説明

自動車用ルーフサイドウエザストリップ

【課題】サッシュレスドアタイプの自動車において、車体開口部周縁とドアガラスとの間のシール性を向上させるルーフサイドウエザストリップを得る。
【解決手段】ルーフサイドウエザストリップ10は、取付基部11と、シール部を有する。取付基部の内側にドアガラス5の先端と当接しシールする第1シール部50と、ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする第2シール部60とを分離して設ける。第2シール部60は、L字形に屈曲した第2シール車外側保持壁61と、第2シール車内側保持壁67から形成され、第2シール部の内部には、断面がL字形に屈曲した中空部64を有し、ドアガラス5が第2シール部60に当接したときに、第2シール車内側保持壁67が屈曲するように第2シール車内側保持壁屈曲部68を形成した自動車用ルーフサイドウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車体のドア開口縁の上部とドアのドアガラスとの間をシールする自動車用ルーフルーフサイドウエザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアサッシュが設けられているドアの自動車の車体ドア開口縁とドアとの間をシールするシール構造においては、例えば、車体ドア開口縁のフランジにオープニングトリムウエザストリップを取り付け、ドアサッシュの外周にドアウエザストリップを取り付け、ドア閉時にオープニングトリムウエザストリップの中空シール部がドアサッシュの膨出部に当接し、ドアウエザストリップの中空シール部およびシールリップが車体ドア開口縁のアウターパネルに当接してドアとの間をシールしていた。
【0003】
このとき、ドアにおいて昇降するドアガラスは、ドアサッシュの内周側に設けられたガラスランによって保持され、ガラスランの溝部内を昇降している。その、このドアガラスとドアサッシュとの間のシールは、このガラスランによりなされている。
【0004】
しかしながら、この場合には、自動車の側面の外観では、ドアガラスの周囲にガラスラン、ドアサッシュやセンターピラーが目立つこととなり、デザイン的に改良の必要性があった。また、ドアサッシュやセンターピラーとドアガラスの間に、ガラスランが存在するため、ドアサッシュとドアガラスとの間の表面でギャップが存在してデザイン的に好ましくなかった。
【0005】
このため、図3に示すように、サッシュレスドアタイプの自動車車体として、ドアサッシュをなくして、ドア1のベルトライン部位よりも上部では、ドアガラス5だけを自由に昇降させることが行われている。これによって、自動車の側面では、ドア1のベルトライン部位から上の部分では、ドアガラス5のみの外観とすることができる。
【0006】
この場合に、車体のドア開口縁の上部とドアガラス5との間のシールは、図3に示すように、車体開口部周縁6の上部に取付けられたルーフサイドウエザストリップ110にドアガラス5が当接することにより行われる。車体開口部周縁6には、モール部としてのルークモール2に一体的に形成されたリテーナー4が取付けられている。
【0007】
そのルーフサイドウエザストリップ110は、図4に示すように、車体開口部周縁6のリテーナー4に取り付けられる取付基部111と、ドアガラス5の上端と当接してシールするシール部150から構成される。取付基部111は、車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140から構成されている。
【0008】
シール部150は、ドアガラス5の上端と当接するシール壁151と中空部152から形成され、ドアガラス5が当接すると、シール壁151が中空部152の内部に撓むとともにドアガラス5の上端を包み込むようにシールすることができる(例えば、特許文献1参照。)。なお、車体開口部周縁6のフランジには、トリム170が装着され、ルーフサイドウエザストリップ110から延設されたカバーリップ159が当接して隙間をカバーしている。
【0009】
しかしながら、この場合には、ドアガラス5は、サッシュドアのように、その上部と側部の外周縁をドアサッシュとガラスランで保持されることがなく、ドアガラス5の上端の位置がぶれやすくなるとともに、車外方向に撓みやすくなる。そのため、ドア閉時に、ドアガラス5がシール部150に当接する位置が変わり、シール部150が異常変形して、シール性が低下する場合があった。
【0010】
なお、サッシュレスドアタイプの場合には、ドアガラス5が上昇したままドア1を閉めるときには、ドアガラス5はルーフサイドウエザストリップ10に横方向から当接し、ドア1を閉めたままドアガラス5を昇降させるときは、ルーフサイドウエザストリップ10に下方向から当接する。このため、それぞれ方向性から当接した場合のシール性をともに満足させるには限界があった。
【0011】
そのため、図5に示すように、中空のシール部を2つに分割して、ドアガラス5の上端と上端部の車内側側面の2箇所でシールして、ドアガラス5のそれぞれの当接方向に対して、分割したそれぞれのシール部でシールするようにしたものがある(例えば、特許文献2〜特許文献5参照。)。
【0012】
図5においては、ルーフサイドウエザストリップ210は、車体開口部周縁6に取付ける取付基部211と、取付基部211に一体的に、分割して形成された2つのシール部である第1シール部250と第2シール部260から構成される。
取付基部211は、車外側側壁220、車内側側壁230と底壁240から構成される。
第1シール部250は取付基部211の車外側に形成され、車外側側壁220の上端と根元からそれぞれ延設されて中空状を形成し、ドアガラス5の先端と当接して、シールしている。
【0013】
第2シール部260は、車内側側壁230から延設され、側壁263と、側壁263の先端に形成されたリップ状の先端部261と、側壁263の内部の中空部262を有している。さらに、側壁263の車内側先端にはカバーリップが形成され、トリム270と当接して、隙間をカバーしている。この場合は、ドアガラス5の車内側側面と当接する先端部261は、リップ状であるためにドア閉時にドアガラス5に押さえられて変形したり、ドアガラス5の昇降時に巻き込まれて、変形したりして、シール性が低下するおそれがあった。
【0014】
また、最近のドアガラス微昇降システムを備えたドアにおいては、ドアの開時には、ドアガラス5の上端がルーフモール2から外れるように若干下がり、ドア閉時には、若干下がった状態のドアガラス5の上端が先に先端部261に当接し、その後ドアガラス5の上端がルーフモール2の中に入るように若干上昇する。このとき、ドアガラス5の上端部は、第2シール部260の先端部261のみに先に大きなドア閉荷重を伴って当接し、その後、先端部261の表面に沿って摺動しながら昇降するため、リップ状の先端部261の耐久性が悪くなるとともにリップ状の先端部261が巻き込まれて変形しやすくなり、シール性が低下する。
【特許文献1】特開2003−54329号公報
【特許文献2】特開平6−106993号公報
【特許文献3】実開平5−86644号公報
【特許文献4】特開平7−291057号公報
【特許文献5】特開平7−17334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このため、サッシュレスドアタイプの自動車において、車体開口部周縁とドアガラスとの間のシール性を向上させるルーフサイドウエザストリップが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、サッシュレスドアタイプの自動車車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁とドアのドアガラス周辺部との間をシールするルーフサイドウエザストリップにおいて、
ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に形成され車体開口部周縁とドアガラスとの間をシールするシール部を有し、取付基部は、少なくとも底壁と車内側側壁を備え、
取付基部の内側にドアガラスの上端と当接しシールする第1シール部と、ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする第2シール部とを分離して設け、
第2シール部は、底壁又は車内側側壁から延設されL字形に屈曲した第2シール車外側保持壁と、第2シール車外側保持壁の先端と車内側側壁とに接続する第2シール車内側保持壁から形成され、第2シール部の内部には、断面がL字形に屈曲した中空部を有し、ドア閉時等のドアガラスが第2シール部に当接したときに、第2シール車外側保持壁がさらに屈曲するように第2シール車外側保持壁屈曲部を上記第2シール部の先端の位置よりも下側の位置に形成した自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0017】
請求項1の本発明では、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に形成され車体開口部周縁とドアとの間をシールするシール部を有し、取付基部は、少なくとも底壁と車内側側壁を備えている。このため、取付基部を車体開口部周縁に取付けると、シール部の位置が固定して、確実にドアガラスと当接してシールすることができる。
【0018】
取付基部の内側にドアガラスの上端と当接しシールする第1シール部と、ドアガラスの上端部の車内側側面に当接してシールする第2シール部とを分離して設けた。このため、ドアガラスの上端と上端部の車内側側面で2重にシールすることができ、シール性を向上させることができる。さらに、ドア閉時にドアガラスが横方向から当接しても、ドアガラスが昇降するときに、下から当接しても、第1シール部と第2シール部の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0019】
第2シール部は、底壁又は車内側側壁から延設されL字形に屈曲した第2シール車外側保持壁と、第2シール車外側保持壁の先端と車内側側壁とに接続する第2シール車内側保持壁から形成されて、第2シール部の内部には、断面がL字形に屈曲した中空部を有している。このため、第2シール部をドアガラスに対して屈曲して形成して当接することができ、第2シール部が下方に突出することがなく、ドアガラスの視界を狭くすることがない。また、第2シール部の先端を中空状にすることができ、ドアガラスの昇降時に巻き込まれることがなく、異常変形することがない。
【0020】
ドア閉時等のドアガラスが第2シール部に当接したときに、第2シール車外側保持壁がさらに屈曲するように第2シール車外側保持壁屈曲部を第2シール部の先端の位置よりも下側の位置に形成した。このため、ドアガラスが当接したときに、第2シール車内側保持壁屈曲部で確実に屈曲するとともに、ドアガラスの位置がずれても第2シール部が屈曲し易く確実にシールすることができる。さらに、ドアガラスに当接したときに、屈曲部で屈曲するために第2シール部の変化量が小さく、シール性が低下することがない。また、第2シール部がドアガラスに強く押さえつけられることがなく、ドアガラスの昇降時に第2シール部が巻き込まれることがなく、異常変形することがない。
【0021】
請求項2の本発明は、第2シール部は、断面がL字形に屈曲した第1中空部と、車内側に車内側側壁と接する第2中空部が形成された自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0022】
請求項2の本発明では、第2シール部は、断面がL字形に屈曲した第1中空部と、車内側に車内側側壁と接する第2中空部が形成されたため、第2シール部の全体の柔軟性を増加させることができるとともに、ルーフサイドウエザストリップ全体の重量を低減することができる。また、第2シール部は、1片のリップ状では無く、中空状としてあるため、第2シール部自体の剛性を上げることができ、ドア閉時等における耐久性を向上させることができる。
【0023】
請求項3の本発明は、第2シール車内側保持壁の屈曲部は、第2シール車外側保持壁屈曲部のさらなる屈曲を助けるために、第2シール車外側保持壁屈曲部の直下の位置又は直下より若干、外側の位置に設けられた自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0024】
請求項3の本発明では、第2シール車内側保持壁の屈曲部は、第2シール車外側保持壁屈曲部のさらなる屈曲を助けるために、上記第2シール車外側保持壁屈曲部の直下の位置又は直下より若干、外側の位置に設けられたため、ドアガラスの当接時に、第2シール部が所定箇所で確実に屈曲し、異常変形することがなく、屈曲するための力が少なく、シール性が確保できる。さらに、ドアガラスが昇降するときに、第2シール部がドアガラス5に巻き込まれることがない。
【0025】
請求項4の本発明は、取付基部は、ソリッド材で形成され、第1シール部と第2シール部はスポンジ材で形成された自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0026】
請求項4の本発明では、取付基部は、ソリッド材で形成され、第1シール部と第2シール部はスポンジ材で形成されたため、取付基部が車体開口部周縁に確実に、強固に取付けられるとともに、第1シール部と第2シール部は、ドアガラスと柔軟に当接して、ドアガラスの位置がずれても確実にシールすることができる。
【0027】
請求項5の本発明は、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられたリテーナーに装着された自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0028】
請求項5の本発明では、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられたリテーナーに装着されたため、取付基部を確実に保持して取りつけることができる。
【0029】
請求項6の本発明は、リテーナーは、車体開口部周縁に固着されたルーフモールに取付けられた自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0030】
請求項6の本発明では、リテーナーは、車体開口部周縁に固着されたルーフモールに取付けられたため、車体開口部周縁を装飾することができるとともに、ドアガラスの上端をルーフモールで保持して、ドアガラスが車外側に吸い出されることを防止することができる。
【0031】
請求項7の本発明は、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁又はリテーナーに両面接着テープで取付けられた自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0032】
請求項7の本発明では、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁又はリテーナーに両面接着テープで取付けられたため、両面接着テープを押圧することで取付けることができるとともに、車体開口部周縁とルーフサイドウエザストリップとの間のシール性を向上できる。なお、この場合における、車体開口部周縁とは、モール部30をふくむものである。そしてモール部30とリテーナーをなくし、車体の板金に対して直接、両面接着テープで取付けることができる。その場合には、車体の軽量化を向上させることができる。また、リテーナーに取付けられる場合には、リテーナーの構造を簡単にして、リテーナーと両面接着テープで確実に取付けられることができる。
【0033】
請求項8の本発明は、車体開口部周縁に設けられたルーフモールは、ドアガラスが閉じたときのドアガラスの上端を収納し、ドアガラスは、ドア開時にその上端がルーフモールから外れるように若干下がり、ドア開状態では、その位置を保持し、ドア閉時にともなって、再び上昇してその上端がルーフモールの内部に入り、ルーフモールの内部で、ドアガラスの上端を保持するドアガラス微昇降システムを備えたドアに装着される。
【0034】
請求項8の本発明では、車体開口部周縁に設けられたルーフモールは、ドアガラスが閉じたときのドアガラスの上端を収納し、ドアガラスは、ドア開時にその上端がルーフモールから外れるように若干下がる。このため、乗員がドア開時に特に特別の操作をしなくても、ドアを開く動作に伴って、ドアガラスの上端がルーフモール及びルーフサイドウエザストリップの第1シール部から外れる。これによって、ドアを車外方向に開くことができる。
【0035】
ドア開状態では、ドアガラスの上端はその位置を保持するが、ドア閉時にともなって、再びドアガラスの上端を若干上昇させてルーフモールの内部に入れ、ルーフモールの内部で、ドアガラスの上端をシールする。このため、ドア閉時には、ドアガラスの上端がルーフモールの内部に収容されるため、自動車の走行時にもドアガラスが振動することや車外方向に吸い出されることがない。
【0036】
請求項9の本発明は、第1シール部は、中空形状である自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0037】
請求項9の本発明では、第1シール部は、中空形状であるため、ドアガラスの上端が第1シール部に当接したときに容易に撓んでその上端を包むことができ、確実にシールすることができる。
【0038】
請求項10の本発明は、第2シール車内側保持壁の車内側の先端にカバーリップを設けた自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0039】
請求項10の本発明では、第2シール車内側保持壁の車内側の先端にカバーリップを設けたため、ドアガラスが第2シール部に当接しても、第2シール部の車外側の先端のみが変形し、カバーリップが変形することがなく、ルーフサイドウエザストリップとトリムとの隙間を確実にカバーすることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明は上記のように、第2シール部が、底壁又は車内側側壁から延設されL字形に屈曲した第2シール車外側保持壁と、第2シール部の内部の断面がL字形に屈曲した中空部とを有しているため、第2シール部をドアガラスに対して屈曲変形可能に形成して当接させることができる。また、第2シール部の先端を中空状にすることができ、ドアガラスの昇降時に巻き込まれることがなく、異常変形することもなく、シール性が低下することがない。
第2シール車外側保持壁屈曲部と、第2シール車内側保持壁屈曲部とを形成したため、ドアガラスが当接したときに、第2シール部を両屈曲部で確実に屈曲させることができるとともに、ドアガラスの位置がずれても第2シール部で確実にシールすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づき説明する。
図1と図2は、本発明の第1の実施の形態を示すものである。図3は、自動車の側面図である。図3に示すように、本発明のルーフサイドウエザストリップ10は、サッシュレスドアタイプの自動車に使用されるもので、自動車の側面のドア1であるフロントドアとリヤドアの両方のベルトライン部位よりも上部には、ドアサッシュがなくドアガラス5がほぼ全面に設けられ、ドアガラス5はドア1から上下に昇降することができる。
【0042】
図1は、図3のA−A線におけるルーフモール2とルーフサイドウエザストリップ10のドアガラス5開時の取付状態を示す断面図であり、図2は、図3のA−A線におけるルーフモール2とルーフサイドウエザストリップ10のドアガラス5閉時の取付状態を示す断面図である。
【0043】
車体のルーフサイドは、車体開口部周縁6の付近においては、ルーフから連続して車内側に屈曲して、ルーフサイドの外側パネルを形成している。この外側パネルは車体開口部周縁6の入り口部分でフロントドアとリヤドアのドアガラスの上端を収納する平坦部を形成している。この平坦部の下面にルーフモール2が取付けられる。
【0044】
ルーフモール2は、車体開口部周縁6の車外側面にフロントからリヤ方向に延びるモールアウタパネル7とモールアウタパネル7の裏面から断面略T字形に延び車体開口部周縁6の平坦部に密着してルーフモール2を取付ける取付脚部8から形成される。取付脚部8と車体開口部周縁6はビスやクリップ等で固着される。
【0045】
取付脚部8の車内側部分には断面がL字形のリテーナー4が取付けられている。リテーナー4の1辺は取付脚部8に密着して取り付けられ、他の1辺は、取付脚部8の車内側の先端において下方に延設され、その先端は鉤状に形成されている。リテーナー4は、ルーフモール2に又はルーフモール2を介して車体開口部周縁6に上記と同様にビスやクリップで固着されたり、両面接着テープで接着されたりしている。
【0046】
そして、ルーフモール2及びリテーナー4にルーフサイドウエザストリップ10が装着される。ルーフサイドウエザストリップ10は、取付基部11とシール部から構成され、取付基部11は、ソリッド材で形成され、車外側側壁20、車内側側壁30及び底壁40から形成されている。ソリッド材であるため、リテーナー4に強固に取付けられ、後述するシール部を確実にドアガラス5に当接させることができる。
車外側側壁20は、ルーフモール2のモールアウタパネル7の裏面に当接し、その先端は、後述する第1シール部50に連続している。
【0047】
底壁40は、車外側寄りの部分で両面接着テープ42によりリテーナー4に接着されている。車外側側壁20がルーフモール2に係止される場合には、両面接着テープ42を使用しなくても良い。底壁40の車内側の部分は底壁凹部41を形成し、車内側の側端には底壁凸部43が形成されている。底壁凸部43によりリテーナー4を取付けるビスの頭部を収容し、底壁40の柔軟性を向上させている。
【0048】
車内側側壁30からは、鉤状に形成されたリテーナー4の先端を覆う車内側カバーリップ31が延設され、その先端には車内側側壁鉤部32が形成されて、リテーナー4の先端に係止される。これによりリテーナー4のL字形の一方の辺を車内側側壁30と車内側カバーリップ31で挟持して、前述の両面接着テープ42と合わせてリテーナー4に取付基部11を取付けることができる。
【0049】
ルーフサイドウエザストリップ10のシール部は、取付基部11の車外側に形成された第1シール部50と、車内側に形成された第2シール部60から構成される。
第1シール部50は、スポンジ材で中空状に形成され、車外側側壁20の先端と連続する第1シール車外側保持壁51と、底壁40の中央付近から連続する第1シール車内側保持壁54と、第1シール車外側保持壁51と第1シール車内側保持壁54のそれぞれの先端に連続しドアガラス5の上端を当接させる第1シール当接壁53から形成される。第1シール車外側保持壁51の先端(下端)には、下方に突出する第1シール車外側突部52が形成されている。
【0050】
第2シール部60は、スポンジ材で中空状に形成され、底壁40と車内側側壁30の接続部分から斜め下方に延設された第2シール車外側保持壁61と、第2シール車外側保持壁61の先端から車内方向に湾曲して延設され車内側側壁30の先端と連結する第2シール車内側保持壁67から形成される。第2シール車外側保持壁61と第2シール車内側保持壁67の連結部分は、ドアガラス5の方向に向いている第2シール先端部63を形成している。
【0051】
第2シール車内側保持壁67の車内側の先端には、第2シール車内側保持壁67の延長方向に第2シールカバーリップ69が延設されている。第2シールカバーリップ69により、ルーフサイドウエザストリップ10と車体開口部周縁6に取付けられた内装材(図示せず)との間の隙間を塞ぎ、見栄えを向上させている。第2シール部60が所定箇所で屈曲変形するため、ドアガラス5が当接しても第2シールカバーリップ69は変形することなく隙間をカバーし続けることができる。
【0052】
第2シール車外側保持壁61は、断面L字形に屈曲して形成され、屈曲部分は第2シール車外側保持壁屈曲部62を形成している。第2シール車内側保持壁67の内面中央付近から車内側側壁30の先端部分に達する第2シール中間保持壁65が延設されている。このため、第2シール車外側保持壁61、第2シール中間保持壁65と第2シール車内側保持壁67の間の空間は、第2シール第1中空部64を形成し、車内側側壁30、第2シール中間保持壁65と第2シール車内側保持壁67の間の空間は、第2シール第2中空部66を形成している。
【0053】
第2シール第1中空部64は、第2シール車外側保持壁61と同様に、断面L字形をなし、その先端は第2シール先端部63の裏面まで達している。
また、第2シール第1中空部64に面した第2シール車内側保持壁67と第2シール中間保持壁65の接続部分では、第2シール車内側保持壁67が凹んだ第2シール車内側保持壁屈曲部68が形成されている。また、第2シール部の先端の位置よりも下側の位置に形成している。
このため、第2シール部60の第2シール第1中空部64をドアガラス5に対して上方に屈曲して形成することができる。
【0054】
第2シール第1中空部64の車内側、即ち、第2シール中間保持壁65、車内側側壁30と第2シール車内側保持壁67との間に形成された第2シール第2中空部66は、第2シール部60の第2シール車内側保持壁67の肉厚を減少させ、その柔軟性を増加させることができるとともに、ルーフサイドウエザストリップ10全体の重量を低減することができる。
【0055】
次に、図2に基づき、ドアガラス5がルーフサイドウエザストリップ10に当接した状態を説明する。
ドアガラス5が上昇すると、ドアガラス5の上端は、第1シール部50の第1シール当接壁53に当接して、第1シール当接壁53は中空部の内側に、ドアガラス5の上端を包み込むように撓む。このとき、第1シール車外側突部52は、回り込んでドアガラス5の車外側側面に当接することができる。第1シール部50は中空状で、かつ、スポンジ材で形成されているため、柔軟に変形することができる。このため、ドアガラス5の上端と第1シール部50との間のシールを確保することができる。また、第1シール車外側保持壁51がモールアウタパネル7で保持されているので、ドアガラス5の上端を車外側に変位しないように保持することができる。
【0056】
ドアガラス5が上昇するときに、ドアガラス5の上端部の車内側側面に、第2シール部60の第2シール先端部63が当接する。ドアガラス5の上昇につれて、第2シール先端部63は、ドアガラス5の車内側側面を摺動して上方に屈曲しつつ、ドアガラス5の車内側側面と第2シール部60の間をシールする。
【0057】
このため、ドアガラス5の上端と上端部の車内側側面で2重にシールすることができ、シール性を向上させることができる。さらに、第1シール部50と第2シール部60とは、分離して形成されているので、ドア閉時とドアガラス5が昇降するときに、第1シール部50と第2シール部60の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0058】
第2シール部60は、ドア閉時等でドアガラス5の車内側側面に当接したときに、断面がさらにL字形に屈曲変形するように第2シール車外側保持壁屈曲部62と、第2シール車内側保持壁屈曲部68の部分で屈曲できるようになっている。このため、ドアガラス5が当接したときに、第2シール車外側保持壁屈曲部62と第2シール車内側保持壁屈曲部68で確実に柔軟に屈曲変形し、ドアガラス5の位置がずれても第2シール部60が確実にドアガラス5に当接し、シールすることができる。
【0059】
また、第2シール部60の第2シール先端部63をリップ状ではなく中空状にしたため、ドアガラス5の昇降時に、リップ形状と比べて、巻き込まれることがなく、異常変形することがない。さらに、ドアガラス5に当接したときに、上述したように所定の屈曲部で屈曲するために、第2シール部60の全体の変化量が小さく、シール性が低下することがない。
【0060】
また、第2シール部60が柔軟に屈曲するため、ドアガラス5に強く押さえつけられることがなく、ドアガラス5の昇降時に第2シール部60が巻き込まれることがなく、異常変形することがない。
さらに、ドア閉時にドアガラス5が横方向から当接しても、ドアガラス5が昇降するときに、下から当接しても、第1シール部50と第2シール部60の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0061】
次に、ドアガラス5の微昇降システムを有する場合について説明する。
ドアガラス5の微昇降システムにおいては、ドアガラス5が上昇した状態で、ドア1の開閉動作が行われた場合には、ドアガラス5の上端はルーフモール2のモールアウタパネル7の下端に衝突しないように、モールアウタパネル7の下端よりも下の位置に若干下げられ、その状態でドアが開かれる。ドア開きの状態においては、ドアガラス5の上端は前記した若干下げられた位置で保持されている。そして、ドアを閉めた場合、ドアガラス5の上端部は上記の位置で、ルーフサイドウエザストリップ10の第2シール部60に横方向から当接する。
【0062】
ドア1が閉じられた後にすぐ、ドアガラス5は再び若干上昇し、ドアガラス5の上端はルーフモール2内のルーフサイドウエザストリップ10の第1シール部50の第1シール当接壁53に当接し、第1シール部50の内部に侵入する。そして、ドアガラス5は、ルーフサイドウエザストリップ10の第1シール部50とルーフモール2によって車外側に吸い出されることなくシールされ、保持されている。
なお、ドア1を閉じた状態でドアガラス5を昇降させるとドアガラス5の上端は、まず第2シール部60の第2シール先端部63に当接し、この先端部63を屈曲させつつ、その車内側側面を摺動させて、その後、ドアガラス5の上端が第1シール部50に当接する。
【0063】
ドア1の開時、ドアガラス5は、ドアガラス閉のの状態からドアガラス微昇降システムによって若干下げられ、即ち、ドアガラス5の上端が、ルーフモール2のモールアウタパネル7下端よりも下の位置となるように降下させられ、その位置で停止し、その後、ドア1が開けられる。このとき、ドアガラス5の上端は、ルーフモール2の下端と干渉しないので、ドア開きには影響せず、ドア1を開くことができる。このように、乗員がドア開時に特に特別の操作をしなくても、ドア1を開く動作に伴って、ドアガラス5の上端がルーフモール2及びルーフサイドウエザストリップ10から外れる。これによって、ドアを車外方向に開くことができる。
そして、ドア1が開いた状態では、ドアガラス5は、上記の若干下がった位置の状態で維持されている。そして、再びドア1を閉める時にも上記したとおり、ルーフモール2の下端と干渉せずにドア1を閉め、その後、再びドアガラス5が若干上昇して完全にシールされる。
【0064】
このドアガラス5の微昇降システムは、上記のようにドア1の開閉に伴って、ドアガラス5が自動的に若干上下する。また、ドアガラス5に当接したときに、第2シール車外側保持壁屈曲部62と第2シール車内側保持壁屈曲部68で屈曲するために第2シール部60の変化量が小さく、シール性が低下することがない。
【0065】
ルーフサイドウエザストリップ10は、ソリッド材もスポンジ材もいずれも、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分の製造は完成する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態における、図3のA−A線に沿った車体開口部周縁上部の一部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における、図3のA−A線に沿った車体開口部周縁上部のドアガラスの先端がルーフサイドウエザストリップに当接する状態を示す断面図である。
【図3】自動車の側面図である。
【図4】従来のルーフサイドウエザストリップ断面図である。
【図5】従来の他のルーフサイドウエザストリップ断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ドア
2 ルーフモール
6 車体開口部周縁
10 ルーフサイドウエザストリップ
11 取付基部
20 車外側側壁
30 車内側側壁
40 底壁
50 第1シール部
60 第2シール部
61 第2シール車外側保持壁
63 第2シール先端部
64 第2シール第1中空部
67 第2シール車内側保持壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシュレスドアタイプの自動車車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁とドアのドアガラスの周辺部との間をシールするルーフサイドウエザストリップにおいて、
上記ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成され上記車体開口部周縁と上記ドアガラスとの間をシールするシール部を有し、上記取付基部は、少なくとも底壁と車内側側壁を備え、
該取付基部の内側に上記ドアガラスの上端と当接しシールする第1シール部と、上記ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする第2シール部とを分離して設け、
該第2シール部は、上記底壁又は車内側側壁から延設されL字形に屈曲した第2シール車外側保持壁と、該第2シール車外側保持壁の先端と上記車内側側壁とに接続する第2シール車内側保持壁から形成され、上記第2シール部の内部には、断面がL字形に屈曲した中空部を有し、ドア閉時等の上記ドアガラスが上記第2シール部に当接したときに、上記第2シール車外側保持壁がさらに屈曲するように第2シール車外側保持壁屈曲部を上記第2シール部の先端の位置よりも下側の位置に形成したことを特徴とする自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項2】
上記第2シール部は、上記断面がL字形に屈曲した第1中空部と、車内側に上記車内側側壁と接する第2中空部が形成された請求項1に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項3】
上記第2シール車内側保持壁の屈曲部は、上記第2シール車外側保持壁屈曲部のさらなる屈曲を助けるために、上記第2シール車外側保持壁屈曲部の直下の位置又は直下より若干、外側の位置に設けられた請求項1又は請求項2に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項4】
上記取付基部は、ソリッド材で形成され、上記第1シール部と第2シール部はスポンジ材で形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項5】
上記ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられたリテーナーに装着された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項6】
上記リテーナーは、車体開口部周縁に固着されたルーフモールに取付けられた請求項5に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項7】
上記ルーフサイドウエザストリップは、上記車体開口部周縁又はリテーナーに両面接着テープで取付けられた請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項8】
上記車体開口部周縁に設けられたルーフモールは、ドアガラスが閉じたときのドアガラスの上端を収納し、上記ドアガラスは、ドア開時にその上端がルーフモールから外れるように若干下がり、ドア開状態では、その位置を保持し、ドア閉時にともなって、再び上昇してその上端がルーフモールの内部に入り、ルーフモールの内部で、上記ドアガラスの上端を保持するドアガラス微昇降システムを備えたドアに装着された請求項6に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項9】
上記第1シール部は、中空形状である請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項10】
上記第2シール車内側保持壁の車内側の先端にカバーリップを設けた請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−162474(P2008−162474A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355673(P2006−355673)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】