説明

荷電粒子線装置およびその画質改善方法

【課題】複数の検出器からの検出信号をパターン配置に応じた適切な配分比を用いて合成して、多層レイヤにおける下層パターンのコントラストを向上する技術を提供する。
【解決手段】複数の検出器から得られた検出画像を用いて画質改善を図ることを可能とする荷電粒子線装置およびその画質改善方法において、配置場所の異なる各検出器の出力に対応する検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、設計データや検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報等を用いて制御するものである。このように、複数の検出器を用いることで検出信号範囲を拡大し、設計データや検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度を用いて検出信号を合成することで、コントラスト等の画質の改善を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子を用いて試料表面を走査して画像を取得する荷電粒子線装置に係り、特に複数の検出器から得られた検出画像を用いて画質改善を図る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいて、荷電粒子線装置の一つとして知られている走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下SEMと記す)には、微細なパターンの寸法や形状の計測のために使われる測長SEM(Critical Dimension − SEM:以下CDSEMと記す)、および微細なパターンを鮮明に観察したり、パターン上に発生する欠陥を検出してその発生原因を特定したりするために使われるレビューSEM(Defect Review − SEM:以下DRSEMと記す)がある。
【0003】
図1に、一般的なSEMの電子光学系の構成を示す。電子銃から放出された一次電子ビームは集束レンズで絞られ、偏向コイルにより試料上を二次元的に走査される。電子ビーム照射によって試料から発生した反射/二次電子を検出器で捕らえることで、電子線像が得られる。CDSEMでは、二次電子線像から、画像表示ディスプレイ上の走査幅(一定)と、試料上の電子ビームの走査幅(可変)の比である走査像の倍率を用いてパターン寸法を計測する。一方、DRSEMでは、二次電子像のみではなく、反射電子線像を用いて欠陥を観察する。
【0004】
一方、例えば特許文献1では、図2に示すように、電子ビームの軸を中心に複数に分割して配置した複数の反射電子検出器(2個以上)を用いる電子光学系を搭載する電子顕微鏡も提案されている。このような検出装置を用いると、一方向の反射電子しか得られない1つの検出器の構成と比べ、より広い範囲の多方向に反射される反射電子を検出できる。そして、同一な重み係数を用いて、複数の検出器から得られた信号を合成することにより、任意方向の良質な反射電子画像を容易かつ迅速に表示することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−304647号公報
【特許文献2】特開2009−164436号公報
【特許文献3】特開平7−170395号公報
【特許文献4】特開2009−44070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、多層レイヤの半導体パターンの製造が始まって以来、多層レイヤ撮像画像における下層パターン観察のニーズが高まっている。しかし、上記背景技術に述べたように、通常の電子光学系を持つCDSEMおよびDRSEMにおいては、半導体パターンの微細化・高アスペクト化に伴い、高画質なSEM画像の取得、特に多層レイヤ撮像画像における下層パターンが明瞭に表示される画像の取得が困難となるため、多層レイヤ撮像画像における下層パターンのコントラスト向上が重要な課題となってきた。
【0007】
多層レイヤ撮像画像における下層パターンのコントラスト低下の原因は下層パターンの検出できる電子量が不足するからである。図3((a)反射電子の場合、(b)二次電子の場合)に微細な高アスペクト多層レイヤパターンの断面の一例を示す。微細な高アスペクト多層レイヤパターンにおいては、下層レイヤ面の横幅が非常に細く、下層パターン周辺の上層レイアの壁面が非常に高くなっている。荷電粒子ビームが下層レイヤ面に照射するときに、下層レイヤ面から放出された反射/二次電子が周辺の上層レイヤの壁面にぶつかり、CDSEM、DRSEMにおいては、試料上(上層レイヤ面の上)に設置されている反射/二次電子検出器に到達できず、検出されないため、下層パターンのコントラストが低いという問題がある。
【0008】
一方、特許文献1に記載されている技術では、図2に示すように、複数の検出器を用いることにより、より範囲が広い多方向の反射電子を検出できるため、上記の多層レイヤ半導体パターンに対して、ある方向の反射/二次電子は検出できないが、別の方向から検出できると考えられる。図4には、設置されている複数の検出器から得られたそれぞれの検出画像例を示す。特許文献1では、6つの検出器を設置したが、ここでは、簡略化のため、4つの検出器を設置する例を説明する。図4の(a)と(b)の左側に多層レイヤパターンおよび複数の検出器の配置を示す。右側にそれぞれの検出器から得られた検出画像を示す。図4(a)のような上層パターンが縦、下層パターンが横に走っている例においては、左右に設置されている検出器(3)と(4)から得られた検出画像には下層パターンの信号がほとんど検出されていないが、上下に設置されている検出器(1)と(2)から得られた検出画像には下層パターンの信号が検出されている。図4(b)のような上層パターンが横、下層パターンが縦に走っている例のパターンに対しては、左右に設置されている検出器(3)と(4)の方が下層パターンの信号を多く検出できる。従って、多種多様な多層レイヤにおける検出困難な下層パターンの信号を検出できるように、複数の検出器を用いることが有効であると考えられる。
【0009】
しかし、特許文献1では、複数の検出器の検出信号を合成する処理において、各検出器の検出信号の合成重み係数は同一な値となっており、パターン配置に応じた適切な配分については考慮されていない。そうすると、図5に示されているように、複数の検出器502から得られた複数の検出信号507を、検出画像合成505にて処理した結果、合成画像506における下層パターンの信号が、良好な検出画像と比べ、逆に弱められる問題があった。このため、パターン配置に応じた適切な配分比を用いた複数の検出器からの検出信号の合成により、多層レイヤにおける下層パターンのコントラストを向上することが課題となる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、複数の検出器からの検出信号をパターン配置に応じた適切な配分比を用いて合成して、多層レイヤにおける下層パターンのコントラストを向上する技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
すなわち、代表的なものの概要は、複数の検出器から得られた検出画像を用いて画質改善を図ることを可能とする荷電粒子線装置およびその画質改善方法に適用され、配置場所の異なる各検出器の出力に対応する検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、設計データや検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報等を用いて制御するものである。このように、複数の検出器を用いることで検出信号範囲を拡大し、設計データや検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度を用いて検出信号を合成することで、コントラスト等の画質の改善を図ることができる。具体的には、下記の特徴を有する。
【0014】
(1)設計データにおける上層パターンの方向、あるいは、設計データ・検出画像におけるエッジの連続度合い、あるいは、検出画像から算出したパターン方向やエッジ強度の情報を用い、各検出器から得られた下層パターンの検出信号量を推定し、その推定値を用いて合成画像の生成方法を制御することを特徴とする。
【0015】
(2)設計データ、あるいは、抽出した画像の輪郭線を用い、層別やパターン別に分割し、領域ごとで複数の検出画像(以降、検出画像セットと呼ぶ)を合成した後、一枚の合成画像を生成することを特徴とする。
【0016】
ここでは、分割することにより、領域ごとでのより柔軟な合成ができるため、より多くの下層パターンの信号を抽出できる高性能な合成を実現できる。また、パターン別の分割により、性質の近い領域やパターンに対して、同一な重み係数を用いることで、高効率な処理が可能となる。
【0017】
(3)出力画像生成の制御において、2以上の少なくとも一つの自然数Nに対して、検出画像のうち、設計データや検出画像における上層からN番目のレイヤからの信号が相対的に多く含まれる画像を、上層から1乃至N−1番目のレイヤのうち少なくとも一つのレイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用いて判断し、その判断の結果を用いて合成画像の生成方法を制御することを特徴とする。
【0018】
(4)設計データあるいは過去に生成した合成画像を用い、生成する合成画像の信号強度を推測し、推測した信号強度に基づいて撮像条件を決定することを特徴とする。
【0019】
(5)寸法計測や欠陥観察を実施したい領域の指定や検出画像合成に関する情報の入力をユーザに促し、かつユーザから指定された情報に基づいて合成画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0021】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、複数の検出器から得られた検出信号を設計データにおける上層レイヤのパターン方向の情報、あるいは、検出画像から算出した上層レイヤのパターン方向やエッジ強度の情報に基づき、下層レイヤにおける合成を制御することで、微細な高アスペクト多層レイヤ半導体パターンにおける下層パターンの高コントラスト画像の合成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一般的なSEMの電子光学系の構成を示す図である。
【図2】特許文献1におけるSEMの電子光学系の構成を示す図である。
【図3】一般的なSEMにおいて、下層パターンから放出された反射/二次電子が検出困難な原理を説明するための図である。
【図4】特許文献1におけるSEMにおいて、複数の検出器からの信号を合成する必要性を示す図である。
【図5】特許文献1におけるSEMにおいて、同一な重み係数を用いた合成およびその効果を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1において、設計データを用いた複数の検出器からの信号を用いた合成およびその効果の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1において、図6に示す複数の検出画像を取得して合成するSEMを用いた検査装置の全体構成の一例を示す概略構成図である。
【図8】本発明の実施の形態1において、設計データを用いた合成の処理フローの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1において、設計データにおけるパターン方向を用いて重み係数を算出する一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1において、設計データおよび検出画像におけるエッジの連続度合いを用いて重み係数を算出する一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1において、設計データのパターンの高さ情報を用いて重み係数を算出する一例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1において、設計データのパターンの高さ情報を用いた重み係数算出の概念を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1において、反射/二次電子の反射原理を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態1において、2層以上の多層レイヤ半導体パターンにおける上層レイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用い、検出画像セットから下層レイヤの信号が相対的に多く含まれる画像を判断する概念の一例を説明する図である。
【図15】本発明の実施の形態1において、複数の検出器からの検出信号を用いた合成処理をCDSEMのパターン寸法計測に運用する場合の一例を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態1において、CDSEMのパターン寸法計測に運用する場合に用いられるGUI画面の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態1において、GUI画面を用いてパターン寸法計測の処理を実施するための一例を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態1において、設計データのパターン方向を用いて撮像条件を制御する一例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態1において、設計データのパターンの高さ情報を用いて撮像条件を制御する一例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態2において、検出画像セットから算出したパターン方向を用いた合成制御係数の算出の一例を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態2において、エッジ画像を用いた層別分割の概念の一例を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態3において、設計データを用いた合成の変形例(領域分割・合成あり)を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態3において、設計データを用いた分割方法における層別分割・パターン別分割の概念の一例を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態4において、複数の検出器からの検出信号を用いた合成処理をDRSEMの欠陥レビューに運用する場合の一例を示すフローチャートである。
【図25】本発明の実施の形態1において、設計データを用いた場所ごとでの合成方法選択に関する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
<実施の形態の概要>
本発明の実施の形態においては、本発明に係る荷電粒子線装置の1つである走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下、SEMと記載する)について説明する。ただし、これに限られるものではなく、走査型イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope:SIM)などであっても良い。
【0025】
本実施の形態では、配置場所の異なる複数の反射/二次電子検出器を設置する装置構成にし、各検出器から得られた複数の検出画像を、設計データまたは画像から算出したパターン方向やエッジ強度等の情報を用いて、適切に合成する処理により、下層パターンのコントラストを向上することを特徴とする。
【0026】
設計データとは、製造する半導体パターンの形状情報を示すデータのことを表し、通常、半導体パターンの輪郭に関する情報等によりパターンの形状が記述されている。また、設計データには、半導体パターンの高さ情報や、試料特性、例えば、材質特性・電気特性・レイヤ特性等に関する情報が含まれているものもある。
【0027】
以下に説明するSEMにおいては、荷電粒子線装置に対応する用語などを以下のように記載する場合がある。荷電粒子ビーム(電子ビーム)を照射する荷電粒子銃を電子銃、荷電粒子ビームを集束するレンズをコンデンサレンズ等、集束した荷電粒子ビームを撮像対象となる試料にスキャンするスキャン装置を偏向器等と記載する。さらに、2個以上の検出器の出力に対応する検出画像を生成する検出画像生成器を画像生成部、検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、設計データや検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報を用いて制御する出力画像生成制御器を設計データ処理部や合成方法制御部等、設計データ処理部や合成方法制御部等により決定した出力画像生成方法に従って、検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する出力画像生成器を合成部等と記載する。また、設計データ処理部や合成方法制御部等と合成部等を含めて信号合成部と記載する。
【0028】
上記のようなSEMの画質改善方法においては、電子銃により、撮像対象となる試料に集束した荷電粒子ビームを照射して走査する荷電粒子ビーム照射ステップが実行され、さらに、設計データ処理部により、荷電粒子ビームを照射した位置の試料に対応する設計データを読み込む設計データ読み込みステップが実行され、画像生成部により、配置場所の異なる2個以上の検出器を用いて、荷電粒子ビームによって試料から発生した二次荷電粒子または反射荷電粒子を検出し、各検出器の出力に対応する検出画像を生成する検出画像生成ステップが実行される。そして、合成方法制御部等により、検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、設計データや検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報を用いて制御する出力画像生成制御ステップが実行され、合成部等により、出力画像生成制御ステップにより決定した出力画像生成方法に従って、検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する出力画像生成ステップが実行される。
【0029】
以下において、上記の実施の形態の概要に基づいた各実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1を、図6〜図19および図25を用いて説明する。
【0031】
図6は、本実施の形態において、設計データを用いた複数の検出器からの信号を用いた合成およびその効果の一例を示す図である。本実施の形態では、複数の検出器の配置は特許文献1と同様に、電子ビームの軸を中心に複数に分割して配置した例を示すが、これに限られるものではない。本実施の形態では、荷電粒子ビーム501がステージ504に搭載されている試料503をスキャンする際に放出された反射/二次電子を検出する複数の検出器502から得られた検出信号507に対し、設計データ601を用いて求めた合成方法・制御パラメータを利用して検出画像合成602を行い、下層パターンのコントラストが高い合成画像603を得る。
【0032】
以下、それぞれ、[1]SEMを用いた検査装置の構成について、[2]設計データを用いた合成の流れについて、[3]複数の検出器からの検出信号を用いた合成処理をCDSEMのパターン寸法計測に運用する場合の運用方法について、[4]CDSEMのパターン寸法計測に運用する場合に用いられるGUIについて、[5]撮像条件の制御方法について、順次に説明していく。
【0033】
[1]まず、SEMを用いた検査装置の構成について説明する。
【0034】
図7は、本実施の形態において、図6に示す複数の検出画像を取得して合成するSEMを用いた検査装置の全体構成の一例を示す概略構成図である。図示のように、SEMを用いた検査装置は、SEM画像を取得する電子光学系7101を有する撮像部71、外部とのデータの入出力を行う入出力I/F72、各種の処理を行う処理部73、各種のデータを記憶するための記憶部74、上記の各部を制御するための制御部75、撮像部71からの信号から画像を生成するための画像生成部76、複数の検出器からの信号を一枚の画像データとして出力する信号合成部77、表示用ディスプレイ/キーボードなどの入出力端末78、また、外部データ等を保存するサーバ79より構成される。外部データは、設計データ、および撮像レシピ等の内容である。71〜77の各部は、制御バス7001により接続されている。入出力端末78が入出力I/F72に接続されており、この入出力端末78を通じて、ユーザは装置に指示を与え、また装置の状態を確認することができる。サーバ79はネットワーク7002を通じて装置に接続されている。
【0035】
撮像部71の電子光学系7101は、電子銃702と、電子銃702から放出された一次電子ビーム700の放出をアライメントするアライメントコイル703と、一次電子ビーム700を集束させるコンデンサレンズ704と、一次電子ビーム700の非点収差を補正する非点収差補正コイル705と、一次電子ビーム700を二次元に偏向させ、偏向された一次電子ビーム701を生成する偏向器706、707と、ブースティング電極708と、対物レンズ709と、対物レンズ絞り710、偏向された一次電子ビーム701が照射された試料713から発生した反射/二次電子を検出する複数の反射/二次電子検出器711等を備えて構成される。本図では、複数の検出器711は電子ビームによって走査する試料713の近傍かつ当該電子ビームの軸を中心に複数箇所に配置したものであり、同じ水平線でも良いし、異なる高さ位置に配置しても良い。
【0036】
ウェハ等の試料713はXYステージ714に載せられ、XYステージ714によってXY方向に走行されることにより、試料713上の任意の位置で信号を検出して画像を生成することが可能である。試料713から発生した反射/二次電子を複数の検出器711によって検出して得た信号はA/D変換器712でディジタル信号に変換され、画像生成部76でディジタル画像(以下、画像と記す)が生成される。複数の検出器711は、全て二次電子検出器でも良いし、反射電子検出器でも良い、または、反射/二次電子検出器の混合でも良い。
【0037】
入出力I/F72は、設計データの入力、検出画像または合成画像の出力、合成方式または合成制御パラメータ(例えば、合成重み係数)の出力等を行う。処理部73は、データの転送等をする。記憶部74は、予め取得したデータの一次保存を行う。制御部75は、撮像部71における電子光学系7101の電子銃702の周辺に配置された、アライメントコイル703、非点収差補正コイル705、ブースティング電極708に印加する電圧、集束するための電子レンズ(例えばコンデンサレンズ704や対物レンズ709)の焦点位置調整、XYステージ714の位置、A/D変換器712の動作タイミング、画像生成部76における検出画像の生成等を制御する。
【0038】
また、信号合成部77は、設計データ処理部771、合成方法制御部772、および合成部773等を備える構成となっている。入出力I/F72において、サーバ79から設計データを読み込んだ後、設計データ処理部771において、設計データの変形や位置合わせ等の処理をする。その後、合成方法制御部772において、合成方法を線形にするか非線形にするかを決め、対応する合成制御パラメータを算出する。最後に、合成方法と合成制御パラメータを用いて合成部773にて合成を行うことにより、取得した複数枚の検出画像を一枚の下層パターンのコントラスト等を向上させた高画質の画像を生成する。
【0039】
[2]次に、設計データを用いた合成の流れについて説明する。
【0040】
図8を用い、設計データ用いた複数の検出器からの検出画像(以後、検出画像セット)を合成する流れについて説明する。図8は、設計データを用いた合成の処理フローの一例を示す図である。
【0041】
最初に、A/D変換器712により変換され、記憶部74に一時的に保存されている検出画像セットを取得(S8001)し、設計データの位置合わせ・変形処理(S8002)のような前処理を行う。半導体パターンがウェハ上において形成されるとともに、図8に示すように、変形前に設計データ801と実パターン802との位置ずれや変形が発生する。従って、設計データを用いて処理を行う際に、位置のずれ補正や、回路パターンの形に近づくように変形する処理を行う必要がある。位置合わせ・変形処理した後、変形後設計データ803が実パターン802と同じような形となり、完全に重なった状態となる。位置合わせ・変形処理は特開2009−164436号公報(特許文献2)に開示されている方法を用いて設計データと実撮像画像との乖離を推定し、実撮像画像パターンの形状と位置に近づけるように、設計データを変形し、位置合わせ処理を行えば良い。
【0042】
次に、合成方法を選択(S8003)する。合成方法は線形合成法でも良いし、非線形合成法でも良い、あるいは、線形・非線形の混合法でも良い。そして、処理後の設計データを用いて合成制御パラメータを算出(S8004)した後、合成処理(S8005)を行う。
【0043】
合成制御パラメータとは、合成方法におけるパラメータの総称のことである。例えば、線形合成方法の重み係数は合成制御パラメータの一つである。
【0044】
次に、(1)合成方法選択の仕方、(2)合成制御パラメータの算出方法、(3)場所ごとで合成方法および合成制御パラメータを変える合成指標値の算出方法について、順次に説明する。
【0045】
(1)合成方法選択の仕方
上述のように、合成方法は線形合成方法でも良いし、非線形合成方法でも良い。線形合成方法に関しては、例えば、(式1)に示されている一般的な方法を用いても良いが、これに限らない。(式1)において、検出画像セットをx(i=1、2、3、…、n)、合成後画像をy、合成制御パラメータ(線形合成重み係数)をαとする。
【0046】
y=Σα ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式1)
非線形合成方法に関しては、例えば、(式2)の方法を用いても良いが、これに限らない。式中のf(x)は非線形関数であり、入力とする各検出画像の明度レベルをレベルごとに異なる増幅度合いで制御する。
【0047】
y=Σαf(x) ・・・・・・・・・・・・・・・(式2)
例えば、非線形関数f(x)は多項式でも良い、あるいは、シグモイド関数等でも良い。非線形関数を用いる目的としては、入力とする検出画像の明度レベルをレベルごとに異なる増幅度合いで制御することである。このようにして、明度レベルが低い領域に集中するノイズ成分を増幅させないこと、また、明度レベルが高い上層パターンを飽和にさせないことができる。
【0048】
また、(式1)と(式2)における重み係数αともΣα=1を満たす。
【0049】
合成方法選択(S8003)処理は、線形合成方法を用いるか、非線形方法を用いるかを選択する処理である。本処理では、例えば、下層パターンにおける明度値の平均や分散を用いて、検出画像セットごとに合成方法を切り替えるが、これに限らない。
【0050】
(2)合成制御パラメータの算出方法
(2−1)重み係数αの算出方法
具体的な合成方法の制御に関しては、(2−1−1)設計データにおけるパターン方向を用いた方法、(2−1−2)設計データおよび検出画像におけるエッジの連続度合いを用いた方法、(2−1−3)設計データのパターンの高さ情報を用いた方法の3つの方法について説明する。
【0051】
(2−1−1)設計データにおけるパターン方向を用いた方法
設計データにおけるパターン方向を用いた重み係数αの算出方法の一例では、まず、設計データのレイアウト情報から、変形後設計データ803を用いてパターンの方向を算出する。設計データは線図のため、設計データのパターン方向を求めるには、いくつかの特定方向の方向フィルタを用いれば良い。次に、各下層パターンから検出器が設置されている方向に上層パターンがあるかどうかを判定し、上層パターンがある方向に設置されている検出器からの検出画像に小さな重み係数、上層パターンが無い方向に設置されている検出器からの検出画像に大きな重み係数を与えれば良い。
【0052】
図9(a)、(b)には、その具体例として、設計データにおけるパターン方向を用いて重み係数を算出する一例を示す。図9(a)に示している設計データにおいては、上層ラインパターンが縦方向に走っているため、横方向において下層パターンから放出された荷電粒子に対する阻害が発生するが、縦方向において下層パターンから放出された荷電粒子に対する阻害がない。このため、検出器(1)、(2)、(3)、(4)の合成係数の配分比をそれぞれα、α、α、αとすると、例えば、α=1/2、α=1/2、α=0、α=0と設定する。一方、図9(b)に示している設計データにおいては、下層パターン「ア」「イ」「ウ」「エ」のうち、「ア」「ウ」の縦方向に上層パターンが無く、横方向に上層パターンがあるため、例えば、α1(ア、ウ)=α2(ア、ウ)=1/2、α3(ア、ウ)=α4(ア、ウ)=0、α1(イ)=α2(イ)=α4(イ)=1/3、α3(イ)=0、α1(エ)=α2(エ)=α3(エ)=0、α4(エ)=1のように、それぞれの下層パターンに合成の重み係数を設定する。
【0053】
(2−1−2)設計データおよび検出画像におけるエッジの連続度合いを用いた方法
次に、設計データおよび検出画像におけるエッジの連続度合いを用いた重み係数αの算出方法の一例について説明する。この例では、まず、検出画像セットの検査対象回路パターン画像のエッジ(以降、検出エッジ画像と呼ぶ)を抽出する。エッジ抽出は、特開平7−170395号公報(特許文献3)に記載されているSEM画像にエッジ抽出フィルタ等を適用して輪郭を強調し、二値化処理や細線化処理を施すことにより行う。次に、変形後設計データを基準とし、パターンのエッジにおける各検出エッジ画像の下層パターンにおけるエッジの連続度合いを算出し、各検出器信号の合成重み係数を算出する。
【0054】
エッジの連続度合いq(i:検出器番号)は、エッジの連続性を表す指標値である。例えば、図10に設計データおよび検出画像におけるエッジの連続度合いを用いて重み係数を算出する一例を示す。図10に示すように、検出ラインパターン信号のラインパターン方向における投影が基準である設計データのラインパターン1001を、ラインパターン方向における投影に対する割合で定義しても良いが、これに限らない。この例では、各検出画像の連続度合いは各検出エッジ画像におけるすべてのエッジ成分を用いて算出したものである。また、各検出画像の連続度合いから合成重み係数を算出するのは、例えば、α=q/Σqの条件を満たすように設定する。こうすることで、検出信号を損なわない合成ができ、ノイズ低減も可能である。
【0055】
(2−1−3)設計データのパターンの高さ情報を用いた方法
図11に、設計データのパターンの高さ情報を用いて重み係数を算出する一例を示す。設計データのパターンの高さ情報がある場合には、設計データのパターンの高さ情報を用いて重み係数αを算出できる。この設計データのパターンの高さ情報を用いた重み係数算出の概念を図12に示す。この例では、変形後設計データからパターンの高さ情報を取得し、上下層パターン間の相対高さhを算出(S1101)した後、下層パターンの中心点を荷電粒子ビームの入射点Aとする場合、A点から各検出器の方向にある上層パターンとの距離lを算出(S1102)する。そして、hとlを用いて図示のような下層パターンが隣接する上層パターンの頂点との連線が水平面とのなす角度βを算出(S1103)する。予め、角度βと上層パターンが検出できる入射点Aから放出される荷電粒子の放出量との変換ルックアップテーブルあるいは変換関係を表すモデル式を、実験やシミュレータを通して求めておく(S1104)。そして、変換ルックアップテーブルあるいはモデル式を用いて、角度βから各検出器の検出できる下層パターンからの荷電粒子の放出量Qを算出(S1105)し、荷電粒子の放出量から自動的に各検出器からの検出信号の合成重み係数αを算出(S1106)する。各検出器(i:検出器番号)から得られた荷電粒子の放出量がそれぞれQである場合に、重み係数は、例えば、α=Q/ΣQの条件を満たすように設定する。こうすることで、検出信号を損なわない合成ができ、ノイズ低減も可能である。
【0056】
また、上記の計算の一方、下層パターンのエッジに対して、エッジ強調するような処理を実施しても良い。
【0057】
図13に、反射/二次電子の反射原理を説明するために、エッジにおける放出荷電粒子の特性を示す。検出粒子が反射電子のようなエネルギーが強い荷電粒子の場合には、図13(a−1)〜(a−3)に示されている特性を持つ。すなわち、パターンの両端が斜面になっている場合、反射電子はその斜面の垂直方向からある一定範囲より小さい角度の方向に進む。従って、この場合に、下層パターンにおけるエッジの垂直方向の両方面とも検出器が設置されているなら、エッジに繋がっている斜面が向いている方向に設置されている検出器から得られた検出信号に、より大きな重みを与える。検出粒子が二次電子のようなエネルギーが弱い荷電粒子の場合には、図13(b−1)〜(b−3)に示されている特性を持つ。すなわち、二次電子は試料上方にかけられた電圧によって吸い上げられ、検出器に検出されるため、下層パターンにおけるエッジの垂直方向の両方面とも検出器から得られた検出信号がほぼ同等のため、これらの検出器から得られた検出信号に同一な重みを与える。また、二次電子像の場合、図示のように、エッジにおいて、平坦な場所より、多くの二次電子が放出されるため、エッジ効果がある。この特徴を利用して、エッジ部に対して、信号の増幅処理をしても良い。
【0058】
また、上記においては、設計データを用いた合成制御パラメータである重み係数αの求め方の一例を示したが、設計データを用いずに、検出画像から算出したパターン方向、または、エッジ強度の情報を用いて合成制御パラメータである重み係数αを求めても良い。この例は後記実施の形態2で詳しく述べる。
【0059】
次に、2層以上の多層レイヤ半導体パターンにおける上層レイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用い、検出画像セットから最下層レイヤの信号が相対的に多く含まれる画像を判断し、その判断結果を用いて画像生成方法を制御する例について説明する。
【0060】
図14は、下層レイヤの信号が相対的に多く含む画像を判断する概念の一例を説明する図である。2層以上の多層レイヤ半導体パターンにおける上層レイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用い、検出画像セットから下層レイヤの信号が相対的に多く含まれる画像を判断し、その判断結果を用いて画像生成方法を制御する合成制御パラメータが算出できる。
【0061】
ここでは、2以上の少なくとも一つの自然数Nとして、3層レイヤの設計データの例を示す。図14にそれぞれ、1〜2層目のレイヤを用いて3層目の信号が多く含まれる検出画像を判断するケースと、同設計データの1層目のレイヤを用いて2層目の信号が多く含まれる検出画像を判断するケースを示す。それぞれのケースにおいて、判断される層は点線で表す。
【0062】
1〜2層目のレイヤを用いて3層目の信号が多く含まれる検出画像を判断するケースでは、2層目の間隔が密なので、上下方向に設置されている検出器から得られる3層目の検出信号が少なく、1層目の間隔が疎なので、左右方向に設置されている検出器(3)と(4)からの検出信号が多い。このため、検出器(3)と(4)からの検出画像の3層目領域に対して大きな重み、検出器(1)と(2)からの検出画像の3層目領域に対して小さな重みを与える。1層目のレイヤを用いて2層目の信号が多く含まれる検出画像を判断するケースでは、1層目の回路パターンは縦方向のため、上下方向に設置されている検出器(1)と(2)からの検出信号が多い。このため、検出器(1)と(2)からの検出画像の2層目領域に対して大きな重み、検出器(3)と(4)からの検出画像の2層目領域に対して小さな重みを与える。
【0063】
(3)場所ごとで合成方法および合成制御パラメータを変える合成指標値の算出方法
上述された合成方法および合成制御パラメータを場所ごとで動的に変えても良い。この場合に、場所ごとでの合成方法、あるいは、合成制御パラメータを変える合成選択指標値は設計データのパターン情報を用いて算出しても良い。
【0064】
図25に、設計データを用いた場所ごとでの合成方法選択に関する一例を示す。図示の例では、下層パターンが単一ではなく、縦ラインパターンと横ラインパターンが混じっている例である。また、下層縦ラインパターンの周辺に上層横ラインパターンが密に走っており、下層横ラインパターンの周辺に非常に離れている上層縦ラインパターンが走っている。下層縦ラインパターンの周辺に上層横ラインパターンが密に走っている場合には、上層横ラインパターンが密のため、下層パターンにとって上下方向に阻害となるため、検出器(3)と(4)からしか下層縦ラインパターンを検出できない。一方、下層横ラインパターンの周辺に非常に離れている上層縦ラインパターンが走っている場合には、下層横ラインパターンの周辺、すなわち、左右方向に上層縦ラインパターン、上方向に上層横ラインパターンがあるため、検出器(2)からその下層信号を検出できる以外、上方向に上層横ラインパターンが下層横ラインパターンからかなり離れているため、検出器(1)からも検出できる。また、上層縦ラインパターンも非常に離れているため、検出器(3)と(4)からは、2501のようなa−a’断面の信号分布2502が得られる。縦軸は、信号強度2503である。信号分布2502のbとb’での信号がほとんど検出されないが、中心に行くとだんだん信号が検出できるようになる。このような多層レイヤ半導体パターンに対して、下層縦ラインパターンに対して線形結合、下層横ラインパターンに対して非線形結合を行うのが良いが、これに限らない。
【0065】
また、合成制御パラメータを場所ごとによって変える場合に関しては、層別に合成制御パラメータを変える例がある。この例では、例えば、下層パターンの合成重み係数は上述した設計データを用いた方法で求めるが、上層パターンの合成重み係数は同一な値を用いるが、これに限らない。
【0066】
場所ごとでパターン配置を考慮するように合成方法および合成制御パラメータを変えることにより、下層パターンの全ての箇所でも良い合成効果が得られる。
【0067】
[3]次に、複数の検出器からの検出信号を用いた合成処理をCDSEMのパターン寸法計測に運用する場合の運用方法について説明する。
【0068】
図15には、CDSEMのパターン寸法計測に運用する場合において、複数の検出器から得られた検出信号を用いて合成した後、パターン寸法計測を実施する流れを示す。始めに、通常のCDSEM計測と同様にウェハを装置にロード(S1501)し、ウェハアライメント(S1502)によりウェハ上パターンの位置の校正をする。次に、詳細を省略するが、ウェハ上のチップ配列などの計測に必要な情報を予め入力しておき、条件設定に使用する測長チップを指定した後、低倍SEM画像を用いてチップ上の測長位置を指定(S1503)する。このとき、自動計測実行時の計測位置合わせのために使用する計測箇所の画像をテンプレートとして保存しておく。自動測長時の測定位置への移動は、このテンプレートを用いて、指定された座標の周辺で、これと一致するパターンを探索すれば良い。チップ内の計測箇所が確定すると、ステージにより指定した計測位置の画像が取得できるようにウェハを移動し、予め設定しておいた近傍のパターンを用いて正確な位置決め(S1504)およびフォーカス・非点合わせ(S1505)により寸法計測用のボヤケのない画像を得る。そして、測長位置の合成方法の選択と合成制御パラメータの算出(S1506)を行う。その後、複数の検出器から計測対象パターンの検出画像セットを取得(S1507)し、下層パターンも明瞭に表示できるように検出画像の合成(S1508)を行う。そして、ウェハ上のパターン寸法計測(S1509)を実施する。同一ウェハ上で複数のパターンを計測する場合は、計測が終了(S1510)するまで、ステップS1503からステップS1510を繰返して、全てのパターンに対して寸法計測あるいは画像取得を実行する。画像取得が終了したらウェハをアンロード(S1511)する。
【0069】
図15では、合成方法の選択および合成制御パラメータの算出をCDSEMにおいて寸法計測のオンライン処理で行う例を示したが、設計データを用いた合成方法の選択および合成制御パラメータの算出は、予めオフラインでファイルとしてサーバにて保存しておいて、寸法計測処理のオンライン処理において、合成方法と合成制御パラメータを呼び出すシーケンスでも良い。その場合には、測長位置の合成方法の選択と合成制御パラメータの算出のステップ(S1506)の代わりに、測長位置の合成方法と合成制御パラメータの呼び出し(図示せず)を行えば良い。
【0070】
図15は、検出画像セット取得の直後に検出画像を合成して計測を実施する例であるが、検出画像だけを取得しておいて画像の合成と寸法計測は別途行っても良い。その場合には、検出画像合成ステップ(S1508)、寸法計測ステップ(S1509)の代わりに、画像記録(図示せず)あるいは画像転送(図示せず)を行い、画像データを記録媒体に記録しておいて、別途計測処理を実施すれば良い。
【0071】
あるいは、取得した複数の検出画像から計測対象となるパターンの信号が多く検出できた一枚の検出画像を選び出し、その画像を利用して寸法計測を行い、検出画像の合成およびその合成画像を用いた高精度な寸法計測を別途実行しても良い。その場合には、検出画像合成ステップ(S1508)を計測用画像の選択(図示せず)に変更する以外に、画像記録(図示せず)あるいは画像転送(図示せず)を行い、画像データを記録媒体に記録しておいて、別途計測処理を実施すれば良い。
【0072】
[4]次に、CDSEMのパターン寸法計測に運用する場合に用いられるGUIについて説明する。
【0073】
図16は、CDSEMのパターン寸法計測に運用する場合に用いられるGUI画面の一例を示す図である。図17は、GUI画面を用いてパターン寸法計測の処理を実施するための一例を示すフローチャートである。
【0074】
図16に示すようなGUI画面から、寸法計測を実施したい領域の指定や検出画像合成に関する情報の入力をユーザに促すことができる。このGUI画面は、合成画像の表示・設定画面1601と、設計データの表示・設定画面1602より構成される。
【0075】
合成画像の表示・設定画面1601は、CDSEMにてオンライン処理を行う前に、ユーザによって合成方法等の設定が行われる。ユーザによる合成方法等の設定時、例えば、図17におけるGUIにての条件設定(S1701)では、設計データを用いるかどうか、設計データを用いた合成制御パラメータの算出方法をどれにするか、合成方式の選択は自動的にデフォルト方式で行われるかユーザによって指定されるか、またパラメータの調整は自動的に行われるか手動でユーザによって指定されるか、などがユーザにより設定される。また、パターンを分けて、別々の設定下で処理が行われる場合は、処理途中に、合成方法の変更や、合成方法の選択方式の変更や、合成制御パラメータの変更が必要なときに、「合成方法の変更や、合成方法の選択方式の変更や、合成制御パラメータの変更が必要」のようなメッセージが提示され(S1702)、必要な場合に、GUIの合成画像の表示・設定画面1601を表示(S1703)し、合成方法の変更や、合成方法の選択方式の変更や、合成制御パラメータの変更(S1704)がユーザによって手動で行う場合に用いられる。
【0076】
合成画像の表示・設定画面1601には、合成画像が画面16011に表示され、記憶部74に保存した過去に表示されたデータを再表示したい場合、ボタン16012によって切り替える。また、上記のように、パターンを分けて別々の設定下で処理を行いたい場合、計測パターン番号の指定が必要となる。このような処理はパネル16013によって行われる。複数指定の場合に、「、」や「−」で繋げる。また、合成方式に関しては、線形合成、非線形合成、線形・非線形合成、分割・合成による合成の幾つかの項目が合成方式ボタン16014にて選択される。
【0077】
また、パラメータの調整はパネル16015にて行われる。そこに、自動推定とユーザ指定の二種類がある。「自動推定」パネル160151には、「設計データあり」と「設計データなし」の選択肢があり、それぞれ、「設計データあり」には、設計データにおけるパターン方向を用いた方法、設計データのパターンの高さ情報を用いた方法、変形後設計データを基準とした場合の検出画像におけるエッジの連続度合いを用いた方法の3つの方法が選ばれる。「設計データなし」には、検出画像セットから算出したパターン方向を用いた方法と、検出画像セットから算出したエッジ強度の情報を用いた方法の2つの方法が選ばれる(詳細については実施の形態2に後述)。「ユーザ指定」パネル160152を選ぶと、本GUIの合成方式選択欄とパラメータ調整欄にて手動の指定を行い、それぞれの合成方式に対応するいくつかの選択できるパラメータ項目があり、その項目に対応する経験値等の入力値を入力することができる。また、自動推定でもユーザ指定でも、得られたパラメータはパラメータ表示のパネルにて表示される。さらに、「ユーザ指定」パネル160152においては、パラメータを決定する「決定」ボタンや、修正するための「修正」ボタンや、ユーザによって入力したパラメータを一気に削除する「クリア」ボタンや、前回入力した数値に戻る「戻る」ボタンが付いている。
【0078】
さらに、選んだ条件を決定する、また、同時に設定された状態で合成画像を表示する「決定」ボタン16017や、決定された条件を寸法計測処理パネルに出力するための「実行」ボタン16018や、決定された状態からその前の修正できる状態まで戻るための「戻る」ボタン16019も用意されている。
【0079】
設計データの表示・設定画面1602は、ユーザが注目する領域または注目するレイヤを指定するためのものである。本GUI画面において、設計データを表示する画面16021、注目レイヤ層番号を入力ためのパネル16022、指定領域の座標値を入力するためのパネル16023、および指定領域を微調整するためのスライダと微調整前の状態に戻すための「デフォルト」ボタン16024を備えている。領域指定は、マウスで行っても良い。注目レイヤ層番号の入力に関しては、2層以上入力する場合に、「、」や「−」で繋げる。また、注目レイヤ層番号や領域の指定が完了した時に終了するための「決定」ボタン16025も用意されている。
【0080】
以上が、本発明の基本的な実施の形態の説明である。本実施の形態によれば、下層パターンのコントラストを向上することが可能となる。
【0081】
[5]以下においては、撮像条件の制御方法について説明する。
【0082】
多種多様な多層レイヤ半導体パターンに対して、同一な撮像条件を用いると、撮像条件が不適切な原因で下層パターンからの検出荷電粒子量が少ないケースもある。このため、次に、下層パターンの放出荷電粒子の検出量が十分に得られるように、[5−1]設計データのパターン方向を用いた撮像条件の制御方法、[5−2]設計データのパターンの高さ情報を用いた撮像条件の制御方法について説明する。
【0083】
[5−1]設計データのパターン方向を用いた撮像条件の制御方法
次に、設計データのパターン方向を用いて撮像条件を制御する一例について説明する。この例では、撮像条件の最適化の例として、ビームスキャンの方向をパターンのエッジ方向に対して垂直にすると、エッジから放出される荷電粒子量がより多くなるという特性を利用する。この例の処理では、方向フィルタを用いて設計データのパターン方向を判断した後、撮像条件の一つであるビームスキャンの方向をパターン方向に対して垂直方向に制御する。これには限らない。図18には、その具体例として、設計データのパターン方向を用いて撮像条件を制御する一例を示す。例えば、下層パターンのエッジ方向が横方向の場合には、荷電粒子ビームのスキャン方向を縦にすれば、下層パターンからより多くの放出荷電粒子量が得られる。
【0084】
[5−2]設計データのパターンの高さ情報を用いた撮像条件の制御方法
図19に、設計データのパターンの高さ情報がある場合に、設計データのパターンの高さ情報を用いて撮像条件を制御する一例を示す。この例においては、図12に示す、下層パターンが隣接する上層パターンの頂点との連線が水平面とのなす角度βと上層パターンが検出できる入射点Aから放出される荷電粒子線量との変換ルックアップテーブルあるいは変換関係を表すモデル式に基づき、撮像条件(加速電圧や、プローブ電流や、ブースティング電流や、ビームスキャン方向等)の設定(S1901)を行い、1組の撮像条件を入力する。次に、指定領域の設計データを取得(S1902)し、その設計データから上下層パターン間の距離と相対高さを用いて下層パターンが隣接する上層パターンの頂点との連線が水平面とのなす角度βを算出し、角度βから下層パターンにおける検出荷電粒子量を算出(S1903)し、検出荷電粒子量が適切な量に達しているかどうかを予め設定した閾値によって判断(S1904)する。下層パターンにおける検出荷電粒子量が不十分であれば、撮像条件の設定(S1901)に戻して、撮像条件を再設定し、適切な撮像条件が選ばれるまで、ステップS1901からステップS1904の処理を繰返す。検出荷電粒子量が十分であれば、設定された条件下で撮像(S1905)をする。
【0085】
以上の撮像条件の制御方法では、入力撮像条件が1組の例を説明したが、入力撮像条件をn組にしても良い。その場合に、撮像条件の設定ステップ(S1901)ではn組の撮像条件を設定する。また、下層パターンからの検出荷電粒子量が適切な量に達しているかどうかを予め設定した閾値によって判断するステップ(S1904)の代わりに、撮像条件の選択を行い、n組の入力撮像条件のうち、下層パターンからの検出荷電粒子量がもっとも高い撮像条件を実際の撮像条件とする。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数の検出器711から得られた検出信号を、設計データにおけるパターン方向の情報、設計データおよび検出画像におけるエッジの連続度合い、設計データのパターンの高さ情報などに基づき、下層レイヤにおける合成を制御することで、下層パターンのコントラストを向上することができる。この結果、微細な高アスペクト多層レイヤ半導体パターンにおける下層パターンの高コントラスト画像の合成が可能となり、画質改善を図ることができる。
【0087】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2を、図20および図21を用いて説明する。
【0088】
本実施の形態は、検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報を用いた合成の一例である。実施の形態1の図8に、設計データを用いた合成の一例を示したが、本実施の形態においては、検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報を用いた合成の一例を示す。この場合には、図8の設計データの位置合わせ・変形ステップ(S8002)を取り除き、合成方法選択ステップ(S8003)と設計データを用いた合成制御パラメータ算出ステップ(S8004)の代わりに、それぞれ検出画像セットから算出することに変更すれば良い。
【0089】
次に、検出画像セットから合成制御パラメータを算出する算出方法について説明する。
【0090】
(1)検出画像セットからの合成制御係数の算出
検出画像セットから合成制御パラメータを算出する算出方法に関しては、(1−1)検出画像セットから算出したパターン方向を用いた方法と、(1−2)検出画像セットから算出したエッジ強度の情報を用いた方法の2つの方法について説明する。
【0091】
(1−1)検出画像セットから算出したパターン方向を用いた方法
図20に、検出画像セットから算出したパターン方向を用いた合成制御係数の算出の一例を示す。この例では、まず、検出画像セットのS/N推定(S2001)を行い、検出画像セットから位置ごとでS/Nの高い画素値を選び、それらの画素値を用いて一枚の画像を生成(S2002)する。次に、生成画像におけるパターンの輪郭線を抽出して検出エッジ画像を生成し、層別に分割(S2003)を行う。輪郭線の抽出手法は様々あるが、例えば、特開2009−44070号公報(特許文献4)に開示された手法等が適用できる。さらに、各層のエッジ画像を利用して各層のパターンを分類(S2004)し、各層のエッジ画像に対してパターンのエッジ方向を判定(S2005)し、パターン方向を用いて合成係数を算出(S2006)する。
【0092】
エッジ画像を用いて層別に分割(S2003)する処理に関しては、図21に、そのエッジ画像を用いた層別分割の概念の一例を示す。本図においては、2以上の少なくとも一つの自然数Nとして、3層レイヤ半導体パターンを例に示す。上下層のクロスのところを用い、このクロスする2本のパターンで、パターンが中断しない層は上層、パターンが中断する層は下層のように判断すれば、層の上下関係が分かる。また、クロスのところにおいて、全て他層の上の場合には最上層、全て他層の下の場合には最下層、また、最上層のみの下、最上層以外の他層の下であれば、中層のように各層を分離できる。
【0093】
各層のエッジ画像を利用して各層のパターンを分類(S2004)する処理に関しては、標準パターンのテンプレート画像を用い、テンプレート画像との類似度を用いてパターンを抽出し、分類を行う。
【0094】
各層のエッジ画像に対してパターンのエッジ方向を判定(S2005)する処理に関しては、方向フィルタを用いてフィルタ処理を行えば、パターンのエッジ方向を判定できる。
【0095】
そして、実施の形態1の(2−1−1)設計データにおけるパターン方向を用いた方法と同様に、上層パターンがあれば小さな重み係数、上層パターンが無ければ大きな重み係数を与えることで、重み係数を算出しても良い。
【0096】
(1−2)検出画像セットから算出したエッジ強度の情報を用いた方法
次に、検出画像セットから算出したエッジ強度の情報を用いた合成制御係数の算出の一例について説明する。この例は、実施の形態1の(2−1−2)設計データおよび検出画像におけるエッジの連続度合いを用いた方法と同様に、検出画像におけるエッジの連続度合いを用いる。ただし、ここでは、検出ラインパターン信号のラインパターン方向における投影の画素数が最も多いものを基準とし、その検出器から得られた検出ラインパターン信号のエッジの連続度合いを1とする。この場合に、合成重み係数も同様に、α=q/Σqの条件を満たすように設定すれば良い。
【0097】
本実施の形態のように、設計データを用いずに、検出画像セットのみから合成係数を算出する方法は、大量な設計データの保存もいらず、または、設計データを利用しないDRSEMにての合成処理においては手間が掛からなくて済むという利点もある。
【0098】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3を、図22および図23を用いて説明する。
【0099】
本実施の形態は、設計データを用いた合成の変形例である。図22を用い、設計データを用いた合成の別の例について説明する。図22は、設計データを用いた合成の変形例(領域分割・合成あり)を示す図である。本実施の形態では、図8の実施の形態1と同じように、まず、検出画像セットを取得(S8001)した後、設計データの位置合わせ・変形(S8002)を行う。そして、設計データを用いて分割方法を決定(S2201)し、それぞれの検出画像に対して領域分割(S2202)を行う。領域分割は、層別の領域分割でも良い、あるいは、異なる配線パターンの領域分割でも良い。次に、分割された領域ごとでの処理を開始し、位置ごとでの合成方法を選択(S2203)し、設計データを用いて合成制御パラメータを算出(S2204)し、合成処理(S2205)を行う。その後、領域ごとでの処理を終了して、領域を合成(S2206)する。
【0100】
変形後設計データ803を用いた分割方法の決定ステップ(S2201)においては、層別のみで分割するか、パターン別でも分割するかを決める。この決定は、パターンの構成によって判断する。図23に、この層別分割・パターン別分割の概念の一例を示す。例えば、図23(a)に示されているような単一なラインパターンの場合には上下層別の分割のみで十分であるが、図23(b)に示されているようなラインパターンと円形のホールパターンが同時に存在している半導体パターンの場合には、層別分割を実施した後、さらに異なるラインパターンとホールパターンに対してパターン分割を行えば、より良い合成効果が得られる。合成処理(S2205)においては、同様に変形後設計データ803を用いて分割の逆戻しのように合成を行う。ただし、合成する際に、境界及び境界近傍にある領域においては、画素値の混ぜ合わせ処理によって、滑らかに境界をつなぎ合わせる。混ぜ合わせ処理は、例えば、線形補間を用いても良い。
【0101】
また、層別領域やパターン領域ごとでの合成方法の決定や合成制御パラメータの算出方法に関しては、実施の形態1の図8に示されている設計データを用いた合成方法を使っても良い。
【0102】
本実施の形態のように、領域分割を実施することで、合成効果が向上できるという利点があり、さらに層別分割を実施した後にパターン分割を行うことで、より良い合成効果を得ることができる。
【0103】
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4を、図24を用いて説明する。
【0104】
本実施の形態は、運用方法の変形例である。実施の形態1では、複数の検出器から得られた検出信号を用いた合成処理をCDSEMにおいて運用する例について説明したが、本実施の形態では、複数の検出器から得られた検出信号を用いた合成処理をDRSEMにおいて運用する一例について説明する。
【0105】
図24には、複数の検出器からの検出信号を用いた合成処理をDRSEMの欠陥レビューに運用する場合の一例のフローチャートを示す。複数の荷電粒子検出器を用いる場合には、欠陥レビューの一回の欠陥抽出においても、数回の検出画像の合成を行う必要がある。このため、全ての画像に対してオンラインで合成係数を算出し、合成を行うのが一つの例として考えられるが、実運用では、処理時間が膨大になる欠点がある。
【0106】
従って、図24では、合成係数や合成方法を予め設計データや検出画像から算出した後、撮像レシピの一部として保存しておき、実運用時に呼び出すシーケンスを示す。図7を参照しながら説明する。まず、撮像を行う前に、ウェハ等の試料713をXYステージ714に搭載する。ユーザは入出I/F72を通して、サーバ79に登録された複数のレシピから、測定用のレシピを選択し、そこに格納された条件でADRとADCを行うように制御部75に指示を与える。その後、制御部75は、欠陥の座標情報を記憶部74から読み込む。読み込んだ各欠陥の座標情報を用いて、以下に説明するS2401〜S2412の処理を行うことで、欠陥画像を収集する。
【0107】
始めに、記憶部74から読み出した観察対象欠陥の座標情報を用いて低倍参照画像を撮像するため、この欠陥座標位置に対応する隣接チップの撮像領域に電子ビームが照射可能になるようにXYステージ714を移動させる(S2401)。次に、低倍参照画像の撮像前に、サーバ79に保存された参照領域の合成係数および合成方法に関するレシピ情報を呼び出す(S2402)。そして、複数の参照検出画像を取得(S2403)し、呼び出した合成係数および合成方法を用いて低倍参照画像を合成(S2404)する。その後、低倍欠陥画像の撮像が行われる。低倍参照画像の撮像と同様に、観察対象である欠陥の座標情報を用いてXYステージ714を移動(S2405)させる。そして、複数の低倍欠陥画像を取得(S2406)した後、参照画像の合成係数と合成方法を用いて低倍欠陥画像を合成(S2407)し、欠陥検出処理(S2408)を行う。次に、複数の高倍欠陥画像を取得(S2409)し、上記と同様の方法で高倍欠陥画像を合成(S2410)し、欠陥分類処理(S2411)を行う。S2401〜S2411を繰り返し、全ての欠陥画像を取得したら、全欠陥に対する処理が終了(S2412)する。
【0108】
DRSEMに運用することに当たっては、図16に示すGUIを用いても良い、ただし、利用する際に、計測パターン番号の入力欄パネル16013を欠陥番号に変更すれば良い。パターン寸法計測、欠陥検出以外にも、合成処理はパターン形状計測、欠陥分類に用いられる。
【0109】
本実施の形態のように、複数の検出器から得られた検出信号を用いた合成処理を、CDSEMにも運用することができる。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の荷電粒子線装置は、複数の検出器から得られた検出画像を用いて画質改善を図る方法に利用可能であり、CDSEMやDRSEM等のSEMの他、SIM等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
71…撮像部、72…入出力I/F、73…処理部、74…記憶部、75…制御部、76…画像生成部、77…信号合成部、78…入出力端末、79…サーバ、
501…荷電粒子ビーム、502…検出器、503…試料、504…ステージ、505…検出画像合成、506…合成画像、507…検出信号、
601…設計データ、602…検出画像合成、603…合成画像、
700…一次電子ビーム、701…偏向された一次電子ビーム、702…電子銃、703…アライメントコイル、704…コンデンサレンズ、705…非点収差補正コイル、706,707…偏向器、708…ブースティング電極、709…対物レンズ、710…対物レンズ絞り、711…検出器(反射/二次電子検出器)、712…A/D変換器、713…試料、714…XYステージ、771…設計データ処理部、772…合成方法制御部、773…合成部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象となる試料に集束した荷電粒子ビームを照射して走査する荷電粒子ビーム照射ステップと、
前記荷電粒子ビームを照射した位置の試料に対応する設計データを読み込む設計データ読み込みステップと、
配置場所の異なる2個以上の検出器を用いて、前記荷電粒子ビームによって前記試料から発生した二次荷電粒子または反射荷電粒子を検出し、各検出器の出力に対応する検出画像を生成する検出画像生成ステップと、
前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、前記読み込んだ設計データを用いて制御する出力画像生成制御ステップと、
前記出力画像生成制御ステップにより決定した出力画像生成方法に従って、前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する出力画像生成ステップと、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項2】
撮像対象となる試料に集束した荷電粒子ビームを照射して走査する荷電粒子ビーム照射ステップと、
配置場所の異なる2個以上の検出器を用いて、前記荷電粒子ビームによって前記試料から発生した二次荷電粒子または反射荷電粒子を検出し、各検出器の出力に対応する検出画像を生成する検出画像生成ステップと、
前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、前記検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報を用いて制御する出力画像生成制御ステップと、
前記出力画像生成制御ステップにより決定した出力画像生成方法に従って、前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する出力画像生成ステップと、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項3】
請求項1記載の荷電粒子線装置の画質改善方法において、
前記出力画像生成制御ステップは、前記設計データにおけるパターン方向あるいはパターンの高さ情報を用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項4】
請求項1記載の荷電粒子線装置の画質改善方法において、
前記出力画像生成制御ステップは、前記設計データに含まれるエッジに対応するエッジ成分を各検出画像から抽出し、前記エッジ成分のエッジ連続度合いを用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項5】
請求項1または2記載の荷電粒子線装置の画質改善方法において、
前記出力画像生成制御ステップは、前記検出画像内の位置によって前記出力画像生成方法を制御する方法を変えることを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項6】
請求項1記載の荷電粒子線装置の画質改善方法において、
前記荷電粒子ビーム照射ステップは、一組以上の撮像条件の各々に対して、前記設計データあるいは過去に生成した出力画像あるいは検出画像を用いて、前記出力画像生成ステップで生成される前記出力画像あるいは前記検出画像生成ステップで生成される前記検出画像の信号強度を推測し、前記推測した信号強度に基づいて撮像条件を一組に決定し、前記決定した撮像条件を用いて前記撮像対象となる試料に集束した荷電粒子ビームを照射して走査することを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項7】
請求項1記載の荷電粒子線装置の画質改善方法において、
前記出力画像生成制御ステップは、2以上の少なくとも一つの自然数Nに対して、前記検出画像のうち、前記設計データにおける上層からN番目のレイヤからの信号が相対的に多く含まれる画像を、上層から1乃至N−1番目のレイヤのうち少なくとも一つのレイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用いて判断し、前記判断結果を用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項8】
請求項2記載の荷電粒子線装置の画質改善方法において、
前記出力画像生成制御ステップは、各検出器の出力に対応する画像を2層以上のレイヤに分離し、2以上の少なくとも一つの自然数Nに対して、前記検出画像のうち、前記分離により得られた上層からN番目のレイヤからの信号が相対的に多く含まれる画像を、上層から1乃至N−1番目のレイヤのうち少なくとも一つのレイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用いて判断し、前記判断結果を用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置の画質改善方法。
【請求項9】
荷電粒子ビームを照射する荷電粒子銃と、
前記荷電粒子ビームを集束するレンズと、
前記集束した荷電粒子ビームを撮像対象となる試料にスキャンするスキャン装置と、
前記試料から放出または透過した二次荷電粒子または反射荷電粒子を検出する2個以上の検出器と、
前記検出器の出力に対応する検出画像を生成する検出画像生成器と、
前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、設計データを用いて制御する出力画像生成制御器と、
前記出力画像生成制御器により決定した出力画像生成方法に従って、前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する出力画像生成器と、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項10】
荷電粒子ビームを照射する荷電粒子銃と、
前記荷電粒子ビームを集束するレンズと、
前記集束した荷電粒子ビームを撮像対象となる試料にスキャンするスキャン装置と、
前記試料から放出または透過した二次荷電粒子または反射荷電粒子を検出する2個以上の検出器と、
前記検出器の出力に対応する検出画像を生成する検出画像生成器と、
前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する方法を、前記検出画像から算出したパターン方向あるいはエッジ強度の情報を用いて制御する出力画像生成制御器と、
前記出力画像生成制御器により決定した出力画像生成方法に従って、前記検出画像を用いて、1枚以上の出力画像を生成する出力画像生成器と、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項11】
請求項9記載の荷電粒子線装置において、
前記出力画像生成制御器は、前記設計データにおけるパターン方向あるいはパターンの高さ情報を用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項12】
請求項9記載の荷電粒子線装置において、
前記出力画像生成制御器は、前記設計データに含まれるエッジに対応するエッジ成分を各検出画像から抽出し、前記エッジ成分のエッジ連続度合いを用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項13】
請求項9または10記載の荷電粒子線装置において、
前記出力画像生成制御器は、前記検出画像内の位置によって前記出力画像生成方法を制御する方法を変えることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項14】
請求項9記載の荷電粒子線装置において、
さらに、一組以上の撮像条件の各々に対して、前記設計データあるいは過去に生成した出力画像を用いて、前記出力画像生成器で生成される前記出力画像の信号強度を推測し、前記推測した信号強度に基づいて撮像条件を一組に決定し、前記決定した撮像条件を用いて前記荷電粒子銃、前記レンズ、前記スキャン装置の少なくとも一つを制御する撮像条件制御器を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項15】
請求項9記載の荷電粒子線装置において、
前記出力画像生成制御器は、2以上の少なくとも一つの自然数Nに対して、前記検出画像のうち、前記設計データにおける上層からN番目のレイヤからの信号が相対的に多く含まれる画像を、上層から1乃至N−1番目のレイヤのうち少なくとも一つのレイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用いて判断し、前記判断結果を用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項16】
請求項10記載の荷電粒子線装置において、
前記出力画像生成制御器は、各検出器の出力に対応する画像を2層以上のレイヤに分離し、2以上の少なくとも一つの自然数Nに対して、前記検出画像のうち、前記設計データにおける上層からN番目のレイヤからの信号が相対的に多く含まれる画像を、上層から1乃至N−1番目のレイヤのうち少なくとも一つのレイヤのパターン形状あるいは方向の情報を用いて判断し、前記判断結果を用いて前記出力画像生成方法を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項17】
請求項9乃至16のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
さらに、ユーザが注目する領域または注目するレイヤを指定するためのインターフェイスを有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項18】
請求項9乃至16のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
さらに、前記出力画像を表示する、あるいは前記出力画像を用いてパターン寸法計測、パターン形状計測、欠陥検出、欠陥分類のうち少なくとも一つを行うことを特徴とする荷電粒子線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−119446(P2011−119446A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275422(P2009−275422)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】