説明

自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物およびその製法、並びにその使用方法

【課題】洗浄性能、洗浄後仕上がり性、スケール抑制性能、貯蔵安定性等に優れ、しかも、粒状で飛散性が抑制され、優れた溶解性能を有する自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)アルカリ金属塩、(B)金属イオン封鎖剤、(C)界面活性剤、(D)炭酸アルカリ金属塩、(E)高分子電解質重合体を必須成分として含有し、平均粒径が0.8〜3.0mmに設定された略球状粒状体の集合体からなる自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、ガラス、陶磁器、プラスチック等の硬表面の洗浄に適し、特に自動食器洗浄機を用いた食器および調理器具等の洗浄に適した自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物およびその製法、並びにその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホテル、レストラン、給食会社、病院、会社の食堂等において、使用後の食器を効率よく洗浄するために、自動食器洗浄機が広く用いられている。また、食器に限らず、各種食品製造工場、食品加工工場等においても、器具や容器,トレイ,コンテナ等の食品関連品を洗浄するために自動洗浄機が用いられている。これらの自動食器洗浄機(上記各種の食品関連品を洗浄する自動洗浄機も含む)には、従来から、粉末洗浄剤を用いる方式のものが知られている。
【0003】
しかしながら、上記粉末洗浄剤を用いるものは、上記自動食器洗浄機に接続される洗剤注入装置に、粉末洗浄剤を定期的に投入しなければならず、その際、洗浄剤の粉末が飛散するため、作業者の皮膚に粉末洗浄剤が付着したり肺に吸入されたりするおそれがあり、衛生管理上懸念されている。また、上記粉末洗浄剤は、装置内で水または湯に溶解され液体として洗浄槽内に注入されるが、粉末洗浄剤の各成分の溶解濃度が均一となるよう溶解することが困難であるという問題もある。
【0004】
また、粉末洗浄剤をカートリッジ容器に収容した方式のものでは、洗浄剤の飛散や溶解濃度の均一性に問題はないものの、使用済みの容器は廃棄されることが多く、資源の再利用の点で課題となっていた。
【0005】
そこで、近年、従来のカートリッジタイプの洗浄剤の底部に開口部を設けた形の洗浄剤収容部を洗浄剤溶解装置に取り付けて、当該洗浄剤収容部の上面開口部から、袋体に収容された洗浄剤を継ぎ足して使用する方法が用いられるようになってきている。このため、粉末洗浄剤を用いる場合、その継ぎ足し動作時に、やはりその飛散が問題となる。
【0006】
一方、粉末洗浄剤に代えて液体洗浄剤を用いることが提案されている。しかし、上記液体洗浄剤は、粉末のように飛散するおそれがなく衛生的である反面、溶媒の割合が高く有効成分の割合が低いため、比較的多量の洗浄剤が必要になるという問題がある。このため、交換単位が重量物となり、交換作業が容易でないとともに、これを保管するのに多大なスペースを要する。また、液体洗浄剤の収容に汎用される肉厚ポリエチレン容器は、難燃性、難分解性であるため、その廃棄処理が問題となる。
【0007】
また、洗浄剤を、粉末ではなく、粒状に造粒したり、ペレット状に成形したりすることで粉立ちを抑えた洗浄剤が提案されている。例えば、添加水や結合剤を含有せずに、(a)アルカリ金属珪酸塩水和物と、(b)金属イオン封鎖剤とを含有してなる粉体混合物を、加熱下で押出し成形して得られる成形物であって、所定の破壊強度を備えた固形洗浄剤(特許文献1を参照)や、アルカリ金属炭酸塩類、アルカリ金属ケイ酸塩、金属イオン封鎖剤および界面活性剤を必須成分として含んだ洗浄剤組成物を、ヘンシェルミキサーなどで混合した後、ディスクペレッターなどを使用して押し出して所定の長さに切断して得られるペレット洗浄剤組成物およびその製造方法(特許文献2を参照)が提案されている。あるいは、界面活性剤、ビルダー、表面改質剤および増量剤等からなる高密度粒状洗剤用の洗剤粉粒物を、特殊な構成の造粒室において、一定の粒度に整粒して取り出すことを連続的に行なう高密度洗剤粒子の連続造粒方法及び装置(特許文献3を参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−149780号公報
【特許文献2】特開2004−269557号公報
【特許文献3】特許第2636036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1における固形洗浄剤は、粉体混合物を加熱下で押出し成形して得られるものであり、また、特許文献2のペレット洗浄剤組成物は、その材料混合物を円柱状に押し出して所定の長さに切断するものである。このため、これらの成形物には、切断時に発生する粉状の洗浄剤組成物が混じりやすく、充分な粉立ち抑制性能を確保することができないという問題や、成形時の高圧負荷によって円柱状混合物の溶解性が悪くなるといった問題がある。
【0009】
また、上記特許文献3の高密度洗剤粒子は、平均粒径540〜600μmという比較的粒の細かいものが実施例として記載されているにすぎず、それ以上大きい粒子に設定した場合、優れた分散性、溶解性、粉立ち抑制性能等が得られるかについては疑問である。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、(1)洗浄性能、食器等の被洗浄物の仕上がり性およびスケール抑制性能に優れるとともに、貯蔵安定性に優れ、特に、塩素系漂白剤あるいは酸素系漂白剤を配合したものを高温多湿の条件にて保存した場合でも、上記漂白剤の分解が最小限に抑えられ、所望の漂白性能を有すること、(2)粒状で流動性があり、カートリッジタイプの容器等に充填しやすく、その際、粉立ちが少なく、取扱い時における作業性と安全性に優れていること、(3)造粒しているにもかかわらず所望の溶解性能を有するものであること、これらの性能を兼ね備えた、優れた自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を提供することをその目的とする。また、その製法およびその使用方法の提供をも、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)〜(E)成分を必須成分として含有し、JIS K−3362:1998「合成洗剤試験方法」記載のふるい分け方法によって測定される粒度から求められる平均粒径(以下、「平均粒径」と略す)が0.8〜3.0mmに設定された略球状粒状体の集合体からなる自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第1の要旨とする。ただし、本発明において、下記の(A)成分であるアルカリ金属塩には、(D)成分である炭酸アルカリ金属塩は含まれず、両者は異なる成分として区別される。
(A)アルカリ金属塩
(B)金属イオン封鎖剤
(C)界面活性剤
(D)炭酸アルカリ金属塩
(E)高分子電解質重合体
【0012】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記(A)〜(E)成分のうち、少なくとも一種類の成分が水化物である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第2の要旨とし、上記(A)〜(E)成分とともに、(F)成分として水を含有する自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第3の要旨とし、上記(A)〜(E)成分とともに、(G)成分として、無水硫酸アルカリ金属塩または硫酸アルカリ金属塩水化物を含有する自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第4の要旨とする。
【0013】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記(A)成分として、少なくとも水酸化アルカリ金属塩を含有する自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第5の要旨とし、上記(B)成分の金属イオン封鎖剤が、燐酸アルカリ金属塩である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第6の要旨とし、上記(B)成分の金属イオン封鎖剤が、無燐系金属イオン封鎖剤である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第7の要旨とする。
【0014】
そして、本発明は、上記第7の要旨である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物のなかでも、特に、上記無燐系金属イオン封鎖剤が、アミノカルボン酸およびヒドロキシアミノカルボン酸、並びにその塩から選択される少なくとも一つである自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第8の要旨とする。
【0015】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記(C)成分の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第9の要旨とし、上記(E)成分の高分子電解質重合体が、アクリル酸およびマレイン酸の少なくとも一方を単量体とする重合体、およびその共重合体、並びにその水溶性アルカリ塩から選択される少なくとも一つである自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第10の要旨とし、水、天然高分子誘導体、デンプン誘導体、セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールから選択される少なくとも一種のバインダーが、造粒時に添加されたものである自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第11の要旨とする。
【0016】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記略球状粒状体の集合体に、下記の(H)成分および(I)成分の少なくとも一方が混合されている自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を第12の要旨とする。
(H)平均粒径が0.5〜3.0mmに設定された塩素系漂白剤もしくは酸素系漂白剤。
(I)平均粒径が0.5〜3.0mmに設定された洗剤用酵素。
【0017】
また、本発明は、上記第1〜第12の要旨のいずれかである自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を製造する方法であって、略球状粒状体を調製するための原料組成物を、高速攪拌造粒機に供給し、バッチ式の造粒工程によって、略球状に造粒するようにした自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法を第13の要旨とする。
【0018】
さらに、本発明は、そのなかでも、特に、上記高速攪拌造粒機が、回転攪拌翼および回転解砕翼を有する造粒機である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法を第14の要旨とし、上記高速攪拌造粒機における造粒工程後、減圧乾燥工程を経由するようにした自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法を第15の要旨とする。
【0019】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記第1〜第12のいずれかの要旨である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を、水で希釈してなる0.1質量%水溶液の、25℃におけるpH(JIS Z−8802:1984「pH測定方法」に従う)が、8〜12の範囲となるよう調製するようにした自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法を第16の要旨とする。
【0020】
そして、本発明は、上記第1〜第12のいずれかの要旨である自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を、0.01〜0.5質量%の洗浄剤希釈液として調製し、自動食器洗浄機による食器・調理器具等の洗浄に用いるようにした自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の使用方法を第17の要旨とする。
【0021】
なお、本発明において、「略球状」とは、図1(a)に示すように、粒状体(n=20個)の長径R1および短径R2を測定し、下記の式(1)によって算出される真球度が0.7〜1.0である形状をいい、この値が1.0に近づくほど真球に近い形状である。
【0022】
【数1】

【0023】
また、本発明において、「水化物」とは、分子の形で水を含む化合物をいう。
【発明の効果】
【0024】
本発明の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物は、特定の必須成分を含有し、かつその平均粒径が0.8〜3.0mmという、比較的大きな粒であって真球に近い特殊な形状の粒状体の集合体であるため、洗浄性能、食器の仕上がり性およびスケール抑制性能のいずれについても優れた性能を有する。しかも、貯蔵安定性に優れ、特に、塩素系漂白剤や酸素系漂白剤、あるいは洗剤用酵素を配合したものを高温多湿の条件において保存した場合であっても、上記漂白剤や酵素の分解が最小限に抑えられるため、所望の漂白性能、酵素洗浄性能を発揮するという利点を有する。
【0025】
また、本発明の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物は、平均粒径0.8〜3.0mmの略球状に造粒されているため、粉立ちが抑えられて(飛散抑制に優れて)おり、取扱い時における作業性と安全性に優れている。そして、比較的大きな粒状に造粒されているにもかかわらず、所望の溶解性能を有している。
【0026】
そして、本発明の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法によれば、上記優れた特性の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を、簡単かつ低コストで製造することができる。
【0027】
さらに、本発明の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の使用方法によれば、本発明の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の優れた特性を活かし、自動食器洗浄機を用いて食器等の被洗浄物を洗浄することにより、優れた洗浄力と仕上がり性を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0029】
まず、本発明の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物(以下、「粒状洗浄剤組成物」と略す)は、下記の(A)〜(E)成分を必須成分として含有するものである。
(A)アルカリ金属塩
(B)金属イオン封鎖剤
(C)界面活性剤
(D)炭酸アルカリ金属塩
(E)高分子電解質重合体
【0030】
上記(A)成分のアルカリ金属塩としては、水酸化アルカリ金属塩、珪酸アルカリ金属塩があげられる。
【0031】
上記水酸化アルカリ金属塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられ、これらは、単独もしくは2種以上の併用で用いられる。
【0032】
また、上記珪酸アルカリ金属塩としては、下記の化学式(1)で示されるものが好適であり、なかでも、洗浄性能および分散性能の点から、下記のx:yが1:2〜3:1、特に1:2〜2:1のものが好適である。例えば、無水メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム5水塩、メタ珪酸ナトリウム9水塩、オルソ珪酸ナトリウムが好ましい。また、無水メタ珪酸ナトリウム、ジ珪酸ナトリウム、層状珪酸ナトリウム(SKS−6、ヘキスト社製)等を用いることもできる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0033】
【化1】

【0034】
上記(A)成分であるアルカリ金属塩の含有量は、特に限定するものではないが、粒状洗浄剤組成物全体に対し、1〜50質量%(以下、「%」と略す)に設定することが好ましく、なかでも、20〜45%が好適である。すなわち、1%未満では、蛋白質、澱粉に対する洗浄力が乏しくなり、逆に、50%を超えると、全体としてのバランスが悪くなり、貯蔵安定性が低下するとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られず、好ましくない。
【0035】
上記(B)成分の金属イオン封鎖剤としては、燐系、無燐系のどちらを用いても差し支えはない。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記燐系の金属イオン封鎖剤としては、燐酸アルカリ金属塩があげられ、用いられる燐酸としては、オルソ燐酸、ポリ燐酸、ピロ燐酸、メタ燐酸、ヘキサメタ燐酸等があげられる。そして、これらの燐酸と化合させるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等があげられる。特に、上記燐酸アルカリ金属塩のなかでも、トリポリ燐酸ナトリウムが好適である。
【0037】
また、無燐系のものとしては、アミノポリ酢酸およびこれらのアルカリ金属塩、有機酸またはこれらのアルカリ金属塩、その他の有機ビルダー、アミノ酸またはこれらのアルカリ金属塩等があげられる。
【0038】
上記アミノポリ酢酸およびこれらのアルカリ金属塩としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ポリエチレンイミン酢酸、メチルグリシン二酢酸、ジエンコル酸およびその塩等のアミノポリ酢酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩等が用いられる。そして、これらと化合させるアルカリ金属としては、ナトリウム塩、カリウム塩等があげられ、好ましくはナトリウム塩が用いられる。
【0039】
上記有機酸またはこれらのアルカリ金属塩としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、シュウ酸、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボシキメチル酒石酸、3−ヒドロキシ2,2’−イミノジコハク酸等の有機酸、またはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩等を用いることができる。
【0040】
上記その他の有機ビルダーとしては、エタン−1,1−ジホスホン酸塩、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸塩およびその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ホスホン酸等のホスホン酸化合物、またはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸またはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩を用いることができる。
【0041】
そして、上記アミノ酸またはこれらのアルカリ金属塩としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアン塩等を用いることができる。
【0042】
なかでも、グルコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、3−ヒドロキシ2,2’−イミノジコハク酸四ナトリウム、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、グルタミン酸−N,N’−二酢酸四ナトリウム、ポリエチレンイミン酢酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ホスホン酸が好ましく用いられる。
【0043】
上記(B)成分である金属イオン封鎖剤の含有量も、特に限定するものではないが,本発明の粒状洗浄剤組成物全体に対し、10〜60%に設定することが好ましく、なかでも、25〜55%が好適である。すなわち、10%未満では、油汚れに対する洗浄力が乏しくなるとともに、スケール生成抑制能が低下し、逆に、60%を超えると、全体としてのバランスが悪くなり、所望の性能が低下して、好ましくない。
【0044】
また、本発明の粒状洗浄剤組成物に用いられる(C)成分の界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤があげられる。
【0045】
例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン重合物(プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー)、燐酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、アルキルアミンオキサイド等の非イオン界面活性剤、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤、およびアミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤があげられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0046】
なかでも、低泡性能や汚れの乳化力の点から、非イオン界面活性剤が好ましく、特に、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、トリメチルプロパンのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物、グリセリンのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0047】
上記(C)成分である界面活性剤の含有量も、特に限定するものではないが、本発明の粒状洗浄剤組成物全体に対し、0.05〜10%に設定することが好ましい。なかでも、2〜7%が好適である。すなわち、0.05%未満では、所望の洗浄性能に乏しく、また、洗浄剤がコンパクトなものとならず経済的に不利になるおそれがある。一方、10%を超えると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られず、好ましくない。
【0048】
また、本発明の粒状洗浄剤組成物に用いられる(D)成分の炭酸アルカリ金属塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム10水塩等があげられ、これらも、単独もしくは2種以上の併用で用いられる。なかでも、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく用いられる。
【0049】
上記(D)成分である炭酸アルカリ金属塩の含有量も、特に限定するものではないが、本発明の粒状洗浄剤組成物全体に対し、1〜60%に設定することが好ましい。なかでも、15〜40%が好適である。すなわち、1%未満では、他成分とのバランスから充分な洗浄力が得られにくく、一方、60%を超えると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られず、好ましくない。
【0050】
さらに、本発明の粒状洗浄剤組成物に用いられる(E)成分の高分子電解質重合体としては、ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマレイン酸、無水マレイン酸ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸スチレン共重合体、無水マレイン酸メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸エチレン共重合体、無水マレイン酸エチレンクロスリンク共重合体、無水マレイン酸酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸ブタジエン共重合体、無水マレイン酸イソプレン共重合体、無水マレイン酸と一酸化炭素から誘導されるポリ−β−ケトカルボン酸、イタコン酸エチレン共重合体、イタコン酸アコニット酸共重合体、イタコン酸マレイン酸共重合体、イタコン酸アクリル酸共重合体、マロン酸メチレン共重合体、イタコン酸フマール酸共重合体、エチレングリコールエチレンテレフタレート共重合体、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体等があげられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム、アクリル酸マレイン酸共重合体、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸ナトリウム、アクリル酸マレイン酸ポリエチレングリコール共重合体、オレフィンマレイン酸共重合体のナトリウム塩、アクリル酸スルホン酸共重合体のナトリウム塩が好ましい。
【0051】
上記(E)成分である高分子電解質重合体の含有量も、特に限定するものではないが、本発明の粒状洗浄剤組成物全体に対し、0.1〜10%に設定することが好ましい。なかでも、0.5〜5%が好適である。すなわち、0.1%未満では、所望の再汚染防止効果や洗浄力に乏しく、また、10%を超えると、全体としてのバランスが悪くなり、貯蔵安定性が低下するとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られず、好ましくない。
【0052】
なお、上記必須成分である(A)〜(E)成分のうち、少なくとも一種類の成分は、水化物であることが好ましい。すなわち、水化物が組成物中に存在すると、原料組成物を、後述するように、攪拌混合して造粒する際、その水化物に含有されていた水分が、結晶構造から解離して表面にしみ出して、各成分粒子を湿潤させて互いに結着させるため、高温で原料組成物を溶融冷却固化させる必要がなく、非加熱もしくは比較的低い温度で造粒することができる。しかも、各成分粒子の粒子間に微妙な隙間を残した状態で結着させることができるため、得られる粒状洗浄剤組成物が、非常に溶解性に優れたものとなるという利点を有する。また、酵素等の熱に弱い成分を配合しても、その効果を損なうことがないという利点を有する。
【0053】
本発明の粒状洗浄剤組成物には、上記(A)〜(E)の必須成分とともに、(F)成分として、水を配合することができる。上記水としては、例えば、純水、イオン交換水、軟水、蒸留水、水道水等があげられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、経済性及び貯蔵安定性の点から、水道水、イオン交換水が好ましく用いられる。なお、ここでいう「水」とは、粒状洗浄剤組成物に用いられる他の成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水を含まず、単独の成分として外から加えられる水のみをいい、JIS K−3362:1998「合成洗剤試験方法」記載の加熱減量法によって定量することができる。
【0054】
上記(F)成分である水を配合する場合、その含有量は、粒状洗浄剤組成物全体に対し、0.1〜15%に設定することが好適で、より好ましくは、1〜9%である。すなわち、この範囲で水を配合することにより、洗浄剤組成物の造粒性および飛散防止性を高めることができ、好ましい。なお、15%を超えて配合すると、生産効率が低下し、所望の粒状体を得ることができず、好ましくない。
【0055】
また、本発明の粒状洗浄剤組成物には、(G)成分として、無水硫酸アルカリ金属塩または硫酸アルカリ金属塩水化物を配合することができる。これらの例としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム10水塩、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム等があげれらる。これらも、単独もしくは2種以上の併用で用いることができる。なかでも、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムが好適である。
【0056】
上記(G)成分である無水または水化物の硫酸アルカリ金属塩を配合する場合、その含有量は、粒状洗浄剤組成物全体に対し、1〜50%に設定することが好適で、より好ましくは、3〜25%である。すなわち、この範囲で上記硫酸アルカリ金属塩を配合することにより、洗浄力をより高めることができるからである。なお、50%を超えて配合すると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られず、好ましくない。
【0057】
さらに、本発明の粒状洗浄剤組成物には、必要に応じて、水溶性溶剤、ハイドロトロープ剤、シリコーン系消泡剤、香料、腐食防止剤、防腐剤等の公知成分を任意に配合することもできる。
【0058】
上記任意成分のうち、水溶性溶剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル等を用いることができる。
【0059】
また、ハイドロトロープ剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等を用いることができる。
【0060】
また、本発明の粒状洗浄剤組成物には、その美観を高めるために、染料または顔料を配合することができる。これらは、上記(F)成分である水に溶解して用いたり、後述する造粒工程において、スプレー等によって、造粒された粒状体表面を着色するのに用いられる。このような染料または顔料としては、溶解性および分散性が高く、耐アルカリに優れたものが好ましく、なかでも、食品添加剤グレードのものがより好適に用いられる。このような染料または顔料としては、青色1号、赤色3号、黄色4号、ナフトールグリーン等があげられ、単独もしくは2種以上の併用で用いられる。
【0061】
本発明の粒状洗浄剤組成物は、前記必須成分(A)〜(E)と、上記任意成分(F)、(G)等とからなる原料組成物を用い、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、上記原料組成物を、高速攪拌造粒機に投入して均一混合した後、所定温度に加熱し、バッチ式の造粒工程を行う。これによって、平均粒径が0.8〜3.0mmの、略球状粒状体の集合体である本発明の粒状洗浄剤組成物を得ることができる。
【0062】
このようにして得られる本発明の粒状洗浄剤組成物は、特定の必須成分を含有し、図1(b)に示すように、その平均粒径が0.8〜3.0mmという、比較的大きな粒であって真球に近い特殊な形状の粒状体の集合体であるため、洗浄性能、食器の仕上がり性およびスケール抑制性能のいずれについても優れた性能を有する。しかも、貯蔵安定性に優れ、特に、後述する塩素系漂白剤や酸素系漂白剤、あるいは洗剤用酵素を配合したものを高温多湿の条件において保存した場合であっても、上記漂白剤や酵素の分解が最小限に抑えられるため、所望の漂白性能、酵素洗浄性能を発揮するという利点を有する。
【0063】
また、本発明の粒状洗浄剤組成物は、平均粒径0.8〜3.0mmの略球状に造粒されているため、粉立ちが抑えられて(飛散抑制に優れて)おり、取扱い時における作業性と安全性に優れている。そして、比較的大きな粒状に造粒されているにもかかわらず、優れた溶解性能を有している。
【0064】
さらに、本発明の粒状洗浄剤組成物において、必須成分(A)〜(E)の一部に水化物が含有されているものは、すでに述べたように、原料組成物の造粒時に、その水化物に含有されていた水分が各成分粒子を湿潤させて互いに結着させるため、高温で原料組成物を溶融冷却固化させたり、造粒時に水やバインダーを多用する必要がなく、非加熱もしくは比較的低い温度で、粒子間に微妙な隙間を残した状態で造粒されている。したがって、非常に溶解性に優れており、また、酵素等の熱に弱い成分を含有するものであっても、その効果が維持されているという利点を有する。
【0065】
なお、上記の製法に用いられる高速攪拌造粒機としては、回転攪拌翼と回転解砕翼の両方を有するものが、粒度にばらつきがなく、略球状粒状体を得る上で好ましい。このような造粒機としては、例えば、商品名:ハイスピードミキサー(深江パウテック社製)、商品名:レーディゲミキサー(マツボー社製)、商品名:ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、商品名:バーチカルグラニュレーター(パウレック社製)、商品名:プロシェアミキサー(太平洋機工社製)等があげられ、なかでも、ハイスピードミキサー、レーディゲミキサーが好適である。
【0066】
また、上記高速攪拌造粒機の稼働条件は、得られる粒状洗浄剤組成物の粒度分布が狭く、しかもできるだけ球状に近いものとなるよう、適宜調整される。例えば、回転攪拌翼と回転解砕翼の両方を有するものにおいて、回転攪拌翼の先端周速は3〜12m/秒に設定することが好ましく、回転解砕翼の回転数は50〜3000rpmに設定することが好ましい。そして、より好適には、回転攪拌翼の先端周速が5〜10m/秒、回転解砕翼の回転数が1500〜2500rpmである。
【0067】
さらに、造粒時の品温は、40〜80℃に設定することが好ましく、より好適には、50〜70℃である。本発明に用いられる高速攪拌造粒機は、このような品温制御を行なうため、冷水、熱水、スチーム等の冷媒・熱媒を導入するジャケットを備えているものが好ましい。そして、上記ジャケット温度は、100℃を超えないよう設定することが好ましく、なかでも、原料への熱の影響を考慮して、90℃以下に設定することがより好ましい。
【0068】
また、上記の製法において、造粒工程終了後、取り扱い時の微粉飛散を抑制するとともに整粒のために、回転攪拌翼および回転解砕翼の回転速度を適度に調節して、微粉取り込み除去を行なうことが望ましい。
【0069】
さらに、上記の製法において、造粒工程終了後、ひきつづき乾燥工程を行なうことが好ましいが、粒状洗浄剤組成物の凝集抑制、品質低下の抑制、生産性向上の点から、減圧乾燥を行なうことがより好適である。この減圧乾燥時における高速攪拌造粒機内の圧力は、6〜32kPaに設定することが好適で、なかでも、真空ポンプへの負荷や気密性の点から、13.3〜20kPaに設定することがより好ましい。
【0070】
そして、上記乾燥工程において、造粒された粒状体の乾燥を行なうために、本発明に用いられる高速攪拌造粒機には、ガス吹き込み用ノズルが設けられていることが好ましい。乾燥工程において、上記ノズルから吹き込まれるガスとしては、空気、窒素等、適宜のものが用いられ、その温度は、通常、10〜40℃に設定することが好ましい。また、ガスの導入量は、1バッチで造粒される粒状洗浄剤組成物の量にもよるが、通常、1〜40リットル/分に設定することが好ましく、なかでも5〜20リットル/分に設定することが、より好適である。
【0071】
なお、本発明の粒状洗浄剤組成物には、本発明が目的とする性能を損なわない範囲で、耐ケーキング性の向上、溶解性の向上、製造性の向上等のために、上記高速攪拌造粒機による造粒時に、原料組成物にバインダーを添加することができる。また、前記(F)成分である水を、このバインダーとともに、あるいは、バインダーに代えて、添加することができる。
【0072】
上記バインダーとしては、所望の粘結性を示すものが好ましく、例えば、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、グアーガム、ゼラチン、カルボキシメチルスターチナトリウム、デキトスリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸アミド重合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0073】
上記バインダーを添加する場合、その添加量は、通常、粒状洗浄剤組成物全体に対し、0.1〜20%に設定することが好適である。上記範囲を下回ると、バインダーを用いる効果に乏しく、逆に、上記範囲を上回ると、生産効率が低下するだけでなく、所望の粒形状が得られにくいという問題がある。
【0074】
さらに、本発明において、上記造粒工程(乾燥工程を含む)によって造粒された略球状粒状体の集合体に、(H)成分として、塩素系漂白剤もしくは酸素系漂白剤を混合することができる。上記塩素系漂白剤としては、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等があげられ、上記酸素系漂白剤としては、過炭酸ナトリウム、過硼酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム等があげられる。、これらは単独もしくは2種以上の併用で用いられる。
【0075】
なお、上記(H)成分の塩素系漂白剤もしくは酸素系漂白剤としては、その平均粒径が0.5〜3.0mmに設定されたものを用いることが望ましい。これは、ベースとなる粒状洗浄剤組成物の平均粒径とのバランスを考慮したもので、(H)成分の平均粒径が0.5mm未満では、飛散性抑制効果が損なわれるおそれがあり、一方、平均粒径が3.0mmを超えると、均質な溶解性が得られず、所望の洗浄性能に乏しいものとなり、好ましくない。
【0076】
上記(H)成分である塩素系漂白剤もしくは酸素系漂白剤を混合する場合、その含有量は、粒状洗浄剤組成物全体に対する有効塩素量もしくは有効酸素量として、0.1〜10%に設定することが好適で、より好ましくは、0.5〜5%である。すなわち、この範囲で、洗浄力、特に茶渋汚れに対する洗浄力をより高めることができるからである。なお、10%を超えて配合すると、貯蔵安定性が低下するとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られず、好ましくない。
【0077】
また、本発明において、上記(H)成分と同様、造粒された略球状粒状体の集合体に、(I)成分として、洗剤用酵素を混合することができる。上記洗剤用酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、プルラナーゼ、ペクチナーゼ等があげられ、これらも単独もしくは2種以上の併用で用いられる。なお、上記洗剤用酵素も、(H)成分と同様の理由から、その平均粒径が0.5〜3.0mmに設定されたものを用いることが望ましい。
【0078】
上記(I)成分である洗剤用酵素を混合する場合、その含有量は、粒状洗浄剤組成物全体に対し、0.1〜10%に設定することが好適で、より好ましくは、1〜7%である。すなわち、この範囲で、洗浄力をより高めることができるからである。なお、10%を超えて配合すると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られず、経済性の点からも、好ましくない。
【0079】
そして、このようにして得られる本発明の粒状洗浄剤組成物は、これを水で希釈してなる0.1%水溶液のpHが、8〜12の範囲となるよう調製されていることが、自動食器洗浄機に用いる上で、好適である。
【0080】
本発明の粒状洗浄剤組成物は、カートリッジタイプの洗浄剤容器や、スタンディングパウチ等、各種の袋体や容器に充填して流通に供することができる。
【0081】
そして、本発明の粒状洗浄剤組成物は、各種の自動食器洗浄機に一体的に内蔵もしくは付設される洗浄剤供給装置を介して、所定濃度に希釈され、その洗浄剤希釈液が、自動食器洗浄機における食器、調理器具、トレイ、瓶,缶等の食品関連品を洗浄するのに用いられる。
【0082】
本発明の粒状洗浄剤組成物を用いることのできる自動食器洗浄機としては、特に限定するものではなく、例えば、ドアタイプ、アンダーカウンタータイプ、ラックコンベアタイプ、フライトコンベアタイプ、フィルアンドダンプタイプ等、各種自動食器洗浄機を用いることができる。そして、本発明の粒状洗浄剤組成物を溶解し、自動食器洗浄機に供給するための洗浄剤供給装置としては、例えば、特許第3145918号公報に記載された供給装置や、特開2002−255198号公報の図4〜図6に記載されて供給装置等が好適に用いられる。
【0083】
なお、本発明の粒状洗浄剤組成物を自動食器洗浄機で用いる際の希釈濃度は、0.01〜0.5%に設定することが好適である。また、自動食器洗浄機における温度条件として、洗浄温度は40〜70℃で、好ましくは55〜65℃であり、また、すすぎ温度は80〜95℃で、好ましくは85〜90℃である。
【実施例】
【0084】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】
〔実施例1〜111、比較例1〜8〕
後記の表1〜表19に示す配合組成に従って、全量が50kgとなるようにハイスピードミキサー(型式:FS/GS−100J、深江パウテック社製)に原料を順次添加して均一混合した後、加熱して品温が所定の温度に達した時点で造粒を行った。そして、水封式ポンプ(型式:SW200S、神港精密機械社製)による減圧乾燥を行なうことにより、粒状洗浄剤組成物を製造した。
【0086】
得られた粒状洗浄剤組成物について、平均粒径を求めるとともに、前述の式(1)に従って、その真球度を算出した。また、以下の試験方法等に従って、製造性、飛散性、溶解性、pH、有効塩素もしくは有効酸素の安定性、貯蔵安定性、スケール生成抑制能、洗浄性、再付着抑制能及び洗浄後仕上がり性の10項目を評価した。その結果を後記の表1〜表19に併せて示す。なお、後記の表1〜表19において、用いた成分とその有効純分(%)の詳細は、下記のとおりであり、表中の数値は、有効純分100%に換算して示したものである。なお、表中の「水」は、粒状洗浄剤組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と外から加えられる水との総和であり、粒状洗浄剤組成物全体が100%となるようバランスとして示される。
【0087】
〔製造性〕
・試験方法
造粒後、原料洗浄剤組成物が粒状成形体となるか否かを目視により観察し、下記の判定基準に従い評価した。
・評価基準
○:造粒後、粒状成形体ができた。
△:造粒後、粒状成形体にならないものが一部混じっていた。
×:造粒後、粒状成形体ができなかった。
【0088】
〔飛散性〕
・試験方法
内径52mm、高さ1100mmのアクリル円筒容器を垂直に立て、円筒上部より粒状洗浄剤組成物を200g自然落下させる。その1秒後に舞い上がった粉塵を吸引し、その時の捕集量から、下記の式(2)にもとづいて飛散率(%)を算出し、下記の判定基準に従って評価した。
【0089】
【数2】

【0090】
・評価基準
◎:飛散率が0.5%未満
○:飛散率が0.5%以上1%未満
△:飛散率が1%以上1.5%未満
×:飛散率が1.5%以上
【0091】
〔溶解性〕
・試験方法
マグネティックスターラーに乗せた60℃のウォーターバスに、60℃のお湯1リットルと攪拌子の入った1リットルビーカーを浸け、お湯を回転数500rpmで回転させた。そこに粒状洗浄剤組成物を1g入れて、溶解するまでの時間を測定し、下記の判定基準に従い評価した。
・評価基準
◎:溶解時間が60秒未満
○:溶解時間が60秒以上120秒未満
△:溶解時間が120秒以上180秒未満
×:溶解時間が180秒以上
【0092】
〔pH〕
・試験方法
JIS Z−8802:1984に従い、0.1%に調製された粒状洗浄剤組成物の水溶液の25℃におけるpHを測定し、下記の判定基準に従い評価した。
・評価基準
○:pHが8〜12である。
×:pHが8未満もしくは12を超えている。
【0093】
〔有効塩素、有効酸素の安定性〕
・試験方法
粒状洗浄剤組成物を250ml容量のポリプロピレン製容器に入れ、50℃にて2ヶ月間保存し、残存する有効塩素もしくは有効酸素を下記の(1)もしくは(2)の方法で測定し、保存前の有効塩素、有効塩素に対する比率を残存率(%)として求め、安定性を下記の判定基準に従い評価した。
(1)有効塩素測定法
試料3gを200ml容量三角フラスコに取り、それに10%ヨウ素ヨウ化カリウム溶液15ml、(1+1)硫酸10mlを添加し、冷暗所に3分間静置してヨウ素を遊離させ、次に0.1Nチオ硫酸ナトリウム規定液でヨウ素の黄色が消失するまで滴定し、下記の式(3)から算出する。
【0094】
【数3】

【0095】
(2)有効酸素測定法
試料1gを200ml容量三角フラスコに取り、それに17%ヨウ素ヨウ化カリウム溶液10ml、(1+9)硫酸15ml、5%モリブデン酸アンモニウム2mlを添加し、冷暗所に3分間静置してヨウ素を遊離させ、次に0.1Nチオ硫酸ナトリウム規定液でヨウ素の黄色が消失するまで滴定し、下記の式(4)から算出する。
【0096】
【数4】

【0097】
・評価基準
◎:残存率が70%以上
○:残存率が70%未満50%以上
△:残存率が50%未満30%以上
×:残存率が30%未満
【0098】
〔貯蔵安定性〕
・試験方法
粒状洗浄剤組成物を250mlのポリプロピレン製容器に入れ、温度40℃、湿度75%の恒温恒湿器(型式:IG47M、ヤマト科学社製)にて3ヶ月間保存した。その外観を目視により観察し、下記の評価基準により貯蔵温安定性を評価した。
・評価基準
○:3ヶ月後、変色・固結等は認められなかった。
△:3ヶ月後、変色・固結等がわずかに認められた。
×:3ヶ月後、変色・固結等が顕著に認められた。
【0099】
〔スケール生成抑制能〕
・試験方法
人工硬水(総硬度:CaCO3 として250ppm)を用いて、粒状洗浄剤組成物を0.05%に希釈し、容量100ml容量の比色管に50mlを注ぎ、60℃で24時間保持した後、スケールの生成量を以下の基準で目視判定した。
・評価基準
◎:スケールの生成がなかった。
○:スケール生成がほとんどなかった。
△:スケールの生成があった。
×:スケール付着が著しかった。
【0100】
〔洗浄性〕
・試験方法
調製された粒状洗浄剤組成物を業務用の自動食器洗浄機(型式:DW−RD61、三洋電機社製)に投入し、下記の運転条件で運転した。そして、下記の被洗浄物である陶器皿を10枚1組として洗浄し、その洗浄性能を後記の評価基準で評価した。なお、汚れとして牛脂、カレー、卵黄を用意し、それぞれの汚れに対し洗浄評価を行った。
*運転条件
洗剤濃度 :0.1%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:43秒、すすぎ:15秒)
水道水の硬度:(CaCO3 として)70〜80ppm
牛脂汚れ :精製牛脂を用いた。
カレー汚れ :市販のレトルトカレー(ボンカレー)を用いた。
卵黄汚れ :卵黄のみをとりわけ、よくかき混ぜて用いた。
被洗浄物 :直径 10cmの陶器皿に上記汚れを4g/枚となるように付着させ、常 温で1時間乾燥させたものを用いた。
・評価基準
◎:90%以上の汚れ除去
○:70%以上90%未満の汚れ除去
△:50%以上70%未満の汚れ除去
×:50%未満の汚れ除去
【0101】
〔再付着抑制能〕
・試験方法
調製された粒状洗浄剤組成物とともにオイルレッドで着色したサラダ油30gを業務用の自動食器洗浄機(型式:DW−RD61、三洋電機社製)に投入し、下記の運転条件で運転して、メラミン製の清浄皿への汚れの付着の程度を以下の基準で目視判定した。
*運転条件
洗剤濃度 :0.1%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:43秒、すすぎ:15秒)
水道水の総硬度:(CaCO3 として)70〜80ppm
・評価基準
◎:清浄皿に汚れが全く付着していなかった。
○:清浄皿に汚れがほとんど付着していなかった。
△:清浄皿に汚れが付着していた。
×:清浄皿に汚れがかなり付着していた。
【0102】
〔洗浄後仕上がり性試験〕
・試験方法
調製された粒状洗浄剤組成物を業務用の自動食器洗浄機(型式:DW−RD61、三洋電機社製)に投入し、下記の条件で運転した。そして、後記に示す被洗浄物であるガラスコップを10個1組として洗浄し、洗浄後の仕上がり性能を後記の評価基準で評価した。
*運転条件
洗剤濃度 :0.1%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:43秒、すすぎ15秒)
使用水の総硬度:(CaCO3 として)70〜80ppm
被洗浄物 :8オンスのガラスコップ(佐々木硝子社製)に牛乳を注ぎ5分間放置した。ついで、牛乳を捨てた後、水ですすぐことなく30分間風乾した。
・評価基準
◎:ウォータースポットが全くみられない。
○:ウォータースポットが1〜2個みられる。
△:ウォータースポットが3〜5個みられる。
×:ウォータースポットが6個以上みられる。
【0103】
なお、後記の表1〜表19において用いた各種成分とその有効純分(質量%)の詳細は、下記の通りである。
【0104】
〔A成分〕
・アルカリ剤1
無水メタ珪酸ナトリウム
商品名:メタ珪酸ソーダ無水粒状(広栄化学工業社製)
・アルカリ剤2
メタ珪酸ナトリウム・五水塩
商品名:メタ珪酸ソーダ・5水塩結晶(広栄化学工業社製)
・アルカリ剤3
メタ珪酸ナトリウム・九水塩
商品名:メタ珪酸ソーダ・9水塩(三宝化学社製)
・アルカリ剤4
オルソ珪酸ナトリウム 純分:65%
商品名:オルソ65(東洋珪酸ソーダ社製)
・アルカリ剤5
水酸化ナトリウム
商品名:トーソーパール(東ソー社製)
・アルカリ剤6
水酸化カリウム
商品名:水酸化カリウム特級粧原基劇物(東亞合成社製)
【0105】
〔B成分〕
・金属イオン封鎖剤1
グルコン酸ナトリウム
商品名:グルコン酸ソーダ(扶桑化学工業社製)
・金属イオン封鎖剤2
クエン酸ナトリウム
商品名:クエン酸三ナトリウム(磐田化学工業社製)
・金属イオン封鎖剤3
エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム
商品名:トリロンB(BASF社製)
・金属イオン封鎖剤4
ニトリロ三酢酸三ナトリウム
商品名:トリロンA92R(BASF社製)
・金属イオン封鎖剤5
グルタミン酸−N,N′−二酢酸四ナトリウム
純分:38%
商品名:ディゾルビンGL−38(アクゾノーベル社製)
・金属イオン封鎖剤6
トリポリリン酸ナトリウム
商品名:トリポリリン酸ソーダ(日本化学工業社製)
・金属イオン封鎖剤7
リン酸三ナトリウム
商品名:第三燐酸ソーダ(日本化学工業社製)
・金属イオン封鎖剤8
1−ヒドロキシエチリデンー1,1−ジホスホン酸
商品名:ディクエスト2016D(ソルーシア社製)
【0106】
〔C成分〕
・界面活性剤1
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(プルロニック型ブロックポリマー)
EO/PO重量比=0.67、平均分子量:3,300
商品名:エパン740(第一工業製薬社製)
・界面活性剤2
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(リバースプルロニック型ブロックポリマー)
EO/PO重量比=0.67、平均分子量:2,800
商品名:プルロニックRPE1740(BASF社製)
・界面活性剤3
ポリオキシエチレン(P=15)ポリオキシプロピレン(q=9)直鎖アルキル(C=14、15)エーテル
EO/PO重量比=1.26
試作品
・界面活性剤4
ポリオキシエチレン(P=8)ポリオキシプロピレン(q=6)直鎖アルキル(C=12、13)エーテル
EO/PO重量比=1.01、曇点=31℃
商品名:ペポールAS−054C(東邦化学工業社製)
・界面活性剤5
ポリオキシエチレン(m=4)ポリオキシプロピレン(q=38)直鎖アルキル(C16〜C18)エーテル
EO/PO重量比=0.08
商品名:アデカトールLG−299(旭電化工業社製)
・界面活性剤6
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(プルロニック型ブロックポリマー)
EO/PO重量比=0.11、平均分子量=2,000、曇点24℃
商品名:プルロニックPE6100(BASF社製)
・界面活性剤7
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(リバースプルロニック型ブロックポリマー)
EO/PO重量比=0.11、平均分子量=2,800
商品名:プルロニックRPE2510(BASF社製)
・界面活性剤8
トリメチロールプロパンEO,PO付加物
EO/PO重量比=0.21、平均分子量=4,500
試作品
・界面活性剤9
グリセリンEO,PO付加物
EO/PO重量比=0.22、平均分子量=4,500
試作品
・界面活性剤10
ラウリル硫酸ナトリウム
商品名:モノゲンY−100(第一工業製薬社製)
・界面活性剤11
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
商品名:ネオペレックスGS(花王社製)
【0107】
〔D成分〕
・炭酸アルカリ金属塩1
炭酸ナトリウム
商品名:ライトソーダ灰(徳山曹達社製)
・炭酸アルカリ金属塩2
炭酸水素ナトリウム
商品名:重炭酸ナトリウム(徳山曹達社製)
【0108】
〔E成分〕
・高分子電解質重合体1
ポリマレイン酸ナトリウム
平均分子量:1,800
試作品
・高分子電解質重合体2
ポリアクリル酸ナトリウム
平均分子量:15,000
商品名:ソカランPA−40P(BASF社製)
・高分子電解質重合体3
アクリル酸−マレイン酸共重合体
平均分子量:70,000
商品名:ソカランCP−45G(BASF社製)
【0109】
〔G成分〕
・洗浄ビルダー1
無水硫酸ナトリウム
商品名:中性無水芒硝A0(四国化成社製)
・洗浄ビルダー2
硫酸カリウム
商品名:硫酸カリウム(大塚化学社製)
【0110】
〔バインダー成分〕
・バインダー1
アルギン酸ナトリウム
平均分子量:40,000
商品名:サンアルギン(三晶社製)
・バインダー2
カルボキシメチルスターチナトリウム
平均分子量:7,500,000
商品名:グリコリス−LV(ロケットジャパン社製)
・バインダー3
カルボキシメチルセルロースナトリウム
平均分子量:10,000
商品名:セロゲンPR(第一工業製薬社製)
・バインダー4
アクリル酸アミド重合物
平均分子量:5,000,000
商品名:試薬(和光純薬社製)
・バインダー5
ポリビニルアルコール
平均分子量:44,000
商品名:VC−10(日本酢ビ・ポバール社製)
・バインダー6
ポリエチレングリコール
平均分子量:20,000
商品名:PEG20000(三洋化成工業社製)
【0111】
〔H成分〕
・塩素系漂白剤1
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
純分:60%
商品名:ネオクロール60G(四国化成社製)
・酸素系漂白剤1
過炭酸ナトリウム
商品名:PC−PHAS(日本パーオキサイド社製)
・酸素系漂白剤2
過ホウ酸ナトリウム
商品名:15%ぺルボン(第一工業製薬社製)
【0112】
〔I成分〕
・酵素1
アミラーゼ
商品名:ターマミル60TNT(ノボザイム社製)
・酵素2
プロテアーゼ
商品名:エバラーゼ8.0T(ノボザイム社製)
・酵素3
リパーゼ
商品名:リポラーゼ(ノボザイム社製)
【0113】
〔消泡剤成分〕
・シリコーン系消泡剤1
シリコーン
商品名:KS−530(信越化学工業社製)
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
【表6】

【0120】
【表7】

【0121】
【表8】

【0122】
【表9】

【0123】
【表10】

【0124】
【表11】

【0125】
【表12】

【0126】
【表13】

【0127】
【表14】

【0128】
【表15】

【0129】
【表16】

【0130】
【表17】

【0131】
【表18】

【0132】
【表19】

【0133】
〔比較例9〜11〕
本発明の粒状洗浄剤組成物とは形状の異なる比較例9として、図2(a)に示すように、ごく微細な粉体からなる洗浄剤組成物(商品名:デターファインスーパーMC、ジョンソンディバーシー社製)を準備した。また、比較例10として、図2(b)に示すように、ごく微細な粉体と比較的大きな粒状体とが混在する洗浄剤組成物(商品名:ジャストパックPKLW、ニイタカ社製)を準備した。さらに、比較例11として、図2(c)に示すように、円柱状ペレット体からなる洗浄剤組成物(商品名:ペレッタA、ライオンハイジーン社製)を準備した。
【0134】
そして、上記3つの比較例品についても、前記と同様の評価項目について評価し、その結果を下記の表20に示す。なお、各比較例品の特徴を、表20に併せて示す。
【0135】
【表20】

【0136】
表1〜表20の結果より、実施例品1〜111は、組成によっては、一部評価がやや劣る項目もあるが、全般に、真球度、製造性、飛散性、溶解性、pH、有効塩素もしくは有効酸素の安定性、貯蔵安定性、スケール生成抑制能、洗浄性、再付着抑制能及び洗浄後仕上がり性のいずれの評価項目においても、優れた性能を有していることがわかる。これに対し、必須成分が一つでも欠けている比較例品1〜5や、粒子の平均粒径や形状が特許請求の範囲を外れている比較例品6〜11は、悪い評価項目がいくつかあり、実用上問題であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】(a)は真球度の求め方の説明図、(b)は本発明の粒状洗浄剤組成物を示す模式的な説明図である。
【図2】(a)は比較例9品を示す模式的な説明図、(b)は比較例10品を示す模式的な説明図、(c)は比較例11品を示す模式的な説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(E)成分を必須成分として含有し、JIS K−3362:1998「合成洗剤試験方法」記載のふるい分け方法によって測定される粒度から求められる平均粒径が0.8〜3.0mmに設定された略球状粒状体の集合体からなることを特徴とする自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
(A)アルカリ金属塩
(B)金属イオン封鎖剤
(C)界面活性剤
(D)炭酸アルカリ金属塩
(E)高分子電解質重合体
【請求項2】
上記(A)〜(E)成分のうち、少なくとも一種類の成分が水化物である請求項1記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項3】
上記(A)〜(E)成分とともに、(F)成分として水を含有する請求項1または2記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項4】
上記(A)〜(E)成分とともに、(G)成分として、無水硫酸アルカリ金属塩または硫酸アルカリ金属塩水化物を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項5】
上記(A)成分として、少なくとも水酸化アルカリ金属塩を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項6】
上記(B)成分の金属イオン封鎖剤が、燐酸アルカリ金属塩である請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項7】
上記(B)成分の金属イオン封鎖剤が、無燐系金属イオン封鎖剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項8】
上記無燐系金属イオン封鎖剤が、アミノカルボン酸およびヒドロキシアミノカルボン酸、並びにその塩から選択される少なくとも一つである請求項7記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項9】
上記(C)成分の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である請求項1〜8のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項10】
上記(E)成分の高分子電解質重合体が、アクリル酸およびマレイン酸の少なくとも一方を単量体とする重合体、およびその共重合体、並びにその水溶性アルカリ塩から選択される少なくとも一つである請求項1〜9のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項11】
水、天然高分子誘導体、デンプン誘導体、セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールから選択される少なくとも一種のバインダーが、造粒時に添加されたものである請求項1〜10のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
【請求項12】
上記略球状粒状体の集合体に、下記の(H)成分および(I)成分の少なくとも一方が混合されている請求項1〜11のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物。
(H)JIS K−3362:1998「合成洗剤試験方法」記載のふるい分け方法によ って測定される粒度から求められる平均粒径が0.5〜3.0mmに設定された塩 素系漂白剤もしくは酸素系漂白剤。
(I)JIS K−3362:1998「合成洗剤試験方法」記載のふるい分け方法によ って測定される粒度から求められる平均粒径が0.5〜3.0mmに設定された洗 剤用酵素。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を製造する方法であって、略球状粒状体を調製するための原料組成物を、高速攪拌造粒機に供給し、バッチ式の造粒工程によって、略球状に造粒するようにしたことを特徴とする自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法。
【請求項14】
上記高速攪拌造粒機が、回転攪拌翼および回転解砕翼を有する造粒機である請求項13記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法。
【請求項15】
上記高速攪拌造粒機における造粒工程後、減圧乾燥工程を経由するようにした請求項13または14記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を、水で希釈してなる0.1質量%水溶液の、25℃におけるpH(JIS Z−8802:1984「pH測定方法」に従う)が、8〜12の範囲となるよう調製するようにした請求項13〜15のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の製法。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれかに一項に記載の自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物を、0.01〜0.5質量%の洗浄剤希釈液として調製し、自動食器洗浄機による食器・調理器具等の洗浄に用いるようにしたことを特徴とする自動食器洗浄機用粒状洗浄剤組成物の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−50410(P2008−50410A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225716(P2006−225716)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(503066321)ディバーシー・アイピー・インターナショナル・ビー・ヴイ (16)
【Fターム(参考)】