説明

自動車用ウエザストリップ

【課題】車輌の軽量化の要請を満足し、フランジへの保持力に優れ、製造が容易なウエザストリップを提供する。
【解決手段】ウエザストリップ10は、トリム部20と、シール部30とを備える。トリム部20は、車外側側壁21、底壁23と車内側側壁22とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁21と車内側側壁22の内面には、第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25及び第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27をそれぞれ奥から順に底壁方向に斜めに形成する。第1車内側フランジ保持リップ26の先端と第2車内側フランジ保持リップ27の先端は、それぞれ第1車外側フランジ保持リップ24の先端と第2車外側フランジ保持リップ25の先端よりもトリム部20の奥側に延設された自動車用ウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体開口部周縁のフランジに装着される自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車にはドア開口、トランクルーム開口等の開口部があり、それぞれの車体開口部周縁にウエザストリップが装着され、車体開口部周縁とドアやトランクリッド等の開口部開閉部材との間をシールしている。
これらのウエザストリップを車体開口部周縁に装着する場合は、ウエザストリップのトリム部の内部に車体開口部周縁のフランジを挿入させて装着している。
【0003】
例えば、図3に示すように、自動車のリヤトランクの開口部のシールは、リヤトランクのリッドの周囲に対応する、自動車車体の車体開口部周縁6の先端に設けられたフランジ7に、ウエザストリップ110を装着する。
このウエザストリップ110は、フランジ7に取付けるトリム部120とトランクリッド2の裏面に当接してその間をシールする中空状の中空シール部130から形成されている。
【0004】
トリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122、及び底壁123からなり、断面略U字形をなして、その断面略U字形の内部には車外側側壁121と車内側側壁122の内面から車外側フランジ保持リップ124、125と車内側フランジ保持リップ126、127がそれぞれ断面ハ字形にトリム部120の内部(底壁123側)に向かって延設されている。なお、トリム部120には、板金の金属インサート129が埋設されている。
【0005】
ウエザストリップ110をフランジ7に装着するには、リヤトランクの車体開口部周縁6に設けられたフランジ7の先端を、トリム部120の内部に挿入させる。上述のようにトリム部120には、車外側フランジ保持リップ124、125と車内側フランジ保持リップ126、127が設けられているため、それらの車外側フランジ保持リップ124、125、126、127によりフランジ7を保持してシールし、ウエザストリップ110の姿勢を保持するとともに、フランジ7から抜けることを防止している。このとき、中空シール部130は、トランクリッド2の裏面の外周端部に当接して、車体開口部周縁6とトランクリッド2との間をシールしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、車体開口部周縁6とウエザストリップ110との間のシールは、トリム部120の車外側側壁121の外面に設けた車外側シールリップ128を車体開口部周縁6の表面に当接させてシールしている。
しかしながら、車体開口部周縁6では、車体1の形状に沿って曲面を形成して、フランジ7も曲線状になる部分がある。
【0007】
このようなフランジ7が曲線状に形成される部分では、トリム部120を取付けると、中空シール部130が潰れたり、倒れたりして、中空シール部130が、トランクリッド2の裏面に、正しく当接することができず、車体開口部周縁6とトランクリッド2との間のシールが不十分になる場合があった。
また、トリム部120の保持力が弱いと、トリム部120からフランジ7が抜け出る恐れがあった。
【0008】
このため、ウエザストリップ110がフランジ7から抜け出ることを防止したり、倒れたりすることを防止するために、図4に示すように、トリム部120の内部に保持力を強化するように、トリム部120内部に金属インサート129を埋設し、フランジ保持リップ124、125、126、127を互いに密着させている。
【0009】
このようなウエザストリップ110を製造する場合は、まず、トリム部120の断面略U字形の開口部をハ字形に開いてフランジ保持リップ124、125、126、127が互いに接触しない状態で押出成形して、加硫した後に開口部を閉じて断面略U字形に形成していた。
しかしながら、金属インサート129を使用すると重量が重くなり、車輌の軽量化の要請に対して好ましくないため、金属インサート129を廃止することが求められていた。
【0010】
このため、図5に示すように、車外側側壁221、車内側側壁222及び底壁223から構成されるトリム部220に、高硬度ゴムまたは合成樹脂を使用し、中空シール部230にスポンジゴムを使用するウエザストリップ210もある(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、このウエザストリップ210は、トリム部220を保持リップ226と同時に断面略U字形に押出成形するため、トリム部220と同じ高硬度ゴムを使用する保持リップ226の剛性が大きすぎて撓みにくく、保持リップ224、225を当接しないようにするため、保持リップ224、225が短すぎて保持力が不充分であった。
【特許文献1】特開平10−203167号公報
【特許文献2】特許3752627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、車輌の軽量化の要請を満足し、フランジへの保持力に優れ、製造が容易なウエザストリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体開口部周縁のフランジに取付けられて、車体開口部周縁と相手部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、
ウエザストリップは、フランジに取付けられてウエザストリップを保持する断面略U字状のトリム部と、トリム部に一体的に形成されて相手部材と当接して車体開口部周縁と相手部材との間をシールするシール部とを備え、
トリム部は、車外側側壁、底壁と車内側側壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁の内面には、少なくともフランジを保持する第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップを断面略U字形の奥から順に上記底壁方向に斜めに形成し、車内側側壁の内面には、少なくともフランジを保持する第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップを断面略U字形の奥から順に底壁方向に斜めに形成し、
第1車内側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端は、第1車外側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端とはそれぞれ当接しないようずれて延設された自動車用ウエザストリップである。
【0013】
請求項1の本発明では、ウエザストリップは、フランジに取付けられてウエザストリップを保持する断面略U字状のトリム部と、トリム部の外面に一体的に形成され車体開口部周縁にて開閉する相手部材と当接して車体開口部周縁と相手部材との間をシールするシール部とを備えている。このため、トリム部を車体開口部周縁のフランジに取付けることにより、ウエザストリップを保持し、固定することができる。そして、取付けられたトリム部によりウエザストリップを倒れないように姿勢を保持して、シール部が相手部材に確実に当接して車体開口部周縁と相手部材との間をシールすることができる。
【0014】
トリム部は、車外側側壁、底壁と車内側側壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁の内面には、少なくともフランジを保持する第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップを断面略U字形の奥から順に底壁方向に斜めに形成し、車内側側壁の内面には、少なくともフランジを保持する第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップを断面略U字形の奥から順に底壁方向に斜めに形成している。このため、少なくとも第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップ及び第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップにより保持して、フランジを両側から2箇所以上ずつ保持することができ、安定して、確実に保持することができる。
【0015】
第1車内側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端は、第1車外側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端とはそれぞれ当接しないようずれて延設される。このため、トリム部を断面略U字形に押出成形しても、それぞれのフランジ保持リップが相互に接触せずに成形することができ、トリム部の断面略U字形を開いて形成する必要がない。
【0016】
第1車外側フランジ保持リップの先端は、第1車内側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端との間に延設され、第2車外側フランジ保持リップの先端は、第2車内側フランジ保持リップの先端よりも断面略U字形の開口側に延設される。このため、上記と同様に、第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップは、第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップのそれぞれの先端と互い違いに配置されるため、トリム部が断面略U字形のままで成形することができるとともに、フランジに対して倒れないようにトリム部を保持することができる。
【0017】
請求項2の本発明は、第1車外側フランジ保持リップの先端は、第1車内側フランジ保持リップの先端よりも車内側側壁方向に長く延設され、第2車外側フランジ保持リップの先端は、第2車内側フランジ保持リップの先端よりも車内側側壁方向に長く延設され、第1車内側フランジ保持リップの先端は、第1車外側フランジ保持リップの先端よりも車外側側壁方向に長く延設され、第2車内側フランジ保持リップの先端は、第2車外側フランジ保持リップの先端よりも車外側側壁方向に長く延設された自動車用ウエザストリップである。
【0018】
請求項2の本発明では、第1車外側フランジ保持リップの先端は、第1車内側フランジ保持リップの先端よりも車内側側壁方向に長く延設され、第2車外側フランジ保持リップの先端は、第2車内側フランジ保持リップの先端よりも車内側側壁方向に長く延設され、第1車内側フランジ保持リップの先端は、第1車外側フランジ保持リップの先端よりも車外側側壁方向に長く延設され、第2車内側フランジ保持リップの先端は、第2車外側フランジ保持リップの先端よりも車外側側壁方向に長く延設された。このため、第1車外側フランジ保持リップの先端と第2車外側フランジ保持リップの先端とは、第1車内側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端との間で相互に入り組んで、重なり合って形成されるために、フランジをトリム部に挿入したときに、フランジ保持リップの撓み量を大きくすることができ、フランジの保持力を強くすることができ、トリム部にインサートを埋設しなくても確実に保持することができる。
【0019】
請求項3の本発明は、第1車外側フランジ保持リップ、第2車外側フランジ保持リップ、第1車内側フランジ保持リップ及び第2車内側フランジ保持リップのそれぞれの先端は、底壁方向に屈曲して形成された自動車用ウエザストリップである。
【0020】
請求項3の本発明では、第1車外側フランジ保持リップ、第2車外側フランジ保持リップ、第1車内側フランジ保持リップ及び第2車内側フランジ保持リップのそれぞれの先端部は、底壁方向に屈曲して形成されたため、フランジを挿入したときに、保持リップのそれぞれの先端部が、フランジの表面に平面的に当接することができ、フランジを安定して保持できるとともに、フランジの抜けに対する抵抗力を大きくすることができる。
【0021】
請求項4の本発明は、車外側側壁の先端外面には、車外側シールリップが断面略U字形の開口方向に斜め外側に延設され、
第1車内側フランジ保持リップの先端は、第1車外側フランジ保持リップの先端よりも底壁側に延設され、第2車内側フランジ保持リップは、第1車外側フランジ保持リップの先端と第2車外側フランジ保持リップの先端との間に延設され、
第1車外側フランジ保持リップの先端は、第1車内側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端との間に延設され、第2車外側フランジ保持リップの先端は、第2車内側フランジ保持リップの先端よりも断面略U字形の開口側に延設された自動車用ウエザストリップである。
【0022】
請求項4の本発明では、車外側側壁の先端外面には、車外側シールリップが断面略U字形の開口方向に斜め外側に延設されたため、車外側シールリップがフランジを構成するアウターパネルの根元部分に当接して、ウエザストリップとアウターパネルとの間をシールすることができ、車外側から雨水等が浸入することを防止できる。
【0023】
第1車内側フランジ保持リップの先端は、第1車外側フランジ保持リップの先端よりも底壁側に延設され、第2車内側フランジ保持リップは、第1車外側フランジ保持リップの先端と第2車外側フランジ保持リップの先端との間に延設される。このため、第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップは、それぞれ第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップのそれぞれの先端と互い違いに配置されるため、保持リップが相互に当接することがなく、トリム部が断面略U字形のままで成形することができる。さらに、互い違いに配置されるため、フランジを安定して保持することができる。さらに、車外側側壁の外面に車外側シールリップを形成した場合には、車内側フランジ保持リップの方が車外側フランジ保持リップよりも底壁側にあるため、車外側シールリップの反力によりトリム部が車内側に倒れることを防止できる。
【0024】
請求項5の本発明は、車内側側壁の先端外面には、車内側シールリップが断面略U字形の開口部方向に斜め外側に延設された自動車用ウエザストリップである。
【0025】
請求項5の本発明では、車内側側壁の先端外面には、車内側シールリップが断面略U字形の開口部方向に斜めに延設されたため、車内側シールリップがフランジを構成するインナーパネルの根元部分に当接して、ウエザストリップとインナーパネルとの間をシールすることができ、車外側から雨水等が浸入することを防止できる。
【0026】
請求項6の本発明は、中空シール部はスポンジゴムで形成され、トリム部はソリッドゴムで形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【0027】
請求項6の本発明では、中空シール部はスポンジゴムで形成されたため、開口部開閉部材の凹凸や局面に柔軟に当接して、シールすることができる。トリム部はソリッドゴムで形成されたため、フランジを保持する力が強く、フランジに強固に確実に取付けることができる。
【0028】
請求項7の本発明は、ウエザストリップは、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成された自動車用ウエザストリップである。
【0029】
請求項7の本発明では、ウエザストリップは、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成されている。このため、スポンジ材もソリッド材もEPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのいずれで形成する場合でも、同じ種類の材料を使用して同時押出成形ができ、耐候性のよい製品を得ることができる。また、同じオレフィン系樹脂・ゴムのため分離せずにリサイクル使用ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。
【0030】
請求項8の本発明は、ウエザストリップは、トランクウエザストリップまたはバックドアウエザストリップである自動車用ウエザストリップである。
【0031】
請求項8の本発明では、車体開口部開閉部材はドアであり、ウエザストリップは、トランクウエザストリップまたはバックドアウエザストリップであるため、トランクとトランクリッドの間、および車体開口部周縁とバックドアとの間から進入する雨水や埃を確実にシールすることができるとともに、車内に侵入する騒音を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップは、それぞれ第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップのそれぞれの先端と互い違いに配置されるため、保持リップが相互に当接することがなく、トリム部が断面略U字形のままで成形することができる。
車外側シールリップの反力によりトリム部が車内側に倒れることを防止できる。第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップは、第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップのそれぞれの先端と互い違いに配置されるため、トリム部が断面略U字形のままで成形することができ、フランジを確実に保持できる。
【0033】
第1車外側フランジ保持リップの先端と第2車外側フランジ保持リップの先端とは、第1車内側フランジ保持リップの先端と第2車内側フランジ保持リップの先端との間で相互に入り組んで、重なり合って形成した場合には、フランジの保持力を強くすることができ、トリム部にインサートを埋設しなくても確実に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の実施の形態を図1〜図2に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示すものであり、ウエザストリップ10の断面図である。図2は、リヤトランクに装着されたウエザストリップ10のトランクリッド2が閉じられた状態を示すものである。
本発明の実施の形態をリヤトランクに装着されるウエザストリップ10を例にとり説明するが、本発明は、バックドアウエザストリップ、自動車のドア開口部、ルーフ開口部等の広く自動車の開口部をシールするウエザストリップに使用することができる。
【0035】
本発明の実施の形態のウエザストリップ10は、図1に示すように、フランジ7に取付けるトリム部20とトランクリッド2に当接してシールする中空シール部30から形成される。
トリム部20の底壁23の外面に上方に向けて後述する中空シール部30が形成されている。
【0036】
まず、トリム部20について説明する。
トリム部20は、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23からなる断面略U字形をなしている。車外側側壁21、車内側側壁22と、底壁23は、ソリッドゴム又は硬質ゴムで形成することができる。
【0037】
車外側側壁21の内面には、断面略U字形の奥、即ち、底壁23側から順に第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25が断面略U字形の内部に向けて斜め上の方向に一体的に形成されて、車内側側壁22の内面には第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27が同様に、断面略U字形の内部に向けて斜め方向に一体的に形成されている。これ等の保持リップは、車外側側壁21、車内側側壁22及び底壁23を押出成形するときに同時に形成する。
【0038】
このため、第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25及び第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27により、フランジ7を両側からそれぞれの2個のフランジ保持リップで2箇所ずつを保持することができ、安定して、確実に保持することができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、車外側側壁21と車内側側壁22にそれぞれ2個のフランジ保持リップを形成したが、それぞれ3個以上のフランジ保持リップを形成することができる。3個以上の場合は、車外側側壁21と車内側側壁22に形成するフランジ保持リップの数を異ならしめることもできる。
【0040】
第1車内側フランジ保持リップ26の先端は、第1車外側フランジ保持リップ24の先端よりも底壁23側に延設され、第2車内側フランジ保持リップ27は、第1車外側フランジ保持リップ24の先端と第2車外側フランジ保持リップ25の先端との間に延設される。
【0041】
そして、第1車外側フランジ保持リップ24の先端は、第1車内側フランジ保持リップ26の先端と第2車内側フランジ保持リップ27の先端との間に延設され、第2車外側フランジ保持リップ25の先端は、第2車内側フランジ保持リップ27の先端よりも断面略U字形の開口側に延設される。
【0042】
即ち、第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27は、それぞれ第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25のそれぞれの先端よりも底壁23側にずれて、図1では上方にずれて形成され、互い違いに配置される。
このため、トリム部20を断面略U字形のままで成形しても、フランジ保持リップ24、25、26、27の先端が相互に当接することがない。
【0043】
なお、本実施の形態では、フランジ保持リップの先端は、互い違いに配置されるが、フランジ保持リップの先端を互い違いにせずに、例えば、第1車外側フランジ保持リップ24の先端と第2車外側フランジ保持リップ25の先端を、第1車内側フランジ保持リップ26の先端と第2車内側フランジ保持リップ27の先端で上下に挟むように配置することもできる。
【0044】
さらに、車外側側壁12の外面に車外側シールリップ28を形成した場合には、図1に示すようにフランジ保持リップを形成すると、車外側シールリップ28の反力によりトリム部20が車内側に倒れるような力が働くと、第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27が底壁23側にずれて位置しているため、トリム部20を保持する力が強く、倒れることを防止できる。
【0045】
第1車外側フランジ保持リップ24、第2車外側フランジ保持リップ25、第1車内側フランジ保持リップ26及び第2車内側フランジ保持リップ27のそれぞれの先端は、屈曲部24b、25b、26b、27bにおいて、底壁23方向、即ち図1においては、上方に屈曲して形成されている。そしてそれぞれの先端部24c、25c、26c、27cは、底壁23方向を向いて、フランジ7と当接する面は、平面状に形成されている。
【0046】
フランジ7をトリム部20の内部に挿入したときに、フランジ保持リップ24、25、26,27のそれぞれの屈曲部24b、25b、26b、27bが撓んで、先端部24c、25c、26c、27cがフランジ7の表面に平面的に当接することができ、フランジ7を安定して保持できる。また、フランジ7がトリム部20から抜けようとする場合に、先端部24c、25c、26c、27cがフランジ7の側面に密着して、抜けに対する抵抗力を大きくすることができる。
【0047】
第1車外側フランジ保持リップ24、第2車外側フランジ保持リップ25、第1車内側フランジ保持リップ26及び第2車内側フランジ保持リップ27は、根元部分にそれぞれ凹部24d、25d、26d、27dが形成されている。このため、トリム部20をソリッドゴム又は硬質ゴムで形成しても、フランジ7をトリム部20内に挿入するときにフランジ保持リップ24、25,26、27が底壁23方向に撓みやすく、挿入が容易であるとともに、フランジ7の保持力を確保できる。
【0048】
車外側側壁21の先端外面には、車外側シールリップ28が断面略U字形の開口方向に斜めに延設されている。車外側シールリップ28は、フランジ7を形成するアウターパネル1bがフランジ7から屈曲した根元部分に当接して、ウエザストリップ10とアウターパネル1bとの間をシールすることができ、アウターパネル1bを伝わって車外側から雨水等が浸入することを防止できる。
【0049】
車外側シールリップ28の根元部分に突部28bを形成することができる。この場合は、車外側シールリップ28と突部28bとで2重のシールをすることができる。車外側シールリップ28と突部28bは、スポンジ材で形成される。このため、アウターパネル1bの曲面に応じて柔軟に撓むことができ、シール性を確保することができ、フランジ7をトリム部20内に挿入することが容易である。
【0050】
車内側側壁22の先端外面には、車内側シールリップ29が断面略U字形の開口部方向に斜めに延設されている。車内側シールリップ29は、フランジ7を形成するインナーパネル1cがフランジ7から屈曲した根元部分に当接して、ウエザストリップ10とインナーパネル1cとの間をシールすることができる。
【0051】
トリム部20の底壁23の外面には、中空シール部30が形成されている。中空シール部30は、断面が略円形、楕円形、菱形等に形成することができる。中空シール部30は、中空シール部首部31でトリム部20と接続されている。
中空シール部30はスポンジ材で形成される。このため、トランクリッド2等の開口部開閉部材に当接した時に、柔軟に撓んでシール性を確保することができる。中空シール部首部31は、トリム部20と同様に、ソリッド材で形成されるため、中空シール部30を所定の位置に保持することができる。
なお、中空シール部30は、開口部開閉部材の位置に応じて、トリム部20の車外側側壁21や車内側側壁22の外面に形成することもできる。また、中空シール部30の替わりに中空状ではなく、リップ状に形成することもできる。
【0052】
トリム部20が、フランジ7に装着されると、上述のように、第1車外側フランジ保持リップ24、第2車外側フランジ保持リップ25と、第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27により保持されて、ウエザストリップ10はその姿勢が安定して保持される。そうすると、トリム部20の外面上部に一体的に形成された中空シール部30は、トランクリッド2の裏面に確実に当接して、トランクリッド2と車体開口部周縁6との間のシールをすることができる。
【0053】
本発明のウエザストリップ10の成形においては、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等を使用することができる。EPDMゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した場合は、同じ種類の材料を使用して同時押出成形ができ、耐候性のよい製品を得ることができる。また、同じオレフィン系樹脂・ゴムのため分離せずにリサイクル使用ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。
【0054】
ウエザストリップ10の直線部分は押出成形機で成形され、その後所定の長さに切断されて、製造される。コーナー部に装着される部分は、型成形で形成される場合があり、その場合は、直線部分を型成形により同時に接続する。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、ウエザストリップの断面図である。
【図2】自動車の斜め上方から見た概略斜視図である
【図3】従来のウエザストリップの断面図である。
【図4】従来の他のウエザストリップの断面図である。
【図5】従来の他のウエザストリップの断面図である。
【符号の説明】
【0056】
7 フランジ
10 ウエザストリップ
20 トリム部
21 車外側側壁
22 車内側側壁
23 底壁
24 第1車外側フランジ保持リップ
25 第2車外側フランジ保持リップ
26 第1車内側フランジ保持リップ
27 第2車内側フランジ保持リップ
30 中空シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体開口部周縁のフランジに取付けられて、車体開口部周縁と相手部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、
上記ウエザストリップは、上記フランジに取付けられて上記ウエザストリップを保持する断面略U字形のトリム部と、該トリム部に一体的に形成されて相手部材と当接して上記車体開口部周縁と相手部材との間をシールするシール部とを備え、
上記トリム部は、車外側側壁、底壁と車内側側壁とからなる断面略U字形をなし、上記車外側側壁の内面には、少なくとも上記フランジを保持する第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップを断面略U字形の奥から順に上記底壁方向に斜めに形成し、上記車内側側壁の内面には、少なくとも上記フランジを保持する第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップを断面略U字形の奥から順に上記底壁方向に斜めに形成し、
上記第1車内側フランジ保持リップの先端と上記第2車内側フランジ保持リップの先端は、上記第1車外側フランジ保持リップの先端と上記第2車内側フランジ保持リップの先端とはそれぞれ当接しないようずれて延設されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記第1車外側フランジ保持リップの先端は、上記第1車内側フランジ保持リップの先端よりも上記車内側側壁方向に長く延設され、上記第2車外側フランジ保持リップの先端は、上記第2車内側フランジ保持リップの先端よりも上記車内側側壁方向に長く延設され、上記第1車内側フランジ保持リップの先端は、上記第1車外側フランジ保持リップの先端よりも上記車外側側壁方向に長く延設され、上記第2車内側フランジ保持リップの先端は、上記第2車外側フランジ保持リップの先端よりも上記車外側側壁方向に長く延設された請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記第1車外側フランジ保持リップ、上記第2車外側フランジ保持リップ、上記第1車内側フランジ保持リップ及び上記第2車内側フランジ保持リップのそれぞれの先端部は、底壁方向に屈曲して形成された請求項1または請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記車外側側壁の先端外面には、車外側シールリップが上記断面略U字形の開口部方向に斜め外側に延設され、
上記第1車内側フランジ保持リップの先端は、上記第1車外側フランジ保持リップの先端よりも上記底壁側に延設され、上記第2車内側フランジ保持リップは、上記第1車外側フランジ保持リップの先端と第2車外側フランジ保持リップの先端との間に延設され、
上記第1車外側フランジ保持リップの先端は、上記第1車内側フランジ保持リップの先端と上記第2車内側フランジ保持リップの先端との間に延設され、上記第2車外側フランジ保持リップの先端は、上記第2車内側フランジ保持リップの先端よりも上記断面略U字形の開口側に延設された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記車内側側壁の先端外面には、車内側シールリップが上記断面略U字形の開口部方向に斜め外側に延設された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記中空シール部はスポンジゴムで形成され、上記トリム部はソリッドゴムで形成された請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項7】
上記ウエザストリップは、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項8】
上記ウエザストリップは、トランクウエザストリップまたはバックドアウエザストリップである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−230258(P2008−230258A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68011(P2007−68011)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】