説明

自動分析装置

【課題】
検体,試薬の機械的分注回数を減らし、複数の検体に対して必要な項目を選んで分析できる高速で自由度の高い自動分析装置を提供する。
【解決手段】
少なくとも一方の面に複数の電極が配置された2つの面を対向させて形成された液滴搬送デバイスと、液滴搬送デバイス内で検体液滴と試薬液滴を混合,反応,光学測定させる複数の分析経路と、検体液滴を複数の分析経路に分配可能な検体分配機構と、試薬液滴を複数の分析経路に分配可能な試薬分配機構と、検体と試薬の組み合わせを選択して分析経路に導くよう各機構を制御し、光学測定の結果から検体に含まれる成分の濃度を計算する制御装置を持つように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液,尿等の生体成分の定性・定量分析を実行する自動分析装置に係り、特に小型で、より多くの試薬を搭載でき、かつ時間あたりの処理能力の高い自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液等の生体試料を自動的に分析し、結果を出力する自動分析装置は、患者数の多い大病院,中小病院,医院から検査を請け負い検査を行う検査センターなどにおいて効率良く分析を行うのになくてはならない装置になっている。
【0003】
そのような自動分析装置は、コンパクトでより多種類の分析ができ、かつ処理速度の高いものが望まれており、従来種々のものが提案されている。例えば特許文献1には複数の反応セルを円周上に配置し、回転可能な反応ディスクを用い、個々の反応セルに検体,試薬をプローブで分注し、混合液の吸光度の変化を光度計で検出して検体の特定成分の濃度を分析する装置が開示されている。
【0004】
この方法では、全ての反応セルが反応ディスクの回転により光度計を通過して測光されるので、必要な光度計は1つのみであり、全てのセルに対して同一の条件でばらつきの小さい分析が可能である。また、検体,試薬の分注はどの反応セルに対しても可能なので、必要な分析が自由な順番で実施することができ、処理能力の高い分析が可能である。
【0005】
しかし、この方法では、反応セルに光度計の光束径以上の反応液(検体+試薬)が入っている必要があり、一定量以上の検体/試薬が必要である。また、処理速度を大きくするためには反応セルの数を多くする必要があるが、一方で反応セルには一定容積が必要であり、必然的に装置が大型化してしまうという問題があった。
【0006】
これに対して非特許文献1には、エレクトロウェッチングと称する電極列の配置された平板間に液滴を操作する技術を応用して、検体と試薬を反応させLEDを用いた光学系で反応液滴の吸光度を検出して4種類の項目の濃度を分析した例が紹介されている。エレクトロウェッチングによる液滴搬送技術は、小さな量の液滴を扱える、機械的に動く機構が不要なので信頼性が高いなどの利点があり、小型で高処理能力の分析装置を実現できる可能性がある。
【0007】
【特許文献1】特開平4−71184号公報
【0008】
【非特許文献1】Clinical diagnostics on human whole blood、plasma、serum、 urine、saliva、sweat、and tears on a digital microfluidic platform” μTAS2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に記載の技術では、特定の項目の分析は可能であるが、複数の検体に対して多種類の項目から必要な項目を選んで自動的に分析することができない。
【0010】
本発明の目的は、検体,試薬の機械的な分注回数を減らし、複数の検体に対して必要な項目を選んで自動的に分析できる高速で自由度の高い自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題解決手段は次の通りである。
【0012】
少なくとも一方の面に複数の電極が配置された2つの面を対向させて形成された液滴搬送デバイスと、液滴搬送デバイス内で検体液滴と試薬液滴を混合,反応,光学測定させる複数の分析経路と、検体液滴を複数の分析経路に分配可能な検体分配機構と、試薬液滴を複数の分析経路に分配可能な試薬分配機構と、検体と試薬の組み合わせを選択して分析経路に導くよう各機構を制御し、光学測定の結果から検体に含まれる成分の濃度を計算する制御装置を持つように構成する。
【0013】
より好ましくは以下のような構成である。
【0014】
所定間隔で対向させ、間隙に液体を保持する少なくとも1対の板状部材を備えた液体搬送機構であって、前記少なくとも1対の板状部材の少なくとも一方に、液体を搬送する方向に沿って複数の電極を所定間隔で配置した液体搬送路を複数備え、かつ該液体搬送路には、少なくとも放射状にサンプル液体を搬送するサンプル搬送路と、該サンプル搬送路を横断し、複数の前記サンプル搬送路に試薬を供給する試薬搬送路と、を備えた液体搬送機構と、前記サンプル搬送路に検体を供給する検体分配機構と、前記試薬搬送路に試薬を供給する試薬分配機構と、前記液体搬送路中での検体と試薬の反応を光学的に分析する測定機構と、を備えた自動分析装置。
【0015】
上記自動分析装置では、液滴の光学的性質を測定する光度計と、光度計を移動させる移動機構を持ち、光度計が複数の分析経路で光学測定できるように構成してもよい。
【0016】
また、試薬庫が複数の試薬容器を円周上に搭載して回転可能な試薬ディスクであり、試薬分注機構が試薬ディスク上の特定の位置の試薬容器から試薬を吸引して液滴搬送デバイスの特定位置に吐出する試薬プローブであってもよい。
【0017】
また、試薬プローブは複数回の分析に要する量の試薬を1回で吸引して液滴搬送デバイスに吐出してもよい。
【0018】
また、液滴搬送デバイス内に試薬溜めがあり、試薬液滴は試薬溜めに保持されたのち分析経路に搬送しても良い。
【0019】
また、試薬溜めは複数回の分析に要する量の液滴を一体として保持し、試薬溜めに接続する分取経路にて1回の分析に必要な量の液滴に分割してから分析経路に搬送しても良い。
【0020】
また、試薬溜めは複数の液滴を保持し、順序を交換して分析経路に搬送可能に構成されていてもよい。
【0021】
また、試薬溜めは複数設置されており、それぞれの試薬溜めに保持される試薬は同一の種類の試薬であってもよい。
【0022】
また、個々の試薬溜めに保持される試薬の種類が固定されず、異なる種類の試薬が共通の試薬溜めに保持されてもよい。
【0023】
また、検体分注機構が検体容器から検体を吸引して液滴搬送デバイスの特定位置に吐出する検体プローブであり、検体プローブは複数の分析に要する量の検体を1回で吸引してもよい。
【0024】
また、液滴搬送デバイス内に検体溜めがあり、検体液滴は検体溜めに保持されたのち分析経路に搬送してもよい。
【0025】
また、検体溜めは複数回の分析に要する量の液滴を一体として保持し、検体溜めに接続する分取経路にて1回の分析に必要な量の液滴に分割してから分析経路に搬送してもよい。
【0026】
また、検体溜めは複数の液滴を保持し、順序を交換して分析経路に搬送可能に構成されていても良い。
【0027】
また、検体を異なる希釈率で希釈する希釈機構をもち、希釈された検体が液滴搬送デバイスに供給されても良い。
【0028】
また、検体分注機構が検体容器から検体を吸引する検体プローブであり、液滴搬送デバイスの検体吐出位置にて検体を希釈しても良い。
【0029】
また、分析経路,検体分配機構および試薬分配機構はそれぞれ複数の電極列からなっており、分析経路をなす電極列と検体分配機構および試薬分配機構をなす電極列は交差しており、交差点を介して液滴がそれぞれの電極列間を移動してもよい。
【0030】
また、複数の連続した電極に電圧を印加して一つの液滴を保持し、共通の電極列上で異なる体積の液滴を搬送してもよい。
【0031】
また、液滴搬送デバイスが円形であり、複数の分析経路をなす電極列が半径方向に整列しており、検体分配機構および試薬分配機構をなす電極列は周方向に整列してもよい。
【0032】
また、複数の分析経路が円周上に配置されており、光度計が回転して光学測定してもよい。
【0033】
また、検体液滴を分析径路に分配する搬送経路,試薬液滴を分析経路に分配する搬送経路のいずれかまたは両方の搬送経路が、複数の経路の中から選択可能であってもよい。
【発明の効果】
【0034】
検体,試薬の機械的な分注回数が少なく、かつ複数の検体に対して必要な項目を選んで分析できる高速で自由度の高い自動分析装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0036】
図1は本発明の第1実施例の斜視図である。リング状の分析基板10の中に試薬ディスク41,第1試薬プローブ30,第2試薬プローブ35が配置されている。分析基板10の外側にはサンプルディスク20,サンプルプローブ22,移動機構51に支持された光度計50,制御装置12,表示装置13が配置されている。試薬ディスク41には複数の試薬容器40が搭載されている。サンプルディスク20には複数のサンプル容器21が搭載されている。第1試薬プローブ30,第2試薬プローブ35,サンプルプローブ22はそれぞれ独立して上下動、回転が可能である。それぞれのプローブは図示しないシリンジポンプに接続されている。プローブの移動経路に第1試薬ポート31,第2試薬ポート
37,サンプルポート24、および洗浄ポート26が配置されている。また、分析基板
10には4つの排液ポート48が設けられ、それらには排液チューブ47が接続されている。
【0037】
光度計50は、広い波長範囲の光を放射する光源と、回折格子と、複数の波長の光を検出する検出器が内蔵されている。
【0038】
図2は、第1実施例の分析基板10の断面を示す模式図である。分析基板10は第1基板60,第2基板63で構成されている。第1基板60の下面には、共通電極61が構成され、さらに撥水膜62で覆われている。第2基板63の上面には複数の制御電極64が配置され、その上を絶縁膜65,撥水膜66で覆われている。共通電極61および制御電極64は図示しない配線で制御装置12に接続している。第1基板60,共通電極61,撥水膜62,第2基板63,制御電極64,絶縁膜65,撥水膜66は全て光を透過する材料でできている。分析基板10の端面はスペーサ67で封止されており、第1基板60と第2基板63の間は0.5mm の隙間をもって隔てられている。この隙間には、水溶液と混じり合わないオイル71が満たされ、水溶性の液滴70が保持される。
【0039】
図3は、第1実施例の分析基板10の上面図である。半径方向にのびた複数の分析流路80が円周状に多数並んでいる。分析流路80に交差して、周方向に排液流路81,第2試薬流路82,サンプル流路83,第1試薬流路84が並んでいる。84の内側には、サンプルポート24,複数のサンプル溜め86,第1試薬ポート31,第2試薬ポート37,複数の試薬溜め85,複数の排液ポート48が配置され、更にその内側には周上に供給流路87が配置されている。図では省略してあるが、試薬溜め85は全周上に100個程度配置されている。
【0040】
図4は、第1実施例の分析基板10の一部の電極配置を示す上面図である。図で、実線の四角い枠は、それぞれ制御電極64を示す。分析流路80は半径方向に並んだa1からa23まで23個の電極で構成されている。本実施例の場合、個々の電極は一辺が約2.8
mmの正方形である。電極a1,a3,a5,a12は、隣の分析流路との間に中継電極
88が配置され、周方向に搬送流路である第1試薬流路84,サンプル流路83,第2試薬流路82,排液流路81を形成している。中継電極88の横幅は、分析流路80を形成している電極の横幅より小さい。また電極a18,a19,a20の部分は測光領域である。
【0041】
図5は、第1実施例の分析基板10の別の一部の電極配置を示す上面図である。第1試薬流路84と同様に供給流路87も周方向に並んだ電極列で構成される。第1試薬流路
84と供給流路87の間に第1試薬ポート31が配置され、第1試薬ポート31から供給流路87まで電極が連なっている。供給流路87から第1試薬流路84に連なる電極列の途中に他の電極より大きい電極の試薬溜め85が配置されている。本実施例の場合、この電極は直径14mmの円形である。
【0042】
図6は、第1実施例の第1試薬ポート31の構造を示す断面図である。第1試薬ポート31は分析基板10から上に突き出て、穴が貫通している。内面には撥水膜68が形成されている。第1試薬プローブ30が第1試薬ポート31に挿入し、分析基板10の内部で液滴70を吐出する構造を形成している。
【0043】
第2試薬ポート37,サンプルポート24も第1試薬ポート31と同様の構造をしている。また、サンプル溜め86も試薬溜め85と同様の形状をしている。
【0044】
図7は、第1実施例の排液ポート48の構造を示す断面図である。排液ポート48は分析基板10から上に突き出て、穴が貫通している。更に側面から排液チューブ47が貫入している。内部には空間がある。
【0045】
次に、第1実施例の動作を説明する。
【0046】
試薬ディスク41には、個々の分析項目に対応して第1試薬と第2試薬の2種類の試薬が試薬容器40に入れられて搭載される。
【0047】
ある項目の試薬の分析基板10への分注は次のように行われる。その項目の第1試薬が入った試薬容器40が第1試薬プローブ30の吸引位置に来るように41を回転し、第1試薬プローブ30で第1試薬を80マイクロリットル吸引する。第1試薬プローブ30は上昇,回転して、第1試薬ポート31に挿入される。挿入後、80マイクロリットルの試薬を吐出する。第1試薬ポート31からその試薬に対して選ばれた試薬溜め85まで接続する経路90に沿い、試薬吐出と連動して制御電極64に順次電圧が印加される。吐出された試薬は液滴70となって撥水膜62,66に挟まれた領域に入るが、電圧が印加された制御電極64の上ではエレクトロウェッチングによる吸引力が発生するため、経路90を通って試薬溜め85に導かれる。第1試薬プローブ30からの吐出が終了したら、経路90上の制御電極64への電圧印加を順次切断していき、試薬溜め85の印加だけを残して、試薬を試薬溜め85上に保持する。
【0048】
第2試薬に対しても第1試薬の場合と同様の動作で、第2試薬プローブ35で試薬容器40から第2試薬を40マイクロリットル吸引し、第2試薬ポート37から吐出して、第1試薬とは別に選ばれた試薬溜め85まで搬送されて保持される。
【0049】
第1試薬プローブ30および第2試薬プローブ35はそれぞれ試薬吐出後、洗浄ポート26に移動し、洗浄水でプローブ内面、外面を洗浄される。
【0050】
分析する全ての項目の第1試薬および第2試薬の分注が行われて、それぞれ異なる85上に保持される。
【0051】
試薬の分析基板10への分注は、動作開始時および、個々の試薬溜め85に保持されている試薬の量が定められた量を下回った場合に実施される。
【0052】
サンプルディスク20にはキャリブレーションおよび精度管理用の濃度既知の検体、被分析検体がサンプル容器21に入れられて搭載される。
【0053】
検体の分析基板10への分注は次のように行われる。目的の検体が入ったサンプル容器21がサンプルプローブ22の吸引位置に来るようにサンプルディスク20が回転し、サンプルプローブ22がサンプル容器21から検体を吸引する。吸引量はその検体で分析する全項目のテストに必要な量以上である。サンプルプローブ22は上昇,回転し、サンプルポート24に挿入される。挿入後、吸引した検体を吐出する。サンプルプローブ22からその検体に対応して選ばれたサンプル溜め86まで接続する経路に沿い、検体吐出と連動して制御電極64に順次電圧が印加される。吐出された検体は液滴70となって撥水膜62,66に挟まれた部分に入るが、電圧が印加された制御電極64の上ではエレクトロウェッチングによる吸引力が発生するため、経路を通ってサンプル溜め86まで導かれる。サンプルプローブ22からの吐出が終了したら、経路上の制御電極64への電圧印加を順次切断していき、サンプル溜め86の印加だけを残して、検体をサンプル溜め86上に保持する。サンプルプローブ22は、分注後洗浄ポート26に移動し、洗浄水でプローブ内面,外面を洗浄される。
【0054】
ある検体のある項目の分析は次のように行われる。
【0055】
制御装置12は、その分析に用いる第1試薬が保持されている試薬溜め85と、第2試薬が保持されている試薬溜め85と、空き状態の分析流路80を1つ選択する。
【0056】
第1試薬の保持されている試薬溜め85から外周側に連続する4つの電極に試薬溜め
85に印加されているよりも高い電圧を印加する。一定時間後に4つの電極のうち2番目の電極の印加を切断することにより、3番目と4番目の電極上に約8マイクロリットルの第1試薬の液滴が形成される。試薬溜め85から第1試薬流路84を通る経路91に沿って、電圧を印加している電極を順次移動することにより、第1試薬の液滴は選ばれた分析流路80まで搬送される。
【0057】
検体は、サンプル溜め86から外周側に連続する3つの電極にサンプル溜め86に印加しているよりも高い電圧を印加し、一定時間後に3つの電極のうち2番目の電極の印加を切断することにより、3番目の電極上に約4マイクロリットルの検体液滴が形成される。この検体液滴は、サンプル流路83を経路に沿って、電圧を印加している電極を順次移動することによって、選ばれた分析流路80まで搬送される。必要な量の検体を分取後、サンプル溜め86に残された検体は、排液ポート48に搬送されて廃棄される。
【0058】
分析流路80で、まず検体液滴はa10に、第1試薬液滴はa7,a8に保持される。次にa10から印加電極を順次移動することで検体液滴をa20まで搬送する。続いて、a7,a8の印加電極を順次移動することで第1試薬液滴をa18,a19まで搬送する。ここで、検体と第1試薬の液滴は合体し、第1反応液となって3つの電極a18,a19,a20上に保持される。次にa16からa23の間で電圧を印加している位置を往復移動することで、液滴は往復運動し、第1反応液の液滴中の検体と第1試薬は攪拌されて均一になる。その後印加電極はa18,a19,a20に固定されて、第1反応時間の5分間液滴は保持される。
【0059】
光度計50は移動機構51により30秒で1回転の速度で旋回する。分析流路80上を通過するとき、a18,a19,a20上の液滴に光を照射し、選ばれた波長の透過光量を測定し、制御装置12に送信する。制御装置12では吸光度を演算する。第1反応時間間、周期的に測定が行われる。
【0060】
第1反応時間の間に、第2試薬が準備される。第2試薬の保持された試薬溜め85から外周側に連続する3つの電極に試薬溜め85に印加されているよりも高い電圧を印加し、一定時間後に3つの電極のうち2番目の電極の印加を切断することにより、3番目の電極上に約4マイクロリットルの第2試薬液滴を形成する。この第2試薬液滴は、第2試薬流路82を通る経路に沿って電圧を印加している電極を順次移動することによって、選ばれた分析流路80の電極a14まで搬送される。
【0061】
第1反応時間経過後、第2試薬の液滴は、印加電極をa14から順次移動してa18に搬送される。ここで第2試薬は第1反応液と合体し、第2反応液となる。次にa16からa23の間で電圧を印加している位置を往復移動することで、液滴は往復運動し、第2反応液は攪拌されて均一になる。その後印加電極はa18,a19,a20,a21に固定されて、第2反応時間の5分間液滴は保持される。第2反応時間の間も光度計による周期的な測定が行われる。
【0062】
第2反応時間の後、第2反応液の液滴は排液流路81を通る経路を通り、排液ポート
48まで搬送される。第2反応液の液滴70は撥水膜62,69との表面力により、排液ポート48の内部に入り込み、オイル71との比重の違いで浮き上がる。浮き上がった廃液73は排液チューブ47に吸引されて排出される。
【0063】
第2反応時間の間に、次の分析のための検体と第1試薬の液滴が電極a10およびa7,a8に待機し、分析が終了して第2反応液を排出した後すぐに次の分析が開始する。
【0064】
ある検体のある項目の分析が、1つの分析流路80で行われている間に、別の検体または別の項目の分析が、別の分析流路80で並行して進められる。
【0065】
制御装置12では、分析項目毎にキャリブレーション用の検体の分析で得られた吸光度の変化と濃度との関係を導出し、キャリブレーションデータとして格納する。被分析検体に対しては、キャリブレーションデータを用いて分析項目の濃度を演算し、表示装置13に送信して表示する。また、定期的に精度管理用の検体の分析を実施し、その結果が所定の範囲に入らない場合は異常のアラームを表示装置13に送信する。
【0066】
また、制御装置は装置全体の状態を監視する。メンテナンス時に個々の制御電極64に電圧を印加し、共通電極61との間の静電容量および電流を検出して異常であった場合にはその電極を記憶し、それを含む分析流路80は分析に用いないよう制御する。
【0067】
本実施例の場合は、複数の分析流路80のそれぞれに検体液滴および試薬液滴を供給する機能、液滴同士を混合する機能、検体,試薬やその混合物を搬送する機能、混合物を反応させる機能をもつ領域が内蔵されていて、他の分析流路と同期せずに並列して実施可能なので、複数の分析を自由な分析流路80で自由に開始,進行,終了でき、複数の分析流路80を空き時間を少なく活用することができ、単位時間当たりの処理能力の高い分析装置が実現できる。
【0068】
また、本実施例の場合は、分析基板は固定されて光度計が回転するように構成しているので、いずれかの分析流路を測光している最中でも、液滴移動や混合,攪拌などの動作を実施可能であり、処理能力の高い分析装置が実現できる。
【0069】
また、複数の分析流路において液滴移動や混合,攪拌などの動作が並列で行えるため、それぞれの動作にかける時間を長くとることが可能であり、無理のない速度で動作させることで、発熱や流れの乱れなどの悪影響を避けることができ、安定して、高い精度の分析が可能である。
【0070】
更に液滴搬送,混合,攪拌を電極への電圧印加の制御だけでおこなうため、それらの機能を多数の分析流路のそれぞれに内蔵しても機構が複雑化せず、単純な構成で小型で信頼性の高い分析装置が実現できる。
【0071】
また、本実施例の場合は、検体および試薬が全ての分析流路80に搬送可能であり、どの分析流路でも任意の項目の分析が可能であり、効率がよく、処理能力の高い分析が可能である。
【0072】
また,本実施例の場合は、複数の分析流路80のそれぞれに検体,試薬やその混合物を一時的に格納する機能をもつ領域が内蔵されているため,検体流路や試薬流路から分析流路80に検体液滴,試薬液滴を供給するタイミングを分析の進行タイミングに合わせる必要がなく、複数の分析流路に対する検体および試薬の供給を効率よく行うことができ、処理能力の高い分析が可能である。
【0073】
また,本実施例の場合、検体および試薬は分析基板の中で水溶液と反応しないオイルに包まれた状態であり、蒸発などによる変質が起こらないので、分析基板への供給を分析実行のタイミングと合わせる必要がない。
【0074】
また,本実施例では、全ての項目の分析がどの分析流路で行うこともでき、どの分析流路でも自由なタイミングで分析を開始,進行させることが可能で,制御装置でどの分析流路を選択して実行するので,分析流路を効率的に利用して処理能力の高い分析が可能である。
【0075】
また、制御装置で分析流路を自由に選べるので、迅速な処理が必要な分析はサンプル溜めに近い分析流路で行うように選ぶことで搬送時間を短くすることができ、分析結果を短時間で出力することが可能である。
【0076】
また、本実施例の場合は、光度計も全ての分析流路80に対して共通のものを用いるため、どの流路でも同じ特性の分析が可能で、ばらつきの小さい高精度な分析が可能である。
【0077】
また、本実施例の場合は、光度計をスキャンして用いるため、光度計および検出電気系が1つですみ、低価格の分析装置が実現できる。
【0078】
また、本実施例の場合は、全ての分析流路に対して同じ光度計を用いるため、キャリブレーションは全部の分析流路で行う必要はなく、キャリブレーションに要する検体,時間を節約し、ランニングコストを削減できる。
【0079】
また、本実施例の場合は、反応時間の間は反応液滴は静止していて、同一場所で周期的な測定が行われるため、液滴の形状の変化や気泡などの条件の変化を受けにくく、精度の高い分析が可能である。
【0080】
また、本実施例の場合には、検体,試薬の液滴搬送,混合,攪拌が電極への電圧印加の制御だけで行われるため、分析基板10には機械的な動作がなく、光度計50は停止することなく回転し、測光を行えるので、個々の測光の積分時間が長くとれ、ノイズの少ない高精度な分析が可能である。
【0081】
また、本実施例の場合は、光度計の測光時間が長く取れるので、反応液の光路長が短くても吸光度の分析が可能であり、検体量,試薬量が少なくランニングコストの小さい分析装置が実現できる。
【0082】
また、本実施例の場合は、分析基板,サンプルポート,試薬ポートの内面が全て撥水膜でカバーされ、また内部を水溶液と溶解しないオイルで満たして分析を実施するので、検体,試薬の液滴は壁面と直接接触しないので、壁面が検体,試薬で汚染されることなく、キャリーオーバのない高精度の分析が可能である。
【0083】
また、本実施例の場合は、試薬容器40から分析基板10への試薬プローブでの分注は1度に10回の分析に必要な量を行うので、試薬ディスクおよび試薬プローブの動作回数は分析回数よりも少なくなり、低速の分注機構でも処理能力の高い分析装置が実現できる。
【0084】
また、本実施例の場合は、試薬ディスクと試薬プローブを用い、試薬プローブは洗浄ポートで洗浄するので、異なる試薬を共通の分注機構で供給することができ、分注機構による差のない高精度な分析が可能である。また分注機構の数が少なく、低コストで省スペースの分析装置が実現できる。
【0085】
また、本実施例の場合は、試薬容器を試薬ディスクに搭載するので、試薬容器と分析基板を配管で接続する必要がなく、試薬交換が簡単に行うことが可能である。
【0086】
また、本実施例の場合は、検体容器21から分析基板10へのサンプルプローブ22での分注は、複数分析分の量を1回の動作で行うので、サンプルプローブ22の動作回数は分析回数よりも少なくなり、低速の分注機構でも処理能力の高い分析装置が実現できる。
【0087】
また、本実施例の場合は、試薬および検体をそれぞれ試薬溜め85およびサンプル溜め86に保持した後一定量ずつ分取して分析流路に搬送するため、プローブで分注した順序に制限されずに、任意の組み合わせで検体,試薬を反応させて分析を行うことが可能であり、分析効率がよく、処理能力の高い分析装置が実現可能である。
【0088】
また、本実施例の場合は、分析流路内の個々の制御電極のサイズが4マイクロリットルの液滴を保持するサイズである。検体,第1試薬,第2試薬,第1反応液,第2反応液の液滴の量はそれぞれ4,8,4,12,16マイクロリットルであるため、それらは1つ,2つ,1つ,3つ,4つの電極で保持される。このように1つの制御電極に保持される量の整数倍の複数の量の液滴を扱い、液滴を複数の電極に保持するように構成されているため、共通の経路で異なるサイズ,種類の液滴を搬送することができる。これにより、検体,試薬,排液などの経路の配置を自由に設定することができ、装置の小型化が可能になる。特に本実施例では、検体,試薬の供給用および排液用の流路を分析流路と交差させて配置し、それぞれの間で自由に液滴が行き来できるように構成しているため、全ての分析がどの分析流路でも実行可能であり、自由度が高く、効率のよい分析が可能である。
【0089】
また、本実施例の場合は、サンプルポート,試薬ポートから選ばれた分析流路に液滴を搬送する経路および分析流路から排液ポートに液滴を搬送する経路が他の分析流路を通過するが、どこを通るかは複数の経路の中から選択することができる。これにより他の分析の妨げにならない経路を選択することができ、処理能力の高い分析装置が実現できる。
【0090】
さらに、本実施例の場合、それぞれの項目の分析がどの分析流路で行うこともでき、搬送経路も複数の中から選択可能なため、不良の電極があってもそこを避けて分析が可能である。そのため、分析基板の一部に不良が生じても分析ができなくなることは無く、装置の信頼性を高め、基板の交換頻度を少なくしてランニングコストを低減することが可能である。
【0091】
また、本実施例の場合は、分析流路80上に検体液滴,試薬液滴の待機領域と、反応領域が別にあり、反応領域の液滴を待機領域を通らずに排出することが可能であるため、1つの分析終了後、すぐに次の分析を実行することができ、効率がよく、処理能力の高い分析が可能である。
【0092】
また、本実施例の場合は、分析基板10が円形のため、光度計50は回転運動で全ての分析流路80の測光を行うことができ、停止や方向転換の必要がないため時間の無駄がなく、信頼性の高い分析装置を実現できる。
【0093】
また、本実施例の場合は、分析基板10が円形であり、第1試薬流路84,サンプル流路83,第2試薬流路82が円周状に形成されているため、検体,試薬を全ての分析流路80に効率的に搬送できる。
【0094】
また、本実施例の場合は、中継電極88の幅が分析流路80を形成している電極の幅よりも狭いため、分析基板10のサイズを小さくすることができ、省スペースの分析装置を実現可能である。
【0095】
なお、本実施例においては光度計50は吸光度を測定するものであったが、散乱光や蛍光を測定するものでもよい。さらにそれらの組み合わせでもよく、その場合には分析できる項目の種類が増え、免疫分析なども同じ装置で実現できる利点がある。
【0096】
また、本実施例においては1つの光度計をスキャンしているが、2組以上の光度計をスキャンしてもよい。その場合は短い間隔で吸光度の変化を測定できる利点がある。
【0097】
また、本実施例においては分析基板は円板型の一体構造であるが、複数の扇型形状の基板に分割して構成することも可能である。その場合別の基板に液滴が移動できるように構成することも可能であるが、基板毎に独立して、オイルや液滴が移動しないように構成することも可能である。そのときは、分割した基板ごとに検体ポート,試薬ポート,排液ポートを持つようにする。この場合は、個々の基板が小さくてすむために、基板製造の設備が小さくてすみ、低コストで製造可能である。また、基板交換やオイル交換が容易にできるメリットもある。
【0098】
また、本実施例の場合は周方向の4つの搬送流路はそれぞれ検体用,第1試薬用,第2試薬用,排液用として同じ用途の液滴搬送に特化しているが、特化せずにどの流路も選べるように使うこともできる。さらに、流路ごとに搬送方向を固定し、右回りの流路,左回りの流路を設け、目的の搬送位置に早く到達できる流路を選ぶように制御することも可能である。この場合はさらに効率がよく、処理能力の高い分析装置が実現できる。
【0099】
なお、図1では液体搬送機構はディスク状となっているが、各サンプル搬送路を横断してサンプル供給路,試薬供給路が設けられ、かつサンプル供給路,試薬供給路が閉じたループを作っていれば良い。すなわち、サンプル搬送路が放射状であれば四角形状でも同様の効果を奏し得る。
【0100】
また、測定機構は回転する光度計である必要はなく、非特許文献1に記載されているようなLEDを各サンプル搬送路に設けても良い。
【実施例2】
【0101】
次に、本発明の第2実施例を説明する。図8は本発明の第2実施例の斜視図、図9は分析基板10の上面図、図10はサンプルポート24の部分を示す断面図である。第1実施例との主な違いは、移動機構51および光度計50が分析基板10の内側に配置されていること、試薬ディスク41,第1試薬プローブ30,第2試薬プローブ35が分析基板
10の外側に配置されていること、サンプルポート24に近接して希釈ポート25が設置されていること、試薬ディスク41に近接して開閉機構42が設置されていること、試薬溜め85およびサンプル溜め86が無いことである。また、分析流路80の配置は図4と同様であるが、第1実施例の場合と異なり、電極a1が外周側、電極a23が内周側である。
【0102】
サンプルポート24に近接して設置されている希釈ポート25は、サンプルポート24と同様に分析基板10から上に突き出ており、希釈液プローブ23が挿入される。希釈液プローブ23は図示しない希釈液ポンプに接続されており、量を制御して希釈液を吐出することができる。
【0103】
試薬容器40の開口部にはスナップキャップ43が設けられており、開閉機構42により開閉可能である。
【0104】
第2実施例では、試薬は次のように分析基板10に供給される。まず、開閉機構42でスナップキャップ43を開く。次に試薬ディスク41を回転して、吸引位置に試薬容器
40を移動する。第1試薬の場合は第1試薬プローブ30で80マイクロリットル吸引し、第1試薬ポート31に吐出する。そのとき8マイクロリットルずつ10回に分けて断続的に吐出し、それぞれの小さい液滴として第1試薬流路84に搬送する。液滴は分析で必要とされるまで第1試薬流路84を周回する。第2試薬の場合は、第2試薬プローブ35で40マイクロリットル吸引し、第2試薬ポート37に吐出する。そのとき4マイクロリットルずつ10回に分けて断続的に吐出し、それぞれの小さい液滴として第2試薬流路
82に搬送する。液滴は分析で必要とされるまで第2試薬流路82を周回する。吸引が終えた試薬容器40は、開閉機構42でスナップキャップ43を閉じられる。
【0105】
検体は次のように分析基板10に供給される。サンプルディスク20が回転し、サンプルプローブ22でサンプル容器21から検体を吸引する。サンプルプローブ22を移動しサンプルポート24に挿入する。吐出は、その検体で行われる分析数に再検査用の予備数を加えた回数行われる。サンプルプローブ22からの検体の吐出に先立ち、希釈液プローブ23から希釈液が吐出される。希釈液と検体の吐出量は、分析項目に応じて決められた量になるよう、制御装置12で制御される。サンプルプローブ22から吐出された検体液75は、希釈液プローブ23から吐出された希釈液76に混合しながらサンプル流路83を経由し、選ばれた分析流路80に搬送される。再検査用の予備の液滴は、分析流路80には入らず、サンプル流路83を周回する。
【0106】
分析流路80における分析の手順は第1実施例と同じである。第2反応時間が終え、分析が終了したとき、制御装置12は分析項目の濃度を計算し、結果が所定範囲から外れた場合は、再検査用の予備の液滴を用いて再検査を実施する。再検査が必要ない場合は、再検査用の予備の液滴は排液ポート48から排出される。
【0107】
本実施例の場合は、複数分析分の検体および試薬を分析基板10に注入時に個々の分析に要するサイズの液滴に分離し、搬送流路に供するので、大容量の液溜めが不要で、コンパクトな分析装置の実現が可能である。
【0108】
また、本実施例の場合、検体および試薬をプローブから1回の分注で必要な量を吐出して液滴に分離するので、液滴の体積を精度よく制御することができ、高精度な分析が可能である。
【0109】
また、本実施例の場合は、試薬を大容量の液溜めに溜めておくことがないので、試薬の無駄が少なく、ランニングコストの小さい分析装置が実現できる。
【0110】
また、本実施例の場合は、検体を希釈液の中に吐出して液滴に分離するので、粘性などの特性の異なる検体でも希釈液により特性の差が緩和され、精度の高い分注が可能であり、高精度の分析が可能である。
【0111】
さらに、希釈液の量と検体の量を液滴ごとに変化させることができるので、分析項目に最適な希釈率を設定することができ、高精度な分析が可能である。
【0112】
また、本実施例の場合、再検査用の検体を液滴としてサンプル流路83上を周回させておき、再検査が必要なときにそれを用いて分析を実施するため、サンプルディスク20上に再検査用のサンプル容器21を残しておく必要がなく、サンプルディスク20の必要搭載数が少ないので、省スペースの分析装置が実現できる。
【0113】
また、本実施例の場合は、複数回分の試薬を1回で試薬容器から吸引するため、試薬容器40から試薬を吸引した後開閉機構42でスナップキャップ43を閉じることができ、試薬の蒸発や変質を防止することができ、ランニングコスト低減と分析精度向上が可能である。
【0114】
また、本実施例の場合は、光度計50および移動機構51が分析基板10の内側にあるため、移動機構51の回転半径が小さくてすみ、小型で信頼性の高い分析装置が実現できる。
【0115】
また、本実施例の場合は、サンプルディスク20および試薬ディスク41が分析基板
10の外側にあるため、動作中でも容易に検体および試薬の交換,補充ができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1実施例の分析装置の概略の構成を示す斜視図。
【図2】第1実施例の分析基板の要部を示す断面図。
【図3】第1実施例の分析基板の概略構成を示す上面図。
【図4】第1実施例の分析流路の要部を示す上面図。
【図5】第1実施例の試薬ポートおよび試薬溜め要部を示す上面図。
【図6】第1実施例の試薬ポートの要部を示す断面図。
【図7】第1実施例の排液ポートの要部を示す断面図。
【図8】第2実施例の分析装置の概略の構成を示す斜視図。
【図9】第2実施例の分析基板の概略構成を示す上面図。
【図10】第1実施例のサンプルポートの要部を示す断面図。
【符号の説明】
【0117】
10…分析基板、12…制御装置、13…表示装置、20…サンプルディスク、21…サンプル容器、22…サンプルプローブ、23…希釈液プローブ、24…サンプルポート、25…希釈ポート、26…洗浄ポート、30…第1試薬プローブ、31…第1試薬ポート、35…第2試薬プローブ、37…第2試薬ポート、40…試薬容器、41…試薬ディスク、42…開閉機構、43…スナップキャップ、47…排液チューブ、48…排液ポート、50…光度計、51…移動機構、60…第1基板、61…共通電極、62,66,
68…撥水膜、63…第2基板、64…制御電極、65…絶縁膜、67…スペーサ、70…液滴、71…オイル、73…廃液、75…検体液、76…希釈液、80…分析流路、
81…排液流路、82…第2試薬流路、83…サンプル流路、84…第1試薬流路、85…試薬溜め、86…サンプル溜め、87…供給流路、88…中継電極、90,91…経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で対向させ、間隙に液体を保持する少なくとも1対の板状部材を備えた液体搬送機構であって、
前記少なくとも1対の板状部材の少なくとも一方に、液体を搬送する方向に沿って複数の電極を所定間隔で配置した液体搬送路を複数備え、
かつ該液体搬送路には、少なくとも放射状にサンプル液体を搬送するサンプル搬送路と、該サンプル搬送路を横断し、複数の前記サンプル搬送路に試薬を供給する試薬搬送路と、を備えた液体搬送機構と、
前記サンプル搬送路に検体を供給する検体分配機構と、
前記試薬搬送路に試薬を供給する試薬分配機構と、
前記液体搬送路中での検体と試薬の反応を光学的に分析する測定機構と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記液体搬送路には、更に前記サンプル搬送路を横断し、複数の前記サンプル搬送路に検体を供給するサンプル流路を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記サンプル流路にそれぞれ異なる検体を供給する複数のサンプル供給機構と前記試薬搬送路にそれぞれ異なる試薬を供給する複数の試薬供給機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3記載の自動分析装置において、
前記サンプル供給機構、前記試薬供給機構には、それぞれ複数回分の分析が実行可能な検体または試薬を一時的に蓄えるサンプル溜め、または試薬溜めを備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の自動分析装置において、
前記サンプル搬送路を横断し、複数の前記サンプル搬送路から分析が終了した反応液を排出する廃液流路を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項5記載の自動分析装置において、
前記廃液流路から廃液を前記液体搬送機構外に取り出す廃液ポートと、該廃液ポートに挿入し廃液を吸引する廃液吸引機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の自動分析装置において、
前記測定機構は光源と、光源から発せられ反応液を透過した光を受光する受光器を備えた光度計であり、かつ該光度計と複数の前記サンプル搬送路の相対的位置関係を変える相対的位置関係変更機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項7記載の自動分析装置において、
前記相対的位置関係変更機構は前記光度計の移動機構であり、前記サンプル搬送路の外周または内周を回転移動するものであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項4記載の自動分析装置において、
前記試薬溜めは該試薬溜めに接続する試薬搬送路にて1回の分析に必要な量の液滴に分割してサンプル搬送路に搬送する液滴分割機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項3記載の自動分析装置において、
前記サンプル供給機構は、検体容器から検体を吸引する検体プローブと、該検体プローブを移動させる検体プローブ移動機構と、検体プローブを挿入するサンプルポートを備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の自動分析装置において、
検体を希釈するための希釈液を供給する希釈液供給ポートを前記サンプルポートの近傍に備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
所定間隔で対向させ、間隙に液体を保持する少なくとも一対の板状部材を備えた液体搬送機構であって、
前記少なくとも一対の板状部材の少なくとも一方に、液体を搬送する方向に沿って複数の電極を所定間隔で配置した液体搬送路を複数備え、
前記液体搬送路は、検体や試薬を供給する機能、検体,試薬やその混合物を搬送する機能、検体,試薬やその混合物を一時的に格納する機能、検体と試薬の混合物を反応させる機能、検体,試薬、その混合物、あるいは反応した混合物の特定物質の濃度を測定する機能を有し、
複数の液体搬送路で、検体や試薬の供給,検体,試薬やその混合物の搬送,格納,反応,測定が並列して、かつ非同期的に実行することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−343164(P2006−343164A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167633(P2005−167633)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】