説明

肺疾患治療方法、及びそのための組成物

本発明は、フォルモテロールとカルシウム活性化カリウムチャネルオープナーとを合わせて用いる、様々な肺疾患、又は障害を、治療、予防、及び管理する方法に関するものである。また、フォルモテロールとカルシウム活性化カリウムチャネルオープナーとを含む医薬組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.本発明の分野)
本発明は、様々な肺疾患、及び障害を、治療、予防、及び管理する方法、及びそのための組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(2.本発明の背景)
フォルモテロールは、β2-アドレナリン作用薬であり、化学名2-ヒドロキシ-5-[1-ヒドロキシ-2-[[2-(4-メトキシフェニル)-1-メチルエチル]-アミノ] エチル]ホルムアニリドであり、下記構造を有する。
【化1】

フォルモテロールは、4つの立体異性体を有し、その混合物は、商品名Foradil(登録商標)(Novartis)の下で、商業的に利用可能であり、米国において、喘息症状の抑制に役立つことが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
肺疾患治療方法、及びそのための組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(3.本発明の要旨)
本発明は、肺、又は呼吸器疾患、又は障害を、治療、予防、及び管理する方法であって、前記治療、予防、又は管理を必要とする患者に、治療的、又は予防的有効量のフォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及び治療的、又は予防的有効量のカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを投与することを含む、前記方法を包含する。
また、本発明は、フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及びカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを含む、医薬組成物を包含する。
【0005】
一実施態様において、また、本発明は、肺、又は呼吸器疾患、又は障害を、治療、予防、及び管理する方法であって、前記治療、予防、又は管理を必要とする患者に、治療的、又は予防的有効量のフォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及び治療的、又は予防的有効量のカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを投与し、さらに、肺疾患又は障害治療のための従来の療法に関連した悪影響を回避、又は低減することを含む、前記方法を包含する。
全ての実施態様において、フォルモテロールは、ラセミ体であるか、立体異性的に富むか、又は立体異性的に純粋であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(4.本発明の詳細な説明)
本発明は、部分的に、肺、又は呼吸器疾患、及び障害の治療、予防、又は管理のために、フォルモテロールを、カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーなどの他の薬物と組み合わせることができるという見解に基づく。理論に制限されることなく、カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーとフォルモテロールとの組み合わせは、相乗的活性を提供し、かつβ2-アドレナリン受容体作用薬の下方制御を減少するであろうと考えられる。これは、β2-アドレナリン受容体で、タシファラクチック誘発耐性(tachyphalactic induced tolerance)を減少し、長期にわたって、頻度、及び投与量を減少することができる。さらに、カルシウム活性化カリウムチャネル闘争性、及びβ2受容体闘争性、双方から生じる気管支拡張は、相乗効果を有し、両薬剤の投薬所要量を減少する結果となり得る。
【0007】
本明細書中に記載されているように、用語"医薬として許容し得る塩"は、他に示されない限り、無機及び有機酸を含む医薬として許容し得る無毒性酸から調製された塩を意味する。適切な無毒性酸は、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレニック酸(glucorenic acid)、ガラクツロン酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸などの無機及び有機酸を含むが、これらに制限されない。特に好ましくは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、及び硫酸であり、特に好ましくは、フマル酸、コハク酸、及び酒石酸塩、及びそれらの水和物である。
【0008】
本明細書中に記載されているように、用語"溶媒和物"は、他に示されない限り、非共有結合的分子間力により結合した化学量論的又は非化学量論的量の溶媒をさらに含む、本発明の化合物、又はその塩を意味する。該溶媒が水の場合、該溶媒和物は、水和物である。
本明細書中に記載されているように、用語"立体異性体"は、他に特定されない限り、鏡像異性的/立体異性的に純粋であり、かつ鏡像異性的/立体異性的に富む、本発明の全ての化合物を包含する。
【0009】
2つのキラル中心が、同一分子内に出現する場合、それらの各々は、2つの可能な配置に存在する。これは、4つの組み合わせを生じる:(R, R)、(S,S)、(R,S)、及び(S,R)である。モデル試験は、これらの4つの異性体間の関係をさらに明らかにするであろう。(R,R)、及び(S,S)は、互いに鏡像であり、かつ従って鏡像異性体であり、他の全ての鏡像異性体ペアと同様に、化学特性、及び融点を共有する。(R,S)、及び(S,R)は、鏡像異性体ペアに類似する。しかし、(R,R)、及び(S,S)の鏡像は、(R,S)、及び(S,R)に重ね合わせることはできない。この関係は、ジアステレオ異性と呼ばれ、(R,R)は、(R, S)のジアステレオマーである。2つのキラル中心を有するフォルモテロールは、このカテゴリーに分類される。
【0010】
本明細書中に記載されているように、用語"立体異性的に純粋"、又は"鏡像異性的に純粋"は、他に特定されない限り、化合物が、1つの立体異性体で構成され、その対抗する立体異性体、又は鏡像異性体が実質的に存在しないことを意味する。フォルモテロールのような2つの立体中心を有する化合物の、立体異性的に純粋な組成物は、該化合物の他のジアステレオマーが実質的に存在しないであろう。例えば、化合物が、1つの立体異性体を80%、90%、95%、97%、99%、又は99.5%以上、及び他の立体異性体を20%、10%、5%、3%、1%、又は0. 5%未満含む場合、該化合物は、立体異性的に、又は鏡像異性的に純粋である。特定の場合において、本発明の化合物が、約80% ee(鏡像体過剰率)以上であり、好ましくは特定のキラル中心に対して約90% ee以上であり、さらに好ましくは特定のキラル中心に対して約95% eeである場合、該化合物は、キラル中心に対して、光学的に活性、又は立体異性的/鏡像異性的に純粋(すなわち、実質的にR−形態、又は実質的にS−形態)とみなされる。
【0011】
本明細書中に記載されているように、用語"立体異性的に富む"、又は"鏡像異性的に富む"は、他に特定されない限り、本発明の化合物の立体異性的に純粋な異性体が同等でない混合物を包含する(例えば、R/S = 30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35、及び70/30)。さらに、また本発明は、本発明の化合物の立体異性的に純粋な異性体の同等混合物(ラセミ体)の使用を包含する。
本明細書中に記載されているように、用語"プロドラッグ"は、他に特定されない限り、生物学的条件下(インビトロ、又はインビボ)で加水分解、酸化、又は別の反応が行なわれ、化合物を提供することができる、該化合物の生物活性誘導体を意味する。プロドラッグの例を挙げると、生物加水分解アミド、生物加水分解エステル、生物加水分解カルバマート、生物加水分解カルボナート、生物加水分解ウレイド、及び生物加水分解ホスファート類似体などの生物加水分解部位を含む化合物があるが、これらに制限されない。プロドラッグの他の例を挙げると、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部位を含む化合物がある。
【0012】
本明細書中に記載されているように、用語"生物加水分解カルバマート"、"生物加水分解カルボナート"、"生物加水分解ウレイド"、及び"生物加水分解ホスファート"は、他に特定されない限り、それぞれ、1)該化合物の生物活性を干渉しないが、摂取、作用の持続時間、又は作用の開始など、インビボにおいて、その化合物に有利な利点を与えることができるか;又は2)生物学的に不活性であるが、インビボにおいて生物活性化合物に変換される、カルバマート、カルボナート、ウレイド、及びホスファートを意味する。生物加水分解カルバマートの例を挙げると、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環及び複素芳香族アミン、及びポリエーテルアミンがあるが、これらに制限されない。
【0013】
(4.1 治療、予防、及び管理方法)
本発明は、肺、又は呼吸器疾患、又は障害を治療、予防、又は管理する方法であって、前記治療、予防、又は管理を必要とする患者に、治療的、又は予防的有効量のフォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及び治療的、又は予防的有効量のカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを投与することを含む、前記方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、肺、又は呼吸器疾患、又は障害を、治療、予防、及び管理する方法であって、前記治療、予防、又は管理を必要とする患者に、治療的、又は予防的有効量のフォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及び治療的、又は予防的有効量のカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを投与し、さらに、肺疾患又は障害のための従来の療法に関連した悪影響を回避、又は低減することを含む、前記方法を包含する。悪影響の例を挙げると、悪寒、風邪又はインフルエンザに似た症状、咳又は嗄声、熱、くしゃみ、咽喉炎、体の痛み又は疼痛、胸痛、うっ血、呼吸困難、頭痛、外傷、痙攣、尿減少、及び不整脈があるが、これらに制限されない。
【0015】
本明細書中に記載されているように、用語"治療する"、"治療している"、及び"治療"は、他に特定されない限り、患者が特定の疾患又は障害を受けている間に生じる、該疾患又は障害の重症度を軽減するか、或いは、該疾患又は障害の進行を妨害するか、又は遅らせる作用を意図する。
本明細書中に記載されているように、用語"予防する"、"予防している"、及び"予防"は、他に示されない限り、患者が特定の疾患又は障害を受ける前に生じる、該疾患又は障害の重症度を阻害するか、又は軽減する作用を意図する。
【0016】
本明細書中に記載されているように、用語"管理する"、"管理している"、及び"管理"は、他に示されない限り、特定の疾患又は障害をすでに受けている患者の該疾患又は障害の再発を抑制すること、及び/又は該疾患又は障害を受けている患者が寛解を維持する時間を長くすることを包含する。該用語は、該疾患又は障害の閾値、進行、及び/又は持続を調節すること、或いは、患者が該疾患又は障害に応答する方向を変更することを包含する。
【0017】
本明細書中に記載されているように、化合物の"治療的有効量"は、他に特定されない限り、疾患又は状態の治療又は管理において、治療的利点を提供するか、或いは、該疾患又は状態に関連した1以上の症状を遅らせるか、又は最小化するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、単独、或いは、該疾患又は状態の治療又は管理において治療的利点を提供する他の治療と組み合わせた治療薬の量を意味する。用語"治療的有効量"は、全体的な治療を改善し、疾患又は状態の症状又は原因を軽減又は回避し、或いは、他の治療薬の治療効力を向上させる量を包含し得る。
【0018】
本明細書中に記載されているように、化合物の"予防的有効量"は、他に特定されない限り、疾患又は状態、又は該疾患又は状態に関連した1以上の症状を抑制するか、或いは、その再発を抑制するのに十分な量である。化合物の予防的有効量は、単独、或いは、該疾患の抑制において予防的利点を提供する他の薬剤と組み合わせた治療薬の量を意味する。用語"予防的有効量"は、全体的な予防を改善するか、又は別の予防薬の予防効力を向上させる量を包含し得る。
【0019】
一実施態様において、フォルモテロールは、ラセミ体である。他の実施態様において、フォルモテロールは、立体異性的に純粋である。特定の実施態様において、立体異性的に純粋なフォルモテロールは、(R,R)-フォルモテロールである。
一実施態様において、フォルモテロールは、カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーと組み合わせて使用される。カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーの例を挙げると、アンドラスト (CR 2039)、デヒドロソヤサポニン I (DHS-I)、ソヤサポニン I、ソヤサポニン III、NS 004、NS 1619、及びBRL 55834があるが、これらに制限されない。
【0020】
アンドラストは、N-4-(5-テトラゾリル)-フェニル-4-(5-テトラゾリル)ベンズアミドと化学的に命名される。アンドラスト、及びその製造方法は、米国特許第5,232,937号に開示され、それは、引用により本明細書中に取り込まれている。DHS-I、ソヤサポニン I、及びソヤサポニン IIIは、デスモディウム アドスケンデンス(Desmodium adscendens)からの抽出物中に発見されたトリテルペンを意味する。本明細書中に引用により取り込まれているKaczorowskiらの文献の「気道平滑筋:ペプチド受容体、イオンチャネル、及びシグナル伝達(Airwavs Smooth Muscle: Peptide Receptors. Ion Channels and Signal Transduction)」 (Baser: Birkhauser Verlag, 1995), p.p. 169-198を参照されたい。NS 004、及びNS 1619は、カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーとして作用するベンゾイミダゾール誘導体である。本明細書中に引用により取り込まれているMacmillanらの論文Brit. J. Pharmacol., 116: 1656-1660 (1995)を参照されたい。BRL 55834は、例えば、本明細書中に引用により取り込まれているWardらの論文のBrit. J. Pharmacol., 107: 49P (1992)に開示されている。
一実施態様において、該カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーは、アンドラストである。他の実施態様において、該カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーは、DHS-Iである。
【0021】
本発明の方法を用いて、様々な肺、又は呼吸器疾患、又は障害を、治療、予防、及び/又は管理することができる。肺、又は呼吸器疾患、又は障害の例を挙げると、呼吸不全;成人呼吸促進症候群;制限されないが喘息、慢性閉塞性肺疾患、及び巨大水疱などの慢性閉塞性気道障害;急性気管支炎;慢性気管支炎;気腫;可逆性閉塞性気道疾患(reversible obstructive airway disease);夜間喘息;運動誘発性気管支痙攣;喘息の長期維持療法;他の吸入型短時間作用性β2-アンタゴニストを用いる治療を要求する喘息症状患者を含む、可逆性閉塞性気道疾患を有する患者の気管支痙攣の予防;慢性気管支炎、及び気腫を含む、慢性閉塞性肺疾患に関連した気管支収縮の長期管理;必要に応じ時折基礎を用いる、運動誘発性気管支痙攣の緊急予防;管支拡張症;細気管支炎;嚢胞性線維症;無気肺;肺塞栓症;肺炎;肺膿瘍;制限されないが過敏性肺炎、好酸球性肺炎、及びアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などの肺の過敏症;及びグッドパスチャー症候群を含むが、これらに制限されない。
【0022】
フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及びカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、包接化合物、又はプロドラッグを、連続して、又は同時に投与することができる。
一実施態様において、フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグを、好ましくは、1日につき約0.001 mg〜約50 mg、1日につき約0.002 mg〜約10 mg、又は1日につき約0.003 mg〜約1 mgの量で投与することができる。
【0023】
該カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーの適切な1日あたりの投与量範囲を、当業者により容易に決定することができる。一般に、カルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを、1日につき約0.01 mg〜約1,000 mg、1日につき約0.1 mg〜約500 mg、又は1日につき約1 mg〜約100 mg、又は1日につき約2 mg〜約50 mgの1日あたりの投与量範囲で投与することができる。
【0024】
本発明の医薬組成物の投与の選択される投与量レベル、及び頻度は、投与経路、投与時間、治療薬の排泄割合、治療の持続時間、患者に使用される他の薬剤、化合物、及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康、及び前の病歴、及び医術において周知の同様の要因を含む、さまざまな要因に依存するであろう。例えば、投与計画は、成人健常者に対して、妊婦、乳母、及び子供で変更されるであろう。通常の技量を有する医師は、要求される医薬組成物の治療的有効量を容易に決定し、かつ処方することができる。
【0025】
技術的に公知である任意の適切な方法を用いて、立体異性的に純粋なフォルモテロールを合成することができる。例えば、立体異性的に純粋なフォルモテロールを、非対称的に合成するか、又はキラルカラム、又はキラル分割剤などの標準的技術を用いて分割することができる。Jacques, J.らの文献, 「鏡像異性体、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)」 (Wiley-Interscience, New York, 1981);Wilen, S. H.らの論文, Tetrahedron 33:2725 (1977);Eliel, E. L., 「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」 (McGraw-Hill, NY, 1962);及びWilen, S. H., 「分割剤の表、及び光学分割(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions)」, p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。これらの全ては、引用により、本明細書中に取り込まれている。
【0026】
フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及びカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを、技術的に公知の任意の経路を介して患者に投与することができる。適切な投与経路は、経口、粘膜(例えば、経鼻、舌下、膣、頬、又は直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、又は動脈内)、又は経皮投与を含むが、これらに制限されない。フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及びカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを、同じ経路を用いて、又は異なる経路を用いて投与することができる。
【0027】
(4.2 医薬組成物)
本発明は、フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ;カルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグ;及び任意に、医薬として許容し得るキャリア、又は賦形剤を含む、医薬組成物を包含する。
【0028】
特定の医薬組成物は、患者への経口、粘膜(例えば、経鼻、舌下、膣、頬、気管、気管支、又は直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、又は動脈内)、又は経皮投与に適した単一単位剤形である。剤形の例を挙げると、錠剤;カプレット;軟、又は硬カプセルなどのカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;単位投与量バイアル(UDV)噴霧溶液;包帯剤;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば、鼻腔内噴霧、又は吸入);ゲル;懸濁液(例えば、水、又は非水懸濁液、水中油型乳剤、又は油中水乳剤)、溶液、及びエリキシル剤を含む、患者への経口、又は粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口投与に適した液体剤形;及び患者への非経口投与に適した液体剤形を提供するように再構成され得る滅菌固体(例えば、結晶性固体、又はアモルファス固体)があるが、これらに制限されない。
【0029】
一実施態様において、該剤形は、UDV 噴霧溶液である。該溶液は、水であってもよく、該溶液は、安定剤をさらに含み得る。例えば、本明細書中に引用により取り込まれている米国特許第6,667,344号を参照されたい。他の実施態様において、該剤形は、吸入用乾燥粉末(例えば、エアロゾル用カプセル)である。他の実施態様において、該剤形は、鼻腔内噴霧剤、又は溶液である。
【0030】
また、本発明は、例えば、制限されないがシリンジ、及び定量吸入器を含む、技術的に公知の任意の投与装置を用いる、本発明の製剤の投与を包含する。
該製剤は、投与様式に適切であるべきである。例えば、経口投与は、該投与された化合物を胃腸管内での分解から保護するために、腸溶コーティングを要求し得る。他の例において、該化合物を分解酵素から保護し、循環系における運搬を促進し、かつ細胞膜を通って細胞内部位に送達するために、該化合物をリポソーム製剤で投与することができる。
【0031】
通常、本発明の剤形の組成、形、及び種類は、これらの使用に依存して変更されるであろう。例えば、疾患の急性期治療に使用される剤形は、同じ疾患の長期治療に使用される剤形よりも多量の1以上の有効成分を含み得る。同様に、非経口剤形は、同じ疾患の治療に使用される経口剤形よりも少ない量の1以上の有効成分を含み得る。本発明により包含される特定の剤形が互いに異なるであろう、これらの方法、及び他の方法は、当業者に容易に認識されるであろう。例えば、「レミントンの薬剤科学(Remington 's Pharmaceutical Science)」, 第18版, Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0032】
本発明の医薬組成物の投与の選択される投与量レベル、及び頻度は、投与経路、投与時間、治療薬の排泄割合、治療の持続時間、患者に使用される他の薬剤、化合物、及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康、及び前の病歴、及び医術において周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存するであろう。例えば、投与計画は、成人健常者に対して、妊婦、乳母、及び子供で変更されるであろう。通常の技量を有する医師は、要求される医薬組成物の治療的有効量を容易に決定し、かつ処方することができる。
【0033】
本発明の医薬組成物は、医薬として許容し得るキャリアをさらに含み得る。用語"医薬として許容し得るキャリア"とは、1以上の医薬として許容し得る賦形剤を意味する。前記賦形剤の例は、技術的に公知であり、かつUSP (XXI)/NF (XVI)に示され、その全体において、それに対して引用により本明細書中に取り込まれている。前記賦形剤の例は、結合剤、希釈剤、充填剤、崩壊剤、超崩壊剤(超崩壊剤)、潤滑剤、界面活性剤、固結防止剤、及び安定剤などがあるが、これらに制限されない。用語"添加剤"は、本明細書中で使用されるように、用語"賦形剤"と同義である。
【0034】
用語"医薬として許容し得る"とは、健全医事法(sound medical judgment)の範囲内で、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、又は他の問題、又は合併症のない、ヒト、及び動物への投与、並びにヒト、及び動物の組織、及び体液と接触する使用に適し、適切な医学的に健全な利益/リスク比に相応のこれらの化合物、物質、組成物、及び/又は剤形を意味するように、本明細書中で使用される。
さらに、用語"医薬として許容し得る"賦形剤とは、所定の剤形の有効成分、及び任意の賦形剤成分の間で、不適当な化学的、又は物理的不適合性がないものを意味するように使用される。例えば、不適当な化学反応とは、フォルモテロール、又はカルシウム活性化カリウムチャネルオープナーの効力が、1以上の賦形剤の添加のために不利益に低下するか、又は増加することである。不適当な化学反応の他の例は、該剤形が口に合わなくなる程度に、該剤形の味が、過度に甘くなるか、又は酸っぱくなるなどのことである。各賦形剤は、該製剤の他の成分に適合し、かつ患者に有害でないという意味で、"許容し得る"でなければならない。
【0035】
物理的不適合性は、該剤形、及びその任意賦形剤の様々な成分の間で不適合であることを意味する。例えば、賦形剤と有効成分との組み合わせは、所望の処方される投与計画に従って、該剤形を投与することができる該剤形の所望の形状(例えば、錠剤、トローチなど)、又は安定性などが十分に維持できなくなる程度に、過度に吸湿性である混合物、又は過度に分離した混合物を形成することがある。
【0036】
本発明に従って製造された医薬組成物、又は剤形に使用される全ての賦形剤は、好ましくは、USP/NFにおける医薬成分、及びその組み合わせの基準に合うか、又は勝る。USP/NFの目的は、該療法の実施に使用される物質、及び材料、及びこれらの調製物にとって信頼できる基準、及び規格を提供することである。USP/NFは、同一性、特性、強度、純度、包装、及びラベリングの表題、定義、説明、及び基準を確立し、また、実施可能である場合、生物学的利用能、安定性、適切な取扱い及び貯蔵手順、及びこれらの試験方法、及びこれらの製品、又は調製物の製法を提供する。
【0037】
医薬製品の安定性は、特定の容器内の特定の製剤の能力として規定され、物理的、化学的、微生物学的、治療的、及び毒物学的規格の範囲内にとどまり、例外はあるが、ラベル表示の効力レベルの少なくとも約80%、好ましくは約90%、さらに好ましくは約95%を維持する。従って、例えば、有効期限は、該医薬製品が推奨条件下で保存された場合に、安定状態を保つであろう時間として規定される。
多くの要因が、治療的成分の安定性、及び治療的成分と不活性成分との間の潜在的相互作用などの安定性を含む、医薬製品の安定性に影響を与える。熱、光、及び湿気などの物理的要因は、化学反応を開始するか、又は促進し得る。
【0038】
(4.2.1 経口剤形)
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、制限されないが錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル、及び液体(例えば、香味シロップ)などの個々の剤形として存在し得る。前記剤形は、所定量の有効成分を含み、かつ当業者に公知の薬学の方法により調製され得る。一般的に、レミントンの薬剤科学(Remington 's Pharmaceutical Science)」, 第18版, Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0039】
本発明の典型的な経口剤形は、従来の医薬配合技術に従って、少なくとも1つの賦形剤を有する完全な混合物中において有効成分を組み合わせることにより調製される。賦形剤は、投与にとって所望される調製物の形態に依存して、多種多様の形態となり得る。
投与のこれらの容易さのために、錠剤、及びカプセルは、固体剤形が使用される場合に、最も有利な経口投与単位形態である。所望であれば、錠剤を、標準的な水系又は非水系技術によりコーティングすることができる。前記剤形を、薬学の任意の方法により調製することができる。一般に、医薬組成物、及び剤形は、該有効成分と、液体キャリア、細かく分割した固体キャリア、又はそれらの両方とを、均一にかつ完全に混合し、次に、必要であれば、該産物を所望の提示に成形することにより調製される。
【0040】
本発明に従って、医薬組成物、又は剤形の大規模調製は、制限されないが、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、香料、及び甘味剤など、又はそれらの混合物を含む、さらなる治療薬成分、賦形剤、又は添加剤を要求し得る。これらのもの、及び他の添加剤の組み込みにより、様々な剤形(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、及びトローチなど)を製造することができる。これらは、例えば、硬カプセル、カプレット、糖衣錠剤、作用を遅らせる腸溶コーティング錠剤、多重圧縮錠剤、持続性作用錠剤、溶液用錠剤、発泡性錠剤、頬及び舌下錠剤、及びトローチなどを含む。
【0041】
従って、医薬として適合し得る量において、有効成分と、下記の1以上の医薬として適合し得るか又は許容し得る賦形剤とを各々所望量組み合わせることにより、トローチ、錠剤、又はカプセルなどの本発明の医薬組成物の単位投与量形態、又は投与製剤を形成し、単位投与量投与製剤を各有効成分の所望量、生産することができる。該投与量形態、又は投与製剤を、技術的に周知の方法で形成することができる。
【0042】
多くの場合、錠剤は、患者(例えば、投与量の正確さ、簡潔さ、携帯性、味の良さ、並びに投与の容易さ)、及び製造業者(調製の単純性及び経済面、安定性、並びに包装、輸送、及び分配の利便性)、双方に利点があるために、好ましい剤形である。錠剤は、適切な添加剤を有するか、又は有しない、治療薬物質を含む固体の医薬剤形である。
通常、錠剤は、成形により、圧縮により、又は一般に受け入れられている形成方法により製造される。従って、通常、圧縮錠剤は、大規模製造方法により調製され、一方、成形錠剤は、多くの場合、小規模操作に関わる。例えば、錠剤調製の3つの一般的方法がある:(1)湿式造粒法;(2)乾式造粒法;及び(3)直接圧縮法である。これらの方法は、当業者に周知である。レミントンの薬剤科学(Remington 's Pharmaceutical Science)」, 第16版、及び第18版, Mack Publishing Co., Easton Pa (1980、及び1990)を参照されたい。また、U. S. Pharmacopeia XXI. : U.S. Pharmacopeial Convention, Inc., Rockville, Md. (1985)を参照されたい。
【0043】
様々な錠剤製剤を、本発明に従って製造することができる。これらは、糖衣錠剤、フィルムコート錠剤、腸溶コーティング錠剤、多重圧縮錠剤、及び持続性作用錠剤などのような錠剤剤形を含む。糖衣錠剤(SCT)は、糖衣を含む圧縮錠剤である。前記コーティングは、着色されていてもよく、かつ好ましくない味又は匂いを有する薬剤物質を覆い、かつ酸化に感受性のある物質を保護することに役立つ。フィルムコート錠剤(FCT)は、水溶性物質の薄層、又はフィルムで覆われた圧縮製剤である。フィルム形成特性を有する多くの高分子物質が使用され得る。フィルムコーティングは、該コーティング操作に要求される期間を大きく減らすという別の利点を有する糖衣と同じ一般的特性を与える。また、腸溶コーティング錠剤は、本発明の使用に適切である。腸溶コーティング錠剤(ECT)は、胃液の溶解に耐性があり、腸で分解する物質でコーティングされた圧縮錠剤である。腸溶コーティングは、粘膜を刺激する、胃で不活性化されるか、又は破壊される薬剤物質を含む錠剤に対して、又は薬物の遅延放出の手段として使用され得る。
【0044】
多重圧縮錠剤(MCT)は、層状錠剤、又は有核錠など、2回以上の圧縮サイクルにより製造された圧縮錠剤である。層状錠剤は、先に圧縮した造粒上に、追加の錠剤造粒を圧縮することにより調製される。該操作を繰り返し、2、又は3層以上の多層錠剤を製造することができる。通常、層状錠剤を製造するために、特殊な錠剤成形機が必要とされる。例えば、米国特許第5,213,738号を参照されたい。その全体において、それに対して引用により本明細書中に取り込まれている。
【0045】
有核錠(Press coated tablets)は、多重圧縮錠剤の別の形態である。この錠剤は、乾燥コート錠剤(dry-coated tablets)とも呼ばれ、先に圧縮した錠剤を、錠剤成形機に供給し、かつ該前もって形成された錠剤の周りに、他の造粒層を圧縮することにより調製される。これらの錠剤は、圧縮錠剤の全ての利点、すなわち立削り、モノグラミング、分解速度などを有し、さらに、該核錠剤の薬剤物質の味を隠す糖衣錠剤の特性を保持する。また、有核錠は、不適合性の薬剤物質を分離するために使用され得る。さらに、これらは、該核錠剤に腸溶コーティングを提供するために使用され得る。両方の種類の錠剤(すなわち、層状錠剤、及び有核錠)は、例えば、本発明の持続性作用剤形の設計に使用され得る。
【0046】
持続性作用錠剤形態の本発明の医薬組成物、又は単位剤形は、長期にわたって薬剤を提供する方法において、該薬剤物質を放出するように配合された圧縮錠剤を含み得る。該薬剤物質の放出が、投与後、又は特定の生理的条件が存在するまで、時間間隔で抑制される、遅延作用錠剤を含む錠剤種が多くある。該薬剤物質の全投与量を胃腸液に定期的に放出する繰り返し作用錠剤を、配合することができる。また、包含された薬剤物質の増分を胃腸液に持続的に放出する延長放出錠剤を形成することができる。
【0047】
装置を用いて固体剤形(例えば、錠剤)内に圧力で作られる賦形剤を有するか、又は有しない、本発明の薬剤、又は治療的成分のために、結晶、又は粉末形態、どちらかの物質が、多くの物理的特性を有することが必要である。これらの特性は、例えば、圧縮時に密着し、かつ成形型から容易に離れる粉末として、自由に流動する能力を含み得る。大部分の物質は、これらの特性を有しないか、又は幾らか有するのみであるので、これらの所望の特性を、錠剤、又は類似剤形に圧縮された物質に与えるために、錠剤製剤、及び調製の方法が開発されている。
【0048】
注目されるものとして、該薬剤、又は治療的成分に加えて、錠剤、及び類似剤形は、賦形剤、又は添加剤と呼ばれる多くの物質を含み得る。これらの添加剤は、錠剤、カプレット、カプセル、又はトローチ等の剤形の製剤における役割に従って分類される。添加剤の一群には、結合剤、希釈剤(充填剤)、崩壊剤、潤滑剤、及び界面活性剤があるが、これらに制限されない。一実施態様において、該希釈剤、結合剤、崩壊剤、及び潤滑剤は、同一ではない。
【0049】
結合剤は、該物質が、錠剤機で使用される場合に流動するように、錠剤成分の混合から自由流動粉末を提供するために使用される。また、結合剤は、該錠剤への密着を提供する。少ない量の結合剤は、流動の問題を示し、かつそれらの結合性を維持しない錠剤が得られるであろう。一方、過剰な量は、該錠剤からの薬剤、又は有効成分の放出(溶出速度)に、逆に影響し得る。従って、該錠剤の薬剤成分の溶出速度に逆に影響することなく、該錠剤成分の自由流動混合を提供するように、十分な量の結合剤が、該錠剤に組み込まれるべきである。少ない投与量の錠剤を用いて、適切な希釈賦形剤の使用により、良い圧縮率の必要性が、特定の程度に排除され得る。使用される結合剤の量は、製剤の種類、及び投与様式で変化し、かつ当業者に容易に認識されるであろう。
【0050】
本発明に従って製造された投与製剤との使用に適した結合剤は、コーンスターチ、ポテトスターチ、又は他のスターチ、ゼラチン、アカシアなどの天然および合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギナート(アルギン酸塩又はエステル)、粉末トラガカント、グアールガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、アルファ化でんぷん、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、ナンバー2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、又はこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。微結晶性セルロースの適切な形態は、例えば、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、及びAVICEL-PH-105(FMC社, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, Pa., U.S.A.から入手可能)として売られている物質を含み得る。
【0051】
充填剤、又は希釈剤は、許容し得るサイズの錠剤、カプセル、又は他の所望される剤形が製造されるように、粉末(例えば、錠剤、又はカプセル)バルクを与えるために使用される。通常、治療的成分は、それとともに希釈剤の取込みにより、適切なサイズの都合の良い剤形に形成される。結合剤と同様に、該充填剤への該薬剤の結合が生じ、かつ生物学的利用能に影響し得る。従って、該充填剤を含む剤形からの薬剤成分の放出に不利益に影響することなく、所望の希釈比となるように、十分な量の充填剤が使用されるべきである。さらに、該剤形の治療的成分と物理的、及び化学的に適合できる充填剤が使用されるべきである。使用される充填剤の量は、製剤の種類、及び投与様式で変化し、かつ当業者に容易に認識される。充填剤の例を挙げると、ラクトース、グルコース、スクロース、フルクトース、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒、又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、でんぷん、アルファ化でんぷん、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。
【0052】
崩壊剤は、水性環境に暴露される場合に崩壊する投与量形態(例えば、錠剤)を生じるように使用される。過剰な量の崩壊剤は、大気中の水分のためにボトル内で崩壊し得る錠剤を提供するであろう。少ない量では、生じる崩壊が不十分であり得る。従って、該剤形からの薬剤、又は有効成分の放出の割合、及び程度が変更され得る。従って、本発明に従って製造される剤形を形成するために、該薬剤成分の放出を不利益に変更しない少なすぎず、又は多すぎない、十分な量の崩壊剤が使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類、及び投与様式で変化し、かつ当業者に容易に認識される。崩壊剤の例をあげると、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、でんぷんグリコール酸ナトリウム、ポテト又はタピオカスターチ、他のスターチ、アルファ化でんぷん、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。
【0053】
患者(例えば、患者の胃)への投与時に、完全に迅速に溶解する投与量形態が所望される場合、制限されないがクロスカルメロースナトリウム、又はでんぷんグリコール酸ナトリウムなどの超崩壊剤を使用することができる。本明細書中に使用されるように、用語"超崩壊剤"は、経口投与後に、胃中で、薬剤、又は有効成分の迅速な崩壊を生じる崩壊剤を意味する。超崩壊剤の使用は、作用のより迅速な発現を生じ得る薬剤、又は有効成分の、迅速な吸収を促進することができる。
【0054】
製造機械(例えば、錠剤成形機)のパンチへの該剤形成分の接着は、回避しなければならない。例えば、薬剤が、該パンチ表面に蓄積する場合、ピッチとなる錠剤表面を生じ、従って、受け入れられない。また、この方法における、薬剤、又は賦形剤の固着は、金型から錠剤を除去する場合、余計な高突出力を要求する。過剰な突出力は、高い破損率の原因になり、かつ該金型の過剰な摩擦、及び裂け目に加えて、製造コストを増加させる。実際には、ウェット−マシング(wet-massing)により、又は例えば、ステアリン酸マグネシウムの潤滑剤の使用により、固着を減少させることが可能である。しかし、また、良い抗接着特性を有する薬剤塩の選択は、これらの問題を最小限にし得る。
【0055】
注目されるものとして、潤滑剤は、錠剤機への錠剤粉末混合の流動を向上させ、かつ錠剤圧縮後の金型内の錠剤固着を抑制するために使用される。潤滑剤が少ないと、製造される錠剤が満足のいくものとならないであろう。また、過剰であると、一般に、潤滑剤が、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウムなどの疎水性物質であるために形成され得る、水−不浸透性疎水コーティングを有する錠剤が製造され得る。さらに、水−不浸透性疎水コーティングは、該錠剤の崩壊、及び該薬剤成分の溶解を阻害し得る。従って、該薬剤成分の所望の崩壊、及び/又は溶解を不利益に干渉する水−不浸透性疎水コーティングを形成することなく、金型から圧縮製剤を容易に離すことができる、十分な量の潤滑剤を使用するべきである。
【0056】
本発明で使用される適切な潤滑剤の例を挙げると、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。さらなる潤滑剤は、例えば、シロイドシリカゲル(syloid silica gel)(Baltimore Md.のW.R. Grace Co.より製造されているAEROSIL 200)、合成シリカの凝固エアロゾル(Plano, TexのDeaussa Co.により市販されている)、CAB-O-SIL(Boston, MassのCabot Co.により販売されている発熱性二酸化ケイ素製品)、又はこれらの混合物を含む。
【0057】
界面活性剤は、湿潤性を改善し、かつ/又は溶解を向上させるために、剤形に使用される。特に、低溶解性、又は不溶性の薬剤、又は有効成分を含む医薬組成物、又は剤形に有用である。界面活性剤の例を挙げると、TWEEN(例えば、Tween 20、及びTween 80)として商業的に入手可能なものなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー(例えば、商業的に入手可能なPLURONIC)などのポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ブロック共重合体、及びポリキサミン(polyxamines)(例えば、商業的なTETRONIC(BASF))などの、エチレンジアミンへのプロピレンオキシド、及びエチレンオキシドの順次的付加から誘導された四官能性ブロック共重合体、デキストラン、レシチン、Aerosol OTなどのスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、TRITON X-200又はチロキサポールなどのアルキルアリールポリエーテルスルホナート又はアルコール、p-イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)(例えば、Olin-10G、又はSurfactant 10-G(Olin Chemicals))、又はそれらの混合物があるが、これらに制限されない。他の医薬として許容し得る界面活性剤は、技術的に周知であり、かつ医薬賦形剤の手引き(Handbook of Pharmaceutical Excipients)に詳細に記載されている。
【0058】
本発明の医薬組成物、又は剤形に使用される添加剤の他の種類には、凝結防止剤、又は抗接着剤、抗菌防腐剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、風味及び香料、可塑剤、粘度増強剤、甘味料、緩衝剤、及び湿潤剤などがあるが、これらに制限されない。
凝結防止剤の例を挙げると、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。
【0059】
抗菌防腐剤の例を挙げると、塩化ベンザルコニウム溶液、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、クレゾール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロソル、チモール、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。
本発明で使用される着色剤の例を挙げると、医薬として許容し得る色素、及びレーキ、カラメル、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。乾燥剤の例を挙げると、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、シリカゲル、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。
【0060】
使用され得る香料は、アカシア、トラガカント、アーモンドオイル、アネトール、アニス油、ベンズアルデヒド、カラウェー、カラウェー油、カルダモン油、カルダモンシード、配合カルダモンチンキ剤(compound cardamom tincture)、チェリージュース、シナモン、けい皮油、チョウジ油、ココア、コリアンダー油、エリオディクティオン(eriodictyon)、エリオディクティオン流エキス剤(eriodictyon fluidextract)、酢酸エチル、エチルバニリン、ユーカリ油、ウイキョウ油、甘草、純粋甘草抽出物、甘草流エキス剤、ラベンダー油、レモン油、メントール、サリチル酸メチル、グルタミン酸1ナトリウム、ニクズク油、橙花油、橙花水、オレンジ油、スウィートオレンジ皮チンキ剤、配合オレンジ酒(compound orange spirit)、ペパーミント、ペパーミント油、ペパーミント酒、松葉油、ローズ油、強ローズ水(stronger rose water)、スペアミント、スペアミント油、チモール、豆腐バルサムチンキ剤(tofu balsam tincture)、バニラ、バニラチンキ剤、及びバニリン、又はこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。
【0061】
甘味剤の例を挙げると、アスパルテーム、デキストレート、マンニトール、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ソルビトール溶液、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。
本発明に使用される例証的可塑剤は、ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、フタル酸ジエチル、グリセリン、モノ及びジアセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びトリアセチン、又はこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。適切な粘度増強剤は、アカシア、寒天、アラミック酸(alamic acid)、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、ベントナイトマグマ、カルボマー934、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラゲナン、セルロース、微結晶性セルロース、ゼラチン、グアールガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ナンバー2208;2906;2910)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポビドン、シリカゲル、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、及びキサンタンガム、又はこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。
【0062】
本発明に使用され得る緩衝剤は、水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウムなど、又はこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。湿潤剤の例は、グリセロール、他の湿潤剤、又はこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。
本発明の剤形は、下記の1以上のものをさらに含み得る:(1)パラフィンなどの溶解緩染剤;(2)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(3)例えば、セチルアルコール、及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(4)カオリン、及びベントナイト粘土などの吸収剤;(5)水溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウム等)、油溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸パルミテート、ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、及びアルファ−トコフェノール等)などの抗酸化剤;及び(6)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、及びリン酸などの金属キレート剤である。
【0063】
錠剤、又はカプレットの本発明の剤形を、任意にコーティングすることができる。通常、不活性コーティング剤は、適切な溶媒に分散される不活性被膜剤を含み、かつ着色剤、及び可塑剤などの他の医薬として許容し得るアジュバントをさらに含み得る。適切な不活性コーティング剤、及びコーティング方法は、制限されない水性、又は非水性フィルムコーティング技術、又はマイクロカプセル化を含む技術において周知である。被膜剤、又はコーティング剤の例を挙げると、ゼラチン、医薬釉薬、シェラック、スクロース、二酸化チタン、カルナバワックス、微結晶性ワックス、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ナンバー:2208, 2906, 2910)、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ナンバー:200731, 220824)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、任意に架橋され得るエチルセルロース、及びナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース;ポリビニルピロリドン、酢酸フタル酸ポリビニル(polyvinyl acetate phthalate)などのビニル;ポリエチレングリコールなどのグリコール;メタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸エステル共重合体、及びメタクリル酸エチル−メタクリル酸メチル共重合体などのアクリル;及びマルトデキストリンなどの他の炭水化物ポリマー、及びポリデキストロース、又はこれらの混合物があるが、これらに制限されない。使用されるコーティング剤、及びキャリアビヒクル(水性、又は非水性)の量は、製剤の種類、及び投与様式で変化し、かつ当業者に容易に認識される。
【0064】
被膜ポリマーのコーティングを、従来の塗料槽、Accelacota、High-Cola、又はWorsterエアサスペンションカラムなどの何種類かの装置のうちの1つを用いて、本発明に従って、錠剤、又はカプレット(例えば、カプセル成形錠剤)に任意に塗布することができる。通常、前記装置は、粉塵、及び溶媒、又は水蒸気を除去するために排気システムを有し、速乾性を促進する。スプレーガン、又は他の適切な噴霧装置を、該塗料槽内に導入し、迅速かつ均一被覆率の錠剤下地を助長する吹付模様を提供することができる。標準的に、加熱、又は冷却乾燥空気を、連続的に、該錠剤下地全体に導入するか、又は様式を噴霧サイクルに代え、フィルムコーティング溶液の乾燥を促進する。
【0065】
連続的に、又は断続的な噴霧乾燥サイクルで、統制的空気変位、又は蠕動ポンプ系を用いて、該コーティング溶液を噴霧することができる。噴霧塗布の特定の種類は、該塗料槽の乾燥効率に依存して選択される。多くの場合、該錠剤が所望の厚さに均一にコーティングされ、かつ該錠剤の所望の外観に達するまで、該コーティング物質を噴霧する。腸溶性、徐放コーティング、又は即効性錠剤用の迅速に溶解する種類のコーティングなどの、コーティングの多くの異なる種類を塗布することができる。好ましくは、迅速に溶解する種類のコーティングを使用して、有効成分のより迅速な放出を可能にし、開始を加速する。例えば、錠剤に塗布される該被膜ポリマーのコーティングの厚さを変更することができる。しかし、該厚さは、ゼラチンカプセルの外観、触感(触覚、及び口の触感)、及び機能をシュミレートすることが好ましい。該治療薬のより迅速な放出、又は遅延放出が所望される場合、当業者は、たとえあったとしても、有効成分の所望の血液レベル、放出速度、有効成分の溶解性、及び該剤形の所望の性能などの特性に基づいて使用する該フィルムの種類、及び厚さを容易に認識するであろう。
【0066】
錠剤などの最終的な剤形のコーティングに使用される多くの適切な被膜剤は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース (PHARMACOAT 606 6 cps)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、エチルセルロース (ETHOCEL 10 cps)、メタクリル酸、及びメタクリル酸エステルの様々な誘導体、酢酸フタル酸セルロース、又はこれらの混合物を含む。
該調製方法、及び剤形(錠剤、又はカプレット)に組み込まれる賦形剤、又は添加剤は、製造を容易にする(例えば、錠剤の迅速な圧縮)と同時に、該錠剤製剤に、所望の物理特性を与えるために選択される。好ましくは、投与量形態は、製造後に、多くの追加特性を有するべきである。例えば、前記特性は、錠剤にとって、外観、硬さ、崩壊能力、及び均一性を含む。これらは、該調製方法、及び該錠剤製剤に存在する添加剤、双方により影響される。
【0067】
さらに、本発明の医薬組成物の錠剤、又は他の剤形は、標準的操作、及び保存方法下で、これらの保存期間にわたって、これらの元のサイズ、形、重さ、及び色を保持すべきであることに注意する。従って、例えば、該容器下での過剰な粉末又は固体粒子、錠剤表面上の亀裂又は欠け、錠剤表面又は容器壁の結晶外観は、非コーティング錠剤の物理的不安定性につながる。従って、錠剤の温和、均一、及び再現可能な振盪、及び混転の作用は、該錠剤が十分な物理的安定性を有することを保証すべきである。錠剤の硬さは、商業的に入手できる硬度計により測定することができる。さらに、該有効成分のインビトロでの有効性は、経時的に認めうるほどに変化すべきでない。
糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒などの本発明の医薬組成物の錠剤、及び他の剤形を、医薬配合技術において周知の腸溶コーティング、及び他のコーティングなどのコーティング、及びシェルを用いて、任意に獲得するか、又は調製することができる。
【0068】
(4.2.2 非経口剤形)
非経口剤形を、制限されないが皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む様々な経路で、患者に投与することができる。これらの投与は、通常、混入物に対する患者の自然防御を回避するため、好ましくは、非経口剤形は、無菌であるか、又は患者への投与前に滅菌され得る。非経口剤形の例を挙げると、注射用に準備された溶液、注射用の医薬として許容し得るビヒクルに溶解又は懸濁化するように準備された乾燥製品、注射用に準備された懸濁液、及びエマルションがあるが、これらに制限されない。
【0069】
本発明の非経口剤形を提供するために使用することができる適切なビヒクルは、当業者に周知である。例を挙げると、制限されないが、注射用蒸留水USP;塩化ナトリウム溶液、リンガー液、デキストロース液、デキストロース及び塩化ナトリウム溶液、及び乳酸加リンガー液などの水性ビヒクル;制限されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性ビヒクル;及び制限されないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルがあるが、これらに制限されない。
また、本明細書中に開示した1以上の有効成分(すなわち、本発明の化合物)の溶解性を増加させる化合物を、本発明の非経口剤形内に組み込むことができる。
【0070】
(4.2.3 経皮、局所、及び粘膜剤形)
本発明の経皮的、局所的、及び粘膜的剤形は、点眼剤、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルション、懸濁液、又は当業者に周知の他の形態を含むが、これらに制限されない。例えば、例えば、「レミントンの薬剤科学(Remington 's Pharmaceutical Science)」, 第16版、及び第18版, Mack Publishing, Easton PA (1980、及び1990);及び「医薬剤形への導入(Introduction to Pharmaceutical Dosage Form)」, 第4版, Lea、及びFebiger, Philadelphia (1985)を参照されたい。経皮的剤形は、"貯蔵型(reservoir type )"、又は"マトリクス型(matrix type )"パッチを含む。これらを、特定の時間、皮膚、及び衣服に塗布することができ、所望量の有効成分の浸透を可能にする。
【0071】
適切な賦形剤(例えば、キャリア、及び希釈剤)、及び本発明に包含される経皮的、局所的、及び粘膜的剤形の提供に使用され得る他の物質は、医薬技術の当業者に周知であり、所定の医薬組成物、又は剤形が適用される特定の組織に依存する。
治療される特定の組織に依存して、本発明の有効成分を用いる治療の前に、同時に、又は後に、追加の成分を使用してもよい。例えば、浸透賦活薬を、該組織への有効成分の輸送を補助するように使用することができる。
【0072】
医薬組成物、又は剤形のpH、又は該医薬組成物、又は剤形が適用される組織のpHを調節し、1以上の有効成分の輸送を改善することができる。同様に、溶媒キャリアの極性、そのイオン強度、又は張度を調節して、輸送を改善することができる。また、輸送を改善するために、ステアレート(ステアリン酸塩、又はエステル)などの化合物を、医薬組成物、又は剤形に加えて、1以上の有効成分の親水性、又は新油性を有利に変更することができる。この点において、ステアレートは、該製剤用の脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、及び輸送賦活剤又は浸透賦活剤として供給され得る。有効成分の異なる塩、水和物、又は溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調節することができる。
【0073】
(4.2.4 安定性を向上させた組成物)
また、特定の賦形剤の安定性は、該剤形中の特定の有効成分に依存し得る。例えば、幾つかの有効成分の分解は、ラクトースなどの幾つかの賦形剤により、又は水に曝された場合に促進される。第一級、又は第二級アミンを含む有効成分は、このような促進された分解に、特に影響を受けやすい。従って、本発明は、あったとしても少量のラクトース、他のモノ又はジサッカライドを含む、医薬組成物、及び剤形を包含する。本明細書中で使用されるように、用語"ラクトースフリー"は、存在するラクトースが、たとえあったとしても、有効成分の分解率を実質的に増加するには足りない量であることを意味する。
【0074】
本発明のラクトースフリー組成物は、当業者に周知であり、かつ例えば、米国薬局方(USP) 25-NF20(2002)に記載されている賦形剤を含み得る。一般に、ラクトースフリー組成物は、医薬として適合し、かつ医薬として許容し得る量の有効成分、結合剤/充填剤、及び潤滑剤を含む。好ましいラクトースフリー剤形は、有効成分、微結晶性セルロース、アルファ化でんぷん、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0075】
本発明は、水が幾つかの化合物の分解を促進し得るので、有効成分を含む無水医薬組成物、及び剤形をさらに包含する。例えば、水(例えば、5%)の添加は、長期に渡る製剤の貯蔵寿命、又は安定性などの特性を測定するために、長期貯蔵をシュミレートする手段として、医薬技術的に広く受け入れられる。例えば、Jens T. Carstensen, 「薬剤安定性:原理と実施(Drug Stability: Principles & Practice)」, 第2版, Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80を参照されたい。実際、水、及び加熱は、幾つかの化合物の分解を促進する。従って、蒸気、及び/又は湿気は、一般的に、製剤の製造、操作、包装、貯蔵、輸送、及び使用時に接触するので、製剤における水の作用は、非常に重要である。
【0076】
無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて、本発明の無水医薬組成物、及び剤形を調製することができる。ラクトース、及び第一級又は第二級アミンを含有した少なくとも1種の有効成分を含む医薬組成物、及び剤形は、製造、包装、及び/又は貯蔵時に、蒸気、及び/又は湿気との実質的接触が予想される場合、好ましくは無水である。
無水医薬組成物は、その無水性質を維持するように、調製、及び貯蔵されるべきである。従って、好ましくは、無水組成物は、これらが適切な定式のキットに含まれ得るように、水への曝露を抑制することが知られている物質を用いて包装される。適切な包装の例を挙げると、密封ホイル、プラスチック、単位投与量容器(例えば、バイアル)、ブリスター包装、及びストリップ包装があるが、これらに制限されない。
【0077】
本発明は、有効成分の分解速度を低下させる1以上の化合物を含む、医薬組成物、及び剤形をさらに包含する。前記化合物は、本明細書中で"安定剤"と呼ばれ、アスコルビン酸、pH緩衝液、又は塩緩衝液などの抗酸化剤を含むが、これらに制限されない。
賦形剤の量、及び種類のように、剤形中の有効成分の量、及び特定の種類は、制限されないが、患者に投与される経路などの要因に依存して異なり得る。
【0078】
(4.2.5 遅延放出剤形)
本発明の有効成分を、当業者に公知の制御された放出手段、又は輸送装置により、投与することができる。例を挙げると、米国特許第3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;及び4,008,719、5,674,533、5,059,595、5,591,767、5,120,548、5,073,543、5,639,476、5,354,556、及び5,733,566号に記載されているものがあるが、これらに制限されない。これらの各々は、本明細書中に引用により取り込まれている。前記剤形を使用し、例えば、異なる割合の所望の放出性質を提供するように、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、隔膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフィア、又はこれらの組み合わせを用いて、1以上の有効成分の遅延、又は徐放性を提供することができる。本明細書中に開示したものを含む、当業者に公知の適切な制御放出製剤は、本発明の化合物とともに使用するために容易に選択され得る。従って、本発明は、制限されないが、徐放性に適合した錠剤、カプセル、ジェルキャップ、及びカプレットなど、経口投与に適切な単一単位剤形を包含する。
【0079】
全ての徐放性医薬製品は、これらの未制御の対応物により達成される、改善薬療法の共通の目的を有する。理想的に、最適に設計された徐放性製剤の医療における使用は、最小限の時間において状態を治療するか、又は制御するために使用されている最小の薬剤物質により特徴付けられる。徐放性製剤の利点は、該薬剤の長時間活性、投与回数の減少、及び患者のコンプライアンスの増加を含むことである。さらに、徐放性製剤を使用して、作用の開始時間、又は該薬剤の血液レベルなどの他の特性に影響を及ぼすことができ、従って、副作用(有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0080】
多くの徐放性製剤を設計して、所望の治療効果を迅速に生じる薬剤(有効成分)の量を最初に放出し、かつ長時間にわたって、治療的又は予防的有効量のレベルを維持するように、薬剤の他の量を徐々に、及び持続的に放出することができる。体内の薬剤の一定水準を維持するために、該薬剤は、代謝され、かつ該体から排泄される薬剤量を元に戻す割合で、該剤形から放出されなければならない。有効成分の徐放性は、制限されないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件を含む様々な条件、又は化合物により促進され得る。
【0081】
(4.2.6 キット)
幾つかの場合において、本発明の有効成分は、好ましくは、同時に、又は同じ投与経路により、患者に投与されるものではない。従って、本発明は、医師により使用される場合に、適切な量の有効成分の患者への投与を単純化することができるキットを包含する。
本発明の典型的なキットは、本発明の化合物の単一単位剤形、又はその医薬として許容し得る塩、水和物、プロドラッグ、溶媒和物、又は包接化合物、及び本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他の薬剤の単一単位剤形を含む。本発明のキットは、該有効成分の投与に使用される装置をさらに含み得る。前記装置の例を挙げると、シリンジ、点滴袋、パッチ、及び吸入器を含む。
【0082】
本発明のキットは、1以上の有効成分の投与に使用され得る、医薬として許容し得るビヒクルをさらに含む。例えば、有効成分が、非経口投与用に再構成されなければならない固形で提供される場合、該キットは、該有効成分を溶解し、非経口投与に適した微粒子フリー滅菌溶液を形成することができる適切なビヒクルの封入容器を含み得る。医薬として許容し得るビヒクルの例を挙げると、制限されないが、注射用蒸留水USP;塩化ナトリウム溶液、リンガー液、デキストロース液、デキストロース及び塩化ナトリウム溶液、及び乳酸加リンガー液などの水性ビヒクル;制限されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性ビヒクル;及び制限されないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルがあるが、これらに制限されない。
本発明は、下記の非制限的実施例を参照することによりさらに規定される。物質、及び方法、双方の多くの変更が、本発明の精神、及び範囲から外れることなく実施され得ることは、当業者に明らかであろう。
【0083】
(4.2.7 吸入用乾燥粉末)
さらなる実施態様において、該医薬組成物は、吸入、又は吹送に適した乾燥粉末の形態である。吸入用乾燥粉末 (DPI)として適切であるために、該活性化合物、又は化合物は、吸入可能でなければならない。肺を通過するために、該粒子は、約1〜10μmのサイズを有するべきである。一実施態様において、好ましくは、該粒子は、約1〜約5μmである。
【0084】
前記極微小粒子は、例えば、該プロセス条件を適切に選択し、制御し、かつ実行する場合、微粉化、適切な溶媒からの制御沈殿により、又は噴霧乾燥により得られうる。極微小粒子は、乏しい流れ特性、及び操作の困難を導き得る、強い傾向を有するので、通常、該粒子を、薬理学的に不活性な賦形剤と混合し、全体において引用により本明細書中に取り込まれている米国特許第5,976,576、及び6,645,466号に開示されている、投与可能な単位量(dosable unit amount)を得る。
【0085】
それ故に、本発明の他の態様に従って、本発明は、フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグ、及び本明細書中に開示されているように、DPIに適した形態の1以上の適切な医薬賦形剤とともに、カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーを含む。一実施態様において、該カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーは、アンドラストである。適切な賦形剤は、例えば、制限されないが、グルコース、ラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、トレハロース、マンニトール又はキシリトールなどの糖アルコール、ポリ乳酸、又はシクロデキストリンなどのモノ又はジサッカライド、アミノ酸、及びタンパク質などの乾燥粉末製剤において、及び/又はこれらの医薬として許容し得るエステル又は塩(このような誘導体が存在する場合)の形態において、一般に使用されるキャリアを含むが、これらに制限されない。一実施態様において、該キャリアは、ラクトースが好ましく、さらに好ましくは、ラクトース一水和物である。
【0086】
さらに、アンドラストは、苦味を有するので、該医薬製剤に甘味料も含むことができる。該甘味料は、例えば、スクロース、フルクトース、グルコース、マンニトール、又はアスパルテームなどの炭水化物、シクラミン酸ナトリウム、サッカリン、及びサッカリンナトリウムなどから選択され得る。該医薬組成物は、有効成分の重量に関して、重量比(重量/重量)約1〜30%、好ましくは10〜20%で該組成物中に存在し得る甘味料(単数)、又は甘味料(複数)を含み得る。
【0087】
また、該組成物は、メントール、又はペパーミント油などの香料を含み得る。これらは、味マスク(taste-mask)として機能し、並びに、例えば、先に引用され、かつ引用により取り込まれている米国特許第5,976,576号に開示されているような薬剤の呼吸性画分(respirable faction)を増加することを意味する。
一実施態様において、DPI製剤は、揮発性の香料、例えばエチルエーテル、又は好ましくは塩化メチレンなどの非水性溶媒を溶解し、かつ技術的に従来知られている比で、該溶液と有効成分、並びに本明細書中に開示したものを混合することにより調製され得る。この方法において、該溶媒の留去後に、自由流動の均一な非粘着性混合物が得られ、かつ該粒子の凝集体形成傾向は、非常に減少する。
【0088】
一実施態様において、吸入装置の容器内の該医薬組成物の流動性を増加させるために、従来の技術を用いて、該混合物を混転することによりペレットに変化させ、かつ100〜1000マイクロメートルのサイズを有するペレットを提供するように、ステンレス鋼ふるいを通してふるいにかけることができる。
該乾燥粉末組成物は、例えば、該粉末が、吸入器、又は注入器の補助で投与され得る、ゼラチンのカプセル又はカートリッジ、或いはブリスター包装などの単位製剤で存在し得る。該乾燥粉末組成物は、吸入器、又は注入器を用いて定量された多投与量形態で存在し得る。
【0089】
また、乾燥粉末製剤は、多投与量乾燥粉末吸入器を用いて投与され得る。また、本発明は、本明細書中に開示した乾燥粉末エアロゾル製剤を含有した乾燥粉末容器、及び測定チャンバーを含む、多投与量乾燥粉末吸入器を提供する。投与は、定量吸入器 (MDI)、又は加圧型定量吸入器 (PMDI)を用いて達成され得る。
さらなる実施態様において、吸入装置の容器内の該医薬組成物の流動性を増加させるために、従来の技術を用いて、該混合物を混転することによりペレットに変化させ、かつ100〜1000マイクロメートルのサイズを有するペレットを提供するように、ステンレス鋼ふるいを通してふるいにかけることができる。
【実施例】
【0090】
(5.実施例)
下記実施例は、本発明の特定の医薬組成物を説明するものである。
(5.1 実施例1)
フォルモテロール 4.5μg
アンドラスト 2 mg
ラクトース一水和物 0.2-10 mg
【0091】
(5.2 実施例2)
フォルモテロール 9.0μg
アンドラスト 4 mg
ラクトース一水和物 0.2-10 mg
【0092】
(5.3 実施例3)
フォルモテロール 4.5μg
アンドラスト 8 mg
ラクトース一水和物 0.3-10 mg
【0093】
(5.4 実施例4)
フォルモテロール 9.0μg
DHS-I 1 mg
ラクトース一水和物 0.3-5 mg
【0094】
(5.5 実施例5)
フォルモテロール 4.5μg
DHS-I 500μg
ラクトース一水和物 0.2-5 mg
【0095】
(5.6 実施例6)
フォルモテロール 4.5μg
DHS-I 5 mg
ラクトース一水和物 0.2-10 mg
【0096】
(5.7 実施例7)
(R,R)-フォルモテロール 4.5μg
アンドラスト 2 mg
ラクトース一水和物 0.2-10 mg
【0097】
(5.8 実施例8)
(R,R)-フォルモテロール 9.0μg
アンドラスト 4 mg
ラクトース一水和物 0.2-10 mg
【0098】
(5.9 実施例9)
(R,R)-フォルモテロール 4.5μg
アンドラスト 8 mg
ラクトース一水和物 0.3-10 mg
【0099】
(5.10 実施例10)
(R,R)-フォルモテロール 9.0μg
DHS-I 1 mg
ラクトース一水和物 0.3-5 mg
【0100】
(5.11 実施例11)
(R,R)-フォルモテロール 4.5μg
DHS-I 500μg
ラクトース一水和物 0.2-5 mg
【0101】
(5.12 実施例12)
(R,R)-フォルモテロール 4.5μg
DHS-I 5 mg
ラクトース一水和物 0.2-10 mg
【0102】
(5.13 実施例13)
下記のものは、DPIに適切な製剤である。
成分 量 重量%
アンドラスト 8.0 mg 50
メタノール 0.24 mg 1.5
ラクトース 7.26 mg 45
サッカリンなとりうむ 0.5 mg 3.1
酒石酸アラフォルモテロール 0.012 mg 0.07
(Arformoterol tartrate)
合計 16 mg 100
【0103】
塩化メチレン50 ml中のメタノール2.4グラムを、該アンドラスト2ナトリウム塩に加える。混合後に、ラクトース72.6グラム、及びサッカリンナトリウム5グラムを、撹拌しながら、さらに加える。該均一混合液を、全ての塩化メチレンが除去されるまで、減圧下で乾燥する。これを、"混合物A"とする。
混合物Aの5グラムを取り、かつ酒石酸アラフォルモテロール(0.12グラム)を加える。これを、撹拌混合器(turbular mixer)を用いて、5分間混転する。該混合器を停止し、かつさらに25グラムを加える。再び、該混合物を5分間混合する。最後に、混合物Aの残存部分を加え、かつ10分間混合する。
【0104】
本出願に引用される全ての特許、特許出願、及び公報は、それらの全体において、本明細書中に取り込まれている。さらに、全ての引例の引用、又は同定は、前記引例が、本出願の先行技術として利用可能であることを承認するものではない。本発明の全範囲は、添付の請求項を参照して、より理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺、又は呼吸器疾患、又は障害を治療する方法であって、前記治療を必要とする患者に、治療的有効量のフォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物、及び治療的有効量のカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
肺、又は呼吸器疾患、又は障害を予防する方法であって、前記予防を必要とする患者に、予防的有効量のフォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物、及び予防的有効量のカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物を投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
肺、又は呼吸器疾患、又は障害を管理する方法であって、前記管理を必要とする患者に、治療的有効量のフォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物、及び治療的有効量のカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物を投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
フォルモテロールが、ラセミ体である、請求項1、2、又は3記載の方法。
【請求項5】
フォルモテロールが、立体異性的に純粋である、請求項1、2、又は3記載の方法。
【請求項6】
前記立体異性的に純粋なフォルモテロールが、(R,R)-フォルモテロールである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物、及び前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物を、同時に投与する、請求項1、2、又は3記載の方法。
【請求項8】
フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物、及び前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物を、連続して投与する、請求項1、2、又は3記載の方法。
【請求項9】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、アンドラスト,、DHS-I、ソヤサポニン I、ソヤサポニン III、NS 004、NS 1619、又はBRL 55834である、請求項1、2、又は3記載の方法。
【請求項10】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、アンドラストである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、DHS-Iである、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記肺、又は呼吸器疾患、又は障害が、呼吸不全;成人呼吸促進症候群;嚢胞性線維症;慢性閉塞性気道障害;急性気管支炎;慢性気管支炎;細気管支炎;気腫;可逆性閉塞性気道疾患;夜間喘息;運動誘発性気管支痙攣;気管支拡張症;無気肺;肺塞栓症;肺炎;肺膿瘍;肺の過敏症;又はグッドパスチャー症候群である、請求項1、2、又は3記載の方法。
【請求項13】
前記治療が、喘息の長期維持療法である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記予防が、可逆性閉塞性気道疾患、又は喘息を有する患者の気管支痙攣の予防、或いは、運動誘発性気管支痙攣の緊急予防である、請求項2記載の方法。
【請求項15】
前記管理が、慢性閉塞性肺疾患に関連した気管支収縮の長期管理である、請求項3記載の方法。
【請求項16】
前記肺の過敏症が、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、又はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症である、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記肺疾患、又は障害が、慢性閉塞性気道障害である、請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記慢性閉塞性気道障害が、喘息、又は慢性閉塞性肺疾患である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記慢性閉塞性肺疾患が、慢性気管支炎、又は気腫である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物;カルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物を含む、医薬組成物。
【請求項21】
フォルモテロールが、ラセミ体である、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
フォルモテロールが、立体異性的に純粋である、請求項20記載の組成物。
【請求項23】
前記立体異性的に純粋であるフォルモテロールが、(R,R)-フォルモテロールである、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、アンドラスト、DHS-I、ソヤサポニン I、ソヤサポニン III、NS 004、NS 1619、又はBRL 55834である、請求項20記載の組成物。
【請求項25】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、アンドラストである、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、DHS-Iである、請求項24記載の組成物。
【請求項27】
フォルモテロール、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物、及びカルシウム活性化カリウムチャネルオープナー、又はその医薬として許容し得る塩、又は溶媒和物を含む、単一剤形。
【請求項28】
フォルモテロールが、ラセミ体である、請求項27記載の剤形。
【請求項29】
フォルモテロールが、立体異性的に純粋である、請求項27記載の剤形。
【請求項30】
前記立体異性的に純粋なフォルモテロールが、(R,R)-フォルモテロールである、請求項29記載の剤形。
【請求項31】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、アンドラストである、請求項27記載の剤形。
【請求項32】
前記カルシウム活性化カリウムチャネルオープナーが、DHS-Iである、請求項27記載の剤形。
【請求項33】
経口、非経口、局所、又は粘膜投与に適切な、請求項27記載の剤形。
【請求項34】
経口、又は粘膜投与に適切な、請求項33記載の剤形。
【請求項35】
UDV噴霧溶液としての投与に適切な、請求項27記載の剤形。
【請求項36】
鼻腔内噴霧、又は鼻腔内溶液としての投与に適切な、請求項27記載の剤形。
【請求項37】
吸入用乾燥粉末としての投与に適切な、請求項27記載の剤形。
【請求項38】
前記吸入用乾燥粉末が、定量吸入器、又は加圧型定量吸入器を用いて投与される、請求項37記載の剤形。

【公表番号】特表2008−502699(P2008−502699A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516702(P2007−516702)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/021209
【国際公開番号】WO2005/123072
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(595166778)セプラコール・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Sepracor Inc.
【Fターム(参考)】