説明

蛍光を増強する方法

蛍光色素の蛍光を増強し、かつ/または蛍光色素におけるストークスシフトの増加を生み出す方法であって、色素を塩基および/または界面活性剤と混合することを含む方法を記載する。この方法は、蛍光色素を使用した化学的または生化学的技法、特に電気泳動などの有機分子の染色または標識を必要とする技法に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、蛍光色素で染色または標識されているタンパク質および核酸などの有機分子において、蛍光を増強する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書を通じて、従来技術に関するいかなる考察も、そのような従来技術が、この分野において広く知られているか、共通の一般知識の一部を形成することの是認とは決して見なすべきではない。
【0003】
蛍光を発する化合物は、多くの用途を有し、発生率および観測波長が異なるため、蛍光が吸収に比べて本質的により感度の良い生物学的応用に特に適していることが知られている。蛍光は、全細胞、細胞成分、および細胞機能の検出に用いることができる。例えば、多くの診断および分析技法は、サンプルを検出できるようにそれらを蛍光タグ付けする必要がある。このことは、細胞、組織、タンパク質、抗体、酵素、薬物、ホルモン、脂質、ヌクレオチド、核酸、炭水化物、または天然もしくは合成ポリマーなどの多種多様な材料と相互作用する蛍光色素またはプローブを用い、蛍光コンジュゲートを作成することによって達成される。
【0004】
合成蛍光プローブについては、観察すべき生化学反応に対する特異性を付与するためにリガンドがよく使用され、蛍光色素は、相互作用を検出または定量する手段を提供する。このような応用例には、とりわけ、タンパク質の検出(例えば、ゲル中、表面上または水溶液)、細胞トラッキング、酵素活性の評価および核酸または他の生体高分子の染色が含まれる。
【0005】
通常、長波長吸光度は、細胞の自己蛍光からの干渉を低減し、標識生体高分子の光損傷を引き起こす可能性が低いことから蛍光プローブの有用性を高めている。レーザーは、蛍光を励起するための集中型光源として特に有用であるが、今のところ、強力なレーザーの出力は、特定波長の光に限られている。したがって、励起スペクトルがレーザー出力と一致する化合物が特に有用である。アルゴンレーザーは、蛍光を励起するための最も一般的な光源であり、488nmに主要な出力を、514nmに弱い出力を有する。したがって、これらの波長のどちらかによって励起される蛍光化合物が特に有用である。YAGレーザー(532nmまたは473)およびHeNe(543nm、633nm)も普及しつつある。
【0006】
生物学的研究の多くの分野では、赤色蛍光化合物が広範に使用されている。テキサスレッド、テトラメチルローダミンまたは赤色発光BODIPY色素を含むこれらの多くは、542nmなどの緑色波長における励起を必要とする。このことは、多くの応用例、特にアルゴンイオンレーザーが励起に使用される応用例におけるそれらの用途を制限している。
【0007】
臭化エチジウムなどの化合物は、アルゴンイオンレーザーからの光で励起することができるが、核酸以外の有機分子のタグ付けには通常適していない。フィコエリトリンなどの他の化合物は、アルゴンイオンレーザー(488nm)を用いて励起することができ、オレンジ色の波長(約580nm)で発光する。しかしながら、フィコエリトリンは、不十分な安定性および高分子量(約240,000Da)を有し、細胞トラッキング、核酸の標識またはタンパク質の染色などの多くの応用例に適さない。
【0008】
タンパク質の染色には、多くの方法が利用可能である。これらの方法は、非蛍光化合物、または蛍光化合物を利用することができる。最も一般的に使用されている方法は、非蛍光性であるクーマシーブルー(ブラッドフォード分析)を利用している。蛍光をベースとしたタンパク質検出法は、タンパク質と複合体を形成し、非蛍光方法に比べて本質的により感度の良い蛍光色素を利用している。タンパク質の蛍光染色は、従来の銀染色またはクーマシー染色を上回る多くの利点を有する。そのような利点には、より高い感度、より低いバックグラウンド干渉およびより大きなダイナミックレンジが含まれる。
【0009】
DNAおよびRNAなどの核酸の染色には、その費用対効果および高い感度(dsDNAのバンド当たり2ng)のために蛍光染色液として臭化エチジウムが最も広く使用されてきた。研究者の間でその使用が幾分限られてきたのは、発癌性であると考えられているためである。現在、核酸の定量ならびにゲル染色に他の蛍光性核酸染色液が利用可能であるが、使用にあたっては、そのような染色液も顕著な欠点を有している。
【0010】
参照により本明細書に組み込まれているWO01/81351は、フロ[3,2−g][2]ベンゾピラン−2,9(9aH)ジオンのコアをベースとした蛍光色素化合物について記載している。
【0011】
蛍光色素は、電気泳動の分野で特に有用である。電気泳動は、電場による印加後のゲルマトリックス中における荷電分子の相対的移動度を利用することにより、DNA、RNAおよび/またはタンパク質などの荷電生体高分子の分離を可能にする。電場中で各分子が移動する距離は、分子の電荷、形状および重量によって異なる。
【0012】
タンパク質を分離するために最も一般的に使用されるゲルマトリックスは、ポリアクリルアミド(PAGE電気泳動)である。SDS−PAGEは、電気泳動の前に陰イオン界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)でタンパク質を処理する技法である。SDSは、タンパク質を変性させ、均一な負電荷でそれらをコーティングする。このことは、分離が分子量のみに基づくことを意味し、通常、SDS−PAGEは、タンパク質の分子量を測定するために使用される
【0013】
対照的に、核酸は、ヌクレオチド(MW約500Daltons)ごとに単一の負電荷を有するため、ほぼ一定の質量/電荷比が存在する。核酸の場合には、界面活性剤により電荷を規格化することは不必要である。
【0014】
当技術分野では多くの蛍光色素が知られているが、シグナル強度、シグナル対バックグラウンド比および蛍光色素の感度を改善することが依然として必要である。さらに、電気泳動のゲルマトリックス上で形成される蛍光複合体の安定性を改善することが必要である。
【0015】
本発明の目的は、従来技術の欠点のうち少なくとも一つを克服または改善するか、有用な代替策を提供することである。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明は、蛍光色素の蛍光を増強し、ストークスシフトの増加(すなわち、励起波長と発光波長との間における通常の差のさらなる増加)をもたらし、蛍光色素/有機分子複合体の安定性を改善して溶液中またはゲルマトリックス上に蓄積されたサンプルの蛍光強度を高め、かつ/または寿命を伸ばす方法を提供する。
【0017】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本説明および特許請求の範囲を通じ、単語「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、排他的または網羅的意味とは対照的に包含的意味、すなわち「含むが、限定されない(including, but not limited to)」という意味であると解釈するべきである。
【0018】
本明細書で使用する用語「蛍光を増強すること」は通常、蛍光色素からの蛍光発光を増加させることを意味する。この増加は、色素の通常の発光波長においてであっても、異なる波長においてであってもよい。このことは、蛍光強度の増加、シグナル対バックグラウンド比の増加または蛍光色素の検出感度限界の向上(すなわち、より高い感度)によって明らかにすることができるであろう。
【0019】
本明細書で使用する用語「ストークスシフト」は、蛍光色素の励起波長から発光波長におけるよく知られたシフトの現象を指す。このシフトは、より高波長に向かう(すなわち、赤色シフト)。
【0020】
本明細書で使用する用語「アザフィロン蛍光色素」は、ポリケチド生合成経路から得られるか、得られる可能性のある任意の蛍光色素を意味する。ポリケチド生合成経路から得られる可能性のある色素の例は、参照により本明細書に組み込まれているWO01/81351に記載されている。
【0021】
さらに、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、用語「蛍光色素」は、蛍光色素化合物、ならびに蛍光色素化合物がタンパク質または核酸などの有機分子と会合するか、コンジュゲートする場合に形成される蛍光複合体またはコンジュゲートを指す。蛍光複合体またはコンジュゲートは、非共有結合性および/または共有結合性相互作用によって有機分子について形成させることができるであろう。
【0022】
本発明者は、塩基、特に窒素含有塩基の存在が、特定の蛍光色素、特にアザフィロン蛍光色素の通常の発光波長に緑色蛍光から赤色蛍光へのシフトを引き起こすことを発見した。このストークスシフトが有利なのは、典型的なアルゴンイオンレーザーの励起波長(488nm)からさらに蛍光色素の発光波長を移動するからである。長いストークスシフトの蛍光色素が重要な生化学試薬であるのは、それらの蛍光発光が、励起光源からの干渉を最小限にして検出でき、励起プロファイルと発光プロファイルの重なりが少ないために自己消光がより低い傾向にあるからである。さらに、長いストークスシフトの色素は、多くの生体サンプル中に存在する短いストークスシフトのフルオロフォアの存在に起因する自己蛍光からの干渉が少ない傾向がある。通常、長いストークスシフトを有することが知られている蛍光色素は高分子量分子であり、不十分な透過性およびタンパク質分解により蛍光標識としての応用例は厳しく限定されている。
【0023】
より意義深いのは、本発明において、ストークスシフト、および/またはストークスシフトの増加が、シグナル強度の増加を伴うこともあり、これがより高いシグナル対バックグラウンド比(すなわち、非特異的バックグラウンド蛍光の低下)および/または蛍光色素の検出感度限界の向上につながる。したがって、塩基の存在は、知られている蛍光技法、特に有機分子を検出するための蛍光染色技法を著しく改善する。
【0024】
さらに、本発明において、塩基の選択は、ストークスシフトの増加の大きさに影響することを見いだした。
【0025】
蛍光色素は、式(Ia)で表される化合物、またはその異性体であることが好ましい。
【0026】
【化1】

【0027】
Xは、O、NRまたはCであることが好ましい。Rは、ヒドロキシまたはオキソ基から独立して選択される1〜6個の基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20共役アルケニル基であることが好ましい。Rは、直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル基であることが好ましい。Rは、ヒドロキシル基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル基であることが好ましい。Rは、N、O、1個または複数のヒドロキシル、ハライド、アミン、カルボキシル、カルボキシル関連またはヘテロアリール基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20アルキルおよび/またはアリール基であることが好ましい。
【0028】
色素は、異性体を含む式(Ib)で表される化合物を有することが好ましい。
【0029】
【化2】

【0030】
式(Ib)の化合物は、5,6−ジヒドロ−3−[(1Z,4E,6E,8E)−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,4,6,8−デカテトラエニル]−6−ヒドロキシメチル−9a−メチル−2H−フロ[3,2g][2]ベンゾピラン−2−9(9aH)−ジオンである。しかしながら、この化合物は、以下「エピコッコノン(epicocconone)」という慣用名で呼ぶ。
【0031】
本発明との関連において、式IaおよびIbの化合物の異性体には、他にも異性体はあるが、互変異性体および立体異性体が含まれる。
【0032】
エピコッコノンおよびエピコッコノン含有色素混合物ならびに抽出物が好ましい。
【0033】
本発明で使用する塩基は、アンモニア、および様々なアミンから選択されることが好ましい。したがって、好ましい塩基は、窒素含有塩基である。本明細書で使用する用語「アミン」は、1個または複数のアミノ基を含む任意の化合物を指す。したがって、この用語には、モノアミン、ジアミン、トリアミンなどが含まれる。アミンは、一級、二級、三級か、四級であってもよい。さらに、アミンの塩(例えば、HCl塩)は、用語「アミン」の意味に含まれる。金属炭酸塩および金属炭酸水素塩、またはそれらの組合せも使用することができる。
【0034】
塩基は、アンモニア、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アミン塩、またはそれらの組合せであることが好ましい。本発明で使用する塩基は、アンモニアまたはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミンおよびそれらの異性体ならびにアリルアミン、アニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、4−フェニルブチルアミン、ヒドラジンおよび1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンおよびそれらの異性体ならびにジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリンおよびそれらの異性体ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミンおよびそれらの異性体ならびに酢酸テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、硫酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、シアン化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硝酸テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、イミダゾール、インドール、プリン、キノリン、ピリミジン、ピラゾール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「Tris」)またはアミノドデシルアミンなどのC1〜20アミンおよびジアミンであることが好ましい。
【0035】
金属炭酸塩および金属炭酸水素塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属の塩であることが好ましい。金属炭酸塩は、炭酸ナトリウムであることがより好ましい。
【0036】
本発明の方法は、蛍光色素を用いる任意の化学的または生化学的技法の一部であることが好ましい。本発明を使用することができる化学的または生化学的技法の典型例は、電気泳動、フローサイトメトリー、pHセンシング、タンパク質−タンパク質相互作用の分析、蛍光タンパク質定量、タンパク質アレイまたはタンパク質チップの分析、遺伝子アレイまたは遺伝子チップの分析、核酸の分析/検出/定量、蛍光顕微鏡および蛍光抗体染色などである2〜10,14〜16。関連出版物を参照により本明細書に組み込む。
【0037】
一実施形態において、上述の方法は、有機分子を染色および/または標識する方法であって、有機分子と蛍光色素との間で蛍光複合体を形成することを含み、蛍光複合体は、塩基の存在下で形成され、かつ/または蛍光複合体は、その形成後に塩基で処理される方法の一部である。
【0038】
別の実施形態において、上述の方法は、塩基および/または界面活性剤の存在下で有機分子と蛍光色素との間で蛍光複合体を形成し、かつ/または蛍光複合体は、その形成後に塩基および/または界面活性剤で処理されることを含む。
【0039】
有機分子は、蛍光色素によって染色または標識することを必要とする任意の分子であってよい。しかしながら、有機分子は通常、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチドまたは核酸(DNAまたはRNAなど)であり、酵素、細胞受容体、増殖因子、抗体などの別の複雑な分子に含まれていてもいなくても、あるいは組織、器官または細胞の一部であってもなくてもよい。
【0040】
塩基は、蛍光複合体を形成する前に、有機分子を含有する溶液に添加することができる。この溶液における塩基の最終濃度は、0.001〜10%であることが好ましく、0.02%〜5%であることがより好ましい。%値は、使用する塩基に応じて、w/vまたはv/v量で示す。あるいは、塩基の最終濃度は、100μM〜2Mであることが好ましく、1mM〜100mMであることがより好ましい。
【0041】
別の実施形態において、塩基は、蛍光複合体が形成された後で蛍光複合体に添加される。この実施形態で使用する塩基の濃度は、上述の濃度と同様である。
【0042】
一態様において、本発明の方法は、ゲルマトリックス上の電気泳動分離などのマトリックス上で有機分子を可動化および検出する方法の一部として使用される。上述のように、電気泳動は通常、ポリアクリルアミドゲルマトリックス上で行われ、タンパク質の分離および/または分子量測定に使用される。通常、タンパク質溶液をゲル上にロードし、電場を印加して、負の電荷を帯びた分子を陽極に向かって移動させる。SDS−PAGE電気泳動において、タンパク質は、SDSなどの陰イオン界面活性剤と複合体を形成し、タンパク質全体に均一な負電荷を与える。従来のPAGE電気泳動及びSDS−PAGE電気泳動法は共に、本発明に範囲内に含まれる。
【0043】
電気泳動後に有機分子および/またはゲルマトリックスを塩基で処理することも本発明の中に企図されている。例えば、電気泳動後のゲルを、蛍光色素で処理する前または後に塩基で洗浄してもよい。電気泳動後の洗浄を脂肪族アミン(C4〜C20一級アミン)またはアンモニアを用いて行うことが好ましいのは、これらの塩基が、ゲル中で分離されたタンパク質を取り囲むSDSミセルに分配する傾向があるためである。通常、ゲルは、適切な濃度の塩基性溶液で2×10分の洗浄を受けるが、洗浄回数および洗浄時間は、使用する塩基、ゲルプレートのサイズ、塩基の濃度などによって異なる。
【0044】
別の実施形態において、界面活性剤は、別々に使用するのか、塩基と併用するのかにかかわらず、蛍光複合体を形成する前に、有機分子を含有する溶液に添加してもよい。通常、この手法は、有機分子がタンパク質またはペプチドである場合に使用することができる。この溶液における界面活性剤の最終濃度は、0.001〜10%であることが好ましく、0.01%〜1%であることがより好ましい。%値は、使用する界面活性剤に応じて、w/vまたはv/v量で示す。あるいは、界面活性剤の最終濃度は、20μM〜200mMであることが好ましく、200μM〜20mMであることがより好ましい。
【0045】
さらに別の実施形態において、界面活性剤は、蛍光複合体が形成された後で蛍光複合体(この複合体は、塩基の存在下で形成されているか、その形成後に塩基に曝露されている)に添加される。この手法は通常、有機分子が核酸である場合に使用されるが、タンパク質についても使用することができる。この実施形態で使用する界面活性剤の濃度は、上述の濃度と同様である。
【0046】
タンパク質についての上述の方法と同様、本発明の方法は、溶液中でまたはゲルマトリックス上の電気泳動分離後に、核酸(例えば、DNAまたはRNAなど)を可動化および検出する方法の一部として使用することができる。通常、核酸の電気泳動は、アガロースまたはポリアクリルアミドゲルマトリックス上で行われ、核酸の分離、精製および/または分子量測定に使用される。通常、核酸溶液をゲル上にロードし、電場を印加して、上述のタンパク質電気泳動技法と同様に陽極に向かって核酸を移動させる。
【0047】
上述の塩基に関しては、本発明で使用する界面活性剤を、蛍光複合体の検出に先立って電気泳動の任意の段階で添加することができる。例えば、タンパク質を使用する方法の場合に、タンパク質をゲル上にロードする前に界面活性剤を溶液中のタンパク質と混合することができる(界面活性剤はSDSであることが好ましいが、他の例を本明細書で提供する)。あるいは、電気泳動後に、塩基の非存在下または存在下でゲルマトリックスを界面活性剤で洗浄することができる。通常、この最後の技法は、核酸の分離および分析で使用する。
【0048】
本発明の他の態様において、上述の方法は、酸で蛍光複合体を処理することをさらに含む。このさらなる処理ステップは、電気泳動ゲル上で形成された蛍光複合体に特に適しているが、溶液中の複合体にも使用することができる。
【0049】
驚いたことに、酸による処理は、蛍光複合体を安定化し、蛍光強度をさらに増し、蛍光の損失を防ぐか最小限に抑え、かつ/または蛍光複合体のシグナル対バックグラウンド比をさらに増加させる。酸は、鉱酸、有機酸、またはそれらの組合せから選択することができる。適当な鉱酸は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、オルトリン酸である。適当な有機酸は、アルカン酸(例えば、C1〜20アルカン酸)、ハロゲノアルカン酸(例えば、F、Cl、BrまたはIから選択される1、2、3、4、5または6個の基を有するC1〜20アルカン酸)、アスコルビン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸である。酸は、硫酸、酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、塩酸、オルトリン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸またはクロロ酢酸であることが好ましい。
【0050】
通常、使用する酸の濃度は、約0.01〜20%(v/v)、好ましくは約0.02%〜10%(v/v)である。あるいは、酸の濃度は通常、使用する酸に応じて約0.1mM〜2Mであるが、約10mMの酸濃度が一般的に好ましい。
【0051】
典型的な酸処理ステップでは、撮像に先立って、電気泳動ゲルを酸(例えば、10mM硫酸)の中で約10分間インキュベートする。
【0052】
本発明において形成される蛍光複合体は、当技術分野において知られている任意の標準技法を用いて検出されることが好ましい。通常、蛍光複合体の蛍光は、透視法、分光法、顕微鏡、走査、写真またはサイトメトリーによって検出される。
【0053】
また、本発明は、タンパク質を可動化および検出する方法であって、
(a)タンパク質の溶液をマトリックスに塗布するステップ、
(b)タンパク質をマトリックス上で可動化するステップ、
(c)上述のように可動化タンパク質と蛍光色素の間で蛍光複合体を形成するステップ、及び、
(d)そのようにして形成された蛍光複合体を検出するステップ、
を含み、蛍光複合体は、塩基および/または界面活性剤の存在下で形成される方法を提供する。
【0054】
タンパク質と一緒に使用するのに好ましい界面活性剤は、陰イオン界面活性剤である。
【0055】
本発明の別の実施形態は、塩基および/または界面活性剤による蛍光複合体の処理が、その形成後に行われる上記方法を企図している。
【0056】
タンパク質およびペプチドに使用するマトリックスはポリアクリルアミドゲルマトリックスであり、方法は、PAGE電気泳動またはSDS−PAGE電気泳動であることが好ましい。
【0057】
さらに、本発明は、核酸を可動化および検出する方法であって、
(a)核酸の溶液をマトリックスに塗布するステップ、
(b)核酸をマトリックス上で可動化するステップ、
(c)上述のように可動化核酸と蛍光色素の間で蛍光複合体を形成するステップ、及び、
(d)そのようにして形成された蛍光複合体を検出するステップ、
を含み、蛍光複合体は、塩基および/または界面活性剤の存在下で形成される方法を提供する。
【0058】
核酸と一緒に使用するのに好ましい界面活性剤は、陽イオン界面活性剤である。
【0059】
本発明の別の実施形態は、塩基および/または界面活性剤による蛍光複合体の処理が、その形成後に行われる上記方法を企図している。
【0060】
核酸に使用するマトリックスは、アガロースゲルマトリックスであることが好ましい。
【0061】
また、上記の方法は、マトリックスが最終ステップとして酸で処理されるステップを企図している。酸処理されたマトリックスは、蛍光強度の重大な損失もなく長時間保存することができる。
【0062】
また、本発明は、上述のような蛍光色素を上述のような塩基および/または界面活性剤と混合することによって得られる蛍光化合物または複合体を提供する。
【0063】
また、本発明は、上述のような蛍光色素、上述のような塩基および/または界面活性剤を含む組成物を提供する。組成物には、タンパク質および/または核酸などの有機分子がさらに含まれていてもよい。
【0064】
また、本発明は、上述のような蛍光色素、上述のような塩基および/または界面活性剤を備えるキットを提供する。キットには、タンパク質および/または核酸などの有機分子がさらに含まれていてもよい。
【0065】
次に、非限定的な実施例を参照しながら本発明を説明する。
【実施例】
【0066】
実施例1 エピコッコノンの蛍光に対する塩基、酸および界面活性剤の影響
エピコッコノンがアミンの存在下にある場合の増強およびストークスシフトの増加を明らかにするため、様々なアミン、酸および界面活性剤についてエピコッコノンの溶液で蛍光測定を記録した。アミンと界面活性剤の組合せが蛍光を増強し、ストークスシフトの増加を引き起こすことが判明した。NaHCOなどの無機塩基は、蛍光の損失を引き起こし、界面活性剤の添加により蛍光は回復しなかった。
【0067】
蛍光分光法は、Perkin Elmer LS 50B Luminescence Spectrometer(Perkin Elmer、Melbourne Australia)を用いて行った。新たに調製した溶液をHellma Quartz SUPRASIL精密セル(precision cell)に入れ、次いで、セルを分光計内に入れた。通常、溶液の体積は3mLとし、Gilson M−1000 Microman容積式ピペットを用いて成分を加えた。各サンプルについて成分およびそれらの最終濃度を示す。特に指定のない限り、すべての溶液は、水(Millipore RiOS5)に溶けている。
【0068】
定義および供給源
Deep Purple(商標)(Amersham Biosciences、Australia、Cat.Nos.RPN6305またはRPN6306)は、エピコッコノンの部分的に精製した形態である。これは、550nmで0.8の吸光度を有する。保存用水溶液は、メタノール保存溶液を水で12.5倍に希釈することにより調製した。石英セル中の最終溶液は、さらに4倍に希釈する。メタノール中のDeep Purple(商標)保存溶液は合計で50倍に希釈される。(Amershamから入手したDeep Purple(商標)のメタノール溶液)
【0069】
エピコッコノンは、参照により本明細書に組み込まれているBell PJLおよびKaruso P13に記載の方法により単離した。エピコッコノンの保存溶液は、DMSO中で調製し(28μg/mLまたは42μg/mLDMSO溶液)、これを用い、DMSO溶液をそれぞれ、5または10倍に希釈することによって保存用水溶液を調製した。石英セル中の最終溶液は、さらに4倍に希釈する。エピコッコノンの最終濃度はそれぞれの実施例で報告する。
酢酸:(APS、Asia Pacific Specialty Chemicals Ltd、以前のAjax:1−2.5L GL)
アセトニトリル:(Ajax Finechem−2315−2.5L GL)
アンモニア溶液:(Ajax Finechem−43−2.5L GL)
アニリン:(Aldrich−13,293−4)
ベンジルアミン:(BDH−27355)
BSA−ウシ血清アルブミン:(Sigma−A−2153)
ブチルアミン:(Aldrich−47,130−5)
CHAPS−3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンサルフェート:(BDH−30632)
コール酸ナトリウム塩:(Sigma−C−1254)
CPC−塩化セチルピリジニウム:(Ajax−UL0000145)
CTAB−臭化セチルトリメチルアンモニウム:(Sigma−H−5882)
1,3−ジアミノプロパン:(Koch−Light Laboratories−4774)
DMSO−ジメチルスルホキシド:(Aldrich−27,043−1)
DNA−デオキシリボ核酸ナトリウムは、サケ精巣由来である:(Sigma−D−1626)
DTAB−臭化ドデシルトリメチルアンモニウム:(Sigma−D−8638)
TDTAB−臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム:(Sigma−T−4762)
エチルアミン:(Lancaster−10838)
D−(+)−グルコサミン塩酸塩:(Sigma−G−4875)
SO 硫酸:(Ajax Finechem−534)
オクチルアミン:(Lancaster−8,06917.0250)
オクチル−D−グルコシド:(ICN Biomedicals−153941)
SDS−ドデシル硫酸ナトリウム:(BDH−301754)
TRIS(HCl)−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩:(Sigma−T−3253)
Triton(登録商標)X−100:(BDH−30632)
Tween20−ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート:(Sigma−P−1379)
Tween80−ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート:(BDH−56023)
【0070】
SDS以外の界面活性剤の濃度は、上記のそれぞれのCMC値であるようにした。
使用した界面活性剤の保存濃度は以下の通りである。
CHAPS: 0.27% w/v
コール酸ナトリウム塩: 1.7% w/v(40mM)
CPC: 0.148% w/v(4.1mM)
CTAB: 0.172% w/v(4.7mM)
DTAB: 0.2% w/v(6.5mM)
オクチル−D−グルコシド: 3.1% w/v(106mM)
SDS: 1.2% w/v(41.7mM)
Triton(登録商標)X−100: 0.27% w/v(4.35mM)
Tween20: 0.56 w/v
Tween80: 0.64% w/v
最終溶液では、界面活性剤を4倍に希釈する。
【0071】
(i)酸によるエピコッコノンおよびDeep Purple(商標)の蛍光の増強
エピコッコノン水溶液の蛍光は、酢酸の添加によって増強することができる(図1を参照)。エピコッコノン水溶液の固定濃度(1.05μg/mL;2.56×10−6M)を用い、100nMから100mMの最終酢酸濃度について蛍光スペクトルを記録した。
【0072】
図2は、Deep Purple水溶液の蛍光も酢酸の添加によって増強できることを示している。
【0073】
エピコッコノン水溶液の蛍光は、例えば硫酸などの他の酸の添加によっても増強することができる。図3に示す蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の固定濃度(1.05μg/mL;2.56×10−6M)および1mM HSOの最終濃度による。
【0074】
(ii)界面活性剤によるエピコッコノンおよびDeep Purple(商標)の蛍光の増強
エピコッコノン水溶液の蛍光は、SDS(陰イオン界面活性剤)の添加によって増強することができる。SDS濃度の増加は、観測される蛍光を増加する(390nmにおける励起、525nmにおける発光極大)
【0075】
エピコッコノン水溶液の固定濃度(1.05μg/mL;2.56×10−6M)を用い、0.1%から1.8%(w/v)の範囲におけるSDSの最終濃度について蛍光スペクトルを記録した。図4の蛍光スペクトルは、SDSが増加するにつれて蛍光が増加することを示している。
【0076】
Deep Purple水溶液の蛍光もSDSの添加によって増強することができる(図5を参照)。
【0077】
エピコッコノン水溶液の蛍光は、例えばCTAB(陽イオン界面活性剤)などの他の界面活性剤の添加により、ストークスシフトの増加を伴って増強することができる。エピコッコノン溶液へのCTABの添加は、625nmにおけるエピコッコノン単独の場合に対して625nmにおける蛍光の増加を示す。CTABが添加された場合、525nmにおける蛍光が減少する。図6に示す蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の濃度、1.05μg/mL(2.56×10−6M)およびCTABの最終濃度1.175mMについて作成した。
【0078】
CTABについて観測された効果は、他の界面活性剤、例えばCPCについても認められる。エピコッコノン水溶液の蛍光は、CPC(陽イオン界面活性剤)の添加により、ストークスシフトを伴って増強することができる。エピコッコノン溶液へのCPCの添加は、630nmにおけるエピコッコノン単独の場合に対して630nmにおける蛍光の増加を示す。CPCが添加された場合、520nmにおける蛍光が減少する。図7に示す蛍光スペクトルは、エピコッコノンの濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)およびCPCの最終濃度1.025mMについて作成した。
【0079】
エピコッコノン水溶液の蛍光は、CHAPS(双性イオン界面活性剤)の添加によっても増強することができる。図8に示す蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)およびCHAPSの最終濃度0.0675%(w/v)について作成した。
【0080】
エピコッコノン水溶液の蛍光は、多くの様々な非イオン性界面活性剤(以下に示す界面活性剤のリストを参照)の添加によっても増強することができる。図12〜15に示す蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)について作成した。
【0081】
Tween80(最終濃度0.16%w/v)−図9
Tween20(最終濃度0.14%w/v)−図10
オクチル−D−グルコシド(最終濃度0.775%w/v)−図11
Triton X−100(最終濃度0.0675%w/v)−図12
【0082】
(iii)界面活性剤および酸によるエピコッコノンおよびDeep Purple(商標)の蛍光の増強
エピコッコノン水溶液の蛍光は、酸および多くの様々な界面活性剤(以下に示す界面活性剤のリストを参照)の添加によっても増強することができる。図14〜17に示す蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の濃度1.1.4μg/mL(3.4×10−6M)および酢酸の最終濃度1mMについて作成した。
【0083】
SDS(陰イオン界面活性剤−最終濃度0.03%w/v)−図13
CTAB(陽イオン界面活性剤−最終濃度1.175mM)−図14
DTAB(陽イオン界面活性剤−最終濃度1.625mM)−図15
CHAPS(双性イオン界面活性剤−最終濃度0.0675%w/v)−図16
コール酸、ナトリウム塩(陰イオン界面活性剤−最終濃度10mM)−図17
【0084】
Deep Purple水溶液の蛍光も、酢酸とSDSに組合せによって増強することができる(図18を参照)。
【0085】
(iv)塩基および界面活性剤の存在におけるエピコッコノンおよびDeep Purple(商標)のストークスシフトの変化
アンモニアは、エピコッコノンの蛍光を低下させる。この混合物の蛍光強度は、SDSの添加によって増強することができる。一般に、蛍光は、エピコッコノン単独の場合の強度とほぼ同じであるが、発光は、より長波長に移動する(ストークスシフトの増加)。より長波長における発光は、一般にエピコッコノン単独がより長波長において弱く発光することから、増強と見なすことができる。
【0086】
SDSを含有するエピコッコノン水溶液の蛍光は、アンモニアの存在下でより長いストークスシフトで発光する。混合物が390nmで励起される場合、605nmの発光極大を有する。図19の蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の濃度1.4μg/mL(3.4×10−6M)およびSDSの最終濃度0.3%(w/v)および1mMアンモニア水について作成した。
【0087】
SDSと共にDeep Purple水溶液の蛍光は、アンモニアの存在下でより長いストークスシフトで発光する。混合物が390nmで励起される場合、605nmの発光極大を有する(図20を参照)。
【0088】
390nmで励起した場合、エピコッコノンのストークスシフトは、エチルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、TRIS、ベンジルアミンおよびアニリンなどの塩基の添加によって増加させることができる。図21〜26の蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)およびSDSの最終濃度0.3%(w/v)について作成した。以下の最終塩基濃度を用いた。
【0089】
エチルアミン−1mM水溶液(図21)
ブチルアミン−10mM水溶液(図22)
n−オクチルアミン−10mM水溶液(図23)
TRIS−100mM水溶液(図24)
ベンジルアミン−10mM水溶液(図25)
アニリン−10mM水溶液(図26)
【0090】
この一連の実験において、アニリンは、最大のストークスシフトをもたらした(λem=620nm)。
【0091】
390nmで励起した場合、エピコッコノンのストークスシフトは、1,3−ジアミノプロパンの添加によって増加させることができる。図27の蛍光スペクトルは、エピコッコノンの濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)、0.3%SDS、DNA(1mg/mL)および1mM 1,3−ジアミノプロパンを用いて記録した。さらに、サンプルを4℃で1日間放置し、再測定した場合に発光が増強された(図27を参照)。
【0092】
CHAPS(双性イオン界面活性剤)を含有するエピコッコノン水溶液の蛍光は、アンモニアが添加された任意に長いストークスシフトで発光する。エピコッコノン/CHAPS溶液へのアンモニアの添加は、630nmにおけるエピコッコノン単独の場合に対して630nmにおける蛍光の増加を示す。図28の蛍光スペクトルは、エピコッコノン水溶液の濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)およびCHAPSの最終濃度0.0675%(w/v)および1mMアンモニア水について作成した。
【0093】
390nmで励起された場合、エピコッコノン/界面活性剤混合物のストークスシフトは、塩基の添加によって増加させ、酢酸で増強することができる。図32〜34の蛍光スペクトルは、エピコッコノンの濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)、SDSの最終濃度0.3%(w/v)および酢酸の最終濃度1mMについて作成した。規定された最終濃度で以下の塩基を使用した。
【0094】
アニリン−10mM水溶液(図29)
TRIS−100mM水溶液(図30)
エチルアミン−1mM水溶液(図31)
【0095】
いずれの場合も、酢酸の添加は、ストークスシフトの増加後に蛍光をさらに増強した。
【0096】
(v)他の蛍光増強および/またはストークスシフトの変化
エピコッコノン、酢酸およびDTABを含有する水溶液の発光は、390nmで励起された場合、520から540nmへのストークスシフトと同時にDNAで増強することができる。図32の蛍光スペクトルは、エピコッコノンの濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)、1.625mM DTAB、1mM 酢酸および代表的な核酸としてのDNA(1mg/mL)を用いて作成した。このことは、DNAおよび他の核酸の検出/分析において、界面活性剤および/または酸と組み合わせてエピコッコノンを使用できることを示している。
【0097】
エピコッコノン、CHAPSおよびアンモニアを含有する水溶液の発光は、390nmで励起された場合、グルコサミン塩酸塩で増強することができる。増強ばかりでなく、ストークスシフトの増加もある。図33の蛍光スペクトルは、エピコッコノンの濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)、0.0675% CHAPS、1mMアンモニアおよびグルコサミン塩酸塩(13.25mM)を用いて記録した。
【0098】
エピコッコノン、DTABを含有する水溶液の発光は、390nmで励起された場合、タンパク質で増強することができる。増強ばかりでなく、ストークスシフトの増加もある。図34の蛍光スペクトルは、エピコッコノンの濃度1.05μg/mL(2.56×10−6M)、1.625mM DTABおよびBSA(1mg/mL)を用いて記録した。
【0099】
エピコッコノンのアセトニトリル溶液(1.05μg/mL;2.56×10−6M)は、エピコッコノンのDMSO保存溶液から調製した。有機溶媒中のエピコッコノンは、水中よりも強い蛍光を発する(λem=520nm)(図35を参照)。
【0100】
390nmで励起されたサンプルの発光波長の要約
エピコッコノンおよびSDS(λem=525nm)
アミン λem(nm)
a)ドデシルアミン 584
b)ベンジルアミン 600
c)ブチルアミン 600
d)1,6−ジアミノヘキサン 600/447
e)オクチルアミン 600
f)TRIS 600
g)アンモニア 605
h)エチルアミン 610
i)アニリン 620
【0101】
他の塩基を使用する予備結果の要約
ジエチルアミン(二級アミン) 赤色へのシフト
トリエチルアミン(三級アミン) 赤色へのシフト
ヒドラジン 緑色および赤色における発光
1,6−ジアミノヘキサン 赤色へのシフト
アニリン 赤色へのシフト
【0102】
エピコッコノン水溶液の蛍光の増強の程度は、試薬を添加する順番によって影響されることがある。最適条件およびステップの順序は、使用する分析または定量技法のタイプによって決定され、簡単な試行によって容易に判断し、そのような技法に適応させることができる。
【0103】
実施例2 蛍光を増強する組合せを用いるタンパク質濃度の測定
構成要素
パートA:80%(v/v)ジメチルスルホキシドおよび20%(v/v)アセトニトリルで調製させたDeep Purple(商標)、その550nmでの吸光度は0.30である。
パートB:10×溶液は、表1に示すように調製する。
【0104】
【表1】

【0105】
キットの1×使用溶液は、水8部および構成要素パートAとパートB各1部を一緒に混ぜることによって調製する。
【0106】
プロトコル
ウシ血清アルブミン(album)のタンパク質標準液の2倍希釈シリーズは、10ng/mL〜100μg/mLの範囲にわたり水中で調製した。タンパク質標準液のアリコート(50μL)を、マイクロタイタープレートのウエル中に繰り返してピペットで取った。タンパク質を含まない対照として水の50μLアリコートを加えた。各ウエルに、同容積(50μL)の1×使用溶液を加えた。
【0107】
次いで、測定に先立って少なくとも5分間、蛍光を生じさせる。タンパク質標準液および実験用サンプルを調製し、蛍光を記録するのに先立って同じ時間インキュベートする。
【0108】
レーザーをベースとしたイメージングシステムには、610BP30nmまたは類似の発光フィルタリングを備えた532nmレーザー光励起を使用した。BMG Fluostar(BMG Labtech、Mornington、VIC、Australia)などのプレートをベースとした蛍光測定システムには、630−12nm発光フィルタリングまたは類似物とともに540nm励起フィルタリングが推奨される。
【0109】
実施例
Sigmaのウシ血清アルブミン(Castle Hill、NSW、Australia;Cat.A3059)を800μg/mLの濃度で水に懸濁し、2倍希釈して0.76ng/mLの最終濃度とした。50μLのアリコートをGreiner(Interpath Services、West Heidelberg、VIC)96ウエルプレート(Cat.655096)中に3重にプレートアウトした。図36は、Typhoonレーザーをベースとしたイメージャー(532nmレーザー、610BP30発光フィルター)によって捕捉されたマイクロタイタープレートの画像を示している。図37Aおよび37Bは、12ng〜100μg/mLの範囲で1mL当たりのBSA濃度に対してプロットされた蛍光データのプロットを示している。
【0110】
ゲル染色
材料および方法
製造業者の使用説明書(NuPAGE Technical Guide、Version D、August 26 2002.IM−1001)に従ってInvitrogen Bis−Tris 10ウエル12%ポリアクリルアミドゲルを調製し泳動した。Amersham Biosciences(Castle Hill、NSW、Australia)SDS Low Molecular Weightタンパク質マーカーを調製し、50mMジチオスレイトール(Bio−Rad、Regents Park、NSW、Australia)を含有するInvitrogen LDSサンプル緩衝液(Mt Waverly、VIC、Australia、Cat.NP0007)で2倍希釈した。サンプルを70℃で10分間加熱した。1×MES(Sigma、Castle Hill、NSW、Australia;Cat M2933)緩衝液を用いてゲルを分離させた。Invitrogen Antioxidant(Cat.NP0005;500μL)をInvitrogen X−cell Sure−Lock Mini Cellの陰極室に加え、追跡用色素がゲルの基部に達するまで200V一定でゲルを泳動した。
【0111】
7.5%酢酸(v/v)100mL中で1時間、ゲルを固定し、次いで、2×30分間、同容積の二回蒸留(dd)水でゲルを洗浄した。
【0112】
次いで、ゲルを、容積50mLの新しいdd水およびDeep Purple(商標)(Amersham Biosciences)に移し、室温で1時間染色した。
【0113】
アンモニアのゲル展開(gel−developing)ステップには、ゲル染色液を除去し、100mL容積の8mM(0.05%v/v)濃アンモニアで置換した。ゲルを2×10分間洗浄した。
【0114】
次いで、酸安定化ステップは、アンモニア溶液を同容積の0.05%(9mM)硫酸で置換し、さらに10分間洗浄するものであった。次いで、ゲルを撮像し保存する準備をした。保存中、ゲルは暗所で室温に保った。
【0115】
540Vに設定した光電子増倍管を備え100μmのピクセルサイズの532nmYAGレーザーを用い、Typhoonイメージングシステム(Amersham Biosciences、Castle Hill、NSW、Australia)でゲルを撮像した。画像を得るために、560nm のロングパスまたは610バンドパス30nm発光フィルターを使用した。
【0116】
実施例3−Deep Purple(商標)タンパク質ゲル染色
1.ゲル染色液の強度のブースティング
プロトコル
Invitrogen Bis−Tris 10% 12ウエルポリアクリルアミドゲルに、Invitrogen 1×LDS緩衝液中で調製して加熱(10分、70℃)した還元型(50mMジチオスレイトール)Amersham Biosciences Low Molecular Weight Markarsをロードした。5uLのアリコート当たりロードされた大豆トリプシンインヒビター(6種の低分子量マーカーの一つ)の量は以下の通りである。
【0117】
【表2】

【0118】
ゲルを200V一定で泳動し、30分かけて60mLの7.5%(v/v)酢酸に移し、続いてRO水60mL中で30分の洗浄を3回行った。ゲルを、250μL Deep Purple(商標)と一緒にRO水50mLに入れ、暗所で1時間染色させた。表2に列挙した16mM溶液中でそれぞれのゲルを3×10分間洗浄し、532nmレーザー、560LP発光フィルターおよび520Vで光電子増倍管を用い、Amersham Biosciences Typhoonで撮像した。ImageQuant5.2(Amersham Biosciences、Castle Hill、NSW、Australia)を用い、シグナルの絶対強度がゲル全体で比較できるように、各ゲルのレーン9を介して追跡を行った。
【0119】
【表3】

【0120】
結果を図38A〜Gに示す。いずれの場合にも、列挙した16mM試薬による3×10分の洗浄は、水で3×10分洗浄したゲルと比べて、蛍光シグナルの絶対的増加を引き起こした。
【0121】
2.オルトリン酸を用いたゲルにおける蛍光強度のブースティングおよび安定化
プロトコル
Invitrogen Bis−Tris 12% 10ウエルゲルに、Invitrogen 1×LDS緩衝液中で調製して加熱(10分、70℃)した還元型(50mMジチオスレイトール)Amersham Low Molecular Weight Markarsをロードした。同型のゲルに1レーン当たり大豆トリプシンインヒビター100ngをロードした。ゲルを200Vで1×MES泳動用緩衝液中で泳動する。次いで、ゲルを、1時間かけて100mLの7.5%(v/v)酢酸に移し、続いてRO水100mL中で30分の洗浄を2回行った。次いで、ゲルを、250μL Deep Purple(商標)と一緒にRO水50mLに入れ、暗所で1時間染色させた。
【0122】
ゲル染色液を除去し、ゲルセグメント1(図39Aを参照)を8mMアンモニア中で3×10分間洗浄し、8mMアンモニア中に暗所で46時間保存した。同型のゲルセグメント2(図39B)を8mMアンモニア中で3×10分間洗浄し、100mMオルトリン酸に移し、暗所で同様に46時間保存した。532nmレーザー、560LPフィルター、および540Vの光電子増倍管を備えたAmersham Biosciences Typhoonで撮像した。
【0123】
オルトリン酸は、アンモニア単独の場合(図39B)に比べ、アンモニアによる展開後にエピコッコノンで染色したゲル(図39A)の蛍光強度を増加させた。
【0124】
3.硫酸を用いたゲルにおける蛍光強度のブースティングおよび安定化
プロトコル
硫酸中のゲルの保存を検討した。Invitrogen Bis−Tris 10% 15ウエルゲルに、Invitrogen 1×LDS緩衝液中で調製して加熱(10分、70℃)した還元型(50mMジチオスレイトール)Amersham Low Molecular Weight Markarsをロードした。同型のゲルに1レーン当たり5μLに100ngの大豆トリプシンインヒビターをロードした。ゲルを200V一定で泳動し、1時間かけて100mLの7.5%(v/v)酢酸に移し、続いてRO水100mL中で30分の洗浄を2回行った。次いで、ゲルを、250μL Deep Purple(商標)と一緒にRO水50mLに入れ、暗所で1時間染色させた。次いで、ゲルを8mMアンモニア中で3×10分間洗浄し、532nmレーザー、560LP発光フィルター、および540Vの光電子増倍管を備えたAmersham Biosciences Typhoonで撮像した(図40A)。ゲルを室温で10mM硫酸中に保存し、2時間、21時間および93時間後に実施例2に記載したように再撮像した(図40B〜40D)。強度追跡は、様々な時点でゲルの同一レーンについてプロットした(図40E〜40H)。図40E〜Hは、10mM硫酸中に入れるのに先立って(E、時間0)および10mM硫酸の添加から2時間(F)、21時間(G)および93時間(H)後の上記ゲルのレーン3のシグナル強度追跡を示している。2時間後の染色強度の増加に注目されたい。
【0125】
結果
10mM硫酸は、染色後のアンモニア洗浄によって生じる増加以上に蛍光強度を増加させた。硫酸中のゲルの保存は、ゲルを8mMアンモニアまたは水の中に保存した場合よりも高いレベルにシグナルを維持した。
【0126】
4.酢酸を用いたゲルにおける蛍光強度のブースティングおよび安定化
酢酸中のゲルの保存を検討した。Invitrogen Bis−Tris 12% 10ウエルゲルに、大豆トリプシンインヒビターが400ng/5μLの濃度である還元型(50mMジチオスレイトール)Amersham Biosciences Low Molecular Weight Markarsをロードした。タンパク質サンプルは、Invitrogen 1×LDS緩衝液中で2倍希釈して最終濃度0.76ng/5μLとし、加熱(10分、70℃)してゲルにロードした。ゲルを200V一定で泳動し、1時間かけて100mLの7.5%(v/v)酢酸に移し、続いてRO水100mL中で30分の洗浄を2回行った。次いで、ゲルを、250μL Deep Purple(商標)と一緒にRO水50mLに入れ、暗所で1時間染色させた。ゲル染色液を除去し、ゲルを8mMアンモニア中で2×10分間洗浄し、532nmレーザー、560LP発光フィルター、および560Vの光電子増倍管を備えたAmersham Biosciences Typhoonで撮像した(図41A)。ゲルを10mM酢酸に入れ、46時間および167時間後に再撮像した(図41B〜41C)。
【0127】
結果
8mMアンモニア中の洗浄後の10mM酢酸は、染色後のアンモニア洗浄によって生じる増加以上に染色強度の増加をもたらした。酢酸中のゲルの保存は、ゲルを8mMアンモニアまたは水の中に保存した場合よりも高いレベルにシグナルを維持した。
【0128】
実施例4 アガロースゲルにおけるDNA断片のエピコッコノン染色:エピコッコノン染色に対する界面活性剤の影響
材料
エピコッコノン(0.042mg/ml DMSO)
DNA断片::SPP−1 Phage/Eco RI(cat DWM−S1、Geneworks)、DNA Molecular Weight Marker XVII(cat# 1855646、Roche)。
DTAB(1.625mM)
TDTAB(0.001、0.01、0.1および1mM)
CTAB(0.001、0.01、0.1および1mM)
CPC(0.001、0.01、0.1および1mM)
SDS(1.625mM)
酢酸(1mM)
逆浸透(RO)水
アガロースゲル(1.5%)(DNAグレードアガロース、Progen)
TAE電気泳動緩衝液(Tris−酢酸/EDTA、pH 8.3)
DNAサンプルローディング緩衝液(cat番号200−0424、Progen)
【0129】
DTAB、TDTAB、CTABおよびCPCは、それらの陽イオン性のため、DNAと適切に反応する可能性がある陽イオン界面活性剤の適当な例としてこの核酸実験に使用した11,12。関連する出版物を参照により本明細書に組み込む。SDSは、タンパク質の方法論では有用であるが、核酸とは適切に反応する可能性が低い陰イオン界面活性剤の例として使用した。
【0130】
染色法
1.DNA分子マーカーサンプルは、Progenサンプルローディング緩衝液中で調製した。濃度は、1サンプル当たり1000ngに調整した。サンプルをアガロースゲル中にロードし(1.0%または1.5%)、100Vで1.5時間泳動した。
2.ゲルを泳動した後、ゲルをRO水1Lで洗い流した。
3.DNAゲルのレーンをストリップに切った。
4.次いで、DNA断片を含む各ゲルストリップを、材料の項に記載した様々な濃度の様々な陽イオン界面活性剤10mLが入っている15mLのFalcon管に入れた。界面活性剤インキュベーションを室温で30分間行った。
5.30分のインキュベーション後、最初のインキュベートした溶液を各管からデカントした。次いで、RO水で作成したエピコッコノン染色液(0.0042mg/mL)10ミリリットルを管に入れた。ゲルストリップ管を室温で(暗所)1時間染色させた。
6.1時間のエピコッコノン染色後、染色液をデカントし、酢酸(1mM)10mLで置換し、室温で30分間(10分のインキュベーションを3回)インキュベートした。
7.酢酸処理後、ゲルストリップをTyphoonスキャナー(Model 9200、Amersham Biosciences)によってスキャンした。スキャニング条件は、550V、標準感度、および610BP30/Green(532nM)とした。
【0131】
結果
図42は、DNAゲル(SPP−1 DNA/Eco RI)ストリップをTyphoonでスキャンした画像を示している(1:界面活性剤処理なし、エピコッコノン染色のみ;2:SDS(1.625mM)−インキュベーションおよびエピコッコノン染色;3:DTAB(1.625mM)−インキュベーションおよびエピコッコノン染色;4:SDSおよびDTAB−インキュベーション、およびエピコッコノン染色)。
【0132】
1.ゲルストリップ1の分子DNAバンドは、エピコッコノンのみで染色されなかった。
2.ゲルストリップ2の分子DNAバンドは、DNAがSDSと共に最初にインキュベートされていた場合は、エピコッコノンで染色されなかった。
3.ゲルストリップ3の分子DNAバンドは、DNAがDTABと共に最初にインキュベートされていた場合は、エピコッコノンで染色された。
4.ゲルストリップ4の分子DNAバンドは、DNAがSDSおよびDTABと共に最初にインキュベートされていた場合は、エピコッコノンで染色された。
【0133】
図47は、DNAゲル(AおよびC、DNA MWM XVII;B、SPP−1 DNA/Eco RI)ストリップをTyphoonでスキャンした画像を示している。図47−A、エピコッコノン染色前にTDTAB(1、0.001mM;2、0.01mM、0.1mMおよび1mM)中でプレインキュベートされたDNAゲルストリップ;図47−B、エピコッコノン染色前にCTAB(1、0.001mM;2、0.01mM、0.1mMおよび1mM)中でプレインキュベートされたDNAゲルストリップ;図47−C、エピコッコノン染色前にCPC(1、0.001mM;2、0.01mM、0.1mMおよび1mM)中でプレインキュベートされたDNAゲルストリップ。
【0134】
1.TDTABプレインキュベーションは、界面活性剤濃度が0.1から1mMであった場合にDNA断片をエピコッコノンで染色した。
2.CTABプレインキュベーションは、界面活性剤濃度が0.01から0.1mMであった場合にDNA断片をエピコッコノンで染色した。
3.CPCプレインキュベーションは、界面活性剤濃度が0.01から0.1mMであった場合にDNA断片をエピコッコノンで染色した。
【0135】
結論
1.使用した陰イオン界面活性剤(SDS)は、エピコッコノンによるDNAの染色に役立たなかったが、陽イオン界面活性剤(DTAB、TDTAB、CTAB、およびCPC)は、エピコッコノンで染色されたDNA断片を描出するのに有効であった。
2.本実験は、DTAB、TDTAB、CTAB、およびCPCなどの多種多様で様々な陽イオン界面活性剤で処理した場合に、エピコッコノンをDNAおよび他の核酸染色として使用できることを示している。
【0136】
他の適当な陽イオン界面活性剤が使用でき、当業者によく知られているであろう。これらの界面活性剤の一部は、例えば、参照により本明細書に組み込まれているBhairi SMに開示されているが17、適当な界面活性剤(detergennts)および界面活性物質(surfuctants)の他のソースは、当業者に知られているであろう。
【0137】
取扱の容易さから、核酸の好都合で安定な例としてDNAを使用したが、上記の原理は、一本鎖および二本鎖核酸を含むRNAおよび他の核酸ならびにそれらの誘導体に同様に当てはまる。さらに、これらの概念および原理は、例えば、Old RWおよびPrimrose SB14、Innis MA他15およびSambrook J他16に記載の技法などの多くの知られている核酸分析および定量技法に適用することができる。
【0138】
実施例5.DNA濃度の測定
構成要素
80%(v/v)ジメチルスルホキシドおよび20%(v/v)アセトニトリルで調製させたDeep Purple(商標)、その550nmでの吸光度は0.30である。
プロトコル
【0139】
サケの二本鎖DNA(Sigma、D1626)は、水中で500μg/mLの濃度で調製し、水で2倍に希釈して488ng/mLの最終濃度にした。DNAのアリコート(25μL)を、96ウエルマイクロタイタープレート(Greiner、Cat.655096)のウエル中に繰り返してピペットで取った。DNAを含まない対照として水の25μLアリコートも含めた。
【0140】
次いで、重複したプレートの列に、濃度3mMの陽イオン界面活性物質臭化ドデシルトリメチルアンモニウム水溶液(Sigma、D5047)25μLを添加した。次いで、特定の実験に応じて、個々の列に10mM酢酸、10mMアンモニア溶液、または40mM NaHCOの25μLアリコートを加えた。次いで、ウエルに、水で10倍に希釈したパートAの25μLアリコートを加えた。プレートを暗所で約30分間インキュベートし、UVAおよびUVBトランスイルミネーターで可視化し、532nm励起レーザーおよび560LPまたは526SP発光フィルターを備えたAmersham Bioscience Typhoonで撮像し、それぞれ赤色および緑色発光光を測定した。上記手順により、溶液中のDNAを定量することができた。結果については、図43、44A〜44E、45および46A〜46Bを参照されたい。図43は、赤色発光光、532nmレーザー、560LPフィルターのTyphoon画像を示している。染色液の添加後、プロトコルに記載のように作成したDeep Purpleの添加後に10mMアンモニア溶液をウエルに添加した。図44Aは、生データとしてプロットされた図43からのシグナルを示している。図44Bは、log10変換データのプロットである。図45は、緑色発光光、532nmレーザー、526SPフィルターのTyphoon画像を示している。染色液の添加後、プロトコルに記載のように作成したDeep Purpleの添加後に10mM酢酸溶液をウエルに添加した。UVAおよびUVBトランスイルミネーターで、酢酸で処理されたウエルの強度は、極めて明るい緑色であり、10mMアンモニアまたは40mM NaHCOで処理されたウエルからの赤色蛍光よりも実質的に明るかった。そのハードウェア構成のため、Typhoon装置は、励起およびこの情報を捕捉するのが苦手であった。図46Aは、生データとしてプロットされた図45からのシグナルを示している。図46Bは、log10変換された同一データのプロットである。
【0141】
これらの結果は、核酸の検出および定量を改善する際の色素の有用性および界面活性剤および/または塩基および/または酸の用途を示している。
【0142】
具体的な実施例を参照しながら本発明について説明してきた。当業者には当然のことながら、本明細書に記載の本発明の概念の精神に沿って、他の多くの形態で本発明を実施することができる。
【0143】
参考文献
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15 Innis MA, Gelfand DH, Sninsky JJ and White TJ, PCR Protocols: A guide to methods and applications. Academic Press Inc, 1990
16 Sambrook J, Fritsch EF and Maniatis T. Molecular cloning, a laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, 1989.
17 Bhairi SM. Detergents: A guide to the properties and uses of detergents in biological systems, Calbiochem-Novabiochem Corp., 2001
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】a)100mM酢酸水溶液、b)1mM酢酸、c)10μM酢酸、d)1μM酢酸を使用し、e)酢酸を使用せずに390nmで励起した場合のエピコッコノンの発光プロファイルを示す図である。
【図2】1mM酢酸を使用したDeep Purple(商標)のa)励起300〜500nm/発光524nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、酸を使用しなかった同一濃度のDeep Purple(商標)のc)励起300〜500nm/発光523nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図3】1mM HSOを使用したエピコッコノンのa)励起300〜490nm/発光516nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、酸を使用しなかったエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図4】a)1.8%SDS水溶液(w/v)、b)0.8%SDS、c)0.4%SDS、d)0.1%SDSおよびe)0.1%SDSを使用して390nmで励起した場合のエピコッコノンの発光プロファイルを示す図である。
【図5】0.3%SDS水溶液(w/v)を使用したDeep Purple(商標)のa)励起300〜500nm/発光525nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSを使用しなかった同一濃度のDeep Purple(商標)のc)励起300〜500nm/発光523nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図6】CTABを使用したエピコッコノンのa)励起390nm/発光420〜700nmと、CTABを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのb)励起300〜500nm/発光516nmおよびc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図7】CPCを使用したエピコッコノンのa)励起390nm/発光420〜700nmと、CPCを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのb)励起300〜500nm/発光516nmおよびc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図8】CHAPSを使用したエピコッコノンのa)励起390nm/発光420〜700nmと、CHAPSを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのb)励起300〜500nm/発光516nmおよびc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図9】Tween 80を使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光526nm、b)励起440nm/発光470〜700nm、およびc)励起390nm/発光420〜700nmと、Tween 80を使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのd)励起300〜500nm/発光516nmおよびE)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図10】Tween 20を使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光524nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、Tween 20を使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起300〜500nm/発光516nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図11】オクチル−D−グルコシドを使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光524nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、オクチル−D−グルコシドを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起300〜500nm/発光516nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図12】Triton X−100を使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光526nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、Triton X−100を使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起300〜500nm/発光516nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図13】SDSおよび酢酸を使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光525nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSを使用したが酸を使用しなかったエピコッコノンのc)励起300〜500nm/発光515nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図14】CTABおよび酢酸を使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光516nmと、CTABを使用したが酸を使用しなかったエピコッコノンのb)励起390nm/発光420〜700nmならびにCTABおよび酸を使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起300〜500nm/発光516nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図15】a)1.625mM DTABおよび1mM酢酸を使用したエピコッコノン、b)DTABを使用したが酸を使用しなかったエピコッコノンおよびc)DTABおよび酸を使用しなかったエピコッコノンの励起390nm/発光420〜700nmを示す図である。
【図16】CHAPSおよび酢酸を使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光525nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、CHAPSを使用したが酸を使用しなかったエピコッコノンのc)励起300〜500nm/発光528nmならびにCHAPSおよび酸を使用しなかったエピコッコノンのd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図17】コール酸ナトリウム塩および酢酸を使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光525nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、コール酸ナトリウム塩を使用したが酸を使用しなかったエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmならびにコール酸ナトリウム塩および酸を使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図18】a)0.3%SDS(w/v)および1mM酢酸を使用したDeep Purple(商標)、b)0.3%SDS(w/v)を使用したDeep Purple(商標)、c)1mM AcOHを使用したDeep Purple(商標)およびd)Deep Purple(商標)の励起390nm/発光420〜700nmを示す図である。
【図19】SDSおよびアンモニアを使用したエピコッコノンのa)励起310〜500nm/発光605nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、アンモニアを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンおよびSDSのc)励起300〜500nm/発光520nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図20】0.3%SDSおよび1mMアンモニアを使用したDeep Purple(商標)のa)励起300〜500nm/発光605nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、同一濃度で0.3%SDSを使用しアンモニアを使用しなかったDeep Purple(商標)のc)励起300〜500nm/発光525nmおよびd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図21】SDSおよびエチルアミンを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光610nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびエチルアミンを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図22】SDSおよびブチルアミンを使用したエピコッコノンのa)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびブチルアミンを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのb)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図23】SDSおよびオクチルアミンを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光600nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびオクチルアミンを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図24】SDSおよびTRISを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光600nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびTRISを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図25】SDSおよびベンジルアミンを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光600nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびベンジルアミンを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図26】SDSおよびアニリンを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光620nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびアニリンを使用しなかった同一濃度のエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図27】a)SDS、DNAおよび1,3−ジアミノプロパンを使用した1日後のエピコッコノンおよびb)SDS、DNAおよび1,3−ジアミノプロパンを使用したエピコッコノンの励起390nm/発光420〜700nmを示す図である。
【図28】a)CHAPSおよびアンモニアを使用したエピコッコノン、b)CHAPSを使用し、アンモニアを使用しなかったエピコッコノン、ならびにc)CHAPSおよびアンモニアを使用しなかったエピコッコノンの励起390nm/発光420〜700nmを示す図である。
【図29】SDS、酢酸およびアニリンを使用したエピコッコノンのa)励起320〜600nm/発光621nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびアニリンを使用したが酸を使用しなかったエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図30】SDS、酢酸およびTRISを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光605nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびTRISを使用し、酸を使用しなかったエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図31】SDS、酢酸およびエチルアミンを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光610nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、SDSおよびエチルアミンを使用し、酸を使用しなかったエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図32】DTAB、酢酸およびDNAを使用したエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光533nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、DTABおよび酢酸を使用し、DNAを使用しなかったエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmおよびエピコッコノン単独のd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図33】CHAPS、アンモニアおよびグルコサミン塩酸塩を使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光605nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、CHAPSおよびアンモニアを使用し、グルコサミン塩酸塩を使用しなかったエピコッコノンのc)励起390nm/発光420〜700nmおよびエピコッコノン単独のd)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図34】DTABおよびBSAを使用したエピコッコノンのa)励起320〜550nm/発光615nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、エピコッコノン単独のc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図35】アセトニトリルに溶かしたエピコッコノンのa)励起300〜500nm/発光532nmおよびb)励起390nm/発光420〜700nmと、同一濃度のエピコッコノン水溶液のc)励起390nm/発光420〜700nmとの比較を示す図である。
【図36】Typhoonのレーザーをベースとしたイメージャー(532nmレーザー、610BP30発光フィルター)によって捕捉されたマイクロタイタープレートの画像を示す図である。
【図37A】12ng〜100μg/mLの範囲で1mL当たりのBSA濃度に対する生の蛍光データのプロットを示す図である。この範囲におけるr値は、0.985である。
【図37B】781ng〜800μg/mLの範囲で1mL当たりのBSA濃度のlog10に対する蛍光データのlog10のプロットを示す図である。この範囲におけるr値は、0.997である。
【図38A】水および様々な塩基で染色ゲルを処理した後の染色ゲルおよびそれらの対応する強度追跡を示す図である。
【図38B】水および様々な塩基で染色ゲルを処理した後の染色ゲルおよびそれらの対応する強度追跡を示す図である。
【図38C】水および様々な塩基で染色ゲルを処理した後の染色ゲルおよびそれらの対応する強度追跡を示す図である。
【図38D】水および様々な塩基で染色ゲルを処理した後の染色ゲルおよびそれらの対応する強度追跡を示す図である。
【図38E】水および様々な塩基で染色ゲルを処理した後の染色ゲルおよびそれらの対応する強度追跡を示す図である。
【図38F】水および様々な塩基で染色ゲルを処理した後の染色ゲルおよびそれらの対応する強度追跡を示す図である。
【図38G】水および様々な塩基で染色ゲルを処理した後の染色ゲルおよびそれらの対応する強度追跡を示す図である。
【図39A】Deep Purple(商標)による染色および8mMアンモニアによる処理後のゲルセグメントを示す図である。セグメント1(A)は、8mMアンモニア中に暗所で46時間保存した。
【図39B】Deep Purple(商標)による染色および8mMアンモニアによる処理後のゲルセグメントを示す図である。複製のゲルセグメント2(B)は、8mMアンモニアで3×10分洗浄し、100mMオルトリン酸に移し、この場合も暗所で46時間保存した。
【図40A】アンモニアによる処理の直後に撮像されたゲルを示す図である。
【図40B】10mM硫酸中で2時間保存した後に撮像されたゲルを示す図である。
【図40C】10mM硫酸中で21時間保存した後に撮像されたゲルを示す図である。
【図40D】10mM硫酸中で93時間保存した後に撮像されたゲルを示す図である。
【図40E】10mM硫酸に入れる前(時間0)のゲルのレーン3のシグナル強度追跡を示す図である。
【図40F】10mM硫酸の添加から2時間後のゲルのレーン3のシグナル強度追跡を示す図である。
【図40G】10mM硫酸の添加から21時間後のゲルのレーン3のシグナル強度追跡を示す図である。
【図40H】10mM硫酸の添加から93時間後のゲルのレーン3のシグナル強度追跡を示す図である。
【図41A】アンモニアによる処理の直後に撮像されたゲルを示す図である。
【図41B】10mM酢酸中で46時間保存した後に撮像されたゲルを示す図である。
【図41C】10mM酢酸中で167時間保存した後に撮像されたゲルを示す図である。
【図42】DNAゲルストリップをTyphoonでスキャンした画像を示す図である(1:界面活性剤処理なし、エピコッコノン染色のみ;2:SDS−インキュベーションおよびエピコッコノン染色;3:DDTAB−インキュベーションおよびエピコッコノン染色;4:SDSおよびDDTAB−インキュベーション、およびエピコッコノン染色)。
【図43】赤色発光光、532nmレーザー、560LPフィルターのTyphoon画像を示す図である。染色液の添加後、プロトコルに記載のように作成したDeep Purple(商標)の添加後に10mMアンモニア溶液をウエルに添加した。
【図44A】生データとしてプロットされた図43からのシグナルを示す図である。
【図44B】log10変換データのプロットを示す図である。
【図45】緑色発光光、532nmレーザー、526SPフィルターのTyphoon画像を示す図である。染色液の添加後、プロトコルに記載のように作成したDeep Purple(商標)の添加後に10mM酢酸をウエルに添加した。
【図46A】生データとしてプロットされた図45からのシグナルを示す図である。
【図46B】log10変換された同一データのプロットを示す図である。
【図47A】DNAゲル(AおよびC、DNA MWM XVII;B、SPP−1 DNA/Eco RI)ストリップをTyphoonでスキャンした画像を示す図である。エピコッコノン染色前にTDTAB(1、0.001mM;2、0.01mM、0.1mMおよび1mM)中でプレインキュベートされたDNAゲルストリップ。
【図47B】DNAゲル(AおよびC、DNA MWM XVII;B、SPP−1 DNA/Eco RI)ストリップをTyphoonでスキャンした画像を示す図である。エピコッコノン染色前にCTAB(1、0.001mM;2、0.01mM、0.1mMおよび1mM)中でプレインキュベートされたDNAゲルストリップ。
【図47C】DNAゲル(AおよびC、DNA MWM XVII;B、SPP−1 DNA/Eco RI)ストリップをTyphoonでスキャンした画像を示す図である。エピコッコノン染色前にCPC(1、0.001mM;2、0.01mM、0.1mMおよび1mM)中でプレインキュベートされたDNAゲルストリップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光色素の蛍光を増強する方法であって、色素を塩基および/または界面活性剤と混合するか、接触させることを含む方法。
【請求項2】
蛍光色素の発光波長を上げる方法であって、色素を塩基および/または界面活性剤と混合するか、接触させることを含む方法。
【請求項3】
蛍光色素/有機分子複合体の安定性を改善する方法であって、蛍光色素/有機分子複合体を酸と接触させることを含む方法。
【請求項4】
複合体は、塩基および/または界面活性剤をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複合体は、マトリックス内に含まれるか、表面上にある請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
色素は、異性体を含む式(Ia)で表される化合物であり、前記請求項のいずれか一項に記載の方法:
【化1】

[式中、Xは、OまたはNRであり、Rは、ヒドロキシまたはオキソ基から独立して選択される1〜6個の基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20共役アルケニル基であり、Rは、直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル基であり、Rは、ヒドロキシル基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル基であり、Rは、H、N、O、1個または複数のヒドロキシル、ハライド、アミン、カルボキシル、カルボキシル関連またはヘテロアリール基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル、アルケニル、アルキニルおよび/またはアリール基である。]。
【請求項7】
は、直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル基である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
は、ヒドロキシル基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル基である請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
色素は、異性体を含む式(Ib)で表される化合物であり、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【化2】

【請求項10】
蛍光色素は、本明細書で定義されたアザフィロン(azaphilone)蛍光色素である前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
異性体は、互変異性体である請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
蛍光色素は、エピコッコノン(epicocconone)またはエピコッコノン(epicocconone)含有色素混合物または抽出物である前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
塩基は、窒素含有塩基である前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
塩基は、アンモニア、アミン、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩またはそれらの組合せからなる群から選択される請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
塩基は、アンモニア、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アミンまたはそれらの組合せから選択される請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
塩基は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミンおよびそれらの異性体ならびにアリルアミン、アニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、4−フェニルブチルアミン、ヒドラジンおよび1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンおよびそれらの異性体ならびにジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリンおよびそれらの異性体ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミンおよびそれらの異性体ならびに酢酸テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、硫酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、シアン化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硝酸テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、イミダゾール、インドール、プリン、キノリン、ピリミジン、ピラゾール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「Tris」)またはアミノドデシルアミンなどのC1〜20アルキルアミン、C1〜20アルキルジアミン、C1〜20アミンおよびジアミンまたはそれらの組合せから選択される請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
塩基は、蛍光強度、シグナル対バックグラウンド比および/または蛍光色素の感度検出限界を向上させる前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
蛍光色素を用いる化学的または生化学的技法の一部である前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記化学的または生化学的技法は、電気泳動、フローサイトメトリー、pHセンシング、タンパク質−タンパク質相互作用の分析、蛍光ブラッドフォード分析、タンパク質定量、抗体標識、リガンド標識、タンパク質アレイまたはタンパク質チップの分析、遺伝子アレイまたは遺伝子チップの分析、DNAまたはRNAの分析または検出、蛍光顕微鏡または生物学的センサーから選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
タンパク質、ペプチド、核酸またはヌクレオチドを染色および/または標識する方法の一部である前記請求項のいずれか一項に記載の方法であって、タンパク質、ペプチド、核酸またはヌクレオチドと蛍光色素との間で蛍光複合体を形成することを含み、蛍光複合体は、塩基の存在下で形成され、かつ/または蛍光複合体は、その形成後に塩基で処理される方法。
【請求項21】
タンパク質、ペプチド、核酸またはヌクレオチドは、組織または細胞に含まれている請求項20に記載の方法。
【請求項22】
マトリックス上でタンパク質、ペプチド、核酸またはヌクレオチドを可動化および検出する方法の一部である前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ポリアクリルアミドゲルマトリックス上の電気泳動である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
アガロースゲルマトリックス上の電気泳動である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
タンパク質、ペプチド、核酸またはヌクレオチドは、界面活性剤で前処理され、有機分子/界面活性剤複合体を形成する請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
界面活性剤は、陰イオン、陽イオンまたは双性イオン界面活性剤から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム(LDS)、Triton、Tween、CHAPS、CTAB、DTAB、TDTAB、CPC、コール酸およびオクチル−D−グルコシドからなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ゲルマトリックス、界面活性剤および/またはタンパク質、ペプチド、核酸もしくはヌクレオチドは、電気泳動に先立って塩基で処理される請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
塩基は、脂肪族アミンである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ゲルマトリックスおよび/またはタンパク質、ペプチド、核酸もしくはヌクレオチドは、電気泳動後に塩基で処理される請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
蛍光複合体を酸で処理するステップをさらに含む請求項20から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
酸処理は、蛍光複合体を安定化し、蛍光強度をさらに高め、かつ/または蛍光複合体のシグナル対バックグラウンド比をさらに高める請求項31に記載の方法。
【請求項33】
酸は、鉱酸、有機酸、またはそれらの組合せから選択される請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
鉱酸は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、オルトリン酸から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項35】
有機酸は、アルカン酸、ハロゲノアルカン酸、アスコルビン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項36】
アルカン酸は、酢酸またはプロピオン酸から選択され、ハロゲノアルカン酸は、トリクロロ酢酸、クロロ酢酸またはトリフルオロ酢酸から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
蛍光色素の蛍光を検出するステップをさらに含む前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記検出は、透視法、分光法、顕微鏡またはサイトメトリーによる請求項37に記載の方法。
【請求項39】
タンパク質を可動化および検出する方法であって、
(a)タンパク質の溶液をマトリックスに塗布するステップ、
(b)タンパク質をマトリックス上で可動化するステップ、
(c)請求項6から12のいずれか一項で定義された可動化タンパク質と蛍光色素との間で蛍光複合体を形成するステップ、及び、
(d)そのようにして形成された蛍光複合体を検出するステップ、
を含み、蛍光複合体は、塩基の存在下で形成され、かつ/または蛍光複合体は、その形成後に塩基で処理される方法。
【請求項40】
塩基による処理の前または後に蛍光複合体を界面活性剤と接触させることをさらに含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
界面活性剤は、陰イオン界面活性剤である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
マトリックスがポリアクリルアミドゲルマトリックスであり、PAGE電気泳動またはSDS−PAGE電気泳動である請求項39から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
核酸を可動化および検出する方法であって、
(e)核酸の溶液をマトリックスに塗布するステップ、
(f)核酸をマトリックス上で可動化するステップ、
(g)請求項6から12のいずれか一項で定義された可動化核酸と蛍光色素との間で蛍光複合体を形成するステップ、及び、
(h)そのようにして形成された蛍光複合体を検出するステップ
を含み、蛍光複合体は、塩基の存在下で形成され、かつ/または蛍光複合体は、その形成後に塩基で処理される方法。
【請求項44】
塩基による処理の前または後に蛍光複合体を界面活性剤と接触させることをさらに含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
界面活性剤は、陽イオン界面活性剤である請求項44に記載の方法。
【請求項46】
マトリックスは、アガロースゲルマトリックスである請求項43から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項6から12のいずれか一項に記載の蛍光色素を請求項13から16のいずれか一項に記載の塩基と混合することによって得られる蛍光化合物。
【請求項48】
請求項6から12のいずれか一項に記載の蛍光色素と塩基との組合せ。
【請求項49】
請求項20または21に記載のタンパク質、ペプチド、核酸またはヌクレオチドをさらに含む請求項48に記載の組合せ。
【請求項50】
タンパク質、ペプチド、核酸またはヌクレオチドは、界面活性剤との複合体の形態である請求項49に記載の組合せ。
【請求項51】
蛍光色素(Ia)を塩基と混合し、異性体を含む式(IIa)の化合物を得る請求項1から38のいずれか一項に記載の方法:
【化3】

[式中、R、R、Rは、(1a)で示した通りであり、Xは、C、NR、ORであり、R、Rは、H、N、O、1個または複数のヒドロキシル、ハライド、アミン、カルボキシル、カルボキシル関連またはヘテロアリール基で任意に置換されている直鎖または分枝鎖C1〜20アルキル、アルケニル、アルキニルおよび/またはアリール基である。]。
【請求項52】
蛍光色素(Ib)を塩基と混合し、異性体を含む式(IIb)の別の蛍光色素を得る請求項1から38のいずれか一項に記載の方法:
【化4】

[式中、Xは、C、NRまたはORである。]。
【請求項53】
蛍光色素(Ib)をn−ブチルアミンと混合した場合に、得られる色素は、異性体を含む式(IIc)で表される化合物であり、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【化5】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38A】
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【図38B】
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【図38C】
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【図38D】
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【図38E】
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【図38F】
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【図38G】
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【図39】
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【図40】
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【図40E】
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【図40F】
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【図40G】
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【図40H】
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【図41A】
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【図41B】
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【図41C】
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【図42】
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【図43】
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【図44A】
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【図44B】
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【図45】
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【図46A】
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【図46B】
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【図47A】
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【図47B】
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【図47C】
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【公表番号】特表2006−522173(P2006−522173A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503975(P2006−503975)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000370
【国際公開番号】WO2004/085546
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(502390120)フルオロテクニックス ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】