説明

表示装置、表示システム、表示方法及び表示制御プログラム

【課題】マイコンなどのCPUに負荷を与えることなく表示データの転送を行え、表示パネルに表示できる表示装置、表示システム、表示プログラム及び表示方法を提供する。
【解決手段】表示データの転送を行うCPU3とCPU3からの転送を受けて表示パネル11に表示する表示装置10とを備え、表示装置10は、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部12と、メモリー空間を複数の領域に区分けする領域指定部16aと、領域指定部16aにより区分けされた領域のうち少なくとも一方を非表示対象領域とし、他方を表示対象領域として割当てを行い、所定のタイミングで該割当てを切り替える切替制御部16bとを備える。切替制御部16bは、CPU3から転送データと共に送信された書込手順及び書込先アドレスに従い、非表示領域として割り当てられている該当領域に対し転送データを書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転送されたデータを格納して表示パネルに表示する表示装置、表示システム、表示方法及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチインフォメーションとしての液晶表示装置が車両室内のコンソールボックスに搭載され、速度、残留オイル量、湿度その他の各種情報を運転者に呈示している(例えば特許文献1)。
【0003】
従来、ヨーロッパ車のマルチインフォメーションシステムでは、表示装置として単純マトリックス表示方式を採用したSTN(Super-twisted Nematic Display)液晶、VFD(Vacuum Fluorescent Display)が用いられ、マイコンからの転送データが表示装置内のRAM(Random Access Memory)に60Hzで書込みされている。このような表示装置では、表示パネルにおける画素への書込速度とデータ量の制約とから、せいぜい2階調のモノクロ表示であり、画像サイズもQQVGA(160×120)であった。
【0004】
ヨーロッパ車や日本車の一部の高級車には、アクティブマトリックス表示方式を採用したTFT(Thin Film Transistor)液晶を用いてマルチインフォメーションシステムが搭載され、画像サイズをQVGA(320×240)以上とし16ビットカラー表示を可能としている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−199992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一部の高級車に搭載されているマルチインフォメーションシステムにおいても、60Hzで液晶表示装置に対し書込みを行う必要がある。そのため、この液晶表示装置に対する制御を各種メータの制御処理、各種センサーからの信号処理を行っているマイコンで行うには、性能のよいマイコンを搭載するか、マイコンとTFT液晶との間にVRAM(Video Random Access Memory)を介在させる必要があった。
【0007】
仮にVRAMを介在させても、VRAMから液晶表示パネルに対し60Hzで転送させる必要がある。VRAMから液晶表示パネルに対する転送速度が遅くなると、液晶表示パネルに斜めの輝線が発生し、所謂テアリングが生じるという問題があった。
【0008】
また、モノクロ表示の場合であっても、マイコンから液晶表示装置に対してデータ転送する場合に画像サイズを大きくすると、マイコンに大きな負荷がかかる。例えば、画像サイズをQQVGA(160×120)からQVGA(320×240)に大きくすると、マイコンからの転送速度は1.15MHzから4.61MHzとなるので、結果的にマイコンに負荷をかけることになる。
【0009】
本発明の第1の目的は、データを転送するマイコンなどの外部のCPUに負荷を与えることなく、データの転送を受けて表示することができる表示装置、表示方法及び表示プログラムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、データを繰り返し表示する表示装置に対し、CPUが表示装置に依存しないで任意にデータを転送することができる、表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の目的を達成するため、本発明の表示装置は、所定の画素数を有する表示パネルと、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部と、制御部と、を備え、制御部には、メモリー空間内を複数の領域に分けて指定する領域指定部と、領域指定部により指定された第1領域及び第2領域に対し、一方の領域を非表示対象領域とし、他方の領域を表示対象領域として割当てを行い、所定のタイミングで該割当てを切り替える切替制御部と、を有することを特徴とする。ここで、「表示対象領域」とは、メモリー空間内において表示パネルに対して出力表示される領域を意味し、「非表示対象領域」とは、メモリー空間内において表示パネルに対して出力表示されない領域、即ち外部からの転送データの書込可能領域を意味する。これにより、メモリー空間内で表示対象領域に割り当てられた領域に書き込まれているデータを表示パネルに繰り返し表示させながら、外部から受信したデータをメモリー空間内の非表示対象領域に書き込み、その後表示パネルで表示するデータが書き込まれたことを条件として、切替制御部により非表示対象領域として割り当てた領域を表示対象領域に切り替えることができる。
【0011】
上記構成において、メモリー空間は、好ましくは、表示パネルの2画面分以上のデータ量を格納できるサイズを有する。これによりメモリー空間内の領域を例えば半分に分け、一方の領域を表示領域としかつ他方の領域を非表示領域として割り当てることができる。
【0012】
上記構成において切替制御部は、好ましくは、メモリー空間のうち複数の領域を表示対象領域として割り当てる。これによりメモリー空間内の一部の領域内を書き換えたり、表示パネルへの表示切替えが容易になる。
【0013】
上記構成において制御部は、好ましくは、切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを表示パネルに繰り返し表示する表示制御部と、切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域に対し外部から受信したデータを書き込む書込制御部と、を有し、表示制御部が切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを表示パネルに繰り返し表示しながら、書込制御部が外部から受信したデータを切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域内に書き込む。また、切替制御部は、非表示対象領域として割り当てられている領域に対しデータの書込みが終了したと判断すると、その領域を非表示対象領域から表示対象領域に割当てを切り替えて、表示制御部による表示パネルへの表示を開始させる。
【0014】
上記第2の目的を達成するため、本発明の第1の構成に係る表示システムは、表示データの転送を行うCPUと、CPUからの転送を受けて表示パネルに表示する表示装置と、を含み、表示装置は、所定の画素数を有する表示パネルと、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部と、メモリー空間内を複数の領域に分けて指定する領域指定部と、領域指定部により指定された第1領域及び第2領域に対し一方の領域を非表示対象領域とし、他方の領域を表示対象領域として割当てを行い、所定のタイミングでこの割当てを切り替える切替制御部とを備えることを特徴とする。特に、表示装置は、切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを表示パネルに繰り返し表示する一方、CPUから転送されたデータを切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域内に書き込む。よって、本発明に係る表示システムによれば、先ず、メモリー空間内の一方の領域に対し、CPUから転送されたデータの書込みがなされる。次に、この一方の領域が表示対象領域に切り替えられ、他方の領域が非表示領域として割り当てられると、一方の領域に書き込まれているデータを表示パネルに繰り返し表示しながら、他方の領域に外部からの転送データが書込可能となる。よって、CPUは、他方の領域に書き込まれるデータを任意のスピードでかつ任意のタイミングで転送することができ、表示装置は、一方の領域に書き込まれているデータを所定の周波数で表示パネルに表示することができる。
【0015】
本発明の第2の構成に係る表示システムは、表示データの転送を行うCPUと、CPUからの転送を受けて表示パネルに表示する表示装置と、を含み、表示装置は、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部と、メモリー空間を複数の領域に区分けする領域指定部と、領域指定部により区分けされた領域のうち少なくとも一方の領域を非表示対象領域とし、他方の領域を表示対象領域として割当てを行い、かつ所定のタイミングで該割当てを切り替える切替制御部と、を備え、表示装置が、切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを表示パネルに繰り返し表示する一方、CPUから転送されたデータを切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域内にCPUからデータと共に送信された書込手順及び書込先アドレスに従い、書き込む。これにより、非表示領域への転送データの書込みが指定された書込先アドレスから書込手順に従って行われるため、一つの転送データを元にして各種の表示を行うことができる。
【0016】
本発明の表示方法は、複数の領域に分割可能なメモリー部に外部からの転送データを格納して表示パネルに表示する表示方法であって、メモリー空間における第1領域に書き込まれているデータを表示パネルに繰り返し表示するステップと、メモリー空間における第1領域に書き込まれているデータを表示パネルに繰り返し表示しながら、メモリー空間における第2領域に転送データを書き込むステップと、第2領域に転送データが所定量書き込まれていることを条件として、表示パネルからの出力表示対象を第2領域に書き込まれているデータに切り替え、第2領域に書き込まれているデータを表示パネルへ繰り返し表示するステップと、を含むことを特徴とする。ここで、所定量とは、表示パネルで表示可能なデータ量、表示パネルに対して割り当てられている表示領域に表示可能なデータ量の何れかを意味する。これにより、第2領域に書き込まれるデータを外部から任意のスピードかつ任意のタイミングで転送することができると共に、第1領域に書き込まれているデータを所定の周波数で表示パネルに表示することができる。
【0017】
上記構成において、好ましくは、メモリー空間のうち出力表示対象として割り当てられていない領域に対し、指定されたアドレスから指定された手順に従ってデータの書込みがなされる。これによりCPUからの転送データにおけるデータ列の順序によらず、90°反転、左右対称、上下対称など複数の態様で表示することができる。
【0018】
上記構成において、好ましくは、メモリー空間のうち出力表示対象として割り当てられていない領域に対し、外部から転送されるデータの一部を間引いて書込みがなされる。これにより、転送データをメモリー空間の容量に対応させつつ、表示パネルで表示可能なデータサイズに変換することができる。
【0019】
上記構成において、好ましくは、メモリー空間のうち出力表示対象に切り替えられた領域内のデータを表示パネルに表示するに際し、その領域のうち表示開始位置及び/又は表示終了位置を変更する。これにより、出力表示対象の切替え毎に、表示パネルにスクロール表示させることができる。
【0020】
さらに、本発明の表示制御プログラムは、外部からの転送データをメモリー空間に格納して表示パネルに表示する表示制御プログラムであって、メモリー空間内における複数の領域のうち、一方の領域にすでに書き込まれているデータを表示パネルに繰り返し表示しながら、他方の領域に転送データを書き込ませるステップと、他方の領域に書き込まれているデータを表示パネルに繰り返し表示しながら、一方の領域に転送データを書き込ませるステップと、を繰り返し行うことを特徴とする。これにより、本発明の表示制御プログラムを別の表示デバイスに格納して実行することで、本発明の表示方法を実行することができる。この表示制御プログラムはCD、DVDなどの記録媒体に格納されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の表示装置によれば、メモリー空間内の一領域が非表示領域に割り当てられ、外部からの転送データの書込み終了後表示領域に切り替えられると、その一領域に書き込まれているデータを表示パネルに繰り返し表示しながら、別の領域が書込領域に割り当てられる。この書込領域に書き込まれるデータの転送速度は表示パネルへの表示処理に何ら依存しない。従って、表示装置に接続された外部のCPUから任意のタイミングや速度でデータが転送されても、表示装置は、所定のフレーム周波数で表示パネルにデータ表示を安定して行うことができ、テアリングなどの不都合が生じない。
【0022】
本発明による表示システムによれば、CPUは表示装置に対しデータを任意のスピードでかつ任意のタイミングで送信することができ、表示装置はCPUからのデータ送信のタイミングや速度によらず安定した表示を行うことができる。また、このCPUは表示装置に対するデータを送信する処理のみならず、各種センサーからの出力信号に基いて表示装置以外の制御系に対する制御を行うこともできる。
【0023】
本発明による表示方法によれば、メモリー空間内に一方の領域に書き込まれているデータを所定の周波数で表示パネルに表示しながら、メモリー空間内の他方の領域に書き込まれるデータを外部から任意のスピードでかつ任意のタイミングで受信することができる。
【0024】
本発明による表示制御プログラムを実行することで、本発明に係る表示方法を実現することができ、任意のスピードでかつ任意のタイミングで外部から転送されるデータを受けながら安定した表示を行うことができる。なお、本発明の表示装置は車載用のインフォメーションシステムやIT家電などの表示デバイスとして適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示システムの概略を示す図である。
表示システム1は、表示パネル11として例えば液晶表示パネルを備えた表示装置10と、この表示装置10で表示するデータを格納する表示データ格納部2と、表示データ格納部2からデータを取得して表示装置10に対して表示指令と共に送信するCPU(Central Processing Unit)3と、で構成される。この表示システム1は、例えば車載のマルチインフォメーションシステムとして構築される。その際、CPU3は車両に設けられた各種センサーに対する制御の他、空調設備や照明設備の制御も行う。また表示システム1は、例えばIT家電に組み込まれてもよい。その際、CPU3は、利用者に対する情報の表示制御のみならず、各種制御機器に対するコントロールも行う。表示装置10の入出力制御部10AとCPU3の入出力制御部3Aとはフレキシブル基板(FPC)4を介してACF(Anisotropic Conductive Film、異方性導電フィルム)接続され、表示データ、制御信号、シリアルコマンド、電力がCPU3側から表示装置10に対して直接入力される。なお、CPU3と表示データ格納部2とはCANなどのネットワーク5で接続されている。
【0026】
表示装置10は、図1に示すように例えば所定数の画素数を有する表示パネル11と、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部12と、メモリー空間内のデータを表示パネル11に映し出すためのゲートドライバー13及びソースドライバー14と、外部のCPU3からの制御信号及びデータを受ける入出力制御部10Aと、入出力制御部10Aで受信した制御信号からコマンドを判定するコマンド判定部15と、コマンド判定部15で判定したコマンドに従い、メモリー部12に対し転送データの書込み、ソースドライバー14に対する表示信号の出力、ゲートドライバー13への制御などを行う制御部16と、を備えている。
【0027】
ここで、表示装置10におけるコマンド判定部15及び制御部16は、デジタル回路で構成されてもよいし、本発明に係る表示制御プログラムをプロセッサーに格納して実行することで構築されてもよい。
【0028】
制御部16は、メモリー空間内における領域を指定する領域指定部16aと、領域指定部16aで指定された各領域に対し、表示パネル11に出力表示しない領域を非表示対象領域とし、表示パネル11に出力する領域を表示領域として割当てを行い、この割当てを外部からの指令により切り替える切替制御部16bと、CPU3から受信した制御情報を表示指令と判断した場合、メモリー部12のメモリー空間内の指定領域に書き込まれているデータを表示パネル11にソースドライバー14を介して表示する表示制御部16cと、CPU3から受信した制御情報を書込指令と判断した場合、メモリー部12のメモリー空間内の指定領域に当該制御情報と共に送信された転送データを書き込む書込制御部16dと、を備えている。
【0029】
ここで、領域指定部16aは、転送データの格納場所のためメモリー空間に対するRAMアドレスの指定を行うほか、表示パネル11に対する表示領域の指定も行う。例えば、領域指定部16aは、表示パネル11の一領域のみ第1のパーシャル画像表示領域とし、残りの領域を第2のパーシャル画像表示領域とする指定も行う。
【0030】
切替制御部16bは、メモリー空間内における格納場所を表示対象領域、非表示対象領域とするかの割当てを行い、外部からの制御信号に応じてその割当ての切替えを行う。
【0031】
表示制御部16cは、切替制御部16bにより表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを表示パネル11に繰り返し表示する。具体的には、切替制御部16bにより表示対象領域として割り当てられたメモリー空間内の格納場所からデータを取得し、ゲートドライバー13に出力される駆動信号と連動してソースドライバーに繰り返し転送することで、表示パネル11に対するデータの表示出力を繰り返す。
【0032】
書込制御部16dは、切替制御部16bにより非表示対象領域として割り当てられた領域に対しCPU3から受信したデータを書き込む。具体的には、CPU3から転送データと共に送信された書込指令に含まれている書込先頭アドレス及び書込手順に従い、転送データの書込みを行う。
【0033】
なお、CPU3からのデータ転送は、データ線が1本のシリアル方式でも、複数本で転送するパラレル方式でもよい。画素数、転送データが比較的小さくCPU3側の入出力制御部3Aのポートが少ない場合にはシリアル転送を選択する。またCPU3からのデータ転送の際、転送速度に応じてシリアル転送、パラレル転送の何れかが選択可能にしてもよい。この選択はCPU3で行うことができる。また、メモリー部12、制御部16などは表示パネル11を形成するガラス上にCOG(Chip on glass)などの手法を用いて実装してもよい。メモリー部12からソースドライバー14へ出力線としてデータ線の数だけ配線し、制御部16からゲートドライバー13への制御信号出力線としてゲート線の数だけ配線される。
【0034】
ここで、表示パネル11の画素数とメモリー部12におけるメモリー空間のサイズとの関係について説明する。メモリー部12は、表示パネル11で表示可能なデータ量の2倍以上、好ましくは4倍のメモリー空間を有する。これにより、メモリー部12におけるメモリー空間を、表示パネル11への表示対象領域と、表示パネル11へ表示しない非表示対象領域とに分けて割り当て、非表示対象領域として割り当てられた領域のうち指定された格納場所に転送データを書き込む。例えば、表示パネル11の画素数がQQVGA(160×RGB×120)の場合には、320×240のメモリー空間とする。これにより、表示パネル11、メモリー空間の垂直方向への各走査が対応することができ、走査の際のアドレス番号を容易に制御することができる。
【0035】
領域指定部16aは、メモリー部12のメモリー空間を複数の領域に区分けする。その場合、表示パネル11全面で表示する表示データのデータサイズに合わせて第1領域、第2領域として区分けする。なお、メモリー空間内の領域内には未使用の領域があってもよく、メモリー空間内の例えば半分の領域を第1領域、第2領域などと区分してもよい。これにより、書込制御部16dは、CPU3から転送されたデータを非表示対象領域に割り当てられた第1領域、第2領域の何れかの領域に書き込む。一方、切替制御部16bは、メモリー空間の第1領域を表示するか、第2領域を表示するか、所定のタイミングを図って判断し、一方を表示対象領域とする。表示制御部16cは、表示対象領域に割り当てられている領域に書き込まれているデータをソースドライバー14に繰り返し出力することで、表示パネル11への出力表示を繰り返す。
【0036】
以下に本発明の第1の実施形態について具体的に説明する。図2は第1の実施形態におけるメモリー空間12aと表示パネル11との関係を模式的に示す説明図であり、図3は第1の実施形態に係る表示方法を示すフロー図である。以下の説明では、メモリー空間12aのサイズがQVGA(240×320)であり、表示パネル11の画素数を120×160とする。メモリー空間12aは、図2に示すように、メモリー空間12aのうち左右の未使用領域と真ん中の使用領域とに分け、さらに使用領域を第1領域と第2領域とに区分けし、表示パネル11に対し第1領域と第2領域の何れか一方の領域のみを表示する場合を説明する。ここで、メモリー空間12aには、CPU3から転送されたデータが格納されない領域として未使用領域が存在する。
【0037】
CPU3から転送データとして第1表示データと共に第1領域、書込先頭アドレス、書込手順を含む書込指令を表示装置10が受けると、その書込指令をコマンド判定部15が判断し、制御部16にその指令を伝える。すると、先ず、領域指定部16aはメモリー空間12aに対する第1領域の設定を行う(STEP1−1)。第1領域の設定は、ウインドウ水平RAMアドレス及び垂直RAMアドレスを用いて開始アドレス及び終了アドレスを指定することでなされる。次に、領域指定部16aが書込制御部16dに対し、書込先頭アドレス及び書込手順の設定を行う(STEP1−2)。書込先頭アドレスの設定には、水平方向RAMアドレス及び垂直方向RAMアドレスが用いられる。書込手順とは、メモリー空間12a内の或るアドレスに書き込んだのち、次の書込先のアドレスを決めるためのものであり、通常は水平方向及び垂直方向にそれぞれインクリーメントし、水平方向に進行するよう書込手順が設定される。なお、書込制御部16dには通常の書込手順に関する情報が既定されており、通常の書込手順と異なる場合のみ変更設定を行ってもよい。その後、書込制御部16dは、CPU3からの第1表示データを書込先頭アドレスから順に書込手順に従って書き込む(STEP1−3)。
【0038】
CPU3から表示装置10に対して第1表示データの表示指令の入力がなされると、コマンド判定部15においてその旨が判断され、切替制御部16bは表示対象領域として第1領域を割り当てる。すると、表示制御部16cは、第1領域に書き込まれているデータを表示パネル11に表示するようゲートドライバー13及びソースドライバー14に対し制御する(STEP1−4)。これにより、第1表示データが表示パネル11に表示出力される。STEP1−4の処理が行われている間、制御部16がコマンド判定部15を介してCPU3から第2表示データと共に書込指令を受けると、領域指定部16aはメモリー空間12aに対する第2領域の設定を行い(STEP1−5)、領域指定部16aが書込制御部16dに対し書込先頭アドレス及び書込手順を設定し(STEP1−6)、書込制御部16dがSTEP1−6で設定した書込先頭アドレスから順に書込手順に従って第2表示データの書込みを行う(STEP1−7)。このSTEP1−5〜STEP1−7の間、ゲートドライバー13及びソースドライバー14により表示パネル11に対し第1表示データが繰り返し描かれており、CPU3から任意の速度で転送されてきた第2表示データをメモリー空間12aにおける第2領域に任意の速度で書き込むことができる。なお、STEP1−5乃至STEP1−7の各処理は、STEP1−1乃至STEP1−3の各処理と同様である。
【0039】
次に、表示装置10がCPU3から表示切替えの指令を受信すると、この指令をコマンド判定部16bが判断し、切替制御部16bは垂直スクロール機能を無効から有効に切り替える(STEP1−9)。ここで、垂直スクロール機能とは、メモリー空間内の第1領域と第2領域との書込開始アドレスの垂直アドレス番号の差分を垂直スクロール量として切替制御部16b内に設定されており(STEP1−8)、表示制御部16cがメモリー空間12aからのデータ読出開始位置をスクロール量だけ垂直方向にシフトさせる機能をいう。切替制御部16bは、コマンド判定部15により第1領域、第2領域の何れを表示するかの指令を外部から受けた旨の通知を受けると、スクロール機能を無効、有効にすることで、メモリー空間12aのデータ読出表示開始アドレスを第1領域の先頭、第2領域の先頭の何れかに設定する。上記STEP1−9により、表示制御部16cは第2領域内のデータを表示パネル11にソースドライバー14を介して出力表示する。
【0040】
以上のように、第1の実施形態では、メモリー部12におけるメモリー空間12aを表示パネル11の表示サイズに対して同等ではなく例えば2倍又は4倍とすることで、メモリー空間12a内の第1領域及び第2領域を表示対象領域と非表示対象領域とに切替可能に割り当てる。第2領域に第2データが書き込まれると、切替制御部16bは、表示パネル11に表示するデータ格納場所を第1領域から第2領域に変更する。これで、表示制御部16cは、ソースドライバー14に出力するデータを第1領域からではなく第2領域から取得する。これにより表示切替えを行うことができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、メモリー空間12aを表示パネル11の画素数に相当するよう第1領域及び第2領域に区分けするのに対し、第2の実施形態では、メモリー空間12aのうち使用領域を表示パネル11の画素数に対応するサイズ以下の領域に複数区分けする。換言すれば、第1実施形態では、メモリー空間12aの第1領域及び第2領域に書き込まれているデータを表示パネル11の全てに表示するのに対し、第2実施形態では、メモリー空間12aの各領域に書き込まれているデータを表示パネル11に部分的に表示し、表示パネル11の一部を部分的に切り替えることができる。
【0042】
図4は第2の実施形態におけるメモリー空間12aと表示パネル11との関係を示す説明図、図5は第2の実施形態におけるフロー図である。以下の説明では、メモリー空間12aのサイズをQVGA(240×320)とし、表示パネル11の画素数を120×160とする。図4に示すように、表示パネル11に対し、第1のパーシャル画像表示領域として120×100のサイズの表示領域を画成し、第2のパーシャル画像表示領域として120×60のサイズの表示領域を画成する。また、図4に示すように、メモリー空間12aのうち左右の未使用領域と真ん中の使用領域とに分け、未使用領域にはCPU3からのデータが書き込まれず、使用領域にCPU3からのデータが書き込まれる。
【0043】
表示装置10がCPU3から第1及び第2のパーシャル画像表示領域の設定指令を受けると、コマンド判定部15でその設定指令を判断し、領域指定部16aが図4に示すように第1のパーシャル画像表示領域11aと第2のパーシャル画像表示領域11bとをそれぞれ設定する(STEP2−1)。第1、第2のパーシャル画像表示領域11a,11bの設定には、設定指令と共に送信された開始ラインアドレス及び終了ラインアドレスが用いられる。これと相前後して切替制御部16bは、表示対象領域として第1及び第2のパーシャル画像表示領域に対応するよう、メモリー空間12a用の開始ラインアドレス及び終了ラインアドレスを設定する(STEP2−2)。
【0044】
次に、表示装置10がCPU3から第1のパーシャル画像に関するデータ転送と共に書込領域の確保指令を受けると、領域指定部16aがメモリー空間12aに対して書き込む領域、ここではA領域を設定する。その際、ウインドウ垂直RAMアドレス及びウインドウ水平RAMアドレスを用いて開始アドレス及び終了アドレスを設定することで、メモリー空間12aへの第1パーシャル画像用書込領域としてA領域を設定する(STEP2−3)。領域指定部16aが書込制御部16dに対し、メモリー空間12aにおける書込先頭アドレスについて水平方向及び垂直方向のRAMアドレスを用いて設定を行うと共に、書込手順の設定を行う(STEP2-4)。そして、書込制御部16dが書込先頭アドレスから書込手順に従って第1のパーシャル画像についてデータ書込みを行う(STEP2−5)。
【0045】
次に、表示装置10がCPU3から第2のパーシャル画像に関するデータ転送と共に書込領域の確保指令を受けると、領域指定部16aは、メモリー空間12aに対し書き込む領域、ここではB領域を設定する。その際、ウインドウ垂直RAMアドレス及びウインドウ水平RAMアドレスを用いて開始アドレス及び終了アドレスを設定することで、メモリー空間12aへの第2パーシャル画像用書込領域としてB領域を設定する(STEP2−6)。領域指定部16aが書込制御部16dに対し、メモリー空間12aにおける書込先頭アドレスについて水平方向及び垂直方向のRAMアドレスを用いて設定を行うと共に、書込手順の設定を行う(STEP2−7)。そして、書込制御部16dが書込先頭アドレスから書込手順に従って第2のパーシャル画像についてデータ書込みを行う(STEP2−8)。
【0046】
以上により、各表示データが第1及び第2のパーシャル画像としてメモリー空間12aに書き込まれているので、CPU3から表示指令を受けると、表示制御部16cが表示対象領域として設定されている開始ラインアドレス及び終了ラインアドレス間のデータを表示パネル11に対し約60Hz程度で走査することで、表示パネル11に対して第1及び第2のパーシャル画像が出力表示される(STEP2−9)。
【0047】
この表示パネル11の各表示領域に対し第1及び第2のパーシャル画像が表示されている状況下において、第1のパーシャル画像のみを変更する指令がCPU3から送信されたとする。すると、制御部16は、メモリー空間12aに対し新たな第1パーシャル画像に関するデータ書込みを行う。具体的には、領域指定部16aは、メモリー空間12a内でSTEP2−3及びSTEP2−6で設定していない領域、ここではC領域に関し、ウインドウ水平RAMアドレス及びウインドウ垂直RAMアドレスで開始アドレス及び終了アドレスの設定を行う(STEP2−10)。このとき設定されるウインドウの大きさはSTEP2−3で設定したウインドウの大きさと同じである。そして改めて、領域指定部16aは、書込制御部16dに対し書込先頭アドレスについて水平方向及び垂直方向のRAMアドレスを用いて設定を行い、必要に応じて書込手順の設定も行う(STEP2−11)。その後、書込制御部16dは書込先頭アドレスから書込手順に従って新たな第1のパーシャル画像についてデータ書込みを行う(STEP2−12)。
【0048】
このデータ書込みがなされている間は、メモリー空間12aに現に表示パネル11に表示している第1及び第2のパーシャル画像のデータが書き込まれているので、CPU3からの転送タイミング、転送速度に関係なく、表示パネル11に第1及び第2のパーシャル画像を表示させたままとすることができる。
【0049】
切替制御部16bは、STEP2−12の書込みが完了したと判断すると、第1のパーシャル画像に関する表示対象領域を、A領域からC領域に変更する(STEP2−13)。これにより、表示制御部16cはメモリー空間12aにおいて表示対象領域の開始ラインアドレス及び終了ラインアドレス間のデータに基いて、表示パネル11の第1及び第2のパーシャル画像表示領域に表示する。よって、第1のパーシャル画像表示領域に表示される第1パーシャル画像のみを瞬時に変更することができる。
第2のパーシャル画像の表示変更も、第1のパーシャル画像の表示変更と同様に行うことができる。
【0050】
以上説明したように、第2の実施形態では、先ず、表示パネル11に対して第1及び第2のパーシャル画像を表示する領域を設定し、メモリー空間12aに第1及び第2のパーシャル画像に関するデータ書込領域をそれぞれ設定し、各データ書込領域にそれぞれデータを書き込ませて表示させておく。次に、表示パネル11に第1及び第2のパーシャル画像を全て表示させている状況下で、メモリー空間12aの隙間に対し、変更対象となる一方のパーシャル画像に関するデータ書込領域を設定し、この追加したデータ書込領域に対し変更後のパーシャル画像に関するデータ書込みを行い、表示変更前のデータが書き込まれているメモリー空間12aの領域から表示変更後のデータが書き込まれている領域に対し表示対象領域を切り替えることで、一方のパーシャル画像のみ表示変更することができる。よって、メモリー部12におけるメモリー空間12aの隙間を利用することで、表示パネル11の一画面に相当するデータを全て書き換える必要がない。つまり、表示パネル11の1画面分の表示データを全て書き換える必要がなく、必要最小限の書き換えに関するデータのみ外部のCPU3から転送すればよいことになる。よって、CPU3からのデータ転送に要する時間を削減することができ、CPU3に対する負荷を大幅に減らすことができる。
【0051】
以上の第2実施形態は、第1領域及び第2領域を表示パネル11のサイズに対応させず、パーシャル画像表示領域とすることで、表示パネル11の全面を書き換えることはせず、メモリー部12のメモリー空間を部分的に書き換え、表示パネル11の一部のみ書き換えを行うことができる。
【0052】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図1に示す表示システム1において、CPU3から表示装置10内のメモリー部12へのデータ転送が、第1及び第2の実施形態では、各領域、即ち第1領域及び第2領域一括転送であったが、第3実施形態では、任意の領域、例えば第1領域における特定領域にのみデータを書き換える点で異なる。即ち、メモリー部12におけるメモリー空間12aにCPU3から表示データ格納部2に格納されているデータを書き込む際、一旦メモリー空間12aの任意領域、例えば第1領域を書込み、次にその第1領域に対して大部分のデータは同一であるが、第1領域のうち一部のみが異なる場合には、その異なる部分のみデータ転送を行う。具体的には、メモリー空間12a内の例えば第1領域の特定領域を、垂直方向及び水平方向の開始アドレスと終了アドレスとで指定して特定する。これにより、メモリー空間12aの部分的なデータの書き換えを行うことができる。以下、具体的にマルチインフォメーションに適用した場合について説明する。
【0053】
図6は、表示システム1が組み込まれたマルチインフォメーションシステム20を模式的に示すもので、(A)はインストルメントパネルに装着されたマルチインフォメーションシステム20を示す図、(B)及び(C)は(A)の中央に存在する表示部23を示している。図6(A)に示すマルチインフォメーションシステム20では、左側に速度メータ21を備え、右側に回転数を示す回転数メータ22を備え、中央には多数の情報を表示する表示部23を備える。表示メータ21、回転数メータ22及び表示部23は、前述した表示システム1における表示パネル11の表示部分が認識可能に装着されてなる。ここでは、多数の情報を表示する表示部23への表示手法について説明する。
【0054】
図6(B)に示すように、表示部23には、駆動モードとして例えば「4WD」、「LOCK」とが二段表記される表示領域23a、警告発生時にその旨表示する表示領域23b、アクティブスタビリティコントロール(ASC)OFF時に表示する表示領域23c、オドメーターとトリップメーターとが二段表記される表示領域23d、シフトポジションを示す表示領域23e、外気温度を表示する表示領域23f、燃料残量を示す表示領域23g、を有するよう画成されている。
【0055】
この場合、メモリー空間内の領域に対し、図6(B)に対応する表示データが書き込まれている。一例として燃料表示に関するデータの書き換え表示について説明する。いま、燃料センサーから一段階燃料が減った信号を外部のCPU3が受けると、CPU3は燃料表示の残量を一段階下げると判断する。すると、CPU3は表示装置10に対し、燃料表示の残量を一段階下げる表示を行うためメモリー空間内の書換対象となる領域を指定し、その指定した領域のデータを垂直方向及び水平方向の開始アドレスと終了アドレスと共に転送する。この書換指令と共にデータを制御部16が受けると、書込制御部16dは、書換指令に含まれる各種アドレス、即ち垂直方向及び水平方向の開始アドレス、終了アドレスで指定されたメモリー空間内における特定のデータを書き換える。そして、表示制御部16cにより表示部23に対して書換え後のデータに基いて表示出力される。この表示状況を示すのが図6(C)である。
【0056】
第3の実施形態の変形例について説明する。
図7は、表示部23がロードマップを示す表示領域23αとオドメーターとトリップメーターとが二段表記される表示領域23βとに区分けされ、それぞれに対応させてメモリー空間内のA領域12αに表示領域23αで表示可能なロードマップに関するデータが格納され、B領域12βにオドメーター及びトリップメーターに関するデータが格納されている場合を示している。領域指定部16aは、メモリー空間12aのA領域12α内のデータを表示する際、先ずメモリー空間12aで表示開始ラインアドレスLS1と表示終了ラインアドレスLE1との間のデータを表示させ、その後、メモリー空間12aで表示開始ラインアドレスLS2と表示終了ラインアドレスLE2との間のデータを表示させるよう、表示開始ラインと表示終了ラインとを時間単位やCPU3からの指令に基いて変化させることで、あたかも表示領域23αにロードマップがスクロールしているように表示させることもできる。
【0057】
さらに、メモリー空間12aのデータを書き換える場合であっても、メモリー空間12aに対する最初のデータ書込みの場合でも、表示データ格納部2に格納されているデータの順番にメモリー空間に書込みを行わず、表示パネル11への表示イメージに併せてメモリー空間12aに格納することもできる。図8は、メモリー空間12aの任意領域と表示イメージとの関係を示す図である。
図8(A)は表示データ格納部2に格納されているデータを模式的に示したものである。図8(A)の左側に、表示データ格納部2に格納されているデータについて、CPU3により転送されるデータ列としてマトリックスで表している。マトリックスの各升目中の数字はCPU3から転送される順番を示している。右側には、表示データ格納部2に格納されているデータをイメージ的に示している。
図8(B)〜(I)の左側にはCPU3から受信したデータをメモリー空間12aに格納した状態でのデータをマトリックスで表示したものであり、右側には表示パネル11での表示イメージを表している。表示データ格納部2及び表示パネル11への表示イメージは3×4のマトリックスで順番に行列を問わず通し番号を付している。
【0058】
図8(B)は表示データ格納部2に格納されているデータをそのままメモリー空間12aに格納して表示する場合を示している。CPU3は、表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送する。即ち、図8(A)の左側に示すように左上の升目(「1」の番号が付されているデータ)から、その番号順にデータを転送する。すると、書込制御部16dが、メモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最小,垂直最小)から水平方向にインクリーメントさせることで水平方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら垂直方向にインクリーメントさせることで行を改め、再び水平方向に順に書込みすればよい。
【0059】
図8(C)は表示データ格納部2に格納されているデータを右90度回転させて表示させる場合を示している。CPU3が表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送すると、書込制御部16dが、メモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最大,垂直最小)から垂直方向にインクリーメントさせることで垂直方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら水平方向にデクリーメントさせることで列を改め、再び垂直方向に順に書込みしていけばよい。
【0060】
図8(D)は表示データ格納部2に格納されているデータを180度回転させて表示させる場合を示している。CPU3が表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送すると、書込制御部16dが、メモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最大,垂直最大)から水平方向にデクリーメントさせることで水平方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら垂直方向にデクリーメントさせることで行を改め、再び水平方向に順に書込みしていけばよい。
【0061】
図8(E)は表示データ格納部2に格納されているデータを左90度回転させて表示させる場合を示している。CPU3が表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送すると、書込制御部16dがメモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最小,垂直最大)から垂直方向にデクリーメントさせることで垂直方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら水平方向にインクリーメントさせることで列を改め、再び垂直方向に順に書込みしていけばよい。
【0062】
図8(F)は表示データ格納部2に格納されているデータを左右ミラー反転させて表示させる場合を示している。CPU3が表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送すると、書込制御部16dが、メモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最大,垂直最小)から水平方向にデクリーメントさせることで水平方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら垂直方向にインクリーメントさせることで行を改め、再び水平方向に順に書込みしていけばよい。
【0063】
図8(G)は表示データ格納部2に格納されているデータを上下回転させて表示させる場合を示している。CPU3が表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送すると、書込制御部16dが、メモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最小,垂直最大)から水平方向にインクリーメントさせることで水平方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら垂直方向にデクリーメントさせることで行を改め、再び水平方向に順に書込みしていけばよい。
【0064】
図8(H)は表示データ格納部2に格納されているデータを上下ミラー反転させ、かつ右90度回転させて表示させる場合を示している。CPU3が表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送すると、書込制御部16dが、メモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最大,垂直最大)から垂直方向にデクリーメントさせることで垂直方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら、水平方向にデクリーメントさせることで列を改め、再び垂直方向に順に書込みしていけばよい。
【0065】
図8(I)は表示データ格納部2に格納されているデータを上下ミラー反転させ、かつ左90度回転させて表示させる場合を示している。CPU3が表示データ格納部2の該当領域の番号順に読み出してデータを転送すると、書込制御部16dが、メモリー空間12aの書込領域に対し書込先頭アドレス(水平最小,垂直最小)から垂直方向にインクリーメントさせることで垂直方向に順に書き込み、所定のアドレスになったら、水平方向にインクリーメントさせることで列を改め、再び垂直方向に順に書込みしていけばよい。
【0066】
以上の処理により、表示データ格納部2に格納されている同一のデータを用いても、表示される態様を90度若しくは180度回転、上下若しくは左右にミラー反転の何れか又はこれらの組合せとなるよう、書込先頭アドレス、水平方向及び垂直方向にインクリーメント又はデクリーメントの何れかの設定、進行方向の設定を行うことで、表示イメージに対応させてメモリー空間の書込先に対して書込みを行えばよい。その際、書込先のウインドウ設定や先頭アドレスをシフトさせることで、横長か縦長との相違を解消することができる。
【0067】
さらに、表示データ格納部2のデータサイズを間引いてメモリー空間12aに書き込むこともできる。1/2サイズに間引いてメモリー部12に格納する場合、水平方向、垂直方向ともに奇数番又は偶数番のデータを、即ち1つおきのデータをメモリー空間12aに書き込めばよい。1/4サイズに間引いてメモリー部12に格納する場合、水平方向、垂直方向ともに3つおきのデータをメモリー空間12aに書き込めばよい。
【0068】
メモリー空間12aに書き込まれたデータを表示制御部16cで制御する場合を説明する。表示制御部16cは、メモリー空間12aに書き込まれたデータを表示する際、前述の第1実施形態のようにメモリー空間12aが表示パネル11の画素数に対応したメモリーサイズで区分されている場合には、スクロールを有効又は無効にすることで、メモリー空間内の一つの領域内に書き込まれているデータを表示する。第2実施形態のように、メモリー空間内が表示パネル11の画素数よりも小さい領域に仕切られる場合、即ち、パーシャル画像を格納するよう区分されている場合、メモリー空間内における任意の複数箇所から表示パネル11の任意の複数箇所に表示することができる。その際、メモリー空間12aから読出開始アドレス及び読出終了アドレスと表示パネルの表示位置を示すアドレス(以下、「表示位置アドレス」という。)とを定め、パーシャル画像のライン数の合計が表示パネルの表示ライン数、即ち、ゲート数よりも小さい場合には、表示パネル11の下端には白又は黒を表示させるようにすることもできる。
【0069】
具体的に説明すると、表示パネル11において、第1パーシャル画像を表示する領域(第1パーシャル画像表示領域)と、第2パーシャル画像を表示する領域(第2パーシャル画像表示領域)とを、各領域の先頭のラインを表示位置として定める。メモリー空間12aにおいて、第1パーシャル画像表示領域に表示する領域(図4に示すA領域)と第2パーシャル画像表示領域に表示する領域(図4に示すB領域)とを、各領域の開始ラインアドレスと終了アドレスとで定める。そして、表示制御部16cは、第1パーシャル画像表示領域の表示がONの場合、メモリー空間のA領域における開始ラインアドレスと終了アドレスとの間に書き込まれているデータを第1パーシャル画像表示領域に表示させ、第2パーシャル画像表示領域の表示がONの場合、メモリー空間12aのB領域における開始ラインアドレスと終了アドレスとの間に書き込まれているデータを第2パーシャル画像表示領域に表示させる。各領域の表示、非表示は独立に設定可能である。そして、パーシャル表示ではA領域、B領域ぞれぞれの開始ラインと終了ラインとを逐次変更することで、表示パネル11への表示を逐次スクロールさせることができる。更には、表示パネル11の各領域を定める表示位置を逐次変更することで、表示パネルに表示される領域の大きさも変更することができる。
【0070】
以上、本発明について幾つかの実施形態を説明したが、本発明の趣旨を変更しない範囲で任意に変更することもでき、これらも本発明の範囲に含まれる。例えば、図1に示す制御部16、コマンド判定部15をプログラムで実行させても良い。この表示制御プログラムは各種記録媒体に格納されて提供され、表示制御を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態に係る表示システムの概略を示す図である。
【図2】第1の実施形態におけるメモリー空間と表示パネルとの関係を模式的に示す説明図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示方法を示すフロー図である。
【図4】第2の実施形態におけるメモリー空間と表示パネルとの関係を模式的に示す説明図である。
【図5】第2の実施形態に係る表示方法を示すフロー図である。
【図6】表示システムが組み込まれたマルチインフォメーションシステムの模式図で、(A)はインストルメントパネルに装着されたマルチインフォメーションを示す図、(B)及び(C)は(A)の中央に表示されている表示部を示している。
【図7】図6(A)における表示部がロードマップを示す表示領域とオドメーターとトリップメーターとが二段表記される表示領域とに区分けされ、それに対応するメモリー空間には、表示領域より広いロッドマップに関するデータが格納されている場合を示している。
【図8】表示システムのCPUからメモリー部へのデータ転送の様子を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0072】
1:表示システム
2:表示データ格納部
3:CPU
3A,10A:入出力制御部
4:フレキシブル基板
5:ネットワーク
10:表示装置
11:表示パネル
11a:第1のパーシャル画像表示領域
11b:第2のパーシャル画像表示領域
12:メモリー部
12a:メモリー空間(GRAM)
12α:A領域
12β:B領域
13:ゲートドライバー
14:ソースドライバー
15:コマンド判定部
16:制御部
16a:領域指定部
16b:切替制御部
16c:表示制御部
16d:書込制御部
20:マルチインフォメーションシステム
21:速度メータ
22:回転数メータ
23:表示部
23a〜23g、23α、23β:表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画素数を有する表示パネルと、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部と、制御部と、を備え、
上記制御部には、
上記メモリー空間内を複数の領域に分けて指定する領域指定部と、
上記領域指定部により指定された第1領域及び第2領域に対し、一方の領域を非表示対象領域とし、他方の領域を表示対象領域として割当てを行い、所定のタイミングで該割当てを切り替える切替制御部と、
を有することを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記メモリー空間は、前記表示パネルの2画面分以上のデータ量を格納できるサイズを有することを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記切替制御部は、前記メモリー空間のうち複数の領域を表示対象領域として割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを前記表示パネルに繰り返し表示する表示制御部と、前記切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域に対し外部から受信したデータを書き込む書込制御部と、を有し、
上記表示制御部が前記切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを前記表示パネルに繰り返し表示しながら、上記書込制御部が外部から受信したデータを前記切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域内に書き込むことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記切替制御部は、非表示対象領域として割り当てられている領域に対しデータの書込みが終了したと判断すると、該領域を非表示対象領域から表示対象領域に割当てを切り替えて、前記表示制御部による前記表示パネルへの表示を開始させることを特徴とする、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
表示データの転送を行うCPUと、該CPUからの転送を受けて表示パネルに表示する表示装置と、を含み、
上記表示装置は、所定の画素数を有する上記表示パネルと、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部と、上記メモリー空間内を複数の領域に分けて指定する領域指定部と、上記領域指定部により指定された第1領域及び第2領域に対し一方の領域を非表示対象領域とし、他方の領域を表示対象領域として割当てを行い、所定のタイミングで該割当てを切り替える切替制御部とを備えることを特徴とする、表示システム。
【請求項7】
前記表示装置は、前記切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを前記表示パネルに繰り返し表示する一方、前記CPUから転送されたデータを前記切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域内に書き込むことを特徴とする、表示システム。
【請求項8】
表示データの転送を行うCPUと、該CPUからの転送を受けて表示パネルに表示する表示装置と、を含み、
上記表示装置は、所定サイズのメモリー空間を有するメモリー部と、上記メモリー空間を複数の領域に区分けする領域指定部と、該領域指定部により区分けされた領域のうち少なくとも一方の領域を非表示対象領域とし、他方の領域を表示対象領域として割当てを行い、かつ所定のタイミングで該割当てを切り替える切替制御部と、を備え、
上記表示装置が、上記切替制御部により表示対象領域として割り当てられている領域内のデータを上記表示パネルに繰り返し表示する一方、上記CPUから転送されたデータを上記切替制御部により非表示対象領域として割り当てられている領域内に上記CPUからデータと共に送信された書込手順及び書込先アドレスに従い、書き込むことを特徴とする、表示システム。
【請求項9】
複数の領域に分割可能なメモリー部に外部からの転送データを格納して表示パネルに表示する表示方法であって、
上記メモリー空間における第1領域に書き込まれているデータを上記表示パネルに繰り返し表示するステップと、
上記メモリー空間における第1領域に書き込まれているデータを上記表示パネルに繰り返し表示しながら、該メモリー空間における第2領域に転送データを書き込むステップと、
上記第2領域に転送データが所定量書き込まれていることを条件として、上記表示パネルからの出力表示対象を上記第2領域に書き込まれているデータに切り替え、上記第2領域に書き込まれているデータを上記表示パネルへ繰り返し表示するステップと、
を含むことを特徴とする表示方法。
【請求項10】
前記メモリー空間のうち出力表示対象として割り当てられていない領域に対し、指定されたアドレスから指定された手順に従ってデータの書込みがなされることを特徴とする、請求項9に記載の表示方法。
【請求項11】
前記メモリー空間のうち出力表示対象として割り当てられていない領域に対し、外部から転送されるデータの一部を間引いて書込みがなされることを特徴とする、請求項9に記載の表示方法。
【請求項12】
前記メモリー空間のうち出力表示対象に切り替えられた領域内のデータを前記表示パネルに表示するに際し、該領域のうち表示開始位置及び/又は表示終了位置を変更することを特徴とする、請求項9に記載の表示方法。
【請求項13】
外部からの転送データをメモリー空間に格納して表示パネルに表示する表示制御プログラムであって、
上記メモリー空間内における複数の領域のうち、一方の領域にすでに書き込まれているデータを上記表示パネルに繰り返し表示しながら、他方の領域に転送データを書き込ませるステップと、
上記他方の領域に書き込まれているデータを上記表示パネルに繰り返し表示しながら、上記一方の領域に転送データを書き込ませるステップと、
を繰り返し行うことを特徴とする、表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−92782(P2009−92782A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261397(P2007−261397)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】