説明

行動管理装置

【課題】金融機関の店舗内などに居る人物の行動を少ないデータ量で記録すると共に、特定の人物に関する行動を容易に検索することができる行動管理装置を提供する。
【解決手段】所定エリア内の映像を撮像するビデオカメラ20と、ビデオカメラ20によって撮像された映像から人物を特定する人物特定部31と、人物特定部31によって特定された人物の認証を行う認証部32と、認証部32によって認証が行われた人物による所定の行動を検出する行動検出部33と、行動検出部33によって特定された行動を文字データに変換する文字データ変換部34と、文字データ変換部34によって変換された文字データを認証部32により認証された人物の識別情報と関連付けて記憶する記憶35とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金融機関の店舗などにおいて人物の行動を管理記録する行動管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金融機関などの店舗において、デジタルビデオレコーダなどの複数の撮影機器を店舗内に設けて顧客等の人物の行動を映像として記録する行動管理装置が知られている。
また、この種の行動管理装置として、映像に基づいて複数の通行人の位置座標を求め、この位置座標に基づいて通行人毎の通行軌跡を記録表示させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−346617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述の行動管理装置においては、前者の場合は、特定の顧客の行動を検索する際に、長時間記録された映像の中から所望の映像を探さなければならず、検索に非常に時間がかかり、また、デジタルビデオレコーダなどにより撮像された映像を長期間保存しようとすると、データ量が膨大となるため、映像を長期間保存することが困難であるという課題がある。
一方、後者の場合には、顧客の一人一人を特定することができず、また、全ての通行軌跡の中から所定の行動を推定して抽出する必要があるため、顧客を特定してその行動を検出すること自体が困難であるという課題がある。
【0004】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、金融機関の店舗内などにおいて人物の行動を少ないデータ量で記録すると共に、特定の人物に関する行動を容易に検索することができる行動管理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、所定エリア内の人物の行動を管理する行動管理装置において、前記所定エリア内の映像を撮像する撮像手段(例えば、実施の形態におけるビデオカメラ20)と、前記撮像手段によって撮像された映像から人物を特定する人物特定手段(例えば、実施の形態における人物特定部31)と、前記人物特定手段によって特定された人物の認証を行う認証手段(例えば、実施の形態における認証部32)と、前記認証手段によって認証が行われた人物による所定の行動を検出する行動検出手段(例えば、実施の形態における行動検出部33)と、前記行動検出手段によって特定された所定の行動を文字データに変換する文字データ変換手段(例えば、実施の形態における文字データ変換部34)と、前記文字データ変換手段によって変換された文字データを前記認証手段により認証された人物の識別情報と関連付けて記憶する記憶手段(例えば、実施の形態における記憶部35)とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記人物特定手段によって特定された人物が、前記認証手段により認証できない場合に、この認証できない人物を新たに特定するための識別情報を付与する識別情報付与手段(例えば、実施の形態における識別情報付与部36)を備え、前記記憶手段は、前記識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報と、文字データとを関連付けて記憶することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載の発明において、前記記憶手段は、前記識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報と、前記識別情報を付与された人物の映像とを関連付けて記憶することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載した発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記認証手段は、前記識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報を含めて、前記人物特定手段により特定された人物の認証を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の発明において、前記撮像手段によって撮像された映像から、前記行動検出手段が所定の行動を検出する際の映像を静止画像として抽出する抽出手段(例えば、実施の形態における静止画抽出部38)を備え、前記記憶手段は、前記抽出手段によって抽出された静止画像を前記文字データに関連付けて記憶することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載した発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の発明において、前記記憶手段は、前記所定エリア内のレイアウトに関するレイアウト情報を記憶し、前記行動検出手段は、前記記憶手段に記憶されたレイアウト情報と、前記撮像手段によって撮像された映像とに基づいて、前記認証手段により認証された人物の行動を検出することを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載した発明は、請求項6に記載の発明において、前記認証手段は、前記人物特定手段により特定された人物が店員であるか顧客であるかを少なくとも判別し、前記行動検出手段は、前記認証手段により店員であると判別された人物と、前記認証手段により顧客であると判別された人物との位置関係と、前記記憶手段に記憶されたレイアウト情報とに基づいて、少なくとも前記認証手段により顧客であると判別された人物の行動を検出することを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載した発明は、請求項6又は7に記載の発明において、前記撮像手段によって撮像された映像から、所定の物品を特定する物品検出手段(例えば、実施の形態における物品検出部37)をさらに備え、前記行動検出手段は、前記物品検出手段によって特定された物品の種類に基づいて前記認証手段により認証された人物の行動を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載した発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の発明において、前記記憶手段は、前記認証手段で認証された人物の映像を、当該人物の識別情報と関連付けて記憶することを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載した発明は、請求項1乃至9の何れか一項に記載の発明において、所定のキーワードの入力を受付けるキーワード入力手段(例えば、実施の形態におけるキーワード入力部41)と、前記記憶手段に記憶された識別情報と該識別情報に関連付けられて記憶されている関連情報との中から前記キーワード入力手段により入力されたキーワードに一致する識別情報又は関連する語句を含む識別情報を検索する検索手段(例えば、実施の形態における検索部39)とを備え、前記検索手段によって検索された識別情報と前記関連情報との中から必要な情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載した発明によれば、撮像手段によって撮像された映像から人物特定手段により人物を特定してこの特定された人物の認証を認証手段により行い、さらに、この認証手段により特定された人物の所定の行動を行動検出手段により検出し、この行動検出手段で検出された所定の行動を文字データ変換手段により文字データに変換することで、特定された人物の識別情報に所定の行動の文字データを関連付けて記憶手段に記憶させることができる。したがって、撮像した映像を全て記憶させる従来よりも文字データとして所定の行動を記憶させる分だけ遙かにデータ量を低減することができるとともに、例えば、識別情報に基づいて、特定の人物の所定の行動を容易に検索することができる効果がある。
【0016】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1に効果に加え、人物特定手段により特定された人物が、認証手段により認証できない場合、すなわち、初めての来店などにより、特定された人物の認証に必要な情報を記憶手段に全く有していなかった場合に、識別情報付与手段によって、認証できない人物を新たに特定するための識別情報を付与して、この識別情報に対して文字データ変換手段により変換された文字データを関連付けて記憶させることができるため、認証できない人物の所定の行動を記憶手段に記憶させることができる。
【0017】
請求項3に記載した発明によれば、請求項2の効果に加え、識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報とその人物の映像とを関連付けて記憶手段に記憶させることができるため、後々、認証できない人物を映像に基づいて特定することができる。
【0018】
請求項4に記載した発明によれば、請求項2又は3の効果に加え、識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報を含めて、人物特定手段で特定された人物の認証を認証手段により行うことができる。すなわち、認証手段は、個人名などを認証できる顧客のみならず、個人名などを認証できない人物に対しても、二度目、三度目・・・の来店確認などの行動管理を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載した発明によれば、請求項1乃至4の何れか一項の効果に加え、撮像手段により撮像された映像である動画から静止画像を抽出して文字データに関連付けて記憶させることができるため、動画をそのまま記憶手段に記憶させる場合と比較して静止画像として記憶させる分だけデータ量を削減できる。また、文字データとして記録した行動の証拠画像として、動画記録に比して、少ないデータで記録できる。
【0020】
請求項6に記載した発明によれば、請求項1乃至5の何れか一項の効果に加え、記憶手段に記憶されている所定のエリア内のレイアウトに関するレイアウト情報、例えば、窓口カウンターや受付発券機が配置されている位置等の情報と、撮像手段によって撮像された映像、例えば認証手段により認証された人物が受付発券機の場所に居る等の映像に基づいて、行動検出手段により人物の行動を検出することができる。
【0021】
請求項7に記載した発明によれば、請求項6の効果に加え、人物特定手段で特定された人物が店員であるか顧客であるかを認証手段により判別することで、店員と顧客との位置関係を検出でき、例えば、顧客が預金窓口の店員の近傍に移動した場合、顧客が預金を行うことが推定できることから、行動検出手段により、店員と顧客との位置関係および所定のエリア内のレイアウト情報とに基づいて所定の行動を検出することができる。
【0022】
請求項8に記載した発明によれば、請求項6又は7の効果に加え、物品検出手段により、撮像された映像から所定の物品を特定することで、例えば、預金窓口で預金通帳や印鑑が特定された場合には預金を行っていると推定できるため、行動検出手段により、物品の種類に応じた所定の行動を検出することができる。
【0023】
請求項9に記載した発明によれば、請求項1乃至8の何れか一項の効果に加え、前記認証手段により認証された人物の映像を、当該人物に関する情報と関連付けて記憶することで、例えば、認証された人物の映像を検索する際に、当該人物の識別情報に基づいて当該人物の映像を即座に特定することができる。
【0024】
請求項10に記載した発明によれば、請求項1乃至9の何れか一項の効果に加え、キーワード入力手段が入力を受付けたキーワードと一致する識別情報、又は、キーワードと関連する語句を含む識別情報を検索手段により検索することができるため、キーワードに基づいて識別情報に関連付けられた関連情報を検索し、例えば記憶手段から呼び出すことができるため、所望の顧客の関連情報を容易に呼び出すことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、この発明の実施の形態の行動管理装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、この実施の形態における行動管理装置10の概略構成を示したものである。行動管理装置10は、金融機関などの店舗に設置されて、人物の行動を監視および記録するため装置であり、複数のビデオカメラ20と、制御装置30、キーワード入力部41、表示部40とを備えて構成されている。
【0026】
複数のビデオカメラ20は、金融機関の店舗内の各箇所にいる人物を撮像するためのものであり、これら複数のビデオカメラ20で撮像された各映像は、撮像したビデオカメラ20の識別子と共に制御装置30に送信される。図2は店舗におけるレイアウト及びカメラ配置の一例を示したものであり、ビデオカメラ20は、正面口50、ATMコーナ51、各ATM52、店内ロビー53、窓口カウンター54、コピー機55、貸金庫56、および、受付発券機57などの映像を撮像可能な箇所にそれぞれ配置されている。なお、各ビデオカメラ20は、識別子によりその配置が判別できるようになっている
【0027】
制御装置30は、店舗の窓口カウンター54内に配置されたサーバなどのコンピュータにより構成されており、図1に示すように、人物特定部31、認証部32、行動検出部33、文字データ変換部34、記憶部35、識別情報付与部36、物品検出部37、静止画抽出部38、および、検索部39を備えて構成されている。また制御装置30には、液晶等の表示部40と、キーボードやマウスなどからなるキーワード入力部41とが接続されている。
【0028】
人物特定部31は、各ビデオカメラ20で撮像された映像に基づいて、それぞれの映像に映っている画面の中から人物を特定する、すなわち、人間の画像を切り出すものである。映像に基づいた人物の特定方法、あるいは画像の切り出し方法としては、例えば、各ビデオカメラ20で撮像された映像の中から人物の顔を検出し、この検出した人物の顔の特徴を抽出して人物特定を行う等の種々の方法を用いることができる。言い換えるならば、人物特定部31は、各ビデオカメラ20で映し出される画像の中から、人間である画像を切り出し、さらには、後述する認証部32で認証しやすいように、例えば、顔の正面画像を切り出すようにするものである。
【0029】
認証部32は、人物特定部31により特定された人物の認証を行うものであり、例えば、人物特定部31により抽出された人物の顔の特徴の情報を、予め記憶部35などに記憶された人物リストの中から検索し、該当する顔の特徴を有した人物をその人物として認証する。すなわち、誰であるかを認証する。さらに、認証部32は、認証された人物が店舗の店員か顧客かを記憶部35に予め記憶された情報に基づいて判別する。ここで、認証された人物は、その人物を識別するための識別情報を有しており、この識別情報に人物が店員又は顧客であることを示す情報が関連付けられて予め記憶部35に記憶されている。
【0030】
行動検出部33は、人物特定部31で特定された人物の所定の行動を検出するものであり、記憶部35に予め記憶されている店舗内部のレイアウト情報(図2参照)、および、ビデオカメラ20により撮像された映像に基づいて人物特定部31で特定された人物の所定の行動を検出するものである。また、行動検出部33は、認証部32で店舗の店員であると判別された人物と、認証部32で顧客であると認証された人物との位置関係と、店舗内部のレイアウト情報とに基づいて人物が行っている所定の行動を検出するように構成されている。
【0031】
文字データ変換部34は、行動検出部33によって検出された所定の行動を文字データに変換するものであり、この変換された所定の行動の文字データを記憶部35に送信する。
【0032】
記憶部35は、文字データ変換部34で変換された所定の行動の文字データを、認証された人物の識別情報に関連付けて記憶する。また、記憶部35は、文字データ変換部34で変換された所定の行動の文字データを、識別情報付与部36で付与される識別情報(以下、単に仮の識別情報と称す)に関連付けて記憶する。さらに、記憶部35は、識別情報および仮の識別情報に対して、後述の静止画抽出部38で抽出した画像を関連付けて記憶する。
【0033】
識別情報付与部36は、上述した認証部32により認識できなかった人物、すなわち、口座を開設していない顧客などに対して、仮の識別情報を付与するものである。ここで、仮の識別情報としては、例えば、「Unknown1」、「Unknown2」・・・「UnknownN」等のような識別情報が付与される。
【0034】
物品検出部37は、ビデオカメラ20でそれぞれ撮像された映像に基づいて、所定の物品を検出するものである。所定の物品としては、例えば、「通帳」や「印鑑」等がある。
静止画抽出部38は、行動検出部33が所定の行動を検出する際に、人物特定部31で特定された人物の静止画像を、当該人物を撮像した映像から抽出するものである。
【0035】
検索部39は、キーワード入力部41を介して入力された所定のキーワードと一致する情報および、キーワードと関連する語句を少なくとも含む情報を記憶部35に記憶されている情報から検索し、この検索された情報の中から必要な情報を表示部40に出力するものである。
【0036】
この実施の形態に係る行動管理装置10は上記構成を備えており、次に、この行動管理装置10の動作を説明する。なお、この行動管理装置10の動作は、行動管理装置10が金融機関の店舗に設置されている場合を一例に説明する。
まず、行動管理装置10の電源を立ち上げると、ビデオカメラ20による撮像が開始され、撮像された映像が順次人物特定部31に送信される。
制御装置30は、映像の中に人物が含まれるか否かを人物特定部31で判定する。この判定の結果、映像に人物が含まれる場合は、その人物を特定して認証部32にその情報を送信し、人物が含まれない場合は、そのまま映像の監視を継続する。
【0037】
人物が特定されると、特定された人物の認証を認証部32により行う。具体的には、記憶部35に予め記憶されている人物の情報に、人物特定部31で特定された人物の情報と一致する情報があるか否かを認証部32により判定する。この判定の結果、人物特定部31で特定された人物の情報と一致する人物の情報が記憶部35に含まれている場合は、記憶部35の人物の情報に関連付けられている識別情報を特定して、この識別情報を行動検出部33および記憶部35に送信する。また、この認証部32において、記憶部35の識別情報に関連付けられた店員又は顧客を示す情報に基づいて認証された人物が顧客か店員かの判別を行う。なお、認証部32の認証に際しては、それまでの認証処理において仮の識別情報が与えられている過去において認証できなかった人物との認証も行うものであり、例えば、過去に記憶部35に記憶された仮の識別情報「Unknown325」を有する人物の顔の特徴情報と一致すると認証部32が判定すると、この仮の識別情報「Unknown325」を行動検出部33および記憶部35に送信する。
【0038】
一方、人物特定部31で特定された人物の情報と一致する人物の情報が記憶部35に記憶されていないと認証部32が判定した場合は、識別情報付与部36において、認証できなかった顧客に対して認証部32で認証できなかった顧客用の仮の識別情報を新たに付与する。そして、この認証できなかった顧客用の仮の識別情報を行動検出部33及び記憶部35に送信する。記憶部35においては、識別情報付与部36から仮の識別情報を受信すると、この仮の識別情報を新たな登録情報として記憶する。
【0039】
また、人物特定部31と認証部32とによる処理と並行して、物品検出部37においては、予め登録されている所定の物品を映像中から検出し、この検出された物品の情報を行動検出部33に送信する。さらに、静止画抽出部38においては、行動検出部33が所定の行動を検出する際の人物を含む静止画像を、当該人物を撮像した映像(動画)から抽出する。
【0040】
次に、認証部32から受信した識別情報又は識別情報付与部36から受信した仮の識別情報に対応付けられた顧客の映像、記憶部35に記憶されているレイアウト、および、映像を撮像したカメラの配置に基づいて、行動検出部33により、顧客の所定の行動を検出する。例えば、顧客が正面口50から入店した場合には、「正面口から来店」を検出し、顧客がATMコーナ51に配置されているビデオカメラ20により撮像された場合には、直接的な行動として、「N号機のATMを操作」などを検出する。あるいは、類推できる所定の行動として、「入金」、「出金」、「振込み」、「通帳記帳」、および、「両替」などを検出する。また、受付発券機(図示略)の近傍を撮像するカメラの映像から顧客が検出された場合には、所定の行動として「受付」を検出する。
【0041】
さらに、行動検出部33においては、撮像した映像から顧客と店員との位置関係を検出して、この位置関係に基づいて、所定の行動を検出する。例えば、顧客が、所定の業務を行う窓口の担当である店員の近くに移動したことが検出されると、直接的な行動として、「N番の窓口で取引」などを検出する。あるいは、その店員の担当する業務内容が口座開設や解約などである場合には、類推できる所定の行動として「口座開設」や「解約」等を検出する。
【0042】
さらに、行動検出部33においては、物品検出部37により検出された物品の種類に基づいて顧客の所定の行動を検出する。例えば、顧客が、ATMコーナ51でカードや通帳を取り出したことが検出された場合には、直接的な行動として、「カードを財布類から取り出す」、「カードをATMに挿入」、「通帳をバッグ類から取り出す」などを検出する。また、類推できる所定の行動として「入金」、「出金」および「通帳記帳」などを検出する。そして、顧客が所定の業務を行う窓口にいることが検出され、さらに印鑑が検出された場合には、直接的な行動として、「印鑑をバッグ類から取り出す」などを検出する。あるいは、所定の業務の中から印鑑を使用する業務すなわち印鑑を使用する行動に限定されるため、この限定された行動を顧客の所定の行動として検出する。
【0043】
次に、文字データ変換部34により行動検出部33により検出された所定の行動を文字データに変換し、記憶部35において、文字データに変換した所定の行動と、静止画抽出部38で抽出された静止画像とをそれぞれ関連情報として識別情報に関連付けて記憶させる。
【0044】
ここで、上述した記憶部35の記憶情報の一例を以下の表に示す。なお、表中の画像における「jpg」とは、ファイル拡張子の一例を示している。なお、この表においては、都合上、人物を特定するための顔の特徴等のデータを省略して示している。また、日時情報についても、一つ一つの記憶情報に関連付けて記憶されるが、この表においては省略している。さらには、この表においては、一の識別情報または一の仮の識別情報に対して、一の行動に関わる記憶情報しか示していないが、これに限るものではなく、一人の人物に対して、来店から退店までの間、記録すべき行動が行動検出部33によって検出、確認された分だけ、記録されるものである。
【0045】
【表1】

【0046】
一方、店舗の責任者などによりキーワード入力部41を介して記憶部35内の関連情報を検索するためのキーワード(例えば、「01」や「入金」など、あるいは顧客名など)が入力されると、記憶部35に記憶されている関連情報の中から、当該キーワードと一致する識別情報およびキーワードと関連する語句を含む識別情報が検索部39により検索され、この検索結果のうち必要とする関連情報が表示部40に表示されることとなる。
【0047】
なお、上述の実施の形態では、顧客の行動を識別情報に関連付けて記憶させる場合について説明したが、店員の行動を同様に記憶させるようにしても良い。また、行動管理装置10を銀行などの金融機関の店舗に設ける一例について説明したが、この構成に限られず、例えば、金融機関以外の店舗や店舗以外の場所に設けるようにしても良い。
【0048】
したがって、上述の実施の形態によれば、人物特定部31により、ビデオカメラ20によって撮像された店舗内部の映像から人物を特定し、認証部32により特定された人物の認証を行い、行動検出部33により認証部32により特定された人物の所定の行動を検出するとともに、文字データ変換部に34より行動検出部33で検出された所定の行動を文字データに変換して特定された人物の識別情報に関連付けて記憶部35に記憶させることができ、この結果、撮像した映像を全て記憶させる従来よりも文字データとして記憶できる分だけデータ量を遙かに低減することができ、さらに、識別情報に基づいて、特定の人物の行動を容易に検索することができる。
【0049】
また、人物特定部31により特定された人物が、認証部32により認証できない場合、すなわち、特定された人物が初めて人物特定部31に特定される場合など、記憶部35に識別情報が登録されていない場合に、識別情報付与部36によって、認証できない人物を特定するための仮の識別情報を付与して、この仮の識別情報に対して文字データ変換部34により変換された文字データを関連付けて記憶させることができるため、認証できない人物の所定の行動を記憶させることができる。
【0050】
そして、ビデオカメラ20によって撮像される動画から静止画像を抽出して文字データに関連付けて記憶させることで、動画である映像を記憶させる場合と比較して静止画像として記憶させる分だけデータ量を削減できる。
【0051】
また、店舗内部のレイアウトに関するレイアウト情報、例えば、窓口カウンター54や受付発券機57が配置されている位置等の情報と、ビデオカメラ20によって撮像された映像、例えば、人物が受付発券機57の場所にいる等の映像とに基づいて、行動検出部33で人物の行動を検出することができる。
【0052】
さらに、人物特定部31により特定された人物が店員であるか顧客であるかを認証部32により判別することで、店員と顧客との位置関係およびレイアウト情報とにより、例えば、顧客が預金窓口の店員の近傍に移動した場合には、顧客が預金を行うことが推定されるため、顧客の位置に応じた行動を行動検出部33により検出することができる。
【0053】
そして、物品検出部37により、撮像された映像から所定の物品を特定することで、例えば、預金窓口で預金通帳や印鑑が特定された場合には預金を行っていると推定されるため、物品の種類に応じた行動を行動検出部33により検出することができる。
【0054】
さらに、人物特定部31により特定された人物の映像を、当該人物に関する情報と関連付けて記憶することで、例えば、人物の識別情報および仮の識別情報に基づいて検索する際に、当該識別情報および仮の識別情報に関連付けられている人物の映像を即座に特定することができる。
【0055】
また、キーワード入力部41が入力を受付けたキーワードと一致する識別情報および仮の識別情報、又は、キーワードと関連する語句を含む識別情報および仮の識別情報を検索部39により検索することができるため、キーワードに基づいて識別情報および仮の識別情報に関連付けられた関連情報を検索して記憶部35から呼び出すことができるため、容易に所望の顧客の関連情報を呼び出すことができる。
【0056】
なお、上述した実施の形態では、識別情報に静止画像を関連付けて記憶する場合について説明したが、この発明は上述した実施の形態に限られず、例えば、顧客が映っている動画を識別情報に対応付けて記憶させるようにしてもよい。このように構成することで、識別情報付与部36によって付与された情報と付与された人物の映像とを関連付けて記憶部35に記憶させることができるため、認証できない人物を動画により特定することが可能となる。
【0057】
また、上記実施の形態の変形例として、例えば、識別情報付与部36で仮の認証情報を付与された人物が誰であるのか特定された場合には、記憶部35に記憶されている仮の識別情報を新規の識別情報に更新するようにしてもよい。さらに、制御装置30をネットワーク経由で本部のサーバ等店舗外のサーバに接続し、記憶部35に記憶された顧客に関係する新しい情報が登録された場合に、この登録情報に基づいて記憶部35に記憶されている人物の仮の識別情報及び関連情報を更新するようにしても良い。
【0058】
さらに、上述した実施の形態では、主に業務に係る所定の行動について記憶させる場合について説明したが、例えば、店舗内のソファーを側方から撮像するビデオカメラ20を設置して人物が立ち上がったり、着座したりしたことなど、人物の単純な動きを所定の行動として検出し、この行動の文字データを識別情報に関連付けて記憶部35にするようにしても良い。
【0059】
そして、上述の実施の形態では、キーワードに基づいて記憶部35に記憶されている識別情報および仮の識別情報を検索する場合について説明したが、キーワードに基づいて関連情報を検索するようにしても良い。また、記憶部35に記憶される情報としては、上述した識別情報および仮の識別情報に所定の行動、動画および静止画像以外に、その人物に関する他の情報を関連付けて記憶する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態における行動管理装置10の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における店舗のレイアウトの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
20 ビデオカメラ
31 人物特定部(人物特定手段)
32 認証部(認証手段)
33 行動検出部(行動検出手段)
34 文字データ変換部(文字データ変換手段)
35 記憶部(記憶手段)
36 識別情報付与部(識別情報付与手段)
37 物品検出部(物品検出手段)
38 静止画抽出部(抽出手段)
39 検索部(検索手段)
41 キーワード入力部(キーワード入力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリア内の人物の行動を管理する行動管理装置において、
前記所定エリア内の映像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された映像から人物を特定する人物特定手段と、
前記人物特定手段によって特定された人物の認証を行う認証手段と、
前記認証手段によって認証が行われた人物による所定の行動を検出する行動検出手段と、
前記行動検出手段によって特定された所定の行動を文字データに変換する文字データ変
換手段と、
前記文字データ変換手段によって変換された文字データを前記認証手段により認証された人物の識別情報と関連付けて記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする行動管理装置。
【請求項2】
前記人物特定手段によって特定された人物が、前記認証手段により認証できない場合に、この認証できない人物を新たに特定するための識別情報を付与する識別情報付与手段を備え、
前記記憶手段は、前記識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報と、文字データとを関連付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の行動管理装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報と、前記識別情報を付与された人物の映像とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項2に記載の行動管理装置。
【請求項4】
前記認証手段は、前記識別情報付与手段によって新たに付与された識別情報を含めて、前記人物特定手段により特定された人物の認証を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の行動管理装置。
【請求項5】
前記撮像手段によって撮像された映像から、前記行動検出手段が所定の行動を検出する際の映像を静止画像として抽出する抽出手段を備え、
前記記憶手段は、前記抽出手段によって抽出された静止画像を前記文字データに関連付けて記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の行動管理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記所定エリア内のレイアウトに関するレイアウト情報を記憶し、
前記行動検出手段は、前記記憶手段に記憶されたレイアウト情報と、前記撮像手段によって撮像された映像とに基づいて、前記認証手段により認証された人物の行動を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の行動管理装置。
【請求項7】
前記認証手段は、前記人物特定手段により特定された人物が店員であるか顧客であるかを少なくとも判別し、
前記行動検出手段は、前記認証手段により店員であると判別された人物と、前記認証手段により顧客であると判別された人物との位置関係と、前記記憶手段に記憶されたレイアウト情報とに基づいて、少なくとも前記認証手段により顧客であると判別された人物の行動を検出することを特徴とする請求項6に記載の行動管理装置。
【請求項8】
前記撮像手段によって撮像された映像から、所定の物品を特定する物品検出手段をさらに備え、
前記行動検出手段は、前記物品検出手段によって特定された物品の種類に基づいて前記認証手段により認証された人物の行動を検出することを特徴とする請求項6又は7に記載の行動管理装置。
【請求項9】
前記記憶手段は、前記認証手段で認証された人物の映像を、当該人物の識別情報と関連付けて記憶することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の行動管理装置。
【請求項10】
所定のキーワードの入力を受付けるキーワード入力手段と、
前記記憶手段に記憶された識別情報と該識別情報に関連付けられて記憶されている関連情報との中から前記キーワード入力手段により入力されたキーワードに一致する識別情報又は関連する語句を含む識別情報を検索する検索手段とを備え、
前記検索手段によって検索された識別情報と前記関連情報との中から必要な情報を出力することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の行動管理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−230565(P2009−230565A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76505(P2008−76505)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】