自動車用衝撃吸収部材
【課題】低い衝撃荷重が入力した際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮し、人身の保護を有利になし得る自動車用衝撃吸収部材を提供する。
【解決手段】樹脂製の成形体からなり、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延び略平行に配置される二つの板状リブ1、2と、板状リブ1の両端にそれぞれの一端が連結される一対の第1板状保持部31、32と板状リブ2の両端にそれぞれの一端が連結される一対の第2板状保持部33、34とを有する筒状部材3と、から構成されている。一対の第1板状保持部31、32は、板状リブ1の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ1と直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置されている。一対の第2板状保持部33、34は、板状リブ2の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ2と直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置されている。
【解決手段】樹脂製の成形体からなり、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延び略平行に配置される二つの板状リブ1、2と、板状リブ1の両端にそれぞれの一端が連結される一対の第1板状保持部31、32と板状リブ2の両端にそれぞれの一端が連結される一対の第2板状保持部33、34とを有する筒状部材3と、から構成されている。一対の第1板状保持部31、32は、板状リブ1の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ1と直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置されている。一対の第2板状保持部33、34は、板状リブ2の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ2と直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のバンパや車室を形成する車室形成部材等に好適に採用される自動車用衝撃吸収部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車においては、衝突時の衝撃を吸収して人身や車体を保護するために、車体フレームや車室形成部材等に種々の衝撃吸収部材が採用されている。例えば、車体フレームの前後部には、自動車の衝突時に衝撃エネルギを吸収するためのバンパが取付けられている。このようなバンパは、一般的に、車体フレームにねじ止め等により取付けられた鉄製のクラッシュボックスと、クラッシュボックスの外側に取付けられた鉄製のバンパビームと、バンパビームの外側に取付けられた樹脂製のバンパフェイシアとから構成されている。
【0003】
このバンパは、低速走行中等に発生する軽衝突時には、柔軟な樹脂からなるバンパフェイシアが衝突相手にソフトに衝突して弾性変形することにより衝撃エネルギを吸収する。これにより、衝突相手側へのダメージを軽減することができ、特に歩行者等の人身を保護することができる。しかし、衝突相手側へのダメージを少なくするためには、バンパフェイシアの充分な弾性変形量が必要であり、その分バンパフェイシアの大きな変形スペースが必要となる。
【0004】
また、高速走行中等に車体どうしや車体と構造物等との衝突により発生する重衝突時には、鉄製のバンパビームやクラッシュボックスが塑性変形して潰れることにより大きな衝撃エネルギを吸収する。これにより、車体や乗員等に及ぼされるダメージを軽減することができる。これらバンパビームやクラッシュボックスは、一般的には、鉄系やアルミニウム系等の金属により形成されていることから、重量の増大を回避するため、その内部に中空部を有するような中空構造にされている。
【0005】
なお、バンパビームの強度を向上させるためには、補強板を追加したり(特許文献1参照。)、バンパビームを形成する金属板の肉厚を厚くしたり、バンパビームの中空部に発泡ウレタン等の発泡弾性体を充填したりする(特許文献2参照。)等の手法が採用されている。
【0006】
ところで、近年においては、歩行者との衝突時における歩行者の安全性がより高いレベルで要求されるようになり、特に、歩行者と衝突する恐れの高いバンパに対しても、より高い衝撃エネルギ吸収機能を有することが要求されるようになっている。
【0007】
そこで、この要求に対処するため、対人衝突に見合った低い衝突荷重でエネルギ吸収に必要な断面方向の変形を生じさせることができるようにした対人保護用エネルギ吸収部材が提案されている(特許文献3参照。)。このエネルギ吸収部材は、車体前後方向に略平行に設けられた前面フランジと後面フランジ及びこれらのフランジ間をつなぐ略平行に設けられた左右のウエブとから構成され、各ウエブは各々外側方に向かって湾曲しているアルミニウム合金中空形材からなるものである。
【0008】
しかし、このエネルギ吸収部材は、アルミニウム合金中空形材からなるものであることから、樹脂材料と比較して重量の増加を招きやすく、燃費の点で不利になる。
【0009】
一方、近年においては、衝突時における乗員の安全性もより高いレベルで要求されるようになり、特に、乗員の頭部が衝突する恐れの高い車室形成部材のルーフサイド部に対しても、より高い衝撃エネルギ吸収機能を有することが要求されるようになっている。
【0010】
そこで、この要求に対処するため、例えば特許文献4には、車室形成部材としてのルーフパネルと、そのルーフパネルの内側に配置される天井材(内装部品)との間に、発泡ウレタン等からなる衝撃吸収部材を配設することが開示されている。また、例えば特許文献5には、車室形成部材としてのパネルと、そのパネルの室内側に配設されるトリム部材(内装部品)との間に、樹脂材料で形成された所定構造のリブ部を有するエネルギ吸収体を介設することが開示されている。
【0011】
上記のように、比較的低い衝撃荷重が入力したときに衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材として、樹脂材料で所定形状に形成された成形体が従来より知られており、この衝撃吸収部材は、大きく二つに分類できる。
【0012】
一つは、発泡ウレタンや発泡PP(ポリプロピレン)等の発泡弾性体であって、例えば、バンパに形成された中空部内に充填配置されて使用されたり(特許文献1の図49参照。)、車室形成部材と内装部品との間に配設されて使用される(特許文献4参照。)。しかし、この発泡弾性体は、衝撃荷重入力時の荷重と変位量の関係を表す線図において比較的フラットな特性曲線を示し、エネルギ吸収効率は比較的良好であるが、潰れ残りが大きく、スペース効率が悪いという点で問題となる。
【0013】
もう一つは、PPやPE(ポリエチレン)、ABS樹脂等で形成されたリブ構造体であって、例えば特許文献5に開示されているように、車室形成部材と内装部品との間に配設されて使用される。このリブ構造体は、衝撃入力方向に延びるように配置されたリブが衝撃入力時に座屈変形することによって衝撃エネルギを吸収する。しかし、このリブ構造体は、一般的に初期の衝撃荷重が大きくなりやすいことから、衝突相手への衝撃が大きくなりやすい点で問題となる。また、このリブ構造体は、射出成形で作製されるため、長尺のものは製造コストが高くなりやすい。
【特許文献1】特開平6−171441号公報
【特許文献2】特開2001−132787号公報
【特許文献3】特開2004−90910号公報
【特許文献4】特開2001−322506号公報
【特許文献5】特開平11−192907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、低い衝撃荷重が入力した際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮し、人身の保護を有利になし得る自動車用衝撃吸収部材を提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の自動車用衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブと、該板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されるとともにそれぞれの該一端から前記板状リブと直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置され、衝撃荷重入力時に前記板状リブを引張変形させる一対の板状保持部と、を備えていることを特徴としている。
【0016】
本発明の自動車用衝撃吸収部材は、例えば自動車のバンパや車室形成部材等の所定の部位に、板状リブが衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置されて、一対の板状保持部の両他端部が固定された状態に取付けられる。この状態に取付けられた衝撃吸収部材に対して低い衝撃荷重が入力すると、板状リブが一対の板状保持部の両他端部に接近するように変位する。このとき、一対の板状保持部の両一端部が互いに遠ざかるように変位することにより、板状リブの両端が遠ざかるように引っ張られて板状リブが引張変形させられ、この板状リブの引張変形によって衝撃エネルギが吸収される。
【0017】
このように、樹脂製の板状リブの良好な伸び特性や引張特性を利用して衝撃エネルギが吸収されることから、初期の衝撃荷重が急激に大きくならず、しかも板状リブの引張変形が継続的に行われるので初期の衝撃荷重の低下が極めて少ないため、効率良く衝撃エネルギが吸収される。また、一対の板状保持部及び板状リブは、衝撃荷重入力方向に折り畳まれることがないので潰れ残りが小さくなるため、より大きな衝撃エネルギ吸収量の確保が可能となる。したがって、本発明の自動車用衝撃吸収部材は、低い衝撃荷重が入力した際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮し、人身の保護を有利になし得る。
【0018】
本発明において、板状リブは、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上の樹脂材料で形成されているのが好ましい。このようにすれば、衝撃荷重入力時に板状保持部によって引張変形させられる板状リブの引張変形に対する良好な特性を確保することができるので、良好な衝撃エネルギ吸収性能を確保することができる。なお、ここでの引張破断伸び及び引張降伏応力とは、JIS−K7162でそれぞれ定義する引張破断伸び及び引張降伏応力のことをいう。この板状リブの板厚は、0.4〜4.0mm程度にされているものが好適となる。
【0019】
板状リブを形成する樹脂材料としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)、PC(ポリカーボネート)、PC/PBT(ポリブチレンテレフタレート)アロイ、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等を好適に採用することができる。これらの樹脂材料のうちで、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)は、曲げ弾性率が0.8Gpa以上、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上であるため、特に好適に採用することができる。
【0020】
本発明において、一対の板状保持部は、略筒状に形成されて二対の板状保持部を有する筒状部材によって構成することができる。この筒状部材は、断面形状が円形や楕円に限らず、例えば六角形や八角形のような多角形のものを採用することができる。この場合の衝撃吸収部材は、筒状部材の内周に一つ又は二つの板状リブの両端が連結されることにより構成される。
【0021】
例えば板状リブが一つの場合には、板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブの一面側に配置される一対の第1板状保持部と板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブの他面側に配置される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材が採用される。この場合、一対の第1板状保持部の他端どうし及び一対の第2板状保持部の他端どうしは、板状連結部によって連結される。各対の板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部は、筒状部材の周方向において2箇所に設けられており、そのうちの少なくとも1箇所の板状連結部が取付固定部として利用される。この板状連結部の肉厚は、衝撃荷重入力時に一対の板状保持部の他端部の位置固定をより確実にするために、板状リブの肉厚よりも厚くされているのが好ましい。
【0022】
なお、一方の板状連結部の箇所が取付固定部として利用される場合には、その板状連結部を排除するように軸方向に延びるスリットを形成し、そのスリットの両側に位置する板状保持部にそれぞれ取付固定部を設けるようにしてもよい。
【0023】
また、板状リブが二つの場合には、一方の板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第1板状保持部と、他方の板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材が採用される。この筒状部材は、一対の第1板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部と、一対の第2板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部に加えて、両板状リブの一端どうし及び他端どうしをそれぞれ連結する一対の板状連結部を有するように構成され、隣り合う板状保持部の間に合計四つの板状連結部を有する。この場合、一対の第1板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部と一対の第2板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部は、上記のように板状リブが一つの場合と同様にすることができる。
【0024】
本発明において、板状保持部及び板状連結部は、板状リブと同種の上記した樹脂で形成したもの、又は例えば鉄系やアルミニウム系、マグネシウム系等の金属で形成したものを採用することができる。樹脂製のものは、入力する衝撃荷重が比較的低い場合に対応するもので、バンパ用の衝撃吸収部材に好適となる。一方、金属製のものは、入力する衝撃荷重が比較的高い場合や小型化の要求にも対応可能となることから、ルーフサイドやピラー等の車室形成部材用の衝撃吸収部材に好適となる。金属製の場合には、少なくとも板状保持部は、充分な剛性を確保するために、JIS−K7171で定義する曲げ弾性率が30Gpa以上の金属材料で形成されているのが好ましい。なお、板状保持部を金属材料で形成した場合においても、板状保持部の肉厚を薄くすることで、歩行者保護用としてバンパにも適用可能であることは勿論である。
【0025】
なお、樹脂製の場合には、少なくとも板状保持部は、ある程度の剛性を確保するために、JIS−K7171で定義する曲げ弾性率が0.8Gpa以上の樹脂材料で形成されているのが好ましい。このようにすれば、衝撃荷重入力時に板状リブをより確実に引張変形させることが可能となる。また、板状保持部の肉厚は、板状リブの肉厚よりも厚くされているのが好ましい。このようにすれば、板状保持部の充分な剛性が確保されるため、板状リブを確実に引張変形させることができる。さらには、板状保持部の中央部の肉厚を両端部よりも厚くすることによっても、板状保持部の充分な剛性を確保することができる。
【0026】
なお、一対の板状保持部を板状リブと同じ樹脂材料で一体に形成する場合、成形処理は、従来より公知の方法を採用することができるが、特に、長尺ものの製造に有利な押出成形等の採用が可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の自動車用衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブと、該板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されるとともにそれぞれの該一端から前記板状リブと直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置され、衝撃荷重入力時に前記板状リブを引張変形させる一対の板状保持部と、を備えているため、低い衝撃荷重が負荷された際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮し、人身の保護を有利になし得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態1〕
図1は本実施形態に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図であり、図2はその自動車用衝撃吸収部材の斜視図である。
【0029】
本実施形態の衝撃吸収部材は、図1及び図2に示すように、樹脂材料で一体に形成された長尺略筒状の成形体からなるものであって、略平行に配置された二つの板状リブ1、2と、一対の第1板状保持部31、32と一対の第2板状保持部33、34と四つの板状連結部35〜38とからなり板状リブ1、2を内部に保持する筒状部材3と、から構成されている。
【0030】
二つの板状リブ1、2は、略一定の肉厚1.2mmで、幅寸法W4が70mmとされた平板状に形成されている。この板状リブ1、2は、板状連結部17、18の幅寸法に相当する距離を隔てて略平行に配置されている。
【0031】
筒状部材3は、周方向に距離を隔てて配列された一対の第1板状保持部31、32及び一対の第2板状保持部33、34と、隣り合う各板状保持部31〜34の端部どうしを連結するように周方向において4箇所に配置された板状連結部35〜38とからなり、断面形状が八角形の筒状に形成されている。一対の第1板状保持部31、32は、一方の板状リブ1の幅方向両端にそれぞれの一端が連結されるとともに、それぞれの他端どうしが板状連結部35により連結されている。これにより、一対の第1板状保持部31、32は、板状リブ1の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ1と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜して配置されている。板状連結部35は、板状リブ1と略平行に配置されている。
【0032】
また、一対の第2板状保持部33、34は、他方の板状リブ2の幅方向両端にそれぞれの一端が連結されるとともに、それぞれの他端どうしが板状連結部36により連結されている。これにより、一対の第1板状保持部31、32は、板状リブ2の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ2と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜して配置されている。板状連結部36は、板状リブ2と略平行に配置されている。そして、両板状リブ1、2の一端どうしは板状連結部37により連結され、両板状リブ1、2の他端どうしは板状連結部38により連結されている。
【0033】
各第1及び第2板状保持部31〜34は、外面が平面とされ、内面は中央部が内方へ膨らむように湾曲面とされていることにより、中央部の肉厚が両端部よりも厚くなるようにされており、その中央部の肉厚は4.4mmとされている。各第1及び第2板状保持部31〜34の幅寸法W1は35mmとされている。また、第1板状保持部31、32の他端どうしを連結する板状連結部35と第2板状保持部33、34の他端どうしを連結する板状連結部36も、外面が平面とされ、内面は中央部が内方へ膨らむように湾曲面とされていることにより、中央部の肉厚が両端部よりも厚くなるようにされており、その中央部の肉厚は4.4mmとされている。各板状連結部35、36の幅寸法W2は20mmとされている。
【0034】
また、両板状リブ1、2の一端どうしを連結する板状連結部37と両板状リブ1、2の他端どうしを連結する板状連結部38は、外面及び内面が平面とされて略一定の肉厚3mmにされており、各第1及び第2板状保持部31〜34の肉厚よりも少し薄くされている。よって、第1及び第2板状保持部31〜34と四つの板状連結部35〜38とからなる筒状部材3の肉厚は、板状リブ1、2の肉厚よりも厚くされている。各板状連結部17、18の幅寸法W3は26mmとされている。
【0035】
本実施形態の衝撃吸収部材は、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)により形成された押出成形材を所定寸法に切断した後、所定の湾曲形状に整形加工することにより作製されている。これにより、筒状部材3の第1及び第2板状保持部31〜34は、曲げ弾性率が0.8Gpa以上とされ、板状リブ1、2は、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上とされている。
【0036】
以上のように構成された本実施形態の自動車用衝撃吸収部材は、例えば図3及び図4に示すように、自動車の前後部に装備されるバンパに対して取付けられ、歩行者保護用として使用される。この衝撃吸収部材は、車体フレーム(図示せず)の前部に一対のクラッシュボックス5、5を介して取付けられた鉄製のバンパビーム6の前面(車体フレームの後部の場合は後面)に、取付固定部となる板状連結部35の外面が接着剤で固着されることにより取付けられており、バンパビーム6とこれの外側に取付けられるバンパフェイシア7との間に配設されている。この場合、衝撃吸収部材は、板状リブ1、2が衝撃荷重入力方向(主として図4における矢印x方向)に対して略直交する方向(略上下方向)に延びるように配置された状態に取付けられている。
【0037】
このように衝撃吸収部材が取付けられた自動車が低速走行中に歩行者と衝突して、バンパフェイシア7に低い衝撃荷重が入力すると、バンパフェイシア7の弾性変形に伴う変位によって、その衝撃荷重が衝撃吸収部材に入力し、衝撃吸収部材はバンパビーム6とバンパフェイシア7により衝撃荷重入力方向(主として図4における矢印x方向)に圧縮される。これにより、衝撃吸収部材は、図5(a)〜(e)に示すように、衝撃荷重入力方向において対向する両板状連結部35、36が接近するように変形する。このとき、第1板状保持部31、32の板状リブ1側の端部どうし、及び第2板状保持部33、34の板状リブ2側の端部どうしが互いに遠ざかるように変位することにより、板状リブ1、2の両端が遠ざかるように引っ張られて板状リブ1、2が引張変形させられ、この板状リブ1、2の引張変形によって衝撃エネルギが効率良く吸収される。
【0038】
このように、樹脂製の板状リブ1、2の良好な伸び特性や引張特性を利用して衝撃エネルギが吸収されることから、初期の衝撃荷重が急激に大きくならず、しかも板状リブ1、2の引張変形が継続的に行われるので初期の衝撃荷重の低下が極めて少ないため、極めて効率良く衝撃エネルギが吸収される。また、本実施形態の衝撃吸収部材では、各第1及び第2板状保持部31〜34及び板状リブ1、2は、衝撃荷重入力方向に折り畳まれることがないので潰れ残りが小さくなるため、限られた設置スペースにおいても大きな衝撃エネルギ吸収量の確保が可能となる。よって、衝突相手の歩行者に及ぼされるダメージが大幅に軽減され、歩行者の保護が確実になされる。
【0039】
以上のように、本実施形態の衝撃吸収部材は、樹脂材料で一体に形成された成形体からなり、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される二つの板状リブ1、2と、板状リブ1、2の両端にそれぞれの一端が連結されて衝撃荷重入力時に板状リブ1、2を引張変形させる第1及び第2板状保持部31〜34を有する筒状部材3と、から構成されているため、低い衝撃荷重が負荷された際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮することができ、歩行者の保護を確実に且つ有利になすことができる。
【0040】
また、本実施形態の衝撃吸収部材は、長尺ものの製造に有利な押出成形で作製することができるので、製造コストの上昇を回避することができる。
【0041】
なお、上記実施形態の衝撃吸収部材は、筒状部材3の板状連結部35の外面が接着剤でバンパビーム6に固着されることによって取付固定されるように構成されているが、例えば図6に示すように、筒状部材3の対をなす第1板状保持部31、32の間部分に板状連結部35を排除するように軸方向に延びるスリットを形成し、対をなす第1板状保持部31、32のスリットに沿ったそれぞれの端部に、取付固定部31b、32bを設けるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態の衝撃吸収部材は、それぞれ対をなす第1板状保持部31、32と第2板状保持部33、34が、板状リブ1、2と連結されている側の端部どうしで対向するように構成されているが、例えば図7に示すように逆にして、それぞれ対をなす第1板状保持部31、32と第2板状保持部33、34が板状連結部39と連結されている側の端部どうしで対向するように構成するようにしてもよい。この場合、板状連結部39は、第1板状保持部31、32と第2板状保持部33、34の共有の連結部とされ、その板状連結部39が取付固定部とされる。
【0043】
また、上記実施形態では、歩行者保護用として自動車のバンパに衝撃吸収部材が配設されているが、本発明の衝撃吸収部材は、その他に、例えば乗員の頭部保護用として、ボディーパネル等の車室形成部材とピラーガーニッシュやルーフライニング等の内装部品との間の空間部に配設することができる。
【0044】
〔試験〕
本発明の自動車用衝撃吸収部材の衝撃エネルギ吸収性能を調べる試験を行った。本発明に係る衝撃吸収部材として、実施例1及び実施例2を準備した。実施例1は、図8に示すように、一つの板状リブ1aと、板状リブ1aの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブ1aの一面側に配置される一対の第1板状保持部31a、32aと板状リブ1aの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブ1aの他面側に配置される一対の第2板状保持部33a、34aとを有する断面形状が円形の筒状部材3aとからなる。この実施例1は、上記実施形態で用いた樹脂材料と同じ熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)で形成されている。筒状部材3aは、外径が60mmとされ、肉厚が5mmで略一定にされている。また、板状リブ1aは、厚さが1.6mmで略一定にされ、幅寸法W5が45mmとされている。実施例2は、上記実施形態の図1に示すものと同じ構成のものである。
【0045】
比較例1として、図9に示すような発泡PPを準備した。この比較例1は、発泡倍率が15倍であり、60mm×60mm×60mmの大きさの方体に形成されている。
【0046】
また、比較例2として、実施例1及び2と同じ樹脂材料で形成された図10に示すようなリブ構造体を準備した。この比較例2は、正方形の平板状の基部61と、基部61に立設された縦方向に延びる平板状の2枚の縦リブ62と横方向に延びる平板状の2枚の横リブ63とが直角に交差して形成された格子状リブ64とからなる。基部61の厚みAは2.5mmであり、縦リブ62の厚みBは1.2〜1.7mmであり、横リブ63の厚みCは1.2〜1.7mmである。隣り合う縦リブ62どうしの芯−芯間距離Dは30mmであり、隣り合う横リブ63どうしの芯−芯間距離Eは30mmである。縦リブ62及び横リブ63の高さFは30mmである。
【0047】
この試験は、図11に示すように、上下2枚の金属プレート71、72の間に各試験片を挟んだ状態に配置し、上方から上側の金属プレート71に3m/sの速度で衝撃荷重を負荷し、その負荷により加わる荷重値(kN)とその際の試験片の変形率(%)との関係を調べるものであり、その結果は図12に示されている。
【0048】
なお、図12において、各試験片のエネルギ吸収量は、それぞれの特性曲線と変形率を示す横軸線とによって囲まれた領域の面積に相当し、その面積が大きい程、エネルギ吸収量が大きいと評価される。
【0049】
図12から明らかなように、比較例1の場合には、荷重負荷初期の段階で、荷重値がやや急激に小さく立ち上がった後、変形率が約60%近くになるまで荷重値が緩やかに上昇し、その後、変形率が約60%に達した以降荷重値が急激に上昇している。この比較例1の場合には、変形率が約3〜60%となる範囲で、荷重値は緩やかに上昇しており、荷重のそれほど大きくない前半部分では大きな衝撃エネルギ吸収量が得られず、全体として衝撃エネルギ吸収効率はまだまだ改善の余地があることが解る。また、比較例1の場合にも、変形率が65%程度のときに潰れ切りとなっていることから、スペース効率は良好とは言えない。
【0050】
また、比較例2の場合には、荷重負荷初期の段階で、荷重値が急激に大きく立ち上がった後、急激に大きく下降し、その後、変形率が約50%になるまで荷重値がやや大きく波打つようにして上昇し、その後、変形率が約55%付近から荷重値が急激に上昇している。この比較例2の場合には、変形率が約5〜30%となる範囲で荷重値が大きく落ち込んでいるので、この範囲で衝撃エネルギを充分に吸収することができず、衝撃エネルギ吸収効率は良くない。また、変形率が55%程度のときに潰れ切りとなっていることから、スペース効率も良くない。
【0051】
これに対して、実施例1の場合には、荷重負荷初期の段階で、変形率が30%を越える程度まで荷重値が立ち上がった後、変形率が約80%になるまで荷重値が殆ど変動することなく横這い状態となり、その後、荷重値が急激に大きく上昇している。この実施例1の場合には、変形率が約30〜80%となる広い範囲で、荷重値が変動することなく高い状態を維持していることから、比較例1及び2に比べて充分に大きい衝撃エネルギ吸収量が得られることが解る。このように広い範囲で荷重値が一定状態を維持しているのは、板状リブ2aの引張変形により衝撃エネルギを吸収するからである。変形率が80%程度のときに潰れ切りとなって潰れ残りが小さいのは、板状リブ1a、筒状部材3aが荷重入力方向に折りたたまれることがないからである。
【0052】
また、実施例2の場合には、実施例1と略同様の傾向を示す特性曲線となるが、荷重負荷初期の段階での荷重値の立ち上がりが実施例1よりも急激になり、変形率が約20〜80%となる範囲で一定の高い状態を維持している。したがって、実施例2の方が実施例1よりも大きな衝撃エネルギ吸収量を得られることが解る。
【0053】
以上のことから、実施例1及び2のように、板状リブ1a、1、2の引張変形により衝撃エネルギを吸収するようにすれば、低い衝撃荷重が入力した際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮させるようにすることができ、人身の保護用に極めて好適な自動車用衝撃吸収部材が得られることが解った。
【0054】
〔実施形態2〕
図13は本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図であり、図14はその自動車用衝撃吸収部材の平面図である。
【0055】
本実施形態の衝撃吸収部材は、図13及び図14に示すように、樹脂材料で長尺板状に形成された一つの板状リブ4と、一対の第1板状保持部51、52と一対の第2板状保持部53、54と第1及び第2板状連結部55、56とからなり断面形状が六角形の筒状に形成されて板状リブ4を内部に保持する筒状部材5と、から構成されている。
【0056】
板状リブ4は、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)により、略一定の肉厚1mmで、幅寸法W5が35mm、長さ寸法L1が300mmとされた平板状に形成されている。これにより、板状リブ4は、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上とされている。
【0057】
筒状部材5は、略一定の肉厚0.8mmの鉄系金属板により、板状リブ4を間に挟んで軸対称となるように二つに分割形成されており、板状リブ4の一面側(図13において上面側)に配置される半筒部材5aと、板状リブ4の他面側(図13において上面側)に配置される半筒部材5bとからなる。一方の半筒部材5aは、板状リブ4の幅方向両端にそれぞれの一端が連結固定された一対の第1板状保持部51、52と、一対の第1板状保持部51、52の他端どうしを連結する第1板状連結部55とを有する。一対の第1板状保持部51、52は、それぞれ外側へ屈曲された一端部が板状リブ4の一面側の幅方向両端部に接着剤で接着固定されており、それぞれの一端部から板状リブ4と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜している。また、第1板状連結部55は、板状リブ4と略平行に配置されている。
【0058】
また、他方の半筒部材5bは、板状リブ4の幅方向両端にそれぞれの一端が連結固定された一対の第2板状保持部53、54と、一対の第2板状保持部53、54の他端どうしを連結する第2板状連結部56とを有する。一対の第2板状保持部53、54は、それぞれ外側へ屈曲された一端部が板状リブ4の他面側の幅方向両端部に接着剤で接着固定されており、それぞれの一端部から板状リブ4と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜している。また、第2板状連結部56は、板状リブ4と略平行に配置されている。
【0059】
本実施形態においては、図13に示すように、各第1及び第2板状保持部51〜54の幅寸法W6は12mmとされ、各第1及び第2板状連結部55、56の幅寸法W7も12mmとされている。また、筒状部材5は、幅寸法W8が32mm、厚さ寸法W9が約22mmとされており、実施形態1の筒状部材3に比べて小型化されている。なお、筒状部材5の長さ寸法L1は、図14に示すように、板状リブ4と同じ300mmである。
【0060】
以上のように構成された本実施形態の自動車用衝撃吸収部材は、例えば図15に示すように、自動車のルーフサイドに取付けられ、乗員保護用として使用される。即ち、この衝撃吸収部材は、ルーフパネル81の周縁部に位置するルーフサイドアウタパネル82の内側に固着されたルーフサイドインナパネル83の内面に対して、取付固定部となる第1板状連結部55の外面が接着剤で固着されることにより取付けられており、ルーフサイドインナパネル83とこれの内側に取付けられるルーフヘッドライニング84との間に配設されている。この場合、衝撃吸収部材は、板状リブ4が衝撃荷重入力方向(主として図15における矢印y方向)に対して略直交する方向に延びるように配置された状態に取付けられている。
【0061】
このように衝撃吸収部材が取付けられた自動車が他の自動車等に衝突した際に、乗員の頭部がルーフヘッドライニング84に衝突して比較的低い衝撃荷重が入力すると、ルーフヘッドライニング84の弾性変形に伴う変位によって、その衝撃荷重が衝撃吸収部材に入力し、衝撃吸収部材はルーフヘッドライニング84とルーフサイドインナパネル83により衝撃荷重入力方向(主として図15における矢印y方向)に圧縮される。これにより、衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向において対向する両板状連結部55、56が接近するように変形する。このとき、、第1板状保持部51、52の板状リブ4側の端部どうし、及び第2板状保持部53、54の板状リブ4側の端部どうしが互いに遠ざかるように変位することにより、板状リブ4の両端が遠ざかるように引っ張られて板状リブ4が引張変形させられ、この板状リブ4の引張変形によって衝撃エネルギが効率良く吸収される。
【0062】
このように、樹脂製の板状リブ4の良好な伸び特性や引張特性を利用して衝撃エネルギが吸収されることから、初期の衝撃荷重が急激に大きくならず、しかも板状リブ4の引張変形が継続的に行われるので初期の衝撃荷重の低下が極めて少ないため、極めて効率良く衝撃エネルギが吸収される。また、本実施形態の衝撃吸収部材では、各第1及び第2板状保持部51〜54及び板状リブ4は、衝撃荷重入力方向に折り畳まれることがないので潰れ残りが小さくなるため、限られた設置スペースにおいても大きな衝撃エネルギ吸収量の確保が可能となる。よって、ルーフヘッドライニング84に衝突した乗員に及ぼされるダメージが大幅に軽減され、乗員の保護が確実になされる。
【0063】
以上のように、本実施形態の衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブ4と、板状リブ4の両端にそれぞれの一端が連結されて衝撃荷重入力時に板状リブ4を引張変形させる第1及び第2板状保持部51〜54を有する金属製の筒状部材5と、から構成されているため、比較的低い衝撃荷重が負荷された際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮することができ、乗員等の人身の保護を確実に且つ有利になすことができる。
【0064】
特に、本実施形態の衝撃吸収部材は、金属製の筒状部材5が採用されていることにより、樹脂製の筒状部材3が採用されている実施形態1のものに比べて、筒状部材5(特に、第1及び第2板状保持部51〜54)の剛性や強度を高めることができるため、それらの肉厚を薄くすることができ小型化することができる。また、筒状部材5(特に、第1及び第2板状保持部51〜54)の強度が充分に高いので、衝撃荷重入力時に引張変形させられる板状リブ4の肉厚を厚くして、対応可能な衝撃荷重を大きくすることができるため、対応可能な衝撃荷重の範囲を広くすることができる。
【0065】
なお、上記実施形態において、筒状部材5の各第1及び第2板状保持部51〜54の一端は、板状リブ4の幅方向両端部に接着剤で接着固定されているが、各第1及び第2板状保持部51〜54の一端と板状リブ4との連結固定方法として、例えば、各第1及び第2板状保持部51〜54の一端部をかしめることによって板状リブ4の端部に連結固定する方法も採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材をバンパに取付けた状態を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】(a)〜(e)本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材が衝撃荷重入力によって変形する様子を段階的に示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図である。
【図7】本発明のその他の実施形態に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図である。
【図8】試験で使用した実施例1の形状及び寸法を示す説明図である。
【図9】試験で使用した比較例1の形状を示す説明図である。
【図10】試験で使用した比較例2の形状及び寸法を示す説明図である。
【図11】(a)(b)試験方法を示す説明図である。
【図12】試験結果の荷重変形曲線を示すグラフである。
【図13】本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図であって図14のXIII−XIII線矢視断面図である。
【図14】本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材の平面図である。
【図15】本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材をルーフサイドに取付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2、1a、4…板状リブ 3、3a、5…筒状部材 5a、5b…半筒部材 31、32、31a、32a、51、52…第1板状保持部
33、34、53、54…第2板状保持部 31b、32b…取付固定部
35〜39…板状連結部 55…第1板状連結部 56…第2板状連結部
61…基部 62…縦リブ 63…横リブ 64…格子状リブ
71、72…金属プレート 81…ルーフパネル
82…ルーフサイドアウタパネル 83…ルーフサイドインナパネル
84…ルーフヘッドライニング
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のバンパや車室を形成する車室形成部材等に好適に採用される自動車用衝撃吸収部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車においては、衝突時の衝撃を吸収して人身や車体を保護するために、車体フレームや車室形成部材等に種々の衝撃吸収部材が採用されている。例えば、車体フレームの前後部には、自動車の衝突時に衝撃エネルギを吸収するためのバンパが取付けられている。このようなバンパは、一般的に、車体フレームにねじ止め等により取付けられた鉄製のクラッシュボックスと、クラッシュボックスの外側に取付けられた鉄製のバンパビームと、バンパビームの外側に取付けられた樹脂製のバンパフェイシアとから構成されている。
【0003】
このバンパは、低速走行中等に発生する軽衝突時には、柔軟な樹脂からなるバンパフェイシアが衝突相手にソフトに衝突して弾性変形することにより衝撃エネルギを吸収する。これにより、衝突相手側へのダメージを軽減することができ、特に歩行者等の人身を保護することができる。しかし、衝突相手側へのダメージを少なくするためには、バンパフェイシアの充分な弾性変形量が必要であり、その分バンパフェイシアの大きな変形スペースが必要となる。
【0004】
また、高速走行中等に車体どうしや車体と構造物等との衝突により発生する重衝突時には、鉄製のバンパビームやクラッシュボックスが塑性変形して潰れることにより大きな衝撃エネルギを吸収する。これにより、車体や乗員等に及ぼされるダメージを軽減することができる。これらバンパビームやクラッシュボックスは、一般的には、鉄系やアルミニウム系等の金属により形成されていることから、重量の増大を回避するため、その内部に中空部を有するような中空構造にされている。
【0005】
なお、バンパビームの強度を向上させるためには、補強板を追加したり(特許文献1参照。)、バンパビームを形成する金属板の肉厚を厚くしたり、バンパビームの中空部に発泡ウレタン等の発泡弾性体を充填したりする(特許文献2参照。)等の手法が採用されている。
【0006】
ところで、近年においては、歩行者との衝突時における歩行者の安全性がより高いレベルで要求されるようになり、特に、歩行者と衝突する恐れの高いバンパに対しても、より高い衝撃エネルギ吸収機能を有することが要求されるようになっている。
【0007】
そこで、この要求に対処するため、対人衝突に見合った低い衝突荷重でエネルギ吸収に必要な断面方向の変形を生じさせることができるようにした対人保護用エネルギ吸収部材が提案されている(特許文献3参照。)。このエネルギ吸収部材は、車体前後方向に略平行に設けられた前面フランジと後面フランジ及びこれらのフランジ間をつなぐ略平行に設けられた左右のウエブとから構成され、各ウエブは各々外側方に向かって湾曲しているアルミニウム合金中空形材からなるものである。
【0008】
しかし、このエネルギ吸収部材は、アルミニウム合金中空形材からなるものであることから、樹脂材料と比較して重量の増加を招きやすく、燃費の点で不利になる。
【0009】
一方、近年においては、衝突時における乗員の安全性もより高いレベルで要求されるようになり、特に、乗員の頭部が衝突する恐れの高い車室形成部材のルーフサイド部に対しても、より高い衝撃エネルギ吸収機能を有することが要求されるようになっている。
【0010】
そこで、この要求に対処するため、例えば特許文献4には、車室形成部材としてのルーフパネルと、そのルーフパネルの内側に配置される天井材(内装部品)との間に、発泡ウレタン等からなる衝撃吸収部材を配設することが開示されている。また、例えば特許文献5には、車室形成部材としてのパネルと、そのパネルの室内側に配設されるトリム部材(内装部品)との間に、樹脂材料で形成された所定構造のリブ部を有するエネルギ吸収体を介設することが開示されている。
【0011】
上記のように、比較的低い衝撃荷重が入力したときに衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材として、樹脂材料で所定形状に形成された成形体が従来より知られており、この衝撃吸収部材は、大きく二つに分類できる。
【0012】
一つは、発泡ウレタンや発泡PP(ポリプロピレン)等の発泡弾性体であって、例えば、バンパに形成された中空部内に充填配置されて使用されたり(特許文献1の図49参照。)、車室形成部材と内装部品との間に配設されて使用される(特許文献4参照。)。しかし、この発泡弾性体は、衝撃荷重入力時の荷重と変位量の関係を表す線図において比較的フラットな特性曲線を示し、エネルギ吸収効率は比較的良好であるが、潰れ残りが大きく、スペース効率が悪いという点で問題となる。
【0013】
もう一つは、PPやPE(ポリエチレン)、ABS樹脂等で形成されたリブ構造体であって、例えば特許文献5に開示されているように、車室形成部材と内装部品との間に配設されて使用される。このリブ構造体は、衝撃入力方向に延びるように配置されたリブが衝撃入力時に座屈変形することによって衝撃エネルギを吸収する。しかし、このリブ構造体は、一般的に初期の衝撃荷重が大きくなりやすいことから、衝突相手への衝撃が大きくなりやすい点で問題となる。また、このリブ構造体は、射出成形で作製されるため、長尺のものは製造コストが高くなりやすい。
【特許文献1】特開平6−171441号公報
【特許文献2】特開2001−132787号公報
【特許文献3】特開2004−90910号公報
【特許文献4】特開2001−322506号公報
【特許文献5】特開平11−192907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、低い衝撃荷重が入力した際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮し、人身の保護を有利になし得る自動車用衝撃吸収部材を提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の自動車用衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブと、該板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されるとともにそれぞれの該一端から前記板状リブと直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置され、衝撃荷重入力時に前記板状リブを引張変形させる一対の板状保持部と、を備えていることを特徴としている。
【0016】
本発明の自動車用衝撃吸収部材は、例えば自動車のバンパや車室形成部材等の所定の部位に、板状リブが衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置されて、一対の板状保持部の両他端部が固定された状態に取付けられる。この状態に取付けられた衝撃吸収部材に対して低い衝撃荷重が入力すると、板状リブが一対の板状保持部の両他端部に接近するように変位する。このとき、一対の板状保持部の両一端部が互いに遠ざかるように変位することにより、板状リブの両端が遠ざかるように引っ張られて板状リブが引張変形させられ、この板状リブの引張変形によって衝撃エネルギが吸収される。
【0017】
このように、樹脂製の板状リブの良好な伸び特性や引張特性を利用して衝撃エネルギが吸収されることから、初期の衝撃荷重が急激に大きくならず、しかも板状リブの引張変形が継続的に行われるので初期の衝撃荷重の低下が極めて少ないため、効率良く衝撃エネルギが吸収される。また、一対の板状保持部及び板状リブは、衝撃荷重入力方向に折り畳まれることがないので潰れ残りが小さくなるため、より大きな衝撃エネルギ吸収量の確保が可能となる。したがって、本発明の自動車用衝撃吸収部材は、低い衝撃荷重が入力した際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮し、人身の保護を有利になし得る。
【0018】
本発明において、板状リブは、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上の樹脂材料で形成されているのが好ましい。このようにすれば、衝撃荷重入力時に板状保持部によって引張変形させられる板状リブの引張変形に対する良好な特性を確保することができるので、良好な衝撃エネルギ吸収性能を確保することができる。なお、ここでの引張破断伸び及び引張降伏応力とは、JIS−K7162でそれぞれ定義する引張破断伸び及び引張降伏応力のことをいう。この板状リブの板厚は、0.4〜4.0mm程度にされているものが好適となる。
【0019】
板状リブを形成する樹脂材料としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)、PC(ポリカーボネート)、PC/PBT(ポリブチレンテレフタレート)アロイ、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等を好適に採用することができる。これらの樹脂材料のうちで、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)は、曲げ弾性率が0.8Gpa以上、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上であるため、特に好適に採用することができる。
【0020】
本発明において、一対の板状保持部は、略筒状に形成されて二対の板状保持部を有する筒状部材によって構成することができる。この筒状部材は、断面形状が円形や楕円に限らず、例えば六角形や八角形のような多角形のものを採用することができる。この場合の衝撃吸収部材は、筒状部材の内周に一つ又は二つの板状リブの両端が連結されることにより構成される。
【0021】
例えば板状リブが一つの場合には、板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブの一面側に配置される一対の第1板状保持部と板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブの他面側に配置される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材が採用される。この場合、一対の第1板状保持部の他端どうし及び一対の第2板状保持部の他端どうしは、板状連結部によって連結される。各対の板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部は、筒状部材の周方向において2箇所に設けられており、そのうちの少なくとも1箇所の板状連結部が取付固定部として利用される。この板状連結部の肉厚は、衝撃荷重入力時に一対の板状保持部の他端部の位置固定をより確実にするために、板状リブの肉厚よりも厚くされているのが好ましい。
【0022】
なお、一方の板状連結部の箇所が取付固定部として利用される場合には、その板状連結部を排除するように軸方向に延びるスリットを形成し、そのスリットの両側に位置する板状保持部にそれぞれ取付固定部を設けるようにしてもよい。
【0023】
また、板状リブが二つの場合には、一方の板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第1板状保持部と、他方の板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材が採用される。この筒状部材は、一対の第1板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部と、一対の第2板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部に加えて、両板状リブの一端どうし及び他端どうしをそれぞれ連結する一対の板状連結部を有するように構成され、隣り合う板状保持部の間に合計四つの板状連結部を有する。この場合、一対の第1板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部と一対の第2板状保持部の他端どうしを連結する板状連結部は、上記のように板状リブが一つの場合と同様にすることができる。
【0024】
本発明において、板状保持部及び板状連結部は、板状リブと同種の上記した樹脂で形成したもの、又は例えば鉄系やアルミニウム系、マグネシウム系等の金属で形成したものを採用することができる。樹脂製のものは、入力する衝撃荷重が比較的低い場合に対応するもので、バンパ用の衝撃吸収部材に好適となる。一方、金属製のものは、入力する衝撃荷重が比較的高い場合や小型化の要求にも対応可能となることから、ルーフサイドやピラー等の車室形成部材用の衝撃吸収部材に好適となる。金属製の場合には、少なくとも板状保持部は、充分な剛性を確保するために、JIS−K7171で定義する曲げ弾性率が30Gpa以上の金属材料で形成されているのが好ましい。なお、板状保持部を金属材料で形成した場合においても、板状保持部の肉厚を薄くすることで、歩行者保護用としてバンパにも適用可能であることは勿論である。
【0025】
なお、樹脂製の場合には、少なくとも板状保持部は、ある程度の剛性を確保するために、JIS−K7171で定義する曲げ弾性率が0.8Gpa以上の樹脂材料で形成されているのが好ましい。このようにすれば、衝撃荷重入力時に板状リブをより確実に引張変形させることが可能となる。また、板状保持部の肉厚は、板状リブの肉厚よりも厚くされているのが好ましい。このようにすれば、板状保持部の充分な剛性が確保されるため、板状リブを確実に引張変形させることができる。さらには、板状保持部の中央部の肉厚を両端部よりも厚くすることによっても、板状保持部の充分な剛性を確保することができる。
【0026】
なお、一対の板状保持部を板状リブと同じ樹脂材料で一体に形成する場合、成形処理は、従来より公知の方法を採用することができるが、特に、長尺ものの製造に有利な押出成形等の採用が可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の自動車用衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブと、該板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されるとともにそれぞれの該一端から前記板状リブと直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置され、衝撃荷重入力時に前記板状リブを引張変形させる一対の板状保持部と、を備えているため、低い衝撃荷重が負荷された際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮し、人身の保護を有利になし得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態1〕
図1は本実施形態に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図であり、図2はその自動車用衝撃吸収部材の斜視図である。
【0029】
本実施形態の衝撃吸収部材は、図1及び図2に示すように、樹脂材料で一体に形成された長尺略筒状の成形体からなるものであって、略平行に配置された二つの板状リブ1、2と、一対の第1板状保持部31、32と一対の第2板状保持部33、34と四つの板状連結部35〜38とからなり板状リブ1、2を内部に保持する筒状部材3と、から構成されている。
【0030】
二つの板状リブ1、2は、略一定の肉厚1.2mmで、幅寸法W4が70mmとされた平板状に形成されている。この板状リブ1、2は、板状連結部17、18の幅寸法に相当する距離を隔てて略平行に配置されている。
【0031】
筒状部材3は、周方向に距離を隔てて配列された一対の第1板状保持部31、32及び一対の第2板状保持部33、34と、隣り合う各板状保持部31〜34の端部どうしを連結するように周方向において4箇所に配置された板状連結部35〜38とからなり、断面形状が八角形の筒状に形成されている。一対の第1板状保持部31、32は、一方の板状リブ1の幅方向両端にそれぞれの一端が連結されるとともに、それぞれの他端どうしが板状連結部35により連結されている。これにより、一対の第1板状保持部31、32は、板状リブ1の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ1と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜して配置されている。板状連結部35は、板状リブ1と略平行に配置されている。
【0032】
また、一対の第2板状保持部33、34は、他方の板状リブ2の幅方向両端にそれぞれの一端が連結されるとともに、それぞれの他端どうしが板状連結部36により連結されている。これにより、一対の第1板状保持部31、32は、板状リブ2の両端に連結されたそれぞれの一端から板状リブ2と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜して配置されている。板状連結部36は、板状リブ2と略平行に配置されている。そして、両板状リブ1、2の一端どうしは板状連結部37により連結され、両板状リブ1、2の他端どうしは板状連結部38により連結されている。
【0033】
各第1及び第2板状保持部31〜34は、外面が平面とされ、内面は中央部が内方へ膨らむように湾曲面とされていることにより、中央部の肉厚が両端部よりも厚くなるようにされており、その中央部の肉厚は4.4mmとされている。各第1及び第2板状保持部31〜34の幅寸法W1は35mmとされている。また、第1板状保持部31、32の他端どうしを連結する板状連結部35と第2板状保持部33、34の他端どうしを連結する板状連結部36も、外面が平面とされ、内面は中央部が内方へ膨らむように湾曲面とされていることにより、中央部の肉厚が両端部よりも厚くなるようにされており、その中央部の肉厚は4.4mmとされている。各板状連結部35、36の幅寸法W2は20mmとされている。
【0034】
また、両板状リブ1、2の一端どうしを連結する板状連結部37と両板状リブ1、2の他端どうしを連結する板状連結部38は、外面及び内面が平面とされて略一定の肉厚3mmにされており、各第1及び第2板状保持部31〜34の肉厚よりも少し薄くされている。よって、第1及び第2板状保持部31〜34と四つの板状連結部35〜38とからなる筒状部材3の肉厚は、板状リブ1、2の肉厚よりも厚くされている。各板状連結部17、18の幅寸法W3は26mmとされている。
【0035】
本実施形態の衝撃吸収部材は、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)により形成された押出成形材を所定寸法に切断した後、所定の湾曲形状に整形加工することにより作製されている。これにより、筒状部材3の第1及び第2板状保持部31〜34は、曲げ弾性率が0.8Gpa以上とされ、板状リブ1、2は、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上とされている。
【0036】
以上のように構成された本実施形態の自動車用衝撃吸収部材は、例えば図3及び図4に示すように、自動車の前後部に装備されるバンパに対して取付けられ、歩行者保護用として使用される。この衝撃吸収部材は、車体フレーム(図示せず)の前部に一対のクラッシュボックス5、5を介して取付けられた鉄製のバンパビーム6の前面(車体フレームの後部の場合は後面)に、取付固定部となる板状連結部35の外面が接着剤で固着されることにより取付けられており、バンパビーム6とこれの外側に取付けられるバンパフェイシア7との間に配設されている。この場合、衝撃吸収部材は、板状リブ1、2が衝撃荷重入力方向(主として図4における矢印x方向)に対して略直交する方向(略上下方向)に延びるように配置された状態に取付けられている。
【0037】
このように衝撃吸収部材が取付けられた自動車が低速走行中に歩行者と衝突して、バンパフェイシア7に低い衝撃荷重が入力すると、バンパフェイシア7の弾性変形に伴う変位によって、その衝撃荷重が衝撃吸収部材に入力し、衝撃吸収部材はバンパビーム6とバンパフェイシア7により衝撃荷重入力方向(主として図4における矢印x方向)に圧縮される。これにより、衝撃吸収部材は、図5(a)〜(e)に示すように、衝撃荷重入力方向において対向する両板状連結部35、36が接近するように変形する。このとき、第1板状保持部31、32の板状リブ1側の端部どうし、及び第2板状保持部33、34の板状リブ2側の端部どうしが互いに遠ざかるように変位することにより、板状リブ1、2の両端が遠ざかるように引っ張られて板状リブ1、2が引張変形させられ、この板状リブ1、2の引張変形によって衝撃エネルギが効率良く吸収される。
【0038】
このように、樹脂製の板状リブ1、2の良好な伸び特性や引張特性を利用して衝撃エネルギが吸収されることから、初期の衝撃荷重が急激に大きくならず、しかも板状リブ1、2の引張変形が継続的に行われるので初期の衝撃荷重の低下が極めて少ないため、極めて効率良く衝撃エネルギが吸収される。また、本実施形態の衝撃吸収部材では、各第1及び第2板状保持部31〜34及び板状リブ1、2は、衝撃荷重入力方向に折り畳まれることがないので潰れ残りが小さくなるため、限られた設置スペースにおいても大きな衝撃エネルギ吸収量の確保が可能となる。よって、衝突相手の歩行者に及ぼされるダメージが大幅に軽減され、歩行者の保護が確実になされる。
【0039】
以上のように、本実施形態の衝撃吸収部材は、樹脂材料で一体に形成された成形体からなり、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される二つの板状リブ1、2と、板状リブ1、2の両端にそれぞれの一端が連結されて衝撃荷重入力時に板状リブ1、2を引張変形させる第1及び第2板状保持部31〜34を有する筒状部材3と、から構成されているため、低い衝撃荷重が負荷された際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮することができ、歩行者の保護を確実に且つ有利になすことができる。
【0040】
また、本実施形態の衝撃吸収部材は、長尺ものの製造に有利な押出成形で作製することができるので、製造コストの上昇を回避することができる。
【0041】
なお、上記実施形態の衝撃吸収部材は、筒状部材3の板状連結部35の外面が接着剤でバンパビーム6に固着されることによって取付固定されるように構成されているが、例えば図6に示すように、筒状部材3の対をなす第1板状保持部31、32の間部分に板状連結部35を排除するように軸方向に延びるスリットを形成し、対をなす第1板状保持部31、32のスリットに沿ったそれぞれの端部に、取付固定部31b、32bを設けるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態の衝撃吸収部材は、それぞれ対をなす第1板状保持部31、32と第2板状保持部33、34が、板状リブ1、2と連結されている側の端部どうしで対向するように構成されているが、例えば図7に示すように逆にして、それぞれ対をなす第1板状保持部31、32と第2板状保持部33、34が板状連結部39と連結されている側の端部どうしで対向するように構成するようにしてもよい。この場合、板状連結部39は、第1板状保持部31、32と第2板状保持部33、34の共有の連結部とされ、その板状連結部39が取付固定部とされる。
【0043】
また、上記実施形態では、歩行者保護用として自動車のバンパに衝撃吸収部材が配設されているが、本発明の衝撃吸収部材は、その他に、例えば乗員の頭部保護用として、ボディーパネル等の車室形成部材とピラーガーニッシュやルーフライニング等の内装部品との間の空間部に配設することができる。
【0044】
〔試験〕
本発明の自動車用衝撃吸収部材の衝撃エネルギ吸収性能を調べる試験を行った。本発明に係る衝撃吸収部材として、実施例1及び実施例2を準備した。実施例1は、図8に示すように、一つの板状リブ1aと、板状リブ1aの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブ1aの一面側に配置される一対の第1板状保持部31a、32aと板状リブ1aの両端にそれぞれの一端が連結されて板状リブ1aの他面側に配置される一対の第2板状保持部33a、34aとを有する断面形状が円形の筒状部材3aとからなる。この実施例1は、上記実施形態で用いた樹脂材料と同じ熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)で形成されている。筒状部材3aは、外径が60mmとされ、肉厚が5mmで略一定にされている。また、板状リブ1aは、厚さが1.6mmで略一定にされ、幅寸法W5が45mmとされている。実施例2は、上記実施形態の図1に示すものと同じ構成のものである。
【0045】
比較例1として、図9に示すような発泡PPを準備した。この比較例1は、発泡倍率が15倍であり、60mm×60mm×60mmの大きさの方体に形成されている。
【0046】
また、比較例2として、実施例1及び2と同じ樹脂材料で形成された図10に示すようなリブ構造体を準備した。この比較例2は、正方形の平板状の基部61と、基部61に立設された縦方向に延びる平板状の2枚の縦リブ62と横方向に延びる平板状の2枚の横リブ63とが直角に交差して形成された格子状リブ64とからなる。基部61の厚みAは2.5mmであり、縦リブ62の厚みBは1.2〜1.7mmであり、横リブ63の厚みCは1.2〜1.7mmである。隣り合う縦リブ62どうしの芯−芯間距離Dは30mmであり、隣り合う横リブ63どうしの芯−芯間距離Eは30mmである。縦リブ62及び横リブ63の高さFは30mmである。
【0047】
この試験は、図11に示すように、上下2枚の金属プレート71、72の間に各試験片を挟んだ状態に配置し、上方から上側の金属プレート71に3m/sの速度で衝撃荷重を負荷し、その負荷により加わる荷重値(kN)とその際の試験片の変形率(%)との関係を調べるものであり、その結果は図12に示されている。
【0048】
なお、図12において、各試験片のエネルギ吸収量は、それぞれの特性曲線と変形率を示す横軸線とによって囲まれた領域の面積に相当し、その面積が大きい程、エネルギ吸収量が大きいと評価される。
【0049】
図12から明らかなように、比較例1の場合には、荷重負荷初期の段階で、荷重値がやや急激に小さく立ち上がった後、変形率が約60%近くになるまで荷重値が緩やかに上昇し、その後、変形率が約60%に達した以降荷重値が急激に上昇している。この比較例1の場合には、変形率が約3〜60%となる範囲で、荷重値は緩やかに上昇しており、荷重のそれほど大きくない前半部分では大きな衝撃エネルギ吸収量が得られず、全体として衝撃エネルギ吸収効率はまだまだ改善の余地があることが解る。また、比較例1の場合にも、変形率が65%程度のときに潰れ切りとなっていることから、スペース効率は良好とは言えない。
【0050】
また、比較例2の場合には、荷重負荷初期の段階で、荷重値が急激に大きく立ち上がった後、急激に大きく下降し、その後、変形率が約50%になるまで荷重値がやや大きく波打つようにして上昇し、その後、変形率が約55%付近から荷重値が急激に上昇している。この比較例2の場合には、変形率が約5〜30%となる範囲で荷重値が大きく落ち込んでいるので、この範囲で衝撃エネルギを充分に吸収することができず、衝撃エネルギ吸収効率は良くない。また、変形率が55%程度のときに潰れ切りとなっていることから、スペース効率も良くない。
【0051】
これに対して、実施例1の場合には、荷重負荷初期の段階で、変形率が30%を越える程度まで荷重値が立ち上がった後、変形率が約80%になるまで荷重値が殆ど変動することなく横這い状態となり、その後、荷重値が急激に大きく上昇している。この実施例1の場合には、変形率が約30〜80%となる広い範囲で、荷重値が変動することなく高い状態を維持していることから、比較例1及び2に比べて充分に大きい衝撃エネルギ吸収量が得られることが解る。このように広い範囲で荷重値が一定状態を維持しているのは、板状リブ2aの引張変形により衝撃エネルギを吸収するからである。変形率が80%程度のときに潰れ切りとなって潰れ残りが小さいのは、板状リブ1a、筒状部材3aが荷重入力方向に折りたたまれることがないからである。
【0052】
また、実施例2の場合には、実施例1と略同様の傾向を示す特性曲線となるが、荷重負荷初期の段階での荷重値の立ち上がりが実施例1よりも急激になり、変形率が約20〜80%となる範囲で一定の高い状態を維持している。したがって、実施例2の方が実施例1よりも大きな衝撃エネルギ吸収量を得られることが解る。
【0053】
以上のことから、実施例1及び2のように、板状リブ1a、1、2の引張変形により衝撃エネルギを吸収するようにすれば、低い衝撃荷重が入力した際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮させるようにすることができ、人身の保護用に極めて好適な自動車用衝撃吸収部材が得られることが解った。
【0054】
〔実施形態2〕
図13は本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図であり、図14はその自動車用衝撃吸収部材の平面図である。
【0055】
本実施形態の衝撃吸収部材は、図13及び図14に示すように、樹脂材料で長尺板状に形成された一つの板状リブ4と、一対の第1板状保持部51、52と一対の第2板状保持部53、54と第1及び第2板状連結部55、56とからなり断面形状が六角形の筒状に形成されて板状リブ4を内部に保持する筒状部材5と、から構成されている。
【0056】
板状リブ4は、熱可塑性樹脂組成物(未来化成株式会社製、品番「YV−20−2001」)により、略一定の肉厚1mmで、幅寸法W5が35mm、長さ寸法L1が300mmとされた平板状に形成されている。これにより、板状リブ4は、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上とされている。
【0057】
筒状部材5は、略一定の肉厚0.8mmの鉄系金属板により、板状リブ4を間に挟んで軸対称となるように二つに分割形成されており、板状リブ4の一面側(図13において上面側)に配置される半筒部材5aと、板状リブ4の他面側(図13において上面側)に配置される半筒部材5bとからなる。一方の半筒部材5aは、板状リブ4の幅方向両端にそれぞれの一端が連結固定された一対の第1板状保持部51、52と、一対の第1板状保持部51、52の他端どうしを連結する第1板状連結部55とを有する。一対の第1板状保持部51、52は、それぞれ外側へ屈曲された一端部が板状リブ4の一面側の幅方向両端部に接着剤で接着固定されており、それぞれの一端部から板状リブ4と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜している。また、第1板状連結部55は、板状リブ4と略平行に配置されている。
【0058】
また、他方の半筒部材5bは、板状リブ4の幅方向両端にそれぞれの一端が連結固定された一対の第2板状保持部53、54と、一対の第2板状保持部53、54の他端どうしを連結する第2板状連結部56とを有する。一対の第2板状保持部53、54は、それぞれ外側へ屈曲された一端部が板状リブ4の他面側の幅方向両端部に接着剤で接着固定されており、それぞれの一端部から板状リブ4と直角方向へ遠ざかるに連れてそれぞれの他端どうしが接近するように傾斜している。また、第2板状連結部56は、板状リブ4と略平行に配置されている。
【0059】
本実施形態においては、図13に示すように、各第1及び第2板状保持部51〜54の幅寸法W6は12mmとされ、各第1及び第2板状連結部55、56の幅寸法W7も12mmとされている。また、筒状部材5は、幅寸法W8が32mm、厚さ寸法W9が約22mmとされており、実施形態1の筒状部材3に比べて小型化されている。なお、筒状部材5の長さ寸法L1は、図14に示すように、板状リブ4と同じ300mmである。
【0060】
以上のように構成された本実施形態の自動車用衝撃吸収部材は、例えば図15に示すように、自動車のルーフサイドに取付けられ、乗員保護用として使用される。即ち、この衝撃吸収部材は、ルーフパネル81の周縁部に位置するルーフサイドアウタパネル82の内側に固着されたルーフサイドインナパネル83の内面に対して、取付固定部となる第1板状連結部55の外面が接着剤で固着されることにより取付けられており、ルーフサイドインナパネル83とこれの内側に取付けられるルーフヘッドライニング84との間に配設されている。この場合、衝撃吸収部材は、板状リブ4が衝撃荷重入力方向(主として図15における矢印y方向)に対して略直交する方向に延びるように配置された状態に取付けられている。
【0061】
このように衝撃吸収部材が取付けられた自動車が他の自動車等に衝突した際に、乗員の頭部がルーフヘッドライニング84に衝突して比較的低い衝撃荷重が入力すると、ルーフヘッドライニング84の弾性変形に伴う変位によって、その衝撃荷重が衝撃吸収部材に入力し、衝撃吸収部材はルーフヘッドライニング84とルーフサイドインナパネル83により衝撃荷重入力方向(主として図15における矢印y方向)に圧縮される。これにより、衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向において対向する両板状連結部55、56が接近するように変形する。このとき、、第1板状保持部51、52の板状リブ4側の端部どうし、及び第2板状保持部53、54の板状リブ4側の端部どうしが互いに遠ざかるように変位することにより、板状リブ4の両端が遠ざかるように引っ張られて板状リブ4が引張変形させられ、この板状リブ4の引張変形によって衝撃エネルギが効率良く吸収される。
【0062】
このように、樹脂製の板状リブ4の良好な伸び特性や引張特性を利用して衝撃エネルギが吸収されることから、初期の衝撃荷重が急激に大きくならず、しかも板状リブ4の引張変形が継続的に行われるので初期の衝撃荷重の低下が極めて少ないため、極めて効率良く衝撃エネルギが吸収される。また、本実施形態の衝撃吸収部材では、各第1及び第2板状保持部51〜54及び板状リブ4は、衝撃荷重入力方向に折り畳まれることがないので潰れ残りが小さくなるため、限られた設置スペースにおいても大きな衝撃エネルギ吸収量の確保が可能となる。よって、ルーフヘッドライニング84に衝突した乗員に及ぼされるダメージが大幅に軽減され、乗員の保護が確実になされる。
【0063】
以上のように、本実施形態の衝撃吸収部材は、衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブ4と、板状リブ4の両端にそれぞれの一端が連結されて衝撃荷重入力時に板状リブ4を引張変形させる第1及び第2板状保持部51〜54を有する金属製の筒状部材5と、から構成されているため、比較的低い衝撃荷重が負荷された際に良好な衝撃エネルギ吸収機能を発揮することができ、乗員等の人身の保護を確実に且つ有利になすことができる。
【0064】
特に、本実施形態の衝撃吸収部材は、金属製の筒状部材5が採用されていることにより、樹脂製の筒状部材3が採用されている実施形態1のものに比べて、筒状部材5(特に、第1及び第2板状保持部51〜54)の剛性や強度を高めることができるため、それらの肉厚を薄くすることができ小型化することができる。また、筒状部材5(特に、第1及び第2板状保持部51〜54)の強度が充分に高いので、衝撃荷重入力時に引張変形させられる板状リブ4の肉厚を厚くして、対応可能な衝撃荷重を大きくすることができるため、対応可能な衝撃荷重の範囲を広くすることができる。
【0065】
なお、上記実施形態において、筒状部材5の各第1及び第2板状保持部51〜54の一端は、板状リブ4の幅方向両端部に接着剤で接着固定されているが、各第1及び第2板状保持部51〜54の一端と板状リブ4との連結固定方法として、例えば、各第1及び第2板状保持部51〜54の一端部をかしめることによって板状リブ4の端部に連結固定する方法も採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材をバンパに取付けた状態を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】(a)〜(e)本発明の実施形態1に係る自動車用衝撃吸収部材が衝撃荷重入力によって変形する様子を段階的に示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図である。
【図7】本発明のその他の実施形態に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図である。
【図8】試験で使用した実施例1の形状及び寸法を示す説明図である。
【図9】試験で使用した比較例1の形状を示す説明図である。
【図10】試験で使用した比較例2の形状及び寸法を示す説明図である。
【図11】(a)(b)試験方法を示す説明図である。
【図12】試験結果の荷重変形曲線を示すグラフである。
【図13】本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材の軸直角方向の断面図であって図14のXIII−XIII線矢視断面図である。
【図14】本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材の平面図である。
【図15】本発明の実施形態2に係る自動車用衝撃吸収部材をルーフサイドに取付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2、1a、4…板状リブ 3、3a、5…筒状部材 5a、5b…半筒部材 31、32、31a、32a、51、52…第1板状保持部
33、34、53、54…第2板状保持部 31b、32b…取付固定部
35〜39…板状連結部 55…第1板状連結部 56…第2板状連結部
61…基部 62…縦リブ 63…横リブ 64…格子状リブ
71、72…金属プレート 81…ルーフパネル
82…ルーフサイドアウタパネル 83…ルーフサイドインナパネル
84…ルーフヘッドライニング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブと、
該板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されるとともにそれぞれの該一端から前記板状リブと直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置され、衝撃荷重入力時に前記板状リブを引張変形させる一対の板状保持部と、
を備えていることを特徴とする自動車用衝撃吸収部材。
【請求項2】
前記板状リブは、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上の樹脂材料で形成されている請求項1に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項3】
略平行に配置された二つの前記板状リブと、一方の前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第1板状保持部と他方の前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材と、から構成されている請求項1又は2に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項4】
前記筒状部材は、周方向において隣り合う各前記板状保持部の端部どうしを連結する四つの板状連結部を有する請求項3に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項5】
一つの前記板状リブと、前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて前記板状リブの一面側に配置される一対の第1板状保持部と前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて前記板状リブの他面側に配置される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材と、から構成されている請求項1又は2に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項6】
前記筒状部材は、一対の前記第1板状保持部の他端どうし及び一対の前記第2板状保持部の他端どうしを連結する二つの板状連結部を有する請求項5に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項7】
前記筒状部材は、一対の前記第1板状保持部の他端どうしの間又は一対の前記第2板状保持部の他端どうしの間に形成された軸方向に延びるスリットを有し、該スリットの両側にはそれぞれ取付固定部が設けられている請求項3〜6に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項8】
前記板状保持部は、曲げ弾性率が0.8Gpa以上の樹脂材料で形成されている請求項1〜7に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項9】
前記板状保持部の肉厚は、前記板状リブの肉厚よりも厚くされている請求項8に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項10】
前記筒状部材の肉厚は、前記板状リブの肉厚よりも厚くされている請求項9に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項11】
前記板状保持部の肉厚は、中央部が両端部よりも厚くされている請求項8〜10に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項12】
前記板状保持部は、曲げ弾性率が30Gpa以上の金属材料で形成されている請求項1〜7に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項13】
歩行者保護用としてバンパビームの前面又は後面に取付けられている請求項1〜12に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項14】
乗員保護用としてルーフサイド又はピラーに取付けられている請求項1〜12に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項1】
衝撃荷重入力方向に対して略直交する方向に延びるように配置される樹脂製の板状リブと、
該板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されるとともにそれぞれの該一端から前記板状リブと直角方向へ遠ざかるに連れて互いに接近するように傾斜して配置され、衝撃荷重入力時に前記板状リブを引張変形させる一対の板状保持部と、
を備えていることを特徴とする自動車用衝撃吸収部材。
【請求項2】
前記板状リブは、引張破断伸びが100%以上、引張降伏応力が15Mpa以上の樹脂材料で形成されている請求項1に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項3】
略平行に配置された二つの前記板状リブと、一方の前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第1板状保持部と他方の前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材と、から構成されている請求項1又は2に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項4】
前記筒状部材は、周方向において隣り合う各前記板状保持部の端部どうしを連結する四つの板状連結部を有する請求項3に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項5】
一つの前記板状リブと、前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて前記板状リブの一面側に配置される一対の第1板状保持部と前記板状リブの両端にそれぞれの一端が連結されて前記板状リブの他面側に配置される一対の第2板状保持部とを有する筒状部材と、から構成されている請求項1又は2に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項6】
前記筒状部材は、一対の前記第1板状保持部の他端どうし及び一対の前記第2板状保持部の他端どうしを連結する二つの板状連結部を有する請求項5に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項7】
前記筒状部材は、一対の前記第1板状保持部の他端どうしの間又は一対の前記第2板状保持部の他端どうしの間に形成された軸方向に延びるスリットを有し、該スリットの両側にはそれぞれ取付固定部が設けられている請求項3〜6に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項8】
前記板状保持部は、曲げ弾性率が0.8Gpa以上の樹脂材料で形成されている請求項1〜7に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項9】
前記板状保持部の肉厚は、前記板状リブの肉厚よりも厚くされている請求項8に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項10】
前記筒状部材の肉厚は、前記板状リブの肉厚よりも厚くされている請求項9に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項11】
前記板状保持部の肉厚は、中央部が両端部よりも厚くされている請求項8〜10に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項12】
前記板状保持部は、曲げ弾性率が30Gpa以上の金属材料で形成されている請求項1〜7に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項13】
歩行者保護用としてバンパビームの前面又は後面に取付けられている請求項1〜12に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【請求項14】
乗員保護用としてルーフサイド又はピラーに取付けられている請求項1〜12に記載の自動車用衝撃吸収部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−62635(P2006−62635A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359863(P2004−359863)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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