説明

色彩選別機

【課題】外力付与手段11が異色粒状物w1に外力を付与する時点の正確性を向上させる。
【解決手段】流下案内面2aの下端から落下される粒状物wを撮像するエリアセンサー14を具備した速度特定手段10を設ける。
或いは、少なくとも1つのセンサーによる粒状物撮像位置が他のセンサーの粒状物撮像位置に対し粒状物の落下方向へずれた状態となるように2つ以上のセンサーを配設し、前者粒状物撮像位置における撮像情報と、後者粒状物撮像位置における撮像情報とから異色粒状物w1の落下速度の大きさを特定する速度特定手段10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物などの粒状物を色彩により選別する色彩選別機に関し、特に異色粒状物の選別除去を正確に行わせることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
傾斜状の流下案内面の案内始端に粒状物を特定流量で供給される流下樋と、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像する2つ以上のセンサーと、該センサーの検出情報に基づいて前記粒状物中の異色粒状物の存在を検出する異色粒存在検出手段と、特定落下位置に達した粒状物に該異色粒存在検出手段の検出信号に関連した時点で外力を付与し該粒状物を特定領域内に移動させる外力付与手段(空気噴出ノズル手段、外力付与棒手段)とを備えた色彩選別機は既に存在している(特許文献1及び2参照)。
【0003】
この種の色彩選別機では、前記流下案内面の下端から落下される異色粒状物の流下速度は含有水分、それの材質や大きさなどに応じて種々に異なるため、異色粒状物が前記特定落下位置に到達するまでの時間が画一的に定まらないのであり、これが原因で、前記外力付与手段が正確な時点で前記異色粒状物に外力を付与できないため、前記異色粒状物を特定領域内に的確に移動させることができない事態の生じることがある。
【0004】
これに対処するため、前記外力付与手段が異色粒状物に外力を付与する時点を前記異色粒存在検出手段が異色粒状物を検出した時点から、該異色粒状物の材質や大きさに関連して予め特定されている時間だけ遅らせるように作動する機構を形成し、前記外力付与手段が異色粒状物に外力を付与する時点の正確性を向上させるようにした技術が出現している(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−179292号公報
【特許文献2】特開昭57−113879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に示す色彩選別機においては、前記外力付与手段が異色粒状物に外力を付与する時点は実際の異色粒状物の落下速度とは無関係に予め定めた時間だけ遅らせるように調整されることから、前記外力付与手段が異色粒状物に外力を付与する時点の正確性は未だ十分なものとなっていないのである。
本発明はこのような実情の下、前記外力付与手段が特に含水率や材質の異なる異色粒状物に外力を付与する時点の正確性をさらに向上させることを可能とした色彩選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1発明に係る色彩選別機は、請求項1に記載したように、傾斜状の流下案内面の案内始端に粒状物を特定流量で供給される流下樋と、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像する2つ以上のセンサーの撮像情報に基づいて前記粒状物中の異色粒状物の存在を検出する異色粒存在検出手段と、該異色粒存在検出手段の検出信号に基づいて特定落下位置に達した粒状物に外力を付与し該粒状物を特定領域内に移動させる外力付与手段とを備えた色彩選別機において、少なくとも1つの前記センサーによる粒状物撮像位置が他の前記センサーの粒状物撮像位置に対し前記粒状物の落下方向へずれた状態となるように前記2つ以上のセンサーを配設すると共に、前者粒状物撮像位置における撮像情報と、後者粒状物撮像位置における撮像情報とから特定粒状物の落下速度の大きさを特定する速度特定手段を設けたものである。
【0008】
また第2発明は、請求項2に記載したように、傾斜状の流下案内面の案内始端に粒状物を特定流量で供給される流下樋と、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するラインセンサーの検出情報に基づいて前記粒状物中の異色粒状物の存在を検出する異色粒存在検出手段と、該異色粒存在検出手段の検出信号に基づいて特定落下位置の粒状物に外力を付与し該粒状物を特定領域に移動させる外力付与手段とを備えた色彩選別機において、前記ラインセンサーの下側に、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するエリアセンサーを付設したものである。
【0009】
該第2発明は次にように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項3に記載したように、傾斜状の流下案内面の案内始端に粒状物を特定流量で供給される流下樋と、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するラインセンサーの検出情報に基づいて前記粒状物中の異色粒状物の存在を検出する異色粒存在検出手段と、該異色粒存在検出手段の検出信号に基づいて特定落下位置に達した粒状物に外力を付与し該粒状物を特定領域に移動させる外力付与手段とを備えた色彩選別機において、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するエリアセンサーを具備した速度特定手段を設け、該速度特定手段が前記エリアセンサーによる撮像情報から、前記異色粒存在検出手段の検出に係る前記特定異色粒状物の特定期間中の移動距離を特定し、次に該移動距離から前記粒状物の流下速度の大きさを特定するように作動する構成となす。
【0010】
上記各発明は次のように具体化することができるのであって、即ち、請求項4に記載したように、前記外力付与手段が、前記速度特定手段により特定された異色粒状物の落下速度に基づいて異色粒状物が前記異色粒存在検出手段による特定異色粒状物の検出時点から前記特定落下位置に到達するまでの時間である遅延時間を特定するものとした遅延時間特定手段と、前記特定落下位置に達した粒状物に特定向きの外力を付与するものとした外力付与要部と、前記異色粒存在検出センサーによる異色粒状物の検出時点から前記遅延時間に関連した時間が経過したときに前記外力付与要部に前記外力を発生させるための作動を起こさせる外力付与制御装置とを具備した構成となす。
【発明の効果】
【0011】
以上に記載した本発明によれば、次のような効果が得られる。
即ち、請求項1記載の発明によれば、少なくとも1つのセンサーによる粒状物撮像位置が他のセンサーの粒状物撮像位置に対し前記粒状物の落下方向へずれた状態となるように2つ以上のセンサーを配設すると共に、前者粒状物撮像位置における撮像情報と、後者粒状物撮像位置における撮像情報とから特定粒状物の落下速度の大きさを特定する速度特定手段を設けたことから、特定粒状物の落下速度を特定するための専用のセンサーを設けないでも、特定場所での異色粒状物の実際の落下速度の大きさを特定することができ、また異色粒存在検出手段が検出した特定の異色粒状物が特定落下位置に到達する時点を先に速度特定手段により特定された実際の落下速度の大きさから正確に特定でき、これにより前記特定落下位置に到達した異色粒状物(特に含水率や材質の異なるもの)に外力付与手段による外力を正確なタイミングで付与して、該異色粒状物を特定領域内に確実に移動させ、選別精度を向上させることができるものである。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、流下案内面の下端から落下される粒状物を撮像するエリアセンサーを付設したことから、第1発明に準じた効果を得ることができる上に、ラインセンサーによる異色粒状物の検出機能を最適に維持させた状態の下で、エリアセンサーの撮像情報に基づいて異色粒状物の実際の落下速度の大きさを特定することができるのであり、また異色粒状物は従来同様にラインセンサーの撮像情報により検出されるため、該検出のための機構を安価に維持することができ、また異色粒状物の検出はラインセンサーで行われるため、エリアセンサーは1つ設けることで必要な選別精度を得ることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様な効果が得られる上に次のような効果が得られるのであって、即ち、異色粒状物は従来同様にラインセンサーの撮像情報により検出され、該検出に関連して、速度特定手段が異色粒状物の落下速度をエリアセンサーの撮像情報から特定するため、速度特定手段は異色粒存在検出手段の検出した異色粒状物のみについてそれの落下速度を特定することで済むものとなり、速度特定手段の負荷が軽減されるものとなる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、異色粒状物が前記特定落下位置に到達する時点を遅延時間特定手段及び外力付与制御装置により正確に特定できると共に、外力付与手段が特定落下位置に位置した異色粒状物に外力付与要部による外力を正確に付与することができ、異色粒状物を精度良く選別してこれを特定領域内へ的確に移動させることができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施例に係る色彩選別機の概要を示す側面図、図2は前記選別機の要部の正面視説明図である。
図1に示すように、本発明に係る色彩選別機は、穀物などの粒状物wに混入している小石、金属片、ガラス片又は、不良品質の粒状物などの異色粒状物w1を除去するために有用であり、機体フレーム上に選別部100を形成すると共に適当個所に原料タンク101、良品タンク102、不良品タンク103が付属して設けられている。
【0016】
選別部100は、粒状物wを定量的に送り出すフィーダー1と、該フィーダー1から粒状物wを供給される流下樋2と、該流下樋2から落下した粒状物w群から異色粒状物w1を選別して除去する選別手段3と、良品収容部4a及び不良品収容部4bを具備した分別収集部4とを備えている。
【0017】
フィーダー1は、機体フレームに固定され粒状物wを収容するホッパー5と、これの下側に配置され粒状物wを上面で支持するトラフ6と、これを振動させる電磁駆動手段7とを備えており、この際、トラフ6は電磁駆動手段7から付与される振動の振幅や周期を変化されて自身の発生させる搬送力を大小に変化されるものであり、電磁駆動手段7は選別手段3の良好な選別精度が得られるように自身の出力部から発生させる振動の振幅や周期を流量制御装置8により自動的に制御されるものとなされている。
【0018】
流下樋2は、上面に直状の流下案内面2aをなす溝を形成され機体フレームに傾斜状に支持され、流下案内面2aがこれの案内始端に供給された粒状物wを案内してこれの下端から下方へ飛行させるように落下させるものとなされている。
【0019】
選別手段3は異色粒存在検出手段9、速度特定手段10及び外力付与手段11を備えている。異色粒存在検出手段9は、流下案内面2aから飛行して落下する粒状物wの正常移動軌跡a1を挟む対向した位置の一方にラインセンサー12をそして他方に背景面体12aを配設した選別要部を2組以上設けると共に背景面体12a側とラインセンサー12側の何れにも照明灯13を設け、ラインセンサー12、12が正常移動軌跡a1上を飛行する粒状物wの色彩の変化を監視し、該変化が一定程度を越えたときに光量比較手段9aが監視対象となった粒状物wを異色粒状物w1と認識して検出信号を発出するものとなされている。
【0020】
速度特定手段10は流下案内面2aの下端から落下されてラインセンサー12、12の粒状物撮像位置p1よりも下方位置を落下する粒状物wを継続的に撮像するエリアセンサー14を具備すると共にこれと対向した位置に背景面体14aを具備したものであって、異色粒存在検出手段9が異色粒状物w1を検出したとき、エリアセンサー14による撮像情報から、異色粒存在検出手段9の検出に係る異色粒状物w1の、予め定められた特定期間中の移動距離を特定し、続いて該移動距離から前記粒状物w1の流下速度の大きさを特定するものとなされている。
【0021】
外力付与手段11は、速度特定手段10に結合された遅延時間特定手段15と、該遅延時間特定手段15に結合された外力付与制御装置としての弁制御装置16と、弁制御装置16に結合されこれにより開閉制御される多数の電磁弁17と、これら電磁弁17のそれぞれに対応して図2に示すように流下案内面2aの幅方向へ数十個程度一線状に配設された外力付与要部としての空気噴出ノズル18と、電磁弁17や空気噴出ノズル18に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給ライン19a、19bと、圧縮空気供給ライン19aに結合された空気貯留タンク20とを備えたものとなされている。
【0022】
この際、遅延時間特定手段15は速度特定手段10から発出された速度情報を入力されることにより、異色粒存在検出手段9の検出に係る特定異色粒状物w1がラインセンサー12、12の粒状物撮像位置p1から前記特定落下位置p2まで落下するに要する時間(遅延時間)を特定し、該遅延時間情報を弁制御装置16に入力するものとなされている。
【0023】
また弁制御装置16は異色粒存在検出手段9が特定異色粒状物w1を検出した時点から前記遅延時間よりも特定調整時間だけ短い修正遅延時間が経過するまでの経過時間をカウントし、該修正遅延時間が経過した時点に対応する電磁弁17を開作動させるための電流をその電磁弁17に供給するものとなされている。
【0024】
これにより、異色粒存在検出手段9の検出した特定異色粒状物w1に対応する電磁弁17が開作動され、該開作動に関連して対応する位置の空気噴出ノズル18から圧縮空気が噴出され、該噴出により生成された空気流が、異色粒存在検出手段9による特定異色粒状物w1の検出時点から前記遅延時間が経過した時点に、異色粒存在検出手段9の検出に係る特定異色粒状物w1の落下軌跡である正常移動軌跡a1上の特定落下位置p2に到達するものとなる。
【0025】
なお特開昭57−113879号公報に示すように、空気噴出ノズル18は外力付与棒を出入りさせるようにした外力付与棒に変更し、そして電磁弁17は外力付与棒を出入り作動させるソレノイドなどの変位付与手段に変更してもよいものである。
【0026】
分別収集部4は流下樋2の下端から落下し選別手段3を通過した粒状物wを収容するものであり、良品収容部4aは正常移動軌跡a1を経て良品受入口b1に達した粒状物wを収容するものとなされており、また不良品収容部4bは空気噴出ノズル18から噴出された空気流で正常移動軌跡a1から上外方へ飛行され上方落下軌跡a2を経て不良品受入口b2に達した粒状物wを収容するものとなされている。
【0027】
また原料タンク101から粒状物供給路21が延出されていて原料タンク101内の粒状物wをホッパー5内に移動させるものとなされており、また良品収容部4aから粒状物移送路22が延出されていて良品収容部4a内の粒状物wを良品タンク102内に移送するものとなされており、また不良品収容部4bから粒状物移送路23が延出されていて不良品収容部4b内の粒状物wを不良品タンク103内に移送するものとなされている。
【0028】
次に上記した色彩選別機を使用して、粒状物wである穀粒を選別するときの使用例及び作動について説明する。
原料タンク101内に収容された穀粒wなどを粒状物供給路21を通じてホッパー5内に供給するのであり、この際、ホッパー5内において穀粒wなどは常に一定レベルを維持された状態となすのが好ましい。
【0029】
該状態の下でホッパー5内の穀粒wなどはその出口通路を通じてトラフ6の底面6a上に落下するのであり、一方ではトラフ6が電磁駆動手段7の作動により前後及び上下へ振動されているため、トラフ6の底部6a上に落下した穀粒wなどは漸次に前方f1へ送り移動され、その送出部6bから流下樋2の流下案内面2aの案内始端に落下するように供給される。
この際、フィーダー1から流下樋2への穀粒wなどの流量は流量制御装置8の制御作動により良好な選別性能の得られる特定大きさに自動調整される。
【0030】
流下樋2の流下案内面2a上では、穀粒wなどが連続的に単層状態となりつつ直線状に滑落し、流下樋2の下端に達した後は、流下案内面2aを下方へ延長した正常移動軌跡a1上を飛行しつつ落下する。このように落下する穀粒wなどが良品の穀粒wであれば、これがラインセンサー12、12の粒状物撮像位置p1に達しても、ラインセンサー12、12は照明灯13から光を浴びた該穀粒wからの透過光や反射光を受けても、一定以上の光量変化を感知するものとならないため異色粒存在検出手段9は異色粒状物w1を検出せず、該穀粒w1はそのまま正常移動軌跡a1上を落下し、良品受入口b1を通じて良品収容部4a内に収容される。
【0031】
一方、落下する穀粒wなどが図2に示すように小石、金属片又は、不良品質の穀粒などのような異色粒状物w1の混在するものであるとき、照明灯13の光を浴びた異色粒状物w1からの透過光や反射光を受けたラインセンサー12、12の特定位置の受光画素が一定程度以上の光量変化を感知し、これに関連して、異色粒存在検出手段9は異色粒状物w1の存在を検出して検出信号を発出するのであり、該検出信号は速度特定手段10と弁制御装置16に入力される。
【0032】
流下樋2から落下した穀粒などはラインセンサー12、12の粒状物撮像位置p1を通過した後、速度特定手段10の一部をなすエリアセンサー14の比較的広い粒状物撮像位置p3に到達するのであり、該粒状物撮像位置p3で落下している穀粒wなどはここを移動する期間中、継続的に撮像されており、エリアセンサー14の受光画素は該穀粒wなどに異色粒状物w1が含まれるとき、ラインセンサー12、12の場合に準じて異色粒状物w1に係る一定程度以上の光量変化を感知し、該異色粒状物w1の存在情報を継続的に出力するものとなる。
【0033】
そして速度特定手段10は、ラインセンサー12、12から前記検出信号を入力されたことに関連して、ラインセンサー12、12の検出に係る異色粒状物w1のそれぞれが図2に示すように、早い特定の時点でエリアセンサー14の粒状物撮像位置p3上に存在している第1存在位置p01と、遅い特定の時点でエリアセンサー14の粒状物撮像位置p3上に存在している第2存在位置p02とを特定し、次にこれら第1存在位置p01と第2存在位置p02の上下方向距離L1を特定し、該上下方向距離L1と、前記早い特定の時点と前記遅い特定の時点との時間差との関係からこれの対応する異色粒状物w1の落下速度を特定し、落下速度情報を出力する。
【0034】
このような速度特定作動は次のように変形してもよいのであって、即ち、異色粒存在検出手段9のラインセンサー12、12から前記検出信号を入力されたことに関連して、ラインセンサー12、12の検出に係る異色粒状物w1のそれぞれがエリアセンサー14の粒状物撮像位置p3上の上側の特定の位置に達した第1時点と、粒状物撮像位置p3上の下側の特定の位置に達した第2時点とを特定し、次にこれら第1時点と第2時点との時間差を特定し、該時間差と、前記上側の特定の位置と前記下側の特定の位置との上下方向距離との関係からこれの対応する異色粒状物の落下速度を特定するようにしてもよい。
【0035】
速度特定手段10の発出した落下速度情報は遅延時間特定手段15に入力され、該入力に関連して遅延時間特定手段15は、該落下速度情報と、ラインセンサー14の粒状物撮像位置p1から特定落下位置p2までの正常移動軌跡a1上の距離についての情報から遅延時間を特定し、遅延時間情報を出力する。
【0036】
該遅延時間情報は弁制御装置16に入力されるのであり、これに関連して、弁制御手段16は該遅延時間情報と、異色粒存在検出手段9から入力された検出情報と、作動伝達遅れ調整時間とから、対応する電磁弁17を開放させる時点(開弁時点)を特定し、一方では異色粒存在検出手段9から検出情報を入力された時点からの経過時間をカウントし、前記開弁時点に達したとき、対応する電磁弁17にこれを開放作動させるための電流を予め定められた特定時間中、連続して供給する。ここに、前記開弁時点は、異色粒状物w1存在の検出情報を入力された時点から前記遅延時間が経過した時点よりも、前記作動伝達遅れ調整時間だけ早い時点となされる。
【0037】
弁制御装置16から電流を供給された電磁弁17は瞬時に開放作動し、圧縮空気ライン19から圧縮空気を対応する位置の空気噴出ノズル18に流動させるのであり、該空気噴出ノズル18は圧縮空気を特定落下位置p2に向け瞬間的に噴出される。こうして噴出された圧縮空気による空気流は、電磁弁17に電流が供給された時点から前記作動伝達遅れ調整時間が経過した後に、特定落下位置p2に到達する。一方、異色粒存在検出手段9の検出に係る異色粒状物w1のそれぞれはこれの検出時点からその対応する遅延時間の後に落下位置に到達する。
【0038】
したがって、たとえ、異色粒存在検出手段9により検出された異色粒状物w1のそれぞれの落下速度が異なっていても、異色粒状物w1のそれぞれはその対応する空気流から正確なタイミングで外力を付与されて、正常落下軌跡a1の上外方へ撥ね飛ばされ、良品の穀粒wなどから選別除去され、上方落下軌跡a2上を飛行し、不良品受入口b2を通じて特定領域としての不良品収容部4b内に落下するのである。
【0039】
異色粒存在検出手段9により検出された異色粒状物w1のそれぞれが空気流で撥ね飛ばされるとき、各異色粒状物w1の近くに存在している良品の穀粒wなども一緒に撥ね飛ばされて不良品収容部4b内に落下するものとなるが、空気流が各異色粒状物w1に正確に外力を付与するため、不良品収容部4b内に落下する良品の穀粒wの量は激減するものとなる。
【0040】
上記したような選別処理により、良品収容部4a内に収容された穀粒wなどは粒状物移送路22を通じて良品タンク102内に移送されるのであり、また不良品収容部4b内に収容された異色粒状物w1や良品の穀粒wは粒状物移送路23を通じて不良品タンク4b内に移送されるのであり、また不良品タンク4b内の穀粒wなどは必要に応じ、再度、色彩選別機により選別処理される。
【0041】
次に本発明の第2実施例についてその特徴的部分を説明する。図3は本発明の第2実施例に係る色彩選別機の概要を示す側面図、図4は前記選別機の要部の正面視説明図である。
図3に示すように、異色粒存在検出手段9は、流下案内面2aから飛行して落下する粒状物wの正常移動軌跡a1を挟む対向した位置の一方にエリアセンサー12Aを、そして他方に背景面体12aを配設してなる選別要部を2組以上(図示例では180度の相対角度配置となされた2組となされている。)設けると共にエリアセンサー12A側と背景面体12a側のそれぞれに照明灯13を設け、各エリアセンサー12A、12Aが流下案内面2a全幅の正常移動軌跡a1上を飛行する粒状物wの色彩の変化を監視し、該変化が一定程度を越える粒状物wが存在したとき、比較手段9aによりこれを検知し、該粒状物wを異色粒状物w1と認識して検出信号を発するものとなされている。
【0042】
そして、前記2組以上の選別要部のエリアセンサー12A、12Aは、少なくとも1つのエリアセンサー12Aによる粒状物撮像位置p12が他のエリアセンサー12Aの粒状物撮像位置p11に対し前記粒状物wの落下方向へずれた配置状態となるように設置されている。
【0043】
速度特定手段10は、異色粒存在検出手段9が前記他のエリアセンサー12Aによる粒状物撮像位置p11の撮像情報から異色粒状物w1の存在を検出し、次に前記少なくとも1つのエリアセンサー12Aによる粒状物撮像位置p12の撮像情報から同一の異色粒状物w1を検出したときに、前記他のエリアセンサー12Aの検出時点と、前記少なくとも1つのエリアセンサー12Aの検出時点との時間差を特定し、次に前記他のエリアセンサー12Aの図4に示す粒状物撮像位置p11の基準位置p03と前記少なくとも1つのエリアセンサー12Aの図4に示す粒状物撮像位置p12の基準位置p04との間の正常落下軌跡上の距離L2と、前記時間差との関係から、異色粒状物w1の落下速度の大きさを特定するものとなされている。
【0044】
これによっても、異色粒存在検出手段9が検出した異色粒状物w1を第1実施例の場合の作動に準じて的確に選別除去することができるのであり、この際、第1実施例における速度特定手段10の一部としてのエリアセンサー14は不要であり、また各組の選別要部のエリアセンサー12Aに代えてラインセンサーを使用することもできるのである。
【0045】
上記した各実施例は次のように変形できる。
即ち、
上記各実施例では、異色粒存在検出手段9の検出に係る異色粒状物w1のそれぞれについて速度特定手段10が個々の落下速度を特定し、該落下速度に基づいて遅延時間特定手段16が個々の異色粒状物w1ごとの修正遅延時間を特定し、また弁制御装置16が個々の異色粒状物w1ごとにこれの修正遅延時間を考慮して特定した開弁時点にその対応する電磁弁17に電流を供給してこれを開放させるものとなしたが、これに代えて次のようになすこともできるのであって、即ち、速度特定手段10が特定時間間隔ごとに比較的短い特定期間中に継続して作動し、該特定期間中における異色粒存在検出手段9の検出に係る異色粒状物w1のそれぞれについて速度特定手段10が個々の落下速度を特定し、続いてこれら落下速度の平均値を算出し、次に遅延時間特定手段15が前記平均値を異色粒状物w1の落下速度とした場合の代表的な修正遅延時間を特定し、この後は、弁制御装置16が異色粒存在検出手段9の検出に係る個々の異色粒状物w1について、異色粒存在検出手段9によるこれの検出時点から前記代表的な修正遅延時間が経過した時点に、その対応する電磁弁17に電流を供給しこれを開放させるようにする。
【0046】
これによれば、異色粒存在検出手段9の検出に係る異色粒状物w1の個々に対応した各電磁弁17の開放は、速度特定手段10による次回の代表的な遅延時間の特定が行われるまでの期間中、全て同一の代表的な遅延時間に基づいて行われるため、対応する位置の空気噴出ノズル18から噴出された空気流がその対応する異色粒状物w1に外力を付与する処理の的確性は上記実施例の場合に較べて劣るものとなるものの、異色粒状物w1の実際の落下速度を特定しない従来の場合よりも優れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例に係る色彩選別機の概要を示す側面図である。
【図2】前記選別機の要部を示す正面視説明図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る色彩選別機の概要を示す側面図である。
【図4】前記選別機の要部を示す正面視説明図である。
【符号の説明】
【0048】
2 流下樋
2a 流下案内面
4b 不良品収容部(特定領域)
9 異色粒存在検出手段
10 速度特定手段
11 外力付与手段
12 ラインセンサー
12A センサー
14 エリアセンサー
15 遅延時間特定手段
18 空気噴射ノズル(外力付与要部)
16 弁制御装置(外力付与制御装置)
p11 粒状物撮像位置
p12 粒状物撮像位置
L1 移動距離
p2 特定落下位置
w 粒状物
w1 異色粒状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜状の流下案内面の案内始端に粒状物を特定流量で供給される流下樋と、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像する2つ以上のセンサーの撮像情報に基づいて前記粒状物中の異色粒状物の存在を検出する異色粒存在検出手段と、該異色粒存在検出手段の検出信号に基づいて特定落下位置に達した粒状物に外力を付与し該粒状物を特定領域内に移動させる外力付与手段とを備えた色彩選別機において、少なくとも1つの前記センサーによる粒状物撮像位置が他の前記センサーの粒状物撮像位置に対し前記粒状物の落下方向へずれた状態となるように前記2つ以上のセンサーを配設し、また前者粒状物撮像位置における撮像情報と、後者粒状物撮像位置における撮像情報とから特定粒状物の落下速度の大きさを特定する速度特定手段を設けたことを特徴とする色彩選別機。
【請求項2】
傾斜状の流下案内面の案内始端に粒状物を特定流量で供給される流下樋と、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するラインセンサーの撮像情報に基づいて前記粒状物中の異色粒状物の存在を検出する異色粒存在検出手段と、該異色粒存在検出手段の検出信号に基づいて特定落下位置に達した粒状物に外力を付与し該粒状物を特定領域に移動させる外力付与手段とを備えた色彩選別機において、前記ラインセンサーの下側に、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するエリアセンサーを付設したことを特徴とする色彩選別機。
【請求項3】
傾斜状の流下案内面の案内始端に粒状物を特定流量で供給される流下樋と、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するラインセンサーの検出情報に基づいて前記粒状物中の異色粒状物の存在を検出する異色粒存在検出手段と、該異色粒存在検出手段の検出信号に基づいて特定落下位置に達した粒状物に外力を付与し該粒状物を特定領域に移動させる外力付与手段とを備えた色彩選別機において、前記流下案内面の下端から落下される前記粒状物を撮像するエリアセンサーを具備した速度特定手段を設け、該速度特定手段が、前記エリアセンサーによる撮像情報から、前記異色粒存在検出手段の検出に係る前記特定異色粒状物の特定期間中の移動距離を特定し、次に該移動距離から前記粒状物の流下速度の大きさを特定するように作動する構成を特徴とする色彩選別機。
【請求項4】
前記外力付与手段が、前記速度特定手段により特定された異色粒状物の落下速度に基づいて異色粒状物が前記異色粒存在検出手段による特定異色粒状物の検出時点から前記特定落下位置に到達するまでの時間である遅延時間を特定するものとした遅延時間特定手段と、前記特定落下位置に達した粒状物に特定向きの外力を付与するものとした外力付与要部と、前記異色粒存在検出手段による異色粒状物の検出時点から前記遅延時間に関連した時間が経過したときに前記外力付与要部に前記外力を発生させるための作動を起こさせる外力付与制御装置とを具備した構成を特徴とする請求項1又は3記載の色彩選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−110516(P2006−110516A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302938(P2004−302938)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】