説明

蒸着装置、蒸着方法、および有機EL装置の製造方法

【課題】膜材料の蒸着レートをより精密に制御可能な蒸着装置、蒸着方法、および有機EL装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】蒸着装置100は、膜材料を蒸発させて基板表面32aに成膜する蒸着装置であって、蒸着槽20と、蒸着槽20内に配置され、基板32を保持する保持部30と、蒸着槽20内に保持部30の基板保持面30aに対向して配置され、膜材料を蒸発させる複数の蒸着源36,38と、複数の蒸着源36,38のうち少なくとも1つを、基板保持面30aに対して相対移動可能な移動手段36a,38aと、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着装置、蒸着方法、および有機EL装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置の有機EL素子は、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の複数の有機機能層(有機膜)を有している。これらの有機機能層は、例えば、真空蒸着装置を用いた真空蒸着法によって成膜される。
【0003】
このような有機EL素子では、例えば、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)等に対応する発光層が形成されるが、各発光色を得るために、例えば、ホスト材料に蛍光色素をドーピングした発光層を形成し、その蛍光色素からのルミネセンスを発光色として取り出すことが提案されている。このような場合、ドーパント材料のドープ濃度が発光特性などに大きな影響を与えるとして、このドープ濃度に勾配をつけて、輝度寿命および発光効率を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1から4)。
【0004】
これらの特許文献に開示されたような濃度勾配を付けるには、発光層の成膜工程において、ホスト材料の蒸着レートを一定に保ち、ドーパント材料の蒸着レートを適宜変化させるが、従来は、ドーパント材料に対応する蒸着源の温度を調整する方法、または蒸着源の数を増減する方法等により、このドーパント材料の蒸着レートを制御するのが一般的であった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−69427号公報
【特許文献2】特開2004−6102号公報
【特許文献3】特開2005−100767号公報
【特許文献4】特開2005−108730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、蒸着源の温度を調整する方法では、蒸着源をヒーターによって加熱する場合、蒸着源が所望の温度になるまでにある程度の時間がかかる。また、蒸着源の数を増減する方法では、蒸発する膜材料の量は蒸着源単位で増減する。一方、ドーパント材料の蒸着レートはホスト材料の蒸着レートに比べかなり低く設定されるため、上記のいずれの方法によってもドーパント材料の蒸着レートを精密に制御するのは困難であった。
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[適用例1]本適用例に係る蒸着装置は、膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着装置であって、蒸着槽と、前記蒸着槽内に配置され、前記基板を保持する保持部と、前記蒸着槽内に前記保持部の基板保持面に対向して配置され、前記膜材料を蒸発させる複数の蒸着源と、前記複数の蒸着源のうち少なくとも1つを、前記基板保持面に対して相対移動可能な移動手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、膜材料を蒸発させる蒸着源の少なくとも1つを、保持部に保持された基板表面に対して相対移動させることにより、基板表面と蒸着源との距離を調整できる。基板表面と蒸着源との距離が小さいほど蒸着レートは高くなり、基板表面と蒸着源との距離が大きいほど蒸着レートは低くなる。基板表面と蒸着源との距離に応じて蒸着レートが変化するので、蒸着源と基板表面との距離を調整することにより、膜材料の蒸着レートを従来より精密に制御できる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る蒸着装置であって、前記移動手段は、前記複数の蒸着源のそれぞれを個別に移動可能に配設されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、複数の蒸着源のそれぞれと基板表面との距離を個別に調整できる。したがって、それぞれの蒸着源から異なる膜材料を供給し、それぞれの蒸着源と基板との距離を個別に調整すれば、それぞれの膜材料の蒸着レートを個別に制御できる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る蒸着装置であって、前記移動手段は、前記蒸着槽の内壁上に設けられており、前記蒸着源を前記基板保持面の法線に平行な方向に移動可能に配設されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、基板表面の法線に平行な方向、すなわち基板表面に成膜される膜厚方向においてそれぞれの蒸着源と基板との距離を調整することができる。これにより、異なる膜材料を膜厚方向に濃度勾配を付けて成膜できる。また、移動手段が蒸着槽の内壁上に設けられているので、複数の蒸着源のそれぞれがどの位置に移動されても、それぞれの蒸着源と基板表面との間に他の蒸着源が位置することはない。
【0014】
[適用例4]本適用例に係る蒸着装置は、膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着装置であって、蒸着槽と、前記蒸着槽内に配置され、前記基板を保持する保持部と、前記蒸着槽内の内壁上に前記保持部の基板保持面に対向して配置され、前記膜材料を蒸発させる複数の蒸着源と、を備え、前記複数の蒸着源のそれぞれと前記基板保持面との距離が異なることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、膜材料を蒸発させる複数の蒸着源は、保持部に保持された基板表面と蒸着源との距離がそれぞれ異なる。基板表面と蒸着源との距離が小さいほど蒸着レートは高くなり、基板表面と蒸着源との距離が大きいほど蒸着レートは低くなる。基板表面と蒸着源との距離に応じて蒸着レートが変化するので、基板表面との距離に基づいて適宜選択した蒸着源から膜材料を蒸発させることにより、膜材料の蒸着レートを従来より精密に制御できる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係る蒸着装置であって、前記保持部には、前記基板保持面の法線に平行な軸を回転軸として、前記基板を回転させる回転手段が備えられていてもよい。
【0017】
この構成によれば、蒸着源が基板表面の法線に対して斜め方向に位置していても、基板を回転させることにより、基板表面に対する蒸着方向を相対的に変化させることができる。したがって、回転手段により基板を回転させながら成膜することにより、基板表面の面内における膜厚のばらつきを抑えることができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に係る蒸着装置であって、前記複数の蒸着源のそれぞれに配設され、前記複数の蒸着源のそれぞれの前記基板保持面に対向する側の法線と前記基板保持面の法線とがなす角度を個別に調整可能な角度変更手段を備えていてもよい。
【0019】
この構成によれば、蒸着源を移動させることにより蒸着方向と基板表面との相対的位置関係が変化しても、蒸着源の角度を変えることにより基板表面に対する蒸着方向を適宜調整することができる。したがって、蒸着源を移動させても、蒸着源の位置に応じて蒸着方向を調整できるので、基板表面の面内における膜厚のばらつきを抑えることができる。
【0020】
[適用例7]本適用例に係る蒸着方法は、蒸着源から膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着方法であって、前記基板表面に対向して配置した複数の前記蒸着源のうち少なくとも1つを移動させて、前記少なくとも1つの蒸着源と前記基板表面との距離を調整することにより、蒸着レートを制御して成膜することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、膜材料を蒸発させる蒸着源の少なくとも1つと基板表面との距離を調整できる。基板表面と蒸着源との距離が小さいほど蒸着レートは高くなり、基板表面と蒸着源との距離が大きいほど蒸着レートは低くなる。基板表面と蒸着源との距離に応じて蒸着レートが変化するので、蒸着源と基板表面との距離を調整することにより、膜材料の蒸着レートを従来より精密に制御できる。
【0022】
[適用例8]上記適用例に係る蒸着方法であって、前記複数の蒸着源のそれぞれを個別に移動させて、前記複数の蒸着源のそれぞれと前記基板表面との距離を個別に調整してもよい。
【0023】
この構成によれば、複数の蒸着源のそれぞれと基板表面との距離を個別に調整できる。したがって、それぞれの蒸着源から異なる膜材料を供給し、それぞれの蒸着源と基板との距離を個別に調整すれば、それぞれの膜材料の蒸着レートを個別に制御できる。
【0024】
[適用例9]上記適用例に係る蒸着方法であって、前記蒸着源を前記基板表面の法線に平行な方向に移動させて、前記蒸着源と前記基板表面との距離を調整してもよい。
【0025】
この構成によれば、基板表面の法線に平行な方向、すなわち基板表面に成膜される膜厚方向におけるそれぞれの蒸着源と基板との距離を調整することができる。これにより、異なる膜材料を膜厚方向に濃度勾配を付けて成膜できる。
【0026】
[適用例10]本適用例に係る蒸着方法は、蒸着源から膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着方法であって、複数の前記蒸着源を前記基板表面に対向して配置し、前記複数の蒸着源のうち、少なくとも前記基板表面との距離がそれぞれ異なる複数の前記蒸着源のいずれかから前記膜材料を蒸発させることにより成膜することを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、膜材料を蒸発させる複数の蒸着源は、基板表面と蒸着源との距離がそれぞれ異なる。基板表面と蒸着源との距離が小さいほど蒸着レートは高くなり、基板表面と蒸着源との距離が大きいほど蒸着レートは低くなる。基板表面と蒸着源との距離に応じて蒸着レートが変化するので、基板表面との距離に基づいて蒸着源を適宜選択して膜材料を蒸発させることにより、膜材料の蒸着レートを従来より精密に制御できる。
【0028】
[適用例11]上記適用例に係る蒸着方法であって、前記基板を、前記基板表面の法線に平行な軸を回転軸として回転させながら成膜してもよい。
【0029】
この構成によれば、蒸着源が基板表面の法線に対して斜め方向に位置していても、基板を回転させることにより、基板表面に対する蒸着源の方向を相対的に変化させることができる。したがって、回転手段により基板を回転させながら成膜することにより、基板表面の面内における膜厚のばらつきを抑えることができる。
【0030】
[適用例12]上記適用例に係る蒸着方法であって、前記複数の蒸着源のそれぞれの前記基板表面に対向する側の法線と前記基板表面の法線とがなす角度を個別に調整可能であってもよい。
【0031】
この構成によれば、蒸着源を移動させることにより蒸着方向と基板表面との相対的位置関係が変化しても、蒸着源の角度を変えることにより基板表面に対する蒸着方向を適宜調整することができる。したがって、蒸着源を移動させても、蒸着源の位置に応じて蒸着方向を調整できるので、基板表面の面内における膜厚のばらつきを抑えることができる。
【0032】
[適用例13]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、有機発光層を含む機能層を備えた有機EL装置の製造方法であって、上記に記載の蒸着装置を用いて、少なくとも前記機能層を成膜することを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、有機EL装置の機能層を蒸着により成膜する際、機能層の膜材料の蒸着レートを精密に制御して成膜できる。
【0034】
[適用例14]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、有機発光層を含む機能層を備えた有機EL装置の製造方法であって、上記に記載の蒸着方法を用いて、少なくとも前記機能層を成膜することを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、有機EL装置の機能層を蒸着により成膜する際、機能層の膜材料の蒸着レートを精密に制御して成膜できる。
【0036】
[適用例15]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記複数の蒸着源は、前記膜材料として少なくともホスト材料とドーパント材料とを蒸発させるものであって、前記ドーパント材料を蒸発させる前記蒸着源を移動させて、前記蒸着源と前記基板表面との距離を調整しながら成膜してもよい。
【0037】
この構成によれば、有機EL装置の発光層を蒸着により成膜する際、ホスト材料にドーピングするドーパント材料のドープ濃度に所望の勾配を付けることができる。これにより、有機EL装置の輝度寿命および発光効率を向上させることができる。
【0038】
[適用例16]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記複数の蒸着源は、前記膜材料として少なくとも2つの異なるホスト材料を蒸発させるものであって、一方の前記ホスト材料を蒸発させる前記蒸着源を移動させて前記基板表面との距離を調整するのと並行して、他方の前記ホスト材料を蒸発させる前記蒸着源を移動させて前記基板表面との距離を調整しながら成膜してもよい。
【0039】
この構成によれば、それぞれが異なるホスト材料からなる少なくとも2つの層を含む機能層を成膜する場合、1つの層のホスト材料を蒸発させる蒸着源と、その層に隣接する層のホスト材料を蒸発させる蒸着源と、のそれぞれを相反する方向に移動させながら成膜すれば、これらの層間の界面近傍において双方のホスト材料が混合しその混合率が連続的に変化するように成膜できる。これにより、有機EL装置の輝度寿命および発光効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の層厚や寸法の比率等は適宜異ならせてある。
【0041】
(第1の実施形態)
<有機EL装置>
まず、本実施形態における蒸着装置を説明する前に、本実施形態における蒸着装置を用いて製造される有機エレクトロルミネセンス装置(以下有機EL装置と呼ぶ)の一例について図を参照して説明する。図1および図2は、有機EL装置の一例の概略構成を示す断面図である。詳しくは、図2は、図1のA部を拡大して示した図である。
【0042】
有機EL装置10は、図1に示すように、画素2を複数有している。画素2は、有機EL装置10の表示の最小単位であり、例えば、3つの画素2から画素群1が構成されている。画素2は、例えば白色に発光する有機エレクトロルミネセンス素子(以下有機EL素子と呼ぶ)3を表示素子として備えており、有機EL素子3により得られた光を表示光として出力するようになっている。
【0043】
有機EL装置10は、基板12と、駆動用TFT(薄膜トランジスタ)13等を含む回路層14と、画素電極4と、絶縁層15と、隔壁16と、正孔注入輸送層5と、発光層6と、電子注入輸送層7と、共通電極8と、封止層18と、を備えている。有機EL装置10は、例えば、発光層6から発した光が基板12側に射出されるボトムエミッション方式である。
【0044】
基板12は、透光性を有する材料からなる。透光性を有する材料としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等があげられる。回路層14は基板12上に形成されている。画素電極4は、回路層14上に、画素2のそれぞれに対応して形成されている。画素電極4は、駆動用TFT13に電気的に接続されている。画素電極4は、透光性導電材料からなり、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる。絶縁層15と隔壁16とは、回路層14上に、例えば格子状に形成されており、画素2の領域を区画している。
【0045】
画素電極4上には、有機機能層である正孔注入輸送層5と、発光層6と、電子注入輸送層7と、が順に積層されている。そして、電子注入輸送層7を覆うように共通電極8が形成されている。共通電極8は、例えば、Al、またはAl−Li合金、Mg−Ag合金等からなる。共通電極8の膜厚は、例えば50〜200nmである。共通電極8は反射層を兼ねている。共通電極8上には、共通電極8を覆うように、封止層18が形成されている。封止層18は、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等からなる。
【0046】
画素電極4と、正孔注入輸送層5と、発光層6と、電子注入輸送層7と、共通電極8と、によって有機EL素子3が構成される。有機EL素子3において、画素電極4は陽極として機能し、正孔注入輸送層5は画素電極4からの正孔を発光層6側に注入/輸送する。一方、共通電極8は陰極として機能し、電子注入輸送層7は共通電極8からの電子を発光層6側に注入/輸送する。そして、正孔注入輸送層5から注入される正孔と、電子注入輸送層7から注入される電子とが、発光層6で再結合することにより発光が得られる。
【0047】
本実施形態の有機EL装置10においては、有機EL素子3の発光層6から基板12側に発した光が基板12側に射出されるとともに、発光層6から共通電極8側に発した光が共通電極8により反射されて、基板12側に射出される。
【0048】
次に、正孔注入輸送層5、発光層6、電子注入輸送層7のそれぞれの構成についてさらに詳しく説明する。図2に示すように、正孔注入輸送層5は、正孔注入層5aと正孔輸送層5bとが積層され構成されている。正孔注入層5aは、例えば、アリールアミン類やフタロシアニン類からなる。正孔注入層5aの膜厚は、例えば40〜60nmである。正孔輸送層5bは、例えばアリールアミン類からなる。正孔輸送層5bの膜厚は、例えば15〜30nmである。
【0049】
発光層6は、青色発光層6aと赤色発光層6bとが積層され構成されている。この構成により、発光層6は白色光を発光する。青色発光層6aのホスト材料としては、例えば、DPVBi(ジスチリルビフェニル誘導体)やPESB等を用いることができる。青色発光層6aは、ホスト材料に対して5〜10wt%のドーパント材料6cを含んでいる。ドーパント材料6cとしては、例えば、スチリルアミン誘導体等を用いることができる。青色発光層6aの膜厚は、例えば5〜15nmである。
【0050】
赤色発光層6bのホスト材料としては、例えば、Alq3(アルミキノリノール錯体)等を用いることができる。赤色発光層6bは、ホスト材料に対して5〜10wt%のドーパント材料6dを含んでいる。ドーパント材料6dとしては、例えば、DCM(ジアノメチレンピラン誘導体)等を用いることができる。赤色発光層6bの膜厚は、例えば5〜15nmである。発光層6の青色発光層6aと赤色発光層6bとのそれぞれにおいて、膜厚方向の中心近傍でドーパント材料6c,6dの濃度が高くなるように、ドープ濃度に勾配が付けられている。このように、ドープ濃度に膜厚方向の勾配を付けることにより、発光層6の輝度寿命および発光効率を向上させている。
【0051】
電子注入輸送層7は、電子輸送層7aと電子注入層7bとが積層され構成されている。電子輸送層7aは、例えば、Alq3からなる。電子輸送層7aの膜厚は、例えば15〜20nmである。電子注入層7bは、例えばLiF(フッ化リチウム)からなる。電子注入層7bの膜厚は、例えば0.5〜2nmである。
【0052】
なお、有機EL装置10は、発光層6から発した光が封止層18側に射出されるトップエミッション方式の有機EL装置であってもよい。有機EL装置10がトップエミッション方式である場合、基板12には透明な材料及び不透明な材料のいずれを用いてもよい。この場合、共通電極8には透光性を有する導電材料が用いられ、封止層18には透光性を有する材料が用いられる。
【0053】
また、有機EL装置10は、カラーフィルタ層を備え、有機EL素子3の発光により得られた白色光がカラーフィルタ層を通してR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に着色される構成であってもよい。また、有機EL装置10は、有機EL素子3がR,G,Bの各色で発光する構成であってもよい。有機EL装置10がこれらの構成を有する場合、画素群1において、画素2のR,G,Bの各色のそれぞれの表示の輝度を適宜変えることで、種々の色の表示を行うことができる。
【0054】
<蒸着装置>
次に、第1の実施形態に係る蒸着装置の構成について図を参照して説明する。図3は、第1の実施形態に係る蒸着装置の概略構成図である。図4は、蒸着源と基板表面との距離と蒸着レートとの関係を示す図である。
【0055】
図3に示すように、本実施形態に係る蒸着装置100は、蒸着槽20と、保持部30と、基板を回転させる回転手段34と、蒸着源36,38と、蒸着源36,38のそれぞれを個別に移動可能な移動手段36a,38aと、蒸着源36,38のそれぞれの角度を個別に調整可能な角度変更手段36b,38bと、を備えている。また、図示しないが、蒸着装置100は、蒸着槽20内を排気して減圧する真空ポンプを備えている。
【0056】
蒸着槽20は、ほぼ円筒形の側部22と、ほぼ円形の上部24および底部26とを有している。保持部30は、蒸着槽20内の上部24に配置されている。保持部30は、基板保持面30a上に基板32を、基板表面32aが底部26に対向するように保持する。保持部30は、蒸着槽20内の上部24に設置された回転手段34に取り付けられている。
【0057】
回転手段34は、図示しないが、モータ、変速機等を内蔵しており、基板保持面30aの法線に平行な回転軸を有している。回転手段34の回転軸には保持部30の中心部が固定されており、回転手段34はこの回転軸を介して保持部30を基板32とともに回転駆動する。これにより、蒸着源36,38が基板表面32aの法線に対して斜め方向に位置していても、基板32を回転させることにより、基板表面32aに対する蒸着方向を相対的に変化させることができる。したがって、回転手段34により基板32を回転させながら成膜することにより、基板表面32aの面内における膜厚のばらつきを抑えることができる。なお、回転手段34が蒸着槽20の外部に設置され、回転軸が蒸着槽20の上部24を貫通して保持部30の中心部を固定していてもよい。
【0058】
蒸着源36,38のそれぞれは、蒸着槽20内に、保持部30の基板保持面30a、すなわち基板表面32aに対向して配置されている。なお、本実施形態では蒸着源が2つ配置されているが、蒸着源が3つ以上であってもよい。蒸着源36,38はルツボ状であり、蒸着源36,38内で加熱され蒸発した膜材料が基板32に供給され、基板表面32aに蒸着される。膜材料の加熱は、蒸着源36,38を加熱することにより間接的に膜材料を加熱してもよいし、膜材料を直接加熱してもよい。加熱方法としては、抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザビーム加熱、高周波誘導加熱等を用いることができる。図示しないが、蒸着源36,38は、基板保持面30aに対向する側に位置し膜材料の蒸気流を放出する開口部と、その開口部を覆って蒸気流の放出を制御するシャッタと、を備えている。
【0059】
移動手段36a,38aは、蒸着槽20の側部22の内壁22a上に設けられている。移動手段36a,38aは、基板表面32aに平行な方向における異なる位置に、蒸着源36,38のそれぞれに対応して配設されている。角度変更手段36b,38bは、蒸着源36,38のそれぞれに配設され、移動手段36a,38aに取り付けられている。移動手段36a,38aは、蒸着源36,38のそれぞれを角度変更手段36b,38bのそれぞれとともに、基板保持面30aの法線に平行な方向(図3の矢印方向)に内壁22aに沿って個別に移動可能である。
【0060】
移動手段36a,38aは、蒸着源36,38のそれぞれを移動させることにより、蒸着源36,38のそれぞれと基板表面32aとの距離を、例えば、150〜450mmの範囲で個別に調整可能である。移動手段36a,38aが蒸着槽20の側部22の内壁22a上に設けられているので、蒸着源36,38のそれぞれがどの位置に移動されても、一方の蒸着源が他方の蒸着源と基板表面との間に位置することはない。これにより、それぞれの蒸着源から供給される膜材料の基板表面32aへの到達を他の蒸着源により互いに妨げることを防止できる。
【0061】
図4に、後述する発光層6のホスト材料を基板表面32aに蒸着する場合に、蒸着源36または38と基板表面32aとの距離Dを、150〜450mmの範囲で変化させた場合の蒸着レートを示す。蒸着源36,38と基板表面32aとの距離が小さいほど蒸着レートは高くなり、蒸着源36,38と基板表面32aとの距離が大きいほど蒸着レートは低くなる。基板表面32aと蒸着源36,38との距離に応じて蒸着レートが変化するので、蒸着源36,38と基板表面32aとの距離を調整することにより、膜材料の蒸着レートを従来より精密に制御できる。また、蒸着源36,38のそれぞれから異なる膜材料を供給し、蒸着源36,38と基板表面32aとの距離を個別に調整すれば、それぞれの膜材料の蒸着レートを個別に制御できる。
【0062】
角度変更手段36b,38bは、蒸着源36,38のそれぞれの開口部側の法線と基板表面32aの法線とがなす角度θを個別に調整可能に構成されている。このような構成によれば、蒸着源36,38のそれぞれが移動手段36a,38aで移動されることにより、蒸着方向と基板表面32aとの相対的位置関係が変化しても、角度変更手段36b,38bで蒸着源36,38のそれぞれの基板表面32aに対する角度を適宜調整することにより、基板表面32aに均一な厚さで成膜できるように蒸着方向と基板表面32aとの相対的位置関係を調整できる。
【0063】
<蒸着方法および有機EL装置の製造方法>
次に、第1の実施形態に係る蒸着方法および有機EL装置の製造方法について、有機EL装置10を製造する場合を例にとり、図を参照して説明する。図5は、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するフローチャートである。
【0064】
図5に示すように、有機EL装置の製造方法は、回路層形成工程S10と、画素電極形成工程S20と、絶縁層・隔壁形成工程S30と、正孔注入輸送層形成工程S40と、発光層形成工程S50と、電子注入輸送層形成工程S60と、共通電極形成工程S70と、封止層形成工程S80と、を含んでいる。
【0065】
回路層形成工程S10では、基板12上に、駆動用TFT13等を含む回路層14を形成する。次に、画素電極形成工程S20では、回路層14上に画素電極4を形成する。次に、絶縁層・隔壁形成工程S30では、回路層14上に絶縁層15を形成し、絶縁層15上に隔壁16を形成する。
【0066】
次の正孔注入輸送層形成工程S40から共通電極形成工程S70の各工程では、上述の蒸着装置100を用いて、正孔注入輸送層5、発光層6、電子注入輸送層7、および共通電極8のそれぞれを真空蒸着法により成膜する。以下、これらの工程における蒸着方法について、図1、図2、および図3を参照してより詳しく説明する。
【0067】
正孔注入輸送層形成工程S40では、まず、図1に示すように、画素電極4上に正孔注入層5aを成膜する。このとき、図3において、蒸着源36,38に正孔注入層5aの膜材料を収容し、蒸着レートが例えば0.05〜0.1nm/secとなるように加熱温度を調整する。加熱温度の調整に加えて、蒸着源36,38を移動させて基板表面32aとの距離を適宜調整し、蒸着レートを制御してもよい。例えば、蒸着源36,38を基板表面32aに近付けておいて加熱すれば、より低パワーで同じ蒸着レートを得ることができる。
【0068】
次に、正孔注入層5a上に正孔輸送層5bを成膜する。このとき、正孔輸送層5bの膜材料を蒸着源36,38に収容し、上述の正孔注入層5aのときと同様にして、蒸着レートが例えば0.05〜0.1nm/secとなるように調整する。これにより、正孔注入輸送層5が成膜される。
【0069】
発光層形成工程S50では、図2に示すように、まず、正孔注入輸送層5上に青色発光層6aを成膜する。このとき、図3において、どちらか一方の蒸着源、例えば蒸着源36に青色発光層6aのホスト材料を収容し、上述の正孔注入層5aのときと同様にして、蒸着レートが例えば0.05〜0.1nm/secとなるように調整する。他方の蒸着源38にはドーパント材料6cを収容し、蒸着レートが例えば0.0025〜0.01nm/secとなるように加熱温度を調整する。ここでは、ドーパント材料6cの蒸着源38は、基板表面32aから最も遠い位置とする。
【0070】
蒸着レートを調整後、青色発光層6aのホスト材料の蒸着源36は、蒸着レートがほぼ一定となるように、蒸着槽20内で同じ位置を維持する。そして、ドーパント材料6cの蒸着源38を、基板表面32aとの距離が150mmから450mmとなる範囲で移動手段38aにより次のように移動させながら成膜する。青色発光層6aの膜厚のほぼ1/2が成膜されるまでは、ドーパント材料6cの蒸着源38を基板32に近付けていき、青色発光層6aの膜厚のほぼ1/2が成膜された後は、ドーパント材料6cの蒸着源38を基板32から遠ざけていく。このとき、蒸着源38の開口部側の法線と基板表面32aの法線とがなす角度θを、蒸着源38の位置に応じて角度変更手段38bにより適宜調整する。これにより、青色発光層6aの膜厚方向の中心近傍でドーパント材料6cのドーパント濃度が高くなるように濃度に勾配を付けることができる。
【0071】
次に、青色発光層6a上に赤色発光層6bを成膜する。このとき、図3において、蒸着源36に赤色発光層6bのホスト材料を収容し、上述の正孔注入層5aのときと同様にして、蒸着レートが例えば0.05〜0.1nm/secとなるように調整する。そして、蒸着源38にはドーパント材料6dを収容し、蒸着レートが例えば0.0025〜0.01nm/secとなるように加熱温度を調整する。ここでは、ドーパント材料6dの蒸着源38は、基板表面32aから最も遠い位置とする。
【0072】
蒸着レートを調整後、赤色発光層6bのホスト材料の蒸着源36は、蒸着レートがほぼ一定となるように、蒸着槽20内で同じ位置を維持する。そして、ドーパント材料6dの蒸着源38を、基板表面32aとの距離が150mmから450mmとなる範囲で移動手段38aにより青色発光層6aを成膜する際と同様の方法で移動させながら成膜する。これにより、赤色発光層6bの膜厚方向の中心近傍でドーパント材料6dのドーパント濃度が高くなるように濃度に勾配を付けることができる。以上により、発光層6が形成される。
【0073】
電子注入輸送層形成工程S60では、図2に示すように、まず、発光層6上に電子輸送層7aを成膜する。図3において、蒸着源36,38に電子輸送層7aの膜材料を収容し、上述の正孔注入層5aのときと同様にして、蒸着レートが例えば0.05〜0.1nm/secとなるように調整する。次に、電子輸送層7a上に電子注入層7bを成膜する。このとき、電子注入層7bの膜材料蒸着レートが例えば0.01〜0.02nm/secとなるように調整する。これにより、電子注入輸送層7が形成される。
【0074】
共通電極形成工程S70では、電子注入輸送層7を覆うように共通電極8(図1参照)を成膜する。図3において、蒸着源36,38に共通電極8の膜材料を収容し、上述の正孔注入層5aのときと同様にして、蒸着レートが例えば0.08〜0.15nm/secとなるように調整する。
【0075】
なお、正孔注入輸送層形成工程S40と、電子注入輸送層形成工程S60と、共通電極形成工程S70と、において、それぞれの膜材料を蒸着源36または38のどちらか一方から供給してもよい。
【0076】
最後に、封止層形成工程S80では、図1に示すように、共通電極8を覆うように封止層18を形成する。以上により、有機EL装置10を製造することができる。
【0077】
第1の実施形態によれば、有機EL装置10の青色発光層6aと赤色発光層6bとを蒸着により成膜する際、それぞれのホスト材料にドーピングするドーパント材料6c,6dのドープ濃度に所望の勾配を付けることができる。これにより、有機EL装置10の輝度寿命および発光効率を向上させることができる。
【0078】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る蒸着装置の構成と蒸着方法および有機EL装置の製造方法について図を参照して説明する。図6は、第2の実施形態に係る蒸着装置の概略構成図である。
【0079】
<蒸着装置>
第2の実施形態に係る蒸着装置200は、第1の実施形態に係る蒸着装置100に対して、複数の蒸着源が蒸着槽の内壁に沿った異なる位置に配置されている点と、移動手段を備えていない点と、が異なっているが、その他の構成は同じである。なお、第1の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0080】
本実施形態に係る蒸着装置200は、図6に示すように、蒸着槽20と、保持部30と、保持部30を回転させる回転手段34と、蒸着源41,42,43,44および45,46,47,48と、角度変更手段41a,42a,43a,44aおよび45a,46a,47a,48aと、を備えている。
【0081】
蒸着源41〜44のそれぞれは、蒸着槽20内の基板表面32aの法線に平行な方向に沿って一列に並び、例えば、基板表面32aとの距離がそれぞれ450mm,350mm,250mm,150mmとなるように配置されている。蒸着源45〜48のそれぞれは、蒸着源41〜44とは基板表面32aに平行な方向における異なる位置に、基板表面32aの法線に平行な方向に沿って一列に並び、基板表面32aとの距離がそれぞれ450mm,350mm,250mm,150mmとなるように配置されている。図示しないが、蒸着源41〜44および45〜48のそれぞれは、基板保持面30aに対向する側に位置し膜材料の蒸気流を放出する開口部と、その開口部を覆って蒸気流の放出を制御するシャッタと、を備えている。なお、本実施形態では蒸着源が4つずつ2列に配置されているが、蒸着源の数、列数等はこれに限定されない。
【0082】
角度変更手段41a〜44aおよび45a〜48aのそれぞれは、蒸着槽20の側部22の内壁22aに設けられており、蒸着源41〜44および45〜48のそれぞれに対応して配設されている。角度変更手段41a〜44aおよび45a〜48aのそれぞれは、蒸着源41〜44および45〜48のそれぞれの基板表面32aに対向する側の法線と基板表面32aの法線とがなす角度θを個別に調整可能に構成されている。
【0083】
第2の実施形態では、蒸着源41〜44のうち基板表面32aとの距離に基づいて適宜選択したいずれかの蒸着源から膜材料を蒸発させることにより、膜材料の蒸着レートを制御できる。蒸着源41〜44のうち、例えば、最初に蒸着源41のみ開口部のシャッタを開けて他の蒸着源の開口部のシャッタを閉じ、次に蒸着源42のみ開口部のシャッタを開ける、というようにして順次蒸着源を切り替えて同一の膜材料を蒸発させれば、この膜材料の蒸着源と基板表面32aとの距離を調整できるので、膜材料の蒸着レートを制御できる。また、蒸着源45〜48においても同様に、基板表面32aとの距離に基づいて適宜選択した蒸着源から膜材料を蒸発させることにより、膜材料の蒸着レートを制御できる。
【0084】
上述の蒸着源の選択または切り替えは、蒸着源41〜44と蒸着源45〜48とを、それぞれ単独で行ってもよいし並行して行ってもよい。蒸着源41〜44と蒸着源45〜48とでそれぞれ異なる膜材料を供給すれば、それぞれの膜材料の蒸着レートを個別に制御できる。
【0085】
<蒸着方法および有機EL装置の製造方法>
次に、第2の実施形態に係る蒸着方法および有機EL装置の製造方法について、有機EL装置10を製造する場合を例にとり説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法に対して、蒸着方法が異なっているが、その他の製造方法は同じである。より詳しくは、正孔注入輸送層形成工程S40から共通電極形成工程S70の各工程において、上述の蒸着装置200を用いて成膜する点が異なっている。以下、これらの工程における蒸着方法について、図6を参照して説明するが、第1の実施形態と共通する蒸着方法、条件等についてはその説明を省略する。
【0086】
まず、正孔注入輸送層形成工程S40では、図6において、蒸着源41〜44のうちいずれか1つから正孔注入層5aの膜材料を供給し、加熱温度を調整して蒸着レートを制御し成膜する。続いて、同様にして、正孔注入層5a上に正孔輸送層5bを成膜する。
【0087】
発光層形成工程S50では、まず青色発光層6aを成膜する。図6において、青色発光層6aのホスト材料を、例えば一方の列をなす蒸着源41〜44のうちのいずれか1つに収容する。また、ドーパント材料6cを他方の蒸着源45〜48のそれぞれに収容する。
【0088】
そして、青色発光層6aの膜厚のほぼ1/2が成膜されるまで、シャッタの開閉により蒸着源45〜48をこの順に順次切り替えてドーパント材料6cを供給し、青色発光層6aの膜厚のほぼ1/2が成膜された後は、蒸着源45〜48を先程とは逆の順に順次切り替えてドーパント材料6cを蒸発させる。これにより、青色発光層6aの膜厚方向の中心近傍でドーパント材料6cのドーパント濃度が高くなるように濃度に勾配を付けることができる。次の赤色発光層6bも、青色発光層6aと同様の方法で成膜する。
【0089】
電子注入輸送層形成工程S60での電子輸送層7aおよび電子注入層7bの成膜と、共通電極形成工程S70での共通電極8の成膜とは、正孔注入輸送層形成工程S40での正孔注入層5aおよび正孔輸送層5bと同様の方法で成膜する。以上により、有機EL装置10を製造できる。
【0090】
なお、正孔注入輸送層形成工程S40と、電子注入輸送層形成工程S60と、共通電極形成工程S70と、において、それぞれの膜材料を複数の蒸着源、例えば蒸着源41〜44にうち2つ以上の蒸着源から蒸発させてもよいし、蒸着源41〜44および蒸着源45〜48の双方から蒸発させてもよい。
【0091】
第2の実施形態によれば、有機EL装置10の青色発光層6aと赤色発光層6bとを蒸着により成膜する際、それぞれのホスト材料にドーピングするドーパント材料6c,6dのドープ濃度に所望の勾配を付けることができる。これにより、有機EL装置10の輝度寿命および発光効率を向上させることができる。
【0092】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る有機EL装置の構成例、製造方法および蒸着方法について図を参照して説明する。図7は、第3の実施形態に係る有機EL装置の一例の概略構成を示す断面図である。図8は、第3の実施形態に係る蒸着方法を説明する図である。
【0093】
<有機EL装置>
まず、第3の実施形態において製造される有機EL装置の一例について図7を参照して説明する。有機EL装置50は、第1の実施形態に係る有機EL装置10に対して、正孔注入輸送層5と、発光層6と、電子注入輸送層7と、のそれぞれの構成が異なっているが、その他の構成は同じである。第1の実施形態と共通する構成についてはその説明を省略する。
【0094】
図7に示すように、正孔注入輸送層5において、正孔注入層5aは、正孔輸送層5bに隣接し正孔輸送層5bのホスト材料が混合されたミックスホスト領域5a1を有している。ミックスホスト領域5a1においては、正孔注入層5aのホスト材料に対する正孔輸送層5bのホスト材料の含有率が、正孔輸送層5bとの界面に近づくにしたがって徐々に増加し、正孔輸送層5bとの界面近傍で両ホスト材料がほぼ同じ割合となっている。
【0095】
正孔輸送層5bは、正孔注入層5aに隣接し正孔注入層5aのホスト材料が混合されたミックスホスト領域5b1を有している。ミックスホスト領域5b1においては、正孔輸送層5bのホスト材料に対する正孔注入層5aのホスト材料の含有率が、正孔注入層5aとの界面に近づくにしたがって徐々に増加し、正孔注入層5aとの界面近傍で両ホスト材料がほぼ同じ割合となっている。
【0096】
つまり、ミックスホスト領域5a1およびミックスホスト領域5b1においては、正孔注入層5aのホスト材料と正孔輸送層5bのホスト材料とが混合され、膜厚方向に沿って主となるホスト材料が入れ替わるようにその混合割合が連続的に変化している。これにより、正孔注入層5aと正孔輸送層5bとの界面を実質的になくす構成となっている。
【0097】
次に、正孔輸送層5bは青色発光層6aに隣接して、青色発光層6aのホスト材料が混合されたミックスホスト領域5b2を有している。青色発光層6aは、正孔輸送層5bに隣接し正孔輸送層5bのホスト材料が混合されたミックスホスト領域6a1を有している。ミックスホスト領域5b2およびミックスホスト領域6a1は、ミックスホスト領域5a1およびミックスホスト領域5b1と同様に、膜厚方向に沿って主となるホスト材料が入れ替わるようにその混合割合が連続的に変化しており、正孔輸送層5bと青色発光層6aとの界面を実質的になくす構成となっている。
【0098】
同様に、赤色発光層6bおよび電子輸送層7aも、それぞれに隣接するミックスホスト領域6b1およびミックスホスト領域7a1を有しており、膜厚方向に沿って主となるホスト材料が入れ替わるようにその混合割合が連続的に変化して、赤色発光層6bと電子輸送層7aとの界面を実質的になくす構成となっている。
【0099】
有機EL装置50では、各機能層間にこのようなミックスホスト領域を形成することで、各層間の界面を実質的になくし、エネルギ障壁を緩やかにすることができる。これにより、有機EL装置50の発光効率や輝度寿命を向上させることができる。
【0100】
<蒸着方法および有機EL装置の製造方法>
次に、第3の実施形態に係る蒸着方法および有機EL装置の製造方法について図8を参照して説明する。
【0101】
第3の実施形態に係る有機EL装置の製造方法は、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法に対して、正孔注入輸送層5と、発光層6と、電子注入輸送層7と、の蒸着方法が異なっているが、その他の製造方法は同じである。第3の実施形態に係る有機EL装置の製造方法に用いる蒸着装置は、蒸着源を少なくとも3つ備えており、移動手段および角度変更手段を蒸着源の数に対応して備えている点以外は、第1の実施形態における蒸着装置100と同じ構成を有している。以下、これらの工程における蒸着方法について図8を参照して説明するが、蒸着装置については図3を参照して説明する。また、第1の実施形態と共通する蒸着方法、条件等についてはその説明を省略する。
【0102】
まず、正孔注入輸送層形成工程S40における正孔注入層5aおよび正孔輸送層5bの成膜と、発光層形成工程S50における青色発光層6aの成膜とを連続して行う。成膜を開始する前に、正孔注入層5aのホスト材料と、正孔輸送層5bのホスト材料と、青色発光層6aのホスト材料と、をそれぞれ別々の蒸着源に収納する。正孔注入層5aの蒸着源を、図3の基板表面32aに近い位置、例えば基板表面32aとの距離が150mmの位置まで移動し、この蒸着源のシャッタを開けて、正孔注入層5aの成膜を開始する。このとき、他の蒸着源は基板表面32aから最も遠い位置、例えば基板表面32aとの距離が450mmの位置に維持し、シャッタは閉じたままの状態とする。
【0103】
正孔注入層5aの膜厚が所望の値に近付いたときに、正孔輸送層5bの蒸着源のシャッタを開け、正孔輸送層5bの蒸着源を基板表面32aに近づける方向に移動させるのと並行して、正孔注入層5aのホスト材料の蒸着源を、徐々に基板表面32aから遠ざける方向に移動させる。そして、正孔輸送層5bの蒸着源を基板表面32aとの距離が150mmの位置まで移動させるのとほぼ同じ時間で、正孔注入層5aの蒸着源を基板表面32aとの距離が450mmの位置まで移動させる。
【0104】
このとき、図8に示すように、時間の経過とともに、それぞれの蒸着源と基板表面32aとの距離に応じて、正孔輸送層5bのホスト材料の蒸着レートは連続的に増加し、正孔注入層5aのホスト材料の蒸着レートは連続的に減少する。正孔注入層5aの蒸着源が基板表面32aとの距離が450mmの位置に到達したら、正孔注入層5aの蒸着源のシャッタを閉じる。これにより、図7に示すように、ミックスホスト領域5a1を有する正孔注入層5aと、正孔注入層5aに隣接する正孔輸送層5bのミックスホスト領域5b1と、が形成される。
【0105】
次に、正孔輸送層5bの膜厚が所望の値に近付いたときに、青色発光層6aの蒸着源のシャッタを開け、青色発光層6aの蒸着源を基板表面32aに近づける方向に移動させるのと並行して、正孔輸送層5bのホスト材料の蒸着源を、徐々に基板表面32aから遠ざける方向に移動させる。そして、青色発光層6aの蒸着源を基板表面32aとの距離が150mmの位置まで移動させるのとほぼ同じ時間で、正孔輸送層5bの蒸着源を基板表面32aとの距離が450mmの位置まで移動させる。正孔輸送層5bの蒸着源が基板表面32aとの距離が450mmの位置に到達したら、正孔輸送層5bの蒸着源のシャッタを閉じる。これにより、図7に示すように、ミックスホスト領域5b1とミックスホスト領域5b2とを有する正孔輸送層5bと、正孔輸送層5bに隣接する青色発光層6aのミックスホスト領域6a1が形成される。
【0106】
同様にして、発光層形成工程S50における赤色発光層6bの成膜と、電子注入輸送層形成工程S60における電子輸送層7aの成膜と、を行う。以上により、有機EL装置50を製造できる。
【0107】
第3の実施形態によれば、それぞれが異なるホスト材料からなる有機層を成膜する場合、1つの層のホスト材料を蒸発させる蒸着源36と、その層に隣接する層のホスト材料を蒸発させる蒸着源38とのそれぞれを相反する方向に移動させながら成膜すれば、これらの層間の界面近傍において双方のホスト材料が混合しその混合率が連続的に変化するように成膜できる。これにより、有機EL装置50の輝度寿命および発光効率を向上させることができる。
【0108】
なお、第3の実施形態に係る蒸着方法および有機EL装置の製造方法は、第2の実施形態における蒸着装置200とほぼ同様の構成を有し、少なくとも3列に配置された複数の蒸着源を備えた蒸着装置を用いても実現できる。例えば、2つのホスト材料のうち一方を1つの列に配置された蒸着源のそれぞれに収容し、他方を他の列に配置された蒸着源のそれぞれに収容する。シャッタの開閉により、一方の列の複数の蒸着源を基板表面32aに近い蒸着源から遠い蒸着源へ順に切り替えるのと並行して、他方の列の複数の蒸着源を基板表面32aに遠い蒸着源から近い蒸着源へ順に切り替えて、それぞれのホスト材料の蒸着を行えば、段階的ではあるが、図8に示すような蒸着レートの制御が可能である。
【0109】
上記実施形態に対しては、様々な変形を加えることが可能である。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0110】
<変形例1>
上記の実施形態では、発光層を形成する際に、ホスト材料とドーパント材料とを別々の蒸着源から蒸発させたが、このような形態に限定されない。ホスト材料とドーパント材料とを混合した膜材料であって、両材料の混合比が異なる膜材料を別々の蒸着源に収容し、これらの蒸発源を切り替えて膜材料を蒸発させてもよい。
【0111】
例えば、蒸着装置200の蒸着源41〜44のそれぞれに、ホスト材料とドーパント材料との混合比が4段階で異なる膜材料を別々に収容し、ホスト材料とドーパント材料との混合比が最も低い膜材料の蒸着源から混合比が最も高い膜材料の蒸着源へ(あるいは、混合比が最も高い膜材料の蒸着源から混合比が最も低い膜材料の蒸着源へ)と順次切り替え膜材料を蒸発させて成膜することにより、ドーパント材料のドープ濃度に所望の勾配を付けることができる。
【0112】
<変形例2>
上記の実施形態では、発光層におけるドーパント材料の濃度分布、またはミックスホスト領域におけるホスト材料の分布が、基板表面32aに平行な面内において均一になるように成膜したが、このような形態に限定されない。ドーパント材料が基板表面32aに平行な面内において異なる分布を有するように成膜してもよい。
【0113】
図9は変形例に係る有機EL装置の構成例を示す断面図である。図9(a)に示す有機EL装置60は、発光層66のホスト材料層66aとホスト材料層66bとの間に、ドーパント材料がドープされたドープ層66dを有している。ホスト材料層66aおよびホスト材料層66bのそれぞれと、ドープ層66dとの仮想界面は平面であるが、基板表面32aに平行ではない。有機EL装置60は、ホスト材料層66aとホスト材料層66bとが異なるホスト材料からなり、ドープ層66dの代わりに両ホスト材料が混合されたミックスホスト領域を有していてもよい。
【0114】
また、図9(b)に示す有機EL装置70は、発光層76のホスト材料層76aとホスト材料層76bとの間に、ドーパント材料がドープされたドープ層76dを有している。ホスト材料層76aおよびホスト材料層76bのそれぞれと、ドープ層76dとの仮想界面は平面ではない。有機EL装置70は、ホスト材料層76aとホスト材料層76bとが異なるホスト材料からなり、ドープ層76dの代わりに両ホスト材料が混合されたミックスホスト領域を有していてもよい。
【0115】
このような構成を有する有機EL装置は、蒸着装置100または蒸着装置200を用いて製造することができる。蒸着装置100において、例えば、ドーパント材料を蒸発させる蒸着源を一定位置に維持し、その蒸着源の基板表面32aに対する角度を変化させながらドーパント材料を供給して基板表面32aに蒸着させる。このとき、基板32を回転させないようにしてもよい。蒸着装置200を用いる場合は、ドーパント材料を蒸発させる蒸着源をいずれか1つに固定して、その蒸着源の基板表面32aに対する角度を変化させながらドーパント材料を供給すればよい。
【0116】
また、蒸着装置100において、例えば、ドーパント材料を蒸発させる蒸着源の基板表面32aに対する角度を一定角度に維持し、その蒸着源を移動させながらドーパント材料を供給してもよい。蒸着装置200を用いる場合は、ドーパント材料を蒸発させる蒸着源のそれぞれの基板表面32aに対する角度を同じ角度に固定して、蒸着源を切り替えながらドーパント材料を供給してもよい。このように、蒸着装置100または蒸着装置200を用いることにより、同一面内で膜厚を異ならせて成膜することや、基板表面に平行でない層を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】有機EL装置の一例の概略構成を示す断面図。
【図2】有機EL装置の一例の概略構成を示す断面図。
【図3】第1の実施形態に係る蒸着装置の概略構成図。
【図4】蒸着源と基板表面との距離と蒸着レートとの関係を示す図。
【図5】第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するフローチャート。
【図6】第2の実施形態に係る蒸着装置の概略構成図。
【図7】第3の実施形態に係る有機EL装置の一例の概略構成を示す断面図。
【図8】第3の実施形態に係る蒸着方法を説明する図。
【図9】変形例に係る有機EL装置の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
【0118】
1…画素群、2…画素、3…有機EL素子、4…画素電極、5…正孔注入輸送層、5a…正孔注入層、5b…正孔輸送層、6…発光層、6a…青色発光層、6b…赤色発光層、6c…ドーパント材料、6d…ドーパント材料、7…電子注入輸送層、7a…電子輸送層、7b…電子注入層、8…共通電極、10…有機EL装置、12…基板、13…駆動用TFT、14…回路層、15…絶縁層、16…隔壁、18…封止層、20…蒸着槽、22…側部、22a…内壁、24…上部、26…底部、30…保持部、30a…基板保持面、32…基板、32a…基板表面、34…回転手段、36,38,41,42,43,44,45,46,47,48…蒸着源、36a,38a…移動手段、36b,38b,41a,42a,43a,44a,45a,46a,47a,48a…角度変更手段、50…有機EL装置、60…有機EL装置、66…発光層、66a…ホスト材料層、66b…ホスト材料層、66d…ドープ層、70…有機EL装置、76…発光層、76a…ホスト材料層、76b…ホスト材料層、76d…ドープ層、100…蒸着装置、200…蒸着装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着装置であって、
蒸着槽と、
前記蒸着槽内に配置され、前記基板を保持する保持部と、
前記蒸着槽内に前記保持部の基板保持面に対向して配置され、前記膜材料を蒸発させる複数の蒸着源と、
前記複数の蒸着源のうち少なくとも1つを、前記基板保持面に対して相対移動可能な移動手段と、
を備えていることを特徴とする蒸着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸着装置であって、
前記移動手段は、前記複数の蒸着源のそれぞれを個別に移動可能に配設されていることを特徴とする蒸着装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蒸着装置であって、
前記移動手段は、前記蒸着槽の内壁上に設けられており、前記蒸着源を前記基板保持面の法線に平行な方向に移動可能に配設されていることを特徴とする蒸着装置。
【請求項4】
膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着装置であって、
蒸着槽と、
前記蒸着槽内に配置され、前記基板を保持する保持部と、
前記蒸着槽内の内壁上に前記保持部の基板保持面に対向して配置され、前記膜材料を蒸発させる複数の蒸着源と、を備え、
前記複数の蒸着源のそれぞれと前記基板保持面との距離が異なることを特徴とする蒸着装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の蒸着装置であって、
前記保持部には、前記基板保持面の法線に平行な軸を回転軸として、前記基板を回転させる回転手段が備えられていることを特徴とする蒸着装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の蒸着装置であって、
前記複数の蒸着源のそれぞれに配設され、前記複数の蒸着源のそれぞれの前記基板保持面に対向する側の法線と前記基板保持面の法線とがなす角度を個別に調整可能な角度変更手段を備えていることを特徴とする蒸着装置。
【請求項7】
蒸着源から膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着方法であって、
前記基板表面に対向して配置した複数の前記蒸着源のうち少なくとも1つを移動させて、前記少なくとも1つの蒸着源と前記基板表面との距離を調整することにより、蒸着レートを制御して成膜することを特徴とする蒸着方法。
【請求項8】
請求項7に記載の蒸着方法であって、
前記複数の蒸着源のそれぞれを個別に移動させて、前記複数の蒸着源のそれぞれと前記基板表面との距離を個別に調整することを特徴とする蒸着方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の蒸着方法であって、
前記蒸着源を前記基板表面の法線に平行な方向に移動させて、前記蒸着源と前記基板表面との距離を調整することを特徴とする蒸着方法。
【請求項10】
蒸着源から膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する蒸着方法であって、
複数の前記蒸着源を前記基板表面に対向して配置し、
前記複数の蒸着源のうち、少なくとも前記基板表面との距離がそれぞれ異なる複数の前記蒸着源のいずれかから前記膜材料を蒸発させることにより成膜することを特徴とする蒸着方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載の蒸着方法であって、
前記基板を、前記基板表面の法線に平行な軸を回転軸として回転させながら成膜することを特徴とする蒸着方法。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか1項に記載の蒸着方法であって、
前記複数の蒸着源のそれぞれの前記基板表面に対向する側の法線と前記基板表面の法線とがなす角度を個別に調整可能であることを特徴とする蒸着方法。
【請求項13】
有機発光層を含む機能層を備えた有機EL装置の製造方法であって、
請求項1から6のいずれか1項に記載の蒸着装置を用いて、少なくとも前記機能層を成膜することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項14】
有機発光層を含む機能層を備えた有機EL装置の製造方法であって、
請求項7から12のいずれか1項に記載の蒸着方法を用いて、少なくとも前記機能層を成膜することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記複数の蒸着源は、前記膜材料として少なくともホスト材料とドーパント材料とを蒸発させるものであって、
前記ドーパント材料を蒸発させる前記蒸着源を移動させて、前記蒸着源と前記基板表面との距離を調整しながら成膜することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項16】
請求項13または14に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記複数の蒸着源は、前記膜材料として少なくとも2つの異なるホスト材料を蒸発させるものであって、
一方の前記ホスト材料を蒸発させる前記蒸着源を移動させて前記基板表面との距離を調整するのと並行して、他方の前記ホスト材料を蒸発させる前記蒸着源を移動させて前記基板表面との距離を調整しながら成膜することを特徴とする有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−114503(P2009−114503A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289315(P2007−289315)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】