説明

表示装置、それを有する燃料電池発電装置および表示装置付き機器

【課題】LCDの表示が不鮮明になったり表示速度が遅くなったりするような周囲温度になってもLCDの表示を適切に行うことができる表示装置を提供する。
【解決手段】機器の情報を表示するLCD2と、LCD2の周囲温度を計測する温度センサ10と、LCD2の周囲温度を調整するヒータ3と、ヒータ3を駆動するヒータ駆動手段4を有し、ヒータ3は、温度センサ10の値がLCDの動作温度範囲以下である場合、ヒータ3の通電をオンし、ヒータ3によりLCD2の周囲温度を所定の温度以上に保つので、装置の周囲温度が低温になった時に、ヒータ3の通電をオンし、LCD2の周囲温度を上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特に給湯機や燃料電池発電装置、ガス発電装置など屋外または低温環境下に設置される機器の表示装置、それを有する燃料電池発電装置および表示装置付き機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用の電化製品の中にも、給湯機や電気温水器といった商品は、屋外やマンションのメーターボックスといった低温環境下に設置されることが多い。
【0003】
また地球温暖化を初めとする地球環境保全に関して一般社会の関心も高まり、燃料電池コージェネレーションシステムやガスコージェネレーションシステム、自然冷媒ヒートポンプ給湯機といった新しい機器の商品化や一般家庭への普及が進み始めている。
【0004】
特に燃料電池コージェネレーションシステムなどは、従来の給湯機や電気温水器と異なり、部品点数がかなり多く、また制御に関しても、家庭でガスから水素を作り水素と空気中の酸素で発電させ、かつ排熱の回収も行う、といったように非常に複雑である。
【0005】
また一般家庭向けに商品化されたのは2004年とまだまだこれからの商品であり、市場で発生する不具合も給湯機などと比較しても格段に多く、メンテナンスマンが設置場所で作業をする際、不具合発生時の解析や多数使用されている弁やポンプや各種センサの動作確認などを可能な限り簡単な方法で行いたいというニーズがある。
【0006】
従来の給湯機や電気温水器では、弁やポンプといったアクチュエータの数も限られていたため、例えばこれらのアクチュエータを単品でチェックするような場合、基板上などに設けられていた複数個の7セグメントのLEDと数個のSWでほとんど全てのアクチュエータの動作確認を行うことができた。
【0007】
しかしながら、前述したように燃料電池コージェネレーションシステムくらいになると1システムに弁やポンプや各種センサの総数が数十点から百数十点規模の数になり、かつその他にも確認したい情報(例えば、発電時間や発電回数、エラー内容など)が多数あるので、従来の7セグメントのLED程度では十分な表示が行えないという課題があった。
【0008】
そこで7セグメントのLEDより多数の情報を表示することができるLCDをメンテナンスモニタ用に設置するような機器が現れてきた。
【0009】
このとき課題となるのが、LCDの動作温度である。LCDは物性上の特性から温度特性があり、低温時には透過率が低下し表示が不鮮明になったり、コントラストが濃くなったりして不必要な電力を消費するといった課題があった。また、一般的なLCDの使用温度範囲もこのような理由から、低温側は0℃までというのが通常である。
【0010】
このようなLCDの温度特性を補うため、サーミスタTHを含む温度補償回路を備えた液晶ドライバを有する液晶表示ユニットにおいて、出力電圧に応じて電子ボリュームVRの抵抗値を低温用および高温用に切り替える電圧調整手段を備えたシステムなどが考えられている。これはLCDの温度(液晶表示ユニットに設けられた温度保障用のサーミスタが計測した温度)によって、LCDの駆動電圧を変化させることにより、LCDの温度特性を補うものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−275037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし上述したように上記従来の構成は、液晶表示ユニットに温度保証用のサーミスタを設けことが必要であり、使用できる液晶表示ユニットに制限が必要である。
【0012】
また仮に液晶表示ユニットに温度保証用のサーミスタがない場合、液晶表示ユニットの周囲に温度保証用サーミスタを設けて、測定結果により液晶表示ユニットの駆動電圧を変化させて液晶表示ユニットの温度特性を補った場合でも、更に低温、例えば氷点下にまで温度が低下した場合には、液晶表示ユニットそのものの温度使用範囲を外れてしまうことがあり、このような時、駆動電圧を変化させただけでは液晶表示ユニットの温度特性を補うことは難しい。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、LCDの表示が不鮮明になったり表示速度が遅くなったりするような周囲温度になってもLCDの表示を適切に行うことができる表示装置、それを有する燃料電池発電装置および表示装置付き機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従来の課題を解決するために、本発明の表示装置は、機器の情報を表示するLCDと、前記LCDの周囲温度を計測する温度センサと、前記LCDの周囲温度を調整するヒータと、前記ヒータを駆動するヒータ駆動手段を有し、前記温度センサの値が前記LCDの動作範囲以下である場合、前記ヒータ駆動手段が前記ヒータの通電をオンとし、前記ヒータにより前記LCDの周囲温度を所定の温度以上に保つものである。
【0015】
これによって本発明は、例えば、屋外に設置された機器の周囲温度が低くなり、LCDの表示が不鮮明になったり表示速度が遅くなったりするような場合でも、自動的にLCDの周囲温度を上昇させ、使用温度範囲の中でLCDを使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の表示装置は、機器が設置されている環境が0度以下の低温環境下であり、通常ならばLCDの表示が不鮮明になったり、表示速度が遅くなったりするような場合でも、LCD保温用のヒータによりLCDの周囲温度が暖められるので、不具合発生時や機器のメンテナンス時にメンテナンスマンが現場で作業を行うような場合でも、明瞭にLCDの表示を行うことができるので、作業効率を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、機器の情報を表示するLCDと、LCDの周囲温度を計測する温度センサと、LCDの周囲温度を調整するヒータと、ヒータを駆動するヒータ駆動手段を有し、温度センサの値がLCDの動作範囲以下である場合、ヒータ駆動手段がヒータの通電をオンし、ヒータによりLCDの周囲温度を所定の温度以上に保つ表示装置である。
【0018】
上記構成、動作によると、本発明の表示装置は、機器が設置されている環境が0度以下の低温環境下であり、通常ならばLCDの表示が不鮮明になったり表示速度が遅くなったりするような場合でも、LCD保温用のヒータによりLCDの周囲温度が暖められるので、不具合発生時や機器のメンテナンス時にメンテナンスマンが現場で作業を行うような場合でも、明瞭にLCDの表示を行うことができ、作業効率を上げることができる。
【0019】
第2の発明は、機器の情報を表示するLCDと、LCDの周囲温度を計測する温度センサと、LCDのバックライトと、バックライトのON/OFFするバックライト駆動手段を有し、温度センサの値がLCDの動作範囲以下である場合、バックライト駆動手段により、バックライトをオンとし、LCDの温度を上げる表示装置である。
【0020】
上記構成、動作によると、本発明の表示装置は、LCDの周囲温度を上げるためのヒータを追加することなく、LCDに標準で備え付けられているバックライトの駆動による自己発熱でLCDの周囲温度を上昇させるので、特別な回路を追加することなくLCDの低温動作時の表示の不鮮明さや表示速度の低下といった課題を改善することができる。
【0021】
第3の発明は、機器の情報を表示するLCDと、LCDの周囲温度を計測する温度センサと、LCDの周囲温度を調整するヒータと、ヒータを駆動するヒータ駆動手段と、LCDのバックライトと、バックライトのON/OFFするバックライト駆動手段と、LCDのコントラストを調整するコントラスト調整手段と、コントラスト調整手段、温度センサによる計測、およびLCDの周囲温度を調整するヒータやバックライトのON/OFF制御を行う制御手段とを有し、制御手段は、温度センサの値がLCDの動作範囲以上のときは、コントラスト調整手段によりLCDのコントラストを調整し、温度センサの値がLCDの動作範囲以下のときは、ヒータのON/OFF制御とバックライトのON/OFF制御の両方でLCDの周囲温度の調整を行う表示装置である。
【0022】
通常LCDの最適な表示コントラストは周囲温度によって変化し、一般的に周囲温度が低くなるほど表示が薄くなり、高くなるほど濃くなり消費電力も増加する。本発明の表示装置は、上記構成、動作により、LCDの周囲温度が所定の温度以下ならばLCDの周囲温度を上げる制御を行い、LCDの周囲温度が所定の温度以上になると周囲温度に応じてコントラストを自動調整するので、幅広い温度条件の下で最適なコントラスト表示を行うと共に、最適なコントラストにすることで無駄な消費電力の増加を防止することができる。
【0023】
また、ヒータとバックライトのどちらかが故障した場合でも低温時にLCD周囲温度を上げることができるので、機器の周囲温度が低温時の不具合発生時やメンテナンス時にメンテナンスマンが現場でLCDの表示が不明瞭であったり表示速度が低下したりして表示が見難くなるといった不具合発生を低減することができる。
【0024】
第4の発明は、第3の発明の表示装置を設けた表示装置付き機器であり、機器の操作を行う操作手段を有し、温度センサの値がLCDの動作範囲以上になり、ヒータによる温度調整を停止しバックライトがOFFになった状態でも、操作手段の操作によりバックライトがONとなる表示装置付き機器である。
【0025】
上記構成、動作によると、低温時にLCDの温度を上昇させるためにLCDのバックライトを点灯させていたものを、外部の温度が上昇したり、機器内の温度が上昇したりしてバックライトをオフさせた後も、メンテナンスマンや利用者が操作手段を操作した場合はバックライトを点灯させることができるので、LCDの表示内容を明瞭に表示させることができ、作業効率を向上させることができる。
【0026】
第5の発明は、第3の発明において、手動でLCDのコントラストを調整するコントラスト操作手段を有し、LCDのコントラストが自動調整中であってもコントラスト操作手段により手動でLCDのコントラストを調整可能とした表示装置である。
【0027】
上記構成、動作によると、温度センサの計測結果に従い、コントラスト調整をしている場合でも、機器の設置されている状況(例えば、室内設置または屋外設置、機器の設置方向など)により、メンテナンスマンや利用者が感じる表示の見易さは異なる。よってコントラストを自動調整している場合でも、コントラスト操作手段により、メンテナンスマンや利用者がコントラストを手動で調整可能とすることによって、LCD表示を見やすくでき作業効率を向上させることができる。
【0028】
第6の発明は、第1、第3および第5いずれか1つの発明において、ヒータ通電報知手段を有し、ヒータへの通電がONしている間はヒータ通電報知手段によりヒータへの通電を報知する表示装置である。
【0029】
上記構成、動作によると、ヒータが通電されている間はLEDなどのヒータ通電報知手段により報知するので、メンテナンスマンや利用者が、ヒータに通電されていることが分からずに誤ってヒータに触れるといった不安全を解消することができる。
【0030】
第7の発明は、第1〜第3、第5および第6のいずれか1つの発明の表示装置と、機器内の水経路を凍結による破壊から守るための凍結防止ヒータと、機器の周囲温度を計測する外気温センサとを有し、凍結防止ヒータと表示装置のLCDを保温するヒータは直列もしくは並列に接続され、外気温センサの値が表示装置のLCDの動作範囲以下である場合、制御手段は、水経路の凍結を防止するため凍結防止ヒータの通電をONし、水経路の温度を上昇させる制御を行うと共に、表示装置のLCDを保温するヒータの通電がONされる燃料電池発電装置である。
【0031】
上記構成、動作によると、通常給湯機や電気温水器など水経路を有する機器に関しては水経路の凍結による破壊を防止するために外気温を計測する温度センサと、凍結を防止するヒータを有している場合がある。このような機器の場合、LCDの周囲温度と外気温はほぼ等しいので、水経路の凍結を防止するヒータと直列、または並列にLCDの周囲温度を上昇させるヒータを設けるだけで、低温時にLCDの周囲温度を上げることができるシステムを構築することができる。
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における表示装置の構成図の例を示すものであり、特に、通常屋外に設置される燃料電池発電装置システムに本発明の表示装置が組み込まれている場合を示すものである。
【0034】
図1において、表示装置1は、表示装置1が備えられているシステムの情報を表示するLCD2と、LCD2のバックライト5と、表示装置1に文字を表示したり、バックライト5の点灯/消灯の制御をしたりする制御手段7と、バックライト5の駆動を行うバックライト駆動手段6と、LCD2に表示する文字のコントラストを調整するコントラスト調整手段8と、LCDの周囲温度を上昇させるためのヒータ3と、ヒータ3を駆動するヒータ駆動回路4と、ヒータ3の通電がオンしていることを報知する、ヒータ通電報知手段51を有している。
【0035】
次に、この表示装置の動作について説明する。
【0036】
室内で使用されるような製品に関しては、製品が使用される環境温度が極端に低温になることは少ないが、室外に設置されるような製品に関しては、製品の周囲温度が氷点下まで下がることは頻繁に発生する。例えば家庭用の電化製品で、室外に設置されるものといえば、例えば、給湯機や電気温水器などがある。
【0037】
しかし、従来の給湯機や電気温水器では、弁やポンプといったアクチュエータの数も限られており、これらのアクチュエータの動作確認を行ったり、エラー内容を表示させたりするためには、表示できる情報量が多いLCDまでの機能は不要であり、7セグメントのLED等で表示する程度であった。
【0038】
その一方で、同じく室外に設置される家庭用電化製品の中で、燃料電池コージェネレーションシステムの普及が進められている。これは、地球温暖化に代表される環境問題に対する国全体の取組み、一般社会の関心の向上などが背景となっている。
【0039】
従来の給湯機や電気温水器と異なり、部品点数が多く、また制御に関しても、家庭でガスから水素を作り水素と空気中の酸素で発電させ、かつ排熱の回収も行う、といったように非常に複雑な内容が要求される。
【0040】
また一般家庭向けに商品化されたのは2004年と新しく、発展途上の商品であり、市場で発生する不具合も給湯機などと比較して格段に多くなる可能性があり、メンテナンスマンが設置場所で作業をする際、不具合発生時の解析や多数使用されている弁やポンプや各種センサの動作確認などが必要であり、7セグメントのLED程度では表示できる情報に限りがあり、作業効率を上げるために、情報表示手段としてLCDを用いる機器が出てきた。
【0041】
しかし、通常、LCDには温度特性があり、低温時に透過率が低下し表示が不鮮明になったり、高温時に画面のコントラストが濃くなったりして不必要な電力を消費することがある。また、表示の切換えの応答スピードが遅くなる。そのため、LCDの使用温度範囲は0℃以上となっているものが多い。
【0042】
本発明の表示装置1は、LCD2の周囲温度を計測する温度センサ10を備えており、温度センサ10により計測された温度が所定の温度以下、ここでは、例えば、LCD2の一般的な使用温度範囲の最低温度である0℃になると、ヒータ3に通電し、更にLCD2のバックライト5を点灯させ、LCD2の周囲温度を上昇させる。
【0043】
LCD2の周囲温度が上がったら、消費電力の低減のため、ヒータ3の通電を切り、バックライト5を消灯させる。
【0044】
これにより、屋外に設置されるような装置の周囲温度が低温になった時に、LCD2の表示内容を確認しなければいけない状況になった場合でも、ヒータ3とバックライト5を点灯させ、LCD2の周囲温度を上昇させることにより、低温時にLCD2の透過率が低下し表示が不鮮明になったり、表示速度が低下して表示内容が読みにくくなったりするような不具合を防止することができる。
【0045】
また、ヒータ3の通電中はヒータ通電報知手段51の表示によりメンテナンスマンや利用者にヒータ3が通電されていることを報知するので、LCD2の周囲温度を上昇させるためにヒータ3に通電されていることが分からずにメンテナンスマンや利用者がヒータ3に触れるという不安全を解消することができる。
【0046】
但し、本発明の実施の形態では、低温時にヒータ3の通電と、バックライト5の点灯の両方を行う場合について述べたが、ヒータ3のみでも十分にLCD2の周囲温度を上げることが可能であり、その効果は変わらない。
【0047】
また、ヒータ3を有さないシステムの場合についても、バックライト5の点灯のみで昇温可能でありその効果は変わらない。但し、ヒータ3の場合よりもその昇温に時間を有するため、バックライト5を点灯させる温度の閾値を、ヒータ3を有する場合と比較し、高めに設定したり、バックライト5の駆動電流を多めに流したりするといった配慮が必要である。
【0048】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の表示装置は、実施の形態1の表示装置に加えて、表示装置にコントラスト自動調整機能を有するものであり、その他の構成、動作は実施の形態1と同じである。
【0049】
そこで以下では実施の形態2の表示装置の構成、動作について、実施の形態1の表示装置との相違点を中心に述べ、その他の構成、動作については実施の形態1と同じものとする。
【0050】
図2は表示装置にコントラスト自動調整機能を有する場合の表示装置1の構成図の例である。図2において、表示装置1はLCD2のコントラストを調整するコントラスト調整手段8を有している。
【0051】
次に本発明の第2の実施の形態の動作について、図2を用いて説明する。
【0052】
LCDの物性上の特性から低温時には透過率が低下し表示が不鮮明になったり、表示の応答速度が低下したりするといった課題に関しては実施の形態1の説明の際述べたが、この他にもLCDの物性上の特性から、高温時、画面のコントラストが濃くなって不必要な電力を消費することがある。
【0053】
LCDのコントラスト調整は、一般的にLCDモジュールにコントラスト調整用の端子が設けられており、このコントラスト調整用の端子に印加する電圧を変化させて調整する。
【0054】
本発明の表示装置1は、温度センサ10により計測したLCD2の周囲温度の計測結果からLCD2のコントラスト調整用の端子に印加する電圧をコントラスト調整手段8により自動調整することで、メンテナンスマンや利用者にとって見やすく、かつ最適なコントラストで表示させることにより消費電力の低減を実現することができる。
【0055】
次に図3に、表示装置にコントラスト自動調整機能とメンテナンスマンや利用者により手動でコントラストを調整する機能を有する場合の表示装置1の構成図を示す。
【0056】
図3において、表示装置1は、LCD2のコントラストを手動で調整したり、LCDの表示内容を変更させたりするための操作手段9を有している。
【0057】
表示装置1ではLCD2の周囲温度に応じて、コントラスト調整手段8により自動的に最適なコントラストに調整を行うが、機器が設置されている環境や、メンテナンスマンや利用者の個人的な差により、実際には見えにくく、コントラストが最適になっていない場合も発生する。
【0058】
本発明の表示装置1には、このコントラストを手動で調整する操作手段9を備えているので、機器が設置されている環境の違いによりメンテナンスマンや利用者に表示内容が見えにくくなってしまっているような状況にあっても、操作手段9により個人の好みによってコントラスト調整を手動で変更できるので、LCD表示を見やすくでき作業効率を向上させることができる。
【0059】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、実施の形態1または実施の形態2の表示装置を有する燃料電池発電装置あり、図4はその燃料電池発電装置を組み込んだ燃料電池発電装置システムの構成を示すものである。
【0060】
以下、実施の形態3の燃料電池発電装置の構成、動作について、実施の形態1、2との相違点を中心に述べ、その他の構成、動作については実施の形態1、2と同じものとする。
【0061】
図4は、通常屋外に設置される、表示装置を有する燃料電池発電装置を組み込んだ燃料電池発電装置システムの構成図である。
【0062】
図4において、燃料電池発電装置システムは、都市ガスなどの原料ガスから水素を作って発電を行う燃料電池発電装置100と、発電する際に発生した熱を回収しお湯として貯湯タンク17に貯える貯湯ユニット16とから構成される。
【0063】
燃料電池発電装置100は、発電、停止の一連の動作を制御する制御手段7と、燃料電池発電装置100が設置されている環境の外気温を計測する外気温センサ21と、都市ガスなどの燃料ガスから水素を生成する水素生成器11と、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行うスタック12と、そのスタック12などの冷却や水素生成器11からの排ガスからの熱を回収する排熱回収手段15a,15bと、排熱回収手段15a,15bの水経路の凍結を防止する凍結防止ヒータ13a,13b,13c,13dと、排熱回収手段15aの水経路に冷却水を供給したり排熱回収手段15bの水経路に貯湯ユニット16からの排熱回収用の水を供給したりするポンプ14を有している。
【0064】
また、燃料電池発電装置100と貯湯ユニット16は通信ケーブル18で接続されており、貯湯タンク17に貯えられているお湯の量や温度、燃料電池発電装置100の発電量や発電時間等の情報のやりとりを行っている。
【0065】
一般的に、屋外に設置される機器で水経路を有する装置には、低温時に水経路の配管の凍結を防止するために凍結防止ヒータ13a〜13dを有しているものが多い。燃料電池発電装置100に関しても、燃料ガスから水素を生成する際の熱や発電時に発生する熱を冷却水によって排熱回収を行っているので、冬場外気温が氷点下に下がるような場合は排熱回収の水経路が凍結しないようにヒータを備える必要がある。
【0066】
次に図5を用いてLCD2の周囲温度を上昇させるヒータ3及び凍結防止ヒータ13a〜13dの動作について説明する。
【0067】
図5に示すように水配管の凍結を防止する凍結防止ヒータ13a〜13dが並列に接続されているような場合、そこに更に並列にLCDの周囲温度を上昇させるためのヒータ3を接続する。
【0068】
但し、凍結防止ヒータ13a〜13dとヒータ3の上述した接続は一例でありその他の接続でも可能である。例えば、凍結防止ヒータ13a〜13dに並列にするのではなく、凍結防止ヒータ13a〜13cが並列に接続されているところに凍結防止ヒータ13dに直列に接続するような配線にしても、LCD2の周囲温度を上昇させることは問題なく実現できるので発明の効果は変わらない。
【0069】
また、凍結防止ヒータ13a〜13dの接続が直列に接続されているところにヒータ3を直列に接続したり、並列に接続したりしても、同じくLCD2の周囲温度を上昇させることは問題なく実現できるので発明の効果は変わらない。
【0070】
水配管の凍結防止のため外気温が0℃付近で凍結防止ヒータ13a〜13dを通電する必要がある。また、一般的なLCDモジュールの使用温度範囲の最低温度が0℃であり、またLCD2が低温時に透過率が低下し表示が不鮮明になったり、表示速度が低下したりして表示内容が読みにくくなることを防止するために、ヒータ3も、やはり0℃付近で通電する必要がある。よって、凍結防止ヒータ13a〜13dとヒータ3の通電をオンする温度の閾値はほぼ同じでよい。
【0071】
図5において、制御手段7は外気温センサ21が計測した燃料電池発電装置100が設置されている外気温の計測結果に基づき、ヒータ駆動手段4に制御信号を送り、ヒータ駆動手段4は、ヒータ3と凍結防止ヒータ13a〜13dの通電をON/OFFさせる。例えば、配管の凍結による破壊を防止するため、外気温が2℃になるとヒータ駆動手段4がヒータ3と凍結防止ヒータ13a〜13dの通電をオンし、配管内の水の温度、及びLCDの周囲温度を上げることができる。
【0072】
このように、水経路の凍結を防止する機能を有しているシステムにおいては、水経路の凍結を防止するための温度閾値と、LCDの表示を明瞭に保つための温度閾値がほぼ等しく設定できるため、水経路の凍結を防止するヒータに直列、または並列にLCDの周囲温度を上昇させるヒータを設けるだけで、低温時にLCDの周囲温度を上げることができるシステムを構築することができ、水経路の凍結による破壊と、低温時のLCDの表示が見難くなるといった課題を解決することができる。
【0073】
但し、外気温センサ21を有していないシステムに関しても、ヒータ駆動手段4をバイメタルスイッチのような所定の温度になるとスイッチがオンする部品を使用することでヒータ3や凍結防止ヒータ13a〜13dに通電することが可能であり、LCDの周囲温度や配管の水の温度を上昇させることができるので、発明の効果は変わらない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の表示装置は、LCD表示機能を備えた、燃料電池発電装置システムを始め、エンジン発電装置システムや、給湯機などの屋外に設置されるシステムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1における表示装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態2における表示装置の構成図
【図3】同実施の形態における表示装置で操作手段を有する場合の構成図
【図4】本発明の実施の形態3における燃料電池発電装置を備えた燃料電池発電装置システムの構成図
【図5】同実施の形態における燃料電池発電装置を備えた燃料電池発電装置システムの要部構成図
【符号の説明】
【0076】
1 表示装置
2 LCD
3 ヒータ
4 ヒータ駆動手段
5 バックライト
6 バックライト駆動手段
7 制御手段
8 コントラスト調整手段
9 操作手段
10 温度センサ
13a,13b,13c,13d 凍結防止ヒータ
21 外気温センサ
51 ヒータ通電報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の情報を表示するLCDと、前記LCDの周囲温度を計測する温度センサと、前記LCDの周囲温度を調整するヒータと、前記ヒータを駆動するヒータ駆動手段を有し、前記温度センサの値が前記LCDの動作範囲以下である場合、前記ヒータ駆動手段が前記ヒータの通電をオンとし、前記ヒータにより前記LCDの周囲温度を所定の温度以上に保つ表示装置。
【請求項2】
機器の情報を表示するLCDと、前記LCDの周囲温度を計測する温度センサと、前記LCDのバックライトと、前記バックライトのON/OFFするバックライト駆動手段を有し、前記温度センサの値が前記LCDの動作範囲以下である場合、前記バックライト駆動手段により、前記バックライトをオンとし、前記LCDの温度を上げる表示装置。
【請求項3】
機器の情報を表示するLCDと、前記LCDの周囲温度を計測する温度センサと、前記LCDの周囲温度を調整するヒータと、前記ヒータを駆動するヒータ駆動手段と、前記LCDのバックライトと、前記バックライトのON/OFFするバックライト駆動手段と、前記LCDのコントラストを調整するコントラスト調整手段と、前記コントラスト調整手段、前記温度センサによる計測、および前記LCDの周囲温度を調整する前記ヒータや前記バックライトのON/OFF制御を行う制御手段とを有し、前記制御手段は、前記温度センサの値が前記LCDの動作範囲以上のときは、前記コントラスト調整手段により前記LCDのコントラストを調整し、前記温度センサの値が前記LCDの動作範囲以下のときは、前記ヒータのON/OFF制御と前記バックライトのON/OFF制御の両方で前記LCDの周囲温度の調整を行う表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置を設けた表示装置付き機器において、機器の操作を行う操作手段を有し、前記温度センサの値が前記LCDの動作範囲以上になり、前記ヒータによる温度調整を停止し前記バックライトがOFFになった状態でも、前記操作手段の操作により前記バックライトがONとなる表示装置付き機器。
【請求項5】
手動で前記LCDのコントラストを調整するコントラスト操作手段を有し、前記LCDのコントラストが自動調整中であっても前記コントラスト操作手段により手動で前記LCDのコントラストを調整可能とした請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
ヒータ通電報知手段を有し、前記ヒータへの通電がONしている間は前記ヒータ通電報知手段により前記ヒータへの通電を報知する請求項1、3および5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1〜3、5および6のいずれか1項に記載の表示装置と、機器内の水経路を凍結による破壊から守るための凍結防止ヒータと、前記機器の周囲温度を計測する外気温センサとを有し、前記凍結防止ヒータと前記表示装置のLCDを保温するヒータは直列もしくは並列に接続され、前記外気温センサの値が前記表示装置のLCDの動作範囲以下である場合、制御手段は、前記水経路の凍結を防止するため前記凍結防止ヒータの通電をONし、水経路の温度を上昇させる制御を行うと共に、前記表示装置のLCDを保温するヒータの通電がONされる燃料電池発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−186722(P2009−186722A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26194(P2008−26194)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】