説明

蛍光増白増強剤

(課題)蛍光増白剤と併用することで、蛍光増白度及び白色度を著しく向上させることができる蛍光増白増強剤を提供すること。(解決手段)蛍光増白剤と共に用いられる蛍光増白増強剤において、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物を必須成分としてなることを特徴とする蛍光増白増強剤を用いる。また、非還元性の二又は三糖類(a1)と炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)とを反応させて得られる構造を有するポリオキシアルキレン化合物(A)を必須成分としてなることを特徴とする蛍光増白増強剤を用いる。一般式{H−(OA)n−}tQ (1)Qは非還元性の二又は三糖類の反応残基、OAはオキシアルキレン基、Hは水素原子、t個のnは同じであっても異なってもよい1〜75の整数を表し、1分子中のOAの総数は、t=2のとき2〜150個、t=3〜4のとき3〜300個である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光増白増強剤に関する。さらに詳しくは塗工紙用塗料に蛍光増白剤と共に配合して使用される蛍光増白増強剤として好適な蛍光増白増強剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塗工紙やその他の紙の蛍光増白度及び白色度を向上させるために、蛍光増白剤と共に蛍光増白増強剤を併用して、蛍光増白作用をさらに増強することが知られている。
このような蛍光増白増強剤としては、ポリビニルアルコール、水溶性セルロース誘導体、デンプン誘導体、カゼイン、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、ポリグリコール類、ポリビニルピロリドン及びポリヒドロキシ化合物(特許文献1)や、ポリアクリルアミド(特許文献2)等が知られている。
【特許文献1】WO 00/66834号公報
【特許文献2】特開2001−81692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の蛍光増白増強剤では、蛍光増白剤や蛍光増白増強剤の使用量を増やしても、さらに高い蛍光増白度及び白色度を得ることが困難であるという問題がある。すなわち、本発明の目的は、蛍光増白剤の使用で蛍光増白度及び白色度を著しく向上させることができる蛍光増白増強剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果本発明に達した。すなわち、本発明の蛍光増白増強剤の特徴は、蛍光増白剤と共に用いられる蛍光増白増強剤において、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物を必須成分としてなる点を要旨とする。
一般式
{H−(OA)n−}tQ (1)
ただし、一般式(1)において、Qは非還元性の二又は三糖類のt(2〜4の整数)個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Hは水素原子、t個のnは同じであっても異なってもよい1〜75の整数を表し、1分子中のOAの総数は、t=2のとき2〜150個、t=3〜4のとき3〜300個である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の蛍光増白増強剤は、蛍光増白剤と共に使用すると紙の蛍光増白度及び白色度を著しく向上させることができる。また、塗工紙用塗料やインクジェット紙用塗料に用いても、塗料の粘度の変化がほとんどない。よって、塗工紙(ピグメントコート紙やクリアコート紙)及びインクジェット紙等に用いられる塗工紙に好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
一般式(1)について説明する。
非還元性の二又は三糖類のt個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基(Q)を形成することができる二又は三糖類としては、蔗糖(サッカロース)、トレハロース、イソトレハロース、イソサッカロース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース及びプランテオース等が含まれる。これらのうち、蛍光増白度及び白色度向上効果等の観点から、蔗糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース及びプランテオースが好ましく、さらに好ましくはトレハロース、メレチトース及び蔗糖であり、供給性及びコスト等の観点から特に好ましくは蔗糖である。これらは単独で、または混合して用いられてよい。
tは、非還元性の二又は三糖類の1級水酸基の数を表す2〜4の整数であり、好ましくは3である。この範囲であると蛍光増白度及び白色度向上効果がさらに良好となる。
【0007】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合等が含まれる。これらのうち白色度向上効果及び水溶解性等の観点から、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシエチレンとオキシプロピレンとの混合物が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン及びオキシエチレンとオキシプロピレンとの混合物である。
また、n個のOAは、同じであっても異なってもよく、t個の(OA)nは同じであっても異なってもよい。
【0008】
OA内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合には制限ないが、ブロック状、又はブロック状とランダム状との組合せを含むことが好ましい。また、この場合、オキシエチレンを含むことが好ましく、オキシエチレンの含有割合(質量%)は、オキシアルキレン基の全質量に基づいて、20〜99が好ましく、さらに好ましくは25〜97、特に好ましくは30〜96、最も好ましくは35〜95である。すなわち、この場合、オキシエチレンの含有割合(質量%)の下限は、オキシアルキレン基の全質量に基づいて、20が好ましく、さらに好ましくは25、特に好ましくは30、最も好ましくは35、また同様に上限は、99が好ましく、さらに好ましくは97、特に好ましくは96、最も好ましくは95である。
OAにオキシエチレン基と、オキシプロピレン基及び/又はオキシブチレン基とを含む場合、反応残基(Q)から離れたところにオキシプロピレン及び/又はオキシブチレンが位置することが好ましい。すなわち、反応残基(Q)にオキシエチレン基が直接結合していることが好ましい。
【0009】
Hは水素原子を表すが、t個のHの一部がメチル基やアセチル基等で置換されていてもよい。
1分子中のOAの総数(個)は、t=2のとき、2〜150が好ましく、さらに好ましくは4〜146、特に好ましくは6〜142、最も好ましくは8〜140であり、また、t=3のとき、3〜225が好ましく、さらに好ましくは6〜219、特に好ましくは9〜213、最も好ましくは12〜210であり、また、t=4のとき、4〜300が好ましく、さらに好ましくは8〜292、特に好ましくは12〜284、最も好ましくは16〜280である。
また、nは、1〜75の整数が好ましく、さらに好ましくは2〜73の整数、特に好ましくは3〜71の整数、最も好ましくは4〜70の整数である。この範囲であると、蛍光増白度及び白色度向上効果がさらに良好となる。またt個のnは、同じであっても、異なってもよい。
【0010】
一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物のうち、好適な例としては、以下の化学式で示される化合物等が挙げられる。なお、Hは水素原子を、poはオキシプロピレン基を、eoはオキシエチレン基を、Qは蔗糖の反応残基を、Qはトレハロースの反応残基を、Qはメレチトースの反応残基を、/はランダム状を表す(以下同様)。
【0011】
化学式
{H−(eo)−} (1)
{H−(eo)70−}(2)
{H−(eo)37−}(3)
{H−(eo)−}(4)
{H−(eo)−}(5)
{H−(eo)71−} (6)
{H−(eo)73−}(7)
{H−(eo)−} (8)
{H−(po)70−}(9)
{H−(eo)−} (10)
{H−(eo)70−} (11)
{H−(po)20−(eo)15−}(12)
{H−(po)−(eo)33−}(13)
{H−(po)15−(eo)20−}(14)
{H−(po)21−(eo)14−}(15)
{H−(po)22−(eo)13−}(16)
{H−(po)−(eo)34−}(17)
{H−(po)−(eo)34−}(eo)35−H(18)
{H−(eo)−(po)−(eo)25−}(19)
{H−(eo)/(po)−(eo)25−}(20)
{H−(eo)−} (21)
{H−(eo)75−} (22)
{H−(eo)−} (23)
【0012】
これらのうち、式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(13)、(21)、(22)又は(23)で表されるポリオキシアルキレン化合物が好ましく、さらに好ましくは式(1)、(2)又は(3)で表されるポリオキシアルキレン化合物である。
【0013】
一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物としては、非還元性の二又は三糖類(a1)及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)の化学反応により製造され得る構造を有するものが含まれる。すなわち、このような化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物は、オキシアルキレン基に分布を生じる場合があり、この場合、厳密には複数種類のポリオキシアルキレン化合物の混合物となり、この混合物の中に、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物が含まれるものである。なお、この場合でも本発明にかかる蛍光増白増強剤の技術的範囲は、特定の製造方法により製造される蛍光増白増強剤に限定されるものではない。
【0014】
そして、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部に対して2〜300が好ましく、さらに好ましくは3〜292、よりさらに好ましくは4〜284、次いで好ましくは6〜280、さらに次いで好ましくは8〜225、特に好ましくは9〜219、さらに特に好ましくは12〜213、最も好ましくは16〜210である。すなわち、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)の下限は、非還元性の二又は三糖類1モル部に対して、2が好ましく、さらに好ましくは3、よりさらに好ましくは4、次いで好ましくは6、さらに次いで好ましくは8、特に好ましくは9、さらに特に好ましくは12、最も好ましくは16であり、また同様に上限は300が好ましく、さらに好ましくは292、よりさらに好ましくは284、次いで好ましくは280、さらに次いで好ましくは225、特に好ましくは219、さらに特に好ましくは213、最も好ましくは210である。この範囲であると、蛍光増白度及び白色度向上効果がさらに良好となる。
【0015】
非還元性の二又は三糖類(a1)としては、一般式(1)における反応残基(Q)を形成することができる二又は三糖類と同じものが使用でき、好ましい種類も同じである。アルキレンオキシド(a2)としては、炭素数2〜4のアルキレンオキシド等が使用でき、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、白色度向上効果及び水溶解性等の観点から、EO、PO及びEOとPOとの混合物が好ましく、さらに好ましくはEO及びEOとPOとの混合物である。
複数種類のアルキレンオキシドを用いてもよく、この場合、反応させる順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び使用割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状の組合せを含むことが好ましい。また、この場合、EOを含有することが好ましく、EOの使用割合(質量%)は、アルキレンオキシドの全質量に基づいて、20〜99が好ましく、さらに好ましくは25〜97、特に好ましくは30〜96、最も好ましくは35〜95である。すなわち、この場合、オキシエチレンの使用割合(質量%)の下限は、アルキレンオキシドの全質量に基づいて、20が好ましく、さらに好ましくは25、特に好ましくは30、最も好ましくは35、また同様に上限は、99が好ましく、さらに好ましくは97、特に好ましくは96、最も好ましくは95である。
EOと、PO又は/及びBOとを含む場合、EOの反応後にPO及び/又はBOを反応させることが好ましい。
【0016】
非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応には反応触媒が使用できる。なお、反応溶媒として以下に説明するアミドを用いる場合、反応触媒を用いる必要がない。
反応触媒としては、通常使用されるアルキレンオキシド付加反応用触媒等が使用でき、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属のアルコラート(カリウムメチラート及びセシウムエチラート等)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸セシウム及び炭酸バリウム等)、炭素数3〜24の3級アミン(トリメチルアミン、トリオクチルアミン、トリエチレンジアミン及びテトラメチルエチレンジアミン等)及びルイス酸(塩化第二錫及びトリフッ化ホウ素等)等が用いられる。これらのうち、アルカリ金属の水酸化物及び3級アミン化合物が好ましく、さらに好ましくは水酸化カリウム、水酸化セシウム及びトリメチルアミンである。
【0017】
反応触媒を使用する場合、この使用量(質量%)は、(a1)及び(a2)の合計質量に基づいて、0.05〜2.0が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0、特に好ましくは0.2〜0.6である。すなわちこの場合、反応触媒の使用量(質量%)の下限は、(a1)及び(a2)の質量に基づいて、0.05が好ましく、さらに好ましくは0.1、特に好ましくは0.2であり、また同様に上限は2.0が好ましく、さらに好ましくは1.0、特に好ましくは0.6である。
反応触媒を使用する場合、反応触媒は反応生成物から除去することが好ましく、その方法としては、合成アルミノシリケート等のアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業(株)製}を用いる方法(特開昭53−123499号公報等)、キシレン又はトルエン等の溶媒に溶かして水洗する方法(特公昭49−14359号公報等)、イオン交換樹脂を用いる方法(特開昭51−23211号公報等)及びアルカリ性触媒を炭酸ガスで中和して生じる炭酸塩を濾過する方法(特公昭52−33000号公報)等が挙げられる。
反応触媒の除去の終点としては、JIS K1557−1970に記載のCPR(Controlled Polymerization Rate)値が20以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは2以下である。
【0018】
反応容器としては、加熱、冷却及び撹拌が可能な耐圧性反応容器を用いることが好ましい。反応雰囲気としては、アルキレンオキシド(a2)を反応容器中の反応混合物に添加する前に反応容器内を真空又は乾燥した不活性気体(アルゴン、窒素及び二酸化炭素等)の雰囲気とすることが好ましい。また、反応温度(℃)としては80〜150が好ましく、さらに好ましくは90〜130である。反応圧力(ゲージ圧:MPa)は0.8以下が好ましく、さらに好ましくは0.5以下である。
反応終点の確認は、次の方法等により行うことができる。すなわち、反応温度を15分間一定に保ったとき、反応圧力(ゲージ圧)の低下が0.001MPa以下となれば反応終点とする。
【0019】
非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応工程には、反応溶媒を用いることが好ましい。反応溶媒としては、(1)活性水素を持たず、(2)非還元性の二又は三糖類(a1)、アルキレンオキシド(a2)、(a1)と(a2)との反応生成物{ポリオキシアルキレン化合物(A)}を溶解するものであれば使用できる。
このような反応溶媒としては、炭素数3〜8のアルキルアミド及び炭素数5〜7の複素環式アミド等が使用できる。アルキルアミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−プロピルアセトアミド及び2−ジメチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール等が挙げられる。複素環式アミドとしては、N−メチルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム及びN,N−ジメチルピロールカルボン酸アミド等が挙げられる。
これらのうち、アルキルアミド及びN−メチルピロリドンが好ましく、さらに好ましくはDMF、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン、特に好ましくはDMF及びN−メチルピロリドン、最も好ましくはDMFである。
反応溶媒を用いる場合、その使用量(質量%)は、(a1)及び(a2)の合計質量に基づいて、20〜200が好ましく、さらに好ましくは40〜180、特に好ましくは60〜150である。すなわち、この場合、反応溶媒の使用量(質量%)の下限は、(a1)及び(a2)の合計質量に基づいて、20が好ましく、さらに好ましくは40、特に好ましくは60であり、また同様に上限は200が好ましく、さらに好ましくは180、特に好ましくは150である。
【0020】
反応溶媒を用いた場合、反応後に反応溶媒を除去することが好ましい。
反応溶媒の除去方法としては、減圧留去及び吸着除去等が適用でき、減圧留去した後さらに吸着除去することが好ましい。
減圧留去する条件としては、26.6〜0.7MPaの減圧下にて100〜150℃にて蒸留する条件等が適用できる。
さらに吸着除去する場合、合成アルミノシリケート等のアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業(株)製}を用いて処理する方法等が適用できる。例えば、キョーワード700を用いる場合、アルカリ吸着剤の添加量(質量%)は、ポリオキシアルキレン化合物の質量に基づいて0.1〜10程度、処理温度は60〜120℃程度、処理時間は0.5〜5時間程度である。続いて濾紙又は濾布等を用いて濾別してアルカリ吸着剤を取り除くことにより、反応溶媒の残存量をさらに減少させることができる。
【0021】
また、本発明の蛍光増白増強剤には、例えば分散剤、潤滑剤、消泡剤、保水剤、増粘剤、耐水化剤、湿潤剤、表面サイズ剤、防腐防黴剤、消臭剤、香料、染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、填料、スライムコントロール剤及び/又はピッチコントロール剤等の紙製造時等に用いられる公知の添加薬剤等が添加できる。添加薬剤を添加する場合、これらの使用量(質量%)は、ポリオキシアルキレン化合物の質量に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜40、特に好ましくは0.08〜30、最も好ましくは0.1〜20である。
【0022】
本発明の蛍光増白増強剤は蛍光増白剤と共に用いられ、本発明の蛍光増白増強剤を配合しない場合や、従来の蛍光増白増強剤を使用する場合に比べ、蛍光増白度及び白色度を著しく向上させることができる。
本発明の蛍光増白増強剤と共に用いられる蛍光増白剤としては、紙製造時等に用いられるものが制限なく使用でき、ジアミノスチルベン系、クマリン系、ピラゾリン系、イミダゾール系、トリアゾール系、オキサゾール系及びナフタルイミド系蛍光増白剤等が挙げられる{紙と加工の薬品辞典、65頁、(株)テックタイムス、平成3年2月25日発行等}が、ジアミノスチルベン系蛍光増白剤が好ましい。
【0023】
本発明の蛍光増白増強剤の使用量(質量%)は、蛍光増白剤の質量に基づいて、0.2〜50000が好ましく、さらに好ましくは1〜9000、特に好ましくは2〜5000、最も好ましくは2.9〜3500である。すなわち、本発明の蛍光増白増強剤の使用量(質量%)の下限は、蛍光増白剤の質量に基づいて、0.2が好ましく、さらに好ましくは1、特に好ましくは2、最も好ましくは2.9であり、また同様に上限は、50000が好ましく、さらに好ましくは9000、特に好ましくは5000、最も好ましくは3500である。
【0024】
本発明の蛍光増白増強剤は、蛍光増白剤と共に、顔料及びラテックスを主体とする塗工紙用塗料に配合され、また、顔料を含有しない塗工紙用塗料に配合される。前記塗工紙用塗料は、塗工工程で紙に塗工されて、塗工紙(ピグメントコート紙やクリアコート紙)及びインクジェット紙が出来上がる。
また、本発明の蛍光増白増強剤は、抄紙(造)工程において、パルプスラリー等に蛍光増白剤と共に内添されて、各種の紙に仕上げられる。
【0025】
顔料としては、クレイ、炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等の無機顔料、ポリスチレンピグメント等の有機顔料が用いられ、単独又は混合して使用される。
ラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス、カルボキシル変性スチレンブタジエンラテックス、アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、アクリルスチレン樹脂エマルション、シリコーン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、ABSラテックス、NBRラテックス及びCRラテックス等の合成バインダーが挙げられる。
また、塗工紙用塗料には、必要に応じて、分散剤、潤滑剤、消泡剤、保水剤、増粘剤、耐水化剤、湿潤剤、防腐防黴剤、消臭剤、香料、染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤及び/又は表面サイズ剤等を添加できる。
また、パルプスラリーには、必要に応じて、サイズ剤、填料、染料、消泡剤、スライムコントロール剤及び/又はピッチコントロール剤等を添加できる。
【0026】
本発明の蛍光増白増強剤をピグメントコート紙用の塗工紙用塗料に添加する場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)は、紙塗工塗料中の顔料の質量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜4.5、特に好ましくは0.08〜4、最も好ましくは0.1〜3.5である。すなわち、この場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)の下限は、紙塗工塗料中の顔料の質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は、5が好ましく、さらに好ましくは4.5、特に好ましくは4、最も好ましくは3.5である。
【0027】
本発明の蛍光増白増強剤をピグメントコート紙用の塗工紙用塗料に添加する場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)は、塗工紙用塗料中の顔料の質量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜4.5、特に好ましくは0.08〜4、最も好ましくは0.1〜3.5である。すなわち、この場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)の下限は、塗工紙用塗料中の顔料の質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は、5が好ましく、さらに好ましくは4.5、特に好ましくは4、最も好ましくは3.5である。
【0028】
本発明の蛍光増白増強剤をクリアコート紙用の塗工紙用塗料に添加する場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)は、塗工紙用塗料の質量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜4.5、特に好ましくは0.08〜4、最も好ましくは0.1〜3.5である。すなわち、この場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)の下限は、塗工紙用塗料の質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は5が好ましく、さらに好ましくは4.5、特に好ましくは4、最も好ましくは3.5である。
【0029】
本発明の蛍光増白増強剤をクリアコート紙用の塗工紙用塗料に添加する場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)は、塗工紙用塗料の質量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜4.5、特に好ましくは0.08〜4、最も好ましくは0.1〜3.5である。すなわち、この場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)の下限は、塗工紙用塗料の質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は、5が好ましく、さらに好ましくは4.5、特に好ましくは4、最も好ましくは3.5である。
【0030】
本発明の蛍光増白増強剤をインクジェット紙用のインクジェット紙用塗料に添加する場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)は、インクジェット紙用塗料の質量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜19、特に好ましくは0.08〜18、最も好ましくは0.1〜17である。すなわち、この場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)の下限は、インクジェット紙用塗料の質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は、20が好ましく、さらに好ましくは19、特に好ましくは18、最も好ましくは17である。
【0031】
本発明の蛍光増白増強剤をインクジェット紙用のインクジェット紙用塗料に添加する場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)は、インクジェット紙用塗料の質量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜4.5、特に好ましくは0.08〜4、最も好ましくは0.1〜3.5である。すなわち、この場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)の下限は、インクジェット紙用塗料の質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は、5が好ましく、さらに好ましくは4.5、特に好ましくは4、最も好ましくは3.5である。
【0032】
本発明の蛍光増白増強剤をパルプスラリーに内添する場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)は、パルプの質量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜4.5、特に好ましくは0.08〜4、最も好ましくは0.1〜3.5である。すなわち、この場合、蛍光増白増強剤の使用量(質量%)の下限は、パルプの質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は、5が好ましく、さらに好ましくは4.5、特に好ましくは4、最も好ましくは3.5である。
【0033】
本発明の蛍光増白増強剤をパルプスラリーに内添する場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)は、パルプの質量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜4.5、特に好ましくは0.08〜4、最も好ましくは0.1〜3.5である。すなわち、この場合、蛍光増白剤の使用量(質量%)の下限は、パルプの質量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.05、特に好ましくは0.08、最も好ましくは0.1であり、また同様に上限は5が好ましく、さらに好ましくは4.5、特に好ましくは4、最も好ましくは3.5である。
【0034】
塗工紙用塗料は、公知の方法で、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ロッドコーター、スプレーコーター、カーテンフローコーター又はサイズプレス等により紙にコーティングされる。コーティング後、乾燥して必要に応じてスーパーカレンダーリング又はソフトニップカレンダーリング等のカレンダーリング仕上げが行われ、塗工紙が製造される。コーティング温度は通常10〜60℃、乾燥温度は通常70〜150℃、カレンダーリング仕上げの温度は通常30〜160℃である。
【0035】
インクジェット紙用塗料は、公知の方法で、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ロッドコーター、カーテンフローコーター又はサイズプレス等により紙にコーティングされる。コーティング後、乾燥して必要に応じてスーパーカレンダーリング又はソフトニップカレンダーリング等のカレンダーリング仕上げが行われ、インクジェット紙が製造される。コーティング温度は通常10〜50℃、乾燥温度は通常70〜150℃、カレンダーリング仕上げの温度は通常30〜150℃である。
【0036】
蛍光増白剤と共に用いられる本発明の蛍光増白増強剤を内添したパルプスラリーは、長網抄紙機又は丸網抄紙機を用いて公知の方法で抄紙(造)した後、乾燥され、紙が製造される。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は質量部を、%は質量%を意味する。
<実施例1>
加熱、攪拌、冷却、滴下、加圧及び減圧の可能な反応容器に精製グラニュー糖{蔗糖、台糖(株)製}の342部(1モル部)及びDMF{三菱ガス化学(株)製、水分含有量0.005%、以下同じ}1000部を投入した後、窒素ガスを導入して、ゲージ圧で0.4MPaになるまで加圧し、0.02MPaになるまで窒素ガスを排出する操作(加圧窒素置換)を3回繰り返した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてEO528部(12モル部)を7時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後120℃、13.3〜1.3MPaの減圧下にてDMFを留去し、次いで90℃にてイオン交換水20部を加えた後、キョーワード700{協和化学工業(株)製}100部を加え、同温度にて1時間攪拌した。次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙(株)製}を用いて濾過してキョーワード700を取り除き、さらに2.7〜0.1MPaの減圧下120℃にて1時間脱水して、蔗糖/EO12モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A1)とした。
【0038】
<実施例2>
実施例1と同様な反応容器に精製グラニュー糖の342部(1モル部)及びDMF1000部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてEO880部(20モル部)を5時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後120℃、13.3〜1.3MPaの減圧下にてDMFを留去させ、ベース−1(蔗糖/EO20モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−1の1222部(1モル部)及び水酸化カリウム(試薬特級、以下同じ)3.4部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧脱水(120℃、2.7〜0.1MPa、1時間)を実施した。次いで150℃まで昇温し、次いで同温度にてEO2200部(50モル部)を6時間かけて滴下した後、同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させ、ベース−2(蔗糖/EO70モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−2の3422部(1モル部)及び水酸化カリウム5.6部を投入した後、ベース2と同様にしてEO2200部(50モル部)を反応させ、ベース−3(蔗糖/EO120モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−3の5622部(1モル部)及び水酸化カリウム7.8部を投入した後、ベース2と同様にしてEO2200部(50モル部)を反応させ、ベース−4(蔗糖/EO170モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−4の7822部(1モル部)及び水酸化カリウム9.6部を投入した後、ベース2と同様にしてEO1760部(40モル部)を反応させた。その後、実施例1と同様にしてキョーワード処理及び脱水処理を実施し、蔗糖/EO210モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A2)とした。
【0039】
<実施例3>
実施例1と同様な反応容器にベース−2の3422部(1モル部)及び水酸化カリウム10.5部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧脱水(120℃、2.7〜0.1MPa、1時間)を実施した。次いで150℃まで昇温し、同温度にてEO1804部(41モル部)を5時間かけて滴下した後、同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後、実施例1と同様にしてキョーワード処理及び脱水処理を実施し、蔗糖/EO111モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A3)とした。
【0040】
<実施例4>
実施例1と同様な反応容器に精製グラニュー糖の342部(1モル部)及びDMF1000部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてEO396部(9モル部)を5時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後、実施例1と同様にしてDMF留去/キョーワード処理及び脱水処理を実施し、蔗糖/EO9モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A4)とした。
【0041】
<実施例5>
実施例1と同様な反応容器に精製グラニュー糖の342部(1モル部)及びDMF500部を投入した後、実施例1と同様の方法で窒素置換した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてEO264部(6モル部)を5時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後、実施例1と同様にしてDMF留去/キョーワード処理及び脱水処理を実施し、蔗糖/EO6モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A5)とした。
【0042】
<実施例6>
実施例1と同様な反応容器にA2の9582部(1モル部)及び水酸化カリウム19.4部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧脱水(120℃、2.7〜0.1MPa、1時間)を実施した。次いで150℃まで昇温し、次いで同温度にてEO132部(3モル部)を1時間かけて滴下した後、同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させ、
その後実施例1と同様にしてキョーワード処理及び脱水処理を実施し、蔗糖/EO213モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A6)とした。
【0043】
<実施例7>
実施例1と同様な反応容器にA2の9582部(1モル部)及び水酸化カリウム20.0部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧脱水(120℃、2.7〜0.1MPa、1時間)を実施した。次いで150℃まで昇温し、同温度にてEO396部(9モル部)を2時間かけて滴下した後、同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後、実施例1と同様にしてキョーワード処理及び脱水処理を実施し、蔗糖/EO219モルを得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A7)とした。
【0044】
<実施例8>
実施例1と同様な反応容器にベース−2の3422部(1モル部)及び水酸化カリウム(試薬特級、以下同じ)5.0部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧脱水(120℃、2.7〜0.1MPa、1時間)を実施した。次いで150℃まで昇温し、同温度にてEO1276部(29モル部)を4時間かけて滴下した後、同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。次いで、この温度にてPO348部(6モル部)を4時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後、実施例1と同様にしてキョーワード処理及び脱水処理を実施し、蔗糖/EO99モル/PO6モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A8)とした。
【0045】
<実施例9>
実施例1と同様な反応容器にトレハロース{試薬特級、和光純薬工業(株)製}の342部(1モル部)及びDMF500部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてEO88部(2モル部)を4時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後実施例1と同様にしてDMF留去/キョーワード処理及び脱水処理を実施し、トレハロース/EO2モルを得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A9)とした。
【0046】
<実施例10>
実施例1と同様な反応容器にメレチトース{試薬特級、東京化成工業(株)製}の504部(1モル部)及びDMF1000部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてEO880部(20モル部)を5時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後120℃、13.3〜1.3MPaの減圧下にてDMFを留去させ、ベース−5(メレチトース/EO20モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−5の1384部(1モル部)及び水酸化カリウム(試薬特級、以下同じ)3.4部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧脱水(120℃、2.7〜0.1MPa、1時間)を実施した。次いで150℃まで昇温し、次いで同温度にてEO2200部(50モル部)を6時間かけて滴下した後、同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させ、ベース−6(メレチトース/EO70モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−6の3584部(1モル部)及び水酸化カリウム5.8部を投入した後、ベース6と同様にしてEO2200部(50モル部)を反応させ、ベース−7(メレチトース/EO120モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−7の5784部(1モル部)及び水酸化カリウム8.0部を投入した後、ベース6と同様にしてEO2200部(50モル部)を反応させ、ベース−8(メレチトース/EO170モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−8の7984部(1モル部)及び水酸化カリウム10.1部を投入した後、ベース6と同様にしてEO2200部(50モル部)を反応させ、ベース−9(メレチトース/EO220モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−9の10184部(1モル部)及び水酸化カリウム12.4部を投入した後、ベース6と同様にしてEO2200部(50モル部)を反応させ、ベース−10(メレチトース/EO270モル付加物)を得た。
次いで実施例1と同様な反応容器にベース−10の12384部(1モル部)及び水酸化カリウム13.7部を投入した後、ベース6と同様にしてEO1320部(30モル部)を反応させ、その後、実施例1と同様にしてキョーワード処理及び脱水処理を実施し、メレチトース/EO300モル付加物を得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A10)とした。
【0047】
<実施例11>
実施例1と同様な反応容器にメレチトース{試薬特級、東京化成工業(株)製}の504部(1モル部)及びDMF850部を投入した後、実施例1と同様の方法で加圧窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてEO176部(4モル部)を5時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後実施例1と同様にしてDMF留去/キョーワード処理及び脱水処理を実施し、メレチトース/EO4モルを得た。この付加物をそのまま本発明の蛍光増白増強剤(A11)とした。
【0048】
<比較例1>
ポリビニルアルコール((株)クラレ製 PVA−105、平均分子量22000、ケン化度98〜99モル%)の10%水溶液を調整し、比較用の蛍光増白増強剤(B1)とした。
【0049】
<比較例2>
カルボキシメチルセルロース(NOVIANT製 FINFIX5(4%水溶液粘度、25℃、40mPa・s))の10%水溶液を調整し、比較用の蛍光増白増強剤(B2)とした。
【0050】
<比較例3>
ヒドロキシエチルセルロース(HERCULES INC.製 NATROSOL250LR(5%水溶液粘度、25℃、140mPa・s))の10%水溶液を調整し、比較用の蛍光増白増強剤(B3)とした。
【0051】
<比較例4>
ポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製 PEG−400、平均分子量400、水酸基価281)を比較用の蛍光増白増強剤(B4)とした。
【0052】
<比較例5>
ポリビニルピロリドン((株)日本触媒製K−90、K値=90)の10%水溶液を調整し、比較用の蛍光増白増強剤(B5)とした。
【0053】
実施例1〜11及び比較例1〜5の蛍光増白増強剤(A1〜A11、B1〜B5)を用いて、ピグメントコート紙用塗工塗料1〜2、クリアコート紙用塗工塗料及びインクジェット紙用塗料を調製し、上質紙に塗工してそれぞれピグメントコート紙1〜2、クリアコート紙及びインクジェット紙を製造した。
また、上記の蛍光増白増強剤とクラフトパルプ等を用いて、抄紙して坪量63g/mの内添紙を製造した。
ピグメントコート紙用塗工塗料1〜2、クリアコート紙用塗工塗料、インクジェット紙用塗料、ピグメントコート紙1〜2、クリアコート紙、インクジェット紙及び内添紙について、性能を以下の方法により評価し、これらの結果を表1〜表5に示した。
【0054】
(1)ピグメントコート紙用塗工塗料1:
2級クレー〔ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社製HTクレー〕50部、重質炭酸カルシウム〔FMT社製FMT−90〕50部、分散剤〔サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040〕0.2部、水酸化ナトリウム0.2部、SBRラテックス〔ジェイエスアール(株)製JSR0629〕10部、増粘剤〔サンノプコ(株)製、SNシックナー920〕0.4部、蛍光増白剤〔日本化薬(株)社製、KayaphorNV liquid〕2.0部及び蛍光増白増強剤0.5部なる配合でpH9、塗料濃度62質量%の紙塗工塗料を作成した。
【0055】
(2)ピグメントコート紙用塗工塗料2:
2級クレー〔ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社製HTクレー〕50部、重質炭酸カルシウム〔FMT社製FMT−90〕50部、分散剤〔サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040〕0.2部、水酸化ナトリウム0.2部、SBRラテックス〔ジェイエスアール(株)製JSR0629〕10部、酸化デンプン〔日本食品化工(株)社製、MS−3600〕5部、蛍光増白剤〔日本化薬(株)社製、KayaphorPAS liquid〕2.0部及び蛍光増白増強剤0.5部なる配合でpH9、塗料濃度62質量%の紙塗工塗料を作成した。
【0056】
(3)クリアコート紙用塗工塗料
蛍光増白剤〔日本化薬(株)社製、Kayaphor NV liquid〕0.9部及び蛍光増白増強剤0.5部を水で希釈し、紙塗工塗料を100部作成した。
【0057】
(4)インクジェット紙用塗料
合成シリカ〔トクヤマ(株)社製、ファインシールX−38〕100部、酢酸0.2部、湿潤剤〔サンノプコ(株)製、SNウェット366〕1.0部、ポリビニルアルコール〔クラレ(株)製、PVA−117〕40部、染料固着剤〔センカ(株)社製、パピオゲンP−105〕10部、蛍光増白剤〔日本化薬(株)社製、KayaphorPAS liquid〕1.0部及び蛍光増白増強剤1.0部なる配合でpH7、塗料濃度15質量%の紙塗工塗料を作成した。
【0058】
(5)ピグメントコート紙1〜2
ピグメントコート紙用塗工塗料1又は2を、各々市販上質紙(坪量68g/m、白色度73.5%)の片面に塗工量が約12g/mになるように塗工速度20m/minでブレード塗工し、次いで135℃、20秒間熱風乾燥を行うことで各々の塗工紙を得た。得られた塗工紙はスーパーカレンダー処理を行い各々のピグメントコート紙1又は2を得た。なお、塗工装置はMLC〔(株)オースギ製〕を使用した。また、スーパーカレンダー処理条件は温度40℃、線圧70Kg/cm、2回通紙で行った。
【0059】
(6)クリアコート紙
クリヤーコート紙用塗工塗料を市販上質紙(坪量68g/m、白色度73.5%)の片面に塗工速度20m/minでワイヤーバー塗工し、塗工紙を得た。得られた塗工紙をドラムドライヤーで乾燥することでクリアコート紙を得た。なお、塗工装置はMLC〔(株)オースギ製〕を使用した。また、乾燥条件は80℃、60秒間にて行った。
【0060】
(7)インクジェット紙
インクジェット紙用塗料を市販上質紙(坪量68g/m、白色度73.5%)の片面に塗工量が約12g/mになるように塗工速度20m/minでブレード塗工し、次いで135℃、20秒間熱風乾燥を行うことでインクジェット紙を得た。得られたインクジェット紙はスーパーカレンダー処理を行いインクジェット紙を得た。なお、塗工装置はMLC〔(株)オースギ製〕を使用した。スーパーカレンダー処理条件は温度40℃、線圧40Kg/cm、1回通紙で行った。
【0061】
(8)内添紙
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)30質量部、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)70部(乾燥質量部、以下同じ)の配合よりなるパルプをリファイナーで叩解し、カナディアンスタンダードフリーネス(JIS P8121−1995、4.カナダ標準ろ水度試験方法、対応国際規格ISO 5267/2−1980:Pulp−Determination of drainability−Part2:″Canadian Standard″freeness method)を400mlCSFとした。このパルプを1%のパルプスラリーとした。離解機中で、このパルプスラリーに、パルプ100部に対して軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)社製 TP121S)を10部、ジアミノスチルベン系蛍光増白剤(日本化薬(株)社製、KayaphorNV liquid)を0.5部、蛍光増白増強剤0.5部及び市販カチオンの歩留まり向上剤を0.03部添加した。そして手すき装置を用いて、JIS P8222−1998(パルプ−試験用手すき紙の調整方法、対応国際規格ISO5269−1:1979 Pulps−Preparation of laboratory sheets for physical testing−Part1:Conventional sheet−former method、に準拠して抄紙(造)し坪量63g/mの内添紙を製造した。
【0062】
<ピグメントコート紙用塗料物性>
(1)低剪断粘度(mPa・s):(株)東京計器製BM型粘度計(60rpm、25℃)を用いて測定した。なお、低剪断粘度は蛍光増白増強剤無添加の場合の測定値と比較して変わらない方が好ましい。
(2)高剪断粘度(mPa・s):(株)エスエムテー製ハイシア粘度計PM−9001HV(8800rpm、25℃)を用いて測定した。なお、高剪断粘度は蛍光増白増強剤無添加の場合の測定値と比較して変わらない方が好ましい。
【0063】
<インクジェット紙用塗料物性>
(1)低剪断粘度(mPa・s):(株)東京計器製BM型粘度計(60rpm、25℃)を用いて測定した。なお、低剪断粘度は蛍光増白増強剤無添加の場合の測定値と比較して変わらない方が好ましい。
【0064】
<蛍光増白度>
ピグメントコート紙1〜2、クリアコート紙、インクジェット紙及び内添紙を25℃、50RH%(相対湿度)の恒温恒湿室中に48時間放置した後、可視・紫外領域の光(パルスキセノンランプを使用)で白色度(W1)(波長:400〜700nmを測定)を測定し、さらに紫外線フィルターを通した光(可視領域の光)で白色度(W2)(波長:400〜700nmを測定)を測定した。次いで、白色度(W1)と白色度(W2)との差(W1−W2)を蛍光増白度とした。なお、白色度(%)は、日本電色工業株式会社製PF−10を用いて、JIS P8148−2001年、特性B、対応国際規格ISO 2470:1999Paper,boad,and pulps−Mesurement of diffuse blue refectance(ISO brightness)に準拠して塗工面について測定した。また、蛍光増白度(%)は、数値が大きいほど好ましい。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
表1〜5に記載のとおり、本発明の蛍光増白増強剤(A1)〜(A11)を用いたものは、比較用の蛍光増白増強剤(B1)〜(B5)を用いたものに比べ、著しく蛍光増白度及び白色度が高いことが分かる。また、本発明の蛍光増強増白剤は、塗工紙用塗料に用いても、塗料の粘度の変化がほとんどないことも明白である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の蛍光増白増強剤は、蛍光増白剤と共に用いられ、本発明の蛍光増白増強剤を配合しない場合に比べ、蛍光増白度及び白色度を著しく向上させることができる。よって、蛍光増白剤が用いられる分野であれば制限なく用いられる。各種分野の中でも、本発明の蛍光増白増強剤は、顔料及びラテックスを主体とする塗工紙用塗料(ピグメントコート紙に仕上げられる)、顔料を含有しない塗工紙用塗料(クリアコート紙に仕上げられる)及び顔料及びラテックスを主体とするインクジェット紙用塗料に使用される蛍光増白剤と共に好適に使用できる。また、本発明の蛍光増白増強剤は、抄紙(造)工程においてパルプスラリー等に使用される蛍光増白剤と共に好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光増白剤と共に用いられる蛍光増白増強剤において、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物を必須成分としてなることを特徴とする蛍光増白増強剤。
{H−(OA)n−}tQ (1)
ただし、一般式(1)において、Qは非還元性の二又は三糖類のt(2〜4の整数)個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Hは水素原子、t個のnは同じであっても異なってもよい1〜75の整数を表し、1分子中のOAの総数は、t=2のとき2〜150個、t=3〜4のとき3〜300個である。
【請求項2】
蛍光増白剤と共に用いられる蛍光増白増強剤であって、非還元性の二又は三糖類(a1)と炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)とを反応させて得られる構造を有するポリオキシアルキレン化合物(A)を必須成分としてなることを特徴とする蛍光増白増強剤。
【請求項3】
ポリオキシアルキレン化合物(A)が非還元性の二又は三糖類(a1)1モルに対して炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)を2〜300モル反応させて得られる構造である請求の範囲第2項に記載の蛍光増白増強剤。
【請求項4】
アルキレンオキシド(a2)がエチレンオキシドである請求の範囲第2項に記載の蛍光増白増強剤。
【請求項5】
非還元性の二又は三糖類が蔗糖である請求の範囲第1項に記載の蛍光増白増強剤。
【請求項6】
非還元性の二又は三糖類が蔗糖である請求の範囲第2項に記載の蛍光増白増強剤。
【請求項7】
請求の範囲第1項に記載の蛍光増白増強剤を含有してなる塗工紙用塗料。
【請求項8】
請求の範囲第1項に記載の蛍光増白増強剤を含有してなるインクジェット紙用塗料。
【請求項9】
請求の範囲第1項に記載の蛍光増白増強剤を含有してなるインク組成物。
【請求項10】
請求の範囲第7項に記載の塗工紙用塗料を塗工してなる塗工紙。
【請求項11】
請求の範囲第8項に記載のインクジェット紙用塗料を塗工してなるインクジェット紙。
【請求項12】
請求の範囲第1項に記載の蛍光増白増強剤を内添してなる紙。

【国際公開番号】WO2005/047399
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515480(P2005−515480)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016967
【国際出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】