説明

表示装置およびその光検出方法

【課題】表示部の光検出において、少ない素子数で出力電圧を安定化させることができるようにする。
【解決手段】表示装置の表示部には、映像信号に応じて内部の発光素子により発光する画素回路と、光を検出する受光回路61とが行列状に配置されている。受光回路61において、センサトランジスタTSEは、スイッチ素子として機能するとともに、オフの状態において光の検出量に応じた電流を流す光センサとして機能する。保持容量Cseは、センサトランジスタTSEと接続され、所定の電位を保持する。出力トランジスタTOUTは、センサトランジスタTSEがオフのとき流れるリーク電流によって、予め保持容量Cseに保持された電位が減少する方向に変化して、保持容量Cseが保持する変化後の電位に応じた光検出信号を出力する。本発明は、例えば、映像を表示するとともに、光検出をも行う表示装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその光検出方法に関し、特に、表示部の光検出において、少ない素子数で出力電圧を安定化させることができるようにする表示装置およびその光検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子として有機EL(ELectro Luminescent)素子を画素に用いたアクティブマトリクス方式の表示装置では、各画素回路内部の発光素子に流れる電流が、画素回路内部に設けた能動素子(一般には薄膜トランジスタ:TFT)によって制御される。有機EL素子は電流発光素子のため、有機EL素子に流れる電流量をコントロールすることで発色の階調が得られる。即ち、有機EL素子を有する画素回路では、与えられた信号電位に応じた電流を有機EL素子に流すことで、信号電位に応じた階調の発光が行われる。
【0003】
図1は、発光素子として有機EL素子を用いたアクティブマトリクス方式の表示装置1の一般的な構成例を示すブロック図である。
【0004】
表示装置1は、映像処理部11、映像信号出力回路12、表示部13、および書き込み走査回路14により構成される。映像処理部11は、入力される映像信号に補正処理等の所定の信号変換処理を行い、処理後の映像信号を映像信号出力回路12に出力する。映像信号出力回路12は、映像処理部11から入力される信号電位Vsigの映像信号を書き込み走査回路14の走査に同期して表示部13の各画素回路(図2の画素回路21)に出力する。表示部13は、行列状に配置された、映像表示(発光)のための画素回路を有する。各画素回路は、その内部の有機EL素子によって、供給される信号電位Vsigに応じた発光を行う。書き込み走査回路14は、映像信号出力回路12が出力した信号電位Vsigの映像信号を行列状に配置された画素回路へ線順次に書き込む制御を行う。
【0005】
図2は、図1の表示部13の詳細構成例を示す図である。
【0006】
表示部13には、N×M個(N,Mは相互に独立した2以上の整数値)の画素回路211,1乃至21N,Mが行列状に配置されて構成されている。図2では、紙面の制約上、画素回路211,1乃至21N,Mの一部のみが示されている。なお、以下において、画素回路211,1乃至21N,Mのそれぞれを特に区別する必要がない場合には、単に画素回路21と称する。
【0007】
また、行列状に配置された画素回路21のうちの縦方向に並ぶ画素回路21どうしは、1本の映像信号線DTLで映像信号出力回路12と接続されている。例えば、第1列目の画素回路211,1乃至211,Mは、映像信号線DTL1で映像信号出力回路12と接続されている。従って、表示部13全体と映像信号出力回路12とは、N本の映像信号線DTL1乃至DTLNで接続されている。
【0008】
さらに、行列状に配置された画素回路21のうちの横方向に並ぶ画素回路21どうしは、1本の書き込み走査線WSLで書き込み走査回路14と接続されている。例えば、第1行目の画素回路211,1乃至21N,1は、書き込み走査線WSL1で書き込み走査回路14と接続されている。従って、表示部13全体と書き込み走査回路14とは、M本の書き込み走査線WSL1乃至WSLMで接続されている。
【0009】
図3は、画素回路21の詳細構成例を示す図である。
【0010】
画素回路21は、nチャネルTFTによるサンプリングトランジスタTWS、保持容量C1、pチャネルTFTによる駆動トランジスタTDRV、および有機EL素子ELPを有する。
【0011】
映像信号線DTLは、サンプリングトランジスタTWSのドレインと接続され、書き込み走査線WSLは、サンプリングトランジスタTWSのゲートと接続されている。
【0012】
駆動トランジスタTDRV及び有機EL素子ELPは、電源Vccと、接地電位であるカソード電位Vcatの間に接続されている。サンプリングトランジスタTWS及び保持容量C1は、駆動トランジスタTDRVのゲートと接続されている。
【0013】
次に、図4の駆動タイミングチャートも併せて参照しつつ、画素回路21の動作について簡単に説明する。
【0014】
画素回路21では、1フィールド期間(1F)のうちの、自分への信号電位Vsigが映像信号線DTLに供給されている1H期間に、書き込み走査回路14によって、書き込み走査線WSLの電位が高電位VWS_Hとされる。例えば、図4に示す例では、時刻t1から時刻t4までの1H期間のうち、時刻t2から時刻t3までの間、書き込み走査線WSLの電位が高電位VWS_Hとされている。これにより、サンプリングトランジスタTWSが導通して信号電位Vsigが保持容量C1に書き込まれる。また、保持容量C1に書き込まれた信号電位Vsigが駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vgとなる。
【0015】
時刻t3において、書き込み走査回路14が書き込み走査線WSLの電位を低電位VWS_Lとすると、映像信号線DTLと駆動トランジスタTDRVとは電気的に切り離されるが、駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vgは保持容量C1によって安定に保持される。このとき、駆動電流Idsが、駆動トランジスタTDRV及び有機EL素子ELPに流れる。この電流Idsは、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgsに応じた値となり、有機EL素子ELPは、その電流値Idsに応じた輝度で発光する。つまり、画素回路21は、保持容量C1に映像信号線DTLからの信号電位Vsigを書き込むことによって駆動トランジスタTDRVのゲート印加電圧を変化させ、これにより有機EL素子ELPに流れる電流値Idsをコントロールして発色の階調を得る。
【0016】
pチャネルTFTによる駆動トランジスタTDRVのソースは電源Vccに接続されており、常に飽和領域で動作するように設計されているので、駆動トランジスタTDRVは次式(1)に示した値を持つ定電流源となる。
【数1】

式(1)において、Idsは飽和領域で動作する駆動トランジスタTDRVのドレイン・ソース間に流れる電流、μは駆動トランジスタTDRVの移動度を表す。また、Wは駆動トランジスタTDRVのチャネル幅、Lは駆動トランジスタTDRVのチャネル長、Coxは駆動トランジスタTDRVのゲート容量、Vthは駆動トランジスタTDRVの閾値電圧を表している。また、Vgsは、駆動トランジスタTDRVのゲートとソース間の電圧(ゲートソース間電圧)であり、Vthは、駆動トランジスタTDRVの閾値電圧である。なお、飽和領域とは、(Vgs−Vth<Vds)の条件を満たした状態をいう(Vdsは、駆動トランジスタTDRVのソースとドレイン間の電圧)。
【0017】
この式(1)から明らかなように、飽和領域では駆動トランジスタTDRVのドレイン電流Idsはゲートソース間電圧Vgsによって制御される。駆動トランジスタTDRVは、ゲートソース間電圧Vgsが一定に保持される為、定電流源として動作し、有機EL素子ELPを一定の輝度で発光させることができる。
【0018】
しかし、駆動トランジスタTDRVのトランジスタ特性にばらつきがある場合、すなわち、駆動トランジスタTDRVの移動度μや閾値電圧Vthにばらつきがある場合、有機EL素子ELPに流す電流もばらついてしまい、表示の均一性が悪化してしまう。また、発光時間が長くなると、駆動トランジスタTDRVや有機EL素子ELPが経時的に劣化し、発光時間の短い画素と発光輝度に差が生じる焼き付きが発生する。
【0019】
そこで、発光輝度が画面全体で均一となるような補正や経時劣化による輝度変化を補正する技術も提案されている。例えば、特許文献1乃至3で開示されている技術では、図5に示されるように、トランジスタが光を受光するとリーク電流が増加する特性を利用して、表示装置に光センサを組み込み、画素の発光輝度を直接測定し、補正する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特表2008−505366号公報
【特許文献2】特開2007−11233号公報
【特許文献3】特開2006−30317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、特許文献1で提案されている技術では、センサの検出電圧をそのまま出力線に接続するため、ノイズやカップリングなどの外部要因に弱く、出力電圧が変動しやすいという問題がある。また、特許文献2および3で提案されている技術では、センサ部のトランジスタ数多いため、歩留りが悪化しやすいという問題がある。
【0022】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、表示部の光検出において、少ない素子数で出力電圧を安定化させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一側面の表示装置は、映像信号に応じて内部の発光素子により発光する画素回路と、光を検出する受光回路を行列状に複数配置した表示手段を備え、前記受光回路は、スイッチ素子として機能するとともに、オフの状態において前記光の検出量に応じた電流を流す光センサとして機能するセンサトランジスタと、前記センサトランジスタと接続され、所定の電位を保持する保持容量と、前記センサトランジスタがオフのとき流れる電流によって、予め前記保持容量に保持された電位が減少する方向に変化して、前記保持容量が保持する変化後の電位に応じた光検出信号を出力する出力トランジスタとを備える。
【0024】
本発明の一側面の表示装置の光検出方法は、映像信号に応じて内部の発光素子により発光する画素回路と、光を検出する受光回路とを行列状に複数配置した表示手段を備える表示装置の前記受光回路が、スイッチ素子として機能するとともに、オフの状態において前記光の検出量に応じた電流を流す光センサとして機能するセンサトランジスタと、前記センサトランジスタと接続される保持容量と、前記保持容量と接続される出力トランジスタとを備え、前記保持容量が、前記センサトランジスタがオンのとき流れる電流により所定の電位を保持し、前記出力トランジスタが、前記センサトランジスタがオフのとき流れる電流によって、前記保持容量に保持された電位が減少する方向に変化して、前記保持容量が保持する変化後の電位に応じた光検出信号を出力する。
【0025】
本発明の一側面においては、保持容量において、センサトランジスタがオンのとき流れる電流により所定の電位が保持され、出力トランジスタにおいて、センサトランジスタがオフのとき流れる電流によって、保持容量に保持された電位が減少する方向に変化して、保持容量が保持する変化後の電位に応じた光検出信号が出力される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一側面によれば、表示部の光検出において、少ない素子数で出力電圧を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の表示装置の一般的な構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の表示部の詳細構成例を示す図である。
【図3】図2の画素回路の詳細構成例を示す図である。
【図4】画素回路の動作を説明する駆動タイミングチャートである。
【図5】トランジスタの受光特性を示す図である。
【図6】本発明の基本となる表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6の表示装置の表示部の詳細構成例を示す図である。
【図8】図7の受光回路とセンサ出力検出回路の詳細構成例を示す図である。
【図9】受光回路およびセンサ出力検出回路の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【図10】b点初期化処理中の受光回路およびセンサ出力検出回路の状態を示す図である。
【図11】光検出処理中の受光回路およびセンサ出力検出回路の状態を示す図である。
【図12】ab点初期化処理中の受光回路およびセンサ出力検出回路の状態を示す図である。
【図13】本発明を適用した表示装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図14】図13の表示装置の表示部の詳細構成例を示す図である。
【図15】受光回路およびセンサ出力検出回路の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【図16】b点初期化処理中の受光回路およびセンサ出力検出回路の状態を示す図である。
【図17】光検出処理中の受光回路およびセンサ出力検出回路の状態を示す図である。
【図18】ab点初期化処理中の受光回路およびセンサ出力検出回路の状態を示す図である。
【図19】本発明を適用した表示装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図20】モード切替処理を説明するフローチャートである。
【図21】本発明を適用した表示装置の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図22】図21の画素回路の構成を説明する図である。
【図23】図21の画素回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図24】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図25】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図26】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図27】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図28】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図29】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図30】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図31】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図32】図21の画素回路の動作について詳細に説明する図である。
【図33】受光回路およびセンサ出力検出回路の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【図34】本発明を適用した表示装置の第3の実施の形態のその他の例を示すブロック図である。
【図35】受光回路およびセンサ出力検出回路の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の実施の形態の基本となる表示装置の実施の形態
2.本発明の第1の実施の形態(マイナスリークによる実施の形態)
3.本発明の第2の実施の形態(マイナスリークとプラスリークを切り替える実施の形態)
4.本発明の第3の実施の形態(電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線と共通化させた実施の形態)
5.本発明の第3の実施の形態のその他の例(電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する制御線と共通化させたその他の実施の形態)
【0029】
<1.本発明の基本となる実施の形態>
[本発明の基本となる表示装置の形態]
最初に、本発明の理解を容易にし、且つ、背景を明らかにするため、本発明の基本となる表示装置の構成と動作について図6乃至図12を参照して説明する。
【0030】
図6は、本発明の基本となる表示装置の構成例を示すブロック図である。
【0031】
図6の表示装置50は、一般に有機ELディスプレイと呼ばれる、発光素子として有機EL素子を各画素回路内部に有するアクティブマトリクス方式の表示装置である。ただし、表示装置50は、映像の表示のみならず、光検出もすることができる点で図1の表示装置1と異なる。
【0032】
表示装置50は、映像処理部51、映像信号出力回路52、表示部53、書き込み走査回路54、センサ走査回路55、センサ出力検出回路56、および比較部57により構成される。
【0033】
映像処理部51は、入力される映像信号に補正処理等の所定の信号変換処理を行い、処理後の映像信号を映像信号出力回路52に出力する。例えば、映像処理部51は、比較部57から供給される各画素の補正量に基づいて、各画素の発光輝度の均一化および経時劣化を補正する補正変換処理を行う。
【0034】
映像信号出力回路52は、映像処理部51から入力される信号電位Vsigの映像信号を、書き込み走査回路54の走査に同期して表示部53の各画素回路に出力する。表示部53は、行列状に配置された、映像表示(発光)のための画素回路(図7の画素回路21)と、光検出のための受光回路(図7の受光回路61)を有する。書き込み走査回路54は、映像信号出力回路52が出力した信号電位Vsigの映像信号を、行列状に配置された画素回路へ線順次に書き込む制御を行う。
【0035】
センサ走査回路55は、表示部53内の各受光回路に受光させ、受光量に応じた光検出信号をセンサ出力検出回路56に線順次に出力させる制御を行う。
【0036】
センサ出力検出回路56は、表示部53内の各受光回路から供給される光検出信号に基づいて各画素の輝度値を測定し、比較部57に出力する。比較部57は、センサ出力検出回路56から供給される各画素の輝度値を、初期状態時に取得しておいた各画素の輝度値と比較して、輝度値の補正量を演算し、映像処理部51に供給する。また、比較部57は、センサ出力検出回路56から供給される各画素の輝度値から、各画素の発光輝度が画面全体で均一となるように各画素の補正量を演算し、映像処理部51に供給する。
【0037】
[表示部53の詳細構成例]
図7は、図6の表示装置50の表示部53の詳細構成例を示している。なお、図7において、図2を参照して説明した表示装置1の表示部13と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0038】
表示部53では、図2の表示部13と同様、画素回路211,1乃至21N,Mが行列状に配置されている。表示部53では、さらに、画素回路21と1対1に対応するように、受光回路611,1乃至61N,Mが行列状に配置されている。なお、以下において、受光回路611,1乃至61N,Mを特に区別する必要がない場合には、単に受光回路61と称する。
【0039】
行列状に配置された受光回路61のうちの横方向に並ぶ受光回路61どうしは、センサ走査回路55と、1本の電源走査線DSS、初期化走査線AZ、および読み出し走査線RSLで接続されている。例えば、第1行目の受光回路611,1乃至61N,1は、電源走査線DSS1、初期化走査線AZ1、および読み出し走査線RSL1でセンサ走査回路55と接続されている。従って、表示部53全体とセンサ走査回路55とは、M本の電源走査線DSS1乃至DSSM、初期化走査線AZ1乃至AZM、および読み出し走査線RSL1乃至RSLMで接続されている。
【0040】
さらに、行列状に配置された受光回路61のうちの縦方向に並ぶ受光回路61どうしは、1本のセンサ出力線SOLでセンサ出力検出回路56と接続されている。例えば、第1列目の受光回路611,1乃至611,Mは、センサ出力線SOL1でセンサ出力検出回路56と接続されている。従って、表示部53全体とセンサ出力検出回路56とは、N本のセンサ出力線SOL1乃至SOLNで接続されている。受光回路61は、センサ出力線SOLを介して、受光量に応じた光検出信号を出力する。
【0041】
[受光回路61とセンサ出力検出回路56の詳細構成例]
図8は、受光回路61とセンサ出力検出回路56の詳細構成例を示している。なお、センサ出力検出回路56については、1本のセンサ出力線SOLに対応する部分のみが示されている。
【0042】
受光回路61は、センサトランジスタTSE、保持容量Cse、nチャネルTFTによる出力トランジスタTOUT、および読み出しトランジスタTRSにより構成されている。
【0043】
センサトランジスタTSEは、電源走査線DSSと出力トランジスタTOUTのゲートの間に接続されている。また、センサトランジスタTSEのゲートは、初期化走査線AZと接続されている。
【0044】
センサトランジスタTSEは、初期化走査線AZを介してセンサ走査回路55から供給される電位VAZ_HまたはVAZ_Lに応じてオンまたはオフとされるスイッチ素子として機能する。そして、センサトランジスタTSEがオンのとき、出力トランジスタTOUTのゲートに電源走査線DSSの電位VDSS_HまたはVDSS_Lが入力される。
【0045】
また、センサトランジスタTSEは、オフにおいて光センサとして機能する。即ち、センサトランジスタTSEがオフのとき、受光量に応じたリーク電流が出力トランジスタTOUTのゲートに流れる。センサトランジスタTSEは、図5に示したように、オフにおいては、受光量に応じてリーク電流が増減する特性を有する。すなわち、受光量が多ければリーク電流の増加量は大きく、少なければリーク電流の増加量は小さくなる。
【0046】
保持容量Cseは、接地電位(カソード電位VCAT)と出力トランジスタTOUTのゲートの間に接続されている。保持容量Cseは、出力トランジスタTOUTのゲート電圧を保持するために設けられる。
【0047】
以下では、センサトランジスタTSEのソース、保持容量Cse、および出力トランジスタTOUTのゲートの接続点を、適宜、a点という。
【0048】
出力トランジスタTOUTのドレインは、電源走査線DSSに接続されている。出力トランジスタTOUTのソースは、読み出しトランジスタTRSと接続されている。
【0049】
読み出しトランジスタTRSは、出力トランジスタTOUTのソースとセンサ出力線SOLの間に接続されている。また、読み出しトランジスタTRSのゲートは、読み出し走査線RSLに接続されている。読み出しトランジスタTRSは、読み出し走査線RSLを介してセンサ走査回路55から供給される電位VRSL_HまたはVRSL_Lに応じてオンまたはオフとされるスイッチ素子として機能する。読み出しトランジスタTRSがオンのとき、出力トランジスタTOUTを流れる電流がセンサ出力線SOLに出力される。
【0050】
一方、センサ出力検出回路56は、リセットトランジスタTrst、リセット電位Vrstの固定電源VRST、保持容量Cout、および電圧検出部56aより構成される。
【0051】
リセットトランジスタTrstは、固定電源VRSTとセンサ出力線SOLの間に接続されている。センサ出力線SOLと接続されているリセットトランジスタTrstのソースは、保持容量Coutおよび電圧検出部56aとも接続されている。リセットトランジスタTrstのゲートは、リセット走査線RSTに接続されている。
【0052】
リセットトランジスタTrstは、リセット走査線RSTを介して供給される電位VRST_HまたはVRST_Lに応じてオンまたはオフとされるスイッチ素子として機能する。リセット走査線RSTの電位VRST_HまたはVRST_Lは、センサ走査回路55によって制御される。
【0053】
電圧検出部56aは、リセットトランジスタTrstのソース、センサ出力線SOL、および保持容量Coutの接続点であるb点の電位Vbを、出力電圧Voutとして検出する。そして、電圧検出部56aは、検出された出力電圧Voutを、輝度値を表す信号として比較部57に出力する。
【0054】
保持容量Coutは、接地電位(カソード電位VCAT)とセンサ出力線SOLの間に接続されている。保持容量Coutは、出力電圧Voutを保持するために設けられる。
【0055】
[光検出動作の説明]
次に、図9乃至図12を参照して、受光回路61およびセンサ出力検出回路56による光検出動作について説明する。
【0056】
図9は、受光回路61およびセンサ出力検出回路56の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【0057】
図9は、電源走査線DSS、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTの電位の変化、並びに、a点の電位Vaおよびb点の電位Vb(出力電圧Vout)の変化を示している。
【0058】
なお、図9において、時刻t11から時刻t21までの1Cycle時間は、表示部53のM行の受光回路61を行単位にそれぞれ1回走査する時間(1F時間)に相当する。光検出動作では、その1Cycle時間に、所定の1行の受光回路61の受光量が取得される。そして、1Cycle時間ごとに、受光量を取得する受光回路61の行を、例えば線順次に変更することで、表示部53全体の受光量を取得する。
【0059】
図9の時刻t11における状態は、電源走査線DSS、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTのすべての電位が低電位とされている初期状態である。
【0060】
光検出動作では、最初に、b点の電位Vbを初期化するb点初期化処理が実行される。具体的には、時刻t12において、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTの電位が、センサ走査回路55によって高電位に設定される。これにより、センサトランジスタTSE、読み出しトランジスタTRS、およびリセットトランジスタTrstが、いずれもオンとなり、その結果、b点(出力電圧Vout)の電位がリセット電位Vrstに初期化される。
【0061】
図10は、b点初期化処理中の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の状態を示している。
【0062】
電源走査線DSSの電位が低電位VDSS_Lとされているので、センサトランジスタTSEがオンすることで、a点の電位VaがVDSS_Lとなる。また、読み出しトランジスタTRSおよびリセットトランジスタTrstがオンされることで、b点の電位Vbがリセット電位Vrstとなる。このb点初期化処理によって、前の状態にかかわらず、b点の電位Vbが一定の電位(リセット電位Vrst)に初期化される。
【0063】
b点初期化処理の終了後、時刻13において、初期化走査線AZとリセット走査線RSTの電位が低電位に戻され、センサトランジスタTSEおよびリセットトランジスタTrstがオフされる。
【0064】
次に、時刻14から時刻15までの間、電源走査線DSSの電位が高電位VDSS_Hに設定され、光を検出する光検出処理が実行される。
【0065】
図11は、光検出処理中の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の状態を示している。
【0066】
センサトランジスタTSEがオフとなり、受光量に応じたリーク電流がa点へと流れる。ここで、センサトランジスタTSEにリーク電流が流れたときの電位の変化量△Vは、リーク電流i、保持容量Cseと出力トランジスタTOUTのゲート容量の2つの容量C、および時間tにより、次式(2)で表すことができる。
【0067】
【数2】

【0068】
そして、a点の電位Vaは、受光量に応じた電位の変化量△Vを用いて、(VDSS_L+△V)と表すことができる。リセットトランジスタTrstはオフとなっているので、a点の電位Vaの上昇に従い、出力トランジスタTOUTからb点へ電流が流れると、b点の電位Vbが上昇する。出力トランジスタTOUTの閾値電圧をVthOUTと表すと、b点の電位Vbは、(VDSS_L+△V)−VthOUTとなる。この受光量に応じた電位の変化量△Vは、上述したように、受光量が多いほど大きくなる。
【0069】
電圧検出部56aは、電源走査線DSSの電位が高電位VDSS_Hに設定されている時刻14から時刻15までの間の所定のタイミングで、出力電圧Voutとしてのb点の電位Vbを検出する。
【0070】
受光量の検出期間は、時刻15において、電源走査線DSSの電位が低電位VDSS_Lに設定され、かつ、読み出し走査線RSLの電位が低電位VRSL_Lに設定されることで終了する。
【0071】
時刻15以降の時刻16から時刻17の期間では、次の検出までに他の動作に影響を及ぼさないように、a点の電位Vaおよびb点の電位Vbを初期化するab点初期化処理が実行される。具体的には、時刻16から時刻17の間、初期化走査線AZおよびリセット走査線RSTの電位が高電位に設定される。
【0072】
図12は、ab点初期化処理中の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の状態を示している。
【0073】
初期化走査線AZが高電位VAZ_Hに変化し、センサトランジスタTSEがオンすることで、a点の電位Vaは、電源走査線DSSの電位と同一の電位VDSS_Lとなる。また、リセット走査線RSTの電位が高電位VRST_Hに変化し、リセットトランジスタTrstがオンすることで、b点の電位Vbがリセット電位Vrstとなる。このab点初期化処理によって、センサ出力検出回路56の、次の行の受光回路61に備えた初期化が完了する。
【0074】
受光回路61およびセンサ出力検出回路56による光検出動作は以上のように行われる。比較部57は、センサ出力検出回路56から出力電圧Voutとして供給される各画素の輝度値を相互に比較する。これにより、発光輝度の均一性を向上させることができる。また、比較部57は、出力電圧Voutとして供給される各画素の輝度値を、初期状態時に取得しておいた輝度値と比較する。これにより、経時劣化を補正することができる。
【0075】
なお、補正処理は、通常映像表示終了後、通常映像表示実行中、通常映像表示開始前など、予め決定した所定のタイミングで実行することができる。ここで、「通常映像表示」とは、表示装置50に供給された映像信号に基づく信号電位Vsigを各画素回路21に与えて、通常の動画や静止画としての映像表示を行っている状態を言う。
【0076】
また、表示装置50では、センサトランジスタTSEを設けたこと、及びセンサ出力検出回路56を表示部53の外部に配置することで、受光回路61を、3つのトランジスタと保持容量Cseによって構成することができる。従って、表示装置50では、少ない素子数で出力電圧を安定化させた光検出が可能である。
【0077】
なお、表示装置50の光検出機能は、表示装置50の外部からの光を検出することもできるため、上述したような各画素の発光輝度の補正機能以外の機能にも利用することができる。例えば、スキャナーのように画像を取り込む機能、タッチパネルやポインタセンサなどとしての機能の一部に利用することができる。
【0078】
図6乃至図12を参照して説明した表示装置50において、配線数を削減するため、受光回路61と接続される電源走査線DSSを、画素回路21において発光期間を制御する電源走査線と共通化させることが考えられる。
【0079】
電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線と共通化させる場合、動画特性の改善などのため、画素の発光期間を短くしたとき、受光量を検出する検出期間(図9)も短くなってしまう。即ち、画素の発光期間を短くすると、電源走査線の電位を高電位に設定する期間も短くなるので、それと共通化されている電源走査線DSSの電位が高電位VDSS_Hに設定される期間も短くなってしまう。
【0080】
受光量の検出はリーク電流による電位の変化量を検出するため、検出期間は、ある程度、十分な期間の長さが必要である。従って、電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線と共通化させる場合には、受光量の検出期間が短くなってしまうことが問題となる。
【0081】
<2.本発明の第1の実施の形態>
[本発明を適用した表示装置の第1の実施の形態の構成例]
そこで、電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線と共通化させ、画素の発光期間を短くした場合であっても、受光量の検出期間を十分に確保することができることを目的とする表示装置100の構成例を示している。即ち、図13は、本発明を適用した表示装置の第1の実施の形態を示している。
【0082】
なお、図13において、図6に示した表示装置50と対応する部分については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。図14以降の図についても同様である。
【0083】
図13の表示装置100は、センサ走査回路101が異なる点以外は、図6の表示装置50と同様に構成されている。
【0084】
[表示部53の詳細構成例]
図14は、図13の表示部53の詳細構成例を示している。
【0085】
センサ走査回路101は、図7のセンサ走査回路55と同様に、M本の電源走査線DSS1乃至DSSM、初期化走査線AZ1乃至AZM、および読み出し走査線RSL1乃至RSLMで、表示部53全体と接続されている。
【0086】
センサ走査回路101は、センサ走査回路55と同様、表示部53内の各受光回路111に受光させ、受光量に応じた光検出信号をセンサ出力検出回路56に線順次に出力させる制御を行う。
【0087】
基本となる表示装置50のセンサ走査回路55は、上述したように、電源走査線DSSの電位を高電位VDSS_Hに設定している期間が検出期間となるように、電源走査線DSS、初期化走査線AZ、および読み出し走査線RSLの電位を制御した。これに対して、表示装置100のセンサ走査回路101は、電源走査線DSSの電位を低電位VDSS_Lに設定している期間が検出期間となるように、電源走査線DSS、初期化走査線AZ、および読み出し走査線RSLの電位を制御する。
【0088】
換言すれば、表示装置100では、表示部53とセンサ走査回路101との接続方法、および、表示部53内の画素回路21および受光回路61の内部構成は、図8に示した表示装置50のものと同一である。そして、表示装置100と表示装置50とでは、電源走査線DSSの電位の制御方法のみが異なる。
【0089】
[光検出動作の説明]
そこで、図15乃至図18を参照して、表示装置100による光検出動作について説明する。
【0090】
図15は、表示装置100の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【0091】
図15は、上述した図9と同様、電源走査線DSS、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTの電位の変化、並びに、a点の電位Vaおよびb点の電位Vb(出力電圧Vout)の変化を示している。
【0092】
なお、図15の時刻t31から時刻t41までの1Cycle時間は、図9の時刻t11から時刻t21までの1Cycle時間に対応する。
【0093】
時刻t31から時刻t32までは、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTそれぞれの電位が低電位とされ、電源走査線DSSの電位が高電位に設定されている初期状態である。
【0094】
時刻t32から時刻t33において、b点の電位Vbを初期化するb点初期化処理が実行される。具体的には、時刻t32において、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTの電位が、センサ走査回路101によって高電位に設定される。これにより、センサトランジスタTSE、読み出しトランジスタTRS、およびリセットトランジスタTrstが、いずれもオンとなり、その結果、b点(出力電圧Vout)の電位がリセット電位Vrstに初期化される。
【0095】
図16は、b点初期化処理中の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の状態を示している。
【0096】
電源走査線DSSの電位が高電位VDSS_Hとされているので、センサトランジスタTSEがオンすることで、a点の電位VaがVDSS_Hとなる。また、読み出しトランジスタTRSおよびリセットトランジスタTrstがオンされることで、b点の電位Vbがリセット電位Vrstとなる。このb点初期化処理によって、前の状態にかかわらず、b点の電位Vbが一定の電位(リセット電位Vrst)に初期化される。
【0097】
b点初期化処理の終了後、時刻33において、初期化走査線AZとリセット走査線RSTの電位が低電位に戻され、センサトランジスタTSEおよびリセットトランジスタTrstがオフされる。
【0098】
次に、時刻34から時刻35までの間、電源走査線DSSの電位が低電位VDSS_Lに設定され、光を検出する光検出処理が実行される。
【0099】
図17は、光検出処理中の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の状態を示している。
【0100】
センサトランジスタTSEがオフとなり、受光量に応じたリーク電流が電源走査線DSSへと流れる。そして、受光量に応じたリーク電流が流れることにより、a点の電位Vaは、それまでの電位VDSS_Hから、式(2)の変化量△Vだけ減少することになる。即ち、a点の電位Vaは、リーク電流が流れることにより(VDSS_H−△V)となる。
【0101】
リーク電流が流れない場合、a点の電位Va=VDSS_Hに応じて、出力トランジスタTOUTからb点へ電流が流れ、b点の電位Vbも、図15において実線で示されるように上昇する。
【0102】
しかしながら、図15において点線で示されるように、a点の電位Vaは、リーク電流が流れることにより変化量△Vだけ減少するので、b点の電位Vbの上昇も、リーク電流の大きさに応じて緩やかになる。ここで、出力トランジスタTOUTの閾値電圧をVthOUTと表すと、b点の電位Vbは、(VDSS_H−△V)−VthOUTと表される。
【0103】
電圧検出部56aは、電源走査線DSSの電位が低電位VDSS_Lに設定されている時刻34から時刻35までの間の所定のタイミングで、出力電圧Voutとしてのb点の電位Vbを検出する。
【0104】
検出期間は、時刻35において、電源走査線DSSの電位が高電位VDSS_Hに設定され、かつ、読み出し走査線RSLの電位が低電位VRSL_Lに設定されることで終了する。
【0105】
時刻35以降の時刻36から時刻37の期間では、次の検出までに他の動作に影響を及ぼさないように、a点の電位Vaおよびb点の電位Vbを初期化するab点初期化処理が実行される。具体的には、時刻36から時刻37の間、初期化走査線AZおよびリセット走査線RSTの電位が高電位に設定される。
【0106】
図18は、ab点初期化処理中の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の状態を示している。
【0107】
初期化走査線AZが高電位VAZ_Hに変化し、センサトランジスタTSEがオンすることで、a点の電位Vaは、電源走査線DSSの電位と同一の電位VDSS_Hに戻る。また、リセット走査線RSTの電位が高電位VRST_Hに変化し、リセットトランジスタTrstがオンすることで、b点の電位Vbがリセット電位Vrstとなる。このab点初期化処理によって、センサ出力検出回路56の、次の行の受光回路61に備えた初期化が完了する。
【0108】
表示装置100の光検出動作は以上のように行われる。比較部57は、センサ出力検出回路56から出力電圧Voutとして供給される各画素の輝度値を相互に比較する。これにより、発光輝度の均一性を向上させることができる。また、比較部57は、出力電圧Voutとして供給される各画素の輝度値を、初期状態時に取得しておいた輝度値と比較する。これにより、経時劣化を補正することができる。
【0109】
表示装置100では、電源走査線DSSの電位が低電位VDSS_Lに設定されている期間にリーク電流による電位の変化量を検出する。そのため、電源走査線の電位を高電位に設定する期間が短くなった場合でも、受光量の検出期間を十分に確保することができる。
【0110】
従って、電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線と共通化させ、画素の発光期間を短くした場合であっても、受光量の検出期間を十分に確保することができる。
【0111】
本発明の基本となる表示装置50による光検出処理は、リーク電流による電位の変化量△Vを、検出前の電位に加算するものであることから、プラスリークモードと呼ぶことにする。これに対して、本発明の第1の実施の形態である表示装置100による光検出処理は、リーク電流による電位の変化量△Vを、検出前の電位から減算するものであることから、マイナスリークモードと呼ぶことができる。
【0112】
プラスリークモードでは、センサトランジスタTSEがオンのときに電源走査線DSSの電位が低電位VDSS_Lに設定され、センサトランジスタTSEがオフのときに電源走査線DSSの電位が高電位VDSS_Hとされる。逆に、マイナスリークモードでは、センサトランジスタTSEがオフのときに電源走査線DSSの電位が低電位VDSS_Lに設定され、センサトランジスタTSEがオンのときに電源走査線DSSの電位が高電位VDSS_Hとされる。
【0113】
<3.本発明の第2の実施の形態>
次に、本発明を適用した表示装置の第2の実施の形態について説明する。
【0114】
上述した基本となる表示装置50のプラスリークモードによる光検出処理では、画素の発光期間を短くした場合に受光量の検出期間が短くなることが問題となる。逆に、表示装置100のマイナスリークモードによる光検出処理では、画素の発光期間が長い場合に受光量の検出期間が短くなることが問題となる。
【0115】
そこで、本発明を適用した表示装置の第2の実施の形態では、画素の発光期間に応じて、プラスリークモードとマイナスリークモードの光検出処理を切り替える構成が採用される。
【0116】
[本発明を適用した表示装置の第2の実施の形態の構成例]
図19は、本発明を適用した表示装置の第2の実施の形態の構成例を示している。
【0117】
図19の表示装置200は、映像処理部51、映像信号出力回路52、書き込み走査回路54、センサ出力検出回路56、表示部53、センサ動作設定部201、センサ走査回路202、および比較部203により構成される。
【0118】
即ち、図19の表示装置200では、図13に示した表示装置100と比較すると、センサ走査回路101と比較部57に代えてセンサ走査回路202および比較部203が設けられ、さらに、センサ動作設定部201が追加されている。
【0119】
センサ動作設定部201は、表示装置200の図示せぬ制御部または操作設定部などから、画素の発光期間を示す発光期間情報が供給される。例えば、1フィールド期間(1F)における発光期間の比であるDuty比が、発光期間情報としてセンサ動作設定部201に供給される。センサ動作設定部201は、供給される発光期間情報を取得し、Duty比が50%以上である場合には、モード1としてのプラスリークモードで動作するようにセンサ走査回路202を制御する。一方、Duty比が50%未満である場合には、センサ動作設定部201は、モード2としてのマイナスリークモードで動作するようにセンサ走査回路202を制御する。具体的には、センサ動作設定部201は、Duty比が50%以上であるか否かにより、モード1またはモード2を表すモード切替信号を、センサ走査回路202および比較部203に供給する。
【0120】
また、プラスリークモードか、または、マイナスリークモードかにより、センサ出力検出回路56から供給される出力電圧Voutの大きさが変わるため、補正処理等を行う比較部203に対しても、現在のモードを表す信号としてモード切替信号が供給される。
【0121】
センサ走査回路202は、センサ動作設定部201からのモード切替信号に応じて、電源走査線DSSの電位の制御を切り替える。具体的には、モード1(プラスリークモード)を表すモード切替信号が供給された場合、センサ走査回路202は、光検出処理がプラスリークモードとなるように電源走査線DSSの電位を制御する。即ち、センサ走査回路202は、図9乃至図12を参照して説明した制御を実行する。
【0122】
一方、モード2(マイナスリークモード)を表すモード切替信号が供給された場合、センサ走査回路202は、光検出処理がマイナスリークモードとなるように電源走査線DSSの電位を制御する。即ち、センサ走査回路202は、図15乃至図18を参照して説明した制御を実行する。
【0123】
比較部203は、モード切替信号により現在のモードを認識し、初期状態の各画素の輝度値と比較した補正量を演算する経時劣化補正処理や、各画素の発光輝度を画面全体で均一となるよう補正量を演算する均一補正処理を実行する。なお、経時劣化補正処理は、モード1かまたはモード2のいずれか一方のモードにおいてのみ行うようにしてもよい。
【0124】
[光検出モード切替処理]
図20は、表示装置200によるモード切替処理のフローチャートを示している。この処理は、例えば、表示装置200の図示せぬ制御部などから、発光期間情報が供給されたとき開始される。
【0125】
ステップS1において、センサ動作設定部201は、制御部などから供給された発光期間情報を取得する。
【0126】
ステップS2において、センサ動作設定部201は、供給された発光期間情報に基づいて、Duty比が50%以上であるかを判定する。ステップS2で、Duty比が50%以上であると判定された場合、処理はステップS3に進み、センサ動作設定部201は、モード1(プラスリークモード)を表すモード切替信号を、センサ走査回路202および比較部203に供給する。
【0127】
モード1を表すモード切替信号が供給されたセンサ走査回路202は、光検出処理がプラスリークモードとなるように電源走査線DSSの電位を制御する。即ち、センサ走査回路202は、図9乃至図12を参照して説明した制御を実行する。比較部203は、プラスリークモードでの、発光輝度の均一性若しくは経時劣化またはその両方を補正するための補正量を演算し、映像処理部51に供給する。
【0128】
一方、ステップS2で、Duty比が50%未満であると判定された場合、処理はステップS4に進み、センサ動作設定部201は、モード2(マイナスリークモード)を表すモード切替信号を、センサ走査回路202および比較部203に供給する。
【0129】
モード2を表すモード切替信号が供給されたセンサ走査回路202は、光検出処理がマイナスリークモードとなるように、電源走査線DSSの電位を制御する。即ち、センサ走査回路202は、図15乃至図18を参照して説明した制御を実行する。比較部203は、マイナスリークモードでの、発光輝度の均一性若しくは経時劣化またはその両方を補正するための補正量を演算し、映像処理部51に供給する。
【0130】
ステップS3またはステップS4の処理後、モード切替処理は終了する。
【0131】
以上のモード切替処理を実行することにより、表示装置200は、画素の発光期間の長さに応じて、プラスリークモードとマイナスリークモードを切り替えることができる。これにより、画素の発光期間に依存せずに、常に、受光量の検出期間を十分に確保することができる。
【0132】
<4.本発明の第3の実施の形態>
次に、電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線と共通化させた実施の形態である、本発明を適用した表示装置の第3の実施の形態について説明する。
【0133】
[画素回路303の詳細構成]
図21は、表示装置の第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0134】
図21の表示装置300は、映像信号出力回路52、表示部53、書き込み走査回路54、センサ出力検出回路56、電源走査回路301、およびセンサ走査回路302により構成されている。
【0135】
図21では、第1の実施の形態と同様の映像処理部51および比較部57、または、第2の実施の形態と同様の映像処理部51、センサ動作設定部201、および比較部203についての図示が省略されている。
【0136】
また、図21では、表示部53の行列状に配列されたN×M個の画素回路303および受光回路61のうちの1つの画素回路303および受光回路61の構成が示されている。
【0137】
電源走査回路301は、電源走査線DSLに、高電位の電位VDSL_Hと低電位の電位VDSL_Lを切り替えて供給することにより、画素回路303の発光期間を制御する。
【0138】
ここで、電源走査線DSLは、受光回路61のセンサトランジスタTSEおよび出力トランジスタTOUTのドレインとも接続されている。従って、電源走査線DSLは、第1および第2の実施の形態の電源走査線DSSと共通化されている。一方、センサ走査回路302には、第1および第2の実施の形態の電源走査線DSSに相当する電源走査線DSLが接続されていない。そのため、センサ走査回路302では、電位VDSS_HまたはVDSS_Lを制御する機能が省略されており、それ以外はセンサ走査回路101または202と同様である。
【0139】
画素回路303は、サンプリングトランジスタTWS、駆動トランジスタTDRV、保持容量C1、および有機EL素子ELPを有する。画素回路303内の詳細な構成については、図22を参照して後述する。
【0140】
以上のように、第3の実施の形態では、第1および第2の実施の形態の電源走査線DSSが、画素回路303の発光期間を制御する電源走査線DSLと共通化されている。
【0141】
[画素回路303の詳細構成例]
【0142】
次に、図22を参照して、画素回路303の詳細な構成について説明する。
【0143】
画素回路303は、サンプリングトランジスタTWS、駆動トランジスタTDRV、保持容量C1、および有機EL素子ELPを有する。
【0144】
ここで、画素回路303が第m行第n列目の画素回路303m,n(n=1,2,・・・,N,m=1,2,・・・,M)であるとすると、画素回路303と接続されている書き込み走査線WSLは書き込み走査線WSLmである。また、画素回路303m,nに対する電源走査線DSLは電源走査線DSLmであり、映像信号線DTLは映像信号線DTLnである。
【0145】
サンプリングトランジスタTWSのゲートは書き込み走査線WSLと接続され、サンプリングトランジスタTWSのドレインは映像信号線DTLと接続されるとともに、ソースが駆動トランジスタTDRVのゲートgと接続されている。
【0146】
駆動トランジスタTDRVのソースs及びドレインdの一方は有機EL素子ELPのアノードに接続され、他方が電源走査線DSLに接続される。保持容量C1は、駆動トランジスタTDRVのゲートgと有機EL素子ELPのアノードに接続されている。また、有機EL素子ELPのカソードは接地電位であるカソード電位Vcatに接続されている。
【0147】
サンプリングトランジスタTWSおよび駆動トランジスタTDRVは、いずれもNチャネル型トランジスタであり、低温ポリシリコンよりも安価に作成できるアモルファスシリコンで作成することができるため、画素回路の製造コストをより安価にすることができる。
【0148】
以上のように構成される画素回路303において、サンプリングトランジスタTWSが、書き込み走査線WSLからの制御信号に応じてオン(導通)し、映像信号線DTLを介して階調に応じた信号電位Vsigの映像信号をサンプリングする。保持容量C1は、映像信号線DTLを介して映像信号出力回路52から供給された電荷を蓄積して保持する。駆動トランジスタTDRVは、高電位の電位VDSL_Hにある電源走査線DSLから電流の供給を受け、保持容量C1に保持された信号電位Vsigに応じて駆動電流Idsを有機EL素子ELPに流す(供給する)。有機EL素子ELPに所定の駆動電流Idsが流れることにより、画素回路303が発光する。
【0149】
画素回路303は、閾値補正機能を有する。閾値補正機能とは、駆動トランジスタTDRVの閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量C1に保持させる機能であり、これにより、表示装置300の画素毎のばらつきの原因となる駆動トランジスタTDRVの閾値電圧Vthの影響をキャンセルすることができる。
【0150】
また、画素回路303は、上述した閾値補正機能に加え、移動度補正機能も有する。移動度補正機能とは、保持容量C1に信号電位Vsigを保持する際、駆動トランジスタTDRVの移動度μに対する補正を信号電位Vsigに加える機能である。
【0151】
さらに、画素回路303は、ブートストラップ機能も備えている。ブートストラップ機能とは、駆動トランジスタTDRVのソース電位Vsの変動にゲート電位Vgを連動させる機能であり、これにより、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgsを一定に維持することが出来る。
【0152】
なお、閾値補正機能、移動度補正機能、およびブートストラップ機能については、後述する図27、図31、および図32などでも説明する。
【0153】
[画素回路303の動作説明]
図23は、画素回路303の動作を説明するタイミングチャートである。
【0154】
図23は、同一の時間軸に対する書き込み走査線WSL、電源走査線DSL、および映像信号線DTLの電位変化と、それに対応する駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vg及びソース電位Vsの変化を示している。
【0155】
図23において、時刻t51までの期間は、前の水平期間(1H)の発光がなされている発光期間T1である。
【0156】
発光期間T1が終了した時刻t51から時刻t54までは、駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vg及びソース電位Vsを初期化することで閾値電圧補正動作の準備を行う閾値補正準備期間T2である。
【0157】
閾値補正準備期間T2では、時刻t51において、電源走査回路301が、電源走査線DSLの電位を高電位VDSL_Hから低電位VDSL_Lに切換える。そして、時刻t52において、映像信号出力回路52が、映像信号線DTLの電位を信号電位Vsigから基準電位Vofsに切換える。次に、時刻t53において、書き込み走査回路54が、書き込み走査線WSLの電位を高電位VWSL_Hに切換え、サンプリングトランジスタTWSをオンさせる。これにより、駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vgが基準電位Vofsにリセットされ、且つ、ソース電位Vsが映像信号線DTLの低電位VDSL_Lにリセットされる。
【0158】
時刻t54から時刻t55までは、閾値補正動作を行う閾値補正期間T3である。閾値補正期間T3では、時刻t54において、電源走査回路301が、電源走査線DSLの電位を高電位VDSL_Hに切換える。これにより、閾値電圧Vthに相当する電圧が、保持容量C1に書き込まれる。
【0159】
時刻t55から時刻t57までの書き込み+移動度補正準備期間T4では、書き込み走査線WSLの電位が高電位VWSL_Hから低電位VWSL_Lに一旦切換えられる。また、時刻t57の前の時刻t56において、映像信号出力回路52が、映像信号線DTLの電位を基準電位Vofsから階調に応じた信号電位Vsigに切換える。
【0160】
そして、時刻t57から時刻t58までの書き込み+移動度補正期間T5において、映像信号の書き込みと移動度補正動作が行われる。即ち、時刻t57から時刻t58までの間、書き込み走査線WSLの電位が高電位VWSL_Hに設定され、これにより、映像信号の信号電位Vsigが閾値電圧Vthに足し込まれる形で保持容量C1に書き込まれる。また、移動度補正用の電圧ΔVμが保持容量C1に保持された電圧から差し引かれる。
【0161】
書き込み+移動度補正期間T5終了後の時刻t58において、書き込み走査線WSLの電位が低電位VWSL_Lに設定され、それ以降、発光期間T6として、信号電圧Vsigに応じた発光輝度で有機EL素子ELPが発光する。信号電圧Vsigは、閾値電圧Vthに相当する電圧と移動度補正用の電圧ΔVμとによって調整されているため、有機EL素子ELPの発光輝度は駆動トランジスタTDRVの閾値電圧Vthや移動度μのばらつきの影響を受けることがない。
【0162】
なお、発光期間T6の最初でブートストラップ動作が行われ、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgs=Vsig+Vth−ΔVμを一定に維持したまま、駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vg及びソース電位Vsが上昇する。
【0163】
また、時刻t58から所定時間経過後の時刻t59において、映像信号線DTLの電位が、信号電位Vsigから基準電位Vofsに落とされる。図23において、時刻t52から時刻t59までの期間は水平期間(1H)に相当する。
【0164】
以上のようにして、画素回路303では、駆動トランジスタTDRVの閾値電圧Vthや移動度μのばらつきの影響を受けることがなく、有機EL素子ELPを発光させることができる。
【0165】
[画素回路303の詳細な動作説明]
図24乃至図32を参照して、画素回路303の動作についてさらに詳細に説明する。
【0166】
図24は、発光期間T1の画素回路303の状態を示している。
【0167】
発光期間T1では、サンプリングトランジスタTWSがオフ(書き込み走査線WSLの電位が低電位)、かつ電源走査線DSLの電位が高電位VDSL_Hとなっており、駆動トランジスタTDRVが駆動電流Idsを有機EL素子ELPに供給している。このとき駆動トランジスタTDRVは飽和領域で動作するように設定されているため、有機EL素子ELPに流れる駆動電流Idsは、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgsに応じて式(1)で表される値をとる。
【0168】
そして、閾値補正準備期間T2の最初の時刻t51において、図25に示すように、電源走査回路301は、電源走査線DSLの電位を高電位VDSL_Hから低電位VDSL_Lに切換える。このとき電源走査線DSLの電位VDSL_Lが有機EL素子ELPの閾値電圧Vthelとカソード電位Vcatの和よりも小さければ(VDSL_L<Vthel+Vcat)、有機EL素子ELPは消光し、駆動トランジスタTDRVの電源走査線DSLと接続された側がソースsとなる。また、有機EL素子ELPのアノードは電位VDSL_Lに充電される。
【0169】
次に、図26に示すように、時刻t52において、映像信号出力回路52が映像信号線DTLの電位を基準電位Vofsにした後、時刻t53において、書き込み走査回路54が、書き込み走査線WSLの電位を高電位VWSL_Hに切換える。これにより、駆動トランジスタTDRVのゲート電位VgはVofsとなり、ゲートソース間電圧Vgsは、Vofs−VDSL_Lという値をとる。ここで、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgsである(Vofs−VDSL_L)は、次の閾値補正期間T3で閾値補正動作を行うため、閾値電圧Vthよりも大である(Vofs−VDSL_L>Vth)必要がある。逆に言うと、(Vofs−VDSL_L>Vth)の条件を満たすように、電位VofsおよびVDSL_Lが設定される。
【0170】
そして、閾値補正期間T3の最初の時刻t54において、図27に示すように、電源走査回路301が電源走査線DSLの電位を低電位VDSL_Lから高電位VDSL_Hに切換える。すると、駆動トランジスタTDRVの有機EL素子ELPのアノードと接続されている側がソースsとなり、図27において1点鎖線で示されるように電流が流れる。
【0171】
ここで、有機EL素子ELPは、ダイオードELPaと、寄生容量Celの有機EL容量ELPbとで、等価的に表すことができる。有機EL素子ELPのリーク電流が駆動トランジスタTDRVに流れる電流よりもかなり小さい(Vel≦Vcat+Vthelを満たす)という条件の下では、駆動トランジスタTDRVに流れる電流は保持容量C1と有機EL容量ELPbを充電するために使用される。有機EL素子ELPのアノード電位Vel(駆動トランジスタTDRVのソース電位Vs)は、図28に示されるように、駆動トランジスタTDRVを流れる電流に応じて上昇する。所定時間経過後、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧VgsがVthという値をとる。また、このときの有機EL素子ELPのアノード電位Velは(Vofs−Vth)である。アノード電位Velは、有機EL素子ELPの閾値電圧Vthelとカソード電位Vcatの和以下となっている(Vel=(Vofs−Vth)≦(Vcat+Vthel))。
【0172】
その後、時刻t55において、書き込み走査線WSLの電位が高電位VWSL_Hから低電位VWSL_Lに切替えられ、図29に示されるように、サンプリングトランジスタTWSがオフして閾値補正動作(閾値補正期間T3)が完了する。
【0173】
書き込み+移動度補正準備期間T4の時刻t56において、映像信号出力回路52によって、映像信号線DTLの電位が、基準電位Vofsから、階調に応じた信号電位Vsigに切換えられる(図29)。その後、書き込み+移動度補正期間T5に入り、図30に示されるように、時刻t57において、書き込み走査線WSLの電位が高電位VWSL_Hに設定されることでサンプリングトランジスタTWSがオンして、映像信号の書き込みと移動度補正動作が行われる。駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vgは、サンプリングトランジスタTWSがオンしているため信号電位Vsigとなるが、電源走査線DSLからの電流が流れるため、駆動トランジスタTDRVのソース電位Vsは、時間とともに上昇していく。
【0174】
駆動トランジスタTDRVの閾値補正動作は既に完了している。よって、式(1)の右辺の(Vgs−Vth)2の項は、(Vgs−Vth)2={(Vsig−(Vofs−Vth))−Vth}2=(Vsig−Vofs)2となり、閾値電圧Vthの項の影響はない。従って、駆動トランジスタTDRVが流す電流Idsは、移動度μを反映したものとなる。具体的には、図31に示されるように、移動度μが大きい場合には、駆動トランジスタTDRVが流す電流Idsは大きくなり、ソース電位Vsの上昇も早い。一方、移動度μが小さい場合には、駆動トランジスタTDRVが流す電流Idsは小さくなり、ソース電位Vsの上昇は遅くなる。換言すると、一定時間経過時点では、移動度μが大きい場合には、駆動トランジスタTDRVのソース電位Vsの上昇量△Vμ(電位補正値)は大きくなり、移動度μが小さい場合には、駆動トランジスタTDRVのソース電位Vsの上昇量△Vμ(電位補正値)は小さくなる。これによって、各画素回路303の駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgsのバラツキが、移動度μを反映して小さくなり、一定時間経過後の各画素回路303のゲートソース間電圧Vgsは、移動度μのバラツキを完全に補正した電圧となる。
【0175】
時刻t58において、書き込み走査線WSLの電位が低電位VWSL_Lに設定されることでサンプリングトランジスタTWSがオフして、書き込み+移動度補正期間T5が終了し、発光期間T6となる(図32)。
【0176】
発光期間T6では、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgsは一定であるので、駆動トランジスタTDRVは一定電流Ids’を有機EL素子ELPに供給する。有機EL素子ELPのアノード電位Velは、有機EL素子ELPに一定電流Ids’という電流が流れる電圧Vxまで上昇し、有機EL素子ELPは発光する。駆動トランジスタTDRVのソース電位Vsが上昇すると、保持容量C1のブートストラップ機能により、駆動トランジスタTDRVのゲート電位Vgも連動して上昇する。
【0177】
有機EL素子ELPのI−V特性により、発光時間が長くなると、図32に示されるBx点の電位は時間とともに変化する(経時劣化する)。しかしながら、駆動トランジスタTDRVのゲートソース間電圧Vgsは一定値に保たれているので、有機EL素子ELPに流れる電流は変化しない。したがって、I−V特性により有機EL素子ELPが経時劣化しても、一定電流Ids’が流れ続けるので、有機EL素子ELPの輝度が変化することはない。
【0178】
以上のように、画素回路303を備える図21の表示装置300においては、閾値補正機能および移動度補正機能によって画素回路303ごとの閾値電圧Vth及び移動度μの相違を補正することができる。また、有機EL素子ELPの経時変動(劣化)も補正することができる。
【0179】
これにより、画素回路303を用いた表示装置300では、画素回路21を用いた場合よりも高画質を得ることが可能である。
【0180】
[光検出動作の説明]
図33は、表示装置300の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【0181】
即ち、図33は、図23の電源走査線DSLと書き込み走査線WSLの電位の変化と、図9に示した受光回路61およびセンサ出力検出回路56内の各制御線並びにa点およびb点の電位の変化を示している。
【0182】
図33における電源走査線DSLと書き込み走査線WSLの電位の変化に対して、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、リセット走査線RST、a点の電位Va、およびb点の電位Vb電位の変化は、図9の対応するそれぞれと、基本的に同様である。
【0183】
ただし、図33では、検出期間が、電源走査線DSLの電位が高電位VDSS_Hに設定されている期間ではない点が図9と相違する。第3の実施の形態では、検出期間は、書き込み+移動度補正期間T5が終了する時刻t77から開始し、読み出し走査線RSLの電位が低電位VRSL_Lに設定される時刻t78で終了する。
【0184】
a点の電位Vaは、受光量が多いほど上昇する。a点の電位Vaの上昇に従い、出力トランジスタTOUTからb点へ電流が流れると、b点の電位Vbも上昇する。電圧検出部56aは、次のab点初期化処理を行う前までの所定のタイミングで、出力電圧Voutとしてのb点の電位Vbを検出する。
【0185】
従って、電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線DSLと共通化させた場合であっても、プラスリークモードでの光検出が可能である。
【0186】
また、図示は省略するが、センサ走査回路302は、図15の電源走査線DSSの電位変化を電源走査線DSLの電位変化とみなし、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTの電位を、図15のように制御することも可能である。即ち、センサ走査回路302は、電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線DSLと共通化させた場合であっても、マイナスリークモードでの光検出も可能である。
【0187】
従って、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、画素の発光期間を短くした場合であっても、受光量の検出期間を十分に確保することができる。
【0188】
また、第3の実施の形態として、図21に示した部分以外が、第2の実施の形態と同様に構成されている場合には、画素の発光期間の長さに応じて、プラスリークモードとマイナスリークモードを切り替えることができる。これにより、画素の発光期間に依存せずに、常に、受光量の検出期間を十分に確保することができる。
【0189】
さらに、第3の実施の形態では、第1および第2の実施の形態の電源走査線DSSが、画素回路303の、発光期間を制御する電源走査線DSLと共通化されているので、配線数を削減することができ、製造コストを低減させることができる。
【0190】
なお、上述した第3の実施の形態は、画素回路303の電源走査線DSLに、第1および第2の実施の形態の電源走査線DSSが共通化された例であるが、電源走査線DSSに、画素回路303の電源走査線DSLを共通化させると考えても同様である。即ち、電源走査回路301が省略され、センサ走査回路302と接続された電源走査線DSSが、画素回路303の駆動トランジスタTDRVと接続されても同様の制御が可能である。
【0191】
<5.本発明の第3の実施の形態のその他の例>
図34は、電源走査線DSSを、画素回路の発光期間を制御する制御線と共通化させたその他の例を示すブロック図である。
【0192】
図34の表示装置300は、表示部53の画素回路として、第1および第2の実施の形態の画素回路21を変形した画素回路21’が採用されている。
【0193】
画素回路21’は、画素回路21と同様の、nチャネルTFTによるサンプリングトランジスタTWS、保持容量C1、pチャネルTFTによる駆動トランジスタTDRV、および有機EL素子ELPのほかに、発光制御トランジスタTDSが追加されている。
【0194】
発光制御トランジスタTDSは、電源Vccと駆動トランジスタTDRVの間に設けられ、電源走査線DSLの電位に応じて、スイッチとして機能する。即ち、電源走査線DSLの電位が高電位VDSL_Hである場合、発光制御トランジスタTDSはオンし、有機EL素子ELPに電流が流れる。一方、電源走査線DSLの電位が低電位VDSL_Lである場合、発光制御トランジスタTDSはオフし、有機EL素子ELPには電流が流れない。従って、発光制御トランジスタTDSは、有機EL素子ELPが発光する発光期間を制御する。
【0195】
電源走査回路301は、電源走査線DSLに、高電位の電位VDSL_Hと低電位の電位VDSL_Lを切り替えて供給することにより、発光制御トランジスタTDSをオンまたはオフさせる。
【0196】
この電源走査線DSLは、受光回路61のセンサトランジスタTSEのドレインと、出力トランジスタTOUTのドレインとも接続されている。従って、図34では、発光制御トランジスタTDSのオンオフを制御する電源走査線DSLが、第1および第2の実施の形態の電源走査線DSSと共通化されている。
【0197】
[光検出動作の説明]
図35は、図34に示した表示装置300の受光回路61およびセンサ出力検出回路56の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【0198】
書き込み走査線WSLの電位の変化は、図4に示した画素回路21における書き込み走査線WSLの電位の変化と同様である。
【0199】
図34における電源走査線DSLと書き込み走査線WSLの電位の変化に対して、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、リセット走査線RST、a点の電位Va、およびb点の電位Vb電位の変化は、基本的に、図9の対応するそれぞれと同様である。
【0200】
ただし、図34では、検出期間が、電源走査線DSLの電位が高電位VDSS_Hに設定されている時刻t96から時刻t98までの期間とは異なる点のみが相違する。図34では、検出期間は、時刻t96から開始し、時刻t98まえの、読み出し走査線RSLの電位が低電位VRSL_Lに設定される時刻t97で終了する。
【0201】
a点の電位Vaは、受光量が多いほど上昇する。a点の電位Vaの上昇に従い、出力トランジスタTOUTからb点へ電流が流れると、b点の電位Vbも上昇する。電圧検出部56aは、ab点初期化処理を行う前までの所定のタイミングで、出力電圧Voutとしてのb点の電位Vbを検出する。
【0202】
従って、電源走査線DSSを画素回路の発光期間を制御する電源走査線DSLと共通化させた場合であっても、プラスリークモードでの光検出が可能である。
【0203】
また、図示は省略するが、センサ走査回路302は、図15の電源走査線DSSの電位変化を電源走査線DSLの電位変化とみなし、初期化走査線AZ、読み出し走査線RSL、およびリセット走査線RSTの電位を、図15のように制御することも可能である。即ち、マイナスリークモードでの光検出も可能である。
【0204】
従って、図34に示した第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、画素の発光期間を短くした場合であっても、受光量の検出期間を十分に確保することができる。
【0205】
また、第3の実施の形態として、図34に示した部分以外が、第2の実施の形態と同様に構成されている場合には、画素の発光期間の長さに応じて、プラスリークモードとマイナスリークモードを切り替えることができる。これにより、画素の発光期間に依存せずに、常に、受光量の検出期間を十分に確保することができる。
【0206】
なお、上述した第1乃至第3の実施の形態において、画素回路の構成については全く上記例に限定されず、他にも多様な構成が採用できる。即ち、本発明は画素回路構成にかかわらず、発光動作を行う画素回路を採用する表示装置であって、画素回路とは別に、光量を検出する受光回路を設ける表示装置に広く採用できる。
【0207】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0208】
21,21’ 画素回路, 56a 電圧検出部, 57 比較部, 100 表示装置, 101 センサ走査回路, TSE センサトランジスタ, TAMP 増幅トランジスタ, Cse 保持容量, TOUT 出力トランジスタ, 200 表示装置, 201 センサ動作設定部, 202 センサ走査回路, 203 比較部, 300 表示装置, 301 電源走査回路, 303 画素回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に応じて内部の発光素子により発光する画素回路と、光を検出する受光回路を行列状に複数配置した表示手段を備え、
前記受光回路は、
スイッチ素子として機能するとともに、オフの状態において前記光の検出量に応じた電流を流す光センサとして機能するセンサトランジスタと、
前記センサトランジスタと接続され、所定の電位を保持する保持容量と、
前記センサトランジスタがオフのとき流れる電流によって、予め前記保持容量に保持された電位が減少する方向に変化して、前記保持容量が保持する変化後の電位に応じた光検出信号を出力する出力トランジスタと
を備える
表示装置。
【請求項2】
前記センサトランジスタを介して前記保持容量と接続される接続線の電位を制御する電源電位制御手段をさらに備え、
前記電源電位制御手段は、前記センサトランジスタがオフのときに前記接続線の電位を第1の電位に設定し、前記センサトランジスタがオンのときに前記接続線の電位を第1の電位よりも高電位の第2の電位に設定する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電源電位制御手段は、前記センサトランジスタがオンのときに前記接続線の電位を前記第1の電位に設定し、前記センサトランジスタがオフのときに前記接続線の電位を前記第2の電位に設定することにより、前記センサトランジスタがオフのとき流れる電流によって前記保持容量に保持された電位を上昇する方向に変化させる第1のモードと、前記センサトランジスタがオフのときに前記接続線の電位を第1の電位に設定し、前記センサトランジスタがオンのときに前記接続線の電位を第1の電位よりも高電位の第2の電位に設定し、前記保持容量に保持された電位を減少する方向に変化させる第2のモードとを、前記画素回路の発光期間の長さに応じて切り替える
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記接続線は、前記画素回路の発光期間を制御するための制御線でもあり、前記第2の電位の期間によって前記画素回路の発光期間が制御される
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光検出信号による電位の変化量を検出する検出手段をさらに備える
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記受光回路は、前記画素回路と1対1に対応して配置され、
前記検出手段により検出された前記電位の変化量に基づいて、前記画素回路の輝度値の補正量を演算する演算手段をさらに備える
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
映像信号に応じて内部の発光素子により発光する画素回路と、光を検出する受光回路とを行列状に複数配置した表示手段を備える表示装置の前記受光回路が、スイッチ素子として機能するとともに、オフの状態において前記光の検出量に応じた電流を流す光センサとして機能するセンサトランジスタと、前記センサトランジスタと接続される保持容量と、前記保持容量と接続される出力トランジスタとを備え、
前記保持容量が、前記センサトランジスタがオンのとき流れる電流により所定の電位を保持し、
前記出力トランジスタが、前記センサトランジスタがオフのとき流れる電流によって、前記保持容量に保持された電位が減少する方向に変化して、前記保持容量が保持する変化後の電位に応じた光検出信号を出力する
表示装置の光検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−154154(P2011−154154A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15086(P2010−15086)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】