衛星通信装置および衛星通信システム
【課題】自由に伝送レートを設定でき、また自由に周波数を配置することができる衛星通信装置を得ること。
【解決手段】受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の前記分波信号をその分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を送信する衛星通信装置であって、受信信号に対してFFT処理を施すことにより分波信号を求めFFT部9−1〜9−15と、分波信号を宛先ごとに振り分けるスイッチマトリックス10と、スイッチマトリックス10による振り分け後の信号を同一宛先ごとにIFFT処理を施すことにより時間領域信号に変換し、時間領域信号を合波信号として求めるIFFT部と、を備える。
【解決手段】受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の前記分波信号をその分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を送信する衛星通信装置であって、受信信号に対してFFT処理を施すことにより分波信号を求めFFT部9−1〜9−15と、分波信号を宛先ごとに振り分けるスイッチマトリックス10と、スイッチマトリックス10による振り分け後の信号を同一宛先ごとにIFFT処理を施すことにより時間領域信号に変換し、時間領域信号を合波信号として求めるIFFT部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のキャリア信号が合成された多重信号から各キャリア信号を抽出し、抽また、複数のキャリア信号を多重して送信する衛星通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星局が、複数のキャリア信号の多重された受信信号を分解して各キャリア信号を抽出する分波処理と、また反対に複数のキャリア信号を多重して送信信号を生成する合波処理と、をディジタル信号処理により実現する技術が提案されている。このような技術の一例が、たとえば、下記非特許文献1に記載されている。
【0003】
下記非特許文献1に記載されているように、M(Mは自然数)個のキャリア信号で構成される多重信号をZ変換したものをY(z)とし、Y(z)がフィルタH(z)を通過したとすると、その多重信号を構成するキャリア番号k(k=0〜M−1)の信号をZ変換したXk(z)は、以下の式(1)で表すことができる。なお、fkはキャリア周波数とし、Fsは信号のサンプリング周波数とする。
【0004】
【数1】
【0005】
フィルタH(z)を、fs=Fs/Mで動作するM個のサブフィルタHi(zM)(i=0〜M−1)と遅延成分z-iに分解し、さらに信号Xk(z)を1/Mにデシメーションした信号Xk(zM)は、以下の式(2)のように表すことができる。
【0006】
【数2】
【0007】
したがって、下記非特許文献1に記載されているように、遅延部、サブフィルタ部および位相オフセット乗算部を1組とする処理部をM個並列に備え、つぎのような動作を行うことで、M個のキャリア信号に対する分波処理を施すことができる。まず、M個の遅延部がM個のキャリア信号が多重された多重信号に対し、自身に設定された遅延量で遅延調整を行う。そして、サブフィルタ部が遅延調整後の信号をろ波し、位相オフセット乗算部が、ろ波後の信号にそれぞれωj(j=1〜M)の位相オフセットを与える。そして、FFT(Fast Fourier Transform)部が、位相オフセットを与えた後の信号に対してMポイントのFFTを施すことによりM個のキャリア信号に分波した信号を得る。
【0008】
また、合波処理については、M個の信号Xk(z)がフィルタH´(z)を通過した後に、多重された信号をY(z´)とするとき、Y(z´)は以下の式(3)のように表すことができる。
【0009】
【数3】
【0010】
ここで、分波処理と同様、フィルタH´(z)をfs=Fs/Mで動作するM個のサブフィルタH´i(zM)と遅延成分z-iに分解すると、上記式(3)は下記式(4)のように表すことができる。
【0011】
【数4】
【0012】
したがって、合波処理は、M個の各信号に対してMポイントIFFT処理が施すIFFT部と、ω0からωM-1までの位相オフセットを各信号に与える位相オフセット乗算部と、各信号をろ波するサブフィルタ部と、ろ波後の信号に遅延時間を与える遅延部と、を備える構成により実現できる。
【0013】
一方、下記非特許文献2に示されるように、衛星局を介して地上局と地上端末とが通信を行う衛星通信システムにおいて、衛星局に大型アンテナを搭載し、サービスエリアである日本および日本近辺を100程度のセルで構成するようなセル設計を行い、それらの各セルをマルチビームで覆う構想が進められている。
【0014】
下記非特許文献2に記載されるシステムでは、地上局−衛星局(以降、この回線をフィーダリンクと呼ぶ)と、衛星局−各地上端末(以降、この回線をユーザリンクと呼ぶ)は、上り回線,下り回線ともに、異なる周波数帯域を用いており、フィーダリンクにはKa帯の450MHz、ユーザリンクにはS帯の30MHzを用いている。なお、ユーザリンクは、サービスエリアが100程度のセルで構成されるようセル設計を行い、衛星局から地上には、径の小さいマルチビームを照射することが検討されている。このシステムでは、周波数利用効率の観点から30MHzの周波数帯を分割して7セルで異なる周波数帯を使用し、その7セルを1まとまりとして複数ヶ所で同じ周波数を使用する、7セル周波数繰り返しシステムが想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Fumio Takahata et al.,“A PSK Group Modem for Satellite Communications”,IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.SAC−5,NO.4,1987年
【非特許文献2】蓑輪正ら,“安心・安全のための地上/衛星統合移動通信システム”,電子情報通信学会論文誌B,Vol.J91−B,No.12,pp.1629−1640,2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来の非特許文献1に記載の技術によれば、分波処理/合波処理で、フィルタH(z)をM個に分解したサブフィルタHi(z)を用いているが、サブフィルタHi(z)の周波数帯域はiの値によらず同一である。そのため、周波数帯域が同一である複数の信号が多重された信号を分波処理したり、複数の同一帯域信号を合波処理したりすることは可能であるが、帯域の異なる信号が多重された信号の分波処理や、帯域の異なる信号を合波処理することはできない、という問題があった。
【0017】
また、上記従来の非特許文献1に記載の技術では、各キャリア信号の帯域が等間隔に並ぶような信号の分波処理および合波処理は可能であるが、各キャリア信号の帯域が等間隔でない場合や各キャリア信号の帯域幅が等しくない場合に対応できないため、それらの信号に対して分波処理および合波処理を行うことができない。そのため、上記非特許文献2に記載のシステムに、上記従来の非特許文献1の技術を採用した場合、同一の周波数配置の信号にしか対応できず、周波数配置に自由度がない。したがって、各セルの状態に応じてそのセルで使用する周波数を変えることができず、周波数利用効率を最適化できない(柔軟な周波数利用ができない)、という問題があった。また、柔軟な周波数利用ができないため、提供サービスに制限ができる、といった問題があった。
【0018】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、従来に比べ、自由に伝送レートを設定でき、また自由に周波数を配置することのできる衛星通信装置および衛星通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の前記分波信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を送信する衛星通信装置であって、受信信号をFFT処理により周波数領域信号に変換し、前記周波数領域信号を前記分波信号とするFFT処理手段と、前記分波信号を宛先ごとに振り分けるスイッチマトリックス手段と、前記スイッチマトリックス手段による振り分け後の分波信号を、同一宛先ごとにIFFT処理を施すことにより時間領域信号に変換し、前記時間領域信号を合波信号とするIFFT処理手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、地上端末へ送信するFFT処理後の周波数領域信号に対して、スイッチマトリックス部10が、各々の信号の宛て先番号に基づいてクラスタ単位で振り分けを行い、クラスタ単位で振り分けられた信号をさらに宛て先のセルごとに振り分け、そして、振り分けた後の信号にIFFT処理を実施し時間領域の信号に戻して、各セルに送信するようにしたので、従来に比べ、自由に伝送レートを設定でき、また自由に周波数を配置することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明にかかる衛星通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、受信信号に対して乗算区間をずらした窓関数を乗算した乗算結果の一例を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1の衛星局のスイッチマトリックス部以降の構成例を示す図である。
【図4】図4は、マトリックス部の構成例を示す図である。
【図5】図5は、FFT部によってFFT処理された結果の一例を示す図である。
【図6】図6は、クラスタの構成例を示す図である。
【図7】図7は、宛先番号と出力先の信号ソート部との対応の一例を示す図である。
【図8】図8は、信号ソート部の入出力信号と第2RAM部に格納される信号の一例を示す図である。
【図9】図9は、スイッチマトリックス部の処理の流れの一例を示す図である。
【図10】図10は、合成処理のイメージを示す図である。
【図11】図11は、実施の形態1の衛星局の地上端末からの信号を受信しスイッチマトリックス部に入力されるまでの処理を行う機能部の構成例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態1の衛星局の、地上端末から受信した信号に対するスイッチマトリックス部以降の処理を行う構成要素の一例を示す図である。
【図13】図13は、スイッチマトリックス部の構成例を示す図である。
【図14−1】図14−1は、等間隔の周波数配置の例を示す図である。
【図14−2】図14−2は、等間隔でない周波数配置の例を示す図である。
【図14−3】図14−3は、周波数帯幅が一定でない周波数配置の例を示す図である。
【図15】図15は、実施の形態2の衛星局の機能構成例を示す図である。
【図16】図16は、実施の形態2の周波数帯域の分割例を示す図である。
【図17】図17は、予備系統を3つ備える場合の周波数利用の概念を示す図である。
【図18】図18は、補間部と周波数変換部の別の構成例を示す図である。
【図19】図19は、実施の形態2の衛星局の地上端末から信号の受信処理を行う構成要素の一例を示す図である。
【図20】図20は、実施の形態2の周波数変換部と間引き部の処理の信号処理の概念を示す図である。
【図21】図21は、実施の形態2の周波数変換部〜FFT部の処理と予備系統の処理の概念を示す図である。
【図22】図22は、実施の形態3の衛星局の機能構成例を示す図である。
【図23】図23は、実施の形態3の送信信号のフレーム構成の一例を示す図である。
【図24】図24は、実施の形態3のFFT演算開始位置の検出処理の概念を示す図である。
【図25】図25は、実施の形態3の遅延時間の算出方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる衛星通信装置および衛星通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる衛星通信装置(衛星局)の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の衛星局は、受信アンテナ1と、周波数変換部2−1〜2−15と、A/D(Analog/Digital)変換部3−1〜3−15と、直交検波部4−1〜4−15と、LPF(Low Pass Filter)部5−1〜5−15と、間引き部6−1〜6−15と、ウィンドウィング部7−1〜7−15と、FFT(Fast Fourier Transform)部9−1〜9−15と、スイッチマトリックス部10と、制御部11と、を備えている。
【0024】
本実施の形態の衛星局は、サービスエリアを105のセルで構成することとし、105のセルに対してユーザ向けの信号をそれぞれ送信する。また、本実施の形態の衛星局は、地上局から送信された信号を受信し、受信信号の分波処理を行って各キャリア信号を抽出し、抽出されたキャリア信号の並び替えを行い、105の宛先(105のセル)ごとにキャリア信号の合波処理を行って、衛星局から地上端末に送信する。図1では、分波処理を行い、分波後の受信信号がスイッチマトリックスに信号が入力されるまでの処理を行う構成要素を示している。
【0025】
また、本実施の形態では、地上局から衛星局に対して、Ka帯の信号(フィーダリンク信号)が送信される。このフィーダリンク信号は、帯域幅450MHzであり、複数のキャリア信号で構成されている。
【0026】
図1に示した衛星局の受信アンテナ1は、地上局から送信されたフィーダリンク信号を受信する。周波数変換部2は、受信アンテナ1が受信した信号の周波数帯域をKa帯からIF(Intermediate Frequency)帯へと変換する。
【0027】
なお、衛星搭載用ハードウェア性能の観点からフィーダリンク信号の450MHzの帯域の信号を一括で変換することは困難であると考えられるため、複数の周波数変換部を備えることとし、450Hzを分割し、各々の周波数変換部が分割した帯域の信号を周波数変換することとする。ここでは、一例として、1つの周波数変換部が変換する信号の帯域幅を30Hzとし、15(=450÷30)個の周波数変換部(周波数変換部2−1〜2−15)を備えることとする。なお、周波数変換部2−1〜2−15が変換する周波数帯域は必ずしも30MHzでなくても良く、また、将来的にハードウェア性能の向上した場合などには、450MHzの帯域幅の信号を一括で周波数変換を行っても良い。
【0028】
A/D変換部3−i(i=1,2,…,15)は、IF帯に周波数変換された受信信号をアナログ信号からディジタル受信信号へと変換する。直交検波部4−iは、ディジタル受信信号の直交検波を行い、ディジタル受信信号をIF帯からベースバンド信号へと変換すると共に、ベースバンド信号の同相(Ich)信号および直交(Qch)信号を出力する。LPF部5−iは、ベースバンド信号の同相(Ich)信号および直交(Qch)信号に対して、直交検波処理に伴って生じた不要な高調波成分をカットするためのフィルタリングを行う。なお、本実施の形態では、一度受信信号を無線周波数帯(Ka帯)からIF帯へと変換した後でベースバンドに変換しているが、受信信号を無線周波数帯からベースバンドに直接変換するダイレクトコンバージョン方式を用いても良い。
【0029】
間引き部6−iは、フィルタリング後のベースバンド信号に対して間引き処理を行うことで、A/D変換部3−iのサンプリング速度よりも低いサンプリングレートの間引き信号を生成する。なお、間引き部6によって行う間引き処理は、後段の回路規模削減、消費電力低下を目的とするものであり、必ずしも必要ではなく場合によっては省略可能である。
【0030】
ウィンドウィング部7−iは、間引き信号に対して窓関数を乗算し、乗算結果を出力する窓関数乗算手段である。後段のFFT部9−iでは間引き信号に対してFFT演算処理が施されるが、FFT演算を行う区間の両端に連続性がない場合、不要な高調波が発生し、性能の劣化要因となる。そのため、受信信号のFFT区間の両端が連続性を有するように、ウィンドウィング部7−iが、各FFT演算区間に対して窓関数を乗算する。窓関数の代表例として、例えばハニング窓が挙げられるが、ある区間の両端が同じ値に収束する関数であれば、ハニング窓でなくとも良い。
【0031】
なお、窓関数を乗算した部分の受信信号情報が欠落してしまうため、ウィンドウィング部7は、FFT演算区間をτとするとき、間引き信号(受信信号)に窓関数を乗算する区間をτ/2だけ時間をずらした乗算結果も出力する。図2は、受信信号に対して乗算区間をずらした窓関数を乗算した乗算結果の一例を示す図である。図2の下側の(b)は上側の(a)に対してτ/2だけ窓関数の乗算する区間をずらした関係となっている。なお、ここでは理解しやすいよう、図2の時間信号(間引き信号)は一定値が連続するものとしている。図2に示すように、τ/2だけ時間をずらしているため、窓関数の乗算される区間が異なり、図2(a)と(b)を合わせて活用することにより、窓関数を乗算しても信号情報は欠落しない。
【0032】
FFT部9−iは、窓関数が乗算された間引き信号に対して、2NポイントのFFT処理を実施する。なお、図中には記載していないが、τ/2だけ時間をずらした信号についてもFFT処理を実行するため、各FFT部9−1〜9−15はそれぞれ2つずつのFFT演算部を備えている。FFT部9−iは、FFT処理により間引き信号を周波数領域信号に変換し、受信信号に含まれていた複数のキャリア信号を、周波数のサンプル単位(1サンプル=30MHz/2Nポイント)で抽出することができる。すなわち、FFT部9−iまでの処理で、複数のキャリア信号が多重されている受信信号を分波し、分波信号であるキャリア信号を抽出することができる。周波数領域信号は、スイッチマトリックス部10へ入力される。
【0033】
図3は、本実施の形態の衛星局のスイッチマトリックス部10以降の構成例を示す図である。図3に示すように、本実施の形態の衛星局は、スイッチマトリックス部10以降の処理を行う構成要素として、スイッチマトリックス部10と、制御部11と、IFFT部21−1〜21−105と、信号合成部23−1〜23−105と、補間部24−1〜24−105と、直交変調部25−1〜25−105と、D/A(Digital/Analog)変換部26−1〜26−105と、周波数変換部27−1〜27−105と、送信アンテナ28−1〜28−105と、を備える。
【0034】
スイッチマトリックス部10は、図1を用いて説明したように、15個の並列に並ぶ入FFT部9−1〜9−15から出力される周波数領域信号を、制御部11の制御情報に基づいて、105の宛先(信号の送信先)ごとに並び替えを行う。なおスイッチマトリックス部10もFFT部9−1〜9−15と同様に、図2に示すように、τ/2ずらさずに窓関数を乗算した間引き信号(受信信号)に対応する周波数領域信号と、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算した間引き信号に対応する周波数領域信号と、の2つの信号に対応する処理を行うが、その2つの信号に対する動作は同じである。したがって、以下では、τ/2ずらさずに窓関数を乗算した間引き信号(受信信号)に対応する周波数領域信号に対する処理について述べるが、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算した間引き信号に対応する周波数領域信号に対する処理もその処理と同様である。
【0035】
図4は、マトリックス部10の構成例を示す図である。本実施の形態のスイッチマトリックス部10は、第1RAM(Random Access Memory)部14−1〜14−15と、信号ソート部15−1〜15−15と、第2RAM部16−1〜16−15と、第3RAM部17−1〜17−105と、で構成される。
【0036】
FFT部9−iから出力された周波数領域の信号は、第1RAM部14−iに入力される。第1RAM部14−iは、データを保持するためのメモリを備えており、FFT部9−iで変換された周波数領域信号のうち、“有意な信号”のみを自身のメモリに格納する(書き込む)。以下、第1RAM部14−iに格納する“有意な信号”について説明する。
【0037】
図5は、FFT部9−iによってFFT処理された結果(周波数領域信号)の一例を示す図である。図5に示すように、FFT部9−iで変換された30MHz帯域の周波数領域信号のなかには、LPF部5−iのフィルタリングにより不要な成分として除去された信号成分のない領域(帯域外成分)が存在する。帯域外成分は情報を含まず、以後の信号処理に必要ではないため、第1RAM部14−iでは、本帯域外成分以外の信号(これを“有意な信号”とする)を格納する。この“有意な信号”のみ、すなわち帯域内の周波数成分の信号のみを格納することによって、第1RAM部14−iのメモリ容量を削減することができる。
【0038】
制御部11は、第1RAM部14−iに格納された信号を読み出して、その信号に対して、信号の宛先のセルを識別するための番号である宛先番号と各宛先のセルでの信号配置を規定するチャネル番号とを付加し、付加後の信号を第1RAM部14−iに格納する。第1RAM部14に格納された信号の宛先の数は105あり、第1RAM部14−1〜14−15に格納された各信号を105個の宛先(1〜105の宛先番号)に振り分ける必要がある。しかしながら、15個の第1RAM部(第1RAM部14−1〜14−15)に書き込まれている信号を、それぞれ105個の宛先に振り分けを実行するためには、信号線が1575本(=15×105)必要となる。これは、回路規模の観点から望ましいとは言えない。
【0039】
そこで、本実施の形態では、セル7個を1つのまとまり(以下、このまとまりをクラスタという)とし、クラスタを単位とする振り分けとクラスタ内の振り分けとの2段階で振り分けを行う。図6は、クラスタの構成例を示す図である。図中の#1,#2,…と記載された小円はセルを表し、各セル内に記載されている#の後ろに記した番号は、信号の宛先番号を示している。図6の例では、#1〜#7,#8〜#14,…の7つのセルを囲む太線の円が、クラスタを示している。
【0040】
まず、第1段階の振り分け処理では、第1RAM部14−1〜14−15に格納された信号を、クラスタ単位で振り分ける。図6に示したように、衛星局から信号を送信する地上の宛先(セル)を7つまとめた領域がクラスタである。なお、図6では、紙面の都合上、宛先番号は28までしか記載してないが、実際には宛先番号105までのセルが存在する。
【0041】
第1RAM部14−iは、保持している、宛先番号と出力先の信号ソート部との対応に基づいて、格納された信号をその信号に付加されている宛先番号に対応する信号ソート部15−1〜15−15へ出力する。図7は、宛先番号と出力先の信号ソート部との対応の一例を示す図である。図7に示すように、宛先番号と信号ソート部15−1〜15−15との対応付けておき、第1RAM部14−iは、このような対応を保持していることとする。この際、宛先となるセルの数は105であり、7個のセルで1つのクラスタを構成するため、クラスタ数は合計15(=105÷7)となる。したがって、各クラスタに対応する信号ソート部の個数は15個(信号ソート部15−1〜15−15)となる。なお、第1RAM部14−iがこの対応(宛先番号と出力先の信号ソート部との対応)を保持する替わりに、制御部11がこの対応を保持し、第1RAM部14−iに格納されているデータを読み出した際に、保持している対応に基づいて、対応する信号ソート部へ信号を出力するよう第1RAM部14−iへ指示するようにしてもよい。
【0042】
第1RAM部14−iから出力された信号が入力された信号ソート部15−j(j=1,2,…,15)は、入力された信号に対してトラフィックの均一化処理を行い、処理後の信号を第2RAM部16−jに出力する。第2RAM部16−jは、15個(信号ソート部への入力元の第1RAM部と同じ個数)のメモリを備え、信号ソート部15−jは、トラフィックの均一化処理により並び替えを行った後に第1RAM部14−iから出力された信号を第2RAM部16−j内のいずれかのメモリに出力する。
【0043】
ここで、信号ソート部15−jが行うトラフィックの均一化処理について説明する。図8は、信号ソート部15−jの入出力信号と第2RAM部16に格納される信号の一例を示す図である。なお、本実施の形態では、衛星局は第1RAM部を15個備え、宛先数を105としているが、説明を簡素化するため、図8の例では、第1RAM部14は3個、宛先のセル数は21(クラスタ数3個)としている。
【0044】
図8の(a)は、信号ソート部へ入力される信号を模式的に示している。図の縦方向は、時間を所定の時間単位で離散化した値を示している。横方向の入力#M(ここでは、M=1,2,3)は、信号ソート部15−j(この場合は、j=1,2,3)に第1RAM部14−Mから入力される信号を示しており、値がない箇所(空欄)は、入力される信号が存在しないことを示している。図中のA0,A1,…,B1,…,C1,…は、第1RAM部14−Mから入力される信号を説明するために付与した入力信号の識別番号であり、Aが先頭に付く識別番号は、第1RAM部14−1から入力された信号を、Bが先頭に付く識別番号は、第1RAM部14−2から入力された信号を、Cが先頭に付く識別番号は、第1RAM部14−3から入力された信号を、それぞれ示している。
【0045】
図8の(a)の各入力信号に着目すると、入力#1、入力#3の信号数が多いのに対し、入力#2の信号数が少ない。仮に信号ソート部15−1〜15−3が存在しない場合ない場合、第1RAM部14−jに入力された信号は、第2RAM部16−jに出力される。この場合、図8の(a)のように、各入力によって信号数のバラつきがあり、また信号の入力されない時間もあっても、第2RAM部16−jは第1RAM部14−jから出力された信号を、信号が存在しないデータも含めて全て自身の各メモリへ格納する必要がある。
【0046】
第2RAM部16−jは、たとえば、第1RAM部14−1から入力された信号は、自身のメモリ#1へ、第1RAM部14−2から入力された信号は自身のメモリ#2へ,…というように順に格納する。したがって、第2RAM部16−jは、Ra(Raは第1RAM14の数)×2N(2NはFFTポイント数)×SD(SDは各信号情報が持つビット数)を格納できるメモリ容量を備える必要がある。第2RAM部16−jは、図8の例では、3×2N×SDのメモリ容量が必要となり、Ra=15の図4の構成では、15×2N×SDのメモリ容量が必要となる。
【0047】
これに対し、本実施の形態では、信号ソート部15−jは、図8の(a)に示されるような入力信号を、図8の(b)のように、特定の出力先(特定のメモリ)に信号が集中しないようにトラフィックの均一化を行ってメモリへ出力する。なお、ここでは上述のとおり、第1RAM部の個数を3個としているため、第2RAM部16−jを構成するメモリは、メモリ#1〜メモリ#3までの3個とする。図8の(b)の横方向の出力#Mは、第2RAM部16−jのメモリ#Mに出力されることを示している。
【0048】
具体的には、たとえば、入力#1(信号ソート部15−1への入力)には、時間“0”と時間“1”で連続してA0,A1の信号の入力があるが、入力#2(信号ソート部15−2への入力)には、時間“0”には信号の入力がなく、時間“1”でB1の信号の入力があり、入力#3(信号ソート部15−3への入力)には、時間“0”と時間“1”の両方で信号の入力がない。このような場合、信号ソート部15−jは、時間“0”に入力された信号A0を出力#1として第2RAM部16−jのメモリ#2へ出力し、時間“1”に入力された信号A1を出力#2として第2RAM部16−jのメモリ#2へ出力する。また、信号ソート部15−2は、時間“1”に入力された信号B1を出力#3として第2RAM部16−jのメモリ#3へ出力する。
【0049】
このような動作を行うことにより、各信号の出力先は図8の(b)に示す出力先となる。例えば、図8の(a)では、入力#1に7個の信号(A0〜A6)、入力#2に3個(B1〜B3)の信号、入力#3に8個(C1〜C8)の信号と、トラフィックが偏っているのに対し、図8の(b)では、出力#1、出力#2、出力#3の全てに6個ずつ信号が割り振られ、トラフィックが均一化されている。このようにトラフィックを均一化するための具体的な出力先の選択方法は、どのような方法でもよいが、たとえば、所定の時間内に入力された信号に対して、出力先ごとの信号の個数を係数し、不均一な場合は、信号数の多い出力先の信号から所定の信号を選択し、選択した信号を他の出力先とする、という処理を出力先ごとの個数がなるべく等しくなるまで繰り返し、出力先を決定するなどの方法がある。
【0050】
信号ソート部15−jによってトラフィックの均一化が行われた後の信号は、図8の(c)に示すように、第2RAM部16−jは、各メモリに、必要な信号(入力信号の存在しない部分は除いた信号)を書き込む。なお、ここでは、第1RAM部の個数が3個の場合について説明したが、図4の構成のように第1RAM部の個数が15個の場合も、同様に、信号ソート部15−jは、第2RAM部16−jの15個のメモリに均一に出力されるよう出力先を選択する。
【0051】
このように、信号ソート部15−jが、入力される信号のトラフィックを均一化して出力することにより、第2RAM部16−jが必要とするメモリ容量を、2N×SDに、すなわち信号ソート部15−jが存在しない場合の1/Raに、削減することができる。図8の例(Ra=3)では、信号ソート部15−jを用いることにより、第2RAM部16−jのメモリ容量を1/3に、図4の構成(Ra=15)では1/15に、それぞれ削減できる。
【0052】
図4の構成例に基づく動作の説明に戻る。第1RAM部14−iは、以上のように格納されている信号をクラスタごとに対応する信号ソート部15−1〜15−15への振り分けを行い、各信号は信号ソート部15−j経由で第2RAM部16−jに書き込まれる。なお、1クラスタへの通信トラフィックがシステム帯域(30MHz)を越える可能性がある場合は、第2RAM部16−jのメモリ容量を、2N×SD+αとし、若干メモリ容量を増やしておくこととする。
【0053】
つぎに、第2段階の振り分け処理として、第2RAM部16−jは、自身のメモリ#1〜#15に格納されている信号を読み出し、その信号の宛先番号ごとに7個の第3RAM部(第3RAM部17−1〜17−15)に出力先を振り分ける。たとえば、第2RAM部16−1は、宛先番号が1の信号(セル#1を宛先とする信号)を第3RAM部17−1へ、宛先番号が2の信号(セル#2を宛先とする信号)を第3RAM部17−2へ、…、第2RAM部16−2は、宛先番号が8の信号(セル#8を宛先とする信号)を第3RAM部17−8へ、…と自身に接続する7つの第3RAM部へ宛先のセルごとに出力する。第3RAM部17−1〜17−105は、信号を保持するためのメモリを備えており、入力された信号をそのメモリに格納する。
【0054】
そして、IFFT部21−k(k=1,2,…,105)は、第3RAM部17−kに格納された信号をチャネル番号ごとに読み出し、チャネル番号ごとの信号を周波数領域信号とし、その周波数領域信号をIFFT処理により時間領域信号に変換する。
【0055】
図9は、スイッチマトリックス部10の処理の流れの一例を示す図である。図9では、紙面と説明簡素化の都合上、FFT部および第1RAM部を3つずつ備え、宛先のセル数が21(クラスタ数3個)の例を示している。図9の(1)は、FFT部9−1〜9−3から入力される周波数領域信号を示し、(2)は第1RAM部14−1〜14−3に書き込まれた信号を示し、(3)は第2RAM部16−1〜16−21に書き込まれた信号を示し、(4)は第3RAM部17−1〜17−21に書き込まれた信号を示している。また、図中の矩形は、各信号を示し、矩形のなかの番号は、その信号の宛先番号を示している。また、図9では、横軸に30MHzの帯域を0〜2Nのサンプルに離散化した値、すなわち周波数を示している。以下、(1)〜(4)で示した各信号について説明する。
【0056】
(1)FFT部9−1〜9−3から入力される周波数領域信号
FFT部9−1〜9−3は、2NポイントのFFT処理により受信信号を、図9の(1)に示すように帯域30MHz(2Nサンプル)の周波数領域信号へと変換し、スイッチマトリックス部10へ出力する。この処理によって、受信信号に含まれていた複数のキャリア信号を、30MHz/2Nサンプル単位で分離することが可能になる。
【0057】
(2)第1RAM部14−1〜14−3に書き込まれた信号
第1RAM部14−i(図9の例ではi=1,2,3)は、上述のように、FFT部9−iが出力する周波数領域信号のうち、“有意な信号”を自身のメモリに書き込まれる。
【0058】
(3)第2RAM部16−1〜16−3に書き込まれた信号
第2RAM部16−1〜16−3には、第1RAM部14−1〜14−3がクラスタごとに振り分けられた信号が、信号ソート部15−1〜15−3経由で書き込まれる。図9の例では、第2RAM部16−1には宛先番号1から7まで、第2RAM部16−2には、宛先番号8から14まで、第2RAM部16−3には、宛先番号15から21までの信号が振り分けられている。なお実際には、図9のように各信号は宛先ごとに連続しているわけではなく、サンプル単位の離散的な信号が並ぶが、ここでは、説明と図示の都合上、各信号は宛先ごとにまとまっていることとする。サンプル単位の離散的な信号が並んでいる場合も処理は同様である。
【0059】
(4)第3RAM部17−1〜17−21に書き込まれた信号
第3RAM部17−1〜17−21には、宛先番号ごとに振り分けられた信号が、チャネル番号とともに書き込まれる。このとき、チャネル番号を書き換えることで、信号配置を自由に設定することができる。
【0060】
以上のスイッチマトリックス部10の処理により、FFT部9−1〜9−3から出力された周波数領域信号を、図9の(4)のように、宛先番号(宛先のセル)に応じて並び替えることができる。また、図4に示した構成では、第1RAM部14−1〜14−15に書き込まれた信号を、直接105の宛先別に振り分けるのではなく、まず、クラスタ単位で信号ソート部15−1〜15−15に振り分けることにより、回路規模の削減を実現している。さらに、信号ソート部15−1〜15−15が第1RAM部14−1〜14−15から入力された信号に対してトラフィックを均一化する処理を行って第2RAM部16−1〜16−15へ出力するようにしたので、第2RAM部16−1〜16−15に必要なメモリ容量の削減を実現することができる。
【0061】
また、スイッチマトリックス部10の処理後、IFFT部21−k(k=1,2,…,105)は、第3RAM部17−kに格納された宛先ごとに並べられた周波数領域信号を、時間領域の信号へと変換する。この処理により、複数のキャリアを合成した時間領域信号が生成される。IFFT部21−kが、同一宛先の複数のキャリアを合波する合波処理を実施することになる。なお、IFFT部21−1〜21−105も、FFT部9−1〜9−15やスイッチマトリックス部10と同様、図2で説明した、時間をずらさずに窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、との2系統の信号を処理するため、2つの処理部を備えることとする。
【0062】
信号合成部23−kは、時間をずらさずに窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、の2系統の信号に対するIFFT処理結果を用いて合成を行い、窓関数の乗算による信号情報の欠落がない信号を生成する。具体的には、両系統の信号からそれぞれの窓関数によるデータの欠如の無い部分を抽出して合成する。図10は、合成処理のイメージを示す図である。図10の(a),(b)は、図2に示した(a),(b)にそれぞれ対応する。図10の(c)は、信号合成部23−1〜23−105によって合成された信号イメージである。信号合成部23−1〜23−105は、図10(a)の信号のうち窓関数の乗算により除去された区間(図10(a)の斜線塗りつぶし以外の区間)を、図10の(b)の窓関数の乗算により除去されない信号の区間(ドット塗りつぶしの区間)と置き換えることで、図10(c)に示すように、窓関数乗算による信号の欠落がない信号を出力する。
【0063】
補間部24−kは、信号合成部23−kによって合成された信号に対して、サンプリング速度を上げるアップサンプリング処理を行う。このアップサンプリング処理は、信号のサンプリング速度と後段のD/A変換部26−kとのサンプリング速度を合わせるために実施する。直交変調部25−kは、ベースバンドの信号として補間部24−kから入力される信号をIF帯へと変換する。D/A変換部26−kは、IF帯の信号をディジタルからアナログへと変換し、周波数変換部27−kは、IF帯のアナログ信号をS帯へと変換する。なお、ここでは、IF帯を介してベースバンドからS帯への周波数変換を実施したが、ベースバンドから直接S帯へ周波数変換を行っても良い。
【0064】
送信アンテナ28−kは、地上のセルに対してビームを照射することにより、周波数変換部27−kから入力された信号を宛先のセルへ送信する。最後に、各セルに存在する地上端末が、衛星局より送信された信号を受信する。このようにして、地上局から送信された複数のキャリア信号が含まれる信号を衛星局が受信し、衛星局が、受信信号の分波処理、宛先別に信号の並び替えおよび合波処理を実施し、衛星局と各地上端末との通信が行われる。
【0065】
つづいて、本実施の形態の衛星局が、カバーする105のエリア(セル)に位置する地上端末から信号を受信し、地上局に送信する信号を生成する、または再度地上端末に送信するまでの流れを説明する。
【0066】
図11は、本実施の形態の衛星局の地上端末からの信号を受信しスイッチマトリックス部に入力されるまでの処理を行う機能部の構成例を示す図である。図11に示すように、地上端末からの信号を受信しスイッチマトリックス部に入力されるまでの処理を行う機能部は、受信アンテナ30−1〜30−105と、周波数変換部31−1〜31−105と、A/D変換部32−1〜32−15と、直交検波部33−1〜33−15と、LPF部34−1〜34−105と、間引き部35−1〜35−105と、ウィンドウィング部36−1〜36−105と、FFT部37−1〜37−105と、とを備える。
【0067】
本実施の形態の衛星局は、地上端末からの信号を受信するための受信アンテナ部を、105のビーム数分だけ備えており、後段の処理を行う各構成要素もビームごとに105個並列に並ぶ構成となる。
【0068】
受信アンテナ部30−k(k=1,2,…,105)は、各セル内に存在する地上端末から送信された信号を受信し、周波数変換部31−kは、受信アンテナ部30−kが受信した信号をS帯からIF帯へ周波数変換する。A/D変換部32−kは、アナログ信号であるIF帯の受信信号をディジタル信号へ変換し、直交検波部33−kは、ディジタル受信信号の直交検波を行い、ディジタル受信信号をIF帯からベースバンド信号へと変換すると共に、ベースバンド信号の同相信号および直交信号を出力する。LPF部34−kは、ベースバンド信号の同相信号および直交信号に対して、直交検波処理に伴って生じた不要な高調波成分をカットするためのフィルタリングを行う。
【0069】
間引き部35−kは、間引き部6−iと同様にフィルタリング後のベースバンド信号に対して間引き処理を行う。ウィンドウィング部36−kは、ウィンドウィング部7−iと同様に、間引き信号に対して窓関数を乗算し、乗算結果を出力する。また、ウィンドウィング部36−kは、ウィンドウィング部7−iと同様に、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算した結果も出力する。FFT部37−kは、ウィンドウィング部36−kから出力される2系統の信号に対して、FFT処理を行うことにより周波数領域信号に変換し、分波信号とする。
【0070】
図12は、本実施の形態の衛星局の、地上端末から受信した信号に対するスイッチマトリックス部以降の処理を行う構成要素の一例を示す図である。図12に示すように衛星局は、スイッチマトリックス部以降の処理を行う構成要素として、スイッチマトリックス部38と、制御部11と、IFFT(Inverse FFT)部41−1〜41−15と、信号合成部42−1〜42−15と、補間部43−1〜43−15と、直交変調部44−1〜44−15と、D/A変換部45−1〜45−15と、周波数変換部46−1〜46−15と、加算部47と、送信アンテナ48と、を備える。
【0071】
図13は、スイッチマトリックス部38の構成例を示す図である。図13に示すように、スイッチマトリックス部38は、第4RAM部50−1〜50−105と、信号ソート部51−1〜51−15と、第5RAM部52−1〜52−15と、信号ソート部53−−1〜53−15と、第6RAM部54−1〜54−15と、を備える。
【0072】
FFT部37−kにより変換された周波数領域信号は、第4RAM部50−kに入力される。第4RAM部50−kは、データを保持するためのメモリを備えており、入力された周波数領域信号をメモリに格納する。制御部11は、第4RAM部50−kに格納された信号を読み出し、読み出した信号の宛て先に基づいてその信号に宛て先番号(宛先が地上端末の場合はセルを識別する番号、宛先が地上局の場合は地上局を示す番号)とチャネル番号を付加し、付加後の信号を第4RAM部50−kに格納する。第4RAM部50−kは、第1RAM部14−iと同様に、入力元第4RAM部50−kの識別番号(この場合は第4RAM部50−kの場合識別子をkとする)と出力先の信号ソート部との対応を保持しているとし、保持している対応に基づいて格納された信号をその宛先番号に対応する信号ソート部(信号ソート部51−1〜51−15のいずれか)に出力する。なお、第4RAM部50−kが、保持する宛先番号と出力先の信号ソート部との対応は、図2と同様であるが、信号ソート部15−j(j=1,2,…,15)を信号ソート部51−jと置き換えている。
【0073】
信号ソート部51−jは、第4RAM部50−1〜50−105から入力される信号を第5RAM部52−jへ出力するが、その際、信号ソート部15−jと同様にトラフィックの均一化を行う。信号ソート部51−jを経由しない場合、第5RAM部52−jは、Rb(第4RAM部50−kから第5RAM部52−jに入力される信号線本数)×2N×SDを格納できるメモリが必要である。図13の例の場合には、Rb=7であるため、第5RAM部52−jは、7×2N×SDを格納できるメモリ容量が必要となる。
【0074】
これに対し、本実施の形態では、信号ソート部51−jを用いてトラフィックの均一化を行うことにより、第5RAM部52−jは、2N×SDの容量を格納できるメモリを持てばよい。すなわち、信号ソート部51−jを用いることで、信号ソート部51−jを用いない場合と比べ、第5RAM部52−jのメモリ容量を1/Rbに削減することができる。
【0075】
第5RAM部52−jは、信号ソート部51−jから入力された信号を自身のメモリに格納し、格納された信号をその信号の宛て先番号に応じて、信号ソート部53−1〜53−15に割り振りを行う。この割り振りは、第5RAM部52−jが、信号ソート部15−jの替わりに信号ソート部53−jとした図2と同様の対応を保持し、その対応を用いて実施する。なお、宛て先番号が地上局である場合には、割り振り先は任意である。信号ソート部53−jは、第5RAM部52−jから入力される信号を信号ソート部15−jと同様にトラフィックの均一化を行い第6RAM部54−i(i=1,2,…,15)に出力する。信号ソート部53−jを用いることにより、信号ソート部53−jを用いない場合に比べ、第6RAM部54−iのメモリ容量を1/Rcに削減できる。ただし、Rcは、1つの第6RAM部54−iに入力される、第5RAM部52−jからの信号線本数である。
【0076】
第6RAM部54−iに格納された信号は、IFFT部41−iがチャネル番号順に読み出し、読み出した信号をIFFT処理することにより合波処理を行う。なお、宛て先番号が地上局ではなく、セルの識別番号である場合(地上端末のシングルホップ用の信号の場合)は、第6RAM部54−iに格納された信号は、第1RAM部14−iへと出力される。第1RAM部14−iは、第6RAM部54−iから入力された信号を、FFT部9−iから入力された信号と同等に扱い、前述の地上端末への送信処理と同様の処理により、宛て先のセルへ送信する。
【0077】
信号合成部42−iは、信号合成部23−kと同様に2系統の信号を合成し、補間部43−iは、補間部24−iと同様に入力された信号をアップサンプリングする。また、直交変調部44−iは、ベースバンドの信号として補間部43−kから入力される信号をIF帯へと変換する。D/A変換部45−iは、IF帯の信号をディジタルからアナログへと変換し、周波数変換部46−iは、IF帯のアナログ信号をKa帯へ変換する。そして加算部47は、周波数変換部46−1〜46−15から入力されるそれぞれの帯域幅が30MHzである信号を加算し、450MHzの帯域幅の信号として送信アンテナ48へ出力する。送信アンテナ48は、450MHzの帯域幅の信号を地上局へ送信する。
【0078】
以上のように、本実施の形態では、地上端末へ送信するFFT処理後の周波数領域信号を分波信号として求め、スイッチマトリックス部が、各々の分波信号の宛て先番号に基づいてクラスタ単位で振り分けを行い、クラスタ単位で振り分けられた信号をさらに宛て先のセルごとに振り分ける。そして、振り分けた後にIFFT処理を実施することにより時間領域の信号とし、各セルに合波信号として送信するようにした。そのため、セルごとに振り分けられた信号のチャネル番号を変更することにより使用する周波数を自由に設定することができる。
【0079】
図14−1〜14−13は、信号の周波数配置の例を示す図である。従来の衛星局では、図14−1に示すように各キャリア信号の帯域が等間隔に並ぶような信号の分波処理または合波処理は可能であるが、図14−2に示すような等間隔でない信号配置を実現することは困難である。また、図14−3のように、周波数帯域幅が異なる(一定でない)信号を分波処理または合波処理することもできない。これに対し、本実施の形態では、図14−2や図14−3のような信号配置の分波処理または合波処理を行うことができ、柔軟な周波数利用を実現することができる。
【0080】
また、地上端末から受信した信号は、FFT処理により周波数領域信号に変換した後に、スイッチマトリックス部38が、クラスタごとに信号をまとめ、地上端末へ送信する場合にはさらに宛て先番号ごとに宛て先のクラスタ単位で信号を振り分けスイッチマトリックス部10へ入力するようにした。また、地上局宛ての場合には、クラスタごとにまとめた信号を周波数変換して地上局へ送信するようにした。そのため、地上端末から受信する信号についても受信可能な周波数配置に制約がなく、柔軟な周波数利用を実現することができる。
【0081】
また、信号ソート部15−1〜15−15,51−1〜51−15,53−1〜53−15が、トラフィックの均一化を実施することにより、スイッチマトリックス10またはスイッチマトリックス38のメモリの容量を低減することができ、回路規模を抑えることができる。
【0082】
実施の形態2.
図15は、本発明にかかる衛星局の実施の形態2の機能構成例を示す図である。本実施例の衛星局は、地上局から送信された地上端末へ受信する処理を実施する構成要素のうち、受信アンテナ1からスイッチマトリックス部10までの構成要素は図1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図15に示すように、本実施の衛星局の地上局から送信された地上端末へ受信する処理を実施する構成要素は、実施の形態1の図3で示した構成に、補間部60−1〜60−105と、周波数変換部61−1〜61−105と、予備系統合成部62−1〜62−105と、予備系統63と、制御部64と、を追加し、IFFT部21−1〜21−105の替わりにIFFT部21a−1〜21a−105を備える以外は、実施の形態1の衛星局と同様である。予備系統63は、IFFT部21a−106と、信号合成部23−106と、補間部60−106と、周波数変換部61−106と、で構成される。
【0084】
なお、図15では、送信アンテナ28−1〜28−7のように1クラスタに対応する7ビーム分の構成要素を図示しているが、実際には、この7ビーム分の構成が15個並列に並び、実施の形態1と同様に105のビーム分が並列に並ぶ構成となる。
【0085】
本実施の形態では、実施の形態1のIFFT部21に比べIFFT部21aの回路規模を削減する手法について説明する。実施の形態1の衛星局は、図3で示したように、2NポイントのIFFT処理を実施するIFFT部を、信号の宛て先数に対応するビーム数分(宛て先数=ビーム数)、すなわち105個備える。これらのIFFT部21a−1〜21a−105は、ユーザリンクで使用する周波数帯域幅30MHzの信号に対し2NポイントのIFFT処理を実施する性能を有する。
【0086】
ここで、実施の形態1と同様、7セル周波数繰り返しシステムを想定し、衛星から地上の宛て先に照射するビーム7つの合計で最大30MHzの周波数帯域を用いるとすると、各ビームでは30MHzの帯域を占有することはなく(30MHzの周波数帯域を7セルで分割して用いるため)、平均すると30MHzの1/7の周波数帯域を用いることになる。すなわち、30MHzの帯域を想定した2NポイントのIFFT部を105個備える必要はないことになる。本実施の形態では、この点に着目して回路規模を削減する。
【0087】
図16は、本実施の形態の周波数帯域の分割例を示す図である。本実施の形態では、各ビーム(宛て先のセル)で用いる周波数を、図5のように、30MHzの帯域をCH(Channel:チャンネル)#1〜CH#8の8つの周波数帯域に等分している。このようにあらかじめ、周波数帯域を分割し、7つのビーム(同一クラスタ内の7つのセル)に割り当てておくことにより、それぞれのビームに対応する処理では、割り当てられた周波数帯域を処理対象とすればよいことになる。
【0088】
図16に示した例では、周波数帯域幅を8等分していることから1つのビームが処理する周波数帯域幅は30MHzの1/8となる。すなわち、1つのビームについての処理では、IFFTポイント数を2Nから2N-3に削減することができる。このように8等分された30MHzの周波数帯域を、1ビームに1つずつ、計7ビームに割り当て、各ビームは割り当てられた周波数を用いて地上端末との通信を行う。このとき、30/8MHz(1ビーム分)余るが、余った周波数帯域については後述する。
【0089】
このように、各ビームに対して、30MHzを8等分した周波数を割り当てることによって、1つのIFFT部が処理する周波数帯域幅は30/8MHzとなり、IFFTポイント数も、2Nポイントから2N/8(=2N-3)ポイントに削減することができる。したがって、IFFT部の回路規模は実施の形態1に比べ1/8以下となる。
【0090】
図15を用いて、本実施の形態の動作を説明する。IFFT部29a−k(k=1,2,…,105)は、スイッチマトリックス部10の第3RAM部17−kに格納された信号を読み出し、読み出した信号に対して2N/8ポイントのIFFT処理を実施し時間領域信号に変換する。本実施の形態では、2N/8であるため、IFFTポイント数が2Nの場合に比べ信号のサンプリング速度が1/8倍となる。したがって、IFFT部29a−kで変換された時間領域信号に対して、実施の形態1と同様に信号合成部23−kが信号の合成を行った後、補間部60−kは、サンプリング速度を8倍に上げるよう信号を補間する。
【0091】
周波数変換部61−kは、信号の中心周波数を、自身に対応するビームに割り当てられた周波数帯(CH番号)の中心周波数へと変換する。後述する予備系統合成部62−kの処理以外のその後の処理(補間部24−k〜送信アンテナ28−k)の処理は実施の形態1と同様である。
【0092】
以上の処理により、1ビームあたりの帯域が30/8MHzの送信信号が生成され、地上端末に向けて送信される。ところで、前述のように、本実施の形態では、30MHzを8分割し、分割された周波数を7つのビーム(宛て先)に割り当てているため、1ビーム分の周波数帯域が余る。この余りの周波数を予備用周波数として活用し、通信が集中したセルに対してこの予備用周波数を用いることで、利用可能な周波数帯域幅を2倍に拡張することができる。
【0093】
たとえば、ビーム#1に対応するセルへの通信が集中し、30/8MHz以上の周波数を使用する必要が生じたとする。このような場合に、予備用周波数を活用するため、予備系統63を動作させる。通常時(予備用周波数を用いない場合)は、予備系統63は動作していないこととする。制御部64は、スイッチマトリックス部10から予備系統63のIFFT部21a−106へ繋がる経路を生成する。たとえば、ビーム#1が予備用周波数を用いる場合には、IFFT部21a−106がスイッチマトリックス部10から信号が入力されるような経路を生成する。
【0094】
なお、スイッチマトリックス部10は、実施の形態1では単にIFFT部21−kに対してチャネル番号順に信号を出力していたが、本実施の形態では、スイッチマトリックス部10は、上記のように予備系統63への信号出力も行う。すなわち、実施の形態1では、1つの第2RAM部が宛て先番号別に7つ並列に並ぶ第3RAM部へ信号を振り分けていたが、本実施の形態では、1つの第2RAM部に接続される第3RAM部は8つとし、予備用周波数を用いる場合にはその周波数で送信する信号を8つめの第3RAM部へ出力するようにする。そして、8つめの第3RAM部に格納された信号が予備系統63へ入力される。なお、予備用周波数を用いる場合、そのビームで送信するデータを、予備用周波数(CH#8)で送信するデータと、通常の割当て周波数(CH#1〜CH#7)で送信するデータと、に振り分ける必要があるが、この振り分けはたとえば、制御部64が実施してもよいし、制御部11が実施してもよい、
【0095】
予備系統63では、IFFT部21a−106,信号合成部23−106,補間部60−106,周波数変換部61−106が、上記のIFFT部21a−k,信号合成部23−k,補間部60−k,周波数変換部61−kとそれぞれ同様の処理を実施する。その際、周波数変換部61−106は、入力された信号を予備用周波数であるCH#8に周波数変換する。そして、予備系統合成部62−1が、周波数変換部61−1で周波数変換された信号と周波数変換部61−106で周波数変換された信号との合成処理を実施する。
【0096】
ビーム#1以外のビームに対して予備用周波数を割り当てる場合も、同様に予備系統63が、そのビームに対応する第3RAM部17−kから信号を読み出して、CH#8に周波数変換して、そのビームに対応する予備系統合成部62−kが、周波数変換部61−kで周波数変換された信号と周波数変換部61−106で周波数変換された信号との合成処理を実施すればよい。なお、予備用周波数を使用しないビームに対応する予備系統合成部62−kは、入力された信号をそのまま補間部24−kに出力する。このようにして、予備用の周波数を活用することにより、30/8MHzが割り当てられていた各ビームに対して、倍の60/8MHzまで割り当て周波数帯域を増加させることが可能である。
【0097】
さらに、図15に示した予備系統63を1つではなく、複数備えることと、ハードウェアの回路規模は若干増加するものの、より柔軟な周波数利用が可能となる。図17は、予備系統を3つ備える場合の周波数利用の概念を示す図である。図17は、CH#1(ビーム#1)の通信先セルに通信が集中した場合を想定している。図中の予備#1から予備#3は、CH#2(ビーム#2)およびCH#7(ビーム#7)の使用していない帯域と、CH#8と、を用いて送信信号を生成する。そして、CH#1に対応する予備系統合成部62−1が、このようにして生成された予備#1から予備#3の送信信号と、周波数変換部61−1が周波数変換した信号と、の合成処理を行う。各ビームの割り当て帯域のうちの使用していない帯域の検出等は、制御部64が実施する。
【0098】
なお、実際の処理では、IFFT処理後に信号の合成を行うため、合成されるのは時間領域の信号であるが、図17では便宜上周波数領域で各信号を表現している。また、図17では、ビーム#1に通信が集中した例を示したが、複数の予備系統からの信号を合成することで、通信の集中がどのビームに発生しても上記と同様の処理を実施することができ、また通信の集中が複数のビームに発生した場合も、たとえば、予備#1と予備#2を別のビームで用いるなど柔軟な周波数利用を実現できる。なお、予備系統63を2つ以上とする場合には、スイッチマトリックス部10の1つの第2RAM部に接続される第3RAM部の個数もそれに応じて増やす。
【0099】
このように、あるセルに通信が集中した場合などに、予備系統63を活用することにより、柔軟な周波数利用が可能となる。なお、図16では、30MHzを8等分した例を示したが、分割数はセル周波数繰り返し数である7以上の整数であれば、いずれの数字でも良い。また、本実施の形態では7セル周波数繰り返しを仮定しているが、たとえば3セル繰り返しシステムであれば、30MHzを4分割しても良い。また、予備系統63に割り当てる周波数帯域を30/8MHzより小さくし、予備系統63が実施するIFFTポイント数を2N/8ポイントより小さくする構成としても良い。この場合、IFFTポイント数の変更に応じて、IFFT処理後の信号に対して補間部60−106でのアップサンプルの量を変更する。
【0100】
なお、ユーザリンクが使用する30MHzの周波数帯域の分割および予備系統の帯域は、図16のような等分割ではなく、たとえば、制御部11または制御部64が、各セルにおける通信量の見積もりを行い、その見積もり結果を反映するなどして、適応的な分割を行っても良い。また、その場合、予備用周波数としての帯域を割り当てなくても良い。
【0101】
図18は、補間部と周波数変換部の別の構成例を示す図である。図15に示した構成では、補間部60−kがデータポイントを2M(M=自然数)倍になるよう信号を補間し、周波数変換部61−kが、補間後の信号を周波数変換しているが、補間部60−kと周波数変換部61−kの替わりに、図18に示すような2倍補間部70−1と、周波数変換部71−1との組がM組直列に並ぶような構成でも良い。図18の構成例の場合、2倍補間部70−1〜70−Mは、少量の回路規模で実現できることが知られており、図18に示す構成とすることにより、図15の構成よりさらに回路規模を削減することができる。
【0102】
つぎに、衛星局が地上端末から信号を受信した場合の処理を行う際の、FFT部の回路規模を削減する手法について述べる。実施の形態1の図11に示したFFT部37−k(k=1,2,…,105)は、2NポイントのFFT処理を実施する。本実施の形態では、FFT部37−kのFFTポイント数を2Nポイントから2(N-3)ポイントに削減するために、あらかじめ地上端末が使用する周波数帯域を、地上端末が位置するエリアに応じて、図16に示すような30MHzを8分割した周波数帯域(CH#1〜CH#8)に割り当てるものとする。このようにあらかじめ地上端末が使用する周波数帯域(帯域幅:30/8MHz)を決めておくことによって、FFT部は、30MHzではなく、受信信号が存在する30/8MHzの周波数帯域に対してFFT処理を実施すればよいため、FFTポイント数も2Nポイントから2N/8ポイントとなり、FFT部の回路規模を実施の形態1に比べ1/8以下に削減することが可能である。
【0103】
図19は、本実施の形態の衛星局の地上端末から信号の受信処理を行う構成要素の一例を示す図である。図19に示すように、本実施の形態の衛星局では、地上端末から信号の受信処理を行う構成要素は、実施の形態1の図11で示した構成要素に、周波数変換部80−1〜80−105と、間引き部81−1〜81−105と、予備系統82と、を追加し、FFT部37−1〜37−105の替わりにFFT部37a−1〜37a−105を備える以外は実施の形態1と同様である。また、スイッチマトリックス部38以降の処理を行う構成要素は実施の形態1で示した図12と同様である。
【0104】
受信アンテナ30−kが地上端末から送信された信号を受信してから、間引き部35−kまでの処理は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。本実施の形態では、地上端末から送信される信号が、前述の通り、あらかじめ各セル(各ビーム)に割り当てられた30/8MHz内の帯域を使っているものとする。周波数変換部80−kは、間引き部35−kから出力される受信信号(間引き信号)に対して、割り当てられている帯域の中心周波数を0MHzに変換するような、周波数変換を行う。間引き部81−kは、受信信号に対して1/8の間引き処理を実施する。
【0105】
図20は、本実施の形態の周波数変換部80−3と間引き部81−3の処理の信号処理の概念を示す図である。図20の上段(a)は、間引き部35−3から出力される信号の一例を示したものであり、ここでは間引き部35−3に対応するビーム#3には周波数帯域としてCH#3が割り当てられているとする。図20の中段(b)は、周波数変換部80−3が間引き部35−3から出力されるCH#3の周波数の信号に対して周波数変換を行った後の周波数の一例を示している。このように、CH#3の周波数帯の信号が0を中心とする周波数に変換される。図20の下段(c)は、間引き部81−3が、周波数変換部80−3により周波数変換された信号に対して間引き処理を実施した結果の一例を示している。
【0106】
ウィンドウィング部36−kは、1/8に間引きされた受信信号に対して実施の形態1と同様に窓関数を乗算し、FFT37a−kは、窓関数が乗算された受信信号に対して2N/8ポイントのFFT処理を実施する。では、2NポイントのFFT処理を行っていたが、以上述べたように、実施の形態1に比べFFT部37a−kの回路規模は、あらかじめ地上端末の使用する周波数帯域を地上端末が位置するエリアによって定めることによって、2NポイントのFFT処理を行う実施の形態1のFFT部37−kに比べ1/8以下に抑えることが可能である。
【0107】
また、周波数利用に柔軟性を持たせるため、本実施の形態では、受信アンテナ部30−1〜30−105に接続されない、予備系統82を備える。予備系統82は、周波数変換部80−k,間引き部81−k,ウィンドウィング部36−k,FFT部37a−kとそれぞれ同様の機能を有する周波数変換部80−106,間引き部81−106,ウィンドウィング部36−106,FFT部37a−106で構成される。
【0108】
たとえば、図16に示したように周波数帯域を分割して各セルへの割り当てを行っている場合、CH#3を用いるビーム#3に通信が集中し、30/8MHz以上の帯域が必要であるとする。このとき、ビーム#3が使用する周波数帯域として、CH#3に加え、予備用周波数であるCH#8を割り当てる。この割り当てを行うか否かは、制御部63が判断し、予備用周波数を用いる旨をビーム#3に対応するセルに通知することとする。ビーム#3に対応する受信アンテナ30−3は、60/8MHzの信号を受信することになる。受信アンテナ30−3が受信した信号は、上記と同様に間引き部35−3までの処理が施された後、間引き部35−3は、制御部64の指示に基づいて、間引き信号を、後段の周波数変換部80−3と、予備系統82の周波数変換部80−106と、に出力する。
【0109】
なお、制御部64は、周波数割り当ての情報(どのセルにどの周波数帯が割り当てられているか)を管理し、予備用周波数を用いる場合に、予備用周波数を割り当てるビームに対応する間引き部に対して、間引き信号を予備系統82の周波数変換部80−106へも出力するよう指示することとする。
【0110】
その後、周波数変換部80−3は、CH3の信号を中心周波数0MHzに、予備系統の周波数変換部80−106は、CH8の信号を中心周波数0MHzに周波数変換する。間引き部81−3と予備系統の間引き部81−106は、それぞれの信号に対して1/8間引き処理を行う。
【0111】
図21は、本実施の形態の周波数変換部80−3〜FFT部37a−3の処理と予備系統82の処理の概念を示す図である。図21の(a)は、間引き部35−3から出力される間引き信号の一例を示したものであり、ビーム#3に周波数が割り当てられているCH#3とCH#8に信号が存在している。図21の横軸は周波数を示している。図21の(b)は周波数変換部80−3がCH#3の信号に対して周波数変換を実施した後の信号を示し、図21の(c)は、予備系統82の周波数変換部80−106がCH#8の信号に対して周波数変換を実施した後の信号を示している。また、図21の(d),(e)は、間引き部81−3,間引き部81−106がそれぞれ間引き処理を実施した結果を示している。
【0112】
なお、予備系統82は複数有していても良いし、また予備系統82の処理帯域は30/8MHzより大きくても小さくても良い。図21では、一例としてビーム#3に通信が集中した場合を述べたが、ビーム#1からビーム#105までいずれのビームに通信の集中が発生した場合も、また複数ビームに通信の集中が発生した場合も、複数の予備系統を活用することで、柔軟な周波数利用を実現することができる。
【0113】
なお、予備系統82からの入力に備え、スイッチマトリックス38の第4RAM部は、105+予備系統82の数で構成する。これに伴い、予備系統82からの信号が入力される第4RAM部に接続する信号ソート部に入力される信号線、その信号ソート部から出力される信号線の本数も増加する。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
【0114】
以上のように、本実施の形態では、周波数帯域をクラスタ内のセル数+1で分割し、各セルに分割した周波数帯を割り当て、IFFT部21a−kおよびFFT部37a−kが2N/8ポイントのFFT処理を実施するようにした。そのため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、実施の形態1に比べの回路規模を1/8以下に削減することができる。なお、予備系統63および予備系統82を構成するための回路は増えるものの、IFFT部21a−kおよびFFT部37a−kにおいて達成できる削減量から比べると相対的に小さなものであり、これらの回路増加分を考慮しても、全体で約1/7以下に削減するが可能である。
【0115】
なお、本実施の形態では7セル周波数繰り返しの場合を例としたが、Kセル周波数繰り返しでは、実施の形態1に比べ回路規模は1/Kとなる。
【0116】
実施の形態3.
図22は、本発明にかかる衛星局の実施の形態3の機能構成例を示す図である。図22は、地上局から受信した信号を地上端末へ送信する処理を実施する構成要素のうちスイッチマトリックス10までの構成要素をしめしている。実施の形態1と同一の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。図22に示すように、本実施の形態の衛星局は、図1で示した構成からウィンドウィング部7−1〜7−15を削除し、電力変換部90−1〜90−15と、タイミング抽出部91−1〜91−15と、を追加する以外は、実施の形態1の図1の構成と同様である。
【0117】
本実施の形態では、実施の形態1のFFT部9−i(i=1,2,…,15)およびIFFT部21−k(i=1,2,…,105)、または実施の形態2のFFT部9−iおよびIFFT部21a−kの演算量削減を図る。以降の説明では、実施の形態1に対して演算量を削減する場合を例に説明するが、実施の形態2についても、同様に演算量の削減を行うことができる。
【0118】
FFT演算では、実施の形態1で述べた通り、FFT演算区間両端で信号の連続性がない(両端の値が異なる)ことにより高調波が発生して不要なスペクトラムが生じ、特性劣化へと繋がる。そこで、実施の形態1では、窓関数を乗算してこの劣化を防ぐが、窓関数の乗算により信号が失われる可能性がある。したがって、実施の形態1では、窓関数の乗算範囲が異なる2系列の信号を並行して求め、両者をそれぞれFFT/IFFT処理した後に信号合成部23−kが合成することで、FFT演算区間の連続性を確保するという手法をとっていた。そのため、実施の形態1で示す図1のFFT部9−i、スイッチマトリックス部10の構成要素およびIFFT部21−kは、それぞれの系統に対応するため2つずつ必要であり、回路規模が大きくなってしまうという問題がある。実施の形態2についても同様である。
【0119】
実施の形態1では地上局が衛星局に送信する信号はバースト伝送信号を前提としていたが、本実施の形態では送信信号のフレーム化を行い、衛星局でFFT処理を行う際、FFT演算区間の両端が0になるように構成されたフレーム信号を地上局から送信する。このようなフレーム構成とすることにより、データの両端はいずれもほぼ“0”となり同じ数値であるため連続性が確保でき窓関数の乗算を行う必要がない。したがって、FFT部9−i、スイッチマトリックス部10は、1系統の信号の処理を行えばよいことになる。
【0120】
図23は、本実施の形態の送信信号のフレーム構成の一例を示す図である。本実施の形態では、図23に示すように、送信信号のフレーム化を行い、FFT演算区間の両端に対応する部分に送信信号の無い区間(値が0の区間)を設けることで、信号の連続性を確保する。ただし、この場合、衛星局で受信した地上局からの信号に対してFFT演算処理を施す際、FFT演算区間の両端が必ず無信号となるような、意図した正しい区間でFFT演算処理を実施する必要がある。したがって、衛星局では、受信した信号に基づきFFT演算タイミングを決定する必要がある。
【0121】
そのため、本実施の形態では、図22に示したように、間引き部6−iが間引き処理を行った受信信号(間引き信号)に対して電力変換を行う電力変換部90−iと、変換された電力に基づいて無信号区間を検知し、FFT演算タイミングをFFT演算部9−iへ出力するタイミング抽出部91−iと、を備える。受信アンテナ1が地上局から送信された信号を受信してから、間引き部6−iまでの処理は、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0122】
電力変換部90−iは、間引き部6において間引き処理された受信信号の電力変換を行う。タイミング抽出部91−iは、電力情報に基づいて、無信号区間を検知し、無信号区間の所定の位置であるFFT演算開始位置(FFT開始タイミング)を、FFT演算部9へと送信する。無信号区間のうち、どの位置がFFT演算開始位置であるか(たとえば、無信号区間の中央位置等)は、あらかじめ定めておくとする。FFT演算部9−iは、タイミング抽出部91−iから入力されたFFT演算開始位置に基づき、FFT処理を実施する。
【0123】
図24は、本実施の形態のFFT演算開始位置の検出処理の概念を示す図である。図24の(a)は、間引き部6−iから出力される受信信号のイメージを示している。受信信号はフレーム化されているため、図24の(a)に示すように、送信データであるDataの間に、無信号部分(空白の部分)が存在する。図24の(b)は電力変換部90−iが、図24の(a)に示した間引き部6−iから出力される受信信号を電力変換した後の電力のイメージを示している。タイミング抽出部91−iは、図24の(b)の電力に基づいて、電力値が低い区間、すなわち信号が存在しない区間を検出し、その区間のうちの所定の位置であるFFT演算開始位置を抽出する。タイミング抽出部91−iが抽出したFFT演算開始位置は、FFT部9−iに出力され、FFT部9−iは図24の(c)に示すように、タイミング抽出部91−iから入力されたFFT演算開始位置をFFT演算の開始位置としてFFT処理を実行する。
【0124】
上記のようにFFT演算を実施することにより、FFT部9−i、IFFT部21−kおよびスイッチマトリックス部10は、窓関数の乗算位置の異なる2系統の信号に対応する必要がなく、1系統の信号の処理を行えばよいことになる。したがって、実施の形態1のFFT部9−i、IFFT部21−kおよびスイッチマトリックス部10が2系統に対応するために2つずつ備えていた構成要素は本実施の形態では1つずつ備えればよいことになる。本実施の形態のFFT部9−i、IFFT部21−kおよびスイッチマトリックス部10と窓関数の2系統を1系統とする以外は実施の形態1と同様である。また、本実施の形態では、IFFT部21−kの後の信号合成部23−kは不要であり、IFFT部21−kの処理後の信号は補間部24−kに出力される。補間部24−k以降の構成要素および処理は実施の形態1と同様である。
【0125】
なお、タイミング抽出部91−iは、FFT演算開始位置の抽出の際に、受信信号の電力を複数のフレームの信号を用いてフレーム周期で複数回平均化した結果を用いて、信号が存在しない区間(=電力値が少ない区間)を求めても良い。その際、平均値の算出に用いる値に対して、重み付けをするような平均値の計算手法を用いても良い。
【0126】
なお、本実施の形態では、受信信号の電力を用いてFFT演算開始位置を求めるようにしたが、これに限らず、衛星局で受信信号を再生し、信号フレームの先頭に挿入された固定パターン信号を検出して、固定パターンの位置に基づいてFFT演算開始位置のタイミングを求めるようにしても良い。
【0127】
また、受信信号に基づいてFFT演算開始位置を抽出するのではなく、GPS(Global Positioning System)などを用いて、地上局と衛星局の同期をとり、信号の送受信を行うことによりFFT演算開始位置を決定するようにしてもよい。この場合、衛星局が、地上局と同期をとっているため、地上から送信される信号を受信するタイミングを把握可能であり、地上局が衛星局に対してFFT演算開始位置を意図した場所に設定することができる。
【0128】
また、地上局と衛星局の間で、フィーダリンクとは異なる回線を用いて通信を行い、その通信により地上局から送信されるコマンド信号などを参照し、衛星局はFFT演算開始位置を決定しても良い。
【0129】
地上端末は、衛星局から受信した信号に基づいて、衛星局と同じく受信電力や信号フレームの先頭に挿入された固定パターンを検出することにより、FFT演算開始位置を抽出して信号を復調する。
【0130】
また、衛星局が各地上局端末から信号を受信する場合については、衛星局が行うFFT処理の際のFFT演算位置を固定とし、地上局端末が信号を送信するタイミングを制御することで、所望の位置でFFT演算を実施することが可能である。
【0131】
一例として、地上端末が、衛星局から地上端末に信号を送った際の遅延時間を考慮し、その遅延時間に基づいて求めたタイミングで、地上端末から衛星局に信号を送出する方法を挙げる。
【0132】
図25は、本実施の形態の遅延時間の算出方法の一例を示す図である。図25の(a)は衛星局が地上局から受信した信号の一例を示す。上述のようにタイミング抽出部91−iはFFT演算開始位置を抽出する。図25の(b)は、FFT演算開始位置をパルスとして生成した場合のパルス信号の一例を示す図である。FFT部9−iは、図25の(b)に示すパルスが立つ位置をFFT演算開始位置として、FFT演算を実行する。
【0133】
図25の(c)は、図25の(b)で示したパルス信号を基準としたときに、衛星局から地上端末に信号が送出される時点に対応するパルス信号の一例を示したものである。衛星局では、FFT部9−iで演算が行われてから地上端末への送信信号として生成のための処理時間(処理遅延)により、図25の(b)より遅延時間D1だけ遅延して送信される。遅延時間D1については固定遅延であるため、あらかじめ把握可能である。
【0134】
図25の(d)は、図25の(c)のパルス位置を基準としたときの、地上端末が衛星局から信号を受信し復調処理を行った時点に対応するパルス信号の一例を示したものである。図25の(d)は、図25の(c)のパルス位置と比べ、衛星局から地上端末への伝搬遅延による伝搬遅延時間D2と、地上端末での復調処理に係る復調遅延時間D3と、を加算した時間だけ遅延する。なお、伝搬遅延時間D2については地上端末の位置によって異なるが、地上端末の位置情報を取得することにより、衛星局との距離を把握可能であり、地上端末が衛星局との距離を把握することで、伝搬遅延時間D2も把握可能である。また、地上端末の復調遅延時間D3についても、固定であるためあらかじめ把握可能である。
【0135】
以上より、衛星局のFFT部9−iがFFT演算を実施してから地上端末が、衛星局から送信された信号を復調するまでの遅延時間(衛星局から地上端末までの遅延時間)はD1+D2+D3であり、これらの遅延時間は算出可能である。また、同様に、地上端末が信号を送信してから、その信号を衛星局がFFT演算を実施するまでの遅延時間(地上端末から衛星局までの遅延時間)も算出可能である。地上端末は、衛星局から地上端末までの遅延時間と地上端末から衛星局までの遅延時間と、を算出し、算出した遅延時間に基づいて、正しい位置でFFT演算が実施されるよう衛星局に対する送信信号の送信タイミングを制御する。この地上端末での送信制御により、衛星局は固定タイミングでFFT演算処理を行うことで、所望のタイミングでFFT演算を実施することが可能である。
【0136】
このような処理を実施することにより、地上局から送信された信号に対する処理の場合と同様に、地上端末から送信された信号の処理の際にも、FFT部37−k、スイッチマトリックス部38およびIFFT部41−iをそれぞれ1系統のみの構成とすることができ、また、信号合成部42−iを不要とすることができる。なお、地上局端末が以上のような送信制御を実施する替わりに、地上局から送信された信号と同様にフレーム化を行い、無信号区間を設けることで、演算開始位置を検出する方法としてもよい。
【0137】
なお、衛星局からは一般にビーコン情報が送信されているが、地上端末が、このビーコン情報を基に衛星局へ信号を送信する行うことで、衛星局が地上端末から送信される信号の受信タイミングを把握しても良い。すなわち、地上端末がビーコン情報に基づいて、送信信号のタイミングを制御する。また、GPSを用いて衛星局と地上端末間の同期をとることで、衛星局が地上端末から送信される信号の受信タイミングを把握しても良い。
【0138】
また、衛星局から地上局に送信される信号に関しても、地上局は地上端末と同じ方法で遅延時間に基づいてFFT演算開始位置を検出することが可能である。したがって、地上局から送信される信号についても、衛星局ではFFT演算開始位置を固定とし、地上局が遅延時間に基づいて送信を制御するようにしてもよい。また、地上局から衛星局へのアップリンク同様、フィーダリンクとは異なる回線を用いて、地上局が衛星局からFFT演算開始位置に関する情報を得て、その情報を基にFFT演算開始位置を抽出しても良い。
【0139】
以上のように本実施の形態では、送信信号をフレーム化して送信データの間に無信号区間を設けて、FFT演算区間の連続性が保たれるようにし、衛星局の電力変換部90−iが受信信号を電力変換し、タイミング抽出部91−iが変換した電力に基づいてFFT演算開始位置を抽出し、FFT部9−iが抽出したFFT演算開始位置に基づいてFFT演算を実施するようにした。そのため、衛星局のウィンドニング部7−iや信号合成部23−iを不要とでき、また、従来2つずつ必要としていたFFT部9−i、スイッチマトリックス部10およびIFFT部21−kも1つずつ備えればよい。したがって、本実施の形態では、回路規模を従来の1/2以下に削減することが可能である。また、実施の形態2についても、本実施の形態と同様の構成の変更を実施し、本実施の形態と同様の動作を実施することで、回路規模を削減することができる。
【0140】
なお、本実施の形態では、送信信号のフレーム化を行う例を説明したが、フレーム化を行わずに衛星局で、実施の形態1と同様に、ウィンドウィング部7−iが窓関数乗算処理を行ってもよい。ただし窓関数乗算範囲をずらした信号は生成しない。この場合、窓関数が乗算された受信信号は、窓関数乗算部分の信号情報が欠落するが、誤り訂正処理を用いて失われた信号を補うことで、システムに要求される誤り率を満たした通信を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のように、本発明にかかる衛星通信装置および衛星通信システムは、複数のキャリア信号が合成された多重信号から各キャリア信号を抽出し、複数のキャリア信号を多重して送信する通信システムに有用であり、特に、柔軟な周波数利用を要求される通信システムに適している。
【符号の説明】
【0142】
1,30−1〜30−105 受信アンテナ
2−1〜2−15,31−1〜31−105,27−1〜27−105,46−1〜46−15,61−1〜61−106,80−1〜80−106 周波数変換部
3−1〜3−15,32−1〜32−15 A/D変換部
4−1〜4−15,33−1〜33−15 直交検波部
5−1〜5−15,34−1〜34−105 LPF部
6−1〜6−15,35−1〜35−105,81−1〜81−106 間引き部
7−1〜7−15,36−1〜36−106 ウィンドウィング部
9−1〜9−15,37−1〜37−105,37a−1〜37a−106 FFT部
10,38 スイッチマトリックス部
11,64 制御部
14−1〜14−15 第1RAM部
15−1〜15−15,51−1〜51−15,53−1〜53−15 信号ソート部
16−1〜16−15 第2RAM部
17−1〜17−105 第3RAM部
21−1〜21−105,41−1〜41−15,21a−1〜21a−106 IFFT部
23−1〜23−106,42−1〜42−15 信号合成部
24−1〜24−105,43−1〜43−15,60−1〜60−106 補間部
25−1〜25−105,44−1〜44−15 直交変調部
26−1〜26−105,45−1〜45−15 D/A変換部
28−1〜28−105 送信アンテナ
47 加算部
50−1〜50−105 第4RAM部
52−1〜52−15 第5RAM部
54−1〜54−15 第6RAM部
62−1〜62−105 予備系統合成部
63,82 予備系統
90−1〜90−15 電力変換部
91−1〜91−15 タイミング抽出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のキャリア信号が合成された多重信号から各キャリア信号を抽出し、抽また、複数のキャリア信号を多重して送信する衛星通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星局が、複数のキャリア信号の多重された受信信号を分解して各キャリア信号を抽出する分波処理と、また反対に複数のキャリア信号を多重して送信信号を生成する合波処理と、をディジタル信号処理により実現する技術が提案されている。このような技術の一例が、たとえば、下記非特許文献1に記載されている。
【0003】
下記非特許文献1に記載されているように、M(Mは自然数)個のキャリア信号で構成される多重信号をZ変換したものをY(z)とし、Y(z)がフィルタH(z)を通過したとすると、その多重信号を構成するキャリア番号k(k=0〜M−1)の信号をZ変換したXk(z)は、以下の式(1)で表すことができる。なお、fkはキャリア周波数とし、Fsは信号のサンプリング周波数とする。
【0004】
【数1】
【0005】
フィルタH(z)を、fs=Fs/Mで動作するM個のサブフィルタHi(zM)(i=0〜M−1)と遅延成分z-iに分解し、さらに信号Xk(z)を1/Mにデシメーションした信号Xk(zM)は、以下の式(2)のように表すことができる。
【0006】
【数2】
【0007】
したがって、下記非特許文献1に記載されているように、遅延部、サブフィルタ部および位相オフセット乗算部を1組とする処理部をM個並列に備え、つぎのような動作を行うことで、M個のキャリア信号に対する分波処理を施すことができる。まず、M個の遅延部がM個のキャリア信号が多重された多重信号に対し、自身に設定された遅延量で遅延調整を行う。そして、サブフィルタ部が遅延調整後の信号をろ波し、位相オフセット乗算部が、ろ波後の信号にそれぞれωj(j=1〜M)の位相オフセットを与える。そして、FFT(Fast Fourier Transform)部が、位相オフセットを与えた後の信号に対してMポイントのFFTを施すことによりM個のキャリア信号に分波した信号を得る。
【0008】
また、合波処理については、M個の信号Xk(z)がフィルタH´(z)を通過した後に、多重された信号をY(z´)とするとき、Y(z´)は以下の式(3)のように表すことができる。
【0009】
【数3】
【0010】
ここで、分波処理と同様、フィルタH´(z)をfs=Fs/Mで動作するM個のサブフィルタH´i(zM)と遅延成分z-iに分解すると、上記式(3)は下記式(4)のように表すことができる。
【0011】
【数4】
【0012】
したがって、合波処理は、M個の各信号に対してMポイントIFFT処理が施すIFFT部と、ω0からωM-1までの位相オフセットを各信号に与える位相オフセット乗算部と、各信号をろ波するサブフィルタ部と、ろ波後の信号に遅延時間を与える遅延部と、を備える構成により実現できる。
【0013】
一方、下記非特許文献2に示されるように、衛星局を介して地上局と地上端末とが通信を行う衛星通信システムにおいて、衛星局に大型アンテナを搭載し、サービスエリアである日本および日本近辺を100程度のセルで構成するようなセル設計を行い、それらの各セルをマルチビームで覆う構想が進められている。
【0014】
下記非特許文献2に記載されるシステムでは、地上局−衛星局(以降、この回線をフィーダリンクと呼ぶ)と、衛星局−各地上端末(以降、この回線をユーザリンクと呼ぶ)は、上り回線,下り回線ともに、異なる周波数帯域を用いており、フィーダリンクにはKa帯の450MHz、ユーザリンクにはS帯の30MHzを用いている。なお、ユーザリンクは、サービスエリアが100程度のセルで構成されるようセル設計を行い、衛星局から地上には、径の小さいマルチビームを照射することが検討されている。このシステムでは、周波数利用効率の観点から30MHzの周波数帯を分割して7セルで異なる周波数帯を使用し、その7セルを1まとまりとして複数ヶ所で同じ周波数を使用する、7セル周波数繰り返しシステムが想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Fumio Takahata et al.,“A PSK Group Modem for Satellite Communications”,IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.SAC−5,NO.4,1987年
【非特許文献2】蓑輪正ら,“安心・安全のための地上/衛星統合移動通信システム”,電子情報通信学会論文誌B,Vol.J91−B,No.12,pp.1629−1640,2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来の非特許文献1に記載の技術によれば、分波処理/合波処理で、フィルタH(z)をM個に分解したサブフィルタHi(z)を用いているが、サブフィルタHi(z)の周波数帯域はiの値によらず同一である。そのため、周波数帯域が同一である複数の信号が多重された信号を分波処理したり、複数の同一帯域信号を合波処理したりすることは可能であるが、帯域の異なる信号が多重された信号の分波処理や、帯域の異なる信号を合波処理することはできない、という問題があった。
【0017】
また、上記従来の非特許文献1に記載の技術では、各キャリア信号の帯域が等間隔に並ぶような信号の分波処理および合波処理は可能であるが、各キャリア信号の帯域が等間隔でない場合や各キャリア信号の帯域幅が等しくない場合に対応できないため、それらの信号に対して分波処理および合波処理を行うことができない。そのため、上記非特許文献2に記載のシステムに、上記従来の非特許文献1の技術を採用した場合、同一の周波数配置の信号にしか対応できず、周波数配置に自由度がない。したがって、各セルの状態に応じてそのセルで使用する周波数を変えることができず、周波数利用効率を最適化できない(柔軟な周波数利用ができない)、という問題があった。また、柔軟な周波数利用ができないため、提供サービスに制限ができる、といった問題があった。
【0018】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、従来に比べ、自由に伝送レートを設定でき、また自由に周波数を配置することのできる衛星通信装置および衛星通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の前記分波信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を送信する衛星通信装置であって、受信信号をFFT処理により周波数領域信号に変換し、前記周波数領域信号を前記分波信号とするFFT処理手段と、前記分波信号を宛先ごとに振り分けるスイッチマトリックス手段と、前記スイッチマトリックス手段による振り分け後の分波信号を、同一宛先ごとにIFFT処理を施すことにより時間領域信号に変換し、前記時間領域信号を合波信号とするIFFT処理手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、地上端末へ送信するFFT処理後の周波数領域信号に対して、スイッチマトリックス部10が、各々の信号の宛て先番号に基づいてクラスタ単位で振り分けを行い、クラスタ単位で振り分けられた信号をさらに宛て先のセルごとに振り分け、そして、振り分けた後の信号にIFFT処理を実施し時間領域の信号に戻して、各セルに送信するようにしたので、従来に比べ、自由に伝送レートを設定でき、また自由に周波数を配置することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明にかかる衛星通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、受信信号に対して乗算区間をずらした窓関数を乗算した乗算結果の一例を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1の衛星局のスイッチマトリックス部以降の構成例を示す図である。
【図4】図4は、マトリックス部の構成例を示す図である。
【図5】図5は、FFT部によってFFT処理された結果の一例を示す図である。
【図6】図6は、クラスタの構成例を示す図である。
【図7】図7は、宛先番号と出力先の信号ソート部との対応の一例を示す図である。
【図8】図8は、信号ソート部の入出力信号と第2RAM部に格納される信号の一例を示す図である。
【図9】図9は、スイッチマトリックス部の処理の流れの一例を示す図である。
【図10】図10は、合成処理のイメージを示す図である。
【図11】図11は、実施の形態1の衛星局の地上端末からの信号を受信しスイッチマトリックス部に入力されるまでの処理を行う機能部の構成例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態1の衛星局の、地上端末から受信した信号に対するスイッチマトリックス部以降の処理を行う構成要素の一例を示す図である。
【図13】図13は、スイッチマトリックス部の構成例を示す図である。
【図14−1】図14−1は、等間隔の周波数配置の例を示す図である。
【図14−2】図14−2は、等間隔でない周波数配置の例を示す図である。
【図14−3】図14−3は、周波数帯幅が一定でない周波数配置の例を示す図である。
【図15】図15は、実施の形態2の衛星局の機能構成例を示す図である。
【図16】図16は、実施の形態2の周波数帯域の分割例を示す図である。
【図17】図17は、予備系統を3つ備える場合の周波数利用の概念を示す図である。
【図18】図18は、補間部と周波数変換部の別の構成例を示す図である。
【図19】図19は、実施の形態2の衛星局の地上端末から信号の受信処理を行う構成要素の一例を示す図である。
【図20】図20は、実施の形態2の周波数変換部と間引き部の処理の信号処理の概念を示す図である。
【図21】図21は、実施の形態2の周波数変換部〜FFT部の処理と予備系統の処理の概念を示す図である。
【図22】図22は、実施の形態3の衛星局の機能構成例を示す図である。
【図23】図23は、実施の形態3の送信信号のフレーム構成の一例を示す図である。
【図24】図24は、実施の形態3のFFT演算開始位置の検出処理の概念を示す図である。
【図25】図25は、実施の形態3の遅延時間の算出方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる衛星通信装置および衛星通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる衛星通信装置(衛星局)の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の衛星局は、受信アンテナ1と、周波数変換部2−1〜2−15と、A/D(Analog/Digital)変換部3−1〜3−15と、直交検波部4−1〜4−15と、LPF(Low Pass Filter)部5−1〜5−15と、間引き部6−1〜6−15と、ウィンドウィング部7−1〜7−15と、FFT(Fast Fourier Transform)部9−1〜9−15と、スイッチマトリックス部10と、制御部11と、を備えている。
【0024】
本実施の形態の衛星局は、サービスエリアを105のセルで構成することとし、105のセルに対してユーザ向けの信号をそれぞれ送信する。また、本実施の形態の衛星局は、地上局から送信された信号を受信し、受信信号の分波処理を行って各キャリア信号を抽出し、抽出されたキャリア信号の並び替えを行い、105の宛先(105のセル)ごとにキャリア信号の合波処理を行って、衛星局から地上端末に送信する。図1では、分波処理を行い、分波後の受信信号がスイッチマトリックスに信号が入力されるまでの処理を行う構成要素を示している。
【0025】
また、本実施の形態では、地上局から衛星局に対して、Ka帯の信号(フィーダリンク信号)が送信される。このフィーダリンク信号は、帯域幅450MHzであり、複数のキャリア信号で構成されている。
【0026】
図1に示した衛星局の受信アンテナ1は、地上局から送信されたフィーダリンク信号を受信する。周波数変換部2は、受信アンテナ1が受信した信号の周波数帯域をKa帯からIF(Intermediate Frequency)帯へと変換する。
【0027】
なお、衛星搭載用ハードウェア性能の観点からフィーダリンク信号の450MHzの帯域の信号を一括で変換することは困難であると考えられるため、複数の周波数変換部を備えることとし、450Hzを分割し、各々の周波数変換部が分割した帯域の信号を周波数変換することとする。ここでは、一例として、1つの周波数変換部が変換する信号の帯域幅を30Hzとし、15(=450÷30)個の周波数変換部(周波数変換部2−1〜2−15)を備えることとする。なお、周波数変換部2−1〜2−15が変換する周波数帯域は必ずしも30MHzでなくても良く、また、将来的にハードウェア性能の向上した場合などには、450MHzの帯域幅の信号を一括で周波数変換を行っても良い。
【0028】
A/D変換部3−i(i=1,2,…,15)は、IF帯に周波数変換された受信信号をアナログ信号からディジタル受信信号へと変換する。直交検波部4−iは、ディジタル受信信号の直交検波を行い、ディジタル受信信号をIF帯からベースバンド信号へと変換すると共に、ベースバンド信号の同相(Ich)信号および直交(Qch)信号を出力する。LPF部5−iは、ベースバンド信号の同相(Ich)信号および直交(Qch)信号に対して、直交検波処理に伴って生じた不要な高調波成分をカットするためのフィルタリングを行う。なお、本実施の形態では、一度受信信号を無線周波数帯(Ka帯)からIF帯へと変換した後でベースバンドに変換しているが、受信信号を無線周波数帯からベースバンドに直接変換するダイレクトコンバージョン方式を用いても良い。
【0029】
間引き部6−iは、フィルタリング後のベースバンド信号に対して間引き処理を行うことで、A/D変換部3−iのサンプリング速度よりも低いサンプリングレートの間引き信号を生成する。なお、間引き部6によって行う間引き処理は、後段の回路規模削減、消費電力低下を目的とするものであり、必ずしも必要ではなく場合によっては省略可能である。
【0030】
ウィンドウィング部7−iは、間引き信号に対して窓関数を乗算し、乗算結果を出力する窓関数乗算手段である。後段のFFT部9−iでは間引き信号に対してFFT演算処理が施されるが、FFT演算を行う区間の両端に連続性がない場合、不要な高調波が発生し、性能の劣化要因となる。そのため、受信信号のFFT区間の両端が連続性を有するように、ウィンドウィング部7−iが、各FFT演算区間に対して窓関数を乗算する。窓関数の代表例として、例えばハニング窓が挙げられるが、ある区間の両端が同じ値に収束する関数であれば、ハニング窓でなくとも良い。
【0031】
なお、窓関数を乗算した部分の受信信号情報が欠落してしまうため、ウィンドウィング部7は、FFT演算区間をτとするとき、間引き信号(受信信号)に窓関数を乗算する区間をτ/2だけ時間をずらした乗算結果も出力する。図2は、受信信号に対して乗算区間をずらした窓関数を乗算した乗算結果の一例を示す図である。図2の下側の(b)は上側の(a)に対してτ/2だけ窓関数の乗算する区間をずらした関係となっている。なお、ここでは理解しやすいよう、図2の時間信号(間引き信号)は一定値が連続するものとしている。図2に示すように、τ/2だけ時間をずらしているため、窓関数の乗算される区間が異なり、図2(a)と(b)を合わせて活用することにより、窓関数を乗算しても信号情報は欠落しない。
【0032】
FFT部9−iは、窓関数が乗算された間引き信号に対して、2NポイントのFFT処理を実施する。なお、図中には記載していないが、τ/2だけ時間をずらした信号についてもFFT処理を実行するため、各FFT部9−1〜9−15はそれぞれ2つずつのFFT演算部を備えている。FFT部9−iは、FFT処理により間引き信号を周波数領域信号に変換し、受信信号に含まれていた複数のキャリア信号を、周波数のサンプル単位(1サンプル=30MHz/2Nポイント)で抽出することができる。すなわち、FFT部9−iまでの処理で、複数のキャリア信号が多重されている受信信号を分波し、分波信号であるキャリア信号を抽出することができる。周波数領域信号は、スイッチマトリックス部10へ入力される。
【0033】
図3は、本実施の形態の衛星局のスイッチマトリックス部10以降の構成例を示す図である。図3に示すように、本実施の形態の衛星局は、スイッチマトリックス部10以降の処理を行う構成要素として、スイッチマトリックス部10と、制御部11と、IFFT部21−1〜21−105と、信号合成部23−1〜23−105と、補間部24−1〜24−105と、直交変調部25−1〜25−105と、D/A(Digital/Analog)変換部26−1〜26−105と、周波数変換部27−1〜27−105と、送信アンテナ28−1〜28−105と、を備える。
【0034】
スイッチマトリックス部10は、図1を用いて説明したように、15個の並列に並ぶ入FFT部9−1〜9−15から出力される周波数領域信号を、制御部11の制御情報に基づいて、105の宛先(信号の送信先)ごとに並び替えを行う。なおスイッチマトリックス部10もFFT部9−1〜9−15と同様に、図2に示すように、τ/2ずらさずに窓関数を乗算した間引き信号(受信信号)に対応する周波数領域信号と、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算した間引き信号に対応する周波数領域信号と、の2つの信号に対応する処理を行うが、その2つの信号に対する動作は同じである。したがって、以下では、τ/2ずらさずに窓関数を乗算した間引き信号(受信信号)に対応する周波数領域信号に対する処理について述べるが、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算した間引き信号に対応する周波数領域信号に対する処理もその処理と同様である。
【0035】
図4は、マトリックス部10の構成例を示す図である。本実施の形態のスイッチマトリックス部10は、第1RAM(Random Access Memory)部14−1〜14−15と、信号ソート部15−1〜15−15と、第2RAM部16−1〜16−15と、第3RAM部17−1〜17−105と、で構成される。
【0036】
FFT部9−iから出力された周波数領域の信号は、第1RAM部14−iに入力される。第1RAM部14−iは、データを保持するためのメモリを備えており、FFT部9−iで変換された周波数領域信号のうち、“有意な信号”のみを自身のメモリに格納する(書き込む)。以下、第1RAM部14−iに格納する“有意な信号”について説明する。
【0037】
図5は、FFT部9−iによってFFT処理された結果(周波数領域信号)の一例を示す図である。図5に示すように、FFT部9−iで変換された30MHz帯域の周波数領域信号のなかには、LPF部5−iのフィルタリングにより不要な成分として除去された信号成分のない領域(帯域外成分)が存在する。帯域外成分は情報を含まず、以後の信号処理に必要ではないため、第1RAM部14−iでは、本帯域外成分以外の信号(これを“有意な信号”とする)を格納する。この“有意な信号”のみ、すなわち帯域内の周波数成分の信号のみを格納することによって、第1RAM部14−iのメモリ容量を削減することができる。
【0038】
制御部11は、第1RAM部14−iに格納された信号を読み出して、その信号に対して、信号の宛先のセルを識別するための番号である宛先番号と各宛先のセルでの信号配置を規定するチャネル番号とを付加し、付加後の信号を第1RAM部14−iに格納する。第1RAM部14に格納された信号の宛先の数は105あり、第1RAM部14−1〜14−15に格納された各信号を105個の宛先(1〜105の宛先番号)に振り分ける必要がある。しかしながら、15個の第1RAM部(第1RAM部14−1〜14−15)に書き込まれている信号を、それぞれ105個の宛先に振り分けを実行するためには、信号線が1575本(=15×105)必要となる。これは、回路規模の観点から望ましいとは言えない。
【0039】
そこで、本実施の形態では、セル7個を1つのまとまり(以下、このまとまりをクラスタという)とし、クラスタを単位とする振り分けとクラスタ内の振り分けとの2段階で振り分けを行う。図6は、クラスタの構成例を示す図である。図中の#1,#2,…と記載された小円はセルを表し、各セル内に記載されている#の後ろに記した番号は、信号の宛先番号を示している。図6の例では、#1〜#7,#8〜#14,…の7つのセルを囲む太線の円が、クラスタを示している。
【0040】
まず、第1段階の振り分け処理では、第1RAM部14−1〜14−15に格納された信号を、クラスタ単位で振り分ける。図6に示したように、衛星局から信号を送信する地上の宛先(セル)を7つまとめた領域がクラスタである。なお、図6では、紙面の都合上、宛先番号は28までしか記載してないが、実際には宛先番号105までのセルが存在する。
【0041】
第1RAM部14−iは、保持している、宛先番号と出力先の信号ソート部との対応に基づいて、格納された信号をその信号に付加されている宛先番号に対応する信号ソート部15−1〜15−15へ出力する。図7は、宛先番号と出力先の信号ソート部との対応の一例を示す図である。図7に示すように、宛先番号と信号ソート部15−1〜15−15との対応付けておき、第1RAM部14−iは、このような対応を保持していることとする。この際、宛先となるセルの数は105であり、7個のセルで1つのクラスタを構成するため、クラスタ数は合計15(=105÷7)となる。したがって、各クラスタに対応する信号ソート部の個数は15個(信号ソート部15−1〜15−15)となる。なお、第1RAM部14−iがこの対応(宛先番号と出力先の信号ソート部との対応)を保持する替わりに、制御部11がこの対応を保持し、第1RAM部14−iに格納されているデータを読み出した際に、保持している対応に基づいて、対応する信号ソート部へ信号を出力するよう第1RAM部14−iへ指示するようにしてもよい。
【0042】
第1RAM部14−iから出力された信号が入力された信号ソート部15−j(j=1,2,…,15)は、入力された信号に対してトラフィックの均一化処理を行い、処理後の信号を第2RAM部16−jに出力する。第2RAM部16−jは、15個(信号ソート部への入力元の第1RAM部と同じ個数)のメモリを備え、信号ソート部15−jは、トラフィックの均一化処理により並び替えを行った後に第1RAM部14−iから出力された信号を第2RAM部16−j内のいずれかのメモリに出力する。
【0043】
ここで、信号ソート部15−jが行うトラフィックの均一化処理について説明する。図8は、信号ソート部15−jの入出力信号と第2RAM部16に格納される信号の一例を示す図である。なお、本実施の形態では、衛星局は第1RAM部を15個備え、宛先数を105としているが、説明を簡素化するため、図8の例では、第1RAM部14は3個、宛先のセル数は21(クラスタ数3個)としている。
【0044】
図8の(a)は、信号ソート部へ入力される信号を模式的に示している。図の縦方向は、時間を所定の時間単位で離散化した値を示している。横方向の入力#M(ここでは、M=1,2,3)は、信号ソート部15−j(この場合は、j=1,2,3)に第1RAM部14−Mから入力される信号を示しており、値がない箇所(空欄)は、入力される信号が存在しないことを示している。図中のA0,A1,…,B1,…,C1,…は、第1RAM部14−Mから入力される信号を説明するために付与した入力信号の識別番号であり、Aが先頭に付く識別番号は、第1RAM部14−1から入力された信号を、Bが先頭に付く識別番号は、第1RAM部14−2から入力された信号を、Cが先頭に付く識別番号は、第1RAM部14−3から入力された信号を、それぞれ示している。
【0045】
図8の(a)の各入力信号に着目すると、入力#1、入力#3の信号数が多いのに対し、入力#2の信号数が少ない。仮に信号ソート部15−1〜15−3が存在しない場合ない場合、第1RAM部14−jに入力された信号は、第2RAM部16−jに出力される。この場合、図8の(a)のように、各入力によって信号数のバラつきがあり、また信号の入力されない時間もあっても、第2RAM部16−jは第1RAM部14−jから出力された信号を、信号が存在しないデータも含めて全て自身の各メモリへ格納する必要がある。
【0046】
第2RAM部16−jは、たとえば、第1RAM部14−1から入力された信号は、自身のメモリ#1へ、第1RAM部14−2から入力された信号は自身のメモリ#2へ,…というように順に格納する。したがって、第2RAM部16−jは、Ra(Raは第1RAM14の数)×2N(2NはFFTポイント数)×SD(SDは各信号情報が持つビット数)を格納できるメモリ容量を備える必要がある。第2RAM部16−jは、図8の例では、3×2N×SDのメモリ容量が必要となり、Ra=15の図4の構成では、15×2N×SDのメモリ容量が必要となる。
【0047】
これに対し、本実施の形態では、信号ソート部15−jは、図8の(a)に示されるような入力信号を、図8の(b)のように、特定の出力先(特定のメモリ)に信号が集中しないようにトラフィックの均一化を行ってメモリへ出力する。なお、ここでは上述のとおり、第1RAM部の個数を3個としているため、第2RAM部16−jを構成するメモリは、メモリ#1〜メモリ#3までの3個とする。図8の(b)の横方向の出力#Mは、第2RAM部16−jのメモリ#Mに出力されることを示している。
【0048】
具体的には、たとえば、入力#1(信号ソート部15−1への入力)には、時間“0”と時間“1”で連続してA0,A1の信号の入力があるが、入力#2(信号ソート部15−2への入力)には、時間“0”には信号の入力がなく、時間“1”でB1の信号の入力があり、入力#3(信号ソート部15−3への入力)には、時間“0”と時間“1”の両方で信号の入力がない。このような場合、信号ソート部15−jは、時間“0”に入力された信号A0を出力#1として第2RAM部16−jのメモリ#2へ出力し、時間“1”に入力された信号A1を出力#2として第2RAM部16−jのメモリ#2へ出力する。また、信号ソート部15−2は、時間“1”に入力された信号B1を出力#3として第2RAM部16−jのメモリ#3へ出力する。
【0049】
このような動作を行うことにより、各信号の出力先は図8の(b)に示す出力先となる。例えば、図8の(a)では、入力#1に7個の信号(A0〜A6)、入力#2に3個(B1〜B3)の信号、入力#3に8個(C1〜C8)の信号と、トラフィックが偏っているのに対し、図8の(b)では、出力#1、出力#2、出力#3の全てに6個ずつ信号が割り振られ、トラフィックが均一化されている。このようにトラフィックを均一化するための具体的な出力先の選択方法は、どのような方法でもよいが、たとえば、所定の時間内に入力された信号に対して、出力先ごとの信号の個数を係数し、不均一な場合は、信号数の多い出力先の信号から所定の信号を選択し、選択した信号を他の出力先とする、という処理を出力先ごとの個数がなるべく等しくなるまで繰り返し、出力先を決定するなどの方法がある。
【0050】
信号ソート部15−jによってトラフィックの均一化が行われた後の信号は、図8の(c)に示すように、第2RAM部16−jは、各メモリに、必要な信号(入力信号の存在しない部分は除いた信号)を書き込む。なお、ここでは、第1RAM部の個数が3個の場合について説明したが、図4の構成のように第1RAM部の個数が15個の場合も、同様に、信号ソート部15−jは、第2RAM部16−jの15個のメモリに均一に出力されるよう出力先を選択する。
【0051】
このように、信号ソート部15−jが、入力される信号のトラフィックを均一化して出力することにより、第2RAM部16−jが必要とするメモリ容量を、2N×SDに、すなわち信号ソート部15−jが存在しない場合の1/Raに、削減することができる。図8の例(Ra=3)では、信号ソート部15−jを用いることにより、第2RAM部16−jのメモリ容量を1/3に、図4の構成(Ra=15)では1/15に、それぞれ削減できる。
【0052】
図4の構成例に基づく動作の説明に戻る。第1RAM部14−iは、以上のように格納されている信号をクラスタごとに対応する信号ソート部15−1〜15−15への振り分けを行い、各信号は信号ソート部15−j経由で第2RAM部16−jに書き込まれる。なお、1クラスタへの通信トラフィックがシステム帯域(30MHz)を越える可能性がある場合は、第2RAM部16−jのメモリ容量を、2N×SD+αとし、若干メモリ容量を増やしておくこととする。
【0053】
つぎに、第2段階の振り分け処理として、第2RAM部16−jは、自身のメモリ#1〜#15に格納されている信号を読み出し、その信号の宛先番号ごとに7個の第3RAM部(第3RAM部17−1〜17−15)に出力先を振り分ける。たとえば、第2RAM部16−1は、宛先番号が1の信号(セル#1を宛先とする信号)を第3RAM部17−1へ、宛先番号が2の信号(セル#2を宛先とする信号)を第3RAM部17−2へ、…、第2RAM部16−2は、宛先番号が8の信号(セル#8を宛先とする信号)を第3RAM部17−8へ、…と自身に接続する7つの第3RAM部へ宛先のセルごとに出力する。第3RAM部17−1〜17−105は、信号を保持するためのメモリを備えており、入力された信号をそのメモリに格納する。
【0054】
そして、IFFT部21−k(k=1,2,…,105)は、第3RAM部17−kに格納された信号をチャネル番号ごとに読み出し、チャネル番号ごとの信号を周波数領域信号とし、その周波数領域信号をIFFT処理により時間領域信号に変換する。
【0055】
図9は、スイッチマトリックス部10の処理の流れの一例を示す図である。図9では、紙面と説明簡素化の都合上、FFT部および第1RAM部を3つずつ備え、宛先のセル数が21(クラスタ数3個)の例を示している。図9の(1)は、FFT部9−1〜9−3から入力される周波数領域信号を示し、(2)は第1RAM部14−1〜14−3に書き込まれた信号を示し、(3)は第2RAM部16−1〜16−21に書き込まれた信号を示し、(4)は第3RAM部17−1〜17−21に書き込まれた信号を示している。また、図中の矩形は、各信号を示し、矩形のなかの番号は、その信号の宛先番号を示している。また、図9では、横軸に30MHzの帯域を0〜2Nのサンプルに離散化した値、すなわち周波数を示している。以下、(1)〜(4)で示した各信号について説明する。
【0056】
(1)FFT部9−1〜9−3から入力される周波数領域信号
FFT部9−1〜9−3は、2NポイントのFFT処理により受信信号を、図9の(1)に示すように帯域30MHz(2Nサンプル)の周波数領域信号へと変換し、スイッチマトリックス部10へ出力する。この処理によって、受信信号に含まれていた複数のキャリア信号を、30MHz/2Nサンプル単位で分離することが可能になる。
【0057】
(2)第1RAM部14−1〜14−3に書き込まれた信号
第1RAM部14−i(図9の例ではi=1,2,3)は、上述のように、FFT部9−iが出力する周波数領域信号のうち、“有意な信号”を自身のメモリに書き込まれる。
【0058】
(3)第2RAM部16−1〜16−3に書き込まれた信号
第2RAM部16−1〜16−3には、第1RAM部14−1〜14−3がクラスタごとに振り分けられた信号が、信号ソート部15−1〜15−3経由で書き込まれる。図9の例では、第2RAM部16−1には宛先番号1から7まで、第2RAM部16−2には、宛先番号8から14まで、第2RAM部16−3には、宛先番号15から21までの信号が振り分けられている。なお実際には、図9のように各信号は宛先ごとに連続しているわけではなく、サンプル単位の離散的な信号が並ぶが、ここでは、説明と図示の都合上、各信号は宛先ごとにまとまっていることとする。サンプル単位の離散的な信号が並んでいる場合も処理は同様である。
【0059】
(4)第3RAM部17−1〜17−21に書き込まれた信号
第3RAM部17−1〜17−21には、宛先番号ごとに振り分けられた信号が、チャネル番号とともに書き込まれる。このとき、チャネル番号を書き換えることで、信号配置を自由に設定することができる。
【0060】
以上のスイッチマトリックス部10の処理により、FFT部9−1〜9−3から出力された周波数領域信号を、図9の(4)のように、宛先番号(宛先のセル)に応じて並び替えることができる。また、図4に示した構成では、第1RAM部14−1〜14−15に書き込まれた信号を、直接105の宛先別に振り分けるのではなく、まず、クラスタ単位で信号ソート部15−1〜15−15に振り分けることにより、回路規模の削減を実現している。さらに、信号ソート部15−1〜15−15が第1RAM部14−1〜14−15から入力された信号に対してトラフィックを均一化する処理を行って第2RAM部16−1〜16−15へ出力するようにしたので、第2RAM部16−1〜16−15に必要なメモリ容量の削減を実現することができる。
【0061】
また、スイッチマトリックス部10の処理後、IFFT部21−k(k=1,2,…,105)は、第3RAM部17−kに格納された宛先ごとに並べられた周波数領域信号を、時間領域の信号へと変換する。この処理により、複数のキャリアを合成した時間領域信号が生成される。IFFT部21−kが、同一宛先の複数のキャリアを合波する合波処理を実施することになる。なお、IFFT部21−1〜21−105も、FFT部9−1〜9−15やスイッチマトリックス部10と同様、図2で説明した、時間をずらさずに窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、との2系統の信号を処理するため、2つの処理部を備えることとする。
【0062】
信号合成部23−kは、時間をずらさずに窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算してFFT処理を実行した信号と、の2系統の信号に対するIFFT処理結果を用いて合成を行い、窓関数の乗算による信号情報の欠落がない信号を生成する。具体的には、両系統の信号からそれぞれの窓関数によるデータの欠如の無い部分を抽出して合成する。図10は、合成処理のイメージを示す図である。図10の(a),(b)は、図2に示した(a),(b)にそれぞれ対応する。図10の(c)は、信号合成部23−1〜23−105によって合成された信号イメージである。信号合成部23−1〜23−105は、図10(a)の信号のうち窓関数の乗算により除去された区間(図10(a)の斜線塗りつぶし以外の区間)を、図10の(b)の窓関数の乗算により除去されない信号の区間(ドット塗りつぶしの区間)と置き換えることで、図10(c)に示すように、窓関数乗算による信号の欠落がない信号を出力する。
【0063】
補間部24−kは、信号合成部23−kによって合成された信号に対して、サンプリング速度を上げるアップサンプリング処理を行う。このアップサンプリング処理は、信号のサンプリング速度と後段のD/A変換部26−kとのサンプリング速度を合わせるために実施する。直交変調部25−kは、ベースバンドの信号として補間部24−kから入力される信号をIF帯へと変換する。D/A変換部26−kは、IF帯の信号をディジタルからアナログへと変換し、周波数変換部27−kは、IF帯のアナログ信号をS帯へと変換する。なお、ここでは、IF帯を介してベースバンドからS帯への周波数変換を実施したが、ベースバンドから直接S帯へ周波数変換を行っても良い。
【0064】
送信アンテナ28−kは、地上のセルに対してビームを照射することにより、周波数変換部27−kから入力された信号を宛先のセルへ送信する。最後に、各セルに存在する地上端末が、衛星局より送信された信号を受信する。このようにして、地上局から送信された複数のキャリア信号が含まれる信号を衛星局が受信し、衛星局が、受信信号の分波処理、宛先別に信号の並び替えおよび合波処理を実施し、衛星局と各地上端末との通信が行われる。
【0065】
つづいて、本実施の形態の衛星局が、カバーする105のエリア(セル)に位置する地上端末から信号を受信し、地上局に送信する信号を生成する、または再度地上端末に送信するまでの流れを説明する。
【0066】
図11は、本実施の形態の衛星局の地上端末からの信号を受信しスイッチマトリックス部に入力されるまでの処理を行う機能部の構成例を示す図である。図11に示すように、地上端末からの信号を受信しスイッチマトリックス部に入力されるまでの処理を行う機能部は、受信アンテナ30−1〜30−105と、周波数変換部31−1〜31−105と、A/D変換部32−1〜32−15と、直交検波部33−1〜33−15と、LPF部34−1〜34−105と、間引き部35−1〜35−105と、ウィンドウィング部36−1〜36−105と、FFT部37−1〜37−105と、とを備える。
【0067】
本実施の形態の衛星局は、地上端末からの信号を受信するための受信アンテナ部を、105のビーム数分だけ備えており、後段の処理を行う各構成要素もビームごとに105個並列に並ぶ構成となる。
【0068】
受信アンテナ部30−k(k=1,2,…,105)は、各セル内に存在する地上端末から送信された信号を受信し、周波数変換部31−kは、受信アンテナ部30−kが受信した信号をS帯からIF帯へ周波数変換する。A/D変換部32−kは、アナログ信号であるIF帯の受信信号をディジタル信号へ変換し、直交検波部33−kは、ディジタル受信信号の直交検波を行い、ディジタル受信信号をIF帯からベースバンド信号へと変換すると共に、ベースバンド信号の同相信号および直交信号を出力する。LPF部34−kは、ベースバンド信号の同相信号および直交信号に対して、直交検波処理に伴って生じた不要な高調波成分をカットするためのフィルタリングを行う。
【0069】
間引き部35−kは、間引き部6−iと同様にフィルタリング後のベースバンド信号に対して間引き処理を行う。ウィンドウィング部36−kは、ウィンドウィング部7−iと同様に、間引き信号に対して窓関数を乗算し、乗算結果を出力する。また、ウィンドウィング部36−kは、ウィンドウィング部7−iと同様に、τ/2だけ時間をずらして窓関数を乗算した結果も出力する。FFT部37−kは、ウィンドウィング部36−kから出力される2系統の信号に対して、FFT処理を行うことにより周波数領域信号に変換し、分波信号とする。
【0070】
図12は、本実施の形態の衛星局の、地上端末から受信した信号に対するスイッチマトリックス部以降の処理を行う構成要素の一例を示す図である。図12に示すように衛星局は、スイッチマトリックス部以降の処理を行う構成要素として、スイッチマトリックス部38と、制御部11と、IFFT(Inverse FFT)部41−1〜41−15と、信号合成部42−1〜42−15と、補間部43−1〜43−15と、直交変調部44−1〜44−15と、D/A変換部45−1〜45−15と、周波数変換部46−1〜46−15と、加算部47と、送信アンテナ48と、を備える。
【0071】
図13は、スイッチマトリックス部38の構成例を示す図である。図13に示すように、スイッチマトリックス部38は、第4RAM部50−1〜50−105と、信号ソート部51−1〜51−15と、第5RAM部52−1〜52−15と、信号ソート部53−−1〜53−15と、第6RAM部54−1〜54−15と、を備える。
【0072】
FFT部37−kにより変換された周波数領域信号は、第4RAM部50−kに入力される。第4RAM部50−kは、データを保持するためのメモリを備えており、入力された周波数領域信号をメモリに格納する。制御部11は、第4RAM部50−kに格納された信号を読み出し、読み出した信号の宛て先に基づいてその信号に宛て先番号(宛先が地上端末の場合はセルを識別する番号、宛先が地上局の場合は地上局を示す番号)とチャネル番号を付加し、付加後の信号を第4RAM部50−kに格納する。第4RAM部50−kは、第1RAM部14−iと同様に、入力元第4RAM部50−kの識別番号(この場合は第4RAM部50−kの場合識別子をkとする)と出力先の信号ソート部との対応を保持しているとし、保持している対応に基づいて格納された信号をその宛先番号に対応する信号ソート部(信号ソート部51−1〜51−15のいずれか)に出力する。なお、第4RAM部50−kが、保持する宛先番号と出力先の信号ソート部との対応は、図2と同様であるが、信号ソート部15−j(j=1,2,…,15)を信号ソート部51−jと置き換えている。
【0073】
信号ソート部51−jは、第4RAM部50−1〜50−105から入力される信号を第5RAM部52−jへ出力するが、その際、信号ソート部15−jと同様にトラフィックの均一化を行う。信号ソート部51−jを経由しない場合、第5RAM部52−jは、Rb(第4RAM部50−kから第5RAM部52−jに入力される信号線本数)×2N×SDを格納できるメモリが必要である。図13の例の場合には、Rb=7であるため、第5RAM部52−jは、7×2N×SDを格納できるメモリ容量が必要となる。
【0074】
これに対し、本実施の形態では、信号ソート部51−jを用いてトラフィックの均一化を行うことにより、第5RAM部52−jは、2N×SDの容量を格納できるメモリを持てばよい。すなわち、信号ソート部51−jを用いることで、信号ソート部51−jを用いない場合と比べ、第5RAM部52−jのメモリ容量を1/Rbに削減することができる。
【0075】
第5RAM部52−jは、信号ソート部51−jから入力された信号を自身のメモリに格納し、格納された信号をその信号の宛て先番号に応じて、信号ソート部53−1〜53−15に割り振りを行う。この割り振りは、第5RAM部52−jが、信号ソート部15−jの替わりに信号ソート部53−jとした図2と同様の対応を保持し、その対応を用いて実施する。なお、宛て先番号が地上局である場合には、割り振り先は任意である。信号ソート部53−jは、第5RAM部52−jから入力される信号を信号ソート部15−jと同様にトラフィックの均一化を行い第6RAM部54−i(i=1,2,…,15)に出力する。信号ソート部53−jを用いることにより、信号ソート部53−jを用いない場合に比べ、第6RAM部54−iのメモリ容量を1/Rcに削減できる。ただし、Rcは、1つの第6RAM部54−iに入力される、第5RAM部52−jからの信号線本数である。
【0076】
第6RAM部54−iに格納された信号は、IFFT部41−iがチャネル番号順に読み出し、読み出した信号をIFFT処理することにより合波処理を行う。なお、宛て先番号が地上局ではなく、セルの識別番号である場合(地上端末のシングルホップ用の信号の場合)は、第6RAM部54−iに格納された信号は、第1RAM部14−iへと出力される。第1RAM部14−iは、第6RAM部54−iから入力された信号を、FFT部9−iから入力された信号と同等に扱い、前述の地上端末への送信処理と同様の処理により、宛て先のセルへ送信する。
【0077】
信号合成部42−iは、信号合成部23−kと同様に2系統の信号を合成し、補間部43−iは、補間部24−iと同様に入力された信号をアップサンプリングする。また、直交変調部44−iは、ベースバンドの信号として補間部43−kから入力される信号をIF帯へと変換する。D/A変換部45−iは、IF帯の信号をディジタルからアナログへと変換し、周波数変換部46−iは、IF帯のアナログ信号をKa帯へ変換する。そして加算部47は、周波数変換部46−1〜46−15から入力されるそれぞれの帯域幅が30MHzである信号を加算し、450MHzの帯域幅の信号として送信アンテナ48へ出力する。送信アンテナ48は、450MHzの帯域幅の信号を地上局へ送信する。
【0078】
以上のように、本実施の形態では、地上端末へ送信するFFT処理後の周波数領域信号を分波信号として求め、スイッチマトリックス部が、各々の分波信号の宛て先番号に基づいてクラスタ単位で振り分けを行い、クラスタ単位で振り分けられた信号をさらに宛て先のセルごとに振り分ける。そして、振り分けた後にIFFT処理を実施することにより時間領域の信号とし、各セルに合波信号として送信するようにした。そのため、セルごとに振り分けられた信号のチャネル番号を変更することにより使用する周波数を自由に設定することができる。
【0079】
図14−1〜14−13は、信号の周波数配置の例を示す図である。従来の衛星局では、図14−1に示すように各キャリア信号の帯域が等間隔に並ぶような信号の分波処理または合波処理は可能であるが、図14−2に示すような等間隔でない信号配置を実現することは困難である。また、図14−3のように、周波数帯域幅が異なる(一定でない)信号を分波処理または合波処理することもできない。これに対し、本実施の形態では、図14−2や図14−3のような信号配置の分波処理または合波処理を行うことができ、柔軟な周波数利用を実現することができる。
【0080】
また、地上端末から受信した信号は、FFT処理により周波数領域信号に変換した後に、スイッチマトリックス部38が、クラスタごとに信号をまとめ、地上端末へ送信する場合にはさらに宛て先番号ごとに宛て先のクラスタ単位で信号を振り分けスイッチマトリックス部10へ入力するようにした。また、地上局宛ての場合には、クラスタごとにまとめた信号を周波数変換して地上局へ送信するようにした。そのため、地上端末から受信する信号についても受信可能な周波数配置に制約がなく、柔軟な周波数利用を実現することができる。
【0081】
また、信号ソート部15−1〜15−15,51−1〜51−15,53−1〜53−15が、トラフィックの均一化を実施することにより、スイッチマトリックス10またはスイッチマトリックス38のメモリの容量を低減することができ、回路規模を抑えることができる。
【0082】
実施の形態2.
図15は、本発明にかかる衛星局の実施の形態2の機能構成例を示す図である。本実施例の衛星局は、地上局から送信された地上端末へ受信する処理を実施する構成要素のうち、受信アンテナ1からスイッチマトリックス部10までの構成要素は図1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図15に示すように、本実施の衛星局の地上局から送信された地上端末へ受信する処理を実施する構成要素は、実施の形態1の図3で示した構成に、補間部60−1〜60−105と、周波数変換部61−1〜61−105と、予備系統合成部62−1〜62−105と、予備系統63と、制御部64と、を追加し、IFFT部21−1〜21−105の替わりにIFFT部21a−1〜21a−105を備える以外は、実施の形態1の衛星局と同様である。予備系統63は、IFFT部21a−106と、信号合成部23−106と、補間部60−106と、周波数変換部61−106と、で構成される。
【0084】
なお、図15では、送信アンテナ28−1〜28−7のように1クラスタに対応する7ビーム分の構成要素を図示しているが、実際には、この7ビーム分の構成が15個並列に並び、実施の形態1と同様に105のビーム分が並列に並ぶ構成となる。
【0085】
本実施の形態では、実施の形態1のIFFT部21に比べIFFT部21aの回路規模を削減する手法について説明する。実施の形態1の衛星局は、図3で示したように、2NポイントのIFFT処理を実施するIFFT部を、信号の宛て先数に対応するビーム数分(宛て先数=ビーム数)、すなわち105個備える。これらのIFFT部21a−1〜21a−105は、ユーザリンクで使用する周波数帯域幅30MHzの信号に対し2NポイントのIFFT処理を実施する性能を有する。
【0086】
ここで、実施の形態1と同様、7セル周波数繰り返しシステムを想定し、衛星から地上の宛て先に照射するビーム7つの合計で最大30MHzの周波数帯域を用いるとすると、各ビームでは30MHzの帯域を占有することはなく(30MHzの周波数帯域を7セルで分割して用いるため)、平均すると30MHzの1/7の周波数帯域を用いることになる。すなわち、30MHzの帯域を想定した2NポイントのIFFT部を105個備える必要はないことになる。本実施の形態では、この点に着目して回路規模を削減する。
【0087】
図16は、本実施の形態の周波数帯域の分割例を示す図である。本実施の形態では、各ビーム(宛て先のセル)で用いる周波数を、図5のように、30MHzの帯域をCH(Channel:チャンネル)#1〜CH#8の8つの周波数帯域に等分している。このようにあらかじめ、周波数帯域を分割し、7つのビーム(同一クラスタ内の7つのセル)に割り当てておくことにより、それぞれのビームに対応する処理では、割り当てられた周波数帯域を処理対象とすればよいことになる。
【0088】
図16に示した例では、周波数帯域幅を8等分していることから1つのビームが処理する周波数帯域幅は30MHzの1/8となる。すなわち、1つのビームについての処理では、IFFTポイント数を2Nから2N-3に削減することができる。このように8等分された30MHzの周波数帯域を、1ビームに1つずつ、計7ビームに割り当て、各ビームは割り当てられた周波数を用いて地上端末との通信を行う。このとき、30/8MHz(1ビーム分)余るが、余った周波数帯域については後述する。
【0089】
このように、各ビームに対して、30MHzを8等分した周波数を割り当てることによって、1つのIFFT部が処理する周波数帯域幅は30/8MHzとなり、IFFTポイント数も、2Nポイントから2N/8(=2N-3)ポイントに削減することができる。したがって、IFFT部の回路規模は実施の形態1に比べ1/8以下となる。
【0090】
図15を用いて、本実施の形態の動作を説明する。IFFT部29a−k(k=1,2,…,105)は、スイッチマトリックス部10の第3RAM部17−kに格納された信号を読み出し、読み出した信号に対して2N/8ポイントのIFFT処理を実施し時間領域信号に変換する。本実施の形態では、2N/8であるため、IFFTポイント数が2Nの場合に比べ信号のサンプリング速度が1/8倍となる。したがって、IFFT部29a−kで変換された時間領域信号に対して、実施の形態1と同様に信号合成部23−kが信号の合成を行った後、補間部60−kは、サンプリング速度を8倍に上げるよう信号を補間する。
【0091】
周波数変換部61−kは、信号の中心周波数を、自身に対応するビームに割り当てられた周波数帯(CH番号)の中心周波数へと変換する。後述する予備系統合成部62−kの処理以外のその後の処理(補間部24−k〜送信アンテナ28−k)の処理は実施の形態1と同様である。
【0092】
以上の処理により、1ビームあたりの帯域が30/8MHzの送信信号が生成され、地上端末に向けて送信される。ところで、前述のように、本実施の形態では、30MHzを8分割し、分割された周波数を7つのビーム(宛て先)に割り当てているため、1ビーム分の周波数帯域が余る。この余りの周波数を予備用周波数として活用し、通信が集中したセルに対してこの予備用周波数を用いることで、利用可能な周波数帯域幅を2倍に拡張することができる。
【0093】
たとえば、ビーム#1に対応するセルへの通信が集中し、30/8MHz以上の周波数を使用する必要が生じたとする。このような場合に、予備用周波数を活用するため、予備系統63を動作させる。通常時(予備用周波数を用いない場合)は、予備系統63は動作していないこととする。制御部64は、スイッチマトリックス部10から予備系統63のIFFT部21a−106へ繋がる経路を生成する。たとえば、ビーム#1が予備用周波数を用いる場合には、IFFT部21a−106がスイッチマトリックス部10から信号が入力されるような経路を生成する。
【0094】
なお、スイッチマトリックス部10は、実施の形態1では単にIFFT部21−kに対してチャネル番号順に信号を出力していたが、本実施の形態では、スイッチマトリックス部10は、上記のように予備系統63への信号出力も行う。すなわち、実施の形態1では、1つの第2RAM部が宛て先番号別に7つ並列に並ぶ第3RAM部へ信号を振り分けていたが、本実施の形態では、1つの第2RAM部に接続される第3RAM部は8つとし、予備用周波数を用いる場合にはその周波数で送信する信号を8つめの第3RAM部へ出力するようにする。そして、8つめの第3RAM部に格納された信号が予備系統63へ入力される。なお、予備用周波数を用いる場合、そのビームで送信するデータを、予備用周波数(CH#8)で送信するデータと、通常の割当て周波数(CH#1〜CH#7)で送信するデータと、に振り分ける必要があるが、この振り分けはたとえば、制御部64が実施してもよいし、制御部11が実施してもよい、
【0095】
予備系統63では、IFFT部21a−106,信号合成部23−106,補間部60−106,周波数変換部61−106が、上記のIFFT部21a−k,信号合成部23−k,補間部60−k,周波数変換部61−kとそれぞれ同様の処理を実施する。その際、周波数変換部61−106は、入力された信号を予備用周波数であるCH#8に周波数変換する。そして、予備系統合成部62−1が、周波数変換部61−1で周波数変換された信号と周波数変換部61−106で周波数変換された信号との合成処理を実施する。
【0096】
ビーム#1以外のビームに対して予備用周波数を割り当てる場合も、同様に予備系統63が、そのビームに対応する第3RAM部17−kから信号を読み出して、CH#8に周波数変換して、そのビームに対応する予備系統合成部62−kが、周波数変換部61−kで周波数変換された信号と周波数変換部61−106で周波数変換された信号との合成処理を実施すればよい。なお、予備用周波数を使用しないビームに対応する予備系統合成部62−kは、入力された信号をそのまま補間部24−kに出力する。このようにして、予備用の周波数を活用することにより、30/8MHzが割り当てられていた各ビームに対して、倍の60/8MHzまで割り当て周波数帯域を増加させることが可能である。
【0097】
さらに、図15に示した予備系統63を1つではなく、複数備えることと、ハードウェアの回路規模は若干増加するものの、より柔軟な周波数利用が可能となる。図17は、予備系統を3つ備える場合の周波数利用の概念を示す図である。図17は、CH#1(ビーム#1)の通信先セルに通信が集中した場合を想定している。図中の予備#1から予備#3は、CH#2(ビーム#2)およびCH#7(ビーム#7)の使用していない帯域と、CH#8と、を用いて送信信号を生成する。そして、CH#1に対応する予備系統合成部62−1が、このようにして生成された予備#1から予備#3の送信信号と、周波数変換部61−1が周波数変換した信号と、の合成処理を行う。各ビームの割り当て帯域のうちの使用していない帯域の検出等は、制御部64が実施する。
【0098】
なお、実際の処理では、IFFT処理後に信号の合成を行うため、合成されるのは時間領域の信号であるが、図17では便宜上周波数領域で各信号を表現している。また、図17では、ビーム#1に通信が集中した例を示したが、複数の予備系統からの信号を合成することで、通信の集中がどのビームに発生しても上記と同様の処理を実施することができ、また通信の集中が複数のビームに発生した場合も、たとえば、予備#1と予備#2を別のビームで用いるなど柔軟な周波数利用を実現できる。なお、予備系統63を2つ以上とする場合には、スイッチマトリックス部10の1つの第2RAM部に接続される第3RAM部の個数もそれに応じて増やす。
【0099】
このように、あるセルに通信が集中した場合などに、予備系統63を活用することにより、柔軟な周波数利用が可能となる。なお、図16では、30MHzを8等分した例を示したが、分割数はセル周波数繰り返し数である7以上の整数であれば、いずれの数字でも良い。また、本実施の形態では7セル周波数繰り返しを仮定しているが、たとえば3セル繰り返しシステムであれば、30MHzを4分割しても良い。また、予備系統63に割り当てる周波数帯域を30/8MHzより小さくし、予備系統63が実施するIFFTポイント数を2N/8ポイントより小さくする構成としても良い。この場合、IFFTポイント数の変更に応じて、IFFT処理後の信号に対して補間部60−106でのアップサンプルの量を変更する。
【0100】
なお、ユーザリンクが使用する30MHzの周波数帯域の分割および予備系統の帯域は、図16のような等分割ではなく、たとえば、制御部11または制御部64が、各セルにおける通信量の見積もりを行い、その見積もり結果を反映するなどして、適応的な分割を行っても良い。また、その場合、予備用周波数としての帯域を割り当てなくても良い。
【0101】
図18は、補間部と周波数変換部の別の構成例を示す図である。図15に示した構成では、補間部60−kがデータポイントを2M(M=自然数)倍になるよう信号を補間し、周波数変換部61−kが、補間後の信号を周波数変換しているが、補間部60−kと周波数変換部61−kの替わりに、図18に示すような2倍補間部70−1と、周波数変換部71−1との組がM組直列に並ぶような構成でも良い。図18の構成例の場合、2倍補間部70−1〜70−Mは、少量の回路規模で実現できることが知られており、図18に示す構成とすることにより、図15の構成よりさらに回路規模を削減することができる。
【0102】
つぎに、衛星局が地上端末から信号を受信した場合の処理を行う際の、FFT部の回路規模を削減する手法について述べる。実施の形態1の図11に示したFFT部37−k(k=1,2,…,105)は、2NポイントのFFT処理を実施する。本実施の形態では、FFT部37−kのFFTポイント数を2Nポイントから2(N-3)ポイントに削減するために、あらかじめ地上端末が使用する周波数帯域を、地上端末が位置するエリアに応じて、図16に示すような30MHzを8分割した周波数帯域(CH#1〜CH#8)に割り当てるものとする。このようにあらかじめ地上端末が使用する周波数帯域(帯域幅:30/8MHz)を決めておくことによって、FFT部は、30MHzではなく、受信信号が存在する30/8MHzの周波数帯域に対してFFT処理を実施すればよいため、FFTポイント数も2Nポイントから2N/8ポイントとなり、FFT部の回路規模を実施の形態1に比べ1/8以下に削減することが可能である。
【0103】
図19は、本実施の形態の衛星局の地上端末から信号の受信処理を行う構成要素の一例を示す図である。図19に示すように、本実施の形態の衛星局では、地上端末から信号の受信処理を行う構成要素は、実施の形態1の図11で示した構成要素に、周波数変換部80−1〜80−105と、間引き部81−1〜81−105と、予備系統82と、を追加し、FFT部37−1〜37−105の替わりにFFT部37a−1〜37a−105を備える以外は実施の形態1と同様である。また、スイッチマトリックス部38以降の処理を行う構成要素は実施の形態1で示した図12と同様である。
【0104】
受信アンテナ30−kが地上端末から送信された信号を受信してから、間引き部35−kまでの処理は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。本実施の形態では、地上端末から送信される信号が、前述の通り、あらかじめ各セル(各ビーム)に割り当てられた30/8MHz内の帯域を使っているものとする。周波数変換部80−kは、間引き部35−kから出力される受信信号(間引き信号)に対して、割り当てられている帯域の中心周波数を0MHzに変換するような、周波数変換を行う。間引き部81−kは、受信信号に対して1/8の間引き処理を実施する。
【0105】
図20は、本実施の形態の周波数変換部80−3と間引き部81−3の処理の信号処理の概念を示す図である。図20の上段(a)は、間引き部35−3から出力される信号の一例を示したものであり、ここでは間引き部35−3に対応するビーム#3には周波数帯域としてCH#3が割り当てられているとする。図20の中段(b)は、周波数変換部80−3が間引き部35−3から出力されるCH#3の周波数の信号に対して周波数変換を行った後の周波数の一例を示している。このように、CH#3の周波数帯の信号が0を中心とする周波数に変換される。図20の下段(c)は、間引き部81−3が、周波数変換部80−3により周波数変換された信号に対して間引き処理を実施した結果の一例を示している。
【0106】
ウィンドウィング部36−kは、1/8に間引きされた受信信号に対して実施の形態1と同様に窓関数を乗算し、FFT37a−kは、窓関数が乗算された受信信号に対して2N/8ポイントのFFT処理を実施する。では、2NポイントのFFT処理を行っていたが、以上述べたように、実施の形態1に比べFFT部37a−kの回路規模は、あらかじめ地上端末の使用する周波数帯域を地上端末が位置するエリアによって定めることによって、2NポイントのFFT処理を行う実施の形態1のFFT部37−kに比べ1/8以下に抑えることが可能である。
【0107】
また、周波数利用に柔軟性を持たせるため、本実施の形態では、受信アンテナ部30−1〜30−105に接続されない、予備系統82を備える。予備系統82は、周波数変換部80−k,間引き部81−k,ウィンドウィング部36−k,FFT部37a−kとそれぞれ同様の機能を有する周波数変換部80−106,間引き部81−106,ウィンドウィング部36−106,FFT部37a−106で構成される。
【0108】
たとえば、図16に示したように周波数帯域を分割して各セルへの割り当てを行っている場合、CH#3を用いるビーム#3に通信が集中し、30/8MHz以上の帯域が必要であるとする。このとき、ビーム#3が使用する周波数帯域として、CH#3に加え、予備用周波数であるCH#8を割り当てる。この割り当てを行うか否かは、制御部63が判断し、予備用周波数を用いる旨をビーム#3に対応するセルに通知することとする。ビーム#3に対応する受信アンテナ30−3は、60/8MHzの信号を受信することになる。受信アンテナ30−3が受信した信号は、上記と同様に間引き部35−3までの処理が施された後、間引き部35−3は、制御部64の指示に基づいて、間引き信号を、後段の周波数変換部80−3と、予備系統82の周波数変換部80−106と、に出力する。
【0109】
なお、制御部64は、周波数割り当ての情報(どのセルにどの周波数帯が割り当てられているか)を管理し、予備用周波数を用いる場合に、予備用周波数を割り当てるビームに対応する間引き部に対して、間引き信号を予備系統82の周波数変換部80−106へも出力するよう指示することとする。
【0110】
その後、周波数変換部80−3は、CH3の信号を中心周波数0MHzに、予備系統の周波数変換部80−106は、CH8の信号を中心周波数0MHzに周波数変換する。間引き部81−3と予備系統の間引き部81−106は、それぞれの信号に対して1/8間引き処理を行う。
【0111】
図21は、本実施の形態の周波数変換部80−3〜FFT部37a−3の処理と予備系統82の処理の概念を示す図である。図21の(a)は、間引き部35−3から出力される間引き信号の一例を示したものであり、ビーム#3に周波数が割り当てられているCH#3とCH#8に信号が存在している。図21の横軸は周波数を示している。図21の(b)は周波数変換部80−3がCH#3の信号に対して周波数変換を実施した後の信号を示し、図21の(c)は、予備系統82の周波数変換部80−106がCH#8の信号に対して周波数変換を実施した後の信号を示している。また、図21の(d),(e)は、間引き部81−3,間引き部81−106がそれぞれ間引き処理を実施した結果を示している。
【0112】
なお、予備系統82は複数有していても良いし、また予備系統82の処理帯域は30/8MHzより大きくても小さくても良い。図21では、一例としてビーム#3に通信が集中した場合を述べたが、ビーム#1からビーム#105までいずれのビームに通信の集中が発生した場合も、また複数ビームに通信の集中が発生した場合も、複数の予備系統を活用することで、柔軟な周波数利用を実現することができる。
【0113】
なお、予備系統82からの入力に備え、スイッチマトリックス38の第4RAM部は、105+予備系統82の数で構成する。これに伴い、予備系統82からの信号が入力される第4RAM部に接続する信号ソート部に入力される信号線、その信号ソート部から出力される信号線の本数も増加する。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
【0114】
以上のように、本実施の形態では、周波数帯域をクラスタ内のセル数+1で分割し、各セルに分割した周波数帯を割り当て、IFFT部21a−kおよびFFT部37a−kが2N/8ポイントのFFT処理を実施するようにした。そのため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、実施の形態1に比べの回路規模を1/8以下に削減することができる。なお、予備系統63および予備系統82を構成するための回路は増えるものの、IFFT部21a−kおよびFFT部37a−kにおいて達成できる削減量から比べると相対的に小さなものであり、これらの回路増加分を考慮しても、全体で約1/7以下に削減するが可能である。
【0115】
なお、本実施の形態では7セル周波数繰り返しの場合を例としたが、Kセル周波数繰り返しでは、実施の形態1に比べ回路規模は1/Kとなる。
【0116】
実施の形態3.
図22は、本発明にかかる衛星局の実施の形態3の機能構成例を示す図である。図22は、地上局から受信した信号を地上端末へ送信する処理を実施する構成要素のうちスイッチマトリックス10までの構成要素をしめしている。実施の形態1と同一の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。図22に示すように、本実施の形態の衛星局は、図1で示した構成からウィンドウィング部7−1〜7−15を削除し、電力変換部90−1〜90−15と、タイミング抽出部91−1〜91−15と、を追加する以外は、実施の形態1の図1の構成と同様である。
【0117】
本実施の形態では、実施の形態1のFFT部9−i(i=1,2,…,15)およびIFFT部21−k(i=1,2,…,105)、または実施の形態2のFFT部9−iおよびIFFT部21a−kの演算量削減を図る。以降の説明では、実施の形態1に対して演算量を削減する場合を例に説明するが、実施の形態2についても、同様に演算量の削減を行うことができる。
【0118】
FFT演算では、実施の形態1で述べた通り、FFT演算区間両端で信号の連続性がない(両端の値が異なる)ことにより高調波が発生して不要なスペクトラムが生じ、特性劣化へと繋がる。そこで、実施の形態1では、窓関数を乗算してこの劣化を防ぐが、窓関数の乗算により信号が失われる可能性がある。したがって、実施の形態1では、窓関数の乗算範囲が異なる2系列の信号を並行して求め、両者をそれぞれFFT/IFFT処理した後に信号合成部23−kが合成することで、FFT演算区間の連続性を確保するという手法をとっていた。そのため、実施の形態1で示す図1のFFT部9−i、スイッチマトリックス部10の構成要素およびIFFT部21−kは、それぞれの系統に対応するため2つずつ必要であり、回路規模が大きくなってしまうという問題がある。実施の形態2についても同様である。
【0119】
実施の形態1では地上局が衛星局に送信する信号はバースト伝送信号を前提としていたが、本実施の形態では送信信号のフレーム化を行い、衛星局でFFT処理を行う際、FFT演算区間の両端が0になるように構成されたフレーム信号を地上局から送信する。このようなフレーム構成とすることにより、データの両端はいずれもほぼ“0”となり同じ数値であるため連続性が確保でき窓関数の乗算を行う必要がない。したがって、FFT部9−i、スイッチマトリックス部10は、1系統の信号の処理を行えばよいことになる。
【0120】
図23は、本実施の形態の送信信号のフレーム構成の一例を示す図である。本実施の形態では、図23に示すように、送信信号のフレーム化を行い、FFT演算区間の両端に対応する部分に送信信号の無い区間(値が0の区間)を設けることで、信号の連続性を確保する。ただし、この場合、衛星局で受信した地上局からの信号に対してFFT演算処理を施す際、FFT演算区間の両端が必ず無信号となるような、意図した正しい区間でFFT演算処理を実施する必要がある。したがって、衛星局では、受信した信号に基づきFFT演算タイミングを決定する必要がある。
【0121】
そのため、本実施の形態では、図22に示したように、間引き部6−iが間引き処理を行った受信信号(間引き信号)に対して電力変換を行う電力変換部90−iと、変換された電力に基づいて無信号区間を検知し、FFT演算タイミングをFFT演算部9−iへ出力するタイミング抽出部91−iと、を備える。受信アンテナ1が地上局から送信された信号を受信してから、間引き部6−iまでの処理は、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0122】
電力変換部90−iは、間引き部6において間引き処理された受信信号の電力変換を行う。タイミング抽出部91−iは、電力情報に基づいて、無信号区間を検知し、無信号区間の所定の位置であるFFT演算開始位置(FFT開始タイミング)を、FFT演算部9へと送信する。無信号区間のうち、どの位置がFFT演算開始位置であるか(たとえば、無信号区間の中央位置等)は、あらかじめ定めておくとする。FFT演算部9−iは、タイミング抽出部91−iから入力されたFFT演算開始位置に基づき、FFT処理を実施する。
【0123】
図24は、本実施の形態のFFT演算開始位置の検出処理の概念を示す図である。図24の(a)は、間引き部6−iから出力される受信信号のイメージを示している。受信信号はフレーム化されているため、図24の(a)に示すように、送信データであるDataの間に、無信号部分(空白の部分)が存在する。図24の(b)は電力変換部90−iが、図24の(a)に示した間引き部6−iから出力される受信信号を電力変換した後の電力のイメージを示している。タイミング抽出部91−iは、図24の(b)の電力に基づいて、電力値が低い区間、すなわち信号が存在しない区間を検出し、その区間のうちの所定の位置であるFFT演算開始位置を抽出する。タイミング抽出部91−iが抽出したFFT演算開始位置は、FFT部9−iに出力され、FFT部9−iは図24の(c)に示すように、タイミング抽出部91−iから入力されたFFT演算開始位置をFFT演算の開始位置としてFFT処理を実行する。
【0124】
上記のようにFFT演算を実施することにより、FFT部9−i、IFFT部21−kおよびスイッチマトリックス部10は、窓関数の乗算位置の異なる2系統の信号に対応する必要がなく、1系統の信号の処理を行えばよいことになる。したがって、実施の形態1のFFT部9−i、IFFT部21−kおよびスイッチマトリックス部10が2系統に対応するために2つずつ備えていた構成要素は本実施の形態では1つずつ備えればよいことになる。本実施の形態のFFT部9−i、IFFT部21−kおよびスイッチマトリックス部10と窓関数の2系統を1系統とする以外は実施の形態1と同様である。また、本実施の形態では、IFFT部21−kの後の信号合成部23−kは不要であり、IFFT部21−kの処理後の信号は補間部24−kに出力される。補間部24−k以降の構成要素および処理は実施の形態1と同様である。
【0125】
なお、タイミング抽出部91−iは、FFT演算開始位置の抽出の際に、受信信号の電力を複数のフレームの信号を用いてフレーム周期で複数回平均化した結果を用いて、信号が存在しない区間(=電力値が少ない区間)を求めても良い。その際、平均値の算出に用いる値に対して、重み付けをするような平均値の計算手法を用いても良い。
【0126】
なお、本実施の形態では、受信信号の電力を用いてFFT演算開始位置を求めるようにしたが、これに限らず、衛星局で受信信号を再生し、信号フレームの先頭に挿入された固定パターン信号を検出して、固定パターンの位置に基づいてFFT演算開始位置のタイミングを求めるようにしても良い。
【0127】
また、受信信号に基づいてFFT演算開始位置を抽出するのではなく、GPS(Global Positioning System)などを用いて、地上局と衛星局の同期をとり、信号の送受信を行うことによりFFT演算開始位置を決定するようにしてもよい。この場合、衛星局が、地上局と同期をとっているため、地上から送信される信号を受信するタイミングを把握可能であり、地上局が衛星局に対してFFT演算開始位置を意図した場所に設定することができる。
【0128】
また、地上局と衛星局の間で、フィーダリンクとは異なる回線を用いて通信を行い、その通信により地上局から送信されるコマンド信号などを参照し、衛星局はFFT演算開始位置を決定しても良い。
【0129】
地上端末は、衛星局から受信した信号に基づいて、衛星局と同じく受信電力や信号フレームの先頭に挿入された固定パターンを検出することにより、FFT演算開始位置を抽出して信号を復調する。
【0130】
また、衛星局が各地上局端末から信号を受信する場合については、衛星局が行うFFT処理の際のFFT演算位置を固定とし、地上局端末が信号を送信するタイミングを制御することで、所望の位置でFFT演算を実施することが可能である。
【0131】
一例として、地上端末が、衛星局から地上端末に信号を送った際の遅延時間を考慮し、その遅延時間に基づいて求めたタイミングで、地上端末から衛星局に信号を送出する方法を挙げる。
【0132】
図25は、本実施の形態の遅延時間の算出方法の一例を示す図である。図25の(a)は衛星局が地上局から受信した信号の一例を示す。上述のようにタイミング抽出部91−iはFFT演算開始位置を抽出する。図25の(b)は、FFT演算開始位置をパルスとして生成した場合のパルス信号の一例を示す図である。FFT部9−iは、図25の(b)に示すパルスが立つ位置をFFT演算開始位置として、FFT演算を実行する。
【0133】
図25の(c)は、図25の(b)で示したパルス信号を基準としたときに、衛星局から地上端末に信号が送出される時点に対応するパルス信号の一例を示したものである。衛星局では、FFT部9−iで演算が行われてから地上端末への送信信号として生成のための処理時間(処理遅延)により、図25の(b)より遅延時間D1だけ遅延して送信される。遅延時間D1については固定遅延であるため、あらかじめ把握可能である。
【0134】
図25の(d)は、図25の(c)のパルス位置を基準としたときの、地上端末が衛星局から信号を受信し復調処理を行った時点に対応するパルス信号の一例を示したものである。図25の(d)は、図25の(c)のパルス位置と比べ、衛星局から地上端末への伝搬遅延による伝搬遅延時間D2と、地上端末での復調処理に係る復調遅延時間D3と、を加算した時間だけ遅延する。なお、伝搬遅延時間D2については地上端末の位置によって異なるが、地上端末の位置情報を取得することにより、衛星局との距離を把握可能であり、地上端末が衛星局との距離を把握することで、伝搬遅延時間D2も把握可能である。また、地上端末の復調遅延時間D3についても、固定であるためあらかじめ把握可能である。
【0135】
以上より、衛星局のFFT部9−iがFFT演算を実施してから地上端末が、衛星局から送信された信号を復調するまでの遅延時間(衛星局から地上端末までの遅延時間)はD1+D2+D3であり、これらの遅延時間は算出可能である。また、同様に、地上端末が信号を送信してから、その信号を衛星局がFFT演算を実施するまでの遅延時間(地上端末から衛星局までの遅延時間)も算出可能である。地上端末は、衛星局から地上端末までの遅延時間と地上端末から衛星局までの遅延時間と、を算出し、算出した遅延時間に基づいて、正しい位置でFFT演算が実施されるよう衛星局に対する送信信号の送信タイミングを制御する。この地上端末での送信制御により、衛星局は固定タイミングでFFT演算処理を行うことで、所望のタイミングでFFT演算を実施することが可能である。
【0136】
このような処理を実施することにより、地上局から送信された信号に対する処理の場合と同様に、地上端末から送信された信号の処理の際にも、FFT部37−k、スイッチマトリックス部38およびIFFT部41−iをそれぞれ1系統のみの構成とすることができ、また、信号合成部42−iを不要とすることができる。なお、地上局端末が以上のような送信制御を実施する替わりに、地上局から送信された信号と同様にフレーム化を行い、無信号区間を設けることで、演算開始位置を検出する方法としてもよい。
【0137】
なお、衛星局からは一般にビーコン情報が送信されているが、地上端末が、このビーコン情報を基に衛星局へ信号を送信する行うことで、衛星局が地上端末から送信される信号の受信タイミングを把握しても良い。すなわち、地上端末がビーコン情報に基づいて、送信信号のタイミングを制御する。また、GPSを用いて衛星局と地上端末間の同期をとることで、衛星局が地上端末から送信される信号の受信タイミングを把握しても良い。
【0138】
また、衛星局から地上局に送信される信号に関しても、地上局は地上端末と同じ方法で遅延時間に基づいてFFT演算開始位置を検出することが可能である。したがって、地上局から送信される信号についても、衛星局ではFFT演算開始位置を固定とし、地上局が遅延時間に基づいて送信を制御するようにしてもよい。また、地上局から衛星局へのアップリンク同様、フィーダリンクとは異なる回線を用いて、地上局が衛星局からFFT演算開始位置に関する情報を得て、その情報を基にFFT演算開始位置を抽出しても良い。
【0139】
以上のように本実施の形態では、送信信号をフレーム化して送信データの間に無信号区間を設けて、FFT演算区間の連続性が保たれるようにし、衛星局の電力変換部90−iが受信信号を電力変換し、タイミング抽出部91−iが変換した電力に基づいてFFT演算開始位置を抽出し、FFT部9−iが抽出したFFT演算開始位置に基づいてFFT演算を実施するようにした。そのため、衛星局のウィンドニング部7−iや信号合成部23−iを不要とでき、また、従来2つずつ必要としていたFFT部9−i、スイッチマトリックス部10およびIFFT部21−kも1つずつ備えればよい。したがって、本実施の形態では、回路規模を従来の1/2以下に削減することが可能である。また、実施の形態2についても、本実施の形態と同様の構成の変更を実施し、本実施の形態と同様の動作を実施することで、回路規模を削減することができる。
【0140】
なお、本実施の形態では、送信信号のフレーム化を行う例を説明したが、フレーム化を行わずに衛星局で、実施の形態1と同様に、ウィンドウィング部7−iが窓関数乗算処理を行ってもよい。ただし窓関数乗算範囲をずらした信号は生成しない。この場合、窓関数が乗算された受信信号は、窓関数乗算部分の信号情報が欠落するが、誤り訂正処理を用いて失われた信号を補うことで、システムに要求される誤り率を満たした通信を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のように、本発明にかかる衛星通信装置および衛星通信システムは、複数のキャリア信号が合成された多重信号から各キャリア信号を抽出し、複数のキャリア信号を多重して送信する通信システムに有用であり、特に、柔軟な周波数利用を要求される通信システムに適している。
【符号の説明】
【0142】
1,30−1〜30−105 受信アンテナ
2−1〜2−15,31−1〜31−105,27−1〜27−105,46−1〜46−15,61−1〜61−106,80−1〜80−106 周波数変換部
3−1〜3−15,32−1〜32−15 A/D変換部
4−1〜4−15,33−1〜33−15 直交検波部
5−1〜5−15,34−1〜34−105 LPF部
6−1〜6−15,35−1〜35−105,81−1〜81−106 間引き部
7−1〜7−15,36−1〜36−106 ウィンドウィング部
9−1〜9−15,37−1〜37−105,37a−1〜37a−106 FFT部
10,38 スイッチマトリックス部
11,64 制御部
14−1〜14−15 第1RAM部
15−1〜15−15,51−1〜51−15,53−1〜53−15 信号ソート部
16−1〜16−15 第2RAM部
17−1〜17−105 第3RAM部
21−1〜21−105,41−1〜41−15,21a−1〜21a−106 IFFT部
23−1〜23−106,42−1〜42−15 信号合成部
24−1〜24−105,43−1〜43−15,60−1〜60−106 補間部
25−1〜25−105,44−1〜44−15 直交変調部
26−1〜26−105,45−1〜45−15 D/A変換部
28−1〜28−105 送信アンテナ
47 加算部
50−1〜50−105 第4RAM部
52−1〜52−15 第5RAM部
54−1〜54−15 第6RAM部
62−1〜62−105 予備系統合成部
63,82 予備系統
90−1〜90−15 電力変換部
91−1〜91−15 タイミング抽出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の前記分波信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を送信する衛星通信装置であって、
受信信号をFFT処理により周波数領域信号に変換し、前記周波数領域信号を前記分波信号とするFFT処理手段と、
前記分波信号を宛先ごとに振り分けるスイッチマトリックス手段と、
前記スイッチマトリックス手段による振り分け後の分波信号を、同一宛先ごとにIFFT処理を施すことにより時間領域信号に変換し、前記時間領域信号を前記合波信号とするIFFT処理手段と、
を備えることを特徴とする衛星通信装置。
【請求項2】
前記FFT処理を2N(Nは自然数)点のFFT処理とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星通信装置。
【請求項3】
前記IFFT処理を2N(Nは自然数)点のIFFT処理とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の衛星通信装置。
【請求項4】
前記宛先は、2階層以上の階層を有することとし、
前記スイッチマトリックス手段は、前記分波信号を階層ごとに振り分ける、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項5】
複数の送信ビームを生成する送信アンテナ手段、
をさらに備え、
前記宛先を前記送信ビームが構成するセルとする、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項6】
複数の送信ビームを生成する送信アンテナ手段、
をさらに備え、
前記宛先を前記送信ビームが構成するセルとし、
所定数の前記セルでクラスタを構成し、前記クラスタ間で同一の周波数帯を使用することとし、
前記階層を前記クラスタと前記セルの2階層とし、
前記スイッチマトリックス手段は、階層ごとの振り分けとして、前記クラスタごとに振り分けを行った後にクラスタ内のセルごとの振り分けを行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の衛星通信装置。
【請求項7】
前記クラスタに割り当てられた周波数帯を前記所定数より大きいC個の周波数帯域に分割し、前記分割した周波数帯域である分割周波数帯を前記セルに1対1にあらかじめ割り当て、また、前記分割周波数帯域のうち前記セルに割り当てない周波数帯域を予備用周波数帯として定めておき、
前記IFFT処理手段は、対応する宛先に割り当てられた前記分割周波数帯域幅に対応するIFFT点数で前記IFFT処理を実施し、
前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てるか否かを判断し、前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てる場合に、前記予備用周波数帯の割り当て対象のセルに送信する受信信号のうち、前記予備用周波数帯で送信する受信信号とそのセルにあらかじめ割り当てられている分割周波数帯で送信する受信信号とに分類する制御手段と、
前記合波信号に対してC倍の点数になるよう補間を行う補間手段と、
前記補間手段による補間後の合波信号をその合波信号の宛先のセルに割り当てられている分割周波数帯に変換する周波数変換手段と、
前記制御手段の分類結果に基づいて、前記予備用周波数帯で送信する受信信号に対して予備系周波数帯に対応するIFFT点数でIFFT処理を実施し、IFFT処理後の信号をC倍に補間し、また、補間後の信号を予備系周波数に変換することにより予備系信号を生成する予備系統処理手段と、
前記制御手段の判断結果に基づいて、前記予備系信号と、前記予備用周波数帯の割り当て対象のセルに対応する前記周波数変換手段によって分割周波数帯に変換された信号と、を合成し、合成後の信号をそのセルに送信する合波信号とする予備系統合成手段と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の衛星通信装置。
【請求項8】
受信ビームを生成し、地上端末から送信された信号を受信する受信アンテナ手段、
をさらに備え、
所定数の前記セルでクラスタを構成し、前記クラスタ間で同一の周波数帯を使用することとし、また、前記クラスタに割り当てられた周波数帯を前記所定数より大きいC個の周波数帯域に分割し、前記分割した周波数帯域である分割周波数帯を前記セルに1対1にあらかじめ割り当て、また、前記分割周波数帯域のうち前記セルに割り当てない周波数帯域を予備用周波数帯として定めておき、また、前記受信信号を前記受信アンテナ手段が受信した信号とし、
前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てるか否かを判断し、前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てる場合に、前記予備用周波数帯を割り当てたセルに対しその旨を通知する制御手段と、
前記分割周波数帯で送信された前記受信信号を、0を中心とする周波数帯に変換する地上端末周波数変換手段と、
前記地上端末周波数変換手段による周波数変換後の受信信号を1/Cに間引きする間引き手段と、
入力された信号を、予備用周波数帯の中心周波数を0とするよう周波数変換し、周波数変換後の信号を1/Cに間引きし、その間引き後の信号に対してFFT処理を実施し、FFT処理後の信号を受信予備系統信号とする地上端末予備系統処理手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記予備用周波数帯を割り当てたセルから受信した前記受信信号を前記地上端末周波数変換手段へ出力するとともに地上端末予備系統処理手段へ入力し、
前記FFT手段は、前記間引き手段による間引き後の信号を前記FFT処理の対象の前記受信信号とする、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項9】
前記合波信号の送信先を地上局とし、
前記地上局へ送信する送信周波数帯を所定の数に分割した分割送信周波数帯ごとに、前記合波信号を前記分割送信周波数帯に変換した分割送信周波数帯信号を生成する地上局周波数変換手段と、
前記分割送信周波数帯ごとに生成された前記分割送信周波数帯信号を加算する加算手段と、
をさらに備え、
前記宛先を前記地上局周波数変換手段とする、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項10】
前記合波信号の送信先を地上局とし、
前記地上局へ送信する送信周波数帯を所定の数に分割した分割送信周波数帯ごとに、前記合波信号を前記分割送信周波数帯に変換した分割送信周波数帯信号を生成する地上局周波数変換手段と、
前記分割送信周波数帯ごとに生成された前記分割送信周波数帯信号を加算する加算手段と、
をさらに備え、
前記宛先を前記地上局周波数変換手段とする、
ことを特徴とする請求項8に記載の衛星通信装置。
【請求項11】
前記受信信号をM個(Mは自然数)とし、
前記宛先をL個とし、
前記FFT処理手段は、M個の前記受信信号に対してそれぞれ前記FFT処理を施し、
前記スイッチマトリックスはM個の前記受信信号に対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とする、
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項12】
MおよびLを2以上とし、
前記スイッチマトリックス手段は、
前記受信信号を保持し、あらかじめ定めた宛先と出力先との対応と、保持している前記受信信号の宛先と、に基づいて宛先に対応する出力先に前記受信信号を出力する第1の記憶手段をM個備え、
L個のメモリで構成される前記受信信号を格納するための第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に1対1で接続され、前記第1の記憶手段から出力された信号の並び替えを行う信号ソート手段と、
をL個備え、
前記出力先を前記信号ソート手段とし、
前記信号ソート手段は、M個の第1の記憶手段から入力された信号を、自身が接続する前記第2の記憶手段を構成する前記L個のメモリへのそれぞれの出力頻度を均等化するよう並び替えて前記L個のメモリへ出力する、
ことを特徴とする請求項11に記載の衛星通信装置。
【請求項13】
前記受信信号と、前記受信信号に対する乗算区間が所定の時間分互いに異なる2種類の窓関数と、を乗算することにより2種類の窓関数乗算信号を生成する窓関数乗算手段と、
入力された2つの信号を合成する信号合成手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号を処理対象の受信信号としてそれぞれ前記FFT処理を実施し、
前記スイッチマトリックス手段は、2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とし、
前記IFFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号に振り分け後の信号を前記IFFT処理の対象とし、
前記信号合成手段は、前記2つの信号を、2種類の前記窓関数乗算信号に対応する前記IFFT手段が求めた前記合波信号とする、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項14】
前記受信信号と、前記受信信号に対する乗算区間が所定の時間分互いに異なる2種類の窓関数と、を乗算することにより2種類の前記窓関数乗算信号を生成する窓関数乗算手段と、
入力された2つの信号を合成する信号合成手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号を処理対象の受信信号としてそれぞれ前記FFT処理を実施し、
前記スイッチマトリックス手段は、2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とし、
前記IFFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号に振り分け後の信号を前記IFFT処理の対象とし、
前記信号合成手段は、前記2つの信号を、2種類の前記窓関数乗算信号に対応する前記IFFT手段が求めた前記合波信号とし、
前記補間手段は、前記信号合成手段が合成した後の信号を補間対象の前記合波信号とする、
ことを特徴とする請求項7に記載の衛星通信装置。
【請求項15】
前記間引き手段による間引き後の信号と、前記間引き後の信号に対する乗算区間が所定の時間分互いに異なる2種類の窓関数と、を乗算することにより2種類の前記窓関数乗算信号を生成する窓関数乗算手段と、
入力された2つの信号を合成する信号合成手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号を処理対象の受信信号を、前記FFT処理の対象の受信信号として前記分波信号を求め、
前記スイッチマトリックス手段は、2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とし、
前記IFFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号に振り分け後の信号を前記IFFT処理の対象とし、
前記信号合成手段は、前記2つの信号を、2種類の前記窓関数乗算信号に対応する前記IFFT手段が求めた前記合波信号とし、
ことを特徴とする請求項8または10に記載の衛星通信装置。
【請求項16】
前記所定の時間を前記FFT処理におけるFFT演算区間の1/2に対応する時間とする、
ことを特徴とする請求項13、14または15に記載の衛星通信装置。
【請求項17】
前記受信信号をM個(Mは自然数)とし、
前記宛先をL個とし、
前記窓関数乗算手段は、M個の前記受信信号に対してそれぞれ前記2種類の前記窓関数乗算信号を生成し、
前記FFT処理手段は、M組の前記2種類の前記窓関数乗算信号に対してそれぞれ前記FFT処理を施し、
前記スイッチマトリックスはM組の2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とする、
ことを特徴とする請求項13〜16のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項18】
MおよびLを2以上とし、
前記スイッチマトリックス手段は、
前記受信信号を保持し、あらかじめ定めた宛先と出力先との対応と、保持している前記受信信号の宛先と、に基づいて宛先に対応する出力先に前記受信信号を出力する第1の記憶手段をM個備え、
L個のメモリで構成される前記受信信号を格納するための第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に1対1で接続され、前記第1の記憶手段から出力された信号の並び替えを行う信号ソート手段と、
をL個備え、
前記出力先を前記信号ソート手段とし、
前記信号ソート手段は、M個の第1の記憶手段から入力された信号を、自身が接続する前記第2の記憶手段を構成する前記L個のメモリへのそれぞれの出力頻度を均等化するよう並び替えて前記L個のメモリへ出力する、
ことを特徴とする請求項17に記載の衛星通信装置。
【請求項19】
前記受信信号が所定のデータ量ごとに無信号区間を挿入されて送信されることとし、
前記受信信号の電力値を算出する電力変換手段と、
前記電力値に基づいて前記無信号区間を抽出し、前記無信号区間のうちの所定の位置を前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置として抽出するタイミング抽出手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、前記FFT演算開始位置に基づいて前記FFT処理を実施する、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項20】
GPS衛星から受信した情報に基づいて、前記受信信号の送信元の装置との同期を確立し、
前記FFT処理手段は、前記受信信号の送信元の装置から送信される前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を指示するFFT演算開始位置指示信号に基づいて前記FFT演算開始位置を求め、前記FFT演算開始位置に基づいて前記FFT処理を実施する、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項21】
前記受信信号の送信元の装置が、前記衛星通信装置との間の処理遅延および伝播遅延に基づいて前記衛星通信装置が行う前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を求め、前記FFT演算開始位置に基づいて前記受信信号を送信することとし、
前記FFT処理手段は、前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を固定とする、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項22】
前記受信信号の送信元の装置が、前記衛星通信装置から受信したビーコン情報に基づいて前記受信信号を送信することとし、
前記FFT処理手段は、前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を固定とする、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項23】
地上局と、
地上端末と、
請求項1〜22のいずれか1つに記載の衛星通信装置と、
を備え、
前記衛星通信装置は、前記地上局から受信した受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を前記地上端末へ送信する、または、前記地上端末から受信した受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を前記地上局へ送信する、
ことを特徴とする衛星通信システム。
【請求項1】
受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の前記分波信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を送信する衛星通信装置であって、
受信信号をFFT処理により周波数領域信号に変換し、前記周波数領域信号を前記分波信号とするFFT処理手段と、
前記分波信号を宛先ごとに振り分けるスイッチマトリックス手段と、
前記スイッチマトリックス手段による振り分け後の分波信号を、同一宛先ごとにIFFT処理を施すことにより時間領域信号に変換し、前記時間領域信号を前記合波信号とするIFFT処理手段と、
を備えることを特徴とする衛星通信装置。
【請求項2】
前記FFT処理を2N(Nは自然数)点のFFT処理とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星通信装置。
【請求項3】
前記IFFT処理を2N(Nは自然数)点のIFFT処理とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の衛星通信装置。
【請求項4】
前記宛先は、2階層以上の階層を有することとし、
前記スイッチマトリックス手段は、前記分波信号を階層ごとに振り分ける、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項5】
複数の送信ビームを生成する送信アンテナ手段、
をさらに備え、
前記宛先を前記送信ビームが構成するセルとする、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項6】
複数の送信ビームを生成する送信アンテナ手段、
をさらに備え、
前記宛先を前記送信ビームが構成するセルとし、
所定数の前記セルでクラスタを構成し、前記クラスタ間で同一の周波数帯を使用することとし、
前記階層を前記クラスタと前記セルの2階層とし、
前記スイッチマトリックス手段は、階層ごとの振り分けとして、前記クラスタごとに振り分けを行った後にクラスタ内のセルごとの振り分けを行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の衛星通信装置。
【請求項7】
前記クラスタに割り当てられた周波数帯を前記所定数より大きいC個の周波数帯域に分割し、前記分割した周波数帯域である分割周波数帯を前記セルに1対1にあらかじめ割り当て、また、前記分割周波数帯域のうち前記セルに割り当てない周波数帯域を予備用周波数帯として定めておき、
前記IFFT処理手段は、対応する宛先に割り当てられた前記分割周波数帯域幅に対応するIFFT点数で前記IFFT処理を実施し、
前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てるか否かを判断し、前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てる場合に、前記予備用周波数帯の割り当て対象のセルに送信する受信信号のうち、前記予備用周波数帯で送信する受信信号とそのセルにあらかじめ割り当てられている分割周波数帯で送信する受信信号とに分類する制御手段と、
前記合波信号に対してC倍の点数になるよう補間を行う補間手段と、
前記補間手段による補間後の合波信号をその合波信号の宛先のセルに割り当てられている分割周波数帯に変換する周波数変換手段と、
前記制御手段の分類結果に基づいて、前記予備用周波数帯で送信する受信信号に対して予備系周波数帯に対応するIFFT点数でIFFT処理を実施し、IFFT処理後の信号をC倍に補間し、また、補間後の信号を予備系周波数に変換することにより予備系信号を生成する予備系統処理手段と、
前記制御手段の判断結果に基づいて、前記予備系信号と、前記予備用周波数帯の割り当て対象のセルに対応する前記周波数変換手段によって分割周波数帯に変換された信号と、を合成し、合成後の信号をそのセルに送信する合波信号とする予備系統合成手段と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の衛星通信装置。
【請求項8】
受信ビームを生成し、地上端末から送信された信号を受信する受信アンテナ手段、
をさらに備え、
所定数の前記セルでクラスタを構成し、前記クラスタ間で同一の周波数帯を使用することとし、また、前記クラスタに割り当てられた周波数帯を前記所定数より大きいC個の周波数帯域に分割し、前記分割した周波数帯域である分割周波数帯を前記セルに1対1にあらかじめ割り当て、また、前記分割周波数帯域のうち前記セルに割り当てない周波数帯域を予備用周波数帯として定めておき、また、前記受信信号を前記受信アンテナ手段が受信した信号とし、
前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てるか否かを判断し、前記予備用周波数帯を前記セルのうちの1つ以上のセルに割り当てる場合に、前記予備用周波数帯を割り当てたセルに対しその旨を通知する制御手段と、
前記分割周波数帯で送信された前記受信信号を、0を中心とする周波数帯に変換する地上端末周波数変換手段と、
前記地上端末周波数変換手段による周波数変換後の受信信号を1/Cに間引きする間引き手段と、
入力された信号を、予備用周波数帯の中心周波数を0とするよう周波数変換し、周波数変換後の信号を1/Cに間引きし、その間引き後の信号に対してFFT処理を実施し、FFT処理後の信号を受信予備系統信号とする地上端末予備系統処理手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記予備用周波数帯を割り当てたセルから受信した前記受信信号を前記地上端末周波数変換手段へ出力するとともに地上端末予備系統処理手段へ入力し、
前記FFT手段は、前記間引き手段による間引き後の信号を前記FFT処理の対象の前記受信信号とする、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項9】
前記合波信号の送信先を地上局とし、
前記地上局へ送信する送信周波数帯を所定の数に分割した分割送信周波数帯ごとに、前記合波信号を前記分割送信周波数帯に変換した分割送信周波数帯信号を生成する地上局周波数変換手段と、
前記分割送信周波数帯ごとに生成された前記分割送信周波数帯信号を加算する加算手段と、
をさらに備え、
前記宛先を前記地上局周波数変換手段とする、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の衛星通信装置。
【請求項10】
前記合波信号の送信先を地上局とし、
前記地上局へ送信する送信周波数帯を所定の数に分割した分割送信周波数帯ごとに、前記合波信号を前記分割送信周波数帯に変換した分割送信周波数帯信号を生成する地上局周波数変換手段と、
前記分割送信周波数帯ごとに生成された前記分割送信周波数帯信号を加算する加算手段と、
をさらに備え、
前記宛先を前記地上局周波数変換手段とする、
ことを特徴とする請求項8に記載の衛星通信装置。
【請求項11】
前記受信信号をM個(Mは自然数)とし、
前記宛先をL個とし、
前記FFT処理手段は、M個の前記受信信号に対してそれぞれ前記FFT処理を施し、
前記スイッチマトリックスはM個の前記受信信号に対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とする、
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項12】
MおよびLを2以上とし、
前記スイッチマトリックス手段は、
前記受信信号を保持し、あらかじめ定めた宛先と出力先との対応と、保持している前記受信信号の宛先と、に基づいて宛先に対応する出力先に前記受信信号を出力する第1の記憶手段をM個備え、
L個のメモリで構成される前記受信信号を格納するための第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に1対1で接続され、前記第1の記憶手段から出力された信号の並び替えを行う信号ソート手段と、
をL個備え、
前記出力先を前記信号ソート手段とし、
前記信号ソート手段は、M個の第1の記憶手段から入力された信号を、自身が接続する前記第2の記憶手段を構成する前記L個のメモリへのそれぞれの出力頻度を均等化するよう並び替えて前記L個のメモリへ出力する、
ことを特徴とする請求項11に記載の衛星通信装置。
【請求項13】
前記受信信号と、前記受信信号に対する乗算区間が所定の時間分互いに異なる2種類の窓関数と、を乗算することにより2種類の窓関数乗算信号を生成する窓関数乗算手段と、
入力された2つの信号を合成する信号合成手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号を処理対象の受信信号としてそれぞれ前記FFT処理を実施し、
前記スイッチマトリックス手段は、2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とし、
前記IFFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号に振り分け後の信号を前記IFFT処理の対象とし、
前記信号合成手段は、前記2つの信号を、2種類の前記窓関数乗算信号に対応する前記IFFT手段が求めた前記合波信号とする、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項14】
前記受信信号と、前記受信信号に対する乗算区間が所定の時間分互いに異なる2種類の窓関数と、を乗算することにより2種類の前記窓関数乗算信号を生成する窓関数乗算手段と、
入力された2つの信号を合成する信号合成手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号を処理対象の受信信号としてそれぞれ前記FFT処理を実施し、
前記スイッチマトリックス手段は、2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とし、
前記IFFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号に振り分け後の信号を前記IFFT処理の対象とし、
前記信号合成手段は、前記2つの信号を、2種類の前記窓関数乗算信号に対応する前記IFFT手段が求めた前記合波信号とし、
前記補間手段は、前記信号合成手段が合成した後の信号を補間対象の前記合波信号とする、
ことを特徴とする請求項7に記載の衛星通信装置。
【請求項15】
前記間引き手段による間引き後の信号と、前記間引き後の信号に対する乗算区間が所定の時間分互いに異なる2種類の窓関数と、を乗算することにより2種類の前記窓関数乗算信号を生成する窓関数乗算手段と、
入力された2つの信号を合成する信号合成手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号を処理対象の受信信号を、前記FFT処理の対象の受信信号として前記分波信号を求め、
前記スイッチマトリックス手段は、2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とし、
前記IFFT処理手段は、2種類の前記窓関数乗算信号に振り分け後の信号を前記IFFT処理の対象とし、
前記信号合成手段は、前記2つの信号を、2種類の前記窓関数乗算信号に対応する前記IFFT手段が求めた前記合波信号とし、
ことを特徴とする請求項8または10に記載の衛星通信装置。
【請求項16】
前記所定の時間を前記FFT処理におけるFFT演算区間の1/2に対応する時間とする、
ことを特徴とする請求項13、14または15に記載の衛星通信装置。
【請求項17】
前記受信信号をM個(Mは自然数)とし、
前記宛先をL個とし、
前記窓関数乗算手段は、M個の前記受信信号に対してそれぞれ前記2種類の前記窓関数乗算信号を生成し、
前記FFT処理手段は、M組の前記2種類の前記窓関数乗算信号に対してそれぞれ前記FFT処理を施し、
前記スイッチマトリックスはM組の2種類の前記窓関数乗算信号にそれぞれ対応する前記分波信号を宛先ごとの振り分け対象とする、
ことを特徴とする請求項13〜16のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項18】
MおよびLを2以上とし、
前記スイッチマトリックス手段は、
前記受信信号を保持し、あらかじめ定めた宛先と出力先との対応と、保持している前記受信信号の宛先と、に基づいて宛先に対応する出力先に前記受信信号を出力する第1の記憶手段をM個備え、
L個のメモリで構成される前記受信信号を格納するための第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に1対1で接続され、前記第1の記憶手段から出力された信号の並び替えを行う信号ソート手段と、
をL個備え、
前記出力先を前記信号ソート手段とし、
前記信号ソート手段は、M個の第1の記憶手段から入力された信号を、自身が接続する前記第2の記憶手段を構成する前記L個のメモリへのそれぞれの出力頻度を均等化するよう並び替えて前記L個のメモリへ出力する、
ことを特徴とする請求項17に記載の衛星通信装置。
【請求項19】
前記受信信号が所定のデータ量ごとに無信号区間を挿入されて送信されることとし、
前記受信信号の電力値を算出する電力変換手段と、
前記電力値に基づいて前記無信号区間を抽出し、前記無信号区間のうちの所定の位置を前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置として抽出するタイミング抽出手段と、
をさらに備え、
前記FFT処理手段は、前記FFT演算開始位置に基づいて前記FFT処理を実施する、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項20】
GPS衛星から受信した情報に基づいて、前記受信信号の送信元の装置との同期を確立し、
前記FFT処理手段は、前記受信信号の送信元の装置から送信される前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を指示するFFT演算開始位置指示信号に基づいて前記FFT演算開始位置を求め、前記FFT演算開始位置に基づいて前記FFT処理を実施する、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項21】
前記受信信号の送信元の装置が、前記衛星通信装置との間の処理遅延および伝播遅延に基づいて前記衛星通信装置が行う前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を求め、前記FFT演算開始位置に基づいて前記受信信号を送信することとし、
前記FFT処理手段は、前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を固定とする、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項22】
前記受信信号の送信元の装置が、前記衛星通信装置から受信したビーコン情報に基づいて前記受信信号を送信することとし、
前記FFT処理手段は、前記FFT処理の演算開始位置であるFFT演算開始位置を固定とする、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項23】
地上局と、
地上端末と、
請求項1〜22のいずれか1つに記載の衛星通信装置と、
を備え、
前記衛星通信装置は、前記地上局から受信した受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を前記地上端末へ送信する、または、前記地上端末から受信した受信信号を分波し、分波後の信号である分波信号を宛先ごとに振り分け、振り分け後の信号を前記分波信号の宛先ごとに合波し、合波後の信号である合波信号を前記地上局へ送信する、
ことを特徴とする衛星通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−1】
【図14−2】
【図14−3】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−1】
【図14−2】
【図14−3】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−29720(P2011−29720A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170511(P2009−170511)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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