説明

膜位置調整方法、記憶媒体及び基板処理システム

【課題】形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれの解消を容易に行うことができる膜位置調整方法を提供する。
【解決手段】ウエハWの表面に膜を形成するプロセスチャンバ12と、ウエハWのセンタリングを行うオリエンタ16とを備え、オリエンタ16はウエハWの中心位置のずれを測定するオリエンタセンサ42とウエハWの非成膜部の幅を測定する画像センサ41とを有する基板処理システム10において、ウエハWの表面に膜が形成され、さらに、ウエハWの中心位置のずれが測定され、ウエハWのセンタリングが行われ且つウエハWの非成膜部の幅が測定され、該測定された非成膜部の幅に基づいて膜位置ずれが算出され、該算出された膜位置ずれに基づいてプロセスチャンバ12におけるリング及び載置台13上のウエハWの相対位置関係が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜位置調整方法、記憶媒体及び基板処理システムに関し、特に、基板の表面にプラズマ処理によって形成された膜の位置ずれを測定して解消する膜位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板としての円板状のウエハの表面に絶縁膜や配線等を構成する金属膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)等によって形成するプロセスチャンバを備える基板処理システムが知られている。この基板処理システムにおいてウエハの表面に略円形の膜を形成する際、ウエハの中心及び膜の中心が一致するのが好ましい。ところが、基板処理システムではウエハの搬送中に生じるずれやプロセスチャンバ内におけるプラズマの分布の偏り等によって形成された膜の位置及びウエハの表面における膜の基準位置のずれが生じることがある(図6参照。)。
【0003】
形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれ(以下、単に「膜位置ずれ」という。)を解消するために、プロセスチャンバではウエハを載置する載置台におけるウエハの位置が調整される。具体的には、ウエハを搬送する搬送アーム(搬送ユニット)が、膜位置ずれに応じて、載置台におけるウエハの位置を調整することによってプロセスチャンバ内のプラズマに対するウエハの位置を調整する。
【0004】
ウエハの大きさに対して膜の大きさは小さいため、通常、ウエハの周縁部においてウエハの表面に膜が形成されない非成膜部(図6参照。)が生じる。膜位置ずれを求める際には、この非成膜部の幅を数カ所において測定し、測定された非成膜部の幅から膜位置ずれを算出する。
【0005】
ウエハの非成膜部の幅を測定する場合、ウエハを基板処理システムから操作者が搬出して金属顕微鏡(例えば、非特許文献1参照。)によって当該幅を測定している。具体的には、金属顕微鏡によってウエハの周縁部の4箇所(円周方向に90°ずつ)の幅を測定している。
【非特許文献1】“金属顕微鏡とは|まるごとわかるマイクロスコープ/SEM/レーザ顕微鏡/蛍光顕微鏡”、[online]、2005年、株式会社キーエンス、[平成18年4月10日検索]、インターネット<URL:http://www.sensor.co.jp/microscope/feature/12.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属顕微鏡を用いた測定方法は、上述したように、操作者がウエハを基板処理システムから搬出する必要があり、また、測定された非成膜部の幅から算出された膜位置ずれを操作者が基板処理システムに入力する必要がある。さらに、許容される膜位置ずれは0.2mm程度であるため、測定誤差の影響が大きく、何回も測定及びウエハの位置調整を繰り返す必要がある。すなわち、膜位置ずれの解消に非常に手間を要するものとなっている。
【0007】
本発明の目的は、形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれの解消を容易に行うことができる膜位置調整方法、記憶媒体及び基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の膜位置調整方法は、基板の表面に膜を形成する膜形成装置と、前記基板のセンタリングを行うセンタリング装置と、制御部とを備え、前記センタリング装置は前記基板の中心位置のずれを測定する位置ずれセンサと前記基板の表面において前記膜が形成されない非成膜部を画像認識する画像センサとを有する基板処理システムにおける膜位置調整方法であって、前記膜形成装置が前記基板に前記膜を形成する膜形成ステップと、前記画像センサが前記非成膜部の幅を測定する幅測定ステップと、前記制御部が前記測定された幅に基づいて前記形成された膜の位置及び前記膜の基準位置のずれを算出する位置ずれ算出ステップと、前記制御部が前記算出された位置のずれに基づいて前記膜形成装置における前記基板の位置を調整する基板位置調整ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の膜位置調整方法は、請求項1記載の膜位置調整方法において、前記基板及び前記膜は略円形であり、前記幅測定ステップでは、前記基板の周縁部において円周方向に沿う90°毎に前記非成膜部の幅を測定することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の膜位置調整方法は、請求項1又は2記載の膜位置調整方法において、前記基板の中心位置のずれを測定する中心位置ずれ測定ステップを有することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の膜位置調整方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の膜位置調整方法において、前記基板のセンタリングを行うセンタリングステップを有することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の膜位置調整方法は、請求項4記載の膜位置調整方法において、前記センタリングステップでは、前記基板に前記膜を形成する前に前記基板のセンタリングを行うことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項6記載の記憶媒体は、基板の表面に膜を形成する膜形成装置と、前記基板のセンタリングを行うセンタリング装置と、制御部とを備え、前記センタリング装置は前記基板の中心位置のずれを測定する位置ずれセンサと前記基板の表面において前記膜が形成されない非成膜部を画像認識する画像センサとを有する基板処理システムにおける膜位置調整方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記プログラムは、前記膜形成装置が前記基板に前記膜を形成する膜形成モジュールと、前記画像センサが前記非成膜部の幅を測定する幅測定モジュールと、前記制御部が前記測定された幅に基づいて前記形成された膜の位置及び前記膜の基準位置のずれを算出する位置ずれ算出モジュールと、前記制御部が前記算出された位置のずれに基づいて前記膜形成装置における前記基板の位置を調整する基板位置調整モジュールとを有することを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項7記載の基板処理システムは、基板の表面に膜を形成する膜形成装置と、前記基板のセンタリングを行うセンタリング装置と、制御部とを備え、前記センタリング装置は前記基板の中心位置のずれを測定する位置ずれセンサを有する基板処理システムにおいて、前記センタリング装置は前記基板の表面において前記膜が形成されない非成膜部を画像認識する画像センサを有し、該画像センサは前記非成膜部の幅を測定し、前記制御部は、前記測定された幅に基づいて前記形成された膜の位置及び前記膜の基準位置のずれを算出し、且つ前記算出された位置のずれに基づいて前記膜形成装置における前記基板の位置を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の膜位置調整方法、請求項6記載の記憶媒体及び請求項7記載の基板処理システムによれば、基板処理システムが備えるセンタリング装置の画像センサによって膜が形成された基板における非成膜部の幅が測定され、制御部によって測定された幅に基づいて形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれが算出され、且つ算出された位置のずれに基づいて膜形成装置における基板の位置が調整される。すなわち、基板を基板処理システムから搬出する必要がなく、操作者が算出された位置のずれを基板処理システムに入力する必要がなく、さらに、操作者ではなく画像センサによって非成膜部の幅を測定するために測定誤差が小さい。したがって、形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれの解消を容易に行うことができる。
【0016】
請求項2記載の膜位置調整方法によれば、基板の周縁部において円周方向に沿う90°毎に非成膜部の幅が測定されるので、形成された膜の中心位置を容易に算出することができ、もって形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれを容易に算出することができる。
【0017】
請求項3記載の膜位置調整方法によれば、基板の中心位置のずれが測定されるので、形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれが生じた場合、当該ずれの発生要因が、膜形成装置における基板の位置の不適切か、膜形成装置において基板を載置する載置台の周辺に配された部材の位置の不適切(位置ずれ)かを判別することができる。
【0018】
請求項4記載の膜位置調整方法によれば、基板のセンタリングが行われるので、画像センサの画像認識範囲から非成膜部が逸脱するのを防止することができ、もって、非成膜部の幅を効率良く測定することができる。
【0019】
請求項5記載の膜位置調整方法によれば、基板の表面に膜を形成する前に基板のセンタリングが行われるので、膜の形成後に基板の中心位置のずれを測定することによって基板処理システムにおける基板の搬送に起因するずれを測定することができ、形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれの発生要因を詳細に検討することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
まず、本発明の実施の形態に係る基板処理システムについて説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る基板処理システムの概略構成を示す平面図である。
【0023】
図1において、基板処理システム10は、半導体デバイス用の円板状のウエハWにプラズマを用いた膜形成処理であるCVD処理を施す複数のプロセスシップ11と、該複数のプロセスシップ11がそれぞれ接続された矩形状の共通搬送室としてのローダーモジュール9とを備える。
【0024】
ローダーモジュール9には、上述したプロセスシップ11の他、25枚のウエハWを収容する容器としてのフープ(Front Opening Unified Pod)14がそれぞれ載置される3つのフープ載置台15と、フープ14から搬出されたウエハWのセンタリングを行うオリエンタ16(センタリング装置)とが接続されている。
【0025】
複数のプロセスシップ11は、ローダーモジュール9の長手方向における側壁に接続されると共にローダーモジュール9を挟んで3つのフープ載置台15と対向するように配置され、オリエンタ16はローダーモジュール9の長手方向に関する一端に配置される。
【0026】
ローダーモジュール9は、内部に配置され且つウエハWを搬送する基板搬送ユニット19と、各フープ載置台15に対応するように側壁に配置されたウエハWの投入口としての3つのロードポート20とを有する。基板搬送ユニット19は、水平方向に伸縮自在且つ回転自在なアーム29と、該アーム29の先端部に接続されてウエハWを支持する二股状の搬送フォーク28とを有する。基板搬送ユニット19はアーム29を伸縮・回転させることによってウエハWを支持する搬送フォーク28を移動させ、これにより、ウエハWを搬送する。具体的に、基板搬送ユニット19は、フープ載置台15に載置されたフープ14からウエハWをロードポート20経由で取り出し、該取り出したウエハWをプロセスシップ11やオリエンタ16へ搬出入する。
【0027】
プロセスシップ11は、ウエハWにCVD処理を施す真空処理室としてのプロセスチャンバ12と、該プロセスチャンバ12にウエハWを受け渡す基板搬送ユニット17を内蔵するロード・ロックモジュール18とを有する。
【0028】
プロセスチャンバ12は、該プロセスチャンバ12内に処理ガスを導入する処理ガス導入装置(図示しない)やプロセスチャンバ12内に高周波電力を印加する高周波電極(図示しない)を備え、プロセスチャンバ12内に導入した処理ガスから発生させたプラズマを用いたCVD処理によってウエハWの表面に円形の膜、例えば、絶縁膜や配線等を構成する金属膜等を形成する。また、プロセスチャンバ12はウエハWを載置する載置台13と、該載置台13に対向して配置され且つプラズマを載置台13上のウエハWに向けて集中させるリング(載置台の周辺に配された部材)(図示しない)とを有する。プロセスチャンバ12ではプラズマの分布がリングの位置に左右され、リング及び載置台13上のウエハWの相対位置関係が適切でない場合、例えば、載置台13におけるウエハWの載置位置が不適切な場合やリングの位置が不適切な場合、CVD処理によって形成された膜の位置及び膜の基準位置のずれ(以下、単に「膜位置ずれ」という。)が生じる。また、基板搬送ユニット17が載置台13にウエハWを受け渡す位置を調整することにより、載置台13上におけるウエハWの位置を調整することができ、これにより、リング及びウエハWの相対位置関係を適切にすることができる。
【0029】
プロセスシップ11では、ローダーモジュール9の内部の圧力は大気圧に維持される一方、プロセスチャンバ12の内部圧力は真空に維持される。そのため、ロード・ロックモジュール18は、プロセスチャンバ12との連結部に真空ゲートバルブ21を備えると共に、ローダーモジュール9との連結部に大気ゲートバルブ22を備えることによって、その内部圧力を調整可能な真空予備搬送室として構成される。
【0030】
ロード・ロックモジュール18の内部には、略中央部に基板搬送ユニット17が設置される。基板搬送ユニット17は、水平方向に伸縮自在且つ回転自在なアーム27と、該アーム27の先端部に接続されてウエハWを支持する二股状の搬送フォーク25とを有する。基板搬送ユニット17はアーム27を伸縮・回転させることによってウエハWを支持する搬送フォーク25を移動させ、これにより、ウエハWを搬送する。
【0031】
ロード・ロックモジュール18では、基板搬送ユニット17よりプロセスチャンバ12側に第1のバッファ23が設置され、基板搬送ユニット17よりローダーモジュール9側には第2のバッファ24が設置される。第1のバッファ23及び第2のバッファ24は搬送フォーク25が移動する軌道上に配置され、CVD処理が施されたウエハWを一時的に搬送フォーク25の軌道の上方に待避させることにより、CVD処理が施されていないウエハWとCVD処理が施されたウエハWとのプロセスチャンバ12における円滑な入れ換えを可能とする。
【0032】
また、基板処理システム10は、プロセスシップ11、ローダーモジュール9及びオリエンタ16(以下、まとめて「各構成要素」という。)の動作を制御するシステムコントローラ(制御部)(下記図2参照。)と、ローダーモジュール9の長手方向に関する一端に配置されたオペレーションGUI(Graphical User Interface)26とを備える。
【0033】
上記システムコントローラはCVD処理に対応するプログラムに応じて各構成要素の動作を制御する。オペレーションGUI26は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)からなるタッチパネルディスプレイ(図示しない)を有する。上記タッチパネルディスプレイは各構成要素の動作状況を表示し、操作者の操作入力を受け付ける。
【0034】
図2は、図1の基板処理システムの各構成要素の動作を制御するシステムコントローラのブロック図である。
【0035】
図2に示すように、システムコントローラは、EC(Equipment Controller)30と、複数のMC31(Module Controller)31と、EC30及び各MC31を接続するスイッチングハブ32とを備える。該システムコントローラはEC30からLAN(Local Area Network)33を介して、基板処理システム10が設置されている工場全体の製造工程を管理するMES(Manufacturing Execution System)としてのPC34に接続されている。MESは、システムコントローラと連携して工場における工程に関するリアルタイム情報を基幹業務システム(図示しない)にフィードバックすると共に、工場全体の負荷等を考慮して工程に関する判断を行う。
【0036】
EC30は、各MC31を統括して基板処理システム10全体の動作を制御する主制御部(マスタ制御部)である。また、EC30は、CPU、RAM、HDD等を有し、オペレーションGUI26において操作者によって指定されたウエハWの処理条件、すなわち、レシピに対応するプログラムに応じて制御信号を送信することにより、プロセスシップ11、ローダーモジュール9及びオリエンタ16の動作を制御する。
【0037】
スイッチングハブ32は、EC30からの制御信号に応じてEC30の接続先としてのMC31を切り替える。
【0038】
MC31は、それぞれプロセスシップ11、ローダーモジュール9及びオリエンタ16の動作を制御する副制御部(スレーブ制御部)である。各MC31は、DIST(Distribution)ボード35によってGHOSTネットワーク36を介して各I/O(入出力)モジュール37に接続される。GHOSTネットワーク36は、各MC31が有するMCボードに搭載されたGHOST(General High-Speed Optimum Scalable Transceiver)と称されるLSIによって実現されるネットワークである。GHOSTネットワーク36では、最大で31個のI/Oモジュール37を接続可能であり、GHOSTネットワーク36では、MC31がマスタに該当し、I/Oモジュール37がスレーブに該当する。
【0039】
I/Oモジュール37は、例えば、プロセスシップ11における各構成要素(以下、「エンドデバイス」という。)に接続された複数のI/O部38からなり、各エンドデバイスへの制御信号及び各エンドデバイスからの出力信号の伝達を行う。I/Oモジュール37においてI/O部38に接続されるエンドデバイスには、例えば、プロセスチャンバ12の載置台13、処理ガス導入装置及び高周波電極が該当する。
【0040】
また、各GHOSTネットワーク36には、I/O部38におけるデジタル信号、アナログ信号及びシリアル信号の入出力を制御するI/Oボード(図示しない)も接続される。
【0041】
基板処理システム10において、ウエハWにCVD処理を施す際には、CVD処理のレシピに対応するプログラムに応じてEC30が、スイッチングハブ32、MC31、GHOSTネットワーク36及びI/Oモジュール37におけるI/O部38を介して、プロセスシップ11の各エンドデバイスに制御信号を送信することによってプロセスシップ11においてCVD処理を実行する。
【0042】
図2のシステムコントローラでは、複数のエンドデバイスがEC30に直接接続されることなく、該複数のエンドデバイスに接続されたI/O部38がモジュール化されてI/Oモジュール37を構成し、該I/Oモジュール37がMC31及びスイッチングハブ32を介してEC30に接続されるため、通信系統を簡素化することができる。
【0043】
また、EC30が送信する制御信号には、所望のエンドデバイスに接続されたI/O部38のアドレス及び当該I/O部38を含むI/Oモジュール37のアドレスが含まれているため、スイッチングハブ32は制御信号におけるI/Oモジュール37のアドレスを参照し、MC31のGHOSTが制御信号におけるI/O部38のアドレスを参照することによって、スイッチングハブ32やMC31がCPUに制御信号の送信先の問い合わせを行う必要を無くすことができ、これにより、制御信号の円滑な伝達を実現することができる。
【0044】
図3は、図1におけるオリエンタの概略構成を示す水平断面図である。
【0045】
図3において、オリエンタ16は筐体状の本体39と、該本体39のほぼ中央に配置される回転台40と、該回転台40に載置されるウエハWの周縁部に対応して配置された画像センサ41(コグネックス株式会社製)及びオリエンタセンサ42と、基板搬送ユニット19を用いて回転台40上におけるウエハWのセンタリングを行うセンタリング機構(図示しない)を備える。
【0046】
回転台40はウエハWを載置して水平面内において回転させる。オリエンタセンサ42は回転するウエハWの周縁部の位置を測定することによってウエハWの中心位置のずれを測定する。センタリング機構は、測定されたウエハWの中心位置のずれに基づいて、一度基板搬送ユニット19に回転台40からウエハWを受け取らせ、さらに、基板搬送ユニット19が回転台40にウエハWを再度受け渡す際に、基板搬送ユニット19により回転台40へのウエハWの受け渡し位置を調整させることによってセンタリングを行う。
【0047】
画像センサ41は、ウエハWの周縁部を画像認識し、認識された画像のコントラスト等を参照して膜が形成されていない非成膜部の幅を測定する。なお、画像センサ41は、回転台40上でセンタリングが行われたウエハWの周縁部と対向するように配置されている。
【0048】
オリエンタ16は、該オリエンタ16の各構成要素、例えば、回転台40や画像センサ41の動作を制御するオリエンタコントロールユニット43に接続される。オリエンタコントロールユニット43は図2のシステムコントローラにおけるオリエンタ16に対応するMC31のI/Oモジュール37におけるI/O部38に接続される。また、該オリエンタ16の各構成要素はインターロック信号線44を介してI/Oモジュール37におけるI/O部38に接続され、インターロック信号線44は、オリエンタ16の各構成要素の動作停止信号であるインターロック信号をオリエンタ16からI/Oモジュール37へ伝達する。
【0049】
次に、本実施の形態に係る膜位置調整方法について説明する。
【0050】
図4は、図1の基板処理システムにおいて実行される膜位置調整処理のフローチャートである。本処理はプロセスチャンバ12のメンテナンス、例えば、リングの交換を行う度に実行される。
【0051】
図4において、まず、フープ14から搬出されたウエハWをオリエンタ16に搬入し、該オリエンタ16はセンタリング機構によってウエハWのセンタリングを行う(ステップS41)。
【0052】
次いで、センタリングされたウエハWをプロセスチャンバ12に搬入し、プロセスチャンバ12はウエハWにCVD処理を施すことによってウエハWの表面に膜を形成する(ステップS42)。このとき、プロセスチャンバ12はウエハWの非成膜部と形成された膜との境目が明りょうになるレシピ(通常のレシピとは異なるレシピ)に従ってCVD処理を行う。これにより、オリエンタ16の画像センサ41が認識する画像においてコントラストを明りょうにすることができる。
【0053】
次いで、表面に膜が形成されたウエハWをオリエンタ16に搬入し、該オリエンタ16はオリエンタセンサ42によってウエハWの中心位置のずれを測定する(ステップS43)。このとき、センタリング機構によってウエハWのセンタリングを行ってもよい。
【0054】
その後、オリエンタ16は画像センサ41によってウエハWの周縁部を画像認識して非成膜部の幅を測定する(ステップS44)。このとき、オリエンタ16は回転台40によってウエハWを回転させ、画像センサ41はウエハWの周縁部において円周方向に沿う90°毎に非成膜部の幅を測定する。すなわち、画像センサ41は非成膜部の幅を4箇所において測定する。
【0055】
次いで、オリエンタ16はEC30へステップS43で測定されたウエハWの中心位置のずれ及びステップS44で測定された非成膜部の幅を送信し、EC30は非成膜部の幅に基づいて膜位置ずれ、具体的には、形成された膜の中心位置及びウエハWの中心位置のずれを算出する(ステップS45)。
【0056】
その後、ステップS46において、EC30は算出された膜位置ずれが0.2mm以内であれば、本処理を終了し、膜位置ずれが0.2mmより大であれば、さらに、EC30は、膜位置ずれ及びウエハWの中心位置のずれに基づいて、膜位置ずれの発生要因を判別する。具体的には、ウエハWの中心位置のずれが大きいときは、ウエハWの搬送中にずれが生じた可能性が高いことから、プロセスチャンバ12の載置台13におけるウエハWの載置位置が不適切であると判別し、ウエハWの中心位置のずれが小さいときは、ウエハWの搬送中にずれが生じた可能性が小さいことから、プロセスチャンバ12におけるリングの位置が不適切であると判別する。
【0057】
次いで、EC30はプロセスシップ11に対応するMC31に膜位置ずれを送信し、該MC31は送信された膜位置ずれに基づいて、該膜位置ずれを解消するための載置台13によるウエハWの位置の調整量を算出し、プロセスチャンバ12において算出された調整量に基づいてリング及び載置台13上のウエハWの相対位置関係を調整し(ステップS47)、その後、ステップS41に戻る。
【0058】
上述した図4の処理によれば、基板処理システム10が備えるオリエンタ16の画像センサ41によって膜が形成されたウエハWの非成膜部の幅が測定され、EC30によって測定された非成膜部の幅に基づいて膜位置ずれが算出され、MC31によって算出された膜位置ずれに基づいてプロセスチャンバ12におけるリング及び載置台13上のウエハWの相対位置関係が調整される。すなわち、ウエハWを基板処理システム10から搬出する必要がなく、操作者が算出された膜位置ずれを基板処理システム10に入力する必要がなく、さらに、操作者ではなく画像センサ41によって非成膜部の幅を測定するために測定誤差が小さい。したがって、膜位置ずれの解消を容易に行うことができる。
【0059】
また、図4の処理は各プロセスチャンバ12に適用することができるため、基板処理システム10が備えるプロセスチャンバ12が多いほど操作者の手間削減の効果が大きくなる。
【0060】
図4の処理では、ウエハWの周縁部において円周方向に沿う90°毎に非成膜部の幅が測定されるので、形成された膜の中心位置を容易に算出することができ、もって膜位置ずれを容易に算出することができる。
【0061】
また、図4の処理では、ウエハWの中心位置のずれが測定されるので、膜位置ずれが生じた場合、当該膜位置ずれの発生要因が、プロセスチャンバ12の載置台13におけるウエハWの載置位置の不適切か、プロセスチャンバ12におけるリングの位置の不適切かを判別することができる。
【0062】
オリエンタ16においてウエハWの周縁部を画像認識する場合、ウエハWの中心位置のずれが大きいと、非成膜部が画像センサ41の画像認識範囲から逸脱することがある。これに対して、図4の処理では、画像センサ41によるウエハWの周縁部の画像認識に先立ってウエハWのセンタリングを行ってもよい。これにより、画像センサ41の画像認識範囲から非成膜部が逸脱するのを防止することができ、もって、非成膜部の幅を効率良く測定することができる。
【0063】
また、図4の処理では、ウエハWの表面に膜を形成する前にウエハWのセンタリングが行われるので、膜の形成後にウエハWの中心位置のずれを測定することによって基板処理システム10におけるウエハWの搬送に起因するずれを測定することができ、膜位置ずれの発生要因を詳細に検討することができる。
【0064】
上述した図4の処理では、画像センサ41が成膜部の幅を4箇所において測定したが、測定箇所の数はこれに限られず、形成された膜の中心位置を特定できる数であればよい。例えば、画像センサ41が円周方向に沿う120°毎、すなわち、3箇所において非成膜部の幅を測定してもよい。
【0065】
図4の処理は、表面に膜が形成されたウエハWだけでなく、表面がエッチングされたウエハWにも適用することが可能である。具体的には、エッチング処理が施されたウエハWにおいて、ウエハWの周縁部における非エッチング部の幅を画像センサ41によって測定することにより、ウエハWの表面に形成された円形のエッチング領域及び基準のエッチング領域のずれを算出し、該算出された領域のずれに基づいて、エッチング処理を行うプロセスチャンバ(エッチャー)における載置台上のウエハWの位置が調整される。
【0066】
また、図4の処理は、プロセスチャンバ12のメンテナンスを行う度に実行されるとしたが、図4の処理の実行タイミングはこれに限られず、例えば、或るロットと他のロットの間において実行してもよい。
【0067】
上述した本実施の形態に係る膜位置調整方法が適用される基板処理システムは、図1に示すような互いに平行に配されたプロセスシップを2つ備えるパラレルタイプの基板処理システムに限られず、図5に示すように、ウエハWにCVD処理を施す真空処理室としての複数のプロセスモジュールが放射状に配置された基板処理システムも該当する。
【0068】
図5は、本実施の形態に係る膜位置調整方法が適用される基板処理システムの変形例の概略構成を示す平面図である。なお、図5においては、図1の基板処理システム10における構成要素と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図5において、基板処理システム45は、平面視六角形のトランスファモジュール46と、該トランスファモジュール46の周囲において放射状に配置された、ウエハWにCVD処理を施す4つのプロセスモジュール47〜50と、矩形状の共通搬送室としてのローダーモジュール9と、トランスファモジュール46及びローダーモジュール9の間に配置され、トランスファモジュール46及びローダーモジュール9を連結する2つのロード・ロックモジュール51,52とを備える。
【0070】
トランスファモジュール46及び各プロセスモジュール47〜50は内部の圧力が真空に維持され、トランスファモジュール46と各プロセスモジュール47〜50とは、それぞれ真空ゲートバルブ53〜56を介して接続される。
【0071】
基板処理システム45では、ローダーモジュール9の内部圧力が大気圧に維持される一方、トランスファモジュール46の内部圧力は真空に維持される。そのため、各ロード・ロックモジュール51,52は、それぞれトランスファモジュール46との連結部に真空ゲートバルブ57,58を備えると共に、ローダーモジュール9との連結部に大気ドアバルブ59,60を備えることによって、その内部圧力を調整可能な真空予備搬送室として構成される。また、各ロード・ロックモジュール51,52はローダーモジュール9及びトランスファモジュール46の間において受渡されるウエハWを一時的に載置するための載置台61,62を有する。
【0072】
トランスファモジュール46はその内部に配置された屈伸及び旋回自在になされたフロッグレッグタイプの基板搬送ユニット63を有し、基板搬送ユニット63は、水平方向に伸縮自在且つ回転自在なアーム64と、該アーム64の先端部に接続されてウエハWを支持する二股状の搬送フォーク65とを有する。基板搬送ユニット63は、各プロセスモジュール47〜50や各ロード・ロックモジュール51,52の間においてウエハWを搬送する。
【0073】
各プロセスモジュール47〜50は、それぞれ処理が施されるウエハWを載置する載置台(図示しない)を有する。ここで、プロセスモジュール47〜50は基板処理システム10におけるプロセスチャンバ12と同様の構成を有する。
【0074】
なお、基板処理システム45における各構成要素の動作は、基板処理システム10におけるシステムコントローラと同様の構成を有するシステムコントローラによって制御される。
【0075】
上述した本実施の形態に係る膜位置調整方法が適用される基板処理システムにおける各プロセスチャンバはウエハWにCVD処理を施す真空処理室に限られず、半導体デバイスの製造工程においてウエハWの表面に膜を形成する処理室であればよく、例えば、ウエハWに熱処理、又はPVD処理を施す処理室であってもよい。
【0076】
また、上述した基板処理システム10において表面に膜が形成される基板は半導体デバイス用のウエハに限られず、LCD(Liquid Crystal Display)やFPD(Flat Panel Display)等に用いる各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等であってもよい。
【0077】
本発明の目的は、上述した本実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムコントローラに供給し、システムコントローラのコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0078】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した本実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0079】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0080】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記本実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した本実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0081】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した本実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0082】
上記プログラムコードの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理システムの概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の基板処理システムの各構成要素の動作を制御するシステムコントローラのブロック図である。
【図3】図1におけるオリエンタの概略構成を示す水平断面図である。
【図4】図1の基板処理システムにおいて実行される膜位置調整処理のフローチャートである。
【図5】本実施の形態に係る膜位置調整方法が適用される基板処理システムの変形例の概略構成を示す平面図である。
【図6】形成された膜の位置及びウエハの表面における膜の基準位置のずれを示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
W ウエハ
10 基板処理システム
12 プロセスチャンバ
13 載置台
16 オリエンタ
30 EC
31 MC
40 回転台
41 画像センサ
42 オリエンタセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に膜を形成する膜形成装置と、前記基板のセンタリングを行うセンタリング装置と、制御部とを備え、前記センタリング装置は前記基板の中心位置のずれを測定する位置ずれセンサと前記基板の表面において前記膜が形成されない非成膜部を画像認識する画像センサとを有する基板処理システムにおける膜位置調整方法であって、
前記膜形成装置が前記基板に前記膜を形成する膜形成ステップと、
前記画像センサが前記非成膜部の幅を測定する幅測定ステップと、
前記制御部が前記測定された幅に基づいて前記形成された膜の位置及び前記膜の基準位置のずれを算出する位置ずれ算出ステップと、
前記制御部が前記算出された位置のずれに基づいて前記膜形成装置における前記基板の位置を調整する基板位置調整ステップとを有することを特徴とする膜位置調整方法。
【請求項2】
前記基板及び前記膜は略円形であり、
前記幅測定ステップでは、前記基板の周縁部において円周方向に沿う90°毎に前記非成膜部の幅を測定することを特徴とする請求項1記載の膜位置調整方法。
【請求項3】
前記基板の中心位置のずれを測定する中心位置ずれ測定ステップを有することを特徴とする請求項1又は2記載の膜位置調整方法。
【請求項4】
前記基板のセンタリングを行うセンタリングステップを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の膜位置調整方法。
【請求項5】
前記センタリングステップでは、前記基板に前記膜を形成する前に前記基板のセンタリングを行うことを特徴とする請求項4記載の膜位置調整方法。
【請求項6】
基板の表面に膜を形成する膜形成装置と、前記基板のセンタリングを行うセンタリング装置と、制御部とを備え、前記センタリング装置は前記基板の中心位置のずれを測定する位置ずれセンサと前記基板の表面において前記膜が形成されない非成膜部を画像認識する画像センサとを有する基板処理システムにおける膜位置調整方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記プログラムは、
前記膜形成装置が前記基板に前記膜を形成する膜形成モジュールと、
前記画像センサが前記非成膜部の幅を測定する幅測定モジュールと、
前記制御部が前記測定された幅に基づいて前記形成された膜の位置及び前記膜の基準位置のずれを算出する位置ずれ算出モジュールと、
前記制御部が前記算出された位置のずれに基づいて前記膜形成装置における前記基板の位置を調整する基板位置調整モジュールとを有することを特徴とする記憶媒体。
【請求項7】
基板の表面に膜を形成する膜形成装置と、前記基板のセンタリングを行うセンタリング装置と、制御部とを備え、前記センタリング装置は前記基板の中心位置のずれを測定する位置ずれセンサを有する基板処理システムにおいて、
前記センタリング装置は前記基板の表面において前記膜が形成されない非成膜部を画像認識する画像センサを有し、
該画像センサは前記非成膜部の幅を測定し、
前記制御部は、前記測定された幅に基づいて前記形成された膜の位置及び前記膜の基準位置のずれを算出し、且つ前記算出された位置のずれに基づいて前記膜形成装置における前記基板の位置を調整することを特徴とする基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−294752(P2007−294752A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122436(P2006−122436)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】