説明

背板固定構造

【課題】背板を背板固定板に強固に固定し得る背板固定構造を提供する。
【解決手段】背板固定板13に形成された接合溝14に端部11が嵌め込まれる背板10を、背板固定部材2を用いて該背板固定板に固定する収納家具1の背板固定構造であって、前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部15に、前記背板固定部材の固定基部20を嵌め込むようにして固定し、この固定基部に連なるように設けられ、前記背板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔24が設けられた背板固定片23を、前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部12の背面12aに沿わせるように配設し、該背板固定片の前記止具挿通孔に止具3を挿通させて該背板固定片を前記背板の受部に固定する構造とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を、該背板固定板に固定する収納家具の背板固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、収納家具の背板の固定構造としては、天板や底板(地板)、側板等の背板固定板に形成された接合溝に背板の端部を嵌め込んで固定する構造が知られている。このような固定構造では、接合溝内面と背板の端部との間に隙間が形成され易く、がたつき等が生じ易いため、背板の端部や接合溝に接着剤等を塗布して固定することも行われているが、接着剤が硬化するまでの養生時間が多く必要になるなどの問題があった。
例えば、下記特許文献1では、背板固定用板に形成した溝に背板の端部を挿入して固定するキャビネットの背板の固定具が提案されている。この固定具は、背板固定用板の溝よりも外方側の端面端部に板の厚さ方向で溝に臨ませて形成された有底の係止孔に挿入される固定具本体を備え、この固定具本体に、背板及び背板固定用板に打ち込まれる略U字状の背板固定手段を設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−153116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された背板の固定具では、背板固定手段が背板固定用板の溝に挿入された背板の端部に打ち込まれる構造とされている。しかしながら、背板は、背板固定用板に比べて板厚が薄く、また、その背板の端部に背板固定手段を打ち込む構造とされているため、背板固定手段の打ち込みにより背板の端部に割れ等が生じることも考えられ、また、固定強度の観点等からも更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、背板を背板固定板に強固に固定し得る背板固定構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る背板固定構造は、背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を、背板固定部材を用いて該背板固定板に固定する収納家具の背板固定構造であって、前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部に、前記背板固定部材の固定基部を嵌め込むようにして固定し、この固定基部に連なるように設けられ、前記背板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられた背板固定片を、前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部の背面に沿わせるように配設し、該背板固定片の前記止具挿通孔に止具を挿通させて該背板固定片を前記背板の受部に固定する構造とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記背板固定部材の固定基部に、前記背板固定板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔を設け、該止具挿通孔に止具を挿通させて該固定基部を前記背板固定板に固定する構造としてもよい。
また、本発明においては、前記背板固定板の凹部を、前記接合溝よりも浅く形成するとともに該接合溝に連通するように形成し、前記背板固定部材の固定基部に、前記凹部と前記接合溝との連通部を介して前記接合溝に挿入されて該接合溝の内側面に当接される突片部を設けてもよい。
また、本発明においては、前記背板固定板の凹部を、前記接合溝よりも背面側に設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る背板固定構造は、上述のような構成としたことで、背板を背板固定板に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)〜(d)は、いずれも本発明の一実施形態に係る背板固定構造の一例を模式的に示し、(a)は、図2におけるX部に対応させた一部破断概略側面図、(b)〜(d)は、(a)におけるY−Y線矢視にそれぞれ対応させた一部破断概略横断面図である。
【図2】同背板固定構造が適用される収納家具の一例を模式的に示す分解概略斜視図及び同背板固定構造に用いられる背板固定部材の一例を模式的に示す概略拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下の実施形態では、背板固定構造が適用される収納家具に対面した使用者を基準として、手前側を前方、その逆側を後方とし、また、その状態を基準として、上下方向及び左右方向等の方向を原則的に説明する。
【0011】
図1及び図2は、本実施形態に係る背板固定構造の一例について説明するための概念的な説明図である。
本実施形態に係る背板固定構造が適用される収納家具1は、図2に示すように、背板10と、左右の側板13,13と、天板16と、底板(地板)18とを備え、これらによって前方に向けて開口する収納空間を形成した略箱形状とされている。
これら背板10、両側板13,13、天板16及び底板18は、木質系材料を板状に加工した基材に、適宜、合成樹脂シートや突板等の表面化粧シートを貼着した構成とされている。木質系材料としては、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、インシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などが挙げられる。また、木質系材料としては、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)としてもよい。
【0012】
両側板13,13、天板16及び底板18のそれぞれの後端部近傍の内側面には、背板10の四周端部11,11,11,11をそれぞれに受け入れる接合溝14,14,17,19が形成されている。これら両側板13,13、天板16及び底板18は、それぞれ前後寸法及び厚さ寸法が略同寸法とされており、それぞれの接合溝14,14,17,19は、前後方向において概ね一致する位置となるように形成されている。
背板10は、その四周端部11,11,11,11を、両側板13,13、天板16及び底板18の接合溝14,14,17,19に嵌め込んで固定される。
【0013】
両側板13,13、天板16及び底板18の厚さ寸法は、例えば、10mm〜30mm程度としてもよい。また、各接合溝14,14,17,19は、これらの背面側の溝縁が、両側板13,13、天板16及び底板18の各後端面から、5mm〜20mm程度、前方位置となるように形成するようにしてもよい。一方、背板10は、これら両側板13,13、天板16及び底板18よりも薄く形成されており、例えば、2mm〜10mm程度としてもよく、両側板13,13、天板16及び底板18の板厚の1/5〜1/2程度の厚さとしてもよい。図例では、背板10の厚さ寸法を、両側板13,13、天板16及び底板18の厚さ寸法の1/3程度とした例を示している。
【0014】
本実施形態では、両側板13,13を背板固定板とし、これら両側板13,13に、背板固定部材2を用いて背板10を固定する背板固定構造を例示している。
また、本実施形態では、両側板13,13の上下端部近傍にそれぞれ背板固定部材2を固定する例を示している。つまり、背板10の四隅近傍部位を、背板固定部材2を用いて背板固定板としての両側板13,13にそれぞれ固定する例を示している。
【0015】
背板10には、図1(b)に示すように、当該背板10の端部11近傍で端部11の背面よりも背面側に突出するように受部12が形成されている。受部12は、本実施形態では、角材状とされており、上記同様の木質系材料から形成するようにしてもよい。
この受部12は、本実施形態では、図1(d)に示すように、背板10の端部11が側板13の接合溝14に嵌め込まれた状態で、当該受部12の外側面(側板13の内側面に向く面)が側板13の内側面と概ね同一平面状となるように設けられている。また、受部12は、背板10の端部11が側板13の接合溝14に嵌め込まれた状態で、当該受部12の背面12aが側板13の後端面と概ね同一平面状となるように形成されている。図例では、後記する背板固定部材2の背板固定片23の厚さ寸法を加味して、受部12の背面12aが側板13の後端面よりも僅かに前方に位置するように受部12を形成した例を示している。
【0016】
なお、背板10の受部12は、背板10の背面に粘着テープ等の粘着材や接着剤等によって固定するようにしてもよく、このような固定態様に代えて、または加えて、ねじ等の止具を用いて固定するようにしてもよい。また、この受部12は、適宜、施工現場や組立現場等において背板10に固定されるものとしてもよい。さらには、図例のように角材状の部材を背板10の背面に固定して受部12を構成する態様に限られず、背板10に一体的に受部12を設ける態様としてもよい。また、この受部12は、少なくとも背板固定部材2の配設位置に対応させて設けるようにしてもよい。つまり、本実施形態においては、受部12を、少なくとも背板10の四隅近傍部位背面側に設ける態様としてもよい。または、背板10の左右の端部11,11近傍の背面に、上下方向に沿って概ね全体に亘って受部12をそれぞれ設けたり、背板10の上下の端部11,11近傍の背面に、左右方向に沿って概ね全体に亘って受部12をそれぞれ設けたりするようにしてもよい。さらには、背板10の四周端部11,11,11,11近傍の背面に、概ね全周に亘って受部12を設ける態様としてもよい。
【0017】
両側板13,13には、図1に示すように、接合溝14,14に隣接して凹部15が設けられている。この凹部15は、側板13の内側面に開口するように側板13の厚さ方向に沿って形成されており、両側板13,13の上下端部近傍にそれぞれ設けられている。また、本実施形態では、図1(c)に示すように、凹部15を接合溝14の背面側(側板13の後端面側)に設けるとともに、接合溝14に連通するように設けた例を示している。つまり、接合溝14側にも開口するように凹部15を設けた例を示している。また、図例では、凹部15を側板13の後端面に開口するように形成した例を示している。また、図例では、側板13の厚さ方向に見た状態における凹部15の形状を、前方側部位及び背面側部位がそれぞれ切り欠かれたような略円形状とし、これら切欠部位を、上記各開口とした例を示している。
【0018】
また、本実施形態では、この凹部15を接合溝14よりも浅く形成している。つまり、凹部15は、接合溝14の溝底面よりも当該凹部15の底面が側板13の内側面側に位置するように設けられている。
この凹部15の深さ寸法は、当該凹部15に嵌め込まれる後記する背板固定部材2の固定基部20の厚さ寸法に応じた深さ寸法としてもよい。図例では、背板固定部材2の固定基部20を固定する木ねじ、タッピンねじ等のねじや釘などの止具3の頭部が側板13の内側面から突出しないように、この止具3の頭部の固定基部20からの突出寸法を加味して、凹部15の深さ寸法を固定基部20の厚さ寸法よりも大きくした例を示している。なお、この凹部15は、側板13に予め形成されているものとしてもよく、または、施工現場や組立現場等において形成されるものとしてもよい。
【0019】
なお、図2では、一方(右側)の側板13の内側面側を図示していないが、両側板13,13は、概ね同様の構成である。また、両側板13,13の互いに対向する内側面には、棚板を受ける棚受ダボが挿入される複数のダボ穴が上下方向に沿って間隔を空けて設けられている。
また、両側板13,13と天板16との固定及び両側板13,13と底板18との固定は、ねじ等の止具や接着剤等を用いて固定するようにしてもよい。図例では、両側板13,13の上下端部近傍のそれぞれの内側面に、該内側面から突出する連結ピンを設け、天板16及び底板18の左右両側端部に、連結ピンが挿入される挿入穴及び連結ピンに係止するカム状の連結金具を設けてこれらを連結固定する態様を例示している。
【0020】
背板固定部材2は、図1に示すように、側板13の凹部15に嵌め込まれるようにして固定される固定基部20と、この固定基部20に連なるように設けられた背板固定片23と、を備えている。
固定基部20は、図1及び図2に示すように、側板13の凹部15に対応させた形状とされており、図1(a)に示すように、凹部15に嵌め込まれた状態において、側板13の厚さ方向に見た状態で、前方側部位及び背面側部位がそれぞれ切り欠かれたような略円形状とされている。
本実施形態では、固定基部20に、側板13の厚さ方向に貫通する止具挿通孔21を設けている。この止具挿通孔21は、上記のように側板13の厚さ方向に見た状態で略円形状とされた固定基部20の略円心に設けられている(図2も参照)。
【0021】
また、本実施形態では、固定基部20に、側板13の凹部15と接合溝14との連通部を介して接合溝14に挿入されて接合溝14の内側面となる溝側面14aに当接される突片部22を設けている。この突片部22は、固定基部20の前方側縁部から、側板13の接合溝14の溝底面側に向けて突出するように設けられており、固定基部20が側板13の凹部15に嵌め込まれた状態で、接合溝14の背面側の溝側面14aに沿うように当接して配設される。また、図例では、この突片部22は、接合溝14の長手方向に沿う方向(図例では、上下方向)の寸法が、上記したように略円形状とされた固定基部20の前方側縁部の上下方向の寸法よりも大きい寸法とされている。この突片部22の上下寸法は、固定基部20の最大径部の上下寸法と略同寸法としてもよく、または固定基部20の最大径部の上下寸法よりも僅かに小さい若しくは大きい寸法としてもよい。
この突片部22は、固定基部20を側板13の凹部15に嵌め込むようにして固定する際に、接合溝14の背面側の溝側面14aに当接して係止されることで、当該背板固定部材2の位置決めとして機能する。また、固定基部20を側板13の凹部15に固定する止具3を、ねじとした際には、この止具3が捩じ込まれる際における固定基部20の凹部15内における回動を防止する廻り止めとしても機能する。
【0022】
背板固定片23は、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設される。この背板固定片23は、固定基部20の背面側縁部から、側板13の厚さ方向に沿って反側板13側に向けて突出するように設けられている。
本実施形態では、この背板固定片23と固定基部20とによって、上下方向に見た状態において略L字状とされた背板固定部材2を例示している。また、これら背板固定片23及び固定基部20と上記した突片部22とによって、上下方向に見た状態において略Z字状とされた背板固定部材2を例示している。また、これら固定基部20、突片部22及び背板固定片23は、一連に形成された薄平板状とされている。
また、背板固定片23は、固定基部20が凹部15に嵌め込まれた状態で、当該背板固定片23の背面が側板13の後端面と略同一平面状となるように形成されている。つまり、背板固定片23は、固定基部20が側板13の凹部15に嵌め込まれた状態では、側板13の内側面後端縁から、側板13の厚さ方向に沿って反側板13側に向けて突出するように配設される。
【0023】
また、背板固定片23には、背板10の厚さ方向に貫通する止具挿通孔24が設けられている。この止具挿通孔24は、プレス等によって皿ざぐり状に形成するようにしてもよい。また、型抜き等によって、止具挿通孔24の孔周縁部に複数の切欠部を設けるようにしてもよい。本実施形態では、止具挿通孔24を皿ざぐり状に形成するとともに、その孔周縁部に複数(図例では、4つ)の切欠部を設けた構成としている(図2も参照)。このような構成とすることで、挿通された止具3の頭部によって止具挿通孔24が拡開されるようにして背板10の受部12に食い込み、止具3の頭部の背板固定片23の背面からの突出量を低減させることができる(図1(d)参照)。
なお、背板固定部材2は、合成樹脂系材料や金属系材料等から形成されたものとしてもよいが、強度等の観点から、本実施形態では、背板固定部材2を金属系材料からなるものとしている。
【0024】
次に、上記構成とされた背板固定部材2を用いて背板10を側板13に固定する背板固定構造の組み付け手順の一例について説明する。
まず、図1(b)、(c)に示すように、背板固定部材2の固定基部20を側板13の凹部15に嵌め込むようにして固定する。この際、背板固定部材2の突片部22を、側板13の凹部15と接合溝14との連通部を介して接合溝14に挿入させ、突片部22を接合溝14の背面側の溝側面14aに当接させるようにして引っ掛けて、固定基部20を位置決めするようにしてもよい。
【0025】
次いで、固定基部20の止具挿通孔21に止具3を挿通させて、固定基部20を側板13に固定する。この際、止具3としてねじを用いた場合には、接合溝14の背面側の溝側面14aに当接して係止される突片部22を設けているので、この止具3を捩じ込む際にも略円形状とされた固定基部20の凹部15内における回動を防止することができる。なお、側板13の凹部15に止具3の下孔を設けておくようにしてもよい。この場合には、該下孔に、止具3のプラグ状部材を埋め込んでおくようにしてもよい。または、凹部15の底面に、側板13の厚さ方向に突出し、固定基部20の止具挿通孔21に係合する係合突部を設けておくようにしてもよい。この場合は、固定基部20の止具挿通孔21は、該係合突部が挿入される係合孔としても機能することとなる。
【0026】
次いで、図1(b)及び図1(d)に示すように、背板10の端部11を、側板13の接合溝14に嵌め込む。この状態では、背板固定部材2の背板固定片23が、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設された状態となる。次いで、背板固定片23の止具挿通孔24を介して止具3を受部12に捩じ込み(または打ち込み)、背板固定片23を背板10の受部12に固定する。このようにして、背板10が背板固定部材2を用いて側板13に固定される構造とされている。
なお、上記組み付け手順は一例であり、各部材及び各部の機能を阻害しない限りにおいて別手順でなされるようにしてもよい。
【0027】
上記構成とされた本実施形態に係る背板固定構造によれば、背板10を背板固定板としての側板13に強固に固定することができる。
つまり、背板10の端部11近傍で端部11よりも背面側に突出するように形成された受部12の背面12aに沿わせるように配設した背板固定部材2の背板固定片23の止具挿通孔24に止具3を挿通させて背板固定片23を背板10の受部12に固定する構造としている。従って、背板固定部材2の背板固定片23を背板10に対して強固に固定することができる。これにより、背板10を強固に側板13に固定することができる。
【0028】
また、背板固定片23は、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設される。従って、背板固定部材2の背板固定片23が収納家具1の手前側には露出せず、例えば、収納家具の内側の入隅部等にL型金具等を固定して背板を固定する場合と比べて、見栄えを向上させることができる。
また、本実施形態では、側板13の凹部15を接合溝14の背面側に設け、この凹部15に固定基部20を嵌め込む構造としている。従って、固定基部20も収納家具1の手前側(収納空間内側)に露出しないため、見栄えをより向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、背板固定部材2の固定基部20に止具挿通孔21を設けて、この止具挿通孔21に止具3を挿通させて固定基部20を側板13に固定する構造としている。従って、例えば、固定基部20を凹部15に嵌め込むのみや接着剤等を用いて固定する態様と比べて、背板固定部材2の固定基部20を側板13に強固に固定することができ、これにより、背板10を強固に側板13に固定することができる。
【0030】
また、本実施形態では、側板13の凹部15を接合溝14よりも浅く形成するとともに接合溝14に連通するように形成し、背板固定部材2の固定基部20に、接合溝14の背面側の溝側面14aに当接される突片部22を設けている。従って、この突片部22を接合溝14に挿入して接合溝14の溝側面14aに当接させることで、背板固定部材2の固定基部20を位置決めでき、位置ズレ等を抑制することができる。また、上述のように止具3をねじとした際には、この突片部22を廻り止めとして機能させることもできる。
【0031】
なお、本実施形態では、背板固定部材2の固定基部20を嵌め込むようにして固定する側板13の凹部15を、接合溝14の背面側に設けた例を示しているが、この凹部15を接合溝14の前方側に隣接させて設けるようにしてもよい。この場合は、固定基部20と背板固定片23とを、接合溝14の両側溝側面及び溝底面並びに側板13の後端部内側面に沿わせるように配設される形状とされた連結片部によって連結した形状とされた背板固定部材を採用するようにしてもよい。この場合は、該連結片部を、接合溝14の内側面に当接される突片部として把握するようにしてもよい。このように、背板固定部材2の固定基部20が嵌め込まれる凹部15を、接合溝14の前方側に設けた構造とすれば、固定基部が収納家具1の収納空間内側に露出することとはなるが、凹部15の形成時等における側板13の後端部の割れ等を抑制することができる。この場合は、背板固定部材2の固定基部20を覆うキャップ部材等を設けるようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、側板13の凹部15を接合溝14よりも浅く形成するとともに接合溝14に連通するように形成し、背板固定部材2の固定基部20に突片部22を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。背板固定部材2の固定基部20に突片部22を設けないようにしてもよい。また、側板13の凹部15の深さ寸法を接合溝14の溝深さ寸法と略同寸法としたり、該溝深さ寸法よりも深い寸法としてもよく、また、凹部15を接合溝14に連通させないように形成するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、背板固定部材2の固定基部20に止具挿通孔21を設けて、この止具挿通孔21に止具3を挿通させて固定基部20を側板13に固定する構造とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、背板固定部材2の固定基部20を側板13の凹部15に嵌め込むことで固定したり、接着剤等を用いて固定したりする態様としてもよい。
【0033】
さらにまた、本実施形態では、背板10の端部11を側板13の接合溝14に嵌め込み、背板固定部材2を用いて背板10を側板13に固定した例を示しているが、背板固定部材2に加えて接着剤等を用いるようにしてもよい。これによれば、背板固定部材2を用いて背板10を側板13に固定できるので、接着剤が硬化するまで押さえたりすること等を不要とすることもできる。
また、上記各実施形態では、背板10の四隅近傍部位を、背板固定部材2を用いて背板固定板としての両側板13にそれぞれ固定した例を示しているが、背板10の四隅近傍部位に限られず、他の部位としてもよい。また、両側板13を背板固定板とする態様に限られず、天板16や底板18を背板固定板としてもよい。さらには、棚板や縦仕切板等を背板固定板としてもよい。この場合は、これら背板固定板としての各板に、上記同様の凹部を設けるようにすればよい。
【符号の説明】
【0034】
1 収納家具
2 背板固定部材
3 止具
10 背板
11 背板の端部
12 背板の受部
12a 受部の背面
13 側板(背板固定板)
14,17,19 接合溝
14a 溝側面(内側面)
15 凹部
16 天板(背板固定板)
18 底板(背板固定板)
20 固定基部
21 止具挿通孔
22 突片部
23 背板固定片
24 止具挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を、背板固定部材を用いて該背板固定板に固定する収納家具の背板固定構造であって、
前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部に、前記背板固定部材の固定基部を嵌め込むようにして固定し、この固定基部に連なるように設けられ、前記背板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられた背板固定片を、前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部の背面に沿わせるように配設し、該背板固定片の前記止具挿通孔に止具を挿通させて該背板固定片を前記背板の受部に固定する構造とされていることを特徴とする背板固定構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記背板固定部材の固定基部には、前記背板固定板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられており、該止具挿通孔に止具を挿通させて該固定基部を前記背板固定板に固定する構造とされていることを特徴とする背板固定構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記背板固定板の凹部は、前記接合溝よりも浅く形成されるとともに該接合溝に連通するように形成されており、
前記背板固定部材の固定基部には、前記凹部と前記接合溝との連通部を介して前記接合溝に挿入されて該接合溝の内側面に当接される突片部が設けられていることを特徴とする背板固定構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記背板固定板の凹部は、前記接合溝よりも背面側に設けられていることを特徴とする背板固定構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−87942(P2013−87942A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232499(P2011−232499)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】