説明

自動分析装置

【課題】測定動作を中断させることなく洗剤を補充可能な自動分析装置の提供。
【解決手段】自動分析装置は、筐体1に設けられる供給口51と吸入口52とを有し、サンプルプローブ26、第1試薬プローブ36、第2試薬プローブ46のための洗剤を貯蔵する洗剤貯蔵部50―1、50―2、50―3、50―4、50―5、50―6を具備する。供給口51は、分注機構の動作範囲外に設けられている。従って、洗剤が不足している旨の情報を確認したオペレータは、測定を止めることなく洗剤を補充することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤でプローブを洗浄する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、測定結果の信頼性向上等のため、水や専用の洗剤を用いてサンプルプローブや試薬プローブに付着したサンプルや試薬を洗浄する(例えば、特許文献1参照)。プローブの洗浄は、プローブで洗剤を一定量吸入し、吐出することにより行なわれる。通常これら洗剤は、サンプルディスクや試薬庫、あるいはこれらの外側に設置された専用の洗剤貯蔵庫に設置されている。
【0003】
測定項目の測定中、洗剤が不足あるいは無くなると、洗浄ができなくなるため、測定を継続することができない。そのため測定を中断して、洗剤ボトルを交換する必要がある。しかし、測定動作を中断すると、単位時間あたりの処理量が減ってしまい、測定の結果報告が遅れてしまう。
【特許文献1】特開2002―62303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、測定動作を中断させることなく洗剤を補充可能な自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある局面に係る自動分析装置は、プローブにより試薬とサンプルとを分注する分注機構と、前記分注機構が設けられる筐体と、前記筐体に設けられる供給口と吸入口とを有し、前記プローブを洗浄するための液体を貯蔵する貯蔵部と、を具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、測定動作を中断させることなく洗剤を補充できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係わる自動分析装置を説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係わる自動分析装置を上部から眺めた平面図である。図1に示すように、自動分析装置の筐体1には、分注機構が設けられている。分注機構は、反応ディスク10、サンプルディスク20、第1試薬庫30、及び第2試薬庫40を備える。反応ディスク10は、円周上に配列された複数の反応管12を保持する。反応ディスク10は、ある一定のサイクルで回動と停止とを繰り返す。サンプルディスク20は、反応ディスク10の近傍に配置されている。サンプルディスク20は、サンプルが収容された複数のサンプル容器22を保持する。サンプルディスク22は、特定の反応管12が所定のサンプル吸入位置22A(図1の斜線で示されたサンプル容器22)に位置決めされるように回動する。第1試薬庫30は、反応ディスク10の近傍に配置される。第1試薬庫30は、サンプルの各測定項目に選択的に反応する第1試薬が収容された複数の第1試薬容器32を保持する。第1試薬庫30は、特定の第1試薬容器32が所定の第1試薬吸入位置32B(図1の斜線で示された第1試薬容器32)に位置決めされるように回動する。第2試薬庫40は、反応ディスク10の内側に配置される。第2試薬庫40は、第1試薬に対応する第2試薬が収容された複数の第2試薬容器42を保持する。第2試薬庫40は、特定の第2試薬容器42が所定の第2試薬吸入位置42C(図1の斜線で示された第2試薬容器42)に位置決めされるように回動する。
【0009】
さらに筐体1は、分注機構の一つとして、反応ディスク10とサンプルディスク20との間にサンプルアーム24を備える。サンプルアーム24の先端には、サンプルプローブ26が取り付けられている。サンプルアーム24は、サンプルプローブ26を上下動可能に保持する。また、サンプルアーム24は、その支柱を中心軸とした回転軌跡28上を回動可能にサンプルプローブ26を保持する。測定項目の測定中においてサンプルアーム24は、サンプルプローブ26を、サンプルディスク20上のサンプル吸入位置22Aに移動する。そしてサンプルアーム24は、サンプルプローブ26に、サンプル吸入位置22Aに配置されたサンプル容器22内のサンプルを所定量だけ吸入させる。サンプルアーム24は、サンプルプローブ26にサンプルを吸入し終わらせると、サンプルプローブを上昇させる。サンプルプローブ26が上昇し終わるとサンプルアーム24は、サンプルプローブ26を回動して反応ディスク10のサンプル吐出位置12A(図1の回転軌跡28上に配置された斜線で示された反応管12)へ移動させる。その後サンプルアーム24は、サンプルプローブ26に、サンプル吐出位置12Aに配置された反応管12内に吸入したサンプルを所定量だけ吐出させる。
【0010】
さらに筐体1は、分注機構の一つとして、反応ディスク10と第1試薬庫30との間に第1試薬アーム34を備える。第1試薬アーム34の先端には第1試薬プローブ36が取り付けられている。第1試薬アーム34は、第1試薬プローブ36を上下動可能に保持する。また、第1試薬アーム34は、その支柱を中心軸とした回転軌跡38上を回動可能に第1試薬プローブ36を保持する。測定中において第1試薬アーム34は、第1試薬プローブ36を、第1試薬庫30上の第1試薬吸入位置32Bに移動する。そして第1試薬アーム34は、第1試薬プローブ36に、第1試薬吸入位置32Bに配置された第1試薬容器32内の第1試薬を所定量だけ吸入させる。第1試薬アーム34は、第1試薬プローブ36に第1試薬を吸入し終わらせると、第1試薬プローブ36を上昇させる。第1試薬プローブ36が上昇し終わると第1試薬アーム34は、第1試薬プローブを回動して反応ディスク10の第1試薬吐出位置12B(図1の回転軌跡38上に配置された斜線で示された反応管12)へ移動させる。その後第1試薬アーム34は、第1試薬プローブ36に、第1試薬吐出位置12Bに配置された反応管12内に吸入した第1試薬を所定量だけ吐出させる。
【0011】
さらに筐体1は、分注機構の一つとして、反応ディスク10の外周近傍に第2試薬アーム44を備える。第2試薬アーム44の先端には第2試薬プローブ46が取り付けられている。第2試薬アーム44は、第2試薬プローブ46を上下動可能に保持する。また、第2試薬アーム44は、その支柱を中心軸とした回転軌跡48上を回動可能に第2試薬プローブ46を保持する。測定項目の測定中において第2試薬アーム44は、第2試薬プローブ46を、第2試薬庫40上の第2試薬吸入位置42Cに移動する。そして第2試薬アーム44は、第2試薬プローブ46に、第2試薬吸入位置42Cに配置された第2試薬容器42内の第2試薬を所定量だけ吸入させる。第2試薬アーム44は、第2試薬プローブに第2試薬を吸入し終わらせると、第2試薬プローブ46を上昇させる。第2試薬プローブが上昇し終わると第2試薬アーム44は、第2試薬プローブを回動して反応ディスク10の第2試薬吐出位置12C(図1の回転軌跡48上に配置された斜線で示された反応管12)へ移動させる。その後第2試薬アーム44は、第2試薬プローブ46に、第2試薬吐出位置12Cに配置された反応管12内に吸入した第2試薬を所定量だけ吐出させる。
【0012】
反応管12に分注されたサンプル、第1試薬、及び第2試薬は、図示しない撹拌アームにより撹拌されて化学反応する。反応管12内のサンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液は、図示しない測光部により測光され、測光結果に基づいてサンプルの測定項目が分析される。
【0013】
図1に示すように、筐体1は、洗剤を貯蔵する洗剤貯蔵部50を備える。洗剤貯蔵部50は、サンプルプローブ26用の酸性洗剤を貯蔵する第1洗剤貯蔵部50―1、サンプルプローブ26用のアルカリ性洗剤を貯蔵する第2洗剤貯蔵部50―2、第1試薬プローブ36用の酸性洗剤を貯蔵する第3洗剤貯蔵部50―3、第1試薬プローブ36用のアルカリ性洗剤を貯蔵する第4洗剤貯蔵部50―4、第2試薬プローブ46用の酸性洗剤を貯蔵する第5洗剤貯蔵部50―5、及び第2試薬プローブ46用のアルカリ性洗剤を貯蔵する第6洗剤貯蔵部50―6を備える。
【0014】
以下、図1及び図2を参照しながら洗剤貯蔵部50の詳細な構造について説明する。図2は、各洗剤貯蔵部50―1、50―2、50―3、50―4、50―5、50―6の断面図である。なお、各洗剤貯蔵部50―1、50―2、50―3、50―4、50―5、及び50―6は、略同一の構造を有しているので、図2では、各洗剤貯蔵部50―1、50―2、50―3、50―4、50―5、及び50―6を区別していない。
【0015】
図1及び図2に示すように、洗剤貯蔵部50は、筐体1の上部表面に設けられた供給口51と吸入口52とを備える。より具体的には、供給口51は、オペレータが洗剤を補充しやすいように筐体1の上部表面の前面側に設けられる。なお前面とは、筐体1の4つの側面のうちオペレータが作業を行なう空間に接する面という意味である。供給口51には、筐体1の内部に設けられた供給側タンク53が接続されている。供給側タンク53の下部には、洗剤のための流路である洗剤路54の一端が接続されている。この洗剤路54は、供給側タンク53と吸入側タンク55との間を接続している。吸入側タンク55は、筐体1の内部に設けられ、吸入口52に接続されている。供給口51は、オペレータが洗剤を注ぎやすいように漏斗形状を有する。より詳細には、供給口51は、筐体1外部から供給側タンク53へむけて、その開口面積が小さくなるように形成される。供給側タンク53に注がれた洗剤は、洗剤路54を介して吸入側タンク55へ流れ、貯蔵される。吸入側タンク55に貯蔵された洗剤は、サンプルプローブ26、第1試薬プローブ36、又は第2試薬プローブ46により吸入される。
【0016】
供給側タンク53には、タンク内の洗剤量の増減に応じて昇降するフロート56が設けられる。フロート56は、洗剤に浮く浮き部分561と、浮き部分561に接続され筐体1外部に露出する露出部分562とを有する。露出部分562には、洗剤液面の高さを示すメモリが記されている。オペレータは、この露出部分に記されたメモリや、露出部分562の高さ等を観察しながら洗剤を供給側タンク53へ注入することで、適量の洗剤を補充できる。
【0017】
また、供給側タンク53の内壁には、洗剤の液面を検知するためのセンサ57が備えられている。センサ57は、供給洗剤の液面高さの上限位置に設けられている。センサ57は、洗剤に触れると、洗剤を電気的に検知し電気信号を発生する。後述するように、センサ57が液面を検知するとコンソール部2を介してオペレータに洗剤が満杯であることを示す情報が報知される。なお、センサ57は、供給側タンク53の内壁に備えられるとしたが、吸入側タンク55の内壁に設けられるとしてもよい。
【0018】
サンプルプローブ26の酸性洗剤用の吸入口52―1とアルカリ性洗剤用の吸入口52―2とは、サンプルディスク20と反応管ディスク10との間にあって、サンプルプローブ26の回転軌跡28上に設けられている。第1試薬プローブ36の酸性洗剤用の吸入口52―3とアルカリ性洗剤用の吸入口52―4とは、第1試薬庫30と反応管ディスク10との間にあって、第1試薬プローブ36の回転軌跡38上に設けられている。第2試薬プローブ46の酸性洗剤用の吸入口52―5とアルカリ性洗剤用の吸入口528とは、反応ディスク10の近傍にあって、第2試薬プローブ46の回転軌跡48上に設けられている。
【0019】
なお、図3に示すように、洗剤路54は、供給側タンク53から吸入側タンク55にかけて下降するように傾斜していてもよい。また、供給口51と吸入口52との間に反応ディスク10、サンプルディスク20、第1試薬庫30、又は第2試薬庫40がある場合、これら機構10、20、30、又は40の下部を通るように洗剤路54が設けられてもよい。また、洗剤路54は、供給口51と吸入口52との間に直線的に設けられるだけでなく、非直線的に設けられてもよい。
【0020】
このように、洗剤貯蔵部50が供給口51と吸入口52とを備えることでオペレータは、測定項目の測定中であっても装置を停止することなく洗剤を補充することができる。
【0021】
以下、本実施形態に係わる自動分析装置の動作について説明する。図4は、自動分析装置の機能ブロック図である。図4に示すように、自動分析装置は、コンソール部2、制御部3、駆動部4、分注機構(反応ディスク10、サンプルディスク20、サンプルアーム24、サンプルプローブ26、第1試薬庫30、第1試薬アーム34、第1試薬プローブ36、第2試薬庫40、第2試薬アーム44、及び第2試薬プローブ46)、プローブ用液面検知部5、及びタンク内液面検知部(上述のセンサ)57を備える。
【0022】
コンソール部2は、オペレータからの各種指示や情報入力を受け付ける操作卓である。コンソール部2は、カーソルキーやボタン、タッチパネル、及びキーボード等の入力デバイス、並びにモニタ、及びスピーカー等の出力デバイスを備える。
【0023】
オペレータによりコンソール部2を介して測定開始指示が入力されると制御部3は、分注機構に所定の測定動作をさせるために、駆動部4に測定動作のための制御信号を供給する。制御信号の供給を受けた駆動部4は、分注機構の各機構に駆動信号を供給して、所定の動作を行わせる。上述のように、測定中、駆動部4は、サンプルアーム24を動作させてサンプルプローブ26にサンプルを反応管12に分注させる。また、上述のように、駆動部4は、第1試薬アーム34を動作させて第1試薬プローブ36に第1試薬を反応管12に分注させる。また、上述のように、駆動部4は、第2試薬アーム44を動作させて第2試薬プローブ46に第2試薬を反応管12に分注させる。
【0024】
測定中、制御部3は、所定の溶液が分注された後、各プローブ26、36、46の洗浄動作のための制御信号を駆動部4に供給する。洗浄のための制御信号の供給を受けた駆動部4は、各アーム24、34、44に駆動信号を供給して、各プローブ26、36、46を洗浄させる。サンプルプローブ26の洗浄動作は、所定のサンプルを分注し終わった後に開始される。第1試薬プローブ36の洗浄動作は、キャリーオーバー等の危険性のある所定の第1試薬を分注し終わった後に開始される。第2試薬プローブ46の洗浄動作は、キャリーオーバー等の危険性のある所定の第2試薬を分注し終わった後に開始される。
【0025】
各プローブ26、36、46の洗浄動作は同様である。また、各プローブ26、36、46を酸性洗剤で洗浄する際の洗浄動作と、アルカリ性洗剤で洗浄する際の洗浄動作とも同様である。以下、サンプルプローブ26を酸性洗剤で洗浄する際の洗浄動作を例に挙げて各プローブ26、36、46の洗浄動作を説明する。
【0026】
まず、制御部3は、駆動部4を制御してサンプルアーム24に、サンプルプローブ26を酸性洗剤用の第1洗剤貯蔵部50―1の吸入口52―1の上部に移動させる。サンプルプローブ26を吸入口52―1の上部に移動すると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルアーム24に、サンプルプローブ26を下降開始点から吸入側タンク55―1内に下降させる。この際、制御部3は、下降を開始したことを示す下降開始信号を洗剤不足判定部6に供給する。
【0027】
サンプルプローブ26は、その先端が液面に接触するまで下降される。下降開始位置から液面までのサンプルプローブ26先端の下降量に関する情報は、制御部3により洗剤不足判定部6に供給される。サンプルプローブ26の先端が液面に接触すると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルアーム24に、さらに所定量だけ酸性洗剤内に下降させる。この所定量は、予め設定されており、吸入する洗剤量に応じて決定される。サンプルプローブ26が所定量だけ下降させると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルプローブ26に酸性洗剤を所定量だけ吸入させる。サンプルプローブ26に酸性洗剤を吸入させ終わると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルアーム24に、サンプルプローブ26を下降開始点まで上昇させる。
【0028】
サンプルプローブ26を下降開始点まで上昇させ終わると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルアーム24に、サンプルプローブ26を図示しない洗剤吐出位置に移動させる。この洗剤吐出位置は、サンプルプローブ26の回転軌跡28上に設けられている。洗剤吐出位置にサンプルプローブ26を移動させると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルプローブ26に酸性洗剤を吐出させる。洗剤吐出位置には、サンプルプローブ26を水洗浄するための機構が備えられている。洗剤を吐出したサンプルプローブ26は、洗剤吐出位置で水洗浄される。サンプルプローブ26が水洗浄されると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルアーム24及びサンプルプローブ26にサンプル分注動作をさせる。
【0029】
なお、吸入された酸性洗剤を水洗浄機構ではなく、サンプル吐出位置12A上にある反応管12に吐出するとしてもよい。この制御部3は、酸性洗剤を吸入させてサンプルプローブ26を下降開始点まで上昇させ終わると、駆動部4を制御してサンプルアーム24に、サンプルプローブ26をサンプル吐出位置12Aに移動させる。サンプル吐出位置12Aにサンプルプローブ26を移動させると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルプローブ26に酸性洗剤を反応管12に吐出させる。酸性洗剤が吐出されると制御部3は、駆動部4を制御してサンプルアーム24及びサンプルプローブ26にサンプル分注動作をさせる。
【0030】
プローブ用液面検知部5は、既知の技術を用いて、サンプルプローブ26が洗剤の液面に接触したことを電気的に検知する。プローブ用液面検知部5は、液面検知信号を洗剤不足判定部6に供給する。
【0031】
洗剤不足判定部6は、各洗剤貯蔵部50―1、50―2、50―3、50―4、50―5、50―6内の洗剤が不足しているか否かを判定する。具体的には、洗剤不足判定部6は、下降開始信号の供給を受けた時点から液面検知信号の供給を受けた時点までのプローブ26、36、46の下降量に基づいて、洗剤貯蔵部50―1、50―2、50―3、50―4、50―5、50―6内の洗剤液面の高さを算出する。そして洗剤不足判定部6は、算出した液面の高さが、所定値以下であるか否かを判定する。所定値以下、すなわち洗剤が不足していると判定した場合、洗剤不足判定部6は、制御部3に洗剤が不足している旨の情報を供給する。この洗剤不足情報は、洗剤が不足している洗剤貯蔵部の識別情報を含む。所定値以上、すなわち洗剤が不足していないと判定した場合、洗剤不足判定部6は、制御部3に洗剤が不足していない旨の情報を供給する。
【0032】
洗剤不足判定部6から洗剤不足情報が供給されると制御部3は、コンソール部2に洗剤不足情報を供給する。洗剤不足情報の供給を受けたコンソール部2は、オペレータに対して、プローブ用液面検知部5により検知された液面に由来する情報、すなわち、洗剤が不足している旨の情報を報知する。例えば、コンソール部2は、「サンプルプローブ用の酸性洗剤が不足しています」等のメッセージをモニタに表示したり、スピーカーにより音声を発生させたりする。
【0033】
洗剤が不足している旨の情報を確認したオペレータは、必要な洗剤を供給口51から供給側タンク53内に注入する。上述したように供給口51は、分注機構の動作範囲外に設けられている。従って、オペレータは、測定を止めることなく洗剤を補充することができる。
【0034】
洗剤補充時においてセンサ(タンク内液面検知部)57は、洗剤の液面を検知すると、制御部3に液面検知信号を供給する。センサ57から液面検知信号の供給を受けた制御部3は、コンソール部2に洗剤満杯情報を供給する。この洗剤満杯情報は、洗剤が満杯に補充された洗剤貯蔵部の識別情報を含む。洗剤満杯情報の供給を受けたコンソール部2は、オペレータに対して、センサ57により検知された液面に由来する情報、すなわち、洗剤が満杯である旨の情報を報知する。例えば、コンソール部2は、「サンプルプローブ用の酸性洗剤が満杯になりました」等のメッセージをモニタに表示したり、スピーカーにより音声を発生させたりする。コンソール部2が洗剤満杯情報を報知することによりオペレータは、供給側タンク53内を視認しづらい場合でも、洗剤貯蔵部50に適量の洗剤を補充できる。
【0035】
なお、センサ57は設けられなくてもよい。この場合、オペレータは、洗剤量の増加に伴って上昇するフロート66を観察することにより、適量の洗剤を補充できる。より詳細には、フロート66の露出部分562に記されたメモリを観察したり、露出部分562の高さを観察したりすることで、洗剤容量を確認することができる。
【0036】
かくして本実施形態によれば、測定動作を中断させることなく洗剤を補充可能な自動分析装置を提供することが可能になる。
【0037】
なお、洗剤貯蔵部50は、酸性洗剤又はアルカリ性洗剤を貯蔵するとした。しかしながらこれに限定する必要はなく、洗剤貯蔵部50は、中性洗剤等の洗剤や水等、プローブを洗浄するためのあらゆる液体を貯蔵することが可能である。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係わる自動分析装置を上部から見た平面図。
【図2】図1の洗剤貯蔵部の断面図。
【図3】図1の洗剤貯蔵部の他の断面図。
【図4】図1の自動分析装置の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0040】
1…筐体、10…反応ディスク、12…反応管、12A…サンプル吐出位置、12B…第1試薬吐出位置、12C…第2試薬吐出位置、20…サンプルディスク、22…サンプル容器、22A…サンプル吸入位置、24…サンプルアーム、26…サンプルプローブ、28…サンプルプローブの回転軌跡、30…第1試薬庫、32…第1試薬容器、32B…第1試薬吸入位置、34…第1試薬アーム、36…第1試薬プローブ、38…第1試薬プローブの回転軌跡、40…第2試薬庫、42…第2試薬容器、42C…第2試薬吸入位置、44…第2試薬アーム、46…第2試薬プローブ、48…第2試薬プローブの回転軌跡、50…洗剤貯蔵部、51…供給口、52…吸入口、53…供給側タンク、54…洗剤路、55…吸入側タンク、56…フロート、561…浮き部分、562…露出部分、57…センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブにより試薬とサンプルとを分注する分注機構と、
前記分注機構が設けられる筐体と、
前記筐体に設けられる供給口と吸入口とを有し、前記プローブを洗浄するための液体を貯蔵する貯蔵部と、
を具備する自動分析装置。
【請求項2】
前記貯蔵部は、
前記筐体の表面に設けられる前記供給口と、
前記筐体の表面に設けられる前記吸入口と、
前記供給口に接続され、前記供給口から供給された前記液体を貯める供給側タンクと、
前記吸入口に接続され、前記プローブにより吸入される前記液体を貯める吸入側タンクと、
前記供給側タンクと前記吸入側タンクとの間を接続する前記液体のための流路と、
を備える請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記供給口は、前記筐体の前面側に設けられる、請求項1記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記洗剤貯蔵部は、前記貯蔵されている液体の量の増減に応じて昇降するフロートを備える請求項1記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗剤貯蔵部内の前記液体の液面を電気的に検出する検出部と、
前記検出された液面の高さに由来する情報を報知する報知部と、
をさらに備える請求項1記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−133784(P2010−133784A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308638(P2008−308638)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】