表示装置用照明装置及び表示装置
【課題】高輝度・長寿命で、色再現性に優れた表示装置用照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板214と、基板214上に配置された複数の白色発光デバイス200と、からなり、液晶表示パネル211のバックライトとして用いられる表示装置用照明装置221であって、白色発光デバイス200は、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられる表示装置用照明装置221を用いることにより、上記課題を解決できる。
【解決手段】基板214と、基板214上に配置された複数の白色発光デバイス200と、からなり、液晶表示パネル211のバックライトとして用いられる表示装置用照明装置221であって、白色発光デバイス200は、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられる表示装置用照明装置221を用いることにより、上記課題を解決できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用照明装置及び表示装置に関するものであり、特に、色再現性の高い表示装置用照明装置及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の更なる性能向上のため、透過型液晶表示パネルに用いられるバックライト(表示装置用照明装置)には、更なる高輝度化と、高い色再現性が要求されている。そのため、前記バックライトとしては、従来、蛍光表示管と導光板とを組み合わせたものが主流であったが、近年、LEDデバイスを用いたものが用いられるようになっている。前記LEDデバイスを用いたバックライトとしては、たとえば、白色LEDデバイスを複数基板上に配列したものがある。
【0003】
前記白色LEDデバイスとしては、青色発光ダイオード素子(青色LEDチップ)と青色吸収黄色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードデバイス(BY型白色LEDデバイス)や、青色LEDチップと、青色吸収緑色発光蛍光体と、青色吸収赤色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードデバイス(RGB型白色LEDデバイス)が公知であり、前記バックライトなどに実用化されている。
【0004】
前記BY型白色LEDデバイスとしては、たとえば、特許文献1に、青色発光ダイオード素子と青色吸収黄色発光蛍光体との組み合わせによる白色発光ダイオードデバイスが開示されている。また、特許文献2にも、同様の構成の発光ダイオードデバイスについて開示されている。さらに、特許文献3にも、同様の構成の発光ダイオードデバイスについて、波長変換注型材料を用いた発光素子として開示されている。
【0005】
前記RGB型白色LEDデバイスとしては、たとえば、特許文献4に、紫外光または近紫外光を発光する半導体発光素子と、素子の表面に成膜された蛍光体と、を備える蛍光体付き発光ダイオードが開示されている。この構成では、素子の表面に成膜する蛍光体の種類に応じて、この蛍光体付き発光ダイオードデバイス(LEDデバイス)の発光色を青、緑または赤色とすることが可能とされている。また、特許文献5には、III族窒化物半導体からなる発光層と、この発光層から発せられた発光波長ピーク波長が380nmの紫外光を受光して、赤色、緑色及び青色の三原色の光をそれぞれ発光する3種類の蛍光体層を備えたドットマトリックスタイプの表示装置が開示されている。
なお、特許文献1〜5に記載のLEDデバイスは、例えば、特許文献6、特許文献7などに記載されているような公知の方法により製造できるとされている。
【0006】
これらの発光ダイオードで、青色吸収黄色発光蛍光体として、特によく用いられている蛍光体は、一般式(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce3+で表わされる、セリウムで賦活したイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系酸化物蛍光体である。
【0007】
前記BY型白色LEDデバイスは、赤色成分が不足し青白い発光となり、演色性に偏りがみられるという問題があった。また、前記青色LEDチップを高輝度にするに従い発熱量が増大し、一部が分解して発光を示さなくなり、前記白色LEDチップの発光輝度を低下させるという問題も持つ蛍光体もあった。さらにまた、YAG蛍光体などにおいては、高温での変換効率に劣るため、高温となる環境下では急速に発光強度が低下するという問題も生じる場合があった。
【0008】
青色吸収黄色発光蛍光体としては、前記イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系酸化物蛍光体以外に、硫化物系蛍光体も知られている。たとえば、特許文献8には、390〜420nmの波長の光を発光する半導体発光素子と、この半導体発光素子からの発光により励起される蛍光体とを用いて、白色の光を発光する半導体発光素子が開示されている。390〜420nmの波長の光で励起され発光する蛍光体として、様々な酸化物や硫化物の蛍光体が用いられている。しかし、前記硫化物系蛍光体は化学的安定性に難点があり、白色LEDデバイスとして必要な寿命特性が確保できない場合があった。
【0009】
青色吸収黄色発光蛍光体としては、上記蛍光体以外に、ケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体などが知られている。しかし、これらの蛍光体も、真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源に曝されることによって、蛍光体の発光輝度が低下する。
【0010】
一方、サイアロン蛍光体等の酸窒化物蛍光体は、前記励起源に曝されても輝度低下が少ないことが報告されている。たとえば、特許文献9には、Caを含有するサイアロン蛍光体が開示されている。ここで、このサイアロン蛍光体は、まず、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)を所定のモル比で混合された後、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される。この方法により得られるEuイオンを固溶したα型サイアロン蛍光体は、450〜500nmの青色光で励起されて550〜600nmの黄色の光を発する青色吸収黄色発光蛍光体である。
【0011】
また、特許文献10には、別のサイアロン蛍光体に関するものであって、β−Si3N4構造を有するβ型サイアロン蛍光体について開示されている。このβ型サイアロン蛍光体は、近紫外〜青色光で励起されることにより、500〜600nmの緑色〜橙色の発光を行う青色吸収黄色発光蛍光体である。
【0012】
更に、特許文献11には、JEM相からなる酸窒化物蛍光体が開示されている。この酸窒化物蛍光体は、近紫外〜青色光で励起されて、460〜510nmに発光波長ピークを有する発光を行う青色吸収緑色発光蛍光体である。
【特許文献1】特許第2900928号公報
【特許文献2】特許第2927279号公報
【特許文献3】特許第3364229号公報
【特許文献4】特開平10−12925号公報
【特許文献5】特開平9−153664号公報
【特許文献6】特開平5−152609号公報
【特許文献7】特開平7−99345号公報
【特許文献8】特開2002−171000号公報
【特許文献9】特開2002−363554号公報
【特許文献10】特開2005−255895号公報
【特許文献11】特開2006−232868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料を有し、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)(但し、v(0)はM(0)イオンの価数であり、v(1)はM(1)イオンの価数である)のすべてを満たすようM(0)、M(1)、M(2)、M(3)、O、Nの原子比を調整した蛍光体が、発光スペクトルの半値幅が狭く、発光ピーク波長を520nm近傍とした緑色発光を示し、前記RGB型白色LEDデバイスの青色吸収緑色発光蛍光体として好適であることを見出した。
この知見についてさらに研究を進めた結果、以下の構成に示す本発明を完成するに至った。すなわち、
【0015】
(1) 基板と、前記基板上に配置された複数の白色発光デバイスと、からなり、液晶表示パネルのバックライトとして用いられる表示装置用照明装置であって、前記白色発光デバイスは、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられることを特徴とする表示装置用照明装置。但し、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v(0)をM(0)イオンの価数とし、v(1)をM(1)イオンの価数としたときに、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)である。
【0016】
(2) 前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.005≦b≦0.3であることを特徴とする(1)に記載の表示装置用照明装置。
(3) 前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.01≦b≦0.2であることを特徴とする(1)または(2)に記載の表示装置用照明装置。
(4) 前記蛍光材料のx,y,zが、x=42,y=10,z=46であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(5) 前記蛍光材料のM(0)元素がCa,Sr,Baから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(6) 前記蛍光材料のM(2)元素がSiであり、M(3)元素がAlであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(7) 前記蛍光材料のnが、n≦meであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0017】
(8) 前記蛍光体として、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3、Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光体が用いられることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(9) 前記蛍光体の平均粒径が0.1μm以上50μm以下の粉体であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(10) 前記蛍光体の平均アスペクト比が20以下であることを特徴とする(9)に記載の表示装置用照明装置。
【0018】
(11) 前記蛍光体がフッ素を5〜300ppm含有することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(12) 前記蛍光体がホウ素を10〜3000ppm含有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(13) 前記蛍光体の少なくとも一部表面に透明膜が形成されており、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、前記透明膜の厚さが(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0019】
(14) 前記透明膜の屈折率nkが1.2以上2.5以下であることを特徴とする(13)に記載の表示装置用照明装置。
(15) 前記透明膜の屈折率nkが1.5以上2.0以下であることを特徴とする(14)に記載の表示装置用照明装置。
(16) 前記蛍光体として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(17) 前記赤色発光蛍光材料がCaAlSiN3:Euであることを特徴とする(16)に記載の表示装置用照明装置。
【0020】
(18) 前記光源が、発光ピーク波長が330〜500nmの青色発光LEDチップであることを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(19) 前記LEDチップの発光ピーク波長が420〜470nmであることを特徴とする(18)に記載の表示装置用照明装置。
【0021】
(20) 前記LEDチップからの青色発光と、前記青色発光によって励起された前記蛍光材料からの緑色発光と、前記青色発光によって励起された前記赤色発光蛍光材料からの赤色発光と、が混色されて、前記白色発光デバイスから白色発光が得られることを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(21) 前記白色発光デバイスが、砲弾型白色LEDデバイスまたは表面実装型白色LEDデバイスであることを特徴とする(1)〜(20)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0022】
(22) 前記砲弾型白色LEDデバイスまたは前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップの発光を正面方向に反射させるリフレクタ面を有していることを特徴とする(21)に記載の表示装置用照明装置。
(23) 前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを取り囲むように配置された壁面部材を有しており、前記壁面部材に前記リフレクタ面が形成されていることを特徴とする(21)または(22)に記載の表示装置用照明装置。
(24) 前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを配線基板上に直接実装したチップ・オン・ボード型デバイスであることを特徴とする(21)〜(23)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(25) 前記配線基板および/または前記壁面部材が、樹脂製部材および/またはセラミクス製部材を含むことを特徴とする(21)〜(24)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0023】
(26) 前記樹脂製部材が、熱硬化性樹脂材料からなることを特徴とする(25)に記載の表示装置用照明装置。
(27) 前記白色発光デバイスが、前記LEDチップと、前記LEDチップを取り囲んで形成された樹脂と、を有しており、前記樹脂中に前記蛍光体が、分散されていることを特徴とする(1)〜(26)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(28) 前記蛍光体が、前記LEDチップの近傍で高密度となるように前記樹脂中に分散されていることを特徴とする(27)に記載の表示装置用照明装置。
(29) 前記樹脂が、前記LEDチップを覆うように形成された第一の樹脂と、前記第一の樹脂を覆うように形成された第二の樹脂とからなり、前記蛍光体が、前記第一の樹脂中に分散されていることを特徴とする(27)または(28)に記載の表示装置用照明装置。
【0024】
(30) 前記蛍光体が、前記LEDチップの少なくとも一面を覆うように直接付着されていることを特徴とする(1)〜(26)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(31) 前記蛍光体が、層状に形成されていることを特徴とする(30)に記載の表示装置用照明装置。
(32) 前記蛍光体の厚みが、1μmから100μmであることを特徴とする(30)または(31)に記載の表示装置用照明装置。
(33) 前記樹脂が、少なくとも一部の領域にシリコーン樹脂を含むことを特徴とする(27)〜(32)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(34) 前記樹脂が、少なくとも一部の領域にメチルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする(33)に記載の表示装置用照明装置。
(35) 前記樹脂が、少なくとも一部の領域にフェニルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする(33)または(34)に記載の表示装置用照明装置。
【0025】
(36) 前記LEDチップの一辺が350μmよりも大きいことを特徴とする(1)〜(35)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(37) 前記LEDチップが複数配置されてなることを特徴とする(1)〜(36)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(38) 前記白色発光デバイス1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用されることを特徴とする(1)〜(37)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(39) 前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする(1)〜(38)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(40) 前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする(39)に記載の表示装置用照明装置。
(41) (1)〜(40)のいずれかに記載の表示装置用照明装置と、透過型液晶表示パネルと、を備えたことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0026】
上記の構成によれば、高輝度・長寿命で、色再現性に優れた表示装置用照明装置及び表示装置を提供することができる。
【0027】
本発明の表示装置用照明装置は、透過型液晶表示パネルのバックライトとして用いられる表示装置用照明装置であって、前記表示装置用照明装置は、矩形状の基板と、前記基板上に配置された複数の発光デバイスと、からなり、前記発光デバイスは、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられ、前記一般式において、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)(但し、v(0)はM(0)イオンの価数であり、v(1)はM(1)イオンの価数である)のすべてを満たすように、M(0)、M(1)、M(2)、M(3)、O、Nの原子比を調整する構成なので、前記蛍光体を、発光ピーク波長が520nm近傍とされた青色吸収緑色発光蛍光体とすることができ、緑色発光の色度座標をディスプレイに最適な座標にして、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の実施形態である表示装置の一例を説明する断面模式図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である表示装置201は、透過型液晶表示パネル211と、カラーフィルター212と、本発明の実施形態である表示装置用照明装置221と、を有して概略構成されている。
【0029】
<透過型液晶表示パネル211>
透過型液晶表示パネル211は、液晶層、透明電極層及び配向膜などが積層されてなるとともに、平面視したときに、格子状に配列された複数の画素部を有し、各画素部を独立に制御して前記液晶層の液晶の配向を制御する構成とされている(図示略)。なお、透過型液晶表示パネル211としては公知のものを用いることができる。詳細の構成については説明を省略する。
【0030】
<カラーフィルター212>
カラーフィルター212は、赤、緑、青(RGB)の3原色のカラーフィルター部が複数格子状に並べられてなる光透過性フィルムであって、各カラーフィルター部は、透過型液晶表示パネル211の画素部に対応するように形成されている(図示略)。なお、カラーフィルター212も公知のものを用いることができる。詳細の構成については説明を省略する。
また、カラーフィルター212は、図1では透過型液晶表示パネル211と表示装置用照明装置221との間に配置しているが、これに限られるものではなく、たとえば、透過型液晶表示パネル211の正面方向fの面に配置してもよい。
【0031】
<表示装置用照明装置221>
図1に示すように、本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、基板214の正面方向fの面214a上に複数の白色発光デバイス200が配置されてなる。
白色発光デバイス200として、砲弾型白色LEDデバイス(砲弾型白色発光ダイオードランプ)1が用いられている。砲弾型白色LEDデバイス1は、リードワイヤ2、3を介して、基板214に接続されている。
【0032】
図1では省略しているが、基板214の正面側の面214a上および/または内部には配線が形成されており、前記配線はリードワイヤ2、3と接続されるとともに、基板214に取り付けられた電気信号制御部に接続されている。これにより、前記電気信号制御部を操作して、砲弾型白色LEDデバイス1の発光のオンオフ及び発光輝度の制御などを行うことができる構成とされている。
砲弾型白色LEDデバイス1から正面方向fへ出射された光は、図1の矢印lに示すように、カラーフィルター212及び透過型液晶表示パネル211を通って、正面方向fへ出射される構成とされている。
【0033】
図2は、表示装置用照明装置の一例を示す平面模式図である。
図2に示すように、本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、平面視したときに略矩形状の基板214に、複数の白色発光デバイス200が格子状に配置されてなる。
白色発光デバイス200の数と配置は、表示装置用照明装置221からの光がカラーフィルター212及び透過型液晶表示パネル211を通って、正面方向fへ出射されたときに、透過型液晶表示パネル211の表示面211a内で均一の強さの光となるように配置されていればよく、図2に示す数と配置に限られるものではない。
【0034】
図3は、図1に示した白色発光デバイス200(砲弾型白色LEDデバイス1)の拡大断面図である。
図3に示すように、砲弾型白色LEDデバイス1は、第一のリードワイヤ2と、第二のリードワイヤ3とを備え、第一のリードワイヤ2の先端部2bには凹部2aを有し、その凹部2aに光源40である発光ダイオード素子(LEDチップ)4が蔵置されている。
LEDチップ4は上下電極型であり、下部電極4aが凹部2aの底面と導電性ペーストによって電気的に接続されており、上部電極4bが第二のリードワイヤ3とボンディングワイヤ(金細線)5によって電気的に接続されている。
なお、第一のリードワイヤ2の凹部2aは、断面形状が逆台形形状とされ、正面方向fに向けられた底面と側壁面とを有している。この凹部2aの底面と側壁面は、LEDチップ4の光を反射させて正面方向fに出射させるリフレクタ面(反射面)とされている。
【0035】
<光源>
光源40として発光ダイオード素子(LEDチップ)4が用いられている。光源40としてLEDチップ4を用いることにより、装置サイズを小さくすることができ、消費電力を抑えることができる。また、LEDチップ4は、安価に大量に取り扱うことができるので、表示装置用照明装置221および表示装置201の製造コストを抑制することができる。
LEDチップ4としては、その発光ピーク波長が330〜500nmである青色発光のチップがより好ましく、その発光ピーク波長が420〜470nmであるものが更に好ましい。これにより、効率よく蛍光体を励起させることができるとともに、白色発光デバイス200のために好適な青色発光とすることができる。
【0036】
LEDチップ4は、発光効率向上の点から、窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、たとえば、MOCVD法やHVPE法等を用いて形成する。窒化ガリウム系化合物半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構造とすることができる。LEDチップ4の発光層は、InαAlβGa1−α−βN(但し、0≦α、0≦β、α+β≦1)からなる窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、量子効果を有する単一量子井戸構造または多重量子井戸構造とすることが好ましい。なお、前記窒化物系化合物半導体の材料組成やその混晶度などを制御することによって、前記発光層からの発光ピーク波長を制御することができる。
【0037】
<樹脂>
凹部2aに配置されたLEDチップ4を取り囲むように、透明な第一の樹脂6が凹部2aに充填されている。また、第一の樹脂6には、蛍光体7が分散されている。
凹部2aの第一の樹脂6を取り囲むとともに、第一のリードワイヤ2の先端部2b及び第二のリードワイヤ3の先端部3bを取り囲んで、透明な第二の樹脂8が形成されている。なお、第二の樹脂8の形状は、全体が略円柱形状であり、その先端部がレンズ形状の曲面となる砲弾型とされている。第一の樹脂6及び第二の樹脂8により、LEDチップ4は完全に封止されている。
【0038】
第一の樹脂6と第二の樹脂8の材質は、できるだけ紫外線光による劣化の少ない材料を選定することが好ましく、シリコーン樹脂を含むことが好ましく、メチルシリコーン樹脂またはフェニルシリコーン樹脂を含むことがより好ましい。シリコーン樹脂は短波長の光に対して耐性を持つので、短波長の発光のLEDチップ4を封止するのに好適である。更に、樹脂が柔軟性を持つメチルシリコーン樹脂であることで、ボンディングワイヤの断裂を回避することができる。一方、剛性を持つフェニルシリコーン樹脂であっても良い。この場合、湿気などがLEDチップ4に貫通することを防止し、高湿などの厳しい環境においての使用に際して好適である。なお、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の他の樹脂あるいはガラス等の透明材料を含んでいても良い。
第一の樹脂6と第二の樹脂8は、同じ樹脂を用いても良いし、異なる樹脂を用いても良いが、製造の容易さや接着性の良さなどから、同じ樹脂を用いる方が好ましい。
【0039】
また、蛍光体7は、他の蛍光体に比較して温度による特性の変化が少ないので、LEDチップ4の近傍に蛍光体7を配置することで、LEDチップ4から発生する熱を受けて蛍光体7の温度が上がってしまったとしても、発光特性の変化が小さくて済む。
【0040】
<樹脂の屈折率>
光源40であるLEDチップ4の発光材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いる場合には、前記窒化ガリウム系化合物半導体が2.4〜2.5程度の非常に高い屈折率を有するので、LEDチップ4を覆う第1の樹脂6としては、1.2よりも高い屈折率を有する樹脂とすることが好ましい。一方、第1の樹脂6を覆う第2の樹脂8は、第1の樹脂6よりも低い屈折率の樹脂とすることが好ましい。これにより、LEDチップ4からの光取り出し効率を高めることができる。
【0041】
<蛍光体>
蛍光体7は、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料を含む。ここで、O元素は酸素であり、N元素は窒素である。蛍光体7として前記蛍光材料を含むことにより、発光強度を高めることができる。なお、前記一般式の各組成について、以下詳細に説明する。
【0042】
<M(0)元素>
M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素を用いることが好ましく、Ca,Sr,Baから選ばれる一種以上の元素を用いることがより好ましく、Srを用いることが更に好ましい。
M(0)元素としてCa,Sr,Baから選ばれる一種以上を用いることにより、十分に高い発光強度を得られる。また、M(0)元素としてSrを用いることにより、より高い発光輝度が得られる。
なお、Srの一部をCaで置換すると、発光色を長波長側にシフトさせることができ、Baで置換すると、短波長側にシフトさせることができる。
【0043】
<M(1)元素>
M(1)元素は、賦活剤であるMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の元素を用いることが好ましく、Ce,Eu,Ybから選ばれる一種以上の元素を用いることがより好ましく、Euを用いることが更に好ましい。
M(1)元素として賦活剤であるMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の元素を用いることにより、前記蛍光材料の発光ピーク波長を480〜540nmとして、発光色を青緑色〜緑色とすることができる。これにより、表示装置用照明装置(バックライト)に用いられる白色発光のための緑色発光の理想的な色度座標に近づけることができる。
M(1)元素としてEuを用いることにより、前記蛍光材料の発光ピーク波長を495〜525nmとして、発光色を青緑色〜緑色とすることができる。これにより、蛍光体7の緑色発光の色度座標の位置を、緑色発光としてより理想的な色度座標に近づけることができる。
【0044】
前記一般式のM(1)元素の成分比bの値の好ましい範囲は、0.001≦b≦1.2である。bの値が0.001より小さいと、発光する原子数が少なすぎるため十分な発光強度を得ることができず、また、1.2を超えると、濃度消光のため発光強度が低下し、何れも好ましくない。
bの値は、0.005≦b≦0.3とすることがより好ましく、0.01≦b≦0.2とすることが更に好ましい。この範囲であれば、十分に高い発光強度を得ることが出来る。また、これにより、蛍光体7の発光ピーク波長を520nm近傍に制限して、蛍光体7の緑色発光の色度座標の位置を、緑色発光として更に理想的な色度座標に近づけることができる。
【0045】
また、蛍光体7の発光スペクトルの半値幅を狭めて、蛍光体7の緑色発光の色度座標の位置を、色度図上で更に外側に配置させることができる。白色発光を構成するRGBからなる三原色の発光の色度座標が、それぞれ色度図上でより外側に配置されることにより、前記三原色の色度座標が形成する三角形の色再現領域の面積がより大きくされる。このような発光特性を有する白色発光デバイス200を備えた表示装置用照明装置221を用いることにより、表示装置201の色再現性を向上することができる。
【0046】
なお、Eu(ユーロピウム)はプラス二価の場合に良好な発光を示す。そのため、蛍光体7に含まれる全ユーロピウムに占める二価と三価の割合は、二価が多いほど良く、全ユーロピウムに占める二価の割合は50%以上であることが好ましい。更に好ましくは、80%以上である。三価のユーロピウムが残留すると、二価のユーロピウムとは異なる波長の発光を示すことから、発光色の変化をもたらし、好ましくない。そのため、原料として三価のEuを含有する化合物を用いた場合には、焼成過程で還元する必要がある。ユーロピウムの二価と三価の割合は、X線吸収微細構造(XAFS:X−ray absorption fine structure)解析法により分析することができる。
また、M(1)元素がYbの場合も、緑色発光を示す。
【0047】
<M(2)元素、M(3)元素>
M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であることが好ましく、Siであることがより好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であることが好ましく、Alであることがより好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
【0048】
<x,y,z>
x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であることが好ましく、x=42,y=10,z=46であることがより好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
【0049】
<a,b>
a+bの好ましい範囲は、3≦a+b≦7である。
a+bの値が3より小さくなると、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上等の他の結晶相あるいはアモルファス相の含有量が増大し、発光強度が低下するため好ましくない。
また、a+bの値が7より大きくなると、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上等の他の結晶相あるいはアモルファス相の含有量が増大し、発光強度が低下するとともに、温度特性も低下するため好ましくない。
【0050】
<m,n>
mの値は me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・meであることが好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
【0051】
nの値は、0≦n≦7であるが、M(0)イオンの価数をv(0)、M(1)イオンの価数をv(1)としたときに、0≦n≦{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)の範囲が好ましい。
nの値が{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)より小さくなると、温度特性が向上すると共に、アスペクト比が小さくなり、樹脂への分散性が向上するからである。また、nの値を{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)より小さくすると、発光波長を長波長側にシフトさせることができる。
【0052】
一方、nの値が、{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)より大きくなると、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上等の他の結晶相あるいはアモルファス相の含有量が増大し、発光強度は低下する傾向が見られる。
また、n≦meであることが好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
蛍光体7の前記蛍光材料のa,b,x,y,z,m,nの値が上記記載範囲からはずれると、発光強度が低下するため好ましくない。
【0053】
蛍光体7は、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光体であってもよい。なお、残部は結晶相またはアモルファス相のいずれであってもよい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。なお、前記蛍光材料の含有量が80体積%より少ない場合には、蛍光体7から十分に高い発光強度が得ることができない。
【0054】
<平均粒径>
蛍光体7は、その平均粒径を0.1μm以上50μm以下の範囲とすることが好ましい。
前記平均粒径が0.1μmより小さい場合には、前記蛍光体の表面欠陥の影響が顕著となり、発光強度が低下する。逆に、前記平均粒径が50μmより大きい場合には、励起光の吸収が不十分となり、発光強度が低下する。尚、蛍光体7の粒度は、レーザー回折・散乱法を用いて測定することができる。
【0055】
<平均アスペクト比>
蛍光体7の粉末を構成する一次粒子の平均アスペクト比は、20以下とすることが好ましい。これにより、樹脂中への蛍光体7の分散性を向上させることができる他、蛍光体7に励起光を効率的に吸収させて、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
前記平均アスペクト比が20より大きい場合には、蛍光体7を樹脂へ混練させることが困難となり、樹脂と蛍光体7との間に空隙を生じさせる。このような空隙は、光を散乱させて、白色発光デバイス200の発光特性を悪化させる。また、前記一次粒子が交絡したり、励起光と平行に配列して、前記一次粒子の励起光の吸収が不十分となったりして、十分に高い発光強度が得られない。なお、前記一次粒子の形状が、板状である場合は、その断面形状よりアスペクト比を求める。
【0056】
<微量添加元素>
蛍光体7は、微量添加元素として、フッ素を5〜300ppmおよび/またはホウ素を10〜3000ppm含有することが好ましい。
フッ素を5〜300ppmあるいはホウ素を10〜3000ppm含有する場合に、蛍光体7からは一層良好な発光特性が得られる。この現象は、フッ素については5ppm以上、ホウ素については10ppm以上で顕著となるが、前者では300ppm、後者では3000ppmを超えた場合ではそれ以上の効果は得られなくなる。
【0057】
<透明膜>
蛍光体7の少なくとも一部表面に透明膜が形成されることが好ましい。前記透明膜を形成することにより、蛍光体7と第一の樹脂6との界面における光の損失を低減することができる。
前記透明膜として好適な材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、フッ化マグネシウム等の無機物質、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルスチレン等の樹脂を例示することができる。
【0058】
前記透明膜の厚さは、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)とすることが好ましい。すなわち、前記透明膜の適切な厚さは、前記透明膜の屈折率nkにより規定される。
前記透明膜の厚さが前記範囲より厚い場合には、前記透明膜自身が光を吸収して、白色発光デバイス200の発光強度を低下させる。また、前記透明膜の厚さが前記範囲より薄い場合には、均一な透明膜の形成が困難となり、蛍光体7と第一の樹脂6との界面における光の損失の低減効果を不十分とする。
【0059】
前記透明膜の屈折率nkが高い場合には、前記透明膜の厚さが薄くても、光の損失を低減することができる。たとえば、前記透明膜の屈折率nkが2.0の場合には、前記透明膜の好適な厚さは5〜90nmとなる。
逆に、前記透明膜の屈折率nkが低い場合に光の損失を低減するためには、前記透明膜の厚さを厚くすることを要する。たとえば、前記透明膜の屈折率nkが1.5の場合には、前記透明膜の好適な厚さは6.6〜120nmとなる。
【0060】
蛍光体7として一部表面に透明膜を形成したものを用いる場合には、蛍光体7を分散させる第一の樹脂6の屈折率は、前記透明膜の屈折率に近いものにすることが好ましい。これにより、前記透明膜と第一の樹脂6との界面における反射を抑制することができる。
なお、この場合、蛍光体7を分散させた第一の樹脂6の外側に、第一の樹脂6よりも屈折率が低い第2の樹脂8を配置すると、白色発光デバイス200の発光強度を更に向上させることができる。
【0061】
<酸素量>
蛍光体7に含有される酸素量は、前記一般式に基づいて計算される値より0.4質量%以下の範囲で多く含まれる場合には、蛍光体7からの発光特性がより一層向上する。
この0.4質量%以下の範囲で多く含まれる酸素は、蛍光体7の粉末粒子の少なくとも一部表面に形成された透明膜を構成するものである。この透明膜により、蛍光体7の耐酸化性が向上するとともに、第一の樹脂6との屈折率の差を低減することができる。これにより、蛍光体7と第一の樹脂6との界面における光の損失を低減する。更に、蛍光体7に含まれる前記蛍光材料の粒子表面の不対電子や欠陥も低減して、蛍光体7からの発光強度を向上させることができる。
【0062】
<分散性>
蛍光体7の粉末粒子の表面をカップリング処理してもよい。これにより、蛍光体7を樹脂6に分散させるときに、その分散性を向上させることができるとともに、樹脂6と蛍光体7との密着性を向上させることができる。
カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等を用いることができる。カップリング処理は、必要に応じて透明膜形成後に行ってもよい。
【0063】
<導電性を持つ無機物質>
蛍光体7を電子線で励起する用途に使用する場合は、導電性を持つ無機物質を混合することにより、蛍光体7に導電性を付与することができる。
前記導電性を持つ無機物質としては、Zn、Al、Ga、In、Snから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、または窒化物、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0064】
<無機蛍光体や蛍光染料>
蛍光体7には必要に応じ、前記蛍光材料の発光色とは異なる色を発色する無機蛍光体や蛍光染料を混合することができる。これにより、表示装置用照明装置の発光輝度より向上させることができるとともに、発光色を変化させることができる。
【0065】
蛍光体7として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられることが好ましい。たとえば、蛍光体7として、さらにCaAlSiN3:Euからなる赤色発光蛍光材料が用いられることが好ましい。
青色発光のLEDチップ4を用い、蛍光体7に前記蛍光材料とともに赤色発光のCaAlSiN3:Euからなる蛍光体を分散させた表示装置用照明装置では、LEDチップ4の青色発光と、前記青色発光を励起光源とした蛍光体7の緑色発光と、前記青色発光を励起光源とした赤色発光の蛍光体の赤色発光と、を混色させて白色発光とすることができる。なお、上記構成により、一般的に発光強度が低い波長領域の発光強度を向上させることができる。これに加えて、蛍光体7は、高温にさらしても劣化しないことから耐熱性に優れており、酸化雰囲気および水分環境下での長期間の安定性にも優れている。
【0066】
蛍光体7の製造方法は、特に限定されず、たとえば、原料を混練して原料混合物を作る工程(混練工程)と、該原料混合物を焼成する工程(焼成工程)と、該焼成された原料混合物の塊を粉砕分級する工程(第1粉砕分級工程)と、該焼成された原料混合物を熱処理する工程(熱処理工程)と、該熱処理物の塊を粉砕分級する工程(第2粉砕分級工程)とを備える方法を挙げることができる。なお、第1及び第2粉砕分級工程は省略しても良い。
【0067】
表示装置用照明装置221の白色発光デバイス200は、一つのLEDチップ4からなる構成としているが、LEDチップ4が複数配置されてなる構成としてもよい。これにより、発光輝度を向上させることができる。
表示装置用照明装置221の白色発光デバイス200に含まれる蛍光体7の耐温度発光特性が良好であるため、白色発光デバイス200を大量の熱を発生する使用方法でも問題なく使用することができ、高輝度で使用することができる。たとえば、1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用してもよい。また、同様の理由により、LEDチップ4は、1パッケージ1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用してもよく、5×104W/m2以上の電力を投入して使用してもよい。
なお、前記高輝度で大電力を投入して使用する場合とは、たとえば、一辺350μm角の面積よりも大きいLEDチップ4を用いる場合、複数のLEDチップ4が含まれる場合、LEDチップ4がフリップチップである場合などである。
【0068】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、基板214と、基板214上に配置された複数の白色発光デバイス200と、からなり、液晶表示パネル211のバックライトとして用いられる表示装置用照明装置221であって、白色発光デバイス200は、光源40と、光源40により励起されて発光する蛍光体7と、を有し、蛍光体7として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられる表示装置用照明装置であって、前記蛍光材料で、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)(但し、v(0)はM(0)イオンの価数であり、v(1)はM(1)イオンの価数である)である構成であり、蛍光体7は、従来のサイアロンや酸窒化物蛍光体より高い発光強度を有するので、発光強度を向上させて高輝度な表示装置用照明装置を得ることができる。また、蛍光体7は、励起源に曝された場合でも輝度の低下が少ないので、長寿命の表示装置用照明装置を得ることができる。さらに、蛍光体7の発光ピーク波長を330〜500nmの範囲にして、緑色の理想的な色度座標の値に近づけることができ、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置とすることができる。
【0069】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.005≦b≦0.3である蛍光材料が用いられる構成なので、前記蛍光材料からの発光ピーク波長が520nm近傍にして、この色度座標の値を緑色の理想的な色度座標の値に近づけることができる。これにより、これを表示装置用照明装置として用いた表示装置の色再現性を向上させることができる。
【0070】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.01≦b≦0.2である蛍光材料が用いられる構成なので、前記蛍光材料からの発光ピーク波長が520nm近傍にして、この色度座標の値を緑色の理想的な色度座標の値に近づけることができる。これにより、これを表示装置用照明装置として用いた表示装置の色再現性を向上させることができる。
【0071】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のx,y,zが、x=42,y=10,z=46である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(0)元素が、Ca,Sr,Baから選ばれる1種以上の元素である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(2)元素がSiであり、M(3)元素がAlである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のnが、n≦meである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0072】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7として、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3、Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光材料が用いられる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7の平均粒径が0.1μm以上50μm以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7の平均アスペクト比が20以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0073】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7が、フッ素を5〜300ppm含有する構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7が、ホウ素を10〜3000ppm含有する構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7の少なくとも一部表面に透明膜が形成されており、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、前記透明膜の厚さが(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0074】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記透明膜の屈折率nkが1.2以上2.5以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記透明膜の屈折率nkが1.5以上2.0以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0075】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記赤色発光蛍光材料がCaAlSiN3:Euである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、光源40が、発光ピーク波長が330〜500nmの青色発光LEDチップ4である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0076】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4の発光ピーク波長が420〜470nmである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4からの青色発光と、前記青色発光によって励起された前記蛍光材料からの緑色発光と、前記青色発光によって励起された前記赤色発光蛍光材料からの赤色発光と、が混色されて、白色発光デバイス200から白色発光が得られる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0077】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、白色発光デバイス200が、砲弾型白色LEDデバイス1である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。また、この形態のデバイスは規格が確立されており広く使用されているので、産業的な使用が容易である。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、砲弾型白色LEDデバイス1が、LEDチップ4の発光を正面方向fに反射させるリフレクタ面を有している構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、白色発光デバイス200が、LEDチップ4と、LEDチップ4を取り囲んで形成された樹脂と、を有しており、前記樹脂中に蛍光体7が分散されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0078】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7が、LEDチップ4の近傍で高密度となるように前記樹脂中に分散されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。また、LEDチップ4の近傍に蛍光体7を配置することにより、蛍光体7に効率的に励起光を導入させることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、樹脂が、LEDチップ4を覆うように形成された第一の樹脂6と、第一の樹脂6を覆うように形成された第二の樹脂8とからなり、蛍光体7が、第一の樹脂6中に分散されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0079】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記樹脂が、少なくとも一部の領域にシリコーン樹脂を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記樹脂が、少なくとも一部の領域にメチルシリコーン樹脂を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記樹脂が、少なくとも一部の領域にフェニルシリコーン樹脂を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0080】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4の一辺が350μmよりも大きい構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4が複数配置されてなる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用される構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0081】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4が、白色発光デバイス1が1パッケージ当り、LEDチップ4の1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用される構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4が、白色発光デバイス1が1パッケージ当り、LEDチップ4の1個当りの平面面積密度にして5×104W/m2以上の電力を投入して使用される構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置201は、表示装置用照明装置221と、液晶表示パネル211と、を備えた構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置を得ることができる。
【0082】
(第二の実施形態)
図4は、本発明の実施形態である表示装置の別の一例を説明する断面模式図であり、図5は前記表示装置を構成する表示装置用照明装置の平面模式図である。
図4及び図5に示すように、本発明の実施形態である表示装置202は、白色発光デバイス200として、砲弾型白色LEDデバイス1の代わりに、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)11が用いられた表示装置用照明装置222を用いている他は、第一の実施形態で示した表示装置201と同様の構成とされている。なお、第一の実施形態で示した部材と同じ部材については同じ符号を付して示している。
図4に示すように、表面実装型白色LEDデバイス11は、第一のリードワイヤ12と、第二のリードワイヤ13とにより、基板214へ実装されている。
【0083】
図6は、白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11の断面図である。
図6に示すように、表面実装型白色LEDデバイス11は、ナイロン樹脂で成型した可視光反射率の高い白色のアルミナセラミックスを用いた基板19に、第一のリードワイヤ12と、第二のリードワイヤ13とが固定されており、それらの端12a、端13aは基板19のほぼ中央部に位置し、反対側の端12b、端13bはそれぞれ外部に出ていて、基板214への実装時にはんだ付けされる電極となっている。
第一のリードワイヤ12の端12aは、基板中央部となるように固定されており、その上に発光ダイオード素子(LEDチップ)4が蔵置されている。LEDチップ4の下部電極4aと第一のリードワイヤ12とは導電性樹脂ペーストによって電気的に接続されており、上部電極4bと第二のリードワイヤ13とが、銀メッキを施された銅製のボンディングワイヤ15によって電気的に接続されている。
【0084】
基板19上には、略直方体状の壁面部材20が固定されている。この壁面部材20の中央部には椀状の穴20aが形成されている。穴20aは、貫通穴であり、基板19上に配置されたLEDチップ4が穴20aの中央部から突出するように配置されている。
穴20aの中央に面した部分は、光を正面方向fに取り出すためのリフレクタ面(反射面)20bとされており、そのリフレクタ面20bの曲面形は光の反射方向を考慮して決定される。また、壁面部材20は、例えば白色のシリコーン樹脂などで形成されていればよい。これにより、少なくとも反射面を構成するリフレクタ面20bは、白色または金属光沢を持った可視光線反射率の高い面となる。
【0085】
穴20aの中央部から突出するように配置されたLEDチップ4を取り囲むように、透明な樹脂からなる第一の樹脂16がドーム状に形成されている。この第一の樹脂16には、蛍光体17が分散されている。
ドーム状に形成された第一の樹脂16を取り囲むように、透明な樹脂からなる第二の樹脂18が、穴20aを充填している。第一の樹脂16及び第二の樹脂18により、LEDチップ4は封止されている。
【0086】
第一の樹脂16と第二の樹脂18の材質は、できるだけ紫外線光による劣化の少ない材料を選定することが好ましく、シリコーン樹脂が好ましいが、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の他の樹脂あるいはガラス等の透明材料であっても良い。第一の樹脂16と第二の樹脂18は、同じ樹脂を用いても良いし、異なる樹脂を用いても良いが、製造の容易さや接着性の良さなどから、同じ樹脂を用いるほうが好ましい。
【0087】
LEDチップ4の近傍に蛍光体7を配置する方法は、本実施形態で示したように、まず、LEDチップ4を取り囲むように、蛍光体7を含む第一の樹脂6を形成し、その後、第一の樹脂6を取り囲むように第二の樹脂8で封止することが好ましい。この方法は安価で、かつ密封性高く封止できる。第一の樹脂6は耐熱性の高いシリコーン樹脂を含むことが望ましい。
【0088】
なお、壁面部材20および/または基板19は、樹脂製部材および/またはセラミクス製部材を含むことが好ましい。樹脂製部材は、安価で大量に製造することができるので好適である。樹脂の種類としては、耐熱性が高く、反射率も高いものが望ましく、ナイロン樹脂などが望ましい。熱硬化性樹脂も、耐熱性の高いとともに、比較的安価で大量に製造することが可能であるので、好ましい。また、セラミクス製部材も、耐熱性に非常に優れているので好ましい。
【0089】
また、表面実装型白色LEDデバイス11の基板19に配線基板を用いて、LEDチップ4を前記配線基板に直接実装して、表面実装型白色LEDデバイス11をチップ・オン・ボード型デバイスとして用いても良い。この場合には、用途にカスタマイズした形態をとることができ、温度特性に優れる本蛍光体の特性を生かした用途に使用することができるようになる。
【0090】
本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置222及び表示装置202は、第一の実施形態で示した効果と同様の効果の他に、以下の効果を有する。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、白色発光デバイス200として表面実装型白色LEDデバイス11を用いる構成なので、表面実装に優れ、容易に高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。また、表面実装型白色LEDデバイス11は規格が確立されており広く使用されているので、産業的な使用が容易である。
【0091】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、表面実装型白色LEDデバイス11が、LEDチップ4の発光を正面方向fに反射させるリフレクタ面20bを有している構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0092】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、表面実装型白色LEDデバイス11の壁面部材20が、樹脂材料および/またはセラミクス製部材を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。樹脂製の部材は、安価で大量に製造することができるので好適である。樹脂の種類としては、耐熱性が高く、反射率も高いものが望ましく、ナイロン樹脂などが望ましい。熱硬化性樹脂も、耐熱性の高いとともに、比較的安価で大量に製造することが可能であるので、好ましい。また、セラミクス製の部材も、耐熱性に非常に優れているので好ましい。
【0093】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、表面実装型白色LEDデバイス11の壁面部材20の前記樹脂材料が、熱硬化性樹脂材料である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0094】
なお、本実施形態では、白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイスとして、図6に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ11を用いたが、図7〜9に示す他の表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)115〜117を用いても良い。
図7は、本発明の実施形態である表示装置用照明装置222に用いる白色発光デバイス200の別の一例を示す図であって、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)115の断面図である。上下電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)4の代わりに、同一面電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)24が用いられている他は、第二の実施形態で示した表示装置202に用いた白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11と同様の構成とされている。
【0095】
図8は、本発明の実施形態である表示装置用照明装置222に用いる白色発光デバイス200の別の一例を示す図であって、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)116の断面図である。同一面電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)24が用いられ、また、穴20a全体に蛍光体17が分散されている他は、第二の実施形態で示した表示装置202に用いた白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11と同様の構成とされている。
表面実装型白色LEDデバイス116は、第二の樹脂18を用いず、第一の樹脂16の中に蛍光体17を分散させるだけなので、安易に製造することができる。これにより、それを白色発光デバイス200として用いる表示装置用照明装置222及び表示装置202も容易に製造することができる。
【0096】
図9は、本発明の実施形態である表示装置用照明装置222に用いる白色発光デバイス200の別の一例を示す図であって、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)117の断面図である。同一面電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)24が用いられ、LEDチップ24の一面を覆うように蛍光体23が直接付着されて層状の蛍光体23が形成され、樹脂18がLEDチップ24を覆うように、かつ、壁面部材20の穴20aを埋めるように形成されている他は、第二の実施形態で示した表示装置202に用いた白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11と同様の構成とされている。
【0097】
LEDチップ24の近傍に蛍光体23を配置する方法として、本実施形態で示したように、スピンコート、蒸着法またはスパッタ法などを用いて、ウエーハの段階からLEDチップ24の少なくとも一面に層状にかつ均一に蛍光体23を堆積させて、LEDチップ24の少なくとも一面を覆うように蛍光体23を直接付着させる方法を採る事もできる。
前記方法により、蛍光体23からなる層の厚みを1μmから100μmに制御することができ、蛍光体23からなる層を透過させてLEDチップ24からの光を取り出すことができるので、混色して白色光を作り出すのに好適である。
【0098】
表面実装型白色LEDデバイス117は、LEDチップ24の少なくとも一面を覆うように蛍光体23が直接付着されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置222及び表示装置202を得ることができる。
また、表面実装型白色LEDデバイス117は、蛍光体23が、層状に形成されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置222及び表示装置202を得ることができる。
さらに、表面実装型白色LEDデバイス117は、蛍光体23の厚みが、1μmから100μmである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置222及び表示装置202を得ることができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1〜10>
まず、本発明の表示装置用照明装置および表示装置で用いる白色発光デバイスで用いる実施例1〜10の蛍光体の製造方法について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有率92%の窒化ケイ素粉末(Si3N4)、窒化アルミニウム粉末(AlN)、窒化ストロンチウム粉末(Sr3N2)、酸化ストロンチウム粉末(SrO)、酸化ユーロピウム粉末(Eu2O3)を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表1に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表2に示す配合(質量比、以下、他の実施例においても同様)で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
得られた混合粉末をアルミニウム製の金型に入れて嵩密度約25%の成形体を作製し、窒化ホウ素(hBN)製のるつぼに充填した。前記成形体の体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
【0103】
この混合粉末を充填した前記窒化ホウ素製のるつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して、圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体(焼成塊)を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径11μmの蛍光体粉末(実施例1〜10)とした。
【0104】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
図10は、実施例1の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。
図10に示すように、実施例1の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は504nmであった。また、ピーク波長の発光強度は100カウントであった。
【0105】
図11は、実施例7の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。
図11に示すように、実施例7の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は504nmであった。また、ピーク波長の発光強度は103カウントであった。
【0106】
これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表2に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位であり、測定装置や条件によって変化する(以下、同じ)。
【0107】
図12は、実施例1の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。図13は、実施例7の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。実施例2〜6、実施例8〜10の蛍光体においても、実施例1、7と同様に、主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたが、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0108】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0109】
また、実施例1の蛍光体について単結晶を育成し、結晶構造を解析したところ、表3及び表4に示す結晶構造を有する事が分かった。尚、表4において、M(0,1)は、M(0)元素とM(1)元素が無秩序に入るサイトであり、M(2,3)は、M(2)元素とM(3)元素が無秩序に入るサイトであり、M(O,N)は、O元素とN元素が無秩序に入るサイトである。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
<実施例11〜28>
本発明の蛍光体の実施例11〜28について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表5に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表6に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
得られた混合粉末をアルミニウム製の金型に入れて嵩密度約26%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。
なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
【0116】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径12μmの蛍光体粉末(実施例11〜28)とした。
【0117】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例11〜28)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
図14は、実施例24の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。図14に示すように、実施例24の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は505nmであった。また、ピーク波長の発光強度は99カウントであった。
【0118】
図15は、実施例27の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。図15に示すように、実施例27の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は504nmであった。また、ピーク波長の発光強度は101カウントであった。
【0119】
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起により、青緑色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例11〜28)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表6に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0120】
図16は、実施例24の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。図17は、実施例27の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。
【0121】
また、蛍光体粉末(実施例11〜23、23〜26、28)においても、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
これらの蛍光体粉末(実施例11〜28)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0122】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例11〜28)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0123】
<実施例29〜44>
本発明の蛍光体の実施例29〜44について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有率92%の窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表7に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表8に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0124】
【表7】
【0125】
【表8】
【0126】
得られた混合粉末を、アルミニウム製の金型に入れて嵩密度約24%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
【0127】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径12μmの蛍光体粉末(実施例29〜44)とした。
【0128】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例29〜44)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起により、青緑色から緑色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例29〜44)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表8に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0129】
また、蛍光体粉末(実施例29〜44)においては、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
この蛍光体粉末(実施例29〜44)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0130】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例29〜44)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0131】
<実施例45〜56>
本発明の蛍光体の実施例45〜56について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有量92%の窒化珪素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化カルシウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表9に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表10に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0132】
【表9】
【0133】
【表10】
【0134】
得られた混合粉末を、アルミニウム製の金型に入れて嵩密度約25%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、大気中で操作を行った。
【0135】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径12μmの蛍光体粉末(実施例45〜56)とした。
【0136】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例45〜56)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起により、青緑色から黄色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例45〜56)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表10に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0137】
また、蛍光体粉末(実施例45〜56)においては、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
この蛍光体粉末(実施例45〜56)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0138】
次に、蛍光体粉末(実施例45〜56)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0139】
<実施例57〜68>
本発明の蛍光体の実施例57〜68について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化バリウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表11に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表10に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0140】
【表11】
【0141】
【表12】
【0142】
得られた混合粉末を、アルミニウム製の金型に入れて嵩密度約23%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、大気中で操作を行った。
【0143】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径11μmの蛍光体粉末(実施例57〜68)とした。
【0144】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例57〜68)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、400nmの青紫色光励起により、青色から青緑色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例57〜68)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表12に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0145】
また、蛍光体粉末(実施例57〜68)においては、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
この蛍光体粉末(実施例57〜68)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0146】
次に、蛍光体粉末(実施例57〜68)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0147】
続いて、前記蛍光体を用いた表示装置用照明装置および表示装置について説明する。
<実施例69>
前記蛍光体を用いて、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を作製した。
まず、第一のリードワイヤにある素子蔵置用の凹部に青色発光ダイオード素子を、導電性ペーストを用いてボンディングし、第一のリードワイヤと青色発光ダイオード素子の下部電極とを電気的に接続するとともに、青色発光ダイオード素子を固定した。次に、青色発光ダイオード素子の上部電極と第二のリードワイヤとを、ボンディングワイヤによってワイヤボンディングし、電気的に接続した。
【0148】
そして、予め作製しておいた蛍光体を分散させた樹脂を、青色発光ダイオード素子を被覆するようにして凹部にディスペンサで適量塗布した後、これを硬化させ、第一の樹脂を形成した。
最後に、キャスティング法により凹部を含む第一のリードワイヤの先端部、青色発光ダイオード素子、蛍光体を分散した第一の樹脂の全体を第二の樹脂で封止した。
第一の樹脂は、屈折率1.6のエポキシ樹脂を、第二の樹脂は屈折率1.36のエポキシ樹脂を使用した。
【0149】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0150】
<実施例70>
使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を作製した。
【0151】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を12質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0152】
<実施例71>
使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0153】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてCa3Sc2Si3O12:Ce蛍光体を13質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0154】
<実施例72>
使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0155】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を13質量%、黄色蛍光体としてYAG:Ce蛍光体を18質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて自然光に近い白色光を発した。
【0156】
<実施例73>
使用する発光素子(LED)及び蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を作製した。
発光素子(LED)として発光ピーク波長が380nmの紫外LED素子を用い、実施例1の蛍光体と、実施例44の蛍光体と、BaMgAl10O17:Eu蛍光体と、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Euとをシリコーン樹脂からなる樹脂層に分散させて紫外LED素子にかぶせた構造とした。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が380nmの紫外光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、実施例44の蛍光体、BaMgAl10O17:Eu蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0157】
<実施例74>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0158】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0159】
<実施例75>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0160】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を12質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0161】
<実施例76>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0162】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてCa3Sc2Si3O12:Ce蛍光体を13質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0163】
<実施例77>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0164】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を13質量%、黄色蛍光体としてα−サイアロン蛍光体を18質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて自然光に近い白色光を発した。
【0165】
<実施例78>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0166】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を13質量%、黄色蛍光体としてYAG:Ce蛍光体を18質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて自然光に近い白色光を発した。
【0167】
<実施例79>
図6に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
まず、第一のリードワイヤ及び第二のリードワイヤを接続したアルミナセラミックス基板のほぼ中央部に青色発光ダイオードを配置し、その青色発光ダイオードの下部電極を第一のリードワイヤと接続し、その上部電極を第二のリードワイヤとボンディングワイヤで接続した。また、アルミナセラミックス基板の発光素子側の面に穴を有する壁面部材を配置し、前記穴に発光素子を収めるように前記壁面部材を固定した。次に、前記青色発光ダイオードを覆うように第一の樹脂(封止樹脂)を形成した後、第一の樹脂を覆い、前記穴を埋めるように蛍光体を含まない第二の樹脂(別の封止樹脂)を形成した。
なお、製造手順は、アルミナセラミックス基板に第一のリードワイヤ、第二のリードワイヤ及び壁面部材を固定する製造手順を除いては、実施例69に記載の製造手順と略同一である。
【0168】
本実施例では、壁面部材を白色のシリコーン樹脂によって構成し、第一の樹脂と第二の樹脂とには同一のエポキシ樹脂を用いた。
蛍光体としては、実施例1の蛍光体、緑色蛍光体として実施例44の蛍光体、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体とを用いた。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。これにより、導電性端子に電流を流すと、白色を発することが確認された。
【0169】
<実施例80>
図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
まず、銀メッキを施された銅製のリードフレームを含み、ナイロン樹脂で成型した基板とリフレクタからなる表面実装用のLEDパッケージ用のケースのリードフレーム上に、樹脂ペーストで450nmに発光ピークを持つ同一面電極型の青色発光ダイオード(青色LEDチップ)をダイボンドした。なお、青色発光ダイオードとして、350μm角の大きさのものを用い、合計で3個実装した。
【0170】
次に、前記青色発光ダイオードの上部側の2つの電極をそれぞれ2本のボンディングワイヤ(金細線)で接続し、一方のボンディングワイヤをリードフレームに、もう一方のボンディングワイヤを別のリードフレームへ接続した。
次に、蛍光体を含有させたメチルシリコーン樹脂を、発光ダイオード素子を覆うように、かつ、壁面部材の穴を埋めるように適量滴下して硬化させた後、一体化された部材から、発光装置パッケージをトリムし、個片とした発光装置パッケージを色調、発光強度で選別して、基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプとした。
【0171】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体とサイアロン蛍光体とを用いた。白色発光デバイスの発光効率は100lm/Wであり、色温度5500K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで90程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0172】
<実施例81>
発光ダイオード素子として紫外LEDチップを用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0173】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体と、CaAlSiN系の蛍光体と、を用いた。白色発光デバイスの発光効率は120lm/Wであり、色温度5600K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで98程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0174】
<実施例82>
発光ダイオード素子として440nmに発光ピークを持つ青色発光ダイオード(青色LEDチップ)を用い、1mm角の大きさの大型チップを1個実装した他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0175】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は90lm/Wであり、色温度5000K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで87程度であった。投入された電力はパッケージ当り1Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして1×103W/m2であった。
【0176】
<実施例83>
発光ダイオード素子として470nmに発光ピークを持つ青色発光ダイオード(青色LEDチップ)を用い、発光ダイオード素子をドーム状に覆うように蛍光体を分散させた第一の樹脂を形成するとともに、蛍光体を分散させない第二の樹脂を形成した他は実施例80と同様にして、図7に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
なお、第二の樹脂としては、蛍光体を含まないフェニルシリコーン樹脂を用いた。
【0177】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は110lm/Wであり、色温度5200K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで93程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0178】
<実施例84>
第一の樹脂を形成せず、青色発光ダイオード(青色LEDチップ)のp側の透明電極の上に、スパッタ法によって本発明の蛍光体の層を10μm成膜し、蛍光体を分散させない第二の樹脂を形成した他は実施例80と同様にして、図9に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0179】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は140lm/Wであり、色温度4500K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで85程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0180】
<実施例85>
プリント配線したガラス入りエポキシ基板上に直接青色発光ダイオード(青色LEDチップ)を実装し、これを樹脂封止したチップ・オン・ボード(COB:Chip On
Board)形式と呼ぶ白色発光ダイオード(発光装置)を製作した。
青色発光ダイオード(青色LEDチップ)はアルミニウム製の基板に実装し、これにプリント配線したガラス入りエポキシ基板を重ねて接着した。
青色発光ダイオード(青色LEDチップ)が実装された部分には基板に穴が開いており、青色発光ダイオード(青色LEDチップ)が表面に現れる。青色発光ダイオード(青色LEDチップ)と配線との間は、金製のワイヤで接続した。この上から、蛍光体を含有させたメチルシリコーン樹脂を適量滴下して硬化させた。
【0181】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は100lm/Wであり、色温度5500K程度の温白色を発することが確認された。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで90程度であった。
【0182】
<実施例86>
発光ダイオード素子として390nmに発光ピークを持つ紫外発光ダイオード(紫外LEDチップ)を用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0183】
本実施例では、蛍光体として、実施例49の蛍光体のみを用いた。白色発光デバイスの発光出力は18mWであった。電流を100μAから50mAまで変化させたが、電流量に対する発光波長の変化は殆ど見られなかった。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。
【0184】
<実施例87>
発光ダイオード素子として390nmに発光ピークを持つ紫外発光ダイオード(紫外LEDチップ)を用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0185】
本実施例では、蛍光体として、実施例57の蛍光体のみを用いた。白色発光デバイスの発光出力は40mWであった。電流を100μAから50mAまで変化させたが、電流量に対する発光波長の変化は殆ど見られなかった。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。
【0186】
<実施例88>
発光ダイオード素子として390nmに発光ピークを持つ紫外発光ダイオード(紫外LEDチップ)を用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0187】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体のみを用いた。白色発光デバイスの発光出力は35mWであった。電流を100μAから50mAまで変化させたが、電流量に対する波長の変化は殆ど見られなかった。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。
【0188】
<実施例89>
蛍光体を変えた他は実施例128と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0189】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体と、CaAlSiN蛍光体とを用いた。白色発光デバイスの発光効率は120lm/Wであり、色温度5300K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで96程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0190】
<実施例90>
蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0191】
本実施例では、蛍光体として、実施例29から実施例68までの蛍光体を混合したものと、CaAlSiN蛍光体とを用いた。白色発光デバイスの発光効率は100lm/Wであり、色温度5500K程度の白色を発することが確認された。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで99程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明の表示装置用照明装置及び表示装置は、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を製造・利用する産業において利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の第一の実施形態である表示装置用照明装置及び表示装置の断面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態である表示装置用照明装置の平面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置及び表示装置の断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置の平面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図10】本発明の実施例1の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図11】本発明の実施例7の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図12】本発明の実施例1の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【図13】本発明の実施例7の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【図14】本発明の実施例24の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図15】本発明の実施例27の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図16】本発明の実施例24の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【図17】本発明の実施例27の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【符号の説明】
【0194】
1…砲弾型白色LEDデバイス(砲弾型発光ダイオードランプ)、2…リードワイヤ、2a…凹部、2b…先端側、3…リードワイヤ、3b…先端側、4…発光ダイオード素子(LEDチップ)、4a、4b…電極、5…ボンディングワイヤ、6…樹脂、7…蛍光体、8…樹脂、11…表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型発光ダイオードランプ)、12…リードワイヤ、13…リードワイヤ、15…ボンディングワイヤ、16…樹脂、17…蛍光体、18…樹脂、19…基板、20…壁面部材、20a…穴、20b…リフレクタ面(反射面)、23…蛍光体、24…発光ダイオード素子(LEDチップ)、24a、24b…電極、40…光源、115、116、117…表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型発光ダイオードランプ)、211…液晶表示パネル、211a…表示面、212…カラーフィルター、214…基板、214a…正面側の面、200…白色発光デバイス、201、202…表示装置、221、222…表示装置用照明装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用照明装置及び表示装置に関するものであり、特に、色再現性の高い表示装置用照明装置及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の更なる性能向上のため、透過型液晶表示パネルに用いられるバックライト(表示装置用照明装置)には、更なる高輝度化と、高い色再現性が要求されている。そのため、前記バックライトとしては、従来、蛍光表示管と導光板とを組み合わせたものが主流であったが、近年、LEDデバイスを用いたものが用いられるようになっている。前記LEDデバイスを用いたバックライトとしては、たとえば、白色LEDデバイスを複数基板上に配列したものがある。
【0003】
前記白色LEDデバイスとしては、青色発光ダイオード素子(青色LEDチップ)と青色吸収黄色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードデバイス(BY型白色LEDデバイス)や、青色LEDチップと、青色吸収緑色発光蛍光体と、青色吸収赤色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードデバイス(RGB型白色LEDデバイス)が公知であり、前記バックライトなどに実用化されている。
【0004】
前記BY型白色LEDデバイスとしては、たとえば、特許文献1に、青色発光ダイオード素子と青色吸収黄色発光蛍光体との組み合わせによる白色発光ダイオードデバイスが開示されている。また、特許文献2にも、同様の構成の発光ダイオードデバイスについて開示されている。さらに、特許文献3にも、同様の構成の発光ダイオードデバイスについて、波長変換注型材料を用いた発光素子として開示されている。
【0005】
前記RGB型白色LEDデバイスとしては、たとえば、特許文献4に、紫外光または近紫外光を発光する半導体発光素子と、素子の表面に成膜された蛍光体と、を備える蛍光体付き発光ダイオードが開示されている。この構成では、素子の表面に成膜する蛍光体の種類に応じて、この蛍光体付き発光ダイオードデバイス(LEDデバイス)の発光色を青、緑または赤色とすることが可能とされている。また、特許文献5には、III族窒化物半導体からなる発光層と、この発光層から発せられた発光波長ピーク波長が380nmの紫外光を受光して、赤色、緑色及び青色の三原色の光をそれぞれ発光する3種類の蛍光体層を備えたドットマトリックスタイプの表示装置が開示されている。
なお、特許文献1〜5に記載のLEDデバイスは、例えば、特許文献6、特許文献7などに記載されているような公知の方法により製造できるとされている。
【0006】
これらの発光ダイオードで、青色吸収黄色発光蛍光体として、特によく用いられている蛍光体は、一般式(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce3+で表わされる、セリウムで賦活したイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系酸化物蛍光体である。
【0007】
前記BY型白色LEDデバイスは、赤色成分が不足し青白い発光となり、演色性に偏りがみられるという問題があった。また、前記青色LEDチップを高輝度にするに従い発熱量が増大し、一部が分解して発光を示さなくなり、前記白色LEDチップの発光輝度を低下させるという問題も持つ蛍光体もあった。さらにまた、YAG蛍光体などにおいては、高温での変換効率に劣るため、高温となる環境下では急速に発光強度が低下するという問題も生じる場合があった。
【0008】
青色吸収黄色発光蛍光体としては、前記イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系酸化物蛍光体以外に、硫化物系蛍光体も知られている。たとえば、特許文献8には、390〜420nmの波長の光を発光する半導体発光素子と、この半導体発光素子からの発光により励起される蛍光体とを用いて、白色の光を発光する半導体発光素子が開示されている。390〜420nmの波長の光で励起され発光する蛍光体として、様々な酸化物や硫化物の蛍光体が用いられている。しかし、前記硫化物系蛍光体は化学的安定性に難点があり、白色LEDデバイスとして必要な寿命特性が確保できない場合があった。
【0009】
青色吸収黄色発光蛍光体としては、上記蛍光体以外に、ケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体などが知られている。しかし、これらの蛍光体も、真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源に曝されることによって、蛍光体の発光輝度が低下する。
【0010】
一方、サイアロン蛍光体等の酸窒化物蛍光体は、前記励起源に曝されても輝度低下が少ないことが報告されている。たとえば、特許文献9には、Caを含有するサイアロン蛍光体が開示されている。ここで、このサイアロン蛍光体は、まず、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)を所定のモル比で混合された後、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される。この方法により得られるEuイオンを固溶したα型サイアロン蛍光体は、450〜500nmの青色光で励起されて550〜600nmの黄色の光を発する青色吸収黄色発光蛍光体である。
【0011】
また、特許文献10には、別のサイアロン蛍光体に関するものであって、β−Si3N4構造を有するβ型サイアロン蛍光体について開示されている。このβ型サイアロン蛍光体は、近紫外〜青色光で励起されることにより、500〜600nmの緑色〜橙色の発光を行う青色吸収黄色発光蛍光体である。
【0012】
更に、特許文献11には、JEM相からなる酸窒化物蛍光体が開示されている。この酸窒化物蛍光体は、近紫外〜青色光で励起されて、460〜510nmに発光波長ピークを有する発光を行う青色吸収緑色発光蛍光体である。
【特許文献1】特許第2900928号公報
【特許文献2】特許第2927279号公報
【特許文献3】特許第3364229号公報
【特許文献4】特開平10−12925号公報
【特許文献5】特開平9−153664号公報
【特許文献6】特開平5−152609号公報
【特許文献7】特開平7−99345号公報
【特許文献8】特開2002−171000号公報
【特許文献9】特開2002−363554号公報
【特許文献10】特開2005−255895号公報
【特許文献11】特開2006−232868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料を有し、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)(但し、v(0)はM(0)イオンの価数であり、v(1)はM(1)イオンの価数である)のすべてを満たすようM(0)、M(1)、M(2)、M(3)、O、Nの原子比を調整した蛍光体が、発光スペクトルの半値幅が狭く、発光ピーク波長を520nm近傍とした緑色発光を示し、前記RGB型白色LEDデバイスの青色吸収緑色発光蛍光体として好適であることを見出した。
この知見についてさらに研究を進めた結果、以下の構成に示す本発明を完成するに至った。すなわち、
【0015】
(1) 基板と、前記基板上に配置された複数の白色発光デバイスと、からなり、液晶表示パネルのバックライトとして用いられる表示装置用照明装置であって、前記白色発光デバイスは、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられることを特徴とする表示装置用照明装置。但し、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v(0)をM(0)イオンの価数とし、v(1)をM(1)イオンの価数としたときに、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)である。
【0016】
(2) 前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.005≦b≦0.3であることを特徴とする(1)に記載の表示装置用照明装置。
(3) 前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.01≦b≦0.2であることを特徴とする(1)または(2)に記載の表示装置用照明装置。
(4) 前記蛍光材料のx,y,zが、x=42,y=10,z=46であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(5) 前記蛍光材料のM(0)元素がCa,Sr,Baから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(6) 前記蛍光材料のM(2)元素がSiであり、M(3)元素がAlであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(7) 前記蛍光材料のnが、n≦meであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0017】
(8) 前記蛍光体として、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3、Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光体が用いられることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(9) 前記蛍光体の平均粒径が0.1μm以上50μm以下の粉体であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(10) 前記蛍光体の平均アスペクト比が20以下であることを特徴とする(9)に記載の表示装置用照明装置。
【0018】
(11) 前記蛍光体がフッ素を5〜300ppm含有することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(12) 前記蛍光体がホウ素を10〜3000ppm含有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(13) 前記蛍光体の少なくとも一部表面に透明膜が形成されており、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、前記透明膜の厚さが(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0019】
(14) 前記透明膜の屈折率nkが1.2以上2.5以下であることを特徴とする(13)に記載の表示装置用照明装置。
(15) 前記透明膜の屈折率nkが1.5以上2.0以下であることを特徴とする(14)に記載の表示装置用照明装置。
(16) 前記蛍光体として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(17) 前記赤色発光蛍光材料がCaAlSiN3:Euであることを特徴とする(16)に記載の表示装置用照明装置。
【0020】
(18) 前記光源が、発光ピーク波長が330〜500nmの青色発光LEDチップであることを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(19) 前記LEDチップの発光ピーク波長が420〜470nmであることを特徴とする(18)に記載の表示装置用照明装置。
【0021】
(20) 前記LEDチップからの青色発光と、前記青色発光によって励起された前記蛍光材料からの緑色発光と、前記青色発光によって励起された前記赤色発光蛍光材料からの赤色発光と、が混色されて、前記白色発光デバイスから白色発光が得られることを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(21) 前記白色発光デバイスが、砲弾型白色LEDデバイスまたは表面実装型白色LEDデバイスであることを特徴とする(1)〜(20)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0022】
(22) 前記砲弾型白色LEDデバイスまたは前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップの発光を正面方向に反射させるリフレクタ面を有していることを特徴とする(21)に記載の表示装置用照明装置。
(23) 前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを取り囲むように配置された壁面部材を有しており、前記壁面部材に前記リフレクタ面が形成されていることを特徴とする(21)または(22)に記載の表示装置用照明装置。
(24) 前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを配線基板上に直接実装したチップ・オン・ボード型デバイスであることを特徴とする(21)〜(23)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(25) 前記配線基板および/または前記壁面部材が、樹脂製部材および/またはセラミクス製部材を含むことを特徴とする(21)〜(24)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
【0023】
(26) 前記樹脂製部材が、熱硬化性樹脂材料からなることを特徴とする(25)に記載の表示装置用照明装置。
(27) 前記白色発光デバイスが、前記LEDチップと、前記LEDチップを取り囲んで形成された樹脂と、を有しており、前記樹脂中に前記蛍光体が、分散されていることを特徴とする(1)〜(26)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(28) 前記蛍光体が、前記LEDチップの近傍で高密度となるように前記樹脂中に分散されていることを特徴とする(27)に記載の表示装置用照明装置。
(29) 前記樹脂が、前記LEDチップを覆うように形成された第一の樹脂と、前記第一の樹脂を覆うように形成された第二の樹脂とからなり、前記蛍光体が、前記第一の樹脂中に分散されていることを特徴とする(27)または(28)に記載の表示装置用照明装置。
【0024】
(30) 前記蛍光体が、前記LEDチップの少なくとも一面を覆うように直接付着されていることを特徴とする(1)〜(26)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(31) 前記蛍光体が、層状に形成されていることを特徴とする(30)に記載の表示装置用照明装置。
(32) 前記蛍光体の厚みが、1μmから100μmであることを特徴とする(30)または(31)に記載の表示装置用照明装置。
(33) 前記樹脂が、少なくとも一部の領域にシリコーン樹脂を含むことを特徴とする(27)〜(32)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(34) 前記樹脂が、少なくとも一部の領域にメチルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする(33)に記載の表示装置用照明装置。
(35) 前記樹脂が、少なくとも一部の領域にフェニルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする(33)または(34)に記載の表示装置用照明装置。
【0025】
(36) 前記LEDチップの一辺が350μmよりも大きいことを特徴とする(1)〜(35)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(37) 前記LEDチップが複数配置されてなることを特徴とする(1)〜(36)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(38) 前記白色発光デバイス1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用されることを特徴とする(1)〜(37)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(39) 前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする(1)〜(38)のいずれかに記載の表示装置用照明装置。
(40) 前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする(39)に記載の表示装置用照明装置。
(41) (1)〜(40)のいずれかに記載の表示装置用照明装置と、透過型液晶表示パネルと、を備えたことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0026】
上記の構成によれば、高輝度・長寿命で、色再現性に優れた表示装置用照明装置及び表示装置を提供することができる。
【0027】
本発明の表示装置用照明装置は、透過型液晶表示パネルのバックライトとして用いられる表示装置用照明装置であって、前記表示装置用照明装置は、矩形状の基板と、前記基板上に配置された複数の発光デバイスと、からなり、前記発光デバイスは、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられ、前記一般式において、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)(但し、v(0)はM(0)イオンの価数であり、v(1)はM(1)イオンの価数である)のすべてを満たすように、M(0)、M(1)、M(2)、M(3)、O、Nの原子比を調整する構成なので、前記蛍光体を、発光ピーク波長が520nm近傍とされた青色吸収緑色発光蛍光体とすることができ、緑色発光の色度座標をディスプレイに最適な座標にして、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の実施形態である表示装置の一例を説明する断面模式図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である表示装置201は、透過型液晶表示パネル211と、カラーフィルター212と、本発明の実施形態である表示装置用照明装置221と、を有して概略構成されている。
【0029】
<透過型液晶表示パネル211>
透過型液晶表示パネル211は、液晶層、透明電極層及び配向膜などが積層されてなるとともに、平面視したときに、格子状に配列された複数の画素部を有し、各画素部を独立に制御して前記液晶層の液晶の配向を制御する構成とされている(図示略)。なお、透過型液晶表示パネル211としては公知のものを用いることができる。詳細の構成については説明を省略する。
【0030】
<カラーフィルター212>
カラーフィルター212は、赤、緑、青(RGB)の3原色のカラーフィルター部が複数格子状に並べられてなる光透過性フィルムであって、各カラーフィルター部は、透過型液晶表示パネル211の画素部に対応するように形成されている(図示略)。なお、カラーフィルター212も公知のものを用いることができる。詳細の構成については説明を省略する。
また、カラーフィルター212は、図1では透過型液晶表示パネル211と表示装置用照明装置221との間に配置しているが、これに限られるものではなく、たとえば、透過型液晶表示パネル211の正面方向fの面に配置してもよい。
【0031】
<表示装置用照明装置221>
図1に示すように、本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、基板214の正面方向fの面214a上に複数の白色発光デバイス200が配置されてなる。
白色発光デバイス200として、砲弾型白色LEDデバイス(砲弾型白色発光ダイオードランプ)1が用いられている。砲弾型白色LEDデバイス1は、リードワイヤ2、3を介して、基板214に接続されている。
【0032】
図1では省略しているが、基板214の正面側の面214a上および/または内部には配線が形成されており、前記配線はリードワイヤ2、3と接続されるとともに、基板214に取り付けられた電気信号制御部に接続されている。これにより、前記電気信号制御部を操作して、砲弾型白色LEDデバイス1の発光のオンオフ及び発光輝度の制御などを行うことができる構成とされている。
砲弾型白色LEDデバイス1から正面方向fへ出射された光は、図1の矢印lに示すように、カラーフィルター212及び透過型液晶表示パネル211を通って、正面方向fへ出射される構成とされている。
【0033】
図2は、表示装置用照明装置の一例を示す平面模式図である。
図2に示すように、本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、平面視したときに略矩形状の基板214に、複数の白色発光デバイス200が格子状に配置されてなる。
白色発光デバイス200の数と配置は、表示装置用照明装置221からの光がカラーフィルター212及び透過型液晶表示パネル211を通って、正面方向fへ出射されたときに、透過型液晶表示パネル211の表示面211a内で均一の強さの光となるように配置されていればよく、図2に示す数と配置に限られるものではない。
【0034】
図3は、図1に示した白色発光デバイス200(砲弾型白色LEDデバイス1)の拡大断面図である。
図3に示すように、砲弾型白色LEDデバイス1は、第一のリードワイヤ2と、第二のリードワイヤ3とを備え、第一のリードワイヤ2の先端部2bには凹部2aを有し、その凹部2aに光源40である発光ダイオード素子(LEDチップ)4が蔵置されている。
LEDチップ4は上下電極型であり、下部電極4aが凹部2aの底面と導電性ペーストによって電気的に接続されており、上部電極4bが第二のリードワイヤ3とボンディングワイヤ(金細線)5によって電気的に接続されている。
なお、第一のリードワイヤ2の凹部2aは、断面形状が逆台形形状とされ、正面方向fに向けられた底面と側壁面とを有している。この凹部2aの底面と側壁面は、LEDチップ4の光を反射させて正面方向fに出射させるリフレクタ面(反射面)とされている。
【0035】
<光源>
光源40として発光ダイオード素子(LEDチップ)4が用いられている。光源40としてLEDチップ4を用いることにより、装置サイズを小さくすることができ、消費電力を抑えることができる。また、LEDチップ4は、安価に大量に取り扱うことができるので、表示装置用照明装置221および表示装置201の製造コストを抑制することができる。
LEDチップ4としては、その発光ピーク波長が330〜500nmである青色発光のチップがより好ましく、その発光ピーク波長が420〜470nmであるものが更に好ましい。これにより、効率よく蛍光体を励起させることができるとともに、白色発光デバイス200のために好適な青色発光とすることができる。
【0036】
LEDチップ4は、発光効率向上の点から、窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、たとえば、MOCVD法やHVPE法等を用いて形成する。窒化ガリウム系化合物半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構造とすることができる。LEDチップ4の発光層は、InαAlβGa1−α−βN(但し、0≦α、0≦β、α+β≦1)からなる窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、量子効果を有する単一量子井戸構造または多重量子井戸構造とすることが好ましい。なお、前記窒化物系化合物半導体の材料組成やその混晶度などを制御することによって、前記発光層からの発光ピーク波長を制御することができる。
【0037】
<樹脂>
凹部2aに配置されたLEDチップ4を取り囲むように、透明な第一の樹脂6が凹部2aに充填されている。また、第一の樹脂6には、蛍光体7が分散されている。
凹部2aの第一の樹脂6を取り囲むとともに、第一のリードワイヤ2の先端部2b及び第二のリードワイヤ3の先端部3bを取り囲んで、透明な第二の樹脂8が形成されている。なお、第二の樹脂8の形状は、全体が略円柱形状であり、その先端部がレンズ形状の曲面となる砲弾型とされている。第一の樹脂6及び第二の樹脂8により、LEDチップ4は完全に封止されている。
【0038】
第一の樹脂6と第二の樹脂8の材質は、できるだけ紫外線光による劣化の少ない材料を選定することが好ましく、シリコーン樹脂を含むことが好ましく、メチルシリコーン樹脂またはフェニルシリコーン樹脂を含むことがより好ましい。シリコーン樹脂は短波長の光に対して耐性を持つので、短波長の発光のLEDチップ4を封止するのに好適である。更に、樹脂が柔軟性を持つメチルシリコーン樹脂であることで、ボンディングワイヤの断裂を回避することができる。一方、剛性を持つフェニルシリコーン樹脂であっても良い。この場合、湿気などがLEDチップ4に貫通することを防止し、高湿などの厳しい環境においての使用に際して好適である。なお、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の他の樹脂あるいはガラス等の透明材料を含んでいても良い。
第一の樹脂6と第二の樹脂8は、同じ樹脂を用いても良いし、異なる樹脂を用いても良いが、製造の容易さや接着性の良さなどから、同じ樹脂を用いる方が好ましい。
【0039】
また、蛍光体7は、他の蛍光体に比較して温度による特性の変化が少ないので、LEDチップ4の近傍に蛍光体7を配置することで、LEDチップ4から発生する熱を受けて蛍光体7の温度が上がってしまったとしても、発光特性の変化が小さくて済む。
【0040】
<樹脂の屈折率>
光源40であるLEDチップ4の発光材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いる場合には、前記窒化ガリウム系化合物半導体が2.4〜2.5程度の非常に高い屈折率を有するので、LEDチップ4を覆う第1の樹脂6としては、1.2よりも高い屈折率を有する樹脂とすることが好ましい。一方、第1の樹脂6を覆う第2の樹脂8は、第1の樹脂6よりも低い屈折率の樹脂とすることが好ましい。これにより、LEDチップ4からの光取り出し効率を高めることができる。
【0041】
<蛍光体>
蛍光体7は、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料を含む。ここで、O元素は酸素であり、N元素は窒素である。蛍光体7として前記蛍光材料を含むことにより、発光強度を高めることができる。なお、前記一般式の各組成について、以下詳細に説明する。
【0042】
<M(0)元素>
M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素を用いることが好ましく、Ca,Sr,Baから選ばれる一種以上の元素を用いることがより好ましく、Srを用いることが更に好ましい。
M(0)元素としてCa,Sr,Baから選ばれる一種以上を用いることにより、十分に高い発光強度を得られる。また、M(0)元素としてSrを用いることにより、より高い発光輝度が得られる。
なお、Srの一部をCaで置換すると、発光色を長波長側にシフトさせることができ、Baで置換すると、短波長側にシフトさせることができる。
【0043】
<M(1)元素>
M(1)元素は、賦活剤であるMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の元素を用いることが好ましく、Ce,Eu,Ybから選ばれる一種以上の元素を用いることがより好ましく、Euを用いることが更に好ましい。
M(1)元素として賦活剤であるMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の元素を用いることにより、前記蛍光材料の発光ピーク波長を480〜540nmとして、発光色を青緑色〜緑色とすることができる。これにより、表示装置用照明装置(バックライト)に用いられる白色発光のための緑色発光の理想的な色度座標に近づけることができる。
M(1)元素としてEuを用いることにより、前記蛍光材料の発光ピーク波長を495〜525nmとして、発光色を青緑色〜緑色とすることができる。これにより、蛍光体7の緑色発光の色度座標の位置を、緑色発光としてより理想的な色度座標に近づけることができる。
【0044】
前記一般式のM(1)元素の成分比bの値の好ましい範囲は、0.001≦b≦1.2である。bの値が0.001より小さいと、発光する原子数が少なすぎるため十分な発光強度を得ることができず、また、1.2を超えると、濃度消光のため発光強度が低下し、何れも好ましくない。
bの値は、0.005≦b≦0.3とすることがより好ましく、0.01≦b≦0.2とすることが更に好ましい。この範囲であれば、十分に高い発光強度を得ることが出来る。また、これにより、蛍光体7の発光ピーク波長を520nm近傍に制限して、蛍光体7の緑色発光の色度座標の位置を、緑色発光として更に理想的な色度座標に近づけることができる。
【0045】
また、蛍光体7の発光スペクトルの半値幅を狭めて、蛍光体7の緑色発光の色度座標の位置を、色度図上で更に外側に配置させることができる。白色発光を構成するRGBからなる三原色の発光の色度座標が、それぞれ色度図上でより外側に配置されることにより、前記三原色の色度座標が形成する三角形の色再現領域の面積がより大きくされる。このような発光特性を有する白色発光デバイス200を備えた表示装置用照明装置221を用いることにより、表示装置201の色再現性を向上することができる。
【0046】
なお、Eu(ユーロピウム)はプラス二価の場合に良好な発光を示す。そのため、蛍光体7に含まれる全ユーロピウムに占める二価と三価の割合は、二価が多いほど良く、全ユーロピウムに占める二価の割合は50%以上であることが好ましい。更に好ましくは、80%以上である。三価のユーロピウムが残留すると、二価のユーロピウムとは異なる波長の発光を示すことから、発光色の変化をもたらし、好ましくない。そのため、原料として三価のEuを含有する化合物を用いた場合には、焼成過程で還元する必要がある。ユーロピウムの二価と三価の割合は、X線吸収微細構造(XAFS:X−ray absorption fine structure)解析法により分析することができる。
また、M(1)元素がYbの場合も、緑色発光を示す。
【0047】
<M(2)元素、M(3)元素>
M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であることが好ましく、Siであることがより好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であることが好ましく、Alであることがより好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
【0048】
<x,y,z>
x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であることが好ましく、x=42,y=10,z=46であることがより好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
【0049】
<a,b>
a+bの好ましい範囲は、3≦a+b≦7である。
a+bの値が3より小さくなると、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上等の他の結晶相あるいはアモルファス相の含有量が増大し、発光強度が低下するため好ましくない。
また、a+bの値が7より大きくなると、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上等の他の結晶相あるいはアモルファス相の含有量が増大し、発光強度が低下するとともに、温度特性も低下するため好ましくない。
【0050】
<m,n>
mの値は me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・meであることが好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
【0051】
nの値は、0≦n≦7であるが、M(0)イオンの価数をv(0)、M(1)イオンの価数をv(1)としたときに、0≦n≦{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)の範囲が好ましい。
nの値が{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)より小さくなると、温度特性が向上すると共に、アスペクト比が小さくなり、樹脂への分散性が向上するからである。また、nの値を{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)より小さくすると、発光波長を長波長側にシフトさせることができる。
【0052】
一方、nの値が、{a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)より大きくなると、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上等の他の結晶相あるいはアモルファス相の含有量が増大し、発光強度は低下する傾向が見られる。
また、n≦meであることが好ましい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
蛍光体7の前記蛍光材料のa,b,x,y,z,m,nの値が上記記載範囲からはずれると、発光強度が低下するため好ましくない。
【0053】
蛍光体7は、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光体であってもよい。なお、残部は結晶相またはアモルファス相のいずれであってもよい。これにより、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。なお、前記蛍光材料の含有量が80体積%より少ない場合には、蛍光体7から十分に高い発光強度が得ることができない。
【0054】
<平均粒径>
蛍光体7は、その平均粒径を0.1μm以上50μm以下の範囲とすることが好ましい。
前記平均粒径が0.1μmより小さい場合には、前記蛍光体の表面欠陥の影響が顕著となり、発光強度が低下する。逆に、前記平均粒径が50μmより大きい場合には、励起光の吸収が不十分となり、発光強度が低下する。尚、蛍光体7の粒度は、レーザー回折・散乱法を用いて測定することができる。
【0055】
<平均アスペクト比>
蛍光体7の粉末を構成する一次粒子の平均アスペクト比は、20以下とすることが好ましい。これにより、樹脂中への蛍光体7の分散性を向上させることができる他、蛍光体7に励起光を効率的に吸収させて、蛍光体7から十分に高い発光強度を得ることができる。
前記平均アスペクト比が20より大きい場合には、蛍光体7を樹脂へ混練させることが困難となり、樹脂と蛍光体7との間に空隙を生じさせる。このような空隙は、光を散乱させて、白色発光デバイス200の発光特性を悪化させる。また、前記一次粒子が交絡したり、励起光と平行に配列して、前記一次粒子の励起光の吸収が不十分となったりして、十分に高い発光強度が得られない。なお、前記一次粒子の形状が、板状である場合は、その断面形状よりアスペクト比を求める。
【0056】
<微量添加元素>
蛍光体7は、微量添加元素として、フッ素を5〜300ppmおよび/またはホウ素を10〜3000ppm含有することが好ましい。
フッ素を5〜300ppmあるいはホウ素を10〜3000ppm含有する場合に、蛍光体7からは一層良好な発光特性が得られる。この現象は、フッ素については5ppm以上、ホウ素については10ppm以上で顕著となるが、前者では300ppm、後者では3000ppmを超えた場合ではそれ以上の効果は得られなくなる。
【0057】
<透明膜>
蛍光体7の少なくとも一部表面に透明膜が形成されることが好ましい。前記透明膜を形成することにより、蛍光体7と第一の樹脂6との界面における光の損失を低減することができる。
前記透明膜として好適な材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、フッ化マグネシウム等の無機物質、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルスチレン等の樹脂を例示することができる。
【0058】
前記透明膜の厚さは、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)とすることが好ましい。すなわち、前記透明膜の適切な厚さは、前記透明膜の屈折率nkにより規定される。
前記透明膜の厚さが前記範囲より厚い場合には、前記透明膜自身が光を吸収して、白色発光デバイス200の発光強度を低下させる。また、前記透明膜の厚さが前記範囲より薄い場合には、均一な透明膜の形成が困難となり、蛍光体7と第一の樹脂6との界面における光の損失の低減効果を不十分とする。
【0059】
前記透明膜の屈折率nkが高い場合には、前記透明膜の厚さが薄くても、光の損失を低減することができる。たとえば、前記透明膜の屈折率nkが2.0の場合には、前記透明膜の好適な厚さは5〜90nmとなる。
逆に、前記透明膜の屈折率nkが低い場合に光の損失を低減するためには、前記透明膜の厚さを厚くすることを要する。たとえば、前記透明膜の屈折率nkが1.5の場合には、前記透明膜の好適な厚さは6.6〜120nmとなる。
【0060】
蛍光体7として一部表面に透明膜を形成したものを用いる場合には、蛍光体7を分散させる第一の樹脂6の屈折率は、前記透明膜の屈折率に近いものにすることが好ましい。これにより、前記透明膜と第一の樹脂6との界面における反射を抑制することができる。
なお、この場合、蛍光体7を分散させた第一の樹脂6の外側に、第一の樹脂6よりも屈折率が低い第2の樹脂8を配置すると、白色発光デバイス200の発光強度を更に向上させることができる。
【0061】
<酸素量>
蛍光体7に含有される酸素量は、前記一般式に基づいて計算される値より0.4質量%以下の範囲で多く含まれる場合には、蛍光体7からの発光特性がより一層向上する。
この0.4質量%以下の範囲で多く含まれる酸素は、蛍光体7の粉末粒子の少なくとも一部表面に形成された透明膜を構成するものである。この透明膜により、蛍光体7の耐酸化性が向上するとともに、第一の樹脂6との屈折率の差を低減することができる。これにより、蛍光体7と第一の樹脂6との界面における光の損失を低減する。更に、蛍光体7に含まれる前記蛍光材料の粒子表面の不対電子や欠陥も低減して、蛍光体7からの発光強度を向上させることができる。
【0062】
<分散性>
蛍光体7の粉末粒子の表面をカップリング処理してもよい。これにより、蛍光体7を樹脂6に分散させるときに、その分散性を向上させることができるとともに、樹脂6と蛍光体7との密着性を向上させることができる。
カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等を用いることができる。カップリング処理は、必要に応じて透明膜形成後に行ってもよい。
【0063】
<導電性を持つ無機物質>
蛍光体7を電子線で励起する用途に使用する場合は、導電性を持つ無機物質を混合することにより、蛍光体7に導電性を付与することができる。
前記導電性を持つ無機物質としては、Zn、Al、Ga、In、Snから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、または窒化物、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0064】
<無機蛍光体や蛍光染料>
蛍光体7には必要に応じ、前記蛍光材料の発光色とは異なる色を発色する無機蛍光体や蛍光染料を混合することができる。これにより、表示装置用照明装置の発光輝度より向上させることができるとともに、発光色を変化させることができる。
【0065】
蛍光体7として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられることが好ましい。たとえば、蛍光体7として、さらにCaAlSiN3:Euからなる赤色発光蛍光材料が用いられることが好ましい。
青色発光のLEDチップ4を用い、蛍光体7に前記蛍光材料とともに赤色発光のCaAlSiN3:Euからなる蛍光体を分散させた表示装置用照明装置では、LEDチップ4の青色発光と、前記青色発光を励起光源とした蛍光体7の緑色発光と、前記青色発光を励起光源とした赤色発光の蛍光体の赤色発光と、を混色させて白色発光とすることができる。なお、上記構成により、一般的に発光強度が低い波長領域の発光強度を向上させることができる。これに加えて、蛍光体7は、高温にさらしても劣化しないことから耐熱性に優れており、酸化雰囲気および水分環境下での長期間の安定性にも優れている。
【0066】
蛍光体7の製造方法は、特に限定されず、たとえば、原料を混練して原料混合物を作る工程(混練工程)と、該原料混合物を焼成する工程(焼成工程)と、該焼成された原料混合物の塊を粉砕分級する工程(第1粉砕分級工程)と、該焼成された原料混合物を熱処理する工程(熱処理工程)と、該熱処理物の塊を粉砕分級する工程(第2粉砕分級工程)とを備える方法を挙げることができる。なお、第1及び第2粉砕分級工程は省略しても良い。
【0067】
表示装置用照明装置221の白色発光デバイス200は、一つのLEDチップ4からなる構成としているが、LEDチップ4が複数配置されてなる構成としてもよい。これにより、発光輝度を向上させることができる。
表示装置用照明装置221の白色発光デバイス200に含まれる蛍光体7の耐温度発光特性が良好であるため、白色発光デバイス200を大量の熱を発生する使用方法でも問題なく使用することができ、高輝度で使用することができる。たとえば、1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用してもよい。また、同様の理由により、LEDチップ4は、1パッケージ1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用してもよく、5×104W/m2以上の電力を投入して使用してもよい。
なお、前記高輝度で大電力を投入して使用する場合とは、たとえば、一辺350μm角の面積よりも大きいLEDチップ4を用いる場合、複数のLEDチップ4が含まれる場合、LEDチップ4がフリップチップである場合などである。
【0068】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、基板214と、基板214上に配置された複数の白色発光デバイス200と、からなり、液晶表示パネル211のバックライトとして用いられる表示装置用照明装置221であって、白色発光デバイス200は、光源40と、光源40により励起されて発光する蛍光体7と、を有し、蛍光体7として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられる表示装置用照明装置であって、前記蛍光材料で、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)(但し、v(0)はM(0)イオンの価数であり、v(1)はM(1)イオンの価数である)である構成であり、蛍光体7は、従来のサイアロンや酸窒化物蛍光体より高い発光強度を有するので、発光強度を向上させて高輝度な表示装置用照明装置を得ることができる。また、蛍光体7は、励起源に曝された場合でも輝度の低下が少ないので、長寿命の表示装置用照明装置を得ることができる。さらに、蛍光体7の発光ピーク波長を330〜500nmの範囲にして、緑色の理想的な色度座標の値に近づけることができ、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置とすることができる。
【0069】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.005≦b≦0.3である蛍光材料が用いられる構成なので、前記蛍光材料からの発光ピーク波長が520nm近傍にして、この色度座標の値を緑色の理想的な色度座標の値に近づけることができる。これにより、これを表示装置用照明装置として用いた表示装置の色再現性を向上させることができる。
【0070】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.01≦b≦0.2である蛍光材料が用いられる構成なので、前記蛍光材料からの発光ピーク波長が520nm近傍にして、この色度座標の値を緑色の理想的な色度座標の値に近づけることができる。これにより、これを表示装置用照明装置として用いた表示装置の色再現性を向上させることができる。
【0071】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のx,y,zが、x=42,y=10,z=46である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(0)元素が、Ca,Sr,Baから選ばれる1種以上の元素である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のM(2)元素がSiであり、M(3)元素がAlである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記蛍光材料のnが、n≦meである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0072】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7として、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3、Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光材料が用いられる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7の平均粒径が0.1μm以上50μm以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7の平均アスペクト比が20以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0073】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7が、フッ素を5〜300ppm含有する構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7が、ホウ素を10〜3000ppm含有する構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7の少なくとも一部表面に透明膜が形成されており、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、前記透明膜の厚さが(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0074】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記透明膜の屈折率nkが1.2以上2.5以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記透明膜の屈折率nkが1.5以上2.0以下である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0075】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記赤色発光蛍光材料がCaAlSiN3:Euである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、光源40が、発光ピーク波長が330〜500nmの青色発光LEDチップ4である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0076】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4の発光ピーク波長が420〜470nmである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4からの青色発光と、前記青色発光によって励起された前記蛍光材料からの緑色発光と、前記青色発光によって励起された前記赤色発光蛍光材料からの赤色発光と、が混色されて、白色発光デバイス200から白色発光が得られる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0077】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、白色発光デバイス200が、砲弾型白色LEDデバイス1である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。また、この形態のデバイスは規格が確立されており広く使用されているので、産業的な使用が容易である。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、砲弾型白色LEDデバイス1が、LEDチップ4の発光を正面方向fに反射させるリフレクタ面を有している構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、白色発光デバイス200が、LEDチップ4と、LEDチップ4を取り囲んで形成された樹脂と、を有しており、前記樹脂中に蛍光体7が分散されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0078】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、蛍光体7が、LEDチップ4の近傍で高密度となるように前記樹脂中に分散されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。また、LEDチップ4の近傍に蛍光体7を配置することにより、蛍光体7に効率的に励起光を導入させることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、樹脂が、LEDチップ4を覆うように形成された第一の樹脂6と、第一の樹脂6を覆うように形成された第二の樹脂8とからなり、蛍光体7が、第一の樹脂6中に分散されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0079】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記樹脂が、少なくとも一部の領域にシリコーン樹脂を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記樹脂が、少なくとも一部の領域にメチルシリコーン樹脂を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、前記樹脂が、少なくとも一部の領域にフェニルシリコーン樹脂を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0080】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4の一辺が350μmよりも大きい構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4が複数配置されてなる構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用される構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0081】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4が、白色発光デバイス1が1パッケージ当り、LEDチップ4の1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用される構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置221は、LEDチップ4が、白色発光デバイス1が1パッケージ当り、LEDチップ4の1個当りの平面面積密度にして5×104W/m2以上の電力を投入して使用される構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
本発明の実施形態である表示装置201は、表示装置用照明装置221と、液晶表示パネル211と、を備えた構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置を得ることができる。
【0082】
(第二の実施形態)
図4は、本発明の実施形態である表示装置の別の一例を説明する断面模式図であり、図5は前記表示装置を構成する表示装置用照明装置の平面模式図である。
図4及び図5に示すように、本発明の実施形態である表示装置202は、白色発光デバイス200として、砲弾型白色LEDデバイス1の代わりに、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)11が用いられた表示装置用照明装置222を用いている他は、第一の実施形態で示した表示装置201と同様の構成とされている。なお、第一の実施形態で示した部材と同じ部材については同じ符号を付して示している。
図4に示すように、表面実装型白色LEDデバイス11は、第一のリードワイヤ12と、第二のリードワイヤ13とにより、基板214へ実装されている。
【0083】
図6は、白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11の断面図である。
図6に示すように、表面実装型白色LEDデバイス11は、ナイロン樹脂で成型した可視光反射率の高い白色のアルミナセラミックスを用いた基板19に、第一のリードワイヤ12と、第二のリードワイヤ13とが固定されており、それらの端12a、端13aは基板19のほぼ中央部に位置し、反対側の端12b、端13bはそれぞれ外部に出ていて、基板214への実装時にはんだ付けされる電極となっている。
第一のリードワイヤ12の端12aは、基板中央部となるように固定されており、その上に発光ダイオード素子(LEDチップ)4が蔵置されている。LEDチップ4の下部電極4aと第一のリードワイヤ12とは導電性樹脂ペーストによって電気的に接続されており、上部電極4bと第二のリードワイヤ13とが、銀メッキを施された銅製のボンディングワイヤ15によって電気的に接続されている。
【0084】
基板19上には、略直方体状の壁面部材20が固定されている。この壁面部材20の中央部には椀状の穴20aが形成されている。穴20aは、貫通穴であり、基板19上に配置されたLEDチップ4が穴20aの中央部から突出するように配置されている。
穴20aの中央に面した部分は、光を正面方向fに取り出すためのリフレクタ面(反射面)20bとされており、そのリフレクタ面20bの曲面形は光の反射方向を考慮して決定される。また、壁面部材20は、例えば白色のシリコーン樹脂などで形成されていればよい。これにより、少なくとも反射面を構成するリフレクタ面20bは、白色または金属光沢を持った可視光線反射率の高い面となる。
【0085】
穴20aの中央部から突出するように配置されたLEDチップ4を取り囲むように、透明な樹脂からなる第一の樹脂16がドーム状に形成されている。この第一の樹脂16には、蛍光体17が分散されている。
ドーム状に形成された第一の樹脂16を取り囲むように、透明な樹脂からなる第二の樹脂18が、穴20aを充填している。第一の樹脂16及び第二の樹脂18により、LEDチップ4は封止されている。
【0086】
第一の樹脂16と第二の樹脂18の材質は、できるだけ紫外線光による劣化の少ない材料を選定することが好ましく、シリコーン樹脂が好ましいが、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の他の樹脂あるいはガラス等の透明材料であっても良い。第一の樹脂16と第二の樹脂18は、同じ樹脂を用いても良いし、異なる樹脂を用いても良いが、製造の容易さや接着性の良さなどから、同じ樹脂を用いるほうが好ましい。
【0087】
LEDチップ4の近傍に蛍光体7を配置する方法は、本実施形態で示したように、まず、LEDチップ4を取り囲むように、蛍光体7を含む第一の樹脂6を形成し、その後、第一の樹脂6を取り囲むように第二の樹脂8で封止することが好ましい。この方法は安価で、かつ密封性高く封止できる。第一の樹脂6は耐熱性の高いシリコーン樹脂を含むことが望ましい。
【0088】
なお、壁面部材20および/または基板19は、樹脂製部材および/またはセラミクス製部材を含むことが好ましい。樹脂製部材は、安価で大量に製造することができるので好適である。樹脂の種類としては、耐熱性が高く、反射率も高いものが望ましく、ナイロン樹脂などが望ましい。熱硬化性樹脂も、耐熱性の高いとともに、比較的安価で大量に製造することが可能であるので、好ましい。また、セラミクス製部材も、耐熱性に非常に優れているので好ましい。
【0089】
また、表面実装型白色LEDデバイス11の基板19に配線基板を用いて、LEDチップ4を前記配線基板に直接実装して、表面実装型白色LEDデバイス11をチップ・オン・ボード型デバイスとして用いても良い。この場合には、用途にカスタマイズした形態をとることができ、温度特性に優れる本蛍光体の特性を生かした用途に使用することができるようになる。
【0090】
本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置222及び表示装置202は、第一の実施形態で示した効果と同様の効果の他に、以下の効果を有する。
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、白色発光デバイス200として表面実装型白色LEDデバイス11を用いる構成なので、表面実装に優れ、容易に高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。また、表面実装型白色LEDデバイス11は規格が確立されており広く使用されているので、産業的な使用が容易である。
【0091】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、表面実装型白色LEDデバイス11が、LEDチップ4の発光を正面方向fに反射させるリフレクタ面20bを有している構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0092】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、表面実装型白色LEDデバイス11の壁面部材20が、樹脂材料および/またはセラミクス製部材を含む構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。樹脂製の部材は、安価で大量に製造することができるので好適である。樹脂の種類としては、耐熱性が高く、反射率も高いものが望ましく、ナイロン樹脂などが望ましい。熱硬化性樹脂も、耐熱性の高いとともに、比較的安価で大量に製造することが可能であるので、好ましい。また、セラミクス製の部材も、耐熱性に非常に優れているので好ましい。
【0093】
本発明の実施形態である表示装置用照明装置222は、表面実装型白色LEDデバイス11の壁面部材20の前記樹脂材料が、熱硬化性樹脂材料である構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を得ることができる。
【0094】
なお、本実施形態では、白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイスとして、図6に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ11を用いたが、図7〜9に示す他の表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)115〜117を用いても良い。
図7は、本発明の実施形態である表示装置用照明装置222に用いる白色発光デバイス200の別の一例を示す図であって、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)115の断面図である。上下電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)4の代わりに、同一面電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)24が用いられている他は、第二の実施形態で示した表示装置202に用いた白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11と同様の構成とされている。
【0095】
図8は、本発明の実施形態である表示装置用照明装置222に用いる白色発光デバイス200の別の一例を示す図であって、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)116の断面図である。同一面電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)24が用いられ、また、穴20a全体に蛍光体17が分散されている他は、第二の実施形態で示した表示装置202に用いた白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11と同様の構成とされている。
表面実装型白色LEDデバイス116は、第二の樹脂18を用いず、第一の樹脂16の中に蛍光体17を分散させるだけなので、安易に製造することができる。これにより、それを白色発光デバイス200として用いる表示装置用照明装置222及び表示装置202も容易に製造することができる。
【0096】
図9は、本発明の実施形態である表示装置用照明装置222に用いる白色発光デバイス200の別の一例を示す図であって、表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ)117の断面図である。同一面電極型の発光ダイオード素子(LEDチップ)24が用いられ、LEDチップ24の一面を覆うように蛍光体23が直接付着されて層状の蛍光体23が形成され、樹脂18がLEDチップ24を覆うように、かつ、壁面部材20の穴20aを埋めるように形成されている他は、第二の実施形態で示した表示装置202に用いた白色発光デバイス200である表面実装型白色LEDデバイス11と同様の構成とされている。
【0097】
LEDチップ24の近傍に蛍光体23を配置する方法として、本実施形態で示したように、スピンコート、蒸着法またはスパッタ法などを用いて、ウエーハの段階からLEDチップ24の少なくとも一面に層状にかつ均一に蛍光体23を堆積させて、LEDチップ24の少なくとも一面を覆うように蛍光体23を直接付着させる方法を採る事もできる。
前記方法により、蛍光体23からなる層の厚みを1μmから100μmに制御することができ、蛍光体23からなる層を透過させてLEDチップ24からの光を取り出すことができるので、混色して白色光を作り出すのに好適である。
【0098】
表面実装型白色LEDデバイス117は、LEDチップ24の少なくとも一面を覆うように蛍光体23が直接付着されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置222及び表示装置202を得ることができる。
また、表面実装型白色LEDデバイス117は、蛍光体23が、層状に形成されている構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置222及び表示装置202を得ることができる。
さらに、表面実装型白色LEDデバイス117は、蛍光体23の厚みが、1μmから100μmである構成なので、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置222及び表示装置202を得ることができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1〜10>
まず、本発明の表示装置用照明装置および表示装置で用いる白色発光デバイスで用いる実施例1〜10の蛍光体の製造方法について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有率92%の窒化ケイ素粉末(Si3N4)、窒化アルミニウム粉末(AlN)、窒化ストロンチウム粉末(Sr3N2)、酸化ストロンチウム粉末(SrO)、酸化ユーロピウム粉末(Eu2O3)を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表1に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表2に示す配合(質量比、以下、他の実施例においても同様)で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
得られた混合粉末をアルミニウム製の金型に入れて嵩密度約25%の成形体を作製し、窒化ホウ素(hBN)製のるつぼに充填した。前記成形体の体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
【0103】
この混合粉末を充填した前記窒化ホウ素製のるつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して、圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体(焼成塊)を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径11μmの蛍光体粉末(実施例1〜10)とした。
【0104】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
図10は、実施例1の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。
図10に示すように、実施例1の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は504nmであった。また、ピーク波長の発光強度は100カウントであった。
【0105】
図11は、実施例7の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。
図11に示すように、実施例7の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は504nmであった。また、ピーク波長の発光強度は103カウントであった。
【0106】
これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表2に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位であり、測定装置や条件によって変化する(以下、同じ)。
【0107】
図12は、実施例1の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。図13は、実施例7の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。実施例2〜6、実施例8〜10の蛍光体においても、実施例1、7と同様に、主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたが、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0108】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例1〜10)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0109】
また、実施例1の蛍光体について単結晶を育成し、結晶構造を解析したところ、表3及び表4に示す結晶構造を有する事が分かった。尚、表4において、M(0,1)は、M(0)元素とM(1)元素が無秩序に入るサイトであり、M(2,3)は、M(2)元素とM(3)元素が無秩序に入るサイトであり、M(O,N)は、O元素とN元素が無秩序に入るサイトである。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
<実施例11〜28>
本発明の蛍光体の実施例11〜28について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表5に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表6に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】
得られた混合粉末をアルミニウム製の金型に入れて嵩密度約26%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。
なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
【0116】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径12μmの蛍光体粉末(実施例11〜28)とした。
【0117】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例11〜28)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
図14は、実施例24の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。図14に示すように、実施例24の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は505nmであった。また、ピーク波長の発光強度は99カウントであった。
【0118】
図15は、実施例27の蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルの測定結果である。図15に示すように、実施例27の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起による発光スペクトルのピーク波長は504nmであった。また、ピーク波長の発光強度は101カウントであった。
【0119】
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起により、青緑色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例11〜28)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表6に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0120】
図16は、実施例24の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。図17は、実施例27の蛍光体の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンの測定結果である。
【0121】
また、蛍光体粉末(実施例11〜23、23〜26、28)においても、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
これらの蛍光体粉末(実施例11〜28)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0122】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例11〜28)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0123】
<実施例29〜44>
本発明の蛍光体の実施例29〜44について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有率92%の窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表7に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表8に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0124】
【表7】
【0125】
【表8】
【0126】
得られた混合粉末を、アルミニウム製の金型に入れて嵩密度約24%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行った。
【0127】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径12μmの蛍光体粉末(実施例29〜44)とした。
【0128】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例29〜44)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起により、青緑色から緑色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例29〜44)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表8に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0129】
また、蛍光体粉末(実施例29〜44)においては、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
この蛍光体粉末(実施例29〜44)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0130】
次に、これらの蛍光体粉末(実施例29〜44)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4,SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1),SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0131】
<実施例45〜56>
本発明の蛍光体の実施例45〜56について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有量92%の窒化珪素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化カルシウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表9に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表10に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0132】
【表9】
【0133】
【表10】
【0134】
得られた混合粉末を、アルミニウム製の金型に入れて嵩密度約25%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、大気中で操作を行った。
【0135】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径12μmの蛍光体粉末(実施例45〜56)とした。
【0136】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例45〜56)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、450nmの青色光励起により、青緑色から黄色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例45〜56)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表10に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0137】
また、蛍光体粉末(実施例45〜56)においては、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
この蛍光体粉末(実施例45〜56)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0138】
次に、蛍光体粉末(実施例45〜56)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0139】
<実施例57〜68>
本発明の蛍光体の実施例57〜68について説明する。
原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93質量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ストロンチウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、酸化バリウム粉末、酸化ユーロピウム粉末を用いた。
一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nにおいて、表11に示すa,b,m,x,y,z,nの値となるように、表10に示す配合で上記原料粉末を秤量し、メノウ乳棒と乳鉢で30分間混合を行なった。尚、M(1)はEuとした。
【0140】
【表11】
【0141】
【表12】
【0142】
得られた混合粉末を、アルミニウム製の金型に入れて嵩密度約23%の成形体を作製し、窒化ホウ素製のるつぼに充填した。成形体体積とルツボ体積の比率は、約80%とした。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、大気中で操作を行った。
【0143】
この混合粉末を充填した窒化ホウ素製るつぼを、炭素繊維成形体を断熱材とした黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。
焼成は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から1000℃まで毎時500℃の速度で加熱し、1000℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.9MPaとし、毎時600℃で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持して行った。
焼成後、この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを用いて、平均粒径11μmの蛍光体粉末(実施例57〜68)とした。
【0144】
まず、これらの蛍光体粉末(実施例57〜68)の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。
各蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は370nmであり、400nmの青紫色光励起により、青色から青緑色の発光を示した。蛍光体粉末(実施例57〜68)の発光ピークの発光強度及び発光波長を表12に示す。なお、発光強度のカウント値は任意単位である。
【0145】
また、蛍光体粉末(実施例57〜68)においては、実施例1と同様の主要回折ピークからなる粉末X線回折パターンが得られた。
この蛍光体粉末(実施例57〜68)を湿度80%温度80℃の条件で100時間暴露させたところ、輝度の低下はほとんど見られなかった。
【0146】
次に、蛍光体粉末(実施例57〜68)に、必要に応じて365nmの紫外線を照射しながら光学顕微鏡観察を行った。
試料の体色、粒子形状並びに紫外線照射時の発光色から、β―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3,Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上からなる非発光相もしくは504nm付近の青緑とは異なる発光を示す結晶相の割合は、体積比で20%以下であることを確認した。
【0147】
続いて、前記蛍光体を用いた表示装置用照明装置および表示装置について説明する。
<実施例69>
前記蛍光体を用いて、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を作製した。
まず、第一のリードワイヤにある素子蔵置用の凹部に青色発光ダイオード素子を、導電性ペーストを用いてボンディングし、第一のリードワイヤと青色発光ダイオード素子の下部電極とを電気的に接続するとともに、青色発光ダイオード素子を固定した。次に、青色発光ダイオード素子の上部電極と第二のリードワイヤとを、ボンディングワイヤによってワイヤボンディングし、電気的に接続した。
【0148】
そして、予め作製しておいた蛍光体を分散させた樹脂を、青色発光ダイオード素子を被覆するようにして凹部にディスペンサで適量塗布した後、これを硬化させ、第一の樹脂を形成した。
最後に、キャスティング法により凹部を含む第一のリードワイヤの先端部、青色発光ダイオード素子、蛍光体を分散した第一の樹脂の全体を第二の樹脂で封止した。
第一の樹脂は、屈折率1.6のエポキシ樹脂を、第二の樹脂は屈折率1.36のエポキシ樹脂を使用した。
【0149】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0150】
<実施例70>
使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を作製した。
【0151】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を12質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0152】
<実施例71>
使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0153】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてCa3Sc2Si3O12:Ce蛍光体を13質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0154】
<実施例72>
使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0155】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を13質量%、黄色蛍光体としてYAG:Ce蛍光体を18質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて自然光に近い白色光を発した。
【0156】
<実施例73>
使用する発光素子(LED)及び蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を作製した。
発光素子(LED)として発光ピーク波長が380nmの紫外LED素子を用い、実施例1の蛍光体と、実施例44の蛍光体と、BaMgAl10O17:Eu蛍光体と、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Euとをシリコーン樹脂からなる樹脂層に分散させて紫外LED素子にかぶせた構造とした。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が380nmの紫外光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、実施例44の蛍光体、BaMgAl10O17:Eu蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0157】
<実施例74>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0158】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0159】
<実施例75>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0160】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を12質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0161】
<実施例76>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0162】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてCa3Sc2Si3O12:Ce蛍光体を13質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて白色光を発した。
【0163】
<実施例77>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0164】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を13質量%、黄色蛍光体としてα−サイアロン蛍光体を18質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて自然光に近い白色光を発した。
【0165】
<実施例78>
第一の樹脂としては屈折率1.51のシリコーン樹脂を、第二の樹脂としては屈折率1.41のシリコーン樹脂を使用し、使用する蛍光体を変えた他は実施例69と同様にして、図3に示す砲弾型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0166】
本実施例では、青緑色蛍光体として実施例1の蛍光体を15質量%、緑色蛍光体としてβ―サイアロン蛍光体を13質量%、黄色蛍光体としてYAG:Ce蛍光体を18質量%、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体を26質量%の濃度でシリコーン樹脂に混ぜ、これをディスペンサにより適量滴下して、蛍光体を分散した第一の樹脂を形成した。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。導電性端子に電流を流すと、LED素子は発光ピーク波長が450nmの青色光を発し、これに励起された実施例1の蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体がそれぞれ青緑色光、緑色光、黄色光及び赤色光を発し、これらの光が混合されて自然光に近い白色光を発した。
【0167】
<実施例79>
図6に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
まず、第一のリードワイヤ及び第二のリードワイヤを接続したアルミナセラミックス基板のほぼ中央部に青色発光ダイオードを配置し、その青色発光ダイオードの下部電極を第一のリードワイヤと接続し、その上部電極を第二のリードワイヤとボンディングワイヤで接続した。また、アルミナセラミックス基板の発光素子側の面に穴を有する壁面部材を配置し、前記穴に発光素子を収めるように前記壁面部材を固定した。次に、前記青色発光ダイオードを覆うように第一の樹脂(封止樹脂)を形成した後、第一の樹脂を覆い、前記穴を埋めるように蛍光体を含まない第二の樹脂(別の封止樹脂)を形成した。
なお、製造手順は、アルミナセラミックス基板に第一のリードワイヤ、第二のリードワイヤ及び壁面部材を固定する製造手順を除いては、実施例69に記載の製造手順と略同一である。
【0168】
本実施例では、壁面部材を白色のシリコーン樹脂によって構成し、第一の樹脂と第二の樹脂とには同一のエポキシ樹脂を用いた。
蛍光体としては、実施例1の蛍光体、緑色蛍光体として実施例44の蛍光体、赤色蛍光体としてCaAlSiN3:Eu蛍光体とを用いた。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。これにより、導電性端子に電流を流すと、白色を発することが確認された。
【0169】
<実施例80>
図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
まず、銀メッキを施された銅製のリードフレームを含み、ナイロン樹脂で成型した基板とリフレクタからなる表面実装用のLEDパッケージ用のケースのリードフレーム上に、樹脂ペーストで450nmに発光ピークを持つ同一面電極型の青色発光ダイオード(青色LEDチップ)をダイボンドした。なお、青色発光ダイオードとして、350μm角の大きさのものを用い、合計で3個実装した。
【0170】
次に、前記青色発光ダイオードの上部側の2つの電極をそれぞれ2本のボンディングワイヤ(金細線)で接続し、一方のボンディングワイヤをリードフレームに、もう一方のボンディングワイヤを別のリードフレームへ接続した。
次に、蛍光体を含有させたメチルシリコーン樹脂を、発光ダイオード素子を覆うように、かつ、壁面部材の穴を埋めるように適量滴下して硬化させた後、一体化された部材から、発光装置パッケージをトリムし、個片とした発光装置パッケージを色調、発光強度で選別して、基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプとした。
【0171】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体とサイアロン蛍光体とを用いた。白色発光デバイスの発光効率は100lm/Wであり、色温度5500K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで90程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0172】
<実施例81>
発光ダイオード素子として紫外LEDチップを用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0173】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体と、CaAlSiN系の蛍光体と、を用いた。白色発光デバイスの発光効率は120lm/Wであり、色温度5600K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで98程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0174】
<実施例82>
発光ダイオード素子として440nmに発光ピークを持つ青色発光ダイオード(青色LEDチップ)を用い、1mm角の大きさの大型チップを1個実装した他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0175】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は90lm/Wであり、色温度5000K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで87程度であった。投入された電力はパッケージ当り1Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして1×103W/m2であった。
【0176】
<実施例83>
発光ダイオード素子として470nmに発光ピークを持つ青色発光ダイオード(青色LEDチップ)を用い、発光ダイオード素子をドーム状に覆うように蛍光体を分散させた第一の樹脂を形成するとともに、蛍光体を分散させない第二の樹脂を形成した他は実施例80と同様にして、図7に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
なお、第二の樹脂としては、蛍光体を含まないフェニルシリコーン樹脂を用いた。
【0177】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は110lm/Wであり、色温度5200K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで93程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0178】
<実施例84>
第一の樹脂を形成せず、青色発光ダイオード(青色LEDチップ)のp側の透明電極の上に、スパッタ法によって本発明の蛍光体の層を10μm成膜し、蛍光体を分散させない第二の樹脂を形成した他は実施例80と同様にして、図9に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0179】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は140lm/Wであり、色温度4500K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで85程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0180】
<実施例85>
プリント配線したガラス入りエポキシ基板上に直接青色発光ダイオード(青色LEDチップ)を実装し、これを樹脂封止したチップ・オン・ボード(COB:Chip On
Board)形式と呼ぶ白色発光ダイオード(発光装置)を製作した。
青色発光ダイオード(青色LEDチップ)はアルミニウム製の基板に実装し、これにプリント配線したガラス入りエポキシ基板を重ねて接着した。
青色発光ダイオード(青色LEDチップ)が実装された部分には基板に穴が開いており、青色発光ダイオード(青色LEDチップ)が表面に現れる。青色発光ダイオード(青色LEDチップ)と配線との間は、金製のワイヤで接続した。この上から、蛍光体を含有させたメチルシリコーン樹脂を適量滴下して硬化させた。
【0181】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体を用いた。白色発光デバイスの発光効率は100lm/Wであり、色温度5500K程度の温白色を発することが確認された。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで90程度であった。
【0182】
<実施例86>
発光ダイオード素子として390nmに発光ピークを持つ紫外発光ダイオード(紫外LEDチップ)を用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0183】
本実施例では、蛍光体として、実施例49の蛍光体のみを用いた。白色発光デバイスの発光出力は18mWであった。電流を100μAから50mAまで変化させたが、電流量に対する発光波長の変化は殆ど見られなかった。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。
【0184】
<実施例87>
発光ダイオード素子として390nmに発光ピークを持つ紫外発光ダイオード(紫外LEDチップ)を用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0185】
本実施例では、蛍光体として、実施例57の蛍光体のみを用いた。白色発光デバイスの発光出力は40mWであった。電流を100μAから50mAまで変化させたが、電流量に対する発光波長の変化は殆ど見られなかった。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。
【0186】
<実施例88>
発光ダイオード素子として390nmに発光ピークを持つ紫外発光ダイオード(紫外LEDチップ)を用い、セラミックで成型した基板にCuによるパターンをプリント配線で形成し、セラミック製のリフレクタを接着した表面実装用のLEDパッケージ用のケースを用い、蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0187】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体のみを用いた。白色発光デバイスの発光出力は35mWであった。電流を100μAから50mAまで変化させたが、電流量に対する波長の変化は殆ど見られなかった。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。
【0188】
<実施例89>
蛍光体を変えた他は実施例128と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0189】
本実施例では、蛍光体として、実施例1の蛍光体と、サイアロン蛍光体と、CaAlSiN蛍光体とを用いた。白色発光デバイスの発光効率は120lm/Wであり、色温度5300K程度の白色を発することが確認された。
前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで96程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【0190】
<実施例90>
蛍光体を変えた他は実施例80と同様にして、図8に示す基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(白色発光デバイス)を製作した。
【0191】
本実施例では、蛍光体として、実施例29から実施例68までの蛍光体を混合したものと、CaAlSiN蛍光体とを用いた。白色発光デバイスの発光効率は100lm/Wであり、色温度5500K程度の白色を発することが確認された。前記白色発光デバイスを基板上に格子状に配列した表示装置用照明装置を作製した。また、これをバックライトとして用いた表示装置を作製した。表示装置の演色性は、Raで99程度であった。投入された電力はパッケージ当り0.18Wであり、電力の密度は、パッケージ1個あたりの平面面積密度にして2×104W/m2であった。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明の表示装置用照明装置及び表示装置は、高輝度・長寿命で、色再現性の優れた表示装置用照明装置及び表示装置を製造・利用する産業において利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の第一の実施形態である表示装置用照明装置及び表示装置の断面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態である表示装置用照明装置の平面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置及び表示装置の断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置の平面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態である表示装置用照明装置に用いる白色発光デバイスの断面図である。
【図10】本発明の実施例1の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図11】本発明の実施例7の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図12】本発明の実施例1の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【図13】本発明の実施例7の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【図14】本発明の実施例24の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図15】本発明の実施例27の蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図である。
【図16】本発明の実施例24の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【図17】本発明の実施例27の蛍光体の粉末X線回折チャートを示す図である。
【符号の説明】
【0194】
1…砲弾型白色LEDデバイス(砲弾型発光ダイオードランプ)、2…リードワイヤ、2a…凹部、2b…先端側、3…リードワイヤ、3b…先端側、4…発光ダイオード素子(LEDチップ)、4a、4b…電極、5…ボンディングワイヤ、6…樹脂、7…蛍光体、8…樹脂、11…表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型発光ダイオードランプ)、12…リードワイヤ、13…リードワイヤ、15…ボンディングワイヤ、16…樹脂、17…蛍光体、18…樹脂、19…基板、20…壁面部材、20a…穴、20b…リフレクタ面(反射面)、23…蛍光体、24…発光ダイオード素子(LEDチップ)、24a、24b…電極、40…光源、115、116、117…表面実装型白色LEDデバイス(基板実装用チップ型発光ダイオードランプ)、211…液晶表示パネル、211a…表示面、212…カラーフィルター、214…基板、214a…正面側の面、200…白色発光デバイス、201、202…表示装置、221、222…表示装置用照明装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された複数の白色発光デバイスと、からなり、液晶表示パネルのバックライトとして用いられる表示装置用照明装置であって、
前記白色発光デバイスは、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、
前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられることを特徴とする表示装置用照明装置。
但し、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、
x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v(0)をM(0)イオンの価数とし、v(1)をM(1)イオンの価数としたときに、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)である。
【請求項2】
前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.005≦b≦0.3であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用照明装置。
【請求項3】
前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.01≦b≦0.2であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置用照明装置。
【請求項4】
前記蛍光材料のx,y,zが、x=42,y=10,z=46であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項5】
前記蛍光材料のM(0)元素がCa,Sr,Baから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項6】
前記蛍光材料のM(2)元素がSiであり、M(3)元素がAlであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項7】
前記蛍光材料のnが、n≦meであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項8】
前記蛍光体として、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3、Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光体が用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項9】
前記蛍光体の平均粒径が0.1μm以上50μm以下の粉体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項10】
前記蛍光体の平均アスペクト比が20以下であることを特徴とする請求項9に記載の表示装置用照明装置。
【請求項11】
前記蛍光体がフッ素を5〜300ppm含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項12】
前記蛍光体がホウ素を10〜3000ppm含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項13】
前記蛍光体の少なくとも一部表面に透明膜が形成されており、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、前記透明膜の厚さが(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項14】
前記透明膜の屈折率nkが1.2以上2.5以下であることを特徴とする請求項13に記載の表示装置用照明装置。
【請求項15】
前記透明膜の屈折率nkが1.5以上2.0以下であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置用照明装置。
【請求項16】
前記蛍光体として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項17】
前記赤色発光蛍光材料がCaAlSiN3:Euであることを特徴とする請求項16に記載の表示装置用照明装置。
【請求項18】
前記光源が、発光ピーク波長が330〜500nmの青色発光LEDチップであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項19】
前記LEDチップの発光ピーク波長が420〜470nmであることを特徴とする請求項18に記載の表示装置用照明装置。
【請求項20】
前記LEDチップからの青色発光と、前記青色発光によって励起された前記蛍光材料からの緑色発光と、前記青色発光によって励起された前記赤色発光蛍光材料からの赤色発光と、が混色されて、前記白色発光デバイスから白色発光が得られることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項21】
前記白色発光デバイスが、砲弾型白色LEDデバイスまたは表面実装型白色LEDデバイスであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項22】
前記砲弾型白色LEDデバイスまたは前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップの発光を正面方向に反射させるリフレクタ面を有していることを特徴とする請求項21に記載の表示装置用照明装置。
【請求項23】
前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを取り囲むように配置された壁面部材を有しており、前記壁面部材に前記リフレクタ面が形成されていることを特徴とする請求項21または請求項22に記載の表示装置用照明装置。
【請求項24】
前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを配線基板上に直接実装したチップ・オン・ボード型デバイスであることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項25】
前記配線基板および/または前記壁面部材が、樹脂製部材および/またはセラミクス製部材を含むことを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項26】
前記樹脂製部材が、熱硬化性樹脂材料からなることを特徴とする請求項25に記載の表示装置用照明装置。
【請求項27】
前記白色発光デバイスが、前記LEDチップと、前記LEDチップを取り囲んで形成された樹脂と、を有しており、前記樹脂中に前記蛍光体が分散されていることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項28】
前記蛍光体が、前記LEDチップの近傍で高密度となるように前記樹脂中に分散されていることを特徴とする請求項27に記載の表示装置用照明装置。
【請求項29】
前記樹脂が、前記LEDチップを覆うように形成された第一の樹脂と、前記第一の樹脂を覆うように形成された第二の樹脂とからなり、前記蛍光体が、前記第一の樹脂中に分散されていることを特徴とする請求項27または請求項28に記載の表示装置用照明装置。
【請求項30】
前記蛍光体が、前記LEDチップの少なくとも一面を覆うように直接付着されていることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項31】
前記蛍光体が、層状に形成されていることを特徴とする請求項30に記載の表示装置用照明装置。
【請求項32】
前記蛍光体の厚みが、1μmから100μmであることを特徴とする請求項30または請求項31に記載の表示装置用照明装置。
【請求項33】
前記樹脂が、少なくとも一部の領域にシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項27〜32のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項34】
前記樹脂が、少なくとも一部の領域にメチルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項33に記載の表示装置用照明装置。
【請求項35】
前記樹脂が、少なくとも一部の領域にフェニルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項33または請求項34に記載の表示装置用照明装置。
【請求項36】
前記LEDチップの一辺が350μmよりも大きいことを特徴とする請求項1〜35のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項37】
前記LEDチップが複数配置されてなることを特徴とする請求項1〜36のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項38】
前記白色発光デバイス1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用されることを特徴とする請求項1〜37のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項39】
前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする請求項1〜38のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項40】
前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする請求項39に記載の表示装置用照明装置。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置と、透過型液晶表示パネルと、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された複数の白色発光デバイスと、からなり、液晶表示パネルのバックライトとして用いられる表示装置用照明装置であって、
前記白色発光デバイスは、光源と、前記光源により励起されて発光する蛍光体と、を有し、
前記蛍光体として、一般式M(0)aM(1)bM(2)x−(vm+n)M(3)(vm+n)−yOnNz−nで示される組成の蛍光材料が用いられることを特徴とする表示装置用照明装置。
但し、M(0)元素はLi、Na,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上の元素であり、M(1)元素はMn,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる1種以上の賦活剤であり、M(2)元素はSi,Ge,Sn,Ti,Hf,Zrから選ばれる1種以上の元素であり、M(3)元素はBe,B,Al,Ga,In,Tl,Znから選ばれる1種以上の元素であり、O元素は酸素であり、N元素は窒素であり、
x,y,zは、33≦x≦51,8≦y≦12,36≦z≦56であり、a,bは、3≦a+b≦7、0.001≦b≦1.2であり、m,nは、me=a+bとしたとき、0.8・me≦m≦1.2・me、0≦n≦7であり、vは、v(0)をM(0)イオンの価数とし、v(1)をM(1)イオンの価数としたときに、v={a・v(0)+b・v(1)}/(a+b)である。
【請求項2】
前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.005≦b≦0.3であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用照明装置。
【請求項3】
前記蛍光材料のM(1)元素がEuであり、0.01≦b≦0.2であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置用照明装置。
【請求項4】
前記蛍光材料のx,y,zが、x=42,y=10,z=46であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項5】
前記蛍光材料のM(0)元素がCa,Sr,Baから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項6】
前記蛍光材料のM(2)元素がSiであり、M(3)元素がAlであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項7】
前記蛍光材料のnが、n≦meであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項8】
前記蛍光体として、前記蛍光材料の含有率が80体積%以上であり、残部がβ―サイアロン、未反応の窒化ケイ素或いは窒化アルミニウム、酸窒化物ガラス、SrSiAl2N2O3、Sr2Al2Si10N14O4、SrSi(10−n)Al(18+n)OnN(32−n)(n〜1)、SrSi6N8から選ばれる一種以上である蛍光体が用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項9】
前記蛍光体の平均粒径が0.1μm以上50μm以下の粉体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項10】
前記蛍光体の平均アスペクト比が20以下であることを特徴とする請求項9に記載の表示装置用照明装置。
【請求項11】
前記蛍光体がフッ素を5〜300ppm含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項12】
前記蛍光体がホウ素を10〜3000ppm含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項13】
前記蛍光体の少なくとも一部表面に透明膜が形成されており、前記透明膜の屈折率をnkとしたときに、前記透明膜の厚さが(10〜180)/nk(単位:ナノメートル)であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項14】
前記透明膜の屈折率nkが1.2以上2.5以下であることを特徴とする請求項13に記載の表示装置用照明装置。
【請求項15】
前記透明膜の屈折率nkが1.5以上2.0以下であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置用照明装置。
【請求項16】
前記蛍光体として、前記蛍光材料に加えて、赤色発光蛍光材料が用いられることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項17】
前記赤色発光蛍光材料がCaAlSiN3:Euであることを特徴とする請求項16に記載の表示装置用照明装置。
【請求項18】
前記光源が、発光ピーク波長が330〜500nmの青色発光LEDチップであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項19】
前記LEDチップの発光ピーク波長が420〜470nmであることを特徴とする請求項18に記載の表示装置用照明装置。
【請求項20】
前記LEDチップからの青色発光と、前記青色発光によって励起された前記蛍光材料からの緑色発光と、前記青色発光によって励起された前記赤色発光蛍光材料からの赤色発光と、が混色されて、前記白色発光デバイスから白色発光が得られることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項21】
前記白色発光デバイスが、砲弾型白色LEDデバイスまたは表面実装型白色LEDデバイスであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項22】
前記砲弾型白色LEDデバイスまたは前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップの発光を正面方向に反射させるリフレクタ面を有していることを特徴とする請求項21に記載の表示装置用照明装置。
【請求項23】
前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを取り囲むように配置された壁面部材を有しており、前記壁面部材に前記リフレクタ面が形成されていることを特徴とする請求項21または請求項22に記載の表示装置用照明装置。
【請求項24】
前記表面実装型白色LEDデバイスが、前記LEDチップを配線基板上に直接実装したチップ・オン・ボード型デバイスであることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項25】
前記配線基板および/または前記壁面部材が、樹脂製部材および/またはセラミクス製部材を含むことを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項26】
前記樹脂製部材が、熱硬化性樹脂材料からなることを特徴とする請求項25に記載の表示装置用照明装置。
【請求項27】
前記白色発光デバイスが、前記LEDチップと、前記LEDチップを取り囲んで形成された樹脂と、を有しており、前記樹脂中に前記蛍光体が分散されていることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項28】
前記蛍光体が、前記LEDチップの近傍で高密度となるように前記樹脂中に分散されていることを特徴とする請求項27に記載の表示装置用照明装置。
【請求項29】
前記樹脂が、前記LEDチップを覆うように形成された第一の樹脂と、前記第一の樹脂を覆うように形成された第二の樹脂とからなり、前記蛍光体が、前記第一の樹脂中に分散されていることを特徴とする請求項27または請求項28に記載の表示装置用照明装置。
【請求項30】
前記蛍光体が、前記LEDチップの少なくとも一面を覆うように直接付着されていることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項31】
前記蛍光体が、層状に形成されていることを特徴とする請求項30に記載の表示装置用照明装置。
【請求項32】
前記蛍光体の厚みが、1μmから100μmであることを特徴とする請求項30または請求項31に記載の表示装置用照明装置。
【請求項33】
前記樹脂が、少なくとも一部の領域にシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項27〜32のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項34】
前記樹脂が、少なくとも一部の領域にメチルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項33に記載の表示装置用照明装置。
【請求項35】
前記樹脂が、少なくとも一部の領域にフェニルシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項33または請求項34に記載の表示装置用照明装置。
【請求項36】
前記LEDチップの一辺が350μmよりも大きいことを特徴とする請求項1〜35のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項37】
前記LEDチップが複数配置されてなることを特徴とする請求項1〜36のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項38】
前記白色発光デバイス1パッケージ当り0.2W以上の電力を投入して使用されることを特徴とする請求項1〜37のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項39】
前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして1.5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする請求項1〜38のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置。
【請求項40】
前記白色発光デバイス1パッケージ当り前記LEDチップ1個当りの平面面積密度にして5×104W/m2以上の電力を投入して使用されることを特徴とする請求項39に記載の表示装置用照明装置。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の表示装置用照明装置と、透過型液晶表示パネルと、を備えたことを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−129906(P2010−129906A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305317(P2008−305317)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】
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