説明

置換二環式チオフェン誘導体、そのような化合物を含有する組成物、及び使用方法

本発明は、置換チオフェン誘導体、そのような化合物を含有する組成物、及び治療方法を扱う。本発明の化合物は、グルカゴン拮抗物質である。この化合物は、グルカゴンの作用をその受容体において遮断し、それによって血漿グルコースレベルを低下させて糖尿病を治療する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、置換チオフェン誘導体、そのような化合物を含有する組成物、及び2型真性糖尿病を治療する方法に関する。
【0002】
糖尿病は、複数の要因から生じる疾患プロセスであり、絶食状態又は経口ブドウ糖負荷試験中のブドウ糖投与後における高血漿グルコースレベル(高血糖)を特徴とする。明白な真性糖尿病(例えば、絶食状態における血糖値126mg/dL以上)は、心血管の罹患率及び死亡率の増大及び早発を伴い、脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化を含めて様々な代謝病に直接的にも間接的にも関係する。
【0003】
真性糖尿病患者の約95%を占めるインシュリン非依存性糖尿病(2型真性糖尿病)患者は、コレステロール、トリグリセリドなどの血清脂質レベルが上昇していることが多く、血液−脂質プロファイルが不良であり、LDL−コレステロールレベルが高く、HDL−コレステロールレベルが低い。したがって、2型真性糖尿病患者は、冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧(例えば、静止状態における血圧130/80mmHg以上)、腎症、神経障害及び網膜症を含めて、大血管及び微小血管の合併症を起こすリスクが高い。
【0004】
2型真性糖尿病患者は、非糖尿病患者よりも血漿インスリンレベルが特徴的に高い。これらの患者は、主要なインスリン感受性組織(筋肉、肝臓及び脂肪組織)においてグルコース及び脂質代謝のインスリン刺激に対して抵抗性を示す。したがって、疾患の自然な進行の少なくとも初期における2型糖尿病は、インスリン産生の低下ではなく、筋肉におけるグルコースの不十分な取り込み、酸化及び貯蔵、脂肪組織における脂肪分解の不適当な抑制、並びに肝臓による過剰のグルコース産生及び分泌をもたらすインスリン抵抗性によって主に特徴づけられる。インスリンに対する感受性低下効果のために、血漿グルコースが最終的に適切に減少せず血中循環インスリンレベルが高くなる(高血糖)。高インスリン血症は、高血圧を発症する危険因子であり、血管疾患の一因ともなり得る。
【0005】
グルカゴンは、肝臓糖新生を抑制するインスリンの効果を弱める主要な調節ホルモンとして働き、通常、血糖値の降下に応答して膵島中のα細胞によって分泌される。このホルモンは、グリコーゲン分解及びcAMP媒介現象による糖新生の増加を引き起こす肝臓細胞中の特異的受容体に結合する。これらの応答によってグルコース(例えば、肝グルコース産生)が産生され、血糖値が大きく低下するのを防止することによって正常血糖を維持するのに役立つ。
【0006】
2型糖尿病患者は、循環インスリンレベルの上昇に加えて、血漿グルカゴンレベルが上昇し、肝グルコース産生速度が増大する。グルカゴンの拮抗物質は、肝臓におけるインスリン応答性を改善し、糖新生速度を低下させ、肝グルコース産生速度を低下させて、血漿グルコースレベルを降下させるのに有用である。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、式Iで示される化合物、又は該化合物の製薬上許容される塩若しくは溶媒化合物を対象とする。
【0008】
【化2】

(式中、
Xは、NR又はCRであり、
は、H、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、R13から独立に選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
は、上に定義されるR、−C(O)及び−CONRからなる群から選択され、
m及びnは、mとnの合計が2又は3になるるように0、1、2及び3から選択され、mが1よりも大きいときには、1個以下のR及び1個以下のRをH以外にすることができ、
は、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、Rが、1個のR13基で置換されたC1〜10アルキルであり、かつR13がハロであるときには、R、R、R及びRがC1〜3アルキルではないように、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
は、C3〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy、C(O)C5〜10アルキル、C(O)C3〜7シクロアルキル、C(O)−アリール、C(O)−HAR、C(O)−Hetcy、CONR10、CO及びSOからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcy基及び部分は、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
及びRの一方は、NR1112、NR11COR12、NR11CO12及びNR11S(O)12からなる群から選択され、もう一方は、R、HAR、Hetcy又はOR11であり、前記HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
、R10及びR11は、上に定義されるR、HAR及びHetcyからなる群から選択され、前記HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
、R及びR12は、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
或いは、R、R、R及びR10は上で定義したとおりであり、R11及びR12は、任意の介在原子と共に、それらが結合している原子と一緒になって、O、S及びNから選択される1〜2個のヘテロ原子を場合によっては含んでいてもよい5〜8員環であって、かつR13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよい5〜8員環を表し、
各R13は、ハロ、NR1415、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy、CF、OCF、OR15、NO、S(O)14、SR14、S(O)NR1415、O(CR1617NR1415、C(O)R14、CO15
CO(CR1617CONR1415、OC(O)R14、CN、C(O)NR1415、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR15C(O)NR1614及びCR15(N−OR14)(xは1又は2であり、yは1〜4の整数である)からなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R18から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
14、R15、R16及びR17は、H、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール及びAr−C1〜10アルキルからなる群から独立に選択され、
各R18は、ハロゲン、CN、C1〜4アルキル、OH、CF、アリール、アリールオキシ、COH及びCO1〜4アルキルからなる群から独立に選択され、前記アリール及びアリールオキシのアリール部分は、最高4個のハロ基、及び最高2個のC1〜4アルキル、OH、CF又はCN基で場合によっては置換されていてもよい)
【0009】
(発明の詳細な説明)
別段の記載がないかぎり以下に定義する用語を使用して、本発明を本明細書に詳細に記載する。
【0010】
「アルキル」、及びアルコキシ、アルカノイルなどの接頭語「アルク(alk)」を有する他の基は、示された数の炭素原子を含む線状、分枝又は環式でも、或いはそれらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。数を指定しない場合には、線状又は分枝アルキル基は1〜10個の炭素原子を有するものとする。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどである。シクロアルキルは、アルキルのサブセットであり、原子数を指定しない場合には、縮合した1〜3個の炭素環式環を形成する3〜10個の炭素原子を有するものとする。「シクロアルキル」は、結合点が非芳香族部分上にあるアリール基に縮合した単環式環も含む。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどである。
【0011】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む炭素鎖を意味し、それらは線状でも、分枝でも、又はそれらの組合せでもよい。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどである。
【0012】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む炭素鎖を意味し、それらは線状でも、分枝でも、又はそれらの組合せでもよい。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−へプチニルなどである。
【0013】
「アリール」(Ar)は、炭素原子のみを含む単環式及び二環式芳香環を意味する。アリールの例は、フェニル及びナフチルである。
【0014】
「ヘテロアリール」(HAR)は、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式芳香環又は環構造を意味し、各環は5〜6個の原子を含む。例としては、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリルなどがある。ヘテロアリールは、非芳香族又は部分的に芳香族である複素環に縮合した芳香族複素環式基、及びシクロアルキル環に縮合した芳香族複素環式基も含む。
【0015】
「ヘテロサイクリル」(Hetcy)は、N、S及びOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む単環式及び二環式飽和環及び環構造を意味し、前記環の各々は、結合点が炭素でも窒素でもよい3〜10個の原子を有する。「ヘテロサイクリル」の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンズオキサジニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリルなどである。この用語は、窒素を介して結合した2−又は4−ピリドン、或いはN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)などの芳香族ではない部分的に不飽和の単環式環も含む。
【0016】
「ハロゲン」(ハロ)は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。
【0017】
本発明は、式Iで示される化合物、又は該化合物の製薬上許容される塩若しくは溶媒化合物を対象とする。
【0018】
【化3】

(式中、
Xは、NR又はCRであり、
は、H、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、R13から独立に選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
は、上に定義されるR、−C(O)及び−CONRからなる群から選択され、
m及びnは、mとnの合計が2又は3になるように0、1、2及び3から選択され、mが1よりも大きいときには、1個以下のR及び1個以下のRをH以外にすることができ、
は、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、Rが、1個のR13基で置換されたC1〜10アルキルであり、かつR13がハロであるときには、R、R、R及びRがC1〜3アルキルではないように、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
は、C3〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy、C(O)C5〜10アルキル、C(O)C3〜7シクロアルキル、C(O)−アリール、C(O)−HAR、C(O)−Hetcy、CONR10、CO及びSOからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcy基及び部分は、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
及びRの一方は、NR1112、NR11COR12、NR11CO12及びNR11S(O)12からなる群から選択され、もう一方は、R、HAR、Hetcy又はOR11であり、前記HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
、R10及びR11は、上に定義されるR、HAR及びHetcyからなる群から選択され、前記HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
、R及びR12は、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
或いは、R、R、R及びR10は上で定義したとおりであり、R11及びR12は、任意の介在原子と共に、それらが結合している原子と一緒になって、O、S及びNから選択される1〜2個のヘテロ原子を場合によっては含んでいてもよい5〜8員環であって、かつR13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよい5〜8員環を表し、
各R13は、ハロ、NR1415、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy、CF、OCF、OR15、NO、S(O)14、SR14、S(O)NR1415、O(CR1617NR1415、C(O)R14、CO15
CO(CR1617CONR1415、OC(O)R14、CN、C(O)NR1415、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR15C(O)NR1614及びCR15(N−OR14)(xは1又は2であり、yは1〜4の整数である)からなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R18から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
14、R15、R16及びR17は、H、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール及びAr−C1〜10アルキルからなる群から独立に選択され、
各R18は、ハロゲン、CN、C1〜4アルキル、OH、CF、アリール、アリールオキシ、COH及びCO1〜4アルキルからなる群から独立に選択され、前記アリール及びアリールオキシのアリール部分は、最高4個のハロ基、及び最高2個のC1〜4アルキル、OH、CF又はCN基で場合によっては置換されていてもよい)
本発明の特に重要である一側面においては、Rが、H、C1〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、前記アルキル及びフェニルは、R13から選択される1〜3個の置換基で場合によっては置換されていてもよい式Iの化合物を開示する。本発明のこの側面においては、他のすべての可変基(variable)は最初に定義したとおりである。
【0019】
本発明の特に重要である別の側面においては、RがHである式Iの化合物を開示する。
【0020】
本発明のこの側面においては、他のすべての可変基は、最初に定義したとおりである。
【0021】
特に重要である本発明の別の側面においては、mが0であり、かつnが2又は3である、或いはmが1であり、nが1又は2である式Iの化合物を開示する。したがって、mとnの合計は2又は3である。本発明のこの側面においては、他のすべての可変基は、最初に定義したとおりである。
【0022】
本発明の特に重要である別の側面においては、Rが1個のR13基で置換されており、かつR13がハロであるときには、R、R、R及びRがC1〜3アルキルではないように、Rが、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよいC3〜10アルキルである式Iの化合物を開示する。本発明のこの側面においては、他のすべての可変基は、最初に定義したとおりである。
【0023】
より具体的には、本発明の特に重要である一側面は、Rが、1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよいC3〜5アルキルである式Iの化合物に関係する。本発明のこの側面においては、他のすべての可変基は、最初に定義したとおりである。
【0024】
本発明の特に重要である別の側面においては、Rが、C5〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、HAR、Hetcy、C(O)C5〜10アルキル、C(O)C3〜6シクロアルキル及びCOからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、フェニル、HAR及びHetcyが、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、Rが、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR又はHetcyであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、HAR及びHetcyが1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよい式Iの化合物を開示する。本発明のこの側面においては、他のすべての可変基は、最初に定義したとおりである。
【0025】
本発明の特に重要である別の側面においては、XがCRであり、RがNR1112であり、Rが、R、HAR、Hetcy及びOR11からなる群から選択され、R1は最初に定義されたとおりであり、R11はR又はHARであり、R12はC1〜6アルキル、アリール又はHARであり、前記アリール及びHARは1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよく、
或いはR11及びR12は、それらが結合している原子と一緒になって、1〜2個のR13基で場合によっては置換されていてもよい5〜6員環を表す式Iの化合物を開示する。本発明のこの側面においては、他のすべての可変基は、最初に定義したとおりである。
【0026】
本発明の別の側面においては、R13が、ハロ、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy及びOR15(R15はHである)からなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R18から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
18は、ハロ、C1〜4アルキル、アリール又はCO1〜4アルキルである式Iの化合物を開示する。
【0027】
本発明のこの側面においては、他のすべての可変基は、最初に定義したとおりである。
【0028】
本発明の特に重要である別の側面においては、
が、H、C1〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、前記アルキル及びフェニルは、R13から選択される1〜3個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
がHであり、
mとnの合計が2又は3になるように、mが0であり、かつnが2又は3であり、或いはmが1であり、かつnが1又は2であり、
が1個のR13基で置換されており、かつR13がハロであるときには、R、R、R及びRがC1〜3アルキルではないように、Rが、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよいC3〜10アルキルであり、
が、C5〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、HAR、Hetcy、C(O)C5〜10アルキル、C(O)C3〜6シクロアルキル及びCOからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、フェニル、HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、Rが、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR又はHetcyであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、HAR及びHetcyが1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよく、
XがCRであり、RがNR1112であり、RがR、HAR、Hetcy及びOR11からなる群から選択され、Rは最初に定義したとおりであり、R11はR又はHARであり、R12はC1〜6アルキル、アリール又はHARであり、前記アリール及びHARは1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよく、
或いは、R11及びR12が、それらが結合している原子と一緒になって、1〜2個のR13基で場合によっては置換されていてもよい5〜6員環を表し、
13は、ハロ、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy及びOR15(R15はHである)からなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R18から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
18は、ハロ、C1〜4アルキル、アリール又はCO1〜4アルキルである式Iの化合物を開示する。
【0029】
本明細書の範囲内にある特に重要な化学種としては、
tert−ブチル 3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−5,6−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−7(4H)−カルボキシレート、
N−(3−シアノ−7−イソブチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−7−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[(4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチル]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(4−フェノキシベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(3−フェノキシベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{[1−(2,4−ジクロロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(シクロプロピルメチル)(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(イソプロピル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(イソペンチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(3,3−ジメチルブチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(イソブチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(2−エチルブチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{(2,4−ジクロロベンジル)[(4、5−ジメチル−2−フリル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(3−フェニルプロピル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[(1−ベンゾフラン−2−イルメチル)(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(4−フルオロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{(2,4−ジクロロベンジル)[(5−メチル−2−フリル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
tert−ブチル(2S)−2−{[{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシレート、
N−{3−シアノ−6−[(3,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{[(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{メチル[(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{[(2−フェニル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{メチル[(2−フェニル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルアミノ)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[メチル(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルメチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルメチル)(メチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[(2−クロロベンジル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド
N−{6−[(2−クロロベンジル)(メチル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(6−{[1−(4−ブロモフェニル)エチル]アミノ}−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[[1−(4−ブロモフェニル)エチル](メチル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(3−フェニルピロリジン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−(2,4−ジクロロベンジル)−3,3−ジメチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]−3,3−ジメチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]ベンズアミド、及び
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロヘキサンカルボキサミドなどがある。
【0030】
本発明は、製薬上許容される担体と組み合わせた式Iの化合物を含む医薬組成物をさらに含む。
【0031】
2型真性糖尿病を治療するのに有効な量で式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者における2型真性糖尿病を治療する方法も含む。
【0032】
2型真性糖尿病の発症を予防する又は遅延させるのに有効な量で式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、それを必要とする前記患者における2型真性糖尿病の発症を予防する又は遅延させる方法も含む。
【0033】
2型真性糖尿病に関連する疾患又は病気を治療し、予防し、又はその発症を遅延させる方法も含む。例としては、高レベルコレステロール、トリグリセリド又は低密度リポタンパク質(LDL)、低レベル高密度リポタンパク質(HDL)などの異脂肪血症、並びに冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎性高血圧、腎症、神経障害、網膜症などの微小血管変化又は大血管変化及びこのような病気の続発症からなる群から選択される疾患及び病気が挙げられる。この方法は、式Iの化合物このような疾患又は病気を治療し、予防し、又はその発症を遅延させるのに有効な量を2型糖尿病患者、例えば、ヒト患者に投与することを必要とする。
【0034】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物の多くは1個以上の不斉中心を含み、したがって、ラセミ体及びラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在する。本発明は、そのような異性体の純化合物及び混合化合物のすべてを含む。
【0035】
本明細書に記載する化合物の一部は、オレフィン二重結合を含み、別段の指定がないかぎり、E及びZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0036】
本明細書に記載する化合物の一部は、異なる水素結合点を含むことができ、互変異性体と称される。そのような例は、ケト−エノール互変異性体として知られるケトン及びそのエノール形などである。個々の互変異性体及びその混合物は、式Iの化合物に包含される。
【0037】
塩及び溶媒化合物
「製薬上許容される塩」という用語は、無機又は有機塩基及び無機又は有機酸を含めて、製薬上許容される実質的に無毒な塩基又は酸から調製される塩、並びに製薬上許容される塩に転化可能な塩を指す。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などがある。特に好ましい塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。製薬上許容される無毒の有機塩基から誘導される塩としては、エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの第一級、第二級及び第三級アミン塩、天然の置換アミンを含めた置換アミン、環式アミン、塩基性イオン交換樹脂などがある。
【0038】
本発明の化合物が塩基性のときには、塩は、無機酸及び有機酸を含めて製薬上許容される無毒の酸から調製することができる。そのような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などがある。特に好ましい酸は、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0039】
本明細書で使用する溶媒化合物は、水などの溶媒と会合した式Iの化合物又はその塩を指す。代表的な例は、水和物、半水和物、三水和物などである。
【0040】
式Iの化合物の基準(References)としては、製薬上許容される塩及び溶媒化合物が挙げられる。
【0041】
本発明は、グルカゴンの産生又は活性に拮抗し、又はそれを阻害し、それによって糖新生及びグリコーゲン分解の速度、並びに血漿グルコース濃度を低下させる方法に関する。
【0042】
式Iの化合物は、哺乳動物において高レベルのグルコースに起因する病態を予防処置又は治療処置するための医薬品製造に使用することができる。
【0043】
用量範囲
式Iの化合物の予防的量又は治療量は、治療すべき病気の性質、選択した特定の化合物及びその投与経路によって変わることは言うまでもない。これは、個々の患者の年齢、体重及び応答によっても変わる。一般に、一日量の範囲は、単一用量又は分割用量で約0.001mg〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.01mg〜約50mg/kg、より好ましくは0.1〜10mg/kgの範囲にある。これらの限度外の投与量を使用することが必要な場合もある。
【0044】
静脈内投与又は経口投与を採用するときには、代表的な投与量範囲は、体重1kg当たり1日につき式Iの化合物約0.001mg〜約100mg(好ましくは、0.01mg〜約10mg)、より好ましくは約0.1mg〜約10mgである。
【0045】
医薬組成物
上述したように、本医薬組成物は、式Iの化合物、及び製薬上許容される担体を含む。「組成物」という用語は、活性成分と担体を構成する不活性成分、(製薬上許容される賦形剤)とを含む生成物、並びに任意の2個以上の成分の組合せ、複合若しくは集合、又は1個以上の成分の解離、又は成分間の他のタイプの反応若しくは相互作用から直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含する。本組成物は、式Iの化合物の2型真性糖尿病を治療し、予防し、又はその発症を遅延させるのに有効な量を、製薬上許容される担体と組み合わせて含むことが好ましい。
【0046】
哺乳動物、特にヒトに、本発明の化合物の有効投与量を投与するために任意の適切な投与経路を使用することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼球、肺、経鼻などを使用することができる。剤形の例は、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁液剤、溶液剤、カプセル剤、乳剤、軟膏剤、エアゾール剤などであり、経口錠剤が好ましい。
【0047】
経口組成物を調製する際には、経口液剤、例えば、懸濁溶液剤、エリキシル剤、溶液剤などの場合には、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味矯臭剤、防腐剤、着色剤などの通常の任意の薬剤媒体を使用することができ、経口固形剤、例えば、散剤、カプセル剤及び錠剤の場合には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などの担体を使用することができ、固形経口薬剤が好ましい。錠剤及びカプセル剤は、投与が容易なことから最も有利な経口投与単位剤形である。所望であれば、標準の水系又は非水系技術によって錠剤を被覆することができる。
【0048】
上記の一般的な剤形に加えて、式Iの化合物は、米国特許第3,845,770号、同3,916,899号、同3,536,809号、同3,598,123号、同3,630,200号及び同4,008,719号に記載されたものなどの制御放出手段及び/又は送達装置によって投与することもできる。
【0049】
経口投与に適切な本発明の薬剤組成物は、各々が活性成分の所定量を含むカプセル剤、カシェ剤、錠剤などの個別単位として、散剤又は顆粒剤として、或いは水性液体、非水性液体、水中油型乳剤若しくは油中水型液体乳剤中の溶液剤又は懸濁液剤として提供することができる。このような組成物は、任意の薬学的方法によって調製することができるが、すべての方法は、1個以上の必要な成分を構成する担体と活性成分を会合させる段階を含む。一般に、本組成物は、液体担体、細かく粉砕した固形担体、又はその両方と活性成分を均一かつ十分に混合し、次いで、必要に応じて、生成物を所望の形(presentation)に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、圧縮又はモールディングすることによって調製することができ、1個以上の補助成分を場合によっては含んでいてもよい。圧縮錠剤は、バインダー、潤滑剤、不活性希釈剤、表面活性剤又は分散剤と場合によっては混合されていてもよい散剤、顆粒剤などの易流動性の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製することができる。モールディングされた錠剤は、不活性希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械でモールディングすることによって製造することができる。各錠剤は約1mg〜約1gの活性成分を含有し、各カシェ剤又はカプセル剤は約1〜約500mgの活性成分を含有することが望ましい。
【0050】
以下は、式Iの化合物の薬剤剤形の例である。
【0051】
【表1】

【0052】
併用療法
式Iの化合物は、2型真性糖尿病の発症、並びに式Iの化合物が有用である2型真性糖尿病に付随する疾患及び病気の治療/予防/遅延に使用される他の薬物と組み合わせて使用することができる。他の薬物は、一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に又は連続して投与することができる。式Iの化合物を1個以上の他の薬物と同時に使用するときには、式Iの化合物に加えてそのような他の薬物を含む薬剤組成物が好ましい。したがって、本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物に加えて1個以上の他の活性成分を含む薬剤組成物を含む。式Iの化合物と組み合わせることができ、別個に又は同じ薬剤組成物として投与される他の活性成分の例は、(a)ビス−グアナイド(例えば、ブホルミン、メトホルミン、フェンホルミン)、(b)PPAR作用物質(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)、(c)インスリン、(d)ソマトスタチン、(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ボグリボース、ミグリトール、アカルボース)、及び(f)インスリン分泌促進物質(例えば、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボヌライド(glibornuride)、グリクラジド、グリマーピライド(glimerpiride)、グリピジド、グリクイジン(gliquidine)、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブリド、グリヘキサミド(glyhexamide)、グリピンアミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド(tolcyclamide)、ナテグリニド、レパグリニド)であるが、これらだけに限定されない。
【0053】
式Iの化合物と第2の活性成分との重量比は広範に変わり、各成分の有効量によって決まる。一般に、各々の有効量が使用される。したがって、例えば、式Iの化合物をPPAR作用物質と組み合わせるときには、式Iの化合物とPPAR作用物質との重量比は、一般に約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。式Iの化合物と他の活性成分との組合せも、一般に、上記範囲内にあるが、それぞれの場合において各活性成分の有効量を使用すべきである。
【0054】
本願を通して、以下の略語を、特に示さない限り以下の意味で使用する。
【0055】
【表2】

【0056】
本発明の化合物は、以下のスキームに概説する方法に従って調製することができる。
【0057】
【化4】

1などの環式ケトン(式中、Xは、式IのCRである)は市販されており、文献公知であり、又は当業者に周知の様々な方法によって都合よく調製することができる。
【0058】
スキーム1においては、文献(S.Mukherjee及びA.De、J.Chem.Res.8、295(1994);M.S.Mahas等 J.Chem.Soc.1969、1937;A.De等 J.Het.Chem.29、1213(1992))に記載された方法に従って、硫黄(S)及びジアルキルアミン(例えば、モルホリン)のエタノール溶液の存在下で、環式ケトン1をマロン酸ニトリル2と縮合して2−アミノ−3−シアノ−チオフェン3を得る。既報の手順(U.Sensfuss等 Heteroat.Chem.9、529(1998)に従って、トリアルキルアミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、適切な無水物又は酸塩化物を用いて3をアシル化して、式Iで示されるアミドを得る。
【0059】
環式ケトン1が、対称的に置換されたケトンでないときには、生成物3は、位置異性体の混合物として形成される場合もあることが知られている。これらの異性体は、一連の合成の任意の段階で、W.C.Still等、J.Org.Chem.、43、2923(1978)に記載された調製用薄層クロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィーによってシリカゲル上で、又はHPLCによって分離することができる。HPLCによって精製された化合物は、対応する塩として単離することができる。
【0060】
スキーム2に示すように、2段階のチオフェン合成を実施する必要がある場合もある。
【0061】
【化5】

まず、1などのケトンとマロン酸ニトリルを縮合してジシアノアルケン4を調製する。この中間体を、文献(A.Rajca及びM.Tisler、Monatch.Chem.121、697(1990);B.Naumann等、Pharmazie 53、4(1996))に記載された方法に従って、硫黄(S)及びジアルキルアミン(例えば、モルホリン)のエタノール溶液と反応させて2−アミノ−3−シアノチオフェン3を得る。既報(U.Sensfuss等 Heteroat.Chem.9、529(1998)の手順に従って、トリアルキルアミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、適切な無水物又は酸塩化物を用いて3をアシル化して、式Iで示されるチオフェンアミドを得る。
【0062】
nが0よりも大きい整数であり、Xが窒素であるスキーム3中の5などの中間体は、市販されており、文献公知であり、又は様々な公知の方法によって調製することができる。
【0063】
【化6】

このスキームにおいては、R、R及びRは試薬に付加され、その種類(genus)内の可変基の一部を形成することができる。したがって、例えば、スキーム3においては、R又はRに結合したカルボニル、及び可変基は、Rに転化され、他の可変基は適切な脱離基である。スキーム4においては、Rは、R内のカルボニル基に結合した部分の1つに転化される。
ケトンを用いた式Iを含む化合物への一経路をスキーム3に示す。中間体6は、スキーム1に示したように得られ、続いてスキーム1に示したようにアミド結合が形成されて式7の生成物が得られる。中間体7は、さらに、Boc保護基を、例えばトリフルオロ酢酸を用いて除去して、非保護第二級アミン8を得ることができる。このアミンは、さらに、1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中、酢酸などの弱酸及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下でケトンRCOR又はアルデヒドRCHOを付加することによって、アルキル化アミン9を形成することができる。
【0064】
中間体8は、スキーム4に示す方法によって反応させることもできる。
【0065】
【化7】

アミン8は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−ヒドロキシベンズトリアゾール(HOBT)及び塩基、一般にトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を用いて、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレンなどの溶媒中、周囲温度で3〜48時間カルボン酸に結合させて中間体10を得ることができる。
【0066】
11などの中間体は、市販の対応ケトンから、文献公知の対応ケトンから、又は当業者が容易に調製することができる対応ケトンから、スキームIに概説する一般的方法によって合成することもできる。スキーム5に示すように、塩酸水溶液とTHFの混合物を用いて中間体11を70℃で3〜48時間脱保護して、ケトン中間体12が得られる場合もある。
【0067】
【化8】

この中間体は、さらに、酢酸などの弱酸及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下で、ジクロロメタン中でR11NHなどの一級アミンを添加して、アミン生成物13を得ることができる。さらに、やはり還元剤及び弱酸の存在下でこの中間体にアルデヒドを添加して第三級アミン生成物14を得ることができる。アルデヒドからのRCH−は、可変基R12又はR12に容易に転化される基を形成する。
【0068】
或いは、中間体13は、スキーム4において利用されるペプチドカップリング条件を使用してカルボン酸RC(O)OHを付加することによって、又はスキーム1において利用されるアミド結合形成条件を使用して酸塩化物を付加することによって、スキーム6に示すように反応させることができる。
これによってアミド生成物15が得られる。
【0069】
【化9】

【0070】
以下の例は、本発明を説明するものであって、添付した特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0071】
(実施例1)
【0072】
【化10】

tert−ブチル 3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−5,6−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−7(4H)−カルボキシレート。
【0073】
【化11】

工程A。tert−ブチル 2−アミノ−3−シアノ−5,6−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−7(4H)−カルボキシレート。スキーム1に概説した一連の反応によって標記化合物を調製した。すなわち、tert−ブチル 3−オキソピペリジン−1−カルボキシレート0.200g(1.00mmol)の20mL EtOH溶液に、マロン酸ニトリル0.066g(1.00mmol)、続いてモルホリン0.088mL(1.00mmol)、次いで元素硫黄0.032g(1.00mmol)を添加した。この混合物を周囲温度で16時間攪拌し、次いで等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈した。この混合物をジクロロメタンで2回抽出し、その混合有機層を脱水(NaSO)し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAcのへキサン溶液)によって精製して白色固体の標記化合物を得た。
【0074】
H NMR(500MHz、CDCl)4.62(s、2H)、3.73(t、J=5.5Hz、2H)、2.56(t、J=6.5Hz、2H)、1.98(m、2H)、1.52(s、9H);質量スペクトル(ES)m/e=280.2(M+H)。
【0075】
工程B。tert−ブチル 3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−5,6−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−7(4H)−カルボキシレート。
【0076】
工程Aで単離された物質の1mL ジクロロメタン溶液に、ジイソプロピルエチルアミン0.200mL(1.15mmol)、続いて塩化2−エチルブタノイル0.100mL(0.728mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、この混合物をジクロロメタン30mLで希釈し、次いで等体積のNaHCO飽和水溶液で2回洗浄した。その有機層を脱水(NaSO)し、減圧下で濃縮して、標記化合物を得た。
【0077】
H NMR(500MHz、CDCl)8.88(s、1H)、3.75(s、2H)、2.62(t、J=6.0Hz、2H)、2.30(s、1H)、1.99(quint.、J=5.5Hz、2H)、1.61(m、2H)、0.92(t、J=7.0Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=378.2(M+H)。
【0078】
(実施例2)
【0079】
【化12】

N−(3−シアノ−7−イソブチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド。
【0080】
【化13】

工程A。N−(3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−2−エチルブタンアミド。
【0081】
実施例1から得られる標記化合物の20mLジクロロメタン溶液にトリフルオロ酢酸20mLを添加した。周囲温度で1時間後、この混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(40%EtOAcのへキサン溶液)で精製して標記化合物を得た。
【0082】
H NMR(500MHz、CDCl、TFA塩)11.11(s、1H)、6.90(s、1H)、3.12(s、1H)、2.46(m、2H)、1.78(t、J=5.5Hz、2H)、1.50(m、2H)、1.42(m、2H)、0.79(t、J=7.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=278.2(M+H)。
【0083】
工程B。N−(3−シアノ−7−イソブチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド。
【0084】
工程Aで単離された物質の2mLジクロロメタン溶液に、イソブチルアルデヒド0.041mL(0.90mmol)、続いて酢酸0.026mL(0.45mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム0.10g(0.45mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、この反応物をジクロロメタン30mLで希釈し、等体積のNaHCO飽和水溶液で2回洗浄した。その有機層を脱水(NaSO)し、減圧下で濃縮した。
【0085】
調製用逆相HPLCで精製して標記化合物を得た。
【0086】
H NMR(TFA塩)(500MHz、CDCl)8.90(s、1H)、3.13(t、J=5.5Hz、1H)、2.85(d、J=7.5Hz、2H)、2.57(t、J=6.5Hz、2H)、2.28(m、1H)、1.98(m、2H)、1.72(m、2H)、1.59(m、2H)、0.94(t、J=7.5Hz、6H)、0.93(t、J=6.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=334(M+1)。
【0087】
(実施例3)
【0088】
【化14】

N−(3−シアノ−7−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド。
【0089】
実施例2と同じ方法で標記化合物を調製した。
【0090】
H NMR(TFA塩)(500MHz、CDCl)8.56(s、1H)、3.64(quint.、J=7.0Hz、1H)、3.07(t、J=5.0Hz、2H)、2.57(t、J=6.0Hz、2H)、2.46(m、1H)、1.97(quint.、J=5.5Hz、2H)、1.74(m、2H)、1.60(m、2H)、1.19(d、J=7.0Hz、6H)、0.95(t、J=7.5Hz、6H)。
【0091】
(実施例4)
【0092】
【化15】

N−{6−[(4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチル]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル}−2−エチルブタンアミド。
【0093】
【化16】

工程A。tert−ブチル 2−アミノ−3−シアノ−4,7−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−6(5H)−カルボキシレート。
【0094】
スキーム1に概説した一連の反応によって標記化合物を調製した。すなわち、tert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート10.0g(50.2mmol)の150mL EtOH溶液に、マロン酸ニトリル3.3g(50.2mmol)、続いてモルホリン6.6mL(75mmol)、次いで元素硫黄1.61g(50.2mmol)を添加した。この混合物を周囲温度で16時間攪拌し、次いでシリカパッドを通してその反応混合物をろ過し、50%EtOAcのへキサン溶液で洗浄した。そのろ液を減圧下で濃縮し、白色固体の標記化合物を得た。
【0095】
H NMR(500MHz、CDCl)4.81(s、2H)、4.38(s、2H)、3.68(t、J=5.0Hz、2H)、2.61(s、2H)、1.50(s、9H);質量スペクトル(ES)m/e=180.2(M+H−Boc)。
【0096】
【化17】

工程B。tert−ブチル 3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,7−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−6(5H)−カルボキシレート
工程Aで調製された中間体12.0g(43.0mmol)の250mL ジクロロメタン溶液に、ジイソプロピルアミン15.0mL(86mmol)、続いて塩化2−エチルブタノイル9.0mL(64mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、その反応物を等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈し、次いでジクロロメタンで2回抽出した。その混合有機層を脱水(NaSO)し減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAcのへキサン溶液)で精製して白色固体の標記化合物を得た。
【0097】
H NMR(500MHz、CDCl)9.23(s、1H)、4.50(s、2H)、3.71(s、2H)、2.69(s、2H)、2.35(m、1H)、1.76(m、2H)、1.63(m、2H)、1.50(s、9H)、0.95(t、J=7.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=378.1(M+H)。
【0098】
【化18】

工程C。N−(3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド。
【0099】
工程Bで単離された中間体の100mL ジクロロメタン溶液にトリフルオロ酢酸25mLを添加した。周囲温度で2時間後、その反応物を等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈した。この混合物をジクロロメタンで2回抽出し、その混合有機層を脱水(NaSO)し、減圧下で濃縮して標記化合物を得た。
【0100】
H NMR(500MHz、CDCl)9.34(s、1H)、3.96(s、2H)、3.47(s、1H)、3.20(t、J=5.5Hz、2H)、2.67(t、J=6.0Hz、2H)、2.33(m、1H)、1.73(m、2H)、1.62(m、2H)、0.94(s、9H);質量スペクトル(ES)m/e=278.2(M+H)。
【0101】
工程D。N−{6−[(4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチル]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル}−2−エチルブタンアミド。
【0102】
工程Cで得られた中間体の2mL 1,2−ジクロロエタン溶液に、4−(4−クロロフェニル)ベンズアルデヒド98.0mg(0.45mmol)、続いて酢酸0.026mL(0.45mmol)、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム100mg(0.45mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、その反応物を等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈し、この混合物をジクロロメタンで2回抽出した。その混合有機層を脱水(NaSO)し減圧下で濃縮した。調製用逆相HPLCで精製して白色固体の標記化合物を得た。
【0103】
H NMR(TFA塩)(500MHz、CDCl)8.97(s、1H)、7.55(m、4H)、7.44(m、4H)、3.78(s、2H)、3.61(s、2H)、2.89(t、J=5.5Hz、2H)、2.75(t、J=5.5Hz、2H)、2.32(m、1H)、1.74(m、2H)、1.63(m、2H)、0.96(t、J=7.0Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=478.2(M+H)。
【0104】
(実施例5)
【0105】
【化19】

N−[3−シアノ−6−(4−フェノキシベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル]−2−エチルブタンアミド。
【0106】
実施例4と同じ方法で標記化合物を調製した。
【0107】
H NMR(TFA塩)(500MHz、CDCl)9.26(s、1H)、7.35(m、4H)、7.13(t、J=7.5Hz、1H)、7.04(d、J=8.5Hz、2H)、7.01(d、J=8.5Hz、2H)、3.71(s、2H)、3.58(s、2H)、2.86(t、J=5.5Hz、2H)、2.74(t、J=5.0Hz、2H)、2.37(m、1H)、1.75(m、2H)、1.62(m、2H)、0.96(t、J=7.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=460.1(M+H)。
【0108】
(実施例6)
【0109】
【化20】

N−{6−[4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル}−2−エチルブタンアミド。
【0110】
標記化合物を実施例4と同じ方法で調製した。
【0111】
H NMR(TFA塩)(500MHz、CDCl)9.13(s、1H)、7.34(d、J=8.0Hz、2H)、7.30(d、J=8.5Hz、2H)、6.97(d、J=8.5Hz、2H)、6.96(d、J=9.5Hz、2H)、3.70(s、2H)、3.57(s、2H)、2.85(t、J=6.0Hz、2H)、2.72(t、J=5.5Hz、2H)、2.33(m、1H)、1.75(m、2H)、1.61(m、2H)、0.94(t、J=7.5Hz、);質量スペクトル(ES)m/e=494.2(M+H)。
【0112】
(実施例7)
【0113】
【化21】

N−[3−シアノ−6−(3−フェノキシベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル]−2−エチルブタンアミド。
【0114】
標記化合物を実施例4と同じ方法で調製した。
【0115】
H NMR(TFA塩)(500MHz、CDCl)9.21(s、1H)、7.34(m、3H)、7.13(d、J=7.5Hz、2H)、7.07(s、1H)、7.03(d、J=8.0Hz、2H)、6.95(d、J=8.0Hz、1H)、3.73(s、2H)、3.60(s、2H)、2.86(t、J=5.0Hz、2H)、2.72(t、J=4.5Hz、2H)、2.35(m、1H)、1.75(m、2H)、1.62(m、2H)、0.96(t、J=7.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=460.1(M+H)。
【0116】
(実施例8)
【0117】
【化22】

N−(3−シアノ−6−{[1−(2,4−ジクロロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド。
【0118】
実施例4の工程Cで調製された中間体の1mL DMF溶液に、1−(2,4−ジクロロフェニル)シクロプロパンカルボン酸4.2mg(0.14mmol)、続いてジイソプロピルエチルアミン0.047mL(0.027mmol)及びO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)68.0mg(0.18mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、この混合物をEtOAc50mLで希釈した。その有機層をNaHCO飽和水溶液、塩水で洗浄し、脱水(MgSO)し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAcのへキサン溶液)で精製して白色固体の標記化合物を得た。
【0119】
H NMR(500MHz、CDCl)8.69(s、1H)、7.38(s、1H)、7.29(s、2H)、4.46(s、2H)、3.71(m、2H)、2.26(m、1H)、1.74(m、2H)、1.68(q、J=2.5Hz、2H)、1.62(m、2H)、1.16(q、J=2.5Hz、2H)、0.93(t、J=7.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=490.1(M+H)。
【0120】
(実施例9)
【0121】
【化23】

N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド
【0122】
【化24】

工程A。スキーム1に概説した一連の反応によって標記化合物を調製した。すなわち、1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−8−オンの200mL EtOH溶液に、マロン酸ニトリル10.1g(160mmol)、続いてモルホリン22.0mL(240mmol)、次いで元素硫黄5.13g(160mmol)を添加した。この混合物を100℃で16時間加熱し、次いで等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈した。この混合物をジクロロメタンで2回抽出し、その混合有機層を脱水(NaSO)し、減圧下で濃縮し、黄色固体を得た。
【0123】
質量スペクトル(ES)m/e=237.1(M+H)。
【0124】
この粗製物質を工程Bに直接使用した。
【0125】
【化25】

工程B。工程Aから得られた粗製物質をジクロロメタン200mLに溶解した。この溶液に、ジイソプロピルエチルアミン46.0mL(263mmol)、続いて塩化2−エチルブタノイル8.91mL(66.0mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、その反応物を等体積のNaHCO飽和水溶液で冷却した。この混合物をジクロロメタンで2回抽出し、その混合有機層を脱水(NaSO)し、減圧下で濃縮し、黄色固体を得た。
【0126】
質量スペクトル(ES)m/e=335.2(M+H)。
【0127】
この粗製物質を工程Cに直接使用した。
【0128】
【化26】

工程C。N−(3−シアノ−6−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド。
【0129】
工程Bで単離された物質の100mL THF溶液に、1.0N水性HCl 52mL(52mmol)を添加した。この混合物を70℃に48時間加熱し、次いで周囲温度に冷却し、1.0N NaOH 52mL(52mmol)に添加した。得られた混合物をジクロロメタンで2回抽出し、その混合有機層を脱水(NaSO)し減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAcのへキサン溶液)によって精製して白色固体の中間体0.650gを得た。
【0130】
H NMR(500MHz、CDCl)9.17(s、1H)、3.52(s、2H)、3.03(t、J=6.5Hz、2H)、2.72(t、J=8.0Hz、2H)、2.36(m、1H)、1.77(m、2H)、1.65(m、2H)、0.95(t、J=7.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=291.2(M+H)。
【0131】
工程D。N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド。
【0132】
工程Cで単離された中間体の100mL ジクロロメタン溶液に、1−(2,4−ジクロロフェニル)メタンアミン1.41mL(12.0mL)、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム2.54g(12.0mmol)、及び酢酸0.960mL(16.0mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、その反応物を等体積のNaHCO飽和水溶液で冷却した。この混合物をジクロロメタンで2回抽出し、その混合有機層を脱水(NaSO)し、減圧下で濃縮し、黄色固体を得た。フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAcのへキサン溶液)で精製して白色固体の標記化合物を得た。
【0133】
H NMR(500MHz、CDCl)8.54(s、1H)、7.39(m、2H)、7.25(m、1H)、3.95(s、2H)、3.04(m、1H)、2.95(dd、J=4.0Hz、J=16.0Hz、1H)、2.78(dt、J=5.5Hz、J=16.5Hz、1H)、2.62(m、1H)、2.53(dd、J=8.0Hz、J=16.0Hz、1H)、2.25(m、1H)、2.09(m、1H)、1.76(m、2H)、1.64(m、2H)、1.56(s、1H)、0.95(t、J=7.0Hz);質量スペクトル(ES)m/e=450.1(M+H)。
【0134】
(実施例10)
【0135】
【化27】

N−{3−シアノ−6−[(シクロプロピルメチル)(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド。
【0136】
実施例9から得られた標記化合物の5mLジクロロメタン溶液に、シクロプロパンカルバルデヒド0.165mL(2.20mmol)、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム0.187g(0.88mmol)を添加した。周囲温度で72時間後、この混合物を等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈し、ジクロロメタンで2回抽出した。その混合有機層を脱水(NaSO)し減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーで精製し、続いて調製用逆相HPLCで精製して、白色固体の標記化合物を得た。
【0137】
H NMR(TFA塩)(500MHz、CDCl)8.28(s、1H)、7.74(s、1H)、7.38(s、1H)、7.29(s、1H)、3.99(s、2H)、2.91(m、1H)、2.85(dd、J=7.0Hz、J=17.0Hz、1H)、2.75(m、1H)、2.60(m、2H)、2.23(m、1H)、1.70(m、2H)、1.63(m、2H)、0.95(t、J=8.0Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=504.1(M+H)。
【0138】
実施例9で調製された標記化合物を使用し、実施例10に概説した手順に従って、表3に列記する化合物を調製した。
【0139】
【表3】


【0140】
実施例9工程Cで調製された中間体、及び実施例9工程Dで利用された手順を使用し、表4に列記する化合物を調製した。
【0141】
【表4】


【0142】
(実施例33)
【0143】
【化28】

N−{3−シアノ−6−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド。
【0144】
実施例24から得られる標記化合物の2mLジクロロメタン溶液に、37%ホルムアルデヒド水溶液0.060mL(0.65mmol)、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム0.055g(0.26mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、その反応物を、ジクロロメタン30mLで希釈し、等体積のNaHCO飽和水溶液で2回洗浄した。その有機層を脱水(NaSO)し減圧下で濃縮した。調製用逆相HPLCで精製して、白色固体の標記化合物を得た(TFA塩)。
【0145】
H NMR(500MHz、CDCl)8.64(s、1H)、7.64(m、1H)、7.41(m、1H)、7.14(d、J=8.0Hz、1H)、6.07(s、1H)、4.42(d、J=5.5Hz、2H)、4.26(m、1H)、3.66(m、1H)、2.98(m、2H)、2.79(s、3H)、2.68(m、2H)、2.33(m、1H)、2.00(m、1H)、1.72(m、2H)、1.62(m、2H)、0.95(t、J=8.0Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=464.2(M+H)。
【0146】
実施例33に概説した手順、及び示した実施例から得られる標記化合物を出発物質として利用して、表5に列記する化合物を調製した。
【0147】
【表5】


【0148】
(実施例40)
【0149】
【化29】

N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロヘキサンカルボキサミド。
【0150】
工程A。N−(3−シアノ−6−{[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド。
【0151】
実施例9工程Cにおいて単離された中間体の40mLジクロロメタン溶液に、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン−1−オール0.452g(3.90mmol)、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム1.24g(5.9mmol)及び酢酸0.468mL(7.80mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、その反応物を等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈した。その有機層を脱水(NaSO)し減圧下で濃縮した。調製用逆相HPLCで精製して標記化合物を得た(TFA塩)。
【0152】
【化30】

質量スペクトル(ES)m/e=392.3(M+H)。
【0153】
工程B。N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロヘキサンカルボキサミド。
【0154】
工程Aにおいて単離された中間体の5.0mLジクロロメタン溶液に、ジイソプロピルエチルアミン0.175mL(1.00mmol)及び塩化シクロヘキサンカルボニル0.041mL(0.280mmol)を添加した。周囲温度で16時間撹拌した後にその反応混合物を減圧下で濃縮し、調製用逆相HPLCで精製して白色固体の標記化合物を得た。
【0155】
H NMR(500MHz、CDCl)8.51(s、1H)、4.52(dt、J=3.5Hz、J=12.5Hz、1H)、4.42(dd、J=7.5Hz、J=13.0Hz、1H)、3.75(m、1H)、3.08(m、2H)、2.88(m、1H)、2.67(m、1H)、2.51(m、1H)、2.27(m、3H)、2.18(m、1H)、1.86(d、J=11.0Hz、1H)、1.76(m、3H)、1.62(m、2H)、1.40(m、1H)、1.27(m、1H)、1.20(s、9H)、0.95(t、J=7.0Hz);質量スペクトル(ES)m/e=502.4(M+H)。
【0156】
実施例40工程Bに概説した手順、及び実施例40工程Aにおいて合成された出発物質を利用して表6に列記する化合物を合成した。
【0157】
【表6】


【0158】
(実施例45)
【0159】
【化31】

N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−(2,4−ジクロロベンジル)−3,3−ジメチルブタンアミド。
【0160】
実施例9から得られる標記化合物の50mLジクロロメタン溶液に、ジイソプロピルエチルアミン0.307mL(1.80mmol)、HOBTの触媒として作用する量(約2mg)、及び塩化3,3−ジメチルブタノイル0.065mL(0.48mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、その反応物を等体積のNaHCO飽和水溶液で希釈した。その有機層を脱水(NaSO)し減圧下で濃縮した。調製用逆相HPLCで精製して白色固体の標記化合物を得た。
【0161】
H NMR(500MHz、CDCl)8.52(s、1H)、7.46(s、1H)、7.34(m、1H)、7.20(m、1H)、4.97(m、1H)、4.72(d、J=17Hz、1H)、4.59(d、J=16Hz、1H)、2.73(m、4H)、2.25(m、1H)、2.12(s、2H)、1.86(m、2H)、1.78(m、2H)、1.60(m、2H)、1.07(s、9H)、0.94(t、J=7.5Hz、6H);質量スペクトル(ES)m/e=548.1(M+H)。
【0162】
バイオアッセイ
本発明の化合物のグルカゴン結合阻害能力を以下のインビトロアッセイによって示すことができる。
【0163】
グルカゴン受容体結合アッセイ
ヒトグルカゴン受容体クローンを発現する安定なCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞系を既報のとおり維持した(Chicchi等 J Biol Chem 272、7765〜9(1997);Cascieri等 J Biol Chem 274、8694〜7(1999))。化合物の拮抗的な結合親和性を明らかにするために、これらの細胞から得た細胞膜0.002mgを125I−グルカゴン(New England Nuclear、MA)とともに、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM MgCl、2mM EDTA、12%グリセリン、及びWGA被覆PVT SPAビーズ(Amersham)0.200mg、+/−化合物又は0.001mM非標識グルカゴンを含有する緩衝剤中でインキュベートした。室温で4〜12時間インキュベーションした後、細胞膜に結合した放射能を放射線放射検出カウンター(Microbeta−Wallace)によって測定した。GraphPadのソフトウエアプログラムPrism(登録商標)を用いてデータを解析した。単一部位での競合を仮定して非線形回帰分析によってIC50を計算した。
【0164】
グルカゴン受容体結合アッセイのハイスループットスクリーニング(HTS)プロトコル
受容体活性調節物質のハイスループットスクリーニングに適切な別の形式の結合アッセイが開発された。当業者には知られているように、HTSアッセイでは、完全自動化又は半自動化プロトコル、ロボット装置及びワークステーション装置を利用した。典型的な形態のアッセイにおいては、(上述した)細胞膜0.002mgをWGA被覆PVTビーズ0.200mgとともに100mM Tris−HCl pH7.5、10mM MgCl、4mM EDTA、24%グリセリン及び0.2%BSAを含有する緩衝剤中でプレインキュベートした。次いで、試験化合物又は対照溶液剤0.100mLを含有する96ウェルプレート(Wallac Isoplates、白色透明底)の各ウェルに膜/ビーズ混合物(0.050mL)を分注した。次いで、125I−グルカゴン(約25,000CPM)を含有するプレートの各ウェルに添加物(0.050mL)を再度分注した。Multidrop Stacker 20(Titertek)液体分注器を用いて溶液剤を分注した。接着剤プレートシール(Packard)を貼り、プレートを5分間振とうした。プレートを周囲温度でさらに数時間(一般に5時間)インキュベートして平衡にした。シグナルは最長3日間安定であった。シンチレーションカウンター(Wallac Microbeta)を用いて1分間/ウェルでプレートを読み取った。化合物を含まず0.001mM非標識グルカゴンを含む対照試料の総シンチレーションシグナル(CPM)と比較して、試験化合物の活性を計算した。
【0165】
グルカゴンによって刺激される細胞内cAMP形成の阻害
指数関数的に増殖し、ヒトグルカゴン受容体を発現するCHO細胞を、酵素を含まない分離培地(dissociation media)(Specialty Media)を用いて回収し、低速でペレット化し、細胞懸濁緩衝剤[緩衝剤各50mlに対して、75mM Tris−HCl pH7.5、250mMスクロース、25mM MgCl、1.5mM EDTA、0.1mM Ro−20−1724(Biomol,Inc.)、0.2%ウシ血清アルブミン、及びプロテアーゼ阻害剤カクテルを含むcomplete(商標)(Boehringer)1錠]に再懸濁させた。New England Nuclear(NEN)のアデニル酸シクラーゼアッセイキット(SMP−004B)を製造者の指示に従って用いて、アデニル酸シクラーゼアッセイを設定した。手短に述べると、そのキットに付属する細胞刺激緩衝剤中で、化合物原液から希釈した。抗cAMP抗体(NEN)を塗布したフラッシュプレート中、化合物又はDMSO対照の存在下で、上述のとおりに調製した細胞を40分間プレインキュベートし、次いでグルカゴン(250pM)を用いてさらに40分間刺激した。溶解緩衝剤及び125I標識cAMPトレーサー(NEN)を含む等量の検出緩衝剤を添加して細胞刺激を停止させた。室温で3〜6時間インキュベーションした後、液体シンチレーションカウンター(TopCount−Packard Instruments)で結合放射能を測定した。化合物を含まず0.001mM非標識グルカゴンを含む対照試料の総シンチレーションシグナル(CPM)と比較して、試験化合物の活性を計算した。
【0166】
本発明のある実施態様を詳細に記載した。しかし、本発明の範囲内にある他の多数の実施態様も企図される。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に記載する具体的な実施態様に限定されない。本明細書に引用するすべての特許、特許出願及び出版物を参照によりそれら全体を援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される化合物、又は該化合物の製薬上許容される塩若しくは溶媒化合物。
【化1】

(式中、
Xは、NR又はCRであり、
は、H、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、R13から独立に選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
は、上に定義されるR、−C(O)及び−CONRからなる群から選択され、
m及びnは、mとnの合計が2又は3になるように0、1、2及び3から選択され、mが1よりも大きいときには、最大1個のR及び最大1個のRをH以外にすることができ、
は、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル及びアリールは、Rが、1個のR13基で置換されたC1〜10アルキルであり、かつR13がハロであるときには、R、R、R及びRがC1〜3アルキルではないように、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
は、C3〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy、C(O)C5〜10アルキル、C(O)C3〜7シクロアルキル、C(O)−アリール、C(O)−HAR、C(O)−Hetcy、CONR10、CO及びSOからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcy基及び部分は、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
及びRの一方は、NR1112、NR11COR12、NR11CO12及びNR11S(O)12からなる群から選択され、もう一方は、R、HAR、Hetcy又はOR11であり、前記HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
、R10及びR11は、上に定義されるR、HAR及びHetcyからなる群から選択され、前記HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
、R及びR12は、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
或いは、R、R、R及びR10は上で定義したとおりであり、R11及びR12は、任意の介在原子と共に、それらが結合している原子と一緒になって、O、S及びNから選択される1〜2個のヘテロ原子を場合によっては含んでいてもよい5〜8員環であって、かつR13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよい5〜8員環を表し、
各R13は、ハロ、NR1415、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy、CF、OCF、OR15、NO、S(O)14、SR14、S(O)NR1415、O(CR1617NR1415、C(O)R14、CO15
CO(CR1617CONR1415、OC(O)R14、CN、C(O)NR1415、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR15C(O)NR1614及びCR15(N−OR14)(xは1又は2であり、yは1〜4の整数である)からなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R18から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
14、R15、R16及びR17は、H、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール及びAr−C1〜10アルキルからなる群から独立に選択され、
各R18は、ハロゲン、CN、C1〜4アルキル、OH、CF、アリール、アリールオキシ、COH及びCO1〜4アルキルからなる群から独立に選択され、前記アリール及びアリールオキシのアリール部分は、最高4個のハロ基、及び最高2個のC1〜4アルキル、OH、CF又はCN基で場合によっては置換されていてもよい)
【請求項2】
が、H、C1〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、前記アルキル及びフェニルは、R13から選択される1〜3個の置換基で場合によっては置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
mとnの合計が2又は3になるように、mが0であり、かつnが2又は3である、或いはmが1であり、nが1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が1個のR13基で置換されており、かつR13がハロであるときには、R、R、R及びRがC1〜3アルキルではないように、Rが、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよいC3〜10アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよいC3〜5アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、C5〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、HAR、Hetcy、C(O)C5〜10アルキル、C(O)C3〜6シクロアルキル及びCOからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、フェニル、HAR及びHetcyが、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、Rが、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR又はHetcyであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、HAR及びHetcyが1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
XがCRであり、RがNR1112であり、RがR、HAR、Hetcy及びOR11からなる群から選択され、Rは最初に定義されたとおりであり、R11はR又はHARであり、R12はC1〜6アルキル、アリール又はHARであり、前記アリール及びHARは1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよく、
或いはR11及びR12は、それらが結合している原子と一緒になって、1〜2個のR13基で場合によっては置換されていてもよい5〜6員環を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
13が、ハロ、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy及びOR15(R15はHである)からなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R18から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
18は、ハロ、C1〜4アルキル、アリール又はCO1〜4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、H、C1〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、前記アルキル及びフェニルは、R13から選択される1〜3個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
がHであり、
mとnの合計が2又は3になるように、mが0であり、かつnが2又は3であり、或いはmが1であり、かつnが1又は2であり、
が1個のR13基で置換されており、かつR13がハロであるときには、R、R、R及びRがC1〜3アルキルではないように、Rが、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよいC3〜10アルキルであり、
が、C5〜10アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、HAR、Hetcy、C(O)C5〜10アルキル、C(O)C3〜6シクロアルキル及びCOからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、フェニル、HAR及びHetcyは、R13から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、Rが、C1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR又はHetcyであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール基及び部分、HAR及びHetcyが1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよく、
XがCRであり、RがNR1112であり、RがR、HAR、Hetcy及びOR11からなる群から選択され、Rは最初に定義したとおりであり、R11はR又はHARであり、R12はC1〜6アルキル、アリール又はHARであり、前記アリール及びHARは1〜4個のR13基で場合によっては置換されていてもよく、
或いは、R11及びR12が、それらが結合している原子と一緒になって、1〜2個のR13基で場合によっては置換されていてもよい5〜6員環を表し、
13は、ハロ、C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、アリール、HAR、Hetcy及びOR15(R15はHである)からなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、HAR及びHetcyは、R18から選択される1〜4個の置換基で場合によっては置換されていてもよく、
18は、ハロ、C1〜4アルキル、アリール又はCO1〜4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
tert−ブチル 3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−5,6−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−7(4H)−カルボキシレート、
N−(3−シアノ−7−イソブチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−7−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[(4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチル]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(4−フェノキシベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(3−フェノキシベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{[1−(2,4−ジクロロフェニル)シクロプロピル]カルボニル}−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(シクロプロピルメチル)(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(イソプロピル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(イソペンチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(3,3−ジメチルブチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(イソブチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(2−エチルブチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{(2,4−ジクロロベンジル)[(4、5−ジメチル−2−フリル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(3−フェニルプロピル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[(1−ベンゾフラン−2−イルメチル)(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(4−フルオロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,4−ジクロロベンジル)(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{(2,4−ジクロロベンジル)[(5−メチル−2−フリル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
tert−ブチル(2S)−2−{[{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}(2,4−ジクロロベンジル)アミノ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシレート、
N−{3−シアノ−6−[(3,4−ジクロロベンジル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{[(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{メチル[(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{[(2−フェニル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−(3−シアノ−6−{メチル[(2−フェニル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]アミノ}−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルアミノ)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[メチル(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルメチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−6−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルメチル)(メチル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[(2−クロロベンジル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド
N−{6−[(2−クロロベンジル)(メチル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−(6−{[1−(4−ブロモフェニル)エチル]アミノ}−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−2−エチルブタンアミド、
N−{6−[[1−(4−ブロモフェニル)エチル](メチル)アミノ]−3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル}−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(3−フェニルピロリジン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−[3−シアノ−6−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル]−2−エチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−(2,4−ジクロロベンジル)−3,3−ジメチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]−3,3−ジメチルブタンアミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]ベンズアミド、及び
N−{3−シアノ−2−[(2−エチルブタノイル)アミノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル}−N−[1−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルプロピル]シクロヘキサンカルボキサミドからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
製薬上許容される担体と組み合わせた請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物の2型真性糖尿病を治療するのに有効な量を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者における2型真性糖尿病を治療する方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物の2型真性糖尿病の発症を予防し又は遅延させるのに有効な量を哺乳動物患者に投与することを含む、それを必要とする前記患者における2型真性糖尿病の発症を予防し又は遅延させる方法。
【請求項15】
2型真性糖尿病患者において、高血清コレステロール、高血清トリグリセリド、高血清低密度リポタンパク質及び低血清レベル高密度リポタンパク質から選択される異脂肪血症、並びに冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎性高血圧、腎症、神経障害及び網膜症から選択される微小血管変化又は大血管変化及びこのような病気の続発症からなる群から選択される疾患又は病気を治療し、予防し、又はその発症を遅延させ、式Iの化合物のこのような疾患又は病気を治療し、予防し、又はその発症を遅延させるのに有効な量を前記2型糖尿病患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−503034(P2006−503034A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536137(P2004−536137)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/028033
【国際公開番号】WO2004/024065
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】