説明

自動車のフェンダ取付構造

【課題】フェンダパネルのデザインに係わらず、軽衝突時のエプロンパネルの破損を抑制する自動車のフェンダ取付構造を提供する。
【解決手段】前部にヘッドランプが隣接するフェンダパネル1と、フェンダパネル1の下部に位置するエプロンパネル8と、ヘッドランプと同じ高さで該ヘッドランプ後方に隣接して配設され、かつフェンダパネル1の前部をエプロンパネル8に取付ける支持ブラケット26と、ヘッドランプが後方に後退し支持ブラケット26に接触した時、該支持ブラケット26とエプロンパネル8との接続を離脱させる離脱部26gと、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前部にヘッドランプが隣接するフェンダパネルの下部で、かつ前部が支持ブラケットを介してエプロンパネルに取付けられるような自動車のフェンダ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンルームの側部にはサスタワー部を備えたエプロンパネルが設けられ、このエプロンパネルの車幅方向外側にフェンダパネルが設けられている。
【0003】
上述のフェンダパネルをエプロンパネルに取付ける自動車のフェンダ取付構造としては特許文献1に開示された構造がある。
【0004】
すなわち、フェンダパネルの前部には、車両中心側に向かって延びる支持ブラケットを設け、この支持ブラケットの車幅方向内端側をエプロンパネルに固定した構造である。つまり、フェンダパネルの前部を、支持ブラケットを介してエプロンパネルに固定する構造である。
【0005】
上述のフェンダパネルの前端部にはヘッドランプ配設用の凹部が形成され、車両の前部コーナ部においてフェンダパネルの前端と、フロントバンパとの間に大型のヘッドランプが取付けられるような車両デザイン(フェンダパネルのデザイン)を採用した場合、車両の軽度の正面衝突時において、フェンダパネル、ヘッドランプ、バンパフェースが破損することは、やむをえないとしても、フェンダパネルが支持ブラケットを介してエプロンパネルに固定されていると、斯る軽突時にヘッドランプが後方に後退して支持ブラケットに接触した時、この支持ブラケットでエプロンパネルが破損される問題点があった。
【特許文献1】特開2006−15810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、前部にヘッドランプが隣接するフェンダパネルの下部で、かつ前部が支持ブラケットを介してエプロンパネルに取付けられる構造において、支持ブラケットを、ヘッドランプと同じ高さで後方に隣接して配設すると共に、ヘッドランプが後方に後退して支持ブラケットに接触した時、該支持ブラケットとエプロンパネルとの接続が離脱するように構成することで、フェンダパネルのデザインに係わらず、軽衝突時のエプロンパネルの破損を抑制することができる自動車のフェンダ取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による自動車のフェンダ取付構造は、前部にヘッドランプが隣接するフェンダパネルと、フェンダパネルの下部に位置するエプロンパネルと、ヘッドランプと同じ高さで該ヘッドランプ後方に隣接して配設され、かつフェンダパネルの前部をエプロンパネルに取付ける支持ブラケットと、ヘッドランプが後方に後退し支持ブラケットに接触した時、該支持ブラケットとエプロンパネルとの接続を離脱させる離脱部と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、車両の軽衝突時において、ヘッドランプが後方に後退して支持ブラケットに接触した際、離脱部にて該支持ブラケットとエプロンパネルとの接続を離脱させることができる。
この結果、フェンダパネルのデザインに係わらず、軽衝突時のエプロンパネルの破損を抑制することができる。
【0008】
この発明の一実施態様においては、支持ブラケットとエプロンパネルとを接続する取付部材と、支持ブラケットのエプロンパネルに対する取付部に形成され、ヘッドランプが後方に後退して支持ブラケットに接触した時、支持ブラケットとエプロンパネルとの接続を離脱させるスリットと、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、支持ブラケットのエプロンパネルに対する取付部に上述のスリットを形成したので、車両の軽衝突時にヘッドランプが後方に後退して支持ブラケットに接触した際、該支持ブラケットの取付部はそのスリットによりエプロンパネルから確実に離脱するので、軽衝突時のエプロンパネルの破損を確実に抑制することができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、支持ブラケットを接続するエプロンパネルのホイールアーチ前部の傾斜面とを備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、支持ブラケットがエプロンパネルのホイールアーチ前部に傾斜面に接続されるので、軽衝突時において支持ブラケットの取付部が離脱した際に、該支持ブラケットの取付部をホイールアーチの傾斜面に沿って上方かつ後方に後退させることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上方が下方に対して前方に傾斜するように構成された支持ブラケットの橋渡し部と、支持ブラケットと対向するヘッドランプの後端部に形成され、該ヘッドランプが後方に後退した時、橋渡し部に当接する当接部と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、ヘッドランプが後方に後退する時、該ヘッドランプの後端部に設けた当接部で、支持ブラケットの橋渡し部を後方に押圧するので、支持ブラケットの取付部はそのスリットによりエプロンパネルから確実に離脱し、離脱後において支持ブラケットの取付部をホイールアーチの傾斜面に沿って確実に上方かつ後方に後退させることができる。また、上記当接部により支持ブラケットが不所望に下方移動するのを防止することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、支持ブラケットの橋渡し部の剛性を、エプロンパネルへの取付部の剛性よりも大きくしたことを特徴とする。
上記構成によれば、軽衝突時において、支持ブラケットの取付部が離脱する前に、支持ブラケットの橋渡し部が変形することにより取付部の離脱が阻害されることを抑制し、取付部を必ず先に離脱させることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、橋渡し部を構成するコ字状断面部と、支持ブラケットのエプロンパネルへの取付部を構成し上記スリットが形成された平板部とを備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、コ字状断面部と平板部とで剛性の大小の差異を形成したので、取付部が必ず先に離脱する特性を備えた支持ブラケットを、容易に加工することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、前部にヘッドランプが隣接するフェンダパネルの下部で、かつ前部が支持ブラケットを介してエプロンパネルに取付けられる構造において、支持ブラケットを、ヘッドランプと同じ高さで後方に隣接して配設すると共に、ヘッドランプが後方に後退して支持ブラケットに接触した時、該支持ブラケットとエプロンパネルとの接続が離脱するように構成したので、フェンダパネルのデザインに係わらず、軽衝突時のエプロンパネルの破損を抑制することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
フェンダパネルのデザインに係わらず、車両の軽衝突時のエプロンパネルの破損を抑制するという目的を、前部にヘッドランプが隣接するエプロンパネルと、
フェンダパネルの下部に位置するエプロンパネルと、ヘッドランプと同じ高さで該ヘッドランプ後方に隣接して配設され、かつフェンダパネルの前部をエプロンパネル取付ける支持ブラケットと、ヘッドランプが後方に後退し支持ブラケットに接触したとき、該支持ブラケットとエプロンパネルとの接続を離脱させる離脱部と、を備えるという構成にて実現した。
【実施例】
【0015】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車のフェンダ取付構造を示し、図1において、エンジンルームの車幅方向外方に位置して、車両前部側方の車体外板を形成するフェンダパネル1を設け、このフェンダパネル1の前部と、フロントバンパフェース2のコーナ部上側との間にヘッドランプ3を配設している。
【0016】
なお、図1において、4はエンジンルームの上方を覆うボンネット、5はフロントウインドガラス、6はフロントドア、7は前輪である。
【0017】
図2、図3、図4はボンネット4等を取外した状態で前部車体構造をそれぞれ異なる方向から見た状態で示す斜視図であって、エンジンルームEの側壁を形成するエプロンパネル8を設け、このエプロンパネル8が上記フェンダパネル1の車幅方向内方で、かつ下部に位置するように配設している。このエプロンパネル8はサスタワー部8aとホイールアーチ前部8bとホイールアーチ後部8cとを備えている。
【0018】
また、エンジンルームEの後端は、ダッシュロアパネル9によって車室と区画される一方、このダッシュロアパネル9の上部にはダッシュアッパパネル10が設けられている。
【0019】
図5は要部の正面図、図6はフェンダパネル1を取外した状態で示す図5の平面図、図7は図6のA−A線矢視断面図であって、エンジンルームEの側方において車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのフロントサイドフレーム11を設けている。
【0020】
このフロントサイドフレーム11は、フロントサイドフレームアウタ12と、レインフォースメント13と、フロントサイドフレームインナ14とを接合して、車両の前後方向に延びる閉断面15を備えている。
【0021】
図5〜図7に示すように、上述のフロントサイドフレーム11に対して車幅方向外方で、かつ上方に離間した位置には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのエプロンレインフォースメント16を設けている。
【0022】
このエプロンレインフォースメント16は、エプロンレインフォースメントアッパ17と、エプロンレインフォースメントロア18とを接合して、車両の前後方向に延びる閉断面19を備えている。
【0023】
上述のエプロンパネル8は、エプロンレインフォースメント16とフロントサイドフレーム11との間に位置し、該エプロンパネル8におけるホイールアーチ前部8bの上端8dは、図5、図7に示すように、エプロンレインフォースメントアッパ17と、エプロンレインフォースメントロア18との間に挟持固定されている。
【0024】
また、上述のホイールアーチ前部8bの下面に沿うように、エプロンレインフォースメントフロント20を設け、このエプロンレインフォースメントフロント20の上端20aをエプロンレインフォースメントロア18の下面に接合固定すると共に、エプロンレインフォースメントフロント20の下端20bをフロントサイドフレームアウタ12の接合フランジ部外面(車外側の面)に接合固定している。
【0025】
ところで、上述のフェンダパネル1は、図2、図3、図4、図7に示すように、車体外板を形成するパネル主体としての側板部1aと、この側板部1aの上端に形成された見切り部1bと、この見切り部1bに段下げ形成されたフランジ部1cと、側板部1aの前部に形成されたヘッドランプ3配設用の凹部1dと、この凹部1dの下側に対応して側板部1a前部に段下げ形成された取付け片1eとを一体形成したものである。
【0026】
また図7に示すように、上述のフェンダパネル1の上部下面から下部内面にかけて該フェンダパネル1のエンジンルームE側の面に沿うようにフェンダレインフォースメント21を配設し、このフェンダレインフォースメント21でフェンダパネル1を補強している。
【0027】
図3に示すように、フェンダパネル1のフランジ部1cの前後は、ボルト、ナット22,23および、つの型のブラケット24,25を介してエプロンパネル8のサスタワー部8aの前後に取付けられている。
【0028】
図2〜図6に示すように、フェンダパネル1の取付け片1eと、エプロンパネル8におけるホイールアーチ前部8bとを取付ける支持ブラケット26を設けている。
【0029】
この支持ブラケット26は、図3の要部側面図を図8に示すように、ヘッドランプ3と同じ高さで該ヘッドランプ3の後方に隣接して配設され、かつ図4に示すように、フェンダパネル1の取付け片1eからエプロンパネル8のホイールアーチ前部8bに向けて車幅方向内方側へ延びるものである。
【0030】
また、この支持ブラケット26は、図5に正面図で、また図6、図9に平面図でそれぞれ示すように、その車外側にはフェンダパネル1の取付け片1eの形状に対応して略前後方向に指向する取付け片26aを有し、車内側にはエプロンパネル8のホイールアーチ前部8bの傾斜面8sに接続される取付け片26bを有し、これらの各取付け片26a,26bの間を橋渡し部26cで一体連結している。
【0031】
図10は図5のB−B線に沿う要部拡大断面図(側面図)であって、上述の支持ブラケット26は、その上方が下方に対して前方に傾斜するように構成されている。
【0032】
図5、図6、図9、図10に示すように、上述の支持ブラケット26の橋渡し部26cは、前低後高状の上片26dと、前高後低状の下片26eと、前低後高状の下片26fとをコ字状に一体形成したコ字状断面部26Xにより構成され、支持ブラケット26の取付部としての取付け片26bは、スリット26gが形成された平板部26Yにより構成されている。
【0033】
つまり、上述の支持ブラケット26の橋渡し部26cの剛性を、エプロンパネル8におけるホイールアーチ前部8bの傾斜面8sへの取付部(取付け片26b参照)の剛性よりも大きく成している。
【0034】
図5、図10に示すように、支持ブラケット26の車内側の取付け片26bはそのスリット26g形成部位において、取付部材としてのボルト27、ナット28を用いてエプロンパネル8のホイールアーチ前部8bに接続され、支持ブラケット26の車外側の取付け片26aは、図5に示すように、ボルト、ナット等の締結部材29を用いて、フェンダパネル1の取付け片1eに接続されている。
【0035】
ここで、上述のスリット26gは、支持ブラケット26のエプロンパネル8に対する取付部(取付け片26b参照)に形成されたもので、このスリット26gは車両の軽衝突時においてヘッドランプ3が後方に後退して支持ブラケット26に接触した時、支持ブラケット26とエプロンパネル8との接続を離脱させる離脱部である。
【0036】
図9の実施例においては、上述のスリット26gは真横方向に指向させて形成したが、このスリット26gは図11に示すようにその開放端が車幅方向中心側に指向する斜め前方に向けて形成してもよい。
【0037】
ところで、フェンダパネル1のヘッドランプ配設用の凹部1dに配設された前述のヘッドランプ3は、図8に示すように、アウタレンズ30、インナレンズ31、ランプハウジング32、バルブ33、リフレクタ34、ゴムカバー35等を有するが、支持ブラケット26の橋渡し部26cと前後方向に離間して対向するランプハウジング32の下部後端部には、該ヘッドランプ3が後方に後退した時、支持ブラケット26の橋渡し部26cに当接する当接部36が、該ランプハウジング32と一体に後方に向けて突出形成されている。
【0038】
上述のランプハウジング32は合成樹脂製であるので、当接部36の強度を補強する目的で、図12に示すように該当接部36にリブ37を一体形成してもよい。
【0039】
なお、図示実施例においては車両右側のフェンダ取付構造について説明したが、車両左側のフェンダ取付構造は、右側のそれと左右対称に構成されている。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0040】
このように構成した自動車のフェンダ取付構造の作用を以下に説明する。
車両の軽衝突時(正面衝突時)に、その衝突荷重によりヘッドランプ3が後方に後退すると、該ヘッドランプ3のランプハウジング32に後方に向けて突出形成された当接部36が、支持ブラケット26における橋渡し部26cに当接する。
【0041】
支持ブラケット26の橋渡し部26cに対する衝突荷重の入力方向は図9の矢印Z方向となるので、この支持ブラケット26の取付け片26bに形成されたスリット26g(離脱部)により、該支持ブラケット26とエプロンパネル8(詳しくはそのホイールアーチ前部8b)との接続が外れる。
【0042】
つまり、支持ブラケット26はその橋渡し部26cの剛性が、取付け片26bの剛性よりも高くなるように形成されているので、橋渡し部26cが取付け片26bの離脱よりも先に変形するのを防止して、取付け片26bを必ず先に離脱させることができる。
【0043】
上述のスリット26gによりホイールアーチ前部8bとの接続が外れた支持ブラケット26の取付け片26bはホイールアーチ前部8bの略円弧状の傾斜面に沿って、上方かつ後方に後退するので、エプロンパネル8の破損を抑制することができる。
【0044】
要するに、車両の軽度の正面衝突時には、フェンダパネル1、ヘッドランプ3、バンパフェース2は破損するものの、上記離脱部(スリット26g参照)の形成により、エプロンパネル8が破損されるのを防止することができるので、破損した部分のみの交換により修理対応、メンテナンスを行なうことができる。
【0045】
このように、上記実施例の自動車のフェンダ取付構造は、前部にヘッドランプ3が隣接するフェンダパネル1と、フェンダパネル1の下部に位置するエプロンパネル8と、ヘッドランプ3と同じ高さで該ヘッドランプ3後方に隣接して配設され、かつフェンダパネル1の前部をエプロンパネル8に取付ける支持ブラケット26と、ヘッドランプ3が後方に後退し支持ブラケット26に接触した時、該支持ブラケット26とエプロンパネル8との接続を離脱させる離脱部(スリット26g参照)と、を備えたものである。
この構成によれば、車両の軽衝突時において、ヘッドランプ3が後方に後退して支持ブラケット26に接触した際、離脱部(スリット26g参照)にて該支持ブラケット26とエプロンパネル8との接続を離脱させることができる。
この結果、フェンダパネル1のデザインに係わらず、軽衝突時のエプロンパネル8の破損を抑制することができる。
【0046】
また、支持ブラケット26とエプロンパネル8とを接続する取付部材(ボルト27、ナット28参照)と、支持ブラケット26のエプロンパネル8に対する取付部(取付け片26b参照)に形成され、ヘッドランプ3が後方に後退して支持ブラケット26に接触した時、支持ブラケット26とエプロンパネル8との接続を離脱させるスリット26gと、を備えたものである。
この構成によれば、支持ブラケット26のエプロンパネル8に対する取付部(取付け片26b参照)に上述のスリット26gを形成したので、車両の軽衝突時にヘッドランプ3が後方に後退して支持ブラケット26に接触した際、該支持ブラケット26の取付部(取付け片26b参照)はそのスリット26gによりエプロンパネル8から確実に離脱するので、軽衝突時のエプロンパネル8の破損を確実に抑制することができる。
【0047】
さらに、支持ブラケット26を接続するエプロンパネル8のホイールアーチ前部8bの傾斜面8sとを備えたものである。
この構成によれば、支持ブラケット26がエプロンパネル8のホイールアーチ前部8bに傾斜面8sに接続されるので、軽衝突時において支持ブラケット26の取付部(取付け片26b参照)が離脱した際に、該支持ブラケット26の取付部側をホイールアーチ前部8bの傾斜面8sに沿って上方かつ後方に後退させることができる。
【0048】
加えて、上方が下方に対して前方に傾斜するように構成された支持ブラケット26の橋渡し部26cと、支持ブラケット26と対向するヘッドランプ3の後端部に形成され、該ヘッドランプ3が後方に後退した時、橋渡し部26cに当接する当接部36と、を備えたものである。
この構成によれば、ヘッドランプ3が後方に後退する時、該ヘッドランプ3の後端部に設けた当接部36で、支持ブラケット26の橋渡し部26cを後方に押圧するので、支持ブラケット26の取付部(取付け片26b参照)はそのスリット26gによりエプロンパネル8から確実に離脱し、離脱後において支持ブラケット26の取付部側をホイールアーチ前部8bの傾斜面8sに沿って確実に上方かつ後方に後退させることができる。また、上記当接部36により支持ブラケット26が不所望に下方移動するのを防止することができる。
【0049】
また、支持ブラケット26の橋渡し部26cの剛性を、エプロンパネル8への取付部(取付け片26b参照)の剛性よりも大きくしたものである。
この構成によれば、軽衝突時において、支持ブラケット26の取付部(取付け片26b参照)が離脱する前に、支持ブラケット26の橋渡し部26cが変形することに起因して取付部(取付け片26b参照)の離脱が阻害されることを抑制し、取付部(取付け片26b参照)を必ず先に離脱させることができる。
【0050】
さらに、橋渡し部26cを構成するコ字状断面部26Xと、支持ブラケット26のエプロンパネル8への取付部(取付け片26b参照)を構成し上記スリット26gが形成された平板部26Yとを備えたものである。
この構成によれば、コ字状断面部26Xと平板部26Yとで剛性の大小の差異を形成したので、取付部(取付け片26b参照)が必ず先に離脱する特性を備えた支持ブラケット26を、容易に加工することができる。
【0051】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の離脱部は、実施例のスリット26gに対応し、
以下同様に、
取付部材は、ボルト27、ナット28に対応し、
支持ブラケットのエプロンパネルに対する取付部は、取付け片26bに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】フェンダ取付構造を備えた自動車の前部側面図
【図2】自動車のフェンダ取付構造を示す斜視図
【図3】自動車のフェンダ取付構造を示す斜視図
【図4】自動車のフェンダ取付構造を示す斜視図
【図5】フェンダ取付構造を示す拡大正面図
【図6】フェンダパネルを取外した状態で示す図5の平面図
【図7】図6のA−A線矢視断面図
【図8】ヘッドランプと支持ブラケットの関連構造を示す側面図
【図9】支持ブラケットの拡大平面図
【図10】図5のB−B線に沿う部分拡大側面図
【図11】スリットの他の実施例を示す平面図
【図12】ランプハウジングに設けた当接部の他の実施例を示す側面図
【符号の説明】
【0053】
1…フェンダパネル
3…ヘッドランプ
8…エプロンパネル
8b…ホイールアーチ前部
8s…傾斜面
26…支持ブラケット
26b…取付け片(取付部)
26c…橋渡し部
26g…スリット
26X…コ字状断面部
26Y…平板部
27,28…取付部材
36…当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフェンダ取付構造であって、
前部にヘッドランプが隣接するフェンダパネルと、
フェンダパネルの下部に位置するエプロンパネルと、
ヘッドランプと同じ高さで該ヘッドランプ後方に隣接して配設され、かつフェンダパネルの前部をエプロンパネルに取付ける支持ブラケットと、
ヘッドランプが後方に後退し支持ブラケットに接触した時、該支持ブラケットとエプロンパネルとの接続を離脱させる離脱部と、
を備えた
自動車のフェンダ取付構造。
【請求項2】
支持ブラケットとエプロンパネルとを接続する取付部材と、
支持ブラケットのエプロンパネルに対する取付部に形成され、ヘッドランプが後方に後退して支持ブラケットに接触した時、支持ブラケットとエプロンパネルとの接続を離脱させるスリットと、を備えた
請求項1記載の自動車のフェンダ取付構造。
【請求項3】
支持ブラケットを接続するエプロンパネルのホイールアーチ前部の傾斜面とを備えた
請求項2記載の自動車のフェンダ取付構造。
【請求項4】
上方が下方に対して前方に傾斜するように構成された支持ブラケットの橋渡し部と、
支持ブラケットと対向するヘッドランプの後端部に形成され、該ヘッドランプが後方に後退した時、橋渡し部に当接する当接部と、を備えた
請求項3記載の自動車のフェンダ取付構造。
【請求項5】
支持ブラケットの橋渡し部の剛性を、エプロンパネルへの取付部の剛性よりも大きくした
請求項2〜5の何れか1に記載の自動車のフェンダ取付構造。
【請求項6】
橋渡し部を構成するコ字状断面部と、支持ブラケットのエプロンパネルへの取付部を構成し上記スリットが形成された平板部とを備えた
請求項5記載の自動車のフェンダ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−100600(P2008−100600A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284473(P2006−284473)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】