説明

耐火物組成物

【課題】より固定炭素量を増大させることができ、耐酸化性や耐スポーリング性、耐食性が良好な耐火物を得ることができる耐火物組成物を提供する。
【解決手段】耐火骨材としてマグネシアと炭素質材料を、バインダーとしてフェノール樹脂とタールとピッチの少なくとも一方と2−フルアルデヒドを、バインダーの硬化剤としてホルムアルデヒドを生成する化合物を、それぞれ含有する。そして、バインダー中、フェノール樹脂が20〜60質量%、タールとピッチの少なくとも一方が15〜40質量%、2−フルアルデヒドが20〜50質量%の含有比率であり、またバインダー100質量部に対してホルムアルデヒドを生成する化合物の配合量が9.5質量部以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉、混銑車、転炉、取鍋、溶融還元炉等の溶融金属容器の内張りや、高炉出銑口充填材、連続鋳造設備に具備されるノズル、浸漬ノズル、ロングノズル、スライディングノズル、ストッパー等、その他非鉄金属用溶解炉などに好適に使用される耐火物組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の用途に使用される耐火物組成物は、耐火骨材にバインダーを配合し、これをシンプソンミル、メランジャ、アイリッヒ、スピードマラー、ワールミックスなどの混練装置で混練することによって調製されるのが一般的であり、これをオイルプレス、フリクションプレス、真空プレス、静水圧プレスなどでプレス成形した後に加熱して、乾燥硬化あるいは焼成して耐火物を得ている。上記の混練装置は、バインダーの形態や性状に応じて、また混練方法に応じて使い分けられている。
【0003】
ここで、使用するバインダーとしては、固体状のものと液体状のものとがある。そして固体状のものに求められる特性としては、耐火骨材に分散し易くて偏析を起し難いこと、耐火骨材の表面に付着あるいはコーティングさせるために使用する溶剤に溶解し易くまた乾燥し易いこと、プレス成形する際に荷重をかけたときに変形し易く成形性が良いこと、高温度で処理されて焼成されたときに固定炭素量が高いことなどがある。また液体状の成形する際に成形性が良いこと、高温度で処理されて焼成されたときに固定炭素量が高いことなどがあり、さらに、混練して調製された耐火物組成物(坏土)が成形するまでの間に吸湿したり乾燥することによって坏土の湿潤度が変化すると、成形性が安定せず、成形厚みが厚くなったり薄くなったりして、れんがの歩留まりが低下する不具合が生じるので、坏土を調製した後成形するまでの間に吸湿し難くまた溶剤が蒸発し難いことも求められる特性の一つである。
【0004】
これらの特性のうち、成形性と固定炭素量とは重要な因子の一つである。そこでバインダーとして固体状のものを用いるときには、耐火骨材にバインダーを配合する際に使用した低沸点溶剤の一部を可塑性を与えるために耐火物組成物に残したり、高沸点の溶剤を可塑剤として耐火物組成物に添加したりして、耐火物組成物の流動性を高め、成形性を向上させるようにしている。しかし、溶剤は耐火物組成物を成形して乾燥したり焼成したりする際に揮発物として揮散してしまうために、耐火物の固定炭素量に溶剤は寄与することはなく、固定炭素量が高く緻密な耐火物を得ることはできない。しかも坏土中の溶剤が蒸発するに従って耐火物組成物の湿潤度が変化し、成形性を一定に保つことが難しい。
【0005】
また液体状のバインダーの場合にも、樹脂の粘度を下げたりするためにエチレングリコールやプロピレングリコールなどを用いることがあるが、この場合も耐火物組成物を成形して乾燥したり焼成したりする際にエチレングリコールやプロピレングリコールは揮発物として揮散し、耐火物の固定炭素量に寄与することはなく、固定炭素量が高く緻密な耐火物を得ることはできない。しかもエチレングリコールやプロピレングリコールは吸湿し易いため、耐火物組成物を成形するまでの間にその湿潤度が変化して成形性を一定に保つことが難しい。
【0006】
さらに、これらのいずれの場合も、耐火物組成物を成形して乾燥・硬化や焼成をする際に、成形性を与えるために用いた溶剤類や、バインダーが硬化あるいは炭化する時に生成する揮発物により環境が汚染されるおそれがあると共に、また溶剤類や揮発物で耐火物の気孔率が高くなって、耐酸化性や耐食性が低下するという問題もあった。
【0007】
ここで、上記の耐火物組成物において、バインダーとしてコールタールピッチ、石油系タールピッチを始めとするタールやピッチが古くから広範囲に使用されている。これは、タールやピッチの熱処理後に得られるカーボンがバインダーとして作用し、且つ溶融スラグに濡れ難く優れた耐食性を示すからである。
【0008】
しかしタールやピッチを耐火物組成物のバインダーとして用いる場合の大きな欠点は、タールやピッチは加熱されることによって揮発分が飛散し、また重縮合反応がほぼ完了するまでは十分な強度が得られないということである。このために、耐火物の製造や施工に際して種々の制約を受けることになる。例えば、タールやピッチをバインダーとする不焼成あるいは焼成耐火物においては、350〜550℃でベーキング処理することによって、タールやピッチ中の揮発分の多くを除去すると共にカーボン化を進める必要があるが、このベーキング処理の昇温速度はタールやピッチ中の揮発分の蒸気圧が耐火物のフクレ現象をもたらさない程度に抑えることが前提であって、ベーキング処理には長時間を要し、耐火物の生産能力や生産コストの面で大きな問題になるものであった。またタールやピッチの揮発分は環境を汚染するため、排気設備などが必要になるという問題があり、さらにタールやピッチをバインダー成分とする耐火物組成物は可塑性が乏しいため、成形に高い圧力を必要としたり、添加量を多くしたりすることが必要になるものであった。
【0009】
一方、近年では、タールやピッチの上記のような問題に対処できるバインダーとして、フェノール樹脂が多用されている。フェノール樹脂はタールやピッチと異なり、熱硬化性化合物であるから200℃以下の低温度域から強度を発現し、ベーキング処理を行うことが不要になるのである。しかし、フェノール樹脂は加熱によりそのまま炭化して無定形炭素になるため、耐火物は気孔率が高くなり、このことからタールやピッチに比較して耐酸化性や耐食性、耐スポーリング性が劣るという欠点を有する。
【0010】
従って、フェノール樹脂とタールやピッチをバインダーとして併用することができれば、両者の欠点を補なうことができると考えられる。しかしながら、タールやピッチは非極性であるのに対してフェノール樹脂は極性が高いため、両者は相溶性が乏しく、また加熱時は混溶していても低温になるに従って分離し、両者を均一に分散させて耐火物を得ることが困難である。またフェノール樹脂とタールやピッチを均一に溶解させる溶剤を使用することも考えられるが、加熱硬化時に溶剤が揮散するときにバインダー成分が溶剤と共に移動し、硬化物中でのバインダー成分の分散が不均一になり、好ましくない。
【0011】
そこで、本出願人は従前に、耐火骨材に、バインダーとしてフェノール樹脂、タールやピッチ、及び2−フルアルデヒドなどの環状化合物を配合した耐火物組成物を提案した(特許文献1参照)。このものでは、環状化合物はフェノール樹脂とタールやピッチをそれぞれ溶解させる溶剤として作用するので、成形性を高めることができるものであり、しかも環状化合物は焼成によって炭素化するので、固定炭素量が高く耐食性の良好な耐火物を得ることができるのである。
【特許文献1】特開2003−89571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そして上記の特許文献1のものにあって、2−フルアルデヒドなどの環状化合物をフェノール樹脂と反応させることによって、耐火物の固定炭素量を増大させることが可能である。しかし、特許文献1に記載されている硬化剤(すなわちヘキサメチレンテトラミン)の量では、フェノール樹脂を硬化させることができるだけであり、2−フルアルデヒドなどの環状化合物をフェノール樹脂と反応させて耐火物の固定炭素量を増大させるまでには至っていないものであった。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、より固定炭素量を増大させることができ、耐酸化性や耐スポーリング性、耐食性が良好な耐火物を得ることができる耐火物組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る耐火物組成物は、耐火骨材としてマグネシアと炭素質材料を、バインダーとしてフェノール樹脂とタール及びピッチの少なくとも一方と2−フルアルデヒドを、バインダーの硬化剤としてホルムアルデヒドを生成する化合物を、それぞれ含有し、バインダー中、フェノール樹脂が20〜60質量%、タール及びピッチの少なくとも一方が15〜40質量%、2−フルアルデヒドが20〜50質量%の含有比率であると共に、バインダー100質量部に対してホルムアルデヒドを生成する化合物の配合量が9.5質量部以上であることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、上記のタール及びピッチは軟化点が30〜400℃のものであることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明において、上記のフェノール樹脂は、固体であることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明において、上記のフェノール樹脂は、液体であることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明において、上記の2−フルアルデヒドと、タール及びピッチの少なくとも一方のうち、いずれか一方は、耐火骨材にフェノール樹脂を配合する際に同時に配合されることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明において、上記のフェノール樹脂、タール及びピッチの少なくとも一方、2−フルアルデヒドのうちいずれか二種類が予め混合された状態で耐火骨材に配合されることを特徴とするものである。
【0020】
また本発明において、上記のフェノール樹脂、タール及びピッチの少なくとも一方、2−フルアルデヒドの三種類が予め混合された状態で耐火骨材に配合されることを特徴とするものである。
【0021】
また本発明において、2−フルアルデヒドはその一部が予め、フェノール樹脂と、タール及びピッチの少なくとも一方のうち、少なくとも一方と反応されていることを特徴とするものである。
【0022】
また本発明において、上記のフェノール樹脂とタール及びピッチの少なくとも一方と2−フルアルデヒドとを反応させる反応触媒が含有されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、バインダー中の2−フルアルデヒドはフェノール樹脂とタールやピッチをそれぞれ溶解させる溶剤としても作用し、特にフェノール樹脂が20〜60質量%、タールやピッチが15〜40質量%、2−フルアルデヒドが20〜50質量%の含有比率であることによって、これらを相溶性高く溶解させることができるものであり、成形性を高めることができるものである。またバインダー100質量部に対してホルムアルデヒドを生成する化合物の配合量が9.5質量部以上であることによって、この硬化剤として使用するホルムアルデヒドを生成する化合物によって、フェノール樹脂を硬化させる他に、2−フルアルデヒドをフェノール樹脂やタールあるいはピッチと十分に反応させて高分子化することができ、固定炭素量が高く耐食性や耐スポーリング性の良好な耐火物を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0025】
本発明において耐火骨材としては、通常耐火物の原料として使用されている各種のものを用いることができるものであり、粗粒から微粉まで任意の耐火原料を粒度配合して使用することができる。例えば、電融マグネシア等の電融品、焼結マグネシア等の焼結品、天然マグネシア、ボーキサイト、アンダリュサイト、シリマナイト等の天然原料の他、仮焼アルミナ、シリカフラワー等の超微粉原料などを使用することができる。耐火骨材としてはさらに、Al,Mg,Ca,Siやこれらの合金の一種あるいは二種以上を配合して用いることもできる。さらに炭素質材料の酸化防止剤などとして各種の炭化物、硼化物、窒化物、例えばSiC,BC,BN,Si等を用いることもできる。
【0026】
これらのなかでも本発明では、耐火物の少なくとも一部としてマグネシアを用いるものである。マグネシアは耐火物用に用いられる骨材のなかでは融点が高く、耐食性が優れているためである。またこのマグネシアとしては、MgO含有率85質量%以上のものを用いるのが好ましい。MgO含有率85質量%未満のマグネシアは、耐火度が低下するので好ましくない。
【0027】
また耐食性を向上させるために、溶融スラグとの濡れ性が悪い炭素質材料の粉末を耐火骨材として配合するものである。この炭素質材料としては天然黒鉛、人造黒鉛、ピッチ、コークス、カーボンブラック、キッシュ黒鉛、メソフェースカーボン、木炭など任意の炭素質のものを用いることができるが、できるだけ高純度のものを用いるのが好ましい。
【0028】
上記のように本発明は、耐火骨材として少なくともマグネシアと炭素質材料を用いるものであり、耐火材料中、マグネシアの含有率は60〜99質量%、炭素質材料の含有率は1〜40質量%であることが望ましい。
【0029】
これらの耐火骨材にバインダーを配合して混練することによって、耐火物組成物を得ることができるものであり、本発明ではバインダーとして、フェノール樹脂、タールやピッチ、2−フルアルデヒドの3成分を用い、さらに硬化剤、及び必要に応じて反応触媒を配合するものである。本発明において、タールとピッチは少なくとも一方を用いるものであり、つまり、タールとピッチのいずれか一方を単独で用いる他、両者を併用することもできるものである。以下、「タールとピッチの少なくとも一方」という意味を「タール・ピッチ」と表記する。
【0030】
ここで、フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類を反応触媒の存在下で反応させることによって調製したものを用いることができる。フェノール類はフェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例えばフェノールの他にm−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。勿論、これらから一種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
【0031】
またアルデヒド類としては、水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものも用いることもでき、その他、ホルムアルデヒドの一部を2−フルアルデヒドやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも可能である。
【0032】
上記のフェノール類とアルデヒド類の配合比率は、モル比で1:0.5〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましい。また反応触媒としては、ノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることができる。レゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなどや、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物を用いることもできる。
【0033】
ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂は、それぞれ単独で使用しても、両者を任意の割合で混合して使用してもいずれでもよい。またシリコン変性、ゴム変性、硼素変性などの各種の変性フェノール樹脂を使用することもできるが、保存安定性の面や、耐火骨材が酸性(例えばケイ石)か塩基性(例えばMgO)を問わず使用可能な点などを考慮すると、ノボラック型フェノール樹脂が最も好ましい。ノボラック型フェノール樹脂の硬化剤としては、レゾール型フェノール樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、テトラオキサン、アセタール樹脂などを用いることができる。またレゾール型フェノール樹脂の硬化剤は100℃以上に加熱することでも硬化するが、硬化剤を使用することもできるものであり、硬化剤としては、ノボラック型フェノール樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、有機エステル、アルキレンカーボネートなどを用いることができる。またレゾール型フェノール樹脂の硬化触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸や、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等の無機化合物や、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機酸などを用いることができる。
【0034】
耐火骨材とフェノール樹脂との接着性を高めるために、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤を添加して使用することもできる。
【0035】
またタール・ピッチとしては、分散の均一性を阻害することになると共にバインダーとしての機能が小さくなるベンゼン不溶分が少ないものが好ましい。タール・ピッチは石油系のものや、石炭系のタール軟ピッチ、減圧ピッチ、特殊ピッチ、メソカーボンピッチなどの、液体から固体のものを用いることができるが、固体状のもので、JIS K 2425に準拠して測定した軟化点が30〜400℃の範囲のものが好ましい。軟化点が30℃を未満のものは揮発分が多いため、固定炭素量が小さくなり、また軟化点が400℃を超えるものはベンゼン不溶分のものが多く、バインダーとなる成分が少なく、また粘度が高くなるため成形性が劣るものである。タール・ピッチとしては勿論これらのものに限定されるものではなく、軟化点の高いピッチと液体のタールとを混合して使用することもできるものであり、またフェノール樹脂とタール・ピッチとのカップリングを促進するためにルイス酸などを添加混合して使用することもできる。
【0036】
硬化剤は、フェノール樹脂を硬化反応させ、またフェノール樹脂とタール・ピッチと2−フルアルデヒドとを反応させて高分子量化するために用いられるものである。この硬化剤としては熱分解することでホルムアルデヒドを生成するものを使用するものであり、例えばヘキサメチレンテトラミン、テトラオキサン、トリオキサン、アセタール樹脂などを用いることができる。
【0037】
反応触媒は、フェノール樹脂とタール・ピッチと2−フルアルデヒドの反応を促進するために用いられるものである。この反応触媒としては、特に制限されるものではないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、酸化物、あるいは酸系の触媒、あるいはアミン系触媒を用いることができる。これらのうち一種を単独で使用する他、複数種を併用することもできるが、複数種を併用する場合、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいは酸から選ばれる一種以上のものと、アミン化合物とを併用することが好ましい。さらに塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのルイス酸を反応触媒として用いることもできる。
【0038】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化バリウム、酸化カルシウムなどを挙げることができる。
【0039】
酸系の触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、安息香酸などのカルボン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などのスルホン酸を挙げることができる。
【0040】
アミン系触媒としては、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミド、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミンなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N.N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、さらにアンモニアなどを挙げることができる。
【0041】
そして、耐火骨材に、バインダーとして上記のフェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒド、硬化剤、さらに反応触媒を配合して混練することによって、耐火物組成物を調製することができるものである。フェノール樹脂としては固体のものを用いるようにしても、液体のものを用いるようにしてもいずれでもよい。そして、2−フルアルデヒドはバインダーであると同時にフェノール樹脂とタール・ピッチをそれぞれ溶解させる反応性溶媒としても作用し、フェノール樹脂とタール・ピッチを均一に分散させることができるものであり、バインダーとしてフェノール樹脂とタール・ピッチを併用した耐火物組成物を調製することができるものである。
【0042】
耐火骨材に対するバインダーの配合量は、特に制限されるものではないが、耐火骨材100質量部に対して、フェノール樹脂とタール・ピッチと2−フルアルデヒドの合計量が1〜50質量部の範囲になるように設定するのが好ましい。
【0043】
そしてバインダー中のフェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒドの割合は、フェノール樹脂が20〜60質量%、タール・ピッチが15〜40質量%、2−フルアルデヒドが20〜50質量%の比率(3成分の合計量100質量%)になるように設定するものである。フェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒドの割合をこの範囲内に設定することによって、これらの3成分の相溶性を良好に得ることができ、均一に溶解させることができるものである。
【0044】
また硬化剤の配合量は、バインダーのフェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒドの合計量100質量部に対して、9.5質量部以上に設定されるものである。本発明ではこのように、バインダー100質量部に対して硬化剤の配合量を9.5質量部以上に設定することによって、フェノール樹脂の硬化反応に消費されるよりも過剰な量で硬化剤を含有しており、この余剰の硬化剤がフェノール樹脂にタール・ピッチや2−フルアルデヒドを反応させて高分子化させるのに寄与するものであり、特に側鎖に−CHO基を持つ2−フルアルデヒドを高分子化させることができ、耐火物の固定炭素量を増大させることができるものである。硬化剤の配合量の上限は特に設定されないが、実用的には、バインダー100質量部に対して硬化剤25質量部が上限である。
【0045】
さらに反応触媒の配合量は、特に限定されるものではないが、バインダーのフェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒドの合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましい。
【0046】
ここで、2−フルアルデヒドやタール・ピッチ、また硬化剤や反応触媒は、耐火骨材にフェノール樹脂を配合する際に同時に配合するようにしてもよい。このとき、反応触媒は、フェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒドとは別に配合するようにしてもよいが、フェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒドのうち少なくとも一つと予め混合しておいて、これらを耐火骨材に配合する際に反応触媒も配合されるようにしてもよい。
【0047】
あるいは、フェノール樹脂にタール・ピッチと2−フルアルデヒドの三種類を予め混合し、さらに硬化剤や反応触媒もこれに予め混合しておき、これらを予め混合した状態で耐火骨材に配合するようにしてもよい。さらにフェノール樹脂、タール・ピッチ、2−フルアルデヒドのうち二種類を予め混合しておき、他の一種類と同時に耐火骨材に配合するようにしてもよい。フェノール樹脂やタール・ピッチとして固体のものを用いる場合、2−フルアルデヒドにフェノール樹脂やタール・ピッチを溶解して液状にした状態で、耐火骨材に混合することができるものであり、またフェノール樹脂やタール・ピッチとして液体のものを用いる場合、フェノール樹脂やタール・ピッチの粘度を2−フルアルデヒドで下げた状態で、耐火骨材に混合することができるものであり、いずれも、耐火骨材に対するフェノール樹脂やタール・ピッチの混合・混練の作業性を高めることができるものである。さらに、2−フルアルデヒドにフェノール樹脂やタール・ピッチや反応触媒を溶解して加熱することによって、フェノール樹脂やタール・ピッチを2−フルアルデヒドで変性することができ、このように2−フルアルデヒドの一部を予めフェノール樹脂やタール・ピッチと反応させた状態で使用することもできる。
【0048】
ここで、2−フルアルデヒドは耐火骨材などに対して濡れ易く、耐火物組成物中の細部まで浸透し易いものであり、従って2−フルアルデヒドとフェノール樹脂及びタール・ピッチからなるバインダーを耐火骨材に均一に混合・混練することができるものである。また2−フルアルデヒドはフェノール樹脂やタール・ピッチを溶解し、フェノール樹脂やタール・ピッチを濃度高く溶解しても溶液は粘度を低く維持することができるので、他の溶剤を多量に併用したりする必要がなくなるものである。
【0049】
そして、2−フルアルデヒドは耐火物組成物の可塑剤として働き、耐火物組成物を成形するにあたって、成形性が良好になるものである。また2−フルアルデヒドは沸点が161.7℃と高いため、耐火物組成物中からの2−フルアルデヒドの蒸発は少なく、しかも2−フルアルデヒドは脂肪族化合物に比較して空気中の水分を吸湿することも極めて小さい。従って、耐火物組成物を混練して調製してから成形するまでの間、耐火物組成物の湿潤度が変化せず安定するものであり、成形性を一定に保つことができるものである。
【0050】
しかして、上記のように配合して得られる耐火物組成物を成形した後、この成形物を加熱して乾燥や硬化したり、あるいは焼成したりすることによって、耐火物を得ることができるものである。ここで、上記のように多量の溶剤を配合する必要がなく、しかも2−フルアルデヒドは反応して耐火物中に固定されるので、耐火物組成物を成形した後に乾燥したり焼成したりする際に揮発する溶剤で環境を汚染することが少なくなると共に、溶剤の揮発で耐火物の気孔率が高くなって耐火物の耐食性が低下することがなくなるものである。また耐火物組成物中には、フェノール樹脂とタール・ピッチと2−フルアルデヒドとを反応させる硬化剤や反応触媒が配合されているので、混練や成形などの際に、フェノール樹脂とタール・ピッチと2−フルアルデヒドを反応させることができるものであり、これらの成分が揮散することを防いで、耐火物の固定炭素量を十分に増加させることができると共に、緻密な耐火物を得ることができるものである。さらに側鎖に−CHO基を有する2−フルアルデヒドはフェノール樹脂のフェノール核と容易に反応して高分子化し、またタール・ピッチとカップリング反応すると共に、それ自身も自己縮合して高分子化し、焼成されることによって炭素として耐火物中に残留するものであり、耐火物の固定炭素量をさらに増加させることができるものである。
【実施例】
【0051】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0052】
(実施例1〜5)
反応容器にフェノール940質量部、37質量%ホルマリン673質量部、シュウ酸5.6質量部を仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた後、水と未反応のフェノールを留去した、そしてこれを粉砕して粒径100μm以下の粉末にすることによって、軟化点が99℃の固形のノボラック型フェノール樹脂Aを得た。
【0053】
また軟化点110℃、トルエン不溶分20.3質量%、キノリン不溶分3.2質量%、固定炭素量60.1質量%の減圧ピッチを粒径100μm以下に粉砕して、ピッチAを得た。
【0054】
そして、耐火骨材として電融マグネシア(MgO含有率98.3質量%)80質量部、純度98%の天然黒鉛18質量部、Alの粉末2質量部を用い、これをミキサーに投入すると共に、さらに上記のノボラック型フェノール樹脂A、上記のピッチA、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを表1に示す配合で投入し、10分間混練した後、70〜80℃で、これに2−フルアルデヒド(沸点161.7℃)を表1の配合で添加し、これらを20分間混練することによって、湿潤状態の混練物(坏土)を得た。この坏土に用いた配合でフェノール樹脂、ピッチ、ヘキサメチレンテトラミン、2−フルアルデヒドを混合したものについて、JIS K 6910(1999)に準拠して固定炭素量を測定し、表1に示した。
【0055】
次に、坏土の混練を行なった翌日に、この坏土を200℃で1時間乾燥し、揮発分を測定した。また混練翌日の坏土を油圧プレスを用いて147MPa(1500kgf/cm)で成形し、成形物を200℃で12時間乾燥することによって、れんがを得た。このれんがのかさ比重、曲げ強さを測定し、表1に示した。
【0056】
また、上記の坏土をステンレスバットに入れ、このステンレスバットを上面を開放した状態で温度30℃、湿度90%RHに設定した恒温恒湿機中に入れて1週間放置した。この坏土について上記と同様にして揮発分を測定し、またこの坏土から上記と同様にして得たれんがのかさ比重と曲げ強さを測定し、表1に示した。
【0057】
(実施例6)
反応容器にフェノール940質量部、37質量%ホルマリン567質量部、シュウ酸5.6質量部を仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま180分間反応させた後、水と未反応のフェノールを留去することによって、軟化点が80℃の固形のノボラック型フェノール樹脂を得た。
【0058】
次に、同じ反応容器中にこのノボラック型フェノール樹脂40質量部に対して2−フルアルデヒド25質量部を加え、100℃で120分間混合溶解して、ノボラック型フェノール樹脂溶液Bを得た。このノボラック型フェノール樹脂溶液Bの25℃における粘度は8.5Pa・sであった。
【0059】
そして、実施例1と同じ耐火骨材100質量部に、上記のノボラック型フェノール樹脂溶液Bを7.8質量部(フェノール樹脂の樹脂分は4.8質量部)、実施例1のピッチA4.2質量部、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン1.2質量部を添加し、これをミキサーに投入して70〜80℃で40分間混練することによって、湿潤状態の混練物(坏土)を得た。この坏土について実施例1と同様にして、固定炭素量、一日後及び一週間後の揮発分、かさ比重、曲げ強さを測定し、その結果を表1に示した。
【0060】
(実施例7)
反応容器にフェノール940質量部、37質量%ホルマリン1217質量部をとり、これに触媒として20質量%濃度のカセイソーダ水溶液を60質量部加え、60分を要して還流させ、そのまま90分間反応を行なった。その後、直ちに13300Paの減圧下で100℃まで脱液し、半固体状のレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0061】
次に、同じ反応容器中にこのレゾール型フェノール樹脂35質量部に対して実施例1のピッチA20質量部、2−フルアルデヒド45.0質量部を加え、40℃で5時間混合して溶解させ、フェノール樹脂とピッチが相溶したレゾール型フェノール樹脂溶液Cを得た。このレゾール型フェノール樹脂溶液Cの25℃における粘度は5.8Pa・sであった。
【0062】
そして、実施例1と同じ耐火骨材100質量部に、上記のレゾール型フェノール樹脂溶液Cを12質量部(フェノール樹脂固形分は4.2質量部、ピッチは2.4質量部、2−フルアルデヒドは5.4質量部)、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン1.2質量部を添加し、これをミキサーに投入して40〜50℃で40分間混練することによって、湿潤状態の混練物(坏土)を得た。この坏土について実施例1と同様にして、固定炭素量、一日後及び一週間後の揮発分、かさ比重、曲げ強さを測定し、その結果を表1に示した。
【0063】
(実施例8〜9)
反応触媒としてキシレンスルホン酸を表1に示す配合量で配合するようにした他は、実施例3と同様にして坏土を得た。この坏土について実施例1と同様にして、固定炭素量、一日後及び一週間後の揮発分、かさ比重、曲げ強さを測定し、その結果を表1に示した。
【0064】
(比較例1〜7)
表2に示す配合量に設定するようにした他は、実施例1と同様にして坏土を得た。この坏土について実施例1と同様にして、固定炭素量、一日後及び一週間後の揮発分、かさ比重、曲げ強さを測定し、その結果を表2に示した。
【0065】
上記の実施例1〜9及び比較例1〜7において、フェノール樹脂、ピッチ、2−フルアルデヒドの相溶性を試験した。相溶性の試験は次のようにして行なった。まず実施例1〜9、比較例1〜7で設定される所定量のフェノール樹脂、ピッチ、2−フルアルデヒドをはかり取り、約70℃に加熱して、混合、溶解させた。これを100mlのサンプル瓶に約80ml入れた後、室温中で3日間、静置させた。そして3日後に、目視で分離の有無を確認すると共に、ガラス棒をサンプル瓶の上部からさしこんで、下部の沈澱物の有無を確認した。分離や沈殿がないものを「○」、分離や沈殿があるものを「×」と評価した。
【0066】
また、上記の実施例1〜9及び比較例1〜7において、混練翌日に作製したれんがから試料を切り出し、耐スポーリングテストと耐酸化テストを行なった。耐スポーリングテストは、40mm×40mm×230mmのテストピースを1600℃の溶銑鉄中への浸漬と水冷を5回繰り返し、亀裂の発生状態を調べることによって行なった。結果は亀裂なしを「◎」、亀裂発生を「○」、亀裂及び剥落発生を「×」と評価した。耐酸化テストはφ50mm×50mmのテストピースを電気炉中で1000℃、8時間焼成して行なった。結果は焼成後試料を切断して脱炭層厚さを測定し、その厚さが5mm以上を「×」、5mm未満を「○」と評価した。
【0067】
さらに混練翌日に作製したれんがから50×50×50mmのテストピースを切り出し、コークスブリーズ中で1400℃、3時間還元焼成した後の気孔率を測定した。
【0068】
上記の実施例1〜9及び比較例1〜7の配合及び測定・テスト結果を表1及び表2に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
表1及び表2にみられるように、各実施例の坏土は対応する比較例よりも、一日後及び一週間後の揮発分が少なく、また曲げ強さが強いものであった。また各実施例のものは固定炭素量が多く、そして坏土の性状やれんがの物性の経時変化が殆どみられなかった。さらに還元焼成後の気孔率が低く緻密なれんがが作製されていることが確認でき、耐スポーリング性や耐酸化性も高いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火骨材としてマグネシアと炭素質材料を、バインダーとしてフェノール樹脂とタール及びピッチの少なくとも一方と2−フルアルデヒドを、バインダーの硬化剤としてホルムアルデヒドを生成する化合物を、それぞれ含有し、バインダー中、フェノール樹脂が20〜60質量%、タール及びピッチの少なくとも一方が15〜40質量%、2−フルアルデヒドが20〜50質量%の含有比率であると共に、バインダー100質量部に対してホルムアルデヒドを生成する化合物の配合量が9.5質量部以上であることを特徴とする耐火物組成物。
【請求項2】
タール及びピッチは軟化点が30〜400℃のものであることを特徴とする請求項1に記載の耐火物組成物。
【請求項3】
フェノール樹脂は、固体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火物組成物。
【請求項4】
フェノール樹脂は、液体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火物組成物。
【請求項5】
2−フルアルデヒドと、タール及びピッチの少なくとも一方のうち、いずれか一方は、耐火骨材にフェノール樹脂を配合する際に同時に配合されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐火物組成物。
【請求項6】
フェノール樹脂、タール及びピッチの少なくとも一方、2−フルアルデヒドのうち、いずれか二種類が予め混合された状態で耐火骨材に配合されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐火物組成物。
【請求項7】
フェノール樹脂、タール及びピッチの少なくとも一方、2−フルアルデヒドの三種類が予め混合された状態で耐火骨材に配合されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐火物組成物。
【請求項8】
2−フルアルデヒドはその一部が予め、フェノール樹脂と、タール及びピッチの少なくとも一方のうち、少なくとも一方と反応されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の耐火物組成物。
【請求項9】
フェノール樹脂とタール及びピッチの少なくとも一方と2−フルアルデヒドとを反応させる反応触媒が含有されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の耐火物組成物。

【公開番号】特開2010−105891(P2010−105891A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282132(P2008−282132)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000115658)リグナイト株式会社 (34)
【出願人】(000170716)黒崎播磨株式会社 (314)
【Fターム(参考)】