自動車両への正面衝突の際に人を保護する装置を手動で逆動させる装置
【解決手段】逆動装置は、所定の長さに即座に引出し可能な引張り棒(5,8,9)の形の、しっかり取り付けられた逆動要素を有し、この逆動要素は、ヒンジ領域で、一方ではフロントフードにおよび他方では車体にしっかり回転自在に連結されており、フロントフードが所定の開き角に達する際には、引張り棒(5,8,9)は最大限の引出し長さに達し、フロントフードが更に開く際には、フロントフードにおける引張り棒の支点は、フロントフードのための新たな旋回点を形成し、上昇されたヒンジ支持体(2)従ってまた解除された保護装置(1,1a)は、フロントフードを2腕式のレバーとして利用して、手の力を前方の長いレバーに導入し、作用力をヒンジ側の短いレバーアームに発生させることによって、逆動されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の前提部分に記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者、スケーターまたは2輪車乗りが、自動車両によって轢かれ、フロントフードまたはエンジンフードならびに風防ガラスへ投げられて、少なくとも重傷を負う事故が年々多数起こっている。この場合、特に成人の事故被害者の頭部および上体が危険に晒されている。何故ならば、この人は、自動車両との衝突の際に、衝突実験および実際の経験が示したように、ほぼ、フロントフードの、後方の比較的硬い領域で、風防ガラスへの移行部にぶつけられ、かなり負傷するからである。
【0003】
このような要求に基づいて、自動車産業は、この点で人の保護を改善するという問題に鋭意取り組んでいる。
【0004】
この問題を解決するための一連の可能性は知られている。例えば、風防ガラスの手前にあるネット状の受け止め要素、あるいは、風防ガラスとフロントガラスの間の移行領域にあって、衝突の場合にセンサの制御で膨張可能なエアバッグ。
【0005】
DE 28 41 315に関連したDE 28 14 107 Aは、人の、フロントフードへの衝突の際の、負傷の危険性を減少させる他の解決原理を示す。この原理は、フロントフードの、走行方向と反対側の後方領域に位置している比較的硬くかつ剛直な衝撃領域を著しく緩和するという思想に基づく。このことは、衝突センサによって作動される、フロントフードを静止位置から、この静止位置に比べて持ち上げられた可撓性の衝突位置へ調節するための装置によって、すなわち、いわゆる「アクティブなフロントフード」によって引き起こされる。フロントフードが、衝突センサによって検知される、人との衝突の際に、静止位置すなわち通常位置よりも持ち上げられた衝突位置に柔軟に調節されることによって、フロントフードと、車両(エンジン等)の硬い下部構造との間隔が、すなわち、人の胸部または頭部の衝突の際に、より好都合なエネルギ低下のために作用する、車両の車体の変形距離が形成される。この変形距離は頭部および胸部の緩やかな減速および負傷の危険性の低下を引き起こす。
【0006】
フロントフードをアクティブに上昇させるためには、種々の駆動方法による一連の設計方式が知られている。
【0007】
例えば、DE 197 12 961 A1は、風防ガラス側にヒンジ装置によって回転自在に取り付けられている「アクティブなフロントフード」による、衝突に対する保護を示す。このヒンジ装置は、旋回自在にまたは可動に取り付けられたヒンジ支持体によって、間接的に車両前部の車体に取着されており、衝突の場合、フロントフードは、ヒンジ支持体に係合するエネルギ蓄積手段、好ましくはばね蓄勢手段によって、上方に旋回または移動されすなわち持ち上げられることができる。
【0008】
この知られた構造は、ヒンジ装置自体を、連結されたヒンジ支持体によって、車両よりも持ち上げるという思想に基づいている。それ故に、衝突の場合の、ヒンジ装置とフロントフードとの間の複雑な解除手段を設けることは必要ない。
【0009】
このような、アクティブな、人のための衝突保護システムの場合、フロントフードの上昇を、センサ機構の高い感度に基づいて、硬い物体との軽い衝突の場合でも、あるいは車両への損傷のない衝突の場合でも、起動することができる。このとき、フロントフードは、車両運転者によって問題なく出発位置に戻される、すなわち逆動されねばならない。同様なことは、試験目的または検査目的のための起動に当て嵌まる。
【0010】
コストの制限のために典型的には手動で実行される逆動のためには、手の力の機械的な増大を引き起こす追加の適切なツールが設けられてもよい。何故ならば、手の力だけでは、上昇されたヒンジ支持体をばね蓄勢手段の大きな力に抗して押さえ付けるためには、容易に十分ではないからである。特別な理由は、大きな面積のフロントフードの捩れを防止するために、両側のヒンジ支持体を、上昇行程が大きい場合に、出来る限り同時に押さえ付けることが意図されるからである。このようなツールは、スペアタイヤのように、常に、直ぐに使用できるように携帯しなければならない。このことは煩わしいと感じられる。更に、ツールが紛失するという可能性もある。
【0011】
DE 101 11 096 A1(=EP 1 238 893 A1)は、アクティブな人用衝突保護装置を、ツールなしに、フロントフードをレバーとして利用して、手動で逆動させるための装置を示す。フロントフードを通常のいわゆるメンテナンス位置へ開けた後に、車両前部の車体におけるフロントフードの他の支点を形成する機構の、その種々の実施の形態が開示されている。フロントフードの部分が、この追加の支点と、手の力が作用するフード前縁との間で、フロントフードをメンテナンス位置を越えて上昇させることによって、衝突保護装置の後方部分のための長いレバーとして、用いられることができる。
【0012】
この原理は、原理的に通常の過程(フロントフードの上昇)に基づく、追加のツールなしの、利用者に優しい逆動を可能にする。
【0013】
前記公報は、他の支点を形成する機構、例えば、フロントフードの後縁のコネクティング・リンクの形のこの機構を形成するための種々の可能性を示す。しかし、このことは後縁の損傷の危険性を孕んでいる。ガス作動式ばねの形のフード開き補助手段による機構のデザインが、特に洗練された可能性として記載される。ガス作動式ばねは、ヒンジ装置の手前でフロントフードおよび車体に連結されており、完全に開かれた状態では、フロントフードを更に開ける際にレバーアームを形成するフロントフードにガス作動式ばねを連結する点を有する、がたつきのない関節腕として機能する。このとき、連結点と後縁の間の部分は、ヒンジ装置従ってまた上昇されたヒンジ支持体を押圧する短いレバーアームとして用いられる。しかし、この変更の実施の形態は、対応の開き補助手段を有する自動車にしか用いられない。更に、この実施の形態は、ヒンジ支持体の上昇運動が、衝突の場合に、開き補助手段によって、制動的にすなわち緩慢に妨げられるという決定的な欠点を有する。このことは、安全のために、受け入れることができない。ミリ秒の範囲での上昇運動は安全にとって必要である。
【0014】
第3の実施の形態では、特殊なレバー構造体の形の機構は、特別に構成されたヒンジ装置に係合する。このことは、特に、特殊なヒンジ装置の構造を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
自動車両との正面衝突の際に人を保護するための装置を手動で逆動させるための、明細書導入部に記載された装置を、この装置が、ヒンジ装置の形成に関係なくかつ開き補助手段のない自動車でも、使用されることができ、保護装置の上昇への遅れの影響を有さず、フロントフードの損傷への危険性が、この装置からは生じないように、形成するという課題が、本発明の基礎になっている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題の解決は、本発明により、自動車両との正面衝突の際に人を保護するための装置を手動で逆動させるための装置によって成功する。前記自動車両は、車両前部を覆うフロントフードを有し、このフロントフードは風防ガラス側の、車両の両側で、各々のヒンジを介して車両前部の車体に間接的に回動自在に連結されており、各々のヒンジは、ヒンジ支持体に連結されており、このヒンジ支持体は、保護装置に上昇可能に取着されており、この保護装置は車体にしっかり取着されており、センサ制御で解除可能な保持装置と接続するばね蓄勢手段を有し、ヒンジ支持体は通常状態では押さえ付けられており、衝突の場合には、限られた上昇運動のために、フロントフードをヒンジ領域で持ち上げつつセンサ制御で解放されることができ、逆動装置は、所定の長さに即座に引出し可能な引張り棒の形の、しっかり取り付けられた逆動要素を有し、この逆動要素は、ヒンジ領域で、一方ではフロントフードにおよび他方では車体にしっかり回転自在に連結されており、フロントフードが所定の開き角に達する際には、引張り棒は最大限の引出し長さに達し、フロントフードが更に開く際には、フロントフードにおける張り棒の支点は、フロントフードのための新たな旋回点を形成し、上昇されたヒンジ支持体従ってまた解除された保護装置は、フロントフードを2腕式のレバーとして利用して、手の力を前方の長いレバーに導入し、作用力をヒンジ側の短いレバーアームに発生させることによって、逆動されることができる。
【0017】
即座に引出し可能な引張り棒によって、保護装置の上昇運動への遅れの影響がこの棒によっては生じないことが保証されている。フロントフードをレバーアームとして使用して手動で逆動させる際に、レバーアームが、間接的にヒンジ装置を介して保護装置を戻すので、フロントフードの損傷の危険性はない。更に、このことによって、逆動は、ヒンジの特殊な構造に依存しない。
【0018】
本発明の実施の形態は、従属請求項に特徴づけられており、更に、図面の説明から明らかである。
【0019】
種々の図および状態で図面に示された実施の形態を参照して、本発明を詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面に詳しく立ち入る前に、本発明の背景を再度略述する。
【0021】
冒頭に述べたように、今日、自動車産業では、自動車両を、自動車両の、人との急迫した衝突の場合に、エンジンフード(「アクティブなエンジンフード」)が、風防ガラス側のヒンジ領域で、センサ制御されかつヒンジ装置を有する上昇装置によって、所定の行程だけ持ち上げられるように、形成しようとする努力がなされている。事故によらない上昇の場合に、上昇装置を、車両運転者によって手動で逆動させることができる。自動車両のフロントフードを、固定式に組み込まれておりかつ軸方向に引出し可能な逆動要素と共に、レバーアームとして用いるとき、上昇装置を、フロントフードの通常の動きによって、追加のツールなしに逆動させることができる。逆動要素は、一方では車両前部の車体と他方ではフロントフードとの間で、関節式に、しかし軸方向に限定されて、組み込まれている。逆動要素の長さは、逆動要素が、一方では、典型的にはエンジンフードであるフロントフードの、いわゆるメンテナンス位置(Service-Stellung)への通常の開きの際に、引張り応力の下で、最大限の引出し長さを達成し、この場合、活動しないままであり、すなわち、フロントフードの開きをその点で妨害なしに可能にするように、および逆動要素が、他方では、その完全な引出し長さに達した後に、フロントフードの新たな旋回点を有するがたつきのないレバーアームとして作用し、従って、垂直方向の修理・検査位置(Werkstattstellung)へのエンジンフードの更なる上昇の際に、ヒンジ装置によって、上昇されたヒンジ支持体すなわち対応の上昇装置を逆動させることができるように、調整される。本発明は、逆動要素として、非減衰にすなわち即座に軸方向に引出し可能な棒状の部材を提案する。「棒」とは、機械の製造学によれば、ほぼ同一の横断面を有し、力を受け止めて伝達するために十分な剛性を有する、真っ直ぐなまたは曲った物体を一般的に意味する。この場合では、逆動要素が、フロントフードの開きの際に、引張り応力に晒されるので、「引張り棒」について以下に述べよう。
【0022】
この非減衰に引出し可能な引張り棒の構造に関しては、複数の変更の実施の形態が可能である。これらの実施の形態のうち、幾つかの典型的な例が図示されている。
【0023】
図1ないし6には、長孔を有する2部構成の引張りサイドバー(二重サイドバー)の形の引張り棒の第1の変更の実施の形態が示されている。
【0024】
これらの図は、車両にしっかりと自動車両の前部の車体に取着されており、かつ上昇可能なハウジングカバー2を有するハウジング1を示している。このハウジング1には、フロントフードをアクティブに上昇させる保護装置が格納されている。この保護装置は、典型的には、センサ制御で起動可能なばね蓄勢装置と、例えば鋏状部材または入れ子の形の、対応の上昇装置1aとからなる。その目的は、ハウジングカバー2を、危険の場合に、所定の行程だけ持ち上げることができるためである。従って、原理的には、すべての保護装置が使用されることができる。ハウジングカバー2は同時にヒンジ支持体として形成されている。すなわち、ハウジングカバーには、車体側で、自動車両のフロントフードの通常の旋回のためのヒンジ装置3が取着されている。この実施の形態では、ヒンジロッド3a,3bを有する4ジョイント・ヒンジが示されている。これらのヒンジロッドの一端はヒンジ支持体2に回転自在に連結されており、他端は、フロントフードを保持するために用いられるヒンジフランジ4に、またはヒンジフランジの、側方で突出した部分に、回転継手式に結合されている。
【0025】
原理的には、違って構成されたヒンジ装置も用いられることができる。本発明はこれとは関係ない。
【0026】
逆動要素としては、長孔を有する2構成部分の引張りサイドバー5によって形成されている引張り棒が設けられている。この引張り棒は、図2に、単独構成要素として詳細に示されている。
【0027】
引張りサイドバー5は、夫々ストリップ状の平形材料からなる2つのサイドバー部分5a,5bを有する。これらのサイドバー部分のうち、下方のサイドバー部分5aは長孔5cを有し、ピン5dによって車体にしっかりと連結されており、サイドバー部分のうち、上方のサイドバー部分5bはピン5eによってヒンジフランジ4の角ブラケット6に回転自在に連結されている。長孔5cを貫通するピン7またはリベット、ねじ等によって、上方のサイドバー部分5bは下方のサイドバー部分5aに可動に保持されている。下方のサイドバー部分5aの上端bに設けられた2つの折畳み5fは、上方のサイドバー部分5bを取り囲み、すなわち、2つのサイドバー部分を束ねて、位置決めする。それ故に、サイドバー部分5a,5bの直線状の軸方向の相対移動が保証されている。
【0028】
図示された引張りサイドバー5の形の、図示した逆動装置は、以下のように作動する。
【0029】
図1に示した基本位置では、すなわち、フードが閉じている場合、あるいは図4に示すメンテナンスの目的でフードを通常に開ける場合、引張りサイドバー5は何等機能を有さず、軸方向におよび軸5dおよび5eを中心として可動自在である。
【0030】
保護装置のセンサ機構が急迫した事故を検出するとき、ヒンジ支持体2は、ヒンジ装置3と共に、フロントフードはその後部において、上昇要素1aによって、図1の基本位置から、所定の行程だけ上昇される。この状態は図3に示されている。この場合、引張りサイドバー5は、即座に、所定の距離だけ引き出され、軸5dおよび5eは上昇過程を損なわない自由可動性を保証する。
【0031】
しかし、フロントフードへの衝突がなされないとき、視野の妨げなしに運転の続行を保証するために、車両運転者によって現場で保護装置を手動で逆動させることは適切である。
【0032】
この目的のために、フロントフード用ロックが開けられて、フロントフードは、まず、引張りサイドバー5が最大限の長さに引き出されており、すなわち、ピン7が長孔5cの上端と接触するまで、開けられる。図5はこの状態を示す。
【0033】
今や、実際の逆動過程は、フロントフードが、かなり大きな手の力を用いて、図5の矢印方向に更に上昇されて、図6に示す約90°の位置、いわゆる修理・検査位置が達成されることによって始まる。
【0034】
しかし、既に、図5に示す位置で、引張りサイドバーの最大限の引出し長さが達成されており、他方では、ヒンジ支持体2が、ばね荷重を受けて、ほぼ、フロントフードの後方端部点に、そこに連結されたヒンジを介して係合するので、引張りサイドバー5の支点5eに、フロントフードのための新たな旋回点が、新たなレバーアームと共に形成される。フロントフードが図5の位置から図6の90°の位置へ更に上昇する際に、このときがたつきのないヒンジ・ブラケットとして作用するサイドバー5によって、フロントフードにおける引張り用サイドバーの旋回点と共に、フロントフードの、前方の大きなレバーアームによって、ばね予圧下にあるヒンジ支持体に抗して、力が加えられる。この力はヒンジ支持体を図1の出発位置に戻し、そこで再度固定する。そのとき、保護装置は、図6に示すように、再度固定され、続いて、フロントフードは、通常の方法で、再度閉じられることができる。
【0035】
図1ないし6に示した2部構成の引張りサイドバー5の代わりに、旋回点5´aでヒンジフランジ4に連結された、図7に示す1部構成の引張りサイドバー5´を設けてもよい。この引張りサイドバーは長孔5´cを有する。この長孔は、車体にしっかりと、例えば上昇ハウジング1に取着されたピン7´に沿って案内されている。機能は、二重サイドバーの機能に対応する。逆動段階は、長孔5´cの下端が、車体に取り付けられているピン7´に当接するや否や、生じる。しかし、押し縮め可能な二重サイドバーの、図1ないし6に示した実施の形態に比較して、代替の実施の形態では、1部構成の引張りサイドバー5´は、基本状態では、車両前部、典型的にはエンジン・コンパートメントに比較的奥に入り込む。このことは、場合によっては、邪魔になることがある。
【0036】
即座に引出し可能な引張り棒である、図1ないし6に示した、長孔を有する二重サイドバー5の代わりに、二重サイドバーも、折れ曲がりの実施の形態で、すなわち、回転継手式に互いに結合された2つのサイドバーの形で、設けられることができる。図8ないし12はこのような実施の形態を示す。ここでは、図1ないし6に示した実施の形態と同一の部材は、同一の参照符号を有する。二重サイドバー8の形の、代わりの引張り棒は、2つのサイドバー8a,8bからなる。これらのサイドバーは、旋回点8cで通常の手段(ピン、リベット、ねじ等)と回転自在に互いに結合されている。下方のサイドバー8bの自由端は、旋回点8dで、回転自在に車体に連結されており、上方のサイドバー8aの自由端は、旋回点8eで、回転自在にヒンジフランジ4またはその部分をなす角ブラケット6に連結されている。
【0037】
基本位置では、二重サイドバー8は折り畳まれているので、比較的僅かな所要面積を占める。ヒンジ支持体2がセンサ制御で上昇されるとき、図9に示すように、二重サイドバーは、幾らか「広げられる」。このように広げることは上昇過程に即座に続く。上昇装置を逆動させるために、フロントフードは、図4ないし6に示す逆動と同様に、まずは、広げることが完全であり、すなわち、サイドバー8a,8bが図10のように一直線を形成するまで、開けられる。この位置までは、引張り二重サイドバー8はまだ機能を有しない。
【0038】
フロントフードが更に旋回して開く際に、二重サイドバー8は、図1ないし6に示す二重サイドバー5と同様に、新たな旋回点8eを有するがたつきのない関節腕として作用する。それ故に、ヒンジ3は、図11のように、ヒンジ支持体2と共に、以下のようになるまで、すなわち、90°の修理・検査位置(図12)に達すると、ヒンジ支持体2が、再度完全に逆動されており、すなわち、フロントフードの閉鎖後に、システムが、再度、図8の基本位置に達するまで、押さえ付けられる。
【0039】
2つの代替の実施の形態では、二重サイドバーの代わりに、2つより多い部分からなるサイドバーも用いることができるのは、明らかである。図8ないし12に示す折れ曲がりの実施の形態では、引張りサイドバーがより多くの部分を有するほどに、折り畳まれた基本状態では、所要面積は一層僅かである。
【0040】
この思想は、原理的には鋼ロープ、メタルベルト(ストランド)も、アース・ストラップ等と同様に、「引張り棒」として用いることができることを示す。ロープ、ベルト、ストランドを適切に巻き取りおよび巻き出すためにまたは折り畳みおよび広げるために、適切な巻き出し・広げ手段が設けられていることは適切である。
【0041】
引張り棒を逆動させるための、他の代替の実施の形態として、入れ子式装置が示される。この実施の形態では、例えば、丸棒が、ピストン状の出っ張りと共に、シリンダ状のハウジング内に、即座に軸方向に移動可能に、収容されており、丸棒の自由端は、ヒンジフランジ(またはフロントフード)に、シリンダ状のハウジングは車体側に回転自在に連結されている。
【0042】
図13ないし18は、引出し可能なガス作動式ばねの形の引張り棒の他の実施の形態を示す。しかし、このガス作動式ばねは、冒頭に引用された従来の技術とは異なって、即座に引出し可能であり、保護装置の上昇過程を減衰で損なわないように、解除可能なロックを有する。
【0043】
図13ないし18に示した引張り棒の実施の形態でも、図示した他の実施の形態と同一の部材は、同一の参照符号を有する。従って、これらの部材をもはや説明する必要はない。
【0044】
図13ないし18は、逆動用引張り棒として、テール・ゲート、フロントフード等のための快適開き補助手段として広い範囲に用いられる通常のガス作動式ばね9を示す。ガス作動式ばねの構造および作用方法は知られているので、ここで詳述する必要はない。ガス作動式ばね9の上端9aは、しっかり、しかし回転自在に、フロントフードを支持するヒンジフランジ4に取着されている。下端は、衝突の場合に解除可能な結合手段、図示した実施の形態では、ボール・ロック(Kugelschloss)10によって、車体にしっかりと、しかし回転自在に連結されている。
【0045】
かような解除可能な結合手段、例えばボール・ロックは、ロール・バーの技術から知られており、従って、ここでは、同様に詳述する必要はない。例えば、ボール・ロックは、DE 37 32 561 C2から公知である。この公報は、本明細書において、引用により開示内容の対象になる。この解除可能な結合手段は、逆動用引張り棒としてのガス作動式ばねの使用をはじめて可能にする。というのは、従来のガス作動式ばねは、この目的のためには、その慣性という重大な欠点を有するからである。ガス作動式ばねは、フロントフードの突然の上昇の際に、ミリ秒の範囲にある必要な上昇時間内にブレーキの作用をするだろう。ガス作動式ばねの液圧式または空気圧式の部分のロック解除は、必要な上昇時間を守ることを可能にする。
【0046】
図13は、ロックを有するガス作動式ばねの、基本状態における位置を示す。すなわち、フロントフードは閉じられており、事故保護装置は上昇されていない。
【0047】
衝突時・安全起動手段(Crash-oder-Sicherheitsausloesung)の場合、センサ制御で、事故保護装置がハウジング1内でおよび同時にボール・ロック10が作動される。この装置の一部となる複数の手段は知られているので、ここでは、詳述する必要はない。これによって、ヒンジ支持体2は、図14に示すように、所定の行程だけ上昇される。同時に、ピストンロッド9bの、ガス作動式ばね内での取付は、ピストンロッドに取着されたピン9cの解除によって、解消される。すなわち、ガス作動式ばねおよびその1部をなす案内管9dが、引き出される。図14が示すように、人の、フロントフードへの万一の衝突の際に、ガス作動式ばねは、車体との摩擦係合の結合を有さず、かくて、HIC値、すなわち負傷の重さの程度に何等悪影響を及ぼすことはない。
【0048】
ボール・ロック10の解除後の3ないし5秒後に、ピストンロッド9bは更に繰り出され、ピストンロッドのピン9cはボール・ロック10に位置決めされかつロックされる。図15はこの状態を示す。従って、フロントフードと車体との間の摩擦係合の結合が形成されている。この結合は、図16ないし18に示された逆動過程にとって必要である。他の実施の形態の場合のように、逆動のためには、図16に示すように、フードが開けられ、ガス作動式ばねは、最大限の引出し長さに達するまで、更に引き出される。フロントフードが更に開くとき、ガス作動式ばね9は、新たな旋回点である支点
9aを有するがたつきのないレバー引張りアームとして作用する。このことによって、ヒンジ3によって、部分のヒンジ支持体2が押さえ付けられ、かくて、ハウジング1内の事故保護装置が逆動される。この場合、図17は逆動運動の開始を示す。この逆動運動は、図18に示す90°の位置に達する際に、終了される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】事故保護装置内で上昇可能に案内されているヒンジ支持体に取着されているヒンジと、長孔を有する二重サイドバーの形の、本発明に係わる逆動用の引張り棒の、その第1の実施の形態とを有し、自動車両のフロントフードを連結し、基本位置にあるヒンジ領域を、略側面図で示す。
【図2A】図1に示す二重サイドバーの詳細な構造を等角投影図で示す。
【図2B】図1に示す二重サイドバーの詳細な構造を軸方向横断面図で示す。
【図3】事故保護装置が上昇された状態にある、図1に示すヒンジ領域を示す。
【図4】フロントを通常のメンテナンス位置に開く際の、事故保護装置が上昇されていない状態にある、図1に示すヒンジ領域を示す。
【図5】フロントフードを図4に示す位置を越えて更に開き、事故保護装置のヒンジ支持体を戻す際の、事故保護装置が上昇された状態にある、図1に示すヒンジ領域を示す。
【図6】フロントフードが90°の修理・検査位置にあり、事故保護装置が完全に逆動されている前記ヒンジ領域を示す。
【図7】長孔を有する1部構成のサイドバーの形の、本発明に係わる引張り棒の第2の実施の形態を、図1に示すヒンジ領域の図で示す。
【図8】折り畳み可能な二重サイドバーを有し、基本状態にある、本発明に係わる逆動用の引張り棒の、その第3の実施の形態を、図1に示すヒンジ領域の図で示す。
【図9】事故保護装置がセンサ制御で上昇された状態にある、図8の装置を示す。
【図10】フロントフードが開けられていて、引張り用の二重サイドバーが伸ばされており、逆動過程の始めにある、図9に示す装置を示す。
【図11】フロントフードが開けられ、保護装置が部分的に逆動する、図10の装置を示す。
【図12】フロントフードが90°の位置にあり、保護装置が完全に逆動している、図10の装置を示す。
【図13】解除用ロックを有するガス作動式ばねの形の、基本状態にある、本発明に係わる逆動用の引張り棒の第4の実施の形態を、図1に示すヒンジ領域の図で示す。
【図14】事故保護装置がセンサ制御で上昇された状態にあり、ガス作動式ばねが起動されている、図13の装置を示す。
【図15】再度ロックされたガス作動式ばねによる解除の数秒後の、図14の装置を示す。
【図16】フロントフードが開かれ、ガス作動式ばねが完全に繰り出された、逆動過程の始めにある図15の装置を示す。
【図17】フロントフードが更に開かれ、事故保護装置の逆動が部分的になされる、図16の装置を示す。
【図18】フロントフードが90°の位置にあり、保護装置が完全に逆動された、図17の装置を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の前提部分に記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者、スケーターまたは2輪車乗りが、自動車両によって轢かれ、フロントフードまたはエンジンフードならびに風防ガラスへ投げられて、少なくとも重傷を負う事故が年々多数起こっている。この場合、特に成人の事故被害者の頭部および上体が危険に晒されている。何故ならば、この人は、自動車両との衝突の際に、衝突実験および実際の経験が示したように、ほぼ、フロントフードの、後方の比較的硬い領域で、風防ガラスへの移行部にぶつけられ、かなり負傷するからである。
【0003】
このような要求に基づいて、自動車産業は、この点で人の保護を改善するという問題に鋭意取り組んでいる。
【0004】
この問題を解決するための一連の可能性は知られている。例えば、風防ガラスの手前にあるネット状の受け止め要素、あるいは、風防ガラスとフロントガラスの間の移行領域にあって、衝突の場合にセンサの制御で膨張可能なエアバッグ。
【0005】
DE 28 41 315に関連したDE 28 14 107 Aは、人の、フロントフードへの衝突の際の、負傷の危険性を減少させる他の解決原理を示す。この原理は、フロントフードの、走行方向と反対側の後方領域に位置している比較的硬くかつ剛直な衝撃領域を著しく緩和するという思想に基づく。このことは、衝突センサによって作動される、フロントフードを静止位置から、この静止位置に比べて持ち上げられた可撓性の衝突位置へ調節するための装置によって、すなわち、いわゆる「アクティブなフロントフード」によって引き起こされる。フロントフードが、衝突センサによって検知される、人との衝突の際に、静止位置すなわち通常位置よりも持ち上げられた衝突位置に柔軟に調節されることによって、フロントフードと、車両(エンジン等)の硬い下部構造との間隔が、すなわち、人の胸部または頭部の衝突の際に、より好都合なエネルギ低下のために作用する、車両の車体の変形距離が形成される。この変形距離は頭部および胸部の緩やかな減速および負傷の危険性の低下を引き起こす。
【0006】
フロントフードをアクティブに上昇させるためには、種々の駆動方法による一連の設計方式が知られている。
【0007】
例えば、DE 197 12 961 A1は、風防ガラス側にヒンジ装置によって回転自在に取り付けられている「アクティブなフロントフード」による、衝突に対する保護を示す。このヒンジ装置は、旋回自在にまたは可動に取り付けられたヒンジ支持体によって、間接的に車両前部の車体に取着されており、衝突の場合、フロントフードは、ヒンジ支持体に係合するエネルギ蓄積手段、好ましくはばね蓄勢手段によって、上方に旋回または移動されすなわち持ち上げられることができる。
【0008】
この知られた構造は、ヒンジ装置自体を、連結されたヒンジ支持体によって、車両よりも持ち上げるという思想に基づいている。それ故に、衝突の場合の、ヒンジ装置とフロントフードとの間の複雑な解除手段を設けることは必要ない。
【0009】
このような、アクティブな、人のための衝突保護システムの場合、フロントフードの上昇を、センサ機構の高い感度に基づいて、硬い物体との軽い衝突の場合でも、あるいは車両への損傷のない衝突の場合でも、起動することができる。このとき、フロントフードは、車両運転者によって問題なく出発位置に戻される、すなわち逆動されねばならない。同様なことは、試験目的または検査目的のための起動に当て嵌まる。
【0010】
コストの制限のために典型的には手動で実行される逆動のためには、手の力の機械的な増大を引き起こす追加の適切なツールが設けられてもよい。何故ならば、手の力だけでは、上昇されたヒンジ支持体をばね蓄勢手段の大きな力に抗して押さえ付けるためには、容易に十分ではないからである。特別な理由は、大きな面積のフロントフードの捩れを防止するために、両側のヒンジ支持体を、上昇行程が大きい場合に、出来る限り同時に押さえ付けることが意図されるからである。このようなツールは、スペアタイヤのように、常に、直ぐに使用できるように携帯しなければならない。このことは煩わしいと感じられる。更に、ツールが紛失するという可能性もある。
【0011】
DE 101 11 096 A1(=EP 1 238 893 A1)は、アクティブな人用衝突保護装置を、ツールなしに、フロントフードをレバーとして利用して、手動で逆動させるための装置を示す。フロントフードを通常のいわゆるメンテナンス位置へ開けた後に、車両前部の車体におけるフロントフードの他の支点を形成する機構の、その種々の実施の形態が開示されている。フロントフードの部分が、この追加の支点と、手の力が作用するフード前縁との間で、フロントフードをメンテナンス位置を越えて上昇させることによって、衝突保護装置の後方部分のための長いレバーとして、用いられることができる。
【0012】
この原理は、原理的に通常の過程(フロントフードの上昇)に基づく、追加のツールなしの、利用者に優しい逆動を可能にする。
【0013】
前記公報は、他の支点を形成する機構、例えば、フロントフードの後縁のコネクティング・リンクの形のこの機構を形成するための種々の可能性を示す。しかし、このことは後縁の損傷の危険性を孕んでいる。ガス作動式ばねの形のフード開き補助手段による機構のデザインが、特に洗練された可能性として記載される。ガス作動式ばねは、ヒンジ装置の手前でフロントフードおよび車体に連結されており、完全に開かれた状態では、フロントフードを更に開ける際にレバーアームを形成するフロントフードにガス作動式ばねを連結する点を有する、がたつきのない関節腕として機能する。このとき、連結点と後縁の間の部分は、ヒンジ装置従ってまた上昇されたヒンジ支持体を押圧する短いレバーアームとして用いられる。しかし、この変更の実施の形態は、対応の開き補助手段を有する自動車にしか用いられない。更に、この実施の形態は、ヒンジ支持体の上昇運動が、衝突の場合に、開き補助手段によって、制動的にすなわち緩慢に妨げられるという決定的な欠点を有する。このことは、安全のために、受け入れることができない。ミリ秒の範囲での上昇運動は安全にとって必要である。
【0014】
第3の実施の形態では、特殊なレバー構造体の形の機構は、特別に構成されたヒンジ装置に係合する。このことは、特に、特殊なヒンジ装置の構造を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
自動車両との正面衝突の際に人を保護するための装置を手動で逆動させるための、明細書導入部に記載された装置を、この装置が、ヒンジ装置の形成に関係なくかつ開き補助手段のない自動車でも、使用されることができ、保護装置の上昇への遅れの影響を有さず、フロントフードの損傷への危険性が、この装置からは生じないように、形成するという課題が、本発明の基礎になっている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題の解決は、本発明により、自動車両との正面衝突の際に人を保護するための装置を手動で逆動させるための装置によって成功する。前記自動車両は、車両前部を覆うフロントフードを有し、このフロントフードは風防ガラス側の、車両の両側で、各々のヒンジを介して車両前部の車体に間接的に回動自在に連結されており、各々のヒンジは、ヒンジ支持体に連結されており、このヒンジ支持体は、保護装置に上昇可能に取着されており、この保護装置は車体にしっかり取着されており、センサ制御で解除可能な保持装置と接続するばね蓄勢手段を有し、ヒンジ支持体は通常状態では押さえ付けられており、衝突の場合には、限られた上昇運動のために、フロントフードをヒンジ領域で持ち上げつつセンサ制御で解放されることができ、逆動装置は、所定の長さに即座に引出し可能な引張り棒の形の、しっかり取り付けられた逆動要素を有し、この逆動要素は、ヒンジ領域で、一方ではフロントフードにおよび他方では車体にしっかり回転自在に連結されており、フロントフードが所定の開き角に達する際には、引張り棒は最大限の引出し長さに達し、フロントフードが更に開く際には、フロントフードにおける張り棒の支点は、フロントフードのための新たな旋回点を形成し、上昇されたヒンジ支持体従ってまた解除された保護装置は、フロントフードを2腕式のレバーとして利用して、手の力を前方の長いレバーに導入し、作用力をヒンジ側の短いレバーアームに発生させることによって、逆動されることができる。
【0017】
即座に引出し可能な引張り棒によって、保護装置の上昇運動への遅れの影響がこの棒によっては生じないことが保証されている。フロントフードをレバーアームとして使用して手動で逆動させる際に、レバーアームが、間接的にヒンジ装置を介して保護装置を戻すので、フロントフードの損傷の危険性はない。更に、このことによって、逆動は、ヒンジの特殊な構造に依存しない。
【0018】
本発明の実施の形態は、従属請求項に特徴づけられており、更に、図面の説明から明らかである。
【0019】
種々の図および状態で図面に示された実施の形態を参照して、本発明を詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面に詳しく立ち入る前に、本発明の背景を再度略述する。
【0021】
冒頭に述べたように、今日、自動車産業では、自動車両を、自動車両の、人との急迫した衝突の場合に、エンジンフード(「アクティブなエンジンフード」)が、風防ガラス側のヒンジ領域で、センサ制御されかつヒンジ装置を有する上昇装置によって、所定の行程だけ持ち上げられるように、形成しようとする努力がなされている。事故によらない上昇の場合に、上昇装置を、車両運転者によって手動で逆動させることができる。自動車両のフロントフードを、固定式に組み込まれておりかつ軸方向に引出し可能な逆動要素と共に、レバーアームとして用いるとき、上昇装置を、フロントフードの通常の動きによって、追加のツールなしに逆動させることができる。逆動要素は、一方では車両前部の車体と他方ではフロントフードとの間で、関節式に、しかし軸方向に限定されて、組み込まれている。逆動要素の長さは、逆動要素が、一方では、典型的にはエンジンフードであるフロントフードの、いわゆるメンテナンス位置(Service-Stellung)への通常の開きの際に、引張り応力の下で、最大限の引出し長さを達成し、この場合、活動しないままであり、すなわち、フロントフードの開きをその点で妨害なしに可能にするように、および逆動要素が、他方では、その完全な引出し長さに達した後に、フロントフードの新たな旋回点を有するがたつきのないレバーアームとして作用し、従って、垂直方向の修理・検査位置(Werkstattstellung)へのエンジンフードの更なる上昇の際に、ヒンジ装置によって、上昇されたヒンジ支持体すなわち対応の上昇装置を逆動させることができるように、調整される。本発明は、逆動要素として、非減衰にすなわち即座に軸方向に引出し可能な棒状の部材を提案する。「棒」とは、機械の製造学によれば、ほぼ同一の横断面を有し、力を受け止めて伝達するために十分な剛性を有する、真っ直ぐなまたは曲った物体を一般的に意味する。この場合では、逆動要素が、フロントフードの開きの際に、引張り応力に晒されるので、「引張り棒」について以下に述べよう。
【0022】
この非減衰に引出し可能な引張り棒の構造に関しては、複数の変更の実施の形態が可能である。これらの実施の形態のうち、幾つかの典型的な例が図示されている。
【0023】
図1ないし6には、長孔を有する2部構成の引張りサイドバー(二重サイドバー)の形の引張り棒の第1の変更の実施の形態が示されている。
【0024】
これらの図は、車両にしっかりと自動車両の前部の車体に取着されており、かつ上昇可能なハウジングカバー2を有するハウジング1を示している。このハウジング1には、フロントフードをアクティブに上昇させる保護装置が格納されている。この保護装置は、典型的には、センサ制御で起動可能なばね蓄勢装置と、例えば鋏状部材または入れ子の形の、対応の上昇装置1aとからなる。その目的は、ハウジングカバー2を、危険の場合に、所定の行程だけ持ち上げることができるためである。従って、原理的には、すべての保護装置が使用されることができる。ハウジングカバー2は同時にヒンジ支持体として形成されている。すなわち、ハウジングカバーには、車体側で、自動車両のフロントフードの通常の旋回のためのヒンジ装置3が取着されている。この実施の形態では、ヒンジロッド3a,3bを有する4ジョイント・ヒンジが示されている。これらのヒンジロッドの一端はヒンジ支持体2に回転自在に連結されており、他端は、フロントフードを保持するために用いられるヒンジフランジ4に、またはヒンジフランジの、側方で突出した部分に、回転継手式に結合されている。
【0025】
原理的には、違って構成されたヒンジ装置も用いられることができる。本発明はこれとは関係ない。
【0026】
逆動要素としては、長孔を有する2構成部分の引張りサイドバー5によって形成されている引張り棒が設けられている。この引張り棒は、図2に、単独構成要素として詳細に示されている。
【0027】
引張りサイドバー5は、夫々ストリップ状の平形材料からなる2つのサイドバー部分5a,5bを有する。これらのサイドバー部分のうち、下方のサイドバー部分5aは長孔5cを有し、ピン5dによって車体にしっかりと連結されており、サイドバー部分のうち、上方のサイドバー部分5bはピン5eによってヒンジフランジ4の角ブラケット6に回転自在に連結されている。長孔5cを貫通するピン7またはリベット、ねじ等によって、上方のサイドバー部分5bは下方のサイドバー部分5aに可動に保持されている。下方のサイドバー部分5aの上端bに設けられた2つの折畳み5fは、上方のサイドバー部分5bを取り囲み、すなわち、2つのサイドバー部分を束ねて、位置決めする。それ故に、サイドバー部分5a,5bの直線状の軸方向の相対移動が保証されている。
【0028】
図示された引張りサイドバー5の形の、図示した逆動装置は、以下のように作動する。
【0029】
図1に示した基本位置では、すなわち、フードが閉じている場合、あるいは図4に示すメンテナンスの目的でフードを通常に開ける場合、引張りサイドバー5は何等機能を有さず、軸方向におよび軸5dおよび5eを中心として可動自在である。
【0030】
保護装置のセンサ機構が急迫した事故を検出するとき、ヒンジ支持体2は、ヒンジ装置3と共に、フロントフードはその後部において、上昇要素1aによって、図1の基本位置から、所定の行程だけ上昇される。この状態は図3に示されている。この場合、引張りサイドバー5は、即座に、所定の距離だけ引き出され、軸5dおよび5eは上昇過程を損なわない自由可動性を保証する。
【0031】
しかし、フロントフードへの衝突がなされないとき、視野の妨げなしに運転の続行を保証するために、車両運転者によって現場で保護装置を手動で逆動させることは適切である。
【0032】
この目的のために、フロントフード用ロックが開けられて、フロントフードは、まず、引張りサイドバー5が最大限の長さに引き出されており、すなわち、ピン7が長孔5cの上端と接触するまで、開けられる。図5はこの状態を示す。
【0033】
今や、実際の逆動過程は、フロントフードが、かなり大きな手の力を用いて、図5の矢印方向に更に上昇されて、図6に示す約90°の位置、いわゆる修理・検査位置が達成されることによって始まる。
【0034】
しかし、既に、図5に示す位置で、引張りサイドバーの最大限の引出し長さが達成されており、他方では、ヒンジ支持体2が、ばね荷重を受けて、ほぼ、フロントフードの後方端部点に、そこに連結されたヒンジを介して係合するので、引張りサイドバー5の支点5eに、フロントフードのための新たな旋回点が、新たなレバーアームと共に形成される。フロントフードが図5の位置から図6の90°の位置へ更に上昇する際に、このときがたつきのないヒンジ・ブラケットとして作用するサイドバー5によって、フロントフードにおける引張り用サイドバーの旋回点と共に、フロントフードの、前方の大きなレバーアームによって、ばね予圧下にあるヒンジ支持体に抗して、力が加えられる。この力はヒンジ支持体を図1の出発位置に戻し、そこで再度固定する。そのとき、保護装置は、図6に示すように、再度固定され、続いて、フロントフードは、通常の方法で、再度閉じられることができる。
【0035】
図1ないし6に示した2部構成の引張りサイドバー5の代わりに、旋回点5´aでヒンジフランジ4に連結された、図7に示す1部構成の引張りサイドバー5´を設けてもよい。この引張りサイドバーは長孔5´cを有する。この長孔は、車体にしっかりと、例えば上昇ハウジング1に取着されたピン7´に沿って案内されている。機能は、二重サイドバーの機能に対応する。逆動段階は、長孔5´cの下端が、車体に取り付けられているピン7´に当接するや否や、生じる。しかし、押し縮め可能な二重サイドバーの、図1ないし6に示した実施の形態に比較して、代替の実施の形態では、1部構成の引張りサイドバー5´は、基本状態では、車両前部、典型的にはエンジン・コンパートメントに比較的奥に入り込む。このことは、場合によっては、邪魔になることがある。
【0036】
即座に引出し可能な引張り棒である、図1ないし6に示した、長孔を有する二重サイドバー5の代わりに、二重サイドバーも、折れ曲がりの実施の形態で、すなわち、回転継手式に互いに結合された2つのサイドバーの形で、設けられることができる。図8ないし12はこのような実施の形態を示す。ここでは、図1ないし6に示した実施の形態と同一の部材は、同一の参照符号を有する。二重サイドバー8の形の、代わりの引張り棒は、2つのサイドバー8a,8bからなる。これらのサイドバーは、旋回点8cで通常の手段(ピン、リベット、ねじ等)と回転自在に互いに結合されている。下方のサイドバー8bの自由端は、旋回点8dで、回転自在に車体に連結されており、上方のサイドバー8aの自由端は、旋回点8eで、回転自在にヒンジフランジ4またはその部分をなす角ブラケット6に連結されている。
【0037】
基本位置では、二重サイドバー8は折り畳まれているので、比較的僅かな所要面積を占める。ヒンジ支持体2がセンサ制御で上昇されるとき、図9に示すように、二重サイドバーは、幾らか「広げられる」。このように広げることは上昇過程に即座に続く。上昇装置を逆動させるために、フロントフードは、図4ないし6に示す逆動と同様に、まずは、広げることが完全であり、すなわち、サイドバー8a,8bが図10のように一直線を形成するまで、開けられる。この位置までは、引張り二重サイドバー8はまだ機能を有しない。
【0038】
フロントフードが更に旋回して開く際に、二重サイドバー8は、図1ないし6に示す二重サイドバー5と同様に、新たな旋回点8eを有するがたつきのない関節腕として作用する。それ故に、ヒンジ3は、図11のように、ヒンジ支持体2と共に、以下のようになるまで、すなわち、90°の修理・検査位置(図12)に達すると、ヒンジ支持体2が、再度完全に逆動されており、すなわち、フロントフードの閉鎖後に、システムが、再度、図8の基本位置に達するまで、押さえ付けられる。
【0039】
2つの代替の実施の形態では、二重サイドバーの代わりに、2つより多い部分からなるサイドバーも用いることができるのは、明らかである。図8ないし12に示す折れ曲がりの実施の形態では、引張りサイドバーがより多くの部分を有するほどに、折り畳まれた基本状態では、所要面積は一層僅かである。
【0040】
この思想は、原理的には鋼ロープ、メタルベルト(ストランド)も、アース・ストラップ等と同様に、「引張り棒」として用いることができることを示す。ロープ、ベルト、ストランドを適切に巻き取りおよび巻き出すためにまたは折り畳みおよび広げるために、適切な巻き出し・広げ手段が設けられていることは適切である。
【0041】
引張り棒を逆動させるための、他の代替の実施の形態として、入れ子式装置が示される。この実施の形態では、例えば、丸棒が、ピストン状の出っ張りと共に、シリンダ状のハウジング内に、即座に軸方向に移動可能に、収容されており、丸棒の自由端は、ヒンジフランジ(またはフロントフード)に、シリンダ状のハウジングは車体側に回転自在に連結されている。
【0042】
図13ないし18は、引出し可能なガス作動式ばねの形の引張り棒の他の実施の形態を示す。しかし、このガス作動式ばねは、冒頭に引用された従来の技術とは異なって、即座に引出し可能であり、保護装置の上昇過程を減衰で損なわないように、解除可能なロックを有する。
【0043】
図13ないし18に示した引張り棒の実施の形態でも、図示した他の実施の形態と同一の部材は、同一の参照符号を有する。従って、これらの部材をもはや説明する必要はない。
【0044】
図13ないし18は、逆動用引張り棒として、テール・ゲート、フロントフード等のための快適開き補助手段として広い範囲に用いられる通常のガス作動式ばね9を示す。ガス作動式ばねの構造および作用方法は知られているので、ここで詳述する必要はない。ガス作動式ばね9の上端9aは、しっかり、しかし回転自在に、フロントフードを支持するヒンジフランジ4に取着されている。下端は、衝突の場合に解除可能な結合手段、図示した実施の形態では、ボール・ロック(Kugelschloss)10によって、車体にしっかりと、しかし回転自在に連結されている。
【0045】
かような解除可能な結合手段、例えばボール・ロックは、ロール・バーの技術から知られており、従って、ここでは、同様に詳述する必要はない。例えば、ボール・ロックは、DE 37 32 561 C2から公知である。この公報は、本明細書において、引用により開示内容の対象になる。この解除可能な結合手段は、逆動用引張り棒としてのガス作動式ばねの使用をはじめて可能にする。というのは、従来のガス作動式ばねは、この目的のためには、その慣性という重大な欠点を有するからである。ガス作動式ばねは、フロントフードの突然の上昇の際に、ミリ秒の範囲にある必要な上昇時間内にブレーキの作用をするだろう。ガス作動式ばねの液圧式または空気圧式の部分のロック解除は、必要な上昇時間を守ることを可能にする。
【0046】
図13は、ロックを有するガス作動式ばねの、基本状態における位置を示す。すなわち、フロントフードは閉じられており、事故保護装置は上昇されていない。
【0047】
衝突時・安全起動手段(Crash-oder-Sicherheitsausloesung)の場合、センサ制御で、事故保護装置がハウジング1内でおよび同時にボール・ロック10が作動される。この装置の一部となる複数の手段は知られているので、ここでは、詳述する必要はない。これによって、ヒンジ支持体2は、図14に示すように、所定の行程だけ上昇される。同時に、ピストンロッド9bの、ガス作動式ばね内での取付は、ピストンロッドに取着されたピン9cの解除によって、解消される。すなわち、ガス作動式ばねおよびその1部をなす案内管9dが、引き出される。図14が示すように、人の、フロントフードへの万一の衝突の際に、ガス作動式ばねは、車体との摩擦係合の結合を有さず、かくて、HIC値、すなわち負傷の重さの程度に何等悪影響を及ぼすことはない。
【0048】
ボール・ロック10の解除後の3ないし5秒後に、ピストンロッド9bは更に繰り出され、ピストンロッドのピン9cはボール・ロック10に位置決めされかつロックされる。図15はこの状態を示す。従って、フロントフードと車体との間の摩擦係合の結合が形成されている。この結合は、図16ないし18に示された逆動過程にとって必要である。他の実施の形態の場合のように、逆動のためには、図16に示すように、フードが開けられ、ガス作動式ばねは、最大限の引出し長さに達するまで、更に引き出される。フロントフードが更に開くとき、ガス作動式ばね9は、新たな旋回点である支点
9aを有するがたつきのないレバー引張りアームとして作用する。このことによって、ヒンジ3によって、部分のヒンジ支持体2が押さえ付けられ、かくて、ハウジング1内の事故保護装置が逆動される。この場合、図17は逆動運動の開始を示す。この逆動運動は、図18に示す90°の位置に達する際に、終了される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】事故保護装置内で上昇可能に案内されているヒンジ支持体に取着されているヒンジと、長孔を有する二重サイドバーの形の、本発明に係わる逆動用の引張り棒の、その第1の実施の形態とを有し、自動車両のフロントフードを連結し、基本位置にあるヒンジ領域を、略側面図で示す。
【図2A】図1に示す二重サイドバーの詳細な構造を等角投影図で示す。
【図2B】図1に示す二重サイドバーの詳細な構造を軸方向横断面図で示す。
【図3】事故保護装置が上昇された状態にある、図1に示すヒンジ領域を示す。
【図4】フロントを通常のメンテナンス位置に開く際の、事故保護装置が上昇されていない状態にある、図1に示すヒンジ領域を示す。
【図5】フロントフードを図4に示す位置を越えて更に開き、事故保護装置のヒンジ支持体を戻す際の、事故保護装置が上昇された状態にある、図1に示すヒンジ領域を示す。
【図6】フロントフードが90°の修理・検査位置にあり、事故保護装置が完全に逆動されている前記ヒンジ領域を示す。
【図7】長孔を有する1部構成のサイドバーの形の、本発明に係わる引張り棒の第2の実施の形態を、図1に示すヒンジ領域の図で示す。
【図8】折り畳み可能な二重サイドバーを有し、基本状態にある、本発明に係わる逆動用の引張り棒の、その第3の実施の形態を、図1に示すヒンジ領域の図で示す。
【図9】事故保護装置がセンサ制御で上昇された状態にある、図8の装置を示す。
【図10】フロントフードが開けられていて、引張り用の二重サイドバーが伸ばされており、逆動過程の始めにある、図9に示す装置を示す。
【図11】フロントフードが開けられ、保護装置が部分的に逆動する、図10の装置を示す。
【図12】フロントフードが90°の位置にあり、保護装置が完全に逆動している、図10の装置を示す。
【図13】解除用ロックを有するガス作動式ばねの形の、基本状態にある、本発明に係わる逆動用の引張り棒の第4の実施の形態を、図1に示すヒンジ領域の図で示す。
【図14】事故保護装置がセンサ制御で上昇された状態にあり、ガス作動式ばねが起動されている、図13の装置を示す。
【図15】再度ロックされたガス作動式ばねによる解除の数秒後の、図14の装置を示す。
【図16】フロントフードが開かれ、ガス作動式ばねが完全に繰り出された、逆動過程の始めにある図15の装置を示す。
【図17】フロントフードが更に開かれ、事故保護装置の逆動が部分的になされる、図16の装置を示す。
【図18】フロントフードが90°の位置にあり、保護装置が完全に逆動された、図17の装置を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両との正面衝突の際に人を保護するための装置(1,1a)を手動で逆動させるための装置であって、前記自動車両は、車両前部を覆うフロントフードを有し、このフロントフードは風防ガラス側の、車両の両側で、各々のヒンジ(3)を介して前記車両前部の車体に間接的に回動自在に連結されており、各々のヒンジ(3)は、ヒンジ支持体(2)に連結されており、このヒンジ支持体は、前記保護装置(1,1a)に上昇可能に取着されており、この保護装置は車体にしっかり取着されており、センサ制御で解除可能な保持装置と接続するばね蓄勢手段を有し、前記ヒンジ支持体(2)は通常状態では押さえ付けられており、衝突の場合には、限られた上昇運動のために、フロントフードをヒンジ領域で持ち上げつつセンサ制御で解放されることができ、前記逆動装置は、所定の長さに即座に引出し可能な引張り棒(5,8,9)の形の、しっかり取り付けられた逆動要素を有し、この逆動要素は、ヒンジ領域で、一方では前記フロントフードに、また他方では車体にしっかり回転自在に連結されており、前記フロントフードが所定の開き角に達する際には、前記引張り棒(5,8,9)は最大限の引出し長さに達し、前記フロントフードが更に開く際には、前記フロントフードおける前記引張り棒の支点は、前記フロントフードのための新たな旋回点を形成し、上昇されたヒンジ支持体(2)、従ってまた解除された前記保護装置(1,1a)は、前記フロントフードを2腕式のレバーとして利用して、手の力を前方の長いレバーに導入し、作用力をヒンジ側の短いレバーアームに発生させることによって、逆動されることができる、装置。
【請求項2】
前記フロントフランジを固定するための連結されたヒンジフランジ(4)を夫々有する複数のヒンジ(3)を有する装置において、
前記引張り棒(5,8,9)は、一方では、角ブラケット(6)を介して、前記ヒンジフランジ(4)に回転自在におよび間接的に前記フロントフードに、他方では、車体にしっかり取着された前記保護装置(1,1a)に回転自在に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
即座に引出し可能な引張り棒として、長孔(5´c)を有する一部構成の引張りサイドバー(5´)が設けられており、この引張りサイドバーは、前記長孔と反対側の端部に、フロントフード側で回転自在に連結されており、前記長孔(5´c)内で、車体にしっかり取着されたピン(7´)によって、回転自在にかつ軸方向に引出し可能に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
即座に引出し可能な引張り棒として、2つのサイドバーからなる二重サイドバー(5,8)が設けられており、一方のサイドバーは、フロントフード側でおよび他方のサイドバーは、車体側で回転自在に連結されており、2つのサイドバーは引出し可能に互いに結合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記2つのサイドバー(5a,5b)は、重なり合って、一方のサイドバー(5a)に形成された長孔(5c)と、他方のサイドバー(5b)に設けられた、前記長孔(5c)を貫通する結合要素(7)とによって、軸方向に一列におよび互いに直線状に移動可能に互いに結合されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
2つのサイドバー(8a,8b)の自由端は、回転継手式に、互いに結合されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
即座に引出し可能な引張り棒として、金属製のロープ、ベルトまたは金属製のストランドが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項8】
即座に引出し可能な引張り棒として、前記保護装置(1,1a)に設けられた保持装置と同時にセンサ制御で解除されることができるロックを有するガス作動式ばね(9)が設けられており、一端は、フロントフード側で回転自在におよび他端は前記ロックを介して車体に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項9】
解除可能なロックとして、ロック・ボール(10)が、前記ガス作動式ばねの可動部分に設けられた閉鎖ピン(9c)に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項1】
自動車両との正面衝突の際に人を保護するための装置(1,1a)を手動で逆動させるための装置であって、前記自動車両は、車両前部を覆うフロントフードを有し、このフロントフードは風防ガラス側の、車両の両側で、各々のヒンジ(3)を介して前記車両前部の車体に間接的に回動自在に連結されており、各々のヒンジ(3)は、ヒンジ支持体(2)に連結されており、このヒンジ支持体は、前記保護装置(1,1a)に上昇可能に取着されており、この保護装置は車体にしっかり取着されており、センサ制御で解除可能な保持装置と接続するばね蓄勢手段を有し、前記ヒンジ支持体(2)は通常状態では押さえ付けられており、衝突の場合には、限られた上昇運動のために、フロントフードをヒンジ領域で持ち上げつつセンサ制御で解放されることができ、前記逆動装置は、所定の長さに即座に引出し可能な引張り棒(5,8,9)の形の、しっかり取り付けられた逆動要素を有し、この逆動要素は、ヒンジ領域で、一方では前記フロントフードに、また他方では車体にしっかり回転自在に連結されており、前記フロントフードが所定の開き角に達する際には、前記引張り棒(5,8,9)は最大限の引出し長さに達し、前記フロントフードが更に開く際には、前記フロントフードおける前記引張り棒の支点は、前記フロントフードのための新たな旋回点を形成し、上昇されたヒンジ支持体(2)、従ってまた解除された前記保護装置(1,1a)は、前記フロントフードを2腕式のレバーとして利用して、手の力を前方の長いレバーに導入し、作用力をヒンジ側の短いレバーアームに発生させることによって、逆動されることができる、装置。
【請求項2】
前記フロントフランジを固定するための連結されたヒンジフランジ(4)を夫々有する複数のヒンジ(3)を有する装置において、
前記引張り棒(5,8,9)は、一方では、角ブラケット(6)を介して、前記ヒンジフランジ(4)に回転自在におよび間接的に前記フロントフードに、他方では、車体にしっかり取着された前記保護装置(1,1a)に回転自在に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
即座に引出し可能な引張り棒として、長孔(5´c)を有する一部構成の引張りサイドバー(5´)が設けられており、この引張りサイドバーは、前記長孔と反対側の端部に、フロントフード側で回転自在に連結されており、前記長孔(5´c)内で、車体にしっかり取着されたピン(7´)によって、回転自在にかつ軸方向に引出し可能に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
即座に引出し可能な引張り棒として、2つのサイドバーからなる二重サイドバー(5,8)が設けられており、一方のサイドバーは、フロントフード側でおよび他方のサイドバーは、車体側で回転自在に連結されており、2つのサイドバーは引出し可能に互いに結合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記2つのサイドバー(5a,5b)は、重なり合って、一方のサイドバー(5a)に形成された長孔(5c)と、他方のサイドバー(5b)に設けられた、前記長孔(5c)を貫通する結合要素(7)とによって、軸方向に一列におよび互いに直線状に移動可能に互いに結合されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
2つのサイドバー(8a,8b)の自由端は、回転継手式に、互いに結合されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
即座に引出し可能な引張り棒として、金属製のロープ、ベルトまたは金属製のストランドが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項8】
即座に引出し可能な引張り棒として、前記保護装置(1,1a)に設けられた保持装置と同時にセンサ制御で解除されることができるロックを有するガス作動式ばね(9)が設けられており、一端は、フロントフード側で回転自在におよび他端は前記ロックを介して車体に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項9】
解除可能なロックとして、ロック・ボール(10)が、前記ガス作動式ばねの可動部分に設けられた閉鎖ピン(9c)に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2007−501161(P2007−501161A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529664(P2006−529664)
【出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002686
【国際公開番号】WO2004/103780
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505104984)アイエスイー・インノモーティブ・システムズ・ヨーロップ・ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002686
【国際公開番号】WO2004/103780
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505104984)アイエスイー・インノモーティブ・システムズ・ヨーロップ・ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】
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