説明

蒸着パターン形成装置及び蒸着パターン形成方法

【課題】 複雑な蒸着パターンを形成可能で、蒸着パターンの精度を向上できる蒸着パターン形成方法及び蒸着パターン形成装置を実現する。
【解決手段】 蒸着パターン形成装置10は、蒸着源基板14の上面に収容部材11を取り付けて構成される。蒸着源基板14は、収容部材11を加熱するためのヒータ12を支持基板13の上面に取り付けて構成される。収容部材11の上面11bには、半導体基板に形成する所定の蒸着パターンと対応した形状に開口した開口面11dが形成されている。半導体基板31の基板面31aを、収容部11aに金属ナノ粒子21が収容された収容部材11の開口面11dに対向させて配置し、収容部材11をヒータ12により加熱すると、金属ナノ粒子21は収容部11aの内部で蒸発し、開口面11dを通じて基板面31aに蒸着され、所定の蒸着パターン32が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸着材料を被蒸着基板の表面に蒸着して所定の蒸着パターンを形成する蒸着パターン形成装置及び蒸着パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置などの製造において、電極などのパターンを形成する場合に、蒸着源において蒸着材料を蒸発させて半導体基板に蒸着することにより、半導体基板の表面に所定の蒸着パターンを形成する蒸着法を用いることがある。このような蒸着法として、半導体基板と蒸着源との間にマスクを設けて、マスクが開口した部分にのみ蒸着を行うマスク蒸着法が知られている。マスク蒸着法では、蒸着源と半導体基板の間にマスクを挿入するため、マスクの厚さ、形状などに制限があり、蒸着源と半導体との距離を近づけることができないので、蒸着材料が半導体基板の基板面方向に広がってしまい、蒸着パターンの形状精度の向上が困難であるという問題があった。また、同心円等のくり抜き部分があるような蒸着パターンは、マスクを保持できないため形成できないという問題があった。
【0003】
これらの問題を解消するために、例えば、下記特許文献1では、蒸着源のヒータを蒸着パターンに対応した形状に形成し、マスクを用いずに蒸着パターンを形成する方法が開示されている。
図10に、従来の蒸着パターン形成方法の一例を示す。蒸着材料121を蒸発させるための蒸発源は、蒸着源基板113と、蒸着材料121を加熱して蒸発させるためのヒータ112と、断熱部材114とから構成されている。ヒータ112は、蒸着源基板113の表面に、蒸着パターン132に対応した形状に露出して形成されている。ヒータ112が露出していない部分には、断熱部材114が形成されている。
蒸着パターン132を形成するためには、まず、ヒータ112及び断熱部材114の表面を、蒸着材料121により被覆する。次に、蒸着源基板113を半導体基板131に近づけて対向させ、蒸着材料121をヒータ112により加熱する。これにより、ヒータ112を被覆していた蒸着材料121だけが蒸発して、半導体基板131の基板面131aにヒータ112のパターンの形状で蒸着し、蒸着パターン132が形成される。この方法では、マスクを用いないため、蒸着源基板113と半導体基板131との距離を近づけることが可能となり、マスク蒸着法に比べて蒸着パターン132の精度を向上することができる。また、マスクを用いないため、同心円等のくり抜き部分があるような蒸着パターン132でも形成することができる。
【特許文献1】特開2001−295027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この方法では、蒸着源基板113に、ヒータ112と断熱部材114とにより蒸着パターン132を形成するため、複数の部材の組合せにより蒸着パターン132を形成することになり、複雑な蒸着パターン132を形成することが困難であるという問題があった。また、ヒータ112と断熱部材114とが凹凸部を形成し、半導体基板131の基板面131aが凸部と接触しないようにしなければならないため、ある程度以上に半導体基板131と蒸発源との距離を近づけることができず、蒸着パターン132の精度を十分に向上することができないという問題があった。
【0005】
そこで、この発明は、複雑な蒸着パターンを形成可能で、蒸着パターンの精度を向上できる蒸着パターン形成方法及び蒸着パターン形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、蒸着材料を被蒸着基板の表面に蒸着して所定の蒸着パターンを形成する蒸着パターン形成装置において、前記所定の蒸着パターンに対応した形状に開口した開口面が上面に形成されており、前記蒸着材料を収容する収容部が、前記開口面に連通して下方に向かって形成されている収容手段と、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段により、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記開口面を通じて、前記収容手段の上方に配置した前記被蒸着基板の表面に蒸着することにより、前記被蒸着基板の表面に前記所定の蒸着パターンを形成する、という技術的手段を用いる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の蒸着パターン形成装置において、前記収容手段のうち、前記収容部の底部より上方の部分は、前記収容部の底部より下方の部分より熱伝導率が低くなるように形成されている、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の蒸着パターン形成装置において、前記収容手段は、前記収容部の底部で静電気力を発生させる静電気力発生手段を更に備えた、という技術的手段を用いる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の蒸着パターン形成装置において、前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、網目部分を有するメッシュ状部材によって覆われている、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の蒸着パターン形成装置において、前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、上下方向に前記蒸着材料が通過できない大きさの貫通孔を有しており、この貫通孔を介して前記蒸着材料を吸引する吸引手段を下面に備えた吸引部材によって覆われている、という技術的手段を用いる。
【0011】
請求項6に記載の発明では、蒸着材料を被蒸着基板の表面に蒸着して所定の蒸着パターンを形成する蒸着パターン形成方法において、前記所定の蒸着パターンに対応した形状に開口した開口面が上面に形成されており、前記蒸着材料を収容する収容部が前記開口面に連通して下方に向かって形成されている収容手段と、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱する加熱手段と、を用意し、前記収容部に前記蒸着材料を収容する収容工程と、前記被蒸着基板の表面を前記収容手段の上方に前記開口面と対向させて配置し、前記加熱手段により、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記開口面を通じて前記被蒸着基板の表面に蒸着させることにより、前記所定の蒸着パターンを形成する蒸着工程と、を有する、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の蒸着パターン形成方法において、前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記収容手段を傾斜させることにより、前記収容部に収容されずに前記収容手段の上面に残存した前記蒸着材料を、前記収容手段の上面から落下させて取り除く工程である、という技術的手段を用いる。
【0013】
請求項8に記載の発明では、請求項6に記載の蒸着パターン形成方法において、前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記収容手段の上面をはらうことにより、前記収容部に収容されずに前記収容手段の上面に残存した前記蒸着材料を、前記収容手段の上面から取り除く工程である、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項9に記載の発明では、請求項6に記載の蒸着パターン形成方法において、前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記収容手段の上面に気体を吹き付けることにより、前記収容部に収容されずに前記収容手段の上面に残存した前記蒸着材料を、前記収容手段の上面から取り除く工程である、という技術的手段を用いる。
【0015】
請求項10に記載の発明では、請求項6ないし請求項9のいずれか1つに記載の蒸着パターン形成方法において、前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記加熱手段によって、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱することにより、前記収容部に収容された蒸着材料を前記収容部に付着させる工程を更に備えた、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項11に記載の発明では、請求項6に記載の蒸着パターン形成方法において、前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、網目部分を有するメッシュ状部材によって覆われており、前記収容工程は、前記蒸着材料を上面に載置した載置部材を用意し、前記収容手段を前記メッシュ状部材を下にして前記載置部材の上に載置することにより、前記載置部材の上面に載置された蒸着材料を前記メッシュ状部材の網目部分を通して前記収容部に収容する工程である、という技術的手段を用いる。
【0017】
請求項12に記載の発明では、請求項6に記載の蒸着パターン形成方法において、前記収容手段は、前記収容部の底部で静電気力を発生させる静電気力発生手段を更に備えており、前記収容工程は、前記蒸着材料を上面に載置した載置部材を用意し、前記載置部材の上方にて前記収容手段の開口面と前記載置部材の上面とを対向させ、前記静電気力発生手段によって前記収容部の底部に静電気力を発生させることにより、前記載置部材の上面に載置された蒸着部材を前記収容部に吸着する工程である、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項13に記載の発明では、請求項6に記載の蒸着パターン形成方法において、前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、上下方向に前記蒸着材料が通過できない大きさの貫通孔を有しており、この貫通孔を介して前記蒸着材料を吸引する吸引手段を下面に備えた吸引部材によって覆われており、前記収容工程は、前記蒸着材料を上面に載置した載置部材を用意し、前記載置部材の上方にて前記収容手段の開口面と前記載置部材の上面とを対向させ、前記吸引手段によって、前記吸引部材の下面から、前記載置部材の上面に載置された蒸着部材を吸引し、前記収容部に収容する工程である、という技術的手段を用いる。
【0019】
請求項14に記載の発明では、請求項6ないし請求項13のいずれか1つに記載の蒸着パターン形成方法において、前記蒸着材料は、金属ナノ粒子21である、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項15に記載の発明では、請求項6ないし請求項13のいずれか1つに記載の蒸着パターン形成方法において、前記蒸着材料は、金属粒子を含有する金属インクである、という技術的手段を用いる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1及び請求項6に記載の発明によれば、蒸着材料を収容する収容手段の上面には、所定の蒸着パターンに対応した形状に開口した開口面が形成されており、蒸着材料を収容する収容部が開口面に連通して下方に向かって形成されており、収容部に収容された蒸着材料は加熱手段により加熱され、開口面を通じて、被蒸着基板に蒸着される。
従って、収容手段の上面と被蒸着基板の表面との間に所定の蒸着パターンを形成するための部材が介在しないので、収容手段の開口面と被蒸着基板との間隔を小さくすることができる。これにより、蒸着材料が被蒸着基板の面方向へ広がることを防止することができるため、開口面の形状がそのまま蒸着パターンとして被蒸着基板の表面に転写されるので、蒸着パターンの精度を向上させることができる。
また、収容手段の開口面の形状により蒸着パターンの形状を構成することができるため、従来の蒸着パターン形成装置のように、ヒータや断熱部材などの部材で蒸着パターンの形状を構成する場合に比べて、複雑な蒸着パターンを容易に形成することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、収容手段のうち、収容部の底部より上方の部分は、収容部の底より下方の部分より熱伝導率が低くなるように形成されているので、収容部以外に残存した蒸着部材は十分には加熱されず、収容部に収容されている蒸着材料のみが十分に加熱される。
従って、開口面以外から蒸着材料が蒸発するおそれがなく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。
【0023】
請求項3及び請求項12に記載の発明によれば、収容手段は、収容部の底部で静電気力を発生させる静電気力発生手段を更に備えており、静電気力発生手段によって静電気力を発生させることにより蒸着材料を吸着するので、収容部にのみ蒸着材料を収容することができる。
従って、開口面以外から蒸着材料が蒸発するおそれがなく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。
【0024】
請求項4及び請求項11に記載の発明によれば、収容部は、収容手段を貫通して形成されており、収容部の下方の開口面は、網目部分を有するメッシュ状部材によって覆われているため、収容部の下方からメッシュ部材の網目部分を通して蒸着材料を収容部にのみ収容することができ、収容手段の上面に蒸着材料が残存するおそれがない。
従って、開口面以外から蒸着材料が蒸発するおそれがなく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。また、収容部が複数の場合には、各収容部に蒸着部材を一度に収容することができるため、収容時間を短縮することができる。
【0025】
請求項5及び請求項13に記載の発明によれば、収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、収容部の下方の開口面は、上下方向に前記蒸着材料が通過できない大きさの貫通孔を有しており、この貫通孔を介して蒸着材料を吸引する吸引手段を下面に備えた吸引部材によって覆われており、吸引手段によって吸引部材の下面から蒸着部材を吸引するので、収容部にのみ蒸着材料を収容することができる。
従って、開口面以外から蒸着材料が蒸発するおそれがなく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、収容手段の上面に蒸着材料を載置することにより、収容部に蒸着材料を収容した後に、収容手段を傾斜させるという簡単な工程により、収容部に収容されずに収容手段の上面に残存した蒸着材料を、収容手段の上面から落下させて取り除くことができる。
従って、蒸着材料を収容部にのみ収容することができるため、開口面以外から蒸着材料が蒸発するおそれがなく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。また、収容部に収容されずに収容手段の上面に残存した蒸着材料を、収容手段の上面から取り除くために、別の部材を容易する必要がない。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、収容手段の上面に蒸着材料を載置することにより、収容部に蒸着材料を収容した後に、収容手段の上面をはらうという簡単な工程により、収容部に収容されずに収容手段の上面に残存した蒸着材料を、収容手段の上面から取り除くことができる。
従って、蒸着材料を収容部にのみ収容することができるため、開口面以外から蒸着材料が蒸発するおそれがなく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、収容手段の上面に蒸着材料を載置することにより、収容部に蒸着材料を収容した後に、収容手段の上面に気体を吹き付けるという簡単な工程により、収容部に収容されずに収容手段の上面に残存した蒸着材料を、収容手段の上面から取り除くことができる。これにより、蒸着材料を収容部にのみ収容することができるため、開口面以外から蒸着材料が蒸発するおそれがなく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、収容工程では、収容手段の上面に蒸着材料を載置することにより、収容部に蒸着材料を収容した後に、加熱手段によって収容部に収容された蒸着材料を加熱することにより、収容部に収容された蒸着材料を収容部に付着させる工程を更に備えているため、収容部に収容された蒸着部材は、収容部内に強固に保持される。これにより、例えば、収容手段を傾斜させても、収容部の上面に残存した蒸着材料のみが落下し、収容部に収容された蒸着材料は落下するおそれがない。
【0030】
請求項14に記載の発明によれば、蒸着材料は、金属ナノ粒子であるため、流動性が高く、必要な量を収容部に効率よく収容することができる。また、金属ナノ粒子は、流動性が高いため、複雑な形状の開口面から収容部に収容することができるので、複雑な形状の蒸着パターンを形成することができる。更に、金属ナノ粒子は、比表面積が大きく、溶融しやすいので、場所による蒸発挙動の差が小さく、蒸着パターンの精度を向上させることができる。
【0031】
請求項15に記載の発明によれば、蒸着材料は、金属粒子を含有する金属インクであるため、流動性が高く、必要な量を収容部に効率よく収容することができる。また、金属インクは、流動性が高いため、複雑な形状の開口面から収容部に収容することができるので、複雑な形状の蒸着パターンを形成することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
〈第1実施形態〉
この発明に係る蒸着パターン形成装置及び蒸着パターン形成方法の第1実施形態について、図を参照して説明する。図1は、蒸着パターン形成装置の構成を示す説明図である。図1(A)は、蒸着パターン形成装置を上方から見た平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)のX−X矢視断面図である。図2は、蒸着パターン形成装置の収容部へ金属ナノ粒子を収容する方法を示す説明図である。図3は、蒸着パターン形成装置による蒸着パターン形成方法の説明図である。
なお、いずれの図においても、説明のために一部を拡大して誇張して示している。
【0033】
[蒸着パターン形成装置]
図1(B)に示すように、蒸着パターン形成装置10は、蒸着源基板14の上面に収容部材11を取り付けて構成される。蒸着源基板14は、収容部材11を加熱するためのヒータ12を支持基板13の上面に取り付けて構成される。つまり、収容部材11の下面11hにヒータ12が取り付けられている。
【0034】
図1(A)に示すように、収容部材11の上面11bには、半導体基板に形成する所定の蒸着パターンと対応した形状に開口した開口面11dが形成されている。
図1(B)に示すように、蒸着材料を収容するための複数の収容部11aが、それぞれ開口面11dに連通して収容部材11の下方に向かって、例えば、深さ1μm、幅10μmの溝状に形成されている。
収容部11aは、例えば、熱伝導性に優れた材料であるタンタル、タングステン、もしくはシリコン基板等をエッチング法でパターニングすることにより形成する。または、真空蒸着法などにより、平坦部11fの上部に凸部11eを形成することにより形成してもよい。
【0035】
支持基板13は、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスで形成された板状の部材である。ヒータ12は、支持基板13の上面に、例えば、厚さ1μm以下のモリブデン薄膜により形成されており、図示しない電極と電気的に接続されている。ヒータ12は、収容部材11の下面11hと当接して設けられ、収容部材11を下面11hから加熱する。
【0036】
[蒸着パターン形成方法]
(蒸着材料の収容工程)
まず、図2(A)に示すように、蒸着材料として粒径が数100nm程度の金、銀、アルミニウム、白金などの金属ナノ粒子21と、蒸着パターン形成装置10とを用意する。
金属ナノ粒子21を収容部11aに収容するためには、まず、蒸着パターン形成装置10を水平に保持し、収容部材11の上面11bに、収容部11aに収容可能な量より多い金属ナノ粒子21を載置する。このとき、収容部11aに金属ナノ粒子21が収容されるとともに、収容部11aに収容されなかった過剰の金属ナノ粒子21が、収容部材11の上面11b上に残存している。
【0037】
次に、図2(B)に示すように、蒸着パターン形成装置10の一端を持ち上げて傾斜させると、収容部材11の上面11bに残存していた金属ナノ粒子21は、蒸着パターン形成装置10の下方に滑り落ちる。一方、収容部11aに収容されている金属ナノ粒子21は、収容部11aの内部に収容された状態のままであり、収容部材11から落下することがない。
蒸着パターン形成装置10の下方には、図示しない金属ナノ粒子21を回収する回収手段が設けられており、蒸着パターン形成装置10の下方に落下した金属ナノ粒子21は回収され、再利用される。
なお、蒸着パターン形成装置10を傾斜させる際に振動を付加してもよい。
続いて、図2(C)に示すように、蒸着パターン形成装置10を水平状態に戻すと、収容部11aにのみ金属ナノ粒子21が収容された状態になる。
【0038】
(蒸着パターンの蒸着工程)
次に、半導体基板の基板面に所定の蒸着パターンを形成する蒸着工程について説明する。
まず、図3に示すように、半導体基板31の基板面31aを、前述の収容工程により収容部11aに金属ナノ粒子21が収容された収容部材11の開口面11dに対向させて配置する。このとき、両者の間隔が10μm以下、例えば、5μmになるように配置する。次に、ヒータ12を通電し、収容部材11の下面11hを加熱すると、金属ナノ粒子21は収容部11aの内部で溶融し、蒸発する。金属ナノ粒子21の蒸気は、開口面11dを通じて垂直方向に上昇し、半導体基板31の基板面31aに蒸着され、所定の蒸着パターン32が形成される。
【0039】
このとき、収容部材11の開口面11dと半導体基板31の基板面31aとの間に蒸着パターン32を形成するための部材が介在しないので、半導体基板31の基板面31aと収容部材11の開口面11dとの間隔を小さくすることができ、金属ナノ粒子21の蒸気の横方向への広がりを防止することができる。これにより、開口面11dの形状がそのまま蒸着パターン32として半導体基板31の基板面31aに転写されるので、蒸着パターン32の精度を向上させることができる。
【0040】
また、蒸着材料として流動性の高い金属ナノ粒子21を使用するため、必要な量を収容部11aに効率よく収容することができる。また、金属ナノ粒子21は、流動性が高いため、複雑な形状の開口面11dから収容部11aに収容することができるので、複雑な形状の蒸着パターン32を形成することができる。更に、金属ナノ粒子21は、比表面積が大きく溶融しやすいので、収容部11aの場所による蒸発挙動の差が小さく、蒸着パターン32の精度を向上させることができる。
【0041】
(収容工程の変更例)
金属ナノ粒子21の収容工程の変更例を示す。図4及び図5は、蒸着パターン形成装置の収容部へ金属ナノ粒子を収容する方法の変更例を示す説明図である。
図4に示すように、金属ナノ粒子21を載置した収容部材11の上面11bを、例えば、少なくとも先端部がゴムのような柔らかい材料で形成された刷毛状部材41を用いて、上面11bの一端から他端へ向かって掃くことにより、収容部11aに収容されずに上面11bに残存した金属ナノ粒子21を、上面11bからはらい落としてもよい。この構成を使用することにより、簡単な工程によって、金属ナノ粒子21を収容部11aにのみ収容することができる。
【0042】
また、図5に示すように、金属ナノ粒子21を載置した収容部材11の上面11bに、例えば、一方向に送風するブロア42を用いて、上面11bに略平行な方向に空気を吹き付けることにより、収容部11aに収容されずに上面11bに残存した金属ナノ粒子21を、上面11bから吹き飛ばしてもよい。この構成を使用することにより、簡単な工程によって、金属ナノ粒子21を収容部11aにのみ収容することができる。
【0043】
本実施形態では、蒸着材料として金属ナノ粒子21を用いたが、例えば、金属インクや高分子材料の微粒子なども使用することができる。蒸着材料を蒸着する基板として、半導体基板31以外にも、例えば、ガラス板なども使用することができる。
また、収容部11aの内部の形状は、開口面11dの形状を保っていれば、溝状に限らない。例えば、隣接する収容部11aが内部で連通していてもよい。
【0044】
[第1実施形態の効果]
(1)収容部材11の開口面11dと半導体基板31の基板面31aとの間に蒸着パターン32を形成するための部材が介在しないので、収容部材11の上面11bと半導体基板31の基板面31aとの間隔を小さくすることができる。これにより、金属ナノ粒子21の半導体基板31の基板面31a方向への広がりをより小さくすることができるため、開口面11dの形状がそのまま蒸着パターン32として半導体基板31の基板面31aに転写されるので、蒸着パターン32の精度を向上させることができる。
また、収容部材11の開口面11dの形状により蒸着パターン32の形状が構成することができるため、従来の蒸着パターン形成装置のように、ヒータや断熱部材などの部材で蒸着パターンの形状を構成する場合に比べて、容易に複雑な蒸着パターン32を形成することができる。
【0045】
(2)金属ナノ粒子21の収容部11aへの収容工程において、収容部材11の上面11bに金属ナノ粒子21を載置することにより、収容部11aに金属ナノ粒子21を収容した後に、収容部材11を傾斜させる、収容部材11の上面11bをはらう、または、収容部材11の上面11bに気体を吹き付けるという簡単な工程により、収容部11aに収容されずに収容部材11の上面11bに残存した金属ナノ粒子21を、収容部材11の上面11bから取り除くことができる。これにより、金属ナノ粒子21を収容部11aにのみ収容することができるため、開口面11d以外から金属ナノ粒子21が蒸発するおそれがなく、蒸着パターン32の精度を向上させることができる。また、蒸着源を簡単な工程で形成できる事から、蒸着準備から、蒸着完了までの時間を短くすることが可能となる。
【0046】
〈第2実施形態〉
この発明に係る蒸着パターン形成装置及び蒸着パターン形成方法の第2実施形態について、図を参照して説明する。図6は、メッシュ状部材を備えた収容部材を用いた金属ナノ粒子の収容方法の説明図である。図7は、メッシュ状部材を備えた収容部材を用いた金属インクの収容方法の説明図である。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0047】
(金属ナノ粒子の収容方法)
図6(A)に示すように、第2実施形態では、収容部11aは、収容部材11を上下方向に貫通して形成されており、収容部11aの下方の開口面11gは、網目部分を有するメッシュ状部材15によって覆われている。
メッシュ状部材15は、網目部分が金属ナノ粒子21が通過可能な大きさに形成された、例えば、モリブデンメッシュを用いることができる。この場合、メッシュ状部材15に通電することにより、加熱することができる。
【0048】
収容部11aに金属ナノ粒子21を収容するためには、まず、図6(A)に示すように、収容部材11の下方に用意した板状の載置部材51の上面に、例えば、約5μmの厚さで均一に金属ナノ粒子21を載置する。
次に、図6(B)に示すように、収容部材11を、メッシュ状部材15を下にして載置部材51の上に載置する。これにより、金属ナノ粒子21は、メッシュ状部材15の網目部分を通して収容部11aに収容される。
続いて、メッシュ状部材15に通電すると、メッシュ状部材15が加熱され、金属ナノ粒子21が凝集し、メッシュ状部材15に固着させる。これにより、メッシュ状部材15の網目部分が閉塞する。
【0049】
続いて、図6(C)に示すように、収容部材11を載置部材51の上方に移動させる。ここで、メッシュ状部材15の網目部分は閉塞しているため、収容部11aに金属ナノ粒子21を収容した状態で収容部材11を移動させることができる。
そして、図6(D)に示すように、収容部材11を蒸着源基板14のヒータ112に当接させて載置する。
【0050】
なお、収容部材11は、スクリーン印刷、スパッタリングなどにより、メッシュ状部材15の上面に形成してもよい。
【0051】
(金属インクの収容方法)
蒸着材料として、金属粒子を含有する金属インクを用いることもできる。
収容部11aに金属インク22を収容するためには、まず、図7(A)に示すように、収容部材11の下方に用意した板状の載置部材51の表面に、スピンコート、スクリーン印刷などにより、例えば、約5μmの厚さで均一に金属インク22を塗布する。
【0052】
次に、図7(B)に示すように、収容部材11を、メッシュ状部材15を下にして載置部材51の上に載置する。これにより、金属インク22は、メッシュ状部材15の網目部分を通して収容部11aに収容される。
続いて、メッシュ状部材15への通電、または、自然乾燥などにより、金属インク22を乾燥させると、金属インク22は収容部11aの内部で固着する。これにより、メッシュ状部材15の網目部分が閉塞する。
【0053】
続いて、図7(C)に示すように、収容部材11を載置部材51の上方に移動させる。ここで、メッシュ状部材15の網目部分は閉塞しているため、収容部11aに金属インク22を収容した状態で収容部材11を移動させることができる。
そして、図7(D)に示すように、収容部材11を蒸着源基板14のヒータ112に当接させて載置する。
【0054】
金属インク22は金属ナノ粒子21に比べて流動性が高いので、メッシュ状部材15の網目部分を通過しやすい。また、金属ナノ粒子21を使用した場合と同様に、必要な量を収容部11aに効率よく収容することができるとともに、複雑な形状の蒸着パターン32を形成することができる。
【0055】
[第2実施形態の効果]
金属ナノ粒子21、または、金属インク22を、収容部材11の下方の開口面11gに設けられたメッシュ状部材15の網目部分を通して収容部11aに収容するため、収容部材11の上面11bに金属ナノ粒子21、または、金属インク22が残存するおそれがない。そのため、開口面11d以外から金属ナノ粒子21が蒸発するおそれがなく、蒸着パターン32の精度を向上させることができる。
【0056】
〈その他の実施形態〉
(1)図2(A)に示すように、金属ナノ粒子21を収容部材11に載置した状態で、金属ナノ粒子21が融点Tm(K)以下の温度、例えば、Tm/2(K)になるようにヒータ12で加熱してもよい。
金属ナノ粒子21は比表面積が大きいため、融点Tm(K)以下の温度でも融着するので、収容部11aに収容された金属ナノ粒子21が互いに融着し、収容部11aの底部11cに固着する。これにより、図2(B)に示すように、蒸着パターン形成装置10の一端を持ち上げて傾斜させた場合にも、収容部11aに収容された金属ナノ粒子21が落下するおそれがなく、収容部材11の上面11bに残存する金属ナノ粒子21のみを確実に取り除くことができる。
ここで、この構成を用いる場合には、金属ナノ粒子21の上面11bでの融着を防止するため、収容部11aの底部11cより上方の凸部11eを、底部11cより下方の平坦部11fより熱伝導率が低い材料で構成することが好ましい。
【0057】
(2)静電気力を利用して、金属ナノ粒子21などの蒸着材料を収容部11aに収容してもよい。図8は、静電気力を利用した金属ナノ粒子21の収容方法の説明図である。
図8(A)に示すように、収容部材11の平坦部11fは帯電しやすく大きな静電気力を誘起できる材料により形成し、凸部11eを帯電しにくい材料により形成する。平坦部11fには、平坦部11fに電圧を印加し、底部11cで静電気力を誘起する静電気発生装置61が備えられている。収容部11aに金属ナノ粒子21を収容するためには、まず、収容部材11の下方に用意した板状の載置部材51の表面に、例えば、約5μmの厚さで均一に金属ナノ粒子21を載置する。収容部材11は、開口面11dを金属ナノ粒子21に対向させて、所定の間隔を空けて配置する。
次に、静電気発生装置61により平坦部11fに電圧を印加すると、収容部11aの底部11cに静電気力が誘起され、図8(B)に示すように、収容部11aに内部にのみ、金属ナノ粒子21を吸着することができる。
続いて、図8(C)に示すように、収容部材11の上面11bが上方を向くように、収容部材11の向きを変えた後に、静電気発生装置61による電圧の印加を停止する。これにより、金属ナノ粒子21は収容部11aにのみ収容された状態となる。
そして、図8(D)に示すように、収容部材11から静電気発生装置61を取り外した後に、収容部材11を蒸着源基板14に当接させて載置する。
この構成を使用すると、収容部材11の上面11bに金属ナノ粒子21が付着するおそれがないので、精度が高い蒸着パターン32が形成できる。
【0058】
(3)吸引装置による吸引力を利用して、金属ナノ粒子21などの蒸着材料を収容部11aに収容してもよい。図9は、吸引装置を備えた吸引部材を用いた金属ナノ粒子の収容方法の説明図である。
図9(A)に示すように、収容部11aは、収容部材11を上下方向に貫通して形成されており、収容部11aの下方の開口面11gは、上下方向に前記蒸着材料が通過できない大きさの貫通孔を有する吸引部材71によって覆われている。吸引部材71として、ナノオーダーの細孔を有する膜材料や陽極酸化法により厚さ方向に貫通孔を形成したアルミニウム材料などを用いることができる。
吸引部材71の収容部材11と反対側の面には、吸引部材71の貫通孔を介して金属ナノ粒子21を吸引するための吸引装置72が備えられている。
収容部11aに金属ナノ粒子21を収容するためには、まず、収容部材11の下方に用意した板状の載置部材51の表面に、例えば、約5μmの厚さで均一に金属ナノ粒子21を載置する。収容部材11は、開口面11dを金属ナノ粒子21に対向させて、所定の間隔を空けて配置する。
次に、吸引装置72を作動させると、収容部11aの下方の開口面11gから金属ナノ粒子21が吸引され、図9(B)に示すように、収容部11aに内部にのみ、金属ナノ粒子21を吸着することができる。
続いて、図9(C)に示すように、収容部材11の上面11bが上方を向くように、収容部材11の向きを変えた後に、吸引装置72による電圧の印加を停止する。これにより、金属ナノ粒子21は収容部11aにのみ収容された状態となる。
そして、図9(D)に示すように、収容部材11から吸引装置72を取り外した後に、吸引部材71を蒸着源基板14に当接させて載置する。
この構成を使用すると、収容部材11の上面11bに金属ナノ粒子21が付着するおそれがないので、精度が高い蒸着パターン32が形成できる。
【0059】
[各請求項と実施形態との対応関係]
収容部材11が請求項1に記載の収容手段に、蒸着源基板14が加熱手段に、半導体基板31が被蒸着基板にそれぞれ対応する。静電気発生装置61が請求項3に記載の静電気力発生手段に対応する。吸引装置72が請求項5に記載の吸引手段に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】蒸着パターン形成装置の構成を示す説明図である。図1(A)は、蒸着パターン形成装置を上方から見た平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)のX−X矢視断面図である。
【図2】蒸着パターン形成装置の収容部へ金属ナノ粒子を収容する方法を示す説明図である。
【図3】蒸着パターン形成装置による蒸着パターン形成方法の説明図である。
【図4】蒸着パターン形成装置の収容部へ金属ナノ粒子を収容する方法の変更例を示す説明図である。
【図5】蒸着パターン形成装置の収容部へ金属ナノ粒子を収容する方法の変更例を示す説明図である。
【図6】メッシュ状部材を備えた収容部材を用いた金属ナノ粒子の収容方法の説明図である。
【図7】メッシュ状部材を備えた収容部材を用いた金属インクの収容方法の説明図である。
【図8】静電気力を利用した金属ナノ粒子の収容方法の説明図である。
【図9】吸引装置を備えた吸引部材を用いた金属ナノ粒子の収容方法の説明図である。
【図10】従来の蒸着パターン形成方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
10 蒸着パターン形成装置
11 収容部材(収容手段)
11a 収容部
11b 上面
11c 底部
11d 開口面
14 蒸着源基板(加熱手段)
15 メッシュ状部材
21 金属ナノ粒子
22 金属インク
31 半導体基板(被蒸着基板)
32 蒸着パターン
51 載置部材
61 静電気発生装置(静電気力発生手段)
71 吸引部材
72 吸引装置(吸引手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着材料を被蒸着基板の表面に蒸着して所定の蒸着パターンを形成する蒸着パターン形成装置において、
前記所定の蒸着パターンに対応した形状に開口した開口面が上面に形成されており、前記蒸着材料を収容する収容部が、前記開口面に連通して下方に向かって形成されている収容手段と、
前記収容部に収容された蒸着材料を加熱する加熱手段とを備え、
前記加熱手段により、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記開口面を通じて、前記収容手段の上方に配置した前記被蒸着基板の表面に蒸着することにより、前記被蒸着基板の表面に前記所定の蒸着パターンを形成することを特徴とする蒸着パターン形成装置。
【請求項2】
前記収容手段のうち、前記収容部の底部より上方の部分は、前記収容部の底部より下方の部分より熱伝導率が低くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着パターン形成装置。
【請求項3】
前記収容手段は、前記収容部の底部で静電気力を発生させる静電気力発生手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸着パターン形成装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、網目部分を有するメッシュ状部材によって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着パターン形成装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、上下方向に前記蒸着材料が通過できない大きさの貫通孔を有しており、この貫通孔を介して前記蒸着材料を吸引する吸引手段を下面に備えた吸引部材によって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着パターン形成装置。
【請求項6】
蒸着材料を被蒸着基板の表面に蒸着して所定の蒸着パターンを形成する蒸着パターン形成方法において、
前記所定の蒸着パターンに対応した形状に開口した開口面が上面に形成されており、前記蒸着材料を収容する収容部が前記開口面に連通して下方に向かって形成されている収容手段と、
前記収容部に収容された蒸着材料を加熱する加熱手段と、を用意し、
前記収容部に前記蒸着材料を収容する収容工程と、
前記被蒸着基板の表面を前記収容手段の上方に前記開口面と対向させて配置し、前記加熱手段により、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記開口面を通じて前記被蒸着基板の表面に蒸着させることにより、前記所定の蒸着パターンを形成する蒸着工程と、
を有することを特徴とする蒸着パターン形成方法。
【請求項7】
前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記収容手段を傾斜させることにより、前記収容部に収容されずに前記収容手段の上面に残存した前記蒸着材料を、前記収容手段の上面から落下させて取り除く工程であることを特徴とする請求項6に記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項8】
前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記収容手段の上面をはらうことにより、前記収容部に収容されずに前記収容手段の上面に残存した前記蒸着材料を、前記収容手段の上面から取り除く工程であることを特徴とする請求項6に記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項9】
前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記収容手段の上面に気体を吹き付けることにより、前記収容部に収容されずに前記収容手段の上面に残存した前記蒸着材料を、前記収容手段の上面から取り除く工程であることを特徴とする請求項6に記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項10】
前記収容工程は、前記収容手段の上面に前記蒸着材料を載置することにより、前記収容部に前記蒸着材料を収容した後に、前記加熱手段によって、前記収容部に収容された蒸着材料を加熱することにより、前記収容部に収容された蒸着材料を前記収容部に付着させる工程を更に備えたことを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1つに記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項11】
前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、網目部分を有するメッシュ状部材によって覆われており、
前記収容工程は、前記蒸着材料を上面に載置した載置部材を用意し、前記収容手段を前記メッシュ状部材を下にして前記載置部材の上に載置することにより、前記載置部材の上面に載置された蒸着材料を前記メッシュ状部材の網目部分を通して前記収容部に収容する工程であることを特徴とする請求項6に記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項12】
前記収容手段は、前記収容部の底部で静電気力を発生させる静電気力発生手段を更に備えており、
前記収容工程は、前記蒸着材料を上面に載置した載置部材を用意し、前記載置部材の上方にて前記収容手段の開口面と前記載置部材の上面とを対向させ、前記静電気力発生手段によって前記収容部の底部に静電気力を発生させることにより、前記載置部材の上面に載置された蒸着部材を吸着し、前記収容部に収容する工程であることを特徴とする請求項6に記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項13】
前記収容部は、前記収容手段を上下方向に貫通して形成されており、前記収容部の下方の開口面は、上下方向に前記蒸着材料が通過できない大きさの貫通孔を有しており、この貫通孔を介して前記蒸着材料を吸引する吸引手段を下面に備えた吸引部材によって覆われており、
前記収容工程は、前記蒸着材料を上面に載置した載置部材を用意し、前記載置部材の上方にて前記収容手段の開口面と前記載置部材の上面とを対向させ、前記吸引手段によって、前記吸引部材の下面から、前記載置部材の上面に載置された蒸着部材を吸引し、前記収容部に収容する工程であることを特徴とする請求項6に記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項14】
前記蒸着材料は、金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項6ないし請求項13のいずれか1つに記載の蒸着パターン形成方法。
【請求項15】
前記蒸着材料は、金属粒子を含有する金属インクであることを特徴とする請求項6ないし請求項13いずれか1つに記載の蒸着パターン形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−154253(P2007−154253A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350446(P2005−350446)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】