説明

自動包装機の超音波横シール機構における圧力制御

【課題】超音波ヒートシールを用いた横シール機構を搭載した自動包装機において、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構を一つの機構で実施して自動包装機の動作速度を速くすると共に機器のコストを安くする自動包装機の横シール機構を提供する。
【解決手段】超音波シール装置を用いた横シール機構において、円筒形状の包装フィルムを挟み込んで超音波ヒートシールを施す場合は、エアーレギュレータ92からの低いエアー圧力を選択するように電磁弁91を切り替え、円筒形状の包装フィルムを挟み込んだ状態のままで一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす場合は、エアーレギュレータ93からの高いエアー圧力を選択するように電磁弁91を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて被包装材料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、超音波を用いた自動包装機の横シール機構における圧力制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一度に複数本のスティックタイプの包装体を連続的にシール成形できるように構成した縦型多列自動包装機が存在している。これは多列式に構成された各充填パイプの周囲に複数本に切断された包装フィルムの各々を巻装して円筒状にフォーミングした後、この巻装された包装フィルムの両端合わせ目に対して縦ヒートシーラによって縦シールを施して円筒状包装フィルムにし、次いで、この円筒状包装フィルムの規定の位置に対して横ヒートシーラによって横シールを施して袋状の包装フィルムにしている。
【0003】
そして、この縦型多列自動包装機は、出来上がった袋状の包装フィルム内に設けられた充填パイプを通して被包装材料(内容物)を投入し、その後、この袋状の包装フィルムの充填口を横シールして封止し、この封止された包装フィルムの横シール中央付近に対してカッター装置を用いて切り離し、最終的に個別包装形態のスティック状包装体が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。このような縦型多列自動包装機の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
上記のような従来の縦型多列自動包装機において、袋状の包装フィルム内に乾燥剤や脱酸素剤等を充填して横シールするケースでは、溶着面に浮遊する塵や内容物(乾燥剤や脱酸素剤等の粉末)が存在することが多く、これらを散逸させながら横シールする必要がある。また、出来上がった包装体の横シール縦幅を細くして、効率の良い乾燥作用や脱酸素作用を促す袋設計が必要になる。このため、通常袋状の包装フィルム内に乾燥剤や脱酸素剤等を充填する自動包装機の横シール機構には、超音波シール装置を搭載した方式を採用している。
【0005】
この種の超音波シール装置は、周波数が20KHz以上の超音波エネルギーをホーンと呼ばれる共鳴体に送り、このホーン(共鳴体)が超音波エネルギーである機械的振動を増幅しつつホーン(共鳴体)先端部分のシール面に伝える。そして、このホーン(共鳴体)先端部分とアンビル(受台)とで円筒形状の包装フィルムを挟み込むと、このホーン(共鳴体)先端部分に対して応力が働くことになり、この境界面や応力が集中したとこころに強力な摩擦熱が発生して包装フィルムに対して熱溶着動作が行われるものである。
【0006】
一方、縦型多列自動包装機の横シール機構は、縦シール機構において円筒形状にシールされた包装フィルムに対して横シールを施す機能と共に、円筒形状にシールされた包装フィルムを挟み込んだ状態で一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす機能を備えている。
【0007】
そして、超音波シール装置を用いない通常の横シール機構の場合は、発熱用の電熱線が内包された二つの横ヒートシールバーが円筒形状の包装フィルムを中心に前後に配備されており、この前後二つの横ヒートシールバーにおけるシール刃の縦幅は、横シールを確実に実施するために充分に太くなるように設計されている。このため、円筒形状の包装フィルムに対して横シールを行う最適な挟み込み圧力を維持したまま包装フィルムを一つの包装袋分だけ下方に引き下ろすことが可能であった。なお、上記横シールを行う最適な挟み込み圧力及び包装フィルムを一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす最適な挟み込み圧力は、通常約0.5MPa(約0.5Mパスカル)程度と言われている。
【0008】
ところが、超音波シール装置を用いた横シール機構の場合は、上記に説明したようにシール部分の面積を小さくするために横ヒートシール刃の縦幅が細くなるように設計されている。このため、円筒形状の包装フィルムに対して横シールを行う最適な挟み込み圧力は、通常の横シール機構の場合より低い値を採用することになり、この挟み込み圧力では包装フィルムを一つの包装袋分だけ下方に引き下ろすことが困難になる。この包装フィルムを下方に引き下ろすことができる挟み込み圧力は、包装フィルムの性質やフィルム幅、縦型多列自動包装機内を包装フィルムが流れる際の摩擦抵抗等により適宜変化するが、乾燥剤や脱酸素剤等を包むポリオレフィン繊維等の微細合成繊維からなる不織布による包装フィルムの場合はフィルム表面の摩擦係数が高い上に、フィルム材質が硬くて厚いため、超音波ヒートシールする時の挟み込み圧力よりも引き下ろすための挟み込み圧力の方が高い圧力を必要としている。
【0009】
このような場合の横シール機構は、特許文献2に開示されているように、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構を別々に設けて対応していた。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【特許文献2】特開2004−67247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構を別々に設けた場合は、一つの包装袋を作成するサイクル内に超音波シールを施す工程と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす工程を別々に配備する必要が発生し、自動包装機の動作スピードが遅くなる。
【0011】
さらに、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構の二つの機構を横シール機構内に設ける必要があるため、構造が複雑になり、機器のコストが大幅に上昇することになる。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、超音波ヒートシールを用いた横シール機構を搭載した自動包装機において、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構を単純にして自動包装機の動作速度を速くすると共に機器のコストを安くする自動包装機の横シール機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明は、幅の広い原反フィルムを一条若しくは複数条の包装フィルムにスリットした後、この一条若しくは複数条の包装フィルムを筒状にするフォーミング機構と、このフォーミングされた包装フィルムに対して縦シールして筒状の包装フィルムにする縦シール機構と、この筒状の包装フィルムに対して横シールして袋状の包装フィルムにすると共にこの包装フィルムを下方に搬送する横シール機構と、この袋状の包装フィルム内に被包装材料(内容物)を充填する充填機構と、この充填された袋状包装フィルムの充填口を横シールして封止状の包装フィルムにすると共にこの封止状の包装フィルムを下方に搬送する横シール機構と、この搬送された封止状包装フィルムの横シール部分を切り離して個別包装体とする自動包装機であって、前記横シール機構のシール刃は、超音波ホーンとアンビルで構成され、前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら横シールする場合は、この超音波ホーンに超音波を供給すると共に挟み込み圧力を通常よりも低い値に設定し、前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら下方に搬送する場合は、この超音波ホーンへの超音波供給を停止すると共に挟み込み圧力を通常よりも高い値に設定している。
【0014】
(2)また本発明の横シール機構の圧力制御手段は、外部から供給されるエアーを通常より低い圧力にするエアーレギュレータと、外部から供給されるエアーを通常より高い圧力にするエアーレギュレータと、この低圧力エアーと高圧力エアーの供給を切り替える圧力切り替え電磁弁と、この切り替えられた供給エアーによってエアーシリンダを前に出す方向又は中に引き込む方向に切り替える方向切り替え電磁弁と、超音波ホーンをアンビルに押圧するエアーシリンダとで構成され、前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら横シールする場合は、前記エアーシリンダに供給する圧力用エアーは、方向切り替え電磁弁により超音波ホーンをアンビルに押圧する方向に切り替えると共に圧力切り替え電磁弁により低圧力エアーの供給に切り替え、前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら下方に搬送する場合は、前記エアーシリンダに供給する圧力用エアーは、方向切り替え電磁弁により超音波ホーンをアンビルに押圧する方向に切り替えると共に圧力切り替え電磁弁により高圧力エアーの供給に切り替えている。
【0015】
上記(1)、(2)で述べた超音波ヒートシールを用いた横シール機構を搭載した自動包装機によれば、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構を一つの機構で実施して自動包装機の動作速度を速くすると共に機器のコストを安くできる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、超音波ヒートシールを用いた横シール機構を搭載した自動包装機において、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構を一つの機構で対応できるようにしたため、自動包装機の動作速度が速くなると共に機器のコストが安くなる自動包装機の横シール機構を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明に係る自動包装機における横シール機構の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明を実施した縦型多列自動包装機の正面図であり、図2は、本発明を実施した縦型多列自動包装機の側面図である。これらの図面において各々符号1で全体的に示した縦型多列自動包装機は、一度に複数本のスティック包装体を連続的にシール成形できるように構成されている。
【0018】
図1と図2に示すように、2は被包装材料(内容物)を収容したホッパー、3はホッパー2から供給される被包装材料を計量した後中間シュート4に落下させる計量供給盤、4は計量供給盤3から落下してきた被包装材料を充填パイプ5に送り込む中間シュート、5はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を略円筒状に巻き付けると共に被包装材料の投入通路となる充填パイプ、6は包装フィルムF’が巻き付けられた充填パイプ5に嵌め込まれたフォーマー部材であり、このフォーマー部材6は充填パイプ4との僅かな隙間に包装フィルムF’を挟んで略円筒状にフォーミングする役目を担っている。7は充填パイプ5とフォーマー部材6とで構成されたフォーミング機構の下に設けた縦シール機構、8は縦シール機構の下に設けたカッター機構を含む横シール機構、9は出来上がった包装体を受け取る袋ガイド並びにすべり台、10は操作パネルボックスである。
【0019】
次に、図2に示すように、FHは幅の広い包装フィルム(包材)を巻回した状態にした原反ロール、FはこのロールFHから引き出された幅の広い包装フィルム、FXはこの幅の広いフィルムFを上記充填パイプ5の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置である。そして、上記横シール装置8の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’はフォーマー部材6と充填パイプ5の隙間を通過することによって略円筒形状にフォーミングされる仕組みになっている。
【0020】
次に、縦型多列自動包装機1は、縦シール機構7の縦ヒートシーラによって略円筒形状にフォーミングされて重ね合わされた各包装フィルムF’の両端同士を押圧して封筒状にシール成形する。更に、この略円筒形状になった包装フィルムF’に対して横シール機構8の横ヒートシーラによって挟み込んで袋状の包装フィルムとした後、上記充填パイプ4を通してこの袋状の包装フィルム内部に被包装材料(内容物)を投入する。同時に、横シール機構8による挟持状態のまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行う。
【0021】
その後、この横シール機構8を1包装袋分上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって被包装材料(内容物)が入った袋状の包装フィルムの充填口を封止して密封し、多列式にスティック包装体をシール成形するものである。
【0022】
そして、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分を横シール機構8に内包されたカッター装置で上下に切断することにより、一度に多数本のスティックタイプ個別包装体を連続的に生産できるように構成されている。
【0023】
なお、図1と同様に、2はホッパー、3は計量供給盤、4は中間シュート、9は袋ガイドとすべり台であり、8の横シール機構は、超音波シール装置を用いて横シールを行っている。
【0024】
図3は、本発明の縦型多列自動包装機における超音波シール装置を用いた横シール機構の一部断面図を含む側面図であり、円筒形状の包装フィルムを挟み込む前段階の状態である。図4は、本発明の縦型多列自動包装機における超音波シール装置を用いた横シール機構の一部断面図を含む側面図であり、円筒形状の包装フィルムを挟み込む途中の状態を表したものである。図5は、本発明の縦型多列自動包装機における超音波シール装置を用いた横シール機構の一部断面図を含む側面図であり、円筒形状の包装フィルムを挟み込んでいる状態を表したものである。
【0025】
図3乃至図5に示すように、本発明の横シール機構8の超音波シール装置に関連する部分は、周波数が20KHz以上の超音波エネルギーを発生する超音波発信部83と、発生した超音波エネルギーを共振させて効率良く先端部分に伝える超音波ホーン(超音波共鳴体)82と、超音波ホーンの押圧力を受け止めてホーン先端部分に対して応力を発生させるアンビル(受台)80と、アンビル80を前後に移動させるエアーシリンダ81と、超音波発信部83と超音波ホーン82を前後に移動させるエアーシリンダ84とで構成されている。
【0026】
そして、図3乃至図5に示した超音波シール装置を用いた横シール機構は、以下のように動作する。
【0027】
(1)図3は、超音波シール装置を用いた横シール機構において、円筒形状の包装フィルムを挟み込む前段階の状態を表しており、超音波発信部83と超音波ホーン82が取り付けられた台はエアーシリンダ84によって側面視左側に移動されている。同じく、アンビル80が取り付けられた台はエアーシリンダ81によって側面視右側に移動されている。この結果、超音波ホーン82とアンビル80は開いている状態にあり、この間に円筒形状の包装フィルムが置かれている。この状態では、まだ超音波発信部83に対する駆動は行われていないため、円筒形状の包装フィルムに対するヒートシールは施されていない。
【0028】
(2)図4は、超音波シール装置を用いた横シール機構において、円筒形状の包装フィルムを挟み込む途中の状態を表しており、超音波発信部83と超音波ホーン82が取り付けられた台はエアーシリンダ84によって側面視左側に移動されている。そして、アンビル80が取り付けられた台は、エアーシリンダ81の押圧力によって側面視左側に移動されている。この結果、超音波ホーン82とアンビル80の間の距離は縮まってはいるもののまだ開いている状態にあり、この間に円筒形状の包装フィルムが置かれている。この状態では、まだ超音波発信部83に対する駆動は行われていないため、円筒形状の包装フィルムに対するヒートシールは施されていない。
【0029】
(3)図5は、超音波シール装置を用いた横シール機構において、円筒形状の包装フィルムを挟み込んでいる状態を表しており、超音波発信部83と超音波ホーン82が取り付けられた台はエアーシリンダ84の押圧力によって側面視右側に移動されている。同じく、アンビル80が取り付けられた台はエアーシリンダ81の押圧力によって側面視右側に移動されている。この結果、超音波ホーン82とアンビル80は閉じている状態にあり、同時に超音波発信部83に対する駆動が行われて超音波エネルギーが発生しており、アンビルからの応力を受けて超音波ホーンの先端部分では強力な摩擦熱が発生し、この間に置かれている円筒形状の包装フィルムに対して横シールが施されている。
【0030】
そして、このような超音波エネルギーによる横シールは瞬間的に完了し、この横シール機構を制御している縦型多列自動包装機は、超音波発信部83に対する駆動を停止する。この駆動停止と同時に超音波ホーンの先端部分の発熱は停止し、この超音波ホーンの先端部分は急速に常温にもどることになる。
【0031】
次に、この超音波ホーンとアンビルは、ヒートシールが終わった円筒形状の包装フィルムを挟み込んだ状態のままで一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす動作を実施する。この円筒形状の包装フィルムを挟み込んだ状態で一つの包装袋分だけ下方に引き下ろすためには、背景技術のところで説明したように、超音波ヒートシールする時の挟み込み圧力よりも引き下ろすための挟み込み圧力の方が高い圧力を必要としているため、この横シール機構を制御している縦型多列自動包装機は、ここで超音波発信部83と超音波ホーン82を前後に移動させるエアーシリンダ84に供給しているエアー圧力を切り替えて、超音波ヒートシールする時よりも高いエアー圧力となるように制御する。この結果、横シールを行った超音波ホーンとアンビルによって包装フィルムを挟み込んだ状態を維持しつつ一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす動作が正しく実施できるようになる。
【0032】
図6は、本発明の超音波シール装置を用いた横シール機構における円筒形状の包装フィルムを挟み込む圧力を制御している手段を説明した概念図である。図6に示すように、本発明の圧力制御手段は、超音波発信部83と超音波ホーン82を前後に移動させるエアーシリンダ84に供給しているエアーの配管状況を概念的に表したもので、外部供給エアーを低いエアー圧力に調節するエアーレギュレータ92と、外部供給エアーを高いエアー圧力に調節するエアーレギュレータ93と、この二種類のエアーレギュレータによって調節された低圧力エアーと高圧力エアーの供給を切り替える圧力切り替え電磁弁91と、この切り替えられた供給エアーによってエアーシリンダ84を前に出す状態(シリンダON状態)とエアーシリンダ84を中に引き込む状態(シリンダOFF状態)に作動させる方向切り替え電磁弁90と、エアーシリンダ84とで構成されている。
【0033】
そして、図6に示した本発明の超音波シール装置を用いた横シール機構における圧力制御手段は、以下のように動作する。
【0034】
(1)外部供給エアーは、エアーレギュレータ92とエアーレギュレータ93に接続されており、エアーレギュレータ92は、超音波ヒートシールを施す際に最適な押圧力である低い値(0.31MPa:0.31Mパスカル)に設定されている。また、エアーレギュレータ93は、包装フィルムを挟み込んだ状態のままで一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす際に最適な押圧力である高い値(0.7MPa:0.7Mパスカル)に設定されている。
【0035】
(2)円筒形状の包装フィルムを挟み込んで超音波ヒートシールを施す場合は、エアーレギュレータ92からの低いエアー圧力を選択するように電磁弁91を切り替える。
【0036】
(3)円筒形状の包装フィルムを挟み込んだ状態のままで一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす場合は、エアーレギュレータ93からの高いエアー圧力を選択するように電磁弁91を切り替える。
【0037】
(4)上記電磁弁91によって切り替えられたエアーは、包装フィルムを挟み込むタイミングの時は、電磁弁90によってエアーシリンダ84を前に出す状態(シリンダON状態)に切り替える。また、包装フィルムを開放するタイミングの時は、電磁弁90によってエアーシリンダ84を中に引き込める状態(シリンダOFF状態)に切り替える。
【0038】
(5)この結果、超音波ヒートシールを施す際の最適な押圧力と、包装フィルムを挟み込んだ状態のままで一つの包装袋分だけ下方に引き下ろす際の最適な押圧力を最適なタイミングで切り替ええることが可能となる。
【0039】
以上、図1乃至図6によって説明された本発明は、超音波ヒートシールを用いた横シール機構を搭載した縦型多列自動包装機において、超音波ヒートシール機構と包装フィルムを挟み込んで引き下ろす機構を一つの機構で対応できるようになり、この結果、自動包装機の動作速度が速くなると共に機器のコストが安くなる縦型多列自動包装機の横シール機構を提供することができる。
【0040】
なお、図1における縦型多列自動包装機の列数は8列の例で説明しているが、本発明はこの列数に限定されたものではなく、原反ロール幅と包装袋幅の値に応じた任意の列数(一列も含む)を採用することができる。
【0041】
また、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を実施した縦型多列自動包装機の正面図である。
【図2】本発明を実施した縦型多列自動包装機の側面図である。
【図3】本発明の縦型多列自動包装機における超音波シール装置を用いた横シール機構の一部断面図を含む側面図であり、円筒形状の包装フィルムを挟み込む前段階の状態である。
【図4】本発明の縦型多列自動包装機における超音波シール装置を用いた横シール機構の一部断面図を含む側面図であり、円筒形状の包装フィルムを挟み込む途中の状態を表したものである。
【図5】本発明の縦型多列自動包装機における超音波シール装置を用いた横シール機構の一部断面図を含む側面図であり、円筒形状の包装フィルムを挟み込んでいる状態を表したものである。
【図6】本発明の超音波シール装置を用いた横シール機構における円筒形状の包装フィルムを挟み込む圧力を制御している手段を説明した概念図である。
【符号の説明】
【0043】
1 縦型多列自動包装機
2 ホッパー
3 計量供給盤
4 中間シュート
5 充填パイプ
6 フォーマー部材
7 縦シール機構
8 横シール機構
9 袋ガイド並びにすべり台
10 操作パネルボックス
F 包装フィルム
FH 包装フィルムを巻いた原反ロール
FX スリッター装置
F’ スリッター装置で切り分けられた包装フィルム
80 アンビル
81、84 エアーシリンダ
82 超音波ホーン
83 超音波発信部
90、91 電磁弁
92、93 エアーレギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広い原反フィルムを一条若しくは複数条の包装フィルムにスリットした後、この一条若しくは複数条の包装フィルムを筒状にするフォーミング機構と、このフォーミングされた包装フィルムに対して縦シールして筒状の包装フィルムにする縦シール機構と、この筒状の包装フィルムに対して横シールして袋状の包装フィルムにすると共にこの包装フィルムを下方に搬送する横シール機構と、この袋状の包装フィルム内に被包装材料(内容物)を充填する充填機構と、この充填された袋状包装フィルムの充填口を横シールして封止状の包装フィルムにすると共にこの封止状の包装フィルムを下方に搬送する横シール機構と、この搬送された封止状包装フィルムの横シール部分を切り離して個別包装体とする自動包装機であって、
前記横シール機構のシール刃は、超音波ホーンとアンビルで構成され、
前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら横シールする場合は、この超音波ホーンに超音波を供給すると共に挟み込み圧力を通常よりも低い値に設定し、
前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら下方に搬送する場合は、この超音波ホーンへの超音波供給を停止すると共に挟み込み圧力を通常よりも高い値に設定することを特徴とする自動包装機の横シール機構。
【請求項2】
前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込む横シール機構の圧力制御手段は、外部から供給されるエアーを通常より低い圧力にするエアーレギュレータと、外部から供給されるエアーを通常より高い圧力にするエアーレギュレータと、この低圧力エアーと高圧力エアーの供給を切り替える圧力切り替え電磁弁と、この切り替えられた供給エアーによってエアーシリンダを前に出す方向又は中に引き込む方向に切り替える方向切り替え電磁弁と、超音波ホーンをアンビルに押圧するエアーシリンダとで構成され、
前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら横シールする場合は、前記エアーシリンダに供給する圧力用エアーは、方向切り替え電磁弁により超音波ホーンをアンビルに押圧する方向に切り替えると共に圧力切り替え電磁弁により低圧力エアーの供給に切り替え、
前記包装フィルムに対して超音波ホーンとアンビルで挟み込みながら下方に搬送する場合は、前記エアーシリンダに供給する圧力用エアーは、方向切り替え電磁弁により超音波ホーンをアンビルに押圧する方向に切り替えると共に圧力切り替え電磁弁により高圧力エアーの供給に切り替えることを特徴とする請求項1記載の自動包装機の横シール機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−269377(P2007−269377A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98238(P2006−98238)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】