説明

自動車用ルーフサイドウエザストリップ

【課題】サッシュレスドアタイプの自動車において、車体開口部周縁とドアガラスとの間のシール性を向上させるルーフサイドウエザストリップである。
【解決手段】ルーフサイドウエザストリップ10は、取付基部11と、シール部を有し、取付基部は、底壁40と車内側側壁30を備えている。取付基部の内側に第1シール部50と、第2シール部60とを分離して設けた。第1シール部は、第1シール車外側側壁51と、第1シール車内側側壁54及び、第1シール当接壁53から形成する。第1シール車内側側壁54と第1シール当接壁53は、スポンジ材で形成し、第1シール車外側側壁51は、少なくとも先端側がスポンジ材で形成され、第1シール車内側側壁は、第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも剛性を大きく形成し、第1シール車外側突部52を形成した自動車用ルーフサイドウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車体のドア開口縁の上部とドアのドアガラスとの間をシールする自動車用ルーフサイドウエザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアサッシュが設けられているドアの自動車の車体ドア開口縁とドアとの間をシールするシール構造においては、例えば、車体ドア開口縁のフランジにオープニングトリムウエザストリップを取り付け、ドアサッシュの外周にドアウエザストリップを取り付け、ドア閉時にオープニングトリムウエザストリップの中空シール部がドアサッシュの膨出部に当接し、ドアウエザストリップの中空シール部およびシールリップが車体ドア開口縁のアウターパネルに当接してドアとの間をシールしていた。
【0003】
このとき、ドアの内部において昇降するドアガラスは、その周囲をドアサッシュの内周側に取付けられたガラスランによって保持され、ガラスランの溝部内を昇降しており、このドアガラスとドアサッシュとの間のシールは、このガラスランによりなされている。
【0004】
しかしながら、この場合には、自動車の側面の外観では、ドアガラスの周囲にガラスラン、ドアサッシュやセンターピラーが目立つこととなり、デザイン的に改良の必要性があった。また、ドアサッシュやセンターピラーとドアガラスの間に、ガラスランが存在するため、ドアサッシュとドアガラスとの間の表面でギャップが存在してデザイン的に好ましくなかった。
【0005】
このため、図3に示すように、サッシュレスドアタイプの自動車車体として、ドアサッシュをなくして、ドア1のベルトライン部位よりも上部では、ドアガラス5だけを自由に昇降させることが行われている。これによって、自動車の側面では、ドア1のベルトライン部位から上の部分では、ドアガラス5のみの外観とすることができる。
【0006】
この場合に、車体のドア開口縁の上部とドアガラス5との間のシールは、図3に示すように、車体開口部周縁6の上部に取付けられたルーフサイドウエザストリップ110にドアガラス5が当接することにより行われる。車体開口部周縁6には、モール部としてのルーフモール2に一体的に形成されたリテーナー4が取付けられている。
【0007】
そのルーフサイドウエザストリップ110は、図4に示すように、車体開口部周縁6のリテーナー4に取り付けられる取付基部111と、ドアガラス5の上端と当接してシールするシール部150から構成される。取付基部111は、車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140から構成されている。
【0008】
シール部150は、ドアガラス5の上端と当接するシール壁151と中空部152から形成され、ドアガラス5が当接すると、シール壁151が中空部152の内部に撓むとともにドアガラス5の上端を包み込むようにシールすることができる(例えば、特許文献1参照。)。なお、車体開口部周縁6のフランジには、トリム170が装着され、ルーフサイドウエザストリップ110から延設されたカバーリップ159が当接して隙間をカバーしている。
【0009】
しかしながら、この場合には、ドアガラス5は、サッシュドアのように、その上部と側部の外周縁をドアサッシュとガラスランで保持されることがなく、ドアガラス5の上端の位置がぶれやすくなるとともに、車外方向に撓みやすくなる。そのため、ドア閉時に、ドアガラス5がシール部150に当接する位置が変わり、シール部150が異常変形して、シール性が低下する場合があった。
【0010】
なお、サッシュレスドアタイプの場合には、ドアガラス5が上昇したままドア1を閉めるときには、ドアガラス5はルーフサイドウエザストリップ10に横方向から当接し、ドア1を閉めたままドアガラス5を昇降させるときは、ルーフサイドウエザストリップ10に下方向から当接する。このため、それぞれ方向性から当接した場合のシール性をともに満足させるには限界があった。
【0011】
そのため、図5に示すように、中空のシール部を2つに分割して、ドアガラス5の上端と上端部の車内側側面の2箇所でシールして、ドアガラス5のそれぞれの当接方向に対して、分割したそれぞれのシール部でシールするようにしたものがある(例えば、特許文献2〜特許文献3参照。)。
【0012】
図5においては、ルーフサイドウエザストリップ210は、車体開口部周縁6に取付ける取付基部211と、取付基部211に一体的に、分割して形成された2つのシール部である第1シール部250と第2シール部260から構成される。
取付基部211は、車内側側壁230と底壁240から構成される。
第1シール部250は底壁240の車外側に形成され、第1シール車外側側壁251及び第1シール車内側側壁252と、それらのそれぞれの上端から延設された第1シール当接壁253により中空状を形成し、ドアガラス5の先端と当接して、シールしている。
【0013】
この場合に、ドアガラス5が上昇して第1シール部250の第1シール当接壁253に当接すると、第1シール車内側側壁252の根元が折れ点となり、第1シール部250の中空形状が全体として潰れてしまい、第1シール当接壁253とドアガラス5の先端との当接圧力が低下する。そうすると、第1シール当接壁253とドアガラス5の先端との間のシール性が低下し、特に高圧水で洗車した場合には、洗浄水が車内に浸入する場合があった。
【0014】
なお、第2シール部260は、車内側側壁230から延設され、側壁263と、側壁263の先端に形成されたリップ状の先端部261と、側壁263の内部の中空部262を有している。さらに、側壁263の車内側先端にはカバーリップが形成され、トリム270と当接して、隙間をカバーしている。
【0015】
また、最近のドアガラス微昇降システムを備えたドアにおいては、ドアの開時には、ドアガラス5の上端がルーフモール2から外れるように若干下がり、ドア閉時には、若干下がった状態のドアガラス5の上端が第1シール当接壁253に当接を繰り返し、 第1シール部250が変形しやすくなり、シール性が低下しやすくなる。
【特許文献1】特開2003−54329号公報
【特許文献2】実開平5−86644号公報
【特許文献3】特開平7−291057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このため、サッシュレスドアタイプの自動車において、車体開口部周縁とドアガラスとの間のシール性を向上させるルーフサイドウエザストリップが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、サッシュレスドアタイプの自動車車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁とドアのドアガラス周辺部との間をシールするルーフサイドウエザストリップにおいて、
ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に形成され車体開口部周縁とドアガラスとの間をシールするシール部を有し、取付基部は、少なくとも底壁と車内側側壁を備え、
取付基部の内側にドアガラスの上端と当接しシールする第1シール部と、ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする第2シール部とを分離して設け、
第1シール部は、底壁の内面の車外側側端から延設される第1シール車外側側壁と、底壁の中央部付近から延設される第1シール車内側側壁及び、第1シール車外側側壁と第1シール車内側側壁のそれぞれの先端を連結しドアガラスの先端に当接する第1シール当接壁とから形成し、第1シール車内側側壁と第1シール当接壁は、スポンジ材で形成し、第1シール車外側側壁は、少なくとも先端側がスポンジ材で形成され、第1シール車内側側壁は、第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも剛性を大きく形成し、第1シール車外側側壁の先端には延長方向に第1シール車外側突部を形成した自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0018】
請求項1の本発明では、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に形成され車体開口部周縁とドアとの間をシールするシール部を有し、取付基部は、少なくとも底壁と車内側側壁を備えている。このため、取付基部を車体開口部周縁に取付けると、シール部の位置が固定して、確実にドアガラスと当接してシールすることができる。
【0019】
取付基部の内側にドアガラスの上端と当接しシールする第1シール部と、ドアガラスの上端部の車内側側面に当接してシールする第2シール部とを分離して設けた。このため、ドアガラスの上端と上端部の車内側側面で2重にシールすることができ、シール性を向上させることができる。さらに、ドア閉時にドアガラスが横方向から当接しても、ドアガラスが昇降するときに、下から当接しても、第1シール部と第2シール部の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0020】
第1シール部は、底壁の内面の車外側側端から延設される第1シール車外側側壁と、底壁の中央部付近から延設される第1シール車内側側壁及び、第1シール車外側側壁と、第1シール車内側側壁のそれぞれの先端を連結しドアガラスの先端に当接する第1シール当接壁とから形成した。このため、底壁の内面に大きな中空形状を有するシール部を形成することができ、ドアガラスの先端の位置が振れても確実にシール性を確保することができる。
【0021】
第1シール車内側側壁と第1シール当接壁は、スポンジ材で形成し、第1シール車外側側壁は、少なくとも先端側がスポンジ材で形成された。このため、第1シール部は、柔軟性を大きくすることができ、ドアガラス先端の位置に応じて、ドアガラスの先端を確実に包むことができシール性を向上させることができる。
【0022】
第1シール車内側側壁は、第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも剛性を大きく形成したため、ドアガラスの先端が第1シール当接壁に当接した場合に、第1シール車内側側壁が倒れることがなく、第1シール部の中空形状が潰れることがなく、ドアガラスの先端と第1シール当接壁との間のシール性を確保することができる。
【0023】
第1シール車外側側壁の先端には延長方向に第1シール車外側突部を形成したため、ドアガラスの先端が第1シール当接壁に当接した場合に、第1シール車外側突部の先端が第1シール当接壁の撓みにつれて、ドアガラスの先端の外面に当接することができる。これにより、車外側において、第1シール当接壁と第1シール車外側突部の2箇所でシールすることができ、車外側からの雨水の浸入を確実に防止することができる。
【0024】
請求項2の本発明は、第1シール車内側側壁は、第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも肉厚に形成して剛性を大きくした自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0025】
請求項2の本発明では、第1シール車内側側壁は、第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも肉厚に形成して剛性を大きくしたため、同じスポンジ材を使用することができ、押出成形による製造が容易である。
【0026】
請求項3の本発明は、第1シール車外側側壁は、第1シール車外側側壁根元部がソリッド材で形成され、第1シール車外側側壁先端部がスポンジ材で形成された自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0027】
請求項3の本発明では、第1シール車外側側壁は、第1シール車外側側壁根元部がソリッド材で形成され、第1シール車外側側壁先端部がスポンジ材で形成されたため、ドアガラスの先端が第1シール当接壁に当接したときに、第1シール車外側側壁根元部が倒れることがなく、第1シール部の中空形状が潰れることを防止し、第1シール車外側側壁先端部と第1シール当接壁が柔軟に撓み、ドアガラスの先端を包むことができ、シール性を確保することができる。
【0028】
請求項4の本発明は、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられたリテーナー又はルーフモールに取り付けられ、第1シール車外側側壁は、ルーフモールに当接し、第1シール車外側側壁根元部と第1シール車外側側壁先端部との境界である第1シール車外側側壁境界線は、ルーフモールの先端よりも底壁側に位置する自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0029】
請求項4の本発明では、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられたリテーナー又はルーフモールに取り付けられ、第1シール車外側側壁は、ルーフモールに当接する。このため、高速走行時にドアガラスが車外側に撓んでも、第1シール車外側側壁は、ルーフモールに保持されてドアガラスの先端を支えることができ、ドアガラスが車外側に張り出すことを防止できる。
【0030】
第1シール車外側側壁根元部と第1シール車外側側壁先端部との境界である第1シール車外側側壁境界線は、ルーフモールの先端よりも底壁側に位置する。このため、第1シール車外側側壁先端部をスポンジ材で形成しても、第1シールリップ車外側側壁根元部がルーフモールで保持され、ドアガラスの先端を確実に保持することができ、ドアガラスが車外側に張り出すことはない。
【0031】
請求項5の本発明は、ドアガラスが最も上昇したときのドアガラスの先端は、ルーフモールの先端よりも底壁側に位置する自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0032】
請求項5の本発明では、ドアガラスが最も上昇したときのドアガラスの先端は、ルーフモールの先端よりも底壁側に位置するため、ルーフモールは、ドアガラスの先端が当たる第1シール車外側側壁の部分を保持し、ドアガラスの先端を確実に保持することができ、ドアガラスが車外側に張り出すことを防止できる。
【0033】
請求項6の本発明は、第2シール部の先端部分は、ドアガラスが上昇したときにドアガラスの内面の先端部付近に当接する自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0034】
請求項6の本発明では、第2シール部の先端部分は、ドアガラスが上昇したときにドアガラスの内面の先端部付近に当接するため、ドアガラスの内面において、第2シール部の先端部分と第1シール当接壁の2箇所でシールすることができ、シール性を向上させることができる。
【0035】
請求項7の本発明は、車体開口部周縁に設けられたルーフモールは、ドアガラスが閉じたときのドアガラスの上端を収納し、ドアガラスの上端は、ドア開時にルーフモールから外れるように若干下がり、ドア開状態では、その位置を保持し、ドア閉時にともなって、再び上端が若干上昇してルーフモールの内部に入り、ルーフモールの内部で、ドアガラスの上端を保持する自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0036】
請求項7の本発明では、車体開口部周縁に設けられたルーフモールは、ドアガラスが閉じたときのドアガラスの上端を収納し、ドアガラスは、ドア開時にその上端がルーフモールから外れるように若干下がる。このため、乗員がドア開時に特に特別の操作をしなくても、ドアを開く動作に伴って、ドアガラスの上端がルーフモール及びルーフサイドウエザストリップの第1シール部から外れる。これによって、ドアを車外方向に開くことができる。
【0037】
ドア開状態では、ドアガラスの上端はその位置を保持するが、ドア閉時にともなって、再びドアガラスの上端を若干上昇させてルーフモールの内部に入れ、ルーフモールの内部で、ドアガラスの上端をシールする。このため、ドア閉時には、ドアガラスの上端がルーフモールの内部に収容されるため、自動車の走行時にもドアガラスが振動することや車外方向に吸い出されることがない。
【発明の効果】
【0038】
本発明は上記のように、第1シール車内側側壁と第1シール当接壁は、スポンジ材で形成し、第1シール車外側側壁は、少なくとも先端側がスポンジ材で形成されため、第1シール部は、柔軟性を大きくすることができ、シール性を確保することができる。
第1シール車内側側壁は、第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも剛性を大きく形成したため、ドアガラスの先端が第1シール当接壁に当接した場合に、第1シール車内側側壁が倒れることがなく、ドアガラスの先端と第1シール当接壁との間のシール性を確保することができる。
第1シール車外側側壁の先端には第1シール車外側突部を形成したため、第1シール車外側突部の先端が第1シール当接壁に引っ張られて、ドアガラスの先端の外面に当接することができシール性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づき説明する。
図1と図2は、本発明の実施の形態を示すものである。図3は、自動車の側面図である。図3に示すように、本発明のルーフサイドウエザストリップ10は、サッシュレスドアタイプの自動車に使用されるもので、自動車の側面のドア1であるフロントドアとリヤドアの両方のベルトライン部位よりも上部には、ドアサッシュがなくドアガラス5がほぼ全面に設けられ、ドアガラス5はドア1から上下に昇降することができる。
【0040】
図1は、図3のA−A線におけるルーフモール2とルーフサイドウエザストリップ10のドアガラス5開時の取付状態を示す断面図であり、図2は、図3のA−A線におけるルーフモール2とルーフサイドウエザストリップ10のドアガラス5閉時の取付状態を示す断面図である。
【0041】
車体のルーフサイドは、車体開口部周縁6の付近においては、ルーフから連続して車内側に屈曲して、ルーフサイドの外側パネルを形成している。この外側パネルは車体開口部周縁6の入り口部分でフロントドアとリヤドアのドアガラス5の上端を収納する平坦部を形成している。この平坦部の下面にルーフモール2が取付けられる。
【0042】
ルーフモール2は、車体開口部周縁6の車外側面にフロントからリヤ方向に延びるモールアウターパネル7とモールアウターパネル7の裏面から断面略T字形に延び車体開口部周縁6の平坦部に密着してルーフモール2を取付ける取付脚部8から形成される。取付脚部8と車体開口部周縁6はビスやクリップ等で固着される。
【0043】
取付脚部8の車内側部分には断面がL字形のリテーナー4が取付けられている。リテーナー4の1辺は取付脚部8に密着して取り付けられ、他の1辺は、取付脚部8の車内側の先端において下方に延設され、その先端は鉤状に形成されている。リテーナー4は、ルーフモール2に又はルーフモール2を介して車体開口部周縁6に上記と同様にビスやクリップで固着されたり、両面接着テープで接着されたりしている。
【0044】
そして、ルーフモール2及びリテーナー4にルーフサイドウエザストリップ10が装着される。ルーフサイドウエザストリップ10は、取付基部11とシール部から構成され、取付基部11は、ソリッド材で形成され、車内側側壁30及び底壁40から形成されている。ソリッド材であるため、リテーナー4に強固に取付けられ、後述するシール部を確実にドアガラス5に当接させることができる。
【0045】
底壁40は、車外側寄りの部分で両面接着テープ42によりリテーナー4に接着されている。両面接着テープ42を使用せず、ルーフモール2に係止部を設け取付けても良い。底壁40の車外側の部分には後述する第1シール部50が下方に形成されている。底壁40の車内側の部分は底壁凹部41を形成し、車内側の側端には底壁凸部43が形成されている。底壁凸部43によりリテーナー4を取付けるビスの頭部を収容し、底壁40の柔軟性を向上させている。
【0046】
車内側側壁30からは、鉤状に形成されたリテーナー4の先端を覆う車内側カバーリップ31が延設され、その先端には車内側側壁鉤部32が形成されて、リテーナー4の先端に係止される。これによりリテーナー4のL字形の一方の辺を車内側側壁30と車内側カバーリップ31で挟持して、前述の両面接着テープ42と合わせてリテーナー4に取付基部11を取付けることができる。
【0047】
ルーフサイドウエザストリップ10のシール部は、底壁40の車外側に形成された第1シール部50と、底壁40の車内側と車内側側壁30に形成された第2シール部60から構成される。
第1シール部50は、スポンジ材で中空状に形成され、底壁40の先端と連続する第1シール車外側側壁51と、底壁40の中央付近から連続する第1シール車内側側壁54と、第1シール車外側側壁51と第1シール車内側側壁54のそれぞれの先端に連続しドアガラス5の上端を当接させる第1シール当接壁53とから形成される。第1シール車外側側壁51の先端(下端)の第1シール当接壁53と連続する部分には、下方に突出する第1シール車外側突部52が形成されている。
【0048】
第1シール車外側側壁51は、底壁40の先端から延設される第1シール車外側側壁根元部51aと、第1シール車外側側壁根元部51aの先端から連続して下方に延設される第1シール車外側側壁先端部51bから形成され、第1シール車外側側壁根元部51aと第1シール車外側側壁先端部51bの境界は、第1シール車外側側壁境界線51cが形成される。
【0049】
第1シール車外側側壁根元部51aは、底壁40と連続してソリッド材で形成され、第1シール車外側側壁先端部51bは、スポンジ材で形成される。
第1シール車外側側壁根元部51aがソリッド材で形成され、第1シール車外側側壁先端部51bがスポンジ材で形成されたため、後述するように、ドアガラス5の先端が第1シール当接壁53に当接したときに、第1シール車外側側壁根元部51aが倒れることがなく、第1シール部50の中空形状が潰れることを防止することができる。
【0050】
第1シール車内側側壁54は、底壁40の中央部付近から下方に延設され、スポンジ材で形成される。第1シール車内側側壁54は、第1シール車外側側壁51のスポンジ材で形成された第1シール車外側側壁先端部51bよりも肉厚に形成される。このため、第1シール車外側側壁先端部51bよりも剛性を大きくすることができ、ドアガラス5の先端が第1シール当接壁53に当接したときに、第1シール車内側側壁54が第1シール部50の内部に倒れることがなく、第1シール部50の中空形状が潰れることを防止することができる。また、スポンジ材を使用して肉厚を大きくすることで剛性を高くすることができ、押出成形による製造が容易である。
なお、第1シール車内側側壁54の剛性を上げるために、その一部をソリッド材で形成することもできる。
【0051】
第1シール当接壁53は、ドアガラス5が上昇したときに、その先端が当接するように、第1シール車外側側壁51と第1シール車内側側壁54のそれぞれの先端を連結し形成する。第1シール当接壁53は、第1シール車内側側壁54及び第1シール車外側側壁先端部51bと同様にスポンジ材で一体的に形成される。このため、底壁40の内面に大きな中空形状を有する第1シール部50を形成することができ、ドアガラス5の先端の位置が振れても確実にシール性を確保することができる。
【0052】
第2シール部60は、スポンジ材で中空状に形成され、底壁40と車内側側壁30の接続部分から斜め下方に延設された第2シール車外側保持壁61と、第2シール車外側保持壁61の先端から車内方向に湾曲して延設され車内側側壁30の先端と連結する第2シール車内側保持壁67から形成される。第2シール車外側保持壁61と第2シール車内側保持壁67の連結部分は、ドアガラス5の方向に向いている第2シール先端部63を形成している。
【0053】
第2シール車内側保持壁67の車内側の先端には、第2シール車内側保持壁67の延長方向に第2シールカバーリップ69が延設されている。第2シールカバーリップ69により、ルーフサイドウエザストリップ10と車体開口部周縁6に取付けられた内装材(図示せず)との間の隙間を塞ぎ、見栄えを向上させている。第2シール部60が所定箇所で屈曲変形するため、ドアガラス5が当接しても第2シールカバーリップ69は変形することなく隙間をカバーし続けることができる。
【0054】
第2シール車外側保持壁61は、断面L字形に屈曲して形成され、屈曲部分は第2シール車外側保持壁屈曲部62を形成している。第2シール車内側保持壁67の内面中央付近から車内側側壁30の先端部分に達する第2シール中間保持壁65が延設されている。このため、第2シール車外側保持壁61、第2シール中間保持壁65と第2シール車内側保持壁67の間の空間は、第2シール第1中空部64を形成し、車内側側壁30、第2シール中間保持壁65と第2シール車内側保持壁67の間の空間は、第2シール第2中空部66を形成している。
【0055】
次に、図2に基づき、ドアガラス5がルーフサイドウエザストリップ10に当接した状態を説明する。
ドアガラス5が上昇すると、ドアガラス5の上端は、第1シール部50の第1シール当接壁53に当接して、第1シール当接壁53は第1シール部50の中空部の内側に、ドアガラス5の上端を包み込むように撓む。
【0056】
このとき、第1シール車内側側壁54と第1シール当接壁53は、スポンジ材で形成し、第1シール車外側側壁51の第1シール車外側側壁先端部51bもスポンジ材で形成されたため、第1シール部50は、柔軟性を大きくすることができ、ドアガラス5の先端が自動車の振動や高速走行時の吸出しで振れても、ドアガラス5の先端を第1シール当接壁53で確実に包むことができシール性を確保することができる。
【0057】
第1シール車内側側壁54は、第1シール車外側側壁先端部51bよりもスポンジ材の肉厚を厚く形成したため、ドアガラス5の先端が第1シール当接壁53に当接した場合に、第1シール車内側側壁54が第1シール当接壁53に引っ張られても、第1シール部50の内側に倒れることがなく、第1シール部50の中空形状が潰れることがなく、ドアガラス5の先端と第1シール当接壁53との間のシール性を確保することができる。
【0058】
さらに、第1シール車外側側壁51の先端の第1シール当接壁53との接合部分に下方に向けて第1シール車外側突部52を形成したため、ドアガラス5の先端が第1シール当接壁53に当接した場合に、第1シール車外側突部52の先端が第1シール当接壁53の撓みにつれて、ドアガラス5の先端の外面に当接することができる。これにより、第1シール当接壁53の当接部分と第1シール車外側突部52の先端の当接する車外側側面の2箇所でシールすることができ、車外側からの雨水の浸入を確実に防止することができる。特に、高圧水で洗車した場合でも先浄水の浸入を防止することができる。
【0059】
また、ドアガラス5が上昇するときに、ドアガラス5の上端部の車内側側面に、第2シール部60が撓んで第2シール先端部63が当接する。これにより、ドアガラス5の上昇につれて、第2シール先端部63は、ドアガラス5の車内側側面を摺動して上方に屈曲しつつ、ドアガラス5の車内側側面と第2シール部60の間をシールすることができる。
【0060】
このため、第1シール当接壁53によるドアガラス5の上端と、第2シール部60による上端部の車内側側面で2重にシールすることができ、シール性を向上させることができる。さらに、第1シール部50と第2シール部60とは、分離して形成されているので、ドア閉時とドアガラス5が昇降するときに、第1シール部50と第2シール部60の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0061】
第2シール部60は、ドア閉時等でドアガラス5の車内側側面に当接したときに、断面がさらにL字形に屈曲変形するように第2シール車外側保持壁屈曲部62と、第2シール車内側保持壁屈曲部68の部分で屈曲できるようになっている。このため、ドアガラス5が当接したときに、第2シール車外側保持壁屈曲部62と第2シール車内側保持壁屈曲部68で確実に柔軟に屈曲変形し、ドアガラス5の位置がずれても第2シール部60が確実にドアガラス5に当接し、シールすることができる。
【0062】
また、第2シール部60が柔軟に屈曲するため、ドアガラス5に強く押さえつけられることがなく、ドアガラス5の昇降時に第2シール部60が巻き込まれることがなく、異常変形することがない。
さらに、ドア閉時にドアガラス5が横方向から当接しても、昇降時と同様にドアガラス5が昇降するときに、下から当接しても、第1シール部50と第2シール部60の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0063】
次に、ドアガラス5の微昇降システムを有する場合について説明する。
ドアガラス5の微昇降システムにおいては、ドアガラス5が上昇した状態で、ドア1の開閉動作が行われた場合には、ドアガラス5の上端はルーフモール2のモールアウターパネル7の下端に衝突しないように、モールアウターパネル7の下端よりも下の位置に若干下げられ、その状態でドアが開かれる。ドア開きの状態においては、ドアガラス5の上端は前記した若干下げられた位置で保持されている。そして、ドアを閉めた場合、ドアガラス5の上端部は上記の位置で、ルーフサイドウエザストリップ10の第2シール部60に横方向から当接する。
【0064】
ドア1が閉じられた後にすぐ、ドアガラス5は再び若干上昇し、ドアガラス5の上端はルーフモール2内のルーフサイドウエザストリップ10の第1シール部50の第1シール当接壁53に当接し、第1シール部50の内部に侵入し、ドアガラス5は、最も上昇する。
ドアガラス5が最も上昇したときのドアガラス5の先端は、ルーフモール2のモールアウターパネル7の先端よりも底壁40側、即ち、のモールアウターパネル7の内部に位置するため、モールアウターパネル7が、ドアガラス5の先端が当たる第1シール車外側側壁51の部分を保持し、ドアガラス5の先端を確実に保持することができ、ドアガラス5が車外側に張り出したり、車外側に吸い出されたりすることなくシールされ、保持されている。
【0065】
第1シール車外側側壁根元部51aと第1シール車外側側壁先端部51bとの境界である第1シール車外側側壁境界線51cは、ルーフモール2のモールアウターパネル7先端よりも底壁側に位置する。このため、第1シール車外側側壁先端部51bをスポンジ材で形成しても、第1シール車外側側壁51を支えて、ドアガラス5の先端を確実に保持することができ、ドアガラス5が車外側に張り出すことはない。また、第1シール車外側側壁51をソリッド材の第1シール車外側側壁根元部51aとスポンジ材の第1シール車外側側壁先端部51bとから形成することにより、ドアガラス5の先端が第1シール当接壁53に当接したときに、スポンジ材で形成された第1シール車外側側壁先端部51bで変形することにより、第1シール車外側突部52を確実に当接させる。
なお、ドア1を閉じた状態でドアガラス5を昇降させるとドアガラス5の上端は、まず第2シール部60の第2シール先端部63に当接し、この第2シール先端部63を屈曲させつつ、その車内側側面を摺動させて、その後、ドアガラス5の上端が第1シール部50の第1シール当接壁53に当接する。
【0066】
ドア1の開時、ドアガラス5は、ドアガラス閉の状態からドアガラス微昇降システムによって若干下げられ、即ち、ドアガラス5の上端が、ルーフモール2のモールアウターパネル7下端よりも下の位置となるように降下させられ、その位置で停止し、その後、ドア1が開けられる。このとき、ドアガラス5の上端は、ルーフモール2の下端と干渉しないので、ドア開きには影響せず、ドア1を開くことができる。このように、乗員がドア開時に特に特別の操作をしなくても、ドア1を開く動作に伴って、ドアガラス5の上端がルーフモール2及びルーフサイドウエザストリップ10から外れる。これによって、ドアを車外方向に開くことができる。
【0067】
そして、ドア1が開いた状態では、ドアガラス5は、上記の若干下がった位置の状態で維持されている。そして、再びドア1を閉める時にも上記したとおり、ルーフモール2の下端と干渉せずにドア1を閉め、その後、再びドアガラス5が若干上昇して完全にシールされる。
【0068】
このドアガラス5の微昇降システムは、上記のようにドア1の開閉に伴って、ドアガラス5が自動的に若干上下する。また、ドアガラス5に当接したときに、第2シール車外側保持壁屈曲部62と第2シール車内側保持壁屈曲部68で屈曲するために第2シール部60の変化量が小さく、シール性が低下することがない。
【0069】
ルーフサイドウエザストリップ10は、ソリッド材もスポンジ材もいずれも、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分の製造は完成する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態における、図3のA−A線に沿った車体開口部周縁上部の一部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における、図3のA−A線に沿った車体開口部周縁上部のドアガラスの先端がルーフサイドウエザストリップに当接する状態を示す断面図である。
【図3】自動車の側面図である。
【図4】従来のルーフサイドウエザストリップ断面図である。
【図5】従来の他のルーフサイドウエザストリップ断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 ドア
2 ルーフモール
6 車体開口部周縁
10 ルーフサイドウエザストリップ
11 取付基部
20 車外側側壁
30 車内側側壁
40 底壁
50 第1シール部
51 第1シール車外側側壁
51a 第1シールリップ車外側側壁根元部
51b 第1シール車外側側壁先端部
51c 第1シール車外側側壁境界線51c
52 第1シール車外側突部
53 第1シール当接壁
54 第1シール車内側側壁
60 第2シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードトップタイプの自動車車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁とドアとの間をシールするルーフサイドウエザストリップにおいて、
上記ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成され上記車体開口部周縁とドアとの間をシールするシール部を有し、上記取付基部は、少なくとも底壁と車内側側壁を備え、
該取付基部の内面に上記ドアガラスの先端と当接しシールする第1シール部と、上記ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする第2シール部とを分離して設け、
上記第1シール部は、上記底壁の内面の車外側側端から延設される第1シール車外側側壁と、上記底壁の中央部付近から延設される第1シール車内側側壁及び、該第1シール車外側側壁と第1シール車内側側壁のそれぞれの先端を連結しドアガラスの先端に当接する第1シール当接壁とから形成し、上記第1シール車内側側壁と上記第1シール当接壁は、スポンジ材で形成し、上記第1シール車外側側壁は、少なくとも先端側がスポンジ材で形成され、上記第1シール車内側側壁は、上記第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも剛性を大きく形成し、上記第1シール車外側側壁の先端には延長方向に第1シール車外側突部を形成したことを特徴とする自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項2】
上記第1シール車内側側壁は、上記第1シール車外側側壁のスポンジ材で形成された部分よりも肉厚に形成して剛性を大きくした請求項1に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項3】
上記第1シール車外側側壁は、第1シール車外側側壁根元部がソリッド材で形成され、第1シール車外側側壁先端部がスポンジ材で形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項4】
上記ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられたリテーナー又はルーフモールに取り付けられ、上記第1シール車外側側壁は、ルーフモールに当接し、上記第1シール車外側側壁根元部と第1シール車外側側壁先端部との境界である第1シール車外側側壁境界線は、上記ルーフモールの先端よりも底壁側に位置する請求項3に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項5】
上記ドアガラスが最も上昇したときの上記ドアガラスの先端は、上記ルーフモールの先端よりも底壁側に位置する請求項4に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項6】
上記第2シール部の先端部分は、上記ドアガラスが上昇したときにドアガラスの内面の先端部付近に当接する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項7】
上記車体開口部周縁に設けられたルーフモールは、ドアガラスが閉じたときのドアガラスの上端を収納し、ドアガラスの上端は、ドア開時にルーフモールから外れるように若干下がり、ドア開状態では、その位置を保持し、ドア閉時にともなって、再び上端が若干上昇してルーフモールの内部に入り、ルーフモールの内部で、上記ドアガラスの上端を保持する請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−6823(P2009−6823A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169379(P2007−169379)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】