説明

蒸着処理装置および蒸着処理方法

【課題】基板に薄膜を成膜させるのと同時に、膜厚の制御を行うことが可能な蒸着処理装置を提供する。
【解決手段】蒸着によって基板に薄膜を成膜させる蒸着処理装置であって、材料ガスを供給する減圧自在な材料供給部と、前記基板に薄膜を成膜する成膜部を備え、前記成膜部は前記基板に噴射される材料ガスの蒸気濃度を測定する検知手段を有し、前記検知手段における測定結果に基づいて成膜条件を制御する制御部を設けた、蒸着処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機EL素子の製造における発光層の成膜に用いる蒸着処理装置および蒸着処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)を利用した有機EL素子が開発されている。有機EL素子は、自発光なので、消費電力が小さく、また、液晶ディスプレー(LCD)などに比べて視野角に優れている等の利点があり、今後の発展が期待されている。
【0003】
この有機EL素子の最も基本的な構造は、ガラス基板上にアノード(陽極)層、発光層およびカソード(陰極)層を重ねて形成したサンドイッチ構造である。発光層の発光を外に取り出すために、ガラス基板上のアノード層には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極が用いられる。かかる有機EL素子は、表面にITO層(アノード層)が予め形成されたガラス基板上に、発光層とカソード層を順に成膜し、更に封止膜層を成膜することによって製造されるのが一般的である。
【0004】
以上のような有機EL素子における有機層の成膜は、蒸着処理装置において行われるのが一般的である。蒸着処理装置における有機層等の膜厚は、発光効率等の観点から所定の膜厚に制御される必要があり、従来より様々な膜厚制御技術が創案されてきた。
【0005】
膜厚制御技術としては、例えば特許文献1に記載された膜厚測定方法のような、測定用の水晶振動子を用いて膜厚測定を行い、実際に成膜を行う基板に対して測定結果を反映させるといった方法が知られている。図1は、一般的な膜厚制御についての従来技術である水晶振動子を用いた膜厚計測を行う蒸着処理装置100の概略的な説明図である。蒸着処理装置100は、互いに連通するチャンバー101と基板処理室102によって構成され、内部には材料ガス供給部103に連通する蒸着ヘッド110が設置されている。基板処理室102の下部には基板支持台111に支持される基板Gがフェースアップの状態で配置される。また、基板支持台111上の基板Gに隣接するように、例えば石英からなる水晶振動子(QCM)112が配置される。
【0006】
また、蒸着ヘッド110の下面は開口しておりその開口部は基板Gの上面に対向している。材料ガス供給部103から供給された材料ガスは、蒸着ヘッド110を通過し、その開口部から基板Gの上面に噴射される。このとき、同時に水晶振動子(QCM)112にも材料ガスが蒸着ヘッド110から噴射される。なお、チャンバー101は排気管113を介して連通する真空ポンプ115によって真空状態にさせられ、これに伴い基板処理室102も真空状態に保たれる。また、蒸着ヘッド110やチャンバー101等は図示しないヒータによって材料ガスが析出しない程度の温度に温度制御される。
【0007】
以上のように構成される蒸着処理装置100においては、水晶振動子(QCM)112に実際に蒸着される薄膜の膜厚を測定することで、基板Gに蒸着される薄膜の膜厚を計測・制御していた。即ち、水晶振動子(QCM)112と基板Gの蒸着条件を同じにした場合、それぞれに蒸着される薄膜の膜厚には一定の関係があるため、水晶振動子(QCM)112に蒸着される薄膜の膜厚から、同条件で基板Gへ蒸着される薄膜の膜厚が分かる。なお、膜厚の測定に使用される対象物としては、水晶振動子(QCM)112だけではなく、例えば実際に成膜が行われる基板Gとほぼ同条件の成膜が行われるダミー基板等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−122200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した蒸着処理装置100において、水晶振動子(QCM)112に蒸着される薄膜の膜厚測定には限界が存在する(水晶振動子112の装置寿命が存在する)ため、水晶振動子(QCM)112の頻繁な交換が必要になるという問題点があった。また、基板Gのない状態で水晶振動子(QCM)112のみに蒸着を行い、膜厚を測定し、その後に同条件で基板Gに蒸着を行って、水晶振動子(QCM)112における膜厚と基板Gにおける膜厚との関係性を特定する必要があるため、測定作業に非常に時間がかかり、生産効率が落ちてしまうという問題点があった。
【0010】
そこで、上記問題点に鑑み、本発明の目的は、基板Gへの薄膜の成膜と同時に、膜厚の制御を行うことが可能な蒸着処理装置および蒸着処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明によれば、蒸着によって基板に薄膜を成膜させる蒸着処理装置であって、材料ガスを供給する減圧自在な材料供給部と、前記基板に薄膜を成膜する成膜部を備え、前記成膜部は前記基板に噴射される材料ガスの蒸気濃度を測定する検知手段を有し、前記検知手段における測定結果に基づいて成膜条件を制御する制御部を設けた、蒸着処理装置が提供される。また、前記検知手段は、光学的検知装置、質量分析計、電離真空計(例えば、タフゲージ)および絶対圧の測定が可能な真空計(例えば、キャパシタンスマノメータ(以下、CMとも呼称する))から選択される1以上の検知手段から構成されていてもよい。また、前記検知手段は材料ガスの成分を検出することもできる。
【0012】
前記制御部は、キャリアガス流量、材料ガス生成部のヒータ温度、材料供給量、基板移動速度、基板温度、チャンバー圧力のうちの1つまたは複数を制御することができる。
【0013】
また、本発明の他の観点によれば、蒸着によって基板に薄膜を成膜させる蒸着処理方法であって、前記基板に噴射される材料ガスの蒸気濃度を検知手段によって測定し、前記検知手段の測定結果を基に成膜条件を制御する、蒸着処理方法が提供される。ここで、前記成膜条件は、キャリアガス流量、材料ガス生成部のヒータ温度、材料供給量、基板移動速度、基板温度、チャンバー圧力のうちの1つまたは複数である。また、前記検知手段は、光学的検知装置、質量分析計、絶対圧の測定が可能な真空計、電離真空計から選択される1以上の装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板に薄膜を成膜させる前段階あるいは基板Gへの薄膜の成膜と同時(リアルタイム)に、膜厚の制御を行うことが可能な蒸着処理装置が提供される。これにより、基板に所望の厚さの薄膜を正確に、効率的に成膜し、歩留まりを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の蒸着処理装置の説明図である。
【図2】有機EL素子Aの製造工程の説明図である。
【図3】蒸着処理装置を横から見た断面図である。
【図4】第2の実施の形態にかかる蒸着処理装置を横から見た断面図である。
【図5】第3の実施の形態にかかる蒸着処理装置を横から見た断面図である。
【図6】(a)第4の実施の形態にかかる蒸着処理装置を横から見た断面図である。 (b)真空計の説明図である。
【図7】本発明の第1の変形例の説明図である。
【図8】第2の変形例にかかる蒸着処理装置の概略的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、以下の実施の形態においては有機材料を用いて有機EL素子を製造する場合について説明する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態にかかる蒸着処理装置1を含む種々の成膜装置によって製造される有機EL素子Aの製造工程の説明図である。図2(a)に示すように、上面にアノード(陽極)層10が成膜された基板Gが用意される。基板Gは、例えばガラス等よりなる透明な材料からできている。また、アノード層10は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電性材料よりなる。なお、アノード層10は、例えばスパッタリング法を用いて基板Gの上面に形成される。
【0018】
先ず、図2(a)に示すように、アノード層10の上に、発光層(有機層)11が蒸着法によって成膜される。なお、発光層11は、例えば、ホール輸送層、非発光層(電子ブロック層)、青発光層、赤発光層、緑発光層、電子輸送層を積層した多層構成からなる。
【0019】
次に、図2(b)に示すように、発光層11の上に、例えばAgやAl等からなるカソード(陰極)層12が、例えばマスクを用いたスパッタリング法を用いて形成される。
【0020】
次に、図2(c)に示すように、カソード層12をマスクにして、発光層11を例えばドライエッチングすることにより、発光層11がパターニングされる。
【0021】
次に、図2(d)に示すように、発光層11およびカソード層12の周囲と、アノード層10の露出部を覆うように、例えば窒化シリコン(SiN)よりなる絶縁性の封止膜層13が成膜される。この封止膜層13の形成は、例えば、μ波プラズマCVD法によって行われる。
【0022】
このようにして、製造された有機EL素子Aは、アノード層10とカソード層12の間に電圧を加えることによって、発光層11を発光させることができる。かかる有機EL素子Aは、表示装置や面発光素子(照明・光源等)に適用することができ、その他、種々の電子機器に用いることが可能である。
【0023】
次に、以下には本発明の実施の形態にかかる蒸着処理装置1について、有機材料ガス(以下、単に材料ガスとも呼称する)の蒸気濃度を検知する検知手段を光学式検知装置、質量分析計、電離真空計および絶対圧が測定できる真空計(例えば、キャパシタンスマノメータ(CM))とした場合のそれぞれについて第1〜第4の実施の形態として説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図3は、上述した図2(a)に示す蒸着工程に用いられる、本発明の第1の実施の形態にかかる蒸着処理装置1を横から見た断面図である。本実施の形態においては、材料ガスの蒸気濃度を測定する検知手段として、例えば、フーリエ変換型赤外分光法(FTIR)である光学的検知装置41を用いた場合を説明する。なお、通常の蒸着処理装置では、基板Gに有機材料ガスを噴出させる蒸着ヘッドは、例えばホール輸送層、非発光層(電子ブロック層)、青発光層、赤発光層、緑発光層、電子輸送層等の複数の有機層を蒸着するために複数用意される場合もあるが、図3に示す蒸着処理装置1においては蒸着ヘッドが1つの場合を例示し、以下に説明する。
【0025】
図3に示すように、蒸着処理装置1には成膜処理を行うための成膜部として処理チャンバー20および基板処理室21が設けられ、処理チャンバー20と基板処理室21をまたぐように蒸着ヘッド22が設置される。基板処理室21は処理チャンバー20の下方に設けられ、基板処理室21の内部には、基板Gを、成膜対象面を上に向けた状態で(フェースアップ状態で)支持する支持台23が設けられている。ここで蒸着ヘッド22の材料ガス噴出面22’(開口面)が基板Gの上面(成膜対象面)に対向するように、蒸着ヘッド22は設置されている。また、処理チャンバー20は、排気管25を介して真空ポンプ26に連通しており、成膜時には真空引きされることとなる。
【0026】
蒸着ヘッド22は、有機材料ガスを蒸着ヘッド22に導入する材料導入路29を介して材料ガス生成部30に連通している。ここで、材料ガス生成部30には図示しない有機材料を加熱するヒータが設けられており、材料ガス生成部30において加熱・生成された材料ガスが材料導入路29を介して蒸着ヘッド22に導入され、蒸着ヘッド22から基板Gに噴出される。また、材料ガス生成部30には、キャリアガスの流量を制御するキャリアガス制御部30aと、有機材料の投入量を制御する材料投入制御部30bと、有機材料を気化させる際の気化量を制御する材料気化制御部30cが設けられる。なお、蒸着ヘッド22にはヒータ31が取り付けられ、材料ガス生成部30において気化され、蒸着ヘッド22内に流入した有機材料ガスが蒸着ヘッド22内において析出しない温度に加熱温度制御されている。
【0027】
また、基板処理室21内部には、例えば薄膜に光を当てて反射させ、ラマンスペクトル強度から膜厚を測定することができる膜厚センサ33が設置されており、随時、基板G上に成膜された薄膜の膜厚を測定することが可能な構成となっている。
【0028】
また、蒸着ヘッド22の両側部および基板処理室21の両側部には、光を透過させる、例えば、フッ化カルシウム等からなる透過窓40が設けられている。基板処理室21の外部側方には、光学的検知装置41の発光部41aおよび受光部41bが配置されている。光学的検知装置41の発光部41aから透過窓40を通して、赤外光を蒸着ヘッド22内部に透過させ、その光を受光部41bにおいて受光し、発光時の光と受光時の光を比較することで、蒸着ヘッド22内部のガス状態(ガス濃度・成分・分光スペクトル)を検知することが可能である。ここで、光学的検知装置41としては、例えば赤外線を用い光の吸収量を測定するフーリエ変換型赤外分光法(FTIR)が考えられるが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば原子吸光法や単波長吸光法(NDIR)を適用してもよい。さらに、蒸着ヘッド22のガス状態を検出すること以外にも、材料供給ラインの途中にガス分岐路を形成するか、もしくは、引き込みラインを形成し、そこでガス状態を測定することもできる。
【0029】
また、蒸着処理装置1には、光学的検知装置41(受光部41b)によって得られた蒸着ヘッド22内部のガス状態に基づき、材料ガス生成部30へ指示信号を送る制御部42が設けられている。制御部42からの指示に基づきキャリアガス制御部30aにおいてキャリアガスの流量が制御される。また、材料投入制御部30bにおいて材料の投入量が制御される。さらに、材料気化制御部30cにおいて気化される材料の量が制御されて、所望の量の材料ガスが蒸着ヘッド22に導入される。このように基板Gに成膜される薄膜の膜厚が制御されることとなる。
【0030】
また、基板Gの移動速度、基板Gの温度、および処理チャンバー20内部の圧力によっても成膜される膜厚は変化する。そのため、上記光学的検知装置41により得られた蒸着ヘッド22内部のガス状態に基づき、これら基板Gの移動速度、基板Gの温度、および処理チャンバー20内部の圧力を変化させることによっても、基板Gに成膜される薄膜の膜厚が制御される。
【0031】
基板Gに成膜される膜の膜厚制御は、材料ガス温度(気化される材料の量)、キャリアガス流量、材料投入量等を予め規定の条件にした状態で、膜厚測定センサ33によって測定を行った参照データを取り、この参照データに基づいてデータベース(又は校正曲線)を作成する。実際の成膜時に光学的検知装置41によって測定された測定データとデータベースの照合と解析を行うことによって材料ガスの蒸気濃度や量を算出するといった方法を用いて行われる。このとき、データベースにおける参照データに基づいて設定された所定の成膜条件から基板G成膜時の条件が外れている場合には、設定条件と現在の成膜条件との差分(所望の膜厚と現在の膜厚との差、基板処理室内の材料ガスの分圧など)を見ることで成膜される膜厚の制御が行われる。即ち、成膜開始当初に設定した各条件(材料ガス温度、キャリアガス流量、材料投入量等)に基づいて成膜される薄膜の所定の膜厚が予め定まり、実際に基板Gに成膜されている薄膜の膜厚が所定の膜厚と異なる場合には、即座に(リアルタイムで)上述した膜厚制御が行われ、成膜される薄膜の膜厚を所定の膜厚にすることができる。
【0032】
膜厚制御の方法としては、光学的検知装置41によって測定された材料ガスの蒸気濃度が所定の濃度ではない場合、キャリアガスの流量を変化させて蒸着ヘッド22内に流入する材料ガスの量を調整する。また、材料ガス生成部30において生成・気化される材料ガスの量を材料の投入量を調整し、さらに蒸発部の温度コントロールをすることで調整することが考えられる。より具体的には、所定値からのずれ量に対応した閾値が決められ、測定値が前記閾値よりも大きいときは、材料ガスの制御を蒸発部の温度を変化させることにより行ない、前記測定値が閾値よりも小さいときは、蒸発部の温度を変化させることによっては行なわず、キャリアガス流量のみによって材料ガスを制御するのがよい。材料ガスの量は、蒸発部の温度変化に非常に敏感であり、温度が少し変化しただけでも蒸気量が大きく変化してしまい、成膜レートさらに膜厚の変化量が大きくなるので、微小な調整には向かないからである。閾値よりも小さいときは、蒸発部の温度コントロール以外の方法、例えば、キャリアガス流量を調整することにより行なうのが適当である。また、キャリアガス流量によって調整する方が反応性もよい。
【0033】
なお、本実施の形態においては、光学的検知装置41によって蒸着ヘッド22内部における材料ガスの蒸気濃度は随時(リアルタイムで)測定されている。そうすると、上述した材料ガスの蒸気濃度制御によって、蒸着ヘッド22内部における材料ガスの蒸気濃度は、基板Gに成膜される薄膜の膜厚が所定の厚さ、所定の成膜レート(単位時間あたりの成膜量)になるように保たれることとなる。
【0034】
さらには、基板Gの移動速度を変化させて、成膜される膜厚・成膜レートを制御することも考えられる。具体的には、蒸着ヘッド22から噴出される材料ガスの蒸気濃度が高い場合に、基板Gに成膜される薄膜の膜厚を所定の厚さに保つため、処理チャンバー20内の基板Gの移動速度を上昇させて、基板Gに対して単位面積当たりに噴射される材料ガスの量を減少させる方法や、基板Gの温度を上昇させる方法、処理チャンバー20内の圧力を高くすることで基板G上における成膜が促進されにくくするといった方法も考えられる。なお、光学的検知装置41によって測定された材料ガスの蒸気濃度が所定の濃度より低い場合、基板Gの移動速度を減速させる方法や、基板Gの温度を下降させる方法、処理チャンバー内の圧力を下げる方法をとることで対応可能である。
【0035】
以上説明したように構成される蒸着処理装置1において、材料供給部30から導入される有機材料ガスを、蒸着ヘッド22から噴出させ、基板Gの上面に成膜させる。この場合に、蒸着ヘッド22内部に導入された有機材料ガスの濃度・成分・分光スペクトルは、光学的検知装置41によって測定される。蒸着ヘッド22内部の所定位置の材料ガス濃度と、その時基板G上に成膜される有機薄膜の膜厚は、他の条件が同じである場合には、一定の相関関係を有する。そのため、蒸着ヘッド22内部の有機材料ガスの濃度・成分・分光スペクトルを検知し、その濃度・成分・分光スペクトルの検知結果に基づき材料ガス生成部30における上記説明した材料ガス生成量等の条件を制御することにより、基板Gに成膜される有機薄膜の膜厚・成膜速度が制御される。また、基板Gへの成膜を行っている状態で、蒸着ヘッド22内部の有機材料ガス濃度・成分・分光スペクトルは随時測定(リアルタイム測定)されるため、成膜作業を行いつつ膜厚の制御を行うことが可能となる。
【0036】
即ち、有機材料ガス濃度の測定結果に基づき、蒸着処理装置1のキャリアガス流量、材料ガス生成部のヒータ温度、材料供給量、基板移動速度、基板温度、チャンバー圧力等を変化させることにより、基板Gに対する成膜条件を変更し、所望の膜厚の有機薄膜を成膜させることが可能となる。加えて、基板Gあるいはダミー基板等に対する成膜を事前に行うことなく、蒸着ヘッド22内部に導入された材料ガスの濃度・成分・分光スペクトル等を測定するだけで、実際に基板Gに成膜される薄膜の膜厚が制御可能となるため、効率的に基板Gへの成膜処理を開始することが可能となる。さらには、基板Gに成膜が行われている状態で、その成膜と同時に膜厚制御が可能であるため、基板Gに対する所定の膜厚以外の膜厚である薄膜が成膜されるといった成膜不良を最小限に抑え、歩留まりを向上させることができる。
【0037】
なお、有機材料ガス濃度の測定から推測される薄膜の膜厚と、所望する薄膜の膜厚とのずれが大きい場合には材料ガス温度(材料ガス生成部のヒータ温度)やキャリアガス流量を変化させることが好ましい。一方、有機材料ガス濃度の測定から推測される薄膜の膜厚と、所望する薄膜の膜厚とのずれが微小である場合には、キャリアガス流量や基板移動速度を変化させることにより制御するのが好ましい。これは、温度の変化は材料ガスの蒸気濃度変化に直結するため、微小な材料ガス温度の変化が成膜される薄膜の膜厚変化に顕著に影響し、基板移動速度の変化による成膜される薄膜の膜厚への影響は小さいためである。また、膜厚への応答性も優れている。
【0038】
(第2の実施の形態)
図4は、上述した図2(a)に示す蒸着工程に用いられる、本発明の第2の実施の形態にかかる蒸着処理装置1を横から見た断面図である。本実施の形態においては、材料ガスの蒸気濃度を測定する検知手段として、例えば四重極形質量分析計(Q−mass)である質量分析計43を用いる。なお、図4中、第2の実施の形態における質量分析計43以外の構成要素は、上記第1の実施の形態と同一であり、その機能構成は同一であるため、図中に同じ符号を用いて示し、詳しい説明は省略する。
【0039】
図4に示すように、基板処理室21においては、蒸着ヘッド22の材料ガス噴出面22’近傍に測定部43aが設けられ、基板処理室21の外部には、測定部43aに接続されたコントローラ部43bが設けられている。質量分析計43は、この測定部43aとコントローラ部43bから構成されている。そして、例えば四重極形質量分析計(Q−mass)である質量分析計43では、測定部43aにおいて蒸着ヘッド22から噴出された材料ガスに電子を当ててイオン化し、材料ガスの質量分布を測定することで材料ガスの定性、定量性が検出される。なお、測定部43aを設ける位置については、例えば蒸着ヘッド22内部や材料ガスの輸送路等とすることも考えられるが、圧力帯によっては正確な検出ができないことや、材料ガスの付着によって感度が低下するため、図4に示すような基板処理室21内の材料ガス噴出面22’近傍が好ましい。
【0040】
測定部43aにおいて検出された測定データはコントローラ部43bから制御部42に送られ、制御部42の制御に基づき材料生成部30において材料ガスの温度(材料ガス気化量)、材料ガスの投入量、キャリアガスの流量が、それぞれキャリアガス制御部30a、材料投入制御部30b、材料気化制御部30cによって制御される。具体的な材料ガスの温度(材料ガス気化量)、材料ガスの投入量、キャリアガスの流量の制御については上記第1の実施の形態で説明したものと同様の制御が行われるため、ここでの説明は省略する。
【0041】
材料ガス温度(材料ガス気化量)、材料ガス投入量およびキャリアガス流量のいずれかの条件、あるいはこれらの複数の条件を質量分析計43を用いて検出された測定データに基づき変化させることで、基板Gに対して噴出する材料ガスの蒸気濃度が制御され、これにより、所望の膜厚の有機薄膜を成膜させることが可能となる。また、基板Gあるいはダミー基板等に対する成膜を事前に行うことなく、蒸着ヘッド22内部に導入された材料ガスについての質量分析計43による測定を行うだけで、実際に基板Gに成膜される薄膜の膜厚が制御可能となるため、効率的に基板Gへの成膜処理を開始することが可能となる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図5は、上述した図2(a)に示す蒸着工程に用いられる、本発明の第3の実施の形態にかかる蒸着処理装置1を横から見た断面図である。本実施の形態においては、材料ガスの蒸気濃度を測定する検知手段として、例えば、タフゲージ(TG:(株)アンペール社製)である電離真空計45を用いる。なお、図5中、第2の実施の形態における電離真空計45以外の構成要素は、上記第1の実施の形態と同一であり、その機能構成は同一であるため、図中に同じ符号を用いて示し、詳しい説明は省略する。
【0043】
図5に示すように、基板処理室21においては、蒸着ヘッド22の材料ガス噴出面22’近傍に測定部45aが設けられ、基板処理室21の外部には、測定部45aに接続されたコントローラ部45bが設けられている。電離真空計45は、この測定部45aとコントローラ部45bから構成されている。そして、電離真空計45では、測定部45aにおいてほぼ真空状態である基板処理室21内の真空度(内圧)が測定される。
【0044】
電離真空計45を用いた測定では、先ず、材料ガスを基板処理室21内に導入していない状態、即ち、材料ガス供給部30において有機材料の加熱・生成が行われていない状態の基板処理室21の真空度(内圧)が測定される(バックグラウンド測定)。その後、材料ガス生成部30から蒸着ヘッド22を介して基板処理室21内に材料ガスが導入された後の基板処理室21の真空度(内圧)が測定される。そして、材料ガス導入前と導入後のそれぞれの真空度の差分を計算することで、材料ガスによる基板処理室21内の真空度の変化が算出され、材料ガスの分圧が求められる。材料ガスの分圧は、基板処理室21内に導入される材料ガスの蒸気濃度と相関関係にあるため、電離真空計45によって材料ガスの分圧を連続的に測定することで、基板処理室21内に導入されている材料ガスの蒸気濃度の変化が測定されることとなる。なお、電離真空計45(特に測定部45a)は、基板処理室21内の任意の位置に設けて測定を行うことが可能であるが、材料ガスの分圧を正確に測定するためには、図5に示すような蒸着ヘッド22の材料ガス噴出面22’近傍や、蒸着ヘッド22内、ガスの輸送路内等に設けることが好ましい。
【0045】
測定部45aにおいて検出された測定データはコントローラ部45bから制御部42に送られ、制御部42の制御に基づき材料生成部30において材料ガスの温度(材料ガス気化量)、材料ガスの投入量、キャリアガスの流量が、それぞれキャリアガス制御部30a、材料投入制御部30b、材料気化制御部30cによって制御される。具体的な材料ガスの温度(材料ガス気化量)、材料ガスの投入量、キャリアガスの流量の制御については上記第1の実施の形態で説明したものと同様の制御が行われるため、ここでの説明は省略する。
【0046】
材料ガス温度(材料ガス気化量)、材料ガス投入量およびキャリアガス流量のいずれかの条件、あるいはこれらの複数の条件を電離真空計45により検出された測定データに基づき変化させることで、基板Gに対して噴出する材料ガスの蒸気濃度が制御され、これにより、所望の膜厚である有機薄膜を成膜させることが可能となる。また、基板Gあるいはダミー基板等に対する成膜を事前に行うことなく、蒸着ヘッド22内部に導入された材料ガスについての電離真空計45による測定を行うだけで、実際に基板Gに成膜される薄膜の膜厚が制御可能となるため、効率的に基板Gへの成膜処理を開始することが可能となる。
【0047】
(第4の実施の形態)
図6(a)は、上述した図2(a)に示す蒸着工程に用いられる、本発明の第4の実施の形態にかかる蒸着処理装置1を横から見た断面図である。また、図6(b)は第4の実施の形態にかかる蒸着処理装置1において用いられる真空計46の説明図である。本実施の形態においては、材料ガスの蒸気濃度を測定する検知手段として、例えば、キャパシタンスマノメータ(以下、CMとも表記)である絶対圧が測定可能な真空計46を用いる。なお、図6中、第4の実施の形態における真空計46以外の構成要素は、上記第1の実施の形態と同一であり、その機能構成は同一であるため、図中に同じ符号を用いて示し、詳しい説明は省略する。
【0048】
真空計46は、図6(a)に示すように、蒸着ヘッド22内と連通するように取り付けられている。真空計46として用いられるCMは絶対圧を測定可能な隔膜真空計の1つであり、差圧により装置内に配置された薄い金属板が弾性変形され、その変位を静電容量として検知するものである。図6(b)に示すように真空計46は、内部に配置された金属隔膜47を挟んで設けられた2つの部屋46a、46bから構成されている。一方の部屋46aは蒸着ヘッド22の内部空間に連通しており、他方の部屋46bには絶縁された電極48が配置されている。この電極48が配置された部屋46bの圧力が基準とされ、金属隔膜47が2つの部屋(46a、46b)の差圧に応じて変形し、絶縁された電極48と金属隔膜47との距離に応じた静電容量が変化する。その静電容量の変化量を用いて金属隔膜47の変位を求め、圧力に換算することにより蒸着ヘッド22内(処理チャンバー20内)の圧力を求めることができる。この蒸着ヘッド22内の圧力を適宜測定することにより、内部に流れる材料ガスの蒸気濃度が測定される。なお、キャパシタンスマノメータである真空計46の測定範囲としては、大気圧から10mPa(0.1mTorr)程度の圧力測定に広く用いることが可能である。
【0049】
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0050】
例えば、上記第1の実施の形態では、光学的検知装置41の光の透過経路を蒸着ヘッド22内部とし、蒸着ヘッド22の両側部に窓40を設けることとしたが、光学的検知装置41の光の透過経路は必ずしも蒸着ヘッド22内部である必要はなく、有機材料ガスの検知が十分に行われる場所であればよい。そこで、図7には本発明の第1の変形例を示す。なお、図7は、蒸着ヘッド22を基板Gの搬送方向(紙面に垂直方向)から見た図である。
【0051】
図7に示すように、該変形例においては、光学的検知装置41から出た光の通過経路は蒸着ヘッド22の材料ガス噴出面22’と基板G上面の間である。即ち、蒸着処理装置1に設けられる蒸着ヘッド22の材料ガス噴出面22’と基板G上面との間に形成される空間49に、基板Gの搬送方向と直交する方向に光を通過させ、それぞれの蒸着ヘッド22から噴射された有機材料ガスの濃度・成分・分光スペクトルを検知する光学的検知装置41が、上記第1の実施の形態と同様、基板処理室21に設置されている。そして、上記第1の実施の形態と同様に、この光学的検知装置41からの指示信号によって材料生成部30における材料ガス供給量を制御する。
【0052】
また、上記第1〜第4の実施の形態においては、蒸着ヘッド22が1つの場合を例示して説明したが、通常、有機薄膜の蒸着においては、ホール輸送層、非発光層(電子ブロック層)、青発光層、赤発光層、緑発光層、電子輸送層を成膜させるため6つの蒸着ヘッド22を設置して基板Gに連続的に成膜を行う。そこで、以下に6つの蒸着ヘッド22を設置する場合の本発明の第2の変形例について図面を参照して説明する。なお、この第2の変形例では、材料ガスの蒸気濃度を検知する検知手段として光学的検知装置61を用いる場合を例として説明するが、検知手段としては上記第1〜第4の実施の形態に記載した何れの検知手段を用いてもよい。
【0053】
図8は、本発明の第2の変形例にかかる蒸着処理装置50の概略的な説明図である。図8に示す蒸着処理装置50は、蒸着によって図2(a)に示した発光層11を成膜するものである。
【0054】
蒸着処理装置50は、密閉された処理チャンバー51を有している。処理化チャンバー51は、長手方向が基板Gの搬送方向とされる直方体形状であり、処理チャンバー51の前後面は、ゲートバルブ52を介して、他の成膜処理装置等に接続されている。
【0055】
処理チャンバー51の底面には、真空ポンプ(図示せず)を有する排気ライン53が接続され、処理チャンバー51の内部は減圧されるようになっている。また、処置チャンバー51の内部には、基板Gを水平に支持する支持台54を有する。基板Gは、アノード層10が形成された上面を上に向けたフェースアップの状態で、支持台54に載置される。支持台54は、基板Gの搬送方向に沿って配置されたレール55上を走行し、基板Gを搬送するようになっている。
【0056】
処理チャンバー51の天井面には、複数(図8においては6つ)の蒸着ヘッド56が基板Gの搬送方向にそって配置されている。各蒸着ヘッド56には、発光層11を成膜させる成膜材料の蒸気(材料ガス)を供給する複数の材料供給源57が、材料供給管58を介してそれぞれ接続されている。これら材料供給源57から供給された成膜材料の蒸気を各蒸着ヘッド56から噴出させながら、支持台54上に支持した基板Gを搬送させることにより、基板Gの上面にホール輸送層、非発光層、青発光層、赤発光層、緑発光層、電子輸送層等が順次成膜されて、基板Gの上面に発光層11が形成される。
【0057】
光学的検知による検出感度が良好である場合には、図8に示すように、基板Gの搬送方向に光を通過させる光学的検知装置61(搬送方向上流側の発光部61a、下流側の受光部61bを含む)を配置することによって、複数の蒸着ヘッド56それぞれから噴射される有機材料ガスの特定スペクトルを分離して正確に検出することができる。このため、6つの蒸着ヘッド56それぞれからの有機材料ガス濃度が同時に検出され、その検出に基づいて材料ガスの供給制御を行うこともできる。この本発明の第2の変形例にかかる蒸着処理装置50によれば、6つの蒸着ヘッド56から噴出される6種類の有機材料ガスについて、単一の光学的検知装置61により同時に検知することが可能となり、装置の簡略化、コスト低減が実現される。
【0058】
即ち、複数の蒸着ヘッド56を備える蒸着処理装置50において、光学的検知装置61によって複数種の有機材料ガスの濃度・成分・分光スペクトルを検知することで、成膜条件が特定され、上記実施の形態と同様に、それら有機材料ガスの濃度・成分・分光スペクトルを制御することにより、基板Gに成膜される有機薄膜の膜厚が制御される。
【0059】
また、上記第1〜第4の実施の形態においては、材料ガスの蒸気濃度を検知する検知手段として、光学的検知装置、質量分析計、電離真空計および絶対圧が測定可能な真空計46をそれぞれ1つ設置して検知を行うものとして説明した。しかしながら、光学的検知装置41を用いる場合、測定のための光路長を蒸着ヘッド22内、または基板処理室21内に十分確保しなくてはならず、光路長を十分に確保できない蒸着処理装置1においては測定感度が十分に得られない可能性がある。また、質量分析計43として例えばQmassを用いる場合、測定フィラメントに材料ガスが接触した結果、測定フィラメントの表面に有機材料が析出し測定感度が経時的に劣化してしまう可能性がある。また、電離真空計45を用いる場合、蒸着ヘッド22内または基板処理室21内における材料ガスの分圧が微小である場合には測定が困難となってしまう恐れがある。
【0060】
そこで、上記事情に鑑み、材料ガスの蒸気濃度の測定をより精度良く行うため、上記光学的検知装置41、質量分析計43、電離真空計45および真空計46の内2つ以上を併用することも可能である。更には、従来より基板Gに成膜される薄膜の膜厚を測定するために用いていた水晶振動子(QCM)やダミー基板等を光学的検知装置41、質量分析計43、電離真空計45および真空計46と併用することもできる。また、水晶振動子(QCM)を蒸着ヘッド直下に配置し、実際に成膜された膜厚と、他の手段によって得られた測定値との相関をとり、所定の相関を外れた場合には補正を行うといった方法も可能である。ここで、水晶振動子(QCM)は、所定回数使用した後に、ホットNやUV等を照射することにより付着した有機膜を除去・洗浄することができる。
【0061】
さらには、例えば基板Gの成膜開始当初は、材料ガスの蒸気濃度の制御が十分に行われておらず、水晶振動子(QCM)やダミー基板と光学的検知装置41、質量分析計43、電離真空計45および絶対圧が測定可能な真空計46を併用して基板Gへ成膜される薄膜の膜厚の安定化を図ることが考えられる。膜厚の安定化が図られた後には、例えば、水晶振動子(QCM)やダミー基板を用いた測定を行わず、光学的検知装置41等の1つ、もしくは、いくつかの検知手段を用いることも考えられる。
【0062】
また、上記本発明の実施の形態や変形例においては、有機材料ガスを用いて有機薄膜を成膜させる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えばLi等の金属を基板に蒸着させる場合についても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば有機EL素子の製造における発光層の成膜に用いる蒸着処理装置に関する。
【符号の説明】
【0064】
1、50…蒸着処理装置
10…アノード層
11…発光層
12…カソード層
13…封止膜層
20、51…処理チャンバー
21…基板処理室
22、56…蒸着ヘッド
23、54…支持台
25…排気管
26…真空ポンプ
29…材料導入路
30…材料ガス生成部
30a…キャリアガス制御部
30b…材料投入制御部
30c…材料気化制御部
31…ヒータ
33…膜厚センサ
40…窓
41、61…光学的検知装置
42…制御部
43…質量分析計
45…電離真空計
46…真空計
47…金属隔膜
48…電極
52…ゲートバルブ
55…レール
57…材料供給源
58…材料供給管
A…有機EL素子
G…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着によって基板に薄膜を成膜させる蒸着処理装置であって、
材料ガスを供給する減圧自在な材料供給部と、
前記基板に薄膜を成膜する成膜部を備え、
前記成膜部は前記基板に噴射される材料ガスの蒸気濃度を測定する検知手段を有し、
前記検知手段における測定結果に基づいて成膜条件を制御する制御部を設けた、蒸着処理装置。
【請求項2】
前記検知手段は、光学的検知装置、質量分析計、絶対圧の測定が可能な真空計、電離真空計から選択される1以上の装置から構成される、請求項1に記載の蒸着処理装置。
【請求項3】
前記検知手段は材料ガスの成分を検出する、請求項1または2に記載の蒸着処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、キャリアガス流量、材料ガス生成部のヒータ温度、材料供給量、基板移動速度、基板温度、チャンバー圧力のうちの1つまたは複数を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着処理装置。
【請求項5】
蒸着によって基板に薄膜を成膜させる蒸着処理方法であって、
前記基板に噴射される材料ガスの蒸気濃度を検知手段によって測定し、
前記検知手段の測定結果を基に成膜条件を制御する、蒸着処理方法。
【請求項6】
前記制御は、予め基板に所定の膜厚の薄膜が成膜される成膜条件を定めておき、該成膜条件との差分を測定することで行われる、請求項5に記載の蒸着処理方法。
【請求項7】
前記成膜条件は、キャリアガス流量、材料ガス生成部のヒータ温度、材料供給量、基板移動速度、基板温度、チャンバー圧力のうちの1つまたは複数である、請求項5に記載の蒸着処理方法。
【請求項8】
前記検知手段は、光学的検知装置、質量分析計、絶対圧の測定が可能な真空計、電離真空計から選択される1以上の装置である、請求項5〜7に記載の蒸着処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−46780(P2012−46780A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188101(P2010−188101)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】