、前述の画像3次元座標を球面座標とすると、原点から視点までの距離rを増減する処理である。
【0041】
画像表示プログラムに接近/離反コマンドを与える方法については、様々な方法が考えられる。例えば、マウス3のホイールを操作することにより実現できる(但し、前述の時点の微調整操作と同一とならないことが前提)。ここで、例えば、ホイールを前方に回転させると、分解斜視表示された画像の各レイヤーが離反し、一方、ホイールを後方に回転させると、各レイヤーが接近するように構成する。また、例えば、キーボード2の特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーS(Separate))を押下すると押下の間、各レイヤーが離反し続け、他の特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーA(Approach))を押下すると押下の間、各レイヤーが接近し続けるようにも構成できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。例えば、表示画面41の片隅にプラスとマイナスのボタンを用意しておき、それらをマウス3でクリックするごとに一定量、各レイヤーが離反又は接近するように構成もできる。また、タッチパネルを有している表示画面であれば、2本の指の間隔を広げるように画面を擦ると、各レイヤーが離反し、その間隔が狭まるように画面を擦ると、各レイヤーが接近するように構成することもできる。
【0042】
次に、画像表示プログラムを実行している制御部11は、操作者によりズーム変更コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS8)。操作者によりズーム変更コマンドが入力されたと判断すると、制御部11は、画像表示プログラムに基づき、図7(b)に示すように、カメラ位置に相当する視点から見た画角(FOV:field of view)を変化させて、いわゆる拡大縮小率を示すズームを変化させる処理をする(ズーム変更)(ステップS9)。
【0043】
画像表示プログラムにズーム変更コマンドを与える方法については、様々なものが考えられる。例えば、マウスのホイールを操作することにより実現できる。ここで、例えば、ホイールを前方に回転させると、いわゆるズームインし、一方、ホイールを後方に回転させると、いわゆるズームアウトするように構成する。また、例えば、表示手段41の片隅にプラスとマイナスのボタンを用意しておき、それらをマウスでクリックするごとに一定量、ズームイン又はズームアウトするように構成もできる。また、タッチパネルを有している表示手段であれば、2本の指の間隔を広げるように画面を擦ると、ズームインし、その間隔が狭まるように画面を擦ると、ズームアウトするように構成することもできる。また、変形例として、例えば、キーボードの特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーI(Zoom-In))を押下すると押下の間、ズームインし続け、他の特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーO(Zoom-Out))を押下すると押下の間、ズームアウトし続けるようにも構成できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。
【0044】
次に、画像表示プログラムを実行している制御部11は、操作者により回転コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS10)。操作者により回転コマンドが入力されたと判断すると、制御部11は、画像表示プログラムに基づき、分解斜視表示された画像を注視点に対して回転させる(ステップS11)。この画像の回転処理は、視点を注視点に向けたまま注視点に対して旋回させる処理と捉えることができる。このとき、前述の注視点を原点とした画像3次元座標において、旋回の軸は、図8(a)に示すように、各x、y、z軸とすることができることは無論、任意のx軸成分、y軸成分、z軸成分により決定される任意のベクトルの方向とすることができる。この旋回軸を連続的に変化させれば、図8(b)に示すように、注視点から距離rにある視点は、半径rの球面上をくまなく移動できることとなる。
【0045】
画像の回転、すなわち視点の旋回は、一方においては、視点の移動と、視点(カメラ)の向きの変更(カメラローテーション)の組合せ動作とも捉えることができる。つまり、カメラを平行移動させ、その後、カメラの向きを注視点に向けることと等価である。このとき、カメラの向きの変更は、図8(c)に示すように、カメラ中心(視点)を原点とした3次元空間における座標軸の任意の回転という処理で実現できる。
【0046】
画像表示プログラムに回転コマンドを与える方法については、様々な方法が考えられる。例えば、典型的には、マウス3で実現できる。つまり、マウス3で表示画面41を任意の方向にドラッグすると、視点が前述の球面上を移動する。例えば、マウス3で表示画面41を上又は下方向にドラッグすると、球面の経線に沿って移動する。また、左又は右方向にドラッグすると、球面の緯線方向に移動する。斜めにドラッグすると、球面の斜め方向に移動する。このマウス3によるドラッグ動作は、タッチパネルに対して指で擦る操作で同様に実現できる。また、キーボード2の矢印キーの上下方向キーと左右方向キーの押下動作の組合せでも実現できる。更に、表示画面41上に4方向ボタンや8方向ボタンを備えておき、それらのボタンの押下の組合せでも実現できる。
【0047】
図9は、画像の回転の例であるが、基本的な理解の便宜のため、x軸、y軸、z軸のそれぞれを単独の回転軸とした場合を示している。しかしながら、前述のように、任意の方向ベクトルを回転軸として回転可能である。
【0048】
最後に、操作者により分解斜視終了コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS12)。編集が終了して、操作者により分解斜視終了コマンドが入力されると、制御部11は、画像表示プログラムに基づき、画像の分解斜視表示を終了し、通常表示に戻す(ステップS13)。なお、通常表示から分解斜視表示への遷移と同様、分解斜視表示から通常表示への遷移も、表示装置4の表示画面41上において、連続的に滑らかに行われる。
【0049】
画像表示プログラムに分解斜視終了コマンドを与える方法については、分解斜視コマンドと同様、様々な方法が考えられる。例えば、マウス3により、ツールバーに表示された斜視表示終了のためのボタンや、ドロップダウンリストに表示される文字をクリックしたり、又はキーボード2に対して特定のキー入力(例えば、コントロールキーを押しながらのキーQ(Quit)の押下)を行ったりすることで実現できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。
【0050】
このように通常表示に戻したら、次の時点のラフな特定を行い、その時点における上述の各種表示処理を行うことができ、このように繰り返すことができる。
【0051】
以上のように、本発明の画像表示方法及びそのプログラムの一実施形態によれば、各レイヤー[1]〜[3]に含まれる画像を分解斜視表示し、また、その分解斜視表示の状態で、画像を回転させたり、レイヤー間を拡縮させたり、ズームイン/アウトしたり、注視点を変更したりすることにより、各レイヤーにおける各画像の重なり具合や大きさを視覚的に容易に認識できると共に、任意の画像を編集し易いような位置関係で各画像を表示できる。
【0052】
特に、パチンコ機、ゲーム機等の遊技機に表示される動画像の表示に適用した場合には、その動画像の性質から、格別な効果が期待できる。すなわち、重ね合されるレイヤーの数が膨大であり、かつ、非常に劇的に変化する動画像が扱われており、それにより画像作成編集者に、特有の重い負担を強いているという前提があるからである。
【0053】
なお、上述の実施形態においては、注視点変更コマンドの入力の判断、接近/離反コマンドの入力の判断、ズーム変更コマンドの入力の判断、回転コマンドの入力の判断は、その順で行っているが、当業者であれば、例えば画像編集の進行に応じて、それは通常は順不同であり、操作者から任意の時点及び回数で与えられるコマンドによるものであることが理解できるであろう。
【0054】
また、上述の実施形態においては、とりわけ図面表示の便宜のため、レイヤーを3層としたが、これに限られることなく、より多くのレイヤー数でも可能である。特にその数が比較的大きいときに効果を大きい。また、画像データは、必ずしもHD14に格納されている必要はなく、例えば外部記憶装置に格納されていてもよい。更に、上述の実施形態においては、表示装置4及びキーボード2は、画像表示装置本体1とは物理的に別体としているが、それらが本体1に一体的に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の画像表示方法及びそのプログラムは、例えばパチンコ機やゲーム機のような遊技機で表示される画像の編集の際の表示に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 画像表示装置本体
11 制御部
12 ROM
13 RAM
14 HD
15 キーボードI/F
16 マウスI/F
17 表示I/F
2 キーボード
3 マウス
4 表示部
41 表示画面
5 カメラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが独立して作成される動画像のデータを含む複数の2次元的なレイヤーで構成され、各レイヤーが重ね合さって画像表示装置に表示される画像を、変換して表示する画像表示方法であって、
前記画像表示装置に重ね合されて表示された動画像に対し、所望の時点を特定し、
前記所望の時点における画像を構成する各レイヤーを、3次元的に任意の方向から分解斜視表示することを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
前記分解斜視表示するステップにおいて、まず斜視表示し、次いで分解表示することを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項3】
斜視表示前の表示から、前記斜視表示を経て、前記分解表示まで、連続的に滑らかに行うことを特徴とする請求項2に記載の画像表示方法。
【請求項4】
前記分解斜視表示は、各レイヤーの2次元画像を3次元ポリゴンとそのテクスチャデータとして再構成することにより行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項5】
前記分解斜視表示の状態において、前記動画像を時間的に精細遷移させ、前記所望の時点を厳密に特定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項6】
前記分解斜視表示された各レイヤーの画像を、注目する画像点たる注視点を中心として回転させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項7】
前記分解斜視表示された各レイヤーの画像を、注目する画像点たる注視点を中心として接近/離反させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項8】
前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心としてズームイン/アウトさせることを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項9】
前記注視点を変更することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項10】
前記動画像は、遊技機に表示される動画像であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項11】
それぞれが独立して作成される動画像のデータを含む複数の2次元的なレイヤーで構成され、各レイヤーが重ね合さって画像表示装置に表示される画像を、変換して表示する画像表示プログラムであって、
前記画像表示装置に重ね合されて表示された動画像に対して特定された所望の時点を認識し、
前記所望の時点における画像を構成する各レイヤーを、3次元的に任意の方向から分解斜視表示することを特徴とする画像表示プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−16144(P2013−16144A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281867(P2011−281867)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(398034168)株式会社アクセル (80)
【Fターム(参考)】