説明

表示装置および表示装置の製造方法

【課題】画素回路の配置がミラー反転構造でありながらも、同一色の発光素子間の輝度ムラが防止された表示特性の良好な表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】薄膜トランジスタTr1,Tr2を有し、薄膜トランジスタTr1,Tr2のソースSとドレインDとの配列方向を交互に反転させた状態で当該配列方向に沿って設けられた複数の画素回路を備えている。また、ソースSとドレインDの配列方向に隣接して配置された4つの画素回路のうち、2つの画素回路に接続された同色の発光素子EL(G),EL(G)と、残りの偶数の画素回路にそれぞれ接続された各色の発光素子柄llR)、EL(B)とを接続させた表示画素Aとを備えた表示装置1a。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の製造方法に関し、特には有機電界発光素子を備えたアクティブマトリックス駆動のカラー表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子とこれに接続された画素回路とを基板上に配列形成してなるアクティブマトリックス駆動の表示装置においては、画素回路を構成する薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)の電流量によって有機電界発光素子の輝度が決定される。有機電界発光素子に供給する電流量を決定する画素回路は映像信号をサンプリングするTFTと映像信号を保持する容量と保持された映像信号に基づいて有機電界発光素子を電流駆動する駆動TFTの最低でも3素子が必要であり、液晶素子と比較すると画素回路のレイアウト密度が大きくなる。
【0003】
そこで、基板上において走査線方向に隣接配置された画素回路のレイアウトを反転させた、いわゆるミラー反転構造とすることで、2つの画素回路で1本の電源線を共通化し、レイアウト密度を低くする構成が提案されている(下記特許文献1〜5参照)。
【0004】
図20には、このようなミラー反転構造の表示装置用の薄膜トランジスタ基板のレイアウト図を示す。この図に示すように、基板10上の表示領域内には、走査線11および電源線12が平行に配線され、これらと垂直に信号線13が配線されている。そして、走査線11および電源線12と、信号線13との各交差部に対応して、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に対応する各副画素a(R),a(G),a(B)が順に配列されている。これらの副画素a(R),a(G),a(B)は、3色を1組とした略正方形の表示画素A’を構成している。
【0005】
各色の副画素a内には、薄膜トランジスタTr1’,Tr2’および容量素子Csを備えた画素回路が配置されている。各薄膜トランジスタTr1’,Tr2’は、信号線13と平行に延設されたゲート電極14を備えている。そして薄膜トランジスタTr2’が、隣接する副画素a間において、1本の電源線12部分をドレイン側において共有した構成となっている。このような各副画素aは、薄膜トランジスタTr2’に有機電界発光素子(図示省略)を接続させる構成となっている。
【0006】
また上述したように、画素回路を構成する薄膜トランジスタの電流量によって有機電界発光素子の輝度が決定される表示装置においては、輝度ムラを抑えた良好な表示を行なうために、薄膜トランジスタの特性ばらつきを抑えることが重要である。
【0007】
ところが薄膜トランジスタのチャネル領域を多結晶シリコンで構成する場合、チャネル領域内に存在する結晶粒の大きさが不均一なためトランジスタ特性がばらつきやすい。そこで、チャネル領域を構成する半導体薄膜を結晶粒の大きさが不均一にならない程度に微結晶化する方法として、固体レーザを用いて非晶質薄膜を微結晶化する結晶化アニールが行われている。
【0008】
ここで先の図20を用いて説明したミラー反転構造の薄膜トランジスタ基板を作製する場合、このような結晶化アニール工程は、例えば次のように行なわれる。先ず、基板10上に、第1金属パターン(21)からなるゲート電極14およびその他の電極を形成した後、これらの第1金属パターン(21)を覆う状態で、ゲート絶縁膜、および非晶質の半導体薄膜を成膜する。次に、必要に応じて半導体薄膜上にバッファ層や光熱変換層を成膜した後、これらの層を介して固体レーザから発生させたレーザ光を半導体薄膜に対して走査させながら照射する。これにより、レーザ光の照射部に対応する半導体薄膜部分を微結晶化させた半導体薄膜とする。この際、レーザ光の走査方向(v)は、走査線11に沿った方向、すなわち薄膜トランジスタTr1’,Tr2’のチャネル長方向でありゲート電極14の線幅方向とする。
【0009】
【特許文献1】特許第4036235号
【特許文献2】特開2005−266830号公報
【特許文献3】特開2006−11429号公報
【特許文献4】特開2006−343768号公報
【特許文献5】特開2008−33091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した固体レーザを用いた半導体薄膜の結晶化アニールは、エキシマレーザを用いた結晶化アニールと比較して、半導体薄膜の結晶化に必要な熱量を供給した場合の熱拡散長が長くなる。このため、半導体薄膜の下層に設けられているゲート電極による熱伝導の影響が顕著であり、ゲート電極の配置状態が薄膜トランジスタを構成する半導体薄膜部分の結晶性に影響を及ぼしている。
【0011】
つまり上述したように、図20に示す走査線11に沿った方向、すなわちゲート電極14の線幅方向(チャネル長方向)がレーザ光の走査方向(v)である場合、走査方向の上流側ではゲート電極14が熱的に飽和し難く、レーザ光の走査方向(v)の下流側ではゲート電極14が熱的に飽和し易い。
【0012】
このため、ゲート電極14を挟んでレーザ光の走査方向(v)の上流側では、レーザ光照射によってゲート電極14が十分に加熱される前に半導体薄膜の結晶化が行われるため、結晶性が疎になる。これに対して、ゲート電極14を挟んでレーザ光の走査方向(v)の下流側では、レーザ光照射によってゲート電極が十分に加熱された状態で半導体薄膜の結晶化が行われるため、結晶性が密になる。つまり、図20の左側画素A’内のa(R)、a(B)、および右側画素A’内のa(G)の駆動トランジスタTr2’においては、ソース側の熱拡散が進み易く結晶性が疎である。これに対して、図20の左側画素A’内のa(G)、および右側画素A内のa(R)、a(B)の駆動トランジスタTr2’においては、逆にソース側の結晶性が密になる。このようなチャネル領域におけるチャネル長方向での結晶性の疎密は、薄膜トランジスタのオン電流に大きな影響を及す。
【0013】
したがって、隣接する副画素aのレイアウトがミラー反転している構成であれば、走査線11方向に隣接する表示画素A’間において同一色の副画素a[例えば副画素a(G)]の薄膜トランジスタTr1’,Tr2’のレイアウトが反転する。このため同一色の副画素a間の薄膜トランジスタTr1’,Tr2’においては、上述したチャネル長方向の端部での結晶性の疎密に起因するトランジスタ特性、例えばオン電流に差が生じる。これにより、隣接する表示画素A’間における同一色の副画素aでは薄膜トランジスタTr1’,Tr2’に接続された発光素子に輝度差が生じ、結果として走査線11方向に隣接する表示画素A’間の輝度差が、走査線11方向の輝度ムラとして視認されてしまう。
【0014】
そこで本発明は、ミラー反転構造でありながらも、同一色の発光素子間の輝度ムラが防止された表示特性の良好な表示装置、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明の表示装置は、薄膜トランジスタを有する複数の画素回路がミラー反転構造で配列されている。ミラー反転構造において、各画素回路は、これを構成する薄膜トランジスタのソースとドレインとの配列方向を交互に反転させた状態で、この配列方向に沿って設けられている。そして、配列方向に隣接して配置された4以上の偶数個の画素回路を1組にして、これらに発光素子を接続させた表示画素が構成されている。表示画素を構成する4以上の偶数個の画素回路のうち、2つの画素回路には、同色の発光素子が接続されている。また残りの偶数の画素回路には、それぞれ異なる各色の発光素子が接続されている。
【0016】
このような構成の表示装置では、画素回路を構成する薄膜トランジスタのソース/ドレインの配列を反転させたミラー反転構造の表示装置において、反転方向に隣接する偶数個の画素回路を1組にして表示画素が構成される。このため、各表示画素間に配置される同色の色表示を行うための画素回路の薄膜トランジスタを、ソース/ドレインの配列方向が同一のものとすることができる。したがって、ソース/ドレインの配列方向に起因する、同一色の輝度ムラが防止される。しかも、各表示画素を構成する画素回路のうちの2つの画素回路は、同色の表示を行うためのものである。このため、これらの2つの画素回路を輝度や発光効率等の特性の劣る発光素子に接続させることにより、異なる表示色間の表示ムラが防止される。
【0017】
また本発明の表示装置の製造方法は、次のような工程を行なう。先ず、複数のゲート電極をその線幅方向に配列形成する。次に、ゲート電極を覆う状態でゲート絶縁膜および非晶質の半導体薄膜をこの順に成膜する。次いで、ゲート電極の線幅方向にエネルギー線を走査させながら照射することにより半導体薄膜を結晶化させると共に、当該結晶化させた半導体薄膜を用いて薄膜トランジスタを形成する。その後、薄膜トランジスタを有する画素回路を、当該薄膜トランジスタのソースとドレインとの配列方向を交互に反転させた状態でゲート電極の線幅方向に沿って配列形成する。しかる後、配列方向に隣接して配置された4以上の偶数個の画素回路のうち、2つの画素回路に接続させた同色の発光素子と、残りの偶数の画素回路とにそれぞれ接続させた各色の発光素子とを1組の表示画素として形成する。
【0018】
以上のような製造方法により、上述した本発明構成のミラー反転構造の表示装置を得ることができる。特にこの製造方法では、ゲート電極の線幅方向に沿ってエネルギー線を走査させることで、薄膜トランジスタを構成する半導体薄膜を結晶化させている。このため、この配列方向に沿って設けられた画素回路を構成する薄膜トランジスタは、ソース側を上流としてエネルギー線が照射されたものと、ドレイン側を上流としてエネルギー線が照射されたものとが交互に配置されることになる。しかしながら、この方法によって得られる上述した本発明構成の表示装置は、4以上の偶数の画素回路に各色の発光素子を接続させて1組の表示画素を形成している。このため上述したように、各表示画素間に配置される同色の色表示を行うための画素回路の薄膜トランジスタを、ソース/ドレインの配列方向が同一のものとすることができる。したがって、ソース/ドレインの配列方向に起因する、同一色の輝度ムラが防止される。しかも、各表示画素を構成する画素回路のうちの2つの画素回路は、同色の表示を行うためのものである。このため、これらの2つの画素回路を輝度や発光効率等の特性の劣る発光素子に接続させることにより、異なる表示色間の表示ムラが防止される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、画素回路を構成する薄膜トランジスタのソース/ドレインの配列を交互に反転させた構成においてソース/ドレインの配列方向が異なることに起因する表示画素間における同一色の輝度ムラを防止でき、しかも異なる表示色間の表示ムラも防止できる。この結果、ミラー反転構造でありながらも表示特性の良好な表示が可能な表示装置を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の各実施の形態を以下の順序で説明する。
1.第1実施形態(緑色の副画素を2つの画素回路で構成し、信号線を共有した例)
2.第2実施形態(第1実施形態の変形例であり、2つの画素回路に1つの発光素子を接続させた例)
3.第3実施形態(緑色の副画素を2つの画素回路で構成し、信号線を個別に設けた例)
4.第4実施形態(緑色の副画素を2つの画素回路で構成し、電源線を共有した例)
【0021】
尚、各実施形態においては、薄膜トランジスタに有機電界発光素子を接続させたアクティブマトリックス型の表示装置の構成とその製造方法の順に説明を行う。また、図20を用いて説明した従来の構成と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を行う。
【0022】
≪1.第1実施形態≫
<表示装置の全体構成>
図1は、第1実施形態の表示装置1aの全体構成を示す平面図である。
【0023】
この図に示すように、表示装置1aは、表示パネル2と、この周縁部に接続されたフレキシブルプリント基板3,4,5とを備えて構成されている。フレキシブルプリント基板3,4,5は、例えば映像信号供給用基板3、電源供給用基板4、および走査信号及び電源制御信号供給用基板5である。
【0024】
表示パネル2は、平面矩形形状であり、その中央部には表示パネル2と略相似形の表示領域2aが設定されている。表示領域2a内には、表示領域2aの長辺方向xに沿って走査線11および電源線12が配線され、これと垂直に信号線13が配線されている。そして、これらの走査線11および電源線12と、信号線13との各交差部に対応して副画素aが配置されている。尚、各走査線11及び電源線12には、走査信号及び電源制御信号供給用基板5から信号が入力される。信号線13には映像信号供給用基板3から信号が入力される。また、後述する有機電界発光素子の陰極(または陽極)で全画素に共通の電極に電源供給用基板4から信号が入力される。
【0025】
副画素aは、それぞれが矩形形状であって、信号線13に対して長辺を平行に保って配置される。さらにこれらの副画素aは、走査線11方向に配列された4つの副画素aを1組とした略正方形の表示画素Aを構成している。そして、各表示画素Aを構成する4つの副画素aのうちの2つが同色の発光素子(以降に説明する有機電界発光素子)を備えており、4つの副画素aのうちの他の2つがこれとは異なる各色の発光素子(以降に説明する有機電界発光素子)を備えているところが第1の特徴である。
【0026】
ここでは特に、各表示画素Aを構成する4つの副画素は、赤(R),緑(G),緑(G),青(B)の4つの副画素a(R),a(G),a(G),a(B)であり、視認性が高く高輝度の発光が必要とされる緑色の副画素a(G)を2つ設けることとする。
【0027】
また各表示画素Aを構成する4つの副画素は、信号線13方向を対象線とし、走査線11方向に交互にレイアウトを反転させたミラー反転構造で配置されていることとする。この際、各表示画素Aを構成する4つの副画素のうちの2つの緑色の副画素a(G),a(G)を隣接して配置することにより、2つの緑色の副画素a(G),a(G)で1本の信号線13を共有する構成としている。
【0028】
そして表示領域2aには、以上のような4つの副画素a(R),a(G),a(G),a(B)(代表してaと記す)を走査線11方向に配列した表示画素Aが、走査線11および電源線12、さらには信号線13に沿ってマトリックス状に配列されている。
【0029】
<表示装置における表示画素の回路構成>
図2には、4つの副画素aで構成された表示画素Aの回路構成図を示す。
【0030】
この図に示すように、各副画素aには、スイッチング用の薄膜トランジスタTr1、駆動用の薄膜トランジスタTr2、さらには容量素子Csが配置され、これらによって画素回路が構成されている。尚、薄膜トランジスタTr1,Tr2は、ここではnチャンネルのMOSトランジスタであることとする。
【0031】
各画素回路は、駆動用の薄膜トランジスタTr2のソースSにおいて、各発光色の発光素子EL(R),EL(G),EL(G),EL(B)に接続されている。このような画素回路においては、走査線11で選択されたスイッチング用の薄膜トランジスタTr1を介して信号線13から書き込まれた映像信号が保持容量Csに保持される。そして、保持された信号量に応じた電流が、駆動用の薄膜トランジスタTr2のソースSから、各発光素子EL(R),EL(G),EL(G),EL(B)に供給される。これにより、供給された電流値に応じた輝度で各発光素子EL(R),EL(G),EL(G),EL(B)が発光する構成となっている。
【0032】
<表示装置における画素回路のレイアウト>
図3には、このよう各副画素aに設けた画素回路のレイアウト図を示す。ここでは、走査線11方向に隣接する2つの表示画素Aのレイアウト図を示す。
【0033】
この図に示すように、表示パネルを構成するガラス基板10上の各副画素a内には、薄膜トランジスタTr1,Tr2と容量素子Csとからなる画素回路が配置されている。このうち、薄膜トランジスタTr1,Tr2は、ガラス基板10の直上に設けた第1金属パターン(21)を用いてゲート電極14a,14bを構成し、この上方にソースSおよびドレインDを配置したボトムゲート構造である。ソースS/ドレインDは、ここでの図示を省略した半導体薄膜で構成され、第2金属パターン(22)で構成されたソース電極とドレイン電極とが接続されている。また、容量素子Csは、発光素子に接続される駆動用の薄膜トランジスタTr2のソースS側と一体に形成されており、第1金属パターン(21)と第2金属パターン(22)との間に、ここでの図示を省略したゲート絶縁膜を挟持してなる。
【0034】
そして、これらの薄膜トランジスタTr1,Tr2は、そのチャネル長方向を走査線11と平行にして配置されている。これにより、各薄膜トランジスタTr1,Tr2は、走査線11方向にソースSとドレインDとが順に配列された状態となっている。
【0035】
このような状態において、各副画素aは、上述したように信号線13方向を対象線として走査線11方向に交互にレイアウトを反転させたミラー反転構造で配置されている。したがって、各副画素aを構成する画素回路は、薄膜トランジスタTr1,Tr2のソースSとドレインDとが、これらの配列方向を交互に反転させた状態で当該配列方向に沿って順次レイアウトされることになる。
【0036】
また、各表示画素A内に隣接して配置された2つの緑色の副画素a(G),a(G)を構成する各画素回路では、それぞれのスイッチング用の薄膜トランジスタTr1が、1本の信号線13を共有した構成となっている。これにより、画素回路のレイアウト密度を抑えることが可能である。
【0037】
また隣接して配置された画素回路における駆動用の薄膜トランジスタTr2では、電源線12から延設された1本の電源線12部分を、共通したドレインDとして共有していることとする。これにより、画素回路のレイアウト密度を抑えることが可能である。
【0038】
さらに、各副画素aに設けた画素回路においては、この画素回路に接続される発光素子の発光色毎に、薄膜トランジスタTr1,Tr2のチャネル幅と、容量素子Csのレイアウト面積とが調整されていることとする。
【0039】
一般的に、有機電界発光素子(発光素子)は、発光色毎に発光効率が異なる。このため、相対的に発光効率の低い発光色の発光素子が設けられる副画素aほど、画素回路における薄膜トランジスタTr1,Tr2のチャネル幅および容量素子Csのレイアウト面積が大きく設定されていることとする。一例としてここでは、赤色の副画素a(R)<緑色の副画素a(G)<青色の副画素a(B)の順に、薄膜トランジスタTr1,Tr2のチャネル幅および容量素子Csのレイアウト面積が大きくなるように、画素回路が設計されていることとする。
【0040】
ここで、これらの薄膜トランジスタTr1,Tr2は、上述したようなボトムゲート構造であると共に、ゲート電極14a,14b上に成膜した半導体薄膜(図示量略)を、エネルギー線の照射によって結晶化させた微結晶性の薄膜トランジスタであることとする。そして以降の製造方法で詳細に説明するように、エネルギー線として照射するレーザ光の走査方向vが、薄膜トランジスタTr1,Tr2におけるソースSとドレインDの配列方向、すなわち走査線11に沿った方向であることが第2の特徴である。
【0041】
<表示装置の要部断面構成>
図4には、表示装置の要部断面図として、2つの副画素a(G),a(G)部分の断面図を示す。尚、この断面部分は、図3において2つの副画素a(G),a(G)の薄膜トランジスタTr1,Tr2を横断するA−A’断面に相当する。
【0042】
この図に示すように、表示パネルを構成するガラス基板10上には、薄膜トランジスタTr1,Tr2、さらにはここでの図示を省略した容量素子を備えた画素回路が設けられている。薄膜トランジスタTr1,Tr2は、上述したようにボトムゲート型であり、ガラス基板10の直上には、第1金属パターン(21)を用いて構成されたゲート電極14a,14bが設けられている。そして、これらを覆うゲート絶縁膜31上には、以降に説明するレーザ光の照射によって結晶化した半導体薄膜32Aがチャネル領域を構成する層として設けられている。またこの上部には、半導体薄膜からなるソースSおよびドレインD、さらには第2金属パターン(22)からなるソース電極22sおよびドレイン電極22dが設けられている。
【0043】
以上のような薄膜トランジスタTr1,Tr2を備えた画素回路は、パッシベーション膜51で覆われ、この上部に平坦化絶縁膜52が設けられている。この平坦化絶縁膜52上において各副画素aに対応する位置に、発光素子ELが設けられている。
【0044】
各発光素子ELは、副画素a毎にパターン形成された下部電極53、この上部に設けられた有機材料からなる発光機能層54、および発光機能層54上に設けられた上部電極55で構成されている。
【0045】
このうち下部電極53は陽極(または陰極)として用いられるものである。また発光機能層54は、少なくとも有機発光層を備えており、例えば陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層などを必要に応じて積層された構成となっている。この発光機能層54は、各発光素子ELの発光色毎に異なる構成となっている。そして上部電極55は、有機電界発光素子ELの陰極(または陽極)として用いられるものであり、全画素に共通の電極として設けられている。
【0046】
以上のような構成の発光素子ELは、下部電極53の周囲を覆う絶縁性パターン56によって素子分離されている。また、各発光素子ELは、ここでの図示を省略した接続孔を介して、下部電極53において駆動用の薄膜トランジスタTr2のソースSに接続された構成となっている。尚、平坦化絶縁膜52上には、下部電極53と同一層で構成された補助電極53aが設けられ、この補助電極53aを上部電極55に接続させることにより、上部電極55における電圧降下を防止する構成であることが好ましい。
【0047】
またここでの図示は省略したが、以上のような構成の発光素子ELは、接着性の封止剤を介して貼り合わされた対向基板によって封止されていることが好ましい。
【0048】
このような構成の第1実施形態の表示装置1aでは、画素回路を構成する薄膜トランジスタTr1,Tr2のソースS/ドレインDの配列を反転させたミラー反転構造において、反転方向に隣接する偶数個の画素回路を1組にして表示画素Aが構成されている。このため、各表示画素A間に配置される同色の色表示を行うための画素回路の薄膜トランジスタTr1,Tr2を、ソースS/ドレインDの配列方向が同一のものとすることができる。
【0049】
つまり、図3に示されるように、全ての表示画素Aにおける赤色発光用の副画素a(R)では、薄膜トランジスタTr1は左側からドレインD→ソースSの順に配列されたものとなり、薄膜トランジスタTr2は左側からソースS→ドレインDの順に配列されたものとなる。
【0050】
したがって、次の製造方法で詳細に説明する、レーザアニールによって結晶化された半導体薄膜32Aを用いた場合において問題となる、ソースS/ドレインDの配列方向に起因する同一色の輝度ムラが防止される。
【0051】
しかも、各表示画素Aを構成する画素回路のうちの2つの画素回路は、視認性が高く高輝度の発光が必要とされる緑色の副画素a(G)を構成するものである。したがって、異なる表示色間において、視認性に基づく表示ムラを防止できる。
【0052】
<表示装置の製造方法>
次に、上述した構成の表示装置の製造方法を説明する。
【0053】
先ず、図5に示すように、平面矩形形状のガラス基板10を用意する。そして、このガラス基板10に対して、例えば2枚の表示パネル2の形成領域を設定する。この際、1枚のガラス基板10に対して、効率よく2枚の表示パネル2を配置できるように、ガラス基板10の長辺に対して、表示パネル2の短辺を平行に配置する。そして、各表示パネル2内には、各表示パネル2と略相似形で平面矩形形状の表示領域2aを設定する。
【0054】
さらに表示領域2a内には、平面矩形形状の副画素aを配列設定する。これらの副画素aは、表示領域2aの短辺方向yに対して、各副画素aの長辺を平行にして配置される。さらにこれらの副画素aは、これらの短辺方向に配列された赤(R)、緑(G)、緑(G)、青(B)の4つの副画素aを1組とした略正方形の表示画素Aを構成することは、上述した通りである。
【0055】
次に、図6の平面図、および図7(1)の断面図(図6の平面図のA−A’断面図に相当する)に示すように、ガラス基板10上の各表示領域に、第1金属パターン(21)からなるゲート電極14a,14bを形成する。また同一工程で、第1金属パターン(21)からなる他の配線部分、例えば信号線13の一部、およびゲート電極14bと一体な容量素子(Cs)の下部電極部分を形成する。
【0056】
この際、スイッチング用の薄膜トランジスタ(Tr1)のゲート電極14a、および駆動用の薄膜トランジスタ(Tr2)のゲート電極14bは、表示領域2aの短辺方向yと平行に延設されるようにパターニングされる。そして、これらのゲート電極14a,14bは、表示領域2aの長辺方向xを線幅方向とし、この線幅方向に配列形成されると共に、短辺方向yにも複数列が配列形成される。また信号線13の一部は、表示領域2aの短辺方向yと平行となるようにパターニングされる。
【0057】
このような、ゲート電極14a,14bを含む第1金属パターン(21)は、例えばスパッタ法により成膜したモリブデン(Mo)膜を、レジストパターンをマスクにしてパターンエッチングすることによって形成する。尚、第1金属パターン(21)は、モリブデン(Mo)により構成されているとは限らず、後の熱工程において変質しにくい高融点の金属であればよい。
【0058】
次に、これらの第1金属パターン(21)を覆う状態で、例えば酸化シリコンや窒化シリコンを用いたゲート絶縁膜31を成膜し、さらに続けて非晶質シリコンからなる半導体薄膜32を成膜する。
【0059】
その後、図7(2)に示すように、半導体薄膜32上を覆う状態で、酸化シリコンや窒化シリコンを用いたバッファ層41を成膜し、さらに続けてモリブデン(Mo)を用いた光熱変換層42を成膜する。尚、この光熱変換層42は、後述するレーザ光などのエネルギー線を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換するためのものである。したがって、この光熱変換層42としては、次に行う結晶化アニールの際に使用するレーザ光(エネルギー線)の吸収率が高いこと、バッファ層41や半導体薄膜32への熱拡散速度が低いこと、後の結晶化の際に生じる熱によっても変質しにくい高融点の材料であること、などの条件を満たせばどのような材料であってもよく、例えば他に炭素(C)などを用いるようにしてもよい。
【0060】
以上の後、図6の平面図および図7(3)に示すように、光熱変換層42およびバッファ層41を介して半導体薄膜32に間接的にレーザ光Lhを照射し、この半導体薄膜32に加熱処理を施す。この際、固体レーザを発信源としたレーザ光Lhを照射する。これにより半導体薄膜32におけるレーザ光Lhの照射部をナノメートルオーダーの結晶粒に結晶化させた半導体薄膜(微結晶シリコン薄膜)32Aとする。
【0061】
またここでのレーザ光Lhの照射においては、ゲート電極14a,14bの線幅方向にレーザ光Lhを走査させながら照射する。れにより、レーザ光の走査方向vは、表示領域2aの長辺方向xに対して平行、つまり図5に示すようにガラス基板10の短辺に対して平行としている。これにより、レーザ光の走査距離が長いことによるレーザ光Lhのエネルギーばらつきを防止し、より均一な結晶が得られるようにしている。
【0062】
そして、線幅方向に配列された複数列のゲート電極14a,14bに対して、線幅方向に沿った同一の走査方向vにのみレーザ光Lhを走査させる、いわゆるラスタスキャンを行なうことが重要である。つまり、図5に示すように、レーサ光の走査方向vは、表示領域2aの長辺方向xに沿った一方向からのみなされる。尚、このようなレーザ光Lhの照射は、一度に複数の列部分に対してレーザ光Lhを照射できる、マルチへッド方式で行われても良い。
【0063】
以上のような結晶化においては、半導体薄膜32Aの下層に設けられたゲート電極14a,14bを構成する第1金属パターン(21)の影響によって半導体薄膜の結晶性に差が生じる。つまり、第1金属パターン(21)を挟んでレーザ光の走査方向(v)の上流側では、レーザ光照射によって第1金属パターン(21)が十分に加熱される前に半導体薄膜の結晶化が行われるため、結晶性が疎になる。これに対して、第1金属パターン(21)を挟んでレーザ光の走査方向(v)の下流側では、レーザ光照射によって第1金属パターン(21)が十分に加熱された状態で半導体薄膜の結晶化が行われる。このため、上流側よりも結晶性が密になる。
【0064】
尚、レーザ光Lhの走査方向vと垂直な方向の照射幅は、トランジスタ(Tr1),(Tr2)の形成部を覆う程度であれば良い。そして、ここでのレーザ光Lhの照射は、図3を用いて説明したように配置形成される薄膜トランジスタ(Tr1),(Tr2)の形成位置に対応する部分のみに、すなわちゲート電極14a,14bの上方を含む領域に対して選択的に照射されれば良い。
【0065】
以上のようなレーザ光Lh照射の後、図7(4)に示すように、半導体薄膜32A上の光熱変換層42およびバッファ層41をエッチングにより除去する。
【0066】
次に、図8(1)に示すように、半導体薄膜32A上においてゲート電極14a,14bに重なる位置で、チャネル領域となる半導体薄膜32A部分の上部に、絶縁性のストッパ層33をパターン形成する。
【0067】
次いで、図8(2)に示すように、ストッパ層33を覆う状態で、例えばn型の不純物を含有するシリコンからなるn型半導体層34を成膜する。
【0068】
その後、図8(3)に示すように、n型半導体層34と半導体薄膜32Aとを、ゲート電極14a,14bの上方において島状にパターニングする。
【0069】
しかる後、図8(4)に示すように、n型半導体層34を覆う金属膜を形成してこれをパターニングすることにより、第2金属パターン(22)からなるソース電極22sとドレイン電極22dとを形成する。このソース電極22s/ドレイン電極22dは、ストッパ層33上において分割された状態となっている。また、n型半導体層34も、ストッパ層33上で分離するようにパターニングし、このn型半導体層34からなるソースS/ドレインDを形成する。
【0070】
これにより、微結晶性の半導体薄膜32Aによってチャネル領域が構成され、このチャネル領域に接するソースS/ドレインDにソース電極22s/ドレイン電極22dが接続された薄膜トランジスタTr1,Tr2を得る。また、ソース電極22s/ドレイン電極22dの形成と同じ工程で、第2金属パターン(22)からなる他の配線部分、例えば図3に示した走査線11、電源線12、容量素子Csの上部電極、信号線13の一部分等を形成する。
【0071】
以上のようにして、図3に示したように、ガラス基板10上に設定した各表示領域に走査線11、電源線12、および信号線13を形成し、さらに各副画素aに薄膜トランジスタTr1,Tr2および容量素子Csを形成した画素回路を形成する。この画素回路の形成においては、薄膜トランジスタTr1,Tr2のソースSとドレインDとがゲート電極14a,14bの線幅方向に交互に反転するように配線が成されることとする。
【0072】
次に、以上のようにして作製した薄膜トランジスタ基板の上部に発光素子を形成する。この工程を、先の図4に基づいて説明する。
【0073】
先ず、以上の画素回路(薄膜トランジスタTr1,Tr2のみ図示)が形成されたガラス基板10上を覆う状態で、パッシベーション膜51を成膜し、この上部に平坦化絶縁膜52を形成する。次に、平坦化絶縁膜52およびパッシベーション膜51に、薄膜トランジスタTr2のソース電極22s/ドレイン電極22dの一方(例えばソース電極22s)に達する接続孔(図示所略)を形成する。次に、接続孔を介してソース電極22sおよびソースSに接続された下部電極53を、平坦化絶縁膜52上にパターン形成する。また同一工程で、補助配線53aを形成する。
【0074】
次に、下部電極53の中央部分を広く露出して周縁を覆うと共に、補助配線53aの一部を露出させる形状の絶縁性パターン56を形成する。この絶縁性パターン56において下部電極53を露出させた開口部分が画素開口となる。
【0075】
その後、絶縁性パターン56から露出した下部電極53を覆う状態で、有機材料を用いて構成される発光機能層54を形成する。この発光機能層54は、ここで形成する発光素子の発光色毎に異なる工程で個別に形成することとする。次いで、発光機能層54を覆うと共に補助配線53aに接続された状態で、全画素に共通の上部電極55を形成する。
【0076】
以上により、平坦化絶縁膜52上に、下部電極53と上部電極55との間に有機発光層を含む発光機能層54を挟持してなる発光素子ELを形成する。この発光素子ELは、下部電極53において薄膜トランジスタTr2に接続された構成となっている。
【0077】
特にここでは、ゲート電極14a,14bの線幅方向に隣接して配置された4つの画素回路のうち、2つの画素回路に接続させて緑色の発光素子EL(G)を形成し、残りの画素回路に接続させて赤色の発光素子EL(R)と青色の発光素子EL(B)とを形成することが重要である。
【0078】
以上の後、ガラス基板10の発光素子EL形成面側に対向基板を配置し、接着性の封止剤を介してガラス基板10と対向基板とを貼合せる。そして、図5に示したように、1枚のガラス基板10に複数の表示パネル2の形成領域が設定されている場合であれば、表示パネル2毎にガラス基板10および対向基板を分割し、各分割部分に対して必要に応じて所手手順でフレキシブルプリント基板を接続させて表示装置1を完成させる。
【0079】
以上説明した第1実施形態の製造方法により、図1〜図4を用いて説明したミラー反転構造であって、走査線11に沿って隣接配置された4つ画素回路を用いた副画素を1組にした表示画素Aを有する表示装置1aを得ることができる。
【0080】
特にこの製造方法では、薄膜トランジスタTr1,Tr2のチャネル領域を構成する半導体薄膜32の結晶化アニールの際に、図3および図6に示されるように、ゲート電極14a,14bの線幅方向(走査線11方向)に沿った走査方向vにレーザ光を走査させている。このため、この配列方向に沿って設けられた画素回路を構成する薄膜トランジスタTr1,Tr2は、ソース側を上流としてエネルギー線が照射されたものと、ドレイン側を上流としてエネルギー線が照射されたものとが交互に配置されることになる。
【0081】
ここで図9には、上記結晶化アニールの際のレーザ光の走査方向毎の、薄膜トランジスタの電流特性を示すグラフである。このグラフに示すように、ソース側を上流として得られたた薄膜トランジスタと、ドレイン側を上流として得られた薄膜トランジスタとでは、得られるドレイン電流Idsに大きな差が生じることが分かる。
【0082】
しかしながら、上述した製造方法によって得られる上述した第1実施形態の構成の表示装置1aは、4つの画素回路に各色の発光素子を接続させて1組の表示画素Aを形成している。このため上述したように、各表示画素A間に配置される同色の色表示を行うための画素回路の薄膜トランジスタTr1,Tr2を、ソースS/ドレインDの配列方向が同一のものとすることができる。
【0083】
つまり、図3に示されるように、全ての表示画素Aにおける赤色発光用の副画素a(R)では、薄膜トランジスタTr1は左側からドレインD→ソースSの順に配列されたものとなり、薄膜トランジスタTr2は左側からソースS→ドレインDの順に配列されたものとなる。
【0084】
したがって、各色発光用の副画素a(R),a(G),a(G),a(B)は、表示画素A間において、それぞれが均一な電流特性の薄膜トランジスタTr1,Tr2を用いて構成された画素回路で駆動されるようになる。したがって、電流駆動される有機電界発光素子を用いながらも、同一色の輝度ムラを防止することが可能になる。尚、特に駆動用のトランジスタTr2の電流特性が、各発光色において均一であることが、同一色の輝度ムラを防止する上で重要である。
【0085】
しかも、各表示画素Aを構成する画素回路のうちの2つの画素回路は、視認性が高く高輝度の発光が必要とされる緑色の副画素a(G)を構成するものである。したがって、異なる表示色間において、視認性に基づく表示ムラを防止できる。
【0086】
≪2.第2実施形態≫
図10は、第2実施形態の表示装置の特徴部を示す要部断面図であり、この図に示す第2実施形態の表示装置1bが、第1実施形態の表示装置と異なるところは、表示画素Aに設けられた緑色の副画素a(G),a(G)が、2つの画素回路に1つの発光素子EL(G)のみに接続されているところにあり、他の構成は同様である。尚、図10は、2つの副画素a(G),a(G)部分の断面図を示し、図3において2つの副画素a(G),a(G)の薄膜トランジスタTr1,Tr2を横断するA−A’断面に相当する。
【0087】
このような図10に示す第2実施形態の表示装置1bでは、図4に示す第1実施形態と比較して、緑色の副画素a(G)における緑色の発光素子EL(G)の開口面積を広くすることができる。このため、さらに緑色の視認性を高めることができる。また、表示画素Aの全体の開口面積の向上を図ることも可能である。
【0088】
≪3.第3実施形態≫
<表示装置の全体構成>
図11〜図13は、第3実施形態の表示装置の特徴部を示す図面である。このうち図11は、第3実施形態の表示装置1dの全体構成を示す平面図である。また図12は、第3実施形態の表示装置1cにおいて、4つの副画素aで構成された表示画素Aの回路構成図を示す。さらに図13には、第3実施形態の表示装置1cにおいて、各副画素aに設けた画素回路のレイアウト図を示す。
【0089】
これらの図に示す第3実施形態の表示装置1cが、第1実施形態の表示装置と異なるところは、表示画素Aに設けられた緑色の副画素a(G),a(G)が、それぞれ個別の信号線13に接続されているところにあり、他の構成は同様である。
【0090】
このような構成の第3実施形態の表示装置1cでは、第1実施形態の表示装置との比較において、緑色の副画素a(G),a(G)に設けたそれぞれの発光素子EL(G)を、それぞれ個別の映像信号で発光させることが可能になる。
【0091】
尚、このような第3実施形態の表示装置1cは、第2実施形態と組み合わせた構成とすることも可能であるが、この場合、1つの発光素子EL(G)に対して、それぞれ個別の信号線からの映像信号に相当する電流を供給することが可能になる。
【0092】
≪4.第4実施形態≫
図14は、第4実施形態の表示装置の特徴部を示す図であり、第4実施形態の表示装置1dにおいて、各副画素aに設けた画素回路のレイアウト図を示す。この図に示す第4実施形態の表示装置1dが、第1実施形態の表示装置と異なるところは、表示画素Aに設けられた緑色の副画素a(G),a(G)が、個別の信号線13に接続されており、かつ共通電極12から延設されたドレインD側の部分を共有しているところにあり、他の構成は同様である。
【0093】
このような構成では、表示画素Aに設けられた緑色の副画素a(G),a(G)の2つの画素回路が、1本の電源線12を共有する状態で電源線12に対して対象にレイアウトされている。
【0094】
このような構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
尚、上述した第1実施形態〜第4実施形態においては、1つの表示画素Aに設けた2つの画素回路に、緑色の発光素子EL(G)を接続させた構成を説明した。しかしながら、1つの表示画素Aに設けた2つの画素回路に接続する発光素子ELは、緑色の発光素子EL(G)に限定されることはない。例えば、青色の発光素子EL(B)や赤色の発光素子EL(R)であっても良い。
【0096】
一般的に、有機電界発光素子(発光素子)は、発光色毎に発光効率が異なる。このため、1つの表示画素Aに設けた2つの画素回路に接続する発光素子ELとして、相対的に発光効率が最も低い青色の発光素子EL(B)を用いても良い。この場合、相対的に発光効率の低い青色の発光素子EL(B)を、2つの画素回路にそれぞれ接続させたり、2つの画素回路に対して開口面積の大きな1つ青色発光素子EL(B)を接続させる。これにより、各発光色の輝度差を小さくすることができる。
【0097】
<適用例>
以上説明した本発明に係る製造方法によって得られる表示装置は、図15〜図19に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下に、本発明が適用される電子機器の一例について説明する。
【0098】
図15は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0099】
図16は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0100】
図17は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0101】
図18は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0102】
図19は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1実施形態の表示装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態の表示装置の回路構成図である。
【図3】第1実施形態の表示装置の画素回路のレイアウト図である。
【図4】第1実施形態の表示装置の要部断面図である。
【図5】本発明の表示装置の製造工程を説明するための基板構成図である。
【図6】第1実施形態の製造工程の一部を説明するための要部平面工程図である。
【図7】本発明の表示装置の製造工程を説明するための断面工程図(その1)である。
【図8】本発明の表示装置の製造工程を説明するための断面工程図(その2)である。
【図9】結晶化アニールの際のレーザ光の走査方向毎の、薄膜トランジスタの電流特性を示すグラフである。
【図10】第2実施形態の表示装置の特徴部を説明するための要部断面図である。
【図11】第3実施形態の表示装置の全体構成を示す平面図である。
【図12】第3実施形態の表示装置の回路構成図である。
【図13】第3実施形態の表示装置の画素回路のレイアウト図である。
【図14】第4実施形態の特徴部を説明するための画素回路のレイアウト図である。
【図15】本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図16】本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図17】本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図18】本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図19】本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図20】従来のミラー反転構造の表示装置用の薄膜トランジスタ基板のレイアウト図である。
【符号の説明】
【0104】
1a,1b,1c,1d…表示装置、12…電源線、13…信号線、14a,14b…ゲート電極、31…ゲート絶縁膜、32…非晶質の半導体薄膜、32A…結晶化させた半導体薄膜、A…表示画素、D…ドレイン、EL…発光素子、EL(R)…赤色発光素子、EL(G)…緑色発光素子、EL(B)…青色発光素子、Lh…レーザ光(エネルギー線)、S…ソース、Tr1…薄膜トランジスタ、Tr2…薄膜トランジスタ、v…走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを有し、当該薄膜トランジスタのソースとドレインとの配列方向を交互に反転させた状態で当該配列方向に沿って設けられた複数の画素回路と、
前記配列方向に隣接して配置された4以上の偶数個の前記画素回路のうち、2つの画素回路に接続された同色の発光素子と、残りの偶数の画素回路にそれぞれ接続された各色の発光素子とを有する表示画素とを備えた
表示装置。
【請求項2】
前記薄膜トランジスタはボトムゲート構造であり、
前記薄膜トランジスタのチャネル領域は、前記配列方向に沿ってエネルギー線を走査させながら照射することで結晶化させた半導体薄膜を用いて構成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記2つの画素回路に接続された同色の発光素子は、前記表示画素を構成する各色の発光素子のうち最も高い輝度を必要とする発光素子である
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記2つの画素回路に接続された同色の発光素子は、前記表示画素を構成する各色の発光素子のうち最も発光効率の低い発光素子である
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記画素回路を構成する薄膜トランジスタは、当該画素回路に接続された前記発光素子の発光色毎に異なるチャネル幅を有している
請求項1〜4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記2つの画素回路は、前記表示画素内において前記配列方向に隣接して配置され、共通の信号線に接続されている
請求項1〜5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記2つの画素回路は、前記表示画素内において前記配列方向に隣接して配置され、
前記2つの画素回路に接続された同色の発光素子は、1つの発光素子である
請求項1〜6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記配列方向に隣接して配置された前記画素回路は、1本の電源線を共有する状態で当該電源線に対して対象にレイアウトされている
請求項1〜7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記2つの画素回路は、前記表示画素内において前記配列方向に隣接して配置され、1本の電源線を共有する状態で当該電源線に対して対象にレイアウトされている
請求項1〜8の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
複数のゲート電極をその線幅方向に配列形成する工程と、
前記ゲート電極を覆う状態でゲート絶縁膜および非晶質の半導体薄膜をこの順に成膜する工程と、
前記ゲート電極の線幅方向にエネルギー線を走査させながら照射することにより前記半導体薄膜を結晶化させると共に、当該結晶化させた半導体薄膜を用いて薄膜トランジスタを形成する工程と、
前記薄膜トランジスタを有する画素回路を、当該薄膜トランジスタのソースとドレインとの配列方向を交互に反転させた状態で前記ゲート電極の線幅方向に沿って配列形成する工程と、
前記配列方向に隣接して配置された4以上の偶数個の画素回路のうち、2つの画素回路に接続させた同色の発光素子と、残りの偶数の画素回路とにそれぞれ接続させた各色の発光素子とを1組の表示画素として形成する工程とを行う
表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記線幅方向に配列形成された複数列の前記ゲート電極に対して、前記エネルギー線は前記線幅方向に沿った同一の走査方向にのみ走査させる
請求項10記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−151865(P2010−151865A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326858(P2008−326858)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】