説明

能動型懸架方式

【課題】能動型懸架方式を提供する。
【解決手段】乗物において実設備を能動的に懸架するための方法は、制御信号に対する実設備の応答によって指示されるような実設備の特性と基準設備の特性との差に基づいて制御信号を変更すること含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動型懸架方式に関する。
【背景技術】
【0002】
望みの方向に移動する乗物は、必然的になお別の方向への動きを経験する。この望まれない動きはしばしば、乗物が通過する媒体における外乱から発生する。例えば、陸上、海上、または空中を進行しても、乗物は動揺、波浪、エアポケットなどに遭遇することがある。
【0003】
いくらよく見ても、このような不規則な加速度は乗物の中に居る者に対する不快と困惑の原因となる。ある敏感な個人には、これらの不規則な加速度は乗物酔いの発作を誘発する可能性がある。しかし、ある場合には、特に激しい加速度によって運転者は一時的に乗物の制御能力を失うことになる。
【0004】
止まっているときでも、乗物のエンジンに関連する何らかの残留振動がある。動いているときは、円滑な道路上でも、この残留振動は重苦しくうんざりさせる厄介なものになる可能性がある。
【特許文献1】米国特許第4,981,309号明細書
【特許文献2】米国特許第3,701,499号明細書
【特許文献3】米国特許第6,460,803号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/872040号明細書
【非特許文献1】「Control System Handbook」、第3.3節、「vector spaces」、(IEEE press刊)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般に、本発明は一態様では、乗物内で実設備を能動的に懸架するための方法であって、制御信号を、この制御信号に対する実設備の応答によって指示されるような実設備の特性と、基準(nominal)設備の特性との差に基づいて変更することを含む方法を特色とする。
【0006】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。実設備は乗物の座席を含む。実設備は、この実設備に連結された能動型懸架装置がゼロの平均負荷を経験するように受動的に支持される。実設備を能動的に懸架することは、実設備を電磁アクチエータによって能動的に懸架することを含む。
【0007】
一般に、別の態様では、本発明は、乗物内で実設備を能動的に懸架するための方法であって、異常状態を指示する実設備の特性の変化を検出するステップと、検出された変化に応答して実設備の動きを減衰させるステップとを含む方法を特色とする。
【0008】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。変化を検出することはセンサ故障状態を検出することを含む。実設備の動きを減衰させることは、実設備に結合された電磁モータのモータリードを締め付けることを含む。
【0009】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、乗物内で実設備を能動的に懸架するための制御システムであって、設備の基準モデル、実設備の特性と実設備の基準モデルの特性との差を決定するための設備推定装置、およびこの差に応答して実設備の振動を抑制するために制御信号を変更するための設備補償器を含む、制御システムを特徴とする。
【0010】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。重量センサは設備に関連する重量を測定する。
【0011】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、乗物における設備のための能動型懸架システムであって、電磁アクチュエータと、制御信号を受信するための制御入力部、アクチュエータと電気的につながっている出力部、および制御信号によって変調されるべき電力を受け入れるための電力入力部を有する増幅器と、増幅器の電力入力部と電気的につながっており、増幅器に一定の電力を供給するための飽和作動状態と増幅器に可変電力を供給するための非飽和作動状態とを有する能動型電源と、増幅器の電力入力部と電源とに電気的につながっており、能動型電源が飽和状態で作動しているときには増幅器に電力を供給し、能動型電源が非飽和状態で作動しているときには能動型電源からのエネルギーを蓄積する受動型電源と、を備えた能動型懸架システムを特色とする。
【0012】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。受動型電源はコンデンサを含む。このコンデンサは、増幅器を実質的に数ミリ秒以内で無力にすることができるように構成されている。
【0013】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、乗物における設備に連結された電磁アクチュエータを含む能動型懸架装置と、アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために設備に連結された力偏向除去装置とを含む装置を特色とする。
【0014】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。電磁アクチュエータは多相アクチュエータを含む。センサが設備の状態の指標となる情報を提供する。MEMセンサが設備の状態の指標となる情報を提供する。冗長センサが指標となる情報を提供する。力偏向除去装置は空気式システムを含む。電源が電磁アクチュエータに結合され、電源はピーク電力需要に応じるためにエネルギー蓄積エレメントを含む。電源は、アクチュエータに電力を供給するための能動型電源と、ピーク電力需要期間中に能動型電源によって供給される電力を補足する受動型電源とを含む。受動型電源は、ピーク電力需要期間の間に能動型電源によって再充電されるようになっているコンデンサを含む。エネルギー蓄積エレメントはコンデンサを含む。力偏向除去装置は、設備の位置の調節を可能にするように構成されている。
【0015】
受動型懸架装置もあり、能動型懸架装置と受動型懸架装置は、互いに並列に設備に連結されている。本装置はさらに受動型懸架装置も含み、能動型懸架装置と受動型懸架装置は、互いに直列に設備に連結されている。能動型懸架装置は、1本の軸に沿った設備の振動を抑制するように構成され、受動型懸架システムは、複数本の軸に沿った設備の振動を抑制するように構成されている。能動型懸架装置は、複数本の軸に沿った設備の振動を抑制するように構成されている。複数本の軸は、垂直軸と前後方向に延在する軸とを含む。
【0016】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、乗物における設備に連結された電磁アクチュエータを含む能動型懸架装置と、アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために設備に連結された力偏向除去装置とを含む装置であって、この能動型懸架装置は能動モードと受動モードとを含む複数の動作モードを有するように構成されている装置を特色とする。
【0017】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。本装置は、事象の検出に応じて能動モードと受動モードとの間を自動的に切り替えるように構成されている。本装置は、使用者の選択に応答して能動モードと受動モードとの間を自動的に切り替えるように構成されている。電磁アクチュエータは、受動モードにおいて短絡される端子リード線を有する。力偏向除去装置は、設備に連結された受動型構成部分、すなわち可変ばね特性を有する受動型構成部分を含む。受動型構成部分は、能動モードにおいて第1ばね特性を有し、受動モードにおいて第2ばね特性を有する。電磁アクチエータは、能動モードにおいて設備の位置を調節するように構成されている。受動型構成部分は、受動モードにおいて設備の位置を調節するように構成されている。第1ばね特性は、受動型構成部分が受動モードにおいて設備の位置を調節するように制御され、第2ばね特性は、アクチュエータと協働して能動モードにおいて設備の位置を調節するときに、受動型構成部分がアクチュエータを制御するための制御信号における力の偏向を減少させるように選択される。
【0018】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、座席と、座席に力を加えるための電磁アクチュエータと、アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために座席に連結された力偏向除去装置とを含む、能動型懸架装置を特色とする。
【0019】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、座席を懸架するための能動型懸架システムと、誘発事象の検出に応答して座席の懸架装置を制御するように構成されたフェイルセーフシステムとを含む、座席を懸架するための装置を特色とする。
【0020】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。懸架システムは、端子リード線を有する電磁アクチュエータを含み、フェイルセーフシステムは、誘発事象の検出に応答して電磁アクチュエータの端子リード線を短絡させる。誘発事象に応答して、フェイルセーフシステムは能動型懸架装置を受動動作モードに置く。フェイルセーフシステムは、動作中に座席の状態の指標となる情報を提供するセンサにおける故障の検出に応答して、座席の懸架装置を制御するように構成されている。フェイルセーフシステムは、懸架システムにおける故障の検出に応答して、座席の懸架装置を制御するように構成されている。フェイルセーフシステムは、使用者の選択の検出に応答して座席の懸架装置を制御するように構成されている。
【0021】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、電磁アクチュエータを含む能動型懸架装置と、能動的に懸架された設備の測定された特性に応答して制御信号を発生させるための振動分離(アイソレーション)ブロックと、電磁アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために設備に連結された力偏向除去装置とを含む、乗物の中の能動的に懸架された設備を制御するための装置を特色とする。
【0022】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。補償システムが、能動的に懸架された設備の測定された特性と基準設備との間の差に応答して制御信号を変更する。設備は座席と占有者を含み、補償システムは、設備の変化する質量によって生じる差に応答して制御信号を変更するように構成されている。補償システムは、設備の加速度の指標となるフィードバック信号を伝送するフィードバックループを含み、補償システムは、フィードバックループの一定帯域幅を維持するように構成されている。
【0023】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、電磁アクチュエータを含む能動的に懸架された座席と、一種の機構であって、能動的に懸架された座席の動きがこの機構の動きに適合するように座席に取り付けられた機構とを含む装置を特色とする。
【0024】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。特色は、ドリンクホルダ、ナビゲーションデバイス、表示装置、制御ユニット、データ入力/検索デバイス、ソケット、およびペダルから成る群から選択される。設備に結合された支持物は、能動型懸架システムによって加えられた力に応答して移動可能である。この支持物には両脚開閉式支持物が含まれる。この支持物には4本棒リンケージが含まれる。この支持物は電磁アクチュエータを含む。この支持物は、第1軸に沿って加えられる力に応答する動きが第2軸に沿って加えられる力に応答する動きとは無関係であるように構成されている。この支持物は、第1軸に沿って加えられる力に応答する動きが第2軸に沿って加えられる力に応答する動きに依存するように構成されている。乗物は、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、設備は座席を含む。
【0025】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、複数の方向に沿って可動である乗物内の設備と、設備を支持するための能動型懸架システムであって、複数の方向の各々に沿った設備の振動を抑制するための力を加えるために複数の電磁アクチュエータを含むシステムと、設備の状態の指標となる情報に応答して複数のアクチュエータを制御するための制御システムとを含む装置であって、この制御システムは複数の制御装置を含み、各制御装置は、複数の方向の各々に沿った振動特性を受け入れるために設計された帯域幅を有する、装置を特色とする。
【0026】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。複数の方向は垂直方向と前後方向とを含み、垂直方向に関連する帯域幅は前後方向に関連する帯域幅よりも小さい。
【0027】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、座席に連結された能動型懸架装置と、能動型懸架システムを制御するための制御システムと、座席の上に配設された座席クッションとを含む装置であって、この座席クッションが制御システムの特性に基づいて選択された共振を有する装置を特色とする。
【0028】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。この特性は、制御システムに関連する帯域幅を含み、座席クッションは、この帯域幅の外側の共振周波数を有するように選択されている。この特性は、制御システムに関連する帯域幅を含み、座席クッションは、この帯域幅より上の共振周波数を有するように選択されている。
【0029】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、能動型懸架装置の能動モードでの動作と受動モードでの動作との間で選択的に切り替えることを含む、電磁アクチュエータを含む能動型懸架システムを使用して座席を懸架するための方法を特色とする。
【0030】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。選択的切り替えは、事象の検出に応答して自動的に切り替えることを含む。事象は能動型懸架システムにおける故障を含む。事象には使用者の選択が含まれる。
【0031】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、電磁アクチュエータを含む能動型懸架システムによって設備に力を加えること、および誘発事象に応答して設備を懸架するためにフェイルセーフシステムを作動させることを含む、乗物において設備を能動的に懸架するための方法を特色とする。
【0032】
本発明の実行は、以下の特色の1つまたは複数を含んでもよい。誘発事象はさらに、動作中に設備の状態の指標となる情報を提供するセンサにおける故障も含む。誘発事象はさらに、能動型懸架システムにおける故障も含む。
【0033】
本発明のその他の特色および利点は、下記の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
能動的に懸架された設備には、座席、または1つもしくは複数の懸架要素に連結されたその他のプラットフォームが含まれ、各懸架要素は1つの軸に沿った能動型懸架装置を提供する。多くの場合、決して必要ではないが、1つまたは複数の軸に沿って能動型懸架要素と協働する受動型懸架要素を有することは有用である。このような場合、能動型懸架要素を、受動型懸架要素と直列または並列のいずれにも取り付けることができる。
【0035】
以下の説明で、設備の位置および動きについて多くを言及する。開示された実施形態に照らして下記の論述を容易にするために、「位置」とは乗物に対する設備の位置を意味し、「動き」とは慣性系に対する設備の動きを意味することを理解されたい。したがって、位置信号の言及は、乗物に対する設備の位置に関する情報を伝送する信号のことである。動きの信号の言及は、慣性系に対する設備の加速度などの動きに関する情報を伝送する信号のことである。
【0036】
以下の説明は、設備をデカルト座標系における3軸のいずれか1つまたはそれ以上に沿って並進させようとする実施形態に関する。しかし制御システムは、この動作のためにどのような特定の座標系も必要としない。例えば設備を、2軸のいずれか1つまたは2つに沿って並進するように構成することができる。さらにまた設備を、1本の軸または非直交ならびに直交する複数の軸に沿って並進するように構成することができる。
【0037】
どちらの制御システムも設備の並進の制御に限られることはない。制御システムを、縦揺れ、横揺れ、または偏揺れなどの回転運動を制御するために使用することもできる。または、制御システムを回転および並進運動の任意の組合せを制御するために使用することができる。
【0038】
図1は、能動的に懸架された設備10を示しており、これは、垂直軸zに沿った設備16の動きに影響を及ぼす、例えば動きを抑制するための垂直能動型懸架要素12と、縦軸yに沿った設備16の動きに影響を及ぼすための縦能動型懸架装置14とを有する。横軸xに沿った設備16の動きは、ばねまたはばね/減衰器を基本とするシステムなどの受動型懸架要素18による影響を受ける。図1に示す場合におけるように設備16が座席を含む場合には、縦の動きを抑制するために能動型懸架要素14を含むことは、純粋に受動型の懸架要素を含む場合とは反対に特に有用である。そのわけは、力が外部環境に作用するときに座席を平静に維持することができるからである。このような特色は例えば、フートペダルを押すことに応じて座席が後方へ動くことを防止するために有用である。
【0039】
この説明で使用するように、能動型懸架装置とは、その一体物としてアクチュエータを含む懸架装置のことである。このようなアクチュエータは、懸架装置の位置と動きとは無関係に制御することができる大きさと方向とを有する力を発生することができる。ある実施形態では、アクチュエータは、電磁アクチュエータ、または電磁モータであり、リニア式または回転式、単相または多相のいずれでもよい。
【0040】
「設備」との用語は、制御すべき位置と動きを有する制御信号を受信するシステムを含むという意図がある。設備には、座席と、乗員と、座席に関連するあらゆる機構と、座席の支持構造物と、電力用電子装置と、能動型および/または受動型懸架要素の数学モデルとを、これらの要素が制御しようとするシステムの力学的特性に影響を及ぼす程度において含めることができる。
【0041】
能動的に懸架された設備を、さまざまな適用分野において使用することができる。例えば、能動的に懸架された設備を、エンジン取付け台、ボート上のプラットフォーム、座席、ベッド、または、自動車、トラック、ボートもしくはその他の水上乗物、列車、バス、リクリエーション用車両、救急車、トラクタ、トラックトレーラ、農業用機械、建設用機械、兵器プラットフォーム、飛行機、ヘリコプタまたはその他の航空機などのあらゆる移動する乗物の中の運転台、車椅子などの個人輸送用装置、または乳母車において使用することができる。能動的に懸架された設備のその他の例として、工作機械の隔離台、干渉計のベンチ、フォトリソグラフィ台などが含まれる。
【0042】
設備は座席を含むことは全く必要としない。これは例えば、トラックの運転台や列車の寝台車の中で見られるような寝るためのベッドにすることができる。さらに、設備は人間を搬送する必要はない。例えば、非常に壊れやすい(例えば陶器およびクリスタルガラス)または強い爆発性(例えばダイナマイト)の貨物が存在し、両方とも非常に注意深く運搬されることが多い。能動的に懸架された設備は、このような貨物の運搬に適当な方法を提供するであろう。
【0043】
さらに、設備はかなりの面積を占めてもよい。例えば、豪華な巡航船では、船の縦揺れや横揺れの場合でも静止状態を保つ、理髪店または船酔い回復ラウンジを有することが有用であろう。このような設備によって、海上における嵐の場合でも危ないところを助かることができよう。
【0044】
各懸架要素は、能動型であっても受動型であっても、少なくとも1つの軸に沿った動きを抑制する。ある実施形態では、すべての軸が能動型懸架要素を備えることができ、この場合、受動型懸架要素は必要ではない。しかしながら、別の実施形態では、垂直軸であることが好ましい1つの軸は能動型懸架要素を備え、垂直軸以外の複数の軸は受動型懸架要素を備えたものが含まれる。別の一任意選択としては、横軸であることが好ましい1つの軸は受動型懸架要素を備え、横軸以外の複数の軸は能動型懸架要素を備えことである。さらに別の実施形態では、縦揺れ、横揺れ、または偏揺れなどの回転運動が制御される。このような場合、能動型懸架装置を、設備に縦揺れ、横揺れ、偏揺れ、またはこれらの任意の組合せを強いるように構成することができる。
【0045】
能動型懸架装置のない軸は、受動型懸架装置を備える必要は全くない。しかし、これらの軸に受動型懸架装置がなければ、乗員は不快適さを経験することもある。この理由で、1つまたは複数の軸に能動型および受動型懸架装置の両方を備えることが望ましいと思われる。このような場合、能動型および受動型懸架装置を直列に、図2に示すように能動型懸架装置を受動型懸架装置の下、もしくは受動型懸架装置の上(図示せず)のいずれにも配置することができる。代替案として、能動型および受動型懸架装置を、図3に示すように並列に配置することができる。
【0046】
ある実施形態では、能動型懸架装置を、無期限にまたは時々のいずれでも、すべての軸を同時にまたは軸ごとのいずれでも、オンオフ切り替えを行うことができる。ある場合には、軸に関連する能動型懸架要素が故障した場合にこの軸に関連する設備に動きを減衰させるために、この能動型懸架要素に関連するフェイルセーフシステムを備えることが有用である。
【0047】
代替案として、能動型および受動型懸架装置は直列である場合には、能動型懸架装置への電力を切ることができる。このような場合、能動型懸架装置に関連するどの可動部分も締め付けることができる。能動型懸架装置の可動部分を締め付けると、受動型懸架装置のみが設備の動きに影響することになる。別の場合には、能動型懸架装置の可動部分は受動型懸架要素の作用に応答して自由に動く状態になる。
【0048】
垂直能動型懸架要素12は、垂直加速度計20、垂直位置センサ24、および垂直アクチュエータ28を含み、垂直アクチュエータ28は、図示の実施形態では垂直位置センサ24と並列であり、好ましくは垂直加速度計20のできるだけ近くに置かれる。同様に能動型懸架要素14は、縦加速度計22、縦位置センサ26、および縦アクチュエータ30を含み、縦アクチュエータ30は縦位置センサ26と並列であり、好ましくは縦加速度計22のできるだけ近くに置かれる。
【0049】
能動型および受動型懸架要素12,14において使用することができるアクチュエータ28,30は、三相線形アクチュエータ、単相線形アクチエータ、ロータリアクチュエータ、および可変リラクタンスアクチュエータなどの、単相または多相電磁アクチュエータを含む。適当なアクチュエータの1つは、米国特許第4,981,309号に開示されているような電磁式リニアアクチュエータであり、この内容は本明細書にこの参照によって組み込まれる。
【0050】
十分な解像度と精度とを有する位置センサ24,26であればどれでも使用することができる。適当な位置センサ24,26には、電位差計を有するもの、ホール効果を利用するもの、および磁気ひずみセンサを有するものがある。電位差計を有する位置センサの例として、ドイツOstfildernのNovotechnik Inc製のものがある。能動型懸架要素と共に使用することができるその他のセンサ24,26には、絶対位置を決定するためのリミットスイッチを有するエンコーダを有するものがある。この形式の位置センサの変形も、基準フレームに固定されたセンサが使用可能であるときには、この基準フレームに対する加速度を導き出すために使用することができる。適当な加速度計20の例には、ニューヨーク州IthacaのKionix,Incによって製造されたKXM60シリーズにおけるものなどの、MEM(超小形電機式)ベースの加速度計がある。
【0051】
この垂直移動の抑制を助けるために、能動的に懸架された設備10は、アクチュエータ指令力信号における偏力を除去するための要素を含み、こうしてアクチュエータはゼロ平均負荷を経験することになる。ある実施形態では、この要素は可変低剛性ばねの力学的特性を有する。この低剛性ばね特性によって、ばねは能動的分離を実施しようとするので確実にアクチュエータはばねに「抵抗」していない。これは力の消費を低減する。「力偏向除去装置システム」と呼ぶことにするこのような要素を、図14に示すように、付属のリザーバを有する空気シリンダとして実現することができる。力偏向除去装置システムは偏力を提供し、これによってアクチエータをこの力の供給から解除する。このような偏向は、設備16の重量などのファクタに由来することもある。力偏向除去装置システムによって提供される偏向力があるので、垂直アクチュエータ28は所定の平衡位置からの偏位運動を抑制することだけを必要とする。好ましい一実施形態では、空気シリンダと付属のリザーバは、アクチュエータがゼロ平均負荷を維持するように構成されている。下に記述するように、力偏向除去装置システムは、追加の減衰を伴うか伴わない受動型懸架装置を提供することもできる。
【0052】
図4に示す能動的に懸架された設備16の別の一実施形態は、垂直軸に沿った設備16の動きを抑制するために方向付けられた単一の能動型懸架要素34を提供する。この場合における能動型懸架要素34には、多軸受動型懸架要素36が直列に取り付けられている。図4に示すように、多軸受動型懸架要素36は、能動型懸架要素34と設備16との間に取り付けられている。しかし、受動型懸架要素36を、図5に示すように設備16と乗物の床37との間に取り付けることもできる。
【0053】
図6に示すように、設備16は、座席40およびその占有者の他にさまざまな機構または構造を含むことができる。これらの追加の機構または構造は、設備16に対して静止状態に保持されることによって大きな利益となる形式のものである。例示的な構造としては、乗物の不規則な加速度に応じて、こぼれ易い飲料を保持することが多いカップホルダ42、筆記用の表面、データ入力部、検索デバイス、灰皿またはその他の容器44、ナビゲーションディスプレイなどの表示装置、および制御装置47、特に乗物への直接の機械的連結を必要としない制御装置がある。例示的な制御装置としては、重機を操作するための電子制御装置、および制動および加速のためのペダルまたはレバーなどの制御装置がある。図示するように、機構または構造は設備16に取り付けられているが、機構すなわち構造を設備16から離して位置付けてもよいが(図示せず)設備16の動きに「従属する」ことに留意されたい。
【0054】
図1および図4〜図7に示す能動的に懸架された設備16は、さまざまな型とモデルの自動車に見られる標準ボルトパターンにボルト固定するために構成されたベース46を含む。しかし能動的に懸架された設備16を、さまざまな支持構造のいずれかによって支持することができる。例えば図7に示すような両脚開閉式機構51、4本棒リンケージ、アクチュエータが座席移動に対するアクチュエータストロークの比を1より小さくしたものであるときに使用される変更された4本棒リンケージによって支持することができる。さらにまた、アクチュエータそれ自体を支持構造の一部として設計することができる。
【0055】
能動型懸架要素12,14は、図8にさらに詳しく示す制御システム48とデータ連絡状態にある。制御システム48は、乗物に対する設備の加速度anおよび設備16の位置prなどのデータ信号をセンサ24,26から受信する。代わりに制御システム48は、制御装置49を通じて制御信号urを提供する。この制御信号urは、それぞれのアクチュエータ28,30(図1参照)に力を加えさせるものであり、これらの力は設備16を平衡位置に復帰させ、設備16が経験する加速度を最小に抑える傾向を有する。データ信号は、設備16の位置および加速度、ならびに設備16の特性の指標となるデータを表すことができる。設備16と連絡状態にある力偏向除去装置モジュール60は、アクチュエータへのゼロ平均負荷を維持するように、アクチュエータ力制御信号urから偏向を除去する。
【0056】
実際には、実設備16の関連特性は正確には知られていないこともある。したがって一般に、任意の制御装置49の設計と、この制御装置49によって出力される結果としての制御信号(ur)は、これらの特性に関する仮定に基づいているであろう。結果として、実設備16を制御するために使用される制御信号は、期待される結果を達成しないかもしれない。したがって、制御システム48は実設備16に関する仮定の誤差を推定し、これらの誤差を補償する。下に説明するようなある実施形態では、この仮定と補償は基準モデルを利用する。
【0057】
図9は、基準モデルが基準設備の数学基準モデル50を複雑な周波数入力sへのこの基準設備の応答Pn(s)の形で含む、例示的な制御システム48を示す。表現を簡単にするために、基準設備のこの数学モデル50を簡単に「基準設備50」と称することにする。基準設備の応答Pn(s)は、実設備の位置と動きの指標となるデータと共に振動分離モジュール52によって使用され、基準制御信号unを計算する。
【0058】
したがって、基準設備50は実設備16のために基準モデルである。このようなモデルを、所望の性能特性、周波数応答、極/ゼロ点、またはこれらの任意の組合せを含む、1つまたは複数のパラメータを含むものと定義することができる。例えば、乗物座席を含む実設備16の場合には、基準運転者重量を表すパラメータを、多数の典型的な運転者にわたる平均体重として定義することができる。
【0059】
振動分離モジュール52を実行するためのさまざまな方法が利用可能である。例えば図10は、位置と加速度フィードバック信号を含む振動分離モジュール52を示す。ある実行例では、位置フィードバックループを有する位置制御装置が、相対位置信号prを入力として取り、所定の平衡位置rを維持するように実設備16を促す。ある場合には、平衡位置はアクチュエータストロークの中間点に対応してもよい。別の実行例では、加速度フィードバックループを有する加速度制御装置が、加速度信号arを入力として取り、実設備16が経験する加速度を制御する。
【0060】
記述を容易にするために、下記の説明は2ループ制御構造に基づく。しかし一般には、制御装置は、実設備16の位置と加速度の両方を入力として使用し、制御信号を出力として提供する。この実行例は2ループ制御装置構造である必要はない。例えば、制御装置は単一ループを有することができる。別の実施例は2n入力とn出力(ただしnは能動的に制御される軸の数)を有する制御装置を含む。
【0061】
位置ループの帯域幅を、乗員の不快知覚に基づいて設計することができる。これは、制御すべき実設備16の動きが沿う特定の軸によって変わる。例えば、ほとんどの乗員は前後方向におけるよりも垂直方向においてより大きな振動を我慢する。さらに、前後方向の振動スペクトルは一般に、垂直方向における振動スペクトルが有するものよりも大きな高周波成分を有する。したがって、ある実施形態では、垂直方向の振動を抑制するために使用される位置ループは、水平方向の振動を抑制するために使用される位置ループが有するものよりも小さな帯域幅を有する。複数の軸が能動的に制御されると、各能動軸のための位置ループは、この軸に沿った振動特性を受け入れるために調整された帯域幅を有することができる。
【0062】
図10に示す実行例では、実設備16と乗物のフレームとの間の相対変位を表す測定された位置信号prは、設備16の所望の平衡位置rから差し引かれる。この結果得られた差は、入力として振動分離モジュール52へ提供される。測定された加速度信号arは、図示された実施形態ではゼロ加速度である所望の加速度から差し引かれる。この結果得られた差は、入力として振動分離モジュール52へ提供される。振動分離モジュール52の出力は基準制御信号unである。適当な振動分離モジュール52には、米国特許第3,701,499号および同第6,460,803号に記載されたものがあり、これらの特許の内容はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
ある場合には、実設備16を能動的に制御しながら設備16の所望の平衡位置rを変えることが望ましいこともある。例えば、実設備16が座席を含むときは、さまざまな搭乗者を受け入れるために座席の高さを調節することが望ましいこともある。これは、所望の平衡位置rを変えることによって行うことができる。図9に示す制御システム48については、上述の平衡位置rの変化は制御信号urにおける偏位力成分を生じさせる。この偏位力成分の必要性は偏位除去装置モジュール60によって排除される。
【0064】
上述のように、振動分離モジュール52は、基準設備50が測定された位置信号と加速度信号によって表されるある一定の外乱を経験する場合にはこの基準設備50の動きを制御するために使用されることになる基準制御信号を発生する。振動分離モジュール52に基準制御信号を発生させるために、これらの外乱の指標となる信号ar,prが入力として振動分離モジュール52に提供される。しかし一般に、基準設備50は実設備16の力学的特性とは異なる力学的特性を有する。したがって、振動分離モジュール52の出力は一般に、これらの同じ外乱を受ける実設備16の動きを制御するためには最適化されないことになる。
【0065】
しかし、ほとんどの場合、基準設備50と実設備16は、同様で十分な力学的特性を有するので、本明細書では「実制御信号」と呼ぶ実設備16を制御するための制御信号は、基準制御信号と同様なものである。
【0066】
どのような実際の物理的移動も受ける実際の基準設備50は存在しないことに留意することは重要である。存在するのは基準設備のモデルである。このモデルは、実設備16が応答するかもしれない方法に似た方式で応答するために選択される。
【0067】
事実上、制御システム48は、基準設備50を使用して、実設備16の制御信号への応答をシミュレートする。制御システム48は自由に、基準設備50の制御信号に対する仮応答と、実設備15の制御信号に対する実測応答とを有する。仮応答と実測応答との差に基づいて、制御システム48は制御信号を調節する。
【0068】
実設備16と基準設備50の間の差を補償するために、制御システム48は、実設備16が経験する動きの指標となる信号に少なくとも部分的に基づいてこの差を推定する設備推定装置62を含む。次に設備推定装置62は、設備補償装置64との差の指標となる誤差信号e(s)を提供する。次に設備補償装置64は、基準制御信号unを実設備16に供給する前に変更することによって上記の差を補償する。設備推定装置62と設備補償装置64との組合せは「補償システム65」と呼ばれる。設備推定装置62と設備補償装置64は互いに分離されたものとして示されているが、これはこれらの個別の機能を図解するためだけのものである。実際には、設備推定装置62と設備補償装置64との機能を、単一のハードウェア要素またはソフトウェアの中で実現される回路構成によって実施することができる。
【0069】
本質的に、設備補償装置64は誤差信号を使用して基準制御信号unを摂動させる。この摂動の結果は、実設備16に供給される実制御信号urである。図11に示すように、設備補償装置64は乗算器を含む。しかし、設備補償装置64はフィルタを含むこともできる。本明細書で使用されるように「実」とは、制御信号が実設備16に適用されるべきであることを示すことに留意されたい。これは、虚数成分を持たない信号の通常の数学的意味は有していない。
【0070】
図9には、設備推定装置62が、さまざまな入力を受け入れるものとして示されており、これらの入力の中には、実設備16が経験する外乱の指標となる実外乱信号があり、例えば位置信号arおよび加速度信号pr、および基準設備50が経験するであろう対応する外乱の指標となる基準外乱信号51は、制御信号unによって制御される。代替案とした、制御システム48の外側から得られるその他の情報を使用して、以下に記述するように差を推定することができる。これらの入力は、設備推定装置62が誤差信号を発生するために使用することができる潜在的情報源を表す。設備推定装置62の実施形態は、図9に示す情報源のすべてを実際に受け入れて利用する必要はないが、その代わりにこれらの情報源のサブセットを受け入れて利用してもよい。
【0071】
補償システム65の設計の詳細は、達成しようとする制御目的に依存する。図11に示す1つの実施形態では、補償システム65のための制御目的は、乗員の重量に起因するものなどのいずれの設備の相違にも関係なく、開加速度ループ移転機能の大きさが0dB線を交差する周波数によって定義されるように、開加速度ループ移転機能の一定帯域幅を維持することである。補償システム65は、実設備16が経験する実加速度と同じ状況の下で基準設備50が経験するであろう基準加速度との間の差に応答して、加速度ループ移転機構の利得を適応するように調節することによって、これを行う。
【0072】
このような場合における適当な補償システム65は、モデル基準適応制御装置である。この場合、設備推定装置62は、実設備16からの実加速度信号arと、基準設備50が経験したであろう加速度を表す基準加速度信号unとに基づいて、誤差信号e(s)を発生する。この場合における設備補償装置64は、基準制御信号unを誤差信号eによって掛け算する乗算器であり、これによって実制御信号urを得る。
【0073】
図12に示すように、モデル基準適応制御装置を使用して実行される補償システム65は、基準設備50が同じ状況の下で経験した基準加速度anをろ過する第1フィルタ66と、実設備16が経験する実加速度arをろ過する第2フィルタ68とを含む。基準加速度anは、基準制御信号unを入力として使用するときに、基準設備50の出力として得られる。
【0074】
第1フィルタ66の出力はろ過された基準加速度afnであり、第2フィルタ68の出力はろ過された実加速度afrである。第1および第2フィルタ66,68は、所望のクロスオーバー周波数(すなわち0dB周波数)に心合せされている。
【0075】
ろ過された基準加速度は、減算器70においてろ過された加速度から差し引かれて、誤差信号を発生する。この誤差信号をさらにさまざまな方法で処理して、誤差eの指標となるある量を最小にすることができる。
【0076】
図12に示す実施形態では、最小にすべき誤差の指標となる量は誤差eの平均最小二乗(LMS)である。これは、乗算器72において誤差信号をろ過された基準加速度afnで乗算することによって達成される。次に、補償信号の導関数であるこの演算の結果は積算器74に提供される。次に、積算器74の出力は基準制御信号で乗算されて、実制御信号を発生する。
【0077】
補償システム65の任意の特色は、ある特定の状況の下で積算器74に単一出力を提供させることである。これらの特殊な状況下では、積算器74の出力が基準制御信号と乗算されると、基準制御信号は変らないまま残されることになろう。したがって、実制御信号は基準制御信号と同じになろう。例示的な特殊状況は、アクチュエータにほぼ摩擦力程度の非常に小さな力を行使させるような基準制御信号の検出を含むと思われる。別の特殊状況は、しきい値以下の加速度の検出、または上記の任意の組合せを含む。
【0078】
図12は、多くのファクタの1つだけを、この場合には実設備16の力学的特性の変化を補償する補償システム65の特定の実施形態を示す。このような変化は、例えば乗員の重量の差から結果的に生じることもあり、この差は実設備16と基準設備50との力学的特性の差になるかもしれない。しかし、補償システム65を別のこのようなファクタを補償するために指定することができる。このようなファクタには電力用電子機器パラメータのドリフトがある。
【0079】
制御システム48は、連続時間信号を利用するアナログシステムである。しかし、制御システム48を離散時間で実行することもでき、この場合、積算器74は合計ブロックとなり、低域フィルタ66,68は適当に画定されたデジタルフィルタとなる。
【0080】
上述のように、垂直方向の動きを抑制する垂直能動型懸架要素12は、設備16をある平衡垂直位置に維持するために必要な力を行使する垂直アクチュエータ28を含む。しかし、垂直方向に設備16は常に重力を受ける。この結果、アクチュエータ28はかなりのエネルギーを消費して設備16の重量を単に支持する。
【0081】
ある実行例では、力偏向除去装置システムが、実制御信号urにおける力偏向成分を相殺するのに十分な垂直方向の偏位力を行使するために提供され、これによって垂直アクチュエータ28のためにゼロ平均負荷を維持する。こうして力偏向除去装置システムが利用可能であるから、設備16をその平衡位置に単に保持するための力を行使する必要のある垂直アクチュエータ28は予備となる。その代わりに、垂直アクチュエータ28は、平衡位置からの短い偏位運動を補償するための力を行使することだけを必要とする。
【0082】
上記のような力偏向除去装置システムは、厳密に必要であることはない。原則として、垂直アクチュエータ28に適当な偏位力を行使させることは簡単に可能であろう。このような構成は、例えば室温超伝導体がこのような力を発生させるために必要な電流を送るために利用可能であれば、実用的になり得る。しかし、周知の電磁アクチュエータについては、設備16を支持するために必要な電流は不都合に大きくなることもあり、かなりの廃熱を発生することになろう。
【0083】
力偏向除去装置システムを、調節可能ばね、または低剛性の調節可能ばねの機械的特性を有するデバイスなどの、比較的簡単なものにすることができる。
【0084】
適当な力偏向除去装置システムは、乗物が動いていてもそうでなくても動作することが好ましい。これによって、乗物の搭乗者は、すべての力が遮断されて快適に座っていることができる。このような特色は安全のためにも重要である。ハイウェイ速度で走行する自動車において、力を失った後直ちに全座席の位置が突然停止した場合には、非常に狼狽させるものになろう。
【0085】
この力偏向除去装置システムを制御するために、制御システム48も力偏向除去装置モジュール60(図11を参照)を含み、この機能は、力偏向除去装置システムにさまざまな変化する状況の下で適当な偏位力を提供させることである。図9に示すように、力偏向除去装置モジュール60は、実設備16から加速度データと位置データを、ならびに補償システム65から実制御信号urを受け取る。このデータに基づいて、力偏向除去装置モジュール60は、図13に則して以下に記述するように、偏位制御信号を力偏向除去装置システムに提供する。
【0086】
以下に説明するように、能動型懸架システムは、複数のモード、すなわち安全(受動/フェイルセーフ)モード、能動(力偏向除去)モード、および衝突停止モードで動作するように構成される。図13に示すように、このシステムは、力偏向除去装置モジュール60または個別のフェイルセーフシステム(詳細は下記を参照)を介して、先ず誘発事象の発生を検出する。誘発事象は、異常状態を指示することもある設備16の特性のあらゆる変化に応答して発生することができる。例示的な誘発事象は、能動型懸架要素の故障、電力ケーブルの切断、またはセンサの故障を含む(ステップ76)。誘発事象に検出に応じて、力偏向除去装置モジュール60は、力偏向除去装置システム86を、「受動モード」、「安全モード」または「フェイルセーフモード」と呼ばれるモードで動作させる(ステップ78)。このモードでは、設備16の位置は、図14および図15に則して以下に記述するように、力偏向除去装置モジュール60を介して調節される。ある実施形態では、「受動モード」動作への切り替えも使用者が選択可能な機能として実行することができる。能動型懸架要素が動作しているか否かは、例えば電力をこれらの要素に供給していることを検出することによって容易に判定することができる。能動型懸架要素が現在動作していることをシステムが判定した場合には、システムは、実設備16からの加速度信号と位置信号とを使用して、垂直アクチュエータ28がその移動の終端に近づきそうであるか否か、すなわち垂直アクチュエータ28がその2つの衝突止めの1つに当りそうであるか否かを判定する(ステップ80)。そうである場合には、力偏向除去装置モジュール60は、力偏向除去装置システムを「衝突止め」モードで動作させる(ステップ82)。そうでなければ、力偏向除去装置モジュール60は、図14および図15に則して以下に記述するように、力偏向除去装置システムを正規モードまたは「能動モード」で動作させ(ステップ84)、この場合、設備16の位置は1つまたは複数のアクチュエータを制御することによって調節される。
【0087】
1つの例示的な力偏向除去装置システム86は、空気式力偏向除去装置(図14に示す)であり、これはシリンダ88および上に設備16を支持する整合ピストン90を含む。ピストンヘッドの下のシリンダの容積、すなわち「下部シリンダ室」は、供給弁92を通じて圧縮空気源(図示せず)へ、もしくはブリーダ弁94を通じて大気へのいずれかに連結されている。代替案として、下部シリンダ室を、三方手動調整弁96によって圧縮空気源(図示せず)、もしくは大気のいずれかとつながるようにすることができる。圧縮空気源は、ポンプによって高圧に維持される圧縮空気リザーバなどの、容易に入手可能な搭載式空気源にすることができる。座席構造の中空部分も空気リザーバとして使用することができ、これによって空気リザーバは座席構造体自体の中に組み込まれるか、これに一体化される。代替案として、力偏向除去装置システムを液圧式システムにすることができる。
【0088】
シリンダ88は、空気圧および設備の重量に応答して動くピストン90を含むことができる。または、シリンダ88は、ゴム製タイヤが膨縮する方式とかなり同じ方式で、簡単に膨縮することができる。空気シリンダ88と流体連通状態にある膨張室98を、外部空気リザーバにすることができる。代替案として、膨張室98を座席構造体自体の中に組み入れることができ、これによって乗物内部の空間が節約される。
【0089】
正規モードまたは「能動モード」では、力偏向除去装置モジュール60は、例えば図11に示すように制御信号urに基づいて、圧力を上昇または低下させる必要があるか否かを判定する。圧力を上昇させる必要がある場合には、力偏向除去装置モジュール60は供給弁92を開放して、ブリーダ弁94を閉鎖し、これによって下部シリンダ室を圧縮空気で満たす。反対に、圧力を低下させる必要がある場合には、制御装置が供給弁92を閉鎖し、ブリーダ弁94を開放する。これによって下部シリンダ室から高圧空気が流出する。
【0090】
図15は、能動モードで動作する力偏向除去装置モジュール60への入力として実制御信号urを使用することによって、実制御信号の偏位成分を検出し除去する過程を示す。実制御信号urは先ず低域フィルタ100を通されて、不規則な加速度を打ち消そうと企てた結果である可能性が強い高周波変動を除去する。したがって低域フィルタ100は、設備16の実際の重量変化の結果である可能性が高い低周波変動を分離する。適当な低域フィルタ100は0.5Hz程度のコーナー周波数を有するものである。
【0091】
次に力偏向除去装置モジュール60は、実制御信号の低周波成分の符号または位相角を使用して、偏位力を行使してurの偏位信号成分を相殺するか否かを判定する。図15の実行例については、実制御信号urを入力として得る力偏向除去装置モジュール60は、ピストン90に対する圧力が上昇または低下する必要があるか否かを判定する。次に力偏向除去装置モジュール60は、適切な弁作動信号Vを、供給弁92を制御する供給弁リレー(図示せず)と、ブリーダ弁94を制御するブリーダ弁リレー(図示せず)とに送る。圧力が上昇する必要がある場合には、力偏向除去装置モジュール60は、信号を供給弁92リレーに送って供給弁を開き、信号をブリーダ弁リレーに送ってブリーダ弁94を閉じる。逆に、圧力が低下する必要がある場合には、力偏向除去装置モジュール60は、弁作動信号Vをブリーダ弁94リレーに送ってブリーダ弁を開き、信号を供給弁リレーに送って供給弁92を閉じる。ある実施形態では、「バックラッシュ」(ヒシステリシス)を有するリレーが、リレーの設定点の周りのオンオフ弁のがたつき音を防止する。
【0092】
力偏向除去装置システム86はまた、上部および下部衝突止め弁102,104も含み、これらの弁は「衝突止め」モードで使用されて、垂直アクチュエータ28が設備16をその移動の終端に突然到達することから防止しそうもない状況において動きに抵抗する。
【0093】
上部衝突止め弁102は、ピストンヘッド上のシリンダ容積(「上部シリンダ室」)と大気との間に経路を提供する。正規の動作では、この上部衝突止め弁102は開いたままであるから、空気は自由に上部シリンダ室を出入することができる。しかし、力偏向除去装置モジュール60が、設備16がその移動の頂部へ到達することを垂直アクチュエータ28が防止できそうにないことを検出した場合には、これは上部衝突止め弁102を閉鎖する。これは、ピストン90が上方へ動くときに空気が上部シリンダ室から逸出することを防止する。この結果、ピストン90が上向きに移動すると空気は圧縮され、これによってピストン90(およびしたがって設備16)のさらなる上向きの移動に抵抗する傾向がある力が加わる。
【0094】
下部衝突止め弁104は、下部シリンダ室と大気もしくは圧縮空気源との間に経路を提供し、この大気もしくは圧縮空気源というのは、ブリーダ弁94と供給弁92のいずれが開いているか、およびどれが閉じているかに依存する。正規の動作では、下部衝突止め弁104は開いたままである。これによって、力偏向除去装置モジュール60は、ブリーダ弁94と供給弁92を選択的に開閉することによって設備の高さを自由に制御することができる。しかし力偏向除去装置モジュール60が、設備16がその移動の底部へ到達することを垂直アクチュエータ28が防止できそうにないことを検出した場合には、これは下部衝突止め弁104を閉鎖する。これは、ピストン90が下方へ動くときに空気が下部シリンダ室から逸出することを防止し、これによってピストン90(およびしたがって設備16)のさらなる下向きの移動に抵抗する傾向がある力が加わる。
【0095】
力偏向除去装置モジュール60が、能動型懸架要素が無能力になったことを特定すると、これは弁作動信号Vを送って、上部および下部衝突止め弁102,104を同時に閉じることによって、上部および下部室を密封する。これは、力偏向除去システム86を「安全モード」で動作させ、この安全モードでは、力偏向除去システム86はばねとして機能する。安全モードで動作すると、空気がシリンダ88に出入りするための通路のみが三方手動調節弁96を通る。三方手動調節弁96は、空気が下部室に入らずまたはこれから出られない閉位置と、下部室が大気につながる抽気位置と、下部室が圧縮空気源(図示せず)に連結される充填位置とを有する。
【0096】
安全モードでは、設備16のレベルは調節弁96を操作することによって制御される。設備16を上げるためには、調節弁96は圧縮空気源を下部シリンダ室に連結するように操作される。設備16を下げるためには、調節弁96は大気が下部シリンダ室に連通するように操作される。設備16が所望の位置にあるときには、調節弁96は下部シリンダ室を密封するように操作される。
【0097】
下の表は、さまざまな動作モード中の図14に示すさまざまな弁の形態を概略表示したものである。
【0098】
【表1】

【0099】
上に述べたように、力偏向除去モード中は、圧縮空気源をシリンダ88の下部室と連通させることができる。垂直アクチュエータ28は設備16を瞬間的に降下させることが必要であるが、圧縮空気源は設備16の下向き移動に抵抗するので、これを行うことは困難であると見られる。垂直アクチュエータ28がさらに容易に設備16を下げることができるように、力偏向除去装置システムは、供給弁86と下部衝突止め弁104との間に配設された膨張室98を含む。この膨張室98は、垂直アクチュエータ28が設備16を下げなければならない場合に、圧縮空気源から最小の抵抗に遭遇することになるように、弱いばねとして機能する。
【0100】
設備パラメータが突然変わるとき、例えば搭乗者が座るか立つか、または貨物が除去されるか、または加えられるとき、アクチュエータが加える必要があるかもしれない最大力を減少させることができ、これによって動力の使用を減らす。これは、力偏向除去装置システムが新しい負荷に適合するまで制御システムを待たせることによって達成される。力偏向除去装置システムが適合した後、アクチュエータに、正規の動作のために必要とされる減少した力を行使させることができる。例えば、座っていた搭乗者が立つと、力偏向除去装置システムは、空気ばねとして実行されるとき、圧力を急速に落とす。圧力を落とし終えると、現在占有されていない座席を能動的に懸架するためにどのような力が必要でもアクチュエータが行使されるようになる。この結果、搭乗者が立ち上がると、座席の高さはほぼ一定のままである。対照的に、従来型のばねで支持された座席は、搭乗者が立ち上がると負荷のない位置にばねで戻ることになる。
【0101】
図14に関連して開示された力偏向除去装置システム86は、空気式論理を実行してこの動作を実施する空気式システムである。しかし、液圧式システムなどの他の形式の力偏向除去装置システムを、偏向力を設備16に加えるために使用することができる。
【0102】
上に説明した空気式力偏向除去装置システム86を、設備16の質量を直接測定する設備推定装置62に実施形態を実行するために使用することができる。図16に示すこのような実施形態では、偏向圧力は圧力センサ108によって測定され、偏向圧力からの偏位運動は、適当なフィルタリングの後に、設備16の重量を指示する。偏向圧力は、基準設備50を支持することから結果として生じた圧力である。この圧力を、工場においてまたは続く座席設置の際に測定することができ、設備推定装置62の中にプログラミングすることができる。圧力センサ108は、設備16の重量に依存する測定可能な圧力は存在する空気式システムにおける任意の個所で圧力を測定する。次に、圧力センサ108で測定された圧力は低域フィルタ110を通されて、あらゆる震えが除去される。次に、この結果は設備推定装置62に提供され、設備推定装置62は、基準制御信号を摂動するために誤差信号を使用すべきであると決定する。
【0103】
上の説明は、図9に示すような基準モデルベースの制御設計に焦点を当てたものである。しかし、その他の実施形態は図8に示す一般の制御システムを含み、この場合、制御装置を、基準モデル付きまたは基準モデルなしで、適当な線形または非線形制御方法を介して設計することができる。例えば、図9に示す振動分離モジュールは、基準設備50、補償システム65、または力偏向除去装置モジュール60を備える必要なしに、図8における制御装置モジュール52を置き換えることができる。
【0104】
能動型懸架要素、特に垂直能動型懸架要素12における故障は結果として、設備の位置および動きの突然の多分警報を発する変化になることがある。これを避けるために、制御システム48は、図9に示すように、故障検出器112によって制御されるフェイルセーフシステムを備えることができる。このフェイルセーフシステムは、アクチュエータに結合された選択的に活動化されるダンパを有する。ダンパは個別の要素であってもよい。代替案として、ダンパを、能動型懸架要素の特性を変えることによって実行してもよい。正規の状況では、ダンパは非活動化され、したがって減衰力を発生しない。しかし、故障検出器112が特定の条件の存在を検出した場合には、故障検出器はダンパを活動化し、これによって設備16の動きに抵抗する減衰力を生成させる。これによって設備16は下部衝突止めに丁寧に置かれる。代替案として、フェイルセーフシステムは、ばねまたはばねとして機能する構造を含むことができる。このような構造の1つは、先に説明したような力偏向除去装置システムである。このような場合には、設備16は下部衝突止めの上方の平衡位置に置かれることになる。
【0105】
図9に示すように、故障検出器112は、実設備16の状態の指標となる情報を提供される。この情報は、例えば位置信号と加速度信号とを含むことができる。この情報に基づいて、故障検出器112は、設備16の動きを減衰することが必要であるか否かを判定する。アクチュエータ12と共に使用するための適当なダンパが、米国特許第4,981,309号に記載されており、この特許の内容は本明細書にこの参照によって組み込まれる。
【0106】
能動型懸架システムの故障は、フェイルセーフシステムを作動させるための唯一の理由ではない。異常状態を示す設備16の特性の変化は何でも、フェイルセーフシステムを活動化させるための理由になり得る。例えば、所定のしきい値より大きなセンサ信号、または設備の状態の指標となる情報を集めるセンサのいずれかにおける故障も、フェイルセーフシステムを活動化させるための理由になり得る。センサまたはシステムの故障を、このような信号の不在または変動の存在に注目することによって、または設備にかかる物理的制約と矛盾する情報を提供するセンサ信号によって検出することができる。例えば、自動車が今音速以上で動いていることをセンサが指摘したとすれば、このセンサの信頼性に問題があることは当然であり、この場合、フェイルセーフシステムが作動させられることになろう。代替案として、センサがその使用可能範囲の終端に達したことを検出することもまた、フェイルセーフシステムを作動させることができる。ある実施形態では、能動モードからフェイルセーフモードへの遷移を引き起こす特定の誘発事象もまた、使用者が選択可能な機構として実装することができる。
【0107】
電磁アクチュエータの場合には、ワイヤのコイルを有する固定子が電機子を取り囲み、電機子の上に実設備16が取り付けられている。固定子と電機子は共に「電磁アクチュエータ」を形成し、電機子の位置は固定子のコイルにおける電流によって制御可能である。正規の動作では、コイルを通る電流は、電機子の位置を制御する磁界を発生させる。故障の検出によって、コイルのリード線は短絡されるか、または共に締め付けられる。この状況の下で、レンツの法則が働いて、電流をコイルの中に誘導し、コイルは電機子の動きに抵抗する傾向がある磁界を発生させる。この結果、電磁アクチエータはダンパとして機能する。
【0108】
図17は、センサ故障の検出に続いてダンパを作動させるか否かを判定する場合に故障検出器112によって使用される例示的なアルゴリズムである。故障検出器112は加速度信号をモニタする(ステップ114)。加速度信号が予め選択された制限値内にある場合には(ステップ116)、故障検出器112は、能動型懸架要素が正しく動作していると想定する。この条件の下で、ダンパは非作動状態のままである。次に、故障検出器112は待機し(ステップ118)、再び加速度を検査する(ステップ114)。しかし、加速度信号が所定の期間より長い間、しきい値の大きさを超過していることを故障検出器112が検出した場合には(ステップ116)、故障検出器112は、能動型懸架装置が故障しており矯正作用は正常であると仮定する。これらの状況の下で、故障検出器112はダンパを作動させる(ステップ120)。次に、故障検出器112は、リセットが起こるまでさらなる偏位運動を停止する(ステップ122)。
【0109】
図17に関連して説明したアルゴリズムは、単に加速度センサにおける故障の検出のみをあてにするものである。しかし、その他のアルゴリズムは位置信号、または位置および加速度信号の組合せ、または実設備16の状態の指標となるあらゆる情報を使用することができる。フェイルセーフシステムを制御するためのその他のアルゴリズムは、能動型懸架装置と付属の構成要素を作り上げるさまざまな要素、例えば電源、電力増幅器、制御装置自体などの条件の指標となる情報を使用する。例示的な情報には、センサに対する電気バイアス信号およびアクチュエータによって発生する起電力が含まれる。さらに、システムの信頼性を向上させるために冗長センサを使用することができる。
【0110】
図18に示すように、増幅器106の出力電流を変調するために、最後に実設備制御信号を使用する。この出力電流は最終的に電磁アクチュエータ28に提供される。制御信号の変動は結果的にこの出力信号の変動になる。
【0111】
(図19に示す)増幅器106において変調すべき電流は、電源107によって提供される。上述の形式の能動型懸架システムでは、円滑な道路上での正規の動作の下で、増幅器106は比較的少量の電力を引き出す。しかし、道路表面上の大きな隆起などの条件を補償するために、増幅器106は高電力の短いバーストを必要とする。図18は、偶発的な窪みおよびその他の不規則性を有する一般的な都市の道路に関して、必要な電力を時間の関数として示す。
【0112】
図18に示すように、正規の動作では、平均電力を引き出す。しかし、時々、増幅器106は短時間にかなり大きな電力を必要とする。高電力の短いバーストを提供するために、バッテリーなどの電源に直接たよることなく高電力の短いバーストを提供することができるエネルギー蓄積要素を有する電源107を、増幅器106に備えることは有用である。
【0113】
図19に示す適当な電源107は、バッテリー113に接続された入力部とコンデンサ110に接続された出力側とを有するDC/DCコンバータ109を含む。このDC/DCコンバータ109は、公称12ボルトのバッテリー電圧をより高い出力電圧に変換する働きをする。コンバータ109の追加の効果は、バッテリー113から引き出された電流の量を、増幅器の電流需要が、コンバータ109が提供できる電流を超えたときに飽和させることによって制限することである。これらの状況下では、コンバータ109にとっては増幅器106が飽和電流を提供する一定電流源となる。
【0114】
一般に、電力を配送するコンバータ回路の(出力電流、入力電流などの)パラメータの変化に応答して、容量性要素などの受動型電源によって追加電流を供給して、ピーク電力の需要に応えることができる。適当な電源回路が、2004年6月18日に出願された米国特許出願第10/872040号に開示されている。
【0115】
正規の動作では、コンバータ109は、電流自体については増幅器の要求を満たす。増幅器106が、コンバータ109が提供できるよりも多い電流を必要とするときには、増幅器は、コンバータ109の出力部と並列に接続された静電容量110から不足量を引き出す。比較的短い時限に大量の電流が必要であるから、静電容量110に蓄積された電荷は、増幅器106の要求に合わせるためには十分である。図18に示すように、大電流の需要は比較的長い時限によって分けられているので、コンバータ109は静電容量110を再充電することができる。
【0116】
図19に示す構成要素に関連する特定の数値は、各適用に関連する詳細値に依存する。このような詳細値には、平均消費電流、最大消費電流、大消費電流需要間の平均時間、増幅器106の動作電圧範囲、コンバータの飽和電流、およびコンデンサまたは静電容量110を形成するために使用されるその他のエネルギー蓄積要素の任意の構成に接続された寄生抵抗が含まれる。
【0117】
静電容量110は、単一のコンデンサによって提供される必要はない。ある場合には、コンデンサを、等価の静電容量110と必要な電圧低下全域にわたって動作する能力とを有する回路の中に組み込むことが、より経済的であることもある。例えば回路は、増幅器106に印加される電源電圧よりも低い定格電圧を各々が有する多くのコンデンサを直列に含んでもよい。ある実施形態では、各々が17.3ファラッドの静電容量を有し、2.5ボルト電圧低下にわたって動作するように定格された、62個のコンデンサを直列に置いて、必要とされる静電容量を形成する。
【0118】
誤動作または不安定状態が発生した場合には、アクチュエータによって加えられる力は、非常に大きく成長し長い時限にわたって大きさを持続する傾向を有することがある。このような大きな力を長い時限にわたって維持するために必要な電力は静電容量110を放出させ、増幅器106への電圧を「衰え」させる。これは増幅器106自体を不能にさせる。この結果、不安定状態中に、電源107は、過熱を急速に消散することができるほど十分に低い電力限界を課し、これによって増幅器106に対する熱被害を回避する。この方法で、図示された電源107は、誤動作または不安定状態が発生した場合にアクチエータの電力消費を制限する。ある実施形態では、コンデンサは、誤動作または不安定状態が発生した場合に蓄積されたエネルギーを消散して増幅器を55ミリ秒以内で不能することができるように選択される。
【0119】
設備が座席を含む実施形態では、座席のクッションが存在するので困難性が発生する可能性がある。上に説明したように、加速度計と位置センサが座席の上に取り付けられている。したがって、加速度計と位置センサは、座席が経験する動きを感知する。この場合の仮定は、この座席に座っている乗員が座席と同じ動きを経験することである。しかし、ほとんどの場合、乗員は座席の上に直接座らない。そうでなく、乗員は座席のクッションの上に座る。クッションは事実上、それ自体の移転機能を有する追加の受動型懸架要素に等しい。
【0120】
実際、座席クッションは2つのゼロを有する移転機能を導入する。これらのゼロは加速度ループの利得を減らし、これによって制御システムの能力を減らし、これらのゼロに対応する周波数における振動を抑制する。
【0121】
この困難性に対処するために、2つのゼロに関連する周波数は、加速度ループ制御装置58の帯域幅を超えるようになされる。これは、クッション内部のばねの有効剛性を増すことによって、例えばクッションを堅固な裏打ちの上に置くことによって達成することができる。
【0122】
こうして、制御システム48のさまざまなモジュールの入力部と出力部を、ここまで係数装置として見てきた。これは、多くの座席取付け台について、1つの軸に沿って振動を抑制するために必要な力は、他の軸に沿って振動を抑制するために必要な力とはほとんど独立している。このような場合、設備16を、非常に小さなオフダイアゴナル成分を有する本質的にダイアゴナルであるマトリックス移転機能によって特徴付けることができる。加速度ループ移転機能と位置ループ移転機能を、本質的ダイアゴナルマトリックスによって特徴付けることもできる。これらの状況の下では、1つの軸に沿った振動の抑制を別の軸に沿った振動の抑制とは独立して考察することは適切である。
【0123】
しかし、ある一定の形式の座席取付け台については、1つの軸に沿って振動を抑制するために加えられる力は、異なる軸に沿って動きを抑制しようとする同時の試みに影響することがある。この場合には、設備移転機能をダイアゴナルマトリックスとして見ることはもはやできない。
【0124】
例えば、図20は、4本棒リンケージによって支持された座席を含む設備16を示す。座席の上向きの動きも結果として後向きの動きになり、この2つの間の関係が座席の垂直位置に依存することは明白である。
【0125】
図21では、さまざまなブロックの入力部と出力部は二次元ベクトルである。したがって、実設備16に提供されるべき制御信号は、2つの異なる力アクチュエータを制御するための成分を含む。実設備16に加えられる前に、制御信号は減結合類似性変換マトリックスRを通される。この手順の詳細は、「Control System Handbook」の第3.3節、「vector spaces」(IEEE press刊)の中に見ることができる。
【0126】
結合が純粋に運動学的である図20に示す場合については、類似性変換を使用して、運動学的に交差結合された設備を減結合する。この場合には、減結合マトリックスの要素は実数値定数である。これらの要素の値を、支持物の寸法形状の考察から導き出すことができる。
【0127】
別の場合では、2つの方向における動きの結合には、動的成分ならびに運動学的成分が含まれる。このような場合には、減結合マトリックスの要素は周波数の複素数値関数である。一般に、このようなマトリックスは、制御装置の実行に適した低位の実現可能な移転機能マトリックスを生じさせないこともある。
【0128】
2つの方向において設備の振動を抑制するための別の手法は、加速度ループ制御装置のためのダイアゴナルマトリックスではなく、完全占有制御装置マトリックスを使用することである。この場合、加速度ループ制御装置マトリックスの要素は、加速度ループに関連する閉ループマトリックス移転機能がダイアゴナルであるか、または無視可能なオフダイアゴナル要素を有するかのいずれかになるように計算される。
【0129】
その他の実行例は特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】能動的に懸架された設備を示す図である。
【図2】能動的に懸架された設備への直列および並列連結状態を示す図である。
【図3】能動的に懸架された設備への直列および並列連結状態を示す図である。
【図4】能動的に懸架された設備を示す図である。
【図5】能動的に懸架された設備を示す図である。
【図6】能動的に懸架された設備を示す図である。
【図7】能動的に懸架された設備を示す図である。
【図8】図1および図4〜図7の能動的に懸架された設備を制御するための制御システムを示す図である。
【図9】図8の制御システムの一実施形態を示す図である。
【図10】振動分離モジュールを示す図である。
【図11】異なる形式の設備推定装置を有する制御システムを示す図である。
【図12】異なる形式の設備推定装置を有する制御システムを示す図である。
【図13】力偏向除去装置によって使用されるアルゴリズムの流れ図である。
【図14】例示的な力偏向除去装置を示す図である。
【図15】力偏向除去装置による処理を示すブロック図である。
【図16】設備の重量が測定される制御システムを示す図である。
【図17】フェイルセーフシステムのアルゴリズムを示す図である。
【図18】一般的な電力需要を示す図である。
【図19】電源を示す図である。
【図20】さまざまな軸に沿った動きの間の結合をもたらす座席の支持物を示す図である。
【図21】さまざまな軸に沿った動きの結合を受け入れるために変更された制御システムを示す図である。
【符号の説明】
【0131】
10 能動的に懸架された設備
12 能動型懸架要素
14 縦能動型懸架要素
16 実設備
20 垂直加速度計
22 縦加速度計
24 垂直位置センサ
26 縦位置センサ
28 垂直アクチュエータ(電磁アクチュエータ)
30 縦アクチュエータ
34 能動型懸架要素
36 受動型懸架要素
37 乗物の床
40 座席
42 カップホルダ
44 容器
46 ベース
47 制御装置
48 制御システム
49 制御装置
50 数学基準モデル
52 振動分離モジュール
60 力偏向除去装置モジュール
62 座席推定装置
64 設備補償装置
65 補償システム
66 第1フィルタ
68 第2フィルタ
70 減算器
72 乗算器
74 積算器
86 力偏向除去装置システム
88 シリンダ
90 整合ピストン
92 供給弁
94 ブリーダ弁
96 3方向手動調節弁
98 膨張室
100 低域フィルタ
102 上部衝突止め弁
104 下部衝突止め弁
106 増幅器
107 電源
108 圧力センサ
109 DC/DCコンバータ
110 静電容量
112 故障検出器
113 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物における実設備を能動的に懸架するための方法であって、
制御信号を、前記実設備の制御信号に対する応答によって指示されるような前記実設備の特性と基準設備の特性との間の差に基づいて変更することを含む方法。
【請求項2】
前記実設備が乗物の座席から構成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記実設備に連結された能動型懸架装置がゼロ平均負荷を経験するように、前記実設備を受動的に支持することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記実設備を能動的に懸架することが、前記実設備を電磁アクチュエータによって能動的に懸架することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
乗物における実設備を能動的に懸架するための方法であって、
異常状態を指示する前記実設備の特性の変化を検出することと、
検出された変化に応答して前記実設備の動きを減衰することと、を含む方法。
【請求項6】
変化を検出することがセンサの故障状態を検出することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記実設備の動きを減衰することが、前記実設備に連結された電磁モータのモータリードを締め付けることを含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
乗物における実設備を能動的に懸架するための制御システムであって、
前記設備の基準モデルと、
前記実設備の特性と前記実設備の基準モデルの特性との間の差を特定するための設備推定装置と、
前記差に応答して前記実設備の振動を抑制するために制御信号を変更するための設備補償装置と、を含む制御システム。
【請求項9】
前記設備に関連する重量を測定するための重量センサをさらに含む請求項8の記載の制御システム。
【請求項10】
乗物における設備のための能動型懸架システムであって、
電磁アクチュエータと、
制御信号を受信するための制御入力部、前記アクチュエータと電気的につながっている出力部、および前記制御信号によって変調されるべき電力を受け入れるための電力入力部を有する増幅器と、
前記増幅器の電力入力部と電気的につながっており、前記増幅器に一定の電力を供給するための飽和作動状態と前記増幅器に可変電力を供給するための非飽和作動状態とを有する能動型電源と、
前記増幅器の電力入力部と電源とに電気的につながっており、前記能動型電源が飽和状態で作動しているときには前記増幅器に電力を供給し、前記能動型電源が非飽和状態で作動しているときには前記能動型電源からのエネルギーを蓄積する受動型電源と、を備えた能動型懸架システム。
【請求項11】
前記受動型電源がコンデンサを含む請求項10に記載の能動型懸架システム。
【請求項12】
前記コンデンサが前記増幅器を実質的に55ミリ秒以内で無力にすることができるように構成されている請求項29に記載の能動型懸架システム。
【請求項13】
乗物における設備に連結された電磁アクチュエータを含む能動型懸架装置と、
前記アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために前記設備に連結された力偏向除去装置と、を含む装置。
【請求項14】
前記電磁アクチュエータが多相アクチュエータを含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記設備の状態の指標となる情報を提供するためのセンサをさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記設備の状態の指標となる情報を提供するためのMEMセンサをさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記設備の状態の指標となる情報を提供するための冗長センサをさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記力偏向除去装置が空気式システムを含む請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記力偏向除去装置が液圧式システムを含む請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記電磁アクチュエータに接続された電源をさらに含み、前記電源はピーク電力需要に応じるためにエネルギー蓄積エレメントを含む請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記電源が、
前記アクチュエータに電力を供給するための能動型電源と、
ピーク電力需要期間中に前記能動型電源によって供給される電力を補足する受動型電源と、を含む請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記受動型電源が、ピーク電力需要期間の間に前記能動型電源によって再充電されるようになっているコンデンサを含む請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記エネルギー蓄積エレメントがコンデンサを含む請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記力偏向除去装置が前記設備の位置の調節を可能にするように構成されている請求項13に記載の装置。
【請求項25】
受動型懸架装置をさらに含み、前記能動型懸架装置と前記受動型懸架装置は互いに並列に設備に連結されている請求項13に記載の装置。
【請求項26】
受動型懸架装置をさらに含み、前記能動型懸架装置と前記受動型懸架装置は互いに直列に設備に連結されている請求項13に記載の装置。
【請求項27】
受動型懸架装置をさらに含み、
前記能動型懸架装置は1本の軸に沿った設備の振動を抑制するように構成され、
前記受動型懸架装置は複数本の軸に沿った設備の振動を抑制するように構成されている請求項13に記載の装置。
【請求項28】
前記能動型懸架装置が、複数本の軸に沿った設備の振動を抑制するように構成されている請求項13に記載の装置。
【請求項29】
前記複数本の軸が垂直軸と前後方向に延在する軸とを含む請求項28に記載の装置。
【請求項30】
乗物における設備に連結された電磁アクチュエータを含む能動型懸架装置と、
前記アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために前記設備に連結された力偏向除去装置と、を含み、
前記能動型懸架装置は能動モードと受動モードとを含む複数の動作モードを有するように構成されている装置。
【請求項31】
事象の検出に応じて能動モードと受動モードとの間を自動的に切り替えるように構成されている請求項30に記載の装置。
【請求項32】
使用者の選択に応答して能動モードと受動モードとの間を自動的に切り替えるように構成されている請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記電磁アクチュエータが受動モードにおいて短絡する端子リード線を有する請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記力偏向除去装置が、前記設備に連結された受動型構成部分を含み、前記受動型構成部分は可変ばね特性を有する請求項30に記載の装置。
【請求項35】
前記受動型構成部分が能動モードにおいて第1ばね特性を有し、受動モードにおいて第2ばね特性を有する請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記電磁アクチエータが能動モードにおいて前記設備の位置を調節するように構成されている請求項30に記載の装置。
【請求項37】
前記受動型構成部分が受動モードにおいて前記設備の位置を調節するように構成されている請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記第1ばね特性は、前記受動型構成部分が受動モードにおいて前記設備の位置を調節するように制御され、前記第2ばね特性は、前記アクチュエータと協働して能動モードにおいて前記設備の位置を調節するときに、前記受動型構成部分が前記アクチュエータを制御するための制御信号における力の偏向を減少させるように選択される請求項34に記載の装置。
【請求項39】
座席と、
前記座席に力を加えるための電磁アクチュエータと、
前記電磁アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために座席に連結された力偏向除去装置と、を含む能動型懸架装置。
【請求項40】
前記電磁アクチュエータには多相アクチュエータが含まれる請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記座席のある状態に関する情報を提供するためのセンサをさらに含む請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記座席のある状態の指標となる情報を提供するためのMEMセンサをさらに含む請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記座席のある状態の指標となる情報を提供するための冗長センサをさらに含む請求項39に記載の装置。
【請求項44】
前記力偏向除去装置が空気式システムを含む請求項39に記載の装置。
【請求項45】
前記力偏向除去装置が液圧式システムを含む請求項39に記載の装置。
【請求項46】
前記電磁アクチュエータに接続された電源をさらに含み、前記電源はピーク電力需要に応じるためにエネルギー蓄積エレメントを含む請求項39に記載の装置。
【請求項47】
前記電源が、
前記アクチュエータに電力を供給するための能動型電源と、
ピーク電力需要期間中に前記能動型電源によって供給される電力を補足する受動型電源と、を含む請求項39に記載の装置。
【請求項48】
前記受動型電源が、ピーク電力需要期間の間に前記能動型電源によって再充電されるようになっているコンデンサを含む請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記力偏向除去装置が前記座席の位置の調節を可能にするように構成されている請求項39に記載の装置。
【請求項50】
座席を懸架するための装置であって、
座席を懸架するための能動型懸架システムと、
誘発事象の検出に応答して座席の懸架を制御するように構成されたフェイルセーフシステムと、を含む装置。
【請求項51】
前記懸架システムが端子リード線を有する電磁アクチュエータを含み、
前記フェイルセーフシステムが、誘発事象の検出に応答して電磁アクチュエータの端子リード線を短絡させる請求項50に記載の装置。
【請求項52】
誘発事象に応答して、前記フェイルセーフシステムは前記能動型懸架装置を受動動作モードに置く請求項50に記載の装置。
【請求項53】
前記フェイルセーフシステムが、動作中に前記座席の状態の指標となる情報を提供するセンサにおける故障の検出に応答して、前記座席の懸架を制御するように構成されている請求項50に記載の装置。
【請求項54】
前記フェイルセーフシステムが、前記懸架システムにおける故障の検出に応答して、前記座席の懸架を制御するように構成されている請求項50に記載の装置。
【請求項55】
前記フェイルセーフシステムが、使用者の選択の検出に応答して前記座席の懸架を制御するように構成されている請求項50に記載の装置。
【請求項56】
乗物において能動的に懸架された設備を制御するための装置であって、
電磁アクチュエータを含む能動型懸架装置と、
能動的に懸架された前記設備の測定された特性に応答して制御信号を発生させるための振動分離ブロックと、
前記電磁アクチュエータにゼロ平均負荷を経験させるために設備に連結された力偏向除去装置と、を含む装置。
【請求項57】
能動的に懸架された設備の測定された特性と基準設備との間の差に応答して制御信号を変更する補償システムをさらに含む請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記設備が座席を含み、
前記補償システムが、占有者の重量に応答して制御信号を変更するように構成されている請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記補償システムが、設備の加速度の指標となるフィードバック信号を伝送するフィードバックループを含み、
前記補償システムは、前記フィードバックループの一定帯域幅を維持するように構成されている請求項57に記載の装置。
【請求項60】
電磁アクチュエータを含む能動的に懸架された座席と、
1つの機構であって、能動的に懸架された前記座席の動きが前記機構の動きに適合するように前記座席に取り付けられた機構と、を含む装置。
【請求項61】
前記機構が、ドリンクホルダ、ナビゲーションデバイス、表示装置、制御ユニット、データ入力/検索デバイス、ソケット、およびペダルから成る群から選択される請求項60に記載の装置。
【請求項62】
前記設備に連結された支持物であって、前記能動型懸架システムによって加えられた力に応答して移動可能である支持物をさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項63】
前記支持物には両脚開閉式支持物が含まれる請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記支持物には4本棒リンケージが含まれる請求項62に記載の装置。
【請求項65】
前記支持物には前記電磁アクチュエータが含まれる請求項62に記載の装置。
【請求項66】
前記支持物が、第1軸に沿って加えられる力に応答する動きが第2軸に沿って加えられる力に応答する動きとは無関係であるように構成されている請求項62に記載の装置。
【請求項67】
前記支持物が、第1軸に沿って加えられる力に応答する動きが第2軸に沿って加えられる力に応答する動きに依存するように構成されている請求項62に記載の装置。
【請求項68】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備は座席を含む請求項13に記載の装置。
【請求項69】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備はベッドを含む請求項13に記載の装置。
【請求項70】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備は作り付け寝台を含む請求項13に記載の装置。
【請求項71】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備はプラットフォームを含む請求項13に記載の装置。
【請求項72】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備は担架を含む請求項13に記載の装置。
【請求項73】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備は取付け具を含む請求項13に記載の装置。
【請求項74】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備はパレットを含む請求項13に記載の装置。
【請求項75】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備はテーブルを含む請求項13に記載の装置。
【請求項76】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備は椅子を含む請求項13に記載の装置。
【請求項77】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備はフレームを含む請求項13に記載の装置。
【請求項78】
前記乗物が、トラクタ、トラックトレーラ、リクリエーション用車両(RV)、飛行機、自動車、兵器プラットフォーム、工作機械の隔離台、エレベータ、ボート、トラック、車椅子、救急車、乳母車、折りたたみ式ベビーカー、建設用設備、および農業用機械から成る群から選択され、前記設備は運転室を含む請求項13に記載の装置。
【請求項79】
複数の方向に沿って可動である乗物内の設備と、
複数の方向の各々に沿った前記設備の振動を抑制するための力を加えるための複数の電磁アクチュエータと、前記設備の状態の指標となる情報に応答して複数のアクチュエータを制御するための制御システムとを含む、前記設備を支持するための能動型懸架システムと、を含む装置であって、
前記制御システムは複数の制御装置を含み、各制御装置は、複数の方向の各々に沿った振動特性を受け入れるために設計された帯域幅を有する装置。
【請求項80】
前記複数の方向には垂直方向と前後方向が含まれ、垂直方向に関連する帯域幅は前後方向に関連する帯域幅よりも小さい請求項79に記載の装置。
【請求項81】
座席に連結された能動型懸架装置と、
前記能動型懸架システムを制御するための制御システムと、
前記座席の上に配設されて、前記制御システムの特性に基づいて選択された共振を有する座席クッションと、を含む装置。
【請求項82】
前記特性が前記制御システムに関連する帯域幅を含み、前記座席クッションが前記帯域幅の外側の共振周波数を有するように選択されている請求項81に記載の装置。
【請求項83】
前記特性が前記制御システムに関連する帯域幅を含み、前記座席クッションが前記帯域幅より上の共振周波数を有するように選択されている請求項81に記載の装置。
【請求項84】
電磁アクチュエータを含む能動型懸架システムを使用して座席を懸架するための方法であって、
前記能動型懸架装置を能動モードにおける動作と受動モードにおける動作との間で選択的に切り替えることを含む方法。
【請求項85】
選択的切り替えが、事象の検出に応答して自動的に切り替えることからなる請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記事象には能動型懸架システムの故障が含まれる請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記事象には使用者の選択が含まれる請求項85に記載の方法。
【請求項88】
乗物の中で設備を能動的に懸架するための方法であって、
電磁アクチュエータを含む能動型懸架システムによって前記設備に力を加えることと、
誘発事象に応答して前記設備を懸架するためにフェイルセーフシステムを作動させることと、を含む方法。
【請求項89】
誘発事象がさらに、動作中に前記設備の状態の指標となる情報を提供するセンサにおける故障も含む請求項88に記載の方法。
【請求項90】
誘発事象がさらに、前記能動型懸架システムにおける故障も含む請求項88に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−125633(P2006−125633A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306373(P2005−306373)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(591009509)ボーズ・コーポレーション (121)
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
【Fターム(参考)】