説明

自走式機器およびそのプログラム

【課題】同じ走行空間を繰り返し走行させる場合に、轍の軽減を図り、安定走行ができる自走式機器を提供することを目的とする。
【解決手段】機器本体100を移動させる移動手段102と、機器本体100のコントロール手段101と、電池104と、障害物を検出する障害物検出手段103とを備え、コントロール手段101は、壁面に沿うように機器本体100を移動させる場合、移動毎に壁面を沿うように移動する走行内容を自動的に切替えるようにした。これによって、自動切替えで、繰り返し同じところを走行することを防ぎ、自走式機器の走行による轍の発生を低減することができる。したがって、轍を作ってしまい一部の地面や床面の劣化を早めることをなくすとともに、生じた轍によって見栄えを悪くしたり、メンテナンス時期を早めたりすることをなくし、安定走行ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に屋内あるいは屋外を移動して清掃、巡回、監視などの作業を行う自走式機器およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自走式機器は、部屋あるいは野外などの走行空間の大きさを推定することや、走行空間の隅を重点的に清掃する、あるいは目的に場所まで迷わずに移動するなどのために、壁面を沿うように走行させる場合がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平5−46239号公報
【特許文献2】特開2005−352707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、繰り返し同じ走行空間を壁面に沿って走行させると、壁面に沿うため機器本体が毎回ほぼ同じ位置を通ることになるので、例えば、走行輪の通過した跡が残り、地面や床面などの一部と局所的に繰り返し摩擦などが起こることによる劣化が生じることになる。このため、自走式機器の使用を続けることによって一般ユーザが目で見てもはっきりとした轍が生することになる。
【0004】
このような轍が生ずると、地面の場合では特定位置を深く削ってしまい、例えば、芝生などに影響を与えたり、家庭内であれば、絨毯の寿命を著しく短くしてしまったりすることになる。このため、ユーザにとっては、見栄えが悪くなると共に、メンテナンスの時期を早めることになるので、不利益を被ることになる。さらには、このような症状を懸念するユーザは、自走式機器の本来の目的である、清掃や巡回や特定の場所への移動などの利用を控えてしまうことになる可能性がある。
【0005】
また、機器本体に関しても、大きく轍が生じることになれば、例えば、時々引っかかったり走行輪が空回りしたりするなど、スムーズに走行できなくなる可能性があるので、安定した走行制御に影響が生ずることになる。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、同じ走行空間を繰り返し走行させる場合に、轍を作ってしまい一部の地面や床面の劣化を早めることをなくすとともに、生じた轍によって見栄えを悪くしたり、メンテナンス時期を早めたりすることをなくし、安定走行ができる自走式機器およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の自走式機器およびそのプログラムは、機器本体を移動させる移動手段と、前記移動手段を操作して機器本体の移動をコントロールするコントロール手段と、機器本体に電力を供給する電池と、機器本体の周辺の障害物を検出する障害物検出手段とを備え、コントロール手段は、障害物検出手段により障害物として検出している壁面に沿うように機器本体を移動させる場合、移動毎に壁面を沿うように移動する走行内容を自動的に切替えるようにしたものである。
【0008】
これによって、機器本体が障害物として検出している壁面を沿うように移動する場合において、移動毎に移動する走行内容を自動的に切替える、例えば、沿う壁面との距離を走行毎に異なる距離に自動的に切替えることで、繰り返し同じところを走行することを防ぎ、自走式機器の走行による轍の発生を低減することができる。したがって、轍を作ってしまい一部の地面や床面の劣化を早めることをなくすとともに、生じた轍によって見栄えを悪くしたり、メンテナンス時期を早めたりすることをなくし、安定走行ができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自走式機器およびそのプログラムは、同じ走行空間を繰り返し走行させる場合に、轍を作ってしまい一部の地面や床面の劣化を早めることをなくすとともに、生じた轍によって見栄えを悪くしたり、メンテナンス時期を早めたりすることをなくし、安定走行ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、機器本体を移動させる移動手段と、前記移動手段を操作して機器本体の移動をコントロールするコントロール手段と、機器本体に電力を供給する電池と、機器本体の周辺の障害物を検出する障害物検出手段とを備え、コントロール手段は、障害物検出手段により障害物として検出している壁面に沿うように機器本体を移動させる場合、移動毎に壁面を沿うように移動する走行内容を自動的に切替えるようにした自走式機器とするものである。これによって、機器本体が障害物として検出している壁面を沿うように移動する場合において、移動毎に移動する走行内容を自動的に切替える、例えば、沿う壁面との距離を走行毎に異なる距離に自動的に切替えることで、繰り返し同じところを走行することを防ぎ、自走式機器の走行による轍の発生を低減することができる。したがって、轍を作ってしまい一部の地面や床面の劣化を早めることをなくすとともに、生じた轍によって見栄えを悪くしたり、メンテナンス時期を早めたりすることをなくし、安定走行ができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明において、走行内容の切替えは、壁面と機器本体との沿う距離を自動的に切替えることにより、壁面と機器本体との沿う距離を、例えば、5cmから15cmの間を1cm刻みの間隔で自動的に切替えることで、轍の発生を低減することができるようになる。
【0012】
第3の発明は、特に、第2の発明において、自動的に切替える壁面と機器本体との距離の変化量は、機器本体の移動によって発生する移動手段の轍の幅以下であることにより、例えば、車輪による轍であれば、車輪幅以下の変化量にすることによって、前回走行した跡の一部と重複することになるので、常に車輪が走行しないような場所の発生を防ぐことができ、均一的に轍の発生を抑えるとともに、轍の目立ちやすさの低減を行うことができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、走行内容の切替えは、壁面と機器本体との沿う方向を自動的に切替えることにより、轍の生する走行方向による癖を相殺あるいは低減することができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、走行内容の切替えは、機器本体の走行回数によって行うことにより、例えば、10回走行したら走行内容を切替えることで、轍の発生を低減することができるようになる。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、走行内容の切替えは、機器本体の走行時間によって行うことにより、例えば10分走行したら走行内容を切替えることで、轍の発生を低減することができるようになる。
【0016】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、走行内容の切替えは、機器本体の走行距離によって行うことにより、例えば、100メートル走行したら走行内容を切替えることで、轍の発生を低減することができるようになる。
【0017】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、走行内容の切替えは、走行内容のランダムな選択によって行うことにより、例えば、沿う壁面との距離の変更や、走行する壁を沿う側の変更を行うことで、轍の発生を低減することができるようになる。
【0018】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、走行内容の切替えタイミングは、障害物として検出している壁面を沿う動作に切替える時に行うことにより、走行に違和感無く、轍の発生を低減することができるようになる。
【0019】
第10の発明は、特に、第1〜第9のいずれか1つの発明において、機器本体の移動手段により生ずる轍の筋道に、ブラシで構成される轍軽減手段を備えることにより、一度通るだけでも発生するような、例えば絨毯などに残る車輪の形などの発生を抑え、さらに恒久的な轍として残りにくいようにすることができるようになる。
【0020】
第11の発明は、特に、第1〜第10のいずれか1つの発明において、機器本体に清掃を行う清掃手段を備え、移動手段は、清掃手段の幅よりも内側に配置することにより、例えば、車輪などの移動手段の通過した跡を清掃手段によって平滑化することができるので、走行跡の解消および轍の発生の低減を行うことができるようになる。
【0021】
第12の発明は、特に、第1〜第11のいずれか1つの発明における自走式機器の機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムとすることにより、プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ、サーバなどのハードリソースを協働させて自走式機器の少なくとも一部を容易に実現することができる。また、記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることで、プログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1における自走式機器を示している。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態における自走式機器は、機器本体100と、機器本体100を移動させる車輪などの移動手段102と、移動手段102を操作して機器本体100の移動をコントロールするコントロール手段101と、機器本体100に電力を供給する電池104と、機器本体100の周辺の障害物を検出する障害物検出手段103とを備えている。そして、コントロール手段101は、障害物検出手段103により障害物として検出している壁面に沿うように機器本体100を移動させる場合、移動毎に壁面を沿うように移動する走行内容を自動的に切替えるようにしたものである。
【0025】
前記した自走式機器は、例えば、障害物検出手段103によって検出した障害物である壁面との距離を一定に保つように、コントロール手段101によって移動手段102を制御することにより、部屋の壁面などに沿うように走行させることができる。また、例えば、壁面に沿う距離を走行毎に切替えることで、同じところを繰り返し走行することを避けることができるようになるので、轍の発生を低減することが可能となる。以下に各手段の詳細について説明する。
【0026】
コントロール手段101は、例えば、CPU、メモリで構成されている。機器本体100の動作をコントロールするために、移動手段102への制御信号を生成させることや、障害物検出時に障害物検出手段103への制御信号を生成させる。構成としては、他にも、CPU、メモリを1つにした1チップマイコンや、FPGA、DSPなどの他の演算可能なものであっても構わない。また、HDDやDVDやフラッシュメモリなどの記録装置と一緒に構成することで、メモリ容量を大量に利用するような複雑な処理をすることも可能にすることができる。さらに、無線LANなどの通信装置と一緒に構成することで、機器本体100と外部機器との通信が可能になり、蓄積しているデータの送信や、新たな制御パターンの受信など、さらに高度な処理を可能にすることができる。
【0027】
移動手段102のコントロールには、移動手段102として利用する装置にあわせて、PWM波形などによる制御やシリアル通信による位置の設定などのさまざまな形態の制御をさせることが可能である。
【0028】
また、障害物検出手段103を制御することで、検出が必要なタイミングに合わせて実行させると、電池手段104の消費電力を節約しながら測距を行うことも可能となる。他にもコントロール手段101は汎用的に利用することができるので、例えば、音声発生やカメラ制御など他の機器本体に付随するさまざまな装置のコントロールとしても、共用で利用することが可能である。
【0029】
移動手段102は、例えば、2つのモータと2つの移動輪を左右に水平に配置するように構成することで、コントロール手段101からの制御信号によって、左右のモータの回転数を変化させることにより、移動輪が動作して、機器本体100が移動する。移動手段102は、モータと移動輪の組み合わせ以外にも、複数のサーボモータを組み合わせた関節型のアクチュエータを組み合わせた2本足や4本足などの多足移動可能なものや、利用するモータは、リニアモータなど物理的な動作が可能なものであれば構わない。
【0030】
障害物検出手段103は、例えば、光の反射を利用して、障害物との距離を計測することが可能な測距センサや、超音波の反射を利用して、障害物との距離を計測することが可能な超音波センサや、障害物が機器本体100に接触したときのスイッチ作動、あるいは、電圧の変化を検出することで、接触を検出するバンパの役割をする接触センサなどによって構成することが可能である。なお、これらのセンサを機器本体100に複数個組み込んでおくことで、各センサの特性として検出が困難な状態であっても検出能力の相互補間を行うことができるので、検出精度を上げることが可能になる。他にも、CCDカメラなどの映像を取り込むセンサや、レーザ、電磁波、磁力などの性質を利用したセンサを障害物の検出を行う機能として利用することが可能である。
【0031】
電池104は、例えば、ニッケル水素2次電池にすることで、機器本体100への電力の供給が可能である。他にも、機器本体100への電力が供給可能なものであれば、アルカリ乾電池やオキシライド乾電池などの1次電池や、ニッケルカドミウム2次電池、リチウムイオン2次電池、リチウムポリマー2次電池、燃料電池などでも構わない。さらに、有線の電線を使って外部のAC電源から電力を供給することや、マイクロウェーブなどの外部から非接触で電力を供給するなど、機器本体100が動作中に電力を供給できるものであれば構わない。
【0032】
次に、図2の壁面を沿うときに走行内容を切替えるフローチャート、図3の壁面を沿うときに壁面との距離を変更する例、および図4の走行内容の切替えタイミング例を用いて説明する。
【0033】
これは機器本体100が障害物検出手段103によって検出した障害物である壁面との距離を一定に保つように、コントロール手段101によって移動手段102を制御する。このことにより、部屋の壁面を沿うように走行させるときに、走行内容を切替えて轍の発生を低減させる。
【0034】
図2のステップS201から動作が開始する。ステップS201では、障害物である壁面との沿う距離を自動的に算出する。例えば、コントロール手段101などで前回走行したときの壁面との沿う距離を記憶しておき、壁面との距離を前回とは異なる距離とすることで、同じ走行経路を何度も繰り返し走行することを避けることが可能となる。また、移動手段102の轍の発生源である移動手段の移動輪の幅以下で、図3(a)、(b)に示すように、走行一回目と走行二回目で壁面との距離を変化(d1→d2)させることで、移動手段跡を一部重複して走行させることができるので、轍の発生を抑えて、さらに過去の移動手段跡を目立たなくする効果を得ることが可能となる。また、壁面との沿う距離は、例えば5cmから10cmの間など、ある特定の距離範囲内でランダムに決めることにより、前回の壁面との距離を記憶せずに同様の轍発生の低減効果を得ることも可能である。
【0035】
ステップS202では、壁面との沿う方向を自動的に算出する。壁面との沿う方向とは、機器本体100の右側に常に壁面が来るように走行空間に対して左回りに走行する場合と、機器本体100の左側に壁面が常に来るように走行空間に対して右回りに走行する場合の2通りがある。例えば、走行毎に前回と反対側に壁面を沿うようにすることで、移動手段102が地面あるいは床面の押す方向を切替えることができるので、轍発生を低減することができるようになる。他にも、ランダムに方向を決めることにより前回の方向を記憶せずに同様の効果を得ることが可能になる。
【0036】
ステップS203では、ステップS201で算出した壁面との沿う距離、およびステップS202で算出した壁面との沿う方向で、壁面に沿って走行を行う。ステップS204では、走行内容の切替えを行うタイミングであるか判断を行う。例えば、図4の走行内容の切替えタイミング例に示すように、機器本体100が走行空間の凹部のコーナに到達したタイミング(走行内容の切替え位置)で切替えを行うことで、ユーザが見ても自然な流れで走行内容の切替えを行うことが可能となる。他にもユーザが走行開始を指示するタイミングで行う場合や、機器本体100が一定回数以上走行したタイミングで行う場合や、機器本体100が一定距離以上走行したタイミングで行う場合や、機器本体100が一定時間以上走行したタイミングで行う場合や、これらの条件を複数組み合わせて切替えのタイミングとして利用しても構わない。なお、切替えタイミングの具体的な条件の決め方については、機器本体を実際に走行させる走行空間の地面あるいは床面の条件と合わせて決めることでより有効に効果を発揮させることができるようになる。
【0037】
このような流れにより、機器本体100が壁面に沿って走行する場合に、移動手段102あるいは機器本体100の底面の接触により生じる轍の低減を行うことができるので、同じ走行空間を繰り返し走行させる場合に、一部の地面や床面の劣化を早めるのを防ぐことができる。また、生じた轍によって見栄えが悪くなることを少なくすることができるので、メンテナンス時期を早めてしまうことを防ぐことができるようになる。さらに、轍による機器本体100の安定走行の影響を低減させることができるようになる。
【0038】
なお、本実施の形態では、壁面に沿う距離および方向の切替えについて例を挙げて説明したが、他にも壁面に対して沿うように一定の間隔ではなく蛇行動作を行うことや、移動手段102を3車輪以上で構成することにより回転しながら移動することによっても同様に轍発生の低減を行うことが可能である。
【0039】
(実施の形態2)
図5、図6は、本発明の実施の形態2における自走式機器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図5に示すように、本実施の形態における自走式機器は、機器本体500の移動手段102により生ずる轍の筋道に、ブラシで構成される轍軽減手段505を備えている。これにより、機器本体500が一度通るだけで発生するような、例えば、絨毯などに残る車輪の形(移動手段跡)などの発生を抑え、さらに恒久的な轍として残りにくいようにする構成としたものである。
【0041】
轍軽減手段505は、例えば、図6に示すように、移動手段102の移動手段跡の生じる経路上に設けた一点を中心に回転するブラシであり、ブラシを回転動作させることで、ブラシと地面あるいは床面との摩擦により発生した移動手段跡をかき消す役割を果たす。ブラシの備え付ける位置は、移動手段跡の生じる経路上に設けられてあれば、移動手段102の前方あるいは後方であっても構わない。また、ブラシの回転方向は機器本体500の内側に巻き込むようにすることで、機器本体500にて清掃を行う場合に地面あるいは床面に落ちているゴミをかき集める役目と併用することができるようになる。
【0042】
このように構成することで、轍の原因である移動手段跡の発生を軽減することができるようになる。また、移動手段跡を軽減することができるので、ユーザが走行後に移動手段跡について気にならなくすることが可能となる。他にも、移動手段102の生成する跡をかき消す役目をするように構成するものであればどのようなものであっても構わない。
【0043】
(実施の形態3)
図7、図8は、本発明の実施の形態3における自走式機器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7に示すように、本実施の形態における自走式機器は、機器本体700に清掃を行う清掃手段705を備え、移動手段102は、清掃手段705の幅よりも内側に配置するものである。これにより、例えば、車輪などの移動手段102の通過した跡を清掃手段705によって平滑化することができるので、移動手段跡の解消および轍の発生の低減を行うことができる。
【0045】
清掃手段705は、機器本体700の近辺を清掃する機能を有するものであり、例えば、機器本体700内部に吸引用のファンモータを設け、掃除機のような吸引口を機器本体700の底面部に設けることで、機器本体700が走行することによって、走行した領域のごみや塵を吸引して清掃することができる。他にも、モップのような塵を集める形態や、ほうきのようなブラシでごみをかき集めるような形態や、塵取りのようにごみや塵をすくい上げるような形態など、機器本体700の近辺を清掃できる構成であれば構わない。また、これらの形態を組み合わせることによって、清掃性能を高めることが可能である。他にも、ごみや塵だけではなく、雑草を刈り取ることや、散らかった荷物を集めることや、砂をならして走行表面を綺麗にするような構成であっても構わない。
【0046】
図8の清掃手段705を有する機器本体700の例に示すように、移動手段102の幅よりも清掃手段705の幅を広く移動経路上に設けることで、移動手段102で生じる移動手段跡を清掃手段705でかき消すことが可能となる。
【0047】
このように構成することで、清掃手段705にて清掃を行うと同時に移動手段102の移動跡をかき消すことができるので、効率的に使用することができる。また、ユーザから見てもより自然な形で移動手段102の生じる移動跡をかき消すことができるので、違和感無く使用することが可能となる。
【0048】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態における自走式機器について説明する。
【0049】
本実施の形態における自走式機器は、各実施の形態1〜3に記載の自走式機器における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムとしたものである。すなわち、各手段101〜104、505、705の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムとしたものである。
【0050】
プログラムにすることで、容易に汎用的なコンピュータを利用することができるようになり、さまざまな機器本体のプラットフォームに対応させることが容易に可能となる。また、例えば、一部を汎用コンピュータで利用可能なプログラムにすることで、無線LANなどの通信機能を用いて、汎用コンピュータと自走式機器を通信させて、コントロール手段の走行の制御などを汎用のコンピュータ側で行うことにより、機器本体のCPUやメモリといった機能の能力を削減することができるので、より安価なものとすることが可能となる。さらに、汎用コンピュータに接続されているインターネットなどの外部との通信機能を介して、外出先からユーザが機器本体を操作することを可能にすることも容易に実現が可能となる。
【0051】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバなどのハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることで新しい機能の配信・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる自走式機器およびそのプログラムは、同じ走行空間を繰り返し走行させる場合に、轍を作ってしまい一部の地面や床面の劣化を早めることをなくすとともに、生じた轍によって見栄えを悪くしたり、メンテナンス時期を早めたりすることをなくし、安定走行ができるので、屋内や野外で効率よく走行する必要がある、掃除ロボットや、監視ロボットや、草刈ロボットや、片付けロボットなど、不特定の空間を自動的に移動しながら作業を行う機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1における自走式機器の構成図
【図2】同自走式機器の壁面を沿うときに走行内容を切替えるフローチャート
【図3】同自走式機器の壁面を沿うときに壁面との距離を変更する例の説明図
【図4】同自走式機器の走行内容の切替えタイミングを示す図
【図5】本発明の実施の形態2における自走式機器の構成図
【図6】同自走式機器の動作を説明する説明図
【図7】本発明の実施の形態3における自走式機器の構成図
【図8】同自走式機器の動作を説明する説明図
【符号の説明】
【0054】
100、500、700 機器本体
101 コントロール手段
102 移動手段
103 障害物検出手段
104 電池
505 轍軽減手段
705 清掃手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体を移動させる移動手段と、前記移動手段を操作して機器本体の移動をコントロールするコントロール手段と、機器本体に電力を供給する電池と、機器本体の周辺の障害物を検出する障害物検出手段とを備え、コントロール手段は、障害物検出手段により障害物として検出している壁面に沿うように機器本体を移動させる場合、移動毎に壁面を沿うように移動する走行内容を自動的に切替えるようにした自走式機器。
【請求項2】
走行内容の切替えは、壁面と機器本体との沿う距離を自動的に切替える請求項1に記載の自走式機器。
【請求項3】
自動的に切替える壁面と機器本体との距離の変化量は、機器本体の移動によって発生する移動手段の轍の幅以下である請求項2に記載の自走式機器。
【請求項4】
走行内容の切替えは、壁面と機器本体との沿う方向を自動的に切替える請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項5】
走行内容の切替えは、機器本体の走行回数によって行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項6】
走行内容の切替えは、機器本体の走行時間によって行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項7】
走行内容の切替えは、機器本体の走行距離によって行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項8】
走行内容の切替えは、走行内容のランダムな選択によって行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項9】
走行内容の切替えタイミングは、障害物として検出している壁面を沿う動作に切替える時に行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項10】
機器本体の移動手段により生ずる轍の筋道に、ブラシで構成される轍軽減手段を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項11】
機器本体に清掃を行う清掃手段を備え、移動手段は、清掃手段の幅よりも内側に配置する請求項1〜10のいずれか1項に記載の自走式機器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の自走式機器における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−146327(P2009−146327A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325550(P2007−325550)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】