説明

航空機透明体用改良型バス・バー・システム

バス・バー・システムは主要面を有する非導電性基板を備える。少なくとも1つの導電バス・バーが主要面の少なくとも一部分を覆って形成されている。導電コーティングがバス・バーの少なくとも一部分及び主要面を覆って形成されている。等方的導電性テープ又は薄膜などの導電性接着材が薄膜/バス・バー連結部の少なくとも一部分を覆って貼付されている。該システムは等方的導電性接着材に接着された導電性金属薄片を任意選択的に備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照により本明細書にその全体が援用される、2009年7月21日出願の米国特許仮出願第61/227,119号、「航空機透明体用改良型バス・バー・システム」の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、バス・バー・システムに関し、特定の一実施例では、航空機の透明体に特に適するバス・バー・システムに関する。
【背景技術】
【0003】
乗物の風防又は窓など、乗物の透明体に導電コーティングを施すことは周知である。導電コーティングに電流を供給すると、コーティングの温度が上昇し、それによって、透明体の防氷又は防曇を行うことができる。電流は、通常、電源に接続された1つ又は複数の「バス・バー」を経由して導電コーティングに供給される。これらバス・バーは、透明体の表面に貼付され、導電コーティングに接触している金属又はセラミックの細片であり得る。周知の一構成では、導電セラミック・バス・バーが、ガラス基板上、通常、基板の周縁部近くに形成される。次いで、導電コーティングが、バス・バーを含めて基板の表面を覆って施される。バス・バーに供給された電流が、導電コーティングに通電されて、コーティングの温度を上昇させる。
【0004】
この周知のシステムは、非コーティング透明体に勝る利点を提供するものの、このシステムに関し、依然として問題が存在する。例えば、導電コーティングとバス・バーとの厚さの差は、1:200〜1:400にまでなり得る。従って、比較的薄い導電コーティングがより大幅に厚いバス・バーを覆って形成されたとき、バス・バーの移行縁部(即ち、「薄膜/バス・バー連結部」)に形成されるコーティングが、薄く、弱くなることがあり、不連続を有することがある。これら薄膜/バス・バー連結部の欠陥が、悪い事例の場合には、薄膜/バス・バー連結部のコーティングに空隙や孔を生じることがあり、それらが、基板を損傷するに十分な湾曲に至る抵抗熱を発生させる電流の不均一な通電及び/又は局所的な過電流を生じる結果になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,820,902号
【特許文献2】米国特許第4,939,348号
【特許文献3】米国特許第5,824,994号
【特許文献4】米国特許第4,746,347号
【特許文献5】米国特許第4,792,536号
【特許文献6】米国特許第5,030,593号
【特許文献7】米国特許第5,030,594号
【特許文献8】米国特許第5,240,886号
【特許文献9】米国特許第5,385,872号
【特許文献10】米国特許第5,393,593号
【特許文献11】米国特許第5,653,903号
【特許文献12】米国特許第5,028,759号
【特許文献13】米国特許第4,898,789号
【特許文献14】米国特許第5,821,001号
【特許文献15】米国特許第4,716,086号
【特許文献16】米国特許第4,610,771号
【特許文献17】米国特許第4,902,580号
【特許文献18】米国特許第4,806,220号
【特許文献19】米国特許第4,898,790号
【特許文献20】米国特許第4,834,857号
【特許文献21】米国特許第4,948,677号
【特許文献22】米国特許第5,059,295号
【特許文献23】米国特許出願公開第2003/0180547A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、従来のバス・バー・システムに伴う問題の少なくとも一部を解消又は低減するバス・バー・システムが提供されれば有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバス・バー・システムは主要面を有する非導電性基板を備える。少なくとも1つの導電バス・バーが主要面の少なくとも一部分を覆って配置されている。導電コーティングがバス・バーの少なくとも一部分及び主要面の少なくとも一部分を覆って形成されている。導電性接着材、例えば、等方的導電性テープ又は薄膜などの等方的導電性接着材が薄膜/バス・バー連結部の少なくとも一部分を覆って配置されている。当該システムは等方的導電性接着材に接着された導電性金属薄片を任意選択的に備え得る。
【0008】
別のバス・バー・システムは主要面を有する非導電性基板を備える。少なくとも1つの導電バス・バーが主要面の少なくとも一部分を覆って配置されている。導電コーティングがバス・バーの少なくとも一部分及び主要面の少なくとも一部分を覆って形成されている。第1の導電性接着材、例えば、等方的導電性テープ又は薄膜などの等方的導電性接着材がバス・バーの上に重なった導電コーティングの少なくとも一部分を覆って配置されている。導電編組線が第1の導電性接着材の上に配置されている。第2の導電性接着材、例えば、等方的導電性テープ又は薄膜などの等方的導電性接着材が少なくとも編組線の一部分及び第1の導電性接着材を覆って配置されている。導電性金属薄片が少なくとも第2の導電性接着材の一部分、編組線、及び第1の導電性接着材を覆って配置されている。
【0009】
本発明の別のバス・バー・システムは主要面を有する非導電性基板を備える。導電コーティングが主要面の少なくとも一部分を覆って配置されている。第1の導電性接着材、例えば、等方的導電性テープ又は薄膜などの等方的導電性接着材が少なくとも導電コーティングの一部分を覆って配置されている。金属薄片又は金属編組線などの導電性金属部材が導電性接着材に取り付けられている。導電性接着材及び金属部材が該システムのバス・バーを形成する。
【0010】
バス・バー・システムを製作する方法が、主要面を有する非導電性基板を取得するステップであって、少なくとも1つの導電バス・バーが少なくとも主要面の一部分を覆って配置され、導電コーティングが少なくともバス・バーの一部分及び主要面の少なくとも一部分を覆って配置されるステップを含む。当該方法は、薄膜/バス・バー連結部の少なくとも一部分を覆って、第1の導電性接着材、例えば、等方的導電性テープ又は薄膜などの等方的導電性接着材を貼付するステップを含む。
【0011】
バス・バー・システムを製作する別の方法は、一片の金属薄片を一片の等方的導電性テープに接着するステップを含む。薄片で覆われたテープが所望の寸法に切断される。薄片で覆われたテープを、それが取り付けられるバス・バーの寸法より大きく切断することができる。当該方法は薄片で覆われたテープを薄膜/バス・バー連結部の少なくとも一部分を覆って接着するステップを含む。
【0012】
本発明は、添付図面を考察することにより、より完全に理解することができ、添付図面では、全て、同じ参照番号は同じ部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の特徴を組み込んだバス・バー・システムの側方断面図(非縮尺)である。
【図2】本発明の別のバス・バー・システムの側方断面図(非縮尺)である。
【図3】本発明の更に別のバス・バー・システムの側方断面図(非縮尺)である。
【図4】図2のバス・バー・システムの平面図(非縮尺)である。
【図5】本発明の別のバス・バー・システムの側面図(非縮尺)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上方」、「下方」などのような空間又は方向に関する用語は図面に示されているときの本発明に関する。しかし、本発明は様々な別の向きを取ることができることが理解されるべきであり、従って、そのような用語は限定的に考えるべきではない。更に、本明細書及び特許請求の範囲に使用されている寸法、物理的特性、プロセス・パラメータ、成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、あらゆる場合、用語「約」によって修飾されているものと理解されるべきである。従って、別途示されていない限り、以下の明細書及び添付特許請求の範囲に示される数値は本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低限でも、又、特許請求の範囲との同等物による教示の適用を限定することにならないように、各数値は、記述されている有効桁数を考慮し、通常の丸め技法を適用して少なくとも解釈されるべきである。更に、本明細書に開示された全ての範囲は、開始及び終了限界値、及びその範囲に含まれる全てのいかなる部分領域も包含すると理解されるべきである。例えば、「1〜10」との表記範囲は、最小値の1及び最大値の10の間の(且つそれらを含めて)任意の全ての部分領域、即ち、最小値1又はそれを超えて始まり、最大値10又はそれ未満に終わる全ての部分領域、例えば、1〜3.3、4.7〜7.5、5.5〜10などを含むものと考えるべきである。更に、本明細書に使用される用語「覆って形成される」、「覆って付着される」、又は「覆って設けられる」は、表面上に形成され、付着され、又は設けられることを意味するが、必ずしも表面に直接接触してはいない。例えば、基板を「覆って形成された」コーティング層は、形成されたコーティング層と基板との間に位置する同じ又は異なる成分の他の1つ又は複数のコーティング層又は薄膜の存在を排除するものではない。更に、それに限定はされないが発行済み特許及び特許出願などの、本明細書で言及された全ての文書は、それらの全体が「参照によって援用される」と考えるべきである。本明細書に使用される用語「ポリマー」又は「ポリマーの」は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマー、例えば2つ以上のタイプのモノマー又はポリマーから形成されたポリマーを含む。用語「可視領域」又は「可視光」は380nm〜760nmの範囲の波長を有する電磁放射を意味する。用語「赤外線領域」又は「赤外線放射」は760nm〜100,000nmの範囲の波長を有する電磁放射を意味する。用語「紫外線領域」又は「紫外線放射」は300nm〜380nmの範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。
【0015】
以下の記述では、本発明のバス・バー・システムの説明を容易にするために、通常の加熱透明体の一部分のみが例示されている。当業者には理解されるであろうように、従来の加熱式透明体は、バス・バー・システムがそれら2つの基板の間に配置された、第2の基板にポリマー層によって結合された第1の基板を備え得る。バス・バーは電力源に接触している。従来の加熱式透明体の実例が、米国特許第4,820,902号、第4,939,348号、及び第5,824,994号に開示されており、当業者には理解されるであろう。
【0016】
第1のバス・バー・システム10が図面の図1に示されている。バス・バー・システム10は主要面を有する基板12上に形成されている。少なくとも1つのバス・バー14が、基板12の主要面の外縁又はその近くの部分の周辺など、基板12の少なくとも一部分を覆って形成されている。図1では、図の右側が、バス・バー14の外側(上側)縁部であり、図の左側がバス・バー14の下側(内側)縁部である。但し、これは単に例示のためであり、バス・バー14はあらゆる所望の位置を取ることができる。導電コーティング16が、バス・バー14の少なくとも一部分を含めて、基板12の主要面の少なくとも一部分を覆って形成される。他方、従来のバス・バー・システムとは異なって、本発明のバス・バー・システム10は、等方性コンダクタンスを有する導電性接着材18を備える。「等方性コンダクタンス」又は「等方的導電性」は、x、y、及びz方向に電気伝導性を有することを意味する。等方的導電性接着材18が、薄膜/バス・バー連結部20の少なくとも一部分を覆って貼付される。「薄膜/バス・バー連結部」は、コーティング16が基板の表面からバス・バー14の前縁(即ち、内側縁部)へ移行する領域を意味する。
【0017】
本発明の広範な実施においては、基板12には、あらゆる所望の特性を有するあらゆる所望の材料を含めることができる。例えば、基板12は可視光に対して透明又は半透明であり得る。「透明である」とは、可視光などの所望の波長領域で0%より大きく100%までの透過性を有することを意味する。或いは、基板12は半透明であり得る。「半透明である」とは、電磁放射(例えば可視光)を透過させることができるが、その放射を拡散させ散乱させることを意味する。基板12に適切な材料の実例には、それらに限定されないが、熱可塑性、熱硬化性、又はエラストマー系ポリマー材、ガラス、セラミック、及び金属又は金属合金、並びにそれらの組合せ物、合成物、又は混合物を含む。適切な材料の特定の実例には、それらに限定されないが、プラスチック基板(ポリアクリレートなどのアクリル系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレート;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキルテレフタレート;ポリシロキサン含有ポリマー;若しくはこれらを形成する任意のモノマーからなるコポリマー、又はそれらのあらゆる混合物など)、セラミック基板、ガラス基板、並びに上記のあらゆるものの混合物又は組合せ物を含む。例えば、基板12は、従来のソーダ石灰珪酸塩ガラス、ホウ珪酸塩ガラス、又は鉛ガラスを含み得る。ガラスは透明ガラスであり得る。「透明ガラス」とは非色付き又は非彩色ガラスを意味する。或いは、ガラスは、色付き又は他の方法で彩色したガラスでもよい。ガラスは、焼きなまし、又は熱処理ガラスでもよい。本明細書に使用される用語「熱処理される」とは、焼き入れられ、屈曲され、加熱強化され、又は積層されることを意味する。ガラスは、従来のフロート・ガラスなどいかなるタイプでもよく、例えばいかなる値の可視光透過性、紫外線透過性、赤外線透過性、及び/又は総太陽エネルギー透過性など、いかなる光学特性を有するいかなる組成でもよい。基板12は、例えば、透明フロート・ガラスでもよく、又は色付き若しくは彩色ガラスでもよい。本発明に限らないが、基板12に適するガラスの実例は、米国特許第4,746,347号、第4,792,536号、第5,030,593号、第5,030,594号、第5,240,886号、第5,385,872号、第5,393,593号、第5,030,593号、及び第5,030,594号に記載されている。本発明の実施に使用することができるガラスの実例には、それらに限定はされないが、Starphire(登録商標)、Solarphire(登録商標)、Solarphire(登録商標)PV、Solargreen(登録商標)、Solextra(登録商標)、GL‐20(登録商標)、GL‐35(商標)、Solarbronze(登録商標)、CLEAR、及びSolargray(登録商標)ガラスが含まれ、全て、ペンシルベニア州ピッツバーグのPPG Industries Inc.から市販されている。
【0018】
基板12は、いかなる所望の寸法、例えば長さ、幅、形状、又は厚さでもよい。例示的一実施例では、基板12は、1mm〜10mmの厚さなど、例えば1mm〜5mmの厚さ、例えば4mm未満の厚さ、例えば3mm〜3.5mmの厚さ、例えば3.2mmの厚さなどの、0mmより大きく10mmまでの厚さを取り得る。更に、基板12は、平坦、湾曲、放物線形状など任意の所望の形状を取り得る。基板12は、550ナノメートル(nm)の基準波長、3.2mmの基準厚さにおいて高い可視光透過性を有し得る。「高い可視光透過性」は、基板の基準厚さ3.2mmにおいて、550nmの可視光の、87%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、95%以上など、85%以上の透過性を意味する。
【0019】
バス・バー14は、任意の従来のタイプのものでもよい。例えば、バス・バー14は、銀などの導電性金属を組み込んだ従来のセラミック・バス・バーでもよい。或いは、バス・バー14は、金属細片でもよい。
【0020】
導電コーティング16は、インジウム錫酸化物など従来の導電コーティングでもよい。又は、導電コーティング16は、対の誘電層の間に配置された1つ又は複数の金属薄膜を備える機能性コーティングでもよい。導電コーティング16は、熱及び/又は放射反射コーティングでもよく、同じ又は異なる組成及び/又は機能性からなる1つ又は複数のコーティング層又は薄膜を有し得る。本明細書で使用される用語「薄膜」は、所望の又は選択されたコーティング組成からなるコーティング領域を意味する。「層」は、1つ又は複数の「薄膜」を備え得、「コーティング」又は「コーティング積層」は、1つ又は複数の「層」を備え得る。例えば、導電コーティング16は、単層コーティング又は多層コーティングであり得、1種又は複数種の金属、非金属、半金属、半導体、及び/又はそれらの合金、化合物、組成物、組合せ物、若しくは混合物を含み得る。例えば、導電コーティング16は、単層金属酸化物コーティング、多層金属酸化物コーティング、非金属酸化物コーティング、金属窒化物若しくは酸窒化物コーティング、非金属窒化物若しくは酸窒化物コーティング、或いは1種又は複数種の任意の上記の材料を含む多層コーティングであり得る。例えば、導電コーティング16は、ドープした金属酸化物コーティングでもよい。加熱式窓ガラスを製作するために使用される導電コーティングが、米国特許第5,653,903号及び第5,028,759号に開示されている。同様に、導電コーティング16は、導電性の太陽光制御コーティングでもよい。本明細書で使用される用語「太陽光制御コーティング」は、それに限定はされないが、コーティングされた品物から反射され、それによって吸収され、又はそれを通過する例えば可視光、赤外線、又は紫外線放射などの太陽光放射の量、遮蔽係数、放射率などのコーティングされた品物の太陽光特性に影響する1つ又は複数の層又は薄膜から構成されるコーティングを意味する。太陽光制御コーティングは、それに限定はされないが、IR、UV、及び/又は可視光スペクトルなどの太陽光スペクトルの選択された部分を遮断し、吸収し、濾光することができる。本発明の実施に使用することができる太陽光制御コーティングの実例が、それに限定されると考えるべきではないが、例えば米国特許第4,898,789号、第5,821,001号、第4,716,086号、第4,610,771号、第4,902,580号、第4,716,086号、第4,806,220号、第4,898,790号、第4,834,857号、第4,948,677号、第5,059,295号、及び第5,028,759号に見られる。本発明によって使用される適切な導電コーティング30の非限定的実例が、ペンシルベニア州ピッツバーグのPPG Industries,lnc.からコーティングの製品系列SUNGATE(登録商標)、及びSOLARBAN(登録商標)の下に市販されている。その種コーティングは、通常、可視光に透明な、金属酸化物又は金属合金の酸化物などの誘電又は反射防止材を有する1つ又は複数の反射防止コーティング薄膜を備える。導電コーティング16は、又、反射性金属、例えば金、銅、若しくは銀などの貴金属、又はそれらの組合せ物若しくは合金を含む1つ又は複数の赤外線反射薄膜を備え、当技術分野では周知のように、金属反射層の上及び/又は下に配置されたチタニウムなどのプライマ薄膜又は遮蔽薄膜を更に備え得る。導電コーティング16は、それに限定されないが1〜5枚の赤外線反射薄膜など、任意の所望の数の赤外線反射薄膜を有し得る。非限定的一実施例では、コーティング16は、例えば2つ以上の銀の層、例えば3つ以上の銀の層、5つ以上の銀の層など、1つ又は複数の銀の層を有し得る。3つの銀の層を有する適切なコーティングの非限定的実例が、米国特許出願公開第2003/0180547A1号に開示されている。
【0021】
導電コーティング16は、それらには限定されないが、従来の化学的蒸着(CVD)法及び/又は物理的蒸着(PVD)法など、任意の従来の方法によって付着させることができる。CVDプロセスの実例には、噴霧熱分解法が含まれる。PVDプロセスの実例には、電子ビーム蒸着、真空スパッタリング(マグネトロン・スパッタリング蒸着(MSVD)など)が含まれる。それに限定はされないがゾル‐ゲル析出法など、他のコーティング方法を使用することもできる。非限定的一実施例では、導電コーティング16は、MSVDによって付着させることができる。
【0022】
当業者には理解されるであろうように、比較的厚いバス・バー14と比較的薄い導電コーティング16との厚さの差に起因して、コーティングを薄膜/バス・バー連結部に付着するとき、空隙又は薄い箇所がコーティング16に生じることがある。等方的導電性接着材18は、例えば、等方的に導電性のテープ又は薄膜でもよい。適切な等方的導電性テープの実例には、3M Corporationから市販の3M(商標) XYZ‐Axis Electrically Conductive Adhesive Transfer Tapes 9713、9712、及び9719が含まれる。適切な導電性薄膜の実例には、マサチューセッツ州ビルリカのEmerson & Cumingから市販のEmerson & Cuming CF3350エポキシ・フィルム接着材が含まれる。接着材18は、導電コーティング16の表面抵抗と等しいか、又はそれより大きい表面抵抗を有し得る。
【0023】
等方的導電性テープなどの等方的導電性接着材18を使用することによって、従来のシステムに勝る多数の利点が提供される。例えば、等方的導電性テープの貼付は、比較的迅速且つ容易に実施できる。テープは、可撓性があり、不規則な表面にも適合する。貼付されたテープを「養生」する必要はなく、テープは、バス・バー14の縁部と上に重なる導電コーティング16との連結部の欠落又は損傷した薄膜部分を橋絡するのに十分な導電性を有する。テープは又、下層のバス・バー14及びコーティング16に対して付加的な機械的且つ/又は化学的保護をもたらす。
【0024】
本発明の別のバス・バー・システム30が図2に示されている。このシステム30は、図1に示されたシステム10と同様であるが、例えば等方的導電性テープなどの等方的導電性接着材18の少なくとも一部分を覆って貼付された導電性金属薄片32を更に備える。薄片32は、追加の導電経路を形成し、下層の構成要素に対して追加の機械的且つ/又は化学的遮蔽特性を更にもたらす。本発明に有用な金属薄片の実例には、それに限定はされないが、ほんの数例を挙げれば、錫メッキされた銅、銅、アルミニウム、銀、ステンレス鋼、及びニッケルが含まれる。例えば、一片の金属薄片を一片の等方的導電性テープに接着することができる。薄片で覆われたテープを所望の寸法に切断することができる。薄片で覆われたテープを、それが取り付けられるバス・バーの寸法より僅かに大きく切断することができる。例えば、薄片で覆われたテープは、例えば、0.1cm〜0.5cm、0.1cm〜0.3cm、0.2cm(0.09インチ)など、約0.1cm〜0.8cmだけバス・バーより長く及び/又は幅広くなるように切断することができる。薄片で覆われたテープは、バス・バーの外側縁部に薄片の外側縁部が一致するように(図4に示す通り)、バス・バー上に配置することができる。或いは、薄片で覆われたテープは、バス・バー14の外側縁部を越えて延在することができる(図2に示す通り)。
【0025】
本発明の別のバス・バー・システム40が図3に示されている。この実施例40では、バス・バー14及び導電コーティング16が、従来のように付着されている。但し、この実施例では、第1の等方的導電性テープ34が、バス・バー14上のコーティング16の少なくとも一部分を覆って貼付されている。導電編組線36が、第1の導電性テープ34に接着されている。この機械的且つ電気的接続を、2次的接着材によって補強することができ、第1の導電性テープ34を利用して編組線36を所望の位置に「固定」又は保持する。編組線36は、錫メッキ導電銅又は銀を含む編組線など、いかなる従来の導電編組線でもよい。別の等方的導電性テープ38が、第1の導電性テープ34及び編組線36を覆って貼付される。第1の等方的導電性接着材と第2の等方的導電性接着材(例えばテープ)とは、同じであっても異なっていてもよい。金属薄片32が、第2の導電性テープ38に接着されている。このシステムは、図1及び図2に示すシステムに勝る追加の利点をもたらす。例えば、編組線36が、導電コーティング16への電流の冗長搬送体として働く。
【0026】
当業者には理解されるであろうように、バス・バー・システムを形成した後、基板12を、ポリマー中間層によって別の基板に積層して、積層透明体を形成することができる。
【0027】
前述の説明に開示された概念から逸脱することなく本発明に変更を加えることができることが、当業者には容易に理解されよう。従って、本明細書に詳細に説明された特定の実施例は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、添付特許請求の範囲、及びその任意且つ全ての均等物から全体が定められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要面を有する非導電性基板と、
前記主要面の少なくとも一部分を覆って形成された導電バス・バーと、
前記バス・バー及び主要面の少なくとも一部分を覆って形成され、薄膜/バス・バー連結部を形成する導電コーティングと、
前記薄膜/バス・バー連結部の少なくとも一部分を覆って貼付された等方的導電性接着材と
を備えるバス・バー・システム。
【請求項2】
前記基板がガラス及びプラスチックから構成されるグループから選択されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バス・バーがセラミック・バス・バーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記導電コーティングがインジウム錫酸化物及び誘電層間に少なくとも1つの金属層を有するコーティングから構成されるグループから選択されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記等方的導電性接着材が導電性テープ及び導電性薄膜から構成されるグループから選択されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記等方的導電性接着材に接着された金属薄片を更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記基板がガラス及びプラスチックから構成されるグループから選択され、前記バス・バーがセラミック・バス・バーであり、前記導電コーティングがインジウム錫酸化物及び少なくとも1つの金属層を有する機能性コーティングから構成されるグループから選択され、前記等方的導電性接着材が導電性テープ及び導電性薄膜から構成されるグループから選択され、金属薄片が前記等方的導電性接着材に接着されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記基板がガラス及びプラスチックから構成されるグループから選択され、前記バス・バーがセラミック・バス・バーであり、前記導電コーティングがインジウム錫酸化物であり、前記等方的導電性接着材が導電性テープであり、金属薄片が前記テープに接着されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
主要面を有する非導電性基板と、
前記主要面の少なくとも一部分を覆って形成されたバス・バーと、
前記バス・バー及び主要面の少なくとも一部分を覆って形成された導電コーティングと、
前記バス・バーの上に重なった前記導電コーティングの少なくとも一部分を覆って形成された第1の等方的導電性テープと、
前記第1の導電性テープ上に設けられた導電編組線と、
前記編組線及び第1の導電性テープの少なくとも一部分を覆って設けられた第2の等方的導電性テープと、
前記第2の等方的導電性テープの少なくとも一部分、前記編組線、及び前記第1の等方的導電性テープを覆って設けられた導電性金属薄片と
を備えるバス・バー・システム。
【請求項10】
前記基板がガラス及びプラスチックから構成されるグループから選択されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記バス・バーがセラミック・バス・バーである、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記導電コーティングがインジウム錫酸化物、及び誘電層間に少なくとも1つの金属層を有するコーティングから構成されるグループから選択されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
主要面を有する非導電性基板と、
前記主要面の少なくとも一部分を覆って形成された導電コーティングと、
前記導電コーティングの少なくとも一部分を覆って形成された導電バス・バーであって、等方的導電性接着材及び前記接着材に接着された金属薄片を備える導電バス・バーとを備えるバス・バー・システム。
【請求項14】
前記接着材が等方的導電性テープである、請求項13に記載のバス・バー・システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533477(P2012−533477A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521718(P2012−521718)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042517
【国際公開番号】WO2011/011357
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】