説明

航空機位置検知装置及びその方法

【課題】安価な装置で確実に航空機の位置を検知できる航空機位置検知装置を提供することにある。
【解決手段】GPS信号を受信するアンテナ10と、GPS信号の受信強度に基づいて移動体の存在を検知する移動体有無検知部7と、移動体から発せられる振動を検知する振動センサ13と、振動信号に基づいて移動体が航空機であると判定する移動体種別判定部9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港において地上を走行する航空機の位置を検知する航空機位置検知装置に係り、特に、安価な装置で確実に航空機の位置を検知できる航空機位置検知装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の航空機位置検知装置については、国際公開W097/04337号公報に記載されている。この従来技術には、移動体が走行する通路に格子状に配置された複数の移動体検知器を設け、移動体を検知した移動体検知器の配置に基づいて移動体の形状を検出することが記載されている。
【0003】
この従来技術によれば、航空機と作業車両との形状の違いから航空機を検知することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、航空機が走行する通路に多数の移動体検知器を設置する必要があり、コストが上昇するという問題があった。また、多数の移動体検知器の情報を統合して航空機を検知するために、情報の伝送量が多く、伝送可能な情報量が少ない情報伝送手段(例えば電力線搬送等)を用いる場合には、航空機の検知が遅れることも考えられる。
【0005】
本発明の目的は、安価な装置で確実に航空機の位置を検知できる航空機位置検知装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の特徴は、アンテナによって受信されるGPS信号の受信強度の変化に基づいて移動体の存在を検知すると共に、移動体から発せられる振動を検知して振動に基づいて移動体が航空機であるか判定して、移動体が航空機であると判定した場合に航空機を検知したことを示す信号を出力する複数の移動体検知器と、複数の移動体検知器から出力される航空機を検知したことを示す信号に基づいて航空機の位置を検知する航空機位置検知手段と、複数の移動体検知器から航空機位置検知手段に航空機を検知したことを示す信号を伝送する伝送手段とを備えたことにある。
【0007】
検知された移動体が航空機であるか否かを移動体から発せられる振動に基づいて判定するため、航空機が走行する通路に多数の移動体検知器を設置する必要がなく、安価な装置で航空機の位置を検知できる。また、航空機から発せられる振動はその他の車両から発せられる振動とは異なる特性を有しているため、振動に基づいて判定を行うことによって確実に航空機の位置を検知できる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、移動体が振動センサを具備する移動体検知機の上方に存在するか否かを判定し、移動体が振動センサの上方に存在する場合の振動特性の解析により航空機と車両とを判別でき、安価な装置で確実に航空機の位置を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0010】
(実施例1)
図1は、本発明の好適な一実施例である航空機位置検知装置を示す。なお、本実施例の航空機位置検知装置は、埋設された複数の移動体検知器を用いて、空港の誘導路やエプロン等の航空機が走行する通路における航空機及びその他の車両(以下、作業車両という)の位置を検知するものである。
【0011】
図1において、交流電源1は、電力線2,トランス3a〜3n及び情報送信部4a〜4nを介してランプ6a〜6nに交流電力を供給し、ランプ6a〜6nを点灯させる。なお、ランプ6a〜6nは、航空機の誘導路等に埋設されて航空機の誘導に用いられるものであって、点灯・消灯の制御方法については既にいくつかの方法が知られている。
【0012】
交流電源1から出力された交流電力は、移動体検知器5a〜5nにも供給される。移動体検知器5a〜5nは、航空機の誘導路等に複数埋設され、上方に航空機或いは作業車両が存在するかを検知するためのものである。移動体検知器5aにおいて、入力された交流電力は、AC/DCコンバータ16により交流電力から直流電力に変換された後、移動体種別判定部9,移動体有無検知部7のGPS用受信器11及び移動体有無判定部12,振動検出部8の振動センサ13,増幅器14及び振動特性解析部15のそれぞれに供給され、各構成は供給された電力により駆動する。なお、本実施例では、移動体検知器5a〜5nのうち移動体検知器5aについて説明するが、その他の移動体検知器も同様の構成である。
【0013】
まず、移動体有無検知部7について説明する。移動体有無検知部7において、アンテナ
10は、複数のGPS衛星から発信される電波を受信するアンテナであり、受信した電波を信号にしてGPS用受信器11に出力する。GPS用受信器11は、入力された信号に含まれるGPS航法データをデコードし、各GPS衛星毎に衛星の情報を整理する。なお、GPS航法データとは、各々のGPS衛星がもつ固有のデータで、GPS衛星の個別認識番号,アンテナが設置された位置からの見掛けの仰角(以下、仰角という),同じく見掛けの方位角(以下、方位角という),電波の受信強度(以下、受信強度という)等の情報を含む。GPS用受信器11は、GPS衛星毎に整理した上記の衛星情報を移動体有無判定部12に出力する。なお、GPS用受信器11におけるGPS航法データの処理については、特開昭63−191880号公報等に記載されているとおり一般に知られているため、詳細な説明は省略する。
【0014】
移動体有無判定部12は、入力された衛星情報に基づいて、移動体検知器5a(具体的にはアンテナ10)の上方に移動体が存在するか否かを判定し、その判定結果を移動体種別判定部9に出力する。
【0015】
図2は、移動体有無判定部12の構成を示す。移動体有無判定部12に入力された衛星情報は、データ分配部21に入力される。データ分配部21は、入力された衛星情報のうち仰角及び受信強度を、移動体到来検知部22a〜22n及び移動体離脱検知部23a〜23nに出力するが、その際、衛星情報に含まれるGPS衛星の個別認識番号に基づいて、各GPS衛星に対応する移動体到来検知部22a〜22n及び移動体離脱検知部23a〜23nにそれぞれ仰角および受信強度を出力する。すなわち、移動体到来検知部22a〜22n及び移動体離脱検知部23a〜23nは、GPS衛星の数に合わせて設けられており、予め各々1つのGPS衛星に対応づけられている。
【0016】
図3は、移動体到来検知部22aの構成を示す。なお、その他の移動体到来検知部も同様の構成である。移動体到来検知部22aに入力された仰角と受信強度はデータ分別部
31に入力され、データ分別部31はこの2つのデータを分別し、受信強度は受信強度低下検知部32および衛星データ使用評価部33へ、仰角は衛星データ使用評価部33へ、それぞれ出力する。
【0017】
受信強度低下検知部32の構成を図5に示す。受信強度低下検知部32において、データ分別部31から入力された受信強度は、LPF(低域濾波器)51を通して比較器52,53へ入力される。なお、LPF51はノイズをカットするために設けられている。
【0018】
比較器52は、遅延回路を有しており、遅延回路により遅れを持たせた受信強度と、遅延回路を通さない受信強度との差を演算する。つまり、遅延回路により受信強度に遅れ
(本実施例では1秒の遅れ)を持たせることによって、現在の受信強度と1秒前の受信強度との差を演算する。この差から受信強度が低下したか否かを判定し、受信強度が低下した場合には、その差つまり受信強度の低下量を求め、予め設定された第一基準値と比較する。比較した結果、強度低下量が第一基準値以上であった場合には「1」を、強度低下量が第一基準値以下であった場合には「0」を出力する。なお、第一基準値は、GPS衛星の電波が移動体により遮断された場合における受信強度の低下量の最低限の値が設定される。この最低限の値はアンテナの設置状況により変化するため、実験により求められる。
【0019】
一方、比較器53も遅延回路を有しており、遅延回路により遅れ(本実施例では1秒の遅れ)を持たせた受信強度と予め設定された第一閾値とを比較する。比較した結果、1秒前の受信強度が予め設定された第一閾値以上であった場合に「1」を、第一閾値以下であった場合に「0」を出力する。ここで、第一閾値として設定される値について説明する。GPS衛星は常に動いているため、あるときは電波を受信できていたGPS衛星でも、時間が経つと、建物等の障害物により電波が遮断される位置に移動してしまうことがある。その場合には、受信強度はある値まで徐々に低下した後、急激に低下することがわかった。このようにGPS衛星の移動によっても受信強度は低下するので、このGPS衛星の移動による受信強度の低下と、移動体の到来による受信強度の低下とを区別する必要がある。そのために、第一閾値として、GPS衛星の移動により受信強度が下がる場合において受信強度が急激に低下する1秒前の受信強度の値を設定する。この受信強度の値は、アンテナの設置状況によって変化するため、実験によって求める。また、この受信強度の値はGPS衛星毎に異なるため、各GPS衛星毎に適切な値を設定するか、或いは、最も大きな値を共通に設定する。
【0020】
AND回路54は、比較器52,53の出力信号を入力し、両者が「1」のときに「1」を、両者或いはどちらか一方が「0」のときに「0」を出力する。AND回路54の出力信号は、受信強度低下検知部32の検知結果として信号保持部34に出力される。この受信強度低下検知部32によれば、移動体の到来によって受信強度が低下したときに「1」が出力される。
【0021】
ここで、GPS衛星の移動(建物等により電波が遮断される場合)により受信強度が低下する場合における受信強度低下検知部32の動作を説明する。前述したように、GPS衛星の移動により受信強度が低下する場合、ある値までは受信強度が徐々に低下するが、その時の低下量は比較器52に設定された第一基準値を超えるほど大きくはないので、比較器52の出力が「0」となる。よって、比較器53の出力に関わらず、AND回路54の出力は「0」となる。また、受信強度が徐々に低下して第一閾値すなわち受信強度が急激に低下する1秒前の値に達すると、比較器53の出力が「0」となる。よって、受信強度の急激な低下により比較器52の出力が「1」となっても、その時には比較器53の出力が「0」となっているので、AND回路54の出力は「0」となる。このようにGPS衛星の移動(建物等により電波が遮断される場合)により受信強度が低下する場合には、受信強度低下検知部32の出力は「0」となる。つまり、移動体の到来により受信強度が低下する場合にのみ、受信強度低下検知部32から「1」が出力される。
【0022】
図3において、信号保持部34は、受信強度低下検知部32の出力と、移動体到来判定部24の出力を入力し、受信強度低下検知部32から「1」が出力されたときに、移動体到来判定部24から「1」が出力されるまで、「1」を出力する。これは、衛星によって、移動体が到来した時に受信強度が低下するまでの時間に差があるために行う。後述するが、移動体到来判定部24が「1」を出力するのは、移動体が到来したと判定したときである。信号保持部34の出力は、情報伝達部35に入力される。
【0023】
衛星データ使用評価部33は、受信強度と仰角に基づいて、対応する衛星が移動体検知に適しているか否かを評価する。図6に衛星データ使用評価部33の構成を示す。図6において、受信強度は比較器61に入力される。比較器61は、入力された受信強度と予め設定された第一閾値とを比較し、受信強度が第一閾値よりも小さい場合に「1」を、大きい場合に「0」を出力する。衛星データ使用評価部33には移動体存在検知部26の出力信号も入力されるが、この出力信号は遅延回路62に入力される。なお、移動体存在検知部26の出力信号は、後述するように、移動体がアンテナ10の上方に存在しているときに「1」、移動体が存在していないときに「0」となる。遅延回路62の出力信号は、
NOT回路63で反転された後、AND回路64に入力される。AND回路64には比較器61の出力信号も入力され、両入力の論理積が演算される。すなわち両入力が「1」の時は「1」、両者或いはどちらか一方が「0」のときには「0」を出力する。この比較器61,遅延回路62,NOT回路63及びAND回路64では、移動体がアンテナ上方に存在しないにも関わらず、受信強度が低いときに「1」が出力される。すなわち、建物等の障害物により電波の一部が遮断されることにより電波の受信強度が低下している場合に「1」を出力する。
【0024】
衛星データ使用評価部33に入力された仰角は、比較器65に入力される。比較器65は仰角と第二基準値とを比較し、仰角が第二基準値よりも小さい場合に「1」、大きい場合に「0」を出力する。ここで、第二基準値として設定される値について説明する。航空機のように車体がある程度の高さに位置する移動体を検知するときには、移動体がアンテナ上方に存在する場合でも、仰角の小さいGPS衛星の電波は車体の下を通過して移動体により遮断されることなくアンテナで受信される場合がある。そのような仰角のGPS衛星からの電波は移動体検知には適していないため、除外する必要がある。よって、第二基準値には、移動体がアンテナ上部に位置する場合でも電波が検知されてしまうGPS衛星の仰角の最大値を設定する。なおこの仰角の値は、アンテナの設置状況によって異なるため、実験により求める。
【0025】
比較器65の出力信号と、AND回路64の出力信号は、NOR回路66に入力される。NOR回路66は両入力信号が「0」の場合に「1」を出力し、入力信号のどちらか一方或いは両方が「1」の場合は「0」を出力する。なお、NOR回路66の出力は、衛星データ使用評価部33の出力として情報伝達部35へ出力される。このような衛星データ使用評価部33により、移動体が航空機検知装置5a(アンテナ10)の上方に無いにも拘わらず受信強度が第一閾値以下であった場合、或いは仰角が第二基準値よりも小さい場合に「0」が出力される。逆にどちらにも該当しない場合に「1」が出力される。なお、「0」は対応するGPS衛星が移動体検知に適さないことを示し、逆に「1」は対応するGPS衛星が移動体検知に適していることを示す。
【0026】
図3において、信号保持部34および衛星データ使用評価部33の出力信号は、情報伝達部35に入力される。情報伝達部35は対応するGPS衛星が移動体検知に適しているか否かと、受信強度が低下したか否かの2つの情報を、移動体到来検知部22aの出力として移動体到来判定部24へ出力する。なお、移動体到来検知部22aの出力信号は、図8に示されるような2ビットのデータとなっており、上位ビットは対応するGPS衛星が移動体検知に適しているか否か、下位ビットは受信強度が低下したか否かを示す。すなわち、「00」および「01」は対応するGPS衛星が移動体検知に適していないことを示し、「10」は移動体の到来を検知していないことを示す。また、「11」は移動体の到来を検知したことを示す。なお、移動体到来検知部22a以外の移動体到来検知部もそれぞれに対応する衛星についての上記情報を移動体到来判定部24に出力する。
【0027】
移動体到来判定部24の構成を図10に示す。移動体到来検知部22a〜22nの各出力信号は、データ抽出部101に入力される。データ抽出部101は移動体到来検知部22a〜22nの出力信号のうち、対応する衛星が移動体検知に適していると判定された衛星、すなわちデータの上位ビットが「1」であるものを選択し、その衛星に対応する受信強度が低下したか否かを示すデータ、すなわち下位ビットをAND回路102に出力する。AND回路102は、入力された下位ビットの論理積を演算し、その結果を移動体存在検知部26に出力する。このAND回路102は、全ての入力が「1」のときに出力が「1」となる。すなわち、移動体検知に適していると判定された全ての衛星において受信強度が低下したときに移動体が到来したとして「1」が出力される。以上説明したように、移動体到来検知部22a〜22nおよび移動体到来判定部24によりアンテナ10の上方に移動体が到来したことを検知することができる。
【0028】
次に、移動体離脱検知部23a〜23nについて説明する。図4は移動体離脱検知部
23aの構成を示す。なお、移動体離脱検知部23a〜23nは全て同じ構成となっている。図4において、データ分配部21から出力された受信強度と仰角は、データ分別部
41に入力される。データ分別部41は、このうち受信強度を抽出し、受信強度上昇検知部42及び衛星データ使用評価部43へ出力する。また、受信強度上昇検知部42には、移動体存在検知部26の出力も入力される。
【0029】
受信強度上昇検知部42の構成を図7に示す。受信強度上昇検知部42において、受信強度は比較器71に入力される。比較器71は、遅延回路を有しており、遅延回路により遅れを持たせた受信強度と、遅延回路を通さない受信強度との差を演算する。つまり、遅延回路により受信強度に遅れ(本実施例では1秒の遅れ)を持たせることによって、現在の受信強度と1秒前の受信強度との差を演算する。この差から受信強度が上昇したか否かを判定し、受信強度が上昇した場合には、その差つまり受信強度の上昇量を求め、予め設定された第一基準値と比較する。比較した結果、強度上昇量が第一基準値以上であった場合には「1」を、強度上昇量が第一基準値以下であった場合には「0」を出力する。
【0030】
一方、移動体存在検知部26の出力信号は、遅延回路72(1秒の遅れを与える)を介してAND回路73に入力される。AND回路73は、比較器71及び遅延回路72の出力信号を入力し、両入力が「1」の場合に「1」、両入力のどちらか一方或いは両方が
「0」の場合に「0」を出力する。この受信強度上昇検知部42によれば、1秒前に移動体存在検知部26により移動体が存在すると検知されていて、かつ受信強度が上昇したときに「1」が出力される。すなわち、移動体がアンテナ10の上方から離脱することによって受信強度が上昇したときに、「1」が出力される。なお、アンテナ10の上方に移動体が存在していなかった場合でも、建物等の障害物により電波が遮断されるような状態から障害物により電波が遮断されない状態へGPS衛星が移動した場合には、受信強度が上昇するが、受信強度上昇検知部72では移動体存在検知部56の出力が1秒前に「1」であったことを条件としているため、移動体の離脱による受信強度の上昇のみを検知できる。
【0031】
図4において、信号保持部44には、受信強度上昇検知部42及び移動体離脱判定部」25の出力信号が入力され、信号保持部44は、受信強度上昇検知部42から「1」が出力された場合に、移動体離脱判定部25から「1」が出力されるまで「1」を出力する。これは、衛星によって、移動体が離脱した時の受信強度が上昇するまでの時間に差があるために行う。なお、移動体離脱判定部25は、後述するように、移動体が離脱したと判定したときに「1」を出力する。信号保持部44の出力は、情報伝達部45へ出力される。
【0032】
一方、衛星データ使用評価部43は、入力された受信強度と予め設定された第二閾値とを比較し、受信強度が第二閾値を超える値であった場合に、対応する衛星が移動体検知に適していると評価し、情報伝達部45へ「1」を出力する。また、受信強度が第二閾値以下であった場合に、対応する衛星が移動体検知に適していないと評価し、情報伝達部45へ「0」を出力する。なお、本実施例では、第二閾値として0が設定される。この衛星データ使用評価部43は、建物等の障害物によって電波が遮断されることにより電波の受信強度が0になっているGPS衛星を、移動体検知に適していないと判定するものである。
【0033】
情報伝達部45は、衛星が移動体検知に適しているか否かと、受信強度が上昇したか否かの2つの情報を、移動体離脱検知部23aの出力として移動体離脱判定部25へ出力する。なお、移動体離脱検知部23aの出力信号は、図9に示されるような2ビットのデータとなっており、上位ビットは衛星が移動体検知に適しているか否か、下位ビットは受信強度が上昇したか否かを示す。すなわち、「00」および「01」は移動体検知に適していないことを示し、「10」は移動体の離脱を検知していないことを示す。また、「11」は移動体の離脱を検知したことを示す。なお、移動体離脱検知部23a以外の移動体離脱検知部もそれぞれに対応する衛星についての上記情報を移動体離脱判定部25に出力する。
【0034】
次に、移動体離脱判定部25について説明する。図11は、移動体離脱判定部25の構成を示す。移動体離脱判定部25において、移動体離脱検知部23a〜23nの出力信号は、データ抽出部111に入力される。データ抽出部111は、入力された情報のうち、移動体検知に適していると判定された衛星、すなわちデータの上位ビットが「1」であるものを選択し、その衛星に対応する受信強度が上昇したか否かを示すデータ、すなわち下位ビットを論理回路112に出力する。論理回路112は、入力されたM個の下位ビットのうち、2個以上の下位ビットが「1」であったときに、移動体が離脱したと判定して、移動体存在検知部26に「1」を出力する。一方、入力されたM個の下位ビットのうち、「1」が1個以下であったときは「0」を出力する。なお、「1」はアンテナ10の上方から移動体が離脱したことを示す。以上説明したように、移動体離脱検知部23a〜23nおよび移動体離脱判定部25により、移動体がアンテナ10の上方から離脱したことを検知できる。
【0035】
図12は、移動体存在検知部26の構成を示す。移動体存在検知部26において、移動体到来判定部24の出力は、OR回路121に入力される。移動体到来判定部24の出力が「1」となった場合、OR回路121の出力は「1」となる。そのとき移動体離脱判定部25の出力は「0」であるので、NOT回路122の出力は「1」となる。よって、AND回路123の出力は「1」となる。AND回路123の出力は、遅延回路124を介してOR回路121に入力されているので、移動体到来判定部24の出力が「0」に変化してもOR回路121の出力は「1」のままであり、NOT回路122の出力が「0」となってAND回路123の出力が「0」とならない限り、OR回路121の出力は「0」とならない。移動体離脱判定部25の出力が「1」となり、NOT回路122の出力が「0」となると、AND回路123の出力は「0」となる。つまり、AND回路123は、移動体到来判定部24より「1」が入力されてから、移動体離脱判定部25より「1」が入力されるまでの間「1」を出力する。すなわち、アンテナ10の上方に移動体が存在している間は「1」を、存在していないときには「0」を出力する。AND回路123の出力信号は移動体存在検知部26および移動体有無判定部12の出力として、移動体種別判定部9,移動体到来検知部22a〜22n及び移動体離脱検知部23a〜23nへ入力される。
【0036】
以上のようにして、移動体有無検知部7により到来・離脱が検知された移動体の種別を判定するために、振動検出部8は移動体による振動を検出する。振動検出部8の動作について以下説明する。
【0037】
振動検出部8は、振動センサ13,増幅器14及び振動特性解析部15からなり、移動体による振動の特性を解析して出力する。振動検出部8において、振動センサ13は、移動体による振動を検知して増幅器14に振動信号を出力する。増幅器14は、入力された振動信号を増幅して振動特性解析部15に出力する。
【0038】
図13は、振動特性解析部15の構成を示す。振動特性解析部15において、入力された振動信号は、フィルタ131a,フィルタ131b及びRMSコンバータ132aにそれぞれ入力される。フィルタ131a及びフィルタ131bは、それぞれ中心周波数が
F1とF2(F1<F2)に設定された1/3オクターブバンドフィルタである。なお本実施例では、周波数F1を1kHz,周波数F2を10kHzにそれぞれ設定する。これは、航空機に搭載されているジェットエンジンからの振動は作業車両に搭載されているエンジンと比較して、低域でのエネルギーが高いことを利用して、1kHz前後のエネルギーと10kHz前後のエネルギーとの比を調べることで、航空機と作業車両とを区別するためである。
【0039】
フィルタ131a及びフィルタ131bを通過した振動信号は、RMSコンバータ132b及び132cに入力される。RMSコンバータ132a〜132cは、それぞれに入力された振動信号の実効値を求めて出力する。RMSコンバータ132aから出力された振動信号の実効値は、比較器133に入力される。比較器133は、入力された実効値と予め設定された第三閾値とを比較し、実効値の方が大きいときに「1」、実効値の方が小さいときに「0」を出力する。なお、第三閾値は、振動センサ13の真上に航空機が存在するときの振動信号の実効値以下で、かつ振動センサ13の真上に作業車両が存在するときの振動信号の実効値以上の値を、実験により求めて設定する。第三閾値をそのように設定することによって、振動信号の実効値により航空機と作業車両とを判別することが可能となる。
【0040】
RMSコンバータ132b及びRMSコンバータ132cから出力された振動信号の実効値は、比較器134に入力される。比較器134は、RMSコンバータ132bから出力された振動信号の実効値AをRMSコンバータ132cから出力された振動信号の実効値Bにより割った除算値(A/B)を求めて、その除算値と第三基準値とを比較し、除算値の方が大きいときに「1」、除算値の方が小さいときに「0」を出力する。なお、第三基準値は、航空機より発生する振動信号について求めた上記除算値以下で、かつ作業車両より発生する振動信号について求めた上記除算値以上の値を、実験により求めて設定する(例えば0.1 )。第三基準値をそのように設定することによって、航空機と作業車両とを判別することが可能となる。
【0041】
比較器133及び134の出力信号はAND回路135に入力される。AND回路135は、両入力が「1」の場合に「1」、両入力のどちらか一方或いは両方が「0」の場合に「0」を出力する。つまり、振動の発生源が航空機である場合に「1」を出力する。AND回路135の出力信号は、振動特性解析部15の出力として移動体種別判定部9に出力される。なお、振動特性解析部15において、振動信号の実効値と、振動信号のうちの1kHz前後の成分の実効値を10kHz前後の成分の実効値により割った除算値との両方を航空機の判別に用いているのは、判別の信頼性をより向上させるためである。このように、航空機の判別に航空機の振動の特性を用いることにより、少ないセンサで確実に航空機を判別することができ、コストの上昇を抑制できる。
【0042】
図14は、移動体種別判定部9の構成を示す。移動体種別判定部9において、移動体有無判定部12の出力信号は、乗算器141に入力される。乗算器141は、移動体有無判定部12の出力信号に「2」を乗算する。乗算器141の出力信号を2進数で表わすと、移動体有無判定部12の出力信号が「1」の場合は「10」、移動体有無判定部12の出力信号が「0」の場合は「00」となり、一桁シフトしたことになる。よって、移動体有無検知部7により移動体が検知されているときには「10」となり、移動体が検知されていないときには「00」となる。乗算器141の出力信号は、加算器142に入力される。また、振動特性解析部15の出力信号も、加算器142に入力され、乗算器141の出力信号と振動特性解析部15の出力信号は加算器142において加算される。加算器142の出力信号は、移動体種別判定部9の出力信号として情報送信部4aに出力される。
【0043】
図15は、移動体種別判定部9の出力信号と、その信号の意味を示す。図に示すように、上位ビットが「0」の場合は移動体が存在しないことを示し、「1」の場合は移動体が存在することを示す。また、上位ビットが「1」の場合に、下位ビットが「0」の場合は作業車両が存在することを示し、下位ビットが「1」の場合は航空機が存在することを示す。すなわち、上位ビットが移動体有無検知部7による移動体有無の検知結果を示し、下位ビットが振動検出部8による振動の検出結果に基づく移動体の種別判定結果を示す。
【0044】
図1において、情報送信部4aは、入力された移動体種別判定部9の出力結果(移動体の有無及び移動体の種別)と予め移動体検知器5aに設定されたアドレスを、電力線2を用いた電力線搬送方式により情報統合部17に伝送する。このように情報の伝送に電力線搬送方式を用いることにより、交流電源1の出力電力を供給するための電力線2によって情報の伝送を行えるため、情報の伝送をするための信号線を別途設ける必要がなく、コストの上昇を防ぐことができる。なお、電力線搬送技術については、特開平10−92588 号公報等により知られているため、その詳細な内容については説明しない。
【0045】
以上、移動体検知器5a及び情報送信部4aについて説明したが、その他の移動体検知器及び情報送信部も同様の構成,動作により、各移動体検知器の位置における移動体の有無及び移動体の種別の判定結果と移動体検知器のアドレスを情報統合部17に伝送する。
【0046】
情報統合部17は、情報送信部4a〜4nより送られてきた移動体検知器のアドレスと、それに対応した移動体の有無及び移動体の種別判定結果とに基づいて、どの位置にどのような移動体が存在するのかを判定する。
【0047】
情報統合部17の構成を図16に示す。情報統合部17に送られてきた移動体検知器のアドレスと有無・種別判定結果は、検知情報受信部161へ入力される。検知情報受信部161は、電力線搬送方式によって送られてきたデータを解析し、その解析結果をデータ分配部162に出力する。データ分配部162は、入力されたデータを移動体検知器毎に整理してデータ結合部163に出力する。データ結合部163は、データ分配部162の出力データを結合して検知結果表示部18へ送る。
【0048】
検知結果表示部18は、入力されたアドレスと有無・種別判定結果とに基づいて、空港における移動体の様子を表示する。図17は、検知結果表示部18における表示例を示す。検知結果表示部18は、図のように、誘導路171,エプロン172及びスポット173等を表示すると共に、移動体検知器の位置を丸印で示す。また、移動体検知器のうち、移動体を検知していないもの、航空機を検知しているもの、及び作業車両を検知しているものを異なる丸印で表示する。例えば、移動体を検知していないものを白い丸印、航空機を検知しているものを青い丸印、作業車両を検知しているものを黄色の丸印というように、各々を異なる色の丸印で表示するか、若しくは航空機を検知している丸印を点滅させて表示すればよい。或いは、異なる丸印で表示する代りに、異なる形状の印を用いて航空機と他の車両とを区別して表示しても良い。また、検知結果表示部18は、それぞれの丸印の意味を別枠の説明欄174に示す。このように表示することにより、一目で空港における移動体の位置とその種別を把握することができる。更に、移動体の位置をリアルタイムで検出・表示することにより、移動体の移動方向や移動速度を把握することもできる。
【0049】
図18は、本実施例の移動体検知器の構造図(縦断面図)を示す。灯器筐体181は地面182の下に殆ど埋め込み、内部を電力線2が通る電力線配管183が接続されている。電力線2はトランス3aに接続され、トランス3aは情報送信部4aに接続され、情報送信部4aはランプ6a及び移動体検知器5aに接続される。ランプ6aからの光は、反射鏡184で反射され、ガラス185を通して外部に放出される。移動体検知器5aの一部であるアンテナ10は、電磁場的に外部と遮蔽されていない空間に設置する。例えば、図にあるように反射鏡24の下部等は、ガラス185を通して外部からの電波を受信することが可能であるため、この様な位置に設置する。直接電波を受信できない位置でも、反射波,屈折波,回り込み波等を確実に受信できる位置に設置する。図に示すようにアンテナ10を埋設することによって、アンテナ10の耐荷重性能(強度)を考慮しなくても良い。アンテナ10と同様に、振動センサ13も、埋設面182や空気を伝わってきた振動を検出しやすいように、灯器筐体181内の上部のスペースに設置する。なお、本実施例では、施工の容易性から、移動体検知器5aを灯器筐体181内に設置する構成としたが、移動体検知器5aとアンテナ10及び振動センサ13とを独立させることも可能である。
【0050】
以上の実施例では、高経済性の観点で灯器筐体181内にランプ6aを有する場合を説明したが、ランプ6a及び反射鏡184を有しない灯器筐体内に移動体検知器5a,アンテナ10,振動センサ13,情報送信部4aを備え、これを別途同様に地面に設置(一部埋設)して、航空機を識別して検出することも可能である。この場合には、ランプ6a,反射鏡184がないため、アンテナ10の受信感度が一層向上する効果がある。さらに、上記の様に灯器筐体内にランプ6aや反射鏡184を設けない場合であって、かつ灯器筐体上部(図18のランプ6a上側の筐体の蓋)を強化ガラスとすることにより、より一層アンテナ10の受信感度を向上させて、検出精度を向上させることが可能である。
【0051】
図19は、図18に示す灯器筐体181を上部から見た図である。図19に示すように方位角90°および270°の箇所にランプ6aの光を放出するためのガラス185が配置される。アンテナ10の純粋な指向性は、上方にピークを持つ一般的な8の字指向性であるが、灯器筐体181がこのような構造のため灯器筐体181の内部に設置されたときのアンテナ10の指向性は、理論的には図20に示される指向性となる。なお、図20は、移動体検知に用いることのできる(アンテナ10である程度の受信強度が得られる)GPS衛星の範囲を、方位角と仰角との関係で表わしている。図に示されるように、仰角が大きい場合は方位角に関係なく電波を受信できるが、仰角が小さい場合には灯器筐体のガラス部の方向のみ電波を受信できる。また、図中のA°は、第二閾値に相当する角度である。すなわち仰角がA°以下のGPS衛星からの電波は、航空機の車体の下を通過してアンテナ10に検知される可能性があるため、移動体検知には使用しない。なお、この図20に示す指向性は説明を容易にするための理論上の指向性であり、実際にはアンテナの設置状況などにより、更に複雑な指向性となる。そのため仰角と方位角だけから移動体検知に適したGPS衛星を決定するのは大変に困難である。それに対して本実施例は、仰角および電波の受信強度に基づいて使用するGPS衛星を決定するので、複雑な指向性を有するアンテナを用いる場合にも対応することができる。
【0052】
なお、本実施例では、GPS衛星のような同一周波数の電波を発信する複数の衛星を用いたが、受信器を複数周波数に対応させることで、GLONASS のような周波数の異なる衛星群を用いることもできる。
【0053】
(実施例2)
本発明の他の実施例である航空機位置検知装置について図21を用いて説明する。本実施例は、移動体有無の検知にレーザの反射を用いた航空機位置検知装置である。以下、実施例1と異なる移動体有無検知部について説明する。
【0054】
図21は、本実施例の移動体有無検知部7′の構成を示す。図21において、まず信号発生部211から増幅器212及び同期検出部216に信号が出力される。増幅器212に入力された信号は、増幅されてレーザ投光部213に入力される。レーザ投光部213は、入力された信号によりレーザを上向きに投光する。移動体がレーザ投光部213の上方に存在する場合には、レーザ投光部213から投光されたレーザが移動体により反射されて戻ってくる。レーザ受光部214 は、移動体により反射されて戻ってきたレーザを受光し、受光したことを示す信号を増幅器215に出力する。増幅器215は、入力された信号を増幅して同期検出部216に出力する。同期検出部216は、信号発生部211から出力された信号と増幅器215から出力された信号との同期を取ることにより、投光したレーザが戻ってきたのかを判定する。この判定結果は、移動体有無判定部217に入力され、移動体有無判定部217は、レーザが戻ってきた場合には移動体が存在すると判定して「1」を出力し、レーザが戻ってきていない場合には移動体が存在しないと判定して「0」を出力する。
【0055】
以上のように、本実施例の移動体有無検知部7′は、移動体の有無を検知する。
【0056】
なお、本実施例では、レーザの反射を利用して移動体の有無を検知しているが、レーザに代えてマイクロ波や超音波等を用いても同様に移動体の有無を検知することができる。
【0057】
(実施例3)
本発明の他の実施例である航空機位置検知装置について図22を用いて説明する。本実施例は、移動体の種別判定に用いる振動の解析として、振動信号の実効値の大きさのみ解析する航空機位置検知装置である。以下、実施例1と異なる振動特性解析部について説明する。
【0058】
図22は、本実施例の振動特性解析部15Aの構成を示す。図22において、振動信号を増幅する増幅器14から出力された振動信号は、RMSコンバータ221に入力される。RMSコンバータ221は、入力された振動信号の実効値を求め、比較器222に出力する。比較器222は、入力された振動信号の実効値と第三閾値とを比較し、振動信号の実効値の方が大きい場合に「1」を、小さい場合に「0」を出力する。なお、前述したように第三閾値は、振動センサ13の真上に航空機が存在するときの振動信号の実効値以下で、かつ振動センサ13の真上に作業車両が存在するときの振動信号の実効値以上の値を、実験により求めて設定する。第三閾値をそのように設定することによって、振動信号の実効値により航空機と作業車両とを判別することが可能となる。
【0059】
以上説明した本実施例は、航空機が存在するときの振動信号の実効値が、作業車両が存在するときの振動信号の実効値に比べて明らかに大きい場合に適用することができる。本実施例は、実施例1に比べて、装置構成が簡単になるという利点がある。
【0060】
(実施例4)
本発明の他の実施例である航空機位置検知装置について図23を用いて説明する。本実施例は、移動体が到来したことを検知するのに用いる設定値が異なる2つの移動体到来検知部、及び移動体が離脱したことを検知するのに用いる設定値が異なる2つの移動体離脱検知部を有する点で実施例1と異なる。以下、実施例1と異なる点について説明する。
【0061】
図23は、本実施例の移動体有無判定部12Aの構成を示す。図23において、移動体有無判定部12Aに入力された衛星情報は、データ分配部231に入力される。データ分配部231は、入力された衛星情報からGPS衛星の個別認識番号および受信強度を抽出し、各GPS衛星に対応する第1移動体到来検知部232a〜232n,第2移動体到来検知部233a〜233n,第1移動体離脱検知部234a〜234n及び第2移動体離脱検知部235a〜235nの各々に対応する受信強度を出力する。すなわち、第1移動体到来検知部232a〜232n,第2移動体到来検知部233a〜233n,第1移動体離脱検知部234a〜234n及び第2移動体離脱検知部235a〜235nは、GPS衛星の数に合わせて設けられており、予め各々のGPS衛星に対応づけられている。
【0062】
図24は、第1移動体到来検知部232aの構成を示す。なお、その他の第1移動体到来検知部も同様の構成であるので説明は省略する。第1移動体到来検知部232aに入力された受信強度は、受信強度変化検知部241に入力される。
【0063】
図25は、第1移動体到来検知部232aにおける受信強度変化検知部241の構成を示す。受信強度変化検知部241において、入力された受信強度はLPF251を通して比較器252,253へ入力され、比較器252,253の出力信号はAND回路254に入力される。なお、LPF251,比較器252,253及びAND回路254の基本的な動作は、図5に示した受信強度低下検知部32の各構成と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0064】
図24において、信号保持部242には受信強度変化検知部241の出力信号と共にOR回路238aの出力信号が入力される。信号保持部242は、受信強度変化検知部241から「1」が出力されたときに、OR回路238aから「1」が出力されるまで「1」を出力し続ける。信号保持部242の出力信号は情報伝達部243に入力され、情報伝達部243は、入力された信号を第1移動体到来検知部232aの出力信号として第1移動体到来判定部236aに出力する。なお、その他の第1移動体到来検知部の出力信号も第1移動体到来判定部236aに入力される。
【0065】
第1移動体到来判定部236aは、第1移動体到来検知部232a〜232nの出力信号のうち2つ以上が「1」であった場合に、移動体が到来したと判定して「1」を出力する。すなわち、第1移動体到来判定部236aは、2 out of N回路である。この第1移動体到来判定部236aの出力信号は、OR回路238aに入力される。
【0066】
次に、第2移動体到来検知部233a〜233nの構成について説明するが、受信強度変化検知部241の構成以外は図24に示す第1移動体到来検知部232aと同様の構成であるため、受信強度変化検知部241の構成についてのみ説明する。図26は、第2移動体到来検知部233a〜233nの受信強度変化検知部241の構成を示す。
【0067】
図26において、受信強度変化検知部241に入力された受信強度は、LPF261を通して比較器262,263,265に入力される。図に示されるように、第2移動体到来検知部233a〜233nの受信強度変化検知部241は、受信強度の変化を判断する比較器を2つ有する点で、第1移動体到来検知部232a〜232nの受信強度変化検知部241と異なる。比較器262は、受信強度の低下量が第五基準値以上であった場合に「1」を出力する。なお、第五基準値は第四基準値よりも小さい値を設定する。一方、比較器263は、受信強度の上昇量が第六基準値以上であった場合に「1」を出力する。OR回路264は、比較器262,263の少なくとも一方から「1」が出力されたときに「1」を出力する。このように、受信強度の上昇および低下の両方を監視するのは、特に小型の物体が通過する時のGPS信号の受信強度の変化が、上昇する場合と低下する場合があるためである。
【0068】
比較器265は、変化前の受信強度が第五閾値以上であった場合に「1」を出力する。なお、第五閾値は第四閾値よりも大きな値を設定する。これは、図26の受信強度変化検知部241の場合、受信強度の上昇と下降のいずれでも移動体を検知するために、誤判定する可能性が有るので、これを防ぐために信頼性の高い(変化前の受信強度の大きい)衛星を選ぶ必要があるためである。AND回路266は、OR回路264の出力信号及び比較器265の出力信号の両方が「1」である場合に「1」を出力する。
【0069】
第2移動体到来判定部236bは、第2移動体到来検知部233a〜233nの出力信号のうち「1」を出力しないものが2つ未満である場合に移動体が到来したと判定して
「1」を出力する。これは、前述のように、第2移動体到来検知部233a〜233nでは、移動体が到来したと判定する条件が低く設定してあるので、より多くの衛星で検知した時に到来したと判定するためである。これにより誤判定を防ぐことができる。この第2移動体到来判定部236bの出力信号は、OR回路238aに入力される。
【0070】
OR回路238aは、移動体到来判定部236a及び移動体到来判定部236bの出力信号の少なくとも一方が「1」である場合に、移動体が到来したとして「1」を出力する。OR回路238aの出力信号は、移動体存在検知部239,第1移動体到来検知部232a〜232n及び第2移動体到来検知部233a〜233nに入力される。移動体存在検知部239は、OR回路238aから「1」が出力されたときに移動体が存在すると判定し、「1」を出力する。
【0071】
次に、第1移動体離脱検知部234a〜234nの構成について説明するが、受信強度変化検知部241の構成と、OR回路238aの出力信号に代えてOR回路238bの出力信号が信号保持部24に入力される点以外は図24に示す第1移動体到来検知部232aと同様の構成であるため、受信強度変化検知部241の構成についてのみ説明する。図27は、第1移動体離脱検知部234a〜234nにおける受信強度変化検知部241の構成を示す。
【0072】
図27において、LPF271を通過した受信強度は、比較器272,273に入力される。比較器272は、受信強度の上昇量が第七基準値を越えた時に「1」を出力する。また、比較器273は、上昇前の受信強度が第六閾値以上であるときに「1」を出力する。比較器272,273の出力信号はAND回路274に入力され、AND回路274は比較器272,273の出力信号が両方とも「1」であった場合に「1」を出力する。
【0073】
第1移動体離脱検知器234a〜234nの出力信号は、第1移動体離脱判定部237aに入力される。第1移動体離脱判定部237aは、第1移動体離脱検知部234a〜234nの出力信号のうち2つ以上が「1」である場合に、移動体が離脱しと判定して「1」を出力する。すなわち、第1移動体離脱判定部237aは、2 out of N回路である。この第1移動体離脱判定部237aの出力信号は、OR回路238bに入力される。
【0074】
第2移動体離脱検知部235a〜235nの構成は、第1移動体離脱検知部234a〜234nと同様であるので詳細な説明は省略するが、受信強度変化検知装置部241に設定される基準値及び閾値の値が異なる。具体的には、第1移動体離脱検知部234a〜234nよりも、第2移動体離脱検知部235a〜235nの方が、基準値及び閾値を大きな値に設定する。これは、第1移動体到来検知部232a〜232nと第2移動体到来検知部233a〜233nとの関係と同様である。
【0075】
第2移動体離脱判定部237bは、第2移動体離脱検知部235a〜235nの出力信号のうち少なくとも1つが「1」である場合に、移動体が離脱したと判定して「1」を出力する。すなわち、第2移動体離脱判定部237bはOR回路である。第2移動体離脱判定部237bの出力信号は、OR回路238bに入力される。
【0076】
OR回路238bは、移動体離脱判定部237a及び移動体離脱判定部237bの出力信号の少なくとも一方が「1」である場合に、移動体が離脱したとして「1」を出力する。OR回路238bの出力信号は、移動体存在検知部239,第1移動体離脱検知部234a〜234n及び第2移動体離脱検知部235a〜235nに入力される。移動体存在検知部239は、OR回路238bから「1」が出力されたときに移動体は離脱したと判定し、「0」を出力する。移動体存在検知部239の構成は、図12に示された移動体存在検知部26と同様である。
【0077】
以上説明したように、本実施例では、移動体の到来を判定するために設定された受信強度の変化量に対する設定値が異なる2つの移動体到来検知部、及び移動体の離脱を判定するために設定された受信強度の変化量に対する設定値が異なる2つの移動体離脱検知部を設けることで、大きさの異なる移動体の検知が可能となる。
【0078】
なお、本実施例における各基準値及び各閾値は、実験により決定するか、シミュレーション等により決定すればよい。また、移動体到来判定部236a,236bや移動体離脱判定部237a,237b等における論理演算の構成は、状況に応じて適切に設定すればよい。
【0079】
(実施例5)
本発明の他の実施例である航空機位置検知装置について図28を用いて説明する。本実施例は、移動体の種別判定に振動の特徴量を用いる点で実施例1と異なる。以下、実施例1と異なる点について説明する。
【0080】
図28は、本実施例における振動特性解析部15Bの構成を示す。図28において、増幅器14から出力される振動信号は、A/D変換器281でディジタル信号に変換した上でデータバッファ282にストアされた後、FFT演算部283において周波数特性に変換される。得られた周波数特性は周波数特性正規化部284に入力され、周波数特性正規化部284は入力された周波数特性をセンサ周波数応答特性格納部285に予め記憶された周波数応答データで正規化する。なお、この正規化は振動センサ13における共振特性の影響を除去するために行う。周波数正規化部284で得られた正規化データは特徴量抽出部286に入力され、特徴量抽出部286は(数1)により特徴量Sを求める。
【0081】
【数1】

【0082】
なお、(数1)においてRMS(Fa〜Fb)は周波数Faと周波数Fb間の実効値を示す。
【0083】
(数1)において、分子および分母に複数の範囲の実効値があるのは、航空機と作業車両との違いがより明確に出るように、周波数を細分化するためである。
なお、分子の実効値は、航空機検知時における振動信号の実効値と作業車両検知時における振動信号の実効値との比がより大きくなるような周波数範囲を実験により求めて設定し、分母の実効値は、上記比がより小さくなるような周波数範囲を実験により求めて設定する。特徴量抽出部286で求められた特徴量Sは比較部287に入力され、比較部287は、種類判定設定値格納部288に格納されている設定値と入力された特徴量Sとを比較し、特徴量Sが設定値を越えた場合に航空機と判定して「1」を出力する。
【0084】
以上説明したように、本実施例によれば、航空機と作業車両との違いがより明確になるような特徴量Sを用いて航空機と作業車両との識別を行うため、より確実に航空機と作業車両とを識別することができる。
【0085】
(実施例6)
本発明の他の実施例である航空機位置検知装置について図29を用いて説明する。本実施例は、移動体の進行方向を検知する機能を有する点で実施例1と異なる。以下、実施例1と異なる点について説明する。
【0086】
図29は、本実施例の移動体有無判定部12Bの構成を示す。本実施例の移動体有無判定部12Bは、実施例1の移動体有無判定部12に進行方向判定部291を付け加えた構成となっている。図30は、進行方向判定部291の構成を示す。データ分配部21から出力された各衛星情報は方位角データ抽出部301a〜301nに入力され、方位角データ抽出部301a〜301nは衛星情報から方位角の情報を抽出して方位検知部302a〜302nに出力する。方位検知部302a〜302nは、通路方位情報格納部303に格納されている通路の方位と衛星の方位から相対方位を算出する。図31は上述の通路の方位,衛星の方位及び相対方位の関係を模式的に示す。図31において、通路311のA方向の方位が北(図中N)に対してθsの方位であるとする。そのとき、北に対してθ1の方向にある衛星の相対方位は|θ1−θs|となる。相対方位は、検知方位として検知方位格納部304に格納される。なお、図31において312は振動センサの位置を示す。
【0087】
図30において、到来検知衛星順位確定部305は、移動体到来検知部22a〜22nで移動体が到来したと検知した衛星に順位をつけ、検知衛星方位比較決定部306に出力する。検知衛星方位比較決定部306では、最初に移動体を検知した衛星の検知方位θaと、最後に移動体を検知した衛星の検知方位θbとを比較し、θa>θbの場合、A側が最初に遮断されているので進行方向はBの方向と判定し、逆にθa<θbの場合は、A方向に向かっていると判断する。
【0088】
以上説明した、本実施例によれば、GPS衛星の方位角情報に基づいて移動体の進行方向を検知することができる。
【0089】
(実施例7)
本発明の他の実施例である航空機位置検知装置について図32を用いて説明する。本実施例は、移動体の到来及び離脱の検知を個々の衛星毎に行う点と、移動体が存在しない時の受信強度の平均値を中心値とする正常変化範囲からの受信強度の逸脱により移動体の到来を検知する点で実施例1と異なる。以下、実施例1と異なる点について説明する。
【0090】
図32は、本実施例の移動体有無判定部12Cの構成を示す。図32において、移動体有無判定部12Cに入力された衛星情報は、データ分配部321に入力される。データ分配部321は、入力された衛星情報からGPS衛星の個別認識番号及び受信強度を抽出し、各GPS衛星に対応する衛星別移動体存在検知部322a〜322nに該当する受信強度を出力する。
【0091】
図33は、衛星別移動体存在検知部322aの構成を示す。なお、その他の衛星別移動体存在検知部322b〜322nも同様の構成である。データ分配部321より出力された受信強度(A)は、平均強度(M)演算部331及び変化検知部332aに入力される。平均強度(M)演算部331は、データのバッファ機能を有しており、例えば、過去10秒間のデータの平均値を算出して出力する。変化検知部332aでは、現在の受信強度(A)が、平均強度(M)を中心値として±Bの範囲から逸脱した時に、移動体が到来したと判断し「1」を出力する。なお、このBの値は実験により設定する。一方、変化検知部332bには、受信強度(A)及び単位時間遅延器333からの遅延信号(A′)が入力され、受信強度(A)が、単位時間前の受信強度である(A′)を中心値として±Bの範囲から逸脱した時に、移動体が到来したと判断し「1」を出力する。変化検知部332a及び332bの出力はOR回路334に入力され、いずれかが「1」の時に移動体が到来したとして存在状態保持部336はセットされる。一方、変化検知部332aの出力は、NOT回路335にも入力され、変化検知部332aが「0」を出力、すなわち受信強度(A)が移動体不在状態での正常変化範囲内にある時に、NOT回路335から「1」が出力される。NOT回路335から「1」が出力されたとき、存在状態保持部336は移動体が離脱したとしてリセットされる。また、受信強度(A)は、比較器337にも入力され、受信強度(A)が0以外の場合、すなわち衛星からの信号が移動体検知に利用できるときに「1」を出力する。
【0092】
移動体検知衛星計数部323は、衛星別移動体存在検知部322a〜322nの存在状態保持部336から出力される「1」の数をカウントする。一方、有効衛星数計数部324は、衛星別移動体存在検知部322a〜322nの比較器337からから出力される「1」の数、すなわち利用可能な衛星数をカウントする。
【0093】
移動体存在検知部325は、移動体検知衛星計数部323でのカウントが、例えば2以上である場合、または有効衛星数計数部324でのカウントが0の場合に、移動体が存在するとして移動体存在判定部327をセットする。これは、同時に2つ以上の衛星で移動体の存在を検知する場合に移動体が存在していると判断し、また、全ての衛星からの受信強度が0になった場合に完全にセンサ上部を移動体が遮断していると判断することを示す。
【0094】
一方、移動体不在検知部326は、移動体検知衛星計数部323でのカウントが0である場合で、かつ有効衛星数計数部324でのカウントが例えば3以上である場合に、移動体が不在であるとして、移動体存在判定部327をリセットする。これは、移動体が不在の場合、複数個、例えば3個以上の衛星からは必ず電波が到達するということと、移動体が不在である場合、いずれの衛星に関しても存在を検知していないということによる。
【0095】
以上説明した、本実施例によれば、個々の衛星毎に移動体到来と移動体離脱を検知することができ、特に、センサ上部で移動体が停止するような場合に、検知性能が向上する。
【0096】
以上説明した各実施例において、振動センサとは、具体的には変位検出器,速度検出器,加速度検出器,加々速度検出器の何れでも良く、また、灯器の筐体の振動を直接検出する以外にも、灯器の筐体周囲の空気振動、すなわち音響を検出するマイクロフォンを使うこともできる。
【0097】
また、各実施例では、移動体の有無・種別に関する情報の伝送に電力線搬送方式を用いたが、電力線の他に情報伝送のための信号線を設けて、信号線により情報の伝送を行っても良い。情報伝送のための信号線を設けることによって、より多くの情報を伝送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の好適な一実施例である航空機位置検知装置の構成図である。
【図2】図1の移動体有無判定部12の構成図である。
【図3】図2の移動体到来検知部22aの構成図である。
【図4】図2の移動体離脱検知部23aの構成図である。
【図5】図3の受信強度低下検知部32の構成図である。
【図6】図3の衛星データ使用評価部33の構成図である。
【図7】図4の受信強度上昇検知部42の構成図である。
【図8】移動体到来検知部22aの出力信号とその信号の意味を示す図である。
【図9】移動体離脱検知部23aの出力信号とその信号の意味を示す図である。
【図10】図2の移動体到来判定部24の構成図である。
【図11】図2の移動体離脱判定部25の構成図である。
【図12】図2の移動体存在検知部26の構成図である。
【図13】図1の振動特性解析部15の構成図である。
【図14】図1の移動体種別判定部9の構成図である。
【図15】移動体種別判定部9の出力信号とその信号の意味を示す図である。
【図16】図1の情報統合部17の構成図である。
【図17】図1の検知結果表示部18における表示例を示す図である。
【図18】図1に示す航空機位置検知装置の構造図(縦断面図)である。
【図19】図18に示す航空機位置検知装置を上方から見た構造図である。
【図20】図19に示す航空機位置検知装置における、移動体の検知に用いるGPS衛星の方位角と仰角との関係を示した図である。
【図21】本発明の他の実施例である航空機位置検知装置の移動体有無検知部7′の構成図である。
【図22】本発明の他の実施例である航空機位置検知装置の振動特性解析部15Aの構成図である。
【図23】本発明の他の実施例である航空機位置検知装置の移動体有無判定部12Aの構成図である。
【図24】図23の第1移動体到来検知部232aの構成図である。
【図25】図24の受信強度変化検知部241の構成図である。
【図26】図23の第2移動体到来検知部233a〜233nの受信強度変化検知部の構成図である。
【図27】図23の第1移動体離脱検知部234a〜234nの受信強度変化検知部の構成図である。
【図28】本発明の他の実施例である航空機位置検知装置の振動特性解析部15Bの構成図である。
【図29】本発明の他の実施例である航空機位置検知装置の移動体有無判定部12Bの構成図である。
【図30】図29の進行方向判定部291の構成図である。
【図31】通路の方位,衛星の方位及び相対方位の関係を模式的に示す図である。
【図32】本発明の他の実施例である航空機位置検知装置の移動体有無判定部12cの構成図である。
【図33】図32の衛星別移動体存在検知部322aの構成図である。
【符号の説明】
【0099】
1…交流電源、2…電力線、3a〜3n…トランス、4a〜4n…情報送信部、5a〜5n…移動体検知器、6a〜6n…ランプ、7…移動体有無検知部、8…振動検出部、9…移動体種別判定部、10…アンテナ、11…GPS用受信器、12…移動体有無判定部、13…振動センサ、14…増幅器、15…振動特性解析部、16…AC/DCコンバータ、17…情報統合部、18…検知結果表示部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星から発信されるGPS信号を受信する地中に埋設されたアンテナを具備する複数の移動体検知器と、前記アンテナによって受信されるGPS衛星情報のうち仰角及びGPS信号の受信強度を検出し、該抽出された電波の受信強度が急激に低下する前の遅延された受信強度と設定された第一閾値とを比較して建物による電波遮断のないGPS衛星を選択するとともに、前記検出した仰角から移動体の検知に用いる仰角の大きいGPS衛星を選択し、該選択された前記GPS衛星が発信した電波の受信強度と遅延された受信強度との差から受信強度の低下量を求め、該低下量が設定された第一基準値以上であれば移動体が前記体検知器の上方に移動体が存在することを判定する移動体有無検知手段と、前記移動体検知器に具備され移動体から発せられる振動を検知して振動信号を出力する振動センサと、前記移動体有無検知手段により前記移動体検知器の上方に移動体が存在すると判断された場合に前記振動センサから出力される振動信号の特性に基づいて前記移動体が航空機であるか否かを判定する移動体種別判定手段とを有し、前記移動体種別判定手段が前記移動体は航空機であると判定した場合に航空機を検知したことを示す信号を出力する移動体検知器と、前記移動体検知器から出力される航空機を検知したことを示す信号に基づいて航空機の位置を検知する航空機位置検知手段と、前記移動体検知器から前記航空機位置検知手段に航空機を検知したことを示す信号を伝送する伝送手段とを備えたことを特徴とする航空機位置検知装置。
【請求項2】
前記移動体種別判定手段は、前記振動信号の実効値と予め設定された設定値とを比較して、前記実効値の方が大きい場合に前記移動体が航空機であると判定することを特徴とする請求項1記載の航空機位置検知装置。
【請求項3】
前記移動体種別判定手段は、前記振動信号から得られる周波数特性を予め設定されたセンサ固有周波数特性で正規化する周波数特性正規化手段と、前記周波数特性正規化手段により得られた正規化周波数特性における複数の周波数帯の実効値の比から前記振動信号の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記特徴量抽出手段において抽出された特徴量が予め設定された閾値よりも大きい場合に前記移動体が航空機であることを示す信号を出力する比較手段とを有することを特徴とする請求項1記載の航空機位置検知装置。
【請求項4】
前記移動体検知器は、前記アンテナによって受信される複数のGPS信号の受信強度が変化する順序に基づいて、前記移動体の進行方向を検知する移動体進行方向判定手段を有することを特徴とする請求項1記載の航空機位置検知装置。
【請求項5】
前記アンテナ及び前記振動センサは、航空機の通路に埋設されることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の航空機位置検知装置。
【請求項6】
GPS衛星から発信されるGPS信号を受信する地中に埋設されたアンテナと、前記アンテナによって受信されるGPS衛星情報のうち仰角及びGPS信号の受信強度を検出し、該抽出された電波の受信強度が急激に低下する前の遅延された受信強度と設定された第一閾値とを比較して建物による電波遮断のないGPS衛星を選択するとともに、前記検出した仰角から移動体の検知に用いる仰角の大きいGPS衛星を選択し、該選択された前記GPS衛星が発信した電波の受信強度と遅延された受信強度との差から受信強度の低下量を求め、該低下量が設定された第一基準値以上であれば移動体が前記体検知器の上方に移動体が存在することを判定する移動体有無検知手段と、前記移動体から発せられる振動を検知して振動信号を出力する振動センサと、前記移動体有無検知手段により前記移動体検知器の上方に移動体が存在すると判断された場合に前記振動センサから出力される振動信号の特性に基づいて前記移動体が航空機であるか否かを判定する移動体種別判定手段とを備えたことを特徴とする移動体検知器。
【請求項7】
表示画面を有し、前記表示画面上に空港内における航空機の位置と航空機以外の車両の位置とを異なる印で表示する表示装置を具備することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の航空機位置検知装置。
【請求項8】
GPS衛星から発信されるGPS信号をアンテナで受信し、前記アンテナによって受信されたGPS衛星情報のうち仰角及びGPS信号の受信強度を検出し、該抽出された電波の受信強度が急激に低下する前の遅延された受信強度と設定された第一閾値とを比較して建物による電波遮断のないGPS衛星を選択するとともに、前記検出した仰角から移動体の検知に用いる仰角の大きいGPS衛星を選択し、該選択された前記GPS衛星が発信した電波の受信強度と遅延された受信強度との差から受信強度の低下量を求め、該低下量が設定された第一基準値以上であれば移動体が前記体検知器の上方に移動体が存在することを判定し、振動センサにより前記移動体から発せられる振動を検知して振動信号を出力し、前記移動体有無検知手段により前記移動体検知器の上方に移動体が存在すると判断された場合に移動体種別判定手段により前記振動センサから出力される振動信号の特性に基づいて前記移動体が航空機であるか否かを判定することを特徴とする移動体検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−202298(P2006−202298A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15762(P2006−15762)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【分割の表示】特願2000−9970(P2000−9970)の分割
【原出願日】平成12年1月13日(2000.1.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】