説明

置換ベンゾイルグアニジン類、それらの製造法及び医薬又は診断薬としての使用、並びにそれらを含む医薬

本発明は、式(I)の置換ベンゾイルグアニジン類、ここで、R1からR8、X及びYは、特許請求の範囲に与えられた意味を有する、及び薬学的に許容されるそれらの塩に関し、これらは置換アシルグアニジンであり、細胞のナトリウム/プロトン対向輸送体(Na+/H+交換体、NHE)を阻害する。式(I)の化合物及び薬学的に許容されるそれらの塩は、NHE阻害性の結果としてNHEの活性化又は活性化されたNHEに起因する疾患、及びNHEによってもたらされる損傷に起因する二次疾患の予防及び治療に好適である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
式I:
【化1】

ここで、
R1からR8及びX及びYは、以下に示す意味を有する;
の置換ベンゾイルグアニジン類及び薬学的に許容されるそれらの塩は、置換アシルグアニジン類であり、細胞のナトリウム−プロトン対向輸送体(Na+/H+交換体、NHE)を阻害する。NHE阻害特性の故に、式Iの化合物及び薬学的に許容されるそれらの塩は、NHEの活性化又は活性化したNHEに起因する疾患、及びNHE関連障害に二次的に起因する疾患の予防及び治療に適している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
公知の化合物と比較して、本発明の化合物は、Na+/H+交換の阻害における極めて高い活性によって、及び改善されたADMET特性によって区別される。本発明による構造は、組織分布に対して有利な作用を有している。このことは、とりわけ、インビボでの暴露の増加を可能にする。このことは、吸収特性に大きな影響がないこと、及びアシルグアニジン類の高い生物学的利用能が保持される。
【0003】
文献に記載された、いくつかのアシルグアニジン類とは対照的に、本明細書に記載されている式Iの化合物及び薬学的に許容されるそれらの塩は、望ましくない、そして不都合な塩排泄特性を示さない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式I:
【化2】

ここで、
R1は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、Br、I、−CN、NR13R14、−O−(CH2)n−(CF2)o−CF3又は−(SOm)q−(CH2)r−(CF2)s−CF3であり;
R13及びR14は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
mは、0、1又は2であり;
n、o、q、r及びsは、互いに独立に、0又は1であり;
R2は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、Br、I、−CN、NR15R16、−O−(CH2)u−(CF2)v−CF3又は−(SOw)x−(CH2)y−(CF2)z−CF3であり;
R15及びR16は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
wは、0、1又は2であり;
u、v、x、y及びzは、互いに独立に、0又は1であり;
【0005】
R3は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、NR9R10、−O−(CH2)b−(CF2)c−CF3、−(SOd)e−(CH2)f−(CF2)g−CF3、1、2、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するアルキル又は3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;
R9及びR10は、 互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
b、c、e及びgは、互いに独立に、0又は1であり;
dは、0、1又は2であり;
fは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R3は、−(CH2)h−フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Oj−(CH2)k−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基により置換され;
jは、0又は1であり;
kは、0、1、2又は3であり;
hは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R3は、−(CH2)aa−ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Obb−(CH2)cc−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基により置換され;
bbは、0又は1であり;
ccは、0又は1、2若しくは3であり;
aaは、0、1、2、3又は4であり;
【0006】
R4は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、NR11R12、−O−(CH2)ee−(CF2)ff−CF3;−(SOgg)hh−(CH2)jj−(CF2)kk−CF3、1、2、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するアルキル、又は3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;
R11及びR12は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
ee、ff、hh及びkkは、互いに独立に、0又は1であり;
ggは、0、1又は2であり;
jjは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R4は、−(CH2)ll−フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Omm−(CH2)nn−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換される;
mmは、0又は1であり;
nnは、0、1、2又は3であり;
llは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R4は、−(CH2)oo−ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Opp−(CH2)rr−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループ選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
ppは、0又は1であり;
rrは、0、1、2又は3であり;
ooは、0、1、2、3又は4であり;
【0007】
R5及びR6は、互いに独立に、水素、又は1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキルであり;
R7及びR8は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニルは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Oss−(CH2)tt−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
ssは、0又は1であり;
ttは、0、1、2又は3であり;
又は、
R7及びR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になり、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を有するシクロアルキルを形成し;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり、
R17は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニルは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Ouu−(CH2)vv−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
uuは、0又は1であり;
vvは、0、1、2又は3であり;
Yは、結合、又は1、2若しくは3個の炭素原子を有するアルキレン鎖である;
の置換ベンゾイルグアニジン化合物、及び薬学的に許容されるそれらの塩に関する。
【0008】
好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、
R1は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、NR13R14、−O−(CH2)n−(CF2)o−CF3又は−(SOm)q−(CH2)r−(CF2)s−CF3であり;
R13及びR14は、互いに独立に、水素、メチル、エチル又はCH2−CF3であり;
mは、0、1又は2であり;
n、o、q、r及びsは、互いに独立に、0又は1であり;
R2は、水素、メチル、メトキシ、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R3は、水素、F、Cl、−CN、−SO2CH3、メトキシ、エトキシ、NR9R10、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3、−S−CF3、−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、又は3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;
R9及びR10は、互いに独立に、水素、メチル、エチル又は−CH2−CF3であり;又は、
R3は、フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
【0009】
R4は、水素、F、Cl、−CN、−SO2CH3又はメチルであり;
R5及びR6は、互いに独立に、水素、メチル又はエチルであり;
R7及びR8は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
又は、
R7及びR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になり、3、4、5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキルを形成し;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり;
R17は、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニルは、無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
Yは、結合又は−CH2−である;
化合物、及び薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0010】
特に好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、
R1は、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R2は、水素、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R3は、F、Cl、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3、−S−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、又は3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;
又は、
R3は、フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換され;
【0011】
R4は、水素又はFであり;
R5及びR6は、互いに独立に、水素又はメチルであり;
R7及びR8は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換され;
又は、
R7及びR8は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3、4、5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキルを形成し;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり;
R17は、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニルは、無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
Yは、結合、又は−CH2−である;
化合物、及び薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0012】
更に特に好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、
R1は、水素、メチル、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R2は、水素であり;
R3は、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3又は−S−CF3であり;
R4は、水素であり;
R5及びR6は、水素であり;
R7は、水素であり;
R8は、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、CF3又はフェニルであって、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2
CH3シリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換され;
Xは、−CH2−であり;
Yは、結合又は−CH2−である;
化合物、及び薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0013】
その上更に特に好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、
R1は、水素、メチル、−O−CH2−CF3又は−SCF3であり;
R2は、水素であり;
R3は、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3又は−S−CF3であり;
R4は、水素であり;
R5及びR6は、互いに独立に、水素又はメチルであり;
R7は、水素であり;
R8は、水素であり;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり;
R17は、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル又は−CH2−CF3であり;
Yは、結合又は−CH2−である;
化合物、及び薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0014】
ある実施態様において、好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、R1は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、NR13R14、−O−(CH2)n−(CF2)o−CF3又は−(SOm)q−(CH2)r−(CF2)s−CF3で記載され、ここで、R13及びR14は、互いに独立に、水素、メチル、エチル又は−CH2−CF3であり、mは、0、1又は2であり、そして、n、o、q、r及びsは、互いに独立に、0又は1である化合物であり;特に好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、R1は、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3、特に、水素、メチル、−O−CH2−CF3又は−S−CF3で記載される化合物である。更に特別に好ましくは、R1が水素又はメチルで記載される化合物である。
【0015】
更なる実施態様において、好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、R2は、水素、メチル、メトキシ、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3、特に、水素、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3で記載される化合物であり、特に好ましいものは、R2が水素で記載される化合物である。
【0016】
更なる実施態様において、好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、R3は、水素、F、Cl、−CN、−SO2CH3、メトキシ、エトキシ、−NR9R10、−O−CF3、−O−CH2−CF3、SO2CF3、−S−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキルで記載され、ここで、その1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ、ここで、R9及びR10は、互いに独立に、水素、メチル、エチル若しくは−CH2−CF3であり、又はフェニル若しくは−O−フェニルで記載され、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3シリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換される化合物であり;特に好ましいものは、R3が、F、Cl、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3、−S−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキルで記載され、ここで、その1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;又は、フェニル又は−O−フェニルで記載され、ここで、フェニル基
は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3シリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換される化合物であり;特別に好ましいものは、R3が、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3、−S−CF3で記載される化合物であり、更に特に好ましいものは、−SO2CH3又は−CF3である。
【0017】
更なる実施態様において、好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、R4は、水素、F、Cl、−CN、−SO2CH3又はメチル、特に、水素又はFで記載される化合物であり;更に好ましいものは、R4が水素で記載される化合物である。
【0018】
更なる実施態様において、好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、R5及びR6は、互いに独立に、水素、メチル又はエチルで記載される化合物であり;特に好ましいものは、R5及びR6が、互いに独立に、水素又はメチル、例えば、水素で記載される化合物である。
【0019】
更なる実施態様において、好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、R7及びR8は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルで記載され、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3シリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で、例えば、1若しくは2個の基で置換され、又は、R7及びR8は、それらが結合している炭素原子と一緒に、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキルを形成する化合物であり;特に好ましいものは、R7が水素で記載され、そして、R8が、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルで記載され、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3シリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換され;例えば、R8はフェニルで記載され、ここで、フェニルは無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3シリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で、特にFで置換される化合物である。更なる実施態様において、好ましいものは、R7及びR8が水素である化合物である。
【0020】
更なる実施態様において、好ましいものは、式Iの化合物であって、ここで、Xは、−CH2−又は−NR17−であり、ここで、R17は、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで該フェニルは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;R17は、好ましくは、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで、該フェニルは、無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;R17は、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル又は−CH2−CF3で記載され;R17は、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキルで、例えば、シクロプロピルで記載され
る化合物である。更なる実施態様において、Xは、好ましくは、−CH2−である。更なる実施態様において、好ましくは、式Iの化合物であって、ここで、Yは、結合又は−CH2−で記載される化合物である。
【0021】
具体的に好ましいものは、式Iの化合物であって、以下のグループ:
N−[4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニル−1−[1,2]チアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−1−[1,2,5]チアジアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(6−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−1−[1,2,6]チアジアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−1−イソチアゾリジン−2−イル)−3−トリフルオロメチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2]チアジナン−2−イル)−3−トリフルオロメチルベンゾイル]グアニジン;
から選択される化合物、及び薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0022】
R1からR8の置換基が、1つ又はそれ以上の不斉中心を有する場合、これらは、互いに独立に、S及びR配位の両者を取ることができる。化合物は、光学異性体、ジアステレオマー体、ラセミ体、又はそれらの混合物であっても良い。
【0023】
本発明は、式Iの化合物のあらゆる互変異性体を含む。
アルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状であっても良い。このことは、又、それらが置換基を持っているか、又は、別の基の置換基として存在している場合、例えば、フルオロアルキル基又はアルコキシ基の場合にも適用される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル(=1−メチルエチル)、n−ブチル、イソブチル(=2−メチルプロピル)、sec−ブチル(=1−メチルプロピル)、tert−ブチル(=1,1−ジメチルエチル)、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル及びヘキシルがある。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルである。アルキル基における、1つ又はそれ以上の、例えば、1、2、3、4若しくは5個の水素原子をフッ素原子で置換することができる。その様なフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル及びペンタフルオロエチルがある。置換アルキル基は、いかなる位置で置換されても良い。
【0024】
シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルがある。シクロアルキル基における、1つ又はそれ以上の、例えば、1、2、3若しくは4個の水素原子をフッ素原子で置換することができる。置換シクロアルキル基は、いかなる位置で置換されても良い。
【0025】
フェニル基は、無置換であるか、又は、1回又はそれ以上、例えば、1回、2回又は3
回、同一の又は異なった基で置換されても良い。フェニル基が置換されている場合、それは1個又は2個の、同一の又は異なった置換基を有することが好ましい。このことは、又、例えば、フェニルアルキル又はフェニルオキシ等の基における置換フェニル基にも当てはまる。一置換フェニル基における置換基は、2位、3位又は4位であっても良い。二置換フェニルは、2、3位、2、4位、2、5位、2、6位、3、4位又は3、5位で置換されても良い。三置換フェニル基における置換基は、2、3、4位、2、3、5位、2、4、5位、2、4、6位、2、3、6位又は3、4、5位であっても良い。
【0026】
ヘテロアリール基は、芳香族環化合物であり、その中の1つ又はそれ以上の環原子は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子、例えば、1、2若しくは3個の窒素原子、1若しくは2個の酸素原子、1若しくは2個の硫黄原子、又は種々のヘテロ原子の組合せである。ヘテロアリール基は、全ての位置で、例えば、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位又は8位で結合することができる。ヘテロアリール基は、無置換でも良く、又は、1回又はそれ以上、例えば、1回、2回又は3回、同一の又は異なった基で置換されても良い。このことは、又、例えば、ヘテロアリールアルキル基における様なヘテロアリール基にも当てはまる。ヘテロアリール基の例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル及びシンノリニルがある。
【0027】
ヘテロアリール基としては、特に、2−又は3−チエニル;2−又は3−フリル;1−、2−又は3−ピロリル;1−、2−、4−又は5−イミダゾリル;1−、3−、4−又は5−ピラゾリル;1,2,3−トリアゾール−1−、−4−又は−5−イル;1,2,4−トリアゾール−1−、−3−又は−5−イル;1−又は5−テトラゾリル;2−、4−又は5−オキサゾリル;3−、4−又は5−イソオキサゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−又は−5−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−又は−5−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル又は−5−イル;2−、4−又は5−チアゾリル;3−、4−又は5−イソチアゾリル;1,3,4−チアジアゾール−2−又は−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−又は−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−又は−5−イル;2−、3−又は4−ピリジル;2−、4−、5−又は6−ピリミジニル;3−又は4−ピリダジニル;ピラジニル;1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インドリル;1−、2−、4−又は5−ベンゾイミダゾリル;1−、3−、4−、5−、6−又は7−インダゾリル;2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノリル;1−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−イソキノリル;2−、4−、5−、6−、7−又は8−キナゾリニル;3−、4−、5−、6−、7−又は8−シンノリニル;2−、3−、5−、6−、7−又は8−キノキサリニル、1−、4−、5−、6−、7−又は8−フタラジニルがある。又、これらの化合物の対応するN−オキシド体、即ち、例えば、1−オキシ−2−、−3−又は−4−ピリジルも含まれる。
【0028】
特に好ましいヘテロ芳香族基としては、2−又は3−チエニル;2−又は3−フリル;1−、2−又は3−ピロリル;1−、2−、4−又は5−イミダゾリル;2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノリル;1−、3−、4−又は5−ピラゾリル;2−、3−又は4−ピリジル;2−又は3−ピラジニル;2−、4−、5−又は6−ピリミジニル及び3−又は4−ピリダジニルがある。
【0029】
本発明は、更に、式Iの化合物の製造方法であって、式II:
【化3】

ここで、
R1からR8は、式Iの化合物と同じ意味を有し;そして、
Lは求核的置換反応を受ける脱離基である;
の化合物を、グアニジンと反応させることを含む製造方法に関する。
【0030】
式IIの活性化酸誘導体であって、Lがアルコキシ、好ましくは、メトキシ基、フェノキシ基、フェニルチオ、メチルチオ、2−ピリジルチオ基;窒素ヘテロ環、好ましくは、1−イミダゾリルである誘導体は、基本的なカルボニルクロリド(式II;L=Cl)から、当業者に公知の方法で都合よく得ることができる、さらにカルボニルクロリド自身は例えば、チオニルクロリドを使用して、基本的なカルボン酸(式II;L=OH)から公知の方法で製造することができる
【0031】
式IIのカルボニルクロリド(L=Cl)に加えて、式IIの別の活性化酸誘導体も、又、基本的な安息香酸(式II;L=OH)から、公知の方法で直接製造することが可能であり、例えば、メタノール中におけるガス状のHClによる処理で、L=OCH3である式IIのメチルエステル類が、カルボニルジイミダゾールによる処理で式IIのイミダゾール類が、不活性溶媒中におけるトリエチルアミンの存在下でのCl−COOC25又はトシルクロリドによる処理で式IIの混成酸無水物が、又、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はO−[(シアノ(エトキシカルボニル)メチレン)アミノ]−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロフルオロボレート(TOTU)による安息香酸の活性化が可能であるように、製造可能である。式IIの活性化カルボン酸誘導体を製造するための多くの好適な方法は、J. March, Advanced Organic Chemistry, third edition (John Wiley & Sons, 1985, page 350)に提示されており、そこには元の文献も示されている。式IIの活性化カルボン酸誘導体のグアニジンとの反応は、好ましくは、公知の方法で、プロトン性又は非プロトン性の、極性ではあるが不活性の有機溶媒中で起こる。安息香酸メチルエステル類(式II;L=OCH3)のグアニジンとの反応に対して好適であると判明している溶媒は、20℃から溶媒の沸点間の温度でのメタノール、イソプロパノール又はTHFである。式IIの化合物と塩を含まないグアニジンとの反応の大半は、例えば、THF、ジメトキシエタン、ジオキサンなどの非プロトン性の不活性溶媒中で行われる。しかしながら、式IIの化合物とグアニジンとの反応における溶媒として、塩基、例えば、NaOHの存在下で、水を使うことも又可能である。
【0032】
LがClの場合、例えば、グアニジン過剰の状態で酸補足剤を添加し、ハロゲン化水素酸を結合することは、有利なことである。
【0033】
1つの実施態様において、好ましいものは、式IIの化合物であって、Lが、1、2、3又は4個の炭素原子を有するアルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニルチオ、メチルチオ、2−ピリジルチオ、窒素へテロ環、例えば、1−イミダゾリル、F、Cl、Br、I又はOHで記載される化合物であり;特に好ましいものは、式IIの化合物であって、Lがメトキシ、Cl又はOHで記載される化合物である。
【0034】
本発明は、更に、式IIの化合物の製造方法であって、式IIIの化合物を式IVの化合物と、求核的芳香族置換反応において反応させ、式IIaの化合物を得ることを含む方法に関する。
【化4】

ここで、
R1からR8、X及びYは、指示された意味を有し;そして、
Eは、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、ベンジルオキシ又はフェノキシであり;
Gは、F、Cl、Br又はIである。
【0035】
この場合、式IIIの化合物は、無機塩基、好ましくはK2CO3若しくはCs2CO3と、又は有機塩基、好ましくはTBTMGと共に、式IVの化合物と、双極性非プロトン性溶媒、好ましくはDMF又はNMP中において、−40℃と溶媒の沸点間の温度、好ましくは0℃と140℃の間の温度で反応させ、式IVの化合物を得る。
【0036】
式IIaのエステルを再分配して、更に、式IIの化合物を得、例えば、加水分解して式IIの酸(L=OH)を、又は、当業者に公知の方法により、式IIの酸クロリド(L=Cl)に転換する。
【0037】
式IIIのスルタム及び環状スルファミドは、公知の方法と類似の方法により合成することができる(Pharmaceutical Chemistry Journal (translation of Khimiko-Farmatsevticheskii Journal) (2000), volume date 1999, 33(11), 598; J. Org. Chem. (1991), 56,
3549; Tetrahedron 59, (2003) 6051)。
【0038】
式IVの化合物は、例えば、J.Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 1359; J. Med. Chem.
1998, 41, 3736; J. Med. Chem. 1997, 40, 2017; Bioorg. Med. Chem. Lett. 13 (2003), 4085; Eur. J. Org. Chem. 2002, 1490に記載された公知の方法と類似の方法により合成することができる。
【0039】
出発化合物における官能基は、保護されているか、又は、前駆体の形であっても良く、次いで、上記の方法により製造された式IIの化合物における所望の基へ転換することができる。適切な保護基の技術は、当業者に公知である。
【0040】
同様に、当業者に公知の方法により適切な官能基を誘導することも、又、可能である。
【0041】
本発明は、更に、式II:
【化5】

ここで、
R1からR8、X及びYは、式Iの化合物において定義した通りであり;そして、
Lは、上記で定義した通りである;
の化合物であって、R1、R2、R3及びR4が同時に水素であり、そしてXが−CH2−である式IIの化合物は除き、そして、以下の化合物:
4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−3−メチル安息香酸メチル;
4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−3−メチル安息香酸;
4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2,6]チアジアジナン−2−イル)−3−メチル安息香酸メチル;
4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2,6]チアジアジナン−2−イル)−3−メチル安息香酸;及び、
3−クロロ−4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2]チアジナン−2−イル)安息香酸;
を除いた化合物に関する。
【0042】
式Iのベンゾイルグアニジン、及び、式IIの化合物は、一般的には弱塩基であり、そして、酸を結合して塩を形成することができる。好適な酸付加塩は、全ての薬学的に許容される酸の塩、例えば、ハロゲン化物、特に塩酸塩、乳酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、リン酸塩、メチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩である。
【0043】
式Iの化合物は、置換アシルグアニジン類であり、細胞のナトリウム−プロトン対向輸送体(Na+/H+交換体、NHE)、特にサブタイプNHE−1を阻害する。
【0044】
公知のNHE阻害剤と比較して、本発明の化合物は、Na+/H+交換を阻害する格別に高い活性によって、及び改善されたADMET特性によって、例えば、hERGカリウムチャンネルに関して、より長いS9安定性(肝臓安定性、酵素の攻撃に対する安定性)及び高い選択性によって区別される。それらは更に、良好な吸収挙動及び高い生物学的利用能を示す。
【0045】
NHE阻害特性の故に、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、NHEの活性化又は活性化されたNHEに起因する疾患、及びNHEに関連する損傷による二次的に起因する疾患の予防及び治療に適している。
【0046】
NHE阻害剤は、細胞のpH制御に対するそれらの効果を経由して優先的に作用するので、それらは、カルボニックアンヒドラーゼ酵素群の阻害剤や、重炭酸ナトリウム共輸送体(NBC)の阻害剤又はナトリウム依存性塩化物−重炭酸塩交換体(NCBE)の阻害剤のような、重炭酸イオンを輸送する系の阻害剤、及び他のNHEサブタイプに対する阻害効果を有しているNHE阻害剤である、好適な組み合わせのパートナーを伴って、一般的に細胞内pHを制御する他の化合物と有利に結合することができる。何故なら、本明細書に記載されているNHE阻害剤の薬理学的に関連したpH制御効果を、それらを通して
、増強する又は調節することが可能であるからである。
【0047】
本発明の化合物の使用は、獣医学及びヒトの医学における急性及び慢性疾患の予防及び治療に関する。
【0048】
それ故、本発明のNHE阻害剤は、虚血に起因する及び再潅流に起因する疾患の治療に適している。
【0049】
本明細書に記載されている化合物は、抗不整脈医薬としての薬理学的特性の故に好適である。
それらの心臓保護成分の故に、NHE阻害剤は、梗塞予防及び梗塞治療に、並びに狭心症の治療に非常に適しており、この場合、それらは、虚血誘発障害、とりわけ虚血が誘発する心不整脈の発生に関連する病態生理学的過程を予防的に阻害し又は大きく低減する。病的低酸素及び虚血状態に対する保護効果の故に、本発明に従って使用される式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、細胞Na+/H+交換機構の阻害の故に、全ての急性又は慢性虚血誘発障害又はそれによって一時的又は二次的に誘発される疾患の治療用医薬として使用することができる。
【0050】
このことは、外科的介入のための医薬としてのそれらの使用にも関する。それ故、本化合物は、臓器移植中に使用することができ、臓器摘出前及びその間のドナーにおける臓器の保護、例えば、生理的浴液中での処置又は貯蔵の間、及びレシピエント生体への移動の間の摘出した臓器の保護の両者に、本化合物を使用することが可能である。
【0051】
本発明の化合物は、同様に、例えば、心臓に対する、並びに末梢器官及び血管に対する、血管形成外科的介入を実施する場合に保護効果を有し、価値ある医薬である。
【0052】
本発明の化合物は、又、例えば、冠状血管に対するバイパス手術及び冠動脈バイパスグラフト(CABG)において、バイパス手術を実施する場合にも使用することができる。
【0053】
虚血誘発障害に関する活性に依存して、式Iの本発明の化合物は、心停止後の蘇生に同様に使用することができる。
本発明の化合物は、命にかかわる不整脈のための医薬としても興味深い。心室細動が治り、心臓の生理的洞律動が回復する。
【0054】
ヒト組織及び臓器、特に心臓のNHE1阻害剤は、虚血及び再灌流に起因する障害に対してのみならず、特に癌治療及び自己免疫疾患の治療において使用されるような医薬の細胞傷害性効果に対して効果的に保護するので、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩の併用投与は、前記医薬の細胞障害、特に心毒性副作用を阻害するのに適している。NHE1阻害剤との併用に起因する細胞傷害性効果、特に心毒性の減少は、細胞毒性のある治療剤の投与量を増加すること及び/又はそのような医薬との薬物療法を延長することを、更に可能とする。そのような細胞傷害性療法の治療的有用性は、NHE阻害剤との併用によって大幅に増加することができる。
【0055】
加えて、式Iの本発明のNHE1阻害剤及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩のNHE1阻害剤は、甲状腺ホルモンの心臓傷害的過剰産生、即ち甲状腺機能亢進症がある場合に、又は甲状腺ホルモンの外部からの供給に対して、使用することができる。式Iの
化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故に、心毒性医薬を用いる治療を改善するのに適している。
【0056】
虚血誘発障害に対する保護効果に従って、本発明の化合物は、神経系、特に中枢神経系
の虚血の治療用の医薬として適しており、例えば、脳卒中又は脳浮腫の治療に適している。
【0057】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、中枢神経系の過剰興奮性によって誘発される疾患及び障害の治療及び予防、とりわけ、てんかん性障害、中枢誘発性間代性及び緊張性けいれん、生理的抑うつ状態、不安障害及び精神病の治療にも適している。これらの症例において、本明細書に記載されているNHE1阻害剤は、単独で、又は、抗てんかん活性を有する他の物質又は抗精神病活性成分、又はカルボニックアンヒドラーゼ阻害剤、例えばアセタゾールアミド、及びNHEの他の阻害剤又はナトリウム依存性塩化物−重炭酸塩交換体(NCBE)と併用して使用することが可能である。
【0058】
式Iの本発明に従って使用される化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、更に同様に、例えば、アレルギー性、心臓発生性、循環血液量減少性及び細菌性ショックのような型の、ショックの治療に好適である。
【0059】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、同様に、NHE阻害剤として、血小板凝集自体を阻害することができるので、血栓疾患の予防及び治療に使用することができる。それらは虚血及び再潅流後に生じる炎症及び凝集のメディエイター、特にウィルブランド因子及び血栓形成性セレクチンタンパク質の過剰放出を阻害又は予防することができる。それ故、顕著な血栓形成因子の病的効果を減少し、取り除くことが可能である。本発明のNHE阻害剤は、それ故、例えば、組換え又は天然の組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アセチルサリチル酸、トロンビン拮抗薬、第Xa因子拮抗薬、線維素溶解活性を有する医薬物質、トロンボキサン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、第VIIa因子拮抗薬、クロピドグレル、チクロピジン、等のような他の抗凝固及び/又は血栓溶解活性成分と併用することができる。本発明のNHE阻害剤とNCBE阻害剤及び/又は、例えば、アセタゾールアミドのようなカルボニックアンヒドラーゼ阻害剤と組み合わせた使用は、とりわけ有益である。
【0060】
NHE1阻害剤は、細胞の増殖、例えば線維芽細胞の増殖及び血管平滑筋細胞の増殖に対する強力な阻害効果によって更に区別される。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故、増殖が一次的又は二次的原因を表している疾患の価値ある治療剤として適しており、そして、それ故に、抗アテローム性動脈硬化症薬、慢性腎不全、癌の薬として使用することができる。
【0061】
細胞遊走がNHE阻害剤によって阻害されることを示すことが可能であった。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故、細胞遊走が、例えば明白な転移傾向を有する癌のような、一次的又は二次的原因を示す疾患の価値ある治療薬として適している。
【0062】
NHE1阻害剤は、線維症の遅延又は予防により更に区別される。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故、心臓線維症の、及び肺線維症、肝線維症、腎線維症並びにその他の線維症の治療のための薬剤として適している。それらは、それ故、例えば、心臓及び前立腺の、臓器肥大及び過形成の治療用に使用することができる。それらは、それ故、心不全(うっ血性心不全=CHF)の予防及び治療、及び前立腺過形成又は前立腺肥大の治療及び予防に適している。
【0063】
本態性高血圧症ではNHEの顕著な上昇が認められるので、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、高血圧の予防及び治療に、そして心臓血管障害の治療に適している。これらの場合において、それらは単独で、又は高血圧及び心臓血管障害の治療のための好適な組み合わせ及び製剤パートナーと一緒に使用することができる。それ故
、例えば、チアジド様作用を有する1つ又はそれ以上の利尿薬、ループ利尿薬、アルドステロン及びヒドロクロロチアジド、インダパミド、ポリチアジド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、ブメタニド、アミロリド、トリアムテレン、スピロノラクトン又はエプレロンのようなシュードアルドステロン拮抗薬を併用することができる。本発明のNHE阻害剤は、更に、ベラパミル、ジルチアゼム、アムロジピン又はニフェジピンのようなカルシウムチャンネル遮断薬、及び、例えば、ラミプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリル又はカプトプリルのようなACE阻害剤と併用して使用することができる。更に有益な併用パートナーは、メトプロロール、アルブテロール等のようなβ−遮断薬、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、オマパトリラート、ゲモパトリラートのようなアンギオテンシン受容体及びその受容体サブタイプの拮抗薬、エンドテリン拮抗薬、レニン阻害剤、アデノシン受容体作用薬、例えばグリベンクラミド、グリメピリド、ジアゾキシド、クロマカリム、ミノキシジル及びこれらの誘導体のようなカリウムチャンネルの阻害剤及び活性化剤、ミトコンドリアATP感受性カリウムチャンネル(mitoK (ATP)のチャンネル)の活性化剤、Kv1.5の阻害剤、等である。
【0064】
NHE1阻害剤は、顕著な抗炎症効果を有すること、及び、それ故、抗炎症薬として使用することができることが明らかになっている。炎症のメディエーターの放出の阻害は、この点に関して注目に値する。化合物は、それ故、単独で、又は抗炎症薬との併用で、慢性及び急性炎症性障害の予防又は治療に使用することができる。有利に使用される併用パートナーは、ステロイド性及び非ステロイド性抗炎症薬である。本発明の化合物は、マラリア及び家畜におけるコクシジウム症のような原虫に起因する障害の予防又は治療に付加的に採用することができる。
【0065】
NHE1阻害剤は、血清リポタンパク質に対して有益な効果を示すことが更に見出されている。非常に高い血中脂肪濃度、いわゆる高リポタンパク血症、はアテローム性血管病変、特に冠状動脈性心疾患の発生の必須危険因子を示しているということが一般的に認められている。上昇した血清リポタンパク質の低下は、それ故に、アテローム性病変の予防及び寛解に特別に重要性を有している。総血清コレステロールの低下の他に、この総コレステロールの特定のアテローム生成脂質画分、特に低密度リポタンパク質(LDL)及び超低密度リポタンパク質(VLDL)の比率を低下させることは特に重要である。何故なら、これらの脂質画分はアテローム生成危険因子を示すからである。それに反して、冠状動脈性心疾患に対する保護機能は、高密度リポタンパク質にあるとされている。従って、脂質低下薬は、総コレステロールのみならず、特にVLDL及びLDL血清コレステロール画分を低下することができる筈である。NHE1阻害剤は、血清脂質濃度に影響することに関して、価値のある治療的に利用可能な特性を示すことが今や見出されている。それ故、それらは、例えば、コレステロール及び脂質が豊富な食事が原因で、或いは病的な代謝の変調、例えば、遺伝的に関連した高脂質血症の場合において観察されるような、LDL及びVLDLの上昇した血清濃度を顕著に低下する。それらは、それ故に、原因となる危険因子を除くことによって、アテローム性動脈硬化症の予防及び寛解のために使用することができる。本明細書に包含されるものは、一次性高脂血症のみならず、例えば、糖尿病に関連して起こるある種の二次性高脂血症である。更に、NHE1阻害剤は、代謝異常によって誘発される梗塞の著しい減少、及び、特に、誘発された梗塞面積及びその重症度を顕著な減少に導く。
【0066】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故に、高コレステロール血症の治療用の医薬を製造するために;アテローム生成の予防用の医薬を製造するために;アテローム性動脈硬化症の予防及び治療用の医薬を製造するために;上昇したコレステロール濃度によって誘発される疾患の予防及び治療用の医薬を製造するために;内皮機能不全によって誘発される疾患の予防及び治療用の医薬を製造するために;アテローム性動脈硬化症誘発高血圧症の予防及び治療用の医薬を製造するために;アテローム性動脈硬
化症誘発血栓症の予防及び治療用の医薬を製造するために;高コレステロール血症誘発及び内皮機能不全誘発虚血性障害及び虚血再かん流後障害の予防及び治療用の医薬を製造するために;高コレステロール血症誘発及び内皮機能不全誘発心臓肥大及び心筋症並びにうっ血性心不全(CHF)の予防及び治療用の医薬を製造するために;高コレステロール血症誘発及び内皮機能不全誘発冠攣縮性狭心症及び心筋梗塞症の予防及び治療用の医薬を製造するために;低血圧物質、好ましくはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンギオテンシン受容体拮抗薬と併用した前記障害の治療用医薬を製造するために、有利に使用される。式IのNHE阻害剤及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩と血中脂肪レベルを低下させる有効成分、好ましくはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン又はプラバスタチン)、後者は脂質低下作用と、それにより、式IのNHE阻害剤及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩のNHE阻害剤の脂質低下特性をもたらす、との併用は、有効成分の増強された効果及び使用量の減少を示す好ましい組み合わせであることを証明している。
【0067】
それ故、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、種々の起源の内皮障害に対する効果的な保護へ導くものである。この内皮機能不全の症候群に対する血管の保護は、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩が、冠攣縮性狭心症、末梢血管障害、とりわけ間欠性跛行、アテローム発生及びアテローム性動脈硬化症、左心室肥大及び拡張型心筋症並びに血栓疾患の予防及び治療用の価値ある医薬である。
【0068】
NHE1阻害剤は、インスリン抵抗性が抑えられている、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)の治療に適していることが更に見出されている。これに関して、本発明の化合物の抗糖尿病活性及びその効果の質を増強すること、本発明の化合物とメトフォルミンのようなビグアニドと併用すること、グリブリド、グリメピリド、トルブタミド等のような抗糖尿病性スルホニル尿素と併用すること、グルコシダーゼ阻害剤と併用すること、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン等のようなPPAR作動薬と併用すること、異なった投与形態のインスリン製品と併用すること、DB4阻害剤と併用すること、インスリン増感剤と併用すること、又はメグリチニドと併用することは、有益であろう。
【0069】
急性の抗糖尿病効果に加えて、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、糖尿病の後期合併症の発症を妨げ、それ故に、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症及び糖尿病の結果として発症したその他の障害のような、糖尿病による後期障害の予防及び治療用の医薬として使用することができる。これに関して、本発明の化合物は、NIDDM治療の下に丁度記載されている抗糖尿病薬と有利に併用することができる。インスリンの有益な剤形との併用は、これに関連してとりわけ重要である筈である。
【0070】
急性虚血事象に対する保護効果及びそれに続く同じく急性の強い再潅流事象に加えて、NHE1阻害剤は、慢性的に進行する老化過程の徴候に関連する、そして急性の低循環状態とは独立に、正常な非虚血条件下で発生する、全哺乳類生物の疾患及び障害に対して、直接治療的に利用できる効果を示す。疾病、病弱及び死のような、長い老化期間にわたって誘発される、これらの病的な、加齢に関連した徴候は、今やNHE阻害剤で治療に適するようにすることができ、重要な臓器及びそれらの機能における加齢に関連した変化に本質的に起因する疾患及び障害であり、老化した生物において、ますます重要になる。
【0071】
加齢関連機能障害又は臓器の損耗の加齢に関連した徴候に関連した障害は、例えば、収縮及び弛緩反応に対する血管の不適切な応答及び反応性である。心臓血管系の必須過程であり、それ故に生命と健康に必須な過程である、収縮刺激及び弛緩刺激に対する血管の反応性の加齢に関連した下落は、NHE阻害剤によって顕著に取り除くことができ減少することができる。血管の反応性の維持の一つの重要な機能及び対策は、内皮不全における加
齢に関連した進行の遮断又は遅延であり、それらは、NHE阻害剤によって非常に顕著に取り除くことができる。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故、内皮不全における加齢に関連した進行、特に間欠跛行の治療及び予防に、非常に適している。
【0072】
加齢の過程を特徴付ける別の変数の例は、心臓の収縮性の低下及び心臓の必要とされる拍出に対する心臓の適応の低下である。加齢過程の結果としてのこの減少した心臓の効率は、なかんずく結合組織の心筋組織への沈着に起因する心臓の機能不全に、多くの場合つながっている。この結合組織の沈着は、心臓の重量の増加、心臓肥大、及び心機能の制限によって特徴付けられる。そのような心臓の加齢を殆ど完全に阻害することが可能となったことは驚くべきことであった。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故、心不全、うっ血性心不全(CHF)の治療及び予防に非常に適している。
【0073】
増殖の阻害を通じて既に発生してしまった癌の治療が可能であるのみならず、NHE阻害剤を通して、癌の加齢に関連した発生の減少及び非常に顕著な遅延も起こる。特に注目に値する発見は、加齢の結果として生じる、ある種の癌のみならず全ての器官の障害が抑制され、或いは極めて顕著な遅延が生じることである。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故、加齢に関連したタイプの癌の治療及び特に予防に適している。
【0074】
NHE阻害剤によって、心臓、血管、肝臓、等々を含めて、調べた全ての器官の加齢に関連した障害の発生において、時間的に非常に顕著に変化した遅延が見られ、そして非常に顕著な遅延が高齢者の癌において見出されている。対照的に、他の医薬の群によっては、又はいかなる天然物によっても、今日まで達成されなかった、ある程度までの生命の延長が驚くべきことに見られる。このNHE阻害剤の独特な効果は、又、ヒト及び動物に対する有効成分単独の使用に加えて、これらNHE阻害剤と他の有効成分、手段、物質及び老人学において使用される天然物及び異なった作用機作に基づく天然物との組み合わせを可能とする。老人学の療法において使用されるそのようなクラスの有効成分は、なかんづく、抗酸化作用を有するビタミン及び物質である。カロリー負荷又は食物摂取と加齢の過程の間には相関があるので、栄養手段との組み合わせは、例えば食欲抑制剤と行うことができる。ACE阻害剤、アンギオテンシン受容体拮抗薬、利尿剤、Ca+2拮抗薬のような血圧降下剤等との併用、又はコレステロール低下剤のような代謝正常化薬との併用を考慮することも、同様に可能である。
【0075】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩は、それ故、加齢に関連する組織変化の予防として、及び高い生活の質を持ち続けて生命を延長するために非常に適している。
【0076】
本発明の化合物は、多くの障害(本態性高血圧、アテローム性動脈硬化、糖尿病、等)において、測定に対して直ちに敏感に反応する細胞、例えば、赤血球、血小板又は白血球のような細胞においても増加する、細胞のナトリウム−プロトン対向輸送体(Na/H交換体)の有効な阻害剤である。本発明によって使用される化合物は、それ故に、例えば、異なった型の高血圧のみならず、アテローム性動脈硬化、糖尿病及び糖尿病の後期合併症、増殖性障害、等を決定し、区別するための診断薬としてのそれらの使用における、優れたそして簡単な科学的手段として適している。
又、特許請求されるものは、ヒト、動物又は植物の保護的使用のための医薬であって、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩の有効量を、薬学的に許容される担体及び添加物と共に、単独で又は他の薬理学的に有効な成分又は医薬と併用して含む医薬である。
【0077】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩を含む医薬は、これに関連して、例えば、経口的に、非経口的に、静脈内に、直腸内に、経皮的に、又は吸入によって投与することができ、好ましい投与は障害の特定の性質に依存する。式Iの化合物は、更に、獣医薬及びヒトの医薬の両者において、単独で、又は医薬の賦形剤と一緒に使用しても良い。前記医薬は、一般的に、式Iの有効成分及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩の有効成分を、用量単位当たり0.01mgから1gの量で含む。
【0078】
所望の医薬製剤に適した賦形剤は、専門家の知識を基礎として当業者によく知られている。溶媒、ゲル形成剤、座薬基剤、錠剤の賦形剤、及びその他の有効成分担体に加えて、例えば、抗酸化剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、香料、保存料、可溶化剤又は着色料を使用することが可能である。
【0079】
経口投与用形態のために、活性化合物は、担体、安定化剤又は不活性希釈剤のような、この目的に好適な添加物と混合し、通常の方法によって、錠剤、被覆錠剤、硬質ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール性溶液又は油性溶液のような好適な剤形に変換する。使用することができる不活性担体の例としては、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、乳糖、グルコース又はデンプン、特にコーンスターチである。更に、製剤としては、乾式顆粒として及び湿式顆粒としての両者で行うことが可能である。好適な油性担体又は溶媒の例としては、ヒマワリ油又は魚肝油のような植物油又は動物油である。
【0080】
皮下、筋肉内又は静脈内投与のためには、使用される活性化合物は、所望により、可溶化剤、乳化剤又はその他の賦形剤のような、この目的に慣例の物質と共に、溶液、懸濁液又はエマルジョンに変換される。好適な溶媒の例としては、水、生理食塩水又はアルコール、例えば、エタノール、プロパノール、グリセリン、更に、グルコース又はマンニトール溶液のような糖溶液、その他上記した種々の溶媒の混合物である。
【0081】
エーロゾル又はスプレーの形態での投与用の医薬処方として好適なものは、例えば、特にエタノール又は水、又はそのような溶媒の混合物のような薬学的に許容される溶媒中での式Iの有効成分及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩の有効成分の溶液、懸濁液又はエマルジョンである。必要ならば、処方は、界面活性剤、乳化剤及び安定化剤、及び推進ガスのようなその他の医薬賦形剤を含有しても良い。そのような製剤は、通常、約0.1から10、特に約0.3から3質量%の濃度で有効成分を含有する。
【0082】
投与される式Iの有効成分の用量、及び投与頻度は、使用される化合物の作用の力価及び期間に依存し、更に治療される障害の性質及び重症度、及び治療される哺乳類の性別、年齢、体重及び個々の反応性にも依存する。
【0083】
体重約75kgの患者に対する、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩の平均の1日当たりの用量は、少なくとも0.001mg/kg体重、例えば0.01mg/kg体重、から最大で10mg/kg体重、例えば1mg/kg体重である。障害の急性発症、例えば心筋梗塞に罹患した直後には、高投与量、特に、例えば1日当たり4回の単回投与までの、より頻回の投与も、又、必要とされて良い。例えば、集中治療室の梗塞を有する患者には、1日当たり、700mgまでが、特にi.v.投与で、必要とされて良く、そして本発明の化合物は、注入によって投与することができる。
【0084】
略語のリスト:
ADMET:吸収−分布−代謝−排泄−毒性;
t−BuOH:2−メチルプロパン−2−オール;
DCI:脱離化学イオン化;
DIP:ジイソプロピルエーテル;
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO:ジメチルスルホキシド;
EA:酢酸エチル;
ES:電子スプレー;
KOtBu:カリウム2−メチルプロパン−2−オラート;
MeOH:メタノール;
mp:融点;
MTB:tert−ブチルメチルエーテル;
NMP:N−メチル−2−ピロリドン;
RT:室温;
TBTMG:N”−tert−ブチル−N,N,N',N’−テトラメチルグアニジン;
THF:テトラヒドロフラン;
実験の部
【実施例1】
【0085】
N−[4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化6】

【0086】
a)4−(1,1−ジオキソ−1−イソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル
イソチアゾリジン1,1−ジオキシド(182mg)(Journal of Organic Chemistry (1987), 52(11), 2162)、4−フルオロ−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(369mg)(Journal of Medicinal Chemistry (1997), 40(13), 2017)及びCs2CO3(1.466g)を、無水DMF(7.5ml)中で、4時間30分撹拌した。反応混合物を半飽和のNaHCO3水溶液(120ml)中に注ぎ、そして、EA(毎回80ml)を用いて3回抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。
f(MTB)=0.44;MS(DCI):348。
【0087】
b)N−[4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
グアニジニウムクロリド(726mg)を無水DMF(5ml)中に溶解し、そして、室温でKOtBU(711mg)の無水DMF(5ml)溶液を加えた。室温で10分間撹拌した後、4−(1,1−ジオキソ−1−イソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(440mg)の無水DMF(5ml)溶液を室温で加えた。次いで、混合物を室温で4時間45分撹拌し、16時間室温に放置し、そして、室温で更に90分間撹拌した。反応混合物を半飽和のNaHCO3水溶液(102ml)中に注ぎ、そして、EA(毎回80ml)を用いて3回抽出した。Na2SO4で乾燥
し、溶媒を減圧下で除去し、非晶性の固体(367mg)を得た。
【実施例2】
【0088】
N−[4−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化7】

実施例1と類似の方法で、実施例2の化合物を合成した。
f(EA)=0.50;MS(ES+):388。
【実施例3】
【0089】
N−[4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化8】

【0090】
a)3−メチル−3−ニトロブタン−1−スルホン酸フェニル
エテンスルホン酸フェニル(9.43g)及び2−ニトロプロパン(4.60ml)の混合物を80℃に加熱し、そして、80℃において、エチルジイソプロピルアミン(0.89ml)を滴下し、混合物を80℃で4時間30分撹拌し、室温で16時間放置し、次いで、80℃で更に2時間撹拌した。室温に冷却し、続いて2NのHCl水溶液(250ml)を加え、そして、EA(毎回150ml)を用いて3回抽出した。Na2SO4で乾燥し、続いて、減圧下で溶媒の除去を行った後、トルエン(毎回100ml)を用いて3回共沸蒸留した。淡黄色の油状物質(13.47g)を得た。
f(EA/HEP=1/4)=0.23。
【0091】
b)3−アミノ−3−メチルブタン−1−スルホン酸フェニル
3−メチル−3−ニトロブタン−1−スルホン酸フェニル(13.42g)を、MeOH(40ml)に溶解し、中性になるまで洗浄したRaneyニッケル(2.9g)を加えた。水素化を水素圧5bar下、室温で、20時間行った。次いで、触媒を濾別し、溶媒を減圧
下で除去した。非晶性固体(11.58g)を得た。Rf(EA/MeOH=5/1)=0.17;MS(DCI):244。
【0092】
c)3,3−ジメチルイソチアゾリジン1,1−ジオキシド
3−アミノ−3−メチルブタン−1−スルホン酸フェニル(11.58g)及びKOH(5.34g)を、THF/水=240ml/95ml中で、還流下、7時間沸騰させた。その後、更に、KOH(2.7g)、水(50ml)及びTHF(120ml)を加え、そして混合物を再び還流下で7時間沸騰させた。その後、更に、KOH(5.34g)を加え、混合物を再び、還流下で3時間沸騰させた。冷却し、次いで、2NのHCl水溶液(300ml)を加え、そして、混合物を、EA(毎回250ml)を用いて5回抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。EA/HEP=1/1を用いた、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、白色結晶体(3.82g)を得た。融点:72℃。
f(EA/HEP=1/2)=0.14;MS(DCI):150。
【0093】
d)4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソ−1−イソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル
4−フルオロ−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(339mg)(Journal of Medicinal Chemistry (1997), 40(13), 2017)及び3,3−ジメチルイソチアゾリジン1,1−ジオキシド(206mg)を無水のNMP(7ml)に溶解し、そして、室温で、N”−tert−ブチル−N,N,N',N'−テトラメチルグアニジン(0.42ml)を加えた。混合物を120℃で7日間撹拌し、次いで16時間放置し、その後、再び120℃で1時間30分撹拌した。反応混合物を冷却し、次いで、EA(120ml)で希釈し、2NのHCl水溶液(毎回80ml)を用いて3回、次いでNaCO3飽和水溶液(毎回80ml)で3回、そして最後にNaCl飽和水溶液(80ml)で1回洗浄した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。クロマトグラフィー(下記条件):
カラム:Varian Polaris C18-A;
溶出液:水+0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル=9/1;
流速:T=0分〜3分:50ml/分;T=3分〜:150ml/分;
を行い、無色の油状物質(50mg)を保持時間15.5分で得た。
MS(DCI):376。
【0094】
e)N−[4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
グアニジニウムクロリド(69mg)を無水DMF(2ml)に溶解し、そして、室温でKOtBu(67mg)の無水DMF(2ml)溶液を加えた。室温で10分間撹拌した後、4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソ−1−イソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(45mg)の無水DMF(2ml)溶液を室温で加えた。次いで、混合物を室温で3時間撹拌し、16時間室温で放置し、そして室温で更に3時間撹拌した。反応混合物を半飽和のNaHCO3水溶液(80ml)に注ぎ、MTB(毎回70ml)を用いて3回抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。EAを用いたシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、粘調な油状物質(22.5mg)を得た。
f(EA/MeOH=5/1)=0.31;MS(ES+):402。
【0095】
f)N−[4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソ−イソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩
N−[4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン(22.5mg)をアセトン(5
ml)に取り込み、そして、4NのHCl水溶液(0.5ml)を加えた。揮発性成分を減圧下で除去し、次いで、トルエン(毎回5ml)を用いて、3回共沸蒸留した。非晶質の固体(23.9mg)を得た。
【実施例4】
【0096】
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩
【化9】

【0097】
a)4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル
4−フルオロ−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(600mg)(Journal of Medicinal Chemistry (1997), 40(13), 2017)、4−フェニル−イソチアゾリジン1,1−ジオキシド(600mg)(Pharmaceutical Chemistry Journal (Translation of Khimiko-Farmatsevticheskii Zhurnal) (2000), Volume Date 1999, 33(11), 598)、及びCs2CO3(2.379g)を、無水DMF(20ml)中において、室温で4時間撹拌した。反応混合物を半飽和のNaHCO3水溶液(220ml)中に注ぎ、そして、EA(140ml)を用いて3回抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。DIPを用いたシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、無色の油状物質(865mg)を得た。
f(DIP)=0.32;MS(DCI):424。
【0098】
b)N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(860mg)を、実施例1b)と類似の方法で反応させ、無色の非晶質固体(737mg)を得た。
f(EA/MeOH=10/1)=0.54;MS(ES+):450。
【0099】
c)N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン(737mg)をアセトン(20ml)に溶解し、2NのHCl水溶液(2ml)を加えた。次いで、揮発性成分を減圧下で除去した。引き続いて、トルエン(毎回20ml)を用いて3回共沸蒸留し、そして最後に、中程度の減圧下で乾燥した。白色結晶(728mg)を得た。融点:259℃(分解)。
【0100】
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩、及び、N−[4−(1,1
−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩
【化10】

N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩(94mg)を、HEP/EtOH/MeOH=1/1/1を用いた、Chiralpack AD/H 32 250(4.6上でのクロマトグラフィーで分別し、実施例5及び実施例6を得た。
【実施例5】
【0101】
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタ
ンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩、エナンチオマーA:白色結晶(22mg)。
保持時間(Chiralpack AD/H 32 250×4.6、及び、HEP/EtOH/MeOH=1/1/1):5.76分。
【実施例6】
【0102】
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン・塩酸塩、エナンチオマーB:白色結晶(37mg)。
保持時間(Chiralpack AD/H 32 250×4.6、及び、HEP/EtOH/MeOH=1/1/1):13.05分。
【実施例7】
【0103】
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸塩
【化11】

【0104】
a)2−(4−フルオロフェニル)エテンスルホニルクロリド
SO2Cl2(227ml)を3℃に冷却した無水DMF(257ml)に滴下し、その
間温度が33℃に上昇した。室温で30分間撹拌し、次いで、1−フルオロ−4−ビニルベンゼン(223ml)を滴下し、その間溶液の温度が32℃に上昇した。反応混合物を浴温60℃にゆっくり温め、内部温度が72℃に到達した。70℃で3時間45分撹拌し、次いで、反応混合物を氷(4kg)の中に、少しずつ注いだ。続いて、MTBを用い、1lで1回、そして800mlで5回抽出した。Na2SO4で乾燥し、減圧下で溶媒を除去し、粘調な油状物質(163g)を得、これを、更に精製することなく、次の反応に使用した。
f(EA/HEP=1/4)=0.49。
【0105】
b)2−(4−フルオロフェニル)エテンスルホン酸フェニル
2−(4−フルオロフェニル)エテンスルホニルクロリド(163g)を、トルエン(1.5l)に溶解し、そして、室温でフェノール(69.64g)を加えた。次いで、室温でトリエチルアミン(103ml)を滴下し、その間、温度が44℃に上昇した。混合物を室温で90分間撹拌し、16時間放置し、更に室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして、粗生成物をEA(2.5l)に取り込んだ。飽和のNaHCO3水溶液(750ml)で3回洗浄し、次いで、2NのHCl水溶液(毎回750ml)で3回洗浄した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。生成物をHEP(350ml)中で1時間撹拌し、冷却して生成物を結晶化させ、そしてHEPで洗浄し、中程度の減圧下で乾燥した。白色結晶(145.0g)を得た。融点:108℃。
f(EA/HEP=1/6)=0.26;MS(DCI):279。
【0106】
c)2−(4−フルオロフェニル)−2−ニトロエタンスルホン酸フェニル
ナトリウムメタノラート(56.3g)を、DMSO(1l)中に取り込み、
室温でニトロメタン(56.3ml)を滴下した。この間、内部温度が40℃に上昇した。次いで、26℃から30℃の温度で、2−(4−フルオロフェニル)エテンスルホン酸フェニル(145.0g)のDMSO(1l)溶液を滴下した。室温で1時間撹拌した後、室温で16時間放置し、次いで、室温で更に6時間30分撹拌した。反応混合物を氷(8kg)に注ぎ、EA(毎回2l)を用いて5回抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。EA/HEP=1/5を用いたシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、無色の油状物質(77.35g)を得た。
f(EA/HEP=1/5)=0.19。
【0107】
d)3−アミノ−2−フェニルプロパン−1−スルホン酸フェニル
2−(4−フルオロフェニル)−2−ニトロエタンスルホン酸フェニル(71.00g)を、MeOH(200ml)及びTHF(50ml)に溶解し、中性になるまで洗浄したRaneyニッケル(2g)を加えた。水素化を、水素圧5.5bar下、室温で40時間行った。次いで、触媒を濾別し、そして、溶媒を減圧下で除去した。非晶質固体(61.01g)を得た。
f(EA/MeOH=5/1)=0.38;MS(ES+):309。
【0108】
e)4−(4−フルオロフェニル)イソチアゾリジン1,1−ジオキシド
3−アミノ−2−フェニルプロパン−1−スルホン酸フェニル(61.01g)をTHF(800ml)に溶解し、そして、水(80ml)及びKOH(22.23g)を加えた。室温で15時間撹拌し、次いで、還流下で5時間沸騰させた。溶媒を減圧下で除去し、そして、残留物を飽和のNaHSO4(1l)に取り込み、EA(毎回500ml)を用いて3回抽出した。MgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。DIPを用いたシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、無色の結晶(29.00g)を得た。融点:155℃。
f(DIP)=0.18;MS(DCI):215。
【0109】
f)4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル
4−(4−フルオロフェニル)イソチアゾリジン1,1−ジオキシド(18.00g)、4−フルオロ−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(20.59g)(Journal of Medicinal Chemistry (1997), 40(13), 2017)及びCs2CO3(81.75g)を無水DMF(500ml)中、室温で5時間撹拌した。次いで、更に、4−フルオロ−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(2.00g)を加え、そして、混合物を室温で1時間撹拌し、室温で15時間放置した。反応混合物を水(1,800ml)に注ぎ、室温で1時間撹拌し、そして、生成物を吸引濾過した。次いで、生成物をEA(1l)中に溶解し、溶液をMgSO4及び活性炭と混合し、室温で15分間撹拌した。次いで、それを濾過し、溶媒を減圧下で除去した。無色の泡状体(35.00g)を得た。
f(DIP)=0.21;MS(ES-):441。
【0110】
g)N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン
KOtBu(44.48g)を無水DMF(800ml)に溶解し、そして、室温でグアニジニウムクロリド(45.44g)を加えた。室温で1時間撹拌した後、その溶液を、4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(35.00g)の無水DMF(300ml)溶液に注いだ。次いで、混合物を室温で5時間撹拌した。次いで、それを水(2l)中に注ぎ、HCl水溶液でpH=8に調節し、そして、EA(毎回300ml)を用いて5回抽出した。MgSO4で乾燥後、溶媒を減圧下で除去した。EAからの再結晶により無色の結晶(27.50g)を得た。融点:177〜178℃。
f(EA/MeOH=10/1)=0.45;MS(ES+):468。
【0111】
h)N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸塩
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン(562mg)をアセトン(20ml)に溶解し、4NのHCl水溶液(2ml)を加えた。揮発性成分を減圧下で除去し、次いで、トルエン(毎回20ml)を用いて3回共沸蒸留し、そして、最後に中程度の減圧下で乾燥した。白色結晶(587mg)を得た。融点:250℃(分解)。
【0112】
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸塩、及び、N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸塩
【化12】

実施例7の標題の化合物のエナンチオマーを分割するために、7g)のラセミ体(27.50g)を、Chiralpack AD/10,20μMを充填した、寸法:400mm×100mmのカラムを用い、HEP/EtOH/MeOH=2/1/1を流速:300ml/分で溶出するクロマトグラフィーで分別し、更に反応させて、実施例8及び9を得た。
【実施例8】
【0113】
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸、エナンチオマーA
a)N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン、エナンチオマーA;上記システムでの保持時間:16.5分。
白色結晶(12.2g);[α]25℃D=−49.3。
【0114】
b)N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸塩、エナンチオマーA
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン、エナンチオマーA(84mg)を、実施例7h)と類似の方法で塩酸塩に転換し、白色結晶(90mg)を得た。
【実施例9】
【0115】
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸塩、エナンチオマーB
a)N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン、エナンチオマーB;上記システムでの保持時間:22.0分。
白色結晶(11.8g);[α]25℃D=+49.4。
【0116】
b)N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン・塩酸塩、エナンチオマーB
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン、エナンチオマーB(5.00g)を、実施例7h)と類似の方法で塩酸塩に転換し、白色結晶(5.32g)を得た。
【実施例10】
【0117】
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニル−1−[1,2]チアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化13】

4−フェニル−[1,2]チアジナン1,1−ジオキシド(J. Org. Chem. 1991, 56, 3549)を出発物質として用いて、実施例4と類似の方法により、実施例10の化合物を合成した。
f(EA/MeOH=5/1)=0.40;MS(ES+):464。
【実施例11】
【0118】
N−[4−(5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−1−[1,2,5]チアジアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化14】

【0119】
a)シクロプロピルスルファモイルカルバミド酸tert−ブチル
【化15】

t−BuOH(1.33ml)を無水CH2Cl2(50ml)に溶解し、そして、室温でクロロスルホニルイソシアネート(2.00g)を滴下した。この間、内部温度が30℃に上昇した。室温で1時間撹拌した後、シクロプロピルアミン(1.96ml)を滴下し、そして、反応混合物を室温で16時間放置した。次いで、それを水(毎回15ml)で3回洗浄した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。非晶質固体(1.3g)を得た。
MS(DCI):237。
【0120】
b)5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−[1,2,5]チアジアゾリジン−2−カルボン酸tert−ブチル
【化16】

シクロプロピルスルファモイルカルバミド酸tert−ブチル(410mg)、1,2−ジブロモエタン(150μl)及びK2CO3(719mg)を、無水アセトン(6ml)中、還流下で9時間沸騰させた。反応混合物を室温で15時間放置した。次いで、テトラブチルアンモニウムヨージド(20mg)を加え、混合物を還流下で9時間沸騰させた。次いで、それをEA(100ml)で希釈し、水(毎回10ml)を用いて2回洗浄した。Na2SO4で乾燥後、溶媒を減圧下で除去した。無色の油状物質(400mg)を得た。
MS(DCI):263。
【0121】
c)2−シクロプロピル−[1,2,5]チアジアゾリジン1,1−ジオキシド
【化17】

5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−[1,2,5]チアジアゾリジン−2−カルボン酸tert−ブチル(400mg)を、CH2Cl2/トリフルオロ酢酸=1/1(10ml)に溶解し、そして、2時間放置した。揮発成分を減圧下で除去し、CH2Cl2(毎回50ml)を用いて2回共沸蒸留した。淡黄色の油状物質(410mg)を得、それを直接次の工程に用いた。
【0122】
d)4−(5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−[1,2,5]チアジアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル
【化18】

2−シクロプロピル−[1,2,5]チアジアゾリジン1,1−ジオキシド(203mg)、4−フルオロ−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(308mg)及びCs2CO3(2.44g)を、無水DMF(25ml)中、80℃で5時間撹拌した。室温で2日間放置した後、EA(200ml)で希釈し、そして、水(毎回20ml)で3回洗浄した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。DIPを用いたシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、非晶質の固体(230mg)を得た。
f(DIP)=0.13;MS(DCI):389。
【0123】
e)N−[4−(5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−1−[1,2,5]チアジアゾ
リジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
KOtBu(191mg)を無水DMF(10ml)に溶解し、室温で、グアニジニウムクロリド(260mg)を加えた。室温で30分間撹拌した後、溶液を4−(5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−[1,2,5]チアジアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(220mg)に注いだ。次いで、混合物を室温で5時間撹拌した。それを水(50ml)に注ぎ、HCl水溶液を用いてpH=8に調節し、EA(毎回30ml)を用いて3回抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。EA/MeOH=10/1を用いたシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、非晶質の固体(163mg)を得た。
f(EA/MeOH=10/1)=0.28;MS(ES+):415。
【実施例12】
【0124】
N−[4−(6−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−1−[1,2,6]チアジアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化19】

実施例11と類似の方法で実施例12の化合物を合成した。
f(EA/MeOH=10/1)=0.29;MS(ES+):429。
【実施例13】
【0125】
N−[4−(1,1−ジオキソ−1−イソチアゾリジン−2−イル)−3−トリフルオロメチルベンゾイル]グアニジン
【化20】

4−フルオロ−3−トリフルオロメチル安息香酸メチルを出発物質として用い、実施例1と類似の方法で、実施例13の化合物を合成した。
f(EA/MeOH=10/1)=0.53;MS(ES+)351。
【0126】
a)4−フルオロ−3−トリフルオロメチル安息香酸メチル
4−フルオロ−3−トリフルオロメチル安息香酸(5g)及びSOCl2(9ml)をMeOH(50ml)中、60℃で8時間撹拌した。次いで、揮発性成分を減圧下で除去し、無色の油状物質(5.1g)を得、それを更に精製することなく次の工程で用いた。
f(EA/MeOH=10/1)=0.74;MS(DCI)223。
【実施例14】
【0127】
N−[4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2]チアジナン−2−イル)−3−トリフルオロメチルベンゾイル]グアニジン
【化21】

実施例13a)において合成された、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル安息香酸メチルを出発物質として用いて、実施例1と類似の方法により、実施例14の化合物を合成した。
f(EA/MeOH=10/1)=0.62。
【0128】
NHE阻害の測定
NHE−1阻害に対する阻害濃度IC50は、以下のようにして測定された。
NHE−1阻害に対するIC50は、ヒトNHE−1を発現するトランスフェクト細胞株において、pHi回復の測定によるFLIPRアッセイで測定された。
アッセイは、透明な底面を有する黒壁の96ウエルマイクロタイタープレートを用いてFLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)で実施した。種々のNHEサブタイプを発現するトランスフェクト細胞株(親細胞株LAP−1は、変異処理とその後の選択の結果、内因性NHE活性は示さなかった)を〜25,000細胞/ウエルの密度で前日に播種した。
トランスフェクト細胞に対する増殖培地(Iscove +10%ウシ胎仔血清)は、トランスフェクト配列の存在を確実にするために選択抗生物質としてG418を追加的に含有した。
【0129】
実際のアッセイは、増殖培地の除去及びローディングバッファー100μl/ウエル(20mM・NH4Cl、115mM・塩酸コリン、1mM・MgCl2、1mM・CaCl2、5mM・KCl、20mM・HEPES、5mM・グルコース、pH7.4(KOHで調節)中に5μM・BCECF−AM[2',7'−ビス(カルボキシエチル)−5−(及び−6−)カルボキシフルオレセイン・アセトキシメチルエステル])の添加で開始した。次いで、細胞を37℃で20分間インキュベートした。このインキュベーションは、蛍光強度がpHiに依存する蛍光染料、及び細胞を僅かにアルカリ性にするNH4Clの細胞への付加をもたらした。
非蛍光染料前駆体BCECF−AMは、エステルとしては膜透過性である。実際の染料BCECFは膜透過性でなく、エステラーゼによって細胞の内側に遊離される。
【0130】
このインキュベーションの20分後、NH4Cl及び遊離のBCECF−AMを含有したローディングバッファーを、細胞洗浄機(Tecan Columbus)中で、各々の場合において
、洗滌バッファー(133.8mM・塩化コリン、4.7mM・KCl、1.25mM・MgCl2、1.25mM・CaCl2、0.97mM・K2HPO4、0.23mM・KH2PO4、5mM・HEPES、5mMグルコース、pH7.4(KOHで調節))毎回400μlで、3回洗滌することによって除去した。ウエル中に残った残存容量は90μl(50〜125μlが可能)であった。この洗浄工程では、遊離のBCECF−AMが除去され、外部NH4+イオンの除去の結果として、細胞内の酸性化がもたらされた(〜pHi6.3〜6.4)。
【0131】
細胞内NH4+のNH3とH+の平衡は、細胞外NH4+の除去によって、及びそれに続く前記NH3の細胞膜の瞬時の通過によって妨害されるので、洗浄工程は、細胞内酸性化の原因である細胞の内側に残存するH+をもたらした。これは、もし充分に長く生き残ったなら、結果として細胞死に至るであろう。
【0132】
洗滌バッファーはナトリウムフリー(<1mM)であることがこの点では重要であった。何故なら、細胞外ナトリウムイオンは、クローン化NHEアイソフォームの活性を通してpHiの瞬時の回復を導くであろうからである。
【0133】
使用する全てのバッファー(ローディングバッファー、洗滌バッファー、回収バッファー)は、いずれのHCO3-イオンも含有しないことが同様に重要であった。何故なら重炭酸イオンの存在は、親LAP−1細胞株に存在する阻害性重炭酸イオン依存性pHi制御系を活性に導くであろうからである。
【0134】
次いで、酸性化細胞の入ったマイクロタイタープレートを、(酸性化後20分までに)FLIPRに移送した。FLIPRにおいて、細胞内蛍光染料が、アルゴンレーザーによって発生した488nmの波長を有する光によって励起され、測定されるパラメーター(レーザー出力、照明時間及びFLIPRに取り込まれているCCDカメラの絞り)は、ウエル当たりの平均蛍光シグナルが、30,000と35,000相対蛍光単位の間であるように選択された。
【0135】
FLIPRでの実際の測定は、ソフトウエア制御下にあるCCDカメラによって2秒毎に撮影される写真で開始された。10秒後、細胞内pHの回復を、回復バッファー(133.8mM・NaCl、4.7mM・KCl、1.25mM・MgCl2、1.25mM・CaCl2、0.97mM・K2HPO4、0.23mM・KH2PO4、10mM・HEPES、5mMグルコース; pH7.4[NaOHで調節])90μlを、FLIPRに装備されている96ウエルピペッターによって加えることによって開始した。
陽性対照ウエル(100%NHE活性)は、純回復バッファーを加えたものであり、これに対し陰性対照(0%NHE活性)は洗滌バッファーであった。被検物質の2倍の濃度を有する回復バッファーを、全ての他のウエルに加えた。FLIPRでの測定は、60回の測定(2分間)後に停止した。
【0136】
生データはActivityBaseプログラムに移した。このプログラムは、最初、各々の試験した物質濃度に対するNHE活性を計算し、これらから、物質のIC50値を計算した。pHi回復の過程は、実験を通じて直線ではなかったが、しかし高いpHi値でのNHE活性
の減少のため最後には低下したので、陽性対照の蛍光の増加が直線の部分を選択することが、測定の評価のために重要であった。
【0137】
【表1】

【0138】
インビボ薬物動態−「1方法でのn」の分析結果
曝露データ及び半減期を特徴的な薬物動態データとして以下のようにして測定した。
【0139】
本発明の実施例9のNHE−1阻害剤、及び基準物質として、公知のNHE−1阻害剤である、下記式:
【化22】

のカリポリドを、水性、微酸性媒体(水、pH4,1M塩酸で調節)に溶解した。このようにして調製された水性製剤の濃度は、溶液1g当たり各物質約1.5mgであった。こ
の製剤10mlを、単一ボーラスとして、絶食した雄性ビーグル犬の頚静脈にカテーテルによって投与した(投与量:イヌの体重1kg当たり各物質約1mgを投与した)。血液試料を、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間及び24時間後に第2カテーテルによって採取し、ヘパリン処理した血漿を適切な血漿チューブ中で、1000
×Gにて遠心分離して調製した。
【0140】
血漿試料を調製し、HPLC分離後、MS/MSによって定量した。この方法の高度な特異性により、複数の試料を同時に測定することができた。曝露は、濃度−時間プロット(図1参照)からWinNonlinコンピュータープログラムを使って計算することができ、公知のNHE−1基準物質の曝露と比較した。種々の物質を、同じ動物で、同じ時間測定したので、結果は化合物の正確な比較であって、分布容積の順位付けが可能であった。
【表2】

【0141】
本発明の化合物は、基準物質カリポリドよりも、はっきりと大きな暴露を示すことが、図1の濃度−時間プロットから極めて明らかである。
【0142】
図面における、説明文及び記号は以下の通りである。
図1:各々の場合において、実施例9の化合物及びカリポリドのおよそ1mg/kgを投与後、イヌの血漿における濃度−時間プロット。
y軸:血漿中の測定された化合物の濃度、μg/ml。
x軸:時間(h)。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】各々の場合において、実施例9の化合物及びカリポリドのおよそ1mg/kgを投与後、イヌの血漿における濃度−時間プロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、及び薬学的に許容されるその塩。
式中、
R1は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、Br、I、−CN、NR13R14、−O−(CH2)n−(CF2)o−CF3又は−(SOm)q−(CH2)r−(CF2)s−CF3であり;
R13及びR14は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
mは、0、1又は2であり;
n、o、q、r及びsは、互いに独立に、0又は1であり;
R2は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、Br、I、−CN、NR15R16、−O−(CH2)u−(CF2)v−CF3又は−(SOw)x−(CH2)y−(CF2)z−CF3であり;
R15及びR16は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
wは、0、1又は2であり;
u、v、x、y及びzは、互いに独立に、0又は1であり;
R3は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、NR9R10、−O−(CH2)b−(CF2)c−CF3、−(SOd)e−(CH2)f−(CF2)g−CF3、1、2、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するアルキル又は3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;
R9及びR10は、 互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
b、c、e及びgは、互いに独立に、0又は1であり;
dは、0、1又は2であり;
fは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R3は、−(CH2)h−フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Oj−(CH2)k−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基により置換され;
jは、0又は1であり;
kは、0、1、2又は3であり;
hは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R3は、−(CH2)aa−ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Obb−(CH2)cc−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基により置換され;
bbは、0又は1であり;
ccは、0又は1、2若しくは3であり;
aaは、0、1、2、3又は4であり;
R4は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、NR11R12、−O−(CH2)ee−(CF2)ff−CF3;−(SOgg)hh−(CH2)jj−(CF2)kk−CF3、1、2、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するアルキル、又は3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;
R11及びR12は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル又は−CH2−CF3であり;
ee、ff、hh及びkkは、互いに独立に、0又は1であり;
ggは、0、1又は2であり;
jjは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R4は、−(CH2)ll−フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Omm−(CH2)nn−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
mmは、0又は1であり;
nnは、0、1、2又は3であり;
llは、0、1、2、3又は4であり;
又は、
R4は、−(CH2)oo−ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Opp−(CH2)n−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
ppは、0又は1であり;
rrは、0、1、2又は3であり;
ooは、0、1、2、3又は4であり;
R5及びR6は、互いに独立に、水素、又は1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキルであり;
R7及びR8は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニル基は無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Oss−(CH2)tt−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
ssは、0又は1であり;
ttは、0、1、2又は3であり;
又は、
R7及びR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になり、3、4、5、6、7又
は8個の炭素原子を有するシクロアルキルを形成し;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり、
R17は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6、7若しくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニルは無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−Ouu−(CH2)vv−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
uuは、0又は1であり;
vvは、0、1、2又は3であり;
Yは、結合、又は1、2若しくは3個の炭素原子を有するアルキレン鎖である。
【請求項2】
式I中、
R1は、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、NR13R14、−O−(CH2)n−(CF2)o−CF3又は−(SOm)q−(CH2)r−(CF2)s−CF3であり;
R13及びR14は、互いに独立に、水素、メチル、エチル又はCH2−CF3であり;
mは、0、1又は2であり;
n、o、q、r及びsは、互いに独立に、0又は1であり;
R2は、水素、メチル、メトキシ、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R3は、水素、F、Cl、−CN、−SO2CH3、メトキシ、エトキシ、NR9R10、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3、−S−CF3、−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、又は3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換することができ;
R9及びR10は、互いに独立に、水素、メチル、エチル又は−CH2−CF3であり;又は、
R3は、フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
R4は、水素、F、Cl、−CN、−SO2CH3又はメチルであり;
R5及びR6は、互いに独立に、水素、メチル又はエチルであり;
R7及びR8は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
又は、
R7及びR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になり、3、4、5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキルを形成し;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり;
R17は、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニルは、無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
Yは、結合又は−CH2−である;
請求項1に記載の式Iの化合物、及び薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
式I中、
R1は、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R2は、水素、F、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R3は、F、Cl、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3、−S−CF3、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、又は3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキルであり、ここで、1、2、3若しくは4個の水素原子はフッ素原子で置換してもよく;
又は、
R3は、フェニル又は−O−フェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換され;
R4は、水素又はFであり;
R5及びR6は、互いに独立に、水素又はメチルであり;
R7及びR8は、互いに独立に、水素、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換され;
又は、
R7及びR8は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3、4、5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキルを形成し;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり;
R17は、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、−CH2−CF3又はフェニルであり、ここで、フェニルは、無置換であり、又はF、Cl、Br、I、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3から成るグループから選択される1、2若しくは3個の基で置換され;
Yは、結合、又は−CH2−である;
請求項1又は2に記載の式Iの化合物、及び薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
式I中、
R1は、水素、メチル、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R2は、水素であり;
R3は、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3又は−S−CF3であり;
R4は、水素であり;
R5及びR6は、水素であり;
R7は、水素であり;
R8は、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル、CF3又はフェニルであり、ここで、フェニル基は、無置換であり、又はF、Cl、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−S−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有するアルキル及び−SO2CH3のシリーズから成るグループから選択される1若しくは2個の基で置換され;
Xは、−CH2−であり;
Yは、結合又は−CH2−である;
請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
式I中、
R1は、水素、メチル、−O−CH2−CF3又は−S−CF3であり;
R2は、水素であり;
R3は、−CN、−SO2CH3、−CF3、−O−CF3、−O−CH2−CF3、−SO2CF3又は−S−CF3であり;
R4は、水素であり;
R5及びR6は、互いに独立に、水素又はメチルであり;
R7は、水素であり;
R8は、水素であり;
Xは、−CH2−又は−NR17−であり;
R17は、水素、メチル、エチル、3、4、5若しくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル又は−CH2−CF3であり;
Yは、結合又は−CH2−である;
請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
以下:
N−[4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(3,3−ジメチル−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニルイソチアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−{4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル]−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル}グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−4−フェニル−1−[1,2]チアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(5−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−1−[1,2,5]チアジアゾリジン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(6−シクロプロピル−1,1−ジオキソ−1−[1,2,6]チアジアジナン−2−イル)−5−メタンスルホニル−2−メチルベンゾイル]グアニジン;
N−[4−(1,1−ジオキソ−1−イソチアゾリジン−2−イル)−3−トリフルオロメチルベンゾイル]グアニジン;及び
N−[4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2]チアジナン−2−イル)−3−トリフルオロメチルベンゾイル]グアニジン;
から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
請求項1、2、3、4又は5のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び/又は、薬学的に許容されるその塩を製造する方法であって、式II:
【化2】

[ここで、
R1からR8は、式Iの化合物と同じ意味を有し、そして、
Lは、求核的置換反応を行う脱離基である]
の化合物をグアニジンと反応させることを含む方法。
【請求項8】
式II:
【化3】


ここで、
R1からR8、X及びYは、請求項1、2、3、4又は5において定義した通りであり;そして、
Lは、請求項7において定義した通りである;
の化合物であって、但し、R1、R2、R3及びR4が同時に水素であり、そしてXが−CH2−である式IIの化合物は除き、そして、以下の化合物:
4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−3−メチル安息香酸メチル;
4−(1,1−ジオキソイソチアゾリジン−2−イル)−3−メチル安息香酸;
4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2,6]チアジアジナン−2−イル)−3−メチル安息香酸メチル;
4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2,6]チアジアジナン−2−イル)−3−メチル安息香酸;及び、
3−クロロ−4−(1,1−ジオキソ−1−[1,2]チアジナン−2−イル)安息香酸;
を除いた化合物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の、薬物として使用するための式1の化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
虚血又は再潅流事象に起因する器官及び組織の急性若しくは慢性の損傷、障害又は間接的後遺症の治療、又は予防のための、不整脈の、命にかかわる心室細動の、心筋梗塞の、狭心症の治療、又は予防のための、心臓の虚血状態の、末梢及び中枢神経系の虚血状態の、脳卒中の、又は末梢器官及び組織の虚血状態の治療、又は予防のための、ショック状態
の、細胞増殖が一次的若しくは二次的原因である疾患の、癌の、転移の、前立腺肥大の、前立腺過形成の、アテローム性動脈硬化の、脂質代謝の障害の、高血圧の、本態性高血圧の、中枢神経系の障害の、CNS、てんかん若しくは中枢性誘発痙攣の過剰興奮性に由来する障害の、中枢神経系の障害の、特に不安状態、うつ病若しくは精神病の治療、又は予防のための、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)若しくは糖尿病による遅発損傷の、血栓症の、上皮不全に由来する障害の、間欠跛行の治療、又は予防のための、内部器官の線維症、肝臓の線維症、腎臓の線維症、血管の線維症及び心臓の線維症の治療、又は予防のための、心不全の、うっ血性心不全の、急性若しくは慢性炎症性障害の、原虫に起因する障害の、マラリアの及び家畜におけるコクシジウム症の治療、又は予防のための、及び外科手術及び臓器移植のために使用するための、外科的処置のための移植臓器を保存及び貯蔵するための、バイパス手術において使用するための、心停止後の蘇生において使用するための、加齢に伴う皮膚の変化を予防するための、加齢に対向するため又は延命のための医薬の製造のための、甲状腺機能亢進症における心臓中毒作用の治療又は低減のための、又は診断補助薬を製造するための、医薬を製造するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項11】
虚血又は再潅流事象に起因する器官及び組織の急性若しくは慢性損傷、障害又は間接的後遺症の治療、又は予防のための、不整脈の、命にかかわる心室細動の、心筋梗塞の、狭心症の治療、又は予防のための、心臓の虚血状態の、末梢及び中枢神経系の虚血状態の、脳卒中の、又は末梢器官及び組織の虚血状態の治療、又は予防のための、ショック状態の、細胞増殖が一次的若しくは二次的原因である疾患の、癌の、転移の、前立腺肥大の、前立腺過形成の、アテローム性動脈硬化の、脂質代謝の障害の、高血圧の、本態性高血圧の、中枢神経系の障害の、CNS、てんかん若しくは中枢性誘発痙攣の過剰興奮性に由来する障害の、中枢神経系の障害の、特に不安状態、うつ病若しくは精神病の治療、又は予防のための、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)若しくは糖尿病による遅発損傷の、血栓症の、上皮不全に由来する障害の、間欠跛行の治療、又は予防のための、内部器官の線維症、肝臓の線維症、腎臓の線維症、血管の線維症及び心臓の線維症の治療、又は予防のための、心不全の、うっ血性心不全の、急性若しくは慢性炎症性障害の、原虫に起因する障害の、マラリアの及び家畜におけるコクシジウム症の治療、又は予防のための、及び外科手術及び臓器移植のために使用するための、外科的処置のための移植臓器を保存及び貯蔵するための、バイパス手術において使用するための、心停止後の蘇生において使用するための、加齢に伴う皮膚の変化を予防するための、加齢に対向するため又は延命のための医薬の製造のための、甲状腺機能亢進症における心臓中毒作用の治療又は低減のための、又は診断補助薬を製造するための、医薬を製造するための、他の医薬又は有効成分と併用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項12】
低減した心臓毒性及び細胞傷害特性を有する医薬を製造するための、心毒性医薬及び細胞障害性医薬又は有効成分と併用される、請求項10に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項13】
虚血又は再潅流事象に起因する器官及び組織の急性若しくは慢性損傷、障害又は間接的後遺症の治療、又は予防のための医薬を製造するための、請求項9又は10に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独での又は他の医薬若しくは有効成分と組み合わせての使用。
【請求項14】
命にかかわる心室細動の治療のための医薬を製造するための、請求項9又は10に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独での又は他の医薬若しくは有効成分と組み合わせての使用。
【請求項15】
転移の治療又は予防のための医薬を製造するための、請求項9又は10に記載の式Iの化合物、及び/又はその薬学的に許容される塩の、単独での又は他の医薬若しくは有効成分と組み合わせての使用。
【請求項16】
心臓の線維症の、心不全の又はうっ血性心不全の治療、又は予防のための医薬を製造するための、請求項9又は10に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独での又は他の医薬若しくは有効成分と組み合わせての使用。
【請求項17】
薬学的に許容される担体及び添加物と一緒に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の有効量を含む、ヒト、動物及び/又は植物の保護に使用するための医薬。
【請求項18】
他の薬理学的有効成分又は医薬と組み合わせた薬学的に許容される担体及び添加物と一緒に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物、及び/又は薬学的に許容されるその塩の有効量を含む、ヒト、動物及び/又は植物の保護に使用するための医薬。

【図1】
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【公表番号】特表2008−519783(P2008−519783A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540535(P2007−540535)
【出願日】平成17年10月29日(2005.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011595
【国際公開番号】WO2006/050830
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】