説明

置換ピラゾール化合物

タンパク質キナーゼ阻害剤として有用である置換ピラゾール化合物と、前記化合物を含む組成物と、その使用方法を提供する。前記タンパク質キナーゼ阻害剤は、特に、オーロラA(オーロラ2)タンパク質キナーゼの阻害のためのものであり、タンパク質キナーゼに関連する疾患、特にオーロラ2に関連する疾患、たとえば、癌の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その全体が本明細書に組み入れられる、2008年11月26日に出願された米国仮出願出願番号第61/118,136号に対して優先権を主張する。
【0002】
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤と、そのような阻害剤を含む組成物と、その使用方法とに関する。さらに詳しくは、本発明は、オーロラA(オーロラ−2)タンパク質キナーゼの阻害剤に関する。本発明はまた、タンパク質キナーゼに関連する疾患、特に癌のようなオーロラAに関連する疾患を治療する方法と同様に医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
標的疾患に関連する酵素及びそのほかの生体分子の構造のよりよい理解によって近年、新しい治療剤の探索は大きく助けられている。鋭意研究の対象となっている酵素の重要なクラスの1つはタンパク質キナーゼである。
【0004】
タンパク質キナーゼは、シグナル伝達経路に関与するタンパク質受容体へのヌクレオシド三リン酸からのホスホリル転移を達成することによって細胞内のシグナル伝達に介在する。多数のキナーゼ及び経路が存在し、これらを介して細胞外及びそのほかの刺激が種々の細胞応答を細胞内で生じさせる。そのような刺激の例として、環境の及び化学的なストレスシグナル(たとえば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、細菌内毒素、H)、サイトカイン(たとえば、インターロイキン−1(IL−1)及び腫瘍壊死因子α(TNFα)、及び増殖因子(たとえば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び線維芽細胞増殖因子(FGF)が挙げられる。細胞外の刺激は、細胞の増殖、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉の収縮、グルコース代謝、タンパク質合成の制御及び細胞周期の調節に関連する1以上の細胞性の応答を達成し得る。
【0005】
多数の疾患は、タンパク質キナーゼが介在する事象によって誘発される異常な細胞性の応答と関連する。これらの疾患には、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経疾患及び神経変性疾患、癌、循環器疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病又はホルモン関連疾患が挙げられる。従って、治療剤として有効であるタンパク質キナーゼ阻害剤を見つけ出すために医薬品化学にて実質的な尽力が存在している。
【0006】
ヒトには、すべてセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである、3つの高度に関連するオーロラキナーゼが存在する(Andrews,P.D.,et al.,Curr.Opin.Cell.Biol.2003,15,672−683;Carmena,M.,Earnshaw,W.C.,Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.2003,4,842−854;Brown,J.R.,et al.,BMC Evol.Biol.2004,4,39,Andrews,P.D.,Oncogene 2005,24,5005−5015を参照)。オーロラA、B及びCの配列関連性にもかかわらず、これらキナーゼの局在及び機能は全く異なる。その結果、これらキナーゼそれぞれの過剰発現又は活性化は、癌のような増殖性疾患を含む、異なった疾患状態に関連し得る。
【0007】
ファミリーのメンバーは有糸分裂の間、異なった細胞内局在を示し、有糸分裂から出た後、プロテオソームによって分解される(Grahamら.(2002) J.Biol.Chem.277:42419−22)。キナーゼは、細胞骨格構造を含めて、タンパク質と複合体形成して見出されることが多い。
【0008】
オーロラキナーゼは、保存されたC末端触媒ドメインを共有し、N末端で認められる大きな変異を有する。オーロラA(オーロラ−2)は、キナーゼのヌクレオチド結合ドメインにて2つのリジン残基の存在が独特である(Warnerら.(2003) Molecular Cancer Therapeutics 2:589−95)。
【0009】
オーロラAポリペプチドの最大レベル及び最大オーロラA活性は、有糸分裂前期へと続くG/M移行期に見られ、該ポリペプチドは有糸分裂の紡錘体極に局在する(Grahamら.(2002) J.Biol.Chem.277:42419−22; Sakaiら.(2002) J.Biol.Chem.277:48714−23)。オーロラAは、特に固形腫瘍における異数性と活発な臨床的表現型に関連する異常発現を伴った染色体の複製を調節すると思われる。そのような観察及びさらなる実験データは、オーロラAが染色体の分離を調節するシグナル伝達カスケードを乱すことを示唆している(Senら.(2002) J.Nat.Cancer.Inst.94:1320−29)。
【0010】
オーロラAはまた、多分相同染色体を分離すること及び紡錘体の回転にて減数分裂で機能するとも思われる。オーロラAに対する抗体のアフリカツメガエル卵母細胞への注入は、第1極体の放出を妨げ、減数分裂Iでの停止を引き起こす(Castroら.(2003) J.Biol.Chem.2236−41)。アフリカツメガエルのキネシン様タンパク質、Eg5は、オーロラ−2の基質であることが分かっている(Castroら.(2003) J.Biol.Chem.2236−41)。
【0011】
さらに、試験管内の研究は、オーロラAがクロマチンに組み入れられ、ヒストンH3、及びおそらくヒストンH2Bをリン酸化することを示している(Scrittoriら.(2001) J.Biol. Chem.276:30002−10)。染色体集合の間の、たとえば、セリン−10でのH3のリン酸化は、真核細胞の分裂での保存された事象であると思われる。H3リン酸化の阻害は、有糸分裂及び減数分裂の間で、染色体の濃縮、異常な分離及び染色体の喪失をもたらす(Scrittoriら.(2001) J.Biol.Chem.276:30002−10)。
【0012】
従って、ヒストンのリン酸化の新たなモデルは、ヒストンのアセチル化と類似しており、その際、部分的に余剰の酵素活性が、ヒストンの修飾に関連するが、異なった酵素が異なった細胞の背景で機能し得る。たとえば、一部の酵素はまとめてヒストンを修飾し得る一方で、ほかの酵素は、目標とする方法で、たとえば、集合したクロマチンの背景で配列特異的な又はドメイン特異的な方法でヒストンを修飾し得る(たとえば、Scrittoriら.(2001)J.Biol.Chem.276:30002−10を参照)。このモデルによれば、オーロラAは、集合した又は集合しているクロマチンの背景で、目標とされるヒストンの修飾に関与するキナーゼであると思われる。
【0013】
オーロラキナーゼファミリーのほかのメンバーは有糸分裂及び減数分裂にも関連する。オーロラAのようにオーロラBも細胞周期を調節する、異なったタンパク質リン酸化の事象に関与する。オーロラAとは異なって、オーロラBは前期から中期−後期の移行まで動原体内部のクロマチンに局在し、終期の間、紡錘体中間帯における微小管に再局在し、その後、細胞質分裂の間、中心体で見出される(Andrews,P.D.,Oncogene 2005, 24, 5005−5015, loc. cit.を参照)。オーロラBの機能は、正確な染色体分離と適当な細胞質分裂を保証することである。オーロラBは、動原体内部に関連し、有糸分裂の間、十分な程度の引伸ばしを受けるポリペプチドであるサバイビン(survivin)に関連すると思われる。サバイビンは細胞周期の制御と同様にアポトーシスの阻害に関与すると思われる。興味深いことに、オーロラBおよびサバイビンの双方は、後期の後半と細胞質分裂を飛ばして巨核球の倍数性を招く過程である、巨核球の核内分裂の間、脱局在化する(Zhangら.(2004) Blood 103:3717−26)。癌のような増殖性疾患におけるこの機能の阻害剤は、静止及び細胞死を招き、そのような阻害剤が癌の化学療法で有用になる。
【0014】
オーロラC(オーロラ−3)は、最も検討されていない、ファミリーの既知のメンバーである。オーロラCは、後期から終期まで(又は細胞質分裂でさえ)中心体に局在し、精巣にて高度に発現される(Brownら.(2004) BMC Evolutionary Biology 4:39)。
【0015】
上記で言及されたように、オーロラキナーゼは、結腸癌、乳癌及びそのほかの固形癌を始めとする特定の種類の癌で過剰発現する。オーロラB及びAキナーゼをコードする遺伝子は、特定の種類の癌で増幅される傾向がある一方で、オーロラCキナーゼをコードする遺伝子は、再構成及び欠失の対象となる染色体の領域に存在する。オーロラAは、原発の結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、及び子宮頚癌、神経芽細胞腫、及びそのほかの固形腫瘍癌を含む種々の悪性腫瘍に関連している(Warnerら.(2003) Molecular Cancer Therapeutics 2:589−95)。
【0016】
オーロラAの阻害剤は記載されている。たとえば、Harringtonら((2004) Nat.Med.10:262−67)は、生体内異種移植モデルにて特定の種類の腫瘍において細胞周期の進行を遮断し、アポトーシスを誘導する小分子阻害剤、VX−680を記載している。ピラゾールオーロラAキナーゼ阻害剤も、米国特許第6,653,301号に記載されている(Bebbingtonら.,issued November 25,2003)。
【0017】
Haufら((2003) J.Cell.Biol.161:281−294)は、単一の紡錘体極に結合する双方の姉妹動原体(シンテリック結合として知られる状態)を有する、一方向を向いた染色体と共に細胞を後期に入れるオーロラBの阻害剤としてのインドリノン(ヘスペラジン)を特定した。
【0018】
Ditchfieldら((2003) J.Cell.Biol.161:267−280)は、染色体の配置、分離及び細胞質分裂を妨害するオーロラキナーゼ阻害剤、ZM447439((4−(4−(N−ベンゾイルアミノ)アニリノ)−6−メトキシ−7−(3−(1−モルフォリノ)プロポキシ)キナゾリン)を記載した。
【0019】
従って、キナーゼ阻害剤、特にオーロラキナーゼの阻害剤は、癌を含む特定の疾患を治療することにおいて特に関心が持たれる。そのような阻害を示す化合物は特に有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、キナーゼが介在する疾患を治療するための、化合物又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグと、組成物と方法とを提供する。そのような疾患には、原発性の、二次性の、及び転移の癌、たとえば、黒色腫、リンパ腫、白血病、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、膵臓癌、腎臓癌、中枢神経系の腫瘍(CNS)、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頚癌、及び神経芽細胞腫が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1の実施形態では、本発明は、式I:
【化1】

の化合物、又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグを提供し、式中、
は、
【化2】

であり;
Xは、N、C又はCRであり;
Yは、N、C又はCRであり;
環Aは、任意に置換される4、5又は6員環の単環式複素環の環であり;
環Bは、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、任意に置換される3〜7員環の単環式の環又は8〜10員環の二環式の環であり;
環Cは、任意に置換される3、4、5又は6員環の複素環、炭素環、アリール又はヘテロアリールの環であり;
Wは、nが0、1、2、3、4又は5である(CRであり;
は、任意に置換される単環式又は二環式のアリール環であり;
及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、又はR及びRはそれらが介在する原子と一緒になって縮合された、任意に置換される不飽和若しくは部分不飽和の、0〜3の環へテロ原子を有する環を形成し;
Rは、水素、脂肪族、アリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノである。
【0022】
別の実施態様では、式Iの化合物が提供され、式中、Rは脂肪族である。別の実施態様では、式Iの化合物が提供され、式中、Rはフェニルである。
【0023】
特定の実施態様では、Wは結合であり、又はnは0である。ほかの実施態様では、Wは−CH−である。ほかの実施態様では、Wは−CHCH−である。一実施形態では、nは1である。一実施形態では、nは2である。
【0024】
一実施形態では、Rは水素である。
【0025】
本発明のほかの実施態様では、式Iの化合物が提供され、式中、Rはフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、Rは構造
【化3】

を有する。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様では、Rはフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、Rは構造
【化4】

を有する。
【0027】
式Iの別の実施態様では、Rはフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、Rは構造
【化5】

を有し、環Aは4、5又は6員環の環であり、環Bはアリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールである。
【0028】
式Iの別の実施態様では、Rはフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、R
【化6】

であり、環Cはヘテロシクリル又はアリールであり、環Bはアリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルである。
【0029】
上述のものを含む式Iの種々の実施態様では、環Bは任意に置換されるフェニル環である。式Iのほかの実施態様では、環Bは、任意に置換されるピリジニル、任意に置換されるピペリジニル、任意に置換されるピロリジニル、任意に置換されるピリジニル、又は任意に置換されるモルフォリニルである。
【0030】
式Iのさらにほかの実施態様では、Rはフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、R
【化7】

であり、環Aは4、5、又は6員環の環であり、環Bはアリール、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり、XはCRであり、Wはnが0、1、又は2である(CHであり、Rはヒドロキシルである。
【0031】
別の実施態様では、式Iの化合物が提供され、式中、Rはフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、R
【化8】

であり、環Aは4、5、又は6員環の環であり、XはNであり、環Bはアリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルである。
【0032】
本発明の別の態様では、式Ia:
【化9】

の化合物が提供され、式中、R、R及びRは上記式Iと同義である。
【0033】
本発明のさらに別の態様では、式Ib:
【化10】

の化合物が提供され、式中、変数記号Rは上記式Iの化合物と同義である。
【0034】
式Ibの一実施形態では、R
【化11】

であり、環Aが4、5、又は6員環の環であり、XがCRであり、Wはnが0、1、又は2である(CHであり、環Bがフェニル、ピペリジニル、モルフォリニル、ピリジニル、ピリミジニル又はホモピペリジニルである化合物が提供される。
【0035】
式Ibの別の実施態様では、Rが、
【化12】

であり、環Cがフェニル又はヘテロシクリルであり、Wはnが0、1、又は2である(CHであり、環Bがフェニル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールである化合物が提供される。
【0036】
特定の実施態様では、本発明は、以下に示される表1に提供される構造を持つ化合物を提供する。該化合物の生物学的に許容可能な塩及びプロドラッグも提供される。
【0037】
本発明の別の態様では、薬学上許容可能なキャリア、アジュバント又はビヒクルと組み合わせた、オーロラキナーゼA阻害に有効な量の式I、Ia又はIbの化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0038】
一部の実施態様では、医薬組成物は、約2ミクロン未満の平均粒度である粒子を含む。ほかの実施態様では、組成物は、生分解性又は非生分解性のポリマーに組み入れられる。
【0039】
さらに別の実施態様では、組成物は、式I、Ia又はIbの化合物と添加物とを含む。該添加物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、液体キャリア、溶質、懸濁剤、増粘剤、風味剤、ゼラチン、グリセリン、結合剤、潤滑剤、不活性の希釈剤、保存剤、界面活性剤、分散剤、生分解性ポリマー、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0040】
本発明の別の実施態様では、医薬組成物は、経口投与、非経口投与、静脈内投与、皮下投与、吸入投与、局所投与又は皮内投与に好適であるキャリアを含む。
【0041】
本発明の別の態様では、疾患を持つ患者に有効量の式I、Ia又はIbの化合物を投与することを含む疾患を持つ患者を治療する方法が提供されるが、該疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経疾患又は神経変性疾患、癌、循環器疾患、アレルギー、喘息、又はホルモン関連疾患である。
【0042】
一実施形態では、本発明は、癌を有する患者に癌を治療するのに有効な量の式I、Ia又はIbの化合物を投与することを含む癌患者を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、癌は、固形腫瘍、血液に由来する腫瘍、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、生殖泌尿器癌、食道癌、喉頭癌、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌腫、小細胞癌腫、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌腫、乳頭状癌、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝臓癌及び胆道癌、腎臓癌、骨髄障害、リンパ系障害、ホジキン病、ヘアリー細胞白血病、口腔癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍及び中枢神経系の癌、又は白血病である。
【0043】
本発明の別の態様では、望ましくない血管新生に関連する疾患を持つ患者を治療する方法が提供されるが、該方法は、望ましくない血管新生を持つ患者に、有効量の式I、Ia又はIbの化合物を投与することを含む。種々の実施態様では、望ましくない血管新生に関連する疾患は、血管新生眼疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障及び水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過剰装用、アトピー性角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片角膜炎乾燥症、シューグレン症候群、赤鼻、フリクテン症、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂質変性症、化学薬品火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性症、辺縁性角質溶解、外傷、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発動脈炎、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス−ジョンソン疾患、類天疱瘡、放射状角膜切開、又は角膜移植拒絶反応、鎌状赤血球貧血、肉腫、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、ライム病、全身性エリテマトーデス、イール病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、スターガート病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症又はレーザー治療後の合併症を含む。
【0044】
本発明のさらに別の態様では、炎症に関連する炎症性疾患の患者を治療する方法が提供されるが、該方法は、炎症性疾患の患者に有効量の式I、Ia又はIbの化合物を投与することを含む。一部の実施態様では、炎症性疾患は、内皮細胞の過剰又は異常な刺激、アテローム性硬化症、血管機能異常、異常な創傷治癒、炎症性及び免疫性の障害、ベーチェット病、通風又は通風性関節炎、関節リウマチを伴う異常な血管形成、皮膚疾患、乾癬、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、水晶体後線維増殖症、黄斑変性症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障又はオスラーウエーバー症候群である。
【0045】
本発明のほかの実施態様では、化合物は、錠剤、カプセル、トローチ、カシェ、溶液、懸濁液、エマルション、粉末、エアゾール、座薬、スプレー、芳香錠、軟膏、クリーム、ペースト、泡状物、ジェル、タンポン、ペッサリー、顆粒、ボーラス、洗口剤、又は経皮貼付剤の形態で投与される。
【0046】
以下の、開示される実施態様の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲の検討の後、本発明のこれら及びそのほかの目的、特徴及び利点が明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書で使用される用語は、特に指示されない限り、慣例上の意味を有する。語句「任意に置換される」は、語句「置換される又は非置換の」又は用語「(非)置換の」と相互交換可能に使用される。特に指示されない限り、任意に置換される基は、基の置換可能な位置にてそれぞれ置換基を有してもよく、各置換は互いに独立である。
【0048】
用語「脂肪族」又は「アルキル」は本明細書で使用されるとき、完全に飽和される又は1以上の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではない直鎖、分枝鎖又は環状のC〜C14の炭化水素を意味する。たとえば、好適な脂肪族基には、置換又は非置換の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はそれらの混成物、たとえば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル若しくは(シクロアルキル)アルケニルが挙げられる。単独で使用される又は大きな部分の一部として使用される用語「アルコキシ」、「ヒドロキシアルキル」、「アルコキシアルキル」及び「アルコキシカルボニル」には、1〜14の炭素原子を含有する直鎖及び分枝鎖の双方が含まれる。アルキル基の具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、1−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、及びシクロヘキシルである。特に特定されない限り、アルキル基は、非置換であることができ、又は当業者に既知のように、たとえば、Greeneら.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Second Edition,1991に教示されるように、必要に応じて、保護された又は保護されていないいずれかでの、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホニル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスフォニル、ホスフィニル、チオエーテル、オキシム、又は本化合物の医薬活性を阻害しない実行可能な官能基から成る群から選択される1以上の部分によって置換することができる。
【0049】
単独で使用される又は大きな部分の一部として使用される用語「アルケニル」及び「アルキニル」には、2〜14の炭素原子を含有する直鎖及び分枝鎖の双方が含まれる。「アルケニル」基は本明細書で使用されるとき、1以上の不飽和の単位を含み、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分枝鎖又は環状のC〜C14の炭化水素を意味する。好適なアルケニル基には、(C〜C)アルケニル基、たとえば、エテニル、プロペニル、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2−エチルヘキセニル、2−プロピル−2−ブテニル、4−(2−メチル−3−ブテン)−ペンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。「アルキニル」基は本明細書で使用されるとき、2以上の不飽和の単位を含み、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖、分枝鎖又は環状のC〜C14の炭化水素を意味する。
【0050】
用語「アミノ」はNH基を指す。
【0051】
用語「アルキルアミノ」は、水素原子の1つがアルキル基によって置換されているアミノ基を指す。
【0052】
用語「「ジアルキルアミノ」は、水素原子がアルキル基で置換され、アルキル基が同一であっても異なっていてもよいアミノ基を指す。
【0053】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」及び「ハロアルコキシ」は、1以上のハロゲン原子で置換されている場合のアルキル、アルケニル又はアルコキシを意味する。
【0054】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIを意味する。
【0055】
用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素又はイオウを意味し、窒素及びイオウの酸化された形態及び基本窒素の四級化された形態を含む。また、用語「窒素」は、複素環の置換可能な窒素を含む。一例として酸素、イオウ又は窒素から選択される0〜3のヘテロ原子を有する飽和又は部分不飽和の環では、窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにて)、NH(ピロリジニルにて)又はNR(N−置換ピロリジニルにて)であってもよい。
【0056】
単独で使用される又は大きな部分の一部として使用される用語「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」、「炭素環状」、又は「シクロアルキル」は、3〜14員環の環状C〜C14の炭化水素又は脂肪族環系を含むべきであり、それらは1以上の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではない。特に、環は1以上の二重結合を含有してもよいが、芳香族ではない。用語「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」又は「炭素環状」は、飽和されていようと、部分不飽和であろうと、任意に置換される環も指す。用語「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」又は「炭素環状」はまた、1以上の芳香族環又は非芳香族環に縮合する、たとえば、デカヒドロナフチル又はテトラヒドロナフチルにおけるような脂肪族環も含み、その際、結合のラジカル又は結合点は脂肪族環上にある。
【0057】
単独で使用される又は「アラルキル」、「アラルコキシ」若しくは「アリールオキシアルキル」における大きな部分の一部として使用される用語「アリール」は、たとえば、フェニル、ベンジル、フェネチル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル及び2−アントラシルのような6〜14員環を有する炭素を基にした芳香族環基を指す。用語「アリール」はまた任意に置換される環も指す。用語「アリール」は用語「アリール環」と相互交換可能に使用されてもよい。「アリール」はまた、芳香族環が1以上の環と縮合する縮合多環式芳香族環系を含む。例として、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル及び2−アントラシルが挙げられる。用語「アリール」の範囲内に含められるのは、本明細書で使用されるとき、芳香族環が、たとえば、インダニル、フェナントリジニル又はテトラヒドロナフチルにおけるような1以上の非芳香族環と縮合する基であり、その際、結合のラジカル又は結合点は芳香族環上にある。
【0058】
用語「アラルキル」は特に特定されない限り、上記と同義のアルキル基を介して分子に結合する上記と同義のアリール基を指す。
【0059】
用語「アラルキル」は特に特定されない限り、上記と同義のアリール基を介して分子に結合する上記と同義のアルキル基を指す。たとえば、アシルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルアミノアルキル、アルキルチオアルキル、アミドアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、ヘテロアラルキル、複素環アルキル、ヒドロキシアルキル、スルホンアミドアルキル、スルホニルアルキル及びチオアルキルのようなそのほかの基は同様に指名される。
【0060】
用語「アルコキシ」は特に特定されない限り、アルキルが上記と同義である構造−O−アルキルの部分を指す。
【0061】
用語「アシル」は、式C(O)R’又は「アルキル−オキシ」の基を指し、その際、R’はアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルの基であり、又は置換されたアルキル、アラルキル又はアルカリルである。
【0062】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「複素環状」は本明細書で使用されるとき、1以上の環炭素、好ましくは1〜4がそれぞれへテロ原子で置換されている3〜14、好ましくは4〜10員環を有する非芳香族環系を含む。複素環状の環の例として、3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、(1−置換)−2−オキソ−ベンズイミダゾール−3−イル、2−テトラヒドロ−フラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、[1,3]−ジオキサラニル、[1,3]−ジチオラニル、[1,3]−ジオキサニル、2−テトラヒドロ−チオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、モルフォリニル、2−モルフォリニル、3−モルフォリニル、4−モルフォリニル、2−チオモルフォリニル、3−チオモルフォリニル、4−チオモルフォリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、ホモピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N−置換ジアゾロニル、1−フタリミジニル、ベンゾキサニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾキソラニル、ベンゾチオラニル及びベンゾチアニルが挙げられる。用語「ヘテロシクリル」又は「複素環状」の範囲内に含まれるのは、本明細書で使用されるとき、たとえば、インドリニル、クロマニル、フェナントリジニル又はテトラヒドロキノリニルにおけるような1以上の芳香族環又は非芳香族環に非芳香族のヘテロ原子含有環が縮合する基であり、その際、結合のラジカル又は結合点は非芳香族へテロ原子含有環上にある。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「複素環状」は、飽和されていようと、部分不飽和であろうと、任意に置換される環も指す。
【0063】
単独で使用される、又はたとえば、「ヘテロアラルキル」若しくは「ヘテロアリールアルコキシ」における大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、5〜14員環を有するヘテロ芳香族環基を指す。ヘテロアリール環の例として、2−フラニル、3−フラニル、3−フラザニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、1−ピラゾリル、2−ピラゾリル、3−ピラゾリル、ピリジニル又はピリジル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピリミジニル又はピリミジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、5−テトラゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニル、3−チエニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、イソインドリル、アクリジニル及びベンゾイソキサゾリルが挙げられる。用語「ヘテロアリール」の範囲内に含まれるのはまた、本明細書で使用されるとき、ヘテロ芳香族環が1以上の芳香族環又は非芳香族環と縮合する基であり、その際、結合のラジカル又は結合点はヘテロ芳香族環上にある。例として、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル及びピリド[3,4−d]ピリミジニルが挙げられる。用語「ヘテロアリール」はまた任意に置換される環も指す。用語「ヘテロアリール」は用語「ヘテロアリール環」又は用語「ヘテロ芳香族」と相互交換可能に使用されてもよい。
【0064】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)基又はヘテロアリール(ヘテロアラルキル及びヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1以上の置換基を含有してもよい。アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基の任意の不飽和炭素上における好適な置換基の例として、ハロゲン、CF、−R、−OR、−SR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、保護されたOH(たとえば、アシルオキシ)、フェニル(Ph)、置換Ph、−O(Ph)、置換−O(Ph)、−CH(Ph)、置換−CH(Ph)、−CHCH(Ph)、置換−CHCH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、-NRC(O)N(R、-NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(=S)N(R、-C(=NH)-N(R、−(CHNHC(O)R、及び−(CHNHC(O)CH(V−R)(R)が挙げられ;各Rは独立して、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族基、非置換のヘテロアリール環若しくは複素環の環、フェニル(Ph)、置換Ph、−O(Ph)、置換−O(Ph)、−CH(Ph)、又は置換−CH(Ph)から選択され;yは0〜6であり;Vはリンカー基である。Rの脂肪族基又はフェニル環における置換基の例として、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシ及びハロアルキルが挙げられる。
【0065】
脂肪族基又は非芳香族複素環の環又は縮合したアリール若しくはヘテロアリールの環は1以上の置換基を含有してもよい。脂肪族基又は非芳香族複素環の環又は縮合したアリール若しくはヘテロアリールの環の任意の飽和炭素上における好適な置換基の例として、アリール基又はヘテロアリール基の不飽和炭素について上記で列記したもの、及び以下:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=N−、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又は=NRが挙げられ、その際、Rは、水素、非置換の脂肪族基又は置換脂肪族基から独立して選択される。脂肪族基上における置換基の例として、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、CF、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシ及びハロアルキルが挙げられる。
【0066】
非芳香族複素環の環の窒素上での好適な置換基には、-R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R及び−NRSOが挙げられ;その際、各Rは、水素、脂肪族基、置換脂肪族基、フェニル(Ph)、置換Ph、−O(Ph)、置換−O(Ph)、−CH(Ph)、置換−CH(Ph)、−CH(Ph)又は非置換のヘテロアリール環若しくは複素環の環から独立して選択される。脂肪族基又はフェニル環上の置換基の例として、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシ及びハロアルキルが挙げられる。
【0067】
用語「リンカー基」又は「リンカー」は、化合物の2つの部分を接続する有機部分を意味する。リンカーは通常、酸素若しくはイオウのような原子、−NH−、−CH−、−C(O)−、−C(O)NH−のような単位、又はアルキリデン鎖のような原子の鎖で構成される。リンカーの分子量は通常、約6原子までの長さを持つ約14〜200の範囲内であり、好ましくは14〜96の範囲内である。リンカーの例として、任意に置換され、その際、鎖の1又は2の飽和炭素が任意に−C(O)−、−C(O)C(O)−、−CONH−、−CONHNH−、−CO−、−OC(O)−、−NHCO−、−O−、-NHCONH−、−OC(O)NH−、−NHNH−、−NHCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−SONH−又は-NHSO−によって置換される、飽和又は不飽和のC1〜6のアルキリデン鎖が挙げられる。
【0068】
用語「アルキリデン」鎖は、完全に飽和されてもよく又は1以上の不飽和の単位を有してもよい任意に置換される直鎖又は分枝鎖の炭素鎖を指す。任意の置換基は脂肪族基について上述されたとおりである。
【0069】
置換基又は変数記号の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物又は化学的に実現可能な化合物を結果的に生じる場合にのみ差し支えない。安定な化合物又は化学的に実現可能な化合物は、湿気又はそのほかの化学的に活性のある条件の非存在下で40℃以下の温度にて暗所で少なくとも1週間保持された場合、化学構造が実質的に変化しないものである。
【0070】
本明細書で定義される、置換された基すべてにおいて、それ自体に対するさらなる置換基を持つ置換基を定義することによって到達されるポリマー(たとえば、自体置換されたフェニルで置換されている置換基として置換されたフェニルを有する、置換されたフェニル)は、本明細書に含まれることが意図されないことが理解される。そのような場合、そのような置換基の最大数は3である。たとえば、置換フェニルで置換されたフェニルは、−置換フェニル−(置換フェニル)−(置換フェニル)に限定される。
【0071】
特に言及されない限り、本明細書で描かれる構造はまた、構造の立体化学的な形態すべて、すなわち、各不斉中心についてのR及びSの立体配置を含むように意味される。従って、本化合物の単一の立体化学異性体並びにエナンチオマーとジアステレオマーの混合物は本発明の範囲内である。特に言及されない限り、本明細書で描かれる構造はまた、1以上の同位元素を濃縮した原子の存在のみで異なる化合物を含むように意味される。たとえば、重水素若しくはトリチウムによる水素の置換、又は13C若しくは14Cを濃縮した炭素による炭素の置換を除いて本構造を有する化合物は本発明の範囲内である。
【0072】
本明細書で範囲が言及されるときはいつでも、それは範囲のあらゆるメンバーを独立して且つ別々に包含する。非限定例として、用語「C1〜10のアルキル」は、たとえば、C1〜10のアルキルが、直鎖、分枝鎖及び適当な環状のC、C、C、C、C、C、C、C、C及びC10のアルキル官能性を含むように基の各メンバーを独立して含むように考慮される。同様に、別の非限定例として、1〜10%は、たとえば、1〜2%、2〜3%の間における範囲と同様に、独立して1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%及び10%を含む。
【0073】
式I、Ia又はIbの化合物又はその塩を組成物に処方してもよい。一実施形態では、組成物は医薬組成物である。一実施形態では、組成物は生物試料又は患者においてタンパク質キナーゼを阻害するのに有効なタンパク質キナーゼ阻害剤の量を含む。本発明の化合物、及びキナーゼが介在する状態を治療する又は予防するのに有効な量のタンパク質キナーゼ阻害剤と薬学上許容可能なキャリア、アジュバント又はビヒクルとを含む、その医薬組成物は、患者への投与のために調剤されてもよい。
【0074】
本発明の別の態様は、キナーゼが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関する。一実施形態では、該疾患は、オーロラAが介在する疾患であり、該方法は、そのような治療を必要とする患者に、治療上有効な量の式I、Ia又はIbの化合物、又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0075】
用語「オーロラAが介在する疾患」又は「オーロラAが介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、オーロラが役割を担うと考えられる任意の疾患又は有害な状態を意味する。用語「オーロラAが介在する疾患」又は「オーロラAが介在する状態」はまた、オーロラA阻害剤による治療によって緩和される疾患も意味する。そのような状態には癌が挙げられる。
【0076】
用語「癌」には、固形腫瘍及び血液に由来する腫瘍が挙げられるが、これらに限定されず、以下の癌:乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、生殖泌尿器癌、食道癌、喉頭癌、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌腫、小細胞癌腫、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌腫、乳頭状癌、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝臓癌及び胆道癌、腎臓癌、骨髄障害、リンパ系障害、ホジキン病、ヘアリー細胞白血病、頬側口腔癌、咽頭癌(口腔)、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍及び中枢神経系の癌、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。用語「癌」は、原発癌、治療に続発した癌、及び転移性の癌を含む。
【0077】
本発明の態様は、癌を治療するのに有用である化合物及び組成物に関する。
【0078】
本発明の別の態様は、以下の癌:乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、生殖泌尿器癌、食道癌、喉頭癌、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌腫、小細胞癌腫、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌腫、乳頭状癌、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝臓癌及び胆道癌、腎臓癌、骨髄障害、リンパ系障害、ホジキン病、ヘアリー細胞白血病、頬側口腔癌及び咽頭癌(口腔)、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍及び中枢神経系の癌、及び白血病の治療に関する。
【0079】
本発明の別の態様は、癌患者に本明細書で記載される1以上の化合物を投与することを含む癌を治療する方法である。
【0080】
脈管形成は、新しい血管を形成する(血管新生と呼ばれることが多い)内皮細胞の増殖を特徴とする。内皮細胞の有糸分裂の阻害は、結果的に脈管形成の阻害を生じる。従って、本発明の別の態様は、望ましくない脈管形成を含めて望ましくない有糸分裂の阻害に関する。本明細書で定義されるような、望ましくない細胞の有糸分裂を特徴とする哺乳類の疾患には、内皮細胞の過剰な又は異常な刺激(たとえば、アテローム性硬化症)、固形腫瘍、腫瘍の転移、良性腫瘍、たとえば、血管腫、聴覚神経腫、神経線維腫、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常な創傷治癒、炎症性及び免疫性の障害、ベーチェット病、通風又は通風性関節炎、関節リウマチを伴う異常な血管形成、皮膚疾患、乾癬、糖尿病性網膜症及び未熟児網膜症(水晶体後線維増殖症)のようなそのほかの眼血管形成性疾患、黄斑変性症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障又はオスラーウエーバー症候群(オスラーウエーバーランデュ病)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
そのほかの望まれていない脈管形成には、排卵及び胞胚の着床を含む正常な過程が関与する。上述の組成物は、胚の着床に必要とされる子宮の血管形成を低減する又は妨害することによって避妊剤として使用することができる。従って、上述の組成物は、排卵及び胞胚の着床を阻止する又は月経を阻止する(無月経を誘導する)のに使用することができる。
【0082】
本発明に従って、血管新生を含む望ましくない有糸分裂に関連する疾患を治療することができる。そのような疾患には、血管新生眼疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障及び水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過剰装用、アトピー性角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片角膜炎乾燥症、シューグレン症候群、赤鼻、フリクテン症、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂質変性症、化学薬品火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性症、辺縁性角質溶解、外傷、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発動脈炎、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス−ジョンソン疾患、類天疱瘡、放射状角膜切開、及び角膜移植拒絶反応が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明に従って、血管新生を含む望ましくない有糸分裂に関連するそのほかの疾患を治療することができる。そのような疾患には、鎌状赤血球貧血、肉腫、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、ライム病、全身性エリテマトーデス、イール病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、スターガート病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症及びレーザー治療後の合併症が挙げられるが、これらに限定されない。そのほかの疾患には、ルベオーシスに関連する疾患(虹彩と角の血管新生)及び糖尿病に関連する又は関連しない増殖性硝子体網膜症のあらゆる形態を含む血管結合組織又は線維組織の異常増殖が原因で生じる疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明の別の態様は、内皮細胞の過剰な又は異常な刺激(たとえば、アテローム性硬化症)、固形腫瘍、腫瘍の転移、良性腫瘍、たとえば、血管腫、聴覚神経腫、神経線維腫、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常な創傷治癒、炎症性及び免疫性の障害、ベーチェット病、通風又は通風性関節炎、関節リウマチを伴う異常な血管形成、乾癬のような皮膚疾患、糖尿病性網膜症及び未熟児網膜症(水晶体後線維増殖症)のようなそのほかの眼血管形成性疾患、黄斑変性症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障又はオスラーウエーバー症候群(オスラーウエーバーランデュ病)を含むが、これらに限定されない炎症性疾患の治療に関する。そのほかの望まれていない脈管形成には、排卵及び胞胚の着床を含む正常な過程が関与する。従って、上述の組成物は、排卵及び胞胚の着床を阻止する又は月経を阻止する(無月経を誘導する)のに使用することができる。
【0085】
本発明の別の態様は、生物試料においてオーロラAの活性を阻害することに関するものであり、該方法は、生物試料を、式I、Ia若しくはIbのオーロラA阻害剤、又はその組成物に接触させることを含む。
【0086】
本発明の別の態様は、患者においてオーロラAの活性を阻害することに関するものであり、該方法は、式I、Ia若しくはIbの化合物又は前記化合物を含む組成物を患者に投与することを含む。
【0087】
本発明の別の態様では、式I、Ia又はIbの化合物は、オーロラBに比べてオーロラAのさらに強力な阻害剤である。
【0088】
本発明の別の態様は、GSK−3阻害剤によってGSK−3が介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0089】
用語「GSKが介在する疾患」又は「GSK−3が介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、GSK−3が役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態若しくは状況を意味する。そのような疾患又は状態には、これらに限定されないが、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症(MS)、統合失調症、心筋細胞肥大、再潅流/虚血、及び禿頭症が挙げられる。
【0090】
本発明の態様の1つは、それが必要な患者においてグリコーゲン合成を高め、及び/又は血糖レベルを下げる方法に関するものであり、該方法は、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を患者に投与することを含む。この方法は特に、糖尿病患者に有用である。別の方法は、過剰リン酸化されたTauタンパク質の産生を阻害することに関するものであり、それはアルツハイマー病の進行を止める又は遅らせるのに有用である。別の方法は、β−カテニンのリン酸化を阻害することに関するものであり、それは統合失調症を治療するのに有用である。
【0091】
本発明の別の態様は、生物試料においてGSK−3活性を阻害することに関するものであり、該方法は、生物試料を、式I、Ia又はIbのGSK−3阻害剤に接触させることを含む。
【0092】
本発明の別の態様は、患者においてGSK−3活性を阻害する方法に関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0093】
本発明の別の態様は、CDK−2阻害剤によってCDK−2が介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0094】
用語「CDK−2が介在する疾患」又は「CDK−2が介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、CDK−2が役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「CDK−2が介在する疾患」又は「CDK−2が介在する状態」はまた、CDK−2阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。そのような状態には、これらに限定されないが、癌、アルツハイマー病、再狭窄、脈管形成、糸球体腎炎、サイトメガロウイルス、HIV、ヘルペス、乾癬、アテローム性硬化症、脱毛症、及びたとえば、関節リウマチのような、たとえば、Fischer,P.M.and Lane,D.P.,Current Medicinal Chemistry,7,1213−1245(2000);Mani,S.,Wang,C.,Wu,K.,Francis,R.and Pestell,R.,Exp.Opin.Invest.Drugs,9,1849(2000);Fry,D.W.and Garrett,M.D.,Current Opinion in Oncologic,Endocrine & Metabolic Investigational Drugs,2,40−59(2000)に記載されたような自己免疫疾患が挙げられる。
【0095】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてCDK−2活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0096】
本発明の別の態様は、ERK−2阻害剤によってERK−2が介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0097】
用語「ERK−2が介在する疾患」又は「ERK−2が介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、ERK−2が役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「ERK−2が介在する疾患」又は「ERK−2が介在する状態」はまた、ERK−2阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。そのような状態には、これらに限定されないが、癌、卒中、糖尿病、肝腫脹、心腫脹を含む循環器疾患、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性硬化症、再狭窄、乾癬、喘息を含むアレルギー性疾患、炎症、神経疾患、及びホルモン関連疾患が挙げられる。種々の疾患におけるERK−2タンパク質キナーゼとその意味は、たとえば、Bokemeyerら.1996,Kidney Int.49,1187;Andersonら.,1990,Nature 343,651;Crewsら.,1992,Science 258,478;Bjorbaekら.,1995,J.Biol.Chem.270,18848;Rouseら.,1994,Cell 78,1027;Raingeaudら.,1996,Mol.Cell Biol.16,1247;Raingeaudら.1996;Chenら.,1993 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,10952;Oliverら.,1995,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.210,162;Moodieら.,1993,Science 260,1658;Frey and Mulder,1997,Cancer Res.57,628;Sivaramanら.,1997,J Clin.Invest.99,1478;Whelchelら.,1997,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.16,589に記載されている。
【0098】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてERK−2活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0099】
本発明の別の態様は、AKT阻害剤によってAKTが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0100】
用語「AKTが介在する疾患」又は「AKTが介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、AKTが役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「AKTが介在する疾患」又は「AKTが介在する状態」はまた、AKT阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。AKTが介在する疾患又は状態には、増殖性疾患、癌、及び神経変性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質キナーゼBとしても知られるAKTの種々の疾患との関連性は、たとえば、Khwaja,A.,Nature,pp.33−34,1990;Zang,Q.Y.ら,Oncogene,19 2000;Kazuhiko,N.ら,The Journal of Neuroscience,20 2000に記載されている。
【0101】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてAKT活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0102】
本発明の別の態様は、Src阻害剤によってSrcが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0103】
用語「Srcが介在する疾患」又は「Srcが介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、Srcが役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「Srcが介在する疾患」又は「Srcが介在する状態」はまた、Src阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。そのような状態には、これらに限定されないが、高カルシウム血症、骨粗鬆症、変形性関節症、癌、骨転移の症候性治療、及びパジェット病が挙げられる。種々の疾患におけるSrcタンパク質キナーゼとその関連性は、たとえば、Soriano,Cell,69,551(1992);Sorianoら.,Cell,64,693(1991);Takayanagi,J.Clin.Invest.,104,137(1999);Boschelli,Drugs of the Future 2000,25(7),717,(2000);Talamonti,J.Clin.Invest.,91,53(1993);Lutz,Biochem.Biophys.Res.243,503(1998);Rosen,J.Biol.Chem.,261,13754(1986);Bolen,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,2251(1987);Masaki,Hepatology,27,1257(1998);Biscardi,Adv.Cancer Res.,76,61(1999);Lynch,Leukemia,7,1416(1993);Wiener,Clin.Cancer Res.,5,2164(1999);Staley,Cell Growth Diff.,8,269(1997)に記載されている。
【0104】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてSrc活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0105】
本発明の別の態様は、Lck阻害剤によってLckが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0106】
用語「Lckが介在する疾患」又は「Lckが介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、Lckが役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「Lckが介在する疾患」又は「Lckが介在する状態」はまた、Lck阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。Lckが介在する疾患又は状態には、移植の拒絶、アレルギー、関節リウマチのような自己免疫疾患、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。Lckの種々の疾患との関連性は、たとえば、Molinaら.,Nature,357,161(1992)に記載されている。
【0107】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてLck活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0108】
本発明の別の態様は、Abl阻害剤によってAblが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0109】
用語「Ablが介在する疾患」又は「Ablが介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、Ablが役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「Ablが介在する疾患」又は「Ablが介在する状態」はまた、Abl阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。Ablが介在する疾患又は状態には、白血病、特に慢性骨髄性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。Ablの種々の疾患との関連性は、たとえば、Drukerら.,N.Engl.J.Med.2001,344,1038−1042に記載されている。
【0110】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてAbl活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0111】
本発明の別の態様は、cKit阻害剤によってcKitが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0112】
用語「cKitが介在する疾患」又は「cKitが介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、cKitが役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「cKitが介在する疾患」又は「cKitが介在する状態」はまた、cKit阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。cKitが介在する疾患又は状態には、肥満細胞症/肥満細胞白血病、消化管間質腫瘍、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、精上皮腫/未分化胚細胞腫、甲状腺癌、小細胞肺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、卵巣癌、急性骨髄性白血病、未分化大細胞リンパ腫、血管腫、子宮内膜癌、小児T細胞ALL/リンパ腫、乳癌、及び前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。cKitの種々の疾患との関連性は、たとえば、Heinrichら.,J.Clinical Oncology 2002,20,1692−1703に記載されている。
【0113】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてcKit活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0114】
本発明の別の態様は、Flt3阻害剤によってFlt3が介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0115】
用語「Flt3が介在する疾患」又は「Flt3が介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、Flt3が役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「Flt3が介在する疾患」又は「Flt3が介在する状態」はまた、Flt3阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。Flt3が介在する疾患又は状態には、急性骨髄性白血病、混合系列の白血病及びリンパ性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。Flt3の種々の疾患との関連性は、たとえば、Sternberg and Licht,Curr.Opin Hematol.2004,12,7−13に記載されている。
【0116】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてFlt3活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0117】
本発明の別の態様は、KDR阻害剤によってKDRが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0118】
用語「KDRが介在する疾患」又は「KDRが介在する状態」は、本明細書で使用されるとき、キナーゼ挿入ドメイン含有受容体(KDR)が役割を担うことが分かっている疾患又はそのほかの有害な状態を意味する。用語「KDRが介在する疾患」又は「KDRが介在する状態」はまた、KDR阻害剤による治療によって緩和されるそれら疾患又は状態も意味する。KDRが介在する疾患又は状態には、肺癌、乳癌、消化器癌、腎臓癌、膀胱癌、卵巣癌及び子宮内膜癌、多形性膠芽腫を含む頭蓋内腫瘍、散発性毛細血管血管芽細胞腫、T細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、バーキットリンパ腫及び前骨髄性白血病を含む血液系の悪性腫瘍、加齢性黄斑変性、疱疹性眼疾患、関節リウマチ、脳虚血及び子宮内膜症が挙げられるが、これらに限定されない。KDRの種々の疾患との関連性は、たとえば、Ferrara,Endocrine Reviews 2004,25,581−611に記載されている。
【0119】
本発明の別の態様は、生物試料又は患者においてKDR活性を阻害することに関するものであり、該方法は、患者に、式I、Ia若しくはIbの化合物又は上記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0120】
用語「患者」はヒト、哺乳類又は獣医対象を指す。
【0121】
用語「生物試料」は、本明細書で使用されるとき、これらに限定されないが、細胞培養物又はその抽出物;試験管内アッセイに好適な酵素の調製物;哺乳類から得られる生検物質又はその抽出物;及び血液、唾液、尿、糞便、精液、涙又はそのほかの体液又はそれらの抽出物を含む。
【0122】
タンパク質キナーゼ、例えば、オーロラAを阻害するのに有効な量は、阻害剤の非存在下での酵素活性と比べた場合、キナーゼ活性の測定可能な阻害を引き起こす量である。たとえば、以下に記載する生物学的試験例のような任意の方法を用いて阻害を判定してもよい。
【0123】
用語「薬学上許容可能なキャリア、アジュバント又はビヒクル」は、本発明の化合物と一緒に患者に投与されてもよく、その薬学活性を破壊せず、又は低減しない非毒性のキャリア、アジュバント又はビヒクルを指す。
【0124】
これらの医薬組成物で使用されてもよい薬学上許容可能なキャリアは一般に当該技術で既知である。それらには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、溶媒、塩、又は電解質、たとえば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、珪酸塩、コロイド状シリカ、三珪酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、油、糖質ポリマー、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。薬学上許容可能なビヒクルは、組成及び比が、有効期限、安定性、薬剤負荷、送達部位、解離速度、自己乳化、放出速度の制御、放出部位及び代謝を含むが、これらに限定されない製剤の所望の特徴を最適化するように選択される1を超える賦形剤の混合物を含有することができる。
【0125】
本発明の組成物は、経口で、静脈内に、皮下に、非経口で、吸入によって、局所に、直腸に、鼻内に、頬内に、膣内に、経皮で又は埋め込まれたリザーバを介して投与されてもよい。用語「非経口で」は本明細書で使用されるとき、皮下の、静脈内の、筋肉内の、関節内の、滑膜内の、胸骨内の、肝臓内の、病変内の、及び頭蓋内の注射又は点滴の技法を含む。好ましくは、組成物は、経口で、皮下に、腹腔内に、又は静脈内に投与される。
【0126】
本発明の組成物の無菌の注射形態は、水性又は油性の懸濁液であってもよい。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて当該技術で既知の技法に従ってこれらの懸濁液を製剤化してもよい。無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口で許容可能な希釈剤又は溶媒中での、たとえば、1,3−ブタンジオール溶液としての、無菌の注射用の溶液又は懸濁液であってもよい。採用されてもよい許容可能なビヒクル及び溶媒の中では、水、リンガー液及び等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒又は懸濁液の媒体として従来採用されている。この目的で、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含めてどんな銘柄の不揮発性油を採用してもよい。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、オリーブ油又はヒマシ油、特にそのポリオキシエチレン化したもののような薬学上許容可能な油は天然なので、注射用製剤で有用である。これらの油状の溶液又は懸濁液は、エマルション及び懸濁液を含む薬学上許容可能な投与形態の製剤で一般に使用される、カルボキシメチルセルロース又は類似の分散剤のような長鎖アルコールの希釈剤又は分散剤も含有してもよい。薬学上許容可能な固体、液体又はそのほかの投与形態を製造するのに一般に使用されるTween、Span及びそのほかの表面活性乳化剤又は生体利用効率増強剤のようなそのほかの一般に使用される界面活性剤も製剤化の目的で使用されてもよい。
【0127】
本発明の医薬組成物は、当該技術で既知の技法によって調製されてもよく、カプセル、錠剤、水性の懸濁液又は溶液を含むが、これらに限定されない経口で許容可能な投与形態で経口投与されてもよい。経口用途用の錠剤の場合、一般に使用されるキャリアには、セルロース、ラクトース又はコーンスターチが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤も通常添加される。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤又はキャリアには、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液又は水溶液が必要とされる場合、有効成分を乳化剤及び懸濁剤と組み合わせる。所望であれば、特定の甘味剤、風味剤又は着色剤も添加されてもよい。
【0128】
或いは、本発明の医薬組成物は、直腸投与のための座薬の形態で投与されてもよい。たとえば、室温では固形であるが、直腸温では液体であるので、直腸で融解して薬剤を放出する好適な非刺激性賦形剤と剤を混合することを含む、当該技術で既知の技法を用いてこれらを調製することができる。そのような材料には、カカオ脂、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0129】
特に、治療の標的が、眼、皮膚、気道又は下部腸管の疾患を含む局所塗布によって容易にアクセスできる領域又は臓器である場合、本発明の医薬組成物は、局所に投与されてもよい。好適な局所製剤は、当該技術の技法を用いて、これら領域又は臓器のそれぞれについて容易に調製することができる。たとえば、下部腸管への局所適用は、直腸座薬製剤(上記参照)又は好適な浣腸製剤によって達成することができる。局所の経皮貼付剤も使用してもよい。
【0130】
局所又は経皮の適用については、当該技術で既知の方法によって、1以上のキャリアに懸濁された又は溶解された活性成分を含有する好適な軟膏又は基剤にて医薬組成物が製剤化されてもよい。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアは当該技術で周知であり、それには、鉱物油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水が挙げられるが、これらに限定されない。或いは、医薬組成物は、1以上の薬学上許容可能なキャリアに懸濁された又は溶解された有効成分を含有する好適なローション又はクリームにて製剤化することができる。好適なキャリアには、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
眼科用途については、医薬組成物は、塩化ベンジルアルコニウムのような保存剤の存在下又は非存在下での等張のpHを調整した無菌生理食塩水におけるミクロン化又はナノメータ化した懸濁液として、好ましくは等張のpHを調整した無菌生理食塩水における溶液として、当該技術で既知の技法によって製剤化されてもよい。或いは、眼科用途については、医薬組成物は、ワセリンのような軟膏において製剤化されてもよい。
【0132】
本発明の医薬組成物は、鼻内エアゾール又は吸入によって投与されてもよい。そのような組成物は、医薬製剤化の技術で周知の技法に従って調製され、任意にベンジルアルコール若しくはそのほかの好適な保存剤、生体利用効率を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン及び/又はそのほかの従来の可溶化剤若しくは分散剤を用いて、生理食塩水中での懸濁液又は溶液として調製されてもよい。
【0133】
静脈内に投与されるのであれば、キャリアは、生理的生理食塩水、静菌水又はリン酸緩衝生理食塩水であることができる。
【0134】
本発明を用いて、ヒト又は動物における炎症又は免疫が介在する疾患を治療することができ、炎症又は免疫が介在する疾患には、関節リウマチ、変形性関節症、潰瘍性大腸炎、クローン病、モーレン潰瘍、関節炎、サルコイドーシス、炎症又は免疫が介在する大腸疾患、全身性狼瘡、ウエグナー症候群、スティーブンス・ジョンソン病、ベーチェット病、類天疱瘡、ライム病、喘息又は後天性免疫不全症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
本発明を用いて、ヒト又は動物における感染性疾患を治療することができ、感染性疾患には、梅毒、細菌感染症、マイコバクテリア感染症、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純性ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、マラリア、バルトネラ感染症、又はトキソプラズマ感染症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
本発明を用いて、ヒト又は動物における血液疾患又は血管疾患を治療することができ、血液疾患又は血管疾患には、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、多発動脈炎、アテローム性硬化症、オスラーウエーバーランデュ病、鎌状赤血球貧血、白血病、骨髄の急性又は慢性の腫瘍性疾患、血管腫、遺伝性出血性毛細血管拡張症、骨髄の疾患、貧血、血液凝固の損傷、又はリンパ節、肝臓又は脾臓の腫脹が挙げられるが、これらに限定されない。本発明を用いて、骨髄の慢性腫瘍性疾患を治療することができ、それらの疾患には多発性骨髄腫及び骨髄異形成症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
本発明を用いて、ヒト又は動物における皮膚の状態を治療することができ、皮膚の状態には、異常な創傷治癒、赤鼻、皮膚の化学薬品による火傷、皮膚炎又は乾癬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
さらに、本発明を用いて、種々の閉経後症候群、骨粗鬆症、循環器疾患、心筋血管形成、プラーク血管新生、血友病性関節、血管線維腫、創傷肉芽形成、腸管癒着症、強皮症、肥厚性瘢痕、すなわち、ケロイドを治療することができる。それらは、ネコ引っ掻き病やヘリコバクターピロリ潰瘍のような病理的結末としての血管形成を有する疾患の治療にも有用である。本発明を用いて、アルツハイマー病を治療し、卒中の発生を減らし、以前のエストロゲン置換療法の代替として使用することができる。本発明の化合物は、エストロゲン性の及び非エストロゲン性の生化学経路によって機能することができる。
【0139】
さらに、本発明の化合物を用いて子宮内膜症を治療することができる。子宮内膜症は、月経過程で毎月脱落する子宮の内側を覆う子宮内膜細胞と同一の細胞の異常増殖である。方向の定まらない子宮内膜細胞はそれ自体、結膜嚢(cou−de−sac)、直腸−膣の中隔、胃、卵管、卵巣及び膀胱のような領域における下部腹部に位置することができる。月経の間、正常な子宮内層は脱落し、膣から放出されるが、移動した子宮内膜組織は体外に出る手段を有さず、代わりに、子宮内膜組織と細胞はその位置に付着し、増殖する。その結果は、内部出血、炎症及び瘢痕化である。子宮内膜瘢痕化の深刻な結末の1つは、不妊である。子宮内膜の増殖は一般に悪性ではなく又は癌性でもない。そのほかの合併症の中で、増殖は、子宮内膜症を破裂させ、下部腹部の新しい領域に広げ得る。子宮内膜症は進行性疾患である。増殖又は病変は先ず、明瞭な小胞として見え、次いで赤くなり、最終的には7〜10年の期間にわたって黒色病変に進行する。
【0140】
さらに、本発明の化合物は、当業者に周知の方法によって化合物の生体利用効率を高めるように製剤化することができる。本発明の化合物を製剤化する方法及び製剤化の例は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる、「水不溶性の薬剤の製剤化」Rong Liu editor,CRC Press LLC,2000に記載されている。
【0141】
本発明の一部として熟考される製剤化には、制御された沈殿法によって及びその全体が参照によって本明細書に組み入れられる、米国特許出願、出願番号10/392,403(公開番号2004/0033267)に開示された方法によって為されるナノ粒子製剤化が挙げられるが、これに限定されない。当該技術で既知のナノ粒子のための共通する賦形剤には、水、糖ポリマー(修飾セルロース)及び洗剤のような界面活性剤、並びに任意にベンザルコニウム塩、安息香酸若しくはその塩、又はパラベンのような保存剤が挙げられる。ナノ粒子を形成することによって本明細書で開示される化合物は生体利用効率を高めている。好ましくは、本発明の化合物の粒子は、光散乱法、顕微鏡、又は当業者に周知のそのほかの適当な方法によって測定されたとき、約2ミクロン未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、又は約50nm未満の有効な平均粒度を有する。ナノ粒子調製物は、たとえば、局所投与用又は経皮投与用の懸濁液又はクリーム又は軟膏、座薬用又は経口投与用の懸濁液又は粉末又は錠剤又はカプセル又は丸薬、無菌注射製剤用及びポリマー製剤用の懸濁液を含むここで記載される多数の製剤化アプローチに組み入れることができる。
【0142】
一実施形態では、埋め込み及び微量内包送達方式を含む制御された放出製剤のような、生体からの迅速な排除に対して化合物を保護するキャリアと共に活性化合物が調製される。化合物を生分解性又は非生分解性のポリマーに組み入れて、化合物の持続する放出を可能にすることができる。薬剤が生体全体にわたって非経口で送達されるように、又は本発明を構成する化合物を伴ったポリマーを腫瘍の近傍に埋め込むことができるように、ポリマーを埋め込むことができる。制御された薬剤送達におけるポリマーの概説は、たとえば、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる「Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems」、Chasin M and Langer R (eds),New York,Marcel Dekker,1990に見い出すことができる。別の概説は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる「Handbook of Biodegradable Polymers」、D.Weseman,J.Kost and A.Domb,Taylor & Francis,1998に見出すことができる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、及びポリアクチン酸のような生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は当業者に明らかであろう。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって感染細胞を標的とするリポソームを含む)も薬学上許容可能なキャリアとして好ましい。これらは、当業者に既知の方法に従って調製されてもよい。たとえば、適当な脂質(たとえば、ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン及びコレステロール)を無機溶媒に溶解し、次いでそれを蒸発させて、容器の表面に乾燥させた脂質の薄膜を残すことによってリポソーム製剤を調製してもよい。次いで化合物の水溶液を容器に導入する。次いで容器を手で旋回させ、容器の側面から脂質物質を放し、脂質凝集物を分散させ、それによってリポソーム懸濁液を形成する。
【0143】
「薬学上許容可能な誘導体又はプロドラッグ」は、受入者に投与された際、直接的に又は間接的に、のいずれかで、本発明の化合物、又はその阻害的に活性のある代謝体又は残基を提供することが可能である、本発明の化合物の任意の薬学上許容可能な塩、エステル、アミド、エステル若しくはアミドの塩、又はそのほかの誘導体を意味する。特に好ましい誘導体又はプロドラッグは、そのような化合物が患者に投与された場合本発明の化合物の生体利用効率を高めるもの(たとえば、経口で投与された化合物がさらに容易に血液に吸収されることを可能にすることによって)、又は親種に比べて生体区画(たとえば、脳又はリンパ系)への親化合物の送達を高めるものである。
【0144】
本発明の化合物の薬学上許容可能なプロドラッグには、これらに限定されないが、本化合物の以下の誘導体:エステル、アミノ酸エステル、アミノ酸アミド、リン酸エステル、金属塩、スルホン酸エステル、カルバメート及びアミドが挙げられる。
【0145】
本発明の化合物の薬学上許容可能な塩には、薬学上許容可能な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものが挙げられる。好適な酸塩の例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられる。シュウ酸のようなそのほかの酸はそれ自体、薬学上許容可能ではないが、本発明の化合物及びその薬学上許容可能な酸付加塩を得ることにおける中間体として有用な塩の調製に採用されてもよい。
【0146】
適当な塩基に由来する塩には、アルカリ金属(たとえば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土金属(たとえば、マグネシウム)塩、アンモニウム塩及びN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明は、本明細書で開示される化合物の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。そのような四級化によって水溶性若しくは油溶性の又は水若しくは油に分散可能な生成物を得てもよい。
【0147】
本発明の化合物はまた、シクロデキストリン、非イオン性錯体、安定化非晶性固体、ガラス、固溶体、及び共沈殿物のような分子とのホスト・ゲスト錯体を含むが、これらに限定されない混合物又は錯体としても製剤化することができる。これらの製剤における化合物は個々の分子、非晶性粒子又は結晶性粒子に分散することができる。これらの製剤は、溶媒介在共沈殿、スプレー乾燥、粉砕、ホットメルト押出し及び造粒を含むが、これらに限定されない、当業者に既知の技法によって調製することができる。
【0148】
キャリア物質と組み合わせて単一投与形態を生じてもよいタンパク質キナーゼ阻害剤の量は、治療される患者及び投与の特定の方式によって異なるであろう。好ましくは、0.01〜100mg/kg体重/日の間の阻害剤の投与量が、これら組成物を受け取る患者に投与され得るように組成物を製剤化すべきである。単位投与形態当たり7〜3000mg又は70〜1400mgの有効成分を含むものを含むが、これらに限定されない好適な投与形態にて化合物は好都合に投与される。50〜1000mgの経口投与量が普通好都合である。
【0149】
特定の患者に対する特定の投与量及び治療計画は、採用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬剤の併用、及び主治医の判断及び治療される特定の疾患の重症度を含む種々の因子に左右される。阻害剤の量は組成物における特定の化合物にも左右される。
【0150】
治療される又は予防される特定のタンパク質キナーゼが介在する状態によって、通常その状態を治療する又は予防する追加の治療剤を本発明の阻害剤と一緒に投与してもよい。たとえば、癌の治療において、そのほかのキナーゼ阻害剤、化学療法剤、血管形成予防剤、制吐剤、コロニー刺激因子、又は増殖防止剤を本化合物と組み合わせて当該技術で知られる癌を治療してもよい。これらの剤には、これらに限定されないが、ベバシズマブ、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、サイクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキサン、インターフェロン及び白金誘導体が挙げられる。
【0151】
本発明の阻害剤が併用されてもよい剤のそのほかの例として、これらに限定されないが、注射又は吸入の形態でのインスリン若しくはインスリン類似体、グリタゾン、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、インスリン増感剤、及びスルホニル尿素のような糖尿病を治療する剤;コルチコステロイド、TNF遮断剤、IL−1RA、アザチオプリン、サイクロホスファミド及びスルファサラジンのような抗炎症剤;シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、マイコフェノレート、モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、サイクロホスファミド、アザチオプリン及びスルファサラジンのような免疫調節剤及び免疫抑制剤;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣剤、イオンチャンネル遮断剤、リルゾール及び抗パーキンソン剤のような神経栄養因子;β遮断剤、ACE阻害剤、利尿剤、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断剤、及びスタチンのような循環器疾患を治療するための薬剤;コルチコステロイド、コレスチアミン、インターフェロン及び抗ウイルス剤のような肝臓疾患を治療するための薬剤;コルチコステロイド、抗白血病剤及び増殖因子のような血液疾患を治療するための薬剤;ベバシズマブのような治療用抗体;並びにγ−グロブリンのような免疫不全疾患を治療するための薬剤が挙げられる。
【0152】
これらの追加の剤は、タンパク質キナーゼ阻害剤を含有する組成物とは別に投与されてもよく、又は多重投与計画の一部として投与されてもよい。或いは、これらの剤は、単一組成物における本発明のタンパク質キナーゼ阻害剤と一緒に混合される単一投与形態の一部であってもよい。
【0153】
本発明の化合物は、たとえば、以下に示す互変体のような、選択的な互変体の形態で存在してもよい。特に指示されない限り、互変体の表示はほかの互変体を含むように意味される。
【化13】

【0154】
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグを提供し:
【化14】

式中、Rは、
【化15】

であり;
Xは、N、C又はCRであり;
Yは、N、C又はCRであり;
環Aは、任意に置換される4、5又は6員環の単環式複素環の環であり;
環Bは、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、任意に置換される3〜7員環の単環式の環又は8〜10員環の二環式の環であり;
環Cは、任意に置換される3、4、5又は6員環の複素環、炭素環、アリール又はヘテロアリールの環であり;
Wは、nが0、1、2、3、4又は5である(CRであり;
は、任意に置換される単環式又は二環式のアリール環であり;
及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、又はR及びRはそれらが介在する原子と一緒になって縮合された、任意に置換される不飽和若しくは部分不飽和の、0〜3の環へテロ原子を有する環を形成し;
Rは、水素、脂肪族、アリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノである。
【0155】
式Iの一実施形態では、Rは、
【化16】

である。
【0156】
式Iの別の実施態様では、Rは、
【化17】

である。
【0157】
別の実施態様では、Rが水素又は任意に置換される脂肪族である式Iの化合物が提供される。別の実施態様では、Rはメチルである。
【0158】
式Iの別の実施態様では、Rはフェニルである。
【0159】
一実施形態では、Rは水素である。
【0160】
式Iの別の実施態様では、R及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0161】
さらにほかの実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、R及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、Rは、
【化18】

であり、環Aは、4、5又は6−員環の単環式複素環の環であり;環Bは、3〜7員環の単環式カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールの環である。
【0162】
式Iのさらに別の実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、R及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、Rは、
【化19】

であり、環Cは、4、5又は6員環の複素環、炭素環、アリール又はヘテロアリールの環であり、環Bは、3〜7員環の単環式カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールの環である。
【0163】
式Iの一部の実施態様では、環Aは置換された4員環の複素環の環である。式Iのほかの実施態様では、環Aは5又は6員環の複素環の環である。
【0164】
ほかの実施態様では、環Bは任意に置換されるアリール又はヘテロアリールの環である。ほかの実施態様では、環Bは任意に置換される炭素環の又は複素環の環である。ほかの実施態様では、環Bはアリール、たとえば、置換又は非置換のフェニルではない。
【0165】
式Iのさらに別の実施態様では、環Cは任意に置換されるアリール環又は任意に置換される炭素環の環である。
【0166】
式Iの別の実施態様では、環Cは任意に置換されるヘテロアリール又は複素環の環である。
【0167】
式Iの別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、環Aは4員環の複素環の環である。
【0168】
式Iのさらに別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、環Aは5又は6員環の複素環の環である。
【0169】
式Iのほかの実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Bは任意に置換されるヘテロシクリル又はヘテロアリールの環である。
【0170】
式Iのさらに別の実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Bは任意に置換されるアリール又は炭素環の環である。
【0171】
一部の実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは4員環の環であり、環Bは任意に置換される炭素環又はアリールの環である。
【0172】
ほかの実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは4員環の環であり、環Bは任意に置換される複素環又はヘテロアリールの環である。
【0173】
本発明のさらに別の実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Cは任意に置換されるアリール又は複素環の環であり、環Bは任意に置換される複素環又はヘテロアリールの環である。
【0174】
一部の実施態様では、Wはnが1又は2である(CRである。ほかの実施態様では、nは0である。
【0175】
ほかの実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは置換されたアゼチジン環である。
【0176】
式Iのほかの実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環である。
【0177】
式Iの別の実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Bは任意に置換されるピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、フェニル、ピリジン、フラン、インドール、ピリミジン又はホモピペリジンの環である。
【0178】
式Iの別の実施態様では、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Cは任意に置換されるフェニル、ピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環である。
【0179】
本発明の別の実施態様では、Rが任意に置換されるフェニルであり、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Aが任意に置換されるアゼチジン環であり、環Bが任意に置換される炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールの環である式Iの化合物が提供される。
【0180】
本発明の別の実施態様では、Rが任意に置換されるフェニルであり、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Aが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換される炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールの環である式Iの化合物が提供される。
【0181】
本発明の別の実施態様では、Rが任意に置換されるフェニルであり、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Cが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換される炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールの環である式Iの化合物が提供される。
【0182】
さらに別の実施態様では、Rが任意に置換されるフェニルであり、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Aが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、フェニル、ピリジン、フラン、インドール、ピリミジン又はホモピペリジンの環である式Iの化合物が提供される。
【0183】
別の実施態様は、Rが1以上のアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ及びニトロによって置換される置換フェニル基である式Iの化合物を提供する。
【0184】
本発明の別の態様では、式Iaの化合物又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグが提供され:
【化20】

式中、R、R、R及びnは上記式Iと同義である。
【0185】
式Iaの一実施形態では、Rは、
【化21】

である。
【0186】
式Iaの別の実施態様では、Rは、
【化22】

である。
【0187】
別の実施態様では、Rが水素又は任意に置換される脂肪族である式Iaの化合物が提供される。別の実施態様では、Rはメチルであり、RはHである。
【0188】
さらに別の実施態様では、R及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、Rは、
【化23】

であり、環Aは、4、5又は6−員環の単環式複素環の環であり;環Bは、3〜7員環の単環式カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールの環である。
【0189】
式Iaのさらに別の実施態様では、R及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、Rは、
【化24】

であり、環Cは、4、5又は6員環の複素環、炭素環、アリール又はヘテロアリールの環であり、環Bは、3〜7員環の単環式カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールの環である。
【0190】
式Iaの一部の実施態様では、環Aは置換された4員環の複素環の環である。式Iaのほかの実施態様では、環Aは5又は6員環の複素環の環である。
【0191】
ほかの実施態様では、環Bは任意に置換されるアリール又はヘテロアリールの環である。ほかの実施態様では、環Bは任意に置換される炭素環の又は複素環の環である。
【0192】
式Iaのさらに別の実施態様では、環Cは任意に置換されるアリール環又は任意に置換される炭素環の環である。
【0193】
式Iaの別の実施態様では、環Cは任意に置換されるヘテロアリール又は複素環の環である。
【0194】
式Iaの別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは4員環の複素環の環である。
【0195】
式Iaのさらに別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは5又は6員環の複素環の環である。
【0196】
式Iaのほかの実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Bは任意に置換されるヘテロシクリル又はヘテロアリールの環である。
【0197】
式Iaのさらに別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Bは任意に置換されるアリール又は炭素環の環である。
【0198】
式Iaの一部の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは4員環の環であり、環Bは任意に置換される炭素環又はアリールの環である。
【0199】
ほかの実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは4員環の環であり、環Bは任意に置換される複素環又はヘテロアリールの環である。
【0200】
式Iaのさらに別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Cは任意に置換されるアリール又は複素環の環であり、環Bは任意に置換される複素環又はヘテロアリールの環である。
【0201】
式Iaの一部の実施態様では、Wはnが1又は2である(CRである。ほかの実施態様では、nは0である。
【0202】
ほかの実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは任意に置換されるアゼチジン環である。
【0203】
式Iaのほかの実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Aは任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環である。
【0204】
式Iaの別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Bは任意に置換されるピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、フェニル、ピリジン、フラン、インドール、ピリミジン又はホモピペリジンの環である。
【0205】
式Iaの別の実施態様では、Rは脂肪族であり、RはHであり、環Cは任意に置換されるフェニル、ピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環である。
【0206】
本発明の別の実施態様では、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Aが任意に置換されるアゼチジン環であり、環Bが任意に置換される炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールの環である式Iaの化合物が提供される。
【0207】
本発明の別の実施態様では、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Aが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換される炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールの環である式Iaの化合物が提供される。
【0208】
本発明の別の実施態様では、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Cが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換される炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールの環である式Iaの化合物が提供される。
【0209】
さらに別の実施態様では、Rがメチルであり、RがH又は脂肪族であり、環Aが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、フェニル、ピリジン、フラン、インドール、ピリミジン又はホモピペリジンの環である式Iaの化合物が提供される。
【0210】
別の実施態様では、式Ibの化合物又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグが提供され:
【化25】

式中、Rは上記式Iと同義である。
【0211】
式Ibの一実施形態では、Rは、
【化26】

である。
【0212】
式Ibの別の実施態様では、Rは、
【化27】

である。
【0213】
式Ibの一部の実施態様では、環Aは置換された4員環複素環の環である。式Ibのほかの実施態様では、環Aは5又は6員環の複素環の環である。
【0214】
ほかの実施態様では、環Bは任意に置換されるアリール又はヘテロアリールの環である。ほかの実施態様では、環Bは任意に置換される炭素環又は複素環の環である。
【0215】
式Ibのさらに別の実施態様では、環Cは任意に置換されるアリール又は複素環の環である。
【0216】
式Ibの別の実施態様では、環Aは任意に置換されるアゼチジン環である。式Ibの別の実施態様では、環Aは任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環である。
【0217】
式Ibの一実施形態では、環Bは任意に置換されるピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、フェニル、ピリジン、ピリミジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン又はホモピペリジンの環である。
【0218】
別の実施態様では、環Cは任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はフェニルの環である。
【0219】
一部の実施態様では、Wはnが1又は2である(CRである。ほかの実施態様では、nは0である。
【0220】
本発明の別の実施態様では、環Aが任意に置換されるアゼチジン環であり、環Bが任意に置換される炭素環、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、フェニル、ピリジン、ピリミジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン又はホモピペリジンの環である式Ibの化合物が提供される。
【0221】
本発明の別の実施態様では、環Aが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換される炭素環、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、フェニル、ピリジン、ピリミジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン又はホモピペリジンの環である式Ibの化合物が提供される。
【0222】
さらに別の実施態様では、環Aが任意に置換されるピペリジン環であり、環Bが任意に置換されるピペリジン、フェニル、モルフォリン、ピリジン又はピリミジンの環である式Ibの化合物が提供される。
【0223】
本発明の別の実施態様では、環Cが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換されるピペリジン、フェニル、モルフォリン、ピリジン又はピリミジンの環である式Ibの化合物が提供される。
【0224】
本発明の別の実施態様では、環Cが任意に置換されるピロリジン、ピペリジン又はピペラジンの環であり、環Bが任意に置換されるピペリジン、モルフォリン、ピリジン又はピリミジンの環である式Ibの化合物が提供される。
【0225】
別の実施態様では、環Aは任意に置換されるピペリジン環であり、環Bは任意に置換されるピペリジン、フェニル、モルフォリン、ピリジン又はピリミジンの環である。
【0226】
さらに別の実施態様では、環Aは任意に置換されるピペリジン環又は任意に置換されるピペラジン環であり、環Bは任意に置換されるモルフォリン、フェニル、テトラヒドロフラン、ピペリジン又はホモピペリジンの環であり、Wはnが1又は2である(CRである。
【0227】
式Ibの別の実施態様では、環Bは任意に置換されるアゼチジニル環又は任意に置換されるピペリジン環であり、XはCRであり、RはOHである。
【0228】
一実施形態では、環Bは1、2又は3のハロゲン原子で置換されるフェニル環であり、その際、ハロゲン原子は同一であっても異なっていてもよい。
【0229】
式Ibの別の実施態様では、環Bは、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノから選択される1以上の置換基によって置換されるフェニル環である。
【0230】
一実施形態では、化合物は、式Iの化合物、又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグであり、式中、
Ryは、
【化28】

であり;
Xは、N、C又はCRであり;
Yは、N、C又はCRであり;
環Aは、任意に置換される4、5又は6員環の単環式複素環の環であり;
環Bは、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、任意に置換される3〜7員環の単環式の環又は8〜10員環の二環式の環であり;
環Cは、任意に置換される3、4、5又は6員環の複素環、炭素環、アリール又はヘテロアリールの環であり;
Wは、nが0、1、2、3、4又は5である(CRであり;
は、任意に置換される単環式又は二環式のアリール環であり;
及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、又はR及びRはそれらが介在する原子と一緒になって縮合された、任意に置換される不飽和若しくは部分不飽和の、0〜3の環へテロ原子を有する環を形成し;
Rは、水素、脂肪族、アリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノである。
【0231】
別の実施態様では、化合物は、式Iの化合物、又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグであり、式中、Rは、
【化29】

であり、
Xは、N、C又はCRであり;
Yは、N、C又はCRであり;
環Aは、任意に置換される4、5又は6員環の単環式複素環の環であり;
環Bは、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、任意に置換される3〜7員環の単環式の環又は8〜10員環の二環式の環であり;
Wは、nが0、1、2、3、4又は5である(CRであり;
は、任意に置換される単環式又は二環式のアリール環であり;
及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、
Rは、水素、脂肪族、アリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノである。
【0232】
式I、Ia又はIbの一実施形態では、環Aは、4、5又は6員環の単環式のヘテロシクリル又はヘテロアリールである。下位実施態様では、環Aはヘテロシクリルである。たとえば、環Aは、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びピロリジニルから成る群から選択され、それらすべては置換されてもよく、置換されなくてもよい。特定の実施態様では、環Aは置換された、たとえば、ヒドロキシ置換のピペリジニルである。
【0233】
式I、Ia又はIbの一実施形態では、環Cはアリール、たとえば、フェニルである。
【0234】
式I、Ia又はIbの一実施形態では、環Bは3、4、5、6又は7員環の単環式のカルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールの環である。たとえば、環Bは、シクロプロピル、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルフォリニル、ピリジニル、ジアジニル、テトラヒドロフラニル及びアゼパニルから成る群から選択され、それらすべては置換されてもよく、置換されなくてもよい。特定の実施態様では、環Bは、置換された、たとえば、ヒドロキシ置換のピペリジニル又はハロ置換のフェニルである。特定の実施態様では、環Bは、カルボシクリル、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。特定の実施態様では、環Bはフェニルである。ほかの実施態様では、環Bは、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、たとえば、アジリジニル、アジリニル、オキシラニル、オキシレニル、チイラニル、チイレニル、ジオキシラニル、ジアジリニル、アゼチジニル、アゼチル、オキセタニル、オキセチル、チエタニル、チエチル、ジアゼチジニル、ドキセタニル、ジオキセタニル、ジチエタニル、ジテチル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、フラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、チオフェニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、ジオキソラニル、オキサチオラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、ジチアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、チアニル、チオピラニル、ピペラジニル、ジアジニル、モルフォリニル、オキサジニル、チアジニル、ジチアニル、ジオキサニル、ジオキシニル、トリアジニル、トリオキサニル、テトラジニル、アゼパニル、ホモピペリジニル、アゼピニル、オキセパニル、ピキセピニル、チエパニル、チエピニル、ジアゼピニル又はチアゼピニルであり、それらすべては置換されてもよく、又は置換されなくてもよい。
【0235】
式I、Ia又はIbの一実施形態では、環Aは、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びピロリジニルから成る群から選択され、それらすべては置換されてもよく、置換されなくてもよく、環Bは、シクロプロピル、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルフォリニル、ピリジニル、ジアジニル、テトラヒドロフラニル及びアゼパニルから成る群から選択され、それらすべては置換されてもよく、置換されなくてもよい。
【0236】
式I、Ia又はIbの一実施形態では、Rは、
【化30】

であり、環Cはアリール、たとえば、フェニルであり、環Bはヘテロシクリル、たとえば、アゼパニルである。
【0237】
式I、Ia又はIbの一実施形態では、任意に置換される又は縮合される環のアミノ−ピラゾールは、たとえば、以下の構造から選択することができる:
【化31】

【0238】
とRは一緒になって縮合環を形成してもよいので、ピラゾール環を含有する二環式の環系を提供する。縮合環には、ベンゾ、ピリド、ピリミド、部分不飽和の6員環炭素環の環が挙げられ、上記縮合環は、任意に置換される。縮合5員環も想定され、ピロロ、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフランイミダゾリジン及びピラゾリジンが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、以下の、ピラゾール含有の二環式環系を含む式Iの化合物にて例示される:
【化32】

【0239】
/R縮合環上の置換基には、1以上の以下:−ハロ、−N(R、−C1−3アルキル、−C1−3ハロアルキル、−NO、−O(Cl−3アルキル)、−CO(C1−3アルキル)、−CN、−SO(C1−3アルキル)、−SONH、−OC(O)NH、−NHSO(C1−3アルキル)、−NHC(O)(C1−3アルキル)、−C(O)NH及び−CO(C1−3アルキル)が挙げられ、一実施形態では、C1−3アルキルはメチルである。
【0240】
式IのRが二環式である場合、任意に置換される二環式R基にはナフチル及びアントラセニルが挙げられる。
【0241】
一部の実施態様では、本発明は、Rが以下の基から選択される式Iの化合物を提供する。
【化33−1】

【化33−2】

【化33−3】

式中、置換基の側面に引かれた線は、置換基が任意の置換可能な環原子にてピリミジン環に連結できることを示す。
【0242】
式I、Ia又はIbの一部の実施態様では、Rは、
【化34−1】

【化34−2】

から選択される。
【0243】
本明細書に記載される実施態様のいずれかにて、環A、環B又は環Cはさらに、ほかの環(すなわち、環A、環B又は環C)への結合に加えて、式I、Ia又はIbのW又はピリミジン環に置換されてもよい。
【0244】
さらにほかの実施態様では、化合物は、表1の化合物、又は薬学上許容可能なその塩、誘導体若しくはプロドラッグである:
【表1】




【0245】
一実施形態では、本発明は、式I、Ia又はIbの化合物と、薬学上許容可能なキャリア、アジュバント又はビヒクルとを含む組成物を提供する。一部のそのような実施態様では、組成物は、キナーゼが介在する障害を治療する又は予防するためのものである。
【0246】
一実施形態では、キャリアは経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与又は経皮投与に好適である。
【0247】
別の実施態様では、組成物は生分解性又は非生分解性のポリマーに組み入れられる。
【0248】
さらに別の実施態様では、組成物は式I、Ia又はIbの化合物と添加物とを含む。添加物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、液体キャリア、溶質、懸濁剤、増粘剤、風味剤、ゼラチン、グリセリン、結合剤、潤滑剤、不活性の希釈剤、保存剤、界面活性剤、分散剤、生分解性ポリマー、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0249】
別の実施態様では、本発明は、キナーゼが介在する障害を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式Iの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0250】
前述の方法及び組成物の一部の態様では、障害には、オーロラA、オーロラB、CDK−2、ERK−2、AKT、Src、Lck、Abl、cKit、Flt3又はKDRが介在する。そのほかの態様では、障害には、オーロラA、Src、Lck、Abl、cKit、Flt3又はKDRが介在する。
【0251】
一実施形態では、癌を有する患者に癌の治療に有効な量の式I、Ia又はIbの化合物を投与することを含む、癌患者を治療する方法が提供される。
【0252】
別の実施態様では、癌患者を治療する方法が提供され、癌は、固形腫瘍、血液に由来する腫瘍、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、生殖泌尿器癌、食道癌、喉頭癌、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌腫、小細胞癌腫、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌腫、乳頭状癌、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝臓癌及び胆道癌、腎臓癌、骨髄障害、リンパ系障害、ホジキン病、ヘアリー細胞白血病、口腔癌(頬側)、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍及び中枢神経系の癌、又は白血病である。
【0253】
さらに別の実施態様では、望ましくない血管新生を持つ患者に、有効量の式I、Ia又はIbの化合物を含む組成物を投与することを含む、望ましくない血管新生に関連する疾患を持つ患者を治療する方法が提供される。
【0254】
別の実施態様では、望ましくない血管新生に関連する疾患は、血管新生眼疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障及び水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過剰装用、アトピー性角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片角膜炎乾燥症、シューグレン症候群、赤鼻、フリクテン症、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂質変性症、化学薬品火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性症、辺縁性角質溶解、外傷、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発動脈炎、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス−ジョンソン疾患、類天疱瘡、放射状角膜切開、又は角膜移植拒絶反応、鎌状赤血球貧血、肉腫、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、ライム病、全身性エリテマトーデス、イール病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、スターガート病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症又はレーザー治療後の合併症を含む。
【0255】
本発明の別の態様は、患者においてオーロラAの活性を阻害する方法に関するものであり、該方法は、式I、Ia若しくはIbの化合物、又は上記化合物を含む組成物を患者に投与することを含む。
【0256】
本発明の別の態様は、GSK−3阻害剤によってGSK−3が介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0257】
別の実施態様は、炎症性疾患の患者に有効量の式I、Ia又はIbの化合物を投与することを含む炎症に関連する炎症性疾患の患者を治療する方法を含む。炎症性疾患は、内皮細胞の過剰又は異常な刺激、アテローム性硬化症、血管機能異常、異常な創傷治癒、炎症性及び免疫性の障害、ベーチェット病、通風又は通風性関節炎、関節リウマチを伴う異常な血管形成、皮膚疾患、乾癬、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、水晶体後線維増殖症、黄斑変性症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障又はオスラーウエーバー症候群であってもよい。
【0258】
さらに別の実施態様では、GSK−3が介在する疾患の患者に有効量の式I、Ia又はIbの化合物を投与することを含む、GSK−3が介在する疾患の患者を治療する方法が提供される。一部の実施態様では、GSK−3が介在する疾患は、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症(MS)、統合失調症、心筋細胞肥大、再潅流/虚血、及び禿頭症である。
【0259】
一部の実施態様では、化合物は、錠剤、カプセル、トローチ、カシェ、溶液、懸濁液、エマルション、粉末、エアゾール、座薬、スプレー、芳香錠、軟膏、クリーム、ペースト、泡状物、ジェル、タンポン、ペッサリー、顆粒、ボーラス、洗口剤、又は経皮貼付剤の形態で投与される。
【0260】
本発明の態様の1つは、それが必要な患者においてグリコーゲン合成を高め、及び/又はグルコースの血中レベルを下げる方法に関するものであり、該方法は、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を患者に投与することを含む。この方法は糖尿病患者に特に有用である。別の方法は、過剰リン酸化されたTauタンパク質の産生を阻害することに関するものであり、それは、アルツハイマー病の進行を止める又は遅らせることに有用である。別の方法は、β−カテニンのリン酸化を阻害することに関するものであり、それは、統合失調症を治療するのに有用である。
【0261】
本発明の別の態様は、患者においてGSK−3活性を阻害する方法に関するものであり、該方法は、式I、Ia若しくはIbの化合物、又は上記化合物を含む組成物を患者に投与することを含む。
【0262】
本発明の別の態様は、Src阻害剤によってSrcが介在する疾患を治療する又は予防する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療が必要な患者に、治療上有効な量の式I、Ia若しくはIbの化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0263】
本発明の別の態様は、患者においてSrc活性を阻害する方法に関するものであり、該方法は、式I、Ia若しくはIbの化合物、又は上記化合物を含む組成物を患者に投与することを含む。
【0264】
別の方法は、生物試料においてオーロラA、GSK−3、又はSrcの活性を阻害することに関するものであり、該方法は、オーロラA、GSK−3、又はSrcを阻害するのに有効な量にて式I、Ia若しくはIbのオーロラA、GSK−3、若しくはSrcの阻害剤又はその医薬組成物を生物試料に接触させることを含む。
【0265】
オーロラA、GSK−3、若しくはSrcの阻害、又はそれによって緩和される疾患の治療を指向する前述の方法のそれぞれは、上述のように式I、Ia又はIbの化合物と共に実施される。
【0266】
本発明は、以下及び実施例に記載されるように本発明の化合物を調製する工程、及びそのような工程で有用な合成中間体にも関する。
【0267】
合成工程
以下のスキーム1及び2並びに実施例における実験的記載は、本発明の化合物を調製するのに使用される合成法を概略する。スキーム1及び2における変数記号は、式Iの化合物についてスキーム及び上記で記載されるとおりである。以下に概略される合成変換は、所望の反応を達成するように機能する種々の代替試薬とともに実施することができることが理解される。
【化35】

【0268】
式I、Ia又はIbの化合物は、スキーム1で示されるように合成することができ、その例は、表1によって示される。1Bが市販されていない場合、2つの工程によってアルデヒド1Aをニトリル1Bに変換することができる(Hiltonら Org. Lett.2000,2,2639に記載されたように)。先ず、エタノール中の塩酸ヒドロキシルアミンによってアルデヒドを相当するオキシムに変換する。たとえば、無水酢酸とトリエチルアミンを用いて脱離反応を介して、得られたオキシムを相当するニトリルに変換して1Bを得る。たとえば、無水エタノールと無水HClガスを用いてピンナー反応を介して、ニトリル1Bをアミジンに変換して中間体として相当するエチルアミデートを得、次いで、たとえば、メタノール性アンモニア又は塩化アンモニウム及びナトリウムメトキシドと共に塩基性条件下にてそれをアミジン1Cに変換する。たとえば、ジメチルマロネートのような試薬によって塩基性条件下にて1Cの縮合によってピリミジノン1Dを調製する。ハロゲン化試薬と塩基を用いてピリミジノン1Dを4,6−ジハロゲンピリミジン1Eに変換することができる。一実施形態では、ハロゲン化剤はPOClであり、塩基はジイソプロピルエチルアミンである。反応は、アセトニトリルのような適当な溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。3−アミノ−5−メチル−ピラゾールを含む1級アミンによってジハロゲンピリミジン1Eを置換してピリミジン1Fを得ることができる。この置換反応は、ジイソプロピルエチルアミンを含む塩基と、任意にNaIを含む触媒と共に、たとえば、ジメチルアセトアミドを含む極性の非プロトン性溶媒にて行うことができる。ジメチルアセトアミドを含む非プロトン性溶媒の原液又は高煮沸にてたとえば、4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジンを含む所望の置換複素環Rと共にピリミジン1Fを加熱することによってピリミジンIを調製する。たとえば、環Cを含むもののような異なったR基の使用は相当する生成物を提供するであろうことは当業者に明らかであろう。
【0269】
スキーム2を用いてもピリミジン類似体を調製することができる。第1の工程では、2,4,6−トリクロロピリミジン(2A)の最も反応性のハロゲンをアミノピラゾールによって置き換えてピリミジン2Bを得ることができる。反応は、DMAのような溶媒とN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような付加塩基において室温で行うことができる。第2の工程では、ハロゲンを複素環アミン基(R)によって置き換えてピリミジン2Cを得る。5Cの位置異性体が可能であり、たとえば、クロマトグラフィ又は結晶化のような標準的な精製法によって分離することができる。スキーム5の最後の工程は、スズキのカップリング条件を用いて所望のビニルボロン酸又はビニルボロン酸エステルと2Cを結合させて2Dを得る。反応は通常、パラジウム触媒と塩基と溶媒を用い、高温にて又はマイクロ波反応器にて行うことができる(スズキ反応及びそのほかの名称の反応に関する一般的な参考文献については、Laszlo Kurti, Barbara Czako “Strategic Applications of Named Reactions in Organic Synthesis” Elsevier Academic Press,NY,NY 2005を参照のこと)。
【0270】
アリールハロゲン化物及びアルケン同等物による当該技術で既知の代替カップリング反応も用いて所望の生成物を製造してもよい。たとえば、ビニルボロン酸ではなく、パラジウム触媒と好適なアリールハロゲン化物と共に、スチレンを用いて所望の生成物を製造してもよい。
【0271】
本明細書で記載されるこれらの及びそのほかの標準的な有機合成反応は、March’s“Advanced Organic Chemistry”5th Edition,Wiley−Interscience NY,NY,2001,それぞれpp.1552,1188,1652−1653及び1687に記載されている。
【化36】

【0272】
本明細書で記載される合成手順のいずれかにおいて必要な場合、適当な保護基を使用してもよい。保護基の例は、「Protective Groups in Organic Synthesis−Third Edition」(T.W.Greene,P.G.M.Wuts,Wiley−Interscience,New York,NY,1999)を含む文献に見出すことができる。説明を目的として提供され、本発明を限定することを意図するものではない以下の実施例を参照して本発明をさらに容易に理解することができるであろう。
実施例
【0273】
実施例では以下の略記が使用される。
ATP:アデノシン三リン酸
ACN:アセトニトリル
Brij35:ポリエチレングリコールドデシルエーテル
℃:摂氏度
DMEM:ダルベッコの改変イーグル培地
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DTT:ジチオスレイトール
EtOAc:酢酸エチル
g:グラム
h:時間
NMR:プロトン核磁気共鳴
HEPES:4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸
Hz:ヘルツ
hplc:高速液体クロマトグラフィ
IC50値:測定された活性にて50%低下を引き起こす阻害剤の濃度
mg:ミリグラム
MHz:メガヘルツ
mL:ミリリットル
mmol:ミリモル
MS:質量スペクトル
M/e:質量対電荷比
Pz:任意に修飾された又は置換された又は縮合されたピラゾール環系
Pet ether:石油エーテル
ppt:沈殿
Rf:前に対する比(物質によって進む距離/溶媒によって進む距離の比)
SRB:スルホオルソアミン−B
TCA:トリクロロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
tlc:薄層クロマトグラフィ
br:広い
s:単一
d:二重項
t:三重項
q:四重項
dd:二重項の二重項
m:多重項
J:カップリング定数
RT:室温
δ:100万分の1
本明細書で使用される追加の略記は、The ACS Style Guide.3rd Edition Edited by Anne M.Coghill and Lorrin Garson.Oxford University Press,New York.2006.xiv+430 pp.18×20.5cm.ISBN 13:978−0−8412−3999−9に記載されている。
【0274】
中間体1F−1の調製
中間体1B−1(R=フェニル)に相当する市販のシナモンニトリルで出発することを除いて、スキーム1に記載された一般論に従って中間体1F−1(R=フェニル、R=Me、R=H、X’=Cl)を合成した。無水トルエン(1.19L)と無水エタノール(287mL、0.91モル、9当量)にシナモンニトリル(70g)を溶解した。得られた透明な溶液を−5℃に冷却し、無水HClガスを2時間穏やかに吹き込み、その後、反応物を封止し、0℃にて15時間撹拌した。60〜65℃にて真空下で乾燥するまで混合物を濃縮し、〜1000mLのヘキサンで固形物を粉にすることによって反応物を後処理した。白色のpptを真空濾過によって単離し、O−エチルイミデートHCl塩(100mg):H−NMR(200MHz,DMSO−D):11.63(2H,bs),7.98(1H,d,J=16.2Hz),7.73−7.32(5H,m),7.01(1H,d,J=16.2Hz),4.46(2H,q),1.41(3H,t,J=5.2Hz)を得た。エタノール(500mL)中のO−エチルイミデートHCl塩(100g)を0℃に冷却し、無水アンモニア(204mL、7N、0.30モル)のメタノール溶液を加えた。混合物を室温にて12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた半固体を無水MeOH(〜1000mL)に懸濁し、MeOH中1.25NのHClによって酸性化した。混合物を減圧下で濃縮し、粗精製のHCl塩を得た。その物質を無水EtOH(〜1500mL)に懸濁し、固形NHClを濾過した。濾液を濃縮して中間体1C−1(R=フェニル、80g、89%);H−NMR(200MHz,DMSO−D):9.32(2H,bs),8.84(2H,bs),7.97(1H,d,J=16.2Hz),7.62−7.44(5H,m),6.81(1H,d,J=16.2Hz);M+147(100%,m/z).を得た。
【0275】
室温にてメタノール(80mL)中の中間体1C−1(80g)にマロン酸ジメチル(80mL、1.1当量)を加えた。混合物を0℃に冷却し、10分間かけてNaOCH(44g、4.4当量)をゆっくり加えた。淡黄色−白色の溶液を90℃に加熱し、4時間還流した。反応物をrtに冷却し、溶媒を減圧下にて乾燥するまで除いた。粗生成物を水で希釈し、1NのHClでpH=2〜3に酸性化した。真空濾過によって黄色のpptを回収し、〜1200mLの水、次いでエーテル(〜1200mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて中間体1D−1(R=フェニル、70g、60%);H−NMR(200MHz,DMSO−D):11.62(2H,bs),7.87(1H,d,J=16.2Hz),7.60−7.41(5H,m),6.85(1H,d,J=16.2Hz),5.22(1H,s);M+215(100%,m/z)を得た。
【0276】
POClの600mL部分に中間体1D−1(70g)をゆっくり加えた。混合物を100℃にて4〜6時間撹拌した。60℃にて、乾燥するまで減圧下で反応混合物を濃縮した。黄色の残留物を酢酸エチル(2000mL)に再懸濁し、氷水(1000mL)に慎重に注ぎ、混合物を10分間激しく撹拌した。層を分離し、有機層を1NのHCl(100mLで3回)、ブライン(1000mLで2回)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥させて1E−1(R=フェニル、X’=Cl、70g、85%);H−NMR(200MHz,DMSO−D):7.96(1H,d,J=16.2Hz),7.80(2H,m),7.45−7.21(5H,m);M+250.9,252.9(100%,m/z)を得た。
【0277】
中間体1E−1(70g、0.2278モル)の無水DMA(400mL)溶液に、5−メチル−3−アミノピラゾール(32.50g、0.334モル)とNaI(62.33g、0.418モル)とDIPEA(54g、1.48モル)を加え、TLCによって反応を完了するまで混合物を50℃で撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、酢酸エチルと水で希釈した。有機層を分離し、水(2000mL)、NaHCO(飽和300mLで2回)、ブライン(300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。迅速に撹拌しながら、半固体をDCM:ヘキサン(600mL、1:1の比)に再懸濁することによって最終生成物を単離し、真空濾過によって、得られたpptを単離し、DCM:ヘキサン(100mL、1:1の比)で洗浄し、高真空下で乾燥させて中間体1F−1(50g、57%);H−NMR(200MHz,DMSO−D):12.12(1H,s),10.18(1H,s),7.83(1H,d,J=16.2Hz),7.71(3H,m),7.45−7.33(3H,m),7.12(1H,d,J=16.2Hz),6.22(1H,bs),2.21(3H,s);M+312(100%,m/z)を得た。
【0278】
実施例1:(E)−6−(3−(4−メトキシピペリジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化37】

中間体1F−1(106.5mg、0.34ミリモル)をN,N−ジメチルアセトアミド(5mL、無水)に溶解し、次いで1−(3−アゼチジニル)−4−メトキシピペリジン2HCl(241mg、0.99ミリモル、2.5当量)とジ−ジイソプロピルエチルアミン(333μL、1.92ミリモル、5.6当量)を加えた。アルゴンのもと、100℃にて18時間混合物を加熱した。反応物をRTに冷却し、水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mLで3回)で洗浄した。合わせた有機層をNaHCO(飽和、30mLで2回)、ブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を濾過し、減圧下で溶媒を除いた。CHCl:MeOHの勾配(0.5%〜10%のMeOH)によるISCOコンビフラッシュシリカカラムを用いて生成物を精製し、(E)−6−(3−(4−メトキシピペリジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン、54mg(収率38%)を得た。H−NMR(300 MHz,CDCl)δ7.78(1H,br s),7.82(1H,d,J=16Hz),7.60−7.57(2H,m),7.39−7.24(3H,m),6.99(1H,d,J=16Hz),5.92(2H,s),4.12−3.99(2H,m),3.95−3.83(2H,m),3.32(3H,s),3.29−3.18(1H,m),2.71−2.57(2H,m),2.24(3H,s),2.15−2.02(2H,m),1.96−1.83(2H,m),1.67−1.53(2H,m)。
【0279】
実施例2:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−ピロリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化38】

上記の手順(この場合、ジイソプロピルエチルアミンを加えなかった)を用いて、中間体4(100mg、0.32ミリモル)と4−(1−ピロリジニル)ピペリジン(148mg、0.96ミリモル)から37%の収率(51mg)にてN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−ピロリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した。H−NMR(300MHz,CDCl):7.83(1H,d,J=15.9Hz),7.60(2H,d,J=7.0Hz),7.42−7.29(3H,m),6.99(1H,d,J=15.9Hz),6.46(1H,bs),5.88(1H,bs),4.51(2H,d,J=13.2Hz),2.98−2.82(6H,m),2.71(1H,bs),2.32(3H,s),2.16−2.03(2H,m),1.95(4H,m),1.81−1.62(2H,m)。
【0280】
実施例3:(E)−3−シクロプロピル−1−(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)アゼチジン−3−オール
【化39】

上記の手順(iPrOHが反応溶媒だった)を用いて、中間体4(152mg、0.48ミリモル)と3−シクロプロピルアゼチジン−3−オール塩酸塩(108mg、0.72ミリモル)から収率61%(113mg)にて(E)−3−シクロプロピル−1−(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)アゼチジン−3−オールを調製した。クロマトグラフィを省略し、最終精製は、酢酸エチルとヘキサンによる沈殿によって達成した。H−NMR(300MHz,CDCl)δ7.79(1H,d,J=16Hz),7.60−7.53(2H,m),7.40−7.26(3H,m),6.94(1H,d,J=16Hz),6.08−5.87(2H,m),3.94−3.76(4H,m),2.27(3H,s),1.31−1.17(1H,m),0.58−0.46(2H,m),0.46−0.36(2H,m)。
【0281】
実施例4:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化40】

上記の手順(この場合、ジイソプロピルエチルアミンは添加しなかった)を用いて、中間体4(100mg、0.32ミリモル)と1−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン(176mg、0.96ミリモル)から26%の収率(39mg)にてN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した。H−NMR(300MHz,CDCl):9.65(1H,bs),7.83(1H,d,J=15.9Hz),7.60(2H,d,J=7.0Hz),7.41−7.30(3H,m),7.07(1H,bs),6.99(1H,d,J=15.9Hz),6.41(1H,bs),5.89(1H,bs),3.68(4H,m),2.95(2H,d,J=11.6Hz),2.64(4H,t,J=4.8Hz),2.32(3H,s),2.30(3H,s),2.10−1.90(2H,m),1.89−1.76(2H,m),1.75−1.58(2H,m)。
【0282】
実施例5:(E)−6−(1,4’−ビピペリジン−1’−イル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化41】

上記の手順(この場合、ジイソプロピルエチルアミンは添加しなかった)を用いて、中間体4(100mg、0.32ミリモル)と4−ピペリジノピペリジン(162mg、0.96ミリモル)から収率53%(76mg)にてN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−ピペリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した。H−NMR(300MHz,CDCl):7.84(1H,d,J=15.9Hz),7.63(2H,d,J=6.8Hz),7.41−7.30(3H,m),7.00(1H,d,J=15.9Hz),6.78(1H,bs),6.40(1H,bs),5.88(1H,bs),4.55(2H,d,J=12.9Hz),2.87(2H,t,J=11.5Hz),2.55(5H,m),2.33(3H,s),1.93(2H,d,J=12.7Hz),1.75−1.40(8H,m)。
【0283】
実施例6:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化42】

上記の手順を用いて、中間体4と4−フェニルピペリジン(88.6mg、0.5ミリモル)からN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを得た(20mg、16%)。H−NMR(300MHz,CDCl):7.89(1H,d,J=16.2Hz),7.63(2H,d,J=7Hz),7.43−7.3(5H,m),7.27(3H,t,J=6Hz),7.19(1H,bs),7.05(1H,d,J=16.2Hz),6.45(1H,bs),5.9(1H,s),4.52(2H,d,J=7Hz),3.03(1H,b),2.97(2H,s),2.80(1H,b),2.33(4H,s),2.21(3H,s),1.99(2H,b),1.82(2H,b)
【0284】
実施例7:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−モルフォリノピペリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化43】

上記の手順(この場合、ジイソプロピルエチルアミンは添加しなかった)を用いて、中間体4(100mg、0.32ミリモル)と4−モルフォリノピペリジン(164mg、0.96ミリモル)から収率62%(88mg)にてN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−モルフォリノピペリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した。H−NMR(300MHz,CDCl):10.10(1H,bs),7.84(1H,d,J=15.9Hz),7.60(2H,d,J=7.3Hz),7.78(1H,bs),7.43−7.29(3H,m),7.00(1H,d,J=15.9Hz),6.41(1H,bs),5.95(1H,bs),4.47(2H,d,J=12.9Hz),3.71(4H,m),2.84(2H,t,J=11.8Hz),2.55(4H,m),2.43(1H,t,J=11.2Hz),2.31(3H,s),1.91(2H,d,J=12.1Hz),1.58−1.38(2H,m)。
【0285】
実施例8:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化44】

上記の手順を用いて、中間体4とフェニルピペリジン(188mg、1ミリモル)からN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを得た(70mg、15.9%)−反応は1ミリモルのスケールで行った。H−NMR(300MHz,CDCl):7.91(1H,d,J=16Hz),7.79(1H,広い),7.60(2H,d,J=7Hz),7.45−7.33(3H,m),7.29−7.23(3H,m),7.08(1H,d,J=16.2Hz),6.95(2H,t,J=7Hz),6.89(1H,d,J=7Hz),6.47(1H,bs),5.9(1H,s),3.80(4H,t,J=7.0Hz),3.25(4H,t,J=5.0Hz),2.35(3H,s)。
【0286】
実施例9:(E)−6−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化45】

上記の手順を用いて、中間体4と1−シクロヘキシルピペラジン(185.1、1.1ミリモル)からN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを得た(70mg、31.6%)。H−NMR(300MHz,DMSO−D):11.95(1H,s),9.19(1H,s),7.75(1H,d,J=16Hz),7.65(2H,d,J=7Hz),7.45−7.33(3H,m),6.95(1H,d,J=16.0Hz),6.65(1H,bs),6.00(1H,s),3.55(4H,s),2.60(4H,s),2.21(3H,s),1.80(4H,b),1.60(1H,b),1.35(4H,b)。
【0287】
実施例10:(E)−4−(4−(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ベンゼンニトリル
【化46】

上記の手順を用いて、中間体4と4−ピペラジノベンゾニトリル(102.8mg、0.5ミリモル)から4−(4−(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ベンゼンニトリルを得た(69.9mg、30.2%)。H−NMR(300MHz,CDCl):7.89(1H,d,J=16.2Hz),7.63(2H,d,J=7Hz),7.55(2H,d,J=9Hz),7.43−7.33(3H,m),7.05(1H,d,J=16.2Hz),6.97(1H,bs),6.9(2H,d,J=9Hz),6.47(1H,bs),5.9(1H,s),3.80−3.70(4H,m),3.65−3.45(4H,m),2.42(4H,s),2.21(3H,s)。
【0288】
実施例11:(E)−4−(4−クロロフェニル)−1−(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)ピペリジン−4−オール
【化47】

上記の手順を用いて、中間体4と4−(4−クロロフェニル)ピペリジン−4−オールから(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)−4−(4−クロロフェニル)ピペリジン−4−オール(120mg、60%)を得た(120mg、60%)。H−NMR(300MHz,CDCl7.85(1H,d,J=16.1Hz),7.60(2H,d,J=7Hz),7.45−7.3(6H,m),7.05(1H,d,J=16.3Hz),6.95(2H,d,J=5.2Hz),6.55(1H,bs),5.95(1H,bs),5.05(1H,bs),4.45(2H,d,J=13.23Hz),3.40(2H,t,J=10.6Hz),2.30(3H,s),2.08(3H,m),1.85(4H,m)。
【0289】
実施例12:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化48】

上記の手順を用いて、中間体4と1−(4−ニトロフェニル)ピペラジンからN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを得た(120mg、60%)。H−NMR(300MHz,DMSO−D11.95(1H,s),9.25(1H,s),8.10(2H,d,J=9.4Hz),7.78(1H,d,J=16Hz),7.65(2H,d,J=7.1Hz),7.48−7.32(3H,m),7.05(2H,d,J=9.5Hz),6.95(1H,d,J=16.3Hz),6.65(1H,bs),6.05(1H,bs),3.78(4H,m),3.68(4H,m),2.20(3H,s)。
【0290】
実施例13:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−(2−モルフォリノエチル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化49】

上記の手順(この場合、ジイソプロピルエチルアミンは添加しなかった)を用いて、中間体4(99.2mg、0.32ミリモル)と1−[2−(モルフォリン−4−イル)エチル]ピペラジン(191mg、0.96ミリモル)から55%の収率(84mg)にて(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−(2−モルフォリノエチル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した。H−NMR(300MHz,CDCl)δ7.91(1H,br s),7.83(1H,d,J=15.5Hz),7.61−7.54(2H,m),7.42−7.24(3H,m),7.0(1H,d,J=16Hz),6.39(1H,br s),5.95(1H,s),3.73−3.65(4H,m),3.65−3.57(4H,m),2.58−2.48(8H,m),2.48−2.42(4H,m),2.27(3H,s)。
【0291】
実施例14:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化50】

上記の手順を用いて、中間体4(156mg、0.5ミリモル)と1−(2−ピリジル)ピペラジン(84mg、0.5ミリモル)からN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した(35mg、16%)。H−NMR(300MHz,CDCl):8.22(1H,d,J=3Hz),7.95(1H,広い),7.85(1H,d,J=16.2Hz),7.60(2H,d,J=7Hz),7.43(1H,t,J=7Hz),),7.45−7.33(3H,m),7.12(1H,d,J=16.2Hz),6.65(2H,t,J=7Hz),6.4(1H,bs),5.9(1H,s),3.76(4H,dd,J=6.0,3.0Hz),3.65(4H,dd,J=3.0,4.0Hz),2.21(3H,s).
【0292】
実施例15:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(3−モルフォリノアゼチジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化51】

上記の手順を用いて、中間体4と4−(アゼチジン−3−イル)モルフォリン2HCl(107.5mg、0.5ミリモル)からN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(3−モルフォリノアゼチジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した(19.2mg、9.2%)。H−NMR(300MHz,CDCl):7.85(1H,d,J=16.2Hz),7.65(1H,bs),7.60(2H,d,J=7Hz),7.4−7.33(3H,m),7.12(1H,d,J=16.2Hz),5.9(2H,d,J=9Hz),4.10(2H,t,J=7Hz),3.95(2H,t,J=7Hz),3.80−3.70(4H,m),3.35−3.25(1H,m),2.42(4H,s),2.21(3H,s)。
【0293】
実施例18:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(3−ピペリジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化52】

上記の手順を用いて、中間体4と1−(アゼチジン−3−イル)ピペリジンからN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(3−ピペリジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した(120mg、60%)。H−NMR(300MHz,CDCl,):7.86(1H,d,J=16.04Hz),7.60(2H,d,J=7.1Hz),7.41−7.32(3H,m),7.02(1H,d,J=16.1Hz),6.95(1H,bs),5.95(1H,bs),5.89(1H,s)4.15(2H,t,8Hz),3.95(1H,t,J=8Hz),3.30(1H,dd,J=5.3Hz),2.42(4H,m),2.30(3H,s),1.65(4H,m),1.48(2H,m)。
【0294】
実施例21:(E)−1−(1−(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)アゼチジン−3−イル)ピペリジン−4−オール
【化53】

上記の手順を用いて、中間体4(99.2mg、0.32ミリモル)と1−(3−アゼチジニル)−4−ピペリジノール2HCl(220mg、0.96ミリモル)から39%の収率(54mg)にて(E)−1−(1−(6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−2−スチリルピリミジン−4−イル)アゼチジン−3−イル)ピペリジン−4−オールを調製した。H−NMR(300MHz,CDCl)δ7.81(1H,d,J=16Hz),7.75(1H,br s),7.60−7.52(2H,m),7.39−7.25(3H,m),6.98(1H,d,J=16Hz),5.90(1H,br s),4.10−3.99(2H,m),3.94−3.83(2H,m),3.77−3.66(1H,m),3.29−3.27(1H,m),2.73−2.60(3H,m),2.24(3H,s),2.13−1.98(2H,m),1.95−1.81(2H,m),1.66−1.50(2H,m)。
【0295】
実施例22:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化54】

上記の手順を用いて、中間体4と1−(ピリジン−4−イル)ピペラジンからN−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(4−ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した(20mg、9.1%)。H−NMR(300MHz,DMSO−D):11.95(1H,s),9.19(1H,s),8.20(2H,d,J=7Hz),7.75(1H,d,J=16Hz),7.66(2H,d,J=7Hz),7.45−7.33(3H,m),6.95(1H,d,J=16.0Hz),6.86(2H,d,J=7Hz),6.70(1H,b),3.73(4H,bs),3.50(4H,s),2.21(3H,s)。
【0296】
実施例23:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(3−ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン
【化55】

上記の手順を用いて、中間体4と1−(ピロリジン−3−イル)ピペリジンから(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−6−(3−ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミンを調製した(107mg、57%)。H−NMR(300MHz,CDCl,):7.86(1H,d,J=16.1Hz),7.62(2H,d,J=9.2Hz),7.41−7.35(3H,m),7.05(1H,d,J=16.2Hz),6.91(1H,bs),6.01(1H,bs),5.95(1H,s),3.45(1H,m),3.35(1H,t,J=6.2Hz),2.45(1H,m),2.52(4H,m),2.32(3H,s),2.29(1H,m),2.0−1.85(2H,m),1.65(4H,m),1.45(2H,m),1.28(1H,d,J=2.2Hz),0.85(1H,dd,J=6Hz)。
【0297】
実施例24:(E)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−2−スチリル−6−(4−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ピリミジン−4−アミン
【化56】

実施例7と同様の一般的な手順を用いた。中間体4と1−テトラヒドロ−2−フリルメチルピペラジン(0.86mg、0.5ミリモル)との間の反応から生成物を得た。後処理とクロマト分画精製によって6−(4−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−2−スチリルピリミジン−4−アミン(14mg、6.5%)を得た。H−NMR(300MHz,CDCl):7.89(1H,d,J=16.2Hz),7.63(2H,d,J=7Hz),7.43−7.3(3H,m),7.05(1H,d,J=16.2Hz),6.39(1H,bs),5.90(1H,s),4.10(1H,m),3.90(1H,m),3.70(4H,s),2.60(4H,s),2.51(1H,d,J=7Hz),2.30(3H,s),2.00(1H,m),1.91(2H,m),1.50(1H,m)。
【0298】
生物学的試験
生物学的試験例1:オーロラA(オーロラ2)の阻害アッセイ
PanVera Z’−Lyteキナーゼアッセイキット−Ser/Thr 1ペプチド(カリフォルニア州、カールスバッドのインビトロゲン)を用いて、組換えオーロラA(Upstate, Lake Placid, NY)に対するその効能について化合物を調べた。アッセイは、キナーゼアッセイ緩衝液(50mMのHEPES、pH7.5、10mMのMgCl、5mMのEGTA、0.05%のBrij35、2mMのDTT)で行った。試験化合物は最初に100×の高い試験濃度でDMSOに溶解し、次いでキナーゼアッセイ緩衝液にて4×の試験濃度に連続希釈した。次に、オーロラA(最終濃度200〜500ng/mL)と、Z’−LyteSer/Thr1ペプチド(最終濃度2μM)とATP(最終濃度10μM)を製造元の指示書に従って加えた。アッセイは、最終容量20μLにてハーフエリア96穴白色ポリスチレンアッセイプレート(ニューヨーク州コーニング、Corning)において行った。反応は暗所にて室温で1時間進め、その時点で、製造元の指示書に従って発色試薬と停止試薬を加えた。SpectraFluor Plus plate reader(ノースカロライナ州、ダラム、Tecan)にてクマリン(Ex.400nm,Em,465nm)及びフルオレセイン(Ex,400nm、Em,565nm)の蛍光値を測定した。放出比(クマリン/フルオレセイン)を決定し、各ウェルについて%リン酸化を算出するのに用いた。基質を含有するが、キナーゼを含有しないウェル及びホスホペプチド対照を含有するウェルをそれぞれ用いて、0%及び100%のリン酸化の値を設定した。通常、阻害剤なしのウェルでは、基質の20〜40%がリン酸化された。相対的なオーロラA活性対阻害剤の濃度の用量反応曲線をGrafit(Erithacus Software,Horley,Surrey,UK)によってプロットした。
【0299】
上述の方法を用いて本発明の化合物がオーロラAを阻害することが示された。たとえば、化合物1、2、3、4、5、7、9、13、14、15、16、18、21、22、23、24及び30は、このアッセイで100nM以下のIC50値を有することが示され、化合物6、8、10、11及び12は、このアッセイで100nMを超えて1μM以下のIC50値を有することが示された。
【0300】
生物学的試験例2:オーロラB(オーロラ1)の阻害アッセイ
オーロラBキナーゼの阻害についてのアッセイは、以下の改変と共に、オーロラAキナーゼ(上記参照)についてのものと同様に行った。オーロラBキナーゼ(カリフォルニア州、サンディエゴ、BPS Biosciences)を2.5μg/mLの濃度にて酵素として用いた。ATPの濃度は50μMであり、キナーゼ反応は16時間進行させた。オルトバナジウム酸ナトリウム(20μM)を緩衝液に加えて混入するホスファターゼを阻害した。上述の方法を用いて本発明の化合物がオーロラBを阻害することが示された。たとえば、化合物3及び7は、このアッセイで100nM以下のIC50値を有することが示され、化合物1、2、5、9、13、15、18、21、22、23及び24は、このアッセイで100nMを超えて1μM以下のIC50値を有することが示された。
【0301】
生物学的試験例3:Srcキナーゼの阻害アッセイ
N末端にHisのタグを付けたヒトSrc(バージニア州、シャーロッツビル、フォレストストリート706、UpstateUSA社)を用いてSrcキナーゼ阻害活性について化合物をアッセイした。上記Srcキナーゼ(5〜10mU)と、8mMのMOPS(3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸)pH7.0と、0.2mMのEDTA(エチレンジアミン三酢酸)と、250μMのアミノ酸配列KVEKIGEGTYGVVYK(バージニア州、シャーロッツビル、フォレストストリート706、UpstateUSA社)と、10mMの酢酸マグネシウムと、[γ−33P−ATP](約500cpm/pmolの比活性、必要に応じた濃度)の溶液をインキュベートすることによって、最終反応容量25μLにて連続希釈した化合物をアッセイした。酢酸マグネシウムと[γ−33P−ATP]の混合物を添加することによって反応を開始させた。室温にて40分間インキュベートした後、3%のリン酸溶液5μLを添加することによって反応を止めた。次いで10μLの反応物アリコートでP30フィルターマット(マサチューセッツ州、ウエルズリーのパーキンエルマー)上にスポットを作り、75mMのリン酸にて5分間で3回及びメタノールにて1回洗浄し、その後、乾燥させてシンチレーションカウントを行った。阻害剤を含有しないアッセイと比較することによってSrc活性の阻害を判定した。たとえば、化合物1、2、3、4、5、7、9、13、15、18、21、22、23、24及び30は、このアッセイで100nM以下のIC50値を有することが示され、化合物8、10、11、12、14及び16は、このアッセイで100nMを超えて1μM以下のIC50値を有することが示された。
【0302】
生物学的試験例4:Flt3キナーゼの阻害アッセイ
N末端にGSTタグを付けた組換えヒトFlt3の残基564−末端(バージニア州、シャーロッツビル、フォレストストリート706、UpstateUSA社)を用いてFlt3キナーゼの阻害活性について化合物をアッセイした。上記Flt3キナーゼ(5〜10mU)と、8mMのMOPS(3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸)pH7.0と、0.2mMのEDTA(エチレンジアミン三酢酸)と、50μMのアミノ酸配列EAIYAAPFAKKK(バージニア州、シャーロッツビル、フォレストストリート706、UpstateUSA社)と、10mMの酢酸マグネシウムと、[γ−33P−ATP](約500cpm/pmolの比活性、必要に応じた濃度)の溶液をインキュベートすることによって、最終反応容量25μLにて連続希釈した化合物をアッセイした。酢酸マグネシウムと[γ−33P−ATP]の混合物を添加することによって反応を開始させた。室温にて40分間インキュベートした後、3%のリン酸溶液5μLを添加することによって反応を止めた。次いで10μLの反応物アリコートでP30フィルターマット(マサチューセッツ州、ウエルズリーのパーキンエルマー)上にスポットを作り、75mMのリン酸にて5分間で3回及びメタノールにて1回洗浄し、その後、乾燥させてシンチレーションカウントを行った。阻害剤を含有しないアッセイと比較することによってFlt3活性の阻害を判定した。上述の方法を用いて本発明の化合物がFlt3キナーゼを阻害することが示された。たとえば、化合物1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、21、22、23、24及び30は、このアッセイで100nM以下のIC50値を有することが示され、化合物6は、このアッセイで100nMを超えて1μM以下のIC50値を有することが示された。
【0303】
生物学的試験例5:KDRキナーゼの阻害アッセイ
N末端にHis−タグを付けた組換えヒトKDRの残基790−末端(バージニア州、シャーロッツビル、フォレストストリート706、UpstateUSA社)を用いてKDRキナーゼの阻害活性について化合物をアッセイした。上記KDRキナーゼ(5〜10mU)と、8mMのMOPS(3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸)pH7.0と、0.2mMのEDTA(エチレンジアミン三酢酸)と、0.33mg/mLのミエリン塩基性タンパク質(バージニア州、シャーロッツビル、フォレストストリート706、UpstateUSA社)と、10mMの酢酸マグネシウムと、[γ−33P−ATP](約500cpm/pmolの比活性、必要に応じた濃度)の溶液をインキュベートすることによって、最終反応容量25μLにて連続希釈した化合物をアッセイした。酢酸マグネシウムと[γ−33P−ATP]の混合物を添加することによって反応を開始させた。室温にて40分間インキュベートした後、3%のリン酸溶液5μLを添加することによって反応を止めた。次いで10μLの反応物アリコートでP30フィルターマット(マサチューセッツ州、ウエルズリーのパーキンエルマー)上にスポットを作り、75mMのリン酸にて5分間で3回及びメタノールにて1回洗浄し、その後、乾燥させてシンチレーションカウントを行った。阻害剤を含有しないアッセイと比較することによってKDR活性の阻害を判定した。上述の方法を用いて本発明の化合物がKDRキナーゼを阻害することが示された。たとえば、化合物1、2、3、4、5、7、9、12、13、15、18、21、22、23、24及び30は、このアッセイで100nM以下のIC50値を有することが示され、化合物10、14及び16は、このアッセイで100nMを超えて1μM以下のIC50値を有することが示された。
【0304】
生物学的試験例6:全細胞の細胞傷害性アッセイ:スルホローダミンB
(参照:開発治療プログラムNCI/NIH;http://dtp.nci.nih.gov/branches/btb/ivclsp.html)
10%ウシ胎児血清と2mMのL−グルタミンを含有するDMEMにてウェル当たり500個のHTC116細胞又は1000個のMCF7細胞の密度にてヒト腫瘍由来の細胞株、HCT116又はMCF7(ATCC)を90穴プレートに入れ、37℃、5%COにて24時間インキュベートした後、実験化合物を添加した。2つ組プレートに指示された連続希釈を用いて化合物を添加し、培地に化合物を加えて細胞を96時間インキュベートした。化合物を添加した時点で追加のプレートを10%TCAにて固定し、薬剤添加時、時間ゼロでの細胞集団の測定を提供した。96時間のインキュベートに続いて、培養培地を穏やかに吸引し、次いでウェル当たり50μLの氷冷10%TCAを添加し、4℃にて60分間インキュベートすることによって細胞をその場で固定した。プレートを水道水で5回洗浄し、5分間風乾した。1%(v/v)酢酸中の0.4%(w/v)スルホローダミンB溶液をウェル当たり50μL加え、室温にて細胞を30分間インキュベートした。染色に続いて、プレートを1%酢酸で4回洗浄し、未結合の色素を取り除き、次いで5分間風乾した。ウェル当たり100μLの10mMのトリスpH10.5によって染色を可溶化し、軌道ローターに5分間載せた。570nmにて吸光度を読み取った。時間ゼロのプレート(Tz)及び対照(C)として化合物なしの培地での細胞増殖を含む連続希釈プレート(C)から読み取った吸光度を用いて、以下の式を用いて増殖比率を算出した:
Ti>/=Tzについての濃度については、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100
Ti<Tzについての濃度については、[(Ti−Tz)/Tz]×100
【0305】
各実験剤について3つの用量反応パラメータを算出した。50%の増殖阻害(GI50)は、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100=50から算出したが、それは、薬剤インキュベートの間、対照細胞における正味のタンパク質増加(SRB染色で測定したとき)で50%の低下を生じる薬剤の濃度である。全増殖抑制(TGI)を生じる薬剤の濃度はTi=Tzから算出した。処理後の細胞の正味の喪失を示すLC50(開始時に比べた薬剤処理の終了時に測定されたタンパク質で50%の低下を生じる薬剤の濃度)は、[(Ti−Tz)/Tz]×100=−50から算出した。活性のレベルが達した場合、これら3つのパラメータのそれぞれについて値を算出するが、効果が達しない又は過剰である場合、そのパラメータについての値は、調べた最大又は最小の濃度を超える又はそれ未満として表現される。
【0306】
上述の方法を用いて、本発明の化合物はHCT116細胞の増殖を阻害することが示された。たとえば、化合物5及び22は、このアッセイで100nM以下のIC50値を有することが示され、化合物1、2、3、4、7、9、11、12、13、15、16、18、21、23、24及び30は、このアッセイで100nMを超えて1μM以下のIC50値を有することが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、又は薬学上許容可能なその誘導体若しくはプロドラッグ
(式中、
は、
【化2】

であり;
Xは、N、C又はCRであり;
Yは、N、C又はCRであり;
環Aは、任意に置換される4、5又は6員環の単環式複素環の環であり;
環Bは、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、任意に置換される3〜7員環の単環式の環又は8〜10員環の二環式の環であり;
環Cは、任意に置換される3、4、5又は6員環の複素環、炭素環、アリール又はヘテロアリールの環であり;
Wは、nが0、1、2、3、4又は5である(CRであり;
は、任意に置換される単環式又は二環式のアリール環であり;
及びRは、独立して水素、任意に置換される脂肪族、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、任意に置換されるヘテロシクリルであり、又はR及びRはそれらが介在する原子と一緒に縮合された、任意に置換される不飽和若しくは部分不飽和の、0〜3の環へテロ原子を有する環を形成し;
Rは、水素、脂肪族、アリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノである)。
【請求項2】
が脂肪族である、請求項1の化合物。
【請求項3】
がフェニルである、請求項1の化合物。
【請求項4】
がフェニルであり、
が脂肪族であり、
がHであり、
かつ、R
【化3】

であり、
環Bが、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、任意に置換される3〜7員環の単環式の環である、請求項1の化合物。
【請求項5】
がフェニルであり、
が脂肪族であり、
がHであり、
かつ、R
【化4】

であり、
環Bが、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、任意に置換される3〜7員環の単環式の環である、請求項1の化合物。
【請求項6】
環Bが任意に置換されるカルボシクリル又は任意に置換されるアリールである、請求項4の化合物。
【請求項7】
環Bが任意に置換されるヘテロシクリル又は任意に置換されるヘテロアリールである、請求項4の化合物。
【請求項8】
環Bが任意に置換されるフェニル、任意に置換されるシクロプロピル又は任意に置換されるシクロヘキシルである、請求項6の化合物。
【請求項9】
環Bが、任意に置換されるピペリジニル、任意に置換されるピロリジニル、任意に置換されるピリジニル、任意に置換されるモルフォリニル、任意に置換されるジアジニル、任意に置換されるテトラヒドロフラニル、又は任意に置換されるアゼパニルである、請求項7の化合物。
【請求項10】
環Cが、任意に置換されるヘテロシクリル又は任意に置換されるアリールである、請求項5の化合物。
【請求項11】
環Bが、任意に置換されるフェニルである、請求項8の化合物。
【請求項12】
環Aが、任意に置換されるピペリジニル、任意に置換されるピロリジニル、任意に置換されるピペラジニル、又は任意に置換されるアゼチジニルである、請求項4の化合物。
【請求項13】
XがCRであり、
Wが(CHであり、
nが0、1又は2であり、
かつ、Rが水素又はヒドロキシルである、請求項1の化合物。
【請求項14】
XがNであり、
Wが(CHであり、
かつ、nが0、1又は2である、請求項1の化合物。
【請求項15】
XがCであり、
Wが(CHであり、
かつ、nが0、1又は2である、請求項1の化合物。
【請求項16】
前記化合物が、式Ib:
【化5】

の構造を有する、請求項1の化合物。
【請求項17】
環Bが、フェニル、ピペリジニル、モルフォリニル、ピリジニル、ピリミジニル又はホモピペリジニルである、請求項14の化合物。
【請求項18】
環Cがフェニルであり、
Wが(CHであり、
かつ、nが0、1又は2であり、
かつ、環Bが任意に置換されるヘテロシクリル、又は任意に置換されるヘテロアリールである、請求項5の化合物。
【請求項19】
前記化合物が、
【化6−1】

【化6−2】

【化6−3】

【化6−4】

並びに薬学上許容可能なこれらの塩又はプロドラッグから成る群より選択される、請求項1の化合物。
【請求項20】
薬学上許容可能なキャリア、アジュバント又はビヒクルとの組み合わせで請求項1の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が、約2ミクロン未満の平均粒度である前記化合物の粒子を含む、請求項20の組成物。
【請求項22】
前記組成物が生分解性ポリマー又は非生分解性ポリマーを含む、請求項20の組成物。
【請求項23】
請求項1から選択される化合物と添加物とを含む、請求項20の組成物。
【請求項24】
前記添加物が、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、液体キャリア、溶質、懸濁剤、増粘剤、風味剤、ゼラチン、グリセリン、結合剤、潤滑剤、不活性の希釈剤、保存剤、表面活性剤、分散剤、生分解性ポリマー、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項23の組成物。
【請求項25】
前記キャリアが、経口投与、静脈内投与、皮下投与、非経口投与、吸入投与、局所投与又は皮内投与に好適である、請求項20の組成物。
【請求項26】
治療を必要とする宿主に、薬学上許容可能なキャリア中にあってもよい有効量の請求項1の化合物を投与することを含む、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経疾患又は神経変性疾患、癌、循環器疾患、アレルギー、喘息、ホルモン関連疾患、及び望ましくない血管新生に関連する疾患から成る群より選択される疾患を治療する方法。
【請求項27】
前記疾患が癌である、請求項26の方法。
【請求項28】
前記癌が、固形腫瘍、血液に由来する腫瘍、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、生殖泌尿器癌、食道癌、喉頭癌、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌腫、小細胞癌腫、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌腫、乳頭状癌、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝臓癌及び胆道癌、腎臓癌、骨髄障害、リンパ系障害、ホジキン病、ヘアリー細胞白血病、口腔癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍及び中枢神経系の癌、又は白血病である、請求項27の方法。
【請求項29】
前記望ましくない血管新生に関連する前記疾患が、血管新生眼疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障及び水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過剰装用、アトピー性角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片角膜炎乾燥症、シューグレン症候群、赤鼻、フリクテン症、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂質変性症、化学薬品火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性症、辺縁性角質溶解、外傷、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発動脈炎、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス−ジョンソン疾患、類天疱瘡、放射状角膜切開、又は角膜移植拒絶反応、鎌状赤血球貧血、肉腫、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、ライム病、全身性エリテマトーデス、イール病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、スターガート病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症又はレーザー治療後の合併症を含む、請求項26の方法。
【請求項30】
前記炎症性疾患が、内皮細胞の過剰又は異常な刺激、アテローム性硬化症、血管機能異常、異常な創傷治癒、炎症性及び免疫性の障害、ベーチェット病、通風又は通風性関節炎、関節リウマチを伴う異常な血管形成、皮膚疾患、乾癬、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、水晶体後線維増殖症、黄斑変性症、角膜移植の拒絶、血管新生緑内障又はオスラーウエーバー症候群である、請求項26の方法。
【請求項31】
前記化合物が、錠剤、カプセル、トローチ、カシェ、溶液、懸濁液、エマルション、粉末、エアゾール、座薬、スプレー、芳香錠、軟膏、クリーム、ペースト、泡状物、ジェル、タンポン、ペッサリー、顆粒、ボーラス、洗口剤、又は経皮貼付剤の形態で投与される、請求項26の方法。
【請求項32】
自己免疫疾患、炎症性疾患、神経疾患又は神経変性疾患、癌、循環器疾患、アレルギー、喘息、ホルモン関連疾患、及び望ましくない血管新生に関連する疾患から成る群より選択される疾患の治療のための薬剤の製造における、請求項1の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−509939(P2012−509939A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538650(P2011−538650)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/065496
【国際公開番号】WO2010/062848
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(506305687)ミイカナ セラピューティクス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】