説明

膨張黒鉛シートの使用方法及びシリコンの製造方法

【課題】シリコンの製造に使用される内側るつぼの損傷を防止し、かつ、外側るつぼのSiC化を抑制することができ、外側るつぼから内側るつぼに均一に熱を伝えることができる膨張黒鉛シートの使用方法及びこの使用方法を用いたシリコンの製造方法を提供する。
【解決手段】石英製の内側るつぼ2と黒鉛製の外側るつぼ3を有するるつぼ1において、両るつぼの間に、ガス透過率が1.0×10−4cm/sより小さく、熱伝導率が120W/m・K以上である膨張黒鉛シート4を配設する。これによりガス遮蔽性が保たれ、るつぼの均一加熱が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張黒鉛シートの使用方法及びシリコンの製造方法に関する。CZ法によるシリコン単結晶等の製造には、るつぼが使用される。かかるるつぼとして、ヒータ等によって加熱される外側るつぼと、シリコン単結晶等の原材料が収容される内側るつぼとを備えたものがある。通常、内側るつぼには、シリコンとの反応性、純度の問題から石英製のるつぼが採用され、外側るつぼには、純度、耐熱性および強度の問題から黒鉛製のるつぼが採用されており、内側るつぼを外側るつぼに内挿した状態でシリコン単結晶などの製造に使用される。
しかるに、石英製の内側るつぼは非常にもろく破損しやすいので外側るつぼに内挿する際には非常に慎重に作業を行わなければならない。また、シリコン単結晶などの製造終了後るつぼを冷却するときに、内側るつぼと外側るつぼの熱膨張係数の違いにより両るつぼに割れ等の損傷が生じるという問題がある。さらに、石英ルツボから発生するSiOガス等が外側るつぼと反応して外側るつぼのSiCや減肉等が発生するという問題も生じている。
かかる問題を解決するために、外側るつぼと内側るつぼとの間に、両るつぼを保護するための部材を設けることが行われている。
本発明は、かかる外側るつぼと内側るつぼの間に配置され、両るつぼを保護するために使用される膨張黒鉛シートの使用方法及びシリコンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外側るつぼと内側るつぼの間に配置され、両者の損傷を保護するために種々のシートが開発されている(例えば、特許文献1〜5)。
特許文献1,2には、炭素繊維からなる織物等の炭素繊維部材の表面に、熱分解炭素がコーティングされたシートやファブリックが開示されており、これらのシート等を外側るつぼと内側るつぼとの間に配置する技術が開示されている。そして、これらのシート等は、ある程度柔軟性を有しているので緩衝材として機能する旨、また、表面にコーティングされた熱分解炭素が内側るつぼから発生するSiOガス等と反応するのでSiOガス等と外側るつぼの反応を防ぐことができる旨の記載がある。
【0003】
特許文献1,2の炭素繊維部材は、炭素繊維から構成されておりある程度の柔軟性は有しているので、内側るつぼの外面や外側るつぼの内面に沿って変形させることができる。しかし、特許文献1,2の炭素繊維部材はその圧縮性がそれほど高くないから、内側るつぼを外側るつぼに内挿する際の衝撃を十分に吸収できないし、るつぼ冷却時における両るつぼ間に発生する膨張収縮応力の緩和にもそれほど有効ではない。
また、表面にコーティングされた熱分解炭素をSiOガス等と反応させるにしても、すべてのSiOガス等を反応させることはできないので、炭素繊維部材を通過するSiOガス等は存在する。そして、繊維間に多くの隙間が存在しているため、ガス遮蔽性はそれほど期待できない。たしかに、熱分解炭素をコーティングすることによってある程度のガス遮蔽性を持たせることができる。しかし、ガス遮蔽性を高めるためにコーティングを多くすると柔軟性が失われてしまう。すると、内挿作業中に破損してしまう可能性が高くなる。逆に、柔軟性を維持するためにコーティングを少なくすると、繊維間に多数の隙間が残ってしまうので、ガス遮蔽性を十分に高めることができない。
【0004】
炭素繊維部材よりも柔軟性や圧縮性に優れた材料として、膨張黒鉛をシート状にした膨張黒鉛シートがあり、かかる膨張黒鉛シートをるつぼ用保護シートとして使用する技術も特許文献3〜5に開示されている。
そして、膨張黒鉛シートは柔軟性を有し圧縮率並びに復元率の高い材料であり、しかも、平面方向の熱伝導性が良好であるから、るつぼの上下方向の温度の均一化に有効であり熱衝撃や熱膨張度の膨張収縮応力の緩和にも役立つとの記載が特許文献3にはある。また、膨張黒鉛シートはガス透過性も非常に低い異方性の強い材料であるから、ガス透過性に抵抗があるとの記載も特許文献3にはある。
【0005】
膨張黒鉛シートにおいて、柔軟性や圧縮性はそのかさ密度と関連性が高く、かさ密度が小さくなるほど柔軟性や圧縮性は向上し、衝撃吸収能力や膨張収縮応力を緩和する能力が向上する。一方、かさ密度が小さくなると平面方向の熱伝導率は低下する。つまり、膨張黒鉛シートにおいて、柔軟性や圧縮性と熱伝導率とはトレードオフの関係となっているのである。
このため、かさ密度を小さくして膨張黒鉛シートの圧縮性を向上させれば、柔軟性や圧縮性が向上するので内挿作業時や冷却時にるつぼが破損する可能性は低くなるものの、面方向の熱伝導率の低下によりシリコン単結晶等の製造時における原材料や石英るつぼの温度の均一性が低下し製品品質が低下してしまう可能性が高くなる。
逆に、かさ密度を大きくして熱伝導率を向上させれば、シリコン単結晶等の製造時における材料や石英るつぼの温度の均一性が高くなり製品品質は向上するのであるが、膨張黒鉛シートの圧縮性が低下しるつぼ冷却時に破損する可能性が高くなる。
【0006】
しかし、特許文献3〜5では、膨張黒鉛シートの性質を特定する上でそのシートの厚さと不純物濃度程度しか考慮されておらず、熱伝導率と圧縮率の両方を考慮することは行われていない。
そして、ガス遮蔽性については特許文献3に上記のごとき記載はある程度であり、膨張黒鉛シートの性質を特定する上ではほとんど考慮されておらず、外側るつぼと内側るつぼの間に配置される膨張黒鉛シートにおいて、かかるシートに適したガス透過性を、熱伝導率、圧縮率とともに検討した例は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−261481号
【特許文献2】特開2002−226292号
【特許文献3】特許第2528285号
【特許文献4】特開2003−267781号
【特許文献5】特開2004−75521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、内側るつぼの損傷を防止し、かつ、外側るつぼのSiC化を抑制することができ、外側るつぼから内側るつぼに均一に熱を伝えることができる膨張黒鉛シートの使用方法及びこの使用方法を用いたシリコンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、内側るつぼと外側るつぼとの間に、ガス透過率が1.0×10−4cm/s以下である膨張黒鉛シートを配設することを特徴とする。
第2発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、内側るつぼと外側るつぼとの間に、熱伝導率が120W/m・K以上である膨張黒鉛シートを配設することを特徴とする。
第3発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明及び第2発明において、前記膨張黒鉛シートは、少なくともるつぼの側面とるつぼの底面との接続する部分に配設されることを特徴とする。
第4発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第3発明において、前記接続する部分は、湾曲部となされていることを特徴とする。
第5発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明〜第4発明において、厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮したときにおいて圧縮率が20%以上であることを特徴とする。
第6発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第5発明において、前記圧縮率は、20〜74%であることを特徴とする。
第7発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明〜第6発明において、前記膨張黒鉛シートは、かさ密度が0.5Mg/m以上であることを特徴とする。
第8発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第7発明において、前記かさ密度は、0.5〜1.6Mg/mであることを特徴とする。
第9発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明〜第8発明において、前記膨張黒鉛シートは、厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮した後、加圧力を除去したときにおける復元率が5%以上であることを特徴とする。
第10発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明〜第9発明において、前記膨張黒鉛シートは、厚さが0.2mm以上0.6mm以下であることを特徴とする。
第11発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明〜第10発明において、灰分が10massppm以下であることを特徴とする。
第12発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明〜第11発明において、前記膨張黒鉛シートが複数枚積層されて用いられることを特徴とする。
第13発明の膨張黒鉛シートの使用方法は、第1発明〜第12発明において、前記膨張黒鉛シートは、一辺が200mmである正方形状の前記シートにおける、一辺が25mmである正方形状をした複数の試験領域において、熱伝導率が最大となる試験領域における熱伝導率の値と熱伝導率が最小となる試験領域における熱伝導率の値との差を、全ての試験領域における熱伝導率の平均値で除した値が、0.1以下となるように調整されていることを特徴とする。
第14発明のシリコンの製造方法は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法を適用したシリコンの製造方法であり、カーボン製の外側るつぼと、溶融シリコンが入れられると共に外側るつぼに内挿された内側るつぼとの間に膨張黒鉛シートを配設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、膨張黒鉛シートのガス透過率が内側るつぼを加熱したときに発生するSiOガスの透過を防ぐことができる程度に保たれているので、外側るつぼのSiC化や減肉等の発生を防ぐことができる。
第2発明によれば、膨張黒鉛シートの熱伝導率が内側るつぼを均一加熱できる程度に保たれているので、製品品質の低下を防ぐことができる。
第3発明によれば、SiOガスの対流が発生する部分に膨張黒鉛シートが設けられるので、SiOガスの対流を防ぐことができる。
第4発明によれば、SiOガスの対流が多く発生するるつぼの湾曲部に膨張黒鉛シートが設けられるので、対流の発生や対流による外側るつぼの減肉を防ぐことができる。
第5発明によれば、膨張黒鉛シートの圧縮率が高いので内側るつぼを内挿するときに破損防止効果が高くなり、作業性を向上することができる。しかも、内側るつぼの底面に凹凸があってもシートが緩衝材となるので、外側るつぼ内における内側るつぼの傾きを防ぐことができる。
第6発明によれば、シートのガス透過率が低い水準に抑えられるので、SiOガスがシートを透過して外側るつぼのSiC化や減肉等の発生を更に抑制することができる。
第7発明及び第8発明によれば、膨張黒鉛シートがある程度の強度を有するので、シートが変形してもその割れ等などを防ぐことができる。
第9発明によれば、膨張黒鉛シートの復元性が高いので、両るつぼ間に発生する膨張収縮量の差に起因して両るつぼ間の隙間が変動しても、シートにより両者の隙間を埋めておくことができるし、シートのクッション性も維持しておくことができる。
第10発明によれば、膨張黒鉛シートが、柔軟性を失わずかつ内側るつぼの内挿時に圧縮されてもクッション性を維持できる厚さに形成されている。よって、内側るつぼを内挿するときにシートが割れたりすることを防ぐことができ、しかも、るつぼ冷却時に両るつぼ間に発生する膨張収縮応力も緩和することができる。
第11発明によれば、膨張黒鉛シート中の灰分が少ないので、シリコンが汚染されることを防ぐことができる。よって、引き上げたシリコン単結晶をより高品質にすることができる。
第12発明によれば、膨張黒鉛シートが複数枚重ねて形成されているので、シートの厚さが薄くても強度を向上させることができ、緩衝シロが大きくなる。よって、シートの割れを防ぐことができ、クッション性も向上させることができる。そして、ガス遮蔽性も向上させることができる。
第13発明によれば、膨張黒鉛シートの熱伝導率の位置によるバラツキが小さくなっているので、シート内を熱が移動するときに、シートにヒートスポットが形成されることを防ぐことができる。よって、ヒートスポットに起因する石英るつぼの局所的な軟化変形や、温度ムラによるシリコン単結晶の品質の悪化を防ぐことができる。
第14発明によれば、製品の品質の低下を防ぐことができるとともに、引き上げたシリコン単結晶を高品質にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(A)は、シリコン単結晶等を製造する設備の概略説明図であり、(B)はるつぼ1の部分拡大説明図である。
【図2】るつぼ用保護シートにおける圧縮率と復元率との関係を示した図である。
【図3】るつぼ用保護シートにおけるシートの厚さと、屈曲性および緩衝性の関係を示した図である。
【図4】るつぼ用保護シートにおけるかさ密度と、圧縮率、ガス透過性、熱伝導率との関係を示した図である。
【図5】(A)はるつぼ用保護シートにおける圧縮率と熱伝導率との関係を示した図であり、(B)はるつぼ用保護シートにおける圧縮率とガス透過性との関係を示した図である。
【図6】厚さ密度を変化させた場合における、るつぼ用保護シートの熱伝導率のバラつきを比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の膨張黒鉛シートの使用方法及びシリコンの製造方法を説明する前に、このシートが使用される装置について簡単に説明する。
図1(A)は、シリコン単結晶等を製造する設備の概略説明図であり、(B)はるつぼ1の部分拡大説明図である。
図1において、符号1は、シリコン単結晶等の原材料となる多結晶シリコンを収容するるつぼである。このるつぼの周囲にはヒータ5が配設されており、このヒータ5からの輻射熱によりるつぼ1を加熱する構成となっている。このため、ヒータ5によりるつぼ1が加熱されると、るつぼ1からの熱伝導により多結晶シリコンが加熱されて溶融するので、この溶融したシリコンに種結晶を接触させて引き上げることにより、シリコン単結晶を製造することができる。
上記のるつぼ1は、通常、石英製の内側るつぼ2と黒鉛製の外側るつぼ3から構成されているのであるが、外側るつぼのSiC化の抑制、内側るつぼ2を外側るつぼ3に内挿する際の破損防止、シリコン単結晶などの製造終了後るつぼ1を冷却するときにおける両るつぼ2,3を形成する材料の熱膨張係数の違いに起因する損傷防止のために、両るつぼ2,3の間に、シート4が配設される。このシート4の使用方法に、本発明の膨張黒鉛シートの使用方法が使用されるのである(図1(B))。
【0013】
ここで、上記のごとき状態で使用される本発明に使用されるるつぼ用保護シートには、外側るつぼから内側るつぼに熱を伝導できることは当然であるが、加えて以下のごとき性質が求められる。
(1)内側るつぼを外側るつぼに内挿する際の衝撃吸収性を有すること(衝撃吸収性)。
(2)内側るつぼ等から発生するSiOガスによる外側るつぼの減肉やSiC化を防ぐこと(ガス遮蔽性)。
(3)内側るつぼをその表面温度が均一な分布となるように、外側るつぼから内側るつぼに熱を伝導すること(加熱の均一性)。
(4)るつぼを冷却するときにおいて、外側るつぼの材料(黒鉛)と内側るつぼの材料(石英)の熱膨張係数の違いに起因する両るつぼの変形量の差を吸収できること(変形量吸収能)。
【0014】
本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、膨張黒鉛から形成され、しかも、その面方向の熱伝導率が120W/(m・K)以上、ガス透過率が1.0×10−4cm/sより小さく、しかも、その厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮したときにおいて、圧縮率が20%以上となるものであるから、以上のごとき性質(1)〜(4)を全て満たすことができるのである。
以下に、本発明に使用されるるつぼ用保護シートの各パラメータと、性質(1)〜(4)との関係を説明する。
【0015】
まず、本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、天然黒鉛やキッシュ黒鉛等を硫酸や硝酸等の液体に浸漬させた後、400℃以上で熱処理を行うことによって形成された膨張黒鉛をシート状に形成したものである。
膨張黒鉛は、綿状または繊維状をしたもの、つまり、その軸方向の長さが半径方向の長さよりも長いものであり、例えば、その軸方向の長さが1〜3mm程度、かつ、半径方向の長さが300〜600μm程度のものである。そして、本発明に使用されるるつぼ用保護シート内部では、上記のごとき膨張黒鉛同士が絡みあっているのである。
なお、本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、上記のごとき膨張黒鉛のみで形成してもよいが、フェノール樹脂やゴム成分等のバインダーが若干(例えば5%程度)混合されていてもよい。
【0016】
(衝撃吸収性および変形量吸収能)
上記のごとき膨張黒鉛から形成された本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、その厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮したときにおいて、圧縮率が20%以上となるものである。圧縮率とは、上記の加圧力で加圧圧縮しているときにおけるシートの厚さを、加圧力を加える前のシートの厚さにより除した値である。
そして、本発明に使用されるるつぼ用保護シートが上記のごとき圧縮率を有していれば、内側るつぼを外側るつぼに内挿するときに、内側るつぼを外側るつぼに押し付ける方向に力が加わってもシートが圧縮変形してその力を吸収することができる。つまり、内側るつぼを内挿したときに発生する衝撃をるつぼ用保護シートが吸収できるから、内側るつぼの破損を防ぐことができ、内挿作業の作業性を向上することができるのである。
しかも、るつぼ用保護シートが十分な圧縮率を有しておれば、内側るつぼの底面に凹凸があっても、その凹凸はシートにくい込んだ状態となる。すると、内側るつぼの外面と外側るつぼの内面との間をシートにより埋めることができる。よって、内側るつぼを外側るつぼに内挿したときに、内側るつぼの底面に凹凸があっても、内側るつぼが傾くことを防ぐことができるから、外側るつぼ内で内側るつぼが傾いたことに起因する溶融シリコンの液もれを防ぐことができる。
【0017】
なお、るつぼ用保護シートが上記のごとき圧縮率を有していても、その厚さが薄すぎれば、十分な緩衝シロを取ることができない。言い換えれば、シートが内側るつぼを内挿した時の衝撃を吸収できなかったり、内側るつぼの外面および外側るつぼの内面にシートが密着できなかったりする可能性がある。
また、るつぼ用保護シートは、内側るつぼと外側るつぼとの間に挟まれると、内側るつぼの底面および外側るつぼの内面に密着するように屈曲変形される。このとき、シート自体の強度が弱かったり柔軟性が小さかったりすれば、るつぼ用保護シートが上記のごとき圧縮率を有していても、内側るつぼと外側るつぼとの間に挟まれたときに、シート自体が割れたり欠けたり破れたりする可能性がある。
【0018】
しかし、るつぼ用保護シートの厚さが0.2〜0.6mmであれば、十分な緩衝シロを取ることができるし、両るつぼ間をシートにより埋めることができる。しかも、かさ密度0.5〜1.6Mg/mとしておけば、ある程度の強度をシートが有するので、シートが変形してもその割れ等などを防ぐことができる。
よって、上記のごとき圧縮率のるつぼ用保護シートにおいて、厚さ0.2〜0.6mmかつかさ密度0.5〜1.6Mg/mとすれば、衝撃吸収性および変形量吸収能を維持しつつ、シートの割れ等などを防ぐことができるので、好適である。
とくに、るつぼ用保護シートを、厚さ0.4〜0.6mm、しかも、0.5〜1.5Mg/mとしておけば、シートの割れ等をより確実に防ぐことができるし、衝撃吸収性および変形量吸収能をより高くできるので、好適である。
【0019】
しかも、るつぼ用保護シートが厚さ0.2〜0.6mm、とくに、0.4〜0.6mmであれば、内側るつぼを外側るつぼ内に配置した後であっても、シートはさらに圧縮変形が可能な状態に維持される。すると、単結晶シリコン製造後、るつぼ全体を冷却するときにおいて、材料の熱膨張係数の違いに起因して、内側るつぼの収縮量よりも外側るつぼの収縮量が大きくなっても、収縮量の差をるつぼ用保護シートが吸収できる。つまり、るつぼ冷却時に両るつぼ間に発生する膨張収縮応力も緩和することができるから、るつぼ冷却時において、るつぼの破損を防ぐことができる。
なお、シートを複数枚重ねて使用すれば、一枚のシートの厚さが薄くても強度を向上させることができ、緩衝シロが大きくなる。よって、シートの割れを防ぐことができ、クッション性も向上させることができる。
さらになお、一枚のシートを重ねて使用してもよいし、事前に複数枚のシートを重ねて形成された多層シートを使用してもよい。
【0020】
さらに、るつぼ用保護シートを厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮したときにおいて、復元率が5%以上であれば、圧縮後荷重が除去された後でも、シートがクッション性を維持しておくことができる。すると、シリコン単結晶の製造作業中において、両るつぼの膨張収縮量の差に起因して両るつぼ間の隙間が変動しても、隙間の変動量がるつぼ用保護シートにおいてその厚さを復元できる範囲内であれば、内側るつぼと外側るつぼとの間を常にシートによって埋めておくことができるので好適である。
なお、復元率とは、上記の加圧力で加圧圧縮した後加圧力を除去したときにおけるシートの厚さを、加圧前のシートの厚さによって除した値である。
【0021】
(ガス遮蔽性)
本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、ガス透過率が、1.0×10−4cm/sより小さくなるように調整されている。
圧縮率が高くなるとガス透過率が大きくなる傾向にあるが(図5(B)参照)、ガス透過率を1.0×10−4cm/sより小さくなるようにしておけば、るつぼ用保護シートの圧縮率が上述したような範囲であっても、内側るつぼを加熱したときに発生するSiOガスのシートの透過を抑えることができる。すると、シートを透過したSiOガスが外側るつぼと反応し、外側るつぼがSiC化することを防ぐことができるから、外側るつぼの寿命を長くすることができ、シリコン単結晶の製造コストを削減することができる。
【0022】
また、SiOガスがるつぼ用保護シートを透過した場合、シートと外側るつぼとの間に流入しこのSiOガスは加熱される。すると、シートと外側るつぼとの間において、SiOガスの対流が発生し、この対流によって外側るつぼが削られ、外側るつぼの減肉が発生する可能性がある。特に、この現象はるつぼのR部(湾曲部、図1(B)のA部参照)において多く見られ、減肉が進むとるつぼがわれる。
しかし、ガス透過率が1.0×10−4cm/sより小さければ、るつぼ用保護シートと外側るつぼとの間に流入するガス自体が少なくなるので、上記のごとき対流の発生や対流による外側るつぼの減肉を防ぐことができる。
【0023】
なお、るつぼ用保護シートが上記のごときガス透過率であっても完全にガスの透過を防ぐことは難しい。しかし、るつぼ用保護シートが上述したような圧縮率および復元率を有していれば、内側るつぼと外側るつぼとの間を常にるつぼ用保護シートによって埋めておくことができる。すると、両るつぼ間にSiOガスが対流する隙間が存在しないから、外側るつぼの減肉の抑制効果を高くすることができる。
さらになお、SiOガスの対流が発生する部分は、るつぼの側面と底面との接続する部分(図1(B)のA部)であるから、かかる対流を防ぐだけであれば、本発明に使用されるるつぼ用保護シートはその部分近傍だけに設けてもよい。また、シートを複数枚重ねたり、複数枚のシートからなる多層シート使用すれば、一枚のシートのガス遮蔽性がそれほど高くなくても、ガス遮蔽性を高めることができる。
【0024】
(熱伝導率および加熱の均一性)
石英製の内側るつぼは熱伝導率がせいぜい2W/(m・K)程度であるのに対し、本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、その面方向の熱伝導率が120W/(m・K)以上である。
加熱開始時において外側るつぼ内面の温度は必ずしも均一な温度分布ではないため、るつぼ用保護シートにも加熱開始時には温度分布が生じる可能性がある。しかし、上記のごとく、本発明に使用されるるつぼ用保護シートの面方向の熱伝導率が石英製の内側るつぼの熱伝導率よりも大きければ、るつぼ用保護シートに温度分布が生じても石英製の内側るつぼをほぼ均一に加熱することができる。すると、内側るつぼ内のシリコンの温度もほぼ均一にできるから、製造されるシリコン単結晶の品質を向上させることができる。
しかも、加熱開始時における内側るつぼの温度上昇、および、冷却開始時における内側るつぼの温度低下を速くすることができるので、シリコン単結晶の生産性を向上することができる。
【0025】
さらに、本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、その面方向の熱伝導率が120W/(m・K)以上であるが、その面方向の熱伝導率が面内でほぼ均一になるように調整されている。
具体的には、るつぼ用保護シートの一部を切り取って一辺が200mmである正方形状の試験片を形成し、この試験片において、その一辺が25mmである正方形状をした複数の試験領域における熱伝導率を測定すると、熱伝導率が最大となる試験領域における熱伝導率の値と熱伝導率が最小となる試験領域における熱伝導率の値との差を、全ての試験領域における熱伝導率の平均値で除した値が、0.1以下となるように調整されている。
もし、るつぼ用保護シートの熱伝導率が均一でなければ、熱伝導率の低い部分には他の部分よりも温度が高いヒートスポットが形成される可能性がある。シートにヒートスポットが形成されると、石英製の内側るつぼにおいてヒートスポットと接触している部分だけが他の部分よりも温度が高くなる可能性がある。すると、内側るつぼ内のシリコンが均一な温度とならずシリコン単結晶の品質の悪化が生じたり、内側るつぼのその部分だけ軟化が進み、内側るつぼがわれるといった問題が生じる可能性がある。
しかし、本発明に使用されるるつぼ用保護シートは、熱伝導率が上記のごとき性質を有するように製造されているので、シリコン単結晶の品質の悪化や内側るつぼの軟化等を防ぐことができるのである。
【0026】
そして、以下の方法を採用すれば、本発明に使用されるるつぼ用保護シートの熱伝導率が、上記のごとく面内でほぼ均一となるように製造することができる。
まず、天然黒鉛やキッシュ黒鉛等を硫酸や硝酸等の液体に浸漬させた後、400℃以上で熱処理を行うことによって綿状の黒鉛(膨張黒鉛)を形成する。この膨張黒鉛は、厚さが1.0〜30.0mm、かさ密度が0.1〜0.5Mg/mであり、この膨張黒鉛11を厚さ0.2〜0.6mm、かさ密度0.5〜1.5Mg/mまで圧縮してるつぼ用保護シートを形成する。
このとき、膨張黒鉛を、送り速度0.1〜20.0m/minとした状態でロール圧延によって圧縮すれば、るつぼ用保護シートの表面に皺等が発生することを防ぐことができ、皺に起因する熱伝導率が低下した部分ができることを防ぐことができる。よって、熱伝導率が均一なるつぼ用保護シートを製造できるのである。
なお、送り速度は、0.1〜20.0m/minであればよいが、0.5〜15.0m/minとすれば、生産性の低下を防ぎつつ、上記のごとき性質を有するるつぼ用保護シートを形成できるので、なお好適である。
【実施例1】
【0027】
本発明に使用されるるつぼ用保護シートを、厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮したときにおける圧縮率および復元率を調べた。
測定は、厚さ0.5mmのるつぼ用保護シートにおいて、かさ密度を0.1,0.5,0.8,1.0,1.2,1.5,1.8Mg/mとしたときにおける、かさ密度と圧縮率、復元率の関係を確認した。圧縮率は、加圧圧縮前のシート厚さに対する加圧圧縮中におけるシート厚さの割合で評価し、復元率は、加圧圧縮前のシート厚さに対する、加圧圧縮後加圧力が除去されたときにおけるシート厚さの割合で評価した。
なお、シートはハロゲンガスで灰分が10ppm以下となるように調整している。
【0028】
図2(A)に示すように、かさ密度が大きくなるにつれ、圧縮率が低下し、復元率が高くなることが確認できる。また、圧縮率と復元率との関係を確認すると、図2(B)に示すように、全体として、圧縮率が大きくなるほど復元率が低下していることが確認できる。つまり、圧縮率と復元率はトレードオフの関係にあることが確認できる。
【実施例2】
【0029】
本発明に使用されるるつぼ用保護シートにおける、シートの厚さと、屈曲性および緩衝性との関係を確認した。屈曲性および緩衝性は、外側るつぼの内面にるつぼ用保護シートを配置した状態において、内側るつぼを外側るつぼに内挿し、シートの損傷を確認した。
シートは、かさ密度を0.1,0.3,0.5,0.7,1.0,1.5,1.7Mg/mとし、厚さを0.1,0.2,0.4,0.6,1.0mmとした。
評価は、屈曲性が良好でシートの割れや破れ、欠けが発生せず、しかも、緩衝性に優れている場合には◎とし、屈曲性および緩衝性が許容できる程度である場合には○、屈曲性、緩衝性のいずれかが悪い場合には△とし、いずれも悪い場合には×として表示している。
なお、外側るつぼには東洋炭素(株)製IG−110(内径φ500,高さ490mm)を、内側るつぼには石英るつぼ(外径φ480,高さ500mm)を使用した。
また、シートはハロゲンガスで灰分が10ppm以下となるように調整している。
【0030】
膨張黒鉛からなるシートでは、一般的にかさ密度が大きくなるほどシートの強度が強くなるのであるが、図3に示すように、シートの厚さが薄すぎる場合(0.1mm)には、かさ密度を大きくしても十分な強度が得られない。このため、るつぼ取付時において、シートに曲げる力が加わると、破れや割れ、欠けなどが生じる。また、十分な緩衝シロがない。
一方、シートの厚さが厚すぎる場合(1mm)には、十分な緩衝シロがあり、その強度も十分に有しており作業性は悪くならないが、屈曲性が悪くなるので、るつぼ取付時において、シートに曲げる力が加わると、割れや欠けなどが生じる。
【0031】
また、かさ密度が小さい場合、強度不足から屈曲性が低く、シート厚さが1mmの場合以外では、シートに曲げる力が加わると、割れや欠けなどが生じる。逆に、かさ密度が1.7Mg/mの場合には、圧縮性が低くなり、厚さが厚くなっていたとしても十分な緩衝シロがない。
【0032】
シート厚さが0.2〜0.6mm、かさ密度が0.5〜1.5Mg/mであれば、十分な緩衝シロを有し、屈曲性を維持しつつもシートの強度を強くできる。とくに、0.4〜0.6mmの場合には、緩衝シロが大きくなりシート強度が強くなるので、好適である。また、このようなシートを複数枚重ねると、シート自体は薄いので割れや欠けも生じず、クッション性、ガス遮蔽性を更に向上できる。
【実施例3】
【0033】
本発明に使用されるるつぼ用保護シートにおける、圧縮率、ガス透過率、熱伝導率を調べた。
測定は、厚さ0.5mmのるつぼ用保護シートにおいて、かさ密度を0.1,0.3,0.5,0.7,1.0,1.5,1.7Mg/mとしたときにおける、圧縮率、ガス透過率、熱伝導率を確認した。
圧縮率は、実施例1と同様に、厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮したときにおける、加圧圧縮前のシート厚さに対する加圧圧縮中におけるシート厚さの割合で評価した。
また、ガス透過率は以下の方法で測定した。
(1)互いに連通された一対の密閉されたチャンバーCA,CBにおいて、両チャンバーCA,CBを連通する通路(直径10mm)を本発明のるつぼ用保護シート(直径30mm)で塞ぐように配置する。言い換えれば、るつぼ用保護シートを通過しなければ一対の密閉されたチャンバーCA,CB間を空気が流れられない状態とする。
(2)この状態から、両チャンバーCA,CB内の気圧が1.0×10−4Paとなるまで両チャンバーCA,CBを真空引きする。そして、一方のチャンバーCA内の真空引きを継続しながら、他方のチャンバーCB内が所定の圧力(1.0×10Pa)となるまでNガスを供給する。
(3)他方のチャンバーCB内が所定の圧力(1.0×10Pa)となると、一方のチャンバーCA内の真空引きを停止する。すると、両チャンバーCA,CB間の圧力差とるつぼ用保護シートのガス透過性に応じて、徐々に他方のチャンバーCBから一方のチャンバーCAにNガスが流れるので、一方のチャンバーCA内の圧力が上昇する。
(4)そして、一方のチャンバーCA内の真空引きを停止してから約100秒間における一方のチャンバーCA内の圧力上昇速度を測定し、以下の式に基づいて、ガス透過率K(cm/s)を算出した。
K=Q・L/(P・A)
なお、Qはガス流量(Pa・cm/s)、Pは両チャンバーCA,CB間の圧力差(Pa)、Aはるつぼ用保護シートのガス透過率面積、つまり、両チャンバーCA,CBを連通する通路の面積(cm)である。
また、ガス流量Qは、一方のチャンバーCA内の真空引きを停止してから約100秒間における一方のチャンバーCA内の圧力上昇速度と、一方のチャンバーCAの容積から算出される。
【0034】
図4に示すように、かさ密度が大きくなるにつれ、圧縮率は低くなるが、熱伝導率が高くなることが確認できる。また、ガス透過性はかさ密度が大きくなると低くなる、言い換えれば、かさ密度が大きくなるとガス遮蔽性が高くなることが確認できる。
また、図5に示すように、圧縮率とガス透過性との関係を確認すると、圧縮率が大きくなるほど熱伝導率は小さくなることが確認できる。つまり、圧縮率と熱伝導率はトレードオフの関係にあることが確認できる。
同様に、圧縮率が小さくなるほどガス透過性は小さく(ガス遮蔽性が高くなる)なることが確認できる。つまり、圧縮率とガス遮蔽性はトレードオフの関係にあることが確認できる。
【実施例4】
【0035】
厚さ0.2〜0.6mm、かさ密度0.5〜1.5Mg/mの本発明に用いられる膨張黒鉛シートの熱伝導率のバラツキを比較した。
なお、熱伝導率のバラツキは、200×200mmの本発明に用いられる膨張黒鉛シートから、25×25mmの試験片を9つ切り取り、各試験片の面方向の熱伝導率の最大値(Max)と最小値(Min)の差で平均熱伝導率(Ave.)で除した値を比較した。
図6に示すように、本発明に用いられるシートの熱伝導率のバラツキは0.1以下であり、均熱性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、CZ法によるシリコン単結晶等の製造に外側るつぼと内側るつぼの保護や、均熱用等に使用されるシートに適している。
【符号の説明】
【0037】
1 るつぼ
2 内側るつぼ
3 外側るつぼ
4 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側るつぼと外側るつぼとの間に、ガス透過率が1.0×10−4cm/s以下である膨張黒鉛シートを配設することを特徴とする膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項2】
内側るつぼと外側るつぼとの間に、熱伝導率が120W/m・K以上である膨張黒鉛シートを配設することを特徴とする膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項3】
前記膨張黒鉛シートは、少なくともるつぼの側面とるつぼの底面との接続する部分に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項4】
前記接続する部分は、湾曲部となされていることを特徴とする請求項3に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項5】
前記膨張黒鉛シートは、厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮したときにおいて圧縮率が20%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項6】
前記圧縮率は、20〜74%であることを特徴とする請求項5に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項7】
前記膨張黒鉛シートは、かさ密度が0.5Mg/m以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項8】
前記かさ密度は、0.5〜1.6Mg/mであることを特徴とする請求項7に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項9】
前記膨張黒鉛シートは、厚さ方向から34.3MPaの加圧力で加圧圧縮した後、加圧力を除去したときにおける復元率が5%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項10】
前記膨張黒鉛シートは、厚さが0.2mm以上0.6mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項11】
前記膨張黒鉛シートは、灰分が10massppm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項12】
前記膨張黒鉛シートが複数枚積層されて用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項13】
前記膨張黒鉛シートは、一辺が200mmである正方形状の前記シートにおける、一辺が25mmである正方形状をした複数の試験領域において、
熱伝導率が最大となる試験領域における熱伝導率の値と熱伝導率が最小となる試験領域における熱伝導率の値との差を、全ての試験領域における熱伝導率の平均値で除した値が、0.1以下となるように調整されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の膨張黒鉛シートの使用方法を適用したシリコンの製造方法であり、
カーボン製の外側るつぼと、溶融シリコンが入れられると共に外側るつぼに内挿された内側るつぼとの間に前記膨張黒鉛シートを配設することを特徴とするシリコンの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−215162(P2009−215162A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115020(P2009−115020)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【分割の表示】特願2006−193618(P2006−193618)の分割
【原出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000222842)東洋炭素株式会社 (198)
【Fターム(参考)】