説明

表示装置及びその製造方法

【課題】コンパクト且つ端面強度の良好な表示パネルを備えた表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表示装置は、それぞれ矩形状に形成された第1及び第2基板が枠状のシール材を介して貼り合わされた貼り合わせ基板を備えた表示装置であって、貼り合わせ基板の間の枠状のシール材20なくとも一辺が貼り合わせ基板の端面まで設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示素子は、複数個のパターンの付いたTFT(薄膜トランジスタ)基板とCF(カラーフィルタ)基板とをシール材を介して貼り合わせる方法で製造されている。
【0003】
この製造方法は、一対のガラス基板の各素子区画にそれぞれ表示用の透明電極および配向膜等を形成した基板(TFT基板)と、TFT基板に形成した表示パターンに対応したカラーフィルタ等が形成された基板(CF基板)とを、その各素子区画の液晶封入領域をそれぞれ囲んで印刷したシール材を介して接着させ、複数個の液晶表示素子が並んだ素子集合体を貼り合わせる工程を備えている。そして、特許文献1に開示されるように、この貼り合わせ基板を所定のラインで分断することにより、所定サイズの液晶表示装置を形成している。従来は、液晶封入領域に液晶を注入する為の注入口を設けて、そこから真空注入法などを用いて液晶を注入した後、液晶注入口を封止し液晶パネルにするのが一般的であった。これに対し、近年、一対の基板を接着する前に、一方の基板の各素子区画の液晶封入領域にそれぞれ適量の液晶をディスペンサ等によって滴下供給する方法がより多く採用されている。
【0004】
また、近年、携帯電話や携帯情報端末機器及び携帯用ゲーム機などのモバイル機器の持ち運び易さを向上させる、或いは当該機器をコンパクトにするという液晶表示パネルに対する薄型軽量化の要求及びパネル外形サイズに対する画素領域の拡大の要求が非常に強い。このため、従来は液晶表示パネルのガラス厚の総厚が1mm以上であったものが、1mmを大きく下回る液晶表示パネルが出てきている。また、外形サイズに対する画素領域の拡大については、液晶表示パネルを構成するガラス基板の端面から液晶画素の表示領域までの距離を極力小さくするため、CF基板及びTFT基板を接着しているシール材の幅を極力細くする方策が取られている。
【0005】
尚、シール材の塗布は、シリンジを使用したディスペンス方式とスクリーン版を使用したシール印刷方式が一般的である。
【特許文献1】特開2000-52299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラス基板の端面から液晶画素の表示領域までの距離を極力小さくするのに、シール幅を細くする方法を取る場合、ディスペンス方式を採用するとシール幅を細くする為にシリンジのノズル径を小さくする必要がある。しかしながら、ノズル径を小さくすると、塗布の途中に目詰まりし易くなり、均一な幅でシールを描画することが困難になる。さらに、目詰まりの程度が悪化するとシール切れが発生するようになる。また、スクリーン版によるシール印刷においても、シール材の線幅を細かくする必要があることから、シール印刷時のスクリーン版の目詰まりによるシール切れ及びシール太さの不均一性が問題となる。
【0007】
さらに、上述の2つの方法で、それぞれシール幅を細くした場合、シール描画の位置を正確に制御しなければガラス基板の端面から液晶画素の表示領域までの距離を均等に短くできない。しかし、現行のシール描画方法では、シール描画の位置決め精度、スクリーン版の伸び、及び、基板の貼り合わせ精度等の影響を受ける上に、ガラス基板の分断を行う際、分断領域にシール材が存在すると、シール材が影響して割れ及びクラックの発生を誘発してパネル不良が生じてしまうという問題がある。
【0008】
従って、シール材の端からある程度の距離をおいてガラス分断をしなければ品質不良になり易くなるため、結果的にガラス基板の端面からシール材までの距離が必要になる。即ち、現行の製造プロセスでは、ガラス基板の端面から液晶画素の表示領域までの距離を極力小さくするのは困難である。
【0009】
また、ガラスの端面からシール樹脂端までの間隙が存在する液晶表示パネルを分断すると(特にガラス厚の総厚が1mmを下回る液晶表示パネルをホイールカッターを用いて分断する際に顕著であるが)、ガラス端面に対して垂直方向にクラックが入り易い。このようにガラス基板の端面にクラックが入ると、その端面強度が劣化してしまい、モバイル機器に要求される強度を満足しなくなるという問題がある。
【0010】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、コンパクト且つ端面強度の良好な表示パネルを備えた表示装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る表示装置は、それぞれ矩形状に形成された第1及び第2基板が枠状のシール材を介して貼り合わされた貼り合わせ基板を備えた表示装置であって、枠状のシール材の少なくとも一辺が貼り合わせ基板の端面まで設けられていることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、貼り合わせ基板の間の枠状のシール材の少なくとも一辺が貼り合わせ基板の端面まで設けられているため、表示領域に寄与しないシール材を表示パネルの最外縁に配置することができる。従って、表示パネル面積における表示領域の割合を増加させることができるため、表示装置のコンパクト化を図ることができる。また、表示パネルの形成工程における貼り合わせ基板の分断の際、貼り合わせ基板のシール材を設けた位置に対応する部位で分断しているため、基板端面にクラックが発生しにくい。従って、基板の端面強度が良好となる。
【0013】
本発明に係る表示装置の製造方法は、第1及び第2基板が枠状のシール材を介して貼り合わされた貼り合わせ基板を準備し、貼り合わせ基板上において、枠状のシール材の少なくとも一辺に対応する位置で貼り合わせ基板を分断することを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、枠状のシール材の少なくとも一辺に対応する位置で貼り合わせ基板を分断するため、基板端面にクラックが発生しにくい。従って、基板の端面強度が良好となる。また、表示領域に寄与しないシール材を表示パネルの最外縁に配置することができる。従って、表示パネル面積における表示領域の割合を増加させることができるため、表示装置のコンパクト化を図ることができる。
【0015】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、貼り合わせ基板が、第1基板上に枠状のシール材を設け、第1基板の枠状のシール材内方に表示媒体を滴下した後、第2基板を第1基板に貼り合わせることにより形成してもよい。
【0016】
このような構成によれば、第1基板の枠状のシール材内方に表示媒体を滴下した後、第2基板を第1基板に貼り合わせるため、基板に表示媒体の注入孔を設けないで貼り合わせ基板内に表示媒体を封入することができる。このため、基板分断時において、基板端面のクラックの発生をより効果的に抑制することができる。
【0017】
さらに、本発明に係る表示装置の製造方法は、貼り合わせ基板を第1基板にマトリクス状に複数の枠状のシール材を設けて形成し、貼り合わせ基板上において、複数の枠状のシール材のそれぞれ少なくとも一辺に対応する位置で一度に貼り合わせ基板を分断してもよい。
【0018】
このような構成によれば、貼り合わせ基板を第1基板にマトリクス状に複数の枠状のシール材を設けて形成し、貼り合わせ基板上において、複数の枠状のシール材のそれぞれ少なくとも一辺に対応する位置で一度に貼り合わせ基板を分断するため、一度の分断で複数の小判の基板の分断箇所を分断でき、装置の製造効率が良好となる。
【0019】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、複数の枠状のシール材を、第1基板に互いに間隔を空けずに設けてもよい。
【0020】
このような構成によれば、複数の枠状のシール材を、第1基板に互いに間隔を空けずに設けるため、一枚の大判の基板から無駄なく効率的に複数の小判の基板を得ることができ、製造コストが良好となる。
【0021】
さらに、本発明に係る表示装置の製造方法は、貼り合わせ基板を水圧を利用することにより分断してもよい。
【0022】
このような構成によれば、貼り合わせ基板を水圧を利用することにより分断するため、貼り合わせ基板をシール材と共に良好に分断することができる。
【0023】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、貼り合わせ基板をレーザ光照射により分断してもよい。
【0024】
このような構成によれば、貼り合わせ基板をレーザ光照射により分断するため、貼り合わせ基板をシール材と共に良好に分断することができる。
【0025】
さらに、本発明に係る表示装置の製造方法は、貼り合わせ基板をホイールカッターにより分断してもよい。
【0026】
このような構成によれば、ホイールカッターにより分断するため、貼り合わせ基板をシール材と共に良好に分断することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、コンパクト且つ端面強度の良好な表示パネルを備えた表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置として、TFT基板及びCF基板を貼り合わせてなる液晶表示装置を例に挙げ、図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
(実施形態)
(液晶表示装置10の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る製造方法によって製造される液晶表示装置10の平面図を示す。図2は、図1の液晶表示装置10のII-II線における断面図を示す。
【0030】
液晶表示装置10は、液晶表示パネル12と、液晶表示パネル12の裏面に配置されたバックライト13とを備えている。
【0031】
液晶表示パネル12は、ガラス基板を有するTFT基板14と、赤色絵素、緑色絵素及び青色絵素で構成されたカラーフィルタが形成され、ガラス基板を有するCF基板15と、を有している。TFT基板14とCF基板15との間には液晶層19及び不図示の柱状スペーサが形成されている。
【0032】
TFT基板14は、ガラス基板上であって、その液晶層19側(内側)に、マトリクス状に配列された画素に対応して設けられたそれぞれ不図示の画素電極、画素電極に接続されたTFT、ゲートバスラインおよびソースバスラインなどの回路要素が形成されている。これらの回路要素は、基板端部(端子領域)に形成された外部接続端子80に電気的に接続されている。また、この外部接続端子80は、ドライバIC等に電気的に接続されている。
【0033】
CF基板15は、ガラス基板上であって、その液晶層19側に、いずれも不図示の赤色絵素、緑色絵素及び青色絵素と、これらの間に配置された遮光層および対向電極等の表示素子が形成されている。
【0034】
TFT基板14及びCF基板15を貼り合わして形成された液晶表示パネル12は、その液晶表示領域の周辺に枠状のシール領域があるが、外部接続端子80が形成された基板端部を除き、枠状のシール材の3辺においてガラス基板端面までシール材20が設けられており、間隙が無い。
【0035】
また、TFT基板14及びCF基板15は、それぞれその外側に不図示の偏光板及び保護フィルムが形成されている。
【0036】
バックライト13は、液晶表示パネル12のTFT基板14側に配置されている。
【0037】
尚、本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、上述のような構成に限らない。例えば、バックライトは、TFT基板14の裏面に設けられていなくてもよい。さらに、液晶表示パネル12の間隙を保つために柱状スペーサの代わりにビーズ状スペーサを用いてもよい。
【0038】
また、TFT基板14及びCF基板15を貼り合わして形成された液晶表示パネル12は、外部接続端子80が形成された基板端部を除き、枠状のシール材20の3辺においてガラス基板端面までシール材20が設けられているが、これに限らず、枠状のシール材20の1辺或いは2辺においてのみガラス基板端面までシール材20が設けられていてもよい。
【0039】
(液晶表示装置10の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法について説明する。
【0040】
本実施形態では、液晶滴下真空貼り合わせ方式を使用して、多面取りを行う大判の貼り合わせ基板上に複数の液晶表示パネルを一度に製造する例を説明する。
【0041】
(液晶表示パネル12の作製)
(大判のCF基板41の製造工程)
まず、図3に示すように、外形サイズが例えば320mm×400mm程度の大判のガラス基板30を用意する。大判のガラス基板30は、その内部に、マトリクス状に配列された外形サイズがそれぞれ100mm×50mmの小型基板(後のCF基板33)を合計21枚含むように形成されている。
【0042】
大判のガラス基板30としては、光透過性の高い無機ガラス等が使用され、このような無機ガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラスなどが挙げられる。ガラス基板は、厚さが例えば0.3〜5mm程度に形成されている。
【0043】
次に、大判のガラス基板30上に、複数のマトリクス状に配置された小型基板の表示領域を囲むような遮光領域に、例えば幅約5〜50μmのブラックマトリクスをスパッタリング法などにより形成する。次に、ガラス基板上の小型基板の表示領域に赤の顔料が分散された樹脂フィルム(ドライフィルム)を全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、赤色絵素を形成する。次に、赤色絵素に重ねて、緑色の顔料が分散された樹脂フィルムを全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、緑色絵素を形成する。同様に、青色絵素を形成する。
【0044】
このとき、複数の小型基板は、それぞれ互いに横方向に隣り合う他の基板と、基板端部におけるシール材供給予定位置60同士の間隔を空けずに連続して形成されている。また、複数の小型基板は、それぞれ互いに縦方向に隣り合う他の基板と、基板端部におけるシール材供給予定位置60同士の間隔を空けて形成されている。
【0045】
尚、各絵素の形成方法は、ドライフィルムをラミネートする代わりに、顔料が分散された感光性樹脂材料をスピン、スリットコートにより全面に塗布してもよい。更に、各絵素の形成順序は、特に限定されず、他の順序でもよい。
【0046】
次に、各絵素上にITOを蒸着して対向電極を形成することにより、複数の小型基板に対応する位置にそれぞれ小型のCF基板33を形成する。
【0047】
以上の工程により、複数の小型のCF基板33がマトリクス状に形成された大判のCF基板41が完成する。
【0048】
(大判のTFT基板42の製造工程)
続いて、図4に示すように、上述の大判のCF基板41で準備したのと同様の大判のガラス基板30を用意し、例えばTa又はAl/Tiからなるゲート電極をスパッタ法により形成し、パターニングする。次に、例えばゲート絶縁膜としてSiNx、薄膜として半導体a−Si、p−Si又は単結晶Si等を形成する。次いで、エッチングによりパターン形成を行う。次に、コンタクトホール、ドレイン電極及びソース電極を形成する。さらに、同一工程又は別工程によって、基板端部にドライバICを設け、TFTを形成する。さらに、所定領域に透明絶縁層を形成する。次に、ITOを真空蒸着後、パターン形成することにより複数の画素電極をマトリクス状に形成し、これらの回路要素に電気的に接続した外部接続端子80をそれぞれその端部に形成して、各々表示領域を有する小型のTFT基板34が複数形成された大判のTFT基板42を作製する。
【0049】
このとき、複数の小型基板34は、それぞれ互いに横方向に隣り合う他の基板と、基板端部におけるシール材20供給予定位置同士の間隔を空けずに連続して形成されている。また、複数の小型のTFT基板34は、それぞれ互いに縦方向に隣り合う他の基板と、基板端部におけるシール材供給予定位置61同士の間隔を空けて形成されている。
【0050】
続いて、セル厚を規定するためのスペーサを、フォトリソグラフィ工程を経て複数形成する。なお、スペーサはCF基板側に形成してもよい。
【0051】
(大判の貼り合わせ基板43の形成工程)
次に大判のCF基板41及び大判のTFT基板42を貼り合わせて大判の貼り合わせ基板43を形成する工程を説明する。
【0052】
まず、大判のCF基板41の遮光領域上、及び、外周に、連続して途切れなく枠状のシール材20を塗布する。このとき、シール材20によりマトリクス状に配置された複数の小型のCF基板33がそれぞれ囲まれている。さらに、大判のCF基板41に塗布するシール材20は、大判のTFT基板42を貼り合わせた際、その外部接続端子80が、それぞれシール材20の外側に張り出すような位置に設ける。
【0053】
次いで、ディスペンサ等を用いて、例えば1ショット当り2mgの液晶材料を大判のCF基板41に滴下する。この際、液晶材料は小型のCF基板33の外周囲に枠状に塗布されたシール材20の内方に滴下する。
【0054】
続いて、図5に示すように、液晶材料が滴下された大判のCF基板41に大判のTFT基板42を、互いの小型基板33,34どうしがそれぞれ対向するように位置合わせして貼り付ける。このとき、貼り付けられた大判のTFT基板42及び大判のCF基板41におけるシール材20で囲まれた複数の領域に、それぞれ液晶表示セルが形成される。TFT基板の外部接続端子80は、このシール材20で囲まれた領域外に張り出している。また、この工程は真空中で行われる。次いで、大気中に戻すと、貼り合わされた大判のTFT基板42及び大判のCF基板41間の液晶材料が大気圧により拡散する。
【0055】
次に、大判のTFT基板42側表面の表示領域に対応する部分に遮光マスクを設けた状態で、大判のTFT基板42側から紫外線を照射し、シール材20を硬化する。
【0056】
次に、遮光マスクを取り除き、加熱・除冷工程を経ることで、大判の貼り合わせ基板43を作製する。
【0057】
(大判の貼り合わせ基板43の薄型化工程)
次に、大判の貼り合わせ基板43の外表面にエッチング処理を施して薄型化する。エッチング処理は、大判の貼り合わせ基板43をエッチング処理槽内に入れて、エッチング処理液で浸漬することにより行なう方法と、エッチング液を大判の貼り合わせ基板43に噴霧する方法がある。浸漬する場合は、エッチング処理槽の底部から、基板表面に発生する副生成物を除去する為の気泡を発生させながらエッチング処理を行うとよい。噴霧する場合は、エッチング処理液を基板外面に対しノズル等から噴霧すると良い。
【0058】
エッチング処理液は、特に限定されず、例えば、フッ化水素酸、フッ化ソーダ、フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウム、等のフッ素化合物又は、これらと塩酸等の他の酸化合物との混合物等含有処理液、或いは、水酸化カリウムや水酸化テトラメチルアンモニウム等含有処理液等の、ガラス基板を良好にエッチングすることができる処理液を用いる。
【0059】
次に、薄型化処理を行った大判の貼り合わせ基板43の表面を洗浄してエッチング処理液を除去する。
【0060】
(大判の貼り合わせ基板43の分断工程)
次に、大判の貼り合わせ基板43に対し、それぞれ図3に示すように大判のCF基板41を、また、図4に示すように大判のTFT基板42を分断する。このとき、分断ラインは、それぞれ外部接続端子80が形成された辺以外の3辺は、シール材20の中央線上とする。このため、ガラス基板の分断面までシール材20が位置する。外部接続端子80が形成された辺は、シール材20から所定間隔外側へ離れたラインで分断する。
【0061】
分断は、水圧を利用して行う。具体的には、例えば、図6に示すように、チューブ70を介して供給された水71をノズル72によって高圧にした後、分断ラインに向けて噴射させて行う。高圧にして噴射させるものは水以外の液体であってもよく、さらに液体に研磨材等を混ぜて分断能力を高めたものであってもよい。このとき、基板の分断面は磨りガラス状となっている。
【0062】
また、分断は、レーザ光照射によって行ってもよい。このとき、基板の分断面はレーザ光の照射熱によりガラスが溶けた状態となっている。
【0063】
さらに、分断は、ホイールカッターにより行ってもよい。このとき、基板の分断面はミクロの突起物が形成された状態となっている。
【0064】
このように大判の貼り合わせ基板43を分断することにより、それぞれ小型基板33,34で構成された単一の液晶表示パネル12に分離し、これにバックライト13等を設けて液晶表示装置10を作製する。
【0065】
尚、本実施形態では、表示装置として、LCD(liquid crystal display;液晶表示ディスプレイ)を用いた液晶表示装置について示したが、PDP(plasma display panel;プラズマディスプレイパネル)、有機EL(organic electroluminescence )、FED(field emission display;電界放出ディスプレイ)、又は、SED(surface-conduction electron-emitter display;表面電界ディスプレイ)等を用いた表示装置に係るものであってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、大判のガラス基板30上に小型のTFT基板34及びCF基板33を、それぞれ互いに横方向に隣り合うものは、基板端部におけるシール材供給予定位置60,61同士の間隔を空けずに連続して形成し、互いに縦方向に隣り合うものは、基板端部におけるシール材供給予定位置60,61同士の間隔を空けて形成されているが、これに限らない。例えば、図7,8に示すように、小型のTFT基板34及びCF基板33を、それぞれ互いに縦及び横方向のいずれも基板端部におけるシール材供給予定位置60,61同士の間隔を空けずに連続して形成してもよく、図9,10に示すように、縦及び横方向のいずれも基板端部におけるシール材供給予定位置60,61同士の間隔を空けて形成してもよい。尚、これらの図7〜10に示すTFT基板34及びCF基板33の分断ラインは、上述の実施形態と同様に、枠状のシール材20の中央線上とする。また、外部接続端子80が形成された辺のみは、枠状のシール材20から所定間隔外側へ離れたラインで分断する。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
上述の実施形態に係る製造方法と同様にして以下の条件で液晶表示パネルを作成した。
【0068】
大判基板(320mm×400mm)の中には、21面付けの小型基板(100mm×50mm)を設けた。ここで、ガラス基板は、厚さがCF基板・TFT基板共に0.7mmのものを用いた。
【0069】
枠状のシール材の線幅は、各辺とも1.2mmとした。
【0070】
貼り合わせ基板のエッチング処理は、フッ酸10%、塩酸5%の混合水溶液中に基板を浸漬し、基板底部から、ガラス表面に発生する副生成物を除去する為の気泡を発生させる事で行い、貼り合わせ基板の総厚を0.6mm程度薄くし、約0.8mmの基板にした。
【0071】
貼り合わせ基板の分断は、水圧を利用して行い、分断後の液晶表示パネルのシール材20の線幅を測定したところ、外部接続端子側の辺が1.2mmであった他は、3辺とも0.6mmとなっていた。
【0072】
次に、上記で作成した基板のガラス(外形サイズ:100mm×50mm)の端面強度を確認すべく、図11で示す強度試験装置90で、一般的に4点曲げ試験と呼ばれる強度試験を行った。尚、実験は21枚のパネルの内、10枚を無作為に抜き取って行った。
【0073】
ここで、強度試験は、強度試験装置90の上部ステンレス製加圧冶具91の間隙aを20mmに、下部ステンレス製基板受け冶具92の間隙bを40mmにして、液晶表示パネルに対し、上部ステンレス製加圧冶具91を下降速度5mm/minで加圧することにより行った。そして、液晶表示パネルが破壊するまでの最大加圧値を測定し、ガラス基板の端面の強度を測定した。
【0074】
上述の強度試験を10枚のパネルに対してそれぞれ行った結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
(実施例2)
実施例1と同一構成の基板を同様のプロセスにて作製した。ここで、実施例2では分断方法についてはレーザー分断装置(三星ダイヤモンド社製デモ装置)を用いたレーザ光照射により行った。
【0077】
このように作成したパネルに上述したものと同様の強度試験を行い、表2の結果を得た。
【0078】
【表2】

【0079】
(実施例3)
実施例1と同一構成の基板を同様のプロセスにて作製した。ここで、実施例2では分断方法については超硬ホイール分断装置(三星ダイヤモンド社製)によるホイールカッターを用いたスクライブ方式により行った。
【0080】
このように作成したパネルに上述したものと同様の強度試験を行い、表3の結果を得た。
【0081】
【表3】

【0082】
(比較例)
比較例として、図12に示すように、実施例1と同一の表示画素サイズの大判基板104(320mm×400mm)の中に、枠状シール材102を形成した21面付けの小型のCF基板101(100mm×50mm)を互いに離間して設けたものを準備した。
【0083】
また、図13に示すように、実施例1と同一の表示画素サイズの大判基板105(320mm×400mm)の中に、それぞれ外部接続端子110を備えた21面付けの小型のTFT基板103(100mm×50mm)を互いに離間して設けたものを準備した。
【0084】
次に、これらの基板104,105を液晶材料を介して貼り合わせて、図14に示す大判の貼り合わせ基板106を作製し、実施例1と同様の条件でエッチング処理まで行った。
【0085】
次に、図12,13に示すように、シール材102から外側へ間隔を空けた位置を分断ラインとして、超硬ホイールを利用したスクライブ分断を行い、液晶表示パネル111を作製した。分断後のパネルのシール材102の線幅は、全ての辺で1.2mmとなっていた。
【0086】
ここで、実施例1に係る液晶表示パネルの平面図は、実施形態と同様に、図1で示される。実施例1に係る液晶表示パネルの液晶表示領域の周辺にシール材があるが、端子部領域を除き、ガラス端面までシール材があり、間隙が無い(端子部以外のシール幅:0.6mm、端子側のシール幅:1.2mm)。
【0087】
また、図15に比較例の液晶表示パネル111の平面図を示す。比較例に係る液晶表示パネル111は、液晶表示領域の周辺にシール材102があるが、各辺において、ガラス端面とシール樹脂の間に間隙が存在している(シール幅:約1.2mm、シールからガラス端の間隙:約0.3mm)。
【0088】
上記の図10及び図15で示す実施例1及び比較例に係る液晶表示パネル12,111は、それぞれ画素エリアの大きさ自体は全く同一のサイズであるが、実施例1に係る液晶表示パネル12はシール材から基板端までの距離が短くなるため、パネル全体のサイズを小さくする事ができる。
【0089】
次に、図10及び図15で示す実施例1及び比較例に係る液晶表示パネル12,111の外形寸法をそれぞれ測定し、表4の結果を得た。
【0090】
【表4】

【0091】
表4の結果から、液晶表示領域は同一の面積であるにも係わらず、短辺側で0.9mm、長辺側で1.8mmの外形寸法の縮小が確認できた。これは、シール材の中央を分断することで、シール材の線幅が1.2mmの半分の0.6mmとなり、従来のパネルにあったシール端からガラス端までの間隙0.3mmが無くなったためと考えられる。
【0092】
また、比較例のパネルに対し、実施例1と同条件の強度試験を行ったところ、表5の結果を得た。
【0093】
【表5】

【0094】
比較例と実施例1、2、3の強度試験結果より、本発明で示すシール材上を分断する方式の方が、従来の分断方式に比べ強度が上がることがわかった。
【0095】
また、偏差も小さくなっていることから、従来の分断方式に比べ、強度ばらつきが小さく安定した強度のパネルが得られることもわかる。
【0096】
以上の様に、本発明では、従来技術で発生している液晶表示パネルの薄型化に起因するパネルのガラス端面強度の劣化という問題点に対し、シール材上における分断を行うことにより、パネル端面のガラス強度が飛躍的に向上することが確認された。
【0097】
(作用効果)
次に作用効果について説明する。
【0098】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、それぞれ矩形状に形成されたTFT基板14及びCF基板15(第1及び第2基板)が枠状のシール材20を介して貼り合わされた液晶表示パネル12(貼り合わせ基板)を備えた表示装置であって、枠状のシール材20の少なくとも一辺が液晶表示パネル12の端面まで設けられていることを特徴とする。
【0099】
また、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法は、TFT基板42及びCF基板41(第1及び第2基板)が枠状のシール材20を介して貼り合わされた貼り合わせ基板43を準備し、貼り合わせ基板43上において、枠状のシール材20の少なくとも一辺に対応する位置で貼り合わせ基板43を分断することを特徴とする。
【0100】
このような構成によれば、枠状のシール材20の少なくとも一辺に対応する位置で貼り合わせ基板43を分断するため、基板端面にクラックが発生しにくい。従って、基板の端面強度が良好となる。また、表示領域に寄与しないシール材20を表示パネルの最外縁に配置することができる。従って、表示パネル面積における表示領域の割合を増加させることができるため、表示装置のコンパクト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように、本発明は、表示装置及びその製造方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る製造方法によって製造される液晶表示装置10の平面図である。
【図2】図1の液晶表示装置10のII-II線における断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る大判のCF基板41の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る大判のTFT基板42の平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る大判の貼り合わせ基板43の平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る水圧を利用するパネル分断に用いるチューブ70及びノズル72の模式図である。
【図7】小型のCF基板33を、互いに縦及び横方向のいずれも間隔を空けずに連続して形成した大判のCF基板41の平面図である。
【図8】小型のTFT基板34を、互いに縦及び横方向のいずれも間隔を空けずに連続して形成した大判のTFT基板42の平面図である。
【図9】小型のCF基板33を、互いに縦及び横方向のいずれも間隔を空けて形成した大判のCF基板41の平面図である。
【図10】小型のTFT基板34を、互いに縦及び横方向のいずれも間隔を空けて形成した大判のTFT基板42の平面図である。
【図11】強度試験装置90の模式図である。
【図12】比較例に係る大判のCF基板101の平面図である。
【図13】比較例に係る大判のTFT基板103の平面図である。
【図14】比較例に係る大判の貼り合わせ基板106の平面図である。
【図15】比較例に係る液晶表示パネル111の平面図である。
【符号の説明】
【0103】
10 液晶表示装置
12 液晶表示パネル
13 バックライト
14 TFT基板
15 CF基板
19 液晶層
20 シール材
30 大判のガラス基板
33 CF基板
34 TFT基板
41 大判のCF基板
42 大判のTFT基板
43 大判の貼り合わせ基板
60,61 シール材供給予定位置
80 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ矩形状に形成された第1及び第2基板が枠状のシール材を介して貼り合わされた貼り合わせ基板を備えた表示装置であって、
上記枠状のシール材の少なくとも一辺が上記貼り合わせ基板の端面まで設けられている表示装置。
【請求項2】
第1及び第2基板が枠状のシール材を介して貼り合わされた貼り合わせ基板を準備し、該貼り合わせ基板上において、該枠状のシール材の少なくとも一辺に対応する位置で該貼り合わせ基板を分断する表示装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載された表示装置の製造方法において、
上記貼り合わせ基板は、上記第1基板上に枠状のシール材を設け、該第1基板の該枠状のシール材内方に表示媒体を滴下した後、上記第2基板を該第1基板に貼り合わせることにより形成する表示装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載された表示装置の製造方法において、
上記貼り合わせ基板を上記第1基板にマトリクス状に複数の枠状のシール材を設けて形成し、
上記貼り合わせ基板上において、上記複数の枠状のシール材のそれぞれ少なくとも一辺に対応する位置で一度に該貼り合わせ基板を分断する表示装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載された表示装置の製造方法において、
上記複数の枠状のシール材を、上記第1基板に互いに間隔を空けずに設ける表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項2に記載された表示装置の製造方法において、
上記貼り合わせ基板を水圧を利用することにより分断する表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項2に記載された表示装置の製造方法において、
上記貼り合わせ基板をレーザ光照射により分断する表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載された表示装置の製造方法において、
上記貼り合わせ基板をホイールカッターにより分断する表示装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−139774(P2008−139774A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328353(P2006−328353)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】