説明

繊維クッション材およびその製造方法および繊維製品

【課題】クッション性と耐久性に優れ、しかも割れが発生しにくい繊維クッション材およびその製造方法および繊維製品を提供する。
【解決手段】熱接着性短繊維と非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなり、かつ繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5以上である繊維構造体A(8)に、該熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなり、かつ繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5未満である繊維構造体B(7)を積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具用マット、各種乗物用座席、家具クッション等などのクッション材として好適に使用することのできる繊維クッション材であり、クッション性と耐久性に優れ、しかも割れが発生しにくい繊維クッション材およびその製造方法および繊維製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、寝具用マット、各種乗物用座席、家具クッション等などに使用されるクッション材としては、熱接着性短繊維を含有する短繊維をウエブ化した後、熱接着性短繊維の熱融着により固着点を形成したクッション材が知られている。特に、荷重に対する追従性をよくし、かつ底つき感を少なくするため、さらに繊維を厚さ方向に配列したクッション材が提案されている(例えば、特許文献1参照、特許文献2)。
しかしながら、かかるクッション材において、クッション性と耐久性には優れるものの、繊維が厚さ方向に配列しているため、割れが発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−318066号公報
【特許文献2】特開2007−308831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、クッション性と耐久性に優れ、しかも割れが発生しにくい繊維クッション材およびその製造方法および繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を達成するため鋭意検討した結果、非弾性捲縮短繊維と熱接着性短繊維とで構成されかつ繊維が厚さ方向に配列した繊維構造体(本発明において「中材」ということもある。)に、非弾性捲縮短繊維と熱接着性短繊維とで構成されかつ繊維が厚さ方向と垂直方向に配列した繊維構造体(本発明において「表皮材」ということもある。)を積層することにより、クッション性と耐久性に優れ、しかも割れが発生しにくい繊維クッション材が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば「非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿され、該熱接着性短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなり、かつ繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5以上である繊維構造体Aと、非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿され、該熱接着性短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなり、かつ繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5未満である繊維構造体Bとで構成され、かつ、前記繊維構造体Aと繊維構造体Bとが積層してなることを特徴とする繊維クッション材。」が提供される。
【0007】
その際、前記繊維構造体Aに含まれる非弾性捲縮短繊維と、前記繊維構造体Bに含まれる非弾性捲縮短繊維がともに、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維であることが好ましい。また、前記繊維構造体Aに含まれる熱接着性短繊維と、前記繊維構造体Bに含まれる熱接着性短繊維とがともに、熱融着成分と芯成分とで形成される複合繊維であることが好ましい。また、前記繊維構造体Aの密度が10〜70kg/mの範囲内であることが好ましい。また、前記繊維構造体Aの厚さが3〜90mmの範囲内であることが好ましい。また、前記繊維構造体Bの厚さが1〜15mmの範囲内であることが好ましい。また、前記繊維構造体Aの、上面および下面のうち少なくともどちらか一方の面、および側面に前記前記繊維構造体Bが積層してなることが好ましい。
【0008】
また、本発明によれば、「非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿されたウエブを用いて、繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5以上となるように配列し、次いで、前記熱接着性短繊維同士の交差点、および/または前記熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維との交差点を熱融着させることにより繊維構造体Aを得た後、非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿されたウエブBを、前記繊維構造体Aに積層し、これらを金型により熱成形することを特徴とする前記の繊維クッション材の製造方法。」が提供される。
【0009】
その際、前記繊維構造体Aに含まれる非弾性捲縮短繊維が非弾性ポリエステル系捲縮短繊維であることが好ましい。また、前記ウエブBの目付が10〜400g/mの範囲内であることが好ましい。また、前記ウエブBに熱処理が施されていることが好ましい。また、前記繊維構造体Aの、上面および下面のうち少なくともどちらか一方の面、および側面に前記ウエブBが積層してなることが好ましい。また、前記金型による熱成形を湿熱下で行うことが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前記の繊維クッション材、または前記の製造方法により得られた繊維クッション材を用いてなる、寝具マット、乗物座席、および家具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クッション性と耐久性に優れ、しかも割れが発生しにくい繊維クッション材およびその製造方法および繊維製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】T/Hの測定方法を説明するための模式図である。
【図2】ウエブをアコーデオン状に折りたたんでいる様子を模式的に示す模式図である。
【図3】金型成型方法を説明するための模式図である。
【図4】金型成型方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明において、繊維構造体Aに含まれる非弾性捲縮短繊維および繊維構造体Bに含まれる非弾性捲縮短繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリピバロラクトン、ポリトリメチレンテレフタレートまたはこれらの共重合体からなる短繊維ないしそれら短繊維の混綿体、または上記ポリマー成分のうちの2種類以上からなる複合短繊維等を挙げることができる。また、2種以上のポリマーまたは、使用固有粘度において互いに異なる2種のポリエステル系ポリマーを使用し、潜在捲縮が発現してなる30〜60個/25mmのミクロクリンプを使用することもこのましい。これらの短繊維のうち繊維形成性等の観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートからなる短繊維が特に好ましい。単繊維の断面形状は通常の丸、扁平、三角や四角の多角形、丸中空や三角中空等の中空などいずれでもよい。また、前記の非弾性捲縮短繊維において、単糸繊度としては、2〜700dtex(より好ましくは4〜200dtex、特に好ましくは5〜10dtex)であることが好ましい。単糸繊度が2dtexよりも小さいと、嵩高性が不十分となりクッション性や反発性が乏しくなるおそれがある。逆に、単糸繊度が700dtexよりも大きいとウエブ化が難しく、また、同一目付けであれば、繊維クッション材を構成する繊維の本数が少なくなるため十分なクッション性が得られないおそれがある。また、非弾性捲縮短繊維の繊維長としては、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。
【0014】
前記の非弾性捲縮短繊維において、捲縮数は4〜25個/2.54cm(好ましくは7〜15個/2.54cm)、捲縮率としては20〜35%の範囲が好ましい。かかる捲縮数や捲縮率がこれらの範囲よりも小さいとウエブの嵩が出にくく、ウエブ化が困難となるおそれがある。また同時に、クッション材の反発性が乏しく、耐久性の低いものしか得られないおそれがある。逆に、かかる捲縮数や捲縮率がこれらの範囲よりも大きいとウエブの嵩高性が低く、高密度のクッション材しか得られなかったり、ウエブ化の際に繊維の絡みが強くなり筋状のムラ等が発生しやすくなるおそれがある。なお、捲縮付与方法としては、熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に張り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状捲縮を付与、異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与など、種々の方法を用いればよいが、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。
【0015】
一方、本発明において、繊維構造体Aに含まれる熱接着性短繊維および繊維構造体Bに含まれる熱接着性短繊維は、熱接着性短繊維は、前記非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーの融点よりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが少なくとも熱融着成分としてその表面に配された短繊維である。加熱により熱融着成分が溶融し、該熱接着性短繊維同士の交差点や該熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維との交差点が融着する。その際、前記融点差が25℃未満では、加工温度が非弾性捲縮短繊維の融点温度に近くなるため、非弾性捲縮短繊維の物性や捲縮特性、または繊維クッション材のクッション性が低下するおそれがあり、また、成型時の収縮率も大きくなるおそれがあり好ましくない。
【0016】
かかる熱接着性短繊維を構成する繊維としては、共重合ポリエステル系繊維、熱可塑性エラストマー繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、熱融着成分と芯成分とで形成される複合形態を有する複合繊維などが例示される。特に、熱融着成分を有する複合繊維は形態保持安定性や、成形性が優れているので好ましい。繰返し圧縮変形を受け、圧縮量すなわち変形量が大きいクッション用途では、固着点(融着点)に変形応力が加わったとき変形が容易で、変形応力が除かれたときは歪みを残さずに復元することが肝要である。繊維クッション材に大きな変形量が加わるときは、かかる繊維クッション材に含まれる固着点には、さらに大きな角度変化や伸張、ねじれ等の力が加わる。このため、熱融着成分を形成する低融点ポリマーが熱可塑性エラストマーであることが好ましい。特に、後記のように繊維クッション材に圧縮処理を施す際、伸度および伸長弾性回復率の低い低融点ポリマーでは、固着点が過度に破壊されてしまい圧縮硬さが著しく低下し、また所望の厚さが得られないおそれがある。これに対し、熱可塑性エラストマーでは、伸度および伸長弾性回復率が高いので、繊維クッション材に圧縮処理を施す際、仮融着した弱い固着点のみが外れ剥離し、適度な圧縮硬さ(ソフト性)が得られる。
【0017】
かかる熱可塑性エラストマーとしては、耐熱性があり、高温熱成型可能なポリエステル系エラストマーが特に好ましい。ポリエステル系エラストマーとしては熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
【0018】
特に、非弾性捲縮短繊維との接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
【0019】
また、熱接着性短繊維が複合繊維である場合、芯成分を形成するポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンまたはこれらの共重合体エステル等を使用できる。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
【0020】
また、熱接着性短繊維が複合繊維である場合、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分と芯成分が、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当である。複合形態としては、少なくとも熱融着成分が表面に露出している限り特に限定されず、サイドバイサイド型、芯鞘型、偏心芯鞘型などが例示される。
【0021】
前記の熱接着性短繊維において、単糸繊度としては2〜170dtex(より好ましくは1〜15dtex、特に好ましくは2〜10dtex)が好ましく、繊維長は38〜255mm、捲縮数は4〜70個/2.54cmの範囲が好ましい。この範囲から外れると、混綿、ウエブ化などの工程安定性が悪くなるおそれがある。また、繊維クッション材のクッション性能や圧縮耐久性が低下するおそれがある。
【0022】
本発明において、繊維構造体Aおよび繊維構造体Bは、上記の非弾性捲縮短繊維と熱接着性短繊維とが混綿され、加熱処理することにより、該熱接着性短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性短繊維と非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなるものである。その際、非弾性捲縮短繊維と熱接着短繊維との重量比率は90/10〜30/70である必要がある。熱接着性短繊維の比率がこの範囲より小さい場合は、固着点が少なくなり、圧縮反発性、圧縮耐久性が低下する。逆に、熱接着性短繊維の比率がこの範囲よりも大きい場合は、熱接着性短繊維の収縮のため、所望の成型物形状が得られにくくなるとともに、生産での品質管理が難しくなり好ましくない。
【0023】
さらに、前記繊維構造体Aにおいては、繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5以上であることが肝要である。該T/Hが1.5未満では、荷重に対する追従性に損なわれ、また底つき感が出るため好ましくない。ここで、繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている繊維とは、図1に示す角度θが0°≦θ≦45°の条件を満足する繊維であり、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維とは、図1に示す角度θが45°<θ≦90°の条件を満足する繊維である。
【0024】
本発明の繊維クッション材において、前記繊維構造体Aは中材としてクッション性能に大きく寄与する部位であるので、その密度としては10〜70kg/mの範囲内であることが好ましい。また、かかる繊維構造体Aの厚さとしては、3〜90mmの範囲内であることが、クッション性能およびその耐久性の点で好ましい。
【0025】
一方、前記繊維構造体Bにおいては、繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5未満であることが肝要である。該T/Hが1.5以上では、繊維クッション材の割れが発生しやすくなるおそれがある。ここで、繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている繊維とは、図1に示す角度θが0°≦θ≦45°の条件を満足する繊維であり、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維とは、図1に示す角度θが45°<θ≦90°の条件を満足する繊維である。
【0026】
本発明の繊維クッション材において、前記繊維構造体Bは表皮材として繊維クッション材の割れを防止したり、クッション性能の耐久性向上に大きく寄与する部位であるので、その厚さとしては、1〜15mmの範囲内であることが好ましい。
【0027】
本発明の繊維クッション材は、前記繊維構造体Aと繊維構造体Bとが積層してなるものである。その際、前記繊維構造体Aの、上面および下面のうち少なくともどちらか一方の面に前記前記繊維構造体Bが積層していると、繊維クッション材の割れを防止することができ好ましい。特に、前記繊維構造体Aの、上面および下面のうち少なくともどちらか一方の面と、側面に前記前記繊維構造体Bが積層していることが、繊維クッション材の割れを防止し、かつクッション性能の耐久性を向上させる上で好ましい。なお、繊維構造体Aの、上面および下面とは、繊維構造体Aの厚さ方向(すなわち、繊維の配列方向)と直交する表面である。
【0028】
また、前記繊維構造体Aと繊維構造体Bとは接着剤により接着されていてもよいが、繊維構造体Aおよび/または繊維構造体Bに含まれる熱接着性短繊維により熱接着されていることが好ましい。
【0029】
このような繊維クッション材は、例えば下記の製造方法により製造することができる。すなわち、まず、前記のような非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿されたウエブを、図2に示すような熱処理機(市販のものでは、Struto社製Struto設備など)を用いて、駆動ローラにより加熱ローラが低融点ポリマーの融点以上に設定された熱風サクション式熱処理機内に押し込むことでアコーデオン状に折りたたむことにより、繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5以上となるように配列し、かつ前記熱接着性短繊維同士の交差点、および/または前記熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維との交差点が熱融着した繊維構造体Aを得る。その際、駆動ローラの表面速度等の条件としては、特開平8−318066号公報の実施例1に開示された条件でよい。
【0030】
一方、前記のような非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿されたウエブBを繊維構造体Bとして、クロスレイヤー等により、繊維構造体Aに積層する。
【0031】
ここで、繊維構造体Bを構成するウエブBの目付は、10〜400g/m(好ましくは50〜150g/m)であることが好ましい。該目付が10g/m以下であると取り扱い性が難しくなるおそれがある。逆に、該目付が400g/mを超える場合、3次元のクッション材とした時、着座でハンモック状となり、繊維構造体Aの耐圧分布の良さを反映できなくなる。
【0032】
なお、前記ウエブBを熱処理をしないか、熱処理を実施しても、温度が、該低融点繊維の低融点成分の融点0℃から融点+20℃未満であり、処理時間としては3分以内。好ましくは1分以内であることが好ましい。このような条件を取ることで、繊維間が非接着又は仮接着の状態となり、モールド内に詰め込んだときに適当に変形してうまく詰め込むことが容易であり、特に複雑な形状の場合、細部まで繊維シートを詰め込むことが出来る。また、このような繊維構造体B(表皮材)を使用することで、金型への詰め込み時に、繊維構造体A(中材)の反発力により表皮材を押し上げやすくなり、金型に接する面の密度が増加し接着点が増加することで、表面硬度が増し表面形状が均一になり毛羽なども出にくくなる。
【0033】
しっかりと繊維間が接着した物を使用すると、反発性が高くなり詰め込むのが難しくなる。また、金型による成型物においても、金型側の表面材の接着点が大きく変化することがないため表面硬度を増す事ができない。
【0034】
なお、熱処理は、熱風、高圧スチーム、遠赤外熱等による。さらに、繊維構造体B(表皮材)は少なくとも繊維構造体A(中材)の、上面および下面のうち少なくともどちらか一方の面、および側面を被覆するように配置することが好ましい。側面が被覆されていない場合、椅子などのクッション材として使用した場合、厚み方向の力により厚みヘタリが大きくなるおそれがある。側面まで表皮材で被覆することで、着座時の力を中材の端部まで分散させる事が出来るため、耐久性が大きく改善される。また、表皮材が熱接着がないか又は仮熱接着された状態であるため、中材との接着性も向上するため、より耐久性が向上することとなる。
【0035】
具体的には、金型に表面材を配置し次に、着座方向に対して垂直に中材を配置し熱成型条件が該低融点繊維の低融点成分の融点+10℃からポリエステル系短繊維の融点以下で熱成型し冷却することで繊維クッションを得ることが出来る。
【0036】
かくして得られた繊維クッション材において、非弾性捲縮短繊維と熱接着性短繊維とで構成されかつ繊維が厚さ方向に配列した繊維構造体A(中材)に、非弾性捲縮短繊維と熱接着性短繊維とで構成されかつ繊維が厚さ方向と垂直方向に配列した繊維構造体(表皮材)が被覆されているので、クッション性と耐久性には優れ、しかも割れが発生しにくい。
【0037】
その際、繊維クッション材において、25%圧縮応力が400N以下(好ましくは100〜400N)であることが好ましい。25%圧縮応力が400Nよりも大きいとソフト性が不十分となるおそれがある。ただし、本発明でいう25%圧縮応力は、直径100mmの真円状の加圧板を使用し、JIS K6401により測定するものとする。
【0038】
さらに、厚みを要求される用途等には、繊維構造体A(中材)の下に(繊維構造体Bとは反対側)に公知の繊維構造体を配置することも問題ない。
なお、本発明の繊維クッション材には、通常の撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
【0039】
次に、本発明の繊維製品は前記の繊維クッション材を用いてなる、寝具マット、乗物座席、および家具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は前記の繊維クッション材を用いているので、クッション性と耐久性には優れ、しかも割れが発生しにくい。
【実施例】
【0040】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
【0041】
(1)融点
Du Pont社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
【0042】
(2)捲縮数、捲縮率
JIS L 1015に記載の方法により測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
【0043】
(3)T/H
繊維クッション材を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている繊維(図1において0°≦θ≦45°)の総本数を(T)とし、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維(図1において45°<θ≦90°)の総本数を(H)としてT/Hを算出した。なお、本数の測定は、任意の10ヶ所について各々30本の繊維を透過型光学顕微鏡で観察し、その数を数えた。
【0044】
(4)繊維クッション材の密度、硬さ
JIS K−6401に記載の方法により測定した。なお、3次元形状の繊維クッションの硬さは凹凸を避けるような台座を使用し測定、また、密度に使用する目付は中央の200×200mmを裁断して測定した。
【0045】
(5)圧縮残留歪(耐久性)および割れ発生の有無
JISK 6401に記載の方法に準拠し、圧縮板250X300mmを使用、荷重1000Nの荷重で10万回繰返し圧縮し、24時間後に再び厚さを測定した。そして、下記式により圧縮残留歪(%)を算出した。
圧縮残留歪(%)=(t−t)/t×100
ここで、tは初めの試験片の厚み(mm)であり、tは試験後の試験片の厚み(mm)である。
また、かかる圧縮テスト後において、割れ発生の有無を目視にて判定した。
【0046】
(6)25%硬さ(N)
直径100mmの真円状の加圧板を使用し、JIS K6401により測定した。
【0047】
(7)成型加工追従性
図のような形状を有する金型を使用し成型する際の成型のし易さおよび成型後の仕上がり状態の点で○、△、×の3段階判定を目視判断で行った。(○:成型しやすく、仕上がり状態も良好。△:成型しやすいが、仕上がり状態において角がきれいに成型されていない。×:成型しにくく、仕上がりの状態において角がきれいに成型されていない。)
【0048】
(8)クッション感
熟練者10名が、繊維クッション材の表面を手で触れ、クッション感について下記判定基準に基いて官能評価を行った。4級:極めて良好(反発感がある)、3級:やや良好(やや反発感がある)、2級:やや不良(底つき感がややある)、1級:不良(底つき感がある)
【0049】
[実施例1]
テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38重量%を更にポリテトラメチレングリコール(分子量2000)62重量%と加熱反応させ、ブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーの融点は155℃であった。この熱可塑性エラストマーを鞘(シース)に、ポリエチレンテレフタレート(融点256℃)を芯(コア)に、シース/コアの重量比で50/50なるように紡糸して偏心シース・コア型複合繊維を得た。得られた複合繊維を2.0倍に延伸したのち、80℃で乾燥し捲縮を発現させたのち、油剤を付与し、51mmに切断することにより、熱接着性短繊維を得た。該熱接着性短繊維において、単糸繊度は6.6dtex、捲縮数は13個/2.54cm、捲縮率は30%であった。
【0050】
次いで、該熱接着性短繊維50重量%と、非弾性捲縮短繊維として常法にて得られたポリエチレンテレフタレート短繊維(単糸繊度13dtex、繊維長64mm、捲縮数9個/2.54cm、捲縮率34%、断面形状は丸中空、融点256℃)50重量%とを混綿し、通常のカード機でウエブを作製し、Struto社製Struto設備を用いて、ローラ表面速度2.5m/分の駆動ローラにより、熱風サクション式熱処理機(熱処理ゾーンの長さ5m、移動速度1m/分)内へ押し込むことで図2に示すようにアコーデオン式に折り畳み、熱風190℃×5分間処理し中材の繊維構造体A(厚さ30mm)を得た。T/Hが1.5以上であり、繊維が厚み方向に配列していた。
【0051】
一方、同様の原綿配合にて綿を混綿し、通常のカード機でウエブB(目付200g/m)を作成し、その後通常のクロスレイ機を使用し繊維を厚みに対して水平方向に重ね合わせて表皮材として繊維構造体B(厚さ15mm、T/Hが1.5未満)を得た。
その後すぐに、図3のように金型側に表皮材を配置しその上に中材を配置し200℃×20分にて成型加工を実施した。得られた繊維クッション材において、外観の凸部分の形状は非常にきれいで、毛羽立ちもなくは極めてクッション感がよく粗硬感がなく弾力性があった。さらには、クッション感が良好で繰返し圧縮による厚みの変化が小さいものであり、割れは発生しなかった。評価結果を表1に示す。
次いで、該繊維クッション材を用いて乗物座席を得て使用したところ、クッション性と耐久性には優れ、しかも割れが発生しにくかった。
【0052】
[実施例2]
実施例1において、通常のカード機でウエブを作成し、その後通常のクロスレイ機を使用し繊維を厚みに対して水平方向に重ね合わせたウエブをさらにオーブンにて熱風160℃×1分間熱処理を実施したものをBとした。この場合も同様に外観の凸部分の形状は実施例1よりは若干おとるものの非常にきれいで、毛羽立ちもなくは極めてクッション感がよく粗硬感がなく弾力性があった。さらには、クッション感が良好であった。また、割れは発生しなかった。評価結果を表1に示す。
【0053】
[実施例3]
実施例1において、成型条件を高圧スチーマーを使用し温度160℃、時間20分間で成型を実施した。割れは発生しなかった。評価結果を表1に示す。
【0054】
[比較例1]
実施例1において、通常のカード機でウエブを作成し、その後通常のクロスレイ機を使用し繊維を厚みに対して水平方向に重ね合わせたウエブを重ね合わせ、オーブンにて温度160℃、時間1分間熱処理を実施したもの3枚重ねあわせ金型のサイズにカットした後、実施例1と同様に金型に詰め込み金型による成型加工を実施した。得られた繊維クッション材において凸部の形状はきれいであったが、耐久性は不十分であった。割れは発生しなかった。評価結果を表1に示す。
【0055】
[比較例2]
実施例1において、通常のカード機でウエブを作成し、その後通常のクロスレイ機を使用し繊維を厚みに対して水平方向に重ね合わせたウエブをオーブンにて190℃×5分間熱処理を実施したものを使用すること以外は実施例1と同様にした。金型への表面材を詰め込みが難しく。得られた繊維クッション材の凸部はその形状がうまく再現されていなかった。また、表面をこすると毛羽立ちが見られた。割れは発生しなかった。評価結果を表1に示す。
【0056】
[実施例4]
実施例1において、図4のように厚み方向に繊維が配向した繊維ウエブの端部に厚み方向とは垂直に繊維が配向した繊維を配置しない物を作成した。得られた繊維クッション材は、クッション感はあるものの耐久性にやや劣る物であった。割れは発生しなかった。
【0057】
[比較例3]
実施例1において、表皮材を用いず中材だけで繊維クッション材を構成した後、圧縮残留歪(耐久性)を測定したところ、クッション材に割れが発生した。
【0058】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、クッション性と耐久性に優れ、しかも割れが発生しにくい繊維クッション材およびその製造方法および繊維製品が得られ、その工業的価値は極めて大である。
【符号の説明】
【0060】
1:熱接着性複合短繊維またはマトリックス繊維
2:繊維構造体の厚さ方向
3:熱接着性複合短繊維またはマトリックス繊維の配列方向
4:繊維構造体
5:ウエブの山
6:金型
7:繊維構造体B(表皮材)
8:繊維構造体A(中材)
9:金型
10:繊維構造体B(表皮材)
11:繊維構造体A(中材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿され、該熱接着性短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなり、かつ繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5以上である繊維構造体Aと、
非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿され、該熱接着性短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなり、かつ繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5未満である繊維構造体Bとで構成され、
かつ、前記繊維構造体Aと繊維構造体Bとが積層してなることを特徴とする繊維クッション材。
【請求項2】
前記繊維構造体Aに含まれる非弾性捲縮短繊維と、前記繊維構造体Bに含まれる非弾性捲縮短繊維がともに、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維である、請求項1に記載の繊維クッション材。
【請求項3】
前記繊維構造体Aに含まれる熱接着性短繊維と、前記繊維構造体Bに含まれる熱接着性短繊維とがともに、熱融着成分と芯成分とで形成される複合繊維である、請求項1または請求項2に記載の繊維クッション材。
【請求項4】
前記繊維構造体Aの密度が10〜70kg/mの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維クッション材。
【請求項5】
前記繊維構造体Aの厚さが3〜90mmの範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維クッション材。
【請求項6】
前記繊維構造体Bの厚さが1〜15mmの範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維クッション材。
【請求項7】
前記繊維構造体Aの、上面および下面のうち少なくともどちらか一方の面、および側面に前記前記繊維構造体Bが積層してなる、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維クッション材。
【請求項8】
非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿されたウエブを用いて、繊維クッション材の厚さ方向に対して平行に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(T)とし、繊維クッション材の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維の総本数を(H)とするとき、T/Hが1.5以上となるように配列し、次いで、前記熱接着性短繊維同士の交差点、および/または前記熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維との交差点を熱融着させることにより繊維構造体Aを得た後、
非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有する低融点ポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿されたウエブBを、前記繊維構造体Aに積層し、
これらを金型により熱成形することを特徴とする、請求項1に記載の繊維クッション材の製造方法。
【請求項9】
前記繊維構造体Aに含まれる非弾性捲縮短繊維が非弾性ポリエステル系捲縮短繊維である、請求項8に記載の繊維クッション材の製造方法。
【請求項10】
前記ウエブBの目付が10〜400g/mの範囲内である、請求項8または請求項9に記載の繊維クッション材の製造方法。
【請求項11】
前記ウエブBに熱処理が施されている、請求項8〜10のいずれかに記載の繊維クッション材の製造方法。
【請求項12】
前記繊維構造体Aの、上面および下面のうち少なくともどちらか一方の面、および側面に前記ウエブBが積層してなる、請求項9〜11のいずれかに記載の繊維クッション材の製造方法。
【請求項13】
前記金型による熱成形を湿熱下で行う、請求項9〜12のいずれかに記載の繊維クッション材の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかに記載の繊維クッション材、または請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた繊維クッション材を用いてなる、寝具マット、乗物座席、および家具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−253725(P2010−253725A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104115(P2009−104115)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】