説明

蒸気タービンの急速閉止弁のための制御装置および制御方法

蒸気タービンの急速閉止弁(2)のための制御装置であり、当該急速閉止弁を開放する油圧を減少させるための逃がし弁(4)と、少なくとも三個の弁を有する逃がし弁・制御弁システム(6)と、を有する制御装置であって、当該少なくとも三個の弁は前記逃がし弁と油圧式に相互接続されており、それによって、前記逃がし弁は、前記逃がし弁・制御弁システムの少なくとも2個の弁が、急速停止位置に切り替えられる場合に初めて、前記急速閉止弁を閉鎖する、制御装置は、逃がし弁が閉鎖されているとき、前記急速閉止弁を開放する油圧を、選択的に減少および増大させるための検査・制御弁システム(8,9)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1のおいて書き部に記載された、蒸気タービンの急速閉止弁のための制御装置であって、当該急速閉止弁を閉鎖するための逃がし弁、及び2−out−of−3の多数決論理回路を構成する逃がし弁・制御弁システムを有している当該制御装置と、このような制御装置を有する蒸気タービンのための急速閉止弁と、このような急速閉止弁のパーシャルストロークテストを実施するための方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば発電所における蒸気タービンでは、主蒸気がボイラーから排出され、その際、一つまたは複数のタービン段を駆動する。当該蒸気タービンは、特にタービン構成部材の損傷を防止するために、一定の最大回転速度を上回ってはならない。負荷制限、クラッチ破損などの際に、タービンがこのような最大回転速度を上回ることを回避するために、例えば特許文献1から急速閉止弁を設けることが知られている。当該急速閉止弁は、例えばタービンの回転速度が所定の閾値を上回るとき、あるいは、他の方法で最大回転速度の超過が迫っていることが認識されるとき、できるだけ短い時間でタービンへの蒸気の質量流を遮断するか、または減少させる。
【0003】
このような急速閉止弁および当該急速閉止弁の作動には、従って利用可能性と安全性と信頼性とに関して高度な要求がなされる。そのために急速閉止弁は、通常、作用シリンダーを有しており、当該作用シリンダーには油圧によって、例えばバネなどのプリテンション部材に抗して空気が供給され、それによって、油圧がプリテンション部材のプリテンションを上回っている間は、急速閉止弁をアクティブに開放する。急速閉止弁を閉鎖するためには、当該油圧を出来る限り迅速に減少させ、例えばタンクに排出させる。圧力がかけられていない作用シリンダーは、プリテンション部材によって急速閉止弁の閉鎖位置に押し込まれる。
【0004】
特許文献1は、この点に関して、請求項1のおいて書き部に記載された制御装置であって、油圧を減少させることによって急速閉止弁を開放するためのカートリッジ弁と、当該カートリッジ弁を作動させる逃がし弁・制御弁システムとを有する制御装置を提案している。逃がし弁・制御弁システムは3個の電磁弁を有しており、当該電磁弁はいわゆる2−out−of−3の多数決論理(「2oo3の多数決論理」)で実現されている。すなわち、当該電磁弁は油圧式に逃がし弁と相互接続されており、それによって、逃がし弁は、逃がし弁・制御弁システムの3個の弁のうち少なくとも2個が、急速停止位置に切り替えられる場合に初めて、急速閉止弁を閉鎖する。このようにして好適に、逃がし弁・制御弁システムの単独の弁の不具合に基づく不要な急速閉止を回避できるとともに、これらの弁は運転中に個々に検査され得る。
【0005】
特許文献2は、蒸気タービンの急速閉止弁のための制御装置の監視回路に関して、2−out−of−3の多数決論理を提案しており、それによって監視の信頼性を高めることを目的としている。
【0006】
上記の制御装置における不利な点は、始動を行うアクチュエータと急速閉止弁とを検査もしくはテストする方法が限られていることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第102004042891号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第2254250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、蒸気タービンのための急速閉止弁の、利用可能性と安全性と信頼性とを向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1のおいて書き部に記載された、蒸気タービンの急速閉止弁のための制御装置は、当該請求項1に記載の特徴によって改良される。請求項14は、このような制御装置を有する急速閉止弁に対して保護を求め、請求項15は、このような制御装置によって実行可能な方法に対して保護を求めている。従属請求項は、好適なさらなる構成を対象としている。
【0010】
本発明に係る、蒸気タービンの急速閉止弁のための制御装置は、当該急速閉止弁を開放する油圧を減少させるための逃がし弁を有している。すでに述べた通り、急速閉止弁は、特に油圧によって作動可能な作用シリンダーを有し得る。当該作用シリンダーは、相応の油圧により、引っ張りバネまたは圧縮バネなどのプリテンション部材に抗して、アクティブに開放位置に移動可能となっており、油圧が十分に減少すると、急速閉止弁を閉鎖する。このように油圧を減少させ、それによって急速閉止弁を閉鎖することは、逃がし弁を介して行われ得る。当該逃がし弁は、一つまたは複数のカートリッジ弁および/またはボール弁を含み得る。
【0011】
このような逃がし弁を始動させるために、逃がし弁・制御弁システムが設けられている。当該逃がし弁・制御弁システムは3個またはそれ以上の弁を有しており、当該弁は油圧式に逃がし弁と相互接続されており、それによって、逃がし弁は、逃がし弁・制御弁システムの少なくとも2個の弁が急速停止位置に切り替えられている場合に初めて、急速閉止弁を閉鎖する。すなわち、2−out−of−3の多数決論理を実現している。
【0012】
本発明により、さらに検査・制御弁システムが設けられている。当該検査・制御弁システムは、好適に、逃がし弁・制御弁システムから独立して形成されており、当該検査・制御弁システムによって、プリテンション部材に抗して急速閉止弁を開放する油圧は、減少および増大させられる。
【0013】
前記付加的な検査・制御弁システムによって、このように逃がし弁が閉鎖されているときでも、急速閉止弁の検査、特にいわゆるパーシャルストロークテストを行うことができる。当該パーシャルストロークテストは、以下のように行われる。すなわち、例えば完全に、あるいは運転通常位置に開放された急速閉止弁を起点として、まず油圧を減少させ、それによって、急速閉止弁は完全にまたは少なくとも部分的に閉鎖するが、当該閉鎖は、例えば作用シリンダーがフルストロークもしくはパーシャルストロークを実行することによって行われる。続いて油圧は再び高められ、それによって急速閉止弁は初期位置に戻される。
【0014】
タービンの作動前、作動中および/または作動後に実施され得るこのようなテストによって、逃がし弁・制御弁システムから独立して、急速閉止弁の作用を点検することができ、それによって例えば、酸化皮膜などによって動きにくくなっていること、あるいは、動かないことを、認識することができる。好適なさらなる構成において、検査・制御弁システムは、さらに油圧を減少させ、それによって急速閉止弁を閉鎖するための、逃がし弁から独立した冗長的な方法を提起している。ただし、逃がし弁によって行われるよりも、場合によって、急速閉止弁の閉鎖はゆっくりと行われる。急速閉止の場合、好適に逃がし弁と、検査・制御弁システムとを始動させることもできる。それによって油圧は、逃がし弁と検査・制御弁システムとを介してリセットされ、これによって、急速閉止弁はさらに迅速に閉鎖される。
【0015】
検査・制御弁システムは好適に、一つまたは複数の第一の制御弁および/または一つまたは複数の第二の制御弁を有している。逃がし弁と、圧力源、例えば蓄圧器やポンプなどとの連結も、逃がし弁と圧力排出部、例えば一つまたは複数のタンクとの連結も、第一の制御弁および/または第二の制御弁を介して行われ得る。
【0016】
第一の制御弁および第二の制御弁は並列または直列に接続されていてよく、圧力源および/または急速閉止弁への連結が行われるとき、好適に調整可能な制限器が、当該制御弁に前置されていてよい。それによって、検査・制御弁システムに印加される油圧は好適な値に減少する。
【0017】
逃がし弁・制御弁システムと検査・制御弁システムとは、好適に構成ユニットを形成している。特にこれら二つの部分ユニットは、コンパクトなブロックを形成していてよく、互いにおよび/または支持体に固定されていてよい。これによって制御装置全体の取り付けが容易になるとともに、構成に必要な空間が減少する。
【0018】
逃がし弁・制御弁システムおよび/または検査・制御弁システムの弁は、好適に4/2電磁切り替え弁として形成されている。すなわち、4個の接続開口を有する弁であって、当該弁は、好適にプリテンション部材に抗して作用する電磁石を介して、二つの位置に切り替え可能である。このとき逃がし弁・制御弁システムの弁は、エネルギーを供給されていない場合、逃がし弁を圧力排出部に連結するか、もしくは、当該逃がし弁を圧力源から分離するのが好ましい。すなわち、逃がし弁・制御弁システムの弁は、無電流状態で、逃がし弁を開放する。同様に、検査・制御弁システムの第一の制御弁および/または第二の制御弁は、エネルギーを供給されている場合、急速閉止弁を圧力排出部に連結するとともに、当該急速閉止弁を圧力源から分離するのが好ましい。すなわち、検査・制御弁システムの第一の制御弁および/または第二の制御弁は、電流が供給されている状態で急速閉止弁を閉鎖する。しかしながら、無電流位置が逆の場合も可能である。
【0019】
逃がし弁・制御弁システムおよび/または検査・制御弁システムは好適に停止位置監視部を有しており、それによって弁が問題なく作動しているか、すなわち、作動された停止位置(開放位置もしくは閉鎖位置)を取っているか、を確認する。
【0020】
本発明の好適な実施の形態において、制御装置は、蒸気タービンの回転速度を検出するとともに、逃がし弁・制御弁システムを急速閉止位置に切り替えるための逃がし弁制御部を有している。当該逃がし弁制御部は好適に、少なくとも三個の回転速度検出ユニットを含んでおり、当該回転速度検出ユニットは、少なくとも二個の回転速度検出ユニットによって、所定の閾値を超える蒸気タービンの回転速度が検出された場合に初めて、逃がし弁・制御弁システムが急速閉止位置に切り替えられるように、すなわち、2−out−of−3の多数決論理を実現するように、相互接続されている。
【0021】
このとき回転速度検出ユニットは、検出された回転速度を相互に比較するための同期監視部と、ゼロ回転速度監視部および/または過少回転速度監視部を有し得る。回転速度検出ユニットは好適に、バスを介して相互に通信を行う。当該バスは2−out−of−3の多数決論理回路を実現することができる。急速閉止外部コマンド、いわゆる外部トリップも、逃がし弁制御部に入力され得ることが好ましい。当該急速閉止外部コマンドは、例えばタービンの出力監視部や、クラッチ監視部などから発生し、所定の閾値を超過した場合と同様に、少なくとも二個の回転速度が検出された場合、逃がし弁・制御弁システムを急速閉止位置に切り替える。
【0022】
回転速度検出ユニットはこのときそれぞれ一つまたは複数の回転速度検出装置、例えば能動的速度センサを有し得、当該回転速度検出装置および/または逃がし弁・制御弁システムの弁と物理的に独立した状態で連結されていてよく、それによって信頼性と安全性が高められる。
【0023】
逃がし弁・制御弁システムの弁を試験的に作動させるため、および/または検査・制御弁システムを試験的に作動させるために、逃がし弁制御部は検査用ジェネレータを有し得る。このとき、逃がし弁・制御弁システムおよび検査・制御弁システムの試験的な作動は、共通の検査用ジェネレータによって制御されてよいが、同様に、それぞれ独自の部分検査用ジェネレータが設けられていてもよい。当該部分検査用ジェネレータは好適に逃がし弁制御部に組み込まれていてよく、あるいは、逃がし弁制御部と別個に実装されていてよい。
【0024】
この場合、逃がし弁・制御弁システムの弁の作動は以下のように行われるのが好ましい。すなわち、逃がし弁・制御弁システムの弁は交互に、特に周期的に、個々に試験的に急速閉止位置に切り替えられる。逃がし弁・制御弁システムの一個の弁のみが、急速閉止位置に切り替えられる場合は、2−out−of−3の多数決論理のために、逃がし弁はまだ急速閉止弁を閉鎖していないので、当該検査は、例えば周期的に、タービンの駆動中にも行われ得る。
【0025】
検査・制御弁システムの作動は以下のように行われるのが好ましい。すなわち、検査・制御弁システムは、逃がし弁が閉鎖されているとき、急速閉止弁を開放する油圧を減少させ、続いて再び増大させ、それによって、フルストロークテストまたはパーシャルストロークテストを実施する。特にパーシャルストロークテストは、タービンの作動中にも、好ましくは作動前および/または作動後に実施され得る。検査を評価するために、好適に一つまたは複数のセンサが設けられており、当該センサは急速閉止弁の調整、例えば作用シリンダーのストロークを検出する。好適に少なくとも二つのセンサは同一のストローク高さに設けられており、それによって、センサ信号が一つしかないことを特徴とするセンサの故障と、全てのセンサの信号を特徴とする誤ったストロークとを区別することができる。
【0026】
検査用ジェネレータはパラメータ化可能であってよい。それによって、検査の条件、例えば二つの検査間の時間や、パーシャルストローク高さなどを調整することができる。
【0027】
好適に、検査用ジェネレータは、検査・制御弁システムの作動による急速閉止弁の検査および/または逃がし弁・制御弁システムの検査を、自動的に、例えば所定の運転時間数や、他の検査の所定の数などに応じて実施する。検査用ジェネレータはこのために、運転時間カウンタおよび/またはスタートカウンタを有し得る。
【0028】
さらなる有利点および特徴は、従属請求項と実施の形態に記載されている。唯一の図に、部分的に概略化して示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態による、蒸気タービンの急速閉止弁のための制御装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、油圧および情報の図の形式で、本発明の実施の形態による、蒸気タービンの急速閉止弁のための制御装置を、部分的に概略化して示している。
【0031】
蒸気タービンの動翼1の回転速度は、三個の独立した回転速度センサ17.1から17.3によって検出される。センサ17によって検出された回転速度が所定の閾値を上回るとき、当該センサと接続されている回転速度検出ユニット10,20もしくは30は、制御ケーブル10.2,20.2もしくは30.2を介して、逃がし弁・制御弁システム6内の4/2電磁切り替え弁に、切り替えコマンドを与える。
【0032】
この点については、これ以上詳しく図に示したり、説明したりしない。特許文献1を参照し得る限り、この点に関する特許文献1の開示は明らかに本願の対象となるからである。一般に、逃がし弁・制御弁システム6の三個の4/2電磁切り替え弁は、いわゆる2−out−of−3の多数決論理が実現されるように、油圧式に結合されている。
【0033】
逃がし弁・制御弁システム6の三個の電磁切り替え弁のうち、少なくとも二個が、回転速度検出ユニット10,20もしくは30の制御コマンドによって、急速閉止位置に切り替えられなければ、通路5,7.2を介する、カートリッジ式逃がし弁4と圧力源Pとの接続は中断されているが、逃がし弁4は通路5,15.1,15.2,15.22を介して圧力排出部16と連通している。
【0034】
これによって急速閉止弁2の作用室2.3における油圧がカートリッジ弁4を開放し、当該急速閉止弁の作用ピストン2.1は、プリテンションを与えられた板バネ2.2の力を受けて、(図1において下方へ)進出し、このとき油圧液を作用室2.3から、通路3,3.1と、開放された弁4と、通路15.21,15.22とを介して、タンク16内に移動させ、このとき急速閉止弁を閉鎖し、それによって蒸気タービンへの蒸気の供給が中断され、これによって動翼1が許容最大回転速度を超過することが避けられる。
【0035】
逃がし弁・制御弁システム6の検査のために、検査用ジェネレータ40は、個々の回転速度検出ユニット10,20および30を周期的に制御し、それによって当該回転速度検出ユニットは交互に、逃がし弁・制御弁システム6の対応する電磁弁を、急速閉止位置に切り替える。これらの磁石(図示せず)内の停止位置センサは、情報ケーブル10.1,20.1もしくは30.1を介して、個々の弁が正常に作動しているか、報告する。
【0036】
パーシャルストロークテストを行うために、検査用ジェネレータ40は、制御ケーブル40.3,40.5を介して、4/2電磁切り替え弁としての2個のさらなる制御弁8,9を作動させ、それによって検査・制御弁システムの制御弁8,9が、図1に示す運転位置を起点として、同時に切り替えられるとともに、制御弁8,9は、通路3,3.2(すなわち逃がし弁4を回避して),3.21と、逆止弁11と、調整可能な制限器13と、流れをガイドするように切り替えられた制御弁8,9と、通路15,15.2,15.22とを介して、作動室2.3をタンク16と連結させる。第一の制御弁および第二の制御弁8,9の作動もしくは制限器13の調整に応じて、作動室2.3内の油圧はこうして減少し、作用ピストン2.1は(図1において下方に)パーシャルストロークを実現し、当該パーシャルストロークはセンサ40.1,40.2によって検出されるとともに、検査用ジェネレータに伝達される。
【0037】
所望のパーシャルストロークであって、急速閉止弁2の機能性を示すか、もしくは、酸化皮膜の破砕などによって再び急速閉止弁の機能性を生じさせるか、または改善する、所望のパーシャルストロークが実現された後に、検査・制御弁システムの第一の制御弁8および第二の制御弁9は、再び図1に示す運転位置に切り替えられ、それによって、圧力源Pは、通路7,7.1と、調整可能な制限器14と、第一の制御弁および第二の制御弁8,9と、逆止弁12と、通路3.22,3.2,3とを介して作動室2.3と連結され、それによって、当該作動室内の油圧が増大し、作用ピストン2.1を板バネ2.2のプリテンションに抗して動かし、これによって、検査用ジェネレータ40がセンサ40.1,40.2を介して、パーシャルストロークが解除されたことを確認するまで、急速閉止弁を再び開放する。第一の制御弁8および第二の制御弁9の停止位置も、停止位置センサを介して監視されるとともに、情報ケーブル40.4,40.6を介して検査用ジェネレータに報告される。
【0038】
逃がし弁・制御弁システム6と、検査・制御弁システム8,9は構成ユニットとしてコンパクトなブロックに統合されている。このとき第一の制御弁8と第二の制御弁9とは、前置されるとともに調整可能な制限器13と、図1に示すように直列に接続されている。第一の制御弁と第二の制御弁とは、前述のように、一定の時間間隔で、検査用ジェネレータ40によって、パーシャルストロークテストを行うために作動される。2−out−of−3の多数決論理を実現する弁ブロック6,8,9は、防爆型の構成で実現されていてもよい。
【0039】
逃がし弁・制御弁システム6と、検査・制御弁システム8,9という、二つの部分ユニは、回転速度検出ユニット10,20,30もしくは検査用ジェネレータ40によって、作動される。当該回転速度検出ユニットと検査用ジェネレータとは、超過回転速度検出システム50に統合されていてよい。
【0040】
超過回転速度検出システム50は、特に、さらなる電気負荷を遮断するための、2−out−of−3の多数決論理で構成される二重回路を実現するために、さらなるリレー構成群(図示せず)を有していてよい。
【0041】
三つの回路による冗長性が構築されている。トリップメッセージもしくは急速閉止メッセージもしくはトリップコマンドもしくは急速閉止コマンドは、2−out−of−3の多数決論理回路において比較され、多数が表すメッセージは、強制ガイド接点を備えるフェイルセーフ・リレー回路において、三重に出力される(図示せず)。
【0042】
トリップもしくは急速閉止を生じさせるために、2−out−of−3の多数決論理回路が、外部に対して三つ利用可能である。当該多数決論理回路はトリップもしくは急速閉止の際に開放される。さらに、上記のさらなる二重回路が利用に供される。
【0043】
回転速度検出ユニット10,20,30のうちの一つまたは複数が好適に、送信器・回路監視部と、送信器・信号監視部と、送信信号・継続連結部、超過回転速度限界値、過少回転速度限界値、リレー出力部を有するゼロ回転速度表示部、外部トリップ作動のための制御入力部、トリップライン監視部もしくは2−out−of−3の多数決論理による電磁弁監視部、誤動作表示部および/または回転方向認識部を有する。
【0044】
一つまたは複数の回転速度検出ユニット10,20,30の機器前面には、操作およびパラメータ化を行うためのキー操作部(図示せず)と、実際の回転速度の表示および故障情報の表示のための五桁のディスプレイと、ステータス表示のための4個のLEDが設けられている。プロフィバス・マスターとデータ交換を行うために、個々の回転速度検出ユニット10,20,30は前面にプロフィバス・DP・インターフェースを備えている(図示せず)。
【0045】
検査用ジェネレータ40は、超過回転速度と、2−out−of−3の多数決論理による弁ブロックの2−out−of−3の多数決論理回路と、パーシャルストロークテストとのための、自動的かつ周期的な検査ルーチンを備えている。ジェネレータの機器前面には、パラメータ化を行うためのキー操作部と、テスト回転速度の表示のためのディスプレイと、ステータス表示のためのLEDと、プロフィバス・マスターとデータ交換を行うための、プロフィバス・インターフェースとが設けられている(図示せず)。
【0046】
詳しく示されない方法で、トリップまたは急速閉止はフェイルセーフな制御部にセーブされ得る。トリップ・リセットは、このようなフェイルセーフな制御部において実現されていてよい。内部または外部のトリップ条件がない場合、システムは好適に自動的にGO状態に移行する。超過回転速度保護を実施するためには、フェイルセーフな制御が好適である。
【符号の説明】
【0047】
1 蒸気タービン動翼
2 急速閉止弁
2.1 作用シリンダー
2.2 板バネ
2.3 作動室
3,3.1,3.2 油圧液通路
4 逃がし弁
5 油圧液通路
6 逃がし弁・制御弁システム
7,7.1,7.2 油圧液通路
8 第一の制御弁
9 第二の制御弁
10,20,30 回転速度検出ユニット
10.1,20.1,30,1 情報ケーブル
10.2,20.2,30.2 制御ケーブル
11,12 逆止弁
13,14 調整可能な制限器
15,15.1,15.2
15.21,15.22 油圧液通路
16 圧力排出部(タンク)
17.1,17.2,17.3 回転速度検出装置
40 検査用ジェネレータ
40.1,40.2 ストロークセンサ
40.3,40.5 制御ケーブル
40.4,40.6 情報ケーブル
50 超過回転速度検出システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンの急速閉止弁(2)のための制御装置であって、当該急速閉止弁を開放する油圧を減少させるための逃がし弁(4)と、
少なくとも三個の弁を有する逃がし弁・制御弁システム(6)であって、当該弁は前記逃がし弁と油圧式に相互接続されており、それによって、前記逃がし弁は、前記逃がし弁・制御弁システムの少なくとも2個の弁が、急速停止位置に切り替えられる場合に初めて、前記急速閉止弁を閉鎖する、逃がし弁・制御弁システムと、を有する制御装置において、
逃がし弁(4)が閉鎖されているとき、前記急速閉止弁(2)を開放する油圧を、選択的に減少および増大させるための検査・制御弁システム(8,9)を特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記検査・制御弁システムは、第一の制御弁(8)と第二の制御弁(9)とを有していることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第一の制御弁(8)と前記第二の制御弁(9)は、直列に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記検査・制御弁システム(8,9)と、圧力源(P)および/または前記急速閉止弁(2)との間に、特に調整可能な制限器(13,14)が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記逃がし弁・制御弁システム(6)と、前記検査・制御弁システム(8,9)は、構成ユニットを形成していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記逃がし弁・制御弁システム(6)の少なくとも一つの弁および/または前記検査・制御弁システムの少なくとも一つの弁(8,9)は、4/2電磁切り替え弁として形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記逃がし弁・制御弁システムおよび/または前記検査・制御弁システムは、停止位置監視部を有していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置であって、当該制御装置は、前記蒸気タービンの回転速度を検出するとともに、前記逃がし弁・制御弁システム(6)を前記急速閉止位置に切り替えるための逃がし弁制御部(10,20,30)を有していることを特徴とする制御装置。
【請求項9】
前記逃がし弁制御部は、少なくとも三個の回転速度検出ユニット(10,20,30)を有しており、当該回転速度検出ユニットは、少なくとも二個の回転速度検出ユニットによって、所定の閾値を超える蒸気タービンの回転速度が検出された場合に初めて、前記逃がし弁・制御弁システムが急速閉止位置に切り替えられるように、相互接続されていることを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記回転速度検出ユニットは、同期監視部と、ゼロ回転速度監視部および/または過少回転速度監視部を有していることを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記逃がし弁制御部(10,20,30)と、少なくとも三個の回転速度検出装置(17.1,17.2,17.3)との連結および/または前記逃がし弁制御部と前記逃がし弁・制御弁システム(6)の少なくとも三個の弁との連結は、物理的に独立して形成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記逃がし弁制御部は、前記逃がし弁・制御弁システム(6)および/または前記検査・制御弁システム(8,9)の弁を試験的に作動させるために、検査用ジェネレータ
(40)を有していることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記検査用ジェネレータは、パラメータ化可能であるとともに、運転時間カウンタおよび/またはスタートカウンタを有していることを特徴とする請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の、制御装置を有する、蒸気タービンのための急速閉止弁(2)。
【請求項15】
請求項14に記載の急速閉止弁(2)のパーシャルストロークテストを実施するための方法であって、前記検査・制御弁システム(8,9)は、逃がし弁が閉鎖されているとき、前記急速閉止弁を開放する油圧を減少させ、続いて再び増大させることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記逃がし弁・制御弁システム(6)の少なくとも三個の弁は、交互に、個々に、試験的に前記急速閉止位置に切り替えられることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−521158(P2011−521158A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509889(P2011−509889)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003585
【国際公開番号】WO2009/141131
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510153962)マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー (65)
【Fターム(参考)】