説明

表示装置、および欠陥検出方法

【課題】画素内に発生する画素欠陥を容易に検出可能な表示装置、および欠陥検出方法を提供する。
【解決手段】表示装置1は、ソース線23に直交する複数のゲート線22および検査用ゲート線22Aを備えた表示パネル2と、ソース駆動制御部3と、ゲート駆動制御部4と、検出手段が接続可能な検出端子に、検査用ゲート線22Aの各検査用画素にて保持された電荷を出力する検査回路5と、を具備する。そして、この表示装置1は、ソース線23への電流の導通状態を制御するソース導通制御手段110と、ソース線23への電流の導通が許可された状態で、検査対象となる画素に電荷を保持させる充電制御手段120と、ソース線23への電流の導通が遮断された状態で、検査対象となる画素から検査用画素に電荷を移動させる電荷移動制御手段130と、検査用画素に保持された電荷を順次検出端子に出力する検査電荷出力制御手段140と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの画素欠陥に起因する電流を計測して欠陥検出可能な表示装置、および欠陥検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルなどの表示パネルにおいて、表示パネルの表示異常を検査する検査装置および検査方法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、RGBの各色を表示させる画素電極がストライプ配列に配置され、これらの画素電極の間をゲート配線およびソース配線が配置され、さらにこれらのゲート配線およびソース配線の交点にスイッチング素子が配置された液晶パネルの検査装置である。この検査装置では、複数のゲート配線を2相に分け、それぞれのゲート配線の一端側を第1ゲート側検査配線と、第2ゲート側検査配線とに、検査用スイッチング素子を介して接続し、他端側をゲート駆動回路に接続する。また、蓄積容量を形成するための蓄積容量専用配線を設け、奇数行の蓄積容量専用配線を第1蓄積容量専用検査配線に、偶数行の蓄積容量専用配線を第2蓄積容量専用検査配線に接続する。また、対向電極側検査配線と対向電極とを接続する。さらに、全てのソース配線を検査用スイッチング素子を介してソース側検査配線に接続する。そして、各検査用配線に所定の電圧を印加し、検査用スイッチング素子を制御することで、液晶パネルから白、黒、白、黒、…といったフリッカ画面を表示させ、スイッチング素子の開閉に起因する不良、スイッチング素子の特性的不良、画素電位の保持特性のバラツキによる不良、各画素構成および各配線のパターンによる不良を検出する。
【0004】
また、特許文献2に記載のものは、有機ELパネルの信号線(ソース線)を信号線接続スイッチ回路に接続し、選択線(ゲート線)を選択線接続スイッチ回路に接続する評価装置である。ここで、これらの信号線接続スイッチ回路および選択線接続スイッチ回路は、接続された信号線および選択線から、順次電圧を印加する線を切り替える回路である。そして、この評価装置では、信号接続スイッチ回路および選択線接続スイッチ回路において、電圧を印加する配線を順次切り替えて、有機ELパネルの各画素に対して個別に駆動させ、その駆動電流を測定することで欠陥を判定する。
【0005】
【特許文献1】特開2003−157053号公報
【特許文献2】特開2002−40074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のような検査装置では、各検査配線間に発生するリーク欠陥には対応するが、画素内で発生するリーク欠陥に対して検出することができないという問題がある。また、特許文献2のような従来の評価装置では、画素内で発生するリーク欠陥を検出することはできるが、信号線および選択線を全パターンに亘って順次切り替えてリーク電流を検出する必要があるため、検査処理が煩雑となり、また評価装置として大規模な装置が必要となるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、容易に画素内に発生する欠陥を検出可能な表示装置および欠陥検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、互いに対向する駆動基板および対向基板間に設けられるとともに、所定量の電荷を保持可能な画素、前記駆動基板に列方向に平行に設けられる複数のソース線、前記駆動基板に設けられるとともに、前記ソース線と直交する行方向に平行に設けられる検査用ゲート線および複数のゲート線、前記ソース線と前記検査用ゲート線との交差点近傍および前記ソース線と前記ゲート線との交差点近傍にそれぞれ設けられて前記ソース線に出力される電荷を前記画素に印加する画素電極、および前記ゲート線および前記検査用ゲート線に接続され、前記ソース線から前記画素電極への電荷の印加状態を切り替える画素スイッチング素子、を備えた表示パネルと、複数の前記ソース線の一端部に接続されるとともに、前記ソース線に所定の電圧を印加するソース制御装置と、複数の前記ゲート線の一端部に接続されるとともに、前記ゲート線に所定の電圧を印加するゲート制御装置と、印加された電荷を検出する検出手段が接続可能な検出端子を備え、前記検査用ゲート線に接続される各画素にて保持された電荷をこの検出端子に出力する検査回路と、を具備した表示装置であって、前記ソース線への電流の導通状態を制御するソース導通制御手段と、前記ソース導通制御手段により前記ソース線への電流の導通が許可された状態で、前記ゲート制御装置および前記ソース制御装置を制御して、検査対象となる前記画素に電荷を保持させる制御をさせる充電制御手段と、前記ソース導通制御手段により前記ソース線への電流の導通が遮断された状態で、前記ゲート制御装置を制御して、前記検査対象となる画素に対応する画素電極が接続される前記ゲート線と、前記検査用ゲート線とに所定の駆動電圧を印加して、検査対象となる前記画素に保持された電荷を、前記検査用ゲート線に接続され、かつ検査対象となる前記画素と同一ソース線で連結される画素である検査用画素に移動させる制御をする電荷移動制御手段と、前記検査用画素に保持された電荷を順次前記検出端子に出力する検査電荷出力制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、充電制御手段は、検査対象となる画素が接続されるゲート線に所定のゲート駆動電圧を印加し、ソース線に所定のソース駆動電圧を印加することで、ソース線から検査対象の画素に電荷が印加され、画素に電荷が保持されて充電する。例えば、1つのゲート線に沿って配置される全画素を検査する場合には、検査対象のゲート線と、全ソース線に駆動電圧を印加する。ここで、ソース導通制御手段は、ソース線の電流の導通状態を遮断し、ゲート線をオフ電圧にすることで、検査対象となる画素に電荷が保持され充電される。
また、電荷移動制御手段は、この状態から検査対象となるゲート線と検査用ゲート線に駆動電圧を印加する。これにより、検査対象の画素に保持された電荷が、検査対象の画素に対応する画素スイッチング素子、ソース線、検査用ゲート線に接続される画素スイッチング素子、および検査用ゲート線に接続される画素電極を介して、検査用画素に移動される。
そして、検査電荷出力制御手段は、これらの検査用画素に保持された電荷を、各検査用画素毎に順次検査回路の検出端子に出力させる。
【0010】
これにより、検出端子に例えば電流計を接続するだけで、容易に検査対象となる画素に保持されていた電荷量を検出することができ、表示パネルにおける欠陥を検出することができる。すなわち、検出された電荷量が、所定閾値以下となる場合には、検査対象となる画素にリーク欠陥、ショート欠陥、オープン欠陥などがあり、電荷が保持できていないと判断でき、欠陥対象となる画素のアドレスを判別することができる。また、検出端子から出力される電荷量を測定することで、定量検査を実施することができ、表示装置における検査精度を向上させることができる。
また、表示装置に検査回路が組み込まれているため、表示装置自身に検出手段を設けることで、自己検査を実施することができ、表示装置の品質を向上させることができる。また、工場における生産ラインで表示装置を検査する場合でも、検出端子に例えば電流計などの検出手段を接続するだけでよいため、低コストで品質検査を実施することができ、検査に要する費用や時間を削減できる。
【0011】
本発明の表示装置では、前記検査用ゲート線は、複数のゲート線のうちのいずれか一つであることが好ましい。
この発明によれば、複数のゲート線のうちの1本を検査用ゲート線とするため、改めてゲート線を追加するなどの必要がなく、例えば従来用いられているゲート制御装置に接続することが可能となる。したがって、構成を簡単にでき、生産コストを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の表示装置では、前記ソース線の両端部には、前記ソース線への電流の導通状態を切り替えるソーススイッチング素子が設けられ、前記検査回路は、前記ソーススイッチング素子における電流の導通状態を切り替えるソース制御信号を出力するソース制御端子を備え、前記ソース導通制御手段は、前記ソース制御端子から前記ソース制御信号を出力させてソーススイッチング素子における前記ソース線への電流の導通状態を切り替えることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、ソース線の両端部にソーススイッチング素子が接続されているので、ソース導通制御手段は、ソース制御端子からこのソーススイッチング素子におけるON/OFFを切り替えるソース制御信号を出力するだけで、ソース線への導通状態をスイッチングにより切り替えることができる。したがって、ソース制御装置においてソース線への導通状態を切り替える装置などが不要となり、従来のソース制御装置を用いる簡単な構成で、容易に上記したような欠陥検出を実施できる。
【0014】
さらに、本発明の表示装置では、前記検査用ゲート線に接続される各画素電極に設けられ、前記画素電極から前記検出端子への電荷の印加状態を切り替える複数の電荷出力スイッチ部を備え、前記検査電荷出力制御手段は、前記電荷出力スイッチ部を順次制御して、各画素電極に接続される前記検査用画素に保持された電荷を順次前記検出端子へ印加することが好ましい。
この発明によれば、検査電荷出力制御手段は、電荷出力スイッチ部を制御することで、所望のタイミングで各検査用画素に保持された電荷を順次検出端子に印加することができる。これにより、検出端子に検出手段を設けることで、各検査用画素に保持された電荷を個別に検査することができる。したがって、各画素で保持された電荷を検査する度に電荷移動制御手段により電荷を移動させるなどの煩雑な作業が不要となり、容易に各検査用画素の電荷量を測定することができる。よって、容易に画素毎の欠陥検出を実施できるとともに、検査に要する時間も短縮することができる。
【0015】
そして、本発明の表示装置では、前記ソース線の一端部には、前記ソース線からの電流の導通状態を切り替えるソーススイッチング素子が設けられ、前記検査回路は、前記ソーススイッチング素子における電流の導通状態を切り替えるソース制御信号を出力するソース制御端子と、前記電荷出力スイッチ部における電荷の印加状態の切り替えを制御する検査制御信号を出力する検査制御端子と、を備え、前記電荷出力スイッチ部は、前記各検査用画素に対応した各画素電極および検出端子を接続する出力スイッチング素子と、前記ソーススイッチング素子および前記検査制御端子に接続されるとともに、前記ソース線から前記ソーススイッチング素子を介して所定の駆動信号が入力され、かつ前記検査制御端子から、前記画素電極から前記検出端子に電荷を印加させる旨の検査制御信号が入力されると、前記出力スイッチング素子に、前記検査用画素電極から前記検出端子に電荷を出力可能な状態に切り替える旨の電荷出力許可信号を出力する制御スイッチング素子と、を備え、前記ソース導通制御手段は、前記ソース制御端子から前記ソーススイッチング素子に前記ソース制御信号を出力させて前記ソース線への電流の導通状態を切り替え、前記検査電荷出力制御手段は、前記ソース線から前記ソーススイッチング素子を介して前記制御スイッチング素子に電流が入力可能な状態で、前記出力スイッチング素子を前記画素電極から前記検出端子に電荷を印加可能な状態に切り替える旨の検査制御信号を出力させるとともに、前記ゲート制御装置および前記ソース制御装置を制御して、前記検査用ゲート線に接続される前記画素電極から前記ソース線への電荷の移動を規制した状態で、検査対象となる画素が配置されるソース線に順次所定の電圧を印加させることが好ましい。
【0016】
この発明によれば、ソース導通制御手段により、ソーススイッチング素子がソース線からの電流を出力可能な状態に切り替えられ、検査電荷出力制御手段により、検出制御端子から電荷を検出端子に移動可能な状態に切り替える旨の検査制御信号が出力されると、制御スイッチング素子から出力スイッチング素子に電荷出力許可信号を出力可能な状態となる。
そして、検査電荷出力制御手段は、ゲート制御装置を制御して、検査用ゲート線の駆動電圧を例えば0に設定して、画素電極からソース線への電荷の移動を規制した後、検査用画素が接続されるソース線に所定の駆動電圧を印加させる。これにより、ソース線からソーススイッチング素子を介して制御スイッチング素子に駆動電圧に応じた電流が出力され、制御スイッチング素子から出力スイッチング素子に電荷出力許可信号が出力され、検査対象画素から検出端子に電荷が出力される。そして、検査電荷出力制御手段は、ソース制御装置を制御して、駆動電圧を印加するソース線を順次切り替えることで、スイッチング操作による簡単な操作で各検査用画素の電荷を順次検出端子に出力することができる。
【0017】
そして、本発明の欠陥検出方法では、互いに対向する駆動基板および対向基板間に設けられるとともに、所定量の電荷を保持可能な画素、前記駆動基板に列方向に平行に設けられる複数のソース線、前記駆動基板に設けられるとともに、前記ソース線と直交する行方向に平行に設けられる検査用ゲート線および複数のゲート線、前記ソース線と前記検査用ゲート線との交差点近傍および前記ソース線と前記ゲート線との交差点近傍にそれぞれ設けられて前記ソース線に出力される電荷を前記画素に印加する画素電極、および前記ゲート線および前記検査用ゲート線に接続され、前記ソース線から前記画素電極への電荷の印加状態を切り替える画素スイッチング素子、を備えた表示パネルと、複数の前記ソース線の一端部に接続されるとともに、前記ソース線に所定の電圧を印加するソース制御装置と、複数の前記ゲート線の一端部に接続されるとともに、前記ゲート線に所定の電圧を印加するゲート制御装置と、印加された電荷を検出する検出手段が接続可能な検出端子を備え、前記検査用ゲート線に接続される各画素にて保持された電荷をこの検出端子に出力する検査回路と、を具備した表示装置における欠陥検出方法であって、前記ソース線への電流の導通状態を制御して、前記ソース線への電流導通が可能な状態とする第一ソース導通切替工程と、前記ゲート制御装置および前記ソース制御装置を制御して、検査対象となる前記画素に電荷を保持させる充電工程と、前記ソース線への電流の導通状態を制御して、前記ソース線への電流導通が遮断された状態とする第二ソース切替工程と、前記ゲート制御装置を制御して、前記検査対象となる画素に対応する画素電極が接続される前記ゲート線と、前記検査用ゲート線とに所定の駆動電圧を印加させ、検査対象となる前記画素に保持された電荷を、前記検査用ゲート線に接続され、かつ検査対象となる前記画素と同一ソース線で連結される画素である検査用画素に移動させる電荷移動工程と、前記検査用画素に保持された電荷を順次前記検出端子に出力する検出電荷出力工程と、この検出電荷出力工程により出力される電荷量を測定する測定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、上記発明と同様に、検出端子に例えば電流計を接続するだけで、容易に検査対象となる画素に保持されていた電荷量を検出することができ、表示パネルにおける欠陥を検出することができる。すなわち、検出された電荷量が、所定閾値以下となる場合には、検査対象となる画素に欠陥があり、電荷が保持できていないと判断でき、欠陥対象となる画素のアドレスを判別することができる。また、検出端子から出力される電荷量を測定することで、定量検査を実施することができ、表示装置における検査精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態に係る表示装置について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置のブロック図である。
図2は、前記実施の形態に係る表示パネル、ソース駆動制御部、ゲート駆動制御部、および検査回路の一部の概略を示す図である。
【0020】
〔表示装置の構成〕
図1において、1は、表示装置であり、この表示装置1は、表示パネル2と、この表示パネル2を駆動させるソース駆動制御部3およびゲート駆動制御部4と、表示パネル2における画素欠陥を検出する検査回路5と、表示装置1の動作を制御する制御部100と、を備えている。
【0021】
〔表示パネルの構成〕
表示パネル2は、液晶TFT(Thin Film Transistor)を備えた液晶TFTパネルである。この表示パネル2は、基本色として例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を混色してカラー画像を表示させる装置である。なお、本実施の形態では、画素を構成する液晶としてアモルファスシリコンが用いられるアモルファスTFTパネルを例示するが、例えば、LTPS-TFTパネル(Low-Temperature Poly-Silicon TFT:低温ポリシリコンTFT液晶パネル)、HTPS-TFTパネル(High Temperature Poly-Sillicon TFT:高温ポリシリコンTFT液晶パネル)など、液晶としてポリシリコンが用いられるTFTであってもよい。また、表示パネル2として、液晶TFTパネルを例示するが、これに限定されず、例えばジアミンやアントラセンなどの有機物により画素が構成されるOLEDパネル(Organic Light Emitting Diode:有機EL)などの表示パネルにも利用できる。
【0022】
この表示パネル2は、詳細な図面は省略するが、筐体内に対向配置された一対の透明基板(駆動基板および対向基板)と、これらの透明基板間を複数の領域に分割するスペーサと、を備え、これらの一対の透明基板およびスペーサにて囲われる領域に画素21が形成されている。ここで、表示パネル2では、列方向に沿って単一の基本色(R、G、B)を発色する画素21が配列され、行方向に沿ってこれらの画素21がR,G,Bの配列順で繰り返し配列されている。
【0023】
駆動基板には、互いに直交する複数のゲート線22およびソース線23が配設されている。
具体的には、ソース線23は、表示パネル2における列方向に沿って、すなわち単一の基本色を発色する画素21の配列に沿って、それぞれ平行に配線されている。これらのソース線23の一端部は、ソース駆動制御部3に接続され、ソース駆動制御部3の制御により映像信号が印加される。ここで、各ソース線23は、ソーススイッチング素子としての第一ソースTFT(Thin Film Transistor)231を介してソース駆動制御部3に接続される。この第一ソースTFT231は、ゲート端子が検査回路5の後述するソース制御端子SEに接続され、ソース端子がソースドライバに接続され、ドレイン端子がソース線23に接続されている。そして、検査回路5のソース制御端子SEからソース線への電流の導通を許可するオン電圧(例えば+5V)が印加されると、オン状態(ソース−ドレイン端子間がローインピーダンスの状態)となり、ソース駆動制御部3からソース線23への映像信号に応じた電流の導通が許容される。一方、検査回路5のソース制御端子SEからソース線への電流の導通を規制するオフ電圧(例えば−5V)が印加されると、オフ状態(ソース−ドレイン端子間がハイインピーダンスの状態)となり、ソース駆動制御部3からソース線23への映像信号に応じた電流の導通が規制される。
【0024】
一方、ゲート線22は、ソース線23と直行する行方向に沿って、平行に配線されている。ここで、ゲート線22のうち、ソース駆動制御部3から最も遠く検査回路5に最も近接するゲート線22を検査用ゲート線22Aとしても使用される。これらのゲート線22および検査用ゲート線22Aは、一端部がゲート駆動制御部4に接続され、ゲート駆動制御部4の制御により所定のオン電圧、およびオフ電圧が印加される。また、これらゲート線22および検査用ゲート線22Aの他端部は、ゲート駆動制御部4から最も遠くに配置される画素21の後述するTFT24に接続される。
【0025】
そして、ゲート線22およびソース線23の各交差部近傍には、画素21を構成する液晶セル211に電圧を印加する画素電極25が形成されている。これらの画素電極25は、例えばITO(Idium Tin Oxide)膜などにより形成されている。
また、駆動基板には、それぞれのソース線23と、それぞれの画素電極25とを接続し、ゲート線22に出力された電圧に応じて画素電極25への電圧の印加状態を切り替える画素スイッチング素子としてのTFT24が設けられている。
【0026】
そして、TFT24は、ゲート端子にゲート線22を介して、表示パネル2を駆動するゲート駆動制御部4からオン電圧(例えば+15V)が印加されると、オン状態(ソース−ドレイン端子間がローインピーダンスの状態)となり、ソース−ドレイン端子間の電流の導通が許容される。この状態で、ソース線23を介して、ソース駆動制御部3から映像信号がソース端子に印加されると、この映像信号に係る電荷がソース−ドレイン端子間を導通し、ドレイン端子に接続される画素電極25に印加される。
一方、ゲート端子にゲート線22を介してゲート駆動制御部4からオフ電圧(例えば−10V)が印加されると、TFT24はオフ状態(ソース−ドレイン間がハイインピーダンスの状態)となり、ソース−ドレイン端子間の電流の導通が規制される。したがって、ソースに接続されたソース線23に映像信号に係る電荷が印加されたとしても、電流がソース−ドレイン端子間を導通せず、画素電極25への電荷の印加が規制される。
【0027】
画素電極25は、液晶セル211に接続されるとともに、保持キャパシタ212に接続されている。なお、これらの液晶セル211および保持キャパシタ212により本発明の画素21が構成されている。この保持キャパシタ212は、表示パネル2の駆動に必要な電圧の振幅を低く抑え、表示パネル2の省電力化およびフリッカ防止を図るためのものである。これら液晶セル211および保持キャパシタ212は、画素電極25だけでなく、対向基板の対向電極に接続されている。そして、これらの液晶セル211および保持キャパシタ212には、ソース線23からTFT24を介して画素電極25に印加された電圧と、対向電極に印加された電圧との電位差に相当する電荷が書き込まれ、保持される。
【0028】
〔ドライバの構成〕
ゲート駆動制御部4は、制御部から出力されるゲート制御信号に基づいて、各ゲート線に所定の駆動電圧を印加する。ソース駆動制御部3は、ゲート駆動制御部4と略同様に、制御部から出力されるソース制御信号に基づいて、各ソース線に所定の映像信号を印加する。
【0029】
〔検査回路の構成〕
検査回路5は、図2に示すように、各ソース線23のソース駆動制御部3とは反対側となる他端部が接続される複数のソーススイッチング素子としての第二ソースTFT232と、検査用ゲート線22Aに接続される各画素電極25A(検査ライン画素電極25A)が接続される出力スイッチング素子としての出力TFT51と、ソース制御端子SEと、検査制御端子TEと、検出端子Ioutと、制御スイッチング素子52と、を備えている。なお、出力TFT51および制御スイッチング素子52により、本発明の電荷出力スイッチング部が構成される。
【0030】
第二ソースTFT232は、ゲート端子がソース制御端子SEに接続され、ソース端子がソース線23に接続され、ドレイン端子が制御スイッチング素子52に接続されている。そして、検査回路5のソース制御端子SEからオン電圧(例えば+5V)が印加されると、オン状態(ソース−ドレイン端子間がローインピーダンスの状態)となり、ソース線23から制御スイッチング素子への電流の導通が許容される。一方、ソース制御端子SEからオフ電圧(例えば−5V)が印加されると、オフ状態(ソース−ドレイン端子間がハイインピーダンスの状態)となり、ソース線23から制御スイッチング素子52への電流の導通が規制される。
【0031】
出力TFT51は、ゲート端子が制御スイッチング素子52に接続され、ソース端子が検査用ゲート線22Aに接続される各検査用画素電極25Aに接続され、ドレイン端子が検出端子Ioutに接続されている。そして、出力TFT51は、制御スイッチング素子52から、検査対象の画素21である検査対象画素21Xから検出端子Ioutへの電荷の移動を許可するオン電圧(例えば+5V)が印加されると、オン状態(ソース−ドレイン端子間がローインピーダンスの状態)となり、検査用画素電極25Aから検出端子Ioutに電荷が出力される。一方、制御スイッチング素子52から、検査対象画素21Xから検出端子Ioutへの電荷の移動を規制するオフ電圧(例えば−5V)が印加されると、オフ状態(ソース−ドレイン端子間がハイインピーダンスの状態)となり、検査用画素電極25から検出端子Ioutに電荷の移動が規制される。
【0032】
ソース制御端子SEは、制御部100の制御により、第一ソースTFT231および第二ソースTFT232に所定のソース制御信号(オン電圧またはオフ電圧)を印加し、第一ソースTFT231および第二ソースTFT232の導通状態を切り替える。
検査制御端子TEは、制御部100の制御により、電荷出力スイッチング部でのスイッチング操作を制御する旨の検査制御信号(オン電圧またはオフ電圧)を出力する。
検出端子Ioutは、検出手段が接続可能な端子である。この検出端子Ioutには、表示装置1の表示パネル2における欠陥検出操作を実施する際に、例えば電流計の検出手段が接続される。なお、本実施の形態では、検出手段が接続可能な構成としたが、電流計が接続され、電流計により測定された値が図示しないサブパネルに表示させたり、表示パネル2に表示させたりする構成などとしてもよい。
【0033】
制御スイッチング素子52は、第二ソースTFT232、検査制御端子TE、および出力TFT51に接続されている。この制御スイッチング素子52は、第二ソースTFT232から映像信号が入力され、検査制御端子TEから検査用画素電極25Aの電荷を検出端子Ioutに出力する旨の検査制御信号(例えばオン電圧としての+5V)が入力されると、出力TFT51に電荷出力許可信号としてのオン電圧を出力する。なお、制御スイッチング素子52は、電荷出力許可信号として、例えば検査制御信号をそのまま通過させる構成としてもよく、制御部100から出力される別の信号を電荷出力許可信号としてオン電圧として出力TFT51に出力する構成としてもよい。
【0034】
〔制御部の構成〕
制御部100は、表示装置1全体の動作を制御する。具体的には、制御部100は、表示装置1全体を動作制御するOS(Operating System)上に展開される各種プログラムや、ゲート駆動制御部4やソース駆動制御部3の駆動制御を実施するドライバ、各種データが記録されるメモリと、メモリに記録される各種プログラムやドライバを展開して各構成に制御信号を出力するCPUなどを備えている。
そして、制御部100により展開されるプログラムは、図1に示すように、ソース導通制御手段110と、充電制御手段120と、電荷移動制御手段130と、検査電荷出力制御手段140と、を備えている。
【0035】
ソース導通制御手段110は、ソース制御端子SEから出力するソース制御信号(オン電圧またはオフ電圧)を制御する。
【0036】
充電制御手段120は、ソース導通制御手段110により、ソース制御端子SEからオン電圧が出力される状態で、ゲート駆動制御部4を制御して、検査対象となる画素ラインに対応するゲート線22(検査対象ゲート線22X)に駆動電圧を印加させるとともに、ソース駆動制御部3を制御して、全ソース線23に所定の映像信号を印加する。具体的には、充電制御手段120は、検査対象画素ラインXに対応する検査対象ゲート線22Xへの駆動電圧の印加、および全ソース線への映像信号の印加を所定時間実施した後、先ず、検査対象ゲート線22Xへの駆動電圧の印加を停止させる。この後、所定期間、検査対象の画素ライン上の各画素21に電荷を保持させる(電荷保持期間)。また、この電荷保持期間の初期において、前記ソース線への映像信号の印加を停止させる。すなわち、充電制御手段120は、ゲート線22への駆動電圧の印加が停止された後、ソース線への映像信号の印加を停止し、この後、電荷保持期間を終了させる。そして、充電制御手段120は、電荷保持期間終了後、ソース導通制御手段110にオフ電圧を出力させる制御をする。
【0037】
電荷移動制御手段130は、充電制御手段120による充電処理の後、ソース導通制御手段110によりオフ電圧が出力されると、ゲート駆動制御部4を制御して、充電が実施された検査対象ゲート線22Xと、検査用ゲート線22Aとに駆動電圧を印加する。
これにより、検査対象画素ラインXに配設される各画素21Xに充電された電荷のうちの半分が、TFT24からソース線23を通り、検査用ゲート線22Aに接続される画素21である検査用画素21Aに移動する。また、この際、ソース制御端子SEからオフ電圧が出力されているため、電荷が第一ソースTFT231および第二ソースTFT232を通過して逃げることがない。
【0038】
検査電荷出力制御手段140は、電荷移動制御手段130による電荷移動処理の後、ソース導通制御手段110にオン電圧を出力させる制御をする。そして、検査電荷出力制御手段140は、検査制御端子TEから検査制御信号としてオン電圧を出力させる。そして、検査電荷出力制御手段140は、ソース駆動制御部3を制御して、例えば表示パネル2の最端部に配線されるソース線23から順次所定の映像信号を出力させる。これにより、映像信号が印加されたソース線23から、このソース線23に対応する制御スイッチング素子に電流が流れ、検査制御端子TEから出力されるオン電圧が出力TFT51に入力される。このため、出力TFT51は、ソース−ドレイン端子間がローインピーダンスとなり、検査用画素21Aの液晶セル211および保持キャパシタ212に保持された電荷が検出端子Ioutに出力される。
【0039】
〔表示装置における欠陥検出動作〕
次に、上記表示装置1の表示パネル2において画素に起因する画素欠陥を検出する欠陥検出動作について、図面に基づいて説明する。
図3は、表示装置1における欠陥検出動作の処理を示すフローチャートである。図4は、表示装置1の欠陥検出動作のタイミングチャートである。
【0040】
上述したような表示装置1の制御部100は、通常時において、検査回路5におけるソース制御端子SEからオン電圧を出力させ、検査制御端子TEからオフ電圧を出力する。これにより、各ソース線23は、ソース駆動制御部3から所定の映像信号を各画素に出力させることができるとともに、検査用ゲート線22Aに沿う検査用画素ラインAが通常の画素ラインとして機能する。
そして、表示装置1の制御部100は、例えば工場の生産ラインにおける製品の検査工程や、ユーザによる図示しない入力手段からの検査要求に関する入力操作、予め設定される定時検査時刻における検査制御動作などにより、表示パネル2における欠陥の有無を検出する検出動作を実施する。
【0041】
この検出動作では、図3に示すように、先ず、パネルの初期化動作を実施する(ステップS101)。このステップS101では、制御部100は、ゲート駆動制御部4を制御して、全ゲート線にオン電圧(例えば+15V)を印加させる。また、制御部100は、全ソース線23に対して、オフ電圧である0Vを印加する。この時、表示パネル2の通常動作時と同様に、制御部100は、検査制御端子TEからオフ電圧(例えば−5V)、ソース制御端子SEからオン電圧(例えば+5V)を出力させる(第一ソース導通切替工程)。
この後、制御部100は、全ゲート線に印加させる電圧をオフ電圧(例えば−10V)に設定する(図4におけるタイミングT1)。これにより、表示パネル2の各画素における液晶セル211および保持キャパシタ212に保持される電荷が初期化され、保持電荷量が0となる。
【0042】
このステップS101の後、検査対象となる画素ラインを充電する充電処理を実施する(ステップS102:充電工程)。このステップS102では、制御部100の充電制御手段120は、図4のタイミングT2に示すように、ゲート駆動制御部4を制御して、検査対象となる画素ラインに対応したゲート線22のみに対し、駆動電圧を印加する。また、この時、充電制御手段120は、ソース駆動制御部3を制御して、全ソース線に対して、所定の映像信号を印加させる。これにより、検査対象となる画素ラインの各画素21に電荷が充電される、すなわち液晶セル211および保持キャパシタ212に電荷が保持される。
【0043】
次に、制御部100は、ステップS102にて充電した各画素の電荷を所定の一定時間保持させる処理をする(ステップS103)。このステップS103では、制御部100は、図4におけるタイミングT3に示すように、検査対象ゲート線22Xに印加されていた駆動電圧をオフ電圧に切り替え、検査対象ゲート線22X上の各TFT24をオフ状態とする。これにより、各検査対象画素21Xの液晶セル211および保持キャパシタ212に電荷が保持され、これら電荷の他の画素21への移動が規制される。
また、このステップS103の電荷保持期間内の初期では、制御部100は、各ソース線23への映像信号の印加を継続し、電荷保持期間内において、検査対象画素ラインXの検査対象ゲート線22Xへの駆動電圧がオフ電圧に切り替えられた所定時間後(図4におけるタイミングT4)、これら各ソース線23への映像信号の印加を停止、すなわち0Vを印加させる。このタイミングT4で各ソース線23への映像信号の印加を停止させることで、ゲート線22への駆動電圧印加停止を同時にソース線23への映像信号の印加を停止させる場合に比べて、駆動制御が安定し、適切に検査対象画素21Xに電荷を保持させることが可能となる。
【0044】
ここで、検査対象画素21Xに、この検査対象画素21Xから他の画素21やソース線23、ゲート線22などに電流が漏れるリーク欠陥がある場合、また検査対象画素電極25Xが他の画素電極25やソース線23、ゲート線22とショートしているショート欠陥がある場合、検査対象画素21Xの電荷が逃げてしまうため、正常に充電されない状態となる。また、検査対象画素電極25Xと検査対象画素21Xとの接続、TFT24と検査対象画素21Xとの接続などが断線している場合、電荷が保持されないオープン欠陥となり、電荷が保持されない。一方、画素21が正常である場合、液晶セル211や保持キャパシタ212に十分な電荷が保持される。したがって、電荷保持期間では、検査対象画素ラインX上において、正常に駆動する画素21Xにのみ、電荷が保持され、検査対象の画素ラインX以外の画素21や、欠陥画素には電荷が保持されない。
また、他の画素ラインに欠陥があり、他の画素21に電荷が保持された場合、このソース線への映像信号の印加を停止させると、この他の画素21に保持された電荷がソース線23から対向電極Vcomへと移動する。このため、他の画素21にリーク欠陥などがあったとしても、この欠陥画素に電荷が保持されない。
【0045】
そして、ステップS103の後、制御部100のソース導通制御手段110は、図4におけるタイミングT5に示すように、ソース制御端子SEからオフ電圧(例えば−5V)を出力し、第一ソースTFT231および第二ソースTFT232をオフ状態にする(ステップS104:第二ソース切替工程)。これにより、各ソース線23の両端部がハイインピーダンスとなり、表示パネル2内のソース線23を浮かした状態となる。
【0046】
この後、制御部100の電荷移動制御手段130は、検査対象の画素ライン上の各画素21に保持された電荷を、検査用ゲートライン上の各検査用画素21Aに移動させる制御をする(ステップS105:電荷移動工程)。このステップS105では、図4におけるタイミングT6に示すように、電荷移動制御手段130は、検査対象ゲート線22Xと、検査用ゲート線22Aとの双方に駆動電圧を印加させる。これにより、各検査対象画素21Xに保持された電荷が、TFT24、ソース線23、検査用ゲート線22Aに接続されるTFT24を通って、検査用画素21Aに移動し、検査対象画素21Xの電荷が、検査用画素21Aとの間で分割される。すなわち、検査対象画素21Xに保持された電荷の半分が、検査用画素21Aに移動する。
そして、ステップS105の電荷移動処理の後、制御部100の電荷移動制御手段130は、検査対象ゲート線22Xおよび検査用ゲート線22Aにオフ電圧を印加させる(ステップS106、図4におけるタイミングT7)。
【0047】
このステップS106の後、図4のタイミングT8に示すように、制御部100のソース導通制御手段110は、ソース制御端子SEからオン電圧(例えば+5V)を出力させる。これにより、再び、ソース線23の両端部がローインピーダンスとなり、ソース駆動制御部3から映像信号が出力されると、ソース線23から制御スイッチング素子52に電流が導通可能な状態となる。さらに、制御部100の検査電荷出力制御手段140は、検査制御端子TEからオン電圧(例えば+5V)を出力させる(ステップS107)。これにより、ソース線23から制御スイッチング素子52に電流が流れることで、制御スイッチング素子から出力TFT51に電荷出力許可信号としてのオン電圧が印加可能な状態となる。
【0048】
この後、検査電荷出力制御手段140は、検査対象の画素位置を示す位置変数Nを初期化する(ステップS108)。そして、検査電荷出力制御手段140は、例えば表示パネル2におけるゲート駆動制御部4に最も近接するソース線からN番目のソース線23に所定の映像信号を印加させる(ステップS109、図4におけるタイミングT9:検出電荷出力工程)。そして、検出端子Ioutに設けられた電流計により、電流値を測定する(ステップS110:測定工程)。
すなわち、このステップS109により、ソース線23から制御スイッチング素子52に電流が流れ、出力TFT51にオン電圧が印加される。これにより、出力TFT51のソース−ドレイン端子間がローインピーダンスとなり、検査用画素21Aに保持された電荷が検出端子Ioutに移動し、電流が流れる。そして、ステップS110の処理により、この電流値を測定することで、検査用画素21Aに保持された電荷の量が測定される。
【0049】
この時、検出端子Ioutに接続される電流計により、所定閾値を越える電流値が測定される場合、検査対象画素21Xから他の画素21にリーク電流が流れるなどの欠陥があり、ステップS105において、この他の画素21に保持された電荷と検査対象画素21Xに保持された電荷が検査用画素21Aに移動されたと判断できる。また、測定された電流量が、所定閾値よりも小さい場合、ソース線23と他の画素21との間にリークがあり、ステップS105において、検査対象の画素21に保持された電荷が、この他の画素21にも電荷が流れたため検査用画素21Aに保持される電荷が減少したと判断できる。さらに、電流値が0の場合など、閾値を大きく下回る場合、検査対象の画素21にショート欠陥やオープン欠陥などがあり、ステップS103において、保持された電荷がすぐに放電された、または電荷が保持されなかったと判断できる。
なお、この判断としては、例えば測定された電流値を例えばパーソナルコンピュータなどのデータ処理装置に出力し、全画素に対する電流値を記録させる。そして、この電流値に、上述したように、所定閾値と異なる値があれば欠陥として判断し、この電流値に対する画素21のアドレスを例えば専用のモニタやプリント機器などの出力装置に出力する。なお、これに限定されず、例えば、全画素21に対する電流値を出力装置に表示させるのみの構成であってもよい。
【0050】
このステップS110の電流値の測定の後、制御部100は、位置変数Nに1を加算し(ステップS111)、位置変数Nが予め設定された最大値になったか否かを判断する(ステップS112)。この位置変数Nの最大値としては、例えば、表示パネル2がWXGA (Wide Extended Graphics Array)の場合、ゲート線が768本に対してソース線が1280本配線されるため、位置変数最大値Nmaxは1280となる。
このステップS112において、位置変数Nが最大値Nmaxである場合、欠陥検出処理を停止する。一方、ステップS112において、位置変数NがNmaxに満たない場合、ステップS109に戻り、次の検査用画素21Aの電荷を検出端子Ioutに出力させて電流値を測定する(図4におけるタイミングT10およびタイミングT11)。
【0051】
〔実施の形態の作用効果〕
上述したように、上記表示装置1では、欠陥検出動作において、充電制御手段120は、ソース導通制御手段110によりソース線23に映像信号を印加可能な状態で、検査対象ゲート線22Xに駆動電圧を印加して検査対象画素ラインXの各画素21Xを充電する。この後、電荷移動制御手段130は、ソース導通制御手段110の制御によりソース線23の両端部がハイインピーダンスにされた状態で、検査対象ゲート線22Xおよび検査用ゲート線22Aに駆動電圧を印加して、検査対象画素21Xに保持された電荷を検査用画素21Aに移動させて分割させる。そして、検査電荷出力制御手段140は、この検査用画素21Aに保持された電荷を順次検出端子Ioutに出力させる。
このため、検査用画素21Aに保持された電荷を順次出力するだけで、検査対象画素21Xにおける欠陥検出を実施することができ、大型で複雑な回路構成を有するテスターなどが不要で、かつ表示装置1自身による自己検査を実施することができる。したがって、表示装置1を製造する製造ラインの製品検査工程において、低コストで検査を実施することができ、表示装置1のコストダウンにも貢献できる。
また、各画素21から他の画素21への電流が漏れるリーク欠陥だけでなく、各画素21に正常に電荷が保持されるか否かを検査することができるため、各画素21とソース線23やゲート線22との短絡や、TFT24の断線による欠陥も検出することができる。したがって、画素欠陥を詳細に判別することができる。また、目視で画素の状態を検査するなどの場合にくらべ、電流計により電荷を測定して、すなわち定量的な物理量により画素の状態を調べることができるので、より正確な画素の状態を調べることができ、画素欠陥を良好に検出することができる。
【0052】
そして、検査用ゲート線22Aとして、最も検査回路5に近接するゲート線22を用いている。
このため、ゲート線22以外に専用の検査線を設ける必要がなく、表示パネル2の駆動に使用されるゲート線22の一本を用いるため、構成をより簡単にできる。
また、検査用ゲート線22Aを複数のゲート線22のうち、検査回路5に最も近接するゲート線22を用いているため、検査用ゲート線22Aと検査回路5における出力TFT51とを連結する配線を短縮でき、構成がより簡単になるとともに、製造コストをも抑えることができる。
【0053】
また、検査回路5は、ソース制御端子SEを備え、ソース導通制御手段110はこのソース制御端子SEから所定のソース制御信号を出力することで、ソース線23の両端部に位置する第一ソースTFT231および第二ソースTFT232の導通状態を切り替える。
これにより、ソース駆動制御部3内にスイッチを設けることなく、ソース駆動制御部3とソース線23との接続状態を切り替えることができる。したがって、既存のソース駆動制御部3を使用することができ、上記検出処理を実施するための特別なソース駆動制御部3が不要となり、構成を簡単にできる。
また、ステップS110における検査用画素21Aの電荷を測定する際にも、ソース制御端子SEから出力させる信号を切り替えるだけの簡単な操作で、第二ソースTFT232のスイッチング処理も実施できる。したがって、簡単な処理で、検査用画素21Aから保持された電荷を検出端子Ioutに出力させることができる。
【0054】
さらに、検査電荷出力制御手段140は、電荷出力スイッチ部を制御して、検出端子Ioutに電荷を出力させる検査用画素21Aを順次切り替えている。
すなわち、簡単なスイッチング操作により検査用画素21Aを切り替えることができ、より簡単に、検査用画素ラインAにおける全検査用画素21Aのそれぞれに保持されていた電荷を測定することができる。
【0055】
そして、この電荷出力スイッチ部は、第二TFT24から映像信号に伴う電流、および検査制御端子から検査制御信号が入力され、これらの入力状態により出力TFT51にオン電圧を印加する制御スイッチング素子52と、検査用画素電極25Aおよび検出端子Ioutを接続する出力TFT51とを備えている。そして、ステップS108ないしステップS110における電流値の測定時では、検査電荷出力制御手段140は、各検査用画素21Aに対応するソース線23に順次映像信号を印加し、検査用画素電極25Aから順次検出端子Ioutに電荷を出力させる。
このため、検査電荷出力制御手段140は、検査制御端子TEからオン電圧を出力させ、検査用画素21Aに接続されるソース線23に順次信号を印加していくだけで、出力TFT51を順次オン状態にすることができ、検査用画素21Aに充電された電荷を順次検出端子Ioutに出力することができる。したがって、複雑な回路を用いずに、容易に検査用画素ラインのA各検査用画素21Aに保持された電荷をそれぞれ個別に測定することができる。したがって、検査対象画素ラインXにおける各画素21Xに保持された電荷を正確に測定することができ、より精度の良い欠陥検出を実施することができる。
【0056】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0057】
上記実施の形態では、表示装置は、制御部100を備え、この制御部100にソース導通制御手段110、充電制御手段120、電荷移動制御手段130、および検査電荷出力制御手段140が設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、ゲート駆動制御部4やソース駆動制御部3の駆動を制御するプログラムに上記ソース導通制御手段110、充電制御手段120、電荷移動制御手段130、および検査電荷出力制御手段140が組み込まれた構成などとしてもよく、検査回路5に上記構成と同様の機能を有する回路構成として組み込まれていてもよい。
【0058】
また、表示パネルの検査回路5に最も近接する一端部に配置されるゲート線22を検査用ゲート線22Aとしたが、例えば表示パネル2の中央部に配置されるゲート線22の1つを検査用ゲート線22Aとしてもよく、ソース駆動制御部3に近接するゲート線22を検査用ゲート線22Aとしてもよい。さらに、表示パネル2の表示領域以外に配線されるダミーゲート線を設け、このダミーゲート線を検査用ゲート線22Aとしてもよい。
【0059】
さらに、第二ソースTFT232が検査回路5内に設けられる構成と示したが、例えば表示パネル2内におけるソース線23の端部に設けられる構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、充電制御手段120は、検査対象となる画素ラインに対応するゲート線22に駆動電圧を印加させるとともに、全ソース線に所定の映像信号を印加して、画素ラインに沿う全画素の液晶セル211および保持キャパシタ212に電荷を保持させたがこれに限定されない。例えば、充電制御手段120は、画素ライン上の所定画素に対応するソース線23にのみ映像信号を印加させることで、この所定画素の液晶セル211および保持キャパシタ212のみを充電する構成としてもよい。このような構成では、例えば所定画素のみの欠陥検出動作を実施することができ、例えば画素ラインの全画素に対して欠陥検出動作を実施後、欠陥が検出される画素のみを再度検査するなどの操作を実施する際に、より迅速な検査を実施することができる。
【0061】
さらに、各画素における電荷の保持容量を計測することができるため、上記のようなリーク欠陥、ショート欠陥、オープン欠陥の検出のみならず、各画素21の液晶セル211の電荷保持容量の検査を実施することで、各液晶セルの性能検査を実施することもできる。
【0062】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置のブロック図である。
【図2】前記実施の形態に係る表示パネル、ソース駆動制御部3、ゲート駆動制御部4、および検査回路の一部の概略を示す図である。
【図3】前記実施の形態の表示装置における欠陥検出動作の処理を示すフローチャートである。
【図4】前記実施の形態の表示装置における欠陥検出動作のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1…表示装置、2…表示パネル、5…検査回路、21…画素、21A…検査用画素、21X…検査対象画素、22…ゲート線、22A…検査用ゲート線、22X…検査対象ゲート線、23…ソース線、24…画素スイッチング素子としてのTFT、25…画素電極、51…電荷出力スイッチ部を構成する出力TFT、52…電荷出力スイッチ部を構成する制御スイッチング素子、110…ソース導通制御手段、120…充電制御手段、130…電荷移動制御手段、140…検査電荷出力制御手段、231…ソーススイッチング素子としての第一ソースTFT、232…ソーススイッチング素子としての第二ソースTFT、Iout…検出端子、SE…ソース制御端子、TE…検査制御端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する駆動基板および対向基板間に設けられるとともに、所定量の電荷を保持可能な画素、前記駆動基板に列方向に平行に設けられる複数のソース線、前記駆動基板に設けられるとともに、前記ソース線と直交する行方向に平行に設けられる検査用ゲート線および複数のゲート線、前記ソース線と前記検査用ゲート線との交差点近傍および前記ソース線と前記ゲート線との交差点近傍にそれぞれ設けられて前記ソース線に出力される電荷を前記画素に印加する画素電極、および前記ゲート線および前記検査用ゲート線に接続され、前記ソース線から前記画素電極への電荷の印加状態を切り替える画素スイッチング素子、を備えた表示パネルと、
複数の前記ソース線の一端部に接続されるとともに、前記ソース線に所定の電圧を印加するソース制御装置と、
複数の前記ゲート線の一端部に接続されるとともに、前記ゲート線に所定の電圧を印加するゲート制御装置と、
印加された電荷を検出する検出手段が接続可能な検出端子を備え、前記検査用ゲート線に接続される各画素にて保持された電荷をこの検出端子に出力する検査回路と、
を具備した表示装置であって、
前記ソース線への電流の導通状態を制御するソース導通制御手段と、
前記ソース導通制御手段により前記ソース線への電流の導通が許可された状態で、前記ゲート制御装置および前記ソース制御装置を制御して、検査対象となる前記画素に電荷を保持させる制御をさせる充電制御手段と、
前記ソース導通制御手段により前記ソース線への電流の導通が遮断された状態で、前記ゲート制御装置を制御して、前記検査対象となる画素に対応する画素電極が接続される前記ゲート線と、前記検査用ゲート線とに所定の駆動電圧を印加して、検査対象となる前記画素に保持された電荷を、前記検査用ゲート線に接続され、かつ検査対象となる前記画素と同一ソース線で連結される画素である検査用画素に移動させる制御をする電荷移動制御手段と、
前記検査用画素に保持された電荷を順次前記検出端子に出力する検査電荷出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記検査用ゲート線は、複数のゲート線のうちのいずれか一つである
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示装置であって、
前記ソース線の両端部には、前記ソース線への電流の導通状態を切り替えるソーススイッチング素子が設けられ、
前記検査回路は、前記ソーススイッチング素子における電流の導通状態を切り替えるソース制御信号を出力するソース制御端子を備え、
前記ソース導通制御手段は、前記ソース制御端子から前記ソース制御信号を出力させてソーススイッチング素子における前記ソース線への電流の導通状態を切り替える
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の表示装置であって、
前記検査用ゲート線に接続される各画素電極に設けられ、前記画素電極から前記検出端子への電荷の印加状態を切り替える複数の電荷出力スイッチ部を備え、
前記検査電荷出力制御手段は、前記電荷出力スイッチ部を順次制御して、各画素電極に接続される前記検査用画素に保持された電荷を順次前記検出端子へ印加する
ことを特徴とした表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記ソース線の一端部には、前記ソース線からの電流の導通状態を切り替えるソーススイッチング素子が設けられ、
前記検査回路は、前記ソーススイッチング素子における電流の導通状態を切り替えるソース制御信号を出力するソース制御端子と、前記電荷出力スイッチ部における電荷の印加状態の切り替えを制御する検査制御信号を出力する検査制御端子と、を備え、
前記電荷出力スイッチ部は、
前記各検査用画素に対応した各画素電極および検出端子を接続する出力スイッチング素子と、
前記ソーススイッチング素子および前記検査制御端子に接続されるとともに、前記ソース線から前記ソーススイッチング素子を介して所定の駆動信号が入力され、かつ前記検査制御端子から、前記画素電極から前記検出端子に電荷を印加させる旨の検査制御信号が入力されると、前記出力スイッチング素子に、前記検査用画素電極から前記検出端子に電荷を出力可能な状態に切り替える旨の電荷出力許可信号を出力する制御スイッチング素子と、を備え、
前記ソース導通制御手段は、前記ソース制御端子から前記ソーススイッチング素子に前記ソース制御信号を出力させて前記ソース線への電流の導通状態を切り替え、
前記検査電荷出力制御手段は、前記ソース線から前記ソーススイッチング素子を介して前記制御スイッチング素子に電流が入力可能な状態で、前記出力スイッチング素子を前記画素電極から前記検出端子に電荷を印加可能な状態に切り替える旨の検査制御信号を出力させるとともに、前記ゲート制御装置および前記ソース制御装置を制御して、前記検査用ゲート線に接続される前記画素電極から前記ソース線への電荷の移動を規制した状態で、検査対象となる画素が配置されるソース線に順次所定の電圧を印加させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
互いに対向する駆動基板および対向基板間に設けられるとともに、所定量の電荷を保持可能な画素、前記駆動基板に列方向に平行に設けられる複数のソース線、前記駆動基板に設けられるとともに、前記ソース線と直交する行方向に平行に設けられる検査用ゲート線および複数のゲート線、前記ソース線と前記検査用ゲート線との交差点近傍および前記ソース線と前記ゲート線との交差点近傍にそれぞれ設けられて前記ソース線に出力される電荷を前記画素に印加する画素電極、および前記ゲート線および前記検査用ゲート線に接続され、前記ソース線から前記画素電極への電荷の印加状態を切り替える画素スイッチング素子、を備えた表示パネルと、複数の前記ソース線の一端部に接続されるとともに、前記ソース線に所定の電圧を印加するソース制御装置と、複数の前記ゲート線の一端部に接続されるとともに、前記ゲート線に所定の電圧を印加するゲート制御装置と、印加された電荷を検出する検出手段が接続可能な検出端子を備え、前記検査用ゲート線に接続される各画素にて保持された電荷をこの検出端子に出力する検査回路と、を具備した表示装置における欠陥検出方法であって、
前記ソース線への電流の導通状態を制御して、前記ソース線への電流導通が可能な状態とする第一ソース導通切替工程と、
前記ゲート制御装置および前記ソース制御装置を制御して、検査対象となる前記画素に電荷を保持させる充電工程と、
前記ソース線への電流の導通状態を制御して、前記ソース線への電流導通が遮断された状態とする第二ソース切替工程と、
前記ゲート制御装置を制御して、前記検査対象となる画素に対応する画素電極が接続される前記ゲート線と、前記検査用ゲート線とに所定の駆動電圧を印加させ、検査対象となる前記画素に保持された電荷を、前記検査用ゲート線に接続され、かつ検査対象となる前記画素と同一ソース線で連結される画素である検査用画素に移動させる電荷移動工程と、
前記検査用画素に保持された電荷を順次前記検出端子に出力する検出電荷出力工程と、
この検出電荷出力工程により出力される電荷量を測定する測定工程と、
を備えたことを特徴とする欠陥検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−192909(P2009−192909A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34520(P2008−34520)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】