説明

蜂蜜石鹸の製造方法

【課題】第1に、蜂蜜が十分に含有されており、美肌効果や美白効果に優れると共に、第2に、泡が小さくクリーミーであり、肌への刺激が少なく肌に優しく、第3に、洗浄力にも優れた、蜂蜜石鹸の製造方法を提案する。
【解決手段】この製造方法では、まず、油脂をアルカリ鹸化した主石鹸素地3と、パルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸をアルカリ鹸化した副石鹸素地5と、透明化添加剤8とを、加熱下で混合した後、蜂蜜6を高含有率で混入してから、常温まで冷却,固化せしめ、もって蜂蜜石鹸1を製造する。そして、この蜂蜜石鹸1は、副石鹸素地5の分だけ、パルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸の含有率が高められている。又、10重量%〜15重量%の含有率で、蜂蜜6が混入されており、その分だけ、透明化添加剤8について、必要糖分としてのスクロースの含有割合が低下せしめられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蜂蜜石鹸の製造方法に関する。すなわち、高含有率で蜂蜜が混入された蜂蜜石鹸の製造方法に、関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
蜂蜜は、一般には食用に供されているが、肌への浸透力,保湿力,抗菌力等にも優れており、各種ビタミン,ミネラル,アミノ酸等の栄養素も豊富に含まれている。
そこで最近、このような蜂蜜の美容特性が、注目を集めつつある。肌に潤いを与え、乾燥肌や肌荒れを防ぎ、毛穴の汚れを取り除き、ニキビ・湿疹・日焼け後等のスキンケアに好適で、肌の健康も増進する等々、蜂蜜の美肌効果や美白効果が脚光を集めている。
【0003】
《従来技術》
このような蜂蜜の美容特性に着目した化粧品や美容法としては、蜂蜜石鹸を始め,蜂蜜化粧水,蜂蜜水洗顔,蜂蜜パック、等々が知られている。そして、従来のこの種蜂蜜石鹸は、極く少量の蜂蜜を、石鹸に混入した構成よりなっていた。
すなわち、(固型)石鹸は、その製造工程において、石鹸としての一般成分以外に、他の成分を混入すると、固まりにくく軟質化してしまうことが知られている。そして、従来の蜂蜜石鹸も、1重量%程度の含有率での蜂蜜混入が限界とされており、それ以上の含有率での蜂蜜混入は、固化困難となり不可能とされていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さてそこで、従来の蜂蜜石鹸については、蜂蜜の含有率,含有量が少ない、という問題が指摘されていた。極く少量の蜂蜜しか含有されておらず、蜂蜜の美容特性そして美肌効果や美白効果が、十分発揮されないという難点があった。
なお、このような固型石鹸の分野ではなく、液体石鹸の分野では、蜂蜜を10%以上の含有率で含有したもの(液体蜂蜜石鹸)もあった。しかしながら液体石鹸は、一般に保存や使用等に不便であり用途が限定される、という大きな難点があった。
従って、蜂蜜が十分に含有された(固型)蜂蜜石鹸の登場が、切望されていた。
【0005】
《本発明について》
本発明の蜂蜜石鹸の製造方法は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、蜂蜜が十分に含有されており、美肌効果や美白効果に優れると共に、第2に、泡が小さくクリーミーであり、肌への刺激が少なく肌に優しく、第3に、洗浄力にも優れた、蜂蜜石鹸の製造方法を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1の蜂蜜石鹸の製造方法は、まず、油脂をアルカリ鹸化した主石鹸素地と、飽和脂肪酸群をアルカリ鹸化した副石鹸素地とを、加熱下で混合した後、蜂蜜を高含有率で混入してから、固化した蜂蜜石鹸を得る、各工程を有していること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。請求項2の蜂蜜石鹸の製造方法では、請求項1において、油脂としてパーム油を水酸化ナトリウムで鹸化した該主石鹸素地と、飽和脂肪酸群としてパルミチン酸,ミリスチン酸,およびステアリン酸を水酸化ナトリウムで鹸化した該副石鹸素地と、グリセリン,エタノール,およびスクロースの透明化添加剤とを、まず、60℃〜90℃程度、望ましくは80℃程度の加熱下で混合する。
それから次に、常温化過程の途中で該蜂蜜を混練してから、事後の常温下で固化した該蜂蜜石鹸を得ること、を特徴とする。
【0007】
請求項3については、次のとおり。請求項3の蜂蜜石鹸の製造方法では、請求項2において、製造された該蜂蜜石鹸は、該副石鹸素地の分だけ、ラウリン酸およびオレイン酸の含有率が低められると共に、パルミチン酸,ミリスチン酸,およびステアリン酸の含有率が高められている。かつ該蜂蜜石鹸は、10重量%から15重量%程度の含有率で該蜂蜜が混入されており、その分だけ、該透明化添加剤について、必要糖分としてのスクロースの含有率が低められていること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。請求項4の蜂蜜石鹸の製造方法では、請求項3において、製造された該蜂蜜石鹸は、高い含有率のパルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸、および高い含有率での蜂蜜の混入により、使用に際し泡が小さくクリーミー化される。これと共に、高い含有率での蜂蜜の混入により、使用に際し肌への浸透力,保湿力,抗菌力,およびビタミンやミネラル等の栄養素付与性を備えていること、を特徴とする。
【0008】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この製造方法では、まず、予め準備された主石鹸素地と副石鹸素地と透明化添加剤とが、加熱,混合される。
(2)それから次に、常温への冷却途中で、蜂蜜が高含有率で混練される。
(3)そして、常温まで冷却されることにより、固化した蜂蜜石鹸が製造される。
(4)なお必要に応じ、型入れ,型抜き,切り出し,顔料・染料・香料等の添加,乾燥等も、実施される。
(5)このようにして、主石鹸素地,副石鹸素地,透明化添加剤等と共に、例えば10重量%〜15重量%の蜂蜜を含有した、蜂蜜石鹸が製造される。
(6)そこで第1に、この蜂蜜石鹸は、蜂蜜が多量に含有されており、もって肌への浸透力,保湿力,抗菌力,ビタミンやミネラル等の付与性など、蜂蜜の美容特性が十分に発揮される。
(7)第2に、この蜂蜜石鹸は、副石鹸素地の付加により、ラウリン酸やオレイン酸の含有率が低められ、パルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸の含有率が高められている。しかも、蜂蜜が高い含有率で混入されている。
これらにより、使用に際し、泡が小さくきめ細かくなる。
(8)第3に、この蜂蜜石鹸は、発泡に必要十分な量のラウリン酸やオレイン酸を含有しており、発泡力に富み洗浄力に優れている。
【発明の効果】
【0009】
《第1の効果》
第1に、この蜂蜜石鹸は、蜂蜜が十分に含有されており、美肌効果や美白効果に優れている。すなわち、この製造方法で製造した蜂蜜石鹸は、10重量%〜15重量%程度と高含有率で蜂蜜が混入されている。
そこで、前述したこの種従来例の蜂蜜石鹸に比べ、肌への浸透力,保湿力,抗菌力等に優れるという蜂蜜の美容特性が、十分に発揮されるようになる。更に、蜂蜜に豊富に含まれている、各種ビタミン,ミネラル,アミノ酸等の栄養素が肌に栄養を与え、この面からも、蜂蜜の美容特性が十分に発揮される。
もって、肌に潤いを与え、乾燥肌や肌荒れを防ぎ、毛穴の汚れを取り除き、ニキビ・湿疹・日焼け後等の肌をスキンケアし、肌の健康も増進される等々、蜂蜜による美肌効果や美白効果が、確実に実現されるようになる。
【0010】
《第2の効果》
第2に、この蜂蜜石鹸は、泡が小さくクリーミーであり、肌への刺激が少なく肌に優しい。すなわち、この製造方法で製造した蜂蜜石鹸は、ラウリン酸およびオレイン酸の含有率が低く、パルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸の含有率が、高くなっている。しかも、高い含有率で蜂蜜が混入されている。
そこで、使用に際し泡が小さくクリーミー化される。この蜂蜜石鹸の泡は、1粒1粒が小さくきめ細かいと共に消えにくく、クリーム状をなし滑らかであり、もって弾ける際の刺激が少なく、極めて肌に優しい。これに対し、泡の1粒1粒が大きいと、肌の上で泡が弾けやすいと共に、弾けた際に肌にとって刺激となるが、このような刺激は確実に回避される。従って、使い心地の良い石鹸が得られる。
【0011】
《第3の効果》
第3に、この蜂蜜石鹸は、起泡力に富み泡立ちも良い等、洗浄力に優れている。すなわち、この製造方法で製造した蜂蜜石鹸は、石鹸としての基本性能である洗浄力にも、勿論優れている。使用に際しては、ラウリン酸やオレイン酸にて起泡力豊かであり、十分な泡立ちにより優れた肌洗浄力を発揮する。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
《図面について》
以下、本発明の蜂蜜石鹸の製造方法を、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
図1は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供し、ブロック説明図である。
【0013】
《本発明の概要について》
まず、本発明の概要について述べる。本発明の蜂蜜石鹸1の製造方法は、次の各工程を有していることを、特徴とする。
すなわちまず、例えばパーム油2よりなる油脂をアルカリ鹸化した主石鹸素地3と、飽和脂肪酸群4をアルカリ鹸化した副石鹸素地5とを、加熱下で混合した後、蜂蜜6を混入してから、固化した蜂蜜石鹸1を得る、各工程を有している。
そして、この製造方法の代表例については、次のとおり。すなわち、油脂としてパーム油2を水酸化ナトリウム7で鹸化した主石鹸素地3と、飽和脂肪酸群4としてパルミチン酸,ミリスチン酸,およびステアリン酸を水酸化ナトリウム7で鹸化した副石鹸素地5と、グリセリン,エタノール,およびスクロースの透明化添加剤8とを、まず、60℃〜90℃程度、望ましくは80℃程度の加熱下で混合する。
それから次に、常温化過程の途中で蜂蜜6を混練してから、事後の常温下で固化した蜂蜜石鹸1を得る、各工程を有している。
以下、この蜂蜜石鹸1の製造方法について、更に詳述する。
【0014】
《主石鹸素地3について》
まず、主石鹸素地3について説明する。主石鹸素地3としては、パーム油2(含むアブラヤシより搾油したパーム核油)に、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)7を加えて、例えば80℃で3時間程度煮沸,溶融,液化,攪拌,鹸化反応させた、純植物性ベースのものが代表的に使用される。
勿論、その他の動植物性油脂や硬化油も、パーム油2に代えてベースとして、使用可能である。水酸化ナトリウム7に代えて、水酸化カリウム,その他のアルカリも、使用可能である。
この主石鹸素地3の成分構成については、次のとおり。すなわち、パルミチン酸CH(CH14COOHと、ミリスチン酸CH(CH12COOHと、ステアリン酸CH(CH16COOHと、ラウリン酸CH(CH10COOH等の飽和脂肪酸や、オレイン酸C1834等の不飽和脂肪酸を、ベースとしたナトリウム塩やカリウム塩を、主成分とする。
又、このような高級脂肪酸を主成分とするが、勿論その他各種の成分も含有している。なお、製造される蜂蜜石鹸1中において、この主石鹸素地3は、20重量%〜40重量%程度の配合率,含有率となっている。
主石鹸素地3は、このようになっている。
【0015】
《副石鹸素地5について》
次に、副石鹸素地5について説明する。副石鹸素地5は、パルミチン酸とミリスチン酸とステアリン酸よりなる飽和脂肪酸群4を、水酸化ナトリウム7で鹸化させたものが、代表的に使用される(なお、鹸化反応等については、主石鹸素地3について前述したところを参照)。
そして、この副石鹸素地5のパルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸等の成分は、石鹸としての使用に際し、起泡力を備えると共にその泡が小さく気泡が細いことが、知られている。
因に、これに対し前述したラウリン酸およびオレイン酸は、石鹸としての使用に際し、その泡つまり気泡がより大き目となるものの、泡つまり気泡の起泡力に富むことが、知られている。つまり、ラウリン酸やオレイン酸は、石鹸としての泡立て力に関しては、パルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸に比し、極めて優れている。
そして、パルミチン酸,ミリスチン酸,およびステアリン酸の各成分をベースとした副石鹸素地5は、例えば、前述した主石鹸素地3と同程度の比率で使用される。つまり、製造された蜂蜜石鹸1中において、副石鹸素地5は、例えば20重量%〜40重量%程度の配合率,含有率となるように使用される。
各成分別では、例えば、パルミチン酸が10重量%〜15重量%、ミリスチン酸が10重量%〜15重量%、ステアリン酸が8重量%〜15重量%程度の配分率,含有率で、使用される(なお、この各成分の含有率には、前述した主石鹸素地3中に含有されているこれらの成分は、含まない)。
副石鹸素地5は、このようになっている。
【0016】
《透明化添加剤8について》
次に、透明化添加剤8について説明する。石鹸については、一般的に透明化添加剤8が使用されることが多い。
すなわち透明化添加剤8は、前述した石鹸成分の結晶化を部分的に阻止し、もって製造された石鹸が、例えば結晶化部分(不透明部分,模様部分)と、結晶化阻害部分(透明部分又は半透明部分、つまり光の透過性を十分又は若干備えた部分)と、からなるように、つまり模様を付与するために使用される。更には、石鹸を全体的に透明化したり半透明化するために使用される。
そして、本発明の蜂蜜石鹸1でも、このような透明化促進用の透明化添加剤8が使用されている。透明化添加剤8の成分としては、製造された蜂蜜石鹸1において、グリセリンC(OH)が10重量%〜15重量%、エタノールCOHが5重量%〜10重量%、スクロース(ショ糖,白糖)C122211が3重量%〜7重量%の含有率で、各々使用される。
この透明化添加剤8の構成成分は、広く知られているが、本発明にあっては、スクロースの含有率が公知例とは大きく異なっている。すなわち公知例において、スクロースの含有率は12重量%〜15重量%程度と多目であるのに対し、本発明では、上述したように3重量%〜7重量%と、大幅に減少せしめられ少なくなっている。
本発明では、スクロースと同じ糖類の蜂蜜6が、この大幅減少スクロースの代替成分として、10重量%〜15重量%程度使用されており、もって蜂蜜6が、透明化添加剤8成分としても機能しているこことが、大きな特徴となっている。なお、上記公知例と同様にスクロース含有率12重量%〜15重量%と多目のまま、蜂蜜6を例えば10重量%〜15重量%程度上乗せ混入すると、石鹸としての固化が困難化し軟質化してしまう。
そこで、この蜂蜜石鹸1において、蜂蜜6の適切な含有率は、スクロースの上記公知例の含有率からの減少分に、ほぼ見合ったものとなる。つまり蜂蜜6は、蜂蜜石鹸1中、10重量%〜15重量%程度の含有率となるが、これにより本発明では、蜂蜜6の多量使用への道を開いたことになる。
透明化添加剤8は、このようになっている。
【0017】
《蜂蜜6について》
次に、蜂蜜6について説明しておく。蜂蜜6は、周知のごとく、果糖,葡萄糖,麦芽糖,ショ糖等の糖類を主成分とするが、更に、各種ビタミン,ミネラル,アミノ酸等の栄養素が、豊富に含有されている。
ビタミンとしては、ビタミンC,ビタミンB群,ナイアシン等の水溶性ビタミンが代表的であり、ミネラルとしては、カリウム,ナトリウム,カルシウム,マグネシウム等が代表的である。そして蜂蜜6は、肌への浸透力,保湿力,抗菌力等に優れるという特性を備えており、更に、毛穴の汚れを取り除く機能や、その小さな分子構造に基づき泡を小さく細かくする機能も備えている。
蜂蜜6は各種の種類があり、本発明では各種の蜂蜜6を使用可能であるが、図示例では、食用の純粋100%の脱タン(蛋白質を抜いた)処理分が使用される。
そして本発明では、製造される蜂蜜石鹸1において、10重量%〜15重量%程度の含有率で、蜂蜜6が混入されている。つまり、この蜂蜜石鹸1は、蜂蜜6を多量に含有している。
蜂蜜6については、以上のとおり。
【0018】
《蜂蜜石鹸1について》
本発明の製造方法では、このような主石鹸素地3,副石鹸素地5,透明化添加剤8,蜂蜜6等を使用して、混合工程9,混入工程10,固化工程11等を辿ることにより、蜂蜜石鹸1が製造される。
そして、製造された蜂蜜石鹸1は、副石鹸素地5の分だけ、ラウリン酸およびオレイン酸の含有率が低められると共に、パルミチン酸,ミリスチン酸,およびステアリン酸の含有率が高められている。又、この蜂蜜石鹸1は、10重量%〜15重量%程度の含有率で蜂蜜6が混入されており、その分だけ透明化添加剤8について、必要糖分としてのスクロースの含有率が低められている。
従って、製造された蜂蜜石鹸1は、高い含有率のパルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸、および高い含有率での蜂蜜6の混入により、使用に際し泡がクリーミー化される。これと共に、高い含有率での蜂蜜6の混入により、使用に際し肌への浸透力,保湿力,抗菌力,およびビタミンやミネラル等の栄養素付与性を備えている。
本発明では、このような蜂蜜石鹸1が製造される。
【0019】
《作用等》
本発明の蜂蜜石鹸1の製造方法は、以上説明したようになっている。そこで、以下のようになる。
(1)この製造方法では、まず混合工程9において、予めそれぞれ準備された主石鹸素地3,副石鹸素地5,透明化添加剤8等が、液状混合される。この混合は、60℃〜90℃程度、例えば反応釜を使用し80℃程度の加熱下で、30分程、攪拌,混練により実施される。
【0020】
(2)次に、この製造方法では、混入工程10において、蜂蜜6が混練される。すなわち、上記混合工程9の後、加熱停止後30分〜1時間程度経過してから、50℃程度の温度下で、更に液状の蜂蜜6が混入される。
【0021】
(3)しかる後、この製造方法は、固化工程11を経由することにより、蜂蜜石鹸1が製造される。すなわち、上記混入工程10の後、そのまま常温下に置くことにより冷却,固化が進行し、もって蜂蜜石鹸1が得られる。
【0022】
(4)勿論、上記各工程と前後して又は同時併行的に、型枠に注入する型入れ工程、型抜き工程、切り出し工程、顔料や染料の添加工程、香料添加工程、乾燥工程等々が、必要に応じ実施される。
【0023】
(5)さて、本発明の製造方法では、このようにして、蜂蜜石鹸1が製造される。製造された蜂蜜石鹸1の代表成分の配合率,含有率は、例えば次のとおり。
・主石鹸素地3(含む、ベース成分としてのパルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸,ラウリン酸,オレイン酸):20〜40重量%
・副石鹸素地5のベース成分としてのパルミチン酸:10〜15重量%
・同ミリスチン酸:10〜15重量%
・同ステアリン酸スクロース:8〜15重量%
・ 蜂 蜜 :10〜15重量%
・透明化添加剤8としてのグリセリン:10〜15重量%
・同エタノール:5〜10重量%
・同スクロース:3〜7重量%
・水酸化ナトリウム:3〜7重量%
・ 水 :10〜15重量%
【0024】
(6)さて、この製造方法により製造された蜂蜜石鹸1は、次の第1,第2,第3の作用を発揮する。
第1に、この蜂蜜石鹸1は、蜂蜜6が、10重量%〜15重量%と高含有率で、多量に混入されている。すなわち本発明は、透明化添加剤8のスクロースの含有率を減少させ、その代替成分として、蜂蜜6を多量に混入させたことを、大きな特徴とする。
そこで、この蜂蜜石鹸1は、使用に際し、肌への浸透力、肌への保湿力、肌への抗菌力付与、肌へのビタミンやミネラル等の栄養素の付与等、蜂蜜6の持つ美容特性を十分に発揮することができる。
【0025】
(7)第2に、この製造方法により製造された蜂蜜石鹸1は、構成成分である脂肪酸について、その構成割合(含有率)が、次のようにコントロールされている。つまり、この種従来例・公知例では、主石鹸素地3のみをベースとして石鹸を製造していたのに対し、本発明では、副石鹸素地5を付加して、脂肪酸の構成割合をコントロールしたことを、大きな特徴とする。
すなわち、この蜂蜜石鹸1は、トータル的に判断して、これまで過剰であったラウリン酸およびオレイン酸の含有率が、この種従来例・公知例より低められているのに対し、パルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸の含有率が、この種従来例・公知例に比し高められている。
そこで、この蜂蜜石鹸1は、蜂蜜6が高い含有率で混入されていることも相俟って、使用に際して、泡つまり気泡が一段と小さく、もってきめ細かな使い心地となる。
【0026】
(8)第3に、この製造方法により製造された蜂蜜石鹸1は、使用時の発泡に必要な量のラウリン酸やオレイン酸が、十分に含有されており、石鹸としての基本性能である洗浄力にも優れている。
起泡力は、主石鹸素地3中のラウリン酸やオレイン酸にて十分に確保されており、前術したこの種従来例・公知例のラウリン酸やオレイン酸の含有率は、適切な発泡にとって、むしろ過剰であったとも言える。
蜂蜜石鹸1の水溶液は、表面張力を低下せしめられて泡を安定生成し、もって油脂を確実に乳化し、泥等の粒子を確実に懸濁する。
本発明の作用等は、このようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る蜂蜜石鹸の製造方法について、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、ブロック説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 蜂蜜石鹸
2 パーム油
3 主石鹸素地
4 飽和脂肪酸群
5 副石鹸素地
6 蜂蜜
7 水酸化ナトリウム
8 透明化添加剤
9 混合工程
10 混入工程
11 固化工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
まず、油脂をアルカリ鹸化した主石鹸素地と、飽和脂肪酸群をアルカリ鹸化した副石鹸素地とを、加熱下で混合した後、蜂蜜を高含有率で混入してから、固化した蜂蜜石鹸を得る、各工程を有していることを特徴とする、蜂蜜石鹸の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載した蜂蜜石鹸の製造方法において、油脂としてパーム油を、水酸化ナトリウムで鹸化した該主石鹸素地と、
飽和脂肪酸群としてパルミチン酸,ミリスチン酸,およびステアリン酸を、水酸化ナトリウムで鹸化した該副石鹸素地と、
グリセリン,エタノール,およびスクロースの透明化添加剤とを、まず、60℃〜90℃程度、望ましくは80℃程度の加熱下で混合した後、
次に、常温化過程の途中で該蜂蜜を混練してから、事後の常温下で固化した該蜂蜜石鹸を得ること、を特徴とする、蜂蜜石鹸の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載した蜂蜜石鹸の製造方法において、製造された該蜂蜜石鹸は、該副石鹸素地の分だけ、ラウリン酸およびオレイン酸の含有率が低められると共に、パルミチン酸,ミリスチン酸,およびステアリン酸の含有率が高められており、
かつ該蜂蜜石鹸は、10重量%から15重量%程度の含有率で該蜂蜜が混入されており、その分だけ、該透明化添加剤について、必要糖分としてのスクロースの含有率が低められていること、を特徴とする、蜂蜜石鹸の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載した蜂蜜石鹸の製造方法において、製造された該蜂蜜石鹸は、高い含有率のパルミチン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸、および高い含有率での蜂蜜の混入により、使用に際し泡が小さくクリーミー化されると共に、
高い含有率での蜂蜜の混入により、使用に際し肌への浸透力,保湿力,抗菌力,およびビタミンやミネラル等の栄養素付与性を備えていること、を特徴とする、蜂蜜石鹸の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−275200(P2009−275200A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130637(P2008−130637)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(504391525)有限会社B.bee (1)
【Fターム(参考)】