説明

自動車の密閉システム用コーナー造型組成物

【課題】自動車の密閉合成構造を提供する。
【解決手段】密閉合成構造は、第一部品、及び第一部品に少なくとも部分的に接着した第二部品を含む。第一部品は少なくとも部分的に架橋されたゴム、第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分、および第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分を含む第一弾性成分を含む。第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分は、(i)60重量%以上のプロピレンから誘導される単位、(ii)イソタクティック配列のプロピレンに由来する配列、および(iii)45J/g未満の溶融熱を有するプロピレン・コポリマーである。好ましくは、第二部品は、1または2以上の熱硬化エチレン・コポリマー・ゴムを含む。好ましくは、第一部品はコーナー部品であり、第二部品は少なくとも部分的にコーナー部品に接着した直線部品であり、共に自動車の窓密閉構造を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に熱可塑性加硫ゴムおよび該熱可塑性加硫ゴムから作成された製品を含む合成構造に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
熱可塑性加硫ゴム(以下、「TPVs」ともいう。)は、マトリクス内に分散した微細に分割されたゴム粒子によって特徴づけることができる。これらのゴム粒子は弾性を促進するために架橋されている。そのために、TPVsはプラスティックの加工特性およびゴムの弾性を示す。
【0003】
TPVsは従来は動的加硫化(Dynamic vulcanization)により製造されていた。動的加硫化は、一定の上昇した温度で混合または噛砕きの間に少なくとも1つの非加硫化ポリマー成分の混合物の中でゴム成分が架橋または加硫化されるプロセスである。好ましくはこの硬化工程の温度は非加硫化ポリマー成分の融点より高い。
【0004】
TPVsは、自動車の産業および消費市場に用いる構成構造を形成するために用いられてきた。そのような用途のあるものでは、完全な構造を形成するためにTPV成分を他の材料に接着することが必要になる。それらの接着は、使用の環境または条件と同様に接着する材料および接着条件によっては達成しがたく、維持も難しい。例えば、国際特許WO02/051634号は、一方のポリマー構造が有効量の半結晶性ランダム接着コポリマーをブレンドしたEPDMで作られ、他方のポリマー構造が熱可塑性ポリオレフィン・ポリマーのマトリクスに分散した動的加硫化EPDMのブレンドで作られた2成分の合成構造を開示している。国際特許WO02/051634号はまた、第二のポリマー構造が半結晶性ランダム接着コポリマーをブレンドできることを開示している。欧州特許EP0601790号は、各層がα−オレフィン・コポリマー・ゴムおよびポリオレフィン樹脂から作られた二層シートを開示している。第一層または「スキン層」は部分的に架橋し、第二層または「裏面層」は架橋していない。欧州特許EP0601790号は、ポリオレフィン樹脂がエチレンまたはプロピレンのホモポリマー、または少量の他のポリマー性モノマーを含むエチレンまたはプロピレンのコポリマーであることを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TPVsは、自動車の産業および消費市場に用いる構成構造を形成するために用いられてきた。そのような用途のあるものでは、完全な構造を形成するためにTPV成分を他の材料に接着することが必要になる。それらの接着は、使用の環境または条件と同様に接着する材料および接着条件によっては達成しがたく、維持も難しい。
【0006】
概要
自動車の密閉合成構造を提供する。1または2以上の態様において前記合成構造は、少なくとも部分的に架橋されたゴム、第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分、および第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分を含む第一弾性成分を含む第一部品を含む。第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分は、(i)60重量%以上のプロピレンから誘導される単位、(ii)イソタクティック配列のプロピレンに由来する配列、および(iii)45J/g未満の溶融熱(a heat of fusion)を有するプロピレン・コポリマーである。前記合成構造は、また前記第一部品に少なくとも部分的に接着した第二部品を含む。前記第二部品は、1または2以上の熱硬化エチレン・コポリマー・ゴムおよび5重量%未満のオレフィン性熱可塑性樹脂を含む第二弾性成分を含む。
【0007】
上記1または2以上の態様において、前記第一部品は自動車窓の密閉構造におけるコーナー部品であり、前記第二部品は前記コーナー部品に少なくとも部分的に接着した直線部品である。好ましくは、前記直線部品は1または2以上の熱硬化エチレン・コポリマー・ゴムおよび5重量%未満のオレフィン性熱可塑性樹脂を含む第二弾性成分を含む。
【0008】
上記1または2以上の態様において、自動車の密閉合成構造は車の密閉合成構造である。好ましくは、前記合成構造は成型コーナー、成型末端キャップ、ガラス移動溝、トランク・シール、尾板シール、エンジンカバー・シール、隙間充填材、ガラス覆い(glass encapsulation)、カットライン・シール、ドア・シール、フード−ラジエター・シール、風除けシール、サンルーフ・シール、リアウィンドウ・シール、施錠パネル、窓枠およびベルトライン・シールに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
詳細な説明
第一弾性成分は熱可塑性加硫ゴムである。「熱可塑性加硫組成物」(簡単に「熱可塑性加硫ゴム」または「TPV」ともいう。)という用語は、分散し、少なくとも部分的に加硫化されたゴム成分、熱可塑性樹脂成分、および添加油を含む任意の材料として広義に定義される。TPV材料は、さらに他の成分、他の添加物、またはその両方を含むことができる。
【0010】
「加硫ゴム」という用語は、加硫化されたある成分(例えば、ゴム成分)を含む組成物を意味する。「加硫化された」という用語は、本発明において、任意の登録特許、印刷された出版物、または辞書を反映して最も広義に定義され、および一般的に、全部または一部の組成物(例えば、架橋可能なゴム)がある程度またはある量の加硫化を受けた後の状態のことをいう。したがって、この用語は部分的および全体の加硫化の両方を含む。好ましい加硫化のタイプは下記で記載する「動的加硫化」であり、これも「加硫ゴム」を生成する。また、少なくとも1つの態様において、「加硫化された」という用語は、永久特性の測定変化、例えば組成物の溶融流動指標(MFI)における変化で10%以上(任意のASTM−1238操作により)となる実質的加硫化、例えば硬化(架橋化)以上の加硫化のことをいう。少なくともそのような意味において、加硫化という用語は、動的加硫化において用いることができる熱的および化学的な両方の任意の形態の硬化(架橋化)を含む。
【0011】
「動的加硫化」という用語は、混合物を可塑化するのに十分な温度における剪断条件下で熱可塑性樹脂とブレンドする硬化性ゴムの加硫化または硬化のことをいう。少なくとも1つの態様において、前記ゴムは熱可塑性樹脂成分中において微小サイズの粒子として同時に架橋、分散される。硬化の程度、熱可塑性樹脂に対するゴム比率、ゴムと熱可塑性樹脂成分の適合性、捏ね方および混合強度(剪断速度)に依存して、可塑性マトリクスにおける共連続性ゴム相のような他の形態が可能になる。
【0012】
前記用語が本発明で用いられるように、「部分的に加硫化された」ゴムは、熱可塑性加硫ゴムのゴム相の架橋化のような加硫化(好ましくは動的加硫化)の後で5重量%を超える架橋性ゴムが沸騰キシレンで抽出され得るゴムである。例えば、5重量%以上および20重量%または30重量%または50重量%未満の架橋性ゴムが沸騰キシレン中の熱可塑性加硫ゴムの試料から抽出され得る。抽出可能なパーセンテージは米国特許4,311,628号に示された技術により決定でき、その技術について言及するその特許の該当部分は参照により本発明に取り込まれる。
【0013】
好ましくは、硬化組成物中の溶解性ゴムのパーセンテージは、沸騰キシレン中で試料を還流し、乾燥残渣の重量を測定し、組成物の情報に基づいて溶解性および不溶性成分について適切な校正を行うことにより決定される。このようにして、溶解性成分の重量の初期重量から減じることにより、伸張剤油、可塑化剤、および硬化させることが意図されないそのゴム成分と同様に有機溶媒中で溶解性の組成物中の成分のような加硫化されたゴム以外にも、校正された初期および最終重量が得られる。任意の不溶性色素、充填剤などが初期および最終重量の両方から減じられる。硬化組成物中の溶解性ゴムのパーセンテージを計算する際に、還流キシレン中で溶解性の非硬化ゴム中の任意の材料が、キシレン中で溶解性のEPDMゴムの約5重量%まで、代表的には約0.5から約2.0重量%まで、ゴムから減じられる。
【0014】
「完全に加硫化された」(または完全に硬化した、または完全に架橋化した)ゴムは、熱可塑性加硫ゴムのゴム相の架橋化のような加硫化(好ましくは動的加硫化)の後で5重量%未満の架橋性ゴムが沸騰キシレンで抽出され得るゴムである。好ましくは、架橋性ゴムの4重量%以下、または3重量%以下、または2重量%以下、または1重量%以下が沸騰キシレン中で抽出され得る。
【0015】
ゴム成分
1つまたは2以上の態様において、ゴム成分はエチレン・コポリマー・ゴムを含有する。この「エチレン・コポリマー・ゴム」は、例えばエチレン−プロピレン・コポリマー・ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ゴム、およびEPDM型ゴムのような任意のエチレン含有ゴムであり得る。EPDM型ゴムは、エチレンおよび3から10炭素原子、好ましくは3から4炭素原子を有する少なくとも1つの異なるモノオレフィン・モノマー、および5から20炭素原子を有する少なくとも1つのポリ不飽和オレフィンの重合により得られるターポリマーであり得る。そのようなモノオレフィンは、望ましくは化学式CH2=CH−R(式中、Rは水素原子または1−12炭素原子のアルキル基)で表され、好ましくはプロピレンである。望ましくは、エチレンおよび少なくとも1つのモノオレフィンからの(および好ましくはエチレンおよびプロピレンからの)繰り返し単位が25:75から75:25(エチレン:プロピレン)の重量比率でポリマー中に存在し、ポリマーの約90から約99.6重量パーセントを構成する。前記ポリ不飽和オレフィンは直鎖状、分枝状、環状、架橋環状、縮合環状二環性などの化合物であり得、好ましくは非共役ジエンである。非共役ジエンのポリ不飽和オレフィンからの繰り返し単位は好ましくはゴムの約0.4から約10重量パーセントである。
【0016】
熱可塑性樹脂成分
1または2以上の態様において、熱可塑性樹脂成分はオレフィン性熱可塑性樹脂を含む。この「オレフィン性熱可塑性樹脂」は、「ゴム」ではなく、例えば熱に晒すと柔くなり、室温に冷却すると元の条件に戻るポリマーのような、当業者によって実際に熱可塑性と考えられるポリマーまたはポリマー混合物である任意の材料であり得る。オレフィン性熱可塑性樹脂成分には、ポリオレフィン・ホモポリマーおよびポリオレフィン・コポリマーを含む1または2以上のポリオレフィンが含まれる。特記する場合を除き、「コポリマー」という用語は1または2以上のモノマー(ターポリマー、テトラポリマーなどを含む)からのポリマーを意味し、「ポリマー」という用語は1または2以上の異なるモノマーからの繰り返し単位を有する任意の炭素含有化合物のことをいう。
【0017】
具体的なポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、これらの混合物、およびこれらの(メタ)クリレートおよび/または酢酸ビニルとのコポリマーのような2から7炭素原子を有するモノマーを含むが、これらに限定されないモノオレフィン・モノマーから調製することができる。好ましくは、オレフィン性熱可塑性樹脂成分は加硫化または架橋化されていない。
【0018】
1または2以上の態様において、オレフィン性熱可塑性樹脂成分にはポリプロピレンが含まれる。本発明で用いられる「ポリプロピレン」という用語は当業者(少なくとも1つの特許または出版物に反映されるように)によって「ポリプロピレン」と考えられる任意のポリマーを広義に意味し、これにはプロピレンのホモ、インパクトおよびランダム・ポリマーが含まれる。好ましくは、本発明で記載される組成物に用いられるプロピレンは、110℃を超える融点を有し、90重量%以上の繰り返し単位を含み、それらの単位のイソタクティック配列を含む。前記ポリプロピレンはまた、アタクティック配列またはシンジオタクティック配列、またはこれらの両方を含むこともできる。前記ポリプロピレンは、プロピレン・モノマー(例えば、ただ1つのプロピレン単位を有する)のみから誘導することも、主成分のプロピレン(80%より多くのプロピレン)と特にエチレン、および/またはC4−C10α−オレフィンのようなその他の部分のオレフィンとから誘導することもできる。本発明において別記するように、あるポリオレフィンは高いMFI(例えば、低値では10または15または20g/10分から高値では25から30g/10分)を有する。他のポリプロピレンは、例えば1.0未満のMFIを有する「機能的」ポリプロピレンのように低いMFIを有する。高MFIを有するものは加工または混合が容易で好ましい。
【0019】
1または2以上の態様において、オレフィン性熱可塑性樹脂成分はまたイソタクティック・ポリプロピレンを含む。好ましくは、オレフィン性熱可塑性樹脂成分には、DSCによる測定で110℃から170℃またはそれより高温の融点を有する1または2以上の結晶性プロピレン・ホモポリマーまたはプロピレンのコポリマーが含まれる。好ましいプロピレンのコポリマーには、プロピレンのターポリマー、プロピレンのインパクト・コポリマー、ランダム・ポリプロピレン、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいコモノマーは2炭素原子、または4から12炭素原子を有する。好ましくは、コモノマーはエチレンである。そのようなオレフィン性熱可塑性樹脂成分およびこれらの調製方法は米国特許6,342,565号に記載されている。
【0020】
本発明において用いられる「ランダム・ポリプロピレン」という用語は、9重量%以下、好ましくは2重量%から8重量%のα−オレフィン・コモノマーを有する広義のプロピレンの単相コポリマーを意味する。好ましいα−オレフィン・コモノマーは2炭素原子、または4から12炭素原子を有する。好ましくは、α−オレフィン・コモノマーはエチレンである。
【0021】
添加油
「添加油」という用語には「プロセス油」および「伸張油(extender oil)」の両方が含まれる。例えば、「添加油」は有機エステルおよび合成可塑剤のような炭化水素油および可塑剤を含んでもよい。多くの添加油は石油画分から誘導され、パラフィン性、ナフタレン性、または芳香族性油のいずれに分類されるかによって特定のASTM名称をもっている。他のタイプの添加油には、例えば商標「パラポールR」で販売される製品である液体ポリブチレンのようなα−オレフィン性合成油が含まれる。例えばポリオレフィン材料(例えば、エクソンモービル・ペトロレアム・アンド・ケミカルから供給されるスペクトラシンTM)のような合成油をはじめ、コールタールおよびパインタールから誘導される油のような石油由来の油以外の添加油も用いることができる。あるゴム成分(例えば、ビスタロン3666のようなEPDM)には、ゴム成分が熱可塑剤と混合する前に予備混合される添加油が含まれる。利用される添加油のタイプは、特定のゴム成分と共に慣例的に用いられるものになる。
【0022】
通常に熟練した化学者は、特定のゴムと共に用いるべき油のタイプを理解し、また油の量を決定できる。添加油はゴムおよびイソタクティック・ポリプロピレン成分の混合物の約5から300重量部の量で存在することができる。添加油の量は約30から250部と表すことができ、より望ましくはゴム成分100重量部につき約70から200重量部である。また、添加油の量は全ゴム含有量に基づくことができ、添加油の全ゴムに対する重量比で定義され、ある場合にその量はプロセス油(具体的には、ゴム硬化の前および/または後のTPV製造中に添加される)および伸張油(具体的には、ゴム製造時にゴムに添加される)の合計量でもよい。例えば、その比率は約0から約4.0/Lの範囲である。以下の任意の上限および下限を有する他の範囲を利用することもできる。すなわち、下限は0.1/L、または0.6/L、または0.8/L、または1.0/L、または1.2/L、または1.5/L、または1.8/L、または2.0/L、または2.5/Lで、上限(上記の任意の下限と組み合わせ可能)は4.0/L、または3.8/L、または3.5/L、または3.2/L、または3.0/L、または2.8/Lである。より大量の添加油を用いることもできるが、組成物、または油流、またはその両方の物理強度がしばしば低下するという欠点がある。
【0023】
ゴム硬化剤
ゴム成分を硬化または架橋化することができる任意の硬化剤を用いることができる。用いられるゴムによって、特定の硬化剤が好まれる。具体的な硬化剤には、フェノール性樹脂、過酸化物、マレイミド、硫黄含有硬化剤、およびシリコン含有硬化剤が含まれるが、これらに限定されない。具体的なフェノール性樹脂の例は、米国特許2,972,600号、3,287,440号、4,311,628号、および6,433,090号に記載されている。好ましいフェノール性樹脂硬化剤は、シェネクタディ・インターナショナル社(Schenectady International, Inc.)からSP−1045として市販されているオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂である。具体的な過酸化物の例は米国特許5,656,693号に開示されている。有用なシリコン含有硬化剤には、メチル水素ポリシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサン・コポリマー、アルキルメチルポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
他の添加剤
「他の添加剤」の用語には、煤塵フィルター、潤滑油、抗酸化剤、抗ブロッキング剤、安定化剤、抗分解剤、抗静電剤、ワックス、発泡剤、色素、難燃剤、加工助剤、接着剤、粘着付与剤、可塑剤、ワックス、および不連続ファイバー(ワールド・セルロース・ファイバーのような)が含まれるが、これらに限定されない。具体的な煤塵フィルターの例は、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、着色色素、粘土、およびこれらの組み合わせである。非黒色フィルターを用いる場合、非黒色フィルターとポリマーの間を繋ぐための結合剤を含むことが望ましいだろう。もし存在する場合、望ましいカーボンブラック、または他の着色剤の量は、100重量部のゴムにつき約5から約250重量部である。
【0025】
プロピレン・コポリマー
1または2以上の態様において、オレフィン性熱可塑性樹脂成分には「プロピレン・コポリマー」が含まれる。この「プロピレン・コポリマー」には、少なくとも異なる二つのタイプのモノマー単位が含まれ、その1つはプロピレンである。適当なモノマーには、エチレンおよび、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンおよび1−デセン、またはこれらの混合物のようなC4からC20の範囲のより高分子のα−オレフィンが含まれる。好ましくは、エチレンはプロピレンと重合するため、プロピレン・コポリマーにはプロピレン単位(プロピレン・モノマーから誘導されるポリマー鎖の単位)およびエチレン単位(エチレン・モノマーから誘導されるポリマー鎖の単位)が含まれる。
【0026】
1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは少なくとも75重量%のプロピレン誘導単位を含む。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは75重量%から95重量%のプロピレン誘導単位を含む。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは80重量%から90重量%のプロピレン誘導単位を含む。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは、80重量%から95重量%のプロピレンからの繰り返し単位、および2または4から12炭素原子を有する1または2以上の不飽和オレフィン・モノマーからの5から20重量%の繰り返し単位を含む。
【0027】
多分、プロピレン・コポリマーは非結晶領域により分断される結晶領域をもっている。非結晶領域は、非結晶化ポリプロピレン部分、コモノマー単位包含、またはその両方の領域からなっている。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは、イソタクティック、シンジオタクティック、またはそれらの組み合わせであるプロピレン誘導結晶性を有している。好ましい態様において、プロピレン・コポリマーはイソタクティック配列を有している。イソタクティック配列の存在はNMR測定でイソタクティックに並べられた2またはそれ以上のプロピレン誘導単位が示されることで決定できる。そのようなイソタクティック配列は、ある場合にはイソタクティックに並んでいないプロピレン単位により、または代わりにイソタクティック配列から誘導された結晶性を阻害する他のモノマーにより分断され得る。
【0028】
1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーのプロピレン誘導単位は約65%から約99%のイソタクティック・トリアッド(triad)断片を有している。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーのプロピレン誘導単位は約70%から約98%のイソタクティック・トリアッド断片を有している。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーのプロピレン誘導単位は約75%から約97%のイソタクティック・トリアッド断片を有している。
【0029】
プロピレン挿入におけるエラーの導入のためおよび/またはコモノマーの存在により、プロピレン・コモノマーの結晶性および融点は高度イソタクティック・ポリプロピレンに比較して低下する。例えば、プロピレン・コポリマーのプロピレン誘導結晶性は、示差熱測定法(DSC)による測定で、ある態様において約2%から約65%であり、他の態様において約5%から約40%である。
【0030】
プロピレン・コポリマーの結晶性は、示差熱測定(DSC)試験を用いて、最も好ましくはASTM E−794−95に従って測定された「融合熱」という用語で表現できる。多分、試験される約6mgから約10mgのポリマーのシートは約200℃から230℃で圧縮され、次にパンチ・ダイで除去されて室温で48時間焼きなまされる。その時間の最後に試料は示差熱量計(パーキン・エルマー7シリーズ熱分析システム)に移され、約−50℃から−70℃に冷却される。試料は約10℃/分の速度で約180℃から約200℃の最終温度に達するまで加熱される。熱発生は、代表的には約30℃から約175℃での最大ピークにあり、約0℃から約200℃の間の温度で発生する試料の溶解ピーク下の面積として記録される。熱発生は溶融熱の測定値としてジュールで測定される。
【0031】
プロピレン・コポリマーは1.0J/gから90J/gの広い範囲、または2J/gから40J/g、または5J/gから35J/g、または7J/gから25J/gのより狭い範囲の溶融熱を有することができる。1または2以上の具体的な態様において、プロピレン・コポリマーは75J/g以下、または50J/g以下、または35J/g以下の溶融熱を有する。好ましくは、プロピレン・コポリマーは45J/g未満の溶融熱を有する。
【0032】
「融点」は上記DSC試験を用いて測定することができる。DSC試験を用いると、融点は試料の溶融温度の範囲内の最も熱吸収の大きいところに対応する記録温度である。単一の溶融ピークが観察される場合、そのピークは「融点」と思われる。多くのピークが観察される場合(例えば、主要なピークと第二ピーク)、融点はそれらのピークのうち最も高いものである。弾性体が普通見出される低結晶性末端においては溶融点ピークは低温で比較的フラットであることもあり、正確なピーク位置を決定するのが困難であることに注意すべきである。さらに、DSC法を用いるとピーク位置がアニーリングやリラクセーションにより影響を受け得る。したがって、DSCのための前述した試料の前処理操作の後に行うことが推奨される。
【0033】
プロピレン・コポリマーは、下限の25℃、または30℃、または35℃、または40℃、または45℃、または50℃から、上限の105℃、または100℃、または95℃、または85℃、または80℃、または75℃、または70℃までの範囲の任意の融点を有することができる。他の具体的な態様において、プロピレン・コポリマーの融点は、例えば30℃から70℃、または40℃から50℃のように任意の選択範囲で表すことができる。
【0034】
上述した結晶性の分断は、非プロピレン・モノマー単位の取り込みにより主に影響されている。したがって、プロピレン・コポリマーのコモノマー含量は、1つの態様においては約5重量%から約30重量%、他の態様においては約8重量%から約30重量%、さらに他の態様においては約8重量%から約15重量%の範囲にあり得る。本発明で記載する1または2以上の組成物において、プロピレン・コポリマーは8重量%より高い、または10重量%より高い、または12重量%より高い、または15重量%より高いコモノマー含量を有し得る。
【0035】
さらにプロピレン・コポリマーのプロピレン誘導結晶性は、ゴム成分および添加物を用いるのと同様に、例えば熱可塑性樹脂成分の他のポリマーのようなTPV組成物の他の成分を共に用いて望ましい適合性を確保することを選択することもできる。好ましい側面において、プロピレン誘導結晶性は熱可塑性樹脂成分に含まれる任意のポリプロピレン樹脂に選択的に関係する。ある態様において、プロピレン・コポリマーの立体規則性および熱可塑性樹脂成分の立体規則性(2またはそれ以上の異なるポリプロピレン・ポリマーを含み得る)は同じでも実質的に同じでもよい。「実質的に」とは、これらの2つの成分が90%以上の同じ立体規則性を有することをいう。さらに他の態様において、前記成分は100%以上の同じ立体規則性を有する。たとえ前記成分が、例えば部分的にイソタクティックで部分的にシンジオタクティックのような混合立体規則性であっても、それぞれのパーセンテージは少なくとも1または2以上の態様における他の成分と同様に約80%以上であるべきである。
【0036】
1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは米国特許6,288,171号、6,525,157号、5,001,205号、国際特許WO96/33227号、WO97/22639号、4,543,399号、4,588,790号、5,028,670号5,317,036号、5,352,749号、5,405,922号、5,436,304号、5,453,471号、5,462,999号、5,616,661号、5,627,242号、5,665,818号、5,668,228号、5,677,375号、5,693,727号、3,248,179号、4,613,484号、5,712,352号、EP−A−0794200号、EP−A−0802202号、およびEP−B−634421号に記載されるものを含むランダム重合法を用いて調製される。しかしながら、プロピレン・コポリマーは任意の特定の重合方法に限定されない。適当な重合方法には、例えば気相法、スラリー法、および溶液法が含まれる。
【0037】
プロピレン・コポリマーはまた、任意の、または任意のタイプの反応容器にも限定されない。プロピレン・コポリマーはある態様において単一反応槽中で形成される。プロピレン・コポリマーはある態様において1または2以上の反応槽(例えば、連続して並べられた2またはそれ以上の反応槽)において形成される。プロピレン・コポリマーはある態様において1つのバッチ反応槽において形成される。好ましくは、連続重合方法は反応槽内に濃度勾配がないように十分な逆撹拌を備えている。好ましくは、プロピレン・コポリマーは触媒系が単相環境に存在するように溶液重合(スラリーまたは気相重合に対して)を用いて形成される。
【0038】
プロピレン・コポリマーは任意の特定の触媒または触媒系により限定されない。1または2以上の態様において、触媒系は1または2以上の遷移金属化合物および1または2以上の活性化剤を含むことができる。イオン化活性化剤とともにアルモキサンまたはアルキルアルミニウムの混合物を用いることを含めて、多数の活性化剤を用いることもできる。アルモキサンまたはアルキルアルミニウム活性化剤が用いる場合には、混合する触媒前駆体−活性化剤のモル比は1:5000から10:1である。イオン化活性化剤を用いる場合には、混合する触媒前駆体−活性化剤のモル比は10:1から1:10である。1または2以上の態様において、2004年2月5日に公開された米国特許出願20040024146号に開示された1または2以上の触媒系を用いることができる。1または2以上の態様において、米国特許出願20030204017号に記載される非メタロセン金属中心ヘタロアリールリガンド触媒系を用いることができる。
【0039】
好ましくは、プロピレン・コポリマーはメタロセン触媒系の存在下で調製される。非限定的な実施例として、具体的な触媒系にはビス−インデニル化合物、特に架橋ビス−インデニル化合物、およびさらにより特別には任意の2−置換を含まない架橋ビス−インデニル化合物が含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、また1または2以上の具体的な態様において、弾性体構造に用いられる任意のプロピレン・コポリマーは許容できる立体規制挿入の可能な単一部位触媒を用いて調製できる。例えば、少なくともある態様において、ダウ・ケミカル社が所有するWO03/0404201号の開示にしたがって調製されたポリマーは「プロピレン・コポリマー」として適格である。
【0040】
1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは約90未満のショアA(Shore A)硬度を有する。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは約45から約90のショアA硬度を有する。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは約55から約80のショアA硬度を有する。
【0041】
1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは、1.5から40、または2から20、または2から10、または2から5の範囲の分子量分布(MWD)Mw/Mnを有する。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による決定で、10,000から5,000,000、または40,000から300,000、または80,000から200,000の数平均分子量を有することができる。1または2以上の態様において、プロピレン・コポリマーは、上限の5,000,000g/モル、または1,000,000g/モル、または500,000g/モル、および下限の10,000g/モル、または15,000g/モル、または20,000g/モル、または80,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有することができる。さらに、プロピレン・コポリマーは低値で50、または60、または75から高値で80、または90、または100のムーニー粘度(125℃においてML(1+4))を有することができる。
【0042】
方法の記載
TPVを作成する任意のプロセスを採用することができる。1または2以上の態様において、1または2以上のゴム成分、熱可塑性樹脂成分、添加油、硬化剤、他の添加剤などのような個々の材料および成分は、上述の熱可塑性樹脂成分の融点に加熱された混合物中で任意の順で溶融混合することにより混合することができる。
【0043】
1または2以上の態様において、熱可塑性樹脂成分および硬化剤は、個々の原料供給流、回転ブレンド(tumbled blend)、または主バッチ(master batch)のように加熱された混合物に添加することができる。1または2以上の熱可塑性樹脂成分は、硬化前または硬化後の間に任意の割合で硬化または分割前に添加することができる。例えばプロセス油のような前記添加油は、硬化前、硬化後の素練りの間に添加し、硬化前および硬化後の間に任意の割合で分割することができる。
【0044】
好ましくは、1または2以上の硬化剤は、目標融点の範囲内で特定の時間(120秒未満)を越えて溶融物中に取り込まれる。1または2以上の硬化剤は、例えば適合するプロセス油中の溶液で、固体のままで、溶融物のままで、または主バッチで注入するような任意の適当な技術を用いて添加することができる。
【0045】
1または2以上の充填剤または他の添加剤は硬化の前、間、または後のいずれかに溶融物に導入することができる。硬化剤を妨害することができる添加剤、充填剤、または他の化合物は、硬化が望ましいレベルまで到達した後に添加すべきである。好ましくは、そのような添加剤は適合するゴムのプロセス油中のスラリーまたはペーストとして溶融物に添加される。これらの成分の粉体ブレンドまたは主バッチは計量および混合を容易にするためにワックスまたはポリマー中に調製することができる。溶融物の硬化および十分な混合に続いて、溶融物ブレンドは、粉砕、切断、押出し、ペレット化、注入成型、のたは任意の他の望ましい技術のような1または2以上の任意技術を用いて弾性構造を形成するために加工することができる。TPV組成物を作成する為のさらに詳細な事項は米国特許4,594,390号に記載されている。
【0046】
具体的な態様
様々な具体的な態様を以下に記載するが、そのうち少なくとも幾つかはクレームにも列挙している。例えば、少なくとも1つの具体的な態様は自動車の密閉合成構造に関するものである。1または2以上の態様において、合成構造には第二部品(例えば、第二構造)に接着した第一部品(例えば、第一構造)が含まれる。1または2以上の態様において、第一部品はコーナー部品であり、第二部品は直線部品である。1または2以上の態様において、第一部品の少なくとも一端は端同士で接着するか、当業者に既知の「バット(butt)溶接」である。
【0047】
1または2以上の態様において、第一部品には少なくとも部分的に架橋したゴム成分および第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分を含む第一弾性成分を含む。第一弾性成分には、(i)60重量%以上のプロピレンからの誘導単位、(ii)イソタクティックに並んだプロピレン誘導配列、および(iii)45J/g未満の溶融熱を有するプロピレン・コポリマーを含む第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分も含まれる。
【0048】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記少なくとも部分的に架橋したゴム成分は熱硬化EPRを含む。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記少なくとも部分的に架橋したゴム成分は熱硬化EPRMを含む。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記少なくとも部分的に架橋したゴム成分は、第一部品の全重量に基づいて約5重量%から約85重量%の量で存在する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記少なくとも部分的に架橋したゴム成分は、第一部品の全重量に基づいて約70重量%未満、または約50重量%未満の量で存在する。
【0049】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分は、第一部品の全重量に基づいて約15重量%から約95重量%の量で存在する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分は、第一部品の全重量に基づいて約30重量%より多く、または約50重量%より多い量で存在する。
【0050】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記プロピレン・コポリマーは、第一部品の全重量に基づいて約1重量%から約50重量%の量で存在する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記プロピレン・コポリマーは、第一部品の全重量に基づいて約5重量%から約15重量%の量で存在する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記プロピレン・コポリマーは、第一部品の全重量に基づいて約10重量%から約40重量%の量で存在する。
【0051】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記プロピレン・コポリマーは、プロピレン・コポリマーの全重量に基づいて約8重量%より多く約30重量%までのエチレン含量を有するプロピレン/エチレン・コポリマーである。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記プロピレン・コポリマーは、プロピレン・コポリマーの全重量に基づいて約10重量%から約15重量%のエチレン含量を有するプロピレン/エチレン・コポリマーである。
【0052】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一弾性成分は、第一部品の全重量に基づいて約10重量%から約60重量%の1または2以上の添加油を含有する。より好ましくは、前記第一弾性成分は、第一部品の全重量に基づいて約25重量%から約40重量%の1または2以上の添加油を含有する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一弾性成分は、第一部品の全重量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の1または2以上の硬化剤を含有する。より好ましくは、前記第一弾性成分は、第一部品の全重量に基づいて約0.2重量%から約1.5重量%の1または2以上の硬化剤を含有する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一弾性成分は、第一部品の全重量に基づいて約1重量%から約25重量%の1または2以上の充填剤を含有する。より好ましくは、前記第一弾性成分は、第一部品の全重量に基づいて約2重量%から約15重量%の1または2以上の充填剤を含有する。
【0053】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品は75以下のショアA硬度を有する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品は70以下、または65以下、または60以下のショアA硬度を有する。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品は50から70のショアA硬度を有する。
【0054】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第二部品は熱可塑性弾性体または熱可塑性加硫剤である。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第二部品は、熱硬化ゴム、熱可塑剤、または熱可塑性ゴムを含む。好ましくは、前記第二部品は第二弾性成分を含む。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第二弾性成分は1または2以上の熱硬化エチレン・コポリマーゴムおよび5重量%未満のオレフィン性熱可塑性樹脂を含む。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第二弾性成分はEPDMを含む。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第二弾性成分はEPRを含む。
【0055】
前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品と第二部品との間の接着剤は約2.5MPa以上である。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品と第二部品との間の接着は約3.0MPa以上である。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品と第二部品との間の接着は約3.5MPa以上である。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品と第二部品との間の接着は約3.6MPa以上である。前述または本発明の他の箇所で確認した1または2以上の態様において、前記第一部品と第二部品との間の接着は約4.0MPa以上である。
【0056】
製品
1または2以上の態様において、前記第一部品は良好な接着を確保するための十分な条件で第二部品に少なくとも部分的に接着または付着している。前記2つの部品は合成製品または構造を形成するために、押出し、注入成型、ブロー成型、たまは圧縮成型技術により互いに少なくとも部分的に接着することができる。好ましくは、第一部品と第二部品とが端と端で、またはバット溶接で接着するように、第一部品の少なくとも一方の端は第二部品の一方の端に接着している。
【0057】
具体的な合成構造の例には、自動車、飛行機、汽車用の車輪の部品、特に内部または外部部品、全地域車輪(All Terrain Vehicles: ATV)、雪上車、ボート、ジェットスキー、オートバイ、および任意の他の2、4、またはそれ以上の車輪をもつ乗り物が含まれるが、これらに限定されない。具体的な車輪部品には、例えば成型コーナー、成型末端キャップ、ガラス移動溝、トランク・シール、尾板シール、エンジンカバー・シール、隙間充填材、ガラス覆い(glass encapsulation)、カットライン・シール、ドア・シール、フード−ラジエター・シール、風除けシール、サンルーフ・シール、リアウィンドウ・シール、施錠パネル、窓枠およびベルトライン・シールのような外部天候シールが含まれるが、これらに限定されない。特定のベルトライン・シールは米国特許6,368,700号に開示されている。他の特定の自動車外部天候シールは、http://www.santoprene.comで見出すことができる。
【実施例】
【0058】
実施例
以下の実施例はプロピレン・コポリマーおよびプロピレン・コポリマーを含まない第二弾性構造を含む第一弾性構造間の驚くべき接着性を示している。便宜的に様々な試験操作は、接着性およびショアA硬度のような特性により決定される。しかしながら、当業者がこの特許を見て、組成物またはポリマーがクレームで確認された特定の特性を有するか否かを決定しようと望む場合には、特に確認された操作が好まれるものではあるが、その特性を決定するために予め任意の公開またはよく認識された方法または試験操作を行うことができる。各クレームは任意のそのような操作の結果に及び、さらに異なる操作が異なる結果および測定値を生じる範囲にまで及ぶと解すべきである。したがって、当業者はクレームに反映される測定特性における実験の変動を予測できる。全ての数値は一般的な試験の性質の点から、「約」または「およそ」の状態値であると考えるべきである。
【0059】
下記の各試料において、プロピレン・コポリマーを含む弾性試料はプロピレン・コポリマーを含まない同様な弾性試料と比べてEPDM基板に対して驚くべき接着性の向上を示した。さらに、10重量%から30重量%のプロピレン・コポリマーの添加により弾性試料のショアA硬度は影響を受けなかった。これは驚きであり、予想されなかったことであった。熱可塑剤含量の上昇により、より硬化した固い材料が製造され得ると考えられるだろうが、この場合は別である。30%も多くの熱可塑剤をこれらの弾性試料に添加してもショアA硬度は上昇しなかった。結局、プロピレンのホモポリマー、ターポリマー、インパクト・コポリマー、およびランダム・コポリマーを含む異なるタイプの熱可塑性樹脂成分を用いて、弾性試料にはEPDM基板に対する接着性の向上が認められた。
【0060】
各第一弾性組成物(弾性体1−4)は、全ての材料を2スクリュー撹拌機に供給し、溶融材料を同時に撹拌する間、混合物を熱可塑性成分の融点(150℃−200℃)以上に加熱することによりゴム成分の動的加硫化を行って作製した。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
ゴム主バッチの製剤を表2に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
エクソンモービルV3666は、エクソンモービル社から入手でき、これは50のムーニー粘度(125℃におけるML(1+4))、4.2重量%のENB含量、66.3%のエチレン含量、75phrパラフィン油を有するエチレン−プロピレン(エチリデン−ノルボルネン)EPDMターポリマーである。
【0066】
エクソンモービルVX4779は、エクソンモービル社から入手でき、これは53のムーニー粘度(125℃におけるML(1+4))、4.8重量%のENB含量、66.3%のエチレン含量、90phrパラフィン油を有するエチレン−プロピレン(エチリデン−ノルボルネン)EPDMターポリマーである。
【0067】
バーゲス・アイスキャップ(Burgess Icecap)Kはバーゲス社から入手でき、約1.5ミクロンの平均粒子サイズを有する焼き粘土である。
【0068】
SP1045はシェネクタディ(Schenectady)社から入手でき、約147°Fの融点を有するパラ−tert−オクチルフェノール性樹脂である。
【0069】
サンパール(Sunpar)150Mはサノコ(Sunoco)社から入手でき、110の粘度CST40℃を有するパラフィン性油である。
【0070】
オレフィン性熱可塑性樹脂成分を表3に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
エクイスター(Equistar)51S07A PPはサノコ社から入手でき、0.8のMFIを有するホモポリプロピレンである。サノコF−180−Aもサノコ社から入手でき、20のMFIを有するホモポリプロピレンである。サノコFP300Fもサノコ社から入手でき、30のMFIを有するホモポリプロピレンである。
【0074】
バーゼル・アドフレックス(Basell Adflex)KS−359Pはバーゼル社から入手でき、67重量%の弾性含量および12のMFIを有するランダム・ポリプロピレン・マトリクスを有するインパクト・コポリマーである。
【0075】
フィナ(Fina)EOD94−21はアトフィナ(Atofina)社から入手でき、約5重量%のエチレンおよび5のMFIを有するターポリマーである。
【0076】
フィナ(Fina)Adsyl5C30Fはアトフィナ(Atofina)社から入手でき、エチレン、プロピレンおよび5.5のMFIを有するブテンのターポリマーである。
【0077】
プロピレン・コポリマー成分は、10%のエチレン総重量を有するメタロセンで触媒されたポリプロピレン/ポリエチレン・ランダム・コポリマーである。このプロピレン・コポリマーのブレンドはASTM D1646に従い測定した11のムーニー粘度、および100℃未満の融点をもっていた。プロピレン・コポリマー成分は1L内容積の連続流動撹拌タンク反応槽で調製された。液体満タンの反応槽は約9から15分の様々な滞留時間を有し、圧力は700kPaに維持された。ヘキサン、エチレン、およびプロピレンの混合供給原料は、反応槽に導入する前に重合熱を取り去るために約−30℃で予備冷却された。触媒/活性化剤のトルエン溶液および補足剤のヘキサン溶液は重合を開始するために別々に連続して反応槽に添加された。反応槽温度は約70℃に維持された。
【0078】
3.56kg/時間でヘキサンは、速度60g/時間のエチレンおよび速度812g/時間のプロピレンと共に予備混合され、反応槽に供給された。重合触媒であるジメチルシリル架橋ビス−インデニルハフニウムジメチルは、ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム−テトラキス(ヘプタフルオロ−1−ナフチル)と1:1モル比でin situで活性化され、0.0135g/時間の速度で重合反応槽に導入された。トリイソブチルアルミニウムの希釈溶液は触媒停止剤の補足剤として反応槽に導入された。安定重合の5つの滞留時間の後で、この重合で製造されたコポリマーの代表試料が回収された。コポリマー溶液は頭頂部から引き抜かれ、次にコポリマーを単離するために水蒸気蒸留された。重合速度は約0.26kg/時間と測定された。この重合で製造されたコポリマーはFTIRによりエチレン含量を分析した。平均分子量はGPCで測定した。結晶性はDSCで測定し、コポリマー鎖のプロピレン残基のmmミリアッドは13C−NMRで決定した。
【0079】
第二弾性組成物は完全に硬化した硬化EPDMゴムであり、接線型内部混合機(ファレル(Farrel)社1.6L混合機)内で混合した。主バッチは第一水路で混合し、次に第二水路で硬化剤を添加して仕上げた。第二弾性組成物の製剤を表4に示す。第二弾性組成物の流動特性を表5に示す。
【0080】
【表6】

【0081】
ビスタロン(Vistalon:商標)は78のムーニー粘度(125℃におけるML(1+4))、63重量%のエチレン含量、8重量%のエチリデン−ノルボルネン含量を有するエチレン−プロピレン−(エチリデン−ノルボルネン)EPDMであり、これは欧州エクソンモービル・ケミカル(ベルギー、ブリュッセル)から入手できる。
【0082】
スフェロン(Spheron)5000はキャボット社(Cabot Corp)から入手可能なカーボンブラックである。
【0083】
オミヤ(Omya)BSH(胡粉)はオミヤ社から入手できる炭酸カルシウムである。
【0084】
フレキソン(Flexon)815はASTM型104Bのパラフィン性石油であり、エクソンモービル社から入手できる。
【0085】
PEG3350は3015から3685の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールであり、ダウ・ケミカル社から入手できる。
【0086】
活性酸化亜鉛は、バイエル社から入手可能な析出酸化亜鉛である。
【0087】
レノグラン(Rhenogran)CaO−80はライン・ヘミィ(Rhein Chemie)社から入手可能な酸化カルシウムである。
【0088】
CBSはN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール スルフェナミド(CAS95−33−0)である。
【0089】
ZBEC(70%)は亜鉛ジベンジルジチオカルバメート(CAS14726−36−4)である。
【0090】
レノキュア(Rhenocure)TP/G(50%)はライン・ヘミィ社から入手可能なジチオフォスフェート加速剤である。
【0091】
バルカレント(Vulkalent)E/Cは、ランクセス(Lanxess)社から入手可能なn−フェニル−n−(トリクロロ−メチル−スルフェニル)−ベンゼン スルフォナミドである。
【0092】
【表7】

【0093】
【表8】

【0094】
第二弾性組成物は230℃で熱気硬化し、次に押出した。第二弾性組成物は、第二弾性構造を形成するために100℃で平板(45mm幅×3mm厚さ)に3m/分の線速度で押出した。第二弾性構造は次に新たに小片(3mm厚さ)に切断し、鋳型に挿入した。溶融第一弾性組成物は鋳型に注入して合成構造の第二弾性構造に接着した。第一および第二弾性構造の間の接着を次に試験した。
【0095】
合成構造の接着試験は、上半部が第一弾性構造で下半部が第二弾性構造であるバット接合幾何学を有する一連の亜鈴を切断することにより行った。鋳型亜鈴ISO型S2を亜鈴切断に用いた。亜鈴は特定の試験温度で24時間馴化した。
【0096】
接着レベルは、プラスティックの張力特性を決定する操作を記述したASTM D−638標準の適合を用いて測定した。具体的には、接着レベルは4インチ/分の速度で特定の試験条件下、張力計内の亜鈴試料の端を引っ張ることにより測定した。結果を表6に示す。
【0097】
【表9】

【0098】
【表10】

【0099】
各発明を、具体的な態様、説明および実施例を含み、上述のようにより詳細に記載してきたが、これらの発明はこれらの態様、説明または実施例に制限されるものではなく、この特許情報が利用できる情報および技術と結合するときに、当業者がこれらの発明を作り使用することを可能にする一部のものである。
【0100】
特定の組成物の特徴を一群の数的上限および一群の数的下限を用いて記載してきた。別記されていない限り、任意の下限から任意の上限までの範囲が意図されていることを評価すべきである。特定の下限、上限および範囲が1または2以上のクレームに示されている。全ての数値は「約」または「およそ」の示された値であり、当業者が予期するであろう実験誤差および変動が考慮されている。さらに、本願における全ての特許、試験操作、他の引用文献は、そのような開示が本願と違うことない範囲で参照により、そのような取り込みが許容される全ての裁判権に対して完全に取り込まれる。
【0101】
本発明において用いられる様々な用語は上述のように定義されている。クレームに用語が定義されなかった範囲で、当業者が1または2以上の印刷出版物または登録特許において反映されるようにその用語に与えてきた最も広義の定義が与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に架橋したゴム、第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分、および(i)60重量%以上のプロピレンから誘導された単位、(ii)イソタクティックに並んだプロピレン誘導配列、および(iii)45J/g未満の溶融熱を有するプロピレン・コポリマーを含む第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分を含む第一弾性成分を含む第一部品、および
少なくとも部分的に第一部品に接着し、1または2以上の熱硬化エチレン・コポリマーゴムを含み、5重量%未満のオレフィン性熱可塑性樹脂を含む第二弾性成分を含む第二部品、を含む自動車の密閉合成構造。
【請求項2】
前記第一弾性成分が、コーナー部品の全重量に基づいて1重量%から50重量%のプロピレン・コポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項3】
前記第一弾性成分が、コーナー部品の全重量に基づいて10重量%から40重量%のプロピレン・コポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項4】
前記第一弾性成分が、コーナー部品の全重量に基づいて5重量%から85重量%の少なくとも部分的に架橋したゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項5】
前記少なくとも部分的に架橋したゴムがEPDMであることを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項6】
前記少なくとも部分的に架橋したゴムがEPRであることを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項7】
前記プロピレン・コポリマーが、プロピレン・コポリマーの全重量に基づいて8重量%より多く約30重量%以下のエチレン含量を有するプロピレン/エチレン・コポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項8】
前記プロピレン・コポリマーが、プロピレン・コポリマーの全重量に基づいて約10重量%から約15重量%以下のエチレン含量を有するプロピレン/エチレン・コポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項9】
前記コーナー部品が75以下のショアA硬度を有することを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項10】
前記コーナー部品が75未満のショアA硬度を有し、コーナー部品と直線部品との間の接着が約3.0MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項11】
前記コーナー部品と直線部品との間の接着が約3.5MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項12】
i)前記コーナー部品が、少なくとも部分的に架橋したEPDM、ランダム・ポリプロピレン、およびコーナー部品の全重量に基づいて5重量%以上のプロピレン・コポリマーを含み、および
ii)前記コーナー部品と直線部品との間の接着が約3.6MPa以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の合成構造。
【請求項13】
少なくとも部分的に架橋したゴム、第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分、および(i)60重量%以上のプロピレンから誘導された単位、(ii)イソタクティックに並んだプロピレン誘導配列、および(iii)45J/g未満の溶融熱を有するプロピレン・コポリマーを含む第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分を含む第一弾性成分を含む自動車窓の密閉構造を含むコーナー部品、および
少なくとも部分的に前記コーナー部品に接着し、1または2以上の熱硬化エチレン・コポリマーゴムを含み、5重量%未満のオレフィン性熱可塑性樹脂を含む第二弾性成分を含む直線部品、を含む自動車の密閉合成構造。
【請求項14】
前記コーナー部品が75以下のショアA硬度を有することを特徴とする請求項13に記載の合成構造。
【請求項15】
前記コーナー部品と直線部品との間の接着が約3.0MPa以上であることを特徴とする請求項13に記載の合成構造。
【請求項16】
前記プロピレン・コポリマーが、プロピレン・コポリマーの全重量に基づいて8重量%より多く約30重量%以下のエチレン含量を有するプロピレン/エチレン・コポリマーであることを特徴とする請求項13に記載の合成構造。
【請求項17】
少なくとも部分的に架橋したゴム、第一オレフィン性熱可塑性樹脂成分、および(i)60重量%以上のプロピレンから誘導された単位、(ii)イソタクティックに並んだプロピレン誘導配列、および(iii)45J/g未満の溶融熱を有するプロピレン・コポリマーを含む第二オレフィン性熱可塑性樹脂成分を含む第一弾性成分を含む自動車窓の密閉構造を含む第一部品、および
少なくとも部分的に前記コーナー部品に接着し、1または2以上の熱硬化エチレン・コポリマーゴムを含み、5重量%未満のオレフィン性熱可塑性樹脂を含む第二弾性成分を含む第二部品、を含む自動車の密閉合成構造であって、
前記密閉系が、成型コーナー、成型末端キャップ、ガラス移動溝、トランク・シール、尾板シール、エンジンカバー・シール、隙間充填材、ガラス覆い、カットライン・シール、ドア・シール、フード−ラジエター・シール、風除けシール、サンルーフ・シール、ルーフライン・シール、リアウィンドウ・シール、施錠パネル、窓枠およびベルトライン・シールから構成される群から選択されることを特徴とする自動車の密閉合成構造。
【請求項18】
前記コーナー部品が75以下のショアA硬度を有することを特徴とする請求項17に記載の合成構造。
【請求項19】
前記コーナー部品と直線部品との間の接着が約3.0MPa以上であることを特徴とする請求項17に記載の合成構造。

【公開番号】特開2006−161028(P2006−161028A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−294497(P2005−294497)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(591162239)アドバンスド エラストマー システムズ,エル.ピー. (14)
【住所又は居所原語表記】388 South Main Street,Akron,Ohio 44311−1059,United Stetes of America
【Fターム(参考)】