蓄光チップの製造方法
【課題】 全体形状が皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップを効率よく製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】 第1の成形型1の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部3の底面に蓄光材粒子4と透明樹脂粉末5との混合粉末を充填し、加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレート6を成形し、この後、第2の成形型7の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部8に前記蓄光プレート6をセットし、セットした蓄光プレートを上型9との間で加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップb13を得る。
【解決手段】 第1の成形型1の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部3の底面に蓄光材粒子4と透明樹脂粉末5との混合粉末を充填し、加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレート6を成形し、この後、第2の成形型7の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部8に前記蓄光プレート6をセットし、セットした蓄光プレートを上型9との間で加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップb13を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードマーカーや標識などとして利用できる蓄光チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から蓄光材を用いた道路標識などが知られている。例えば特許文献1には、粒径100μm程度のガラスフリットに5〜20μm程度の粒径の蓄光材を混合した残光性の上絵具を焼成後のガラス層中に分散する構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、道路鋲の上面中央に凹部を設け、この凹部内に蓄光材を含有したプラスチック片を固着した歩行者用の避難誘導標識について記載されている。
【0004】
特許文献3には、蓄光材粒子を細かく粉砕して塗料に混練し、これをシルクスクリーン印刷によって印刷して蓄光層を形成することが記載されている。
【0005】
特許文献4には、透光性部材の上に接着層を形成し、この接着層の上に蓄光材粒子を振りかけ、更に付着した蓄光材粒子の裏面に透明樹脂をスプレーして蓄光材粒子が脱落しないようにし、この蓄光材粒子層を反射シートで覆う内容が記載されている。
【特許文献1】特開平10−194871号公報
【特許文献2】特開2001−295231号公報
【特許文献3】特開平10−884048号公報
【特許文献4】特許第3482407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に記載の蓄光材層はガラスフリットや樹脂のマトリックス内に蓄光材粒子が分散しているため、十分な輝度を達成できない。
【0007】
また特許文献4に開示される構造とすることで十分な輝度を得られるが、蓄光材層が多孔質のままであるので形状を強く維持することができず、大きな力が作用する箇所、例えばロードマーカーなどに使用するには問題がある。
【0008】
そこで、本発明者はロードマーカーなどに使用する蓄光チップとして、平面視で円形または多角形をなし且つ全体形状が皿状またはカップ状または半球状をなし、蓄光材層の表面に透明表皮層が形成され、前記蓄光材層は蓄光材粒子同士が接触した状態で結合して多孔質状をなすとともに蓄光材粒子間の隙間には蓄光材層の形状を維持するための透明樹脂が充填されていると共に前記蓄光材層の裏面に反射機能を有する別の蓄光材層が設けられた構造を、特願2007−304078号として提案した。
【0009】
又、本出願人は特願2008−184387号で 以下の蓄光チップの製造方法も提案している。
<工程1> 平面視で円形または多角形をなし且つ全体形状が皿状またはカップ状をなす成形凹部の表面に透明樹脂を塗布し薄く均一な厚みの透明樹脂層を形成する。
<工程2> 前記透明樹脂層の上にバインダとしての透明樹脂を薄く均一な厚みで塗布し、このバインダとしての透明樹脂が乾燥する前に蓄光材粒子を振りかける。
<工程3> 前記工程2を複数回繰り返すことで、透明樹脂によって結合するとともに蓄光材粒子間に隙間が存在する多孔質状の蓄光材層を形成する。
<工程4> 前記多孔質状の蓄光材層の上から溶剤タイプの液状透明樹脂を注入して蓄光材粒子間の隙間に侵入せしめる。
<工程5> 工程4で蓄光材層に供給した透明樹脂の溶剤が蒸発し 蓄光層の内側に空洞部が形成された後、白色ペイントを塗布する。
<工程6> 白色ペイントが十分に乾燥した後、工程4で使用した透明樹脂と異なる樹脂を蓄光層の内側空洞部に充填する。
<工程7> 工程6で使用した樹脂が十分に硬化した後 蓄光チップを型より取り出す。
【0010】
上述した製造方法ではいきなり最終形状に近い形状の蓄光チップを製造するため、量産化の面で問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、全体形状が皿状またはカップ状をなす蓄光チップを効率よく製造することを目的として本発明をなしたものである。
【0012】
第1発明に係る蓄光チップの製造方法は以下の工程からなる。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第2の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> セットした蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【0013】
第2発明に係る蓄光チップの製造方法は以下の工程からなる。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第1の成形型と平面視で同じ形状の第2の成形型の上面に形成された成形凹部の底面に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> 前記蓄光プレートの上に工程1で使用した蓄光材と異なる蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填し、加熱・圧縮することで、2タイプの蓄光材からなる2層構造の蓄光プレートを得る。
<工程5> 第3の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記2層構造の蓄光プレートをセットする。
<工程6> セットした前記2層構造の蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【0014】
前記第2発明において、工程4で使用する蓄光材粒子の粒径を工程1で使用する蓄光材粒子の粒径より小さな微細な蓄光材を使用することが好ましい。
【0015】
前記蓄光材粒子と混合する透明樹脂粉末はエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る蓄光チップの製造方法によれば、全体形状が皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップを効率よく製造することができる。
【0017】
また、本発明に係る製造方法によって得られた蓄光チップは、蓄光材層を構成する蓄光材粒子は最密充填状態に近く、且つ隙間に充填される透明樹脂の量が少ないため、光エネルギーの吸収・消費されることが少なく、又 同じく反射層でも光エネルギーの吸収・消費されることが少ないため蓄光機能を最大限に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。図1乃至図9は第1発明に係る蓄光チップの製造方法を工程に沿って説明した図である。
【0019】
本発明にあっては、先ず第1の成形型(金型)1と上型2を用意する。上型2の代わりに加圧ローラを用いることも可能である。
【0020】
第1の成形型1の上面には平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部3が形成されており、この成形凹部3の底面に図1に示すように、大粒径な蓄光材粒子4と透明樹脂粉末5との混合粉末を充填する。
【0021】
そして図2に示すように、上型2を押付けて加熱・圧縮する。この加熱・圧縮後に図3に示すように上型2を上昇させ、第1の成形型1から平板状の蓄光プレート6を取り出す。
【0022】
取り出した蓄光プレート6を、図4に示すように、第2の成形型(金型)7の成形凹部8にセットする。この成形凹部8の形状は皿状またはカップ状または半球状をなしている。
【0023】
次いで、図5に示すように前記凹部9に対応する凸部を備えた上型9を下降させ、第2の成形型7と上型9との間で、蓄光プレート6を加熱・変形する。この加熱・変形後に図6に示すように上型9を上昇させ、第2の成形型7から皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップa10を取り出す。
【0024】
この後、図7(a)及び(b)に示すように、取り出した蓄光チップa10の表面に透明樹脂層11をスプレーや塗布によって設け、蓄光チップa10の裏面に白色反射層12をスプレーや塗布によって形成した蓄光チップb13が出来上がる。
【0025】
前記透明樹脂層11は保護のためであり、アクリル樹脂、シリコン樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
【0026】
図8は本発明方法によって得られた蓄光チップb13を適用した例を示す断面図であり、蓄光チップb13は蓄光チップb13の空洞部にベース樹脂14を充填した構造になっている。
【0027】
図9は本発明方法によって得られた蓄光チップb13を適用した安全ポールの全体図であり、安全ポール15は柱部材16の上部に取り付けブロック17を設け、この取り付けブロック17の4つの側面に2個ずつ蓄光チップb13を取り付けている。
【0028】
図10乃至図15は第2発明を説明したものであり、図10は第1の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図、図11は第1の成形型の成形凹部にセットされた蓄光プレートの上に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填した状態を示す断面図、図12は第1の成形型と上型との間で混合粉末を加熱・圧縮している状態を示す断面図、図13は加熱・圧縮後の型開放状態を示す断面図、図14は第3の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図、図15は第3の成形型と上型との間で加熱・変形している状態を示す断面図である。
【0029】
第2発明にあっては、図10に示すように、第1の成形型1と上型2を用意し、第1の成形型1の成形凹部3に前記と同様にして得た蓄光プレート6をセットする。尚、成形凹部3の深さは蓄光プレート6の厚みよりも深くなっている。
【0030】
次いで図11に示すように、成形凹部3内にセットした蓄光プレート6の上に微細な蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末20を充填する。
【0031】
この後、図12に示すように、上型2を押付けて加熱・圧縮する。この加熱・圧縮後に図13に示すように上型2を上昇させ、第1の成形型1から平板状且つ2層構造の蓄光プレート21を取り出す。
【0032】
取り出した蓄光プレート21を、図14に示すように、第3の成形型(金型)22の成形凹部23にセットする。この成形凹部23の形状は皿状またはカップ状または半球状をなしている。
【0033】
次いで、図15に示すように前記成形凹部23に対応する凸部を備えた上型24を下降させ、第3の成形型22と上型24との間で、蓄光プレート21を加熱・変形する。この加熱・変形後に上型24を上昇させ、第3の成形型22から皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップを取り出す。
【0034】
この後、必要に応じ蓄光チップの表面に透明樹脂層をスプレーや塗布によって設けたり、蓄光チップの裏面に白色反射層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の成形型の成形凹部に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填した状態を示す断面図
【図2】第1の成形型と上型との間で混合粉末を加熱・圧縮している状態を示す断面図
【図3】加熱・圧縮後の型開放状態を示す断面図
【図4】第2の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図
【図5】第2の成形型と上型との間で加熱・変形している状態を示す断面図
【図6】加熱・変形後の型開放状態を示す断面図
【図7】(a)は本発明方法によって得られた蓄光チップの側断面図、 (b)同蓄光チップの平面図
【図8】本発明方法によって得られた蓄光チップの一例の断面図
【図9】本発明方法によって得られた蓄光チップを適用した安全ポールの全体図
【図10】第1の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図
【図11】第1の成形型の成形凹部にセットされた蓄光プレートの上に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填した状態を示す断面図
【図12】第1の成形型と上型との間で混合粉末を加熱・圧縮している状態を示す断面図
【図13】加熱・圧縮後の型開放状態を示す断面図
【図14】第3の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図
【図15】第3の成形型と上型との間で加熱・変形している状態を示す断面図
【符号の説明】
【0036】
1…第1の成形型(金型)、2…上型、3…成形凹部、4…蓄光材粒子、5…透明樹脂粉末、6…蓄光プレート、7…第2の成形型(金型)、8…成形凹部、9…上型、10…蓄光チップa、11…透明樹脂層、12…白色反射層、13…蓄光チップb、14…ベース樹脂、15…安全ポール、16…柱部材、17…取り付けブロック、20…微細な蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末、21…2層構造の蓄光プレート、22…第3の成形型(金型)、23…成形凹部、24…上型。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードマーカーや標識などとして利用できる蓄光チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から蓄光材を用いた道路標識などが知られている。例えば特許文献1には、粒径100μm程度のガラスフリットに5〜20μm程度の粒径の蓄光材を混合した残光性の上絵具を焼成後のガラス層中に分散する構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、道路鋲の上面中央に凹部を設け、この凹部内に蓄光材を含有したプラスチック片を固着した歩行者用の避難誘導標識について記載されている。
【0004】
特許文献3には、蓄光材粒子を細かく粉砕して塗料に混練し、これをシルクスクリーン印刷によって印刷して蓄光層を形成することが記載されている。
【0005】
特許文献4には、透光性部材の上に接着層を形成し、この接着層の上に蓄光材粒子を振りかけ、更に付着した蓄光材粒子の裏面に透明樹脂をスプレーして蓄光材粒子が脱落しないようにし、この蓄光材粒子層を反射シートで覆う内容が記載されている。
【特許文献1】特開平10−194871号公報
【特許文献2】特開2001−295231号公報
【特許文献3】特開平10−884048号公報
【特許文献4】特許第3482407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に記載の蓄光材層はガラスフリットや樹脂のマトリックス内に蓄光材粒子が分散しているため、十分な輝度を達成できない。
【0007】
また特許文献4に開示される構造とすることで十分な輝度を得られるが、蓄光材層が多孔質のままであるので形状を強く維持することができず、大きな力が作用する箇所、例えばロードマーカーなどに使用するには問題がある。
【0008】
そこで、本発明者はロードマーカーなどに使用する蓄光チップとして、平面視で円形または多角形をなし且つ全体形状が皿状またはカップ状または半球状をなし、蓄光材層の表面に透明表皮層が形成され、前記蓄光材層は蓄光材粒子同士が接触した状態で結合して多孔質状をなすとともに蓄光材粒子間の隙間には蓄光材層の形状を維持するための透明樹脂が充填されていると共に前記蓄光材層の裏面に反射機能を有する別の蓄光材層が設けられた構造を、特願2007−304078号として提案した。
【0009】
又、本出願人は特願2008−184387号で 以下の蓄光チップの製造方法も提案している。
<工程1> 平面視で円形または多角形をなし且つ全体形状が皿状またはカップ状をなす成形凹部の表面に透明樹脂を塗布し薄く均一な厚みの透明樹脂層を形成する。
<工程2> 前記透明樹脂層の上にバインダとしての透明樹脂を薄く均一な厚みで塗布し、このバインダとしての透明樹脂が乾燥する前に蓄光材粒子を振りかける。
<工程3> 前記工程2を複数回繰り返すことで、透明樹脂によって結合するとともに蓄光材粒子間に隙間が存在する多孔質状の蓄光材層を形成する。
<工程4> 前記多孔質状の蓄光材層の上から溶剤タイプの液状透明樹脂を注入して蓄光材粒子間の隙間に侵入せしめる。
<工程5> 工程4で蓄光材層に供給した透明樹脂の溶剤が蒸発し 蓄光層の内側に空洞部が形成された後、白色ペイントを塗布する。
<工程6> 白色ペイントが十分に乾燥した後、工程4で使用した透明樹脂と異なる樹脂を蓄光層の内側空洞部に充填する。
<工程7> 工程6で使用した樹脂が十分に硬化した後 蓄光チップを型より取り出す。
【0010】
上述した製造方法ではいきなり最終形状に近い形状の蓄光チップを製造するため、量産化の面で問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、全体形状が皿状またはカップ状をなす蓄光チップを効率よく製造することを目的として本発明をなしたものである。
【0012】
第1発明に係る蓄光チップの製造方法は以下の工程からなる。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第2の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> セットした蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【0013】
第2発明に係る蓄光チップの製造方法は以下の工程からなる。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第1の成形型と平面視で同じ形状の第2の成形型の上面に形成された成形凹部の底面に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> 前記蓄光プレートの上に工程1で使用した蓄光材と異なる蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填し、加熱・圧縮することで、2タイプの蓄光材からなる2層構造の蓄光プレートを得る。
<工程5> 第3の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記2層構造の蓄光プレートをセットする。
<工程6> セットした前記2層構造の蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【0014】
前記第2発明において、工程4で使用する蓄光材粒子の粒径を工程1で使用する蓄光材粒子の粒径より小さな微細な蓄光材を使用することが好ましい。
【0015】
前記蓄光材粒子と混合する透明樹脂粉末はエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る蓄光チップの製造方法によれば、全体形状が皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップを効率よく製造することができる。
【0017】
また、本発明に係る製造方法によって得られた蓄光チップは、蓄光材層を構成する蓄光材粒子は最密充填状態に近く、且つ隙間に充填される透明樹脂の量が少ないため、光エネルギーの吸収・消費されることが少なく、又 同じく反射層でも光エネルギーの吸収・消費されることが少ないため蓄光機能を最大限に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。図1乃至図9は第1発明に係る蓄光チップの製造方法を工程に沿って説明した図である。
【0019】
本発明にあっては、先ず第1の成形型(金型)1と上型2を用意する。上型2の代わりに加圧ローラを用いることも可能である。
【0020】
第1の成形型1の上面には平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部3が形成されており、この成形凹部3の底面に図1に示すように、大粒径な蓄光材粒子4と透明樹脂粉末5との混合粉末を充填する。
【0021】
そして図2に示すように、上型2を押付けて加熱・圧縮する。この加熱・圧縮後に図3に示すように上型2を上昇させ、第1の成形型1から平板状の蓄光プレート6を取り出す。
【0022】
取り出した蓄光プレート6を、図4に示すように、第2の成形型(金型)7の成形凹部8にセットする。この成形凹部8の形状は皿状またはカップ状または半球状をなしている。
【0023】
次いで、図5に示すように前記凹部9に対応する凸部を備えた上型9を下降させ、第2の成形型7と上型9との間で、蓄光プレート6を加熱・変形する。この加熱・変形後に図6に示すように上型9を上昇させ、第2の成形型7から皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップa10を取り出す。
【0024】
この後、図7(a)及び(b)に示すように、取り出した蓄光チップa10の表面に透明樹脂層11をスプレーや塗布によって設け、蓄光チップa10の裏面に白色反射層12をスプレーや塗布によって形成した蓄光チップb13が出来上がる。
【0025】
前記透明樹脂層11は保護のためであり、アクリル樹脂、シリコン樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
【0026】
図8は本発明方法によって得られた蓄光チップb13を適用した例を示す断面図であり、蓄光チップb13は蓄光チップb13の空洞部にベース樹脂14を充填した構造になっている。
【0027】
図9は本発明方法によって得られた蓄光チップb13を適用した安全ポールの全体図であり、安全ポール15は柱部材16の上部に取り付けブロック17を設け、この取り付けブロック17の4つの側面に2個ずつ蓄光チップb13を取り付けている。
【0028】
図10乃至図15は第2発明を説明したものであり、図10は第1の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図、図11は第1の成形型の成形凹部にセットされた蓄光プレートの上に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填した状態を示す断面図、図12は第1の成形型と上型との間で混合粉末を加熱・圧縮している状態を示す断面図、図13は加熱・圧縮後の型開放状態を示す断面図、図14は第3の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図、図15は第3の成形型と上型との間で加熱・変形している状態を示す断面図である。
【0029】
第2発明にあっては、図10に示すように、第1の成形型1と上型2を用意し、第1の成形型1の成形凹部3に前記と同様にして得た蓄光プレート6をセットする。尚、成形凹部3の深さは蓄光プレート6の厚みよりも深くなっている。
【0030】
次いで図11に示すように、成形凹部3内にセットした蓄光プレート6の上に微細な蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末20を充填する。
【0031】
この後、図12に示すように、上型2を押付けて加熱・圧縮する。この加熱・圧縮後に図13に示すように上型2を上昇させ、第1の成形型1から平板状且つ2層構造の蓄光プレート21を取り出す。
【0032】
取り出した蓄光プレート21を、図14に示すように、第3の成形型(金型)22の成形凹部23にセットする。この成形凹部23の形状は皿状またはカップ状または半球状をなしている。
【0033】
次いで、図15に示すように前記成形凹部23に対応する凸部を備えた上型24を下降させ、第3の成形型22と上型24との間で、蓄光プレート21を加熱・変形する。この加熱・変形後に上型24を上昇させ、第3の成形型22から皿状またはカップ状または半球状をなす蓄光チップを取り出す。
【0034】
この後、必要に応じ蓄光チップの表面に透明樹脂層をスプレーや塗布によって設けたり、蓄光チップの裏面に白色反射層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の成形型の成形凹部に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填した状態を示す断面図
【図2】第1の成形型と上型との間で混合粉末を加熱・圧縮している状態を示す断面図
【図3】加熱・圧縮後の型開放状態を示す断面図
【図4】第2の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図
【図5】第2の成形型と上型との間で加熱・変形している状態を示す断面図
【図6】加熱・変形後の型開放状態を示す断面図
【図7】(a)は本発明方法によって得られた蓄光チップの側断面図、 (b)同蓄光チップの平面図
【図8】本発明方法によって得られた蓄光チップの一例の断面図
【図9】本発明方法によって得られた蓄光チップを適用した安全ポールの全体図
【図10】第1の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図
【図11】第1の成形型の成形凹部にセットされた蓄光プレートの上に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填した状態を示す断面図
【図12】第1の成形型と上型との間で混合粉末を加熱・圧縮している状態を示す断面図
【図13】加熱・圧縮後の型開放状態を示す断面図
【図14】第3の成形型の成形凹部に蓄光プレートをセットした状態を示す断面図
【図15】第3の成形型と上型との間で加熱・変形している状態を示す断面図
【符号の説明】
【0036】
1…第1の成形型(金型)、2…上型、3…成形凹部、4…蓄光材粒子、5…透明樹脂粉末、6…蓄光プレート、7…第2の成形型(金型)、8…成形凹部、9…上型、10…蓄光チップa、11…透明樹脂層、12…白色反射層、13…蓄光チップb、14…ベース樹脂、15…安全ポール、16…柱部材、17…取り付けブロック、20…微細な蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末、21…2層構造の蓄光プレート、22…第3の成形型(金型)、23…成形凹部、24…上型。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程からなることを特徴とする蓄光チップの製造方法。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第2の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> セットした蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【請求項2】
以下の工程からなることを特徴とする蓄光チップの製造方法。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第1の成形型と平面視で同じ形状の第2の成形型の上面に形成された成形凹部の底面に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> 前記蓄光プレートの上に工程1で使用した蓄光材と異なる蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填し、加熱・圧縮することで、2タイプの蓄光材からなる2層構造の蓄光プレートを得る。
<工程5> 第3の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記2層構造の蓄光プレートをセットする。
<工程6> セットした前記2層構造の蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄光チップの製造方法において、工程4で使用する蓄光材粒子の粒径を工程1で使用する蓄光材粒子の粒径より小さな微細な蓄光材を使用することを特徴とする蓄光チップの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の蓄光チップの製造方法において、蓄光材粒子と混合する透明樹脂粉末はエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂とすることを特徴とする蓄光チップの製造方法。
【請求項1】
以下の工程からなることを特徴とする蓄光チップの製造方法。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第2の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> セットした蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【請求項2】
以下の工程からなることを特徴とする蓄光チップの製造方法。
<工程1> 第1の成形型の上面に形成された平面視で円形または多角形をなす一定厚の成形凹部の底面に蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填する。
<工程2> 前記混合粉末を加熱・圧縮することで、蓄光材粒子同士が接触した状態で結合するとともに蓄光材粒子間の隙間が透明樹脂で充填された蓄光プレートを得る。
<工程3> 第1の成形型と平面視で同じ形状の第2の成形型の上面に形成された成形凹部の底面に前記蓄光プレートをセットする。
<工程4> 前記蓄光プレートの上に工程1で使用した蓄光材と異なる蓄光材粒子と透明樹脂粉末との混合粉末を充填し、加熱・圧縮することで、2タイプの蓄光材からなる2層構造の蓄光プレートを得る。
<工程5> 第3の成形型の上面に形成された皿状またはカップ状または半球状をなす成形凹部に前記2層構造の蓄光プレートをセットする。
<工程6> セットした前記2層構造の蓄光プレートを加熱・変形して皿状またはカップ状または半球状の蓄光チップに成形する。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄光チップの製造方法において、工程4で使用する蓄光材粒子の粒径を工程1で使用する蓄光材粒子の粒径より小さな微細な蓄光材を使用することを特徴とする蓄光チップの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の蓄光チップの製造方法において、蓄光材粒子と混合する透明樹脂粉末はエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂とすることを特徴とする蓄光チップの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−94829(P2010−94829A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265040(P2008−265040)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(501147509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(501147509)
【Fターム(参考)】
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