説明

表示装置及び表示装置の作製方法、並びに電子機器

【課題】表示部と表示部の表示を制御する周辺回路とを同一基板上に有するシステムオンパネル型の表示装置において、より正確な動作が可能な表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】同一基板100上に設けられた、複数の画素103を有する画素部104を備えた表示部101と、表示部101の表示を制御する周辺回路部102と、を有し、表示部101及び周辺回路部102は、それぞれ複数のトランジスタにより構成され、トランジスタの半導体層には、単結晶半導体材料が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び該表示装置の作製方法に関する。また、該表示装置を用いた表示パネルを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置やエレクトロルミネセンス表示装置(以下EL表示装置という)などの表示装置において、画素部や画素部を駆動させるための駆動回路を有する表示部と、表示部以外に演算回路や記憶回路など、表示部を動作するために設けられる回路群(以下周辺回路部という)とが同一基板上に形成された構成(以下システムオンパネル型という)の表示装置が知られている。これらシステムオンパネル型の表示装置において、表示部と周辺回路部のそれぞれの回路を構成するトランジスタとしては、例えば多結晶半導体材料を半導体層として用いたものが知られている。
【0003】
多結晶半導体材料は、例えばアモルファスシリコンなどの非晶質半導体材料よりも電界移動度が大きい。また、nチャネル型のトランジスタだけでなく、pチャネル型のトランジスタも形成することができる。そのため、CMOS回路を形成することが可能で、表示部のみならず、周辺回路部における演算回路などの高速動作が必要な回路を構成するトランジスタの半導体層に適用する場合においても、非晶質半導体材料に比べて好適である。
【0004】
このような多結晶半導体材料を用いて同一基板上に表示部と周辺回路部とを形成した表示装置の例としては、特許文献1などが挙げられる。特許文献1ではEL表示装置において、同一基板上に表示部と、周辺回路部として演算回路と、昇圧回路と、を形成した例が示されている。
【特許文献1】特開2004−146082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポリシリコンなどの多結晶半導体材料を用いて半導体層を形成したトランジスタは、結晶粒界における欠陥に起因して、その電気的特性にばらつきが生じやすい。表示部及び周辺回路部を構成するトランジスタの移動度やしきい値などの特性がばらつくと、トランジスタに同じ信号を供給した場合にも、トランジスタ毎にドレイン電流の大きさが異なるといった問題がある。そのため、例えば多結晶半導体材料を用いてトランジスタを形成することにより表示部及び周辺回路部を形成したシステムオンパネル型のEL表示装置の場合では、トランジスタの特性のばらつきによって画素における発光素子の輝度が画素毎にばらつき、表示にむらが生じてしまうなど、正確な表示を行うことが困難である。
【0006】
また、上記表示装置では、高い駆動電圧が必要となり、特許文献1にも示すように、チャージポンプなどの昇圧回路が必要になり、回路面積が増大するといった問題もある。
【0007】
上記に挙げた問題を鑑み、本発明では、画素毎のばらつきを抑制し、より正確な表示を行うことが可能なシステムオンパネル型の表示装置を提供することを課題とする。
【0008】
また、表示部と周辺回路部を同一基板上に形成する場合において、昇圧回路などの回路を設けずに所望の値の電圧を供給することが可能な表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一は、単結晶半導体材料を用いて形成された表示部及び周辺回路部を同一基板上に有する表示装置である。
【0010】
より具体的には、本発明の一は、基板と、基板上に設けられた、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有する第1の複数のトランジスタを用いて構成される表示部と、表示部と同一基板上に設けられた、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有する第2の複数のトランジスタを用いて構成され、表示部における表示動作を制御する周辺回路部と、を有し、第1の複数のトランジスタ及び第2の複数のトランジスタは、単結晶半導体材料を用いた半導体層を有し、表示部は、少なくとも1つの画素を有する画素部を有し、画素は、発光素子と、第1の複数のトランジスタの一つであり発光素子の発光量を制御する駆動トランジスタと、を有し、駆動トランジスタの半導体層は、チャネル長の方向が画素の縦方向と平行になるチャネル領域を有し、駆動トランジスタのチャネル長をLμmとし、画素の縦の長さをXμmとしたとき、143≦L≦AX(0<A≦0.7 X≧204)である表示装置である。
【0011】
なお、本発明の表示装置において、第2の複数のトランジスタの半導体層上には、第1のゲート絶縁層が設けられ、第1の複数のトランジスタの半導体層上には、第1のゲート絶縁層と、第1のゲート絶縁層上の第2のゲート絶縁層と、が設けられる構成とすることもできる。
【0012】
また、本発明の表示装置において、駆動トランジスタのゲート端子及びソース端子の間に印加される電圧をVgsとし、ソース端子及びドレイン端子の間に印加される電圧をVdsとし、駆動トランジスタの閾値電圧をVthとしたとき、駆動トランジスタは、|Vds|≧|Vgs|−|Vth|となるように駆動されるようにすることもできる。
【0013】
また、本発明の表示装置において、一画素における発光素子に流れる電流の値を、0.1μA以上1.0μA以下とすることもできる。
【0014】
また、本発明の表示装置において、周辺回路部は、演算回路、画像処理回路、及び記憶回路を有する構成とすることもできる。
【0015】
本発明の一は、上記記載の表示装置を用いた表示パネルを有する電子機器である。
【0016】
本発明の一は、基板上に第1の絶縁層を介して単結晶半導体材料を用いた島状の複数の半導体層を形成し、第1の絶縁層及び複数の半導体層上に第1のゲート絶縁層を形成し、複数の半導体層のうち、表示部における表示動作を制御する周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に第1のゲート絶縁層を介して第1のゲート電極を形成し、第1のゲート電極及び第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層を形成し、複数の半導体層のうち、表示部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に第1のゲート絶縁層及び第2のゲート絶縁層を介して第2のゲート電極を形成し、複数の半導体層上に第1のゲート電極及び第2のゲート電極、並びに第2のゲート絶縁層を介して選択的にレジストマスクを形成し、p型を付与する不純物元素(以下、p型不純物元素という)またはn型を付与する不純物元素(以下、n型不純物元素という)を添加することにより、複数の半導体層に第1の不純物領域と、第1の不純物領域より不純物濃度の低い第2の不純物領域と、を選択的に形成し、レジストマスクを除去し、第2のゲート絶縁層及び第2のゲート電極上に第2の絶縁層を形成し、第1の不純物領域上の層に選択的に複数の第1の開口部を形成し、複数の第1の開口部を介して第1の不純物領域に接する複数の配線を形成し、複数の配線のうち、表示部を構成するトランジスタの配線となる配線のいずれかに接する第1の電極を形成し、第1の電極、複数の配線、及び第2の絶縁層上に第3の絶縁層を形成し、第1の電極上の第3の絶縁層に選択的に第2の開口部を形成し、第2の開口部を介して第1の電極と接する電界発光層を形成し、電界発光層に接する第2の電極を形成する表示装置の作製方法である。
【0017】
本発明の一は、基板上に第1の絶縁層を介して単結晶半導体材料を用いた島状の複数の半導体層を形成し、第1の絶縁層及び複数の半導体層上に第1のゲート絶縁層を形成し、複数の半導体層のうち、周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に第1のゲート絶縁層を介して第1のゲート電極を形成し、第1のゲート電極上及び第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層を形成し、複数の半導体層のうち、表示部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に第1のゲート絶縁層及び第2のゲート絶縁層を介して第2のゲート電極を形成し、複数の半導体層上に、第1のゲート電極及び第2のゲート電極、並びに第2のゲート絶縁層を介して選択的にレジストマスクを形成し、p型不純物元素またはn型不純物元素を添加することにより、複数の半導体層に第1の不純物領域と、第1の不純物領域より不純物濃度の低い第2の不純物領域と、を選択的に形成し、レジストマスクを除去し、第2のゲート絶縁層及び第2のゲート電極上に第2の絶縁層を形成し、第1の不純物領域上の層に選択的に複数の第1の開口部を形成し、複数の第1の開口部を介して第1の不純物領域に接する複数の配線を形成し、複数の配線及び第2の絶縁層上に第3の絶縁層を形成し、複数の配線上の第3の絶縁層に選択的に第2の開口部を形成し、複数の配線のうち、表示部を構成するトランジスタの配線となる配線のいずれかと第2の開口部を介して接する第1の電極を形成し、第1の電極及び第3の絶縁層上に第4の絶縁層を形成し、第4の絶縁層に選択的に第3の開口部を形成し、第1の電極と第3の開口部を介して接する電界発光層を形成し、電界発光層と接する第2の電極を形成する表示装置の作製方法である。
【0018】
なお、本発明の表示装置の作製方法において、複数の半導体層のうち、周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に第1のゲート絶縁層を介して第1の導電層を形成し、第1の導電層上に第2の導電層を形成することにより第1のゲート電極を形成することもできる。
【0019】
また、本発明の表示装置の作製方法において、複数の半導体層のうち、周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層において、上部に第1の導電層が形成されていない領域に第1の不純物領域を形成し、上部に第1の導電層を介して第2の導電層が形成されていない領域であり、且つ、上部に第1の導電層が形成された領域に第2の不純物領域を形成することもできる。
【0020】
また、本発明の表示装置の作製方法において、基板上に窒化シリコン、窒化酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンのいずれか一つまたは複数を用いて第1の層を形成し、第1の層上に水素を含有する酸化シリコン及び水素を含有する窒化シリコン、並びに酸素と水素を含有する窒化シリコン、酸素と水素を含有する酸化窒化シリコン、及び酸素と水素を含有する窒化酸化シリコンのいずれか一つを用いて第2の層を形成することにより第1の絶縁層を形成することもできる。
【0021】
なお、本書類におけるトランジスタは、ゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子の少なくとも3つの端子を有し、ゲート端子とは、ゲート電極の部分(ゲートとなる領域、導電層、及び配線などを含む)または、ゲート電極と電気的に接続されている部分の一部のことを言う。また、ソース端子とは、ソース電極の部分(ソースとなる領域、導電層、及び配線などを含む)や、ソース電極と電気的に接続されている部分の一部のことを言う。また、ドレイン端子とは、ドレイン電極(ドレインとなる領域、導電層、及び配線などを含む)や、ドレイン電極と電気的に接続されている部分の一部のことを言う。
【0022】
また、本書類におけるトランジスタのソース端子とドレイン端子は、トランジスタの構造や動作条件などによって変わるため、いずれがソース端子またはドレイン端子であるかを特定することが困難である。そこで、本書類においては、ソース端子及びドレイン端子から任意に選択した一方の端子をソース端子及びドレイン端子の一方と表記し、他方の端子をソース端子及びドレイン端子の他方と表記する。
【0023】
また、本書類における容量素子は、一方の電極と、他方の電極の少なくとも2つの電極を有し、一方の電極の一部または全部を第1端子と表記し、他方の電極の一部または全部を第2端子と表記する。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、画素毎のばらつきを抑制し、より正確な表示を行うことが可能なシステムオンパネル型の表示装置を提供することができる。
【0025】
また、表示部と周辺回路部を同一基板上に形成する場合において、昇圧回路など、別途必要となる回路を設けずに所望の値の電圧を供給することが可能なシステムオンパネル型の表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の表示装置の構成について説明する。
【0028】
本実施の形態における本発明の表示装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示す本発明の表示装置は、基板100上に設けられた表示部101と、周辺回路部102と、を有する。表示部101と周辺回路部102は同一基板上に設けられている。
【0030】
表示部101は、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有する第1の複数のトランジスタを用いて各回路が構成される。第1の複数のトランジスタを用いて構成される回路としては、表示を行う機能を有する画素部を構成する回路や画素部を駆動させるための駆動回路などが例として挙げられる。また、駆動回路としては、走査線及び信号線などを設け、走査線を介して画素部に信号を入力する走査線駆動回路や信号線を介して画素部に信号を入力する信号線駆動回路などを別途設けることもでき、また、EL表示装置などの場合には、発光素子に電流を供給するために、電源線などを設け、さらに電源線を所定の電位とするための電源回路などを別途設けることもできる。
【0031】
周辺回路部102は、表示部101の表示動作を制御する機能を有し、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有する第2の複数のトランジスタを用いて各回路が構成される。第2の複数のトランジスタを用いて構成される回路としては、例えば画像処理回路、演算回路、記憶回路、及び電源回路などが挙げられる。
【0032】
基板100としてはガラス基板、石英基板、セラミック基板、プラスチック基板、半導体基板、サファイア基板、表面が絶縁処理された金属基板などを用いることができる。また、表示部101及び周辺回路部102に用いられる第1の複数のトランジスタ及び第2の複数のトランジスタは、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体などの単結晶半導体材料を半導体層に用いて形成することができる。
【0033】
さらに本発明の表示装置のより具体的な構成の一例について図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態における表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図2に示す本発明の表示装置は、基板100上に設けられた表示部101と、周辺回路部102と、を有する。表示部101と周辺回路部102は同一基板上に設けられている。
【0035】
基板100としてはガラス基板、石英基板、セラミック基板、プラスチック基板、半導体基板、サファイア基板、表面が絶縁処理された金属基板などを用いることができる。また、表示部101及び周辺回路部102に用いられる各トランジスタは、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体などの単結晶半導体材料を半導体層に用いて形成することができる。
【0036】
表示部101は、複数の画素103を有する画素部104と、複数の画素103に電気的に接続された走査線105、信号線106、及び電源線107と、走査線105に電気的に接続された走査線駆動回路108と、信号線106に電気的に接続された信号線駆動回路109と、電源線107に電気的に接続された電源回路110と、を有する。
【0037】
画素部104は、走査線駆動回路108により選択される走査線105に電気的に接続された画素に、信号線駆動回路109から信号線106を介して、画素に信号を入力し、画素を発光させることで表示を行う機能を有する。また、電源回路110に電気的に接続された電源線107は、所定の値の電位となる。
【0038】
周辺回路部102は、画像処理回路111、演算回路112、第1の記憶回路113、及び第2の記憶回路114を有する。
【0039】
画像処理回路111は、インターフェースなどを介して外部装置から入力されたデータの処理を行い、外部メモリ(例えばデータメモリ)との間で随時データの読み書きを行う機能を有する。また、表示部101において表示すべき画像を外部メモリ(例えばフレームメモリなど)に書き込み、書き込まれたデータを走査線駆動回路108及び信号線駆動回路109に出力する機能を有する。
【0040】
第1の記憶回路113は、データメモリとして用いる。第1の記憶回路113としては、WRAMを用いることができ、例えばSRAM、DRAMなどを用いることができる。また、第2の記憶回路114は、フレームメモリとして用いる。第2の記憶回路114としては、PROMを用いることができ、例えばマスクROMなどを用いることができる。
【0041】
次に本実施の形態における表示装置の画素の構成の一例について図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施の形態における本発明の表示装置の画素の構成の一例を示す上面図であり、図4は、本実施の形態における本発明の表示装置の画素の構成の一例を示す回路図である。
【0042】
図3に示す画素は、スイッチングトランジスタ115、容量素子116、駆動トランジスタ117、及び発光素子118を有する。
【0043】
また、上面図における一つの画素は、互いに平行である第1の対辺と、第1の対辺と交差し、互いに平行である第2の対辺と、によって囲まれる領域で構成される。例えば第1の対辺は図2における信号線106と平行とし、第2の対辺は図2における走査線105と平行とした四辺形の領域を一つの画素とすることができる。本書類においては、第1の対辺と第2の対辺のうち、長い方の対辺の方向を縦方向、短い方の対辺の方向を横方向とし、縦方向における辺の長さを縦の長さ、横方向の辺の長さを横の長さとする。図3の画素においては、Xを縦の長さとし、Yを横の長さとする。また、第1の対辺と第2の対辺のうち、どちらも同じ長さである場合には、第1の対辺と第2の対辺のうち、一方を縦の長さとし、他方を横の長さとする。
【0044】
図3に示す画素の回路構成を回路図で表すと図4のようになる。図4に示す画素は、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有するスイッチングトランジスタ115と、第1端子がスイッチングトランジスタのソース端子及びドレイン端子の他方に電気的に接続された容量素子116と、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有し、ゲート端子がスイッチングトランジスタ115のソース端子及びドレイン端子の他方に電気的に接続された駆動トランジスタ117と、駆動トランジスタ117のソース端子及びドレイン端子の一方に電気的に接続された発光素子118と、を有する。また、走査線105は、スイッチングトランジスタ115のゲート端子に電気的に接続され、信号線106はスイッチングトランジスタ115のソース端子及びドレイン端子の一方に電気的に接続され、電源線107は容量素子116の第2端子及び駆動トランジスタ117のソース端子及びドレイン端子の他方に電気的に接続される。
【0045】
スイッチングトランジスタ115は、スイッチング素子としての機能を有し、走査線105から信号が入力されることにより決まるゲート端子の電位と、ソース端子の電位との電位差、すなわちゲート端子及びソース端子の間における電圧(以下Vgsという)がトランジスタの有する閾値電圧(以下Vthという)より高いか低いかによってオン状態またはオフ状態となる。スイッチングトランジスタ115がオン状態となった場合にはスイッチングトランジスタ115を介して信号線106からの信号が容量素子116及び駆動トランジスタ117のゲート端子に出力される。なお、図3及び図4ではスイッチングトランジスタ115として複数のゲート端子を有するマルチゲート型のトランジスタを用いている。マルチゲート型のトランジスタを用いることによりスイッチングトランジスタ115におけるオフ電流を低減することができる。また、マルチゲート型のトランジスタに限定されず、複数のトランジスタによって構成するなど、他の構成においても適用することができる。
【0046】
容量素子116は、画素における補助容量としての機能を有し、駆動トランジスタ117のゲート端子に入力される信号の電位と同等の値を電荷として一時的に蓄積する機能を有する。容量素子116は、スイッチングトランジスタ115がオン状態となり、スイッチングトランジスタ115を介して信号線106から信号が入力されることにより、電荷が蓄積され、容量素子116には蓄積された電荷に従って所定の値の電圧が印加される。なお、容量素子116は、駆動トランジスタ117のゲート容量を代用して省略した構成とすることも可能である。
【0047】
駆動トランジスタ117は、発光素子118を制御する機能を有し、VgsがVthより高いか低いかによってオン状態またはオフ状態になる。また、駆動トランジスタ117は、図3に示すように、チャネル長の方向が画素の縦方向と平行になるチャネル領域を有する。
【0048】
発光素子118は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極及び第2の電極に挟持された電界発光層と、を有する構成などを適用することができる。なお、本書類において、第1の電極の一部または全部を第1端子と表記し、第2の電極の一部または全部を第2端子と表記する。発光素子118は、第1端子が駆動トランジスタ117のソース端子及びドレイン端子の一方に電気的に接続され、第2端子は接地されるかまたは別の値の電位に保持される。また、発光素子118は駆動トランジスタ117がオン状態になることにより、駆動トランジスタ117を介して電源線107からの電流を受けて発光する機能を有する。発光素子118における発光量は、流れる電流の電荷量によって変化させることができる。
【0049】
次に、本実施の形態の表示装置の動作について説明する。なお、本実施の形態で示す表示装置は、電流駆動で動作させる場合について説明する。
【0050】
選択された走査線105を介してスイッチングトランジスタ115に信号が入力され、スイッチングトランジスタ115がオン状態になることにより、信号線106の電位はオン状態になったスイッチングトランジスタ115を介して、容量素子116の第1端子に入力される。そして、ビデオ信号に相当する電圧分の電荷が容量素子116に蓄積され、容量素子116はその電圧を保持する。この電圧は駆動トランジスタ117のVgsを決める電位に相当する。
【0051】
そして、容量素子116に蓄積された電荷が駆動トランジスタ117のゲート端子に移動し、駆動トランジスタ117のゲート端子の電位は容量素子116に保持された電圧と同等の値となり、この電位の値に応じて駆動トランジスタ117を介して電源線107から発光素子118に電流が流れ、発光素子118が発光する。
【0052】
発光素子118の発光輝度は、発光素子118を流れる電流にほぼ比例する。従って、発光素子118に流れる電流量を変化させることによって画素の階調を表現することが可能となる。
【0053】
本実施の形態で示す表示装置において発光素子118に流れる電流は、駆動トランジスタ117のゲート端子の電位に応じて電源線107から入力される。ここで一般にトランジスタのドレイン端子及びソース端子の間の電圧(以下Vdsという)と、そのソース端子及びドレイン端子の間を流れる電流(以下Idsという)とは、次の関係を有している。
【0054】
VdsとIdsとの関係について図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態におけるトランジスタのVdsとIdsとの関係を示す図である。
【0055】
図5では、異なるゲート電圧Vgsに対応する複数のグラフを示している。トランジスタにおけるVgsとVthとの差の絶対値|Vgs−Vth|が大きくなるほど、言い換えればVgsの絶対値|Vgs|が大きくなるほど、Idsは大きくなる。
【0056】
VgsとVthとの差の絶対値|Vgs−Vth|が、Vdsの絶対値|Vds|よりも大きい場合は、トランジスタは線形領域で動作し、Vdsの絶対値|Vds|以下の場合は、トランジスタは飽和領域で動作する。飽和領域で動作する場合には、Vdsが変化してもIdsはほとんど変化せず、Vgsの大きさだけによって電流値が決まる。
【0057】
本実施の形態で示す表示装置では、発光素子118の発光時において、駆動トランジスタ117を、Vdsの絶対値|Vds|がVgsと駆動トランジスタのVthとの差の絶対値|Vgs−Vth|以上、すなわち、|Vds|≧|Vgs|−|Vth|(以下数式1という)となる飽和領域で動作させる。なお、発光素子118を発光させない場合には、駆動トランジスタ117をオフさせればよい。
【0058】
また、表示装置の画素の階調の表現は、駆動トランジスタのゲート端子の電位を変化させて、発光素子に流れる電流量を変化させること(アナログ電流階調方式)によって行う。つまり、アナログ電流階調方式では、信号線に入力されるアナログ映像信号を変化させること(信号線の電位を変化させること)で階調表示が行われる。
【0059】
一般的に、発光素子の発光時に駆動トランジスタを飽和領域で動作させる場合、画素間で駆動トランジスタの移動度やしきい値がばらつくとそれがそのままIdsのばらつきとなり表示装置の表示むらとして現れる問題がある。特に、多結晶半導体材料を用いた半導体層を有するトランジスタの場合には、画素ごとのトランジスタの移動度やしきい値のばらつきが大きく、表示装置を電流駆動で動作させることは困難であった。これは、半導体層の結晶化(レーザー結晶化など)において、画素部を構成する全領域において均一な結晶粒界を有する多結晶半導体層を得ることが難しいためである。
【0060】
一方、本実施の形態で示す表示装置では、単結晶半導体材料をトランジスタの半導体層に用いることによって画素及び周辺回路を構成するトランジスタの移動度やしきい値がばらつくことを低減することができる。その結果、駆動トランジスタ117を飽和領域で動作させた場合であっても、トランジスタの特性の変化が小さいため、アナログ電流階調方式で動作させる場合であっても、表示装置の表示むらを防止することが可能となる。
【0061】
また、飽和領域で動作させる場合において、Idsは次に示す数式2及び数式3により求めることができる。
【0062】
【数1】

【0063】
Lはトランジスタのチャネル長を表し、Wはチャネル幅を表し、μはトランジスタの移動度を表し、Coxはゲート絶縁層におけるキャパシタンスを表している。これらの値は材料によって任意に決めることができる。本実施の形態では半導体層に単結晶半導体材料を用いるため、単結晶半導体材料の移動度がμとなる。また、チャネル幅Wの範囲としては、約3μm乃至6μmであることが好ましい。
【0064】
次に上記数式1を基に本実施の形態の表示装置に適した駆動トランジスタのチャネル長Lを算出する。本実施の形態の表示装置のパネルのサイズが1インチ乃至5インチ程度であると仮定すると、表示を行うために1画素の表示素子に流れる電流量は、およそ0.1μA以上1.0μA以下の範囲であることが望ましい。さらに、本実施の形態における表示装置の発光素子の特性などを考慮すると、表示を行うために必要な1画素における発光素子に流れる電流は、約0.2μA程度であることがより望ましい。これを基に表示を行うために必要な1画素における表示素子に流れる電流の値を0.2μAと仮定し、このときの駆動トランジスタにおいて正確な動作を行うための最適なチャネル長Lを求めると、チャネル長Lは、L≧143μm(以下数式4という)であることが望ましい。チャネル長Lを上記数式4の範囲にすることにより駆動トランジスタにおける短チャネル効果を抑制することができ、また、オン電流の値を本発明の表示装置に適した範囲の値に制御することができる。
【0065】
また、画素における開口率は、少なくとも20%以上であることが望ましい。以上のことから、必要最低限の開口率の値を20%とするとき、駆動トランジスタのチャネル長Lと画素の縦の長さXとは、L≦AX(0<A≦0.7)(以下数式5という)の関係であることが望ましい。LがX以上の長さになると、半導体層を画素内において折り返すなどして形成しなければならず、折り返す分、必要とする半導体層の長さがさらに長くなってしまい面積が増大してしまう。しかし上記数式5の範囲に駆動トランジスタのLを設計することにより、画素サイズの範囲内に必要最低限のサイズで駆動トランジスタを設けることができる。さらに、上記の範囲に駆動トランジスタのLを設計することにより、少なくとも必要最低限の開口率を得ることができる。また、他の配線などと重なるのを防止することもできる。
【0066】
さらに上記数式3及び数式4をまとめると、LとXとは、143≦L≦AX(0<A≦0.7 X≧204)(以下数式6という)の関係であることが望ましいといえる。
【0067】
駆動トランジスタのチャネル長L及び画素の縦の長さXを上記数式6の範囲とすることにより、駆動トランジスタにおける短チャネル効果を抑制し、オン電流の値を本発明の表示装置に適した範囲の値に制御しつつ、且つ駆動トランジスタの面積を最小限に留めることができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態における表示装置は、表示部と周辺回路部のトランジスタなどの各回路素子の半導体層に単結晶半導体材料を適用し、表示部及び周辺回路部を同一基板上に形成することにより、表示部において低消費電力化、小型化、高速駆動を実現することができる。また、本実施の形態における表示装置は、飽和領域において動作させることができるため、画素間の輝度のばらつきを抑制することができ、階調表示など、より正確な表示を行うことができる。
【0069】
また、本実施の形態における表示装置は、表示部及び周辺回路部の間のインターフェース部分に昇圧回路など、別途回路を設けずに、所望の値の駆動電圧で動作させることができる。よって、削減した回路の分だけ回路面積を小さくすることができる。
【0070】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の表示装置の表示部及び周辺回路部を構成するトランジスタの作製方法の一例について説明する。
【0071】
まず本実施の形態における本発明の表示装置の表示部及び周辺回路部を構成するトランジスタの作製方法について、図6乃至図12を用いて説明する。図6乃至図12は、本発明の表示装置の表示部及び周辺回路部を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。なお、本実施の形態において、それぞれの図は、便宜のため、一部または全部において実際とは異なる寸法を用いて図示している。
【0072】
まず図6(A)に示すように、基板200上に第1の絶縁層201及び第2の絶縁層202を介して半導体層を形成し、さらに半導体層を島状の第1の半導体層203、第2の半導体層204、第3の半導体層205、第4の半導体層206、第5の半導体層207、及び第6の半導体層208に形成する。
【0073】
基板200としてはガラス基板、石英基板、セラミック基板、プラスチック基板、サファイア基板、表面が絶縁処理された金属基板などを用いることができ、半導体層は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体などの単結晶半導体材料を用いて形成することができる。
【0074】
また、第1の半導体層203乃至第6の半導体層208を形成した後、p型不純物元素を添加することもできる。p型不純物元素には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、などの周期表第13族の元素を用いることができる。p型不純物元素を添加することにより、後に形成されるトランジスタのVthを制御することができる。
【0075】
また、基板200と半導体層は、第1の絶縁層201及び第2の絶縁層202を介して貼り合わせることにより形成する。基板200と半導体層を貼り合わせる方法の一例について図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14は、本実施の形態における基板と半導体層の貼り合わせ方法を示す断面図である。なお、本実施の形態において、図13及び図14は、便宜のため、一部または全部において実際とは異なる寸法を用いて図示している。
【0076】
まず、図13(A)に示すように、半導体基板250の一方の面に第1の絶縁層251を形成する。半導体基板250としては、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体などの単結晶半導体材料を用いることができる。また、第1の絶縁層251は、図6に示す第2の絶縁層202と同一の層であり、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、または酸化窒化シリコンを用いて形成した層を積層させて2層以上の構造で形成することができる。第1の絶縁層251は、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。第1の絶縁層251は、50nm乃至200nmの範囲で設けることが好ましい。なお、本書類において、CVD法は、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法を範疇に含むものとする。
【0077】
なお、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであり、濃度範囲として酸素が55〜65原子%、窒素が0.5〜20原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲において、合計100原子%となるように各元素を任意の濃度で含むものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであり、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜50原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が15〜25原子%の範囲において、合計100原子%となるように各元素を任意の濃度で含むものをいう。
【0078】
次に図13(B)に示すように、第1の絶縁層251を介して半導体基板250に電界で加速された水素イオンでなるイオンビームを半導体基板250に照射することにより、半導体基板250の一方の面から所定の深さに水素がドーピングされた領域252を形成する。
【0079】
次に図13(C)に示すように、第1の絶縁層251上に接合層253を形成する。接合層253は、半導体基板250が支持基板と接合を形成する面に設ける。接合層253は、単層構造としても2層以上の積層構造としてもよいが、半導体基板250と接合する面(以下接合面という)が平滑面を有し親水性表面となることが好ましい。
【0080】
接合層253は、図6における第1の絶縁層201と同一の層であり、接合面が平滑面を有し、親水性表面となる接合層253は、水素を含有する酸化シリコン、水素を含有する窒化シリコン、酸素と水素を含有する窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを用いて形成することができる。
【0081】
水素を含有する酸化シリコンとしては、例えば有機シランを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコンが好ましい。例えば有機シランを用いて形成された酸化シリコン膜を用いることによって、支持基板と半導体基板250との接合を強固にすることができるためである。有機シランとしては、テトラエトキシシラン(略称:TEOS 化学式:Si(OC)、テトラメチルシラン(略称:TMS 化学式:Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(略称:TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(略称:OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(略称:HMDS)、トリエトキシシラン(化学式:SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(化学式:SiH(N(CH)などのシリコン含有化合物を用いることができる。
【0082】
なお、接合層253を酸化シリコンを用いて形成する場合には、モノシラン、ジシラン、またはトリシランを原料ガスに用いてCVD法により形成することができる。また接合層として機能する酸化シリコン層は熱酸化膜でもよく、塩素を含んでいると好適である。
【0083】
水素を含有する窒化シリコンは、シランガスとアンモニアガスを用いてプラズマCVD法により形成することができる。また、ガスに水素が加えられていても良い。酸素と水素を含有する窒化シリコンは、シランガスとアンモニアガスと亜酸化窒素ガスを用いてプラズマCVD法で作製することができる。いずれにしても、接合層253としては、プラズマCVD法、減圧CVD法、常圧CVD法などのCVD法により、シランガスなどを原料ガスとして用いて作製される酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンであって水素が含まれるものであれば適用することができる。CVD法による成膜では、半導体基板250に形成した水素がドーピングされた領域252から脱ガスが起こらない程度の温度を適用する。例えば、成膜温度を350℃以下とすることが好ましい。
【0084】
接合層253の厚さは10nm以上200nm以下とすることができる。好ましくは10nm以上100nm以下の厚さであり、さらに、より好ましくは20nm以上50nm以下の厚さである。
【0085】
次に図14(A)に示すように、半導体基板250と別に用意した支持基板254とを密着させる。半導体基板250上に形成された接合層253の表面と支持基板254の表面とを密着させることにより、半導体基板250と支持基板254とが接合する。この接合は、水素結合やファン・デル・ワールス力が作用している。水素結合は、基板表面が親水性であること、水酸基や水分子が接着剤として働き、熱処理で水分子が拡散し、残留成分がシラノール基(Si−OH)を形成して水素結合で接合する。さらにこの接合部は、水素が抜けることでシロキサン結合(O−Si−O)が形成されることで共有結合になり、半導体基板250と支持基板254の接合が強固なものとなる。
【0086】
支持基板254は、図6に示す基板200と同一のものであり、絶縁表面を有する基板を用いることができる。絶縁表面を有する基板としては、例えばアルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板などを用いることができる。
【0087】
なお、支持基板254と接合層253との接合を良好に行うために、接合面を活性化しておいてもよい。例えば、接合する面の一方または双方に原子ビーム若しくはイオンビームを照射する方法などが挙げられる。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴンなどの不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。その他に、プラズマ照射若しくはラジカル処理を行うことで接合面を活性化する方法も用いることもできる。このような表面処理により、400℃以下の温度であっても異種材料間の接合が容易になる。
【0088】
接合層253を介して支持基板254と半導体基板250を貼り合わせた後に加熱処理と加圧処理の一方または両方を行うことが好ましい。加熱処理や加圧処理を行うことにより支持基板254と半導体基板250の接合強度を向上させることが可能となる。加熱処理の温度は、支持基板254の耐熱温度以下で行う。加圧処理は、接合面に垂直な方向に圧力が加わるように行い、支持基板254及び半導体基板250の耐圧性を考慮して行う。
【0089】
次に図14(B)に示すように、半導体基板250に加熱処理を行うことにより、領域252を劈開面として、半導体基板250を劈開する。加熱処理の温度は接合層253の成膜温度以上、支持基板254の耐熱温度以下で行うことが好ましい。例えば400℃乃至700℃の温度範囲において加熱処理を行うことにより、領域252に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、領域252に沿って劈開する。接合層253は支持基板254と接合しているので、支持基板254上には半導体基板250から分離された半導体層が固着され、図14(C)に示すように、支持基板254には、半導体基板250と同じ結晶構造と結晶方位を有する半導体層255が残存する。
【0090】
400℃乃至700℃の温度範囲での熱処理は、前述の接合強度を向上させるための熱処理と同じ装置で連続して行っても良いし、別の装置で行っても良い。例えば炉で200℃、2時間の条件で熱処理した後に、600℃近傍まで昇温して2時間保持し、400℃から室温までの温度範囲に降温した後、基板を炉より取り出す。また、熱処理は室温から昇温してもよい。また、炉で200℃、2時間の条件で熱処理した後に、瞬間熱アニール(RTA)装置によって600℃乃至700℃の温度範囲で、1分間乃至30分間(例えば600℃、7分間、650℃、7分間)の熱処理を行ってもよい。
【0091】
400℃乃至700℃の温度範囲での熱処理により、接合層253と支持基板254との接合は水素結合から共有結合に移行し、領域252に添加された元素が析出し圧力が上昇し、半導体基板250を劈開させて半導体層255を形成することができる。熱処理を行った後、支持基板254と半導体基板250は、一方が他方に載っている状態であり、大きな力を加えずに支持基板254と半導体基板250とを離すことができる。例えば、上方に載っている基板を真空チャックで持ち上げることにより簡単に離すことができる。この際、下側の基板の真空チャックやメカニカルチャックで固定しておくと水平方向のずれがなく、支持基板254及び半導体基板250の両基板を離すことができる。
【0092】
なお、このとき支持基板254上に形成された半導体層255の結晶性を高めるために半導体層255の表面にレーザビームを照射することもできる。レーザビームを照射することにより、半導体層255中の欠陥を修復することができる。
【0093】
また、支持基板254上に形成された半導体層255の表面の平坦性を高めるためにドライエッチングまたはウェットエッチングを行うこともできる。ドライエッチングまたはウェットエッチングを行うことにより、半導体層255の一部を除去し、表面の荒れを低減することができる。
【0094】
また、支持基板254上に形成された半導体層255の表面の結晶性を高めるために熱処理を行うこともできる。例えば500℃以上700℃以下の加熱処理を行うことが好ましい。この加熱処理によって、レーザビームの照射で修復されなかった、半導体層255の欠陥の消滅、半導体層255の歪みの緩和をすることができる。
【0095】
上記に示す方法を用いて基板上に絶縁層を介して設けられた単結晶半導体材料を用いた半導体層を形成することができる。なお、図13及び図14に示す方法は一例であり、これに限定されず、他の方法を用いても形成することができる。
【0096】
上記に示すように基板上に半導体層を形成した後、図6(A)に示すように、島状に形成された第1の半導体層203乃至第6の半導体層208上に第1のゲート絶縁層209を形成し、第1のゲート絶縁層209上に第1の導電層210を形成し、第1の導電層210上に第2の導電層211を形成する。
【0097】
第1のゲート絶縁層209は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、及び窒化酸化シリコンのいずれか一つまたは複数を用いて単層、または積層させて形成することができる。第1のゲート絶縁層209はプラズマCVD法、またはスパッタ法などを用いて形成することができる。また、高密度プラズマ処理などを用いて形成することもできる。また、第1のゲート絶縁層209は、10nm乃至40nmの厚さで形成されることが好適である。
【0098】
第1の導電層210及び第2の導電層211は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、及びニオブなどから選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料、若しくは化合物材料を用いてそれぞれ形成することができる。本実施の形態では、第1の導電層210として窒化タンタルを用い、第2の導電層211としてタングステンを用いる。
【0099】
次に図6(B)に示すように、第1のレジストマスク212を形成し、第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理は等方性のエッチング処理であり、誘導結合型プラズマ(ICP)などを用いて行うことができる。また、第2のエッチング処理は、異方性エッチングであり、ICPなどを用いて第1のエッチング処理より低い自己バイアス電圧を印加して行うことができる。
【0100】
第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理を行うことにより、第1のレジストマスク212が設けられた部分以外の第1の導電層210及び第2の導電層211が除去され、本発明の表示装置における周辺回路部のトランジスタが形成される部分の半導体層上の第1の導電層210と、第1の導電層210上に設けられた第2の導電層211とで構成された電極を形成する。本実施の形態では第1のゲート絶縁層209を介して、第1の半導体層203上に電極213を形成し、第2の半導体層204上に電極214を形成する。
【0101】
なお、本実施の形態では第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理において残存させた電極213及び電極214の各端部にテーパ部を設けることができる。このテーパ部の角度は45度乃至85度とすることが好ましい。テーパ部を設けることにより、端部においてもその上に設けられる層が形成しやすくなる。
【0102】
次に図7(A)に示すように、第1のレジストマスク212を除去し、電極213、電極214、及び第1のゲート絶縁層209を介して第1の半導体層203乃至第6の半導体層208上に第2のゲート絶縁層215を形成する。
【0103】
第2のゲート絶縁層215は、第1のゲート絶縁層209に適用可能な材料を用いた単層または積層を適用することができる。第2のゲート絶縁層215は、40nm乃至100nmの厚さで形成されることが好適であり、表示部におけるトランジスタの半導体層となる半導体層上に設けられた第1のゲート絶縁層209の膜厚と第2のゲート絶縁層215の膜厚との合計が80nm乃至110nmとなればよい。また、第1のゲート絶縁層209は、第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理の際に一部がエッチングされて所望の膜厚より薄くなる場合があるため、エッチングにより薄くなった第1のゲート絶縁層209の膜厚を考慮して第2のゲート絶縁層215の膜厚を設定することもできる。
【0104】
このとき、第1のゲート絶縁層209及び第2のゲート絶縁層215を介してp型不純物元素またはn型不純物元素を本発明の表示装置の画素の補助容量となる半導体層に添加する。本実施の形態では、第6の半導体層208にボロンを添加する。
【0105】
次に図7(B)に示すように、第2のゲート絶縁層215上に第3の導電層216を形成し、第3の導電層216上に第4の導電層217を形成する。第3の導電層216としては、第1の導電層210に適用可能な材料を用いて形成することができ、第4の導電層217としては、第2の導電層211に適用可能な材料を用いて形成することができる。本実施の形態では、第3の導電層216として窒化タンタルを用い、第4の導電層217としてタングステンを用いる。
【0106】
次に図8(A)に示すように、第2のレジストマスク218を形成し、第3のエッチング処理及び第4のエッチング処理を行う。第3のエッチング処理は等方性のエッチング処理であり、誘導結合型プラズマ(ICP)などを用いて行うことができる。また、第4のエッチング処理は、異方性エッチングであり、ICPなどを用いて第3のエッチング処理より低い自己バイアス電圧を印加して行うことができる。
【0107】
第3のエッチング処理及び第4のエッチング処理を行うことにより、第2のレジストマスク218が設けられた部分以外の第3の導電層216及び第4の導電層217は除去され、表示装置における表示部のトランジスタが形成される部分の半導体層上に第3の導電層216と、第3の導電層216上に設けられた第4の導電層217とで構成された電極を形成する。本実施の形態では、第1のゲート絶縁層209及び第2のゲート絶縁層215を介して、第3の半導体層205上に電極219を形成し、第4の半導体層206上に電極220を形成し、第5の半導体層207上に電極221及び電極222を形成し、第6の半導体層208上に電極223を形成する。
【0108】
なお、本実施の形態では第3のエッチング処理及び第4のエッチング処理において残存させた電極219乃至電極223の各端部にテーパ部を設けることができる。このテーパ部の角度は45度乃至85度とすることが好ましい。テーパ部を設けることにより、端部においてもその上に設けられる層を形成しやすくなる。
【0109】
次に第1の半導体層203乃至第6の半導体層208にドーピング処理を行う。ドーピング処理としては、まず図8(B)に示すように、n型不純物元素を添加する。n型不純物元素としては、リンなど、周期表第15族の元素を用いることができる。本実施の形態では、リンを添加し、各半導体層の一部に第1のn型不純物領域224を形成する。
【0110】
次に複数の半導体層のうち、pチャネル型トランジスタを形成する半導体層には、p型不純物元素を添加し、nチャネル型トランジスタを形成する半導体層にはn型不純物元素を添加し、各半導体層にp型不純物領域、またはn型不純物領域からなる第1の不純物領域と、第1の不純物領域より不純物濃度の低い第2の不純物領域を形成する。このとき補助容量も同時に形成する場合には補助容量となる部分の半導体層にもp型不純物元素を添加する。
【0111】
本実施の形態では、まず図9(A)に示すように、第2の半導体層204、第4の半導体層206、及び第5の半導体層207上に第3のレジストマスク225を形成し、p型不純物元素としてボロンを添加し、第1の半導体層203、第3の半導体層205のうち、上部に電極を形成していない半導体層の領域に第1のp型不純物領域226を形成する。加えて、第1の半導体層203では、上部に電極を構成する第2の導電層が形成されていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第1の導電層が設けられた半導体層の領域に第1のp型不純物領域226より不純物濃度の低い第2のp型不純物領域227を形成し、第3の半導体層205では、上部に電極を構成する第4の導電層が形成されていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第3の導電層が設けられた半導体層の領域に第1のp型不純物領域226より不純物濃度の低い第2のp型不純物領域227を形成する。また同時に第6の半導体層208のうち、上部に電極が形成されていない領域には第1のp型不純物領域226を形成する。
【0112】
次に図9(B)に示すように、第3のレジストマスク225を除去し、第1の半導体層203、第3の半導体層205、第5の半導体層207の一部、及び第6の半導体層208上に第4のレジストマスク228を形成し、n型不純物元素としてリンを添加し、第2の半導体層204及び第4の半導体層206のうち、上部に電極を形成していない半導体層の領域に第2のn型不純物領域229を形成する。加えて、第2の半導体層204では、上部に電極を構成する第2の導電層が形成されていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第1の導電層が形成された半導体層の領域に、第2のn型不純物領域より不純物濃度の低い第3のn型不純物領域230を形成し、第4の半導体層206では、上部に電極を構成する第4の導電層が形成されていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第3の導電層が形成された半導体層の領域に、第2のn型不純物領域より不純物濃度の低い第3のn型不純物領域230を形成する。また、第5の半導体層207のうち、上部に電極が形成されていない半導体層の領域に第2のn型不純物領域229及び第2のn型不純物領域229より不純物濃度の低い第3のn型不純物領域230を形成する。
【0113】
上記のように、第1のゲート絶縁層209及び第2のゲート絶縁層215を設けた後にドーピング処理を行うことにより、電極が形成された部分以外において均等にドーピング処理を行うことができる。
【0114】
次に図10(A)に示すように、第4のレジストマスク228を除去し、電極213、電極214、電極219乃至電極223上、及び第2のゲート絶縁層上に第3の絶縁層231を形成する。第3の絶縁層231は、酸化窒化シリコンなどを用いて形成することができる。本実施の形態では、酸化窒化シリコンを形成する。
【0115】
なお、窒化酸化シリコンを形成した後に熱処理を行うこともできる。熱処理を行うことにより形成した層を活性化することができる。
【0116】
次に図10(B)に示すように、第3の絶縁層231上に第4の絶縁層232を形成する。第4の絶縁層232は、窒化酸化シリコンなどを用いて形成することができる。本実施の形態では窒化酸化シリコンを用いる。なお、このとき熱処理を行い、半導体層の水素化を行うことができる。
【0117】
次に図11(A)に示すように、第4の絶縁層232を覆うように第5の絶縁層233を形成する。第5の絶縁層233は、酸化窒化シリコンなどを用いて形成することができる。本実施の形態では酸化窒化シリコンを用いる。
【0118】
次に図11(B)に示すように、第1のp型不純物領域226または第2のn型不純物領域229上の配線を形成する部分に選択的に複数の開口部234を形成する。さらに図12に示すように、複数の開口部234を介して各半導体層のうち、第1のp型不純物領域226または第2のn型不純物領域229のいずれかに接するように配線235をそれぞれ形成する。本実施の形態では、配線235として第1のチタン層を形成し、第1のチタン層の上にアルミニウム層を形成し、アルミニウム層の上に第2のチタン層を形成する。
【0119】
以上により、図12に示すように同一基板上に周辺回路部236における第1のpチャネル型トランジスタ238及び第1のnチャネル型トランジスタ239と、表示部237における第2のpチャネル型トランジスタ240、第2のnチャネル型トランジスタ241、第3のnチャネル型トランジスタ242、及び容量素子243を同一基板上に形成することができる。
【0120】
周辺回路部236における第1のpチャネル型トランジスタ238は、半導体層において、チャネル形成領域と、上部にゲート電極として機能する電極が形成されていない半導体層の領域に設けられたソース領域またはドレイン領域として機能する第1のp型不純物領域226と、上部に電極を構成する第1の導電層を介して第2の導電層が形成されていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第1の導電層が形成された半導体層の領域に設けられた、第1のp型不純物領域226より不純物濃度の低い低濃度不純物領域(LDD領域)として機能する第2のp型不純物領域227と、を有し、LDD領域がゲート電極の一部と重なる構造となっている。
【0121】
周辺回路部236における第1のnチャネル型トランジスタ239は、半導体層において、チャネル形成領域と、上部にゲート電極として機能する電極が形成されていない半導体層の領域に設けられたソース領域またはドレイン領域として機能する第2のn型不純物領域229と、上部に電極を構成する第1の導電層を介して第2の導電層が形成されていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第1の導電層が形成された半導体層の領域に設けられた、第2のn型不純物領域229より不純物濃度の低い低濃度不純物領域(LDD領域)として機能する第3のn型不純物領域230と、を有し、LDD領域がゲート電極の一部と重なる構造となっている。
【0122】
表示部237における第2のpチャネル型トランジスタ240は、半導体層において、チャネル形成領域と、上部にゲート電極として機能する電極が形成されていない半導体層の領域に設けられたソース領域またはドレイン領域として機能する第1のp型不純物領域226と、上部に電極を構成する第3の導電層を介して第4の導電層が設けられていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第3の導電層が形成された半導体層の領域に設けられた、第1のp型不純物領域226より不純物濃度の低い低濃度不純物領域(LDD領域)として機能する第2のp型不純物領域227と、を有し、LDD領域がゲート電極の一部と重なる構造となっている。
【0123】
表示部237における第2のnチャネル型トランジスタ241は、半導体層において、チャネル形成領域と、上部にゲート電極として機能する電極が形成されていない半導体層の領域に設けられたソース領域またはドレイン領域として機能する第2のn型不純物領域229と、上部に電極を構成する第3の導電層を介して第4の導電層が形成されていない半導体層の領域であり、且つ、上部に電極を構成する第3の導電層が形成された半導体層の領域に設けられた、第2のn型不純物領域229より不純物濃度の低い低濃度不純物領域(LDD領域)として機能する第3のn型不純物領域230と、を有し、LDD領域がゲート電極の一部と重なる構造となっている。
【0124】
表示部237における第3のnチャネル型トランジスタ242は、ゲート電極として機能する電極を複数有する(電極221及び電極222)。ゲート電極を複数設けることにより、トランジスタのオフ電流の増加を低減することができる。また、半導体層において、チャネル形成領域と、上部にゲート電極として機能する電極が形成されていない半導体層の領域に設けられた、ソース領域またはドレイン領域として機能する第2のn型不純物領域229と、第2のn型不純物領域229より不純物濃度の低い低濃度不純物領域(LDD領域)として機能する第3のn型不純物領域230と、を有し、LDD領域がゲート電極と重ならない構造となっている。
【0125】
ゲート電極の一部と重なっているLDD領域をLov領域、ゲート電極と重なっていないLDD領域をLoff領域という。ここで、Loff領域はオフ電流の値を抑える効果は高いが、ドレイン近傍の電界を緩和してホットキャリアによるオン電流の値の劣化を防ぐ効果は低い。一方、Lov領域はドレイン近傍の電界を緩和し、オン電流の値の劣化の防止には有効であるが、オフ電流値を抑える効果は低い。よって、種々の回路毎に、求められる特性に応じた構造のトランジスタを作製することが好ましい。本発明の表示装置に適用する例で考えると、画素部のスイッチングトランジスタには、オフ電流の値を抑えるために、Loff領域を有するトランジスタを用いることが好適である。一方、周辺回路部に用いるトランジスタには、ドレイン近傍の電界を緩和し、オン電流の値の劣化を防止するために、Lov領域を有するトランジスタを用いることが好適である。
【0126】
なお、各トランジスタのLDD領域の幅はそれぞれ異なる長さにすることもできる。個々の回路の特性に応じてLDD領域の幅を変えることでより正確な動作を行うことができる。
【0127】
表示部237における容量素子243は、半導体層と、各絶縁層と、配線により構成され、画素の補助容量としての機能を有する。
【0128】
以上のように、単結晶半導体材料を半導体層に用いて同一基板上に表示部及び周辺回路部を構成する個々の回路の特性に応じた構造のトランジスタを作製することができる。
【0129】
また、周辺回路部に用いられるトランジスタのゲート絶縁層を1層とし、表示部に用いられるトランジスタのゲート絶縁層を2層にし、表示部と周辺回路部でゲート電極を異なる層に形成することにより、周辺回路部に用いられるトランジスタのゲート絶縁層の膜厚を薄くすることができ、例えばCPUなどの演算回路に用いられるトランジスタのゲート絶縁層の膜厚を薄くして演算回路を高速動作させることができる。また、第1のゲート絶縁層及び第2のゲート絶縁層を設けた後にドーピング処理を行うことにより、ゲート電極が形成された部分以外において均等にドーピング処理を行うことができる。
【0130】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0131】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の表示装置を作製する場合について図15を用いて説明する。図15は、本実施の形態における本発明の表示装置の作製方法を示す断面図である。なお本実施の形態において、図15については、便宜のため、一部または全部において実際とは異なる寸法を用いて図示している。
【0132】
図15(A)に示す断面図は、共通電極側から光を取り出すトップエミッション型の表示装置である。図15(A)に示すように、トップエミッション型の表示装置は、同一基板上に周辺回路部300と、表示部301と、を有し、周辺回路部300に第1のpチャネル型トランジスタ302と、第1のnチャネル型トランジスタ303と、を有し、表示部301に第2のnチャネル型トランジスタ304と、スイッチングトランジスタとして機能する第3のnチャネル型トランジスタ305と、補助容量として機能する容量素子306と、駆動トランジスタとして機能する第2のpチャネル型トランジスタ307と、を有し、さらに各トランジスタ上に設けられた絶縁層308と、絶縁層308に設けられた開口部を介して表示部301におけるトランジスタの電極、または容量素子306の電極に接するように設けられた第1の電極309と、第1の電極309及び絶縁層308の上に設けられた絶縁層310と、絶縁層310に設けられた開口部を介して第1の電極309に接するように設けられた電界発光層311と、電界発光層311と接するように設けられた第2の電極312と、を有する。なお、周辺回路部300及び表示部301におけるトランジスタ及び容量素子は、図6乃至図12に示した方法を用いて作製することができる。
【0133】
絶縁層308は、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどの単層、または積層を用いて形成することができる。絶縁層308は平坦化膜として機能する。
【0134】
第1の電極309は、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などの透光性酸化物導電材料を導電層として用いて形成することができる。また上記導電層として、透光性酸化物導電材料の他に、例えば窒化チタン、窒化ジルコニウム、チタン、タングステン、ニッケル、白金、クロム、銀、アルミニウムなどの1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜と、アルミニウムを主成分とする膜と、窒化チタン膜との三層構造などを適用することができる。
【0135】
なお、第1の電極309となる導電層を、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することもできる。
【0136】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えばπ電子共役系導電性高分子として、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0137】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)などが挙げられる。
【0138】
上記導電性高分子を、単独で導電性組成物として第1の電極309に使用することもでき、また、導電性組成物の膜の厚さの均一性、膜強度などの膜特性を調整するために有機樹脂を添加して使用することができる。
【0139】
有機樹脂としては、導電性高分子と相溶または混合分散可能であれば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂などを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−トなどのポリエステル系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11などのポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマ−、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルエ−テル、ポリビニルブチラ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、メラミン樹脂、フェノ−ル系樹脂、ポリエ−テル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。
【0140】
さらに、導電性組成物の電気伝導度を調整するために、導電性組成物にアクセプタ性またはドナー性ド−パントをド−ピングすることにより、共役導電性高分子の共役電子の酸化還元電位を変化させてもよい。
【0141】
アクセプタ性ド−パントとしては、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物などを使用することができる。ハロゲン化合物としては、塩素、臭素、ヨウ素、塩化ヨウ素、臭化ヨウ素、フッ化ヨウ素などが挙げられる。ルイス酸としては五フッ化燐、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、三フッ化硼素、三塩化硼素、三臭化硼素などが挙げられる。プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸などの無機酸と、有機カルボン酸、有機スルホン酸などの有機酸を挙げることができる。有機カルボン酸及び有機スルホン酸としては、カルボン酸化合物及びスルホン酸化合物を使用することができる。有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレンなどを挙げられる。
【0142】
ドナー性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アミン化合物などを挙げることができる。
【0143】
導電性組成物を、水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)に溶解させて、湿式法により第1の電極309となる導電層を形成することができる。
【0144】
導電性組成物を溶解する溶媒としては、特に限定することはなく、上記した導電性高分子及び有機樹脂などの高分子樹脂化合物を溶解するものを用いればよく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、N‐メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエンなどの単独もしくは混合溶剤に溶解すればよい。
【0145】
導電性組成物の成膜は上述のように溶媒に溶解した後、塗布法、コーティング法、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、印刷法などの湿式法を用いて成膜することができる。溶媒の乾燥は、熱処理を行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。また、有機樹脂が熱硬化性の場合は、さらに加熱処理を行い、光硬化性の場合は、光照射処理を行えばよい。
【0146】
導電膜を形成した後、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体による拭浄などで研磨しておいても良い。
【0147】
絶縁層310は、有機樹脂、無機材料またはシロキサン系材料を用いて形成することができる。有機樹脂ならば、例えばアクリル、ポリイミド、ポリアミドなど、無機材料ならば酸化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができる。特に感光性の有機樹脂を絶縁層310に用い、第1の電極309上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することにより、第1の電極309と後に形成される第2の電極312とが接続してしまうのを防ぐことができる。このとき、マスクを液滴吐出法または印刷法で形成することができる。また絶縁層310自体を、液滴吐出法または印刷法で形成することもできる。
【0148】
次に電界発光層311を形成する前に、絶縁層310及び第1の電極309に吸着した水分や酸素などを除去するために、大気雰囲気下で加熱処理または真空雰囲気下で加熱処理(真空ベーク)を行なっても良い。具体的には、基板の温度を200℃〜450℃、好ましくは250〜300℃で、0.5〜20時間程度、真空雰囲気下で加熱処理を行なう。望ましくは3×10−7Torr以下とし、可能であるならば3×10−8Torr以下とするのが最も望ましい。そして、真空雰囲気下で加熱処理を行なった後に電界発光層311を成膜する場合、電界発光層311を成膜する直前まで基板を真空雰囲気下に置いておくことで、信頼性をより高めることができる。また真空ベークの前または後に、第1の電極309に紫外線を照射してもよい。
【0149】
電界発光層311は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良く、各層には有機材料のみならず無機材料が含まれていても良い。電界発光層311におけるルミネセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。複数の層で構成されている場合、陰極に相当する第1の電極309上に、電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なお第1の電極309が陽極に相当する場合は、電界発光層311を、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層して形成する。
【0150】
また電界発光層311は、高分子系有機化合物、中分子系有機化合物(昇華性を有さず、連鎖する分子の長さが10μm以下の有機化合物)、低分子系有機化合物、及び無機化合物のいずれかを用いることができる。また、電界発光層311は、液滴吐出法で形成することが可能である。また中分子系有機化合物、低分子系有機化合物、無機化合物は蒸着法で形成してもよい。
【0151】
第2の電極312は、一般的に仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、リチウム(Li)やセシウム(Cs)などのアルカリ金属、及びマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)などのアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、イッテリビウム(Yb)やエルビウム(Er)などの希土類金属を用いて形成することもできる。また、電子注入性の高い材料を含む層を第2の電極312に接するように形成することにより、アルミニウム(Al)や、透光性酸化物導電材料などを用いた、通常の導電膜も用いることができる。
【0152】
このように、絶縁層310の開口部において、第1の電極309と電界発光層311と第2の電極312を設けることで、発光素子313として機能する。
【0153】
なお、発光素子313を形成したら、第2の電極312上に、絶縁膜を形成することもできる。絶縁膜は、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜などを用いるのが望ましい。また上述した水分や酸素などの物質を透過させにくい膜と、該膜に比べて水分や酸素などの物質を透過させやすい膜とを積層させて、上記絶縁膜として用いることも可能である。
【0154】
また、さらに発光素子313は、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルムなど)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0155】
図15(B)は、発光素子の画素電極側から光を取り出すボトムエミッション型の表示装置の構成を示す断面図である。図15(B)に示すように、ボトムエミッション型の表示装置は、同一基板上に周辺回路部300と、表示部301と、を有し、周辺回路部300に第1のpチャネル型トランジスタ302と、第1のnチャネル型トランジスタ303と、を有し、表示部301に第2のnチャネル型トランジスタ304と、補助容量として機能する容量素子306と、スイッチングトランジスタとして機能する第3のnチャネル型トランジスタ305と、駆動トランジスタとして機能する第2のpチャネル型トランジスタ307と、を有し、さらに表示部301におけるトランジスタのいずれかの電極、または容量素子の電極に接するように設けられた第1の電極309と、各トランジスタ上に設けられた絶縁層310と、絶縁層310に設けられた開口部を介して第1の電極309と接するように設けられた電界発光層311と、電界発光層311と接するように設けられた第2の電極312と、を有する発光素子313を有する。なお、周辺回路部300と表示部301の各トランジスタ及び容量素子は、図6乃至図12に示す方法を用いて作製することができる。
【0156】
なお、図15(B)の第1の電極309、絶縁層310、電界発光層311、第2の電極312については、図15(A)における第1の電極309、絶縁層310、電界発光層311、及び第2の電極312に適用可能な材料と同様の材料を用いることができる。
【0157】
なお、図15(B)の構成において、発光素子313は、第1の電極309及び第2の電極312の両方から光を取り出すこともできる。目的とする構成に合わせて、第1の電極309及び第2の電極312のそれぞれの材料及び膜厚を選択するようにする。また、図15(B)のように第1の電極309側から光を取り出す場合、第2の電極312側から光を取り出す場合に比べて、より低い消費電力でより高い輝度を得ることができる。
【0158】
以上のように、同一基板上に周辺回路部と表示部におけるトランジスタをそれぞれ形成し、さらにその上に発光素子を形成することにより、本発明の表示装置を作製することができる。
【0159】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0160】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の表示装置を表示パネルに用いた電子機器について説明する。
【0161】
本発明の表示装置は様々な電子機器の表示パネルに用いることができる。本発明の表示装置を適用することが可能な電子機器の例として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポなど)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯電話、携帯型情報端末(モバイルコンピュータ、携帯型ゲーム機、電子書籍、またはコンピュータを内蔵し、複数のデータ処理を行うことにより、複数の機能を有するものも含む)、または記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)などの記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例について図16及び図17を用いて説明する。図16及び図17は、本実施の形態における電子機器の構成を示す図である。
【0162】
図16(A)はディスプレイ装置であり、筐体1001、支持台1002、表示パネル1003、スピーカー部1004、ビデオ入力端子1005などを含む。本発明の表示装置は、表示パネル1003に用いることができる。なお、ディスプレイ装置は、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全てのディスプレイ装置が含まれる。
【0163】
図16(B)はデジタルスチルカメラであり、本体1101、表示パネル1102、受像部1103、操作キー1104、外部接続ポート1105、シャッターボタン1106などを含む。本発明の表示装置は、表示パネル1102に用いることができる。
【0164】
図16(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体1201、筐体1202、表示パネル1203、キーボード1204、外部接続ポート1205、ポインティングデバイス1206などを含む。本発明の表示装置は、表示パネル1203に用いることができる。
【0165】
図16(D)はモバイルコンピュータであり、本体1301、表示パネル1302、スイッチ1303、操作キー1304、赤外線ポート1305などを含む。本発明の表示装置は、表示パネル1302に用いることができる。
【0166】
図16(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体1401、筐体1402、表示パネルA1403、表示パネルB1404、記録媒体(DVDなど)読込部1405、操作キー1406、スピーカー部1407などを含む。表示パネルA1403は主として画像情報を表示し、表示パネルB1404は主として文字情報を表示するが、本発明の表示装置は、これら表示パネルA1403、表示パネルB1404に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0167】
図16(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体1501、表示パネル1502、アーム部1503を含む。本発明の表示装置は、表示パネル1502に用いることができる。
【0168】
図16(G)はビデオカメラであり、本体1601、表示パネル1602、筐体1603、外部接続ポート1604、リモコン受信部1605、受像部1606、バッテリー1607、音声入力部1608、操作キー1609などを含む。本発明の表示装置は、表示パネル1602に用いることができる。
【0169】
図16(H)は携帯電話であり、本体1701、筐体1702、表示パネル1703、音声入力部1704、音声出力部1705、操作キー1706、外部接続ポート1707、アンテナ1708などを含む。本発明の表示装置は、表示パネル1703に用いることができる。なお、表示パネル1703は黒色の背景に白色の文字を表示することにより携帯電話の消費電流を抑えることができる。
【0170】
図17は、複数の機能を有する携帯型情報端末の一例であり、図17(A)が携帯型情報端末の正面図、図17(B)が携帯型情報端末の背面図、図17(C)が携帯型情報端末の展開図である。図17を一例とした携帯型情報端末は、複数の機能を備えることができる。例えば電話機能に加えて、コンピュータを内蔵し、様々なデータ処理機能を備えることもできる。
【0171】
図17に示す携帯型情報端末は、筐体1800及び筐体1801の二つの筐体で構成されている。筐体1800には、表示パネル1802、スピーカー1803、マイクロフォン1804、操作キー1805、ポインティングデバイス1806、カメラ用レンズ1807、外部接続端子1808などを備え、筐体1801には、イヤホン端子1809、キーボード1810、外部メモリスロット1811、カメラ用レンズ1812、ライト1813などを備えている。また、アンテナは筐体1801内部に内蔵されている。
【0172】
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置などを内蔵していてもよい。
【0173】
本発明の表示装置は、表示パネル1802に用いることができ、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル1802と同一面上にカメラ用レンズ1807を備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示パネル1802をファインダーとしカメラ用レンズ1812及びライト1813で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカー1803及びマイクロフォン1804は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。操作キー1805では、電話の発着信、電子メールなどの簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動などが可能である。さらに、重なり合った筐体1800と筐体1801(図17(A))は、スライドし図17(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード1810、ポインティングデバイス1806を用いて円滑な操作が可能である。外部接続端子1808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0174】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
【0175】
以上のように、本発明の表示装置は、上記のような様々な電子機器の表示パネルとして適用することができる。本発明の表示装置を表示パネルとして用いることにより、回路面積が小さく、消費電力の小さい電子機器を提供することができる。
【0176】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0177】
本実施例では、単結晶半導体材料を用いて表示部及び周辺回路部を同一基板上に形成した表示装置について説明する。
【0178】
本実施例における表示装置の構成について図18を用いて説明する。図18は、本実施例における表示装置の構成を示す上面図である。
【0179】
図18に示す本実施例の表示装置2000は、OLEDパネル2001と、画像処理回路2002と、CPU2003と、WRAM2004と、PROM2005と、を同一基板上に有する。これらの回路に用いられるトランジスタは半導体層に単結晶半導体材料を用いて形成されている。
【0180】
本実施例の表示装置の主な仕様を表1に示す。
【0181】
【表1】

【0182】
このときの画素における駆動トランジスタのチャネル長Lは、上記実施の形態1の数式を用いて以下のように求めた。
【0183】
数2において、Idsを0.2μAとし、μを122cm/Vsとし、Coxを4.53×10−16F/μmとし、Vthを2Vとして、さらに表示装置の仕様を考慮して駆動トランジスタのチャネル長Lを計算すると、約143μmとなった。
【0184】
以上のように、実際に単結晶半導体材料を用いて表示部及び周辺回路部を構成する各回路を同一基板上に形成した表示装置を作製することができた。画素における駆動トランジスタのチャネル長Lを上記の値にすることによりオン電流の値を本発明の表示装置に適した範囲の値に制御して表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】実施の形態1における本発明の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1における本発明の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における本発明の表示装置の画素構成を示す上面図である。
【図4】実施の形態1における本発明の表示装置の画素構成を示す回路図である。
【図5】本発明の表示装置におけるドレイン電圧とドレイン電流との関係を示す図である。
【図6】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。
【図7】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。
【図8】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。
【図9】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。
【図10】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。
【図11】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。
【図12】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの作製方法を示す断面図である。
【図13】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの基板と半導体層の貼り合わせ方法を示す断面図である。
【図14】実施の形態2における本発明の表示装置を構成するトランジスタの基板と半導体層の貼り合わせ方法を示す断面図である。
【図15】実施の形態3における本発明の表示装置の作製方法を示す断面図である。
【図16】実施の形態4における本発明の表示装置を表示部に有する電子機器の構成を示す図である。
【図17】実施の形態4における本発明の表示装置を表示部に有する電子機器の構成を示す図である。
【図18】実施例1における本発明の表示装置の構成を示す上面図である。
【符号の説明】
【0186】
100 基板
101 表示部
102 周辺回路部
103 画素
104 画素部
105 走査線
106 信号線
107 電源線
108 走査線駆動回路
109 信号線駆動回路
110 電源回路
111 画像処理回路
112 演算回路
113 第1の記憶回路
114 第2の記憶回路
115 スイッチングトランジスタ
116 容量素子
117 駆動トランジスタ
118 発光素子
200 基板
201 第1の絶縁層
202 第2の絶縁層
203 第1の半導体層
204 第2の半導体層
205 第3の半導体層
206 第4の半導体層
207 第5の半導体層
208 第6の半導体層
209 第1のゲート絶縁層
210 第1の導電層
211 第2の導電層
212 第1のレジストマスク
213 電極
214 電極
215 第2のゲート絶縁層
216 第3の導電層
217 第4の導電層
218 第2のレジストマスク
219 電極
220 電極
221 電極
222 電極
223 電極
224 第1のn型不純物領域
225 第3のレジストマスク
226 第1のp型不純物領域
227 第2のp型不純物領域
228 第4のレジストマスク
229 第2のn型不純物領域
230 第3のn型不純物領域
231 第3の絶縁層
232 第4の絶縁層
233 第5の絶縁層
234 開口部
235 配線
236 周辺回路部
237 表示部
238 第1のpチャネル型トランジスタ
239 第1のnチャネル型トランジスタ
240 第2のpチャネル型トランジスタ
241 第2のnチャネル型トランジスタ
242 第3のnチャネル型トランジスタ
243 容量素子
250 半導体基板
251 第1の絶縁層
252 領域
253 接合層
254 支持基板
255 半導体層
300 周辺回路部
301 表示部
302 第1のpチャネル型トランジスタ
303 第1のnチャネル型トランジスタ
304 第2のnチャネル型トランジスタ
305 第3のnチャネル型トランジスタ
306 容量素子
307 第2のpチャネル型トランジスタ
308 絶縁層
309 第1の電極
310 絶縁層
311 電界発光層
312 第2の電極
313 発光素子
1001 筐体
1002 支持台
1003 表示パネル
1004 スピーカー部
1005 ビデオ入力端子
1101 本体
1102 表示パネル
1103 受像部
1104 操作キー
1105 外部接続ポート
1106 シャッターボタン
1201 本体
1202 筐体
1203 表示パネル
1204 キーボード
1205 外部接続ポート
1206 ポインティングデバイス
1301 本体
1302 表示パネル
1303 スイッチ
1304 操作キー
1305 赤外線ポート
1401 本体
1402 筐体
1403 表示パネルA
1404 表示パネルB
1405 記録媒体読込部
1406 操作キー
1407 スピーカー部
1501 本体
1502 表示パネル
1503 アーム部
1601 本体
1602 表示パネル
1603 筐体
1604 外部接続ポート
1605 リモコン受信部
1606 受像部
1607 バッテリー
1608 音声入力部
1609 操作キー
1701 本体
1702 筐体
1703 表示パネル
1704 音声入力部
1705 音声出力部
1706 操作キー
1707 外部接続ポート
1708 アンテナ
1800 筐体
1801 筐体
1802 表示パネル
1803 スピーカー
1804 マイクロフォン
1805 操作キー
1806 ポインティングデバイス
1807 カメラ用レンズ
1808 外部接続端子
1809 イヤホン端子
1810 キーボード
1811 外部メモリスロット
1812 カメラ用レンズ
1813 ライト
2000 表示装置
2001 OLEDパネル
2002 画像処理回路
2003 CPU
2004 WRAM
2005 PROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有する第1の複数のトランジスタを用いて構成される表示部と、
前記基板上に設けられた、少なくともゲート端子、ソース端子、及びドレイン端子を有する第2の複数のトランジスタを用いて構成される周辺回路部と、を有し、
前記第1の複数のトランジスタ及び前記第2の複数のトランジスタは、単結晶半導体材料を用いた半導体層を有し、
前記表示部は、少なくとも1つの画素を有する画素部を有し、
前記画素は、発光素子と、前記第1の複数のトランジスタの一つであり前記発光素子の発光量を制御する駆動トランジスタと、を有し、
前記駆動トランジスタの半導体層は、チャネル長の方向が前記画素の縦方向と平行になるチャネル領域を有し、
前記駆動トランジスタの前記チャネル長をLμmとし、前記画素の縦の長さをXμmとしたとき、
143≦L≦AX(0<A≦0.7 X≧204)
である表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の複数のトランジスタの半導体層上には、第1のゲート絶縁層が設けられ、
前記第1の複数のトランジスタの半導体層上には、前記第1のゲート絶縁層と、前記第1のゲート絶縁層上の第2のゲート絶縁層と、が設けられる表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記駆動トランジスタの前記ゲート端子及び前記ソース端子の間に印加される電圧をVgsとし、前記ソース端子及び前記ドレイン端子の間に印加される電圧をVdsとし、前記駆動トランジスタの閾値電圧をVthとするとき、前記駆動トランジスタは、
|Vds|≧|Vgs|−|Vth|
となるように駆動される表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
一画素における前記発光素子に流れる電流の値は、0.1μA以上1.0μA以下である表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記周辺回路部は、演算回路、画像処理回路、及び記憶回路を有する表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示装置を用いた表示パネルを有する電子機器。
【請求項7】
基板上に第1の絶縁層を介して単結晶半導体材料を用いた島状の複数の半導体層を形成し、
前記第1の絶縁層及び前記複数の半導体層上に第1のゲート絶縁層を形成し、
前記複数の半導体層のうち、周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に前記第1のゲート絶縁層を介して第1のゲート電極を形成し、
前記第1のゲート電極及び前記第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層を形成し、
前記複数の半導体層のうち、表示部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に前記第1のゲート絶縁層及び前記第2のゲート絶縁層を介して第2のゲート電極を形成し、
前記複数の半導体層上に、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極、並びに第2のゲート絶縁層を介して選択的にレジストマスクを形成し、p型不純物元素またはn型不純物元素を添加することにより、前記複数の半導体層に第1の不純物領域と、前記第1の不純物領域より不純物濃度の低い第2の不純物領域と、を選択的に形成し、
前記レジストマスクを除去し、前記第2のゲート絶縁層及び前記第2のゲート電極上に第2の絶縁層を形成し、
前記第1の不純物領域上の層に選択的に複数の第1の開口部を形成し、
前記複数の第1の開口部を介して前記第1の不純物領域に接する複数の配線を形成し、
前記複数の配線のうち、前記表示部を構成するトランジスタの配線となる配線のいずれかに接する第1の電極を形成し、
前記第1の電極、前記複数の配線、及び前記第2の絶縁層上に第3の絶縁層を形成し、
前記第1の電極上の前記第3の絶縁層に選択的に第2の開口部を形成し、
前記第2の開口部を介して前記第1の電極と接する電界発光層を形成し、
前記電界発光層に接する第2の電極を形成する表示装置の作製方法。
【請求項8】
基板上に第1の絶縁層を介して単結晶半導体材料を用いた島状の複数の半導体層を形成し、
前記第1の絶縁層及び前記複数の半導体層上に第1のゲート絶縁層を形成し、
前記複数の半導体層のうち、周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に前記第1のゲート絶縁層を介して第1のゲート電極を形成し、
前記第1のゲート電極及び前記第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層を形成し、
前記複数の半導体層のうち、表示部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に前記第1のゲート絶縁層及び前記第2のゲート絶縁層を介して第2のゲート電極を形成し、
前記複数の半導体層上に、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極、並びに第2のゲート絶縁層を介して選択的にレジストマスクを形成し、p型不純物元素またはn型不純物元素を添加することにより、前記複数の半導体層に第1の不純物領域と、前記第1の不純物領域より不純物濃度の低い第2の不純物領域と、を選択的に形成し、
前記レジストマスクを除去し、前記第2のゲート絶縁層及び前記第2のゲート電極上に第2の絶縁層を形成し、
前記第1の不純物領域上の層に選択的に複数の第1の開口部を形成し、
前記複数の第1の開口部を介して前記第1の不純物領域に接する複数の配線を形成し、
前記複数の配線及び前記第2の絶縁層上に第3の絶縁層を形成し、
前記複数の配線上の前記第3の絶縁層に選択的に第2の開口部を形成し、
前記複数の配線のうち、前記表示部を構成するトランジスタの配線となる配線のいずれかと前記第2の開口部を介して接する第1の電極を形成し、
前記第1の電極及び前記第3の絶縁層上に第4の絶縁層を形成し、
前記第4の絶縁層に選択的に第3の開口部を形成し、
前記第1の電極と前記第3の開口部を介して接する電界発光層を形成し、
前記電界発光層と接する第2の電極を形成する表示装置の作製方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
前記複数の半導体層のうち、前記周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層上に前記第1のゲート絶縁層を介して第1の導電層を形成し、前記第1の導電層上に第2の導電層を形成することにより前記第1のゲート電極を形成する表示装置の作製方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記複数の半導体層のうち、前記周辺回路部を構成するトランジスタの半導体層となる半導体層において、
上部に前記第1の導電層が形成されていない領域に前記第1の不純物領域を形成し、
上部に前記第1の導電層を介して前記第2の導電層が形成されていない領域であり、且つ、上部に前記第1の導電層が形成された領域に前記第2の不純物領域を形成する表示装置の作製方法。
【請求項11】
請求項7乃至請求項10のいずれか一項において、
前記基板上に窒化シリコン、窒化酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンのいずれか一つまたは複数を用いて第1の層を形成し、
前記第1の層上に水素を含有する酸化シリコン及び水素を含有する窒化シリコン、並びに酸素と水素を含有する窒化シリコン、酸素と水素を含有する酸化窒化シリコン、及び酸素と水素を含有する窒化酸化シリコンのいずれか一つを用いて第2の層を形成することにより前記第1の絶縁層を形成する表示装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−151293(P2009−151293A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299286(P2008−299286)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】