説明

自走装置

【課題】 バンパー支持機構の構成を簡易化して必要なガイド機構の数を従来よりも削減することが出来る自走装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る自走装置において、本体に対してバンパー6を弾性支持するバンパー支持機構は、バンパー6の本体との対向面に突設された2本のアーム60、60と、2本のアーム60、60をそれぞれ支持する2つのアーム支持部40、40と、バンパー6と本体の間に介在する3つのスプリング59〜59とから構成される。各アーム支持部40は、アーム60の表面及び裏面を摺動可能に挟持する一対のアーム挟持面と、アーム60の両側面に対向して該両側面から離間した位置に形成された一対のアームガイド面45a、45bとを有し、前記一対のアーム挟持面と一対のアームガイド面45a、45bに包囲された空間の内部で、該アーム挟持面に沿うアーム60の平行移動及び回転が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面上を自走して床面を清掃する自走式掃除機等の自走装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図14に示す如き自走式掃除機(9)が知られており(特許文献1参照)、該自走式掃除機(9)は、本体(91)と、該本体(91)に突出された左右一対の可動体(90)(90)とを具え、該可動体(90)(90)にはバンパー(図示省略)が取り付けられている。本体(91)の底板(100)には、一対の動輪(97)(97)及び補助輪(102)から構成される自走機構が配備されている。
一対の可動体(90)(90)はそれぞれ、本体(91)の底板(100)に一対の枢軸(99)(99)を介して支持され、水平面内での回動が可能である。各可動体(90)には、可動体(90)の前後方向及び左右方向の移動を所定範囲内に規制するガイド機構(110)が2箇所に配備されている。
ガイド機構(110)は、本体(91)の底板(100)に突設されたガイドピン(95)と、可動体(90)に設けたガイド孔(96)とから構成され、該ガイドピン(95)が該ガイド孔(96)に摺動可能に係合している。ガイドピン(95)と可動体(90)のバネ掛け部(101)との間にはコイルバネ(98)が張設されている。
又、一対の可動体(90)(90)は、連結板(93)により互いに連結されて一定の範囲内で相対移動が可能である。
【0003】
更に、本体(91)の底板(100)には、4つのスイッチ(92)〜(92)が設置されており、前記可動体(90)(90)には、該スイッチ(92)〜(92)に対向して4つの作動子(94)〜(94)が配備されている。
【0004】
上記自走式掃除機(9)によれば、バンパーは一対の可動体(90)(90)を介して本体(91)に4本のコイルバネ(98)〜(98)により弾性支持されることとなり、本体(91)の移動中にバンパーが障害物に衝突すると、一対の可動体(90)(90)は、コイルバネ(98)の弾性力に抗して4つのガイド機構(110)〜(110)の規制範囲内で水平方向に移動し、この結果、1或いは複数の作動子(94)が対応する1或いは複数のスイッチ(92)を押圧し、衝突の発生が検知されることになる。
【特許文献1】特開平5−189041号公報 [G05D 1/02]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の自走式掃除機(9)においては、バンパーの上下の移動を拘束すると共に前後左右の移動を所定範囲内に規制してバンパーを支持するバンパー支持機構として、少なくとも4箇所にガイド機構(110)を配備する必要があるため、構造が複雑である問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、バンパー支持機構の構成を簡易化して必要なガイド機構の数を従来よりも削減することが出来る自走装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自走装置には、床面上を自走するための自走機構を具えた本体(1)と、該本体(1)の少なくとも前面を覆って設置されたバンパー(6)と、該本体(1)に対してバンパー(6)を弾性支持するバンパー支持機構とが配備されている。前記バンパー支持機構は、前記バンパー(6)の本体(1)との対向面に本体(1)に向けて突設された複数本のアーム(60)(60)と、前記本体(1)に配備されて前記複数本のアーム(60)(60)をそれぞれ支持する複数のアーム支持部と、前記バンパー(6)と本体(1)の間に介在する弾性部材とから構成される。又、前記複数のアーム支持部はそれぞれ、前記アーム(60)の上面及び下面に摺接してアーム(60)を摺動可能に挟持する一対のアーム挟持面(46a)(46b)と、前記アーム(60)の両側面に対向して該両側面から離間した位置に形成された一対のアームガイド面(45a)(45b)とを有して、前記一対のアーム挟持面(46a)(46b)と一対のアームガイド面(45a)(45b)に包囲された空間の内部で、該アーム挟持面(46a)(46b)に沿うアーム(60)の平行移動及び回転が可能である。
【0008】
本発明の自走装置において、移動中にバンパー(6)が障害物に衝突すると、バンパー(6)は、本体(1)との間に介在する弾性部材を押圧して弾性変形させながら本体(1)に接近する。このとき、バンパー(6)の各アーム(60)は、アーム(60)の上下面に摺接する一対のアーム挟持面(46a)(46b)により上下方向の移動を拘束されつつ、該アーム挟持面(46a)(46b)に摺接しながら水平方向に移動する。アーム(60)の水平方向の移動は、該アーム(60)の両側面から所定距離隔てて該両側面に対向して形成された一対のアームガイド面(45a)(45b)により、所定範囲内に規制される。
従来の構成においては、バンパーの水平方向の移動を所定範囲内に規制する1つのガイド機構が、ガイドピン及びガイド溝から構成されていたので、1つのガイド機構では、一方向の移動のみ規制することが出来るに過ぎず、左右方向及び回転方向の移動を規制するためにはガイド機構を4箇所に設ける必要があったが、本発明の自走装置によれば、1つのガイド機構は1本のアーム(60)及び1つのアーム支持部で構成され、1本のアーム(60)は、前記一対のアーム挟持面(46a)(46b)及び一対のアームガイド面(45a)(45b)に包囲された空間内で水平方向に遊びを持って支持されているので、前記アーム挟持面(46a)(46b)に沿ったアーム(60)の平行移動及び回転が前記遊びの範囲内で許容され、その範囲を超えるアーム(60)の平行移動及び回転は一対のアームガイド面(45a)(45b)によって規制される。従って、従来の構成において4箇所に設ける必要があったガイド機構の数を少なくとも2つに削減することが出来る。
【0009】
具体的な構成において、前記複数のアーム支持部はそれぞれ、前記アーム(60)の先端面に対向して該先端面から離間した位置に形成されたアーム受け止め面(47a)を有している。
【0010】
該具体的な構成によれば、移動中にバンパー(6)が前方の障害物に衝突すると、バンパー(6)は、本体(1)との間に介在する弾性部材を押圧して変形させながら本体(1)に向かって後退する。このとき、バンパー(6)の移動は、アーム(60)の先端面が前記アーム受け止め面(47a)に当接することにより規制される。従って、アーム受け止め面(47a)をアーム(60)の先端面から所定距離離れた位置に形成することにより、バンパー(6)の後退方向の移動範囲を制限することが出来る。
【0011】
又、具体的な構成において、前記複数本のアーム(60)(60)にはそれぞれ、アーム先端部から上方若しくは下方に突出する凸部(61)が形成され、前記アーム支持部の一対のアーム挟持面(46a)(46b)の内、前記凸部(61)と対向するアーム挟持面(46a)には、該凸部(61)が嵌まる凹部(42)が形成され、該凸部(61)の外周面と該凹部(42)の内周面との間には、所定の遊びが設けられている。
【0012】
該具体的な構成によれば、各アーム(60)の先端部に形成された凸部(61)と、該凸部(61)と対向するアーム挟持面に形成された凹部(42)とが、上下方向に嵌合しているので、各アーム(60)がアーム支持部から抜け出ることはない。更に、各アーム(60)は前記嵌合部を中心として回動し、これによってバンパー(6)の水平面上の回動が可能となる。
【0013】
更に具体的な構成において、前記複数本のアーム(60)(60)は、前記バンパー(6)の重心位置を挟んでバンパー(6)の両側部に突設され、前記複数のアーム支持部による支持中心は、前記バンパー(6)と複数本のアーム(60)(60)を含む可動部の重心位置に略一致している。
【0014】
該具体的な構成によれば、バンパー(6)の水平方向の移動に伴って複数本のアーム(60)(60)の姿勢が水平面に対して傾くことはなく、水平状態に保持される。従って、バンパー(6)の水平方向の移動をスムーズに行なうことが出来る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自走装置によれば、バンパー支持機構の構成を簡易化して必要なガイド機構の数を従来よりも削減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を自走式掃除機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る自走式掃除機は、図1に示す如く、全体が円筒状の掃除機本体(1)と、該掃除機本体(1)の外周面の前方半周部を覆って円弧状に湾曲するバンパー(6)とを具えている。
【0017】
図2に示す如く、掃除機本体(1)の裏面(10)には、一対の動輪(20)(20)及び一対の補助輪(21)(21)が配備されると共に、吸込み口(15)が開設されている。
【0018】
掃除機本体(1)は、図3に示す如く、円形状のベース(11)上に円筒状のフレーム(4)が配備され、該フレーム(4)の上面を円形のカバー(12)で覆って構成される。
掃除機本体(1)のベース(11)上には、左右一対の動輪(20)(20)を具えた動輪ユニット(2)(2)と、ブラシ(30)を具えたブラシ機構(3)と、集塵装置(13)とが搭載され、該集塵装置(13)は、掃除機本体(1)の裏面(10)に開設された前記吸込み口(15)に連結されている。
【0019】
図4に示す如く、バンパー(6)には、バンパー(6)の内周面から掃除機本体(1)に向けて2本の帯板状のアーム(60)(60)が水平に突設され、これら2本のアーム(60)(60)は、同一水平面内であって且つバンパー(6)の重心を挟んで互いに線対称となる位置に配備されている。
フレーム(4)の外周面には、前記アーム(60)(60)が挿入されるべき2つの矩形のアーム挿入口(48)(48)が開設され、フレーム(4)の内周面には、該アーム挿入口(48)(48)からフレーム(4)の内部に向けて2つのアーム支持部(40)(40)が水平に突設されている。
該アーム支持部(40)の基端部(41)の底面は、前記アーム挿入口(48)の下面と略同一平面上に形成されており、アーム支持部(40)の先端部には、該先端部の底面に、外形が楕円状の凹部(42)が形成されている。更に、アーム支持部(40)の外周部には、上方に突出したU字状の外周壁(43)が形成されており、該外周壁(43)には、図5に示す如く、前記アーム支持部(40)の先端部を覆うアームカバー(49)を締結するための締結部(44)が突設されている。該アームカバー(49)は円板形状を呈し、前記アーム(60)の先端部を挟んで締結部(44)にビスにより締結され、これによって、アーム(60)がアーム支持部(40)に支持されることになる。
【0020】
図6に示す如く、フレーム(4)の外周面には、前方に2箇所、左右にそれぞれ1箇所ずつ、合計4箇所にスイッチ支持部(50)〜(50)が配備され、これら4つのスイッチ支持部(50)〜(50)にはそれぞれ、バンパー(6)の内面により押圧されてオンとなるオン/オフスイッチ(7)が設置される。バンパー(6)の内面には、各オン/オフスイッチ(7)に対向して、該オン/オフスイッチ(7)に向けて突出するスイッチ押圧部(65)が形成されている。
更に、フレーム(4)の外周面には、前方に1箇所、左右のオン/オフスイッチ(7)の下方にそれぞれ1箇所ずつ、合計3箇所にスプリングホルダ(58)(58)(58)が突設されており、これら3つのスプリングホルダ(58)(58)(58)にはそれぞれ、バンパー(6)と障害物との衝突時の衝撃を吸収して弾性変形すべきスプリング(59)が取り付けられている。
【0021】
図7に示す如く、フレーム(4)の各スイッチ支持部(50)には、オン/オフスイッチ(7)を保持する回動部材(52)が配備され、回動部材(52)の基端部に設けた軸受け部(51)がフレーム(4)の枢軸(55)に嵌合して回動可能に支持されている。スイッチ支持部(50)は更に、オン/オフスイッチ(7)を一定位置に受け止めるためのストッパー部(54)と、該ストッパー部(54)に対向してフレーム(4)から突出したL字形状の弾性支持アーム(53)とを具えている。
オン/オフスイッチ(7)は、スイッチ本体(70)と該スイッチ本体(70)から突出した接片(71)を具え、該接片(71)が押圧されることによってオンとなるものであり、該オン/オフスイッチ(7)は回動部材(52)の回動端部に取り付けられている。更に、回動部材(52)の側面には、回動部材(52)の回動面に対して垂直に突片(57)が形成されており、該突片(57)は、回動部材(52)がフレーム(4)のスイッチ支持部(50)に取り付けられた状態において、ストッパー部(54)と弾性支持アーム(53)の間の隙間(69)に位置するようになっている。
【0022】
自走式掃除機の移動中に図6に示すバンパー(6)が前方或いは側方の障害物に衝突すると、該バンパー(6)はスプリング(59)を押圧して弾性変形させながらフレーム(4)に接近する。そして、バンパー(6)のスイッチ押圧部(65)がオン/オフスイッチ(7)を押圧すると衝突が検知され、4つのオン/オフスイッチ(7)〜(7)のオン/オフの組み合わせに基づいて障害物の方向を判断し、該判断結果に応じて自走機構を制御することにより、障害物を回避することが出来る様になっている。
【0023】
図8及び図9に示す如く、アーム(60)の先端部の裏面には、下方に突出する円形の凸部(61)が形成されており、該凸部(61)はアーム支持部(40)の凹部(42)に余裕を持って嵌合している。
アーム(60)は、凹部(42)の底面である第1アーム挟持面(46a)とアームカバー(49)の裏面である第2アーム挟持面(46b)との間に挟持されており、第1アーム挟持面(46a)はアーム(60)の凸部(61)の裏面と摺接し、第2アーム挟持面(46b)はアーム(60)の上面と摺接している。
アーム(60)の左右方向の移動は、アーム支持部(40)の外周壁(43)の内周面に形成された互いに平行な第1アームガイド面(45a)と第2アームガイド面(45b)に挟まれた領域内に規制される。
又、アーム(60)の前後方向の移動は、凹部(42)の内周面の後方領域に形成された第1アーム受け止め面(47a)と凹部(42)の内周面の前方領域に形成された第2アーム受け止め面(47b)との間に挟まれた領域内に規制される。
【0024】
図10〜図12はバンパー(6)の一連の動作を示しており、自走式掃除機の静止状態においては、図10(a)に示す如く、バンパー(6)は、前方のスプリング(59)の弾性力により、アーム(60)の凸部(61)の外周面(62)が第2アーム受け止め面(47b)に押圧され、且つ左右のスプリング(59)(59)の弾性力が釣り合うことにより、アーム(60)の両側面が両アームガイド面(45a)(45b)から離間した状態に保持されている。
【0025】
2本のアーム(60)(60)はそれぞれ、基端部(63)を狭持するアーム挿入口(48)の上下両面(48a)(48b)(図9参照)と、凸部(61)を狭持する両アーム挟持面(46a)(46b)とによって支持されているので、2つのアーム支持部(40)(40)による支持中心は、2本のアーム(60)(60)を含むバンパー(6)の重心Gに略一致することとなる。従って、バンパー(6)が水平方向に移動する過程でアーム(60)(60)の姿勢が水平面に対して傾くことはなく、これによってバンパー(6)の移動をスムーズに行なうことが出来る。
【0026】
バンパー(6)が障害物に衝突すると、バンパー(6)は、スプリング(59)を弾性変形させながらフレーム(4)に接近する。このとき、スプリング(59)の弾性変形により衝突時の衝撃が吸収され、アーム(60)は、前記アーム挟持面(46a)(46b)に摺接しながら水平方向に移動する。
【0027】
例えば図10(b)に示す如く、バンパー(6)が前方の障害物に衝突して正面に力F1を受けた場合においては、バンパー(6)は、前方に配備されたスプリング(59)を弾性変形させながらフレーム(4)に接近する。このとき、スプリング(59)の弾性変形により衝突時の衝撃が吸収されると共に、アーム(60)は、前記アーム挟持面(46a)(46b)に摺接しながら後方に水平移動する。バンパー(6)は、アーム(60)の凸部(61)の外周面(62)が、第1アーム受け止め面(47a)によって受け止められるまで後方に移動可能である。
その後、障害物を回避して、バンパー(6)が障害物から離間すると、バンパー(6)は前方のスプリング(59)の弾性復帰力により、図10(a)の状態に戻る。
【0028】
図11(a)に示す如く、バンパー(6)が左方の障害物に衝突して左側面に力F2を受けた場合においては、バンパー(6)は、左方に配備されたスプリング(59)を弾性変形させながらフレーム(4)に接近する。このとき、スプリング(59)の弾性変形により衝突時の衝撃が吸収されると共に、アーム(60)は、前記アーム挟持面(46a)(46b)に摺接しながら右方に水平移動する。バンパー(6)は、アーム(60)の右側面が、右側のアームガイド面(45b)に当接して停止するまで右方に移動可能である。
その後、障害物を回避して、バンパー(6)が障害物から離間すると、バンパー(6)は左方のスプリング(59)の弾性復帰力により、図10(a)の状態に戻る。
又、図11(b)に示す如く、バンパー(6)が右方の障害物に衝突して右側面に力F3を受けた場合においては、バンパー(6)は、右方に配備されたスプリング(59)を弾性変形させながらフレーム(4)に接近する。このとき、スプリング(59)の弾性変形により衝突時の衝撃が吸収されると共に、アーム(60)は、前記アーム挟持面(46a)(46b)に摺接しながら左方に水平移動する。バンパー(6)は、アーム(60)の左側面が、左側のアームガイド面(45a)に当接して停止するまで左方に移動可能である。
その後、障害物を回避して、バンパー(6)が障害物から離間すると、バンパー(6)は右方のスプリング(59)の弾性復帰力により、図10(a)の状態に戻る。
【0029】
図12(a)に示す如く、バンパー(6)が障害物に衝突してバンパー(6)が反時計方向の回転力F4を受けた場合においては、バンパー(6)は、右方及び前方に配備されたスプリング(59)(59)を弾性変形させながらフレーム(4)に接近する。このとき、スプリング(59)(59)の弾性変形により衝突時の衝撃が吸収されると共に、アーム(60)は、前記アーム挟持面(46a)(46b)に摺接しながら反時計方向に回動して、アーム(60)の左側面が左側のアームガイド面(45a)に接近する。バンパー(6)は、左側のアーム(60)の凸部(61)の外周面(62)が第1アーム受け止め面(47a)に当接すると共に、右側のアーム(60)の凸部(61)の外周面(62)が第2アーム受け止め面(47b)に当接して停止するまで、反時計方向に回動可能である。
その後、障害物を回避し、バンパー(6)が障害物から離間すると、バンパー(6)は前記スプリング(59)(59)の弾性復帰力により、図10(a)の状態に戻る。
【0030】
又、図12(b)に示す如く、バンパー(6)が障害物に衝突してバンパー(6)が時計方向の回転力F5を受けた場合においては、バンパー(6)は、左方と前方に配備されたスプリング(59)(59)を弾性変形させながらフレーム(4)に接近する。このとき、スプリング(59)(59)の弾性変形により衝突時の衝撃が吸収されると共に、アーム(60)は、前記アーム挟持面(46a)(46b)に摺接しながら時計方向に回動して、アーム(60)の右側面が右側のアームガイド面(45b)に接近する。バンパー(6)は、右側のアーム(60)の凸部(61)の外周面(62)が第1アーム受け止め面(47a)に当接すると共に、左側のアーム(60)の凸部(61)の外周面(62)が第2アーム受け止め面(47b)に当接して停止するまで、時計方向に回動可能である。
その後、障害物を回避し、バンパー(6)が障害物から離間すると、バンパー(6)は前記スプリング(59)(59)の弾性復帰力により、図10(a)の状態に戻る。
【0031】
本発明の自走式掃除機によれば、バンパー(6)の上下方向の移動は、アーム(60)を摺動可能に挟持する一対のアーム挟持面(46a)(46b)によって拘束されると共に、バンパー(6)の左右方向の移動は、一対のアームガイド面(45a)(45b)に挟まれた領域内に規制され、バンパー(6)の前後方向の移動は、両アーム受け止め面(47a)(47b)に挟まれた領域内に規制される。
斯くして、アーム(60)とアーム支持部(40)からなるガイド機構を2箇所に配備することによって、上下の移動を拘束すると共に前後左右及び回転方向の移動を所定範囲内に規制するバンパー支持機構が構成される。
更に、他の構成として、アーム(60)とアーム支持部(40)の基端部(41)の底面とを摺接させて、該底面と前記第2アーム挟持面(46b)との間にアーム(60)を挟持してもよい。該構成においては、前記第1アーム挟持面(46a)とアーム(60)の凸部(61)の裏面との間には隙間があってもよい。該構成によれば、第1アーム挟持面(46a)と第2アーム挟持面(46b)との間にアーム(60)を挟持した場合に比べて、アーム(60)とアーム支持部(40)との間の接触面積が大きくなるので、アーム(60)をより安定に支持することが出来る。
【0032】
図13(a)〜(c)は一連の衝突検知動作を示しており、衝突の検知は、バンパー(6)が上述した自走式掃除機の静止状態、即ち図10(a)に示す状態から、図10(b)、図11(a)(b)或いは図12(a)(b)に示す状態、即ちバンパー(6)が最大移動した状態に移行する過程で行なわれる。
図13(a)に示す如く、自走式掃除機の静止状態において、各スイッチ支持部(50)の回動部材(52)は、トーションバネ(72)の弾性力により回動部材(52)の突片(57)がスイッチ支持部(50)のストッパー部(54)に押圧された状態で、一定位置にて停止している。
弾性支持アーム(53)の先端部(56)は、回動部材(52)の突片(57)に当接している。
尚、トーションバネ(72)の弾性係数は、バンパー(6)とフレーム(4)の間に配備された前記スプリング(59)の弾性係数よりも大きく設定されており、弾性支持アーム(53)の撓み方向の弾性係数は、該トーションバネ(72)の弾性係数よりも大きく設定されている。
【0033】
図13(b)に示す如く、移動中にバンパー(6)が障害物に衝突すると、バンパー(6)は、フレーム(4)との間に配備された前記スプリング(59)に抗してフレーム(4)側に移動し、バンパー(6)内面のスイッチ押圧部(65)がオン/オフスイッチ(7)に接近して、該オン/オフスイッチ(7)の接片(71)を押圧する。これによって、該オン/オフスイッチ(7)がオンとなり、障害物との衝突が検知される。
【0034】
ここで、バンパー(6)の内面が激しくオン/オフスイッチ(7)に衝突した場合には、図13(c)に示す如く、バンパー(6)の内面に押圧されて回動部材(52)に回転トルクが加わり、該回動部材(52)は、トーションバネ(72)及び弾性支持アーム(53)を弾性変形させながら枢軸(55)を中心に回動して、オン/オフスイッチ(7)を後退させる。これによって、衝突時の衝撃が吸収されるので、オン/オフスイッチ(7)が破損することはない。
【0035】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、スイッチ支持部(50)のトーションバネ(72)及び弾性支持アーム(53)の内、何れか一方を省略してスイッチ支持部(50)を構成することも可能である。
又、オン/オフスイッチ(7)をバンパー(6)の内面に対向させてコイルバネ等で支持し、該コイルバネの弾性変形により衝撃を吸収する構成を採用することにより、回動部材(52)を省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を実施した自走式掃除機の外観を示す斜視図である。
【図2】該自走式掃除機を裏面側から見た斜視図である。
【図3】該自走式掃除機の分解斜視図である。
【図4】バンパー及びフレームの分解斜視図である。
【図5】掃除機本体の斜視図である。
【図6】バンパー及び掃除機本体からカバーを取り外した状態の平面図である。
【図7】オン/オフスイッチ及びスイッチ支持部の分解斜視図である。
【図8】アーム及びアーム支持部の一部破断平面図である。
【図9】アーム及びアーム支持部の垂直断面図である。
【図10】バンパーの前後方向の動作を示す平面図である。
【図11】バンパーの左右方向の動作を示す平面図である。
【図12】バンパーの回転動作を示す平面図である。
【図13】オン/オフスイッチの一連の動作を示す一部破断平面図である。
【図14】従来の自走式掃除機の裏面図である。
【符号の説明】
【0037】
(1) 掃除機本体
(11) ベース
(12) カバー
(13) 集塵装置
(2) 動輪ユニット
(3) ブラシ機構
(4) フレーム
(40) アーム支持部
(42) 凹部
(43) 外周壁
(45) アームガイド面
(46) アーム挟持面
(47) アーム受け止め面
(48) アーム挿入口
(49) アームカバー
(50) スイッチ支持部
(52) 回動部材
(53) 弾性支持アーム
(59) スプリング
(6) バンパー
(60) アーム
(61) 凸部
(7) オン/オフスイッチ
(72) トーションバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を自走するための自走機構を具えた本体(1)と、該本体(1)の少なくとも前面を覆って設置されたバンパー(6)と、該本体(1)に対してバンパー(6)を弾性支持するバンパー支持機構とが配備された自走装置において、前記バンパー支持機構は、前記バンパー(6)の本体(1)との対向面に本体(1)に向けて突設された複数本のアーム(60)(60)と、前記本体(1)に配備されて前記複数本のアーム(60)(60)をそれぞれ支持する複数のアーム支持部と、前記バンパー(6)と本体(1)の間に介在する弾性部材とから構成され、前記複数のアーム支持部はそれぞれ、前記アーム(60)の上面及び下面に摺接してアーム(60)を摺動可能に挟持する一対のアーム挟持面(46a)(46b)と、前記アーム(60)の両側面に対向して該両側面から離間した位置に形成された一対のアームガイド面(45a)(45b)とを有して、前記一対のアーム挟持面(46a)(46b)と一対のアームガイド面(45a)(45b)に包囲された空間の内部で、該アーム挟持面(46a)(46b)に沿うアーム(60)の平行移動及び回転が可能であることを特徴とする自走装置。
【請求項2】
前記複数のアーム支持部はそれぞれ、前記アーム(60)の先端面に対向して該先端面から離間した位置に形成されたアーム受け止め面(47a)を有している請求項1に記載の自走装置。
【請求項3】
前記複数本のアーム(60)(60)にはそれぞれ、アーム先端部から上方若しくは下方に突出する凸部(61)が形成され、前記アーム支持部の一対のアーム挟持面(46a)(46b)の内、前記凸部(61)と対向するアーム挟持面(46a)には、該凸部(61)が嵌まる凹部(42)が形成され、該凸部(61)の外周面と該凹部(42)の内周面との間には、所定の遊びが設けられている請求項1又は請求項2に記載の自走装置。
【請求項4】
前記複数本のアーム(60)(60)は、前記バンパー(6)の重心位置を挟んでバンパー(6)の両側部に突設され、前記複数のアーム支持部による支持中心は、前記バンパー(6)と複数本のアーム(60)(60)を含む可動部の重心位置に略一致している請求項1乃至請求項3の何れかに記載の自走装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−72502(P2006−72502A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252626(P2004−252626)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】