説明

蓄電装置の搭載構造

【課題】 シートの下方に配置された蓄電装置の交換等の作業を、安全かつ容易に行うことができる蓄電装置の搭載構造を提供する。
【解決手段】 車両(1)に搭載され、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転可能であるシート(11)と、電気的に直列に接続された複数の蓄電素子(31)を含み、シートクッションの下方に形成されたスペース(S)に配置された蓄電装置(30)と、蓄電装置に着脱可能に取り付けられ、蓄電素子間の電気的接続を遮断するために取り外されるプラグ(37)と、を有する。プラグは、装着状態において、シートクッションの一部(11d)と接触してシートクッションがシートバックに近づく方向に回転するのを阻止するとともに、非装着状態において、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転するのを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内のうち、シートの下方に形成されたスペースに蓄電装置を配置した搭載構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるハイブリッド自動車では、車両の走行エネルギを発生させるための動力源となる電池パックを、車室内のうち、シートの下方に形成されたスペースに配置しているものがある。このような構造では、電池パックを車両ボディ(例えば、フロアパネル)に固定した後に、電池パックの上方にシートを配置して、シートを車両ボディに固定することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−134853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートの下方に電池パックを配置した構造では、電池パックの交換等を行うときに、シートを車両ボディから取り外さなければならず、面倒である。また、電池パックの交換等を行うときには、作業者に対して安全性を確保する必要がある。
【0005】
ここで、電池パックには、電池パック内の高電圧回路を遮断するためのプラグ(以下、サービスプラグという)が設けられており、作業者は、サービスプラグを抜いた後に、電池パックの交換等を行うことになる。シートの下方に電池パックが配置された構造では、シートを一端までスライドさせることにより、サービスプラグを操作することができるようになっているものがある。
【0006】
本発明の目的は、シートの下方に配置された蓄電装置の交換等の作業を、安全かつ容易に行うことができる蓄電装置の搭載構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1の発明である蓄電装置の搭載構造は、車両に搭載され、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転可能であるシートと、電気的に直列に接続された複数の蓄電素子を含み、シートクッションの下方に形成されたスペースに配置された蓄電装置と、蓄電装置に着脱可能に取り付けられ、蓄電素子間の電気的接続を遮断するために取り外されるプラグと、を有する。そして、プラグは、装着状態において、シートクッションの一部と接触してシートクッションがシートバックに近づく方向に回転するのを阻止するとともに、非装着状態において、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転するのを許容する。
【0008】
ここで、蓄電装置に含まれる複数の蓄電素子は、すべてが電気的に直列に接続されていてもよいし、一部が電気的に並列に接続されていてもよい。
【0009】
装着状態のプラグの周囲に配置されるフレームをシートに設けておき、フレームを装着状態のプラグと接触させることにより、シートクッションの回転を阻止することができる。また、装着状態のプラグを、シートクッションの一部の回転軌跡上に位置させておけば、プラグによってシートクッションの回転を阻止することができる。
【0010】
一方、シートクッションに対して回転可能に取り付けられ、プラグを支持する支持フレームを設けておき、支持フレームの回転に応じて、蓄電装置に対してプラグを着脱させることができる。これにより、支持フレームを回転させるだけで、プラグの着脱を行うことができる。しかも、プラグを支持フレームに支持させておくため、プラグの紛失を防止することができる。
【0011】
本願第2の発明である蓄電装置の搭載構造は、車両に搭載され、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転可能であるシートと、電気的に直列に接続された複数の蓄電素子を含み、シートクッションの下方に形成されたスペースに配置された蓄電装置と、蓄電装置に着脱可能に取り付けられ、蓄電素子間の電気的接続を遮断するために取り外されるプラグと、を備えている。シートは、シートクッションに対して回転可能に取り付けられ、プラグを支持する支持フレームを有しており、プラグは、支持フレームの回転に応じて蓄電装置に着脱可能である。また、プラグは、装着状態にあるときには、支持フレームを介してシートクッションがシートバックに近づく方向に回転するのを阻止し、非装着状態にあるときには、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転するのを許容する。
【0012】
シートクッションがシートバックに近づく方向に回転することに応じて、複数の蓄電素子を車室内に露出させることができる。これにより、シートクッションを回転させるだけで、蓄電素子の点検等を容易に行うことができる。
【0013】
プラグは、蓄電装置のうち、シートの前面側の領域に配置することができる。これにより、シートの前面側からプラグを操作することができ、プラグの操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明では、シートクッションをシートバックに近づく方向に回転させることにより、シートクッションの下方に配置された蓄電装置の点検等を行うことができる。
【0015】
ここで、本願第1の発明では、シートクッションの一部を装着状態のプラグに接触させることにより、プラグを取り外さなければ、シートクッションをシートバックに向けて回転できないようにしている。
【0016】
また、本願第2の発明では、プラグおよびシートクッションが支持フレームを介して接続されているため、プラグを蓄電装置に装着して固定しておけば、シートクッションがシートバックに向けて回転できないようにすることができる。
【0017】
本願第1および第2の発明によれば、シートクッションをシートバックに向けて回転させるときには、プラグが取り外された状態となっており、蓄電装置を取り扱い際の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1における車両の構成を示す概略図である。
【図2】実施例1において、シートの下方に形成されたスペース(下方スペース)に電池パックを配置した構造を示す外観図である。
【図3】実施例1における電池パックの構造を示す外観図である。
【図4】実施例1において、シートの下方スペースに電池パックが配置された状態を示す側面図である。
【図5】実施例1において、シートフレームの回転が阻止されている状態を示す図である。
【図6】実施例1において、シートフレームの回転が許容されている状態を示す図である。
【図7】実施例1の変形例におけるサブフレームの構成を示す図である。
【図8】実施例1の他の変形例におけるサブフレームの構成を示す図である。
【図9】実施例1の変形例におけるシートフレームの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置)の搭載構造について説明する。図1は、本実施例の電池パックが搭載される車両1の概略を示している。本実施例の車両1は、走行エネルギを発生させるための動力源として、内燃機関および電池パックを用いたハイブリッド自動車である。なお、内燃機関に代えて、燃料電池を用いたハイブリッド自動車や、車両の動力源として電池パックだけを用いた電気自動車においても、本発明を適用することができる。
【0021】
車両1の室内には、フロントシート10およびリアシート11が配置されている。リアシート11の下方にはスペースSが形成されており、スペースSには、後述する電池パックが配置される。なお、図1(他の図面も同様)において、FRは車両1の前進方向を示し、UPは車両1の上方向を示している。また、本実施例では、リアシート11の下方に電池パックを配置しているが、フロントシート10の下方に電池パックを配置することもできる。この場合において、フロントシート10は、後述するリアシート11と同様の構造を有している。
【0022】
図2に示すように、リアシート11は、シートクッション11aおよびシートバック11bを有している。図2(他の図面も同様)において、RHは、車両1の前進方向FRを向いたときの右側の方向を示し、LHは、車両1の前進方向FRを向いたときの左側の方向を示している。
【0023】
シートクッション11aおよびシートバック11bは、不図示の連結機構を介して、相対的に回転可能となっている。具体的には、シートクッション11aは、シートバック11bに対して回転可能であり、シートバック11bに近づく方向(図2の矢印D1に示す方向)に回転したり、シートバック11bから離れる方向(図2の矢印D2に示す方向)に回転したりする。図2は、シートクッション11aをシートバック11bに近づく方向に回転させた状態を示している。
【0024】
同様に、シートバック11bは、シートクッション11aに対して回転可能であり、シートクッション11aに近づく方向(図2の矢印D2に示す方向)に回転したり、シートクッション11aから離れる方向(図2の矢印D1に示す方向)に回転したりする。
【0025】
リアシート11は、シートクッション11aおよびシートバック11bの連結部分において、車両1のフロアパネル21に対して締結ボルト等を用いて固定されている。なお、リアシート11をフロアパネル21に固定する構造は、適宜変更することができる。例えば、シートバック11bをフロアパネル21に対して回転可能に取り付けておき、シートバック11bに対してシートクッション11aを回転可能に取り付けることができる。
【0026】
車両ボディは、フロアパネル21と、車両1の前後方向に延びる一対のサイドメンバ22と、車両1の左右方向に延びて、一対のサイドメンバ22に接続されるクロスメンバ23とを有している。
【0027】
シートクッション11aおよびフロアパネル21の間に形成されたスペースSには、電池パック30が配置されており、電池パック30は、フロアパネル21に対して締結ボルト等を用いて固定されている。電池パック30には、吸気ダクト41および排気ダクト42が接続されている。吸気ダクト41には、ファン(不図示)が設けられており、ファンを駆動することにより、車室内の空気を吸気ダクト41に取り込むことができる。吸気ダクト41に取り込まれた空気は、電池パック30との間で熱交換が行われた後に、排気ダクト42を移動して車両1の外部に排出される。
【0028】
本実施例では、電池パック30の底面に対して吸気ダクト41からの空気を供給し、電池パック30の上面から、熱交換後の空気を排気ダクト42に移動させている。ただし、電池パック30に対する空気の供給位置や、電池パック30からの空気の排出位置は、適宜設定することができる。
【0029】
電池パック30に供給される空気として、冷却用の空気を用いれば、電池パック30の温度上昇を抑制することができる。また、加温用の空気を用いれば、電池パック30の過度の冷却を抑制することができる。
【0030】
次に、電池パック30の構造について、図3を用いて説明する。図3は、電池パック30の構造を示す外観図である。
【0031】
電池パック30は、複数の単電池31を有しており、これらの単電池31は、電気的に直列に接続されている。図3に示す構成では、単電池31の長手方向が車両1の前後方向となるように2つの単電池31が並んで配置されている。そして、この2つの単電池31の組が、車両1の左右方向および上下方向に並んで配置されている。なお、複数の単電池31の配置は、適宜設定することができる。
【0032】
単電池31としては、いわゆる円筒形の二次電池を用いている。円筒形の単電池31では、長手方向と直交する断面の形状が円形に形成されており、長手方向における両端面には、正極端子31aおよび負極端子31bが設けられている。なお、本実施例では、電池パック30を構成するすべての単電池31が電気的に直列に接続されているが、これに限るものではない。すなわち、電気的に並列に接続された単電池31が含まれていてもよい。
【0033】
二次電池としては、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池を用いることができる。なお、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。また、単電池31としては、円筒形の単電池に限るものではなく、角形といった、他の形状の単電池を用いることもできる。
【0034】
電池パック30を構成する複数の単電池31は、電池ホルダ32によって保持されている。具体的には、電池ホルダ32は、各単電池31の長手方向における両端部を支持している。電池ホルダ32の脚部32aは、電池トレイ33に固定されている。
【0035】
バスバーモジュール34は、複数の単電池31を電気的に接続するために用いられ、複数のバスバー341を有している。また、バスバーモジュール34は、電池ホルダ32のうち、単電池31の電極端子31a,31bが配置されている面を覆っている。
【0036】
複数のバスバー341は、ベース板342に固定されており、各バスバー341は、隣り合って配置された2つの単電池31のうち、一方の単電池31の正極端子31aと、他方の単電池31の負極端子31bとに接続されている。例えば、電極端子31a,31bの先端部にネジ溝を形成しておき、バスバー341を貫通した電極端子31a,31bのネジ溝にナットを係合させることにより、電極端子31a,31bにバスバー341を固定することができる。
【0037】
ベース板342は、樹脂といった、絶縁性を有する材料で形成されており、隣り合って配置されたバスバー341の間に形成された仕切部342aを有している。仕切部342aは、隣り合って配置されたバスバー341が互いに接触してしまうのを阻止するために設けられている。
【0038】
電池ホルダ32と隣り合う位置には、以下に説明する機器類が配置されている。
【0039】
接続端子35a,35bには、総プラスケーブル(不図示)および総マイナスケーブル(不図示)がそれぞれ接続され、総プラスケーブルおよび総マイナスケーブルは、昇圧コンバータに接続されている。ジャンクションボックス36には、電池パック30の充放電を許容したり、禁止したりするためのシステムメインリレー(不図示)が設けられている。システムメインリレーがオンになれば、電池パック30の充放電が許容され、システムメインリレーがオフになれば、電池パック30の充放電が禁止される。
【0040】
サービスプラグ37は、電池パック30を構成する複数の単電池31のうち、いずれか2つの単電池31における電気的な接続を遮断したり、電気的な接続を許容したりする。すなわち、サービスプラグ37がサービスプラグソケット38に装着されていれば、2つの単電池31が電気的に接続された状態となる。
【0041】
また、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外せば、2つの単電池31における電気的な接続が遮断された状態となる。これにより、複数の単電池31によって構成される高電圧回路を遮断することができ、作業者は、電池パック30を安全に取り扱うことができる。
【0042】
サービスプラグ37は、電池パック30のうち、シートクッション11aの先端側に位置する面に設けられている。ここで、サービスプラグ37を設ける位置は、適宜設定することができるが、本実施例のようにサービスプラグ37を配置すれば、サービスプラグ37をシート11の前方から容易に取り外すことができる。
【0043】
監視ユニット39は、電池パック30を構成する複数の単電池31における電圧値を監視したり、電池パック30の電流値を監視したりする。複数の単電池31における電圧値としては、各単電池31の電圧値であってもよいし、複数の単電池31を複数のブロックに分けたときの各ブロックの電圧値であってもよい。監視ユニット39で得られた情報は、不図示のPCU(Power Control Unit)に送られ、電池パック30の充放電を制御するために用いられる。
【0044】
PCUは、電池パック30の出力電圧を昇圧するための昇圧コンバータと、昇圧コンバータから出力された直流電力を交流電力に変換してモータ・ジェネレータに供給するインバータとを有している。モータ・ジェネレータは、インバータからの電力供給を受けて車両1を走行させるための運動エネルギを発生させたり、車両1の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換してインバータに供給したりする。なお、昇圧コンバータを省略することもできる。
【0045】
本実施例の電池パック30は、図4に示すように、断熱材料で形成された断熱層51を介して、フロアパネル21に固定されている。具体的には、図3に示す電池トレイ33とフロアパネル21との間に、断熱層51が配置されている。断熱層51は、フロアパネル21の下方(車室外)に配置された排気管52からの熱が電池パック30に伝達するのを防止するために設けられている。排気管52は、車両1に搭載された内燃機関において、燃料(ガソリンや軽油等)の燃焼によって生成されたガスを車外に排出させるために用いられる。
【0046】
また、図4に示すように、電池パック30のうち、車両1の前方FR側に位置する面は、フロアカーペット53の一部によって覆われている。フロアカーペット53は、フロアパネル21に沿って配置されている。本実施例では、図3に示す状態の電池パック30が、リアシート11の底面やフロアカーペット53等によって囲まれている。例えば、フロアカーペット53を外せば、電池パック30の電池モジュール34を車室内に露出させることができる。なお、図3に示す電池パック30を外装ケースで覆った状態で、車両1に搭載することもできる。
【0047】
リアシート11のシートクッション11aには、シートクッション11aの骨格を構成するシートフレーム11cが設けられている。シートフレーム11cは、図5に示すように、回転軸RAを中心として回転可能となっている。また、シートフレーム11cには、サブフレーム11dが一体的に設けられており、シートフレーム11cが図5に示す状態にあるときに、サブフレーム11dは、シートフレーム11cに対して鉛直方向に延びている。
【0048】
図5は、乗員がシートクッション11a上に座ることのできる状態を示している。シートフレーム11cが図5に示す状態にあるとき、シートクッション11aは、電池パック30の上面を覆っているとともに、サブフレーム11dがサービスプラグ37を囲む位置に配置されている。また、サービスプラグ37は、サービスプラグソケット38に装着されている。
【0049】
図5に示す状態では、シートフレーム11cを矢印D1の方向に回転させようとしても、サブフレーム11dがサービスプラグ37に突き当たることにより、シートフレーム11cの回転が阻止される。サービスプラグ37は、シートフレーム11cを矢印D1の方向に回転させる際に、サブフレーム11dの移動軌跡上に位置しているため、サブフレーム11dを介してシートフレーム11cの回転を阻止する。本実施例では、図5に示す状態において、サブフレーム11dが、サービスプラグ37の操作レバー37aに沿って位置している。操作レバー37aは、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外す際に操作される。
【0050】
ここで、図6に示すように、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外すと、シートフレーム11cを矢印D1の方向に回転させることができる。これにより、電池パック30を車室内に露出させることができ、電池パック30の修理や交換を行うことができる。
【0051】
サービスプラグ37をサービスプラグソケット38に装着するときには、まず、シートフレーム11cを矢印D2の方向に回転させて、サービスプラグソケット38の装着口に沿うようにサブフレーム11dを位置させる。この後に、サービスプラグソケット38にサービスプラグ37を装着すれば、サービスプラグ37の周囲にサブフレーム11dを位置させて、図5に示す状態とすることができる。
【0052】
本実施例では、シートクッション11aを矢印D1の方向に回転させることによって、電池パック30の上方に作業スペースを確保することができるため、電池パック30の修理や交換といった作業を容易に行うことができる。
【0053】
また、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外さないと、シートクッション11aを回転させることができないようになっている。すなわち、電池パック30を取り扱うときには、サービスプラグ37が常に取り外された状態となっているため、電池パック30を取り扱う作業者に対して安全性を確保することができる。
【0054】
なお、本実施例では、サービスプラグ37およびサブフレーム11dがシートクッション11aの先端側に配置されているが、これに限るものではない。サービスプラグ37を適宜配置するとともに、サービスプラグ37の位置に応じてサブフレーム11dを配置すればよい。この構成であっても、シートクッション11aを回転させる前に、サービスプラグ37を取り外すことになる。
【0055】
また、本実施例では、サブフレーム11dがサービスプラグ37を囲む形状に形成されているが、これに限るものではない。すなわち、サブフレーム11dは、サービスプラグ37に接触して、シートフレーム11cの回転を阻止する機能を有していればよい。
【0056】
例えば、図7に示すように、サブフレーム11dを、サービスプラグ37の周囲の一部に沿った形状に形成することができる。また、図8に示すように、サービスプラグ37の一部と係合する爪部11eをサブフレーム11dの先端に形成することもできる。ここで、図7および図8に示すサブフレーム11dは、シートフレーム11cに固定されている。なお、図7および図8において、本実施例と同様の機能を有する部材については、同一符号を用いている。
【0057】
本実施例では、サブフレーム11dをサービスプラグ37に突き当てることにより、シートクッション11aの回転を阻止するようにしているが、これに限るものではない。すなわち、装着状態のサービスプラグ37によってシートフレーム11cの回転を阻止できればよい。
【0058】
例えば、図9に示すように、サブフレーム(支持フレーム)11dをシートフレーム11cに対して回転可能に取り付けておくとともに、サブフレーム11dの先端側にサービスプラグ37を固定しておくことができる。なお、図9において、本実施例と同様の機能を有する部材については、同一符号を用いている。
【0059】
図9に示す構成では、サブフレーム11dをシートフレーム11cに対して矢印D3の方向に回転させることにより、サービスプラグソケット38に対してサービスプラグ37を着脱することができる。
【0060】
サービスプラグ37をサービスプラグソケット38に装着して固定しておけば、サブフレーム11dを介して、シートフレーム11cの回転を阻止することができる。ここで、サブフレーム11dは、サービスプラグ37に固定(接触)されているため、サブフレーム11dを含むシートフレーム11cの回転を、装着状態のサービスプラグ37によって阻止していると考えることができる。一方、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外せば、シートフレーム11cの回転規制が解除され、シートフレーム11cを回転させることができる。
【0061】
電池パック30の修理等を行うときには、サブフレーム11dを回転させることにより、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外す。そして、シートフレーム11c(シートクッション11a)を矢印D1の方向に回転させることにより、電池パック30の上面を露出させることができる。一方、電池パック30の修理等が完了したときには、シートフレーム11c(シートクッション11a)を矢印D2の方向に回転させる。そして、サブフレーム11dを回転させることにより、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38に装着する。
【0062】
図9に示す構成では、サービスプラグ37がサブフレーム11dに固定されているため、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外した後に、サービスプラグ37を紛失してしまうのを防止することができる。
【0063】
一方、シートクッション11aの底面にサービスプラグ37を固定しておき、シートクッション11aを矢印D1の方向に回転させたときに、サービスプラグ37をサービスプラグソケット38から取り外すことができる。この構成では、サービスプラグソケット38の装着口が、電池パック30の上面側を向くことになる。そして、この構成によれば、シートクッション11aを回転させるだけで、サービスプラグ37を取り外すとともに、電池パック30の上面を露出させることができる。
【符号の説明】
【0064】
1:車両 10:フロントシート
11:リアシート 11a:シートクッション
11b:シートバック 11c:シートフレーム
11d:サブフレーム 21:フロアパネル
30:電池パック(蓄電装置) 31:単電池(蓄電素子)
32:電池ホルダ 33:電池トレイ
34:バスバーモジュール 341:バスバー
36:ジャンクションボックス 37:サービスプラグ
38:サービスプラグソケット 39:監視ユニット
51:断熱層 52:排気管
53:フロアカーペット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転可能であるシートと、
電気的に直列に接続された複数の蓄電素子を含み、前記シートクッションの下方に形成されたスペースに配置された蓄電装置と、
前記蓄電装置に着脱可能に取り付けられ、前記蓄電素子間の電気的接続を遮断するために取り外されるプラグと、を有し、
前記プラグは、装着状態において、前記シートクッションの一部と接触して前記シートクッションが前記シートバックに近づく方向に回転するのを阻止するとともに、非装着状態において、前記シートクッションが前記シートバックに近づく方向に回転するのを許容することを特徴とする蓄電装置の搭載構造。
【請求項2】
前記シートは、装着状態の前記プラグの周囲に配置されるフレームを有しており、
前記フレームは、装着状態の前記プラグと接触することにより、前記シートクッションの回転を阻止することを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項3】
前記プラグは、装着状態において、前記シートクッションの前記一部の回転軌跡上に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項4】
車両に搭載され、シートクッションがシートバックに近づく方向に回転可能であるシートと、
電気的に直列に接続された複数の蓄電素子を含み、前記シートクッションの下方に形成されたスペースに配置された蓄電装置と、
前記蓄電装置に着脱可能に取り付けられ、前記蓄電素子間の電気的接続を遮断するために取り外されるプラグと、を備え、
前記シートは、前記シートクッションに対して回転可能に取り付けられ、前記プラグを支持する支持フレームを有しており、
前記プラグは、前記支持フレームの回転に応じて前記蓄電装置に着脱可能であり、装着状態において、前記支持フレームを介して前記シートクッションが前記シートバックに近づく方向に回転するのを阻止するとともに、非装着状態において、前記シートクッションが前記シートバックに近づく方向に回転するのを許容することを特徴とする蓄電装置の搭載構造。
【請求項5】
前記シートクッションが前記シートバックに近づく方向に回転することに応じて、前記複数の蓄電素子が露出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項6】
前記プラグは、前記蓄電装置のうち、前記シートの前面側の領域に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の蓄電装置の搭載構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−31815(P2011−31815A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181779(P2009−181779)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】