説明

肉厚測定データ管理方法と超音波肉厚測定装置及びプラント

【課題】
本発明の目的は、発電プラントの配管等の肉厚測定時に、肉厚データを測定し取得する際、測定点の位置情報、属性情報、過去の測定情報が、新たに測定した肉厚データと共に一元化され記憶装置内に取り込み格納され、容易に確認できる肉厚測定データの管理方法と肉厚測定装置及びタグ登録情報読み取り装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、肉厚測定対象物の肉厚を超音波肉厚測定装置によって測定する肉厚測定データの管理方法において、前記測定対象物の測定点近傍の表面上に無線周波タグが貼付られ、該タグは測定対象点の個別管理番号、過去の肉厚測定データ及び測定位置座標の属性情報が登録されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラント配管等の新規な肉厚測定データ管理方法と肉厚測定装置及びプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、発電プラント配管に対し、経年劣化現象の一つである減肉評価を行う目的で超音波肉厚測定装置を用いて実施する肉厚測定においては、あらかじめ肉厚測定を行う点に対し、その測定点一点一点を示すマーカーをスプレー塗料ないしはペンで明示しておき、また、軸方向には決められた間隔ごとに軸方向番号を、周方向にも同様に決められた角度ごとに周方向番号ないしは記号を記しておいてから、各測定点の測定順序を決めて超音波肉厚測定装置内のメモリ部分に測定順序に従って測定点番号を記億させ、現場での測定時に測定装置のディスプレイに表示された測定点番号に従いデータ測定が実施されている。
【0003】
この際、減肉率を評価する目的で、以前に肉厚測定された測定点については、最新の測定データのみを、測定番号ごとに測定位置情報と共に測定装置内に保存しておき、現場での肉厚測定時に測定装置の画面に表示し、測定者が確認できるような機能を持ち合わせた肉厚測定装置を使用する場合もある。
【0004】
測定された肉厚データは、測定番号ごとに測定位置情報、前回の測定データ等の属性情報とともに測定装置内に記憶され、その後、コンピュータに接続した際に、全データーをコンピュータの記憶装置にダウンロードして、減肉評価に使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この方法では、例えば原子力発電プラント配管等のように、1プラントあたりで要求される肉厚測定点が、1000箇所/プラント、300点/箇所にも上るような大量のデータを取得する必要がある場合には、測定点の位置情報の配管表面へ明示する作業、あらかじめ肉厚測定順序を計画して測定装置に測定番号を登録する準備作業に多大な工数がかかり、作業時間の短縮のネックとなっている。
【0006】
又、肉厚測定装置に前回の測定データと今回の測定データを合わせて測定点全部を登録するためには、肉厚測定装置そのものに大きなデータ記憶容量が要求され、測定装置の可搬性及び使い易さの弊害要因となる可能性がある。更に、誤って、あらかじめ測定装置に登録された測定位置順序通りに肉厚測定を実施しなかった場合には、測定位置情報と測定データが合わなくなる等のヒューマンエラーが起こる危険性も潜んでいる。
【0007】
本発明の目的は、発電プラントの配管等の肉厚データ測定時に、測定点の属性情報及び過去の肉厚データが、新たに測定した肉厚データと共に一元化され、容易に各情報を確認することのできる肉厚測定データ管理方法と超音波肉厚測定装置及びプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、肉厚測定対象物の肉厚を超音波肉厚測定装置によって測定する肉厚測定データ管理方法において、前記測定対象物表面の所定の領域に対して所定の間隔で複数の測定対象点を有し、該測定対象点近傍の各位置に同数の電子タグが貼付けられ、該電子タグは前記測定対象点の属性情報及び前記測定された肉厚測定データの書込及び読出が可能であることを特徴とする。
【0009】
前記肉厚測定対象物の測定対象部が、該測定対象部内の流体に偏流が生じる領域であること、前記肉厚測定対象物が配管であり、該配管の測定対象部がT継手部、絞り部及び曲り部の少なくとも1つであること、前記電子タグは、前記測定対象部に対してその全領域で前記肉厚の測定ができるように複数箇所に配置され貼付られていることのいずれか、又は、組み合わせを有することが好ましい。
【0010】
前記属性情報は測定対象点の個別管理番号、公称肉厚データ及び測定位置座標の属性情報が登録されていること、前記電子タグは、無線周波Radio Frequency Identification電子タグ(以下RFIDタグという)であること、前記測定された肉厚データを前記タグに書込み、前記登録された前記情報と共に前記電子タグ内で一元管理することのいずれか、又は、組み合わせを有することが好ましい。
【0011】
前記書込まれたデータ及び登録されたデータをデータ呼び出し装置によって呼び出し、表示すること、前記肉厚測定データの取得と同時に前記電子タグに登録すること、前記属性情報を各区分毎に格納し、前記属性情報のデータ呼び出し時に前記格納された属性情報に基づき呼び出すことのいずれか、又は、組み合わせを有することが好ましい。
【0012】
本発明は、超音波発信器と、該発信器より発振された超音波を肉厚測定対象物に伝達しその反射波を受信する探触子と、該受信した反射波に基づいて前記肉厚測定対象物の肉厚を測定する超音波肉厚測定装置において、前記探触子は前記測定された肉厚測定データを前記測定対象物の測定点近傍の表面上に貼付られた電子タグに書込む書込手段を有することを特徴とする。
【0013】
前記探触子は、前記電子タグに記憶された電子データを読出す読出手段を有すること、前記書込手段及び読出手段は、無線周波によって行うこと、前記書込手段及び読出手段は前記探触子の前記超音波の送受信側と異なる位置に一体に設けられていることのいずれか、又は、組み合わせを有することが好ましい。
【0014】
更に、本発明は、金属部材によって構成され、内部に液体の流路が形成されるプラントにおいて、前記流路によって減肉が生じる前記金属部材の領域の外表面に所定の間隔で複数の肉厚の測定対象点を有し、該測定対象点近傍の各位置に同数の電子タグが貼付けられていることを特徴とする。
【0015】
前記金属部材が配管であり、該配管内の前記流路に偏流が生じる領域に前記電子タグが貼付けられていること、前記配管の前記偏流が生じる領域は、T型継手部、絞り部及び曲がり部の少なくとも1つであることが好ましい。
【0016】
前記電子タグは、可撓性基板上に金属箔からなるアンテナと、該アンテナに搭載され電気的に接続された電子装置とを有し、該電子装置は前記測定対象点の属性情報及び前記測定された肉厚測定データが無線周波によって書込及び読出が可能であること、前記アンテナは前記測定対象部に対してその全領域で前記肉厚の測定ができるように複数箇所に配置され貼付られるように等分の長さに伸縮可能であること、前記電子タグは前記測定対象点の個別管理番号、公称肉厚データ、及び測定位置座標の属性情報が登録されていることのいずれか、又は、組み合わせを有することが好ましい。
【0017】
即ち、本発明は、超音波肉厚測定装置を利用した発電プラント配管等の肉厚測定の際に、まず初めに肉厚測定点一点一点に対し、肉厚測定点近傍に、あらかじめ測定対象部の位置座標、測定点番号及び過去の測定データ等の属性情報をメモリ部分に格納した無線周波Radio Frequency Identification電子タグ(以下RFIDタグという)を貼付する。
【0018】
次に、マーカー等で測定点の位置を配管外表面に明示する。この際、従来行ってきた測定点番号の明示については行わない。
【0019】
次に、各測定点の肉厚測定時に、探触子をあらかじめ明示されたマーカー近傍に当てて、超音波肉厚測定装置のディスプレイ部分に最小値が表示されるところで探触子を固定し、測定点を決定する。この際、超音波肉厚測定装置とRFIDタグとの距離は、RFIDタグの無線アンテナが十分に届く範囲内とし、測定作業と同時に対応する測定点の情報を登録したRFIDタグの記憶装置内に、測定部位の登録情報に加えて新規肉厚測定データが一体となって保存される。
【0020】
その後、測定データと属性データ一式は、RFIDタグ登録情報読み取り装置を利用しての現場での情報確認、読取装置から大容量記憶装置を持つコンピュータにデータ転送することによる配管系の全体的な減肉挙動の確認に利用できる。
【0021】
このように測定位置、測定点の過去の肉厚データ、測定点番号等の属性データと、新たに取得した肉厚測定データとが、RFID内ないしは大容量の記億装置をもつコンピュータハードディスク内に一元管理でき、後に測定点データを整理する際に従来手作業で実施してきたデータ連携作業を省略することが可能となる。
【0022】
又、機械的に処理を行うことにより、データ連携処理の際に発生しうる人為的ミスのボテンシャルを低減することが可能であり、更に、コンピュータ上に管理されるデータ一式を利用して、例えば3D−CAD上でピックした点の属性データの一つとして肉厚データを表示したり、過去のデータと新たに得られるデータを測定点ごとに蓄積して配管の減肉の経年変化を図式化して視覚的に表示し評価することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、発電プラントの配管等の肉厚データ測定時に、測定点の属性情報及び過去の肉厚データが、新たに測定した肉厚データと共に一元化され、容易に各情報を確認することのできる肉厚測定データ管理方法と超音波肉厚測定装置及びプラントを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明に係る原子力発電プラント配管の肉厚測定データ管理方法を実施する肉厚測定の際に必要な装置を有する全体構成図であり、(a)が配管とその各測定点、(b)が超音波肉厚測定装置、(c)がRFIDタグ読取装置とコンピュータPCを示す図である。肉厚測定対象物として発電プラント配管1の各測定点4に対し、超音波肉厚測定装置6を使用し、各測定点4の肉厚を測定する。測定に際しては、あらかじめ各測定点4を配管1表面上に配管1の肉厚測定点明示線として軸方向3(図のA方向)及び周方向2(図のB方向)に明示し、肉厚測定点4近傍にRFIDタグ5を貼付ける。肉厚測定点4は一例として50mm四方で一定間隔で配置される。
【0025】
肉厚測定対象物の測定対象部の配管1としては、測定対象部内の流体に偏流が生じる領域が重要であり、配管1の測定対象部がT継手部、絞り部及び曲り部の少なくとも1つにRFIDタグ5を貼付ける。RFIDタグ5は、測定対象部に対してその全領域で肉厚の測定ができるように複数箇所に肉厚測定点4に沿ってその近傍に各肉厚測定転に対して個々に貼付けられる。この肉厚測定点4の間隔は、配管1の肉厚と超音波の発振範囲に基づいて設定される。原子力発電プラントの配管1の肉厚測定は、年に一度の定検時に行なわれる。
【0026】
超音波肉厚測定装置6は、超音波発信器と、その発信器より発振された超音波を配管1に伝達しその反射波を受信する探触子27と、受信した反射波に基づいて配管1の肉厚を測定する演算手段を有するもので、探触子27は測定された肉厚測定データを測定点近傍の表面上に貼付られたRFIDタグ5に書込む書込手段を有する。又、探触子27は、RFIDタグ5に記憶された電子データを読出す読出手段を有することができる。書込手段及び読出手段は、無線周波によって行い、探触子27の超音波の送受信側と異なる側に一体に設けられる。
【0027】
RFIDタグ5内に登録された属性情報を読み取るRFIDタグ読取装置7を、RFIDタグ5のアンテナ稼動域内に配置する。RFIDタグ読取装置7を使用して、RFIDタグ5内に保存された肉厚測定データ及び属性データの統合データを呼び出し、データの格納、統合処理を行うコンピュータ8に接続する。超音波肉厚測定装置6、RFIDタグ読取装置7にはワイヤレス対応の無線周波を利用してコンピュータ8と接続、又は直接配線して接続する方法でも良い。
【0028】
本実施形態では、発電プラントの配管1に対して、その経年変化のひとつである減肉現象を把握する目的で超音波肉厚測定装置6を利用した肉厚測定の際に、あらかじめ肉厚測定部位の近傍に肉厚測定位置を明示した後、RFIDタグ5を貼付けられる。
【0029】
使用するRFIDタグ5は配管1表面に貼付可能となるようアンテナとともに柔軟な素材の基盤上に設置する。このRFIDタグ5は肉厚測定点近傍に一定間隔で設置し、固定される。
各肉厚測定点4毎に超音波肉厚測定装置6を用いて肉厚が測定されるが、測定された肉厚測定データは、対応するRFIDタグ5内の登録情報に加えて、RFIDタグ5内に取り込まれ、一元管理される。
RFIDタグ5内に取り込まれた情報は、RFIDタグ5内の書込情報を読み取ることができるRFIDタグ読取装置7によって、測定現場で即時にデータの確認が可能となる他、RFIDタグ5とは別の大容量記憶装置を備えたコンピュータ8に転送され、測定点番号ごとに管理される。その後、肉厚測定データ一点毎に各測定点の位置情報、属性情報を併せ持つ取得データを統合し、3D−CAD等のソフトウェア内に取り込み表示することにより、配管の減肉挙動の局所的な評価や配管系全体としての評価を視覚的に表示したり、過去のデータと新しく取得したデータの比較によって、容易に配管減肉挙動の経年的変化を評価することが可能となる。
【0030】
又、本実施形態では、肉厚測定には超音波肉厚測定装置6、属性データの格納及び肉厚測定データと属性情報の統合データの記憶手段にはRFIDタグ5、統合データの読取及び外部コンピュータヘの発信処理手段にはRFIDタグ読取装置7、読み取られた統合データの処理手段にはコンピュータ8、表示手段にはコンピュータ8のディスプレイがそれぞれ対応する。
【0031】
各種の処理は、コンピュータ8に設けられているCPU、ROMに格納されたプログラムに従ってRAMをワークエリアとして使用しながら実行される。また、プログラムは記録媒体からロードされ、あるいはネットワークを介してサーバからロードされる。
【0032】
図2は、本発明に係るRFIDタグの正面図である。RFIDタグは樹脂製可撓性基板11上にアルミニウム箔のアンテナ10が設けられ、その上に電気的に接続されて集積回路9が搭載される。アンテナ10は伸縮型のものを使用し、様々な形状の検査体表面にRFIDタグ基板11側で接着剤によって固定される。RFIDタグ5はアンテナ11に電気的に接続されている。RFIDタグ5の集積回路9にはプラント名称、建屋名、系統名、配管の管理番号、肉厚測定点固有の管理番号、測定点の位置情報、位置座標、据付時配管の公称肉厚等の属性情報が登録されると共に、測定された肉厚測定データがその都度記録される。集積回路9は、読出専用記憶装置を有する。又、RFIDタグ5は長さ約60mm、幅4.5mmである。
【0033】
図3は、本発明に係る超音波肉厚測定装置及びRFIDタグ登録情報読み取り装置を利用した肉厚測定手順及びデータ取得、管理手順を示すフロー図である。始めに、図1(a)に示すように、手順12で肉厚測定点明示線2及び3に沿って規則的に肉厚測定点4を配管1表面上に明示する。この方法としては、例えば、スプレー缶に入った塗料を該当部に吹き付ける等のやり方がある。
【0034】
次に、手順13で図2に示すRFIDタグ5を肉厚測定点4の近傍に接着剤によって貼付する。この手順12では、配管1表面上に明示された肉厚測定4点から常に一定の距離となる位置に各測定点一点一点に対応するRFIDタグ5が貼付けられる。
【0035】
手順14で超音波肉厚測定装置6、RFIDタグ読取装置7を肉厚測定点4付近に起動し、肉厚測定の準備が完了する。この時点で超音波肉厚測定装置6の校正は事前に完了させておくこととする。
【0036】
以上の手順により肉厚測定作業の準備が全て整ったら、手順15で超音波肉厚測定装置6の探触子27を配管1表面の肉厚測定点4の各測定点に接触させ、肉厚を測定する。この際、肉厚測定データが得られ、測定値が超音波肉厚測定装置6のディスプレイ上に表示される動作に連動して、手順16でRFIDタグ5内にあらかじめ登録されている測定点ごとの属性情報と共に、肉厚測定データが記録し格納される。
【0037】
図4は、RFIDタグ内に保存しておく属性情報の種類を例示する図である。ここで取得された肉厚測定データは、手順17でRFIDタグ読取装置7によって確認され、データ取得不良がなければ、手順19で取得された肉厚測定データと使用した超音波肉厚測定装置6のID及び測定日時等の付加情報とともに全情報がコンピュータ8内の記憶装置に転送され、取り込まれる。手順20にて、各データの属性情報を某に、ユーザーの指定する1)〜9)の属性情報区分(測定点位置情報等)毎にデータ整理され保存される。
【0038】
その後、コンピュータ8内の記憶装置に転送され、取り込まれたデータは、手順21で三次元3D−CAD装置にて画像化され、減肉の顕著な部分を視覚的に判断する際に利用されたり、過去のデータと測定したデータを呼び出して比較評価することにより、肉厚測定点4における減肉挙動の経年変化を表示したりするために有効に利用される。
【0039】
図5は、本発明に係るRFIDタグ、超音波肉厚測定装置及びRFIDタグ読み取り装置の機能の詳細を示す図である。肉厚測定データ及び属性データの取得からデータの統合、減肉挙動評価データ及び経年変化評価データヘの加工までに使用する装置とその役割を示したものである。以下、各装置の機能を説明する。
【0040】
RFIDタグ22は、
1)属性データの記憶
2)肉厚測定データ取り込み
3)測定データ一次保存
4)取得データの属性情報との統合
の各機能を有する。
【0041】
超音波肉厚測定装置23は、
1)肉厚測定
2)測定データをRFIDタグ5ヘ書込
の各機能を有する。
【0042】
RFIDタグ情報読み取り装置24は、
1)RFIDタグ情報読み取り
2)RFIDタグ情報表示
3)RFIDタグ情報の転送
の各機能を有する。
【0043】
コンピュータ(PC)25は、
1)RFID読み取り装置情報取り込み
2)RFIDタグ読み取り情報の記憶
3)取り込みデータ呼び出し
4)関連ソフトウェア起動
5)3D−CADソフト上での取得データの処理
6)経年変化の評価処理
7)報告書作成
の各機能を有する。
【0044】
コンピュータディスプレイ26は、
1)属性データ表示
2)評価結果表示
3)その他PCでの処理内容表示
の各機能を有する。
【0045】
以上の本実施例によれば、発電プラントの配管1の肉厚測定時に、超音波肉厚測定装置6を使用して一点毎に肉厚を測定する際、あらかじめ測定点近傍に測定点の位置情報、及び過去の測定データ等の属性情報を記億したRFIDタグ5を貼付しておき、測定データを即座に、他の属性データと共に一元化して記憶装置内に取り込み格納され、又、データ呼び出し装置を用いて管理した情報を呼び出して表示できることにより容易に管理情報を確認することができる肉厚測定データの管理方法と肉厚測定装置及びプラントを提供することができる。
【0046】
本実施例においては、原子力発電プラントの配管について説明したが、火力発電プラント、化学プラント、その他冷却系を有するプラントの配管等の減肉対象部分における肉厚管理に対しても極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る配管の肉厚測定データ管理方法の実施に必要な各装置の配置を示す構成図である。
【図2】本発明に係るRFIDタグの正面図である。
【図3】本発明に係る肉厚測定データと属性情報の取得方法及び取得データの管理方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係るRFIDタグ情報から読み取られる属性情報の項目を示す図である。
【図5】本発明に係る超音波肉厚測定装置及びRFIDタグ登録情報読み取り装置の機能の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1…肉厚測定対象物、2、3…肉厚測定点明示線、4…肉厚測定点、5、9…RFIDタグ、6…超音波肉厚測定装置、7…RFIDタグ登録情報読み取り装置、8…コンピュータ(PC)、9…集積回路、10…樹脂製可撓性基板、11…アンテナ、27…探触子。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚測定対象物の肉厚を超音波肉厚測定装置によって測定する肉厚測定データ管理方法において、前記測定対象物表面の所定の領域に対して所定の間隔で複数の測定対象点を有し、該測定対象点近傍の各位置に同数の電子タグが貼付けられ、該電子タグは前記測定対象点の属性情報及び前記測定された肉厚測定データの書込及び読出が可能であることを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項2】
請求項1において、前記測定対象部が、該測定対象部内の流体に偏流が生じる領域であることを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記肉厚測定対象物が配管であり、該配管の測定対象部がT継手部、絞り部及び曲り部の少なくとも1つであることを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記電子タグは、前記測定対象部に対してその全領域で前記肉厚の測定ができるように複数箇所に配置され貼付けられていることを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記属性情報は測定対象点の個別管理番号、公称肉厚データ及び測定位置座標の属性情報が登録されていることを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記電子タグは、無線周波電子タグであることを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、前記測定された肉厚データを前記タグに書込み、前記登録された前記情報と共に前記電子タグ内で一元管理することを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、前記書込まれたデータ及び登録されたデータをデータ呼び出し装置によって呼び出し、表示することを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、前記肉厚測定データの取得と同時に前記電子タグに登録することを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、前記属性情報を各区分毎に格納し、前記属性情報のデータ呼び山し時に前記格納された属性情報に基づき呼び出すことを特徴とする肉厚測定データ管理方法。
【請求項11】
超音波発信器と、該発信器より発振された超音波を肉厚測定対象物に伝達しその反射波を受信する探触子と、該受信した反射波に基づいて前記肉厚測定対象物の肉厚を測定する超音波肉厚測定装置において、前記探触子は前記測定された肉厚測定データを前記測定対象物の測定点近傍の表面上に貼付られた電子タグに書込む書込手段を有することを特徴とする超音波肉厚測定装置。
【請求項12】
請求項11において、前記探触子は、前記電子タグに記憶された電子データを読出す読出手段を有することを特徴とする超音波肉厚測定装置。
【請求項13】
請求項11又は12において、前記書込手段及び読出手段は、無線周波によって行うことを特徴とする超音波肉厚測定装置。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかにおいて、前記書込手段及び読出手段は前記探触子の前記超音波の送受信側と異なる側に一体に設けられていることを特徴とする超音波肉厚測定装置。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれかにおいて、前記読出手段によって読出した情報を表示する表示手段とを有することを特徴とする肉厚測定データ電子タグ読取装置。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれかにおいて、前記電子タグは、前記測定対象点の個別管理番号、公称肉厚データ、前記肉厚測定データ及び測定位置座標の属性情報が登録されていることを特徴とする超音波肉厚測定装置。
【請求項17】
金属部材によって構成され、内部に液体の流路が形成されるプラントにおいて、前記流路によって減肉が生じる前記金属部材の領域の外表面に所定の間隔で複数の肉厚の測定対象点を有し、該測定対象点近傍の各位置に同数の電子タグが貼付けられていることを特徴とするプラント。
【請求項18】
請求項17おいて、前記金属部材が配管であり、該配管内の前記流路に偏流が生じる領域に前記電子タグが貼付けられていることを特徴とするプラント。
【請求項19】
請求項18おいて、前記配管の前記偏流が生じる領域は、T型継手部、絞り部及び曲り部の少なくとも1つであることを特徴とするプラント。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれかおいて、前記電子タグは、可撓性基板上に金属箔からなるアンテナと、該アンテナに搭載され電気的に接続された電子装置とを有し、該電子装置は前記測定対象点の属性情報及び前記測定された肉厚測定データが無線周波によって書込及び読出が可能であることを特徴とするプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−194649(P2006−194649A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4612(P2005−4612)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】