説明

縦形撹拌加熱反応装置

【課題】 プラスチック,ゴム等の廃棄物の熱分解、ダイオキシン類を含むダスト,土壌等のダイオキシン類の分解等に用いられる縦形撹拌加熱反応装置に関し、被処理物を均一に加熱すること。
【解決手段】 上部に被処理物の供給口19およびガス排出口21が形成され下部に被処理物の排出口が形成されるケーシング11と、ケーシング11の中央に、水平方向に回転可能なように上下方向に配置される回転軸49と、回転軸49を回転する駆動手段53と、回転軸49の上下方向に間隔をおいて水平方向に突出して配置され被処理物を撹拌する撹拌部材57と、ケーシング11の外面に配置される加熱手段33と、ケーシング11の内面の撹拌部材57の間に水平方向に突出して十字状に配置され加熱手段33からの熱を被処理物に伝達する伝熱部材59とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック,ゴム等の廃棄物の熱分解、ダイオキシン類を含むダスト,土壌等のダイオキシン類の分解等に用いられる縦形撹拌加熱反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等の塩素を含有するプラスチックを含むプラスチック混合物および無機成分を含む廃棄物が多量に排出され、その廃棄量が増加している。また、塩素化合物であるダイオキシン類を含むダストおよび土壌等の汚染物質の処理が求められている。
そして、このような廃棄物の大部分はそのまま焼却処分するか、埋立処分されているのが現状である。
【0003】
焼却処分した場合には、焼却の際に発生する塩化水素やダイオキシン類等の有害物質がそのまま大気に放出される可能性がある。
また、埋立処分した場合には、廃棄物中の有効成分が利用されないので資源の損失となる。
そこで、このような廃棄物を熱分解することによりその中の有効成分を回収することが提案されている。また、塩素化合物であるダイオキシン類を含むダストおよび土壌等の汚染物質の処理が求められている。
【0004】
従来、廃棄物を熱分解することによりその中の有効成分を回収する装置として、例えば、特開平1−92291号公報に開示される乾留装置が知られている。
この乾留装置では、ケーシングの中央に上下方向に配置される加熱筒の外周に、スパイラル状に傾斜プレートが配置され、この傾斜プレートの上部に被処理物が供給される。
そして、傾斜プレートを振動することにより、傾斜プレート上の被処理物が加熱されながら下方に向けて移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−92291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特開平1−92291号公報に開示される乾留装置では、傾斜プレートを振動することにより、傾斜プレート上の被処理物を下方に向けて移動しているため、被処理物の重量により移動速度が異なり、被処理物を均一に加熱することが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、被処理物を均一に加熱することができる縦形撹拌加熱反応装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の縦形撹拌加熱反応装置は、上部に被処理物の供給口およびガス排出口が形成され下部に被処理物の排出口が形成されるケーシングと、前記ケーシングの中央に、水平方向に回転可能なように上下方向に配置される回転軸と、前記回転軸を回転する駆動手段と、前記回転軸の上下方向に間隔をおいて水平方向に突出して配置され前記被処理物を撹拌する撹拌部材と、前記ケーシングの外面に配置される加熱手段と、前記ケーシングの内面の前記撹拌部材の間に水平方向に突出して十字状に配置され前記加熱手段からの熱を前記被処理物に伝達する伝熱部材とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の縦形撹拌加熱反応装置は、請求項1記載の縦形撹拌加熱反応装置において、前記ケーシングの上部に配置され前記ケーシング内に供給された前記被処理物の上端位置が上限位置になった時に検出信号を出力する第1のレベルセンサと、前記第1のレベルセンサからの検出信号を受け付けた時に前記ケーシングの前記被処理物の供給口からの前記被処理物の供給を停止する制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の縦形撹拌加熱反応装置は、請求項1または請求項2記載の縦形撹拌加熱反応装置において、前記ケーシングの下部に、前記ケーシング内で加熱された被処理物を冷却する冷却手段を配置してなることを特徴とする。
請求項4の縦形撹拌加熱反応装置は、請求項3記載の縦形撹拌加熱反応装置において、前記ケーシングの前記冷却手段の下方に、不活性ガスの供給部を配置してなることを特徴とする。
【0011】
請求項5の縦形撹拌加熱反応装置は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の縦形撹拌加熱反応装置において、前記ケーシングの前記加熱手段と前記冷却手段との間に、低圧水蒸気の供給部を配置してなることを特徴とする。
請求項6の縦形撹拌加熱反応装置は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の縦形撹拌加熱反応装置において、前記被処理物を供給するための供給コンベヤと、前記供給コンベヤからの前記被処理物を受け入れる受入ホッパと、前記受入ホッパ内の前記被処理物を前記ケーシングの前記被処理物の供給口に定量供給する定量供給機と、前記受入ホッパの上部に配置され前記受入ホッパ内に供給された前記被処理物の上端位置が所定位置に達した時に検出信号を出力する第2のレベルセンサと、前記第2のレベルセンサからの検出信号を受け付けた時に前記供給コンベヤを停止する制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項7の縦形撹拌加熱反応装置は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の縦形撹拌加熱反応装置において、前記ケーシングの下部の被処理物の排出口から排出される前記被処理物を定量排出する定量排出機を有することを特徴とする。
【0013】
(作用)
請求項1の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの上部の被処理物の供給口からケーシング内に供給された被処理物は、ケーシングの下部の被処理物の排出口から連続的に排出されることにより、連続して供給される被処理物の重さにより順次下方に押し込まれる。
そして、被処理物は、回転軸の回転により回転される撹拌部材により撹拌されながら、ケーシングの内面の撹拌部材の間に水平方向に突出して十字状に配置され加熱手段からの熱が伝達される伝熱部材を介して均一に加熱されながら下方に落下する。
【0014】
請求項2の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング内に供給された被処理物の上端位置が上限位置になった時に第1のレベルセンサから検出信号が制御手段に出力される。
そして、制御手段により、ケーシングの被処理物の供給口からの被処理物の供給が少なくされ、所定時間後に信号が解除されなければ、停止される。
【0015】
請求項3の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの下部に配置される冷却手段により、ケーシング内で加熱された被処理物が冷却される。
請求項4の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの冷却手段の下方に、不活性ガスの供給部が配置される。
そして、還元状態が必要な熱処理を実現するため酸素が雰囲気に入らないように、供給部から供給された不活性ガスにより、ケーシング内への外部空気の侵入を阻止する。
【0016】
請求項5の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの加熱手段と冷却手段との間に、低圧水蒸気の供給部が配置される。
そして、縦上方へのガス流れ方向に加熱手段があることにより、供給部から供給された低圧水蒸気が、加熱手段により加熱されて、ケーシング内が高温水蒸気雰囲気とされる。
【0017】
請求項6の縦形撹拌加熱反応装置では、供給コンベヤからの被処理物が、受入ホッパおよび定量供給機を介してケーシング内に供給される。
そして、受入ホッパ内に供給された被処理物の上端位置が所定位置に達すると、第2のレベルセンサからの検出信号が制御手段に出力され、制御手段により供給コンベヤが停止される。
【0018】
請求項7の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの下部の被処理物の排出口から排出される被処理物が、定量排出機により定量排出される。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の縦形撹拌加熱反応装置では、被処理物を、回転軸の回転により回転される撹拌部材により撹拌しながら、ケーシングの内面の撹拌部材の間に水平方向に突出して十字状に配置され加熱手段からの熱が伝達される伝熱部材を介して、加熱しながら下方に落下するようにしたので、被処理物を均一に加熱することができる。
請求項2の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング内に供給された被処理物の上端位置が上限位置になった時に、ケーシングの被処理物の供給口からの被処理物の供給が停止されるため、ケーシング内の被処理物の量を一定に保つことができ、また、ガス排出口から被処理物が飛散することを防止することができる。
【0020】
請求項3の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの下部に、ケーシング内で加熱された被処理物を冷却する冷却手段を配置したので、装置をコンパクトにすることができる。
また、回転軸を容易に共用することができる。
請求項4の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの冷却手段の下方に、不活性ガスの供給部を配置したので、ケーシング内への外部空気の侵入を効果的に阻止することができる。
【0021】
請求項5の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの加熱手段と冷却手段との間に、低圧水蒸気の供給部を配置し、ガス流れの方向の加熱手段により高温水蒸気雰囲気にするようにしたので、供給する水蒸気の圧力を比較的低圧にすることができる。
請求項6の縦形撹拌加熱反応装置では、供給コンベヤから受入ホッパ内に供給された被処理物の上端位置が所定位置になった時に、供給コンベヤを停止するようにしたので、供給コンベヤを容易,確実に管理することができる。
【0022】
請求項7の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシングの下部の被処理物の排出口から排出される被処理物を、定量排出機により定量排出するようにしたので、被処理物を容易,確実に連続処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図2の要部の詳細を示す断面図である。
【図2】本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第1の実施形態を示す説明図である。
【図3】図1の撹拌部材および伝熱部材の取付構造を示す斜視図である。
【図4】図1の撹拌部材および伝熱部材の取付構造を示す断面図である。
【図5】本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第2の実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第3の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第4の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は図2の要部の詳細を示しており、図2は本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第1の実施形態を示している。
この実施形態の縦形撹拌加熱反応装置は、例えば、廃棄物を炭化して炭化物にするために使用される。
【0025】
図1において、符号11は、上下方向に長い円筒状のケーシングを示している。
このケーシング11は、基台13上に立設されている。
ケーシング11の上端および下端は、蓋部材15,17により密閉されている。
ケーシング11の上部には、被処理物の供給口19およびガス排出口21が形成されている。
【0026】
この実施形態では、ケーシング11の上端の蓋部材15には、排出パイプ23が開口され、上下方向に延びる排出パイプ23の上端がガス排出口21とされている。
また、被処理物の供給口19は、ケーシング11の上端の蓋部材15より所定距離下方のケーシング11の側面に形成されている。
この供給口19には、被処理物を供給する供給パイプ25が接続されている。
【0027】
ケーシング11の下部には、加熱処理された被処理物を排出する排出口27が形成されている。
この排出口27には、排出パイプ29が接続されている。
ケーシング11の中間部より下方には、テーパ部31が形成され、ケーシング11の下部の内径が、ケーシング11の上部の内径より小さくされている。
【0028】
ケーシング11のテーパ部31の上方には、電気ヒータからなる加熱手段33が配置されている。
加熱手段33は、ケーシング11の外周に沿って、上下2段に分割して配置されている。
加熱手段33の外周には、保温部材35が配置されている。
【0029】
ケーシング11のテーパ部31の下方には、ケーシング11内で加熱された被処理物を冷却する冷却手段37が配置されている。
この冷却手段37は、ケーシング11の外側に配置される円筒状の筒状部材39を有している。
この筒状部材39は、基台13の上部を貫通して配置され、ブラケット41により支持されている。
【0030】
筒状部材39の下部には、冷却水の入口パイプ43が開口され、上部には、冷却水の出口パイプ45が開口されている。
そして、冷却水の入口パイプ43から流入した冷却水は、筒状部材39とケーシング11との間の空間を通り、冷却水の出口パイプ45から流出される。
また、この実施形態では、ケーシング11の冷却手段37の下方に、窒素等の不活性ガスの供給部である不活性ガスの供給パイプ47が開口されている。
【0031】
そして、ケーシング11の中央には、回転軸49が水平方向に回転可能なように上下方向に配置されている。
この回転軸49の上端は、ケーシング11の上端の蓋部材15を貫通して配置される駆動軸51に連結されている。
蓋部材15の上面には、駆動手段であるモータ53を支持する支持部材55が配置され、モータ53が駆動軸51に連結されている。
【0032】
回転軸49の下端は、ケーシング11の下端の蓋部材17を貫通して配置され、蓋部材17に回転自在に支持されている。
そして、回転軸49には、図3および図4に示すように、上下方向に間隔をおいて被処理物を撹拌する撹拌部材57が配置されている。
この撹拌部材57は、鉄等の金属からなり、回転軸49から水平方向に突出して十字状に配置されている。
【0033】
一方、ケーシング11のテーパ部31より上側の内面には、加熱手段33からの熱を被処理物に伝達する伝熱部材59が配置されている。
この伝熱部材59は、鉄,銅等の金属からなり、撹拌部材57の間に水平方向に突出して十字状に配置されている。
伝熱部材59は、ケーシング11を貫通して配置されている。
【0034】
そして、この実施形態では、図4に示すように、ケーシング11の外径をaとすると、撹拌部材57の全長が0.75aとされ、伝熱部材59の長さが0.4aとされている。
ケーシング11の上部には、ケーシング11内に供給された被処理物の上端位置が上限位置になった時に検出信号を出力する第1のレベルセンサ61が配置されている。
また、この実施形態では、ケーシング11内に供給された被処理物の上端位置が下限位置になった時に検出信号を出力する第3のレベルセンサ63が配置されている。
【0035】
第3のレベルセンサ63は、第1のレベルセンサ61の下方に所定間隔Hを置いて配置されている。
この第1のレベルセンサ61および第3のレベルセンサ63からの検出信号は、制御手段65に出力される。
そして、制御手段65は、第1のレベルセンサ61からの検出信号を受け付けた時に、後述する定量供給機67の供給量を調節するため駆動を制御する。
【0036】
そして、第3のレベルセンサ63からの検出信号を受け付けた時に、後述する定量供給機67を駆動し、ケーシング11内の被処理物の上端位置を常に所定の位置およびこの近傍の位置に維持する。
図2は、本発明の縦形撹拌加熱反応装置の全体を示している。
ケーシング11を支持する基台13の下部には、排出パイプ29から排出された被処理物を排出する定量排出機69が配置されている。
【0037】
この定量排出機69の下流側には、定量排出機69から排出された被処理物を搬送する搬送コンベヤ71が配置されている。
一方、基台13上には、ケーシング11の側方に支持部材73が立設されている。
この支持部材73の上端には、受入ホッパ75が配置されている。
受入ホッパ75には、供給コンベヤ77からの被処理物が供給される。
【0038】
受入ホッパ75の下端には、受入ホッパ75内の被処理物を、供給パイプ25を介して、ケーシング11の被処理物の供給口19に定量供給する定量供給機67が配置されている。
この定量供給機67は、モータ81により駆動される。
受入ホッパ75の上部には、受入ホッパ75内に供給された被処理物の上端位置が所定位置になった時に検出信号を出力する第2のレベルセンサ83が配置されている。
【0039】
この第2のレベルセンサ83からの検出信号は、制御手段85に入力される。
そして、制御手段85は、検出信号を入力した時に、供給コンベヤ77を停止する。
上述した縦形撹拌加熱反応装置では、例えば、塩素含有物を含む廃棄物である被処理物、例えば、クロロプレン板から型取りされた後に残る廃材が細かく破砕された状態で、供給コンベヤ77から受入ホッパ75に供給される。
【0040】
そして、受入ホッパ75内に供給された被処理物の上端位置が所定位置になった時に、第2のレベルセンサ83からの検出信号を入力する制御手段85により供給コンベヤ77が停止される。
受入ホッパ75からの被処理物は、定量供給機67および供給パイプ25を介して、ケーシング11の被処理物の供給口19からケーシング11内に連続的に供給される。
【0041】
なお、ケーシング11内に充填される被処理物の上端位置は、前述したように、第1のレベルセンサ61および第3のレベルセンサ63からの検出信号を入力する制御手段65により、所定のレベルに常に制御されている。
そして、ケーシング11内に供給された被処理物は、ケーシング11の下部の排出パイプ29から連続的に排出される被処理物の排出に伴い、連続して供給される被処理物の重さにより順次下方に押し込まれ、ケーシング11の下部の被処理物の排出口27から連続的に排出される。
【0042】
そして、被処理物は、回転軸49の回転により回転される撹拌部材57により撹拌されながら、ケーシング11の内面に配置され加熱手段33からの熱が伝達される伝熱部材59を介して、例えば、450℃の温度で均一に加熱されながら炭化され下方に落下する。
この時、被処理物は、塩化物が少ない炭化物とされ、炭化により発生した可燃ガスおよび塩化物は、ケーシング11内を上昇し、ケーシング11の上部の排出パイプ23から可燃ガスの燃焼施設に送られる。
【0043】
ケーシング11内を、例えば、30分程度の時間をかけて均一に加熱されながら下方に落下した被処理物は、ケーシング11の下部に配置される冷却手段37により、例えば、70℃の温度まで冷却される。
なお、ケーシング11内は、還元状態が必要な熱処理を実現するため酸素が雰囲気に入らないように、供給部から供給された不活性ガスにより充填され、ケーシング11内への外部空気の侵入が常に阻止されている。
【0044】
冷却手段37で冷却された被処理物は、排出パイプ29から定量排出機69により連続的に排出され、搬送コンベヤ71により次工程あるいは貯蔵場所に搬送される。
なお、上述した縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング11内を空にした後の処理の開始は、例えば、既に処理した被処理物を、前回の停止時にケーシング11の加熱手段33より多少上方の位置まで充填した状態で保持しておき、この上に新たな被処理物を第1のレベルセンサ61と第3のレベルセンサ63の中間の位置まで充填し、この後、加熱手段33および冷却手段37を作動し、撹拌部材57により被処理物を所定時間撹拌した後、排出パイプ29から被処理物を連続的に排出することにより行われる。
【0045】
また、処理の停止は、例えば、撹拌部材57により被処理物を撹拌しながら加熱手段33を切断し、不活性ガスにより被処理物を冷却することにより行われる。
上述した縦形撹拌加熱反応装置では、被処理物を、回転軸49の回転により回転される撹拌部材57により撹拌しながら、ケーシング11の内面に配置され加熱手段33からの熱が伝達される伝熱部材59を介して、加熱しながら下方に落下するようにしたので、被処理物を均一に加熱することができる。
【0046】
そして、これにより、被処理物を連続して確実に加熱処理することが可能になり、また、品質の良好な炭化物等を得ることができる。
また、上述した縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング11内に供給された被処理物の上端位置が所定位置になった時に、ケーシング11の被処理物の供給口19からの被処理物の供給が停止されるため、ケーシング11内の被処理物の量を一定に保つことができ、また、ガス排出口21から被処理物が飛散することを防止することができる。
【0047】
そして、ケーシング11の下部に、ケーシング11内で加熱された被処理物を冷却する冷却手段37を配置したので、装置をコンパクトにすることができる。
また、回転軸49を共用できるので、駆動部、シール部の点数が減り、コンパクト化・低コスト化について有利である。
さらに、上述した縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング11の冷却手段37の下方に、不活性ガスの供給パイプ47を配置したので、ケーシング11内への外部空気の侵入を効果的に阻止することができる。
【0048】
また、上述した縦形撹拌加熱反応装置では、供給コンベヤ77から受入ホッパ75内に供給された被処理物の上端位置が所定位置になった時に、供給コンベヤ77を停止するようにしたので、供給コンベヤ77を容易,確実に管理することができる。
さらに、上述した縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング11の下部の被処理物の排出口27から排出される被処理物を、定量排出機69により定量排出するようにしたので、被処理物を容易,確実に連続処理することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第2の実施形態を示している。
なお、この実施形態において第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態では、冷却手段37Aがケーシング11Aから分離して配置されている。
すなわち、基台13の上方に、ブラケット41を介して、ケーシング11Aが支持されている。
【0050】
ケーシング11Aの下部には、ケーシング11A内で処理された被処理物を排出する排出パイプ29が配置されている。
排出パイプ29は、基台13の内側に配置される定量排出機69の上方に開口されている。
定量排出機69は、円筒状の搬送容器87内に搬送スクリュウ89を配置してなり、搬送スクリュウ89は、モータ91により回転駆動される。
【0051】
そして、搬送容器87を囲んで、ケーシング11A内で加熱された被処理物を冷却する冷却手段37Aが配置されている。
この冷却手段37Aは、搬送容器87を囲んで配置される円筒状の筒状部材93を有している。
筒状部材93の下部には、冷却水の入口パイプ95が開口され、上部には、冷却水の出口パイプ97が開口されている。
【0052】
そして、冷却水の入口パイプ95から流入した冷却水は、筒状部材93と搬送容器87との間の空間を通り、冷却水の出口パイプ97から流出される。
この実施形態の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング11Aの下部の排出パイプ29から排出された被処理物は、定量排出機69に供給され、定量排出機69で搬送される間に、搬送容器87と筒状部材93との間を流れる冷却水により冷却され、被処理物の排出パイプ29から貯留槽等に貯留される。
【0053】
この実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができるが、この実施形態では、ケーシング11Aから冷却手段37Aを分割し、冷却手段37Aを基台13の内側に配置したので、装置の全体の高さを低くすることができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第3の実施形態を示している。
なお、この実施形態において第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態では、ケーシング11の加熱手段33と冷却手段37との間に、高温水蒸気の供給部が配置されている。
すなわち、ケーシング11の加熱手段33と冷却手段37との間に形成されるテーパ部31には、低圧水蒸気を供給する供給パイプ99が開口されている。
【0055】
この実施形態の縦形撹拌加熱反応装置は、例えば、図2に示した縦形撹拌加熱反応装置に高温低圧水蒸気を供給し、ケーシング11内を約600℃の温度に管理するもので、これにより炭化物中の残留金属塩化物の量を低減することができる。
この実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができるが、この実施形態では、ケーシング11の加熱手段33と冷却手段37との間に、高温水蒸気の供給部を配置したので、供給する高温水蒸気の圧力を比較的低圧にすることができる。
【0056】
すなわち、ケーシング11内に供給された高温水蒸気は、ケーシング11内に供給されると、加熱手段33により加熱され、より高温の水蒸気となりケーシング11内に高圧で充満されるため、ケーシング11内に供給する水蒸気の圧力を比較的低圧にすることができる。
【0057】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の縦形撹拌加熱反応装置の第4の実施形態を示している。
なお、この実施形態において第3の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態では、冷却手段37Aがケーシング11Aから分離して配置されている。
すなわち、基台13の上方に、ブラケット41を介して、ケーシング11Aが支持されている。
【0058】
ケーシング11Aの下部には、ケーシング11A内で処理された被処理物を排出する排出パイプ29が配置されている。
排出パイプ29は、基台13の内側に配置される定量排出機69の上方に開口されている。
定量排出機69は、円筒状の搬送容器87内に搬送スクリュウ89を配置してなり、搬送スクリュウ89は、モータ91により回転駆動される。
【0059】
そして、搬送容器87を囲んで、ケーシング11A内で加熱された被処理物を冷却する冷却手段37Aが配置されている。
この冷却手段37Aは、搬送容器87を囲んで配置される円筒状の筒状部材93を有している。
筒状部材93の下部には、冷却水の入口パイプ95が開口され、上部には、冷却水の出口パイプ97が開口されている。
【0060】
そして、冷却水の入口パイプ95から流入した冷却水は、筒状部材93と搬送容器87との間の空間を通り、冷却水の出口パイプ97から流出される。
この実施形態の縦形撹拌加熱反応装置では、ケーシング11Aの下部の排出パイプ29から排出された被処理物は、定量排出機69に供給され、定量排出機69で搬送される間に、搬送容器87と筒状部材93との間を流れる冷却水により冷却され、被処理物の排出パイプ29から貯留槽等に貯留される。
【0061】
この実施形態においても第3の実施形態と同様の効果を得ることができるが、この実施形態では、ケーシング11Aから冷却手段37Aを分割し、冷却手段37Aを基台13の内側に配置したので、装置の全体の高さを低くすることができる。
なお、上述した実施形態では、塩素含有物を含む廃棄物から塩化物を脱塩して炭化物にした例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、各種被処理物の処理に広く適用することができる。
【0062】
また、上述した第1および第2の実施形態では、廃棄物を炭化して炭化物にした例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、ダイオキシン類を含むダスト,土壌等のダイオキシン類の分解等に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
11,11A ケーシング
19 供給口
21 ガス排出口
27 排出口
33 加熱手段
37,37A 冷却手段
49 回転軸
57 撹拌部材
59 伝熱部材
53 モータ
67 定量供給機
69 定量排出機
75 受入ホッパ
77 供給コンベヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に被処理物の供給口およびガス排出口が形成され下部に被処理物の排出口が形成されるケーシングと、
前記ケーシングの中央に、水平方向に回転可能なように上下方向に配置される回転軸と、
前記回転軸を回転する駆動手段と、
前記回転軸の上下方向に間隔をおいて水平方向に突出して配置され前記被処理物を撹拌する撹拌部材と、
前記ケーシングの外面に配置される加熱手段と、
前記ケーシングの内面の前記撹拌部材の間に水平方向に突出して十字状に配置され前記加熱手段からの熱を前記被処理物に伝達する伝熱部材と、
を有することを特徴とする縦形撹拌加熱反応装置。
【請求項2】
請求項1記載の縦形撹拌加熱反応装置において、
前記ケーシングの上部に配置され前記ケーシング内に供給された前記被処理物の上端位置が上限位置になった時に検出信号を出力する第1のレベルセンサと、
前記第1のレベルセンサからの検出信号を受け付けた時に前記ケーシングの前記被処理物の供給口からの前記被処理物の供給を停止する制御手段と、
を有することを特徴とする縦形撹拌加熱反応装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の縦形撹拌加熱反応装置において、
前記ケーシングの下部に、前記ケーシング内で加熱された被処理物を冷却する冷却手段を配置してなることを特徴とする縦形撹拌加熱反応装置。
【請求項4】
請求項3記載の縦形撹拌加熱反応装置において、
前記ケーシングの前記冷却手段の下方に、不活性ガスの供給部を配置してなることを特徴とする縦形撹拌加熱反応装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の縦形撹拌加熱反応装置において、
前記ケーシングの前記加熱手段と前記冷却手段との間に、低圧水蒸気の供給部を配置してなることを特徴とする縦形撹拌加熱反応装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の縦形撹拌加熱反応装置において、
前記被処理物を供給するための供給コンベヤと、
前記供給コンベヤからの前記被処理物を受け入れる受入ホッパと、
前記受入ホッパ内の前記被処理物を前記ケーシングの前記被処理物の供給口に定量供給する定量供給機と、
前記受入ホッパの上部に配置され前記受入ホッパ内に供給された前記被処理物の上端位置が所定位置に達した時に検出信号を出力する第2のレベルセンサと、
前記第2のレベルセンサからの検出信号を受け付けた時に前記供給コンベヤを停止する制御手段と、
を有することを特徴とする縦形撹拌加熱反応装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の縦形撹拌加熱反応装置において、
前記ケーシングの下部の被処理物の排出口から排出される前記被処理物を定量排出する定量排出機を有することを特徴とする縦形撹拌加熱反応装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−166040(P2009−166040A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62941(P2009−62941)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2003−352103(P2003−352103)の分割
【原出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】