説明

自動水栓

【課題】水栓本体の内部に、水栓本体により形成される通水路を流れる水の作用を受けて発電する発電機と、吐水口からの吐水量を一定の量に制限するための定流量弁とを備える構成において、定流量弁の水栓本体からの取外しの容易化を図る。
【解決手段】湯水の温度を調整するためのミキシングバルブ5、通水路10を開閉する電磁弁、および使用者を検知するためのセンサを、水栓本体3に内蔵する自動水栓であって、水栓本体3は、複数のカバー部材によって分解可能に構成されるカバー部を有するものであり、ミキシングバルブ5は、カバー部の分解を要することなく水栓本体3に対して一体的に取外し可能な組立ユニット50として構成されるものであり、ミキシングバルブ5の内部に、定流量弁30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手等を検知することで自動的に吐水を行う自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者により差し出された手等をセンサによって検知することで、その手等を検知している間だけ吐水を行う自動水栓がある。このような自動水栓は、利便性が高く、吐止水(水の流出・停止)が非接触式で行われるために衛生的であり、また、使用者による「閉め忘れ」が発生しないために高い節水効果が得られることから、広く普及しつつある。
【0003】
このような自動水栓における自動吐止水機能は、水が吐出される吐水口までの通水路を開閉する電磁弁と、センサの出力に基づいて電磁弁の開閉を制御する制御部とを含む構成により実現される。また、自動水栓には、センサや電磁弁や制御部等に電力を供給するため、通水路を流れる水の作用を受けて発電する発電機を備えるものがある。自動水栓において発電機が備えられることにより、外部電源が不要となり、自動水栓の設置の自由度が飛躍的に向上する。そして、自動水栓においては、コンパクト化を図ること等を目的として、電磁弁、制御部、および発電機を、洗面台のカウンタ等の設置面上に設置されてスパウトを構成する水栓本体に内蔵するものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
このような自動水栓には、例えば特許文献1に記載されているように、水栓本体の内部に、吐水口からの吐水量を一定の量に制限するための定流量弁を備えるものがある。定流量弁を備える自動水栓においては、定流量弁によって通水路を流れる水の流量が制限されるため、発電機の性能を生かしきれない場合がある。つまり、定流量弁によれば、通水路を流れる水についての圧損が大きくなることから、発電機において所望される発電量を確保することができず、発電機の性能が十分に発揮できない場合がある。こうした定流量弁の作用に起因する現象は、自動水栓の設置現場において自動水栓に供給される水について十分な圧力が得られない場合に生じやすい。
【0005】
したがって、定流量弁を備える自動水栓については、その設置現場の状況に応じて、発電機による発電量を確保するために、定流量弁を水栓本体から取り外す必要が生じる場合がある。しかし、例えば特許文献1のように、従来の自動水栓においては、水栓本体に収容される定流量弁が、電磁弁等の収容空間を形成する水栓本体の部分に対して支持される。このため、水栓本体に対する定流量弁の支持構造や、電磁弁等の水栓本体に内蔵される他の部品との関係等から、定流量弁を水栓本体から取り外すための作業に手間がかかるという問題がある。具体的には、定流量弁を水栓本体から取り外す際に、複数の部材から構成される水栓本体を分解するといった作業が必要となる。
【0006】
一方で、自動水栓には、水栓本体に供給される湯と水を混合することで、吐水口から吐出される水についての温度調整が可能な構成を備えるものがある。吐水口から吐出される水の温度調整を行うための構成としては、例えば特許文献1のように、水栓本体に供給される湯と水の混合比を調整するためのミキシングバルブが備えられる。そして、このミキシングバルブは、水栓本体の分解を要することなく水栓本体に対して引き抜くことによって一体的に取外し可能な組立ユニットとして構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−248474号公報
【特許文献2】特開2004−336982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような背景技術に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、水栓本体の内部に、水栓本体により形成される通水路を流れる水の作用を受けて発電する発電機と、吐水口からの吐水量を一定の量に制限するための定流量弁とを備える構成において、容易に定流量弁を水栓本体から取り外すことができる自動水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動水栓は、吐水口を構成する水栓本体と、所定の経路を介して前記水栓本体に供給される湯および水の混合比を調整することで前記吐水口から吐出される湯水の温度を調整するための温調部と、前記水栓本体の内部に形成される通水路を開閉する電磁弁と、前記通水路を流れる湯水の作用により発電する発電機と、使用者を検知するためのセンサと、該センサからの出力信号に基づいて前記電磁弁の開閉を制御する制御部とを備え、前記温調部、前記電磁弁、および前記センサを、前記水栓本体に内蔵する自動水栓であって、前記水栓本体は、複数のカバー部材によって分解可能に構成される外縁部を有するものであり、前記温調部は、前記外縁部の分解を要することなく前記水栓本体に対して一体的に取外し可能な組立ユニットとして構成されるものであり、前記温調部に、前記吐水口からの湯水の吐出量を一定の量に制限するための定流量弁が設けられているものである。このような構成により、複数のカバー部材から構成される外縁部の分解をともなうことなく、容易に定流量弁を水栓本体から取り外すことができるので、自動水栓の設置現場の状況に応じて必要となる定流量弁の取外し作業や、定流量弁の取外しをともなう定流量弁のメンテナンス作業が容易となる。
【0010】
好ましくは、前記電磁弁は、前記通水路における上流側と下流側の圧力差に応じて前記通水路を開閉するように移動可能に設けられる弁部材を有するダイヤフラム式の電磁弁であり、前記温調部は、前記電磁弁に対して前記通水路における上流側に設けられているものである。このような構成により、あらかじめ定流量弁によって制限された湯水の流れによって、電磁弁の上流側と下流側とで十分な圧力差が得られるので、定流量弁による圧損の影響を受けることなく、ダイヤフラム式の電磁弁の性能を確保することができる。
【0011】
また、好ましくは、前記温調部に、前記定流量弁に導かれる湯水を通過させるストレーナが設けられているものである。このような構成により、ストレーナを温調部とともに水栓本体から容易に取り出すことができるので、ストレーナのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
また、好ましくは、前記温調部は、湯水の温度を調整するための操作に応じた動作を行うように設けられ、前記湯および水を合流させる混合空間を形成するとともに、前記湯の供給経路を前記混合空間に連通させることが可能な第一開口部および前記水の供給経路を前記混合空間に連通させることが可能な第二開口部を有し、前記動作により前記第一開口部を介する前記混合空間の前記湯の供給経路に対する連通面積および前記第二開口部を介する前記混合空間の前記水の供給経路に対する連通面積を変化させることで、前記湯および水の混合比を調整する弁体と、前記弁体に対して前記ストレーナを支持するとともに前記通水路を確保する孔部を形成し、前記ストレーナを通過した湯水を前記孔部に通過させる支持部材と、前記弁体に固定されるためのネジ部を有し、前記弁体に固定された状態で前記支持部材の前記下流側にて前記通水路を確保する開口部を形成するナット部材と、を含み、前記ストレーナ、前記支持部材、および前記定流量弁が、前記弁体と該弁体に固定される前記ナット部材とにより挟み込まれた状態で支持されるものである。このような構成により、定流量弁およびストレーナがナット部材によってス弁体の内部において挟持されているだけなので、定流量弁およびストレーナを簡単に取り外すことができ、これらのメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0013】
また、好ましくは、前記ナット部材は、前記ネジ部による前記弁体に対する締込みを行うためのすり割り部を有するものである。このような構成により、ナット部材の弁体に対する取付け・取外し作業を容易に行うことができるので、定流量弁やストレーナのメンテナンス作業を簡単なものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水栓本体の内部に、水栓本体により形成される通水路を流れる水の作用を受けて発電する発電機と、吐水口からの吐水量を一定の量に制限するための定流量弁とを備える構成において、容易に定流量弁を水栓本体から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動水栓の全体構成を示す側面断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動水栓の全体構成を示す正面断面図。
【図3】温調部であるミキシングバルブの構成を示す説明図。
【図4】温調部であるミキシングバルブの構成を示す部分拡大断面図。
【図5】温調部であるミキシングバルブの構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、自動水栓において電磁弁等を内蔵する水栓本体の内部に定流量弁を備える構成において、水栓本体に対して取外し可能に設けられる温調部に定流量弁を配置することで、自動水栓の設置現場の状況等に応じて取り外す必要が生じる場合のある定流量弁の、水栓本体からの取外しの容易化を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
まず、図1および図2を用いて、本実施形態に係る自動水栓1の全体構成について説明する。自動水栓1は、例えば洗面台のカウンタ等の設置面2上に設置される。自動水栓1は、設置面2上に固定される部分であって吐水口4を構成する水栓本体3を備える。
【0018】
水栓本体3は、設置面2に対して略垂直方向に構成される柱状の部分である基部3aと、この基部3aの設置面2に固定される側と反対側(図1において上側)の端部から略水平方向(基部3aに対して略垂直方向)に延設される水平部3bとを有する。水栓本体3は、基部3aと水平部3bとにより全体として略L字状に構成される。
【0019】
吐水口4は、水栓本体3の水平部3bの先端部分に形成される開口部3cに吐水口部材としての泡沫キャップ4aが取り付けられることにより構成される。吐水口4は、例えば洗面台が有する洗面ボール等に臨んで開口するように設けられる。なお、以下の説明においては、設置面2に対して垂直な方向(図1における上下方向)を、自動水栓1における上下方向とする。
【0020】
自動水栓1は、湯水混合型のものである。このため、自動水栓1は、吐水口4から吐出される湯水の温度を調整するためのミキシングバルブ5を備える。すなわち、自動水栓1においては、所定の経路を介して水栓本体3に供給される湯および水がミキシングバルブ5において混合され、調整された温度の湯水が吐水口4から吐出される。
【0021】
具体的には、図2に示すように、水栓本体3においては、湯が供給される給湯管6が接続される給湯口7と、水が供給される給水管8が接続される給水口9とが形成される。給湯管6に対しては、図示せぬ給湯器等により得られた湯が供給され、給水管8に対しては、上水等から導かれる水が供給される。そして、給湯管6から水栓本体3に供給される湯、および給水管8から水栓本体3に供給される水が、ミキシングバルブ5において調整可能な混合比で混合され、水栓本体3の内部に形成される通水路10を通って、吐水口4から吐出される。ミキシングバルブ5は、水栓本体3の基部3aにおける下側の部分に設けられる。
【0022】
ミキシングバルブ5による湯水の温度調整は、水栓本体3の外側に設けられるハンドル20の回転操作により行われる。つまり、ミキシングバルブ5は、ハンドル20の操作に連動して、給湯管6から供給される湯と給水管8から供給される水との混合比を変化させるように動作する。このため、ハンドル20は、水栓本体3の基部3aの下側の部分に形成される開口部3dを介して、ミキシングバルブ5に連結されて固定される。このように、自動水栓1においては、ミキシングバルブ5が、所定の経路を介して水栓本体3に供給される湯および水の混合比を調整することで吐水口4から吐出される湯水の温度を調整するための温調部として機能する。
【0023】
自動水栓1は、使用者により差し出された手等を検知することで、吐水口4からの吐水を行う。このため、自動水栓1は、使用者を検知するためのセンサ11を備える。センサ11は、水栓本体3において吐水口4の近傍に配置される(図1参照)。
【0024】
具体的には、センサ11は、吐水口4を構成する泡沫キャップ4aに添うように設けられる。センサ11は、その指向方向が吐水口4からの湯水の吐出方向と略一致するように設けられる。
【0025】
このように吐水口4の近傍に設けられるセンサ11により、使用者が検知されている状態において、ミキシングバルブ5によって得られた湯水が、通水路10を通って吐水口4から自動的に吐出される。一方、センサ11によって使用者が検知されていない状態においては、自動水栓1は止水状態となる。こうしたセンサ11による自動的な吐止水を行うため、自動水栓1は、吐水口4までの通水路10を開閉する電磁弁12と、センサ11からの出力信号に基づいて電磁弁12の開閉を制御する制御部13とを備える。
【0026】
電磁弁12は、水栓本体3の基部3aにおいてミキシングバルブ5の上方に配置される。電磁弁12は、通水路10の途中に設けられ、ミキシングバルブ5によって得られた湯水を通過させるとともに、弁部材12aを動作させることで通水路10を開閉する。つまり、自動水栓1においては、電磁弁12が開状態となることで吐水口4からの吐水が開始され、電磁弁12が閉状態となることで吐水口4からの吐水が停止する。電磁弁12は、制御部13に対して電気的に接続され、制御部13からの制御信号を受けて開閉する。
【0027】
制御部13は、水栓本体3において電磁弁12の上方に配置される。制御部13は、センサ11に接続され、センサ11からの出力信号である使用者の検知の有無についての検出信号を受ける。そして、制御部13は、センサ11が使用者を検知している状態でセンサ11から出力される信号を受けることで、電磁弁12を開状態とする。
【0028】
また、自動水栓1は、通水路10を流れる湯水の作用により発電する発電機14を備える。発電機14は、水栓本体3の水平部3bにおいて通水路10における吐水口4の上流側において構成される。発電機14は、通水路10の途中に設けられ、ミキシングバルブ5によって得られた湯水を通過させるとともに、通水路10を流れる湯水の水流により回転する部分を有する軸流式の発電機である。
【0029】
発電機14において発電された電力は、制御部13に内蔵されるコンデンサに充電される。コンデンサに蓄えられた電気エネルギーは、例えば、センサ11や電磁弁12や制御部13等の駆動に使用される。また、水栓本体3の内部における電磁弁12の上方には、制御部13に内蔵されるコンデンサに電力を供給するためのバックアップ電池15が設けられている。バックアップ電池15は、自動水栓1の使用開始時や長期間にわたって発電機14による発電が行われていない状態において制御部13に内蔵されるコンデンサに電力を供給する。
【0030】
以上のような構成を備える本実施形態の自動水栓1においては、電磁弁12が閉じている状態で、止水状態が保持される。止水状態の自動水栓1においては、給湯管6および給水管8を介して供給される湯および水が、ミキシングバルブ5を介して閉状態の電磁弁12においてせき止められた状態となる。そして、止水状態の自動水栓1に対して、自動水栓1の使用者によって吐水口4の下に手がかざされると、使用者の手がセンサ11によって検知される。制御部13は、使用者の手を検知したセンサ11からの出力信号を受けて、電磁弁12を開状態とする。
【0031】
これにより、通水路10の途中で電磁弁12により湯水がせき止められていた状態が解除され、給湯管6および給水管8を介して供給される湯および水が、通水路10において電磁弁12から流出して発電機14を介して吐水口4から吐出される。ここで、発電機14の内部を通過する湯水の流れによって、発電機14による発電が行われる。そして、使用者の手がセンサ11によって検知されない位置に移動すると、センサ11からの出力信号に基づく制御部13によって電磁弁12が閉状態とされ、吐水口4からの湯水の吐出が自動で止まる。
【0032】
以上のように、本実施形態の自動水栓1は、ミキシングバルブ5と、センサ11と、電磁弁12と、制御部13と、発電機14とを備え、これらを水栓本体3に内蔵する。そして、自動水栓1においては、水栓本体3は、複数のカバー部材によって分解可能に構成される外縁部を有する。
【0033】
水栓本体3は、本体部21と、この本体部21を覆う外縁部としてのカバー部22とを有する。本体部21は、自動水栓1が備えるミキシングバルブ5および電磁弁12を支持する。具体的には、ミキシングバルブ5は、全体として略円筒状の外形を有する。このため、本体部21は、ミキシングバルブ5の外形に対応して略円筒状の孔部21aを有し、この孔部21aに、ミキシングバルブ5を挿入させた状態で支持する。なお、孔部21aの形状である略円筒形状は、投影された水平部3bの延設方向(図1において左右方向)に略直交する水平方向(図2において左右方向)を筒軸方向とする。
【0034】
また、電磁弁12は、通水路10を開閉する部分を構成する弁部材12aを支持する部分において略円筒状の外形を有する。このため、本体部21は、電磁弁12の外形に対応して上側に開口する略円筒状の凹部21bを有し、この凹部21bに弁部材12aを支持する部分を嵌め込んだ状態で電磁弁12を支持する。本体部21は、水栓本体3の基部3aの部分に収容される。
【0035】
このようにミキシングバルブ5および電磁弁12を支持する本体部21は、水栓本体3に供給される湯および水をミキシングバルブ5および電磁弁12を通過させるように通水路10を形成する。なお、前述したように給湯管6が接続される給湯口7、および給水管8が接続される給水口9は、本体部21においてミキシングバルブ5を支持する孔部21aの下方において、下側に開口するように形成される。
【0036】
また、前記のとおり水栓本体3の水平部3bにおいて構成される発電機14は、本体部21に形成される通水路10の部分に対して、通水管部材23を介して接続される(図1参照)。つまり、本体部21に形成される通水路10の部分から下流側に流れ出る湯水は、通水管部材23を通って発電機14に流れ込む。
【0037】
カバー部22は、下カバー体24と上カバー体25とを有する。下カバー体24は、カバー部22において水栓本体3の基部3aの部分および水平部3bの下側の部分を構成する。上カバー体25は、カバー部22において上側の天井部分を構成する。すなわち、下カバー体24は、ミキシングバルブ5および電磁弁12を支持する本体部21を収容する空間を形成するとともに、カバー部22における上側の部分を略全面に開口させる。そして、上カバー体25が、下カバー体24の上側の開口部を覆うように蓋状の部材としてカバー部22の一部を構成する。
【0038】
カバー部22を構成する下カバー体24と上カバー体25とは、互いに組み付けられた状態で、水栓本体3において水平部3bが延設される側と反対側(図1において右側)である背面側においてビス等の締結部材26によって固定される。したがって、カバー部22は、締結部材26を外すことによって下カバー体24と上カバー体25とを含む複数の部品に分解可能に構成される。つまり、本実施形態では、カバー部22が、複数のカバー部材である下カバー体24および上カバー体25によって分解可能に構成される外縁部である。
【0039】
このように、カバー部22を構成する下カバー体24および上カバー体25は、水栓本体3に内蔵されるミキシングバルブ5、電磁弁12、発電機14、センサ11、および制御部13を収容する空間を形成する。言い換えると、下カバー体24および上カバー体25によって構成されるカバー部22は、水栓本体3において、吐水口4を外部に露出させる開口部3cの部分および給湯口7および給水口9が形成される本体部21の下端部側を下側に開放するための開口部分以外の略全体の部分を覆う。下カバー体24および上カバー体25は、金属や樹脂等を材料として形成される。
【0040】
なお、本実施形態においては、水栓本体3を構成するカバー部22は、分解可能な二つのカバー部材である下カバー体24および上カバー体25によって構成されるものであるが、分解可能な三つ以上のカバー部材によって構成されてもよい。また、水栓本体3の形状についても、特に限定されるものではなく、種々のデザインに対応して適宜の形状が採用される。また、水栓本体3を構成する本体部21は、同じく水栓本体3を構成するカバー部22と一体的に形成される部分であってもよい。
【0041】
また、本実施形態の自動水栓1においては、ミキシングバルブ5は、カバー部22の分解を要することなく水栓本体3に対して一体的に取外し可能な組立ユニットとして構成される。言い換えると、ミキシングバルブ5は、下カバー体24と上カバー体25とが組み付けられ締結部材26によって固定されることで一体的にカバー部22を構成する状態において、水栓本体3に対して着脱可能に構成される。
【0042】
具体的には、ミキシングバルブ5は、水栓本体3においてハンドル20が設けられる部分から取り外される。すなわち、図3(a)に示すように、水栓本体3からのミキシングバルブ5の取外しに際しては、まず、ハンドル20が取り外される。同じく図3(a)に示すように、ハンドル20が取り外された状態から、ミキシングバルブ5を水栓本体3に対して固定するための固定部材27が取り外される。固定部材27は、略円筒状の外形を有する。固定部材27は、内周面によってミキシングバルブ5のハンドル20に連結される側の部分を挿入させる孔部27aを形成するとともに、外周面にネジ部27bを有する。
【0043】
固定部材27は、本体部21の孔部21aに挿入・支持された状態のミキシングバルブ5の、開口部3dを介するハンドル20に対する連結を許容するように、ミキシングバルブ5の一部を孔部27aに貫通させた状態で、ネジ部27bによって本体部21に固定される。このため、本体部21の孔部21aにおける開口部3d側の開口端部には、固定部材27のネジ部27bに係合する内周ネジ部21cが形成されている。
【0044】
そして、図3(b)に示すように、ハンドル20および固定部材27が取り外された状態において、ミキシングバルブ5が、本体部21の孔部21aから引き抜かれることによって一体的に取り外される。つまり、略円筒状の外形を有するミキシングバルブ5がその筒軸方向に引っ張られることで、本体部21の孔部21aから一体的な組立ユニット50として抜き出される。
【0045】
一方、ミキシングバルブ5が水栓本体3に装着される場合は、組立ユニット50としてのミキシングバルブ5が本体部21の孔部21aに差し込まれることで孔部21aに挿入・支持された状態から、固定部材27が本体部21に対してねじ込まれて固定される。そして、ハンドル20が、ミキシングバルブ5との間に固定部材27を介して、ミキシングバルブ5に対して連結・固定される。
【0046】
このように、ミキシングバルブ5がカバー部22の分解を要することなく水栓本体3に対して一体的に取外し可能な構成において、ミキシングバルブ5に、吐水口4からの湯水の吐出量を一定の量に制限するための定流量弁30が設けられている。つまり、一体的な組立ユニット50として構成されるミキシングバルブ5において、定流量弁30が組み込まれている。
【0047】
本実施形態では、定流量弁30は、ミキシングバルブ5においてハンドル20が連結される側と反対側の端部に組み込まれる。ミキシングバルブ5においてハンドル20が連結される側と反対側の端部には、通水路10におけるミキシングバルブ5からの湯水が流れ出る流出口5aが形成されている。つまり、ミキシングバルブ5において湯と水が混合されることによって得られた湯水は、定流量弁30によって所定の流量に制限されながら流出口5aから流れ出る。
【0048】
以上のような本実施形態の自動水栓1によれば、水栓本体3の内部に、水栓本体3により形成される通水路10を流れる水の作用を受けて発電する発電機14と、吐水口4からの吐水量を一定の量に制限するための定流量弁30とを備える構成において、容易に定流量弁30を水栓本体3から取り外すことができる。
【0049】
すなわち、自動水栓1においては、定流量弁30は、前述したように水栓本体3に対して着脱可能な組立ユニット50として構成されるミキシングバルブ5に組み込まれる。このため、定流量弁30は、水栓本体3から取り外されたミキシングバルブ5から取り外すことができる。つまり、定流量弁30を水栓本体3から取り外すためには、水栓本体3からミキシングバルブ5を取り外し、その取り外したミキシングバルブ5から定流量弁30を取り外すだけで済む。
【0050】
したがって、下カバー体24および上カバー体25から構成されるカバー部22の分解をともなうことなく、定流量弁30を水栓本体3から取り外すことができる。これにより、電磁弁12等の水栓本体3に内蔵される他の部品との関係等から定流量弁30を水栓本体3から取り外すための作業に手間がかかるといった問題が解消され、定流量弁30を水栓本体3から容易に取り外すことができる。結果として、自動水栓1の設置現場の状況に応じて必要となる定流量弁30の取外し作業や、定流量弁30の取外しをともなう定流量弁30のメンテナンス作業が容易となる。
【0051】
また、本実施形態の自動水栓1においては、電磁弁12は、ダイヤフラム式の電磁弁である。そして、ミキシングバルブ5は、電磁弁12に対して通水路10における上流側に設けられている。
【0052】
すなわち、電磁弁12は、通水路10における上流側(一次側)と下流側(二次側)の圧力差に応じて通水路10を開閉するように移動可能に設けられる弁部材12aを有する。弁部材12aは、ゴム等の伸縮性・可撓性を有する材質により形成されるダイヤフラムによって移動可能に支持される。
【0053】
本実施形態では、前述したように水栓本体3を構成する本体部21に形成される凹部21bに支持された状態の電磁弁12において、弁部材12aは、ダイヤフラムによって一次側と二次側の水圧の差に応じて上下方向に移動するように支持される。なお、ダイヤフラム式の電磁弁12としては周知の構成のものを用いることができるため、電磁弁12についての詳細な説明は省略する。
【0054】
このように、ダイヤフラム式の電磁弁12の上流側にミキシングバルブ5が設けられることにより、ミキシングバルブ5に組み込まれる定流量弁30が、電磁弁12の上流側に位置することとなる。仮に、定流量弁30がダイヤフラム式の電磁弁12の下流側に位置すると、定流量弁30による圧損の影響で、電磁弁12の上流側と下流側との圧力差が低減する場合がある。かかる場合、電磁弁12の上流側と下流側とで、ダイヤフラム式の電磁弁12の良好な開閉動作のための十分な圧力差が得られず、電磁弁12が開弁・閉弁動作しにくくなるといった問題が生じる可能性がある。こうした問題は、例えば電磁弁12の開閉が連続して行われる場合等において生じやすい。
【0055】
そこで、電磁弁12の上流側に定流量弁30が設けられることで、あらかじめ定流量弁30によって制限された湯水の流れによって、電磁弁12の上流側と下流側とで十分な圧力差が得られる。これにより、定流量弁30による圧損の影響を受けることなく、ダイヤフラム式の電磁弁12の性能を確保することができる。
【0056】
また、本実施形態の自動水栓1においては、ミキシングバルブ5に、定流量弁30に導かれる湯水を通過させるストレーナ31が設けられている。これにより、電磁弁12の動作を確保するために通水路10において電磁弁12の上流側に配置されるストレーナ31を、水栓本体3から容易に取り外すことができる。
【0057】
すなわち、ミキシングバルブ5は、前述したように水栓本体3に対して着脱可能な組立ユニット50として構成される。このため、ストレーナ31がミキシングバルブ5の内部に設けられることで、ストレーナ31をミキシングバルブ5とともに水栓本体3から容易に取り出すことができる。これにより、ストレーナ31のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0058】
以下では、ミキシングバルブ5の構成について、図4および図5を用いて具体的に説明する。図4および図5に示すように、ミキシングバルブ5は、弁体としてのスピンドル41と、このスピンドル41の内部に装着されるストレーナ31と、スピンドル41に対してストレーナ31を支持する支持部材43と、定流量弁30と、ナット部材44とを有する。
【0059】
スピンドル41は、全体として略円筒状に構成される部材であり、湯水の温度を調整するための操作に応じた動作を行うように設けられる。本実施形態では、湯水の温度を調整するための操作としてのハンドル20の回転操作により、スピンドル41が回転する。ハンドル20は、略円筒状の外形を有し、その筒軸方向が回転軸の方向となるように、スピンドル41に取り付けられる。
【0060】
スピンドル41は、その筒軸方向の一端側に、縮径部41aを有する。縮径部41aは、ミキシングバルブ5が水栓本体3に装着された状態において、カバー部22の開口部3dを介して水栓本体3の外部に突出する部分となる。このスピンドル41の縮径部41aに、ハンドル20が取り付けられる。
【0061】
ハンドル20は、スピンドル41の縮径部41aに対して、スピンドル41の筒軸方向に沿ってねじ込まれるネジ、およびスピンドル41の径方向に沿ってねじ込まれるネジの少なくともいずれかが用いられて固定される。すなわち、図4に示すように、スピンドル41の筒軸方向に沿ってねじ込まれるネジによってハンドル20がスピンドル41に固定される場合は、縮径部41aにおいて軸心方向に沿って形成され縮径部41aの先端面に開口するネジ穴41bが用いられる。つまりこの場合、スピンドル41にハンドル20を固定するためのネジが、スピンドル41の筒軸方向に沿ってハンドル20を貫通するとともにネジ穴41bにねじ込まれる。
【0062】
また、図4に示すように、スピンドル41の径方向に沿ってねじ込まれるネジによってハンドル20がスピンドル41に固定される場合は、ハンドル20において径方向に沿って貫通するように形成されるネジ孔20aが用いられる。つまりこの場合、スピンドル41にハンドル20を固定するためのネジが、スピンドル41の径方向に沿ってハンドル20を貫通するとともに縮径部41aに対して径方向にねじ込まれる。
【0063】
このようにハンドル20が固定されるスピンドル41は、回転操作されるハンドル20と一体的に回転する。つまり、スピンドル41は、ハンドル20の回転操作に応じた動作として筒軸方向を回転軸方向とする回転動作を行うように設けられる。以下の説明においては、スピンドル41の筒軸方向(図4における左右方向)について、ハンドル20が取り付けられる側(同図において右側)をミキシングバルブ5における「ハンドル側」とし、その反対側となる流出口5aが形成される側(同図において左側)を「流出口側」とする。
【0064】
スピンドル41は、給湯管6および給水管8のそれぞれからミキシングバルブ5に流れ込む湯および水を合流させる混合空間5bを形成する。本実施形態では、混合空間5bは、スピンドル41において流出口側に開口する略円筒状の内部空間41cにより形成される。したがって、スピンドル41において混合空間5bを形成する周壁部には、給湯口7と連通する湯用孔部45、および給水口9と連通する水用孔部46が形成される。つまり、給湯口7に接続されて湯の供給経路を構成する給湯管6からの湯は、湯用孔部45を介して混合空間5bに流れ込み、給水口9に接続されて水の供給経路を構成する給水管8からの水は、水用孔部46を介して混合空間5bに流れ込む。混合空間5b内の湯水は、流出口5aから流れ出て、電磁弁12側へと導かれる。
【0065】
このように、本実施形態に係るミキシングバルブ5においては、スピンドル41が有する湯用孔部45が、湯の供給経路を混合空間5bに連通させることが可能な第一開口部として機能し、スピンドル41が有する水用孔部46が、水の供給経路を混合空間5bに連通させることが可能な第二開口部として機能する。そして、スピンドル41は、ハンドル20の回転操作にともなう回転動作により湯用孔部45を介する混合空間5bの湯の供給経路に対する連通面積および水用孔部46を介する混合空間5bの水の供給経路に対する連通面積を変化させることで、湯および水の混合比を調整する。
【0066】
すなわち、スピンドル41が回転することで、本体部21において形成される湯の供給経路および水の供給経路それぞれに対する混合空間5bの連通面積(連通する部分の開口面積)が変化する。言い換えると、スピンドル41が回転することで、湯の供給経路に対する湯用孔部45の開口面積、および水の供給経路に対する水用孔部46の開口面積がそれぞれ変化する。このように湯用孔部45および水用孔部46それぞれを介する混合空間5bの連通面積が変化することで、湯用孔部45および水用孔部46それぞれを介して混合空間5bに流れ込む湯または水の量が変化し、混合空間5bにおける湯と水の混合比が変化する。したがって、ハンドル20によってスピンドル41の回転量が調整されることで、ミキシングバルブ5における湯と水の混合比が調整される。
【0067】
本実施形態では、スピンドル41は、スピンドルケース47を介して、本体部21の孔部21aに対して回転可能に支持される。スピンドルケース47は、筒軸方向の両側に開口する略円筒状の部材であり、一側(流出口側)の開口からスピンドル41を挿入させることで、スピンドル41に装着される。
【0068】
具体的には、スピンドルケース47は、スピンドル41の外形形状に対応する内周面形状を有する。このスピンドルケース47に対して、一側(流出口側)の開口からスピンドル41が縮径部41a側から差し込まれることで、スピンドルケース47がスピンドル41に装着される。スピンドル41においては、スピンドルケース47の内周面とスピンドル41の外周面との間をシールしてハンドル20側への水漏れを防止するためのOリング41rが、スピンドル41の外周面に形成される外周溝に外嵌されている。スピンドルケース47がスピンドル41に装着された状態においては、スピンドル41の縮径部41aがスピンドルケース47の他側(ハンドル側)の開口から突出するとともに、スピンドル41において湯用孔部45および水用孔部46が形成される周壁部を含む部分がスピンドルケース47によって外側から覆われる。
【0069】
したがって、スピンドルケース47には、スピンドル41の湯用孔部45および水用孔部46をそれぞれ給湯口7および給水口9に対して連通させる湯用連通孔47aおよび水用連通孔47bが形成される。湯用連通孔47aは、本体部21に形成される湯用通路21dを介して給湯口7に連通し、水用連通孔47bは、同じく本体部21に形成される水用通路21eを介して給水口9に連通する。
【0070】
スピンドルケース47は、本体部21の孔部21aに挿入された状態において、本体部21に対して回転不能に支持される。つまり、スピンドルケース47は、その筒軸方向を回転軸方向とする回転方向について本体部21に対して位置決めされる。スピンドルケース47は、本体部21に対する回転方向についての位置決めのため、外周面部に形成される突起状の部分である位置決め用凸部47cを有する。一方、本体部21の孔部21aには、スピンドルケース47の位置決め用凸部47cに対応する切欠き部分である位置決め用凹部21fが形成される。スピンドルケース47は、位置決め用凸部47cが位置決め用凹部21fに嵌ることで、本体部21に対して回転不能に支持される。スピンドルケース47においては、孔部21aとスピンドルケース47との間をシールしてハンドル20側への水漏れを防止するためのOリング47rが、スピンドルケース47の外周面に形成される外周溝に外嵌されている。
【0071】
このように、スピンドル41は、本体部21に対して回転不能に支持されるスピンドルケース47に対して相対回転可能に挿入されることで、スピンドルケース47を介して本体部21に対して回転可能に支持される。スピンドル41が回転することで、湯用孔部45および水用孔部46の、湯用連通孔47aおよび水用連通孔47bそれぞれに対する連通面積、つまり互いの開口位置が重なる部分の面積が変化し、混合空間5b内に流れ込む湯および水の混合比が変化する。
【0072】
そして、スピンドル41が一方の方向に回転することで流出口5aに流れ込む湯の割合が増加し、スピンドル41が他方の方向に回転することで流出口5aに流れ込む水の割合が増加する。このようなスピンドル41の回転(回転方向・回転量)と湯および水の混合比との対応関係は、湯用孔部45および水用孔部46、ならびにこれらのそれぞれに連通する湯用連通孔47aおよび水用連通孔47bの形状や開口面積等により設定される。
【0073】
本体部21に対して回転するスピンドル41の回転範囲は、スピンドル41に取り付けられるハンドル20の本体部21に対する回転範囲によって制限される。ハンドル20の本体部21に対する回転範囲は、前述したように本体部21に対して相対回転不能に支持されるスピンドルケース47を介して制限される。
【0074】
具体的には、スピンドルケース47は、ハンドル側の端面部に、スピンドルケース47の周方向に沿う円弧状の突起47dを有する。この突起47dが、スピンドル41に取り付けられるハンドル20に対して作用することで、ハンドル20の回転範囲が制限される。つまり、ハンドル20においては、一方の回転方向および他方の回転方向それぞれの方向における所定の位置で突起47dに当接することでハンドル20の回転を規制する形状部分が設けられる。また、スピンドル41の縮径部41aには、スピンドル41とスピンドルケース47との間に介装されるスリップワッシャ48が装着される。
【0075】
ストレーナ31は、定流量弁30に導かれる湯水を通過させるものであり混合空間5bを形成するスピンドル41の内周面に沿うように円筒形状を有する。ストレーナ31は、円筒形状の外形に沿う枠部31aと、円筒形状の外形において網状または多孔状の部分として形成され湯水を透過させる部分である透過部31bとを有する。ストレーナ31は、スピンドル41において流出口側に開口する内部空間41cに対してその開口側から差し込まれた状態で、支持部材43によって支持される。
【0076】
支持部材43は、スピンドル41に対してストレーナ31を支持する。支持部材43は、スピンドル41の内部空間41cに差し込まれた状態のストレーナ31を、スピンドル41との間に挟み込んだ状態で支持する。支持部材43は、略円筒状の部材であり、その筒軸方向の一端部(流出口側となる端部)に、拡径部分である鍔部43aを有する。そして、支持部材43は、スピンドル41の内部空間41cに対して、鍔部43aが形成される側と反対側から挿入され、鍔部43aの部分が内部空間41cにおいて形成される段差部41dによって係止されることで、筒軸方向についてスピンドル41に対して位置決めされる。
【0077】
支持部材43は、ストレーナ31の流出口側の端部を挿入させた状態で、スピンドル41との間においてストレーナ31を支持する。このため、支持部材43は、ストレーナ31の一端部を挿入させる支持孔部43bを有する。このように、ストレーナ31は、ミキシングバルブ5において、筒軸方向の一端側からスピンドル41の内部空間41cに差し込まれるとともに筒軸方向の他端側から支持部材43によって支持された状態で装着される。
【0078】
ミキシングバルブ5において装着された状態のストレーナ31は、混合空間5bを確保するとともに混合空間5bを形成するスピンドル41の内周面に沿う態様で支持される。したがって、混合空間5bは、実質的にはストレーナ31の内部空間として形成される。
【0079】
また、ストレーナ31においては、枠部31aの部分において複数の係合突起31cが形成されている。本実施形態では、係合突起31cは、ストレーナ31の筒軸方向の両端部のそれぞれにおいて周方向に略等間隔を隔てて三箇所ずつ、計六個設けられている。そして、ストレーナ31は、筒軸方向の一端側(ハンドル側)の係合突起31cがスピンドル41の内部空間41cを形成する内周面に対して係合することで、回転方向についてスピンドル41に対して位置決めされる。同様にして、ストレーナ31は、筒軸方向の他端側(流出口側)の係合突起31cが支持部材43の支持孔部43bを形成する内周面に対して係合することで、回転方向について支持部材43に対して位置決めされる。これにより、スピンドル41と支持部材43は、それぞれに対して回転方向に位置決めされるストレーナ31を介して、相対回転不能な関係となる。
【0080】
略円筒状の部材である支持部材43は、その内周面によって通水路10を確保する孔部43cを形成する。孔部43cは、ストレーナ31の一端側を支持する支持孔部43bを含み、支持部材43の筒軸方向の両端側に開口する。そして、支持部材43は、ストレーナ31(の透過部31b)を通過した湯水を孔部43cに通過させる。つまり、支持部材43は、スピンドル41との間においてストレーナ31を支持した状態で、混合空間5bにて得られる、ストレーナ31を通過した湯水を、孔部43cを介して流出口側へと通過させる。
【0081】
定流量弁30は、支持部材43に対して流出口側に位置する。定流量弁30は、全体として略円板状の外形を有し、その中心軸方向(図4における左右方向)がスピンドル41等の筒軸方向に略一致する姿勢で、ミキシングバルブ5に組み込まれる。
【0082】
定流量弁30は、Oリング30aと、このOリング30aを中心軸方向(図4における左右方向)の両側から挟みこむ上流側弁部材30bおよび下流側弁部材30cとを有する。定流量弁30においては、上流側弁部材30bが支持部材43の孔部43cを通過する湯水の圧力を受けることで、上流側弁部材30bと下流側弁部材30cとによってOリング30aが押しつぶされる。これにより、上流側弁部材30bと下流側弁部材30cとの間に形成される流路が狭められ、定流量弁30を通過する湯水の流量が一定の量に制限される。
【0083】
ナット部材44は、略円筒状の部材であり、スピンドル41に対して内部空間41cの開口端部にねじ込まれることで固定される。このため、ナット部材44は、スピンドル41に固定されるためのネジ部44aを有する。ネジ部44aは、ナット部材44の外周面に形成される。本実施形態では、スピンドル41における流出口側の端部に、拡径部41eが形成されており、内部空間41cの開口端部を形成する拡径部41eの内周面に、ナット部材44のネジ部44aに対応するネジ部41fが形成されている。つまり、ナット部材44は、ネジ部44aをスピンドル41のネジ部41fに係合させることで、拡径部41eの部分に固定される。
【0084】
ナット部材44は、その筒軸方向の一端部(流出口側となる端部)に、拡径部分である鍔部44bを有する。そして、ナット部材44は、スピンドル41に固定された状態で、鍔部44bを、スピンドル41の開口側(流出口側)の端面に接触させる。
【0085】
また、ナット部材44は、スピンドル41に固定された状態で支持部材43の通水路10における下流側にて通水路10を確保する開口部44cを形成する。つまり、略円筒状のナット部材44は、その内周面によって通水路10を確保する開口部44cを形成する。ナット部材44において形成される開口部44cは、ナット部材44がスピンドル41に固定された状態で、定流量弁30を収容するとともに、ミキシングバルブ5の流出口5aを形成する。
【0086】
このように、本実施形態では、スピンドル41に固定されるナット部材44により、ミキシングバルブ5の流出口5aが形成される。したがって、混合空間5bにて得られるストレーナ31を通過した湯水は、支持部材43の孔部43c、および定流量弁30を介してナット部材44の開口部44cによって形成される流出口5aから流出する。
【0087】
以上のように、スピンドル41、ストレーナ31、支持部材43、定流量弁30、およびナット部材44を有するミキシングバルブ5においては、ストレーナ31、支持部材43、および定流量弁30が、スピンドル41とこのスピンドル41に固定されるナット部材44とにより挟み込まれた状態で支持される。
【0088】
すなわち、スピンドル41に対しては、内部空間41cにストレーナ31が差し込まれる。内部空間41cに差し込まれたストレーナ31は、支持部材43によってスピンドル41との間に挟まれ、位置決め支持される。スピンドル41との間にストレーナ31を支持する支持部材43は、スピンドル41に対して内部空間41cを形成する内周面の段差を利用して嵌め込まれる。定流量弁30は、支持部材43の流出口側に配置された状態で、支持部材43とスピンドル41にねじ込まれるナット部材44とによって挟まれることで位置決めされる。
【0089】
したがって、ストレーナ31、支持部材43、および定流量弁30は、順にスピンドル41の内部空間41cの開口する側から内部空間41cの内部に嵌め込まれ(差し込まれ)、ナット部材44が内部空間41cの開口端部にねじ込まれることによって、スピンドル41とナット部材44との間に挟まれた状態で支持される。
【0090】
これにより、スピンドル41およびスピンドル41に固定されるナット部材44、ならびにこれらの間に挟まれることでスピンドル41の内部に収容されるストレーナ31、支持部材43、および定流量弁30により、一体的な組立体が構成される。そして、この組立体に対してスピンドルケース47が装着されることで、前述したように水栓本体3に対して一体的に取外し可能な組立ユニット50(図3(b)参照)が構成される。つまり、この組立ユニット50が水栓本体3を構成する本体部21の孔部21aに差し込まれ、固定部材27によって固定されてハンドル20が取り付けられることで、自動水栓1が備えるミキシングバルブ5が構成される。
【0091】
このようにして構成されるミキシングバルブ5においては、ハンドル20の回転操作にともない、スピンドル41を含む組立体、つまりスピンドル41とナット部材44とによりストレーナ31、支持部材43、および定流量弁30を挟み込む構成が、本体部21に位置決めされるスピンドルケース47に対して一体的に回転する。このスピンドル41を含む組立体の回転により、混合空間5bの、湯用孔部45を介する湯の供給経路に対する連通面積、および水用孔部46を介する水の供給経路に対する連通面積が変化し、ミキシングバルブ5における湯と水の混合比が調整される。そして、混合空間5b内において得られた湯水が、支持部材43の孔部43c、定流量弁30を介して流出口5aから流れ出て、電磁弁12側に導かれる。
【0092】
以上のように構成される本実施形態のミキシングバルブ5によれば、定流量弁30およびストレーナ31がナット部材44によってスピンドル41の内部において挟持されているだけなので、定流量弁30およびストレーナ31を簡単に取り外すことができる。すなわち、定流量弁30およびストレーナ31は、ネジ部による締結等が施されることなく、スピンドル41の内部においてスピンドル41に固定されるナット部材44によって挟み込まれることで支持される。
【0093】
このため、水栓本体3から取り外される組立ユニット50において、ナット部材44をスピンドル41から取り外すだけで、定流量弁30およびストレーナ31を簡単に取り外すことができる。これにより、定流量弁30およびストレーナ31のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0094】
また、スピンドル41に対してねじ込まれるナット部材44は、ネジ部44aによるスピンドル41に対する締込みを行うためのすり割り部44dを有する。すり割り部44dは、略円筒状の部材であるナット部材44において、スピンドル41に固定された状態で流出口5aを形成する側の端面部において形成される。
【0095】
すり割り部44dは、ナット部材44の流出口側の端面部において、ナット部材44の径方向に沿う溝状の部分として形成される。したがって、すり割り部44dは、ナット部材44において円筒状に開口する端面部において、ナット部材44の径方向に沿って対向する一対の切り欠き部分として形成される。本実施形態では、すり割り部44dは、ナット部材44の軸心位置にかけて溝深さが深くなるように、すり割り部44dの底面44eがナット部材44の径方向外側から内側にかけて(軸心位置に向けて)下る斜面となっている。(図4参照)。このようにナット部材44に形成されるすり割り部44dは、ナット部材44を回転させるために例えばマイナスドライバ等の工具等を作用させる形状部分である。
【0096】
このように、ナット部材44においてすり割り部44dが形成されることにより、例えばマイナスドライバ等の工具を用いることで、ナット部材44のスピンドル41に対する取付け・取外し作業を容易に行うことができる。これにより、前述したように取り出すためにはスピンドル41からナット部材44を取り外す必要がある定流量弁30やストレーナ31について、スピンドル41に対する取付け・取外し作業を容易に行うことができる。結果として、定流量弁30やストレーナ31のメンテナンス作業を簡単なものとすることができる。
【0097】
ただし、ナット部材44に対して工具等を作用させるための形状部分としては、すり割り部44dに限定されるものではない。したがって、ナット部材44に対して工具等を作用させるための形状部分としては、例えば、レンチ等の工具によってナット部材44を外周側から挟み込むための二面取り形状等であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 自動水栓
3 水栓本体
4 吐水口
5 ミキシングバルブ(温調部)
5b 混合空間
6 給湯管
8 給水管
10 通水路
11 センサ
12 電磁弁
12a 弁部材
13 制御部
14 発電機
22 カバー部(外縁部)
24 下カバー体(カバー部材)
25 上カバー体(カバー部材)
30 定流量弁
31 ストレーナ
41 スピンドル(弁体)
43 支持部材
43c 孔部
44 ナット部材
44a ネジ部
44c 開口部
44d すり割り部
45 湯用孔部(第一開口部)
46 水用孔部(第二開口部)
50 組立ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口を構成する水栓本体と、所定の経路を介して前記水栓本体に供給される湯および水の混合比を調整することで前記吐水口から吐出される湯水の温度を調整するための温調部と、前記水栓本体の内部に形成される通水路を開閉する電磁弁と、前記通水路を流れる湯水の作用により発電する発電機と、使用者を検知するためのセンサと、該センサからの出力信号に基づいて前記電磁弁の開閉を制御する制御部とを備え、前記温調部、前記電磁弁、および前記センサを、前記水栓本体に内蔵する自動水栓であって、
前記水栓本体は、複数のカバー部材によって分解可能に構成される外縁部を有するものであり、
前記温調部は、前記外縁部の分解を要することなく前記水栓本体に対して一体的に取外し可能な組立ユニットとして構成されるものであり、
前記温調部に、前記吐水口からの湯水の吐出量を一定の量に制限するための定流量弁が設けられていることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
前記電磁弁は、前記通水路における上流側と下流側の圧力差に応じて前記通水路を開閉するように移動可能に設けられる弁部材を有するダイヤフラム式の電磁弁であり、
前記温調部は、前記電磁弁に対して前記通水路における上流側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動水栓。
【請求項3】
前記温調部に、前記定流量弁に導かれる湯水を通過させるストレーナが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動水栓。
【請求項4】
前記温調部は、
湯水の温度を調整するための操作に応じた動作を行うように設けられ、前記湯および水を合流させる混合空間を形成するとともに、前記湯の供給経路を前記混合空間に連通させることが可能な第一開口部および前記水の供給経路を前記混合空間に連通させることが可能な第二開口部を有し、前記動作により前記第一開口部を介する前記混合空間の前記湯の供給経路に対する連通面積および前記第二開口部を介する前記混合空間の前記水の供給経路に対する連通面積を変化させることで、前記湯および水の混合比を調整する弁体と、
前記弁体に対して前記ストレーナを支持するとともに前記通水路を確保する孔部を形成し、前記ストレーナを通過した湯水を前記孔部に通過させる支持部材と、
前記弁体に固定されるためのネジ部を有し、前記弁体に固定された状態で前記支持部材の前記下流側にて前記通水路を確保する開口部を形成するナット部材と、を含み、
前記ストレーナ、前記支持部材、および前記定流量弁が、前記弁体と該弁体に固定される前記ナット部材とにより挟み込まれた状態で支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動水栓。
【請求項5】
前記ナット部材は、前記ネジ部による前記弁体に対する締込みを行うためのすり割り部を有することを特徴とする請求項4に記載の自動水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−69475(P2011−69475A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223121(P2009−223121)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】